透明樹脂板の歪み検査方法及びその装置
【目的】 検査を省力化するだけでなく、任意の状態で正確な検査を行うことができるようになる透明樹脂板の歪み検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
【構成】 投影機1とスクリーン2との間に樹脂板支持台3で支持された透明樹脂板6を配置すると共に、スクリーン2の背後にCCDカメラ4を配置し、多数の円形パターンを投影して各円形パターンの径を測定する。
【構成】 投影機1とスクリーン2との間に樹脂板支持台3で支持された透明樹脂板6を配置すると共に、スクリーン2の背後にCCDカメラ4を配置し、多数の円形パターンを投影して各円形パターンの径を測定する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル、ポリサルフォン等の透明樹脂板の歪みを検査する歪み検査方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の透明樹脂板は、押出成形法や、注型成形法、プレス成形法等で製造されており、用途によってはその表面に機能性を付与するために塗装などの表面処理を行うことがある。しかし、この製造時や表面処理時には歪みが生じ易く、特に透明樹脂板を押出成形法で製造した場合には、押出方向やこれに直交する幅方向に歪みが生じ易いために、成形後にこの歪みの程度を検査する必要がある。また、複数の透明樹脂板を貼り合わせた複合板の場合も同様である。
【0003】ところで、上記の透明樹脂板とは異なるが、透明な自動車用の安全ガラスについての歪みの試験方法がJISに「自動車用安全ガラス試験方法」(JIS R3212)として規定されている。
【0004】この試験方法は、図9に示すように、まず前方の投影機11と後方のスクリーン12との間の所定の距離に自動車用安全ガラスの供試体13を配置し、この投影機11からスクリーン12に照射される光の光軸に対して、供試体13の水平方向の接線を直交させると共に、供試体13の鉛直方向の接線を実車取付状態とほぼ同じ角度に傾斜させる。そして、径の等しい多数の円形パターンを有するスライドを投影機11にセットし、この投影機11からの光を供試体13を透過させてスクリーン12に投影させ、スクリーン12上の投影像の各円形パターンの変形量を測定する。この際、供試体13が配置されていなければ、スクリーン12上の投影像は、図10に示すように、等間隔に配置された径の等しい円形パターン14が黒地に白抜きで投影される。しかし、供試体13が配置された場合には、この供試体13の歪みに応じて各円形パターン14が楕円形に変形するので、この変形量を測定することになる。この供試体13は、水平方向に回転させたり、鉛直方向に平行移動させて、そのときの最大変形量を測定する。
【0005】また、上記以外の板ガラスの試験方法としては、例えば特開昭60−119404号公報に記載の発明がある。
【0006】この試験方法は、図11に示すように、前方に配置したゼブラパターン等の明暗模様面15を板ガラス16を通してCCDカメラ17で撮像し、このCCDカメラ17が出力したビットイメージデータの明部又は暗部のビット数が基準値からどの程度ずれているかによって板ガラス16の歪みを検出するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、JISの「自動車用安全ガラス試験方法」を例えば押出成形された透明樹脂板の歪み検査方法に用いる場合には、原則的には目視によって検査を行うために検査に長い時間を要し、製品全部を検査することは困難であり抜き取り検査によらなければならないという問題があった。
【0008】また、上記スクリーン12に投影された円形パターン14をカメラで撮像し電気信号に変換して画像処理を行おうとする場合には、カメラを投影機11とスクリーン12との間の光軸上に配置することができないので、斜め方向からスクリーン12を撮像しなければならず、カメラが撮像した画像自体が斜めになるために正確に歪みを測定することができないという問題もあった。
【0009】さらに、上記供試体13は、水平方向の接線の光軸に対する角度は変更可能であるが、鉛直方向の接線の光軸に対する角度が実車取付状態に固定されるため、透明樹脂板を任意の角度で検査することができず、例えば押出成形された透明樹脂板の場合には、押出し方向の歪み(ヨコメラ)又は押出し方向と直交する方向の歪み(タテメラ)のいずれか一方しか検査を行うことができないという問題があった。
【0010】また、特開昭60−119404号公報に記載の検査方法の場合には、明暗模様面15の明部と暗部をCCDカメラ17の走査線が横切る際のビット数のみを判断基準とするため、基準値に対する歪みの検出は可能であるが、どのような種類の歪みが発生し、この歪み部分がどのように分布しているかというような詳細な検査を行うことができず、板ガラス16におけるある特定の一部領域のみを取り出して局所的な歪みがあるかどうかを検出するというようなこともできないという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の透明樹脂板の歪み検査方法は、前方に投影機を配置すると共に、この投影機からの投影像が背面側にも映し出されるスクリーンを後方に配置し、これら投影機とスクリーンとの間の適当な位置に、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する第1工程と、無パターンの光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させておき、透明樹脂板を2方向の回転軸のいずれか一方又は双方を中心に回転させて、スクリーン上の投影像に適当な明度ムラが現れる角度に固定する第2工程と、径の等しい多数の円形パターンを有する光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させ、このスクリーン上の投影像をカメラで撮像し電気信号に変換する第3工程と、上記カメラが電気信号に変換した投影像における各円形パターンの径を測定する第4工程と、測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する第5工程とからなることを特徴とするものである。そして、望ましくは、上記の第5工程が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものであるか、又は測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである。
【0012】また、本発明の透明樹脂板の歪み検査装置は、無パターンと径の等しい多数の円形パターンの光を、投影像が背面側にも映し出されるスクリーンに投影する投影機と、上記投影機とスクリーンとの間の適当な位置に配置され、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する透明樹脂板支持台と、上記スクリーンの背後に配置され、このスクリーン上の投影像を裏面側から撮像して電気信号に変換するカメラと、上記カメラが変換した電気信号から投影像の各円形パターンの径を測定する画像処理手段と、上記画像処理手段が測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する検査手段とを備えたことを特徴とするものであって、望ましくは、上記の検査手段が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものであるか、又は、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである。
【0013】
【作用】本発明の検査方法及びその装置は、スクリーン上に投影された投影像をカメラで撮像し電気信号に変換して画像処理を行うことにより、楕円形に変形した円形パターンの径を測定するので、検査時間を短縮すると共に、検査員による個人差をなくすことができるようになる。また、カメラがスクリーンの背後の光軸に沿った位置に配置されるので、撮像した画面がゆがむようなことがなくなり、正確な測定を行うことができる。さらに、透明樹脂板は、透明樹脂板支持台の直交する2方向の回転軸に支持されて任意の向きの任意の角度に調整することができるので、所望の状態での検査が可能となる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を詳述する。
【0015】図1乃至図8は本発明の一実施例を示すものであって、図1は透明樹脂板の歪み検査装置の構成を示す側面図、図2は投影機の縦断面図、図3は樹脂板支持台の正面図、図4は画像処理の工程を示す工程図、図5R>5は透明樹脂板の押出し方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図、図6は透明樹脂板の押出し方向と直交する方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図、図7は円形パターンが透明樹脂板の歪みによって楕円形に変形する様子を示す図、図8はスライドの正面図である。
【0016】本実施例は、押出成形された透明樹脂板の歪み検査方法及び装置について説明する。透明樹脂板は、主として押出成形の際の内部応力の不均一により屈折率が変化し透視歪みが発生し易くなる。
【0017】この検査装置は、図1に示すように、投影機1とスクリーン2との間に配置した樹脂板支持台3と、スクリーン2の背後に配置したCCDカメラ4とで構成されている。
【0018】投影機1は、図2に示すように、ハロゲンランプ等の光源1aとコリメータレンズ1bと対物レンズ1cとからなる光学装置であり、コリメータレンズ1bと対物レンズ1cとの間にスライド5を配置することにより、このスライド5のパターンをスクリーン2上に投影することができるようになっている。また、この投影機1には、必要に応じて絞り1dが設けられる。スクリーン2上に投影されるパターンは、透明樹脂板6の歪みを測定するのに最適な大きさに調整自在である。
【0019】スクリーン2は、白色やその他の色の平らなものであればなんでもよいが、投影機1からの投影像が背面側にも映し出されるものでなければならない。このようなスクリーン2としては、乳半透明樹脂板、或は余り厚手ではない布生地や白濁した樹脂シート等を平らに張りつめたものが一般的である。ただし、本実施例では、スクリーン2として液晶調光材を用いている。この液晶調光材は、樹脂分散型液晶シートの両面に透明電極を設けたものであり、透明電極間に電圧を加えると樹脂分散型液晶シートが透明になるが、電圧を加えない場合には樹脂分散型液晶シートが白濁して投影機1からの投影像を表面と背面に映し出すことができるようになる。このような液晶調光材をスクリーン2として使用すると、電圧を変えることによってスクリーンの白濁度を調整し、投影像を鮮明にすることができるという利点がある。
【0020】樹脂板支持台3は、図3に示すように、透明樹脂板6を取り付けて水平方向の回転軸3aを中心に回転自在に支持する腕部3bと、この腕部3bを鉛直方向の回転軸3cを中心に回転自在に支持する台座部3dとからなる。この樹脂板支持台3は、回転軸3a,3cを手動で回転させて締め付け具によって透明樹脂板6を固定するものの他、ステッピングモータ等によって回転駆動され、図1に示すようにコンピュータ等からなる制御装置7によってこの回転駆動が制御されるようにしたものであってもよい。
【0021】CCDカメラ4は、撮像素子にCCD[Charge Coupled Device]を用いた固体撮像装置であり、スクリーン2上に映し出された投影像を電気信号に変換するものである。ただし、投影像を電気信号に変換するものであれば、CCD以外の固体撮像装置や電子管撮像装置等であってもよい。このCCDカメラ4が出力する電気信号は、上記制御装置7と画像処理装置8に送られ、投影像やこの投影像を画像処理した結果がディスプレイ9で表示されるようになっている。
【0022】上記構成の歪み検査装置を用いた検査方法の手順について説明する。
【0023】まず、透明樹脂板6を樹脂板支持台3に支持させて、投影機1にスライド5を入れずに無パターンの光をこの透明樹脂板6を通してスクリーン2に投影する。すると、図4のステップS1に示すように、スクリーン2には透明樹脂板6の歪みによる流れ模様が現れる。そこで、この流れ模様が最も明瞭になるように透明樹脂板6を回転させて適当な角度で固定する。この際、図5に示すように、透明樹脂板6の押出し方向に沿った接線Bが光軸Aに対して傾斜するような角度で固定すれば、押出し方向の歪み状態を見ることができ、図6に示すように、押し出し方向に沿った接線Bに透明樹脂板6上で直交する接線Cが光軸Aに対して傾斜するような角度で固定すれば、押出し方向に直交する方向の歪み状態をみることができる。また、両者を組合わせることもできる。
【0024】上記流れ模様は、スクリーン2上のものを直接目視する他、CCDカメラ4が撮像した映像をディスプレイ9に映して観察するようにしてもよい。CCDカメラ4が撮像した流れ模様は、図4のステップS2に示すように、必要に応じて制御装置7のメモリに保存する。そして、次に、投影機1に図8に示した径の等しい多数の円形パターンを有するスライド5を装着し、この光を透明樹脂板6を通してスクリーン2に投影する。すると、図4のステップS3に示すように、ディスプレイ9上に多数の円形パターンが表示される。これらの各円形パターンは、透明樹脂板6の歪みに応じて、図7に示すような横長の楕円に変形したり縦長の楕円に変形する。また、この際、ディスプレイ9に流れ模様も重ねて表示すれば、歪みの状態をより正確に把握することができるようになる。
【0025】上記のようにしてディスプレイ9に多数の円形パターンを表示しておき、図4のステップS4に示すように、測定範囲をこの画面上で指示する。また、ステップS5に示すように、ディスプレイ9に表示された円形パターンが見易くなるように、画面を反転させて白地に黒い円形パターンに変換する。そして、この多数の円形パターンをステップS6に示すように、画像処理装置8で画像処理する。即ち、多数の円形パターンを領域分割により1個の円形パターンごとに分類してそれぞれに番号を付加し、各番号の円形パターンについて直径を測定する。すると、上記図7に示す楕円に変形した円形パターンは、図示縦方向の直径を測定した場合、縦長楕円の場合の直径が最も長くなり、横長楕円の場合の直径が最も短くなる。
【0026】上記のようにして各円形パターンの直径が測定されると、ステップS7に示すように、これを等間隔の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された直径の数を棒グラフで表したヒストグラムとしてディスプレイ9に表示する。すると、ヒストグラムの棒グラフが1本に収束する場合には、円形パターンの直径がほとんどバラツキなく均一になり、歪みが少ないことが分かる。また、ヒストグラムの棒グラフが多数本にわたる場合には、円形パターンの直径のバラツキが大きく歪みも大きいことが分かる。
【0027】なお、上記手順において、透明樹脂板6を樹脂板支持台3に支持させることなくステップS3以降の操作を行えば、透明樹脂板6の歪みの影響を受けないヒストグラムを作成することができる。従って、このヒストグラムを基準として上記透明樹脂板6の歪みの程度を判定することができる。
【0028】この結果、本実施例の検査方法及びその装置によれば、透明樹脂板6の歪みの程度がヒストグラムによって客観的に示されるので、検査員の個人差を排して正確な検査を行うことができるようになる。また、歪みの程度を画像処理によって求めるので、検査時間の短縮を図ることができ、全品検査も可能となる。しかも、CCDカメラ4がスクリーン2の背後の光軸に沿った位置に配置されるので、撮像した画面がゆがむようなことがなくなり、正確な測定を行うことができる。さらに、透明樹脂板6は、樹脂板支持台3に支持されて任意の向きの任意の角度に固定することができるので、例えば押出し方向の歪みや押出し方向と直交する方向の歪みを区別して検査したり、その他所望の角度の検査が可能となる。また、上記ステップS4に示すように、画像処理の前に測定範囲をディスプレイ9の画面上で指示することができるので、任意の範囲についての検査を自由に行うことができる。
【0029】なお、上記実施例では、各円形パターンの直径のバラツキの程度をヒストグラムに表示して示したが、これら計測した直径の標準偏差を計算することにより、バラツキの程度を数値で示すこともできる。標準偏差は、各円形パターンの直径とこの直径の平均値との差の自乗を加算し、測定した円形パターンの個数で除算すると共に、その平方根を取って計算するものであり、その値が小さいほどバラツキの程度も小さいことを示す。従って、予め標準偏差の基準値を定めておき、計算で求めた標準偏差がこれより小さければ、透明樹脂板6の歪みは小さいと判定することができる。
【0030】また、上記実施例では、押出成形による透明樹脂板6について示したが、他の成形方法による透明樹脂板や複数の透明樹脂板を貼り合わせた複合板の場合も同様に実施することができる。また、上記実施例ではスクリーン上の投影像を背後からカメラで撮像するようにしているが、スクリーン上の投影像が鮮明で且つ画面がゆがむことがなければ前方から撮像してもよい。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の透明樹脂板の歪み検査方法及びその装置によれば、検査を省力化するだけでなく、任意の状態で正確な検査を行うことができるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の歪み検査装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示すものであって、投影機の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示すものであって、樹脂板支持台の正面図である。
【図4】本発明の一実施例を示すものであって、画像処理の工程を示す工程図である。
【図5】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の押出し方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の押出し方向と直交する方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例を示すものであって、円形パターンが透明樹脂板の歪みによって楕円形に変形する様子を示す図である。
【図8】本発明の一実施例を示すものであって、スライドの正面図である。
【図9】従来例を示すものであって、自動車用安全ガラス試験装置の構成を示す側面図である。
【図10】従来例を示すものであって、スクリーンに投影された円形パターンを示す図である。
【図11】他の従来例を示すものであって、板ガラスの試験装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 投影機
2 スクリーン
3 樹脂板支持台
4 CCDカメラ
5 スライド
6 透明樹脂板
8 画像処理装置
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル、ポリサルフォン等の透明樹脂板の歪みを検査する歪み検査方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の透明樹脂板は、押出成形法や、注型成形法、プレス成形法等で製造されており、用途によってはその表面に機能性を付与するために塗装などの表面処理を行うことがある。しかし、この製造時や表面処理時には歪みが生じ易く、特に透明樹脂板を押出成形法で製造した場合には、押出方向やこれに直交する幅方向に歪みが生じ易いために、成形後にこの歪みの程度を検査する必要がある。また、複数の透明樹脂板を貼り合わせた複合板の場合も同様である。
【0003】ところで、上記の透明樹脂板とは異なるが、透明な自動車用の安全ガラスについての歪みの試験方法がJISに「自動車用安全ガラス試験方法」(JIS R3212)として規定されている。
【0004】この試験方法は、図9に示すように、まず前方の投影機11と後方のスクリーン12との間の所定の距離に自動車用安全ガラスの供試体13を配置し、この投影機11からスクリーン12に照射される光の光軸に対して、供試体13の水平方向の接線を直交させると共に、供試体13の鉛直方向の接線を実車取付状態とほぼ同じ角度に傾斜させる。そして、径の等しい多数の円形パターンを有するスライドを投影機11にセットし、この投影機11からの光を供試体13を透過させてスクリーン12に投影させ、スクリーン12上の投影像の各円形パターンの変形量を測定する。この際、供試体13が配置されていなければ、スクリーン12上の投影像は、図10に示すように、等間隔に配置された径の等しい円形パターン14が黒地に白抜きで投影される。しかし、供試体13が配置された場合には、この供試体13の歪みに応じて各円形パターン14が楕円形に変形するので、この変形量を測定することになる。この供試体13は、水平方向に回転させたり、鉛直方向に平行移動させて、そのときの最大変形量を測定する。
【0005】また、上記以外の板ガラスの試験方法としては、例えば特開昭60−119404号公報に記載の発明がある。
【0006】この試験方法は、図11に示すように、前方に配置したゼブラパターン等の明暗模様面15を板ガラス16を通してCCDカメラ17で撮像し、このCCDカメラ17が出力したビットイメージデータの明部又は暗部のビット数が基準値からどの程度ずれているかによって板ガラス16の歪みを検出するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、JISの「自動車用安全ガラス試験方法」を例えば押出成形された透明樹脂板の歪み検査方法に用いる場合には、原則的には目視によって検査を行うために検査に長い時間を要し、製品全部を検査することは困難であり抜き取り検査によらなければならないという問題があった。
【0008】また、上記スクリーン12に投影された円形パターン14をカメラで撮像し電気信号に変換して画像処理を行おうとする場合には、カメラを投影機11とスクリーン12との間の光軸上に配置することができないので、斜め方向からスクリーン12を撮像しなければならず、カメラが撮像した画像自体が斜めになるために正確に歪みを測定することができないという問題もあった。
【0009】さらに、上記供試体13は、水平方向の接線の光軸に対する角度は変更可能であるが、鉛直方向の接線の光軸に対する角度が実車取付状態に固定されるため、透明樹脂板を任意の角度で検査することができず、例えば押出成形された透明樹脂板の場合には、押出し方向の歪み(ヨコメラ)又は押出し方向と直交する方向の歪み(タテメラ)のいずれか一方しか検査を行うことができないという問題があった。
【0010】また、特開昭60−119404号公報に記載の検査方法の場合には、明暗模様面15の明部と暗部をCCDカメラ17の走査線が横切る際のビット数のみを判断基準とするため、基準値に対する歪みの検出は可能であるが、どのような種類の歪みが発生し、この歪み部分がどのように分布しているかというような詳細な検査を行うことができず、板ガラス16におけるある特定の一部領域のみを取り出して局所的な歪みがあるかどうかを検出するというようなこともできないという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の透明樹脂板の歪み検査方法は、前方に投影機を配置すると共に、この投影機からの投影像が背面側にも映し出されるスクリーンを後方に配置し、これら投影機とスクリーンとの間の適当な位置に、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する第1工程と、無パターンの光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させておき、透明樹脂板を2方向の回転軸のいずれか一方又は双方を中心に回転させて、スクリーン上の投影像に適当な明度ムラが現れる角度に固定する第2工程と、径の等しい多数の円形パターンを有する光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させ、このスクリーン上の投影像をカメラで撮像し電気信号に変換する第3工程と、上記カメラが電気信号に変換した投影像における各円形パターンの径を測定する第4工程と、測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する第5工程とからなることを特徴とするものである。そして、望ましくは、上記の第5工程が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものであるか、又は測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである。
【0012】また、本発明の透明樹脂板の歪み検査装置は、無パターンと径の等しい多数の円形パターンの光を、投影像が背面側にも映し出されるスクリーンに投影する投影機と、上記投影機とスクリーンとの間の適当な位置に配置され、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する透明樹脂板支持台と、上記スクリーンの背後に配置され、このスクリーン上の投影像を裏面側から撮像して電気信号に変換するカメラと、上記カメラが変換した電気信号から投影像の各円形パターンの径を測定する画像処理手段と、上記画像処理手段が測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する検査手段とを備えたことを特徴とするものであって、望ましくは、上記の検査手段が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものであるか、又は、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである。
【0013】
【作用】本発明の検査方法及びその装置は、スクリーン上に投影された投影像をカメラで撮像し電気信号に変換して画像処理を行うことにより、楕円形に変形した円形パターンの径を測定するので、検査時間を短縮すると共に、検査員による個人差をなくすことができるようになる。また、カメラがスクリーンの背後の光軸に沿った位置に配置されるので、撮像した画面がゆがむようなことがなくなり、正確な測定を行うことができる。さらに、透明樹脂板は、透明樹脂板支持台の直交する2方向の回転軸に支持されて任意の向きの任意の角度に調整することができるので、所望の状態での検査が可能となる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を詳述する。
【0015】図1乃至図8は本発明の一実施例を示すものであって、図1は透明樹脂板の歪み検査装置の構成を示す側面図、図2は投影機の縦断面図、図3は樹脂板支持台の正面図、図4は画像処理の工程を示す工程図、図5R>5は透明樹脂板の押出し方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図、図6は透明樹脂板の押出し方向と直交する方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図、図7は円形パターンが透明樹脂板の歪みによって楕円形に変形する様子を示す図、図8はスライドの正面図である。
【0016】本実施例は、押出成形された透明樹脂板の歪み検査方法及び装置について説明する。透明樹脂板は、主として押出成形の際の内部応力の不均一により屈折率が変化し透視歪みが発生し易くなる。
【0017】この検査装置は、図1に示すように、投影機1とスクリーン2との間に配置した樹脂板支持台3と、スクリーン2の背後に配置したCCDカメラ4とで構成されている。
【0018】投影機1は、図2に示すように、ハロゲンランプ等の光源1aとコリメータレンズ1bと対物レンズ1cとからなる光学装置であり、コリメータレンズ1bと対物レンズ1cとの間にスライド5を配置することにより、このスライド5のパターンをスクリーン2上に投影することができるようになっている。また、この投影機1には、必要に応じて絞り1dが設けられる。スクリーン2上に投影されるパターンは、透明樹脂板6の歪みを測定するのに最適な大きさに調整自在である。
【0019】スクリーン2は、白色やその他の色の平らなものであればなんでもよいが、投影機1からの投影像が背面側にも映し出されるものでなければならない。このようなスクリーン2としては、乳半透明樹脂板、或は余り厚手ではない布生地や白濁した樹脂シート等を平らに張りつめたものが一般的である。ただし、本実施例では、スクリーン2として液晶調光材を用いている。この液晶調光材は、樹脂分散型液晶シートの両面に透明電極を設けたものであり、透明電極間に電圧を加えると樹脂分散型液晶シートが透明になるが、電圧を加えない場合には樹脂分散型液晶シートが白濁して投影機1からの投影像を表面と背面に映し出すことができるようになる。このような液晶調光材をスクリーン2として使用すると、電圧を変えることによってスクリーンの白濁度を調整し、投影像を鮮明にすることができるという利点がある。
【0020】樹脂板支持台3は、図3に示すように、透明樹脂板6を取り付けて水平方向の回転軸3aを中心に回転自在に支持する腕部3bと、この腕部3bを鉛直方向の回転軸3cを中心に回転自在に支持する台座部3dとからなる。この樹脂板支持台3は、回転軸3a,3cを手動で回転させて締め付け具によって透明樹脂板6を固定するものの他、ステッピングモータ等によって回転駆動され、図1に示すようにコンピュータ等からなる制御装置7によってこの回転駆動が制御されるようにしたものであってもよい。
【0021】CCDカメラ4は、撮像素子にCCD[Charge Coupled Device]を用いた固体撮像装置であり、スクリーン2上に映し出された投影像を電気信号に変換するものである。ただし、投影像を電気信号に変換するものであれば、CCD以外の固体撮像装置や電子管撮像装置等であってもよい。このCCDカメラ4が出力する電気信号は、上記制御装置7と画像処理装置8に送られ、投影像やこの投影像を画像処理した結果がディスプレイ9で表示されるようになっている。
【0022】上記構成の歪み検査装置を用いた検査方法の手順について説明する。
【0023】まず、透明樹脂板6を樹脂板支持台3に支持させて、投影機1にスライド5を入れずに無パターンの光をこの透明樹脂板6を通してスクリーン2に投影する。すると、図4のステップS1に示すように、スクリーン2には透明樹脂板6の歪みによる流れ模様が現れる。そこで、この流れ模様が最も明瞭になるように透明樹脂板6を回転させて適当な角度で固定する。この際、図5に示すように、透明樹脂板6の押出し方向に沿った接線Bが光軸Aに対して傾斜するような角度で固定すれば、押出し方向の歪み状態を見ることができ、図6に示すように、押し出し方向に沿った接線Bに透明樹脂板6上で直交する接線Cが光軸Aに対して傾斜するような角度で固定すれば、押出し方向に直交する方向の歪み状態をみることができる。また、両者を組合わせることもできる。
【0024】上記流れ模様は、スクリーン2上のものを直接目視する他、CCDカメラ4が撮像した映像をディスプレイ9に映して観察するようにしてもよい。CCDカメラ4が撮像した流れ模様は、図4のステップS2に示すように、必要に応じて制御装置7のメモリに保存する。そして、次に、投影機1に図8に示した径の等しい多数の円形パターンを有するスライド5を装着し、この光を透明樹脂板6を通してスクリーン2に投影する。すると、図4のステップS3に示すように、ディスプレイ9上に多数の円形パターンが表示される。これらの各円形パターンは、透明樹脂板6の歪みに応じて、図7に示すような横長の楕円に変形したり縦長の楕円に変形する。また、この際、ディスプレイ9に流れ模様も重ねて表示すれば、歪みの状態をより正確に把握することができるようになる。
【0025】上記のようにしてディスプレイ9に多数の円形パターンを表示しておき、図4のステップS4に示すように、測定範囲をこの画面上で指示する。また、ステップS5に示すように、ディスプレイ9に表示された円形パターンが見易くなるように、画面を反転させて白地に黒い円形パターンに変換する。そして、この多数の円形パターンをステップS6に示すように、画像処理装置8で画像処理する。即ち、多数の円形パターンを領域分割により1個の円形パターンごとに分類してそれぞれに番号を付加し、各番号の円形パターンについて直径を測定する。すると、上記図7に示す楕円に変形した円形パターンは、図示縦方向の直径を測定した場合、縦長楕円の場合の直径が最も長くなり、横長楕円の場合の直径が最も短くなる。
【0026】上記のようにして各円形パターンの直径が測定されると、ステップS7に示すように、これを等間隔の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された直径の数を棒グラフで表したヒストグラムとしてディスプレイ9に表示する。すると、ヒストグラムの棒グラフが1本に収束する場合には、円形パターンの直径がほとんどバラツキなく均一になり、歪みが少ないことが分かる。また、ヒストグラムの棒グラフが多数本にわたる場合には、円形パターンの直径のバラツキが大きく歪みも大きいことが分かる。
【0027】なお、上記手順において、透明樹脂板6を樹脂板支持台3に支持させることなくステップS3以降の操作を行えば、透明樹脂板6の歪みの影響を受けないヒストグラムを作成することができる。従って、このヒストグラムを基準として上記透明樹脂板6の歪みの程度を判定することができる。
【0028】この結果、本実施例の検査方法及びその装置によれば、透明樹脂板6の歪みの程度がヒストグラムによって客観的に示されるので、検査員の個人差を排して正確な検査を行うことができるようになる。また、歪みの程度を画像処理によって求めるので、検査時間の短縮を図ることができ、全品検査も可能となる。しかも、CCDカメラ4がスクリーン2の背後の光軸に沿った位置に配置されるので、撮像した画面がゆがむようなことがなくなり、正確な測定を行うことができる。さらに、透明樹脂板6は、樹脂板支持台3に支持されて任意の向きの任意の角度に固定することができるので、例えば押出し方向の歪みや押出し方向と直交する方向の歪みを区別して検査したり、その他所望の角度の検査が可能となる。また、上記ステップS4に示すように、画像処理の前に測定範囲をディスプレイ9の画面上で指示することができるので、任意の範囲についての検査を自由に行うことができる。
【0029】なお、上記実施例では、各円形パターンの直径のバラツキの程度をヒストグラムに表示して示したが、これら計測した直径の標準偏差を計算することにより、バラツキの程度を数値で示すこともできる。標準偏差は、各円形パターンの直径とこの直径の平均値との差の自乗を加算し、測定した円形パターンの個数で除算すると共に、その平方根を取って計算するものであり、その値が小さいほどバラツキの程度も小さいことを示す。従って、予め標準偏差の基準値を定めておき、計算で求めた標準偏差がこれより小さければ、透明樹脂板6の歪みは小さいと判定することができる。
【0030】また、上記実施例では、押出成形による透明樹脂板6について示したが、他の成形方法による透明樹脂板や複数の透明樹脂板を貼り合わせた複合板の場合も同様に実施することができる。また、上記実施例ではスクリーン上の投影像を背後からカメラで撮像するようにしているが、スクリーン上の投影像が鮮明で且つ画面がゆがむことがなければ前方から撮像してもよい。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の透明樹脂板の歪み検査方法及びその装置によれば、検査を省力化するだけでなく、任意の状態で正確な検査を行うことができるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の歪み検査装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示すものであって、投影機の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示すものであって、樹脂板支持台の正面図である。
【図4】本発明の一実施例を示すものであって、画像処理の工程を示す工程図である。
【図5】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の押出し方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例を示すものであって、透明樹脂板の押出し方向と直交する方向の歪みを測定する場合の調整方向を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例を示すものであって、円形パターンが透明樹脂板の歪みによって楕円形に変形する様子を示す図である。
【図8】本発明の一実施例を示すものであって、スライドの正面図である。
【図9】従来例を示すものであって、自動車用安全ガラス試験装置の構成を示す側面図である。
【図10】従来例を示すものであって、スクリーンに投影された円形パターンを示す図である。
【図11】他の従来例を示すものであって、板ガラスの試験装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 投影機
2 スクリーン
3 樹脂板支持台
4 CCDカメラ
5 スライド
6 透明樹脂板
8 画像処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】前方に投影機を配置すると共に、この投影機からの投影像が背面側にも映し出されるスクリーンを後方に配置し、これら投影機とスクリーンとの間の適当な位置に、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する第1工程と、無パターンの光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させておき、透明樹脂板を2方向の回転軸のいずれか一方又は双方を中心に回転させて、スクリーン上の投影像に適当な明度ムラが現れる角度に固定する第2工程と、径の等しい多数の円形パターンを有する光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させ、このスクリーン上の投影像をカメラで撮像し電気信号に変換する第3工程と、上記カメラが電気信号に変換した投影像における各円形パターンの径を測定する第4工程と、測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する第5工程とからなることを特徴とする透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項2】上記第5工程が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものである請求項1に記載の透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項3】上記第5工程が、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである請求項1に記載の透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項4】無パターンの光と径の等しい多数の円形パターンの光を、投影像が背面側にも映し出されるスクリーンに投影する投影機と、上記投影機とスクリーンとの間の適当な位置に配置され、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する透明樹脂板支持台と、上記スクリーンの背後に配置され、このスクリーン上の投影像を裏面側から撮像して電気信号に変換するカメラと、上記カメラが変換した電気信号から投影像の各円形パターンの径を測定する画像処理手段と、上記画像処理手段が測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する検査手段とを備えたことを特徴とする透明樹脂板の歪み検査装置。
【請求項5】上記検査手段が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものである請求項4に記載の透明樹脂板の歪み検査装置。
【請求項6】上記検査手段が、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである請求項4に記載の透明樹脂板の歪み検査装置。
【請求項1】前方に投影機を配置すると共に、この投影機からの投影像が背面側にも映し出されるスクリーンを後方に配置し、これら投影機とスクリーンとの間の適当な位置に、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する第1工程と、無パターンの光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させておき、透明樹脂板を2方向の回転軸のいずれか一方又は双方を中心に回転させて、スクリーン上の投影像に適当な明度ムラが現れる角度に固定する第2工程と、径の等しい多数の円形パターンを有する光を投影機から透明樹脂板を透過させてスクリーンに投影させ、このスクリーン上の投影像をカメラで撮像し電気信号に変換する第3工程と、上記カメラが電気信号に変換した投影像における各円形パターンの径を測定する第4工程と、測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する第5工程とからなることを特徴とする透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項2】上記第5工程が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものである請求項1に記載の透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項3】上記第5工程が、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである請求項1に記載の透明樹脂板の歪み検査方法。
【請求項4】無パターンの光と径の等しい多数の円形パターンの光を、投影像が背面側にも映し出されるスクリーンに投影する投影機と、上記投影機とスクリーンとの間の適当な位置に配置され、この投影機からスクリーンに照射される光の光軸に対して少なくとも一方が直交し、かつ、双方が互いに直交する2方向の回転軸を中心にそれぞれ回転可能に透明樹脂板を支持する透明樹脂板支持台と、上記スクリーンの背後に配置され、このスクリーン上の投影像を裏面側から撮像して電気信号に変換するカメラと、上記カメラが変換した電気信号から投影像の各円形パターンの径を測定する画像処理手段と、上記画像処理手段が測定した各円形パターンの径のバラツキの程度を検出する検査手段とを備えたことを特徴とする透明樹脂板の歪み検査装置。
【請求項5】上記検査手段が、測定した各円形パターンの径を等間隔の複数の長さ範囲のいずれかに分類し、各長さ間隔に分類された径の数をヒストグラムに表すことによりバラツキの程度を検出するものである請求項4に記載の透明樹脂板の歪み検査装置。
【請求項6】上記検査手段が、測定した各円形パターンの径の標準偏差を計算することによりバラツキの程度を検出するものである請求項4に記載の透明樹脂板の歪み検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平7−243819
【公開日】平成7年(1995)9月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−55230
【出願日】平成6年(1994)2月28日
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【公開日】平成7年(1995)9月19日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)2月28日
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
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