説明

透明性状の容器用外装ケースならびにこの容器用外装ケースを備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品

【課題】ポンプ式容器やエアゾール式容器の装飾体取付けにともなう外装状態の充実化と、当該装飾体の生産工程の効率化とを図る。
【解決手段】内容物放出機構が組み込まれる筒状首部1aの周りの環状上面1bを有する有底筒状の容器本体1に、着脱可能な形で取り付けられる透明性状の容器用外装ケース6として、この環状上面1bまで外装対象とすることができる形状のものを用いた。容器用外装ケース6と容器本体1の外周面との間に、装飾体(フィルム5)を入れて保持する。また生産工程の効率化を図るため、容器用外装ケース6の全体を一体成形している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ式製品やエアゾール式製品の、環状上面を有する有底筒状の容器本体に着脱可能な形で取り付けられる透明性状の容器用外装ケースに関する。
【0002】
すなわち、底部,筒状部および環状上面(=筒状部上端から内方に続く環状部分)などからなる通常のポンプ式容器やエアゾール式容器において、その筒状部および底部だけではなく、環状上面をもカバーする透明性状の容器用外装ケースを対象としている。
【0003】
この容器用外装ケースを構成する筒状胴部の内周面と、容器本体の筒状部外周面との間にはフィルム,シートなどの各種装飾体が配設される。
【0004】
なお、本明細書では「透明」の語を、少なくとも容器用外装ケースの中に入れられた装飾体が利用者からみて認識できる程度の光透過状態を示す語として用いる。
【0005】
また、概略、底部を「下」とした場合の容器本体の上下方向を「縦」と記載し、この上下方向と直交する方向を「横,左右」と記載する。
【背景技術】
【0006】
従来、ポンプ式製品など(ポット)の環状上面を有する有底筒状の容器本体に着脱可能な形で取り付けられて、当該容器本体の外周面との間に装飾体を挟みこめる透明性状の容器用外装ケースが提案されている(後述の特許文献1参照)。
【0007】
ここでの透明性状の容器用外装ケース[7],[11]は、底部[7]および筒状部[11]からなり、また容器本体の底部[16]と筒状部[4]とを外装対象としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭61−96837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来の透明性状の容器用外装ケースは、もっぱら容器本体の底部および筒状部に対するものであって、容器本体の環状上面まで外装するものではない。
【0010】
また、この容器用外装ケースは筒状部および、これとは別の底部の二部材からなっている。
【0011】
本発明は、ポンプ式製品やエアゾール式製品の、内容物放出機構が組み込まれる開口部(例えばポンプ式容器の筒状首部やエアゾール式容器のマウンティングキャップなど)の周りの環状上面を有する有底筒状の容器本体に、着脱可能な形で取り付けられる透明性状の容器用外装ケースとして、この環状上面まで外装対象とすることができる形状のものを提案し、これによりポンプ式容器やエアゾール式容器の装飾体取付けにともなう外装状態の充実化を図ることを目的とする。
【0012】
また、この透明性状の容器用外装ケースの全体を一体成形し、これにより当該外装ケースの生産工程の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)内容物放出機構が組み込まれる開口部(例えば後述の筒状首部1a)の周りの環状上面(例えば後述の環状上面1b)を有する有底筒状の容器本体(例えば後述の容器本体1)に着脱可能な形で取り付けられる透明性状の容器用外装ケース(例えば後述の縦ヒンジ外装ケース6,7,横ヒンジ外装ケース8,9)において、
前記容器本体の外周面との間に、装飾体(例えば後述のフィルム5,5')を入れて保持するための環状空間域を形成する筒状胴部(例えば後述の可動縦胴部要素6c,縦胴部要素7cおよび可動縦胴部要素7g,可動縦胴部要素8c,9c)と、
前記筒状胴部の上端側部分から内方に、前記容器本体の環状上面と対向する部分まで延びる形の環状上部(例えば後述の半環状上部6b,半環状上部7bおよび半々環状上部7f,半環状上部8b,9b)と、
前記筒状胴部の下端側部分から内方に、前記容器本体の底部と対向する部分まで延びる形の底状部(例えば後述の半円状底部6d,半円状底部7dおよび半々円状底部7h,内向き半環状下部8dおよび底部8e,半円状底部9d)と、を有し、
前記筒状胴部は、
その構成要素である複数の縦方向の可動胴部要素(例えば後述の可動縦胴部要素6c,7g,8c,9c)が、周方向の隣同士として並び、かつ、当該可動胴部要素間の開状態と閉状態とが選択的に設定される態様で形成され、
前記可動胴部要素は、
前記可動胴部要素間の閉状態と開状態とが選択的に設定される際の回動中心として作用するヒンジ作用部(例えば後述の縦ヒンジ作用部6e,7j,横ヒンジ作用部8f,9e)を備える。
(2)上記(1)において、
前記筒状胴部,前記環状上部,前記底状部および前記ヒンジ作用部は、
全体として一体成形されたものである。
(3)上記(1),(2)において、
前記ヒンジ作用部(例えば後述の縦ヒンジ作用部6e,7j)は、
前記可動胴部要素(例えば後述の可動縦胴部要素6c,7g)の縦方向縁部分に形成されている。
(4)上記(1)〜(3)において、
前記筒状胴部(例えば後述の縦胴部要素7cおよび可動縦胴部要素7g)は、
前記可動胴部要素(例えば後述の可動縦胴部要素7g)とは別の部分であって可動しない形の固定胴部要素(例えば後述の縦胴部要素7c)を有し、
前記ヒンジ作用部(例えば後述の縦ヒンジ作用部7j)は、
前記可動胴部要素と前記材固定胴部要素との連結部分に形成されている。
(5)上記(1)〜(4)において、
前記可動胴部要素間の開状態のときに前記装飾体を前記可動胴部要素に収納保持するための係止部分(例えば後述の突状係止部6g,7m,8h,9g)を備えている、
【0014】
このような構成からなる透明性状の容器用外装ケースならびに、当該容器用外装ケースを備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上の課題解決手段により、
(11)ポンプ式容器およびエアゾール式容器の装飾体取付けにともなう外装状態の充実化を図る、
(12)透明性状の容器用外装ケースの生産工程の効率化を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その1)を用いて容器本体の外周面との間に一枚のフィルムを収納する場合の、当該縦ヒンジ外装ケースの開状態を示す説明図である。
【図2】図1の縦ヒンジ外装ケースの閉状態を示す説明図である。
【図3】有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その2)を用いて容器本体の外周面との間に一枚のフィルムを収納する場合の、当該縦ヒンジ外装ケースの開状態を示す説明図である。
【図4】図2の縦ヒンジ外装ケースの閉状態を示す説明図である。
【図5】有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その1)を用いて、容器本体の外周面との間に二枚のフィルムを別々に収納する場合の、当該横ヒンジ外装ケースの開状態を示す説明図である。
【図6】図5の横ヒンジ外装ケースの閉状態を示す説明図である。を示している。図1の正立状態での作動モードを示す説明図である。
【図7】有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その2)を用いて、容器本体の外周面との間に二枚のフィルムを別々に収納する場合の、当該横ヒンジ外装ケースの開状態を示す説明図である。
【図8】図7の横ヒンジ外装ケースの閉状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図8を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
本願発明は上述したように、ポンプ式製品およびエアゾール式製品のそれぞれで用いられる透明性状の容器用外装ケースを対象としている。
【0019】
ただ、以下の実施形態の記載では単なる説明の便宜上、原則としてポンプ式製品の容器本体に取り付けられる容器用外装ケースの場合を前提とする。
【0020】
図1〜図8で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば筒状首部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば容器本体1)の一部であることを示している。
【0021】
図1,図2,図4〜図8において、
1は有底円筒状の容器本体(容器),
1aは当該容器本体の上中央部分に形成された筒状首部(開口部),
1bは当該筒状首部の回りの環状上面,
1cは当該環状上面の外端部分から下方に延びる外周面(筒状部),
1dは当該容器本体の底部,
をそれぞれ示している。
【0022】
また、同図において、
2は周知の内容物放出機構と一体化された状態で筒状首部1aの外周面と螺合するネジキャップ,
3は当該内容物放出機構の構成要素である押圧タイプの周知の操作ボタン,
4はネジキャップ2に対し着脱自在であって、操作ボタン3を保護するための周知のカバーキャップ,
5,5'は容器本体1の外周面1cに取り付けられて装飾作用を呈する方形状のフィルム(装飾体)
5a,5a'は左右両側の一対の縦方向端部,
5b,5b'は横方向上端部,
5c,5c'は横方向下端部,
をそれぞれ示している。
【0023】
また、図1および図2において、
6は全体が透明で、フィルム5を容器本体1の外周面1cとの間に保持するための有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その1),
6aは当該縦ヒンジ外装ケースをその縦方向中心面でいわば左右に等分割した形の半円弧状の胴部横断面などからなり、それぞれの間の閉状態と開状態とが選択的に設定される計二個の半外装ケース,
6bは半外装ケース6aそれぞれの上面側を形成する半環状上部,
6cは半外装ケース6aそれぞれの筒状胴部相当部分を形成する可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素),
6dは半外装ケース6aそれぞれの底面側を形成する半円状底部,
6eは可動縦胴部要素6cそれぞれの連結部分を構成する縦ヒンジ作用部,
6fは可動縦胴部要素6cそれぞれの(縦ヒンジ作用部6eとは反対側の)表面縦方向開口側縁部分の上下各域に形成されて、半外装ケース6a同士を閉状態に保持するための計四個の係合部,
6gは半外装ケース6a同士の開状態において、フィルム5を、二つの半外装ケース6a全体の中にいわば仮保持するため、可動縦胴部要素6cそれぞれの内周面縦方向開口側縁部分に三個形成された計六個の突状係止部,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、図3および図4において、
7は全体が透明で、フィルム5を容器本体1の外周面1cとの間に保持するための有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その2),
7aは当該縦ヒンジ外装ケースの一部であって図1,図2の半外装ケース6aの一つに相当する半円弧状の胴部横断面などからなる単一の半外装ケース,
7bは半外装ケース7aの上面側を形成する半環状上部,
7cは半外装ケース7aの筒状胴部相当部分を形成する縦胴部要素,
7dは半外装ケース7aの底面側を形成する半円状底部,
7eは半外装ケース7aの左右両側縦方向にそれぞれ形成されて、1/4円弧状の胴部横断面などからなる計二個の半々外装ケース,
7fは半々外装ケース7eそれぞれの上面側を形成する半々環状上部,
7gは半々外装ケース7eそれぞれの筒状胴部相当部分を形成する可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素),
7hは半々外装ケース7eそれぞれの底面側を形成する半々円状(1/4円状)底部,
7jは縦胴部要素7cと可動縦胴部要素7gそれぞれとの連結部分を構成する計二個の縦ヒンジ作用部,
7kは縦ヒンジ外装ケース6の係合部6fと同様の係合作用を呈する計四個の係合部,
7mは縦ヒンジ外装ケース6の突状係止部6gと同様の係止作用を呈する計六個の突状係止部,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、図5および図6において、
8は全体が透明で、フィルム5'を容器本体1の外周面1cとの間に保持するための有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その1),
8aは当該横ヒンジ外装ケースをその縦方向中心面でいわば左右に等分割した形の半円弧状の胴部横断面などからなり、それぞれの間の閉状態と開状態とが選択的に設定される計二個の半外装ケース,
8bは半外装ケース8aそれぞれの上面側を形成する半環状上部,
8cは半外装ケース8aそれぞれの筒状胴部相当部分を形成する可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素),
8dは可動縦胴部要素8cそれぞれの下端側に形成された計二個の内向き半環状下部,
8eは半外装ケース8aのそれぞれに共通の底部,
8fは内向き半環状下部8dのそれぞれと底部8eとの連結部分を構成する計二個の横ヒンジ作用部,
8gは可動縦胴部要素8cそれぞれの表面縦方向縁部分の上側域に二個(一つの当該縁部分あたり一個)形成されて、半外装ケース8a同士を閉状態に保持するための計四個の係合部,
8hは半外装ケース8a同士の開状態において、各フィルム5'を、この二つの半外装ケース8aそれぞれにいわば仮保持するため、可動縦胴部要素8cそれぞれの内周面縦方向縁部分に六個(一つの当該縁部分あたり三個)形成された計十二個の突状係止部,
をそれぞれ示している。
【0026】
また、図7および図8において、
9は全体が透明で、フィルム5'を容器本体1の外周面1cとの間に保持するための有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その2),
9aは当該横ヒンジ外装ケースをその縦方向中心面でいわば左右に等分割した形の半円弧状の胴部横断面などからなり、それぞれの間の閉状態と開状態とが選択的に設定される計二個の半外装ケース,
9bは半外装ケース9aそれぞれの上面側を形成する半環状上部,
9cは半外装ケース9aそれぞれの筒状胴部相当部分を形成する可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素),
9dは半外装ケース9aそれぞれの底面側を形成する半円状底部,
9eは半環状上部9b同士の連結部分を構成する計二個の横ヒンジ作用部,
9fは可動縦胴部要素9cそれぞれの表面縦方向縁部分の下側域に二個(一つの当該縁部分あたり一個)形成されて、半外装ケース9a同士を閉状態に保持するための計四個の係合部,
9gは横ヒンジ外装ケース8の突状係止部8hと同様の係止作用を呈する計十二個の突状係止部,
をそれぞれ示している。
【0027】
ここで、容器本体1,ネジキャップ2,操作ボタン3およびカバーキャップ4はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0028】
また、フィルム(装飾体)5,5'はプラスチック製,布製,紙製などのものであり、縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9は透明性状のプラスチック製のもの、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,PETなどからなるものである。
【0029】
図示の容器本体1に対する透明性状の容器用外装ケース(縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9)の基本的特徴は、
(21)そのカバー対象として、容器本体1の外周面1cのみならずその環状上面1bをも含み、
(22)縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9それぞれの筒状胴部内周面と、容器本体外周面1cとの間にフィルム,シートなどの各種装飾体5,5'が配設されることを前提とし、
(23)縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9それぞれの筒状胴部の構成要素である複数の可動縦胴部要素6c,7g,8c,9cを、周方向の隣同士に、当該可動縦胴部要素が互いにいわば開閉自在といえる態様で設定し、
(24)上記(23)の開閉動作における可動縦胴部要素それぞれの回動中心として作用する縦ヒンジ作用部6e,7jや横ヒンジ作用部8f,9eを設けた、
ことなどである。
【0030】
また、縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9のそれぞれの全体形状が一体成形加工により作成されることも更なる特徴である。
【0031】
なお、縦ヒンジ外装ケース6および横ヒンジ外装ケース8,9は、例えばそれぞれの計二個の半外装ケース6a,8a,9aが略180度開いた直線状態の形状で一体成形される。
【0032】
また、縦ヒンジ外装ケース7は、例えば計二個の半々外装ケース7eがそれぞれ単一の半外装ケース7aに対して略90度回動した状態(≒図3の開状態)の形状で一体成形される。
【0033】
図1および図2は、有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース6を用いて容器本体1の外周面との間に一枚のフィルム5を収納する場合を示している。
【0034】
開状態の縦ヒンジ外装ケース6(図1参照)に容器本体1およびフィルム5などを収納するには、例えば、
(31)縦ヒンジ外装ケース6の中に、フィルム5を、その縦方向端部5aがそれぞれ半外装ケース6aの突状係止部6gに仮保持される態様でセットし、
(32)次に、容器本体1などのポンプ式製品を矢印で示すように開状態の縦ヒンジ外装ケース6の中へその正面側から入れ、
(33)次に、半外装ケース6a同士を閉じる、すなわち縦ヒンジ作用部6eを中心にして当該半外装ケースの少なくとも一つを他方側に回動させる、
ようにすればよい。
【0035】
そして、上記(33)の回動操作により二つの半外装ケース6aの係合部6f同士がロック状態となった段階で、容器本体1およびフィルム5は縦ヒンジ外装ケース6の内部に略完全収納される(図2参照)。
【0036】
図3および図4は有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース7を用いて、容器本体1の外周面との間に一枚のフィルム5を収納する場合を示している。
【0037】
図1および図2の縦ヒンジ外装ケース6の場合との違いは、
(41)単一の半外装ケース7aの左右両側にそれぞれ縦ヒンジ作用部7jを介して半々外装ケース7eが接続され、
(42)この二個の半々外装ケース7eがそれぞれ単一の半外装ケース7aに対して開閉し、かつ、半々外装ケース7e同士も開閉する、
ことなどである。
【0038】
なお、図3の開状態の縦ヒンジ外装ケース7に容器本体1およびフィルム5などを収納する際の手順は、上記(31)〜(33)と同様である。
【0039】
ここで、上記(42)の半々外装ケース7eの開閉作動に相当する回動操作は、二個の当該半々外装ケース(の少なくとも一方ではなく)のそれぞれを他方側へと移動させるための回動操作となる。
【0040】
図5および図6は有底円筒状の横ヒンジ外装ケース8を用いて、容器本体1の外周面との間に二枚のフィルム5'を別々に収納する場合を示している。
【0041】
開状態の横ヒンジ外装ケース8(図5参照)に容器本体1およびフィルム5'などを収納するには、例えば、
(51)二つの半外装ケース8aそれぞれの中に、一枚のフィルム5'を、その縦方向端部5a'がそれぞれ当該半外装ケースの突状係止部8hに仮保持される態様でセットし、
(52)次に、容器本体1などのポンプ式製品を矢印で示すように開状態の横ヒンジ外装ケース8の中へその上方から入れ(図5参照)、
(53)次に、半外装ケース8a同士を閉じる、すなわち横ヒンジ作用部8fを中心にして当該半外装ケースの少なくとも一つを他方側に回動させる、
ようにすればよい。
【0042】
そして、上記(53)の回動操作により二つの半外装ケース8aの係合部8g同士がロック状態となった段階で、容器本体1および二枚のフィルム5'は横ヒンジ外装ケース8に略完全収納される(図6参照)。
【0043】
図7および図8は有底円筒状の横ヒンジ外装ケース9を用いて、容器本体1の外周面との間に二枚のフィルム5'を別々に収納する場合を示している。
【0044】
図5および図6の横ヒンジ外装ケース8の場合との違いは、
(61)半外装ケース9aの半環状上部9b同士のいわば対向直線部分がそれぞれ横ヒンジ作用部9eを介して接続され、
(62)この横ヒンジ作用部9eを回動中心にして、二個の半外装ケース9aそれぞれの半円状底部9dの側が開閉する、
ことなどである。
【0045】
開状態の横ヒンジ外装ケース9(図7参照)に容器本体1およびフィルム5'などを収納するには、例えば、
(71)二つの半外装ケース9aそれぞれの中に、一枚のフィルム5'を、その縦方向端部5a'がそれぞれ当該半外装ケースの突状係止部9gに仮保持される態様でセットし、
(72)次に、ネジキャップ2が取り付けられていない状態の容器本体1を矢印で示すように開状態の横ヒンジ外装ケース9の半環状上部9bの中へその下方から入れ(図7参照)、
(73)次に、半外装ケース9a同士を閉じる、すなわち横ヒンジ作用部9eを中心にして当該半外装ケース同士をそれぞれの半円状底部9dが近づく方向に回動させ、
(74)次に、容器本体1の筒状首部1aに、周知の内容物放出機構と一体になっているネジキャップ2を螺合させる、
ようにすればよい。なお、上記(72)のネジキャップ2の螺合作業は上記(71)のセットに続いて行ってもよい。
【0046】
そして、上記(74)の回動操作により二つの半外装ケース9aの係合部9f同士がロック状態となった段階で、容器本体1およびフィルム5'は横ヒンジ外装ケース9の内部に略完全収納される(図8参照)。
【0047】
なお、図2,図4,図6および図8の各外装ケースの閉状態のとき、容器本体1の環状上面1b,外周面1cおよび底部1dは、縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9それぞれの内部にいわばすっぽりと包まれている。
【0048】
また、この閉状態のとき、容器本体1の筒状首部1aの下端環状部分とその真下の環状上面部分との隙間にも、縦ヒンジ外装ケース6,7および横ヒンジ外装ケース8,9それぞれの半環状上部6b,7b,8b,9bの内端側部分が入り込んだ形になっている。
【0049】
図2,図4,図6および図8の閉状態の各外装ケースを開くには、それぞれの係合部6f,7k,8g,9gのロックを解除すればよい。
【0050】
すなわち、閉状態の一対の係合部同士をずらして当該ロックを解除すればよい。この係合部6f,7k,8g,9g自体は周知の各係合手段が用いられる。
【0051】
なお、操作ボタン3が下方に押圧されることにより周知のポンプ機構(エアゾール式製品の場合は周知のバルブ機構)が作動して容器本体1に収納済みの内容物が当該操作ボタンの放出孔から外部空間域へと放出される。
【0052】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であって例えば、
(81)エアゾール式製品の、マウンティングキャップの取付け対象である容器本体(および肩カバー体)の外装ケースとして用いる、
(82)押圧タイプの操作ボタンに代えて、チルトタイプ(傾動タイプ)などの各種操作ボタンを用いる場合も対象とする、
(83)フィルム5,5'を接着テープ,接着剤などで容器本体1に取り付ける、
(84)図5,図6の横ヒンジ外装ケース8において、その二個の半外装ケースそれぞれの下側を(図3,図4の縦ヒンジ外装ケース7のいわばアナロジーの形で)単一の円筒状外装ケースとし、かつ、この円筒状外装ケースの上側に半外装ケース8aと同様の開閉機能を備えた計二個の半外装ケースを形成する、
(85)図7,図8の横ヒンジ外装ケース9においてその二個の半外装ケースそれぞれの上側を(図3,図4の縦ヒンジ外装ケース7のいわばアナロジーの形で)単一の円筒状外装ケースとし、かつ、この円筒状外装ケースの下側に半外装ケース9aと同様の開閉機能を備えた計二個の半外装ケースを形成する、
(86)係合部6fや突状係止部6gを任意の個数形成する、
(87)縦ヒンジ作用部6eを上下方向に飛び飛びに任意の個数形成する、
ようにしてもよい。
【0053】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0054】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0055】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0056】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0057】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0058】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0059】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0060】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0061】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0062】
エアゾール式製品の内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0063】
(図1,図2,図4〜図8)
1:有底円筒状の容器本体(容器)
1a:筒状首部(開口部)
1b:環状上面
1c:外周面(筒状部)
1d:底部
2:ネジキャップ
3:操作ボタン
4:カバーキャップ
5,5':フィルム(装飾体)
5a,5a':一対の縦方向端部
5b,5b':横方向上端部
5c,5c':横方向下端部
【0064】
(図1および図2)
6:有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その1)
6a:計二個の半外装ケース
6b:半環状上部
6c:可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素)
6d:半円状底部
6e:縦ヒンジ作用部
6f:計四個の係合部
6g:計六個の突状係止部
【0065】
(図3および図4)
7:有底円筒状の縦ヒンジ外装ケース(その2)
7a:単一の半外装ケース
7b:半環状上部
7c:縦胴部要素
7d:半円状底部
7e:計二個の半々外装ケース
7f:半々環状上部
7g:可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素)
7h:半々円状(1/4円状)底部
7j:計二個の縦ヒンジ作用部
7k:計四個の係合部
7m:計六個の突状係止部
【0066】
(図5および図6)
8:有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その1)
8a:計二個の半外装ケース
8b:半環状上部
8c:可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素)
8d:計二個の内向き半環状下部
8e:共通の底部
8f:計二個の横ヒンジ作用部
8g:計四個の係合部
8h:計十二個の突状係止部
【0067】
(図7および図8)
9:有底円筒状の横ヒンジ外装ケース(その2)
9a:計二個の半外装ケース
9b:半環状上部
9c:可動縦胴部要素(縦方向の可動胴部要素)
9d:半円状底部
9e:計二個の横ヒンジ作用部
9f:計四個の係合部
9g:計十二個の突状係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物放出機構が組み込まれる開口部の周りの環状上面を有する有底筒状の容器本体に着脱可能な形で取り付けられる透明性状の容器用外装ケースにおいて、
前記容器本体の外周面との間に、装飾体を入れて保持するための環状空間域を形成する筒状胴部と、
前記筒状胴部の上端側部分から内方に、前記容器本体の環状上面と対向する部分まで延びる形の環状上部と、
前記筒状胴部の下端側部分から内方に、前記容器本体の底部と対向する部分まで延びる形の底状部と、を有し、
前記筒状胴部は、
その構成要素である複数の縦方向の可動胴部要素が、周方向の隣同士として並び、かつ、当該可動胴部要素間の開状態と閉状態とが選択的に設定される態様で形成され、
前記可動胴部要素は、
前記可動胴部要素間の閉状態と開状態とが選択的に設定される際の回動中心として作用するヒンジ作用部を備えている、
ことを特徴とする透明性状の容器用外装ケース。
【請求項2】
前記筒状胴部,前記環状上部,前記底状部および前記ヒンジ作用部は、
全体として一体成形されたものである、
ことを特徴とする請求項1記載の透明性状の容器用外装ケース。
【請求項3】
前記ヒンジ作用部は、
前記可動胴部要素の縦方向縁部分に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の透明性状の容器用外装ケース。
【請求項4】
前記筒状胴部は、
前記可動胴部要素とは別の部分であって可動しない形の固定胴部要素を有し、
前記ヒンジ作用部は、
前記可動胴部要素と前記材固定胴部要素との連結部分に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透明性状の容器用外装ケース。
【請求項5】
前記可動胴部要素間の開状態のときに前記装飾体を前記可動胴部要素に収納保持するための係止部分を備えている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の透明性状の容器用外装ケース。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の透明性状の容器用外装ケースを備え、かつ、前記容器本体に内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の透明性状の容器用外装ケースを備え、かつ、前記容器本体に噴射剤および内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236644(P2012−236644A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108601(P2011−108601)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】