説明

透明着色塗装鋼板用紫外線硬化樹脂組成物及びそれを用いた鋼板

本発明は、変性エポキシアクリレートオリゴマー25〜45重量部;及びウレタンアクリレートオリゴマー10〜25重量部;を含む紫外線硬化樹脂組成物に関する。
本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物を利用して、金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼材料の表面に塗膜を形成することによって、透明性だけでなく、耐食性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、付着性、防錆性及び曲げ性(加工性)を有する鋼板を提供する効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化樹脂組成物及びそれを用いた鋼板に関する。より詳しくは、透明性だけでなく、付着性、防錆性及び曲げ性を有する紫外線硬化樹脂組成物を用いて鋼板の表面に塗膜を形成することによって、生産性を向上し、溶剤を用いない親環境的な鋼板を提供できるようにする紫外線硬化樹脂組成物及びそれを用いた鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鋼板などの鉄鋼材料は、表面保護、腐食防止、材料の優美さを提供するためにその表面にコーティング塗膜を形成する。
【0003】
このような鋼板などの鉄鋼材料にコーティング塗膜を形成するための代表的な方法として、鉄鋼材料表面に塗料などの樹脂組成物を直接コーティングするPCM(Pre Coated Metal)方法及び塗膜を予め形成させたフィルムシートを鉄鋼材料に接着させる積層(Laminating)方法などがある。
【0004】
しかし、前述した従来技術は、塗膜を形成するための樹脂組成物、即ち、コーティング塗料がポリエステル、ポリウレタンタイプで構成され、熱硬化方式で鋼板などの鉄鋼材料にコーティングされ、塗膜を形成するため、コーティング時、溶剤を蒸発させるための高温乾燥設備が必要とされる。
【0005】
従って、前述した樹脂組成物は、塗装作業時に必要とされる時間が増大してしまい、生産性が落ちる。
【0006】
特に、鉄鋼製品などの金属材料に塗膜を形成するための従来の溶剤揮発型塗装方法、熱硬化型塗装方法、静電及び電着塗装方法、粉体塗装方法などは、いずれも加熱工程が必要とされるので、生産時間及びエネルギー消費が増大する問題がある。
【0007】
さらに、従来の油性タイプの樹脂組成物、即ち、塗料は大気汚染及び地球温暖化を誘発する物質が含まれているので、これを環境親和的な方法へ改善する必要性が求められている。
【0008】
そこで、前述した問題を克服するために、環境親和的で、且つ大量生産が可能な紫外線硬化樹脂組成物を使用する方法が開発された。国内では放射線硬化、特に紫外線硬化樹脂組成物、即ち、塗料の開発は、1980年代初めに紙用紫外線硬化塗料の開発をはじめ、その適用分野が木材用及びプラスチック素材用に多様に開発され、使用されてきているが、前記紫外線硬化塗料の固有の特性である速硬化及びラジカル重合による付着力及び加工性不良などにより、金属に対する紫外線硬化塗料の開発は断続的に行われているものの、その技術開発に限界が表われている。
【0009】
特に、前述した紫外線硬化方式の塗装は、一般的に硬化密度が高く、付着性がよくないので、鉄鋼製品などの金属材料のコーティング用には適しない。
【0010】
このような紫外線硬化樹脂組成物の一例として、特許文献1にはエポキシアクリレートオリゴマー20〜50重量%、ウレタンアクリレートオリゴマー10〜40重量%、反応性アクリルモノマー20〜40重量%、光開始剤5〜10重量%及び添加剤1〜5重量%を含む金属用紫外線硬化型塗料組成物が開示されており、特許文献2には鉄材素材に対する付着性及び防錆性などに優れた鉄材塗装用紫外線硬化塗料として、エポキシ又はウレタンアクリレートオリゴマー25〜40重量%、反応性アクリルモノマー15〜25重量%、顔料20〜30重量%、光開始剤5〜10重量%、付着増進剤0.5〜5重量%及び添加剤3〜5重量%を含む塗料が開示されている。
【0011】
しかし、前述した従来技術は、耐食性を向上させるために無機防錆顔料を使用することによって鉄鋼製品に透明性を提供することができなく、腐食防止のための防錆性及び曲げ性に弱い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国特許公開公報第2006−0072475号
【特許文献2】韓国特許第0725249号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼材料塗膜形成用紫外線硬化樹脂組成物であって、透明性だけでなく、耐食性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、付着性、防錆性及び曲げ性(加工性)を有する紫外線硬化樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
また、本発明が解決しようとする別の技術的課題は、金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼材料の上面に下塗りとして着色クロムフリー塗膜を形成し、前記着色クロムフリー塗膜の上面に上塗りとして紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜を形成させた鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、変性エポキシアクリレートオリゴマー25〜45重量部;及びウレタンアクリレートオリゴマー10〜25重量部を含む紫外線硬化樹脂組成物を提供する。
本発明の別の目的は、本発明に係る前記紫外線硬化樹脂組成物が塗布され塗膜が形成された鋼板を提供することある。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、上面に下塗りとして着色クロムフリー塗膜が形成され、前記着色クロムフリー塗膜の上面に上塗りとして本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成された鋼板を提供することにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物を用いて、金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼材料の表面に塗膜を形成することによって、透明性だけでなく、耐食性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、付着性、防錆性及び曲げ性(加工性)を有した鋼板を提供する効果がある。
【0018】
また、加熱乾燥する油性タイプの樹脂組成物の代わりに紫外線により硬化される樹脂組成物を提供することによって、溶剤を用いない環境親和的で、且つ生産性を向上させることができるようにする効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、変性エポキシアクリレートオリゴマー25〜45重量部;及びウレタンアクリレートオリゴマー10〜25重量部を含む紫外線硬化樹脂組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は前記紫外線硬化樹脂組成物が塗布され塗膜が形成された鋼板を提供する。
【0021】
本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、鋼板などの鉄鋼材料、特定的にエアコン、洗濯機などの家電用鋼板の鉄鋼材料にコーティングされて塗膜を形成する場合、透明性、耐食性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、付着性、防錆性及び曲げ性(加工性)を提供しなければならない。
【0022】
特に、一般的な紫外線硬化樹脂組成物に使用されるウレタンアクリレートタイプは、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物が必要とされる大部分の物性を満たすことができるが、耐食性を満たすことができなく、鋼板の下塗りとして表面処理剤がコーティングされていたとしても、鋼板に要求される物性を十分に満たすことができないだけでなく、最も柔軟な2官能ウレタンアクリレートを用いても加工性を満たすことはできない。
【0023】
また、ポリエステルアクリレートタイプの組成物の場合、芳香族タイプは鋼板塗膜に要求される物性中、耐食性、耐スクラッチ性などは満たすことができるが、耐候性、 付着性、特定的に塗膜層間の付着性に劣り、脂肪族タイプは耐候性を満たすが、加工性及び付着性に劣る。
【0024】
特に、2官能基を有するポリエステルアクリレートタイプは、加工性、付着性等は良好であるが、耐食性、耐スクラッチ性などで劣り、6官能基を有するポリエステルアクリレートタイプは耐食性、耐スクラッチ性などに優れているが、加工性及び付着性などで劣る。
【0025】
一方、エポキシアクリレートタイプの組成物の場合、ほとんどがビスフェノールAを原料として製造されているが、このようなビスフェノールAタイプのエポキシアクリレートをそのまま使用する場合、塗膜の架橋密度が高く、ハードであり、エポキシの主要特性である耐薬品性が良く、前述した物性中、耐食性及び耐スクラッチ性などは満たすことができるが、透明コーティング時、黄変が発生する等の問題がある。
【0026】
しかし、このような耐候性に劣るエポキシアクリレートの問題点を防止するために、最近、変性されたエポキシアクリレートオリゴマー製品が開発されており、このようなオリゴマー製品を使用する場合、100%屋外に露出される建材用鋼板には適用すること難しいが、屋外に露出しない建材及び家電用鋼板などに適用する場合、耐候性などには大きく影響を及ぼさない。
【0027】
そこで、前述した物性を満たすために、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、加工性及び付着性などに優れたアクリレートオリゴマー、特定的に変性(modified)エポキシアクリレートオリゴマーを主成分とし、一部耐候性及び加工性などを補完するためにアクリルモノマー、好ましくは1官能及び/又は2官能反応性アクリルモノマーを混合して構成する。
【0028】
このような本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、具体的に変性エポキシアクリレートオリゴマー25〜45重量部;ウレタンアクリレートオリゴマー10〜25重量部を含んでいても良い。
【0029】
特定態様として、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、更に反応性アクリルモノマー32〜48重量部;光開始剤5〜10重量部;及び添加剤1.3〜2.7重量部を含んでいても良い。
【0030】
ここで、前記反応性アクリルモノマーは、特定的に1官能反応性アクリルモノマー25〜35重量部及び2官能反応性アクリルモノマー7〜13重量部を含んでいても良く、前記添加剤は消泡剤0.4〜0.6重量部;レベリング剤0.4〜0.6重量部;及び付着増進剤0.5〜1.5重量部を含んでいても良い。
【0031】
前記変性エポキシアクリレートオリゴマーは、紫外線硬化樹脂組成物が塗膜として形成される場合、曲げ性(加工性)及び付着性、特定的に塗膜層間の付着性などを提供するためのものであり、このような目的のための当業界の通常的な変性エポキシアクリレートオリゴマーであれば特に制限されず、具体的にウレタン系に変性されたエポキシアクリレートオリゴマーが挙げられ、より具体的に、Miramer ME1201(Miwon Commerical社製);CN150/80(Sartomer社製);EA1580(HS Chemtron社製); 3020−A80(AGIS社製);からなる群より選択少なくとも一つ以上の混合物が挙げられる。
【0032】
このとき、前記変性エポキシアクリレートオリゴマー、特定的にウレタン系に変性されたエポキシアクリレートオリゴマーの使用量が25重量部未満のとき、耐食性及び耐スクラッチ性に劣るおそれがあり、45重量部を超えると塗料の粘度が増加し、作業性が低減される恐れがあるので、その使用量は全紫外線硬化樹脂組成物に対して、25〜45重量部、好ましくは30〜38重量部であれば良い。
【0033】
本発明に係るウレタンアクリレートオリゴマーは、前記変性エポキシアクリレートオリゴマーと一緒に使用され、紫外線硬化樹脂組成物が塗膜として形成される場合、曲げ性(加工性)及び付着性、特定的に塗膜層間の付着性などを提供するためものであり、このような目的のための当業界の通常的なウレタンアクリレートオリゴマーであれば、特に制限されず、具体的に、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーを用いればよく、更に具体的に、UA−2205、UA−2890BX、UA−5221(HS Chemtron社製);CN 966J75、CN 966H90(Sartomer社製);Ebecryl 244、Ebecryl 284(Cytec社製);からなる群より選択少なくとも一つ以上の混合物が挙げられる。
【0034】
この時、前記ウレタンアクリレートオリゴマーの使用量が10重量部未満のとき、塗膜硬度が増加し、曲げ性(加工性)、特定的に屈曲加工性及び付着性に劣るおそれがあり、25重量部を超えると、塗膜硬化度が落ち、耐スクラッチ性に劣るので、その使用量は全紫外線硬化樹脂組成物に対して、10〜25重量部、好ましくは15〜20重量部であればよい。
【0035】
特定的に、前記2官能ウレタンアクリレートは、指環族ジイソシアネートとヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレートの反応物のものが好ましい。
【0036】
この時、前記指環族ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート又はジシクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0037】
特に、本発明に係る2官能ウレタンアクリレートは、官能基が2個であるので、紫外線重合時、架橋結合を抑え、柔軟性を保持するようにするためのものであり、このような目的を有する通常的な2官能ウレタンアクリレートであれば、特に制限されない。
【0038】
特定態様として、本発明に係る2官能ウレタンアクリレートは、指環族ジイソシアネートプレポリマー含有2官能性ウレタンアクリレートを用いるのが好ましく、これは指環族構造のジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキサンジイソシアネート(Desmodur W)等とヒドロキシル基含有アクリル酸エステルとを付加反応した合成したものが挙げられる。
【0039】
ここで、前述した構造を有するウレタンアクリレートは、多数のアクリレートオリゴマー製造業者から様々な形態で製造及び供給される。
【0040】
本発明に係る反応性アクリルモノマーは、紫外線硬化樹脂組成物が塗膜として形成される場合、耐候性及び曲げ性(加工性)を提供するためのものであり、このような目的のための当業界の通常的な反応性アクリルモノマーであれば、特に制限されず、好ましくは1官能反応性アクリルモノマー及び2官能反応性アークをモノマーの混合物が挙げられる。
【0041】
ここで、前記反応性アクリルモノマーは21〜80重量部、さらに具体的に32〜48重量部で使用されていても良い。反応性アクリルモノマーの使用量が21重量部未満のとき、粘度が増加し、付着性に劣るおそれがあり、80重量部を超えると、紫外線硬化性に劣り、生産性が減少されるおそれがある。
【0042】
特定的に、本発明に係る反応性アクリルモノマーは1官能反応性アクリルモノマー20〜50重量部及び2官能反応性アクリルモノマー1〜30重量部、更に具体的に1官能反応性アクリルモノマー25〜35重量部及び2官能反応性アクリルモノマー7〜13重量部を含んでいても良い。
【0043】
ここで、前記1官能反応性アクリルモノマーには、アクリルモルホリン(ACMO)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)などから選択された少なくとも一つ以上のモノマーが挙げられる。
【0044】
この時、前記1官能反応性アクリルモノマーの使用量が20重量部未満のとき、粘度が増加し、付着性に劣るおそれがあり、50重量部を超えると、紫外線硬化性に劣り、生産性が減少されるおそれがある。
【0045】
前記2官能反応性アクリルモノマーには、主に粘度調節剤として使用されており、このような用途として用いられる当業界の通常的な2官能反応性アクリルモノマーであれば、特に制限されず、好ましくはジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(PEG 400DA)、ポリエチレングリコール600ジアクリレート(PEG 600DA)などからなるモノマーから選択された少なくとも一つ以上が挙げられる。
【0046】
このとき、前記2官能反応性アクリルモノマーの使用量が1重量部未満のとき、粘度が増加するおそれがあり、30重量部を越えると、全般的な塗膜物性によくない影響を及ぼすおそれがある。
【0047】
本発明に係る光開始剤としては、紫外線樹脂組成物を鋼板などの金属素材の表面に塗布し、塗膜を形成した後、紫外線を照射する場合、樹脂組成物の重合反応が起きるようにするためのものであり、このような目的のための重合開始剤であれば、いずれであっても良く、好ましくは、紫外線により活性を表す通常の重合開始剤が挙げられ、より好ましくは、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、アントラキノン系、チオキソキサントン系等の化合物が挙げられる。このとき、前記化合物は単独又は二以上を混合して使用しても良い。
【0048】
前記光開始剤として商業的に市販されている例としては、Irgacure 184、754、819、Darocur 1173、TPO(CIBA GEIGY社製)、Micure CP−4、MP−8、BP、TPO(Miwon Commerical社製)などがあり、この中の1個以上選択して使用できるが、 好ましくは、本発明の紫外線硬化組成物の特徴である無溶剤型紫外線コーティング剤の特性を具現し、製造過程での容易性を勘案して液状開始剤であるIrgacure 754、Darocur 1173、Micure MP−8を使用すれば良い。
【0049】
本発明に係る添加剤は、当業界で通常的に使用される添加剤であれば、特に制限されず、好ましくはロールコーティング作業時に発生する気泡を除去するための消泡剤、塗膜外観及び表面スクラッチ性に影響を及ぼすレベリング剤及び/又は付着力を増加させるための付着増進剤を使用すれば良い。
【0050】
この時、前記添加剤は、全紫外線硬化樹脂組成物重量に対して、0.1〜10重量部、より具体的に1.3〜2.7重量部含まれるのが良い。全添加剤重量に対して、消泡剤20〜30重量部;レベリング剤20〜30重量部;及び付着増進剤40〜60重量部を使用すれば良い。
【0051】
特に、前記添加剤を構成する消泡剤、レベリング剤及び付着増進剤は全紫外線硬化樹脂組成物重量に対して、消泡剤0.05〜5重量部;レベリング剤0.05〜5重量部;及び付着増進剤0.1〜10重量部で含まれるのが良い。
【0052】
ここで、前記付着増進剤の含量が全紫外線硬化樹脂組成物重量に対して、0.1重量部未満のとき、層間付着性が顕著に低下し、その含量が10重量部を超えると、塗料の粘度が上昇し、作業性に影響を及ぼすおそれがある。
【0053】
また、前記消泡剤として使用可能な代表的な製品としてTEGO Airex 920、932、BYK088、1790中から一つを選択できるが、これらに制限されない。
【0054】
また、前記レベリング剤として使用可能な代表的な製品としてTEGO Glide 410、440、TEGO Rad 2250、BYK−UV3500、3510中から一つを選択できるが、これらに制限されない。
【0055】
また、前記付着増進剤としては、アクリルホスフェート系付着増進剤、例えば、ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、ヒドロキシエチルメタアクリレートホスフェートなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0056】
一方、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、必要に応じて、様々な付加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、平滑制、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、可塑剤、有機充填剤又はこれらの混合物を更に含んでいても良い。この時、前記付加剤の含量は、本発明の紫外線硬化樹脂組成物が要求する物性を変化させない範囲、例えば、全紫外線硬化樹脂組成物重量部に対して、0.1〜15重量部範囲で使用者の選択によって変更可能である。
【0057】
前記酸化防止剤として使用可能な代表的な例は、Irganox 1010、Irganox 1035、Irganox 1076、Irganox 1222(CIBA GEIGY社製、日本)がよく、光安定剤としては、Tinuvin 292、Tinuvin 144、Tinuvin 622LD(CIBA GEIGY社製、日本)、sanol LS−770、sanol LS−765、sanol LS−292、sanol LS−744(SANKYO社製、日本)がよく、紫外線吸収剤としてはTinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 328(CIBA GEIGY社製、日本)、Sumisorb 110、Sumisorb 130、Sumisorb 140、Sumisorb 220、Sumisorb 250、Sumisorb 320、Sumisorb 400(住友化学工業社製、日本)が良く、熱重合禁止剤としてはHQ、THQ、HQMMEなどがよく、平滑制と消泡剤及び分散剤はBYK等の通常的な塗料添加剤メーカーの商品を選択して使用できるが、これらに制限されない。
【0058】
また、前記帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアミン類系、グリセリン又はソルビトール脂肪酸エステル系等の非イオン系とアルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェートなどのアニオン系、第4級アンモニウム塩又はこれらの混合物を使用することができる。
【0059】
また、本発明は、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物を鋼板などの金属基材表面にコーティングした後、紫外線を照射して硬化させることによって塗膜を形成した鋼板に関するものである。
【0060】
ここで、前記鋼板は冷延鋼鈑;亜鉛メッキ鋼板;亜鉛系電気メッキ鋼板;溶融亜鉛メッキ鋼板;アルミニウムメッキ鋼板;メッキ層にコバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、アルミニウム、マンガン、鉄マグネシウム、スズ、銅又はこれらの混合物の不純物又は異種金属を含有したメッキ鋼板;シリコン、銅マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、亜鉛又はこれらの混合物を添加したアルミニウム合金版;リン酸塩が塗布された亜鉛メッキ鋼板;冷延鋼鈑;及び熱延鋼板よりなる群から選択され、好ましくは亜鉛メッキ鋼板が良い。
【0061】
一方、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物は、金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼素材の表面に塗装され塗膜を形成する。前記塗膜を形成するための塗装方法は、当業界で通常的に使用される塗装方法、例えば、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング又はバーコーティングなどの塗装方法が挙げられ、塗装された塗膜の厚さは0.5〜10μmのものが良い。
【0062】
また、本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物を硬化させる紫外線は、少なくとも400nm以下の波長を有していても良い。
【0063】
特定態様として、前記紫外線を照射するための光源には、メタルハライド等、中圧水銀灯、高圧水銀灯、電極のないH bulb、D bulb、V bulb(Fusion社製、米国)などを用途と硬化条件によって選択して使用することができる。
【0064】
紫外線の照射光量は通常0.1〜10J/cmが良く、これは紫外線硬化樹脂組成物の組成及び使用者の選択によって適宜調節することができる。
【0065】
本発明は、鋼板の少なくとも片面に塗膜が形成され、前記塗膜の少なくとも片面に紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成された鋼板に関するものである。
【0066】
また、本発明は、特に鋼板の下塗りとして塗膜が形成され、前記塗膜の少なくとも片面上に紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成された鋼板に関するものである。
【0067】
また、本発明は、鋼板の下塗りとして塗膜が形成され、前記塗膜の上面に上塗りとして紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成された鋼板に関するものである。
【0068】
本発明において、前記下塗り及び上塗りが備えられた鋼板は、鋼板上面を表面処理剤でコーティングして塗膜を形成した後、その表面処理剤でコーティングされた塗膜面に紫外線硬化樹脂組成物で再び塗膜を形成することが良く、好ましくは上面に下塗りとして透明又は着色クロムフリー塗膜が形成され、前記透明又は着色クロムフリー塗膜の上面に、上塗りとして本発明に係る前記紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成されれば良い。
【0069】
前記透明又は着色クロムフリー塗膜の厚さは0.5〜2μmのものが良く、紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜の厚さは0.5〜10μmのものが良い。
【0070】
このとき、前記透明又は着色クロムフリー塗膜は鋼板の表面処理のために当業界で通常的に使用する透明又は着色クロムフリー塗膜組成物で形成された塗膜であれば、特に制限されず、好ましくは全固形分に対して、
a)水溶性有機樹脂−無機バインダー複合体樹脂100重量部;
b)防錆耐食剤1〜10重量部;及び
c)金属キレート剤1〜10重量部;
を含む金属の表面処理組成物からなる。
【0071】
ここで、前記水溶性有機樹脂−無機バインダー複合体樹脂は、有機樹脂、無機バインダー及びカップリング剤の反応によって製造されたものを使用する。
【0072】
また、前記有機樹脂は、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有する水溶性のエポキシ樹脂、エポキシ−ホスフェート樹脂、アクリル系又はビニル系単量体に変性されたエポキシ−ホスフェート樹脂、ビニル系樹脂、水分散性ウレタン樹脂、及びアクリル系又はビニル系単量体に変性されたアクリル−ウレタン樹脂からなる群から選択されたものを使用する。
【0073】
ここで、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールに離型樹脂、ビスフェノールF型樹脂及びノボラック樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂の分子量は900〜7,000が好ましく、前記エポキシ樹脂の分子量が900未満のとき、変性反応が難しく、乾燥塗膜の耐水性が不良になり、7,000を超えると変性反応による水溶化が難しくなる。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量は450〜3,500を使用することが好ましい。前記エポキシ樹脂の分子量と当量を調節するために、低分子量の液体エポキシ樹脂からビスフェノールを添加して反応させて分子量を調節する方法もある。
【0074】
前記エポキシ樹脂は、付着性、耐熱性、耐食性、上塗り塗装性などに優れ、金属素材の被覆材に広く使用されている。しかし、エポキシ樹脂のみを使用する場合、薄膜にコーティングされる被覆材では、塗膜形成能力と耐食性が足りなくなることがある。従って、エポキシ樹脂に、下記一般式(1)のホスホン酸及び一般式(2)のホスフィン酸化合物及び/又はアクリルモノマーを変性反応させる場合、塗膜形成能力と金属素材との密着性に優れ、耐食性が一層向上される効果がある。このような有機樹脂には、エポキシ樹脂を下記一般式(1)のホスホン酸化合物及び一般式(2)のホスフィン酸化合物からなる群から1種以上選択される化合物と反応して製造するエポキシ−ホスフェート樹脂が挙げられる。
【0075】
[化1]
(R)m1[PO(OH)]n1 (1)
【0076】
[化2]
(R)m2(R’)[PO(OH)]n1 (2)
【0077】
(式中、R及びR’はそれぞれ独立して水素、又はヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の飽和又は不飽和された脂肪族又は芳香族炭化水素であり、m1及びm2はそれぞれ独立して0〜2の整数であり、n1及びn2はそれぞれ独立して1〜3の整数であり、qは0〜2の整数である。)
【0078】
前記一般式(1)のホスホン酸と一般式(2)のホスフィン酸化合物は、変性樹脂の水溶化及びアミノ樹脂を用いた硬化剤を使用する場合、硬化速度を増進させる効果があり、作業性向上に非常に有利である。
【0079】
前記一般式(1)のホスホン酸及び一般式(2)のホスフィン酸化合物の例には、アミノトリメチルホスホン酸、アミノ−2−ベンジルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、o−アミノフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、アミノフェニルホスホン酸、アミノプロピルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−カルボキシルエチルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、エチルホスホン酸、ヒドロゲンホスホン酸、メチルベンジルホスホン酸、メチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸などが挙げられる。また、前記一般式(1)及び一般式(2)の化合物は、ビニル基又はアクリル基を有することがより好ましい。例えば、ヒドロキシ基を有するアクリルモノマーと前記一般式(1)及び一般式(2)からなる群から選択される化合物の縮合物であるビニルホスホン酸、2−エチルメタアクリレートホスホン酸、2−エチルアクリレートホスホン酸などが挙げられる。
【0080】
前記一般式(1)及び(2)の化合物からなる群から選択される化合物の使用モル数は、エポキシ樹脂当量数に対して1%未満のとき、付着性と耐食性、水溶化等の物性低下により好ましくなく、100%を超えると、未反応酸による耐水性の低下などにより好ましくない。従って、その使用モル数はエポキシ樹脂当量数に対して5〜80%で使用することが好ましい。
【0081】
また、本発明は、エポキシ樹脂と一般式(1)のホスホン酸/一般式(2)のホスフィン酸化合物との反応を促進させるために、反応触媒として3級アミン及び無機化合物などを使用しても良い。前記反応触媒の量は、エポキシ樹脂とホスホン酸/ホスフィン酸化合物の反応物100重量部に対して、0〜1重量部で使用することが好ましい。
【0082】
前記反応触媒には、ベンジルジメチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、リチウムステアレート、スタナスオクトエート、ジルコニウムオクトエート、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0083】
また、前記エポキシ−ホスフェート樹脂はアクリル系又は、ビニル系単量体に変成して使用しても良い。変成する方法には、エポキシ−ホスフェート樹脂にアクリル系又はビニル系単量体をグラフトし、ラジカル重合する方法を使用するか、又はマレイン酸やフマル酸のような不飽和酸を用いた重合方法などが挙げられる。
【0084】
前記無機バインダーは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、及びジルコニアゾルからなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。また、無機バインダーの粒径は5〜30nmのものが好ましい。前記無機バインダー粒径が5nm未満のとき、アルカリ度の強い製品が一般的となり、耐水性が弱く、それに伴う耐食性も弱くなる問題があり、30nmを超えると、クロムフリー処理剤の付着量が非常に低い範囲で粒子が大きくなると、気孔を形成して耐食性が低下する問題がある。
【0085】
一方、本発明に係る着色クロムフリー塗膜を構成するための金属の表面処理組成物に含まれた耐食性防錆添加剤は、表面処理組成物が酸性溶液のとき、リン酸を安定剤として含むアルミニウムリン酸塩水溶液、マンガンリン酸塩水溶液、亜鉛リン酸塩水溶液、モリブデンリン酸塩水溶液、及びフッ素リン酸塩ソーダ水溶液からなる群から選択され、表面処理組成物が塩基性溶液のとき、アミンを安定剤として含むヘキサアンモニウムヘプタモリブデート溶液、ジアンモニウムジヒドロホスフェート溶液、アンモニウムバナデート溶液、ナトリウムバナデート溶液、アンモニウムジルコニウムカーボネート溶液、及びアンモニウムフルオロジルコネート溶液よりなる群から選択される。
【0086】
本発明に係る着色クロムフリー塗膜を構成するための金属の表面処理組成物に含まれた金属キレート剤は、有機チタネート、有機ジルコネート及び有機シランよりなる群から1種以上選択される。
【0087】
以下で、実施例をもって本発明を具体的に説明する。しかし、下記実施例は本発明を具体的に説明するためだけであり、これらの実施例によって本発明の範囲を制限されるものではない。
【0088】
<実施例1>
変性エポキシアクリレートオリゴマー(CN150/80、Sartomer社製、米国)35g、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−5221、HS Chemtron社製、韓国)15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(SR285、Sartomer社製、米国) 30 g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(Miramer M200、Miwon Commerical社製、韓国)10g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)8g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Rad2250、Evonik社製、ドイツ)0.5g及び付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0089】
<実施例2>
変性エポキシアクリレートオリゴマー(CN150/80)34g、ウレタンアクリレートオリゴマー(CN 966J75、Sartomer社製、米国)16g、イソボルニルアクリレート(IBOA)(SR506、Sartomer社製、米国)30g、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)(Miramer M220、Miwon Commerical社製、韓国)10g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)8g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Rad2250、Evonik社製、ドイツ)0.5g、付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0090】
<実施例3>
変性エポキシアクリレートオリゴマー(3020−A80、AGI社製、台湾)35g、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA−5221、HS Chemtron社製、韓国)15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(SR285、Sartomer社製、米国)30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(Miramer M200、Miwon Commerical社製、韓国)11g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)6g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Glide440、Evonik社製、ドイツ)0.5g、付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0091】
<比較例1>
ポリエステルアクリレート(Ebecryl840、Cytec社製、米国)35g、ウレタンアクリレート(UA−5221、HS Chemtron社製、韓国)15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(SR285、Sartomer社製、米国)30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(Miramer M200、Miwon Commerical社製、韓国)10g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)8g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Rad2250、Evonik社製、ドイツ)0.5g、付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0092】
<比較例2>
変性エポキシアクリレートオリゴマー(CN150/80、Sartomer社製、米国)50g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(SR285、Sartomer社製、米国)30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(Miramer M200、Miwon Commerical社製、韓国)10g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)8g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Rad2250、Evonik社製、ドイツ)0.5g、付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0093】
<比較例3>
2官能ウレタンアクリレート(UA−5221、HS Chemtron社製、韓国)50g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)(SR285、Sartomer社製、米国)30g、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)(Miramer M200、Miwon Commerical社製、韓国)10g、光開始剤(Darocur1173、Ciba Chemicals社製、スイス)8g、消泡剤(TEGO Airex920、Evonik社製、ドイツ)0.5g、レベリング剤(TEGO Rad2250、Evonik社製、ドイツ)0.5g、付着増進剤1gを混合して塗料組成物を製造した。使用された成分の組成を下記表1に示した。
【0094】
【表1】

【0095】
<実験>
実施例1〜3及び比較例1〜3で製造された紫外線硬化樹脂組成物を韓国特許第0679659号の実施例によるクロムフリー溶液に顔料が添加された表面処理剤がコーティングされた亜鉛メッキ(G.I)鋼板表面に、#3バーコーターでそれぞれコーティングした後、窒素を投入し、紫外線トランスイルミネータ(Fusion 600vps、Fusion社製、米国)を利用して100〜2000mJ/cmの光量で紫外線を照射し、3〜5μm以内の塗膜を形成して、スチールの表面を処理した。
【0096】
次いで、形成された塗膜の外観、耐食性、曲げ性(加工性)、耐衝撃性、付着性などを下記方法で測定し、その結果を表2に示した。
【0097】
(1)外観
コーティングされた塗膜の外観が異質物及び未塗装箇所無しに良好であるかを評価した。評価結果は下記方法で評価した。
◎:異常なし
○:塵が若干ある
△:一部クレーター
×:多数クレーター及び黄変
【0098】
(2)耐食性
塗装された試片を35℃、95%の湿度で5%の食塩水を連続噴霧し、初期発錆程度を評価した。評価結果は下記方法で評価した。
◎:480時間異常なし
○:240時間後、初期発錆
△:120時間後、初期発錆
×:72時間以前、初期発錆
【0099】
(3)耐スクラッチ性
耐スクラッチ性を評価するために、鉛筆硬度を測定したところ、前記鉛筆硬度はJISK5600−5−4KSに従って測定した。ここで、前記鉛筆硬度は9B〜9Hまで順に測定した。9Bに近接するほど硬度が弱く、9Hに近接するほど硬度が強いものである。
【0100】
(4)付着性
コーティングされた試片を横×縦のサイズが1mmになるようにカッターで切断して100個を製造し、3Mテープを付けた後、剥がして塗膜の付着性を評価した。評価結果は下記方法で評価した。
◎:異常なし
○:10個以内脱落
△:50個以内脱落
×:完全脱落。
【0101】
【表2】

【0102】
前記表2に示されるように、変性エポキシアクリレートオリゴマーを含む紫外線硬化樹脂組成物を用いた実施例1〜実施例3の物性は、求められる外観、耐食性、曲げ性、耐スクラッチ性及び付着性等で満足できる結果が表したが、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む紫外線硬化樹脂組成物を用いた比較例1の場合、加工性が良くなく、エポキシアクリレートオリゴマーを単独で含む比較例2の場合、加工性で良好な物性を得ることができたが、Weather−O−Meter又はQUVなどの促進耐候性テスト後、外観確認時、黄変が発生し、また光沢消失率が高く、単独で使用するのは困難であった。
【0103】
また、ウレタンアクリレートオリゴマーを単独で含む紫外線硬化樹脂組成物を用いた比較例3は、曲げ性が最も良いと予想したが、実際には塗膜が軟質に形成され、曲げ性が悪く、耐スクラッチ性も良くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る紫外線硬化樹脂組成物を用いて金属素材、特定的に鋼板などの鉄鋼材料の表面に塗膜を形成することによって、透明性だけでなく、耐食性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、付着性、防錆性及び曲げ性(加工性)を有する鋼板を提供し、加熱乾燥する油性タイプの樹脂組成物の代わりに紫外線により硬化される樹脂組成物を提供することによって、溶剤を用いない環境親和的で、且つ生産性を向上することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性エポキシアクリレートオリゴマー25〜45重量部;及びウレタンアクリレートオリゴマー10〜25重量部を含む紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項2】
前記紫外線硬化樹脂組成物が、更に、反応性アクリルモノマー21〜80重量部;光開始剤1〜20重量部;及び添加剤0.1〜10重量部;を含むことを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項3】
前記反応性アクリルモノマーは、1官能反応性アクリルモノマー20〜50重量部及び2官能反応性アクリルモノマー1〜30重量部からなることを特徴とする請求項2に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項4】
前記変性エポキシアクリレートオリゴマーは、ウレタン系に変性されたエポキシアクリレートオリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項5】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーが、ジイソシアネートとヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレートとの反応物であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項6】
ジイソシアネートはイソホロンジイソシアネート又はジシクロヘキサンジイソシアネートであることを特徴とする請求項5に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項7】
前記1官能反応性アクリルモノマーが、アクリルモルホリン(ACMO)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)及びイソボルニルアクリレート(IBOA)からなる群から選択された少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項3に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項8】
2官能反応性アクリルモノマーが、ジエチレングリコールジアクリレート(DEGDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(PEG 400DA)及びポリエチレングリコール600ジアクリレート(PEG 600DA)からなる群から選択された少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項3に記載の紫外線硬化樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の紫外線硬化樹脂組成物が塗布され塗膜が形成された鋼板。
【請求項10】
前記鋼板が、その少なくとも片面に透明又は着色クロムフリー塗膜が形成され、前記透明又は着色クロムフリー塗膜の少なくとも片面に紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜が形成された請求項9に記載の鋼板。
【請求項11】
前記透明又は着色クロムフリー塗膜が、全固形分に対して、
a)水溶性有機樹脂−無機バインダー複合体樹脂100重量部;
b)防錆耐食剤1〜10重量部;及び
c)金属キレート剤1〜10重量部;、を含む金属の表面処理組成物を含むことを特徴とする請求項10に記載の鋼板。
【請求項12】
前記水溶性有機樹脂−無機バインダー複合体樹脂は、有機樹脂、無機バインダー及びカップリング剤の反応により得られた金属の表面処理組成物であることを特徴とする請求項10に記載の鋼板。
【請求項13】
前記無機バインダーは、粒径5〜30nmのシリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル及びジルコニアゾルからなる群から選択される少なくとも一つの金属の表面処理組成物であることを特徴とする請求項12に記載の鋼板。
【請求項14】
前記防錆耐食剤は、
表面処理組成物が酸性溶液のとき、リン酸を安定剤として含むアルミニウムリン酸塩水溶液、マンガンリン酸塩水溶液、亜鉛リン酸塩水溶液、モリブデンリン酸塩水溶液、及びフッ素リン酸塩ソーダ水溶液からなる群から選択され、
表面処理組成物が塩基性溶液のとき、アミンを安定剤として含むヘキサアンモニウムヘプタモリブデート溶液、ジアンモニウムジヒドロホスフェート溶液、アンモニウムバナデート溶液、ナトリウムバナデート溶液、アンモニウムジルコニウムカーボネート溶液、及びアンモニウムフルオロジルコネート溶液からなる群から選択されるものである金属の表面処理組成物であることを特徴とする請求項11に記載の鋼板。
【請求項15】
前記透明又は着色クロムフリー塗膜の厚さが0.5〜2μmであり、前記紫外線硬化樹脂組成物が塗布された塗膜の厚さが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項10に記載の鋼板。


【公表番号】特表2012−514659(P2012−514659A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533119(P2011−533119)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006645
【国際公開番号】WO2010/074405
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【出願人】(511100925)ノル ホールディングス カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】