透明被膜および導電膜付き樹脂板

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐擦傷性、透明性、耐溶剤性に優れた透明被膜、および透明導電膜等の耐久性、ガスバリア性に優れ、かつ低表面抵抗の導電膜付き樹脂板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にプラスチック材料は軽量で、耐衝撃性、加工性および大量生産性に優れることから、近年光学フィルター、光学レンズおよび光ディスク等の光学素子用材料としての需要が拡大しつつある。これらの光学素子用プラスチック材料としては、現在、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、N−置換マレイミド共重合体などの透明性樹脂が知られている。しかし、一般にプラスチック光学素子は無機ガラスに比べて、表面硬度が低いという欠点を有しており、これを改良しようとする試みが、すでに数多く提案されている。例えば、プラスチック基材表面にSiO2 などの無機物を真空蒸着により被覆する方法(特開昭58−204031号公報)やプラスチック基材の表面にポリオルガノシラン系ハードコート膜やアクリル系ハードコート膜を設ける方法(USP3,986,997、USP4,211,823、特開昭57−168922号公報、特開昭59−38262号公報、特開昭59−51908号公報、特開昭59−51954号公報、特開昭59−78240号公報、特開昭59−89368号公報、特開昭59−102964号公報、特開昭59−109528号公報、特開昭59−120663号公報、特開昭59−155437号公報、特開昭59−174629号公報、特開昭59−193969号公報、特開昭59−204669号公報)が開示されている。
【0003】また、これらのハードコート膜付き光学素子用プラスチック材料上に、透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等を単独あるいは組み合わして積層し、その機能を高める検討がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術であるSiO2 などの無機物の真空蒸着による表面硬度の改良は、高硬度である反面、基材との密着性、耐熱性、耐光性などを低下させる大きな問題点があり、また、特開昭59−38262号公報、特開昭59−51908号公報などに開示されているシラン系およびアクリル系のハードコート膜を設ける技術では耐熱性は幾分改善されるもののその効果は不十分なものであった。
【0005】また、その機能を高めるために、ハードコート膜付き光学素子用プラスチック材料上に、透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等を単独あるいは組み合わして積層した場合、透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜と樹脂成形体の線膨張率や吸湿寸法変化の差が大きいため、加熱等によって、これらの膜に容易にクラックが発生し耐久性が劣るといった問題があった。
【0006】また、例えば液晶用プラスチック基板用途に使用する場合、透明導電膜の耐久性を高めるため、透明導電膜の膜厚を薄くする等の工夫が必要なため表面抵抗が高くなるといった問題があった。
【0007】本発明は、上記問題を解決しようとするものであり、耐熱性、耐擦傷性、透明性に優れた透明被膜を設け、本発明の透明被膜を成形体上に設け、さらにその上に透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜を設けた場合、該機能性膜の耐久性に優れた透明被膜、および低電気抵抗の導電膜付き樹脂板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、下記の構成を有する。
【0009】「(1) 下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を20〜49重量%、および、微粒子状無機酸化物を51〜80重量%含有し、かつ、該一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と該微粒子状無機酸化物の合計重量割合が70重量%以上である硬化物からなる透明被膜で両面が被覆されたガラス転移温度が150℃以上の樹脂成形体の両面または片面に、金属酸化膜および/または金属窒化膜を有し、さらにその上に、少なくとも一層の透明導電層を有することを特徴とする液晶ディスプレイ用導電膜付き樹脂板。
【化2】


(ただし、R1、R2は、アルキレン基、アルキリデン基、CO、SO2、SおよびOから選ばれる。R3は、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜12のエステル残基および水素原子から選ばれる。R4〜R7は、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜4の炭化水素基から選ばれ、a、b、c、dは1〜4の整数を示す。xは0〜10の整数を示し、y、zは0か1の整数を示す。)
【0010】まず、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂について説明する。
【0011】R1 、R2 は、アルキレン基、アルキリデン基、CO、SO2 、SおよびOから選ばれるが、それぞれが同種であっても異種であってもよい。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、アルキリデン基としては、イソプロピリデン基、イソブチリデン基等が挙げられる。R3 は、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜12のエステル残基、水素原子から選ばれるが、炭素数1〜12の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などが挙げられる。炭素数1〜12のエステル残基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基などのアルキルカルボニル基、ベンゾイル基などのアリールカルボニル基、ベンジルカルボニル基などのアラルキルカルボニル基などが挙げられる。また、R4 〜R7 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の炭化水素基から選ばれ、それぞれが同種であっても異種であってもよい。ハロゲン原子としては、塩素、臭素が好ましく、炭素数1〜4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。a、b、c、dは1〜4の整数を示す。また、xは0〜10の整数を示し、y、zは0か1の整数を示す。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種または、2種以上の混合物で用いることも可能である。
【0012】上記エポキシ樹脂の中でも、透明性、成形体への塗布性、透明被膜付き成形体上に積層された透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜の耐久性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0013】使用されるエポキシ樹脂の平均エポキシ当量としては、透明性、耐熱性、表面硬度、成形体への塗布性を考慮すると、150〜600g/当量が好ましく、180〜400g/当量がさらに好ましい。150g/当量未満では、耐熱性や機能性膜の耐久性等が不充分となり、600g/当量を越えると透明性、成形体への塗布性が不充分となったり、表面硬度が低下し耐擦傷性が不充分となる傾向にある。エポキシ当量の測定方法については、特に限定されず、塩酸ジオキサン法等の通常公知の方法が使用される。
【0014】本発明における透明被膜は、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と微粒子状無機酸化物を必須成分としてなり、エポキシ樹脂成分を20〜49重量%、および微粒子状無機酸化物を51〜80重量%含有し、かつ、該一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と該微粒子状無機酸化物の合計重量割合が70重量%以上である硬化物である。透明被膜中のエポキシ樹脂成分が49重量%を越えたり、微粒子状無機酸化物が51重量%未満では、透明被膜の表面硬度が低下し、耐擦傷性が不充分となったり、透明被膜付き成形体上に積層された透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜の耐久性が不充分となる。また、微粒子状無機酸化物が80重量%を越えたり、エポキシ樹脂成分が20重量%未満では、透明性が不充分となったり、樹脂成形体との接着性不良が発生したり、被膜自体にクラックが発生したり、機能性膜の耐久性が不充分となる。エポキシ樹脂成分としては、好ましくは25〜49重量%、さらに好ましくは30〜49重量%である。微粒子状無機酸化物としては、好ましくは、51〜75重量%、さらに好ましくは、51〜70重量%である。また、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と微粒子状無機酸化物の合計重量割合が70重量%未満の場合においても透明被膜付き成形体上に積層された透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜の耐久性が不充分となる。また、透明被膜の膜厚としては、0.1〜10μmが好ましい。0.1μm未満では、表面硬度が不充分となり、10μmを越えると透明性が不充分となる傾向にある。さらに好ましくは、1〜5μmである。
【0015】本発明においては、表面硬度の向上、屈折率の調節、機械的強度の向上、熱的特性の向上、導電性向上などを目的に、微粒子状無機酸化物が使用される。微粒子状無機酸化物としては被膜状態で透明性を損わないものであれば特に限定されない。具体例としては、シリカ、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアおよび酸化タングステン等が挙げられる。これらは、一種または、二種以上の混合物であってもよい。これらの微粒子状無機酸化物は、作業性向上、透明性付与の点から、コロイド状に分散したゾルとして塗料中に均一に混合させることが好ましい。コロイド状に分散したゾルの具体的な例としては、シリカゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、セリアゾル、酸化アンチモンゾル、フッ化マグネシウムゾル、インジウム−スズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)ゾル、酸化スズゾルなどが挙げられる。微粒子状無機酸化物の平均粒子径は特に限定されないが、通常は1〜200mμ、好ましくは10〜100mμ、さらに好ましくは30〜60mμのものが使用される。平均粒子径が200mμを越えるものを使用した場合は、生成する被膜の透明性が悪く、濁りが大きくなる傾向がある。また、10mμ未満や100mμを越えると、透明被膜付き成形体上に積層された透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜の耐久性が不充分となる傾向にある。また、微粒子状無機物の分散性を改良するために各種の微粒子表面処理を行っても、あるいは、各種の界面活性剤やアミンなどを添加してあっても何ら問題はない。
【0016】本発明の透明被膜を構成する有機高分子は、上記特性を損なわなければ、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外の樹脂を混合して用いることもできる。具体例としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース類、ポリビニルアルコール系樹脂、尿素樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂はそれぞれ単独での使用あるいは2種以上を併用することが可能であり、さらに各種硬化剤、架橋剤などを用いて三次元架橋することも可能である。特に表面硬度が重要な用途には、硬化可能な樹脂であることが好ましく、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂などの単独系ないしは複合系が好ましく使用される。また、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、透明性などの諸特性を考慮した場合では、有機高分子としてシリコーン系樹脂の共重合が好ましく、より好ましくは、下記一般式(2)で示される有機ケイ素化合物ないしはその加水分解物から得られるポリマを挙げることができる。
【0017】
8 a 9 b SiX4-a-b (2)
(ここで、R8 は炭素数1〜10の有機基であり、R9 は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1である。)一般式(2)で示される有機ケイ素化合物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、iso−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、およびt−ブチルシリケートなどのテトラアルコキシシラン類、およびその加水分解物、さらにはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエメトキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアシルオキシシラン、またはトリフェノキシシラン類またはその加水分解物、およびジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシランまたはジアシルオキシシラン類またはその加水分解物がその例である。
【0018】これらの有機ケイ素化合物は1種または2種以上使用することも可能である。とくに染色性を付与する目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケイ素化合物の使用が好適であり、高付加価値なものとなる。
【0019】また、有機ケイ素化合物は、キュア温度を下げ、硬化をより促進させるためには加水分解して使用することが好ましい。加水分解は純水または塩酸、酢酸あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹拌することによって製造される。さらに、純水あるいは酸性水溶液の添加量を調節することによって加水分解の度合いをコントロールすることも容易に可能である。加水分解に際しては、一般式(2)で示される化合物に含まれる加水分解性基と等モル以上、3倍モル以下の純水または酸性水溶液の添加が硬化促進の点で好ましい。
【0020】加水分解に際しては、アルコール等が生成してくるため無溶媒で加水分解することが可能であるが、加水分解をさらに均一に行なう目的で有機ケイ素化合物と溶媒とを混合した後、加水分解を行なうことも可能である。また、目的に応じて加水分解後のアルコール等を加熱および/または減圧下に適当量除去して使用することも可能であるし、その後に適当な溶媒を添加することも可能である。
【0021】これら有機ケイ素化合物等の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外の樹脂の使用量は30重量%未満であり、15重量%以下がさらに好ましい。30重量%以上の場合を越えると、透明性、透明被膜付き成形体上に積層された透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜の耐久性が不充分となる。
【0022】本発明の透明被膜は、作業性向上、被膜厚さ調節などの目的で、通常揮発性溶媒に希釈し、液状組成物として成形体に塗布され、硬化成形されることが好ましい。溶媒として使用されるものは、特に限定されないが、使用にあたっては被塗布物の表面性状を損なわぬことが要求され、さらには組成物の安定性、基材に対するぬれ性、揮発性などをも考慮して決められるべきである。また、溶媒は1種のみならず2種以上の混合物として用いることも可能である。これらの溶媒としては水、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素あるいは非プロトン性極性溶媒などの溶媒が挙げられる。微粒子状無機酸化物の分散性などの点から、水、アルコール、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒が好ましく用いられる。
【0023】本発明における透明被膜形成時に使用されるコーティング組成物には、硬化促進、低温硬化などを可能とする目的で各種の硬化剤が併用可能である。硬化剤としては各種エポキシ樹脂硬化剤、あるいは各種有機ケイ素樹脂硬化剤などが使用される。これらの硬化剤の具体例としては、各種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素含有有機化合物、各種金属錯体化合物、あるいは金属アルコキシド、さらにはアルカリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩などの各種塩、さらには、過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤などが挙げられる。これらの硬化剤は2種以上混合して使用することも可能である。これらの硬化剤の中でも本発明の目的には、コーティング組成物の安定性、コーティング後の被膜の着色の有無などの点から、特に下記に示すアルミニウムキレート化合物が有用である。
【0024】ここでいうアルミニウムキレート化合物とは、例えば、一般式 AlXn 3-nで示されるアルミニウムキレート化合物である。ただし、式中のXはOL(Lは低級アルキル基を示す)、Yは、一般式 M1 COCH2 COM2(M1 、M2 はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配位子および一般式 M3 COCH2 COOM4(M3 、M4 はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも一つであり、nは0、1または2である。
【0025】一般式AlXn 3-n で示されるアルミニウムキレート化合物としては、各種化合物を挙げることができるが、組成物への溶解性、安定性、硬化触媒としての効果などの観点からとくに好ましいのは、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルアセトアセテートなどである。これらは2種以上を混合して使用することも可能である。
【0026】また、本発明における透明被膜の中には各種染料、とくに分散染料によって染色可能なものがあるが、染色品の場合、その耐光堅牢度を向上させる目的から各種の遷移金属化合物またはその反応生成物が添加されていることが好ましい。これらの金属化合物の具体的な例としては、例えばアセチルアセトナート金属塩、ビスジチオール−α−ジケトン金属塩、ビスフェニルチオール金属塩、ビスフェニルジチオール金属塩、チオカテコール金属塩、ジチオカルバミン酸金属塩、サリチルアルデヒドオキシム金属塩、チオビスフェノレート金属塩、亜ホスホン金属塩が挙げられる。中でもアセチルアセトナートキレート化合物が塗料中の安定性が良好であり好ましく用いられる。これらの遷移金属化合物の添加量としては、透明被膜の用途、希釈溶剤の種類や他成分の種類により実験的に定められるべきであるが、溶解性、塗膜の白化などの点から生成被膜中に0.001〜10重量%の範囲で好ましく用いられる。0.001重量%より少ないと添加効果が得られず、10重量%以上の添加は塗膜のくもりが激しくなる傾向がある。また、これら遷移金属化合物は透明被膜形成途中に何らかの化学変化によって金属の結合状態が変化しても何ら問題はないが、より大きな効果を得るためにはキレート化合物として被膜中に含まれていることが好ましい。
【0027】本発明の透明被膜形成時に使用されるコーティング組成物には、塗布時におけるフローを向上させ、透明被膜の平滑性を向上させて被膜表面の摩擦係数を低下させる目的で各種の界面活性剤を添加することも可能であり、とくにジメチルポリシロキサンとアルキレンオキシドとのブロックまたはグラフト共重合体、さらにはフッ素系界面活性剤などが有効である。これらの使用量としては、0.01〜5重量%が好ましく、5重量%を越えると透明性が不充分となり、0.01重量%未満ではコーティングむらが発生したりする等の添加効果が不充分となる傾向にある。
【0028】さらに本発明の透明被膜形成時に使用されるコーティング組成物中には、被膜性能、透明性などを大幅に低下させない範囲で微粒子状無機酸化物以外の無機酸化物なども添加することができる。これらの添加物の併用によって基材との密着性、耐薬品性、表面硬度、耐久性、染色性などの諸特性を向上させることができる。前記の添加可能な無機材料としては以下の一般式(3)で表される金属アルコキシド、キレート化合物および/またはその加水分解物が挙げられる。
【0029】M(OR)m (3)
(ここでRはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基であり、mは金属Mの電荷数と同じ値である。Mとしてはケイ素、チタン、ジルコン、アンチモン、タンタル、ゲルマニウム、アルミニウムなどである。)さらに耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、また耐熱劣化向上法として酸化防止剤を添加することも可能である。
【0030】本発明の透明被膜は、前記コーティング組成物を硬化させることによって得られるが、硬化は加熱処理によって行なわれる。加熱温度はコーティング組成物の組成、樹脂成形体の耐熱性を考慮して適宜選択されるが、好ましくは50〜250℃である。
【0031】本発明の樹脂成形体上に塗布される被膜の塗布手段としては、刷毛塗り、浸漬塗り、ロール塗り、スプレー塗装、スピン塗装、流し塗りなどの通常行なわれる塗布方法が容易に使用可能である。
【0032】本発明におけるコーティング組成物の塗布にあたっては、清浄化、密着性、耐水性等の向上を目的として各種の前処理を施すことも有効な手段であり、とくに好ましく用いられる方法としては活性化ガス処理、薬品処理、紫外線処理などが挙げられる。
【0033】前記活性化ガス処理とは、常圧もしくは減圧下において生成するイオン、電子あるいは励起された気体による処理である。これらの活性化ガスを生成させる方法としては、例えばコロナ放電、減圧下での直流、低周波、高周波あるいはマイクロ波による高電圧放電などによるものである。とくに減圧下での高周波放電によって得られる低温プラズマによる処理が、再現性、生産性などの点から好ましく使用される。
【0034】ここで使用されるガスは特に限定されるものではないが、具体例としては酸素、窒素、水素、炭酸ガス、二酸化硫黄、ヘリウム、ネオン、アルゴン、フレオン、水蒸気、アンモニア、一酸化炭素、塩素、一酸化窒素、二酸化窒素などが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上混合しても使用可能である。前記の中で好ましいガスとしては、酸素を含んだものが挙げられ、空気などの自然界に存在するものであっても良い。さらに好ましくは、純粋な酸素ガスが密着性向上に有効である。さらには同様の目的で前記処理に際しては被処理基材の温度を挙げることも可能である。
【0035】一方、薬品処理の具体例としては苛性ソーダなどのアルカリ処理、塩酸、硫酸、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムなどの酸処理、有機溶剤処理などが挙げられる。以上の前処理は連続的、または段階的に併用して実施することも十分可能である。
【0036】本発明の透明被膜は、樹脂成形体、金属製品、ガラス、紙製品、木工製品等あらゆる材料に適用可能であるが、特に、樹脂成形体の表面保護や、樹脂成形体上に透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜を単独、あるいは組み合わせて積層し機能付与する場合、樹脂成形体と該機能性膜との緩衝材として有用である。例えば、耐熱性、透明性、耐溶剤性、ガスバリア性、低表面抵抗の必要な、液晶ディスプレイ用プラスチック基板用途などには、透明耐熱性架橋樹脂、に本発明の透明被膜を形成し、ガスバリア膜、透明導電膜を積層して、導電膜付き樹脂板として使用される。
【0037】上記目的に使用される樹脂成形体としては、ガラス転移温度130℃以上の樹脂成形体であれば特に限定されず使用可能であるが、150℃以上のガラス転移温度を持つ樹脂であれば、耐熱性がさらに良好となりより好ましく用いられる。ここで、ガラス転移温度とは、高分子が非晶性のガラス状態からゴム状態へ変わる温度を示すが、転移領域においては弾性率、膨脹率、熱含量、屈折率、誘電率などの諸特性が変化する。これらの特性の変化からガラス転移温度の測定が可能であり、具体的には示差走査熱量分析(DSC)などによる公知の手法により評価できる(例えばJIS K7121)。示差走査熱量分析によるガラス転移温度の測定の場合、樹脂成形体自体あるいはそれを加熱処理したものを評価することによりガラス転移温度を求めることができるが、透明被膜が十分に薄い場合は、樹脂成形体に透明被膜を設けた物品のガラス転移温度を透明樹脂のガラス転移温度とみなすことも可能である。
【0038】また、樹脂成形体の機械的特性は、室温における曲げ弾性率を指標として表した場合、好ましくは200kg/mm2 であり、より好ましくは330kg/mm2 以上である。さらに、樹脂成形体の透明性は、無着色時の全光線透過率を指標として表した場合、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。樹脂成形体は、透明性を損なわない範囲で無機物などとの複合系にすることも可能であり、また、シロキサン結合やフォスファゼン結合などの無機性結合が含まれていても何ら問題はない。
【0039】樹脂成形体の成分としては、例えばポリメタクリル酸、ポリカルボキシフェニルメタクリルアミドなどのポリメタクリル酸系樹脂やポリ(ビフェニル)スチレンなどのポリスチレン系樹脂などに代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)に代表されるポリエーテル系樹脂、ポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)に代表されるポリカーボネート系樹脂、ポリ(オキシ−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブチレンオキシテレフタロイル)に代表されるポリエステル系樹脂、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)などに代表されるポリスルホン系樹脂、ポリ(イミノイソフタロイルイミノ−4,4´−ビフェニレン)に代表されるポリアミド系樹脂、ポリ(チオ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)に代表されるポリスルフィド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフォスファゼン系樹脂などを挙げることができ、これらの高分子群において架橋構造を導入して上記熱的特性を示す樹脂成形体を得ることが可能である。特に、ガラス転移温度150℃以上の耐熱性、透明性および成形性の観点からマレイミド系樹脂が好ましく、不飽和基を2個以上有する多官能単量体を含有してなる組成物を重合してなるマレイミド系共重合体がより好ましく用いられる。
【0040】上記共重合体としては、下記一般式(4)で表される単量体を20〜98重量%、および不飽和基を2個以上有する多官能単量体を2〜80重量%含有し、かつ、該一般式(4)で表される単量体と該不飽和基を2個以上有する多官能単量体との合計重量割合が、30重量%以上である組成物を重合してなる共重合体が好ましく用いられる。
【0041】
【化3】


(式中、R10は水素、炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる置換基を表わす。R11、R12は水素、メチル基およびエチル基から選ばれる置換基を表わす。)一般式(4)で表されるマレイミド誘導体化合物に含まれるR11とR12については、それぞれが同種であっても、異種であってもよい。
【0042】R10が炭化水素基である場合、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、イソペンチル基などの分枝状アルキル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、メチルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基など各種の例を挙げることができる。
【0043】さらに、R11、R12およびR10は、フッ素、塩素、臭素などのハロゲノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基などの各種置換基で置換されたものであってもよい。
【0044】一般式(4)で示される化合物の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−m−クロロフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、N−o−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−ニトロフェニルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどが挙げられる。
【0045】これらの単量体は、1種で、あるいは、2種以上の混合物として用いてもよい。また、かかるマレイミド化合物の中でも耐熱性テスト後の黄変、耐候性の点からは、とくにN−アルキルマレイミド、N−脂環式アルキルマレイミドが好ましく、とくにN−iso−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。さらには、キャスト重合時のモノマ溶液の調製の容易さ、および前記特性を満足させ得るという点から、N−iso−プロピルマレイミドとN−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミドとN−脂環式アルキルマレイミドの併用が最も好ましい。併用時のN−アルキルマレイミドとN−脂環式アルキルマレイミドの比率は、不飽和基を2個以上有する多官能単量体の種類、量などにより、適宜、実験的に定められるべきものであるが、通常は併用の効果を発現させるためには、N−アルキルマレイミド100重量部に対して、N−脂環式マレイミドを10重量部から500重量部の範囲で使用することが好ましい。次いで、不飽和基を2個以上有する多官能単量体について説明する。すなわち、不飽和基を2個以上有する多官能単量体とは、前記マレイミドと共重合可能な不飽和官能基を2個以上有するモノマであり、共重合可能な官能基としては、ビニル基、メチルビニル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。また、一分子中に異なる共重合可能な官能基が2個以上含まれるモノマも本発明で言うところの多官能単量体に含まれる。
【0046】以上のような不飽和基を2個以上有する多官能単量体の好ましい具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ジ/トリ/テトラ)(メタ)アクリレートなどの多価アルコールのジ−,トリ−,テトラ−(メタ)アクリレート類、p−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼンなどの芳香族多官能モノマ、(メタ)アクリル酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸アリルエステルなどのエステル類、ブタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエンなどのジエン類、ジクロロホスファゼンを原料として重合多官能基を導入したホスファゼン骨格を有するモノマ、トリアリルイソシアヌレートなどの異原子環状骨格を有する多官能モノマなどが挙げられる。上記マレイミド系共重合体組成物中には、前述の一般式(3)で表わされる単量体が20〜98重量%含有されていることが好ましく、20重量%未満の場合には充分な耐熱性、機械的強度、光学等方性などの特性を満足させることができない場合がある。また、98重量%を越える場合には、架橋度が低下し、耐溶剤性、低吸水率化などか不充分である場合がある。さらに、30〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜60重量%である。
【0047】一方、不飽和基を2個以上有する多官能単量体は、架橋重合体組成物中に2〜80重量%の割合で含有されていることが好ましく、2重量%未満の場合には架橋が充分に進行せず、耐熱性、耐溶剤性などの低下が認められる傾向がある。また、80重量%を越えると、耐衝撃性などが低下し、プラスチックとしての特性低下が著しくなるといった問題が生じる場合がある。
【0048】さらに、上記マレイミド系共重合体組成物中には、機械的強度の向上、光学等方性向上、高屈折率化、低吸水率化、染色性向上、耐熱性向上、耐衝撃性向上などを目的として、各種の共重合可能なモノマが好ましく併用される。かかる併用可能なモノマとしては、芳香族ビニル系単量体、オレフィン系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸およびそのエステル系単量体、多価カルボン酸無水物などが挙げられる。かかる芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられる。通常は、性能および工業的に入手し易いなどの点からスチレン、α−メチルスチレンおよびp−メチルスチレンなどが用いられる。また、その他のビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸(エステル)系単量体、無水マレイン酸などが好ましい具体例として挙げられる。低吸水率性が必要な用途には、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカンの共重合が効果的である。
【0049】上記マレイミド系共重合体組成物における一般式(4)で表されるモノマと、不飽和基を2個以上有する多官能単量体との合計含有量は、架橋樹脂組成物中、30重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40重量%以上である。すなわち、30重量%未満では、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性などが不十分なポリマとなる場合がある。
【0050】また、樹脂成形体には、耐光性、耐酸化劣化性、帯電防止性を向上させる目的から各種紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤を添加することも有用である。とくに耐薬品性や耐熱性を低下させずに、これらの性能を向上させることが可能なことから紫外線吸収性、あるいは、酸化防止性を有するモノマを共重合することが好ましい。かかるモノマの好ましい例としては、不飽和二重結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤、不飽和二重結合を有するフェニルベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミノ基を置換基として有する(メタ)アクリルモノマなどが挙げられる。これらの共重合モノマは0.5〜20重量%の範囲で使用されることが好ましい。0.5重量%未満の場合には添加効果が認められず、また、20重量%を越える場合には、耐熱性、機械的強度などが低下する傾向がある。
【0051】樹脂成形体の重合方法に関しては、特に制限はなく、通常公知の方法で重合することができる。樹脂成形体がビニル系共重合体の場合、ラジカル開始剤の存在下または非存在下に上記の単量体混合物を所定の温度条件下に保つことによって重合することができる。塊状重合、溶液重合、懸濁重合および注型重合等各種の方法を用いることができる。本発明の樹脂成形体の重合度に関しては、特に制限はないが、重合率は高い方が好ましく、透明被膜などの溶液コーティング、真空蒸着などの後加工を考慮すると90%以上が好ましい。本発明の透明樹脂の重合は、30〜250℃の温度範囲で行うことが可能であるが、重合温度を130℃以上、より好ましくは150℃以上にすることにより重合率を高めることができる。
【0052】また、樹脂成形体の成形法に関しても特に制限はないが、効果的な成形法としては、注型重合法が挙げられる。
【0053】本発明における樹脂成形体の機械的特性は、170℃での曲げ弾性率を指標として表した場合、耐熱性が重要な用途では、20 kg/mm2 〜300 kg/mm2 であることが好ましい。20 kg/mm2 未満であると、剛性不足であり機械的特性に問題が生じ、また、300 kg/mm2 を越えると、ハンドリングにおいて架橋樹脂に割れなどが発生し、歩留りが悪いなどの問題を生じる場合がある。上記の曲げ弾性率を達成するために、本発明においては、上記で得られた架橋樹脂および透明被膜を熱処理することが好ましい。熱処理方法としては、ヒーターなどによる方法、赤外線などの光照射による方法など公知の方法を用いることができる。
【0054】また、熱処理雰囲気としては、気体中、溶液中、減圧下などが挙げられる。好ましくは、被処理体の酸化などによる黄変、作業の容易性の観点から、特に減圧下ないしは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの気体雰囲気中が適用される。これらは、一種のみならず、二種以上混合しても使用可能である。熱処理温度としては、適用される基体および透明被膜によって決定されるべきであるが、通常は100〜300℃、より好ましくは120〜250℃が適用される。これより低温では、明らかな効果が認められず、また、これより高温になると熱分解、亀裂発生などが起り、さらには黄変などの問題を生じ易くなる。さらに、熱処理時間としては、適用される架橋樹脂の形状、透明被膜および熱処理温度を考慮し、適宜選択されるが、好ましくは1秒〜24時間、より好ましくは1分から12時間である。これより短いと明らかな効果が認められず、またこれより長くなると黄変、作業性の点で問題が生じ易くなる。さらに、熱処理の際の被処理体の固定方法としては、公知の方法を用いることができるが、被処理体の形状、厚みおよび熱処理温度、熱処理時間によって実験的に定められるべきであるが、例えば、被処理体がシート状の場合は、平板状支持体上での熱処理が好ましく、特に該被処理体の表面平滑性が必要となる場合は、平板状支持体の表面平滑性が重要となり、支持体としては研磨硝子、すり硝子などの硝子材料、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料、テフロン、ポリイミドなどの高分子材料が好ましく用いられる。
【0055】以上により得られた透明被膜付き樹脂成形体上にITOなどの透明導電膜を形成し、透明導電膜材料としての利用が可能である。透明導電膜材料としてはコンデンサ、抵抗体などの電気部品回路材料、電子写真や静電記録などの複写用材料、液晶ディスプレイ用、エレクトロクロミックディスプレイ用、エレクトロルミネッセンスディスプレイ用、タッチパネル用の信号入力用透明電極、太陽電池、光増幅器などの光電変換素子の他、帯電防止用、電磁波遮蔽用、面発熱体、センサーなどの各種用途に用いることができる。ITOなどの透明導電膜を形成した樹脂成形体を用いた場合、その導電性は高温においても維持されることから耐熱性透明導電膜材料として用いることができる。
【0056】また、例えば液晶ディスプレイ用基板用途に使用する場合、樹脂成形体上に形成された本発明の透明被膜上の片面または両面に、ガスバリア性向上、透明導電膜の耐久性向上を目的として、金属酸化物膜および/または金属窒化物膜が形成され、その上に透明導電膜が形成されることが好ましい。金属酸化物膜および/または金属窒化物膜の形成方法は特に制限はなく、高周波放電スパッタリング法、直流放電スパッタリンク法等の通常公知の成膜方法を用いることができる。例えば、高周波放電スパッタリング法による、金属酸化物膜および/または金属窒化物膜は、誘電体、または絶縁体である金属酸化物または金属窒化物をスパッタリングゲートとして用い、不活性ガス雰囲気下および/または活性ガス雰囲気下で成膜される。金属酸化物膜および/または金属窒化物膜としては、例えば、Al、Si、Zr、Ti、Y、Yb、Mg、Ta、Ce、Hf等から選ばれた1種、あるいは2種以上の混合物の金属の酸化物および/または窒化物が挙げられるが、コスト、透明性、ガスバリア性、金属酸化物膜および/または金属窒化物膜上に設けられる透明導電膜の耐久性の観点から、Al、Si、Tiから選ばれた1種、あるいは2種以上の混合物の金属の酸化物および/または窒化物が好適である。また、スパッタリング用ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn等の不活性ガス好ましく用いられるが、コスト、入手の容易性、スパッタリング率の観点から、Arが特に好ましく使用される。また、活性ガスとしては、O2 、N2 、CO、CO2 等が用いられるが、金属酸化物膜成膜に際しては、スパッタリング中のO2 欠損を補う目的で、O2 が好ましく用いられる。O2 濃度(不活性ガスに対する分圧)としては、透明被膜の種類、基板温度、ターゲット材料、スパッタリングレイト、投入電力によって適宜選択されるが、0.1〜10%が一般的である。本発明においては、透明被膜のプラズマダメージの軽減の観点から5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。金属酸化物膜および/または金属窒化物膜の膜厚については、特に限定されないが、成膜時間、ガスバリア性付与、透明導電膜の耐久性の観点から、50〜2000オングストロームが好ましく、100〜1200オングストロームがさらに好ましい。
【0057】本発明の透明被膜付き樹脂成形体上に設けられる透明導電膜としては、ITO、酸化錫、酸化カドミウムなどの金属酸化物、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、クロムなどの金属、導電性高分子などの導電性薄膜が用いられる。中でも透明性、低抵抗などの諸特性を考慮した場合、ITOが好ましく用いられる。ITO膜などの金属酸化物薄膜、金属薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、コーティング法、スプレイ法などの公知の手法を用いることができる。例えば、スパッタリング法としては、直流方式、高周波方式、マグネトロン方式などの公知の方法が用いられる〔スパッタリング現象(金原粲著、東京大学出版会発行、1984)参照〕。成膜時の基板温度は、透明性、低抵抗化、接着性、耐熱性、耐薬品性を考慮し、樹脂成形体、透明被膜の種類などによって適宜選択される。また、ITOの組成比は透明導電膜として要求される、表面抵抗値、比抵抗、透明性等によって決定されることが好ましいが、低抵抗化、透明性の観点から、SnO2 の含有量を25重量%以下とすることが好ましく、さらに、より低抵抗値にするためには、ITOターゲットをITOの真密度に近かづけた高密度ITOターゲットの使用が好適である。透明導電膜の膜厚は、特に限定されないが、導電性、成膜時間の観点から、150〜5000オングストロームの範囲から適宜選択されることが好ましい。
【0058】本発明の透明導電膜付き樹脂板は、機械的特性を考慮して、その厚みは0.1〜10mmであることが好ましく、液晶ディスプレイ用基板用途に使用する場合は0.2〜1.0mmが好ましい。0.2mm未満では形態保持性が不充分となり、1.0mmを越えると薄型、軽量効果が少なくなる。
【0059】また、本発明の透明被膜で被覆された樹脂板を用いることにより、表面抵抗値が小さく、透明導電膜の耐久性の優れた、導電膜付き樹脂板を得ることができる。表面抵抗値としては、例えば、液晶ディスプレイ用基板用途に使用する場合、60Ω/cm2 以下の抵抗値が好ましいが、より大型の液晶ディスプレイを作成するためには、40Ω/cm2 以下の抵抗値が好ましく、これを上回ると、表示品位が不充分となる傾向にある。
【0060】本発明の導電膜付き樹脂板はTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、強誘電液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Cristal)型などの単純マトリックス型、MIM(Metal−Insulator−Metal)型、TFT(Thin−Film Transistor)型などのアクティブマトリックス型などの液晶ディスプレイに適用可能であるが、製造プロセスが比較的単純であることから単純マトリックス型液晶ディスプレイに好ましく用いられる。
【0061】本発明の導電膜付き樹脂板を液晶ディスプレイ用基板として使用する場合、導電膜付き樹脂板によって液晶を挟んだ構成をとる。すなわち、従来のガラス基板を使用した液晶ディスプレイにおいて、本発明の導電膜付き樹脂板によりガラス基板を代替した構成となる。具体的には、樹脂成形体上に透明被膜、ガスバリア膜、透明導電層を設け、必要に応じてパッシベーション膜、さらにその上に配向膜が設けられた基板により液晶層を挟持した構造をとる。液晶層を挟持した基板の外側には偏向板が設けられる。液晶ディスプレイには必要に応じてさらに位相差板や光反射板などが用いられる。
【0062】本発明の導電膜付き樹脂板を用いた液晶ディスプレイの製造方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、単純マトリックス型液晶ディスプレイの場合〔液晶デバイスハンドブック(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、1989)p.531参照〕、基板を洗浄後、透明導電膜成膜、透明導電膜微細加工(レジスト塗布、現像、エッチング、レジスト洗浄除去)、配向膜形成、ラビング処理、洗浄、シール剤印刷、基板張合せ、加熱・加圧、真空脱気、液晶注入、注入口封止、液晶セル分断、偏向板・光反射板等の張付けなどの工程を順次経ることによって液晶ディスプレイ素子が得られる。これらの液晶ディスプレイ製造工程においては、導電膜付き樹脂板を使用した液晶ディスプレイ用基板の耐熱性、機械的特性、機械的特性などの諸特性を考慮して製造条件が設定されるべきである。
【0063】本発明の透明被膜付き樹脂成形体の透明性は、無着色時の全光線透過率を指標として表した場合、60%以上が好ましく、より好ましくは80%である。また、光学等方性が要求される用途、例えば、液晶ディスプレイ用基板、光ディスク基板などに適用する場合には、樹脂成形体の複屈折は30nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以下である。
【0064】本発明によって得られる透明被膜は、透明性、耐熱性、耐擦傷性、耐衝撃性、耐薬品性などに優れることから、眼鏡レンズ、サングラスレンズ、カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、ゴーグル用レンズ、コンタクトレンズなどの光学レンズ用に、さらには、光ディスク基板や液晶ディスプレイ用基板、液晶ディスプレイの光導光板、エレクトロクロミックディスプレイ用基板、エレクトロルミネッセンスディスプレイ用基板などの各種ディスプレイの基板材料に、自動車、航空機などのフロント、リア、ルーフなどの窓用基板などの被覆に好適であり、さらに、本発明の透明導電膜付き樹脂板は、抵抗値が小さく、透明導電膜の薬品、加熱、湿熱に対する耐久性が良好なことから、液晶ディスプレイ用基板などの各種ディスプレイの基板材料に好適である。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとにさらに具体的に説明する。
【0066】全光線透過率、黄色度はスガ試験機(株)製、SMコンピューターを用いて測定した。ヘ−ズは、スガ試験機(株)製、全自動直読ヘーズコンピューターメーター HGM−2DP型を用いて測定した。耐溶剤性はアセトンを含浸させたガーゼで表面をラビングし、その時の光沢変化を目視により評価した。また、ガラス転移温度は、Mettler DSC30を用いて測定した。値は、JIS規格K−7121に従って、2nd runのTmgを読み取った。
【0067】透明被膜の耐擦傷性は#0000のスチールウールで表面を擦り、傷つき具合から判定し、成形体との接着性は、被膜表面に1mmの基材に達するゴバン目を被膜の上から鋼ナイフで100個いれて、セロハン粘着テープ(商品名“セロテープ”、ニチバン株式会社製)を強くはりつけ、90度方向に急速にはがし、塗膜剥離の有無を調べた。透明被膜の膜厚は、小坂研究所(株)製 表面粗さ測定器 SE−3300で測定した。
【0068】また、導電膜付き樹脂板の表面抵抗は、三菱油化(株)製Loresta MCP−TESTER−FPを使用し、室温で測定した。ガスバリア性評価は、(株)柳本製作所製差圧式ガス透過率測定システムGTR−30XDを用いて、差圧式定常法により酸素透過率を測定した。さらに、導電膜の耐久性評価として、耐熱性は、180℃に設定したオーブン中で2時間加熱し、室温まで冷却し、導電膜付き樹脂板の外観を目視で観察した。耐薬品性は、3%水酸化ナトリウム水溶液を40℃に加温し、5分間、導電膜付き樹脂板を浸漬し、その後流水で5分間洗浄を行い、精製水で置換した後、ガーゼで水切りを行い、外観を目視で観察した。
【0069】実施例1(1)樹脂成形体の製造方法以下に樹脂成形体の製造方法の一例を示す。
【0070】
N−イソプロピルマレイミド 20.5gN−シクロヘキシルマレイミド 6.0gスチレン 18.5gジビニルベンゼン 5.0gアゾビスイソブチロニトリル 0.05gを混合溶解させ、キャスト重合により、注型成形した。キャスト重合は、次のように行った。
【0071】大きさ150mm×150mm、厚さ5mmの2枚のガラス板の外周辺部を、軟質塩化ビニル製ガスケットで貼り、2枚のガラス板の距離が0.5mmになるように組立てた。この組立てたガラス板の中へ、前記の単量体混合物を注入し、70℃で8時間、100℃で1時間、さらに150℃で1時間重合させ、透明な樹脂成形体を得た。
【0072】この樹脂成形体のガラス転移温度は185℃であり、全光線透過率は90%であった。また、耐溶剤性も良好なものであった。
【0073】(2)透明被膜の形成回転子を備えた反応器中にフェニルトリメトキシシラン10gを仕込み、液温を20℃に保ち、マグネチックススターラーで撹拌しながら0.01規定の塩酸水溶液2.7gを徐々に滴下した。滴下終了後冷却をやめて、フェニルトリメトキシシランの加水分解物を得た。
【0074】前記フェニルトリメトキシシラン加水分解物にジアセトンアルコール43g、ジメチルホルムアミド30g、ベンジルアルコール73g、シリコン系界面活性剤0.7g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート827)43gを添加混合し、さらにコロイド状シリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−1235、平均粒子径45mμ)337g、アルミニウムアセチルアセトネート2.8gを添加し、充分撹拌した後、コーティング組成物とした。
【0075】前記(1)によって得られた樹脂成形体にコーティング組成物を引上げ速度20cm/分の条件で浸漬塗布し、ついで90℃/10分の予備硬化を行い、さらに150℃/1時間加熱して、樹脂成形体上に透明被膜を設けた。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。
【0076】(3)導電膜付き樹脂板の製造方法前記(2)によって得られた透明被膜付き樹脂成形体上に、SiO2 を高周波マグネトロンスパッタリング法により、タ−ゲット材料にSiO2 を使用し、到達真空度を5×10-5Toorに設定し、スパッタ導入ガスにArを用い、スパッタ成膜真空度2×10-3Toor、投入電力1.5kw、基板温度120℃、スパッタリングレイトを50オングストローム/分のスパッタリング条件で、600オングストローム成膜し、さらにその上に、インジウム・スズ混合酸化物(ITO)を主成分とする透明導電薄膜を直流マグネトロンスパッタリング法により、タ−ゲット材料にITO(SnO2 10wt%)を用い、到達真空度を5×10-5Toorに設定し、スパッタ導入ガスにArおよびO2 を用い、スパッタ成膜真空度2×10-3Toor、投入電力1.5kw、基板温度120℃、スパッタリングレイトを100オングストローム/分のスパッタリング条件で、2000オングストローム成膜した。ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、20Ω/cm2 であった。この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、外観に何ら変化がなく、また、表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ20Ω/cm2 であり、優れた耐熱性、耐薬品性を有することを確認した。また、酸素透過率は、0.4cc/m2 ・day・atmを示し、良好なガスバリア性を有していた。
【0077】実施例2実施例1において、油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート827”を、同社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート834”50gに変更し、コーティング組成物中のジアセトンアルコールを15g、ジメチルホルムアミドを40g、ベンジルアルコールを116g、コロイド状シリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−1235、平均粒子径45mμ)を312gに変更した以外は、実施例1と同様に透明被膜を形成した。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、23Ω/cm2 であった。この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、外観に何ら変化がなく、また、表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ23Ω/cm2 であり、優れた耐熱性、耐薬品性を有することを確認した。また、酸素透過率は、0.4cc/m2 ・day・atmを示し、良好なガスバリア性を有していた。
実施例3実施例2において、エポキシ樹脂を“エピコート834”35g、“エピコート827”15gの混合物にした以外は、同様に透明被膜を形成した。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、22Ω/cm2 であった。この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、外観に何ら変化がなく、また、表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ22Ω/cm2 であり、優れた耐熱性、耐薬品性を有することを確認した。また、酸素透過率は、0.4cc/m2・day・atmを示し、良好なガスバリア性を有していた。
【0078】実施例4実施例1において、エポキシ樹脂を“エピコート827”48g、油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート1001”12gの混合物にし、コーティング組成物中のジアセトンアルコールを73g、ジメチルホルムアミドを42g、ベンジルアルコールを106g、コロイド状シリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−1235、平均粒子径45mμ)を280gに変更した以外は、実施例1と同様に透明被膜を形成した。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、21Ω/cm2 であった。この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、外観に何ら変化がなく、また、表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ21Ω/cm2 であり、優れた耐熱性、耐薬品性を有することを確認した。また、酸素透過率は、0.4cc/m2 ・day・atmを示し、良好なガスバリア性を有していた。
【0079】比較例1実施例1において、コロイド状シリカゾルを使用せず、油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂に変更し、コーティング組成物中のジアセトンアルコールを130g、ジメチルホルムアミドを74g、ベンジルアルコールを181gにした以外は、実施例1と同様に透明被膜を形成した。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、21Ω/cm2 であったが、この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、ITO膜表面に多数のクラックが見られ、耐熱性、耐薬品性が不充分であった。
【0080】比較例2実施例1において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート827”を14g、コロイド状シリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−1235、平均粒子径45mμ)を450gに変更し、コーティング組成物中のジアセトンアルコールを31g、ジメチルホルムアミドを16g、ベンジルアルコールを41gにした以外は、実施例1と同様に透明被膜を形成した。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、24Ω/cm2 であったが、この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、ITO膜表面に多数のクラックが見られ、耐熱性、耐薬品性が不充分であった。
【0081】比較例3回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン105.4gを仕込み、液温を10℃に保ち、マグネチックススターラーで撹拌しながら0.01規定の塩酸水溶液24.1gを徐々に滴下した。滴下終了後冷却をやめて、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物を得た。
【0082】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物にエタノール31.3g、n−プロピルアルコール31.3g、シリコン系界面活性剤0.75gを添加混合し、さらにコロイド状シリカゾル(触媒化成工業社製、商品名OSCAL−1132、平均粒子径13mμ)248.8g、アルミニウムアセチルアセトネート7.5gを添加し、充分撹拌した後、コーティング組成物とした。
【0083】上記コーティング組成物を使用し、実施例1と同様に透明被膜を設けた。得られた透明被膜付き樹脂成形体の諸特性を表1に示す。また、該透明被膜付き樹脂成形体に、実施例1と同様にSiO2 膜、ITO膜を形成したところ、ITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、50Ω/cm2 であり、この導電膜付き樹脂板を用い耐熱性、耐薬品性評価をしたところ、ITO膜表面に多数のクラックが見られ、耐熱性、耐薬品性が不充分であった。
【0084】比較例4実施例1において、樹脂成形体を厚み0.5mm、ガラス転移温度70℃、全光線透過率92%、室温における曲げ弾性率230kg/mm2 、曲げ強さ7kg/mm2 の、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートから得られた熱硬化性樹脂板(三井石油化学工業社製、商品名RAV7シート)に変更した以外は、実施例1と同様に透明被膜を設け、SiO2 膜、ITO膜を形成し、導電膜付き樹脂板を作成した。しかし、ITO膜表面に多数のクラックが見られ、導電膜付き樹脂板として、使用困難であった。
【0085】
【表1】


【0086】
【発明の効果】本発明の透明被膜を成形体上に設けることにより、耐熱性、耐擦傷性、透明性に優れ、さらにその上に透明導電膜、反射防止膜、ガスバリア膜等の機能性膜を設けた場合、該機能性膜の耐久性が優れ、低電気抵抗の導電膜付き樹脂板を得ることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を20〜49重量%、および、微粒子状無機酸化物を51〜80重量%含有し、かつ、該一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と該微粒子状無機酸化物の合計重量割合が70重量%以上である硬化物からなる透明被膜で両面が被覆されたガラス転移温度が150℃以上の樹脂成形体の両面または片面に、金属酸化膜および/または金属窒化膜を有し、さらにその上に、少なくとも一層の透明導電層を有することを特徴とする液晶ディスプレイ用導電膜付き樹脂板。
【化1】


(ただし、R1、R2は、アルキレン基、アルキリデン基、CO、SO2、SおよびOから選ばれる。R3は、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜12のエステル残基および水素原子から選ばれる。R4〜R7は、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜4の炭化水素基から選ばれ、a、b、c、dは1〜4の整数を示す。xは0〜10の整数を示し、y、zは0か1の整数を示す。)
【請求項2】請求項1において、微粒子状無機酸化物が平均粒子径10〜100mμのシリカ、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアおよび酸化タングステンから選ばれる一種または、二種以上の混合物であることを特徴とする液晶ディスプレイ用導電膜付き樹脂板。
【請求項3】請求項1において、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂が平均エポキシ当量150〜600g/当量のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることを特徴とする液晶ディスプレイ用導電膜付き樹脂板。
【請求項4】該硬化物が、下記一般式(2)で示される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物から選ばれる化合物を1〜30重量%含有した共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用導電膜付き樹脂板。
8a9bSiX4-a-b (2)
(ここで、R8 は炭素数1〜10の有機基であり、R9 は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、Xは加水分解基であり、aおよびbは0または1である。)


【特許番号】特許第3360338号(P3360338)
【登録日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【発行日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【国際特許分類】
物理学 | 光学 | 光の強度,色,位相,偏光または方向の制御,例.スイッチング,ゲーテイング,変調または復調のための装置または配置の媒体の光学的性質の変化により,光学的作用が変化する装置または配置;そのための技法または手順;周波数変換;非線形光学;光学的論理素子;光学的アナログ/デジタル変換器 | 構造配置
処理操作;運輸 | 積層体 | 積層体,すなわち平らなまたは平らでない形状,例.細胞状またはハニカム状,の層から組立てられた製品 | エポキシ樹脂からなるもの
化学;冶金 | 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物 | 仕上げ;一般的混合方法;サブクラスC08B,C08C,C08F,C08GまたはC08Hに包含されない後処理 | 被覆
【出願番号】特願平5−30502
【出願日】平成5年2月19日(1993.2.19)
【公開番号】特開平6−238853
【公開日】平成6年8月30日(1994.8.30)
【審査請求日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭62−89902(JP,A)
【文献】特開 昭61−169240(JP,A)
【文献】特開 平1−232034(JP,A)
【文献】特開 平2−5308(JP,A)