説明

透明成形物を製造するための、透明コポリアミド及び脂肪族のホモポリアミドから作製された混合物をベースとするポリアミド成形組成物

【課題】特に射出成形法における従来の材料よりも著しく良好なプロセス可能性と共に、良好な耐化学性、非常に高度の透明度、及び、低ヘイズを特長とする、新規のポリアミド成形組成物を提供する。
【解決手段】(A)25〜75質量%の少なくとも1種の透明コポリアミドであって、(a)50〜90mol%の脂環式ジアミン、及び(b)10〜50mol%の9〜14個の炭素原子を有する非分枝脂肪族ジアミン又はそれらの混合物(いずれの場合にもジアミンの総量をベースとする);並びに(c)10〜36個の炭素原子を有する1種以上の脂肪族及び/又は脂環式のジカルボン酸、から構成される透明コポリアミド、
(B)25〜75質量%の少なくとも1種の別のポリアミド、
(C)0〜10質量%の添加剤(但し、成分(A)、(B)及び(C)は合わせて100質量%となる)
を含む、ポリアミド成形組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に射出成形法における著しく良好な加工性(processability)、良好な耐化学性、非常に高度の透明度、及び、低ヘイズを特長とする、新規のポリアミド成形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開番号第2009/132989号公報には、再生可能な原材料をベースとする透明コポリアミドが開示されており、この透明コポリアミドは、規定の温度及び湿度の条件下(55℃/95%相対湿度)でのテストにおいて低い歪を示す。このコポリアミドは、脂環式及び脂肪族のジアミン、及び脂肪族の二塩基酸から製造される。前記コポリアミドは、良好なヘイズ及び高度の透明度を有するが、例えばアルコール中でのエージングでヘイズが増加しうるので、前記コポリアミドの耐化学性は不十分である。その一般的記載では他のポリマーとの混合が可能であると一般的に言及されてはいるが、実施例にはコポリアミド自体が記載されているだけで、このタイプの混合物の具体的な系と共にこのタイプの混合物における割合を開示しているわけではない。
ドイツ特許公開番号DE100 09 756 A1号公報には、改善された透明度と化学的耐性を有するにもかかわらず機械的特性に関して損失がないポリアミド混合物が記載されている。この混合物は、非晶質又は微晶質のポリアミド及び半晶質ポリアミド、ならびに2種の異なるリン添加剤から構成される。この非晶質又は微晶質のポリアミドを示す式では、出発成分としてジアミン及び脂肪族ジカルボン酸の非常に広い起こりうる組合せを可能とする。しかしながら、2種の異なるジアミン及び2種の異なる二塩基酸の特定の組合せの記載は全くない。この実施例では、1種のみのジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)と、1種の芳香族ジカルボン酸、イソフタル酸(IPS)との組合せ、及び、ラクタム-12を常にベースとする非晶質ポリアミドが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の簡単な説明
上述したように、本発明は、特に射出成形法における従来の材料よりも著しく良好な加工性と共に、良好な耐化学性、非常に高度の透明度、及び、低ヘイズを特長とする、新規のポリアミド成形組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、特に透明コポリアミド、及び、特定の半結晶脂肪族ホモアミドから作製される混合物をベースとする新規の成形組成物に関し、これらは特に可視領域で厳しい技術的要件を満たし、かつ高品質表面を有する透明成形物、特に射出透明成形物を製造するために使用される。本明細書において、ホモポリアミドという表現は、「1種のラクタムのみ、又は、それぞれ1種の二塩基酸モノマー及び1種のジアミンモノマーのみをベースとするポリアミド系」という通常の意味を有するので、前記表現は、PA12のような系だけでなく、PA1012のような系も含む。本発明に従った成形組成物の別の特長は、高靱性、低吸水性及び良好な耐化学性である。さらに、本発明は、このタイプのポリアミド成形組成物の製造方法、及び、成形組成物から製造された成形品、例えば、携帯電話のケース又はディスプレイ、GPSデバイス、MP3プレイヤー、メガネ、レンズ、カメラ、光学機器、及び双眼鏡などの材料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
自動車装置、家庭用機器、家庭用電化製品、スポーツ用品、及び掃除しやすい工業用表面の「ハイエンド品質」な位置決めを支持するために、高品質な表面が利用される。このために、高品質な外観を有するだけではなく、耐破損性であり、流動性があり、伸展性があり、耐変形性でなければならない材料への高い要求が設定される。このことは、結晶化による容積の変化が小さいことと、吸湿性が低いことを必要とする。優れた耐摩耗性及び動的強度も必要とされ、これらは伸張性のポリアミドの特異的性質である。本発明に従ったポリアミド成形組成物から作製された成形物は、優れた透明度、靱性、及び、耐磨耗性を有する。ロバスト環境での前記成形物の応用(用途)をもたらす特性は、特に高い耐化学性及び高い曲げ疲労耐性である。本発明に従った成形組成物は、公知の加工工場での公知のプロセスによって加工されて、高品質な成形品を提供できる。上述したように、高品質な成形物は、携帯電話のケース又はディスプレイ、GPSデバイス、MP3プレイヤー、メガネ、レンズ、カメラ、光学機器、及び双眼鏡などの材料として使用されうる。
【0006】
従って、本発明に内在している目的の一つは、透明コポリアミド及び半結晶脂肪族ポリアミドから作製される混合物をベースとし、特に可視領域で厳しい技術的要件を満たし、かつ高品質表面(ハイエントクオリティー)を有するが、加工に不都合な高いガラス転移温度を有さない点で公知の透明ホモポリアミドとは異なる、透明成形物を製造するために使用されうる成形組成物を提供することである。成形組成物は、高靱性、低吸水性、特にアルコールに対する良好な耐化学性、及び、特に射出成形法において改良された加工性を特長とすることを目的とする。
従って具体的には、本発明は、透明成形物、特に高靱性、低吸水性及び良好な耐化学性を有する射出成形物を製造するための、透明コポリアミド及び半結晶脂肪族ポリアミドから作製される混合物をベースとするポリアミド成形組成物を提供する。
【0007】
この成形組成物は、以下のように組成される成分(A)〜(C)から構成される:
(A)25〜75質量%の少なくとも1種の透明コポリアミドであって、
(a)50〜90mol%のビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMACM)及びそれらの混合物からなる群から選択される脂環式ジアミン、及び
(b)10〜50mol%の9〜14個の炭素原子を有する非分枝脂肪族ジアミン又はそれらの混合物
(いずれの場合にもジアミンの総量をベースとする);並びに
(c)10〜36個の炭素原子を有する1種以上の脂肪族及び/又は脂環式のジカルボン酸、
から構成される透明コポリアミド、
(B)25〜75質量%の少なくとも1種のPAXYタイプの別のポリアミド(ここで、X及びYは互いに独立であり、価数9〜14をとりうる)、
(C)0〜10質量%の紫外線安定剤、熱安定剤、フリーラジカル捕捉剤、加工助剤、混在防止剤、潤滑剤、離型助剤、可塑剤、光学特性、特に屈折率に影響を与える機能性添加剤、衝撃改質剤、フィラー、例えば特にナノスケールフィラー及び/又はナノスケール骨材、光学的光沢剤、染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤
(但し、成分(A)、(B)及び(C)は合わせて100質量%となる)。
【0008】
透明度及びヘイズは、透明ポリマー混合物及びそれから製造される透明成形物の特性プロフィール及び所望の応用(用途)に関して一番重要なものなので、以下の化学耐性の評価は、様々な環境におけるエージング後の残留透明度及びヘイズ特性に基づく。このために、射出成形で製造された測定用の100×100×2 mmの成形物を室温で60分間様々な環境でエージングさせた。ASTM D1003に従った透明度及びヘイズは、12時間室温で乾燥させた後に測られた。本明細書において、成分A自体、又は、少量の20質量%以下の成分Bと成分Aとのブレンドでは、アルコール中又はアルコール含有炭化水素(例えばE85)中でエージングさせた後に非常に重度のヘイズを生じることが分かった。これに対して、成分B単独、又は少量(約20質量%以下)の成分AとBとの混合物は、上述の応用(用途)には透明度が不十分であり、アルコールと接触しない場合でさえも許容できない高いヘイズを有する。驚いたことに、具体的には、25〜75質量%の成分Aと75〜25質量%の成分Bから作製された混合物のみが優れた透明度値及び優れたヘイズ値を有し、これらの値はアルコール中又はアルコール含有溶媒中でのエージングで損なわれていないか、わずかに損なわれただけである。
【0009】
ASTM D1003に従って光線透過率として測定される、透明成形組成物から製造された厚み2 mmのシート(plaque)の透明度は、好ましくは85%より大きく、特に好ましくは少なくとも90%であり、かつ、ヘイズは好ましくは最大15%であり、特に好ましくは最大12%である。剛性値(引張弾性係数が1300 MPaより大きい)及び高靱性値(好ましくは23℃及び-30℃での耐衝撃性:破砕なし)が達成されることが、本発明に従った成形組成物の好適な使用にふさわしい。さらに、特にアルコールと接触したときの良好な耐化学性は、本発明に従った成形組成物から製造される成形物で達成される。
使用される成分(B)は、半結晶脂肪族ポリアミドXY(ここで、X及びYは互いに独立して、価数9〜14をとりうる)を含む。成分(B)は好ましくは、第1態様に従うと、PA1010、PA1012及びPA1212からなる群から選択され、本明細書では特に好ましくはPA1010を用いる。
別の好ましい態様に従って、成分(B)の脂肪族ポリアミドの溶液粘度ηrelは、1.4〜2.4の範囲、好ましくは1.6〜2.2の範囲、特に1.7〜2.0の範囲である。これらの値は、20℃にて0.5gのポリマーを含む100mlのm-クレゾール溶液の測定で適用する。
【0010】
別の好ましい態様において、ポリマー混合物は、30〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%の成分(A)、及び、70〜30質量%、特に好ましくは65〜35質量%の成分(B)から構成される。従って、成分(B)の別のポリアミドの好ましい存在割合は、30〜70質量%の範囲にあり、好ましくは35〜65質量%の範囲、特に好ましくは40〜65質量%の範囲である。
驚いたことに、特に透明コポリアミドのMACM 10-36/9-14 10-36、好ましくはMACM 10-18/10-14 10-18、特に好ましくはMACM 10-14/10 10-14、及び、半結晶脂肪族ポリアミドPAXY、特にポリアミドPA1010、PA1012及びPA1212から作製される混合物は、所望の特性を有することが立証された。一例としては、ポリアミドPA1010、及び、コポリアミドMACM10/1010(66 mol%の割合でMACM10を含む)から作製される混合物は、構成成分の全範囲(30〜70質量%の成分B)に渡って、透明度91%超過で、かつ、厚さ2 mmのシートで測定されるヘイズが最大11%である。構成成分の広い範囲内で、透過率値及びヘイズ値は純粋な成分(A)の対応する値よりも一層優れていることが画期的である。20°の角度で測定される最大光沢度値は、約150%である。高度の透明性材料の光沢度値は、上面に加えて下面も反射するため、100%を超えている。
【0011】
本出願の目的のために、本明細書において、透明度の測定値として使用される光線透過率値は、ASTM D1003法(CIE-C発光体)によって常に決定される。以下に記載される実験において、この光線透過率は70×2 mmのディスク、又は、測定用の60×60×2 mmのシートを用いてヘイズ‐ガードプラス装置(BYK Gardner(DE)製)で測定される。透過率値は、CIE-Cによって定義される可視波長範囲すなわち、十分な明度である、おおよそ400〜770 nmで表される。この目的のために、例えば70×2 mmのディスクが、200℃〜340℃のシリンダー温度、及び、20℃〜140℃のモールド温度でArburg射出成形機において磨かれたモールドを用いて製造される。
従って、本発明に従った透明コポリアミド及び半結晶脂肪族ポリアミドから作製される透明混合物、並びに、それから製造される成形物は、好ましくは本明細書で定義された光線透過率を有し、それらは微晶質形態を有する。好ましくは本発明に従ったポリマー混合物は、別の構成成分を含まずに高分子量形態で加工される場合に、透明成形物を得られるポリアミド系なので、結晶寸法は可視光線の波長よりも低い。
【0012】
本発明に従って使用されるMACM-、PACM-、TMACM-及びEACM-ベースのコポリアミド、並びに、それから製造される本発明に従ったポリマー混合物は、更に好ましくは、請求の範囲に記載される構成成分の全範囲にわたって高度の透明度を有し、低ヘイズを有するだけである。具体的には、ポリアミド成形組成物のこの高度の透明度及び低ヘイズとは、ASTM D1003に従って光線透過率として測定される、透明成形組成物から製造される厚み2 mmのシートの透明度が、好ましくは上述したように85%超過、特に好ましくは少なくとも90%であり、ヘイズが好ましくは最大15%、特に好ましくは最大12%であることを意味する。本発明に従ったポリアミド成形組成物は、優れた透明度及び低ヘイズだけではなく、アルコールと接触した際に透明度及びヘイズが損なわれないか、又はほんの少ししか損なわれないことを特長とする。本発明に従うと、アルコール中でのエージング1時間後のヘイズは、15%にも満たないもので、好ましくは12%未満であり、非常に特に好ましくは5%未満である。
従って、アルコール中での1時間のエージングに起因したヘイズ値の変化(△ヘイズ)は、10%未満であり、好ましくは6%未満であり、非常に特に好ましくは3%未満である。△ヘイズは、室温で、アルコール中又はアルコール含有溶媒(例えばE85)中でのエージング前及び1時間後の成形物の測定されるヘイズ値における差異である。
【0013】
ポリアミド成形組成物のほかの好ましい態様に従って、これは、成分(A)の脂環式ジアミンの濃度は、全ジアミン含有量をベースとして、50〜80 mol%の範囲、特に55〜75 mol%の範囲であって、非分枝脂肪族ジアミンの使用される濃度が、全ジアミン含有量をベースとして、25〜40 mol%であることを特徴とする。
成分(A)は、好ましくは少なくとも80℃又は特に少なくとも85℃で、かつ最大150℃のガラス転移温度(Tg)を有し、互いに異なる少なくとも2種のジアミンと、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸とから構成される透明コポリアミドである。ジアミンは、脂環式及び/又は非分枝の脂肪族ジアミンから作製される混合物である。脂環式ジアミン(成分(A)に含まれる構成成分(a))は、(ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、及び、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMACM))からなる群から選択されるのに対して、非分枝の脂肪族ジアミン(成分(A)に含まれる構成成分(b))は、好ましくは、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、及び、1,14-テトラデカンジアミンからなる群から選択される。
従って、本発明に従って使用される透明コポリアミドが要求される特性を有するために、脂環式ジアミン(成分(A)に含まれる構成成分(a))の濃度は、好ましくは全ジアミン含有量をベースとして50〜80 mol%の濃度範囲、特に好ましくは55〜75 mol%の範囲にするべきである。
【0014】
本発明に従って、特に最も好ましくは1,10-デカンジアミンとして選択される、脂肪族ジアミン(成分(A)に含まれる構成成分(b))の濃度は、全ジアミン含有量をベースとして常に少なくとも10 mol%であるが、好ましくは少なくとも20 mol%であり、特に少なくとも32 mol%であるので、好ましくは、全ジアミン含有量に基づいて20〜50 mol%の範囲、特に好ましくは25〜45 mol%の範囲である。
別の好ましい態様に従って、コポリアミド(A)のガラス転移温度は90℃〜135℃、特に好ましくは少なくとも100℃〜135℃である。コポリアミド(A)のガラス転移温度(Tg)は、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも85℃、特に少なくとも90℃又は100℃である。これに対して、コポリアミド(A)のガラス転移温度(Tg)は、最大150℃、好ましくは最大135℃、特に好ましくは最大125℃である。従って、成分(A)の好ましいガラス転移温度(Tg)は、80〜135℃の範囲、特に85〜125℃の範囲である。
更に成分AのTg範囲は、成分Bの混合によって低下する。本発明に従って、脂環式ジアミン、例えばMACM10をベースとするホモポリアミドと比べたガラス転移温度(Tg)の低下は、ポリマー融解物の高い流動性を達成するので、より良好な加工性を達成する。本発明のポリアミド成形組成物は、(ホモポリアミド成形組成物よりも)早急には凝固しないので、射出成形法はフローライン及び他の加工品を回避することにより、定性的に良好な表面(平滑表面)、及び、より高い溶接ライン強度値を達成する。そのうえ、本発明に従ったポリマー混合物は、あまり激しくない条件下、すなわち10℃〜40℃に低下した温度で製造され加工されうるので、それから製造される成形物は、含有物(重縮合プロセスに由来する)が著しく少なく、あまり著しくは変色しない。このことは、特に、光学セクター中で透明材料及びこれらの応用(用途)にとって非常に重要である。
【0015】
他の好ましい態様に従って、使用される混合物は、60〜90 mol%のビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、及び/又は、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、及び/又は、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、及び/又は、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMACM)と、10〜40 mol%の少なくとも1種の9〜14個の炭素原子、特に好ましくは10〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン、特にデカンジアミン(好ましくは、1,10-デカンジアミン)とから作製される(いずれの場合にもジアミンの総量をベースとする)。本発明に従って、脂肪族ジアミンの1,10-デカンジアミン及び1,12-ドデカンジアミンを用いることが好ましく、本明細書において、脂肪族ジアミンの全含有量をベースとして少なくとも20 mol%、又は、少なくとも30 mol%の1,10-デカンジアミンを脂肪族ジアミンとして使用することが特に好ましい。
脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは10〜18個の炭素原子、特に10〜14個の炭素原子を有する。
使用される脂肪族二塩基酸(成分(A)に含まれる構成成分(c))は、好ましくは、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、C36-ダイマー脂肪酸、及び、それらの混合物からなる群から選択される酸を含み、ここで、好ましくは脂肪族二塩基酸が、二塩基酸の総量をベースとして、少なくとも20mol%、好ましくは少なくとも30mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%のセバシン酸を含み、特に好ましくは脂肪族二塩基酸が、セバシン酸のみである。
【0016】
従って、本発明に従った特に好ましいコポリアミド(A)は、MACM10/1010、MACM12/1012及びMACM 14/1014である。PACM、EACM又はTMACMで、全体又はある程度、ジアミンMACMが置き換えられうる。PACMで、全体又はある程度、MACMが置き換えられることが好ましく、すなわち、以下の系:PACM10/1010、PACM12/1012、PACM14/1014及びこれらの混合物が同様に特に好ましい。
一つの特に好ましい態様は、コポリアミド(A)がMACM10/1010で、成分(B)がPA1010であることを特徴とする。
本発明に従ったポリアミド成形組成物は、好ましくは以下:35〜70質量%の成分(A)、30〜65質量%の成分(B)、及び、0〜5質量%の成分(C)を含む。
成形組成物は以下の成分の割合:40〜65質量%の成分(A)、35〜60質量%の成分(B)、及び、0〜3質量%の成分(C)を含むことが特に好ましい。
本発明に従った、透明コポリアミド及び半結晶脂肪族ポリアミドから作製された混合物をベースとしたポリアミド成形組成物は、再生可能な原材料から入手可能なモノマーを主にベースとすることができ、ASTM D6866-068aに従ったコポリアミド(A)及び/又は別の成分(B)の生物起源含有量は、少なくとも50質量%であり、特に50〜85質量%である。
【0017】
しかしながら、本発明に従ったポリアミド成形組成物は、通常の少ない割合(10質量%未満、好ましくは5質量%未満、特に好ましくは3質量%未満)の通常の添加剤(構成成分C)を含みうる。記載された添加剤は、安定剤、例えば、紫外線安定剤、熱安定剤、フリーラジカル捕捉剤、及び/又は、加工助剤、混在防止剤、潤滑剤、離型助剤、可塑剤、及び/又は、機能性添加剤、好ましくは光学特性、特に例えば屈折率に影響を与える機能性添加剤、及びそれらの組合せ及び混合物でありうる。更に、成形組成物は、(成分Cとして)ナノスケールフィラー、及び/又は、ナノスケール機能性材料、例えば、層状ミネラル又は酸化金属(これらは、屈折率を増加させる)、又は光学的光沢剤、又は、染料、例えばフォトクロミック染料を含みうる。
その上、本発明の目的において、成形組成物は、本分野の当業者に知られるフィラー及び/又は骨材、例えば、ガラスファイバー、ガラスビーズ、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、難燃剤、ミネラル、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム又は硫酸バリウム、又は、例えば機能性ポリオレフィンのような衝撃改質剤を含みうる。
好ましい衝撃改質剤は、酸修飾エチレン-α-オレフィンコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリル酸コポリマー、及び、メタクリラート-ブタジエン-スチレンコポリマーから選択される群から誘導される。
【0018】
フィラー又は補強剤も、本発明に従った成形組成物に添加されうる。この場合に、成形組成物から製造される成形物は、天然に透明性である必要はない。同時に使用されうる補強剤のガラスファイバー及びカーボンファイバーは、特に再生可能な原材料をベースとし、50%超過の生物起源含有量をベースとするものである。天然ファイバー、例えばセルロースファイバー、麻ファイバー、亜麻ファイバー、綿ファイバー、羊毛ファイバー、又は、木材ファイバーを使用することが特に好ましい。
ポリマー成分(A)及び(B)は、公知の圧力容器で製造される。まず、圧縮段階は250℃〜320℃で行なわれる。これに続いて、250℃〜320℃で減圧される。液化は260℃〜320℃で行なわれる。次いで、ポリアミド成形組成物は、ストランド形で押出され、5℃〜80℃に水浴で冷却され、ペレット化される。このペレットを12時間80℃で、水含有量が0.06%未満になるまで乾燥させる。乾燥工程の間に、同時にペレットを循環させながら、添加剤、例えば、潤滑剤、染料、安定剤又は他の添加剤をペレット上に塗布、又は、焼結することができる。
20℃にて0.5gのポリマーを含む100mlのm-クレゾール溶液で測定される、1.40〜2.40、好ましくは1.6〜2.20、特に好ましくは1.70〜2.00の所望の相対粘度(成分(A)及び(B))は、ジアミン又はジカルボン酸を0.01〜2 mol%のわずかの過剰量で使用することで達成されうる。好ましくは調節プロセスでは、0.01〜2.0質量%、好ましくは、0.05〜0.5質量%でモノアミン又はモノカルボン酸が使用される。好適な調節剤は、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリルアミン、又は、これらの混合物である。特に好ましくは、アミン基かカルボン酸基を有し、かつ、HALSタイプ又はtert-ブチルフェノールタイプの群の安定剤、例えば、トリアセトンジアミン及びイソフタル酸のジトリアセトンジアミン誘導体を含む調節剤である。
【0019】
重縮合反応を加速する好適な触媒は、リン含有酸、例えば、H3PO2、H3PO3、H3PO4、これらの塩、又は、有機誘導体(ここで、これらは同時に、加工の間、変色を低減する)である。触媒の添加量は、0.01〜0.5質量%の範囲、好ましくは0.03〜0.1質量%の範囲である。液化プロセスの間の泡立ちを避けるための好適な消泡剤は、10%濃度の乳剤に対して、0.01〜1.0質量%の範囲、好ましくは0.01〜0.10質量%のシリコン又はシリコン誘導体を含む水性乳剤である。
0.01〜0.5質量%の量の好適な熱安定剤又は好適な紫外線安定剤は、重縮合プロセスの前にこの混合物に添加されうる。高い融解点タイプを使用することが好ましい。Irganox 1098を使用することが特に好ましい。
公知の混合法、特に250℃〜350℃の融解温度で用いられるシングル又はマルチスクリュー押出機での押出は、添加剤を含む本発明に従った透明成形組成物を提供するために使用可能である。添加剤は、例えば、安定剤、潤滑剤、例えば、パラフィンオイル、又はステアラート、染料、フィラー、衝撃改質剤、例えば、エチレン-グリシジル メタクリラートのターポリマー(好ましくは、本発明に従った成形組成物の範囲の屈折率を有する)又は、無水マレイン酸-グラフト化ポリエチレン、又は、プロピレン、又は、補強剤、例えば、ガラスファイバー又はガラスビーズ、又はナノ粒子である。これらは分散可能であり、透明材料、または添加剤の混合物を得ることができる。
【0020】
さらに、本発明はこれらのポリアミド成形組成物の製造方法を提供し、上述した目的は、請求の範囲に記載されたこれらのポリアミド成形組成物の製造方法によって更に達成される。本明細書において、ポリマー成分(A)及び(B)は公知の圧力容器で、250℃〜320℃での圧縮段階、その後の250℃〜320℃での減圧、その後の260℃〜320℃での液化を行って製造され、そして、ストランド形でのポリアミド成形組成物の押出、冷却、ペレット化、及びペレットの乾燥が行われ、ペレット形の成分(A)及び(B)並びに混合されてもよい(C)を混合し、220℃〜350℃の融解温度の押出機で成形してストランド形にし、好適なペレット製造機で切断してペレットにすることが好ましい。ここで、混合プロセスの間に添加剤が添加されても良く、これらは成形組成物に特性を与えるのに好適で、例えば、製造安定剤、着色顔料、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、及び他の透明ポリアミドである。
従って、本発明に従った透明ポリアミド成形組成物製の高透明度の成形物を製造するための好適な方法は、融解温度230℃〜320℃での射出成形法及び射出圧縮成形法であり、ここで、モールドは40℃〜130℃の温度に設定され、適切な場合、材料が空洞に装填された後に、40℃〜130℃の温度でモールドが高温成形物を圧縮する。発砲射出圧縮成形法は、本発明に従った透明ポリアミド成形組成物製の欠点のない低ストレス成形表面(例えばメガネのレンズ、又は、高品質のケース部品)を製造するための特に好適な方法である。この方法において、材料は壁厚1〜5 mmの空洞に装填され、次いでモールドの空洞が拡張され、同時に材料の装填を続けて、壁厚をより大きくする。
【0021】
本発明に従った透明ポリアミド成形組成物で作製された単層又は多層型のホイル、パイプ、及び、半製品を製造するための好適な方法は、250℃〜350℃の融解温度を用いるシングルスクリュー又はマルチスクリュー押出機での押出法であり、好適なコポリマー又はブレンドの形態での好適な接着促進剤が、様々な層の融和性によって必要に応じて使用されうる。
本発明に従ったポリアミド成形組成物で構成される成形物は、通常の方法、例えば、超音波溶接、白熱ワイヤ溶接、摩擦溶接、スピン溶接、又は、800nm〜2000nmの範囲で吸収するレーザーアクティブ染色を備えたレーザー溶接によって、互いに結合されうる。
本発明に従った透明ポリアミド成形組成物で作製された単層又は多層型の中空体及びボトルを製造するための好適な方法は、射出ブロー成形法、射出延伸ブロー成形法、及び押出ブロー成形法である。
本発明に従った成形組成物は、ホイル、例えば、フラットホイル、吹込ホイル、キャストホイル、又は多層ホイルになるようにも加工されうる。別のホイルの加工方法では、好ましくはラミネーション、インモールドコーティング、伸張、配向、印刷、又は染色が用いられる。
成形物は、次いで水浴に入れるような公知の方法を用いて、バルク染色又は染色されうる。必要に応じた成形物の機械加工では、更に、製粉、掘削、粉砕、レーザーマーキング、レーザー切断、及び/又は、レーザー溶接を用いる。
本発明に従った透明ポリアミド成形組成物から構成される成形物の好適な用途は、油と直接接触する工業用加熱装置用のぞき窓、飲料水の処理用フィルターカップ、哺乳瓶、炭酸用ボトル、瀬戸物、ガス又は液体用のフローメーター、時計用ケース、腕時計用ケース及び、自動車ランプ用のランプケース又は反射板である。
【0022】
従って、本発明は、これらのポリアミド成形組成物から作製された請求の範囲に記載の成形物も提供し、これらは好ましくは上述された方法で製造される。言い換えると、上述の目的も、上述のポリアミド成形組成物から得られうるこれらの成形物によって達成され、好ましくは、融解温度230℃〜320℃での射出成形法及び射出圧縮成形法で製造され、ここで、モールドは40℃〜130℃の温度に設定され、適切な場合に、材料が空洞に装填された後に、40℃〜130℃の温度でモールドが高温成形物を圧縮する。
本発明に従った補強されていない成形組成物から製造された成形物の剛性値(stiffness values)は、1300〜2000 MPa、好ましくは1400〜1800 MPaの弾性率(modulii of elasticity)だった。試験片のシャルピー衝撃値を測定した場合、試験片は室温(23℃)及び-30℃で破砕しなかった。
【0023】
従って、これらの成形物は、好ましくは230℃〜320℃の融解温度で射出成形法及び射出圧縮成形法を用いることによって製造され、ここで、モールドは40℃〜130℃の温度に設定され、適切な場合に、材料が空洞に装填された後に、40℃〜130℃の温度でモールドが高温成形物を圧縮する。
この成形物は、好ましくは、CIE発光体Cを用いるByk Gardner製のヘイズガードプラステスト装置を利用して、温度23℃で、測定用の2×60×60 mmのシート又は測定用の2×70 mmのディスクで測られる、ASTM D1003に従って測定される、少なくとも85%、好ましくは少なくとも88%、特に好ましくは少なくとも90%の光線透過率で特徴付けられる。
好ましくは、さらにこの成形物は、ASTM D1003に従って測定された、アルコール中での1時間のエージングの後の請求項1〜6に従った透明ポリアミド成形組成物から製造された厚み2 mmのシートのヘイズが、最大15%、好ましくは最大12%、非常に特に好ましくは最大5%であることを特徴とする。
成形物は、非常に広い種類豊富な形態、例えばホイル、パイプ、半製品又は中空体又はボトルなどとして使用されうる。この成形物は、特に好ましくは、ケース又はディスプレイ用の要素に関するので、好ましくは、機械、自動車、家庭用機器又は特に可搬式電気機器又は電子装置、例えば特に携帯電話、コンピューター、ノート型パソコン、GPSデバイス、MP3プレイヤー、カメラ、光学機器又はその組合せの当該要素に関するか、又は、成形物は、スポーツ用品、眼鏡フレーム、眼鏡レンズ又は他のレンズ、双眼鏡又はそれらの要素に関しうるほか、上述の他のコンポーネントにも関しうる。
従属項は、別の態様を挙げる。
ここで、本発明は以下の実施例を用いて更に詳細に説明されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
[実施例 IE1]透明コポリアミド MACM10/1010 (66:34)
16.93 kgのビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、6.30 kgのデカンジアミン、21.76 kgのセバシン酸、及び、18 kgの水を130 Lの圧力オートクレーブに入れた。まず圧力段階は290℃で行われた。次いで280℃で減圧し、これは次いで液化プロセスが同じ温度で行われた。所望のトルクに達してから、ポリアミド成形組成物を、ストランド形で押出し、水浴中で冷却してペレット化した。このペレットを80℃で12時間乾燥させて、水分含量を0.06%未満にした。
【0025】
[実施例IE2からIE6]及び[比較例CE1からCE4]
表2に従って未処理ポリマーIE2を所定のプロセスパラメータ(バレル温度:260℃、スクリュー回転速度:200 rpm、スループット:10 kg/時間)を用いて直径25 mmのスクリューを備えたWerner&Pfleiderer製の二軸(ツインスクリュー)押出機のなかで混ぜ合わせて、ポリマーブレンドIE2からIE6、及び同様にCE1からCE3を製造した。この目的を達成するために、表1及び2の全ての成分を前混合して、はかりで計測し、二軸押出機の導入部に入れた。適宜、ゾーン10に窒素を流しながら融解物をわずかに液化させた。生成物を直径3 mmのダイからストランド形で押出して、ペレット化した。このペレットを30ミリバールの減圧下にて24時間80℃で乾燥させた。
【0026】
本発明に従った透明ポリアミド成形組成物から、高度の透明成形物又は試験片を230℃〜280℃の融解温度でArburg 420C Allrounder 1000-250射出成形機(モールドは40℃か60℃の温度に設定されていた)を用いて製造した。スクリュー回転速度は150〜400 rpmだった。
表1及び2は、得られた材料と成形物の特性を示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

n.f. = 破砕なし
【0029】
相対粘度(ηrel)を20℃の温度で、20℃にて0.5gのポリマーを含む100mlのm-クレゾール溶液で、DIN EN ISO 307に従って測定した。
ガラス転移温度(Tg)、融解点(Tm)、及び融解エンタルピー(Hm)をISO 11357-1/2に従って測定した。差走査熱量測定法(DSC)で使用された加熱速度は20K/分だった。
引張弾性係数、最大抗張力及び引張破壊歪みを引張試験速度1 mm/分(引張弾性係数)又は50 mm/分(最大抗張力、引張破壊歪み)で、ISO引張試験片(標準:ISO/CD 3167、A1タイプ、170×20/10×4mm、23℃の温度)で、ISO 527に従って測定した。
シャルピー耐衝撃性及びノッチ付耐衝撃性をISO 179/keUに従ってISO 試験片(標準:ISO/CD 3167、B1タイプ、80×10×4mm、-30℃及び23℃の温度)で、測定した。
光線透過率(透明度)及びヘイズをASTM D1003に従って、測定用の2×60×60mmのシート又は測定用の2×70mmディスクで、23℃の温度で、CIE 光源Cを用いるヘイズ-ガードプラステスト装置(Byk Gardner製)で測定した。光線透過率値を入射光のエネルギーの%で記載した。
【0030】
光沢度をDIN EN ISO 2813に従って、70×2mmのディスクで、23℃の温度で、Minolta Multi 光沢度 268を用いて、20°及び60°の角度で測定した。
MVR(メルトボリュームレイト)をISO 1133に従って275℃で、荷重5kgで測定した。
流路長さ(Flow path length)をArburg-射出成形機(ARBURG-ALLROUNDER 320-210-750)を用いて測定した。1.5 mm×10 mmのらせん流(flow spiral)を融解温度250℃及びモールド温度40℃で製造した。
【0031】
本発明に従ったポリマー混合物から作製された成形物は、良好な機械的特性及び十分な熱特性を有した。本発明に従った成形物は、ポリマー混合物の構成成分の広い範囲にわたって純粋な成分(A)の値よりも大きな優れた透明度(透過率)を有した。例として、非晶質コポリアミドのような成分(A)のみでは透明で、半結晶ポリアミドのような成分(B)は透明ではないが、ポリマー混合物IE1からIE6の透明度は、91〜93%の値と推定された。
IE1からIE5のヘイズは優れており、少なくともCE1のヘイズと同等だった。その際成分(B)の高い割合のために、ヘイズは約12%の値にまで上昇した。成分(B)の含有量が70質量%であるIE6は、さらに許容可能なヘイズ(=約10)を達成した。 そのうえ、本発明に従った成形組成物は、特にアルコールに対する良好な機械的耐性も有した。例として、IE1〜IE6のヘイズは、アルコール又はアルコール含有燃料(15%のエタノールを含有しているE85)中でのエージングの後、増加しないか、わずかに増加するだけだった。これに対して、CE1及びCE2の場合にヘイズは著しく損なわれた。CE3及びCE4では、アルコール接触なしでさえも許容できないほど高いヘイズ値を有し、不十分な透明度(=75及び82%)を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明成形物を製造するための透明コポリアミド及び半結晶脂肪族ポリアミドの混合物をベースとするポリアミド成形組成物であって、
(A)25〜75質量%の少なくとも1種の透明コポリアミドであって、
(a)50〜90mol%のビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMACM)及びそれらの混合物からなる群から選択される脂環式ジアミン、及び
(b)10〜50mol%の9〜14個の炭素原子を有する非分枝脂肪族ジアミン又はそれらの混合物
(いずれの場合にもジアミンの総量をベースとする);並びに
(c)10〜36個の炭素原子を有する1種以上の脂肪族及び/又は脂環式のジカルボン酸、
から構成される透明コポリアミド、
(B)25〜75質量%の少なくとも1種のPAXYタイプの別のポリアミド(ここで、X及びYは互いに独立であり、価数9〜14をとりうる)、
(C)0〜10質量%の紫外線安定剤、熱安定剤、フリーラジカル捕捉剤、加工助剤、混在防止剤、潤滑剤、離型助剤、可塑剤、光学特性、特に屈折率に影響を与える機能性添加剤、衝撃改質剤、フィラー及び/又は骨材、光学的光沢剤、染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤
(但し、成分(A)、(B)及び(C)は合わせて100質量%となる)
を含む、ポリアミド成形組成物。
【請求項2】
成分(B)の別のポリアミドが、PA1010、PA1012、PA1212及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド成形組成物。
【請求項3】
成分(B)が、PA1010である、請求項1又は2に記載のポリアミド成形組成物。
【請求項4】
成分(B)の別のポリアミドの存在割合が、30〜70質量%の範囲であり、好ましくは35〜65質量%の範囲であり、特に好ましくは40〜65質量%の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項5】
20℃にて0.5gのポリマーを含む100mlのm-クレゾール溶液で測定される、成分(B)の別のポリアミドの溶液粘度ηrelが、1.4〜2.4、好ましくは1.6〜2.2、特に1.7〜2.0の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項6】
成分(A)の脂環式ジアミンの濃度が、全ジアミン含有量をベースとして、50〜80mol%の範囲、特に55〜75mol%の範囲であり、非分枝脂肪族ジアミンの使用される濃度が、全ジアミン含有量をベースとして25〜40mol%の濃度である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項7】
成分(A)のジカルボン酸が、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、C36-ダイマー脂肪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される脂肪族のジカルボン酸であり、
ここで、好ましくは脂肪族のジカルボン酸が、ジカルボン酸の総量をベースとして、少なくとも20mol%の、好ましくは少なくとも30mol%の、特に好ましくは少なくとも50mol%のセバシン酸を含み、特に好ましくは脂肪族のジカルボン酸が、セバシン酸のみである、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項8】
コポリアミド(A)のガラス転移温度が、少なくとも85℃、特に90℃〜135℃、特に好ましくは少なくとも100℃〜135℃である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項9】
コポリアミド(A)が、MACM10/1010、MACM12/1012、MACM14/1014、PACM10/1010、PACM12/1012、PACM14/1014からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項10】
成分(A)がMACM10/1010であり、成分(B)がPA1010である、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物の製造方法であって、
ポリマー成分(A)及び(B)が、圧力容器で、250℃〜320℃での圧縮段階、その後の250℃〜320℃での減圧、その後の260℃〜320℃での液化を行って製造され、
そして、ストランド形でのポリアミド成形組成物の押出、冷却、ペレット化、及びペレットの乾燥が行われ、
ペレット形の成分(A)及び(B)並びに混合されてもよい(C)を混合し、220℃〜350℃の融解温度の押出機で成形してストランド形にし、好適なペレット製造機で切断してペレットを得て、
ここで、混合プロセスの間に添加剤が添加されても良く、これらは成形組成物に特性を与えるのに好適で、例えば、製造安定剤、着色顔料、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、及び他の透明ポリアミドである、
ポリアミド成形組成物の製造方法。
【請求項12】
融解温度230℃〜320℃で射出成形法又は射出圧縮成形法を用いて、請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物から得られうる成形物であって、
ここで、モールドは40℃〜130℃の温度に設定され、
材料が空洞に装填された後に、40℃〜130℃の温度でモールドが高温成形物を圧縮してもよい、成形物。
【請求項13】
CIE発光体Cを用いるByk Gardner製のヘイズガードプラステスト装置を利用して温度23℃で測定用の2×60×60 mmのシート又は測定用の2×70 mmのディスクで測られる、ASTM D1003に従って測定される、少なくとも85%、好ましくは少なくとも88%、特に好ましくは少なくとも90%の光線透過率で特徴付けられる、請求項12に記載の成形物。
【請求項14】
アルコール中での1時間のエージングの後、ASTM D1003に従って測定される、請求項1〜6のいずれかに記載の透明ポリアミド成形組成物から製造された厚み2 mmのシートのヘイズが、最大15%、好ましくは最大12%、更に特に好ましくは最大5%である、請求項12又は13に記載の成形物。
【請求項15】
機械、自動車、家庭用機器又は特に可搬式電気機器又は電子装置、例えば特に携帯電話、コンピューター、ノート型パソコン、GPSデバイス、MP3プレイヤー、カメラ、光学機器又はその組合せのケース又はディスプレイ用の要素に関するか、又は
スポーツ用品、眼鏡フレーム、眼鏡レンズ又は他のレンズ、双眼鏡、油と直接接触する工業用加熱装置用のぞき窓、飲料水の処理用フィルターコップ、哺乳瓶、炭酸用ボトル、瀬戸物、ガス又は液体用のフローメーター、時計用ケース、腕時計用ケース、自動車ランプ用のランプケース又は反射板又はそれらの要素に関する、請求項12又は13に記載の成形物。

【公開番号】特開2012−117066(P2012−117066A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264874(P2011−264874)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】