説明

透明LEDチップ

【課題】LEDランプの外部出力を増加させる、改良点を提供すること。
【解決手段】発光ダイオードであって、4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、複数の活性放射層以外の層において500毎センチメートル未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、該複数のエピタキシャル層上のうちの少なくとも1つの上のオーム接触および金属被覆層であって、該オーム接触および該金属被覆層は、少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触および金属被覆層とを備えている、発光ダイオード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに関し、特に、発光ダイオード(LED)からの光を変換する蛍光体とともに用いられることによって、LEDによって放射される周波数と蛍光体によって変換される周波数との、部分的または完全な結合である出力を生成する、発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、デバイスの全域、および最も基本的にはp−n接合にわたる電流の印加が、電子と正孔との間の再結合イベントを生成する蛍光デバイスの類である。次いで、該イベントは、放射された光子の形状において、少なくとも一部のエネルギーを生ずる。
【0003】
再結合イベントは、量子力学の原理によって定義および解釈されるので、該イベントによって生成されたエネルギー(および故に光子)は、該イベントが発生する半導体材料の特性に依存する。この点において、半導体材料のバンドギャップは、発光ダイオードの性能に関係する最も基本的な特徴である。再結合イベントは、半導体材料の価電子帯と伝導帯との間で発生するので、該イベントは、バンドギャップよりも大きな量のエネルギーを決して生成し得ない。従って、より小さなバンドギャップの材料は、より低いエネルギー(および、故により低い周波数)の光子を生成し、一方で、より大きなバンドギャップの材料は、より高いエネルギー、およびより高い周波数光子を生成し得る。
【0004】
発光ダイオードは、他の半導体デバイスの、多くの有利な特性を共有する。これらは、一般的に、丈夫な物質の特性、長寿命、高い信頼性、および特定の材料において一般的に低コストであることを含む。
【0005】
発光ダイオード、または少なくとも半導体の発光特性は、長年にわたって認識されてきた。1907年の発表(非特許文献1)は、炭化珪素を介して印加した電流は、観察されたが説明の出来ない光の放射を生成したことを報告した。LEDのより広範囲に広がった工業用の使用は、1970年代に始まり、リン化ガリウム(GaP)およびヒ化リン化ガリウム(GaAsP)などのより小さなバンドギャップ材料から形成された、より低い周波数のLED(主として赤色または黄色)を組み入れたインジケータの種類の使用であった。
【0006】
1990年代に、理論上の実現ではなく、工業用としての青色発光ダイオードの開発が、照明目的のためのLEDへの関心を大いに高めた。この点に関しては、「表示」は、自己発光の物体として観察される光源(例えば、電子機器上のインジケータライト)を指し、一方で、「照明」は、他の物体によって反射された光の中のそれらの物体を観察するために用いられる光源(例えば、室内照明またはデスクランプ)を指す。National Lighting Product Information Program、http://www.lrc.rpi.edu/programs/NLPIP/glossary.asp(2006年12月)を参照されたい。
【0007】
発光ダイオードは、インジケータ目的のために幅広く受け入れられてきたが、発光ダイオードの照明のための可能性のある使用は、室内および室外の照明具、バックライティング(例えば、ディスプレイのために)、携帯照明具(例えば、懐中電灯)、工業用照明、信号、建築および景観への適用、ならびに、娯楽および宣伝用の設置などを含む。
【0008】
青色発光ダイオードの利用可能性は、相応じて白色光を生成するための少なくとも2つの技術に対する機会を提供する。第1の技術において、青色LEDは、赤色および緑色のLEDとともに用いることによって、その組み合わせが、白色光を形成し、または、フルカラーディスプレイのように、3原色の任意の他の組み合わせを形成し得る。
【0009】
工業的に幅広く受け入れられてきた第2の技術において、青色発光ダイオードは、黄色発光蛍光体、すなわちLEDによって放射された青色光を吸収し、該青色光を変換し、かつ黄色光として放射する蛍光体とともに、ランプの中で結合される。青色光と黄色光との組み合わせは、多くの照明の環境において有用な白色光の色調を生成する。
【0010】
柔軟に用いられているが、単語「ダイオード」(または、「発光ダイオード」)が、p−n接合を含む基本的な半導体構造に、最も相応しく適用される。用語「ランプ」が、最も相応しく適用されるものは、ダイオードが、該ダイオードを回路に接続し得る電極に取り付けられており、また、ダイオードが周囲の環境にさらされることを防ぎ、光の出力を増加し方向付けることを促進するポリマーレンズ内にある、まとまったデバイスである。それにもかかわらず、用語「LED」が、より正確にはランプなどを指し得るまとまったダイオードを指すために頻繁に用いられ、その逆も同じである。一般的に、該用語の意味は、文脈において明らかである。
【0011】
青色周波数は、可視スペクトル内で最も高いエネルギーを表す(赤色周波数が最も低い)ので、該青色周波数は、相対的に高いエネルギーの再結合イベントによって生成されなくてはならない。これは、今度は半導体材料が相対的に広いバンドギャップを有することを要求する。従って、青色発光ダイオードに対する候補の材料、故に白色発光LEDランプに対する候補の材料は、炭化珪素(SiC)、III族の窒化物(例えば、GaN)、およびダイヤモンドを含む。
【0012】
炭化珪素の理解および製造は、過去20年間において大いに増加したが、量子の点においては、炭化珪素は、間接的な放射源である。これは、再結合イベントがSiCにおいて起こるときには、顕著な量のエネルギーが、光子としてではなく、振動として放射されるということを意味する。故に、炭化珪素は、青色の光子を生成するが、炭化珪素が直接的な放射源であった場合に生成し得るよりも、低い効率性で青色の光子を生成する。
【0013】
従って、青色発光ダイオードにおける最も大きな関心は、III族の窒化物材料、例えば窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、および窒化インジウムガリウム(InGaN)に集中する。III族の窒化物は、青色の光子を生成するために十分なバンドギャップを有し、また、直接の放射源であり、故にその効率を向上させる。
【0014】
しかし、照明は、表示を行うことよりもより高い量の光の出力を必要とする傾向がある。この点においては、あらゆる所与の時間においてダイオードによって生成される個々の光子の数は、ダイオードにおいて生成される再結合イベントの数に依存し、通常は、光子の数は、再結合イベントの数よりも少ない(すなわち、全てのイベントが光子を生成するわけではない)。今度は逆に、再結合イベントの数は、ダイオードにわたって印加される電流の量に依存する。再び述べると、再結合の数は、通常は接合にわたって導入される電子の数よりも少ない。故に、これらの電子特性は、ダイオードの外部出力を低減し得る。
【0015】
加えて、光子が生成されるときには、該光子も、観察者によって知覚されるためにダイオードおよびランプから離れなくてはならない。大半の光子は、困難なくランプから離れるが、多くのよく理解された要因が、光子が離れることを妨げるように作用し、そのことが、結果的にLEDランプの外部出力を低減させ得る。これらは、光子が放射されるのではなく、再び吸収されるまでの内部反射を含む。ダイオードにおける材料間の屈折の指数もまた、放射される光子の方向を変化させ、光子を、光子を吸収する物質に到達させ得る。同一の結果が、蛍光体によって放射された黄色の光子についても起こり得る。LEDランプにおいて、そのような「物質」は、基板、パッケージングの部品、金属接触層、および光子がランプから出ていくことを妨げる、他のあらゆる材料または要素を含み得る。
【0016】
今日まで、大きなIII族の窒化物の結晶の、塊の結晶の成長は、依然として困難である。従って、LEDにおいてp−n接合を生成する、薄くて高品質のエピタキシャル層を形成するためには、III族の窒化物材料が、通常は基板上に成長しなくてはならない。一部の構築におけるように、基板が、発光ランプの一部として残存するときには、該基板は、接合によって放射された光子を吸収する、もう1つの機会を提供し得、故に、全体的なダイオードの外部量子効率を低減させる。
【非特許文献1】H.J.Round、Electrical World 49、309
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
短く要約すると、多くの要因が、LEDランプの外部への光の出力を低減させ得る。従って、そのようなLEDランプの外部出力を増加させる、継続的な改良に対する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一局面において、本発明は、発光ダイオードであって、該発光ダイオードは、(それぞれ青色および緑色のLEDに対して)スペクトルの青色領域において4毎センチメートル(cm−1)未満の、またはスペクトルの緑色の領域において2cm−1未満の吸収係数を有する透明な基板と、複数の活性放射層以外の層において500cm−1未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、該複数のエピタキシャル層上のうちの少なくとも1つの上のオーム接触および金属被覆層であって、該オーム接触および該金属被覆層は、少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触および金属被覆層と、少なくとも約70パーセントより大きな反射率を有するボンドパッドとを備えている。
【0019】
別の局面において、本発明は、LEDランプであって、該LEDランプは、反射器と、透明な接着剤を有する該反射器に取り付けられたLEDチップと、該n型でIII族の窒化物層の上の実質的に透明なp型層と、該p型層上の透明な電流分布層と、該n型層に対するオーム接触および該p型層に対するオーム接触と、p−n接合から放射される光を該p−n接合に向けなおすための、該オーム接触のそれぞれに隣接したミラーとを備えている。
【0020】
さらに別の局面において、本発明は、発光ダイオードであって、該発光ダイオードは、p−n接合を形成するIII族の窒化物のそれぞれのp型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層と、該n型層および該p型層のそれぞれに対するそれぞれのオーム接触およびボンドパッドと、該それぞれのボンドパッドのうちの少なくとも1つにおけるミラーであって、該ミラーは、該p−n接合に向かって反射する表面を有することによって、該ボンドパッドに到達するダイオードによって放射される光子を、該ボンドパッドの中に吸収されるのではなく、該ボンドパッドから反射されるように促進する、ミラーとを備えている。
【0021】
本発明の前述の目的および利点、他の目的および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面に関連して取られた以下の詳細な記述を基にして、明らかとなる。
【0022】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0023】
(項目1)
4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、
複数の活性放射層以外の複数の層において500毎センチメートル未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つの上のオーム接触および金属被覆層であって、少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触および金属被覆層と
を備えている、発光ダイオード。
【0024】
(項目2)
少なくとも約70パーセントよりも大きな反射率を有するボンドパッドをさらに含む、項目1に記載の発光ダイオード。
【0025】
(項目3)
上記複数のエピタキシャル層と上記透明な基板との間にIII族の窒化物のバッファ層をさらに含み、該バッファ層は、1000毎センチメートル未満の吸収係数を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0026】
(項目4)
上記透明な基板は、1毎センチメートル未満の吸収係数を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0027】
(項目5)
上記オーム接触および金属被覆層は、少なくとも約95パーセントの透過率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0028】
(項目6)
上記ボンドパッドは、少なくとも約90パーセントよりも大きな反射率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0029】
(項目7)
ヘッダと、
該ヘッダ上の項目1に記載の発光ダイオードと、
該ヘッダ上の該ダイオードをカプセル化するレンズと、
該レンズの中に分散された蛍光体と
を備えている、発光ダイオードランプ。
【0030】
(項目8)
上記レンズは、ポリシロキサン樹脂を含む、項目7に記載のランプ。
【0031】
(項目9)
上記複数のエピタキシャル層は、III族の窒化物材料システムから選択される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0032】
(項目10)
上記複数のエピタキシャル層は、可視スペクトルの青色部分において放射する、項目9に記載の発光ダイオード。
【0033】
(項目11)
上記複数のエピタキシャル層は、上記可視スペクトルの緑色部分において放射する、項目9に記載の発光ダイオード。
【0034】
(項目12)
上記蛍光体は、上記可視スペクトルの青色部分における周波数を、該可視スペクトルの黄色部分における周波数に変換する、項目7に記載のランプ。
【0035】
(項目13)
上記蛍光体は、セシウムにドープされたYAGを含む、項目7に記載のランプ。
【0036】
(項目14)
上記透明な基板は、炭化珪素を含む、項目1に記載の発光ダイオード。
【0037】
(項目15)
補完された炭化珪素の基板を含む、項目14に記載の発光ダイオード。
【0038】
(項目16)
上記炭化珪素の基板に存在する任意のドーパント原子は、上記スペクトルの緑色領域において0.5cm−1よりも上に、該スペクトルのUV領域において1cm−1よりも上に、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1よりも上に上記吸収係数を上昇させ得る量よりも少ない量で存在する、項目14に記載の発光ダイオード。
【0039】
(項目17)
上記オーム接触は、プラチナ、ニッケル、金、亜鉛およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、
上記金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0040】
(項目18)
上記オーム接触および金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される酸化金属を含む、項目1に記載の発光ダイオード。
【0041】
(項目19)
上記ボンドパッドのうちの少なくとも1つは、アルミニウム、銀およびクロムから成る群から選択されるミラーを含む、項目2に記載の発光ダイオード。
【0042】
(項目20)
n型伝導性炭化珪素基板と、該基板に対するオーム接触とを含む、項目19に記載の発光ダイオード。
【0043】
(項目21)
p型エピタキシャル層と、
該p型エピタキシャル層に対するオーム接触と、
n型エピタキシャル層と、
該n型エピタキシャル層に対するオーム接触と
を備えている、項目1に記載の発光ダイオード。
【0044】
(項目22)
反射器と、
透明な接着剤を有する該反射器に取り付けられたLEDチップであって、n型のIII族の窒化物の透明なエピタキシャル層を含む、LEDチップと、
該n型のIII族の窒化物層の上の実質的に透明なp型層と、
該p型層上の透明な電流分布層と、
該n型層に対するオーム接触および該p型層に対するオーム接触と、
p−n接合から放射される光を該p−n接合に向けなおすための、該オーム接触のそれぞれに隣接したミラーと
を備えている、LEDランプ。
【0045】
(項目23)
上記LEDチップは、絶縁の炭化珪素から形成された透明な基板を含む、項目22に記載のLEDランプ。
【0046】
(項目24)
上記オーム接触のそれぞれに対するそれぞれのボンドパッドを含み、該それぞれのボンドパッドは上記ミラーのうちの1つを有する、項目22に記載のLEDランプ。
【0047】
(項目25)
上記透明な接着剤は、エポキシを含む、項目22に記載のLEDランプ。
【0048】
(項目26)
上記LEDチップから上記ランプを回路または別のデバイスに取り付ける、上記ポリマーのパッケージを通る電極をさらに含む、項目22に記載のLEDランプ。
【0049】
(項目27)
上記ポリマーパッケージの中の上記LEDチップの上にカプセル用材料をさらに含む、項目22に記載のLEDランプ。
【0050】
(項目28)
上記カプセル用材料は、ポリシロキサン樹脂を含む、項目27に記載のLEDランプ。
【0051】
(項目29)
上記カプセル用材料において分散した蛍光体をさらに含む、項目22に記載のLEDランプ。
【0052】
(項目30)
上記蛍光体は、上記可視スペクトルの青色周波数における光を、該可視スペクトルの黄色周波数における光に変換する、項目29に記載のLEDランプ。
【0053】
(項目31)
上記蛍光体は、YAGを含む、項目29に記載のLEDランプ。
【0054】
(項目32)
p−n接合を形成するIII族の窒化物のそれぞれのp型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層と、
該n型層および該p型層のそれぞれへのそれぞれのオーム接触およびボンドパッドと、
該それぞれのボンドパッドのうちの少なくとも1つにおけるミラーであって、該p−n接合に向かって反射する表面を有することによって、該ボンドパッドに到達するダイオードによって放射される光子を、該ボンドパッドの中に吸収されるのではなく、該ボンドパッドから反射されるように促進する、ミラーと
を備えている、発光ダイオード。
【0055】
(項目33)
上記ボンドパッドのそれぞれの中にミラーを含む、項目32に記載の発光ダイオード。
【0056】
(項目34)
上記ミラーは、少なくとも70パーセントを反射する、項目32に記載の発光ダイオード。
【0057】
(項目35)
上記スペクトルの緑色領域において0.5cm−1未満、該スペクトルのUV領域において1cm−1未満、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1未満の上記吸収係数を有する基板をさらに含む、項目32に記載の発光ダイオード。
【0058】
(項目36)
炭化珪素の基板を含む、項目35に記載の発光ダイオード。
【0059】
(項目37)
上記p型層に対する上記オーム接触は、プラチナ、ニッケル、金、亜鉛およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目32に記載の発光ダイオード。
【0060】
(項目38)
上記オーム接触上に透明な金属層をさらに含む、項目37に記載の発光ダイオード。
【0061】
(項目39)
上記透明な金属層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される、項目38に記載の発光ダイオード。
【0062】
(項目40)
上記透明な金属層は、少なくとも80パーセントの透過率を有する、項目38に記載の発光ダイオード。
【0063】
(項目41)
電磁気スペクトルの可視部分において放射する活性部分と、
スペクトルの緑色領域において0.5cm−1未満、該スペクトルのUV領域において1cm−1未満、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1未満の吸収係数を有する基板であって、参照される波長は、該活性部分によって放射されるピーク波長に一致する、基板と、
該活性部分以外であり、該活性部分によって放射される該ピーク波長において500cm−1未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つの上のオーム接触層であって、該活性部分によって放射される該ピーク波長において少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触層と、
該活性部分によって放射される該ピーク波長において、少なくとも約70パーセントよりも大きな反射率を有する該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つと関連付けられたボンドパッドと
を備えている、発光ダイオード。
【0064】
(項目42)
項目41に記載の発光ダイオードであって、
上記ダイオードをカバーするカプセル用材料と、
該カプセル用材料の中の発光体と
をさらに備え、
上記基板は、該発光体によって放射される優勢な波長において4毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
上記複数のエピタキシャル層は、該発光体によって放射される優勢な波長において500毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
上記オーム接触は、該発光体によって放射される優勢な波長において少なくとも80パーセントの透過率を有し、
上記ボンドパッドは、該発光体によって放射される優勢な波長において約70パーセントよりも大きな反射率を有する、発光ダイオード。
【0065】
(項目43)
上記基板は、上記活性部分によって放射される上記ピーク波長および上記蛍光体によって放射される上記優勢な波長において2毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
上記オーム接触は、該活性部分によって放射される該ピーク波長および該蛍光体によって放射される該優勢な波長において少なくとも約90パーセントの透過率を有し、
上記ボンドパッドは、該活性部分によって放射される該ピーク波長および該蛍光体によって放射される該優勢な波長において少なくとも約85パーセントの反射率を有する、項目42に記載の発光ダイオード。
【0066】
(項目44)
発光ダイオードであって、
4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、
複数のエピタキシャル層であって、いずれの単一のエピタキシャル層も該ダイオードによって放射される波長において1000毎センチメートルより大きな吸収係数を有さず、該複数のエピタキシャル層の全ての平均は、該ダイオードによって放射される波長において500毎センチメートル未満である、複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つのエピタキシャル層に対するオーム接触層であって、該オーム接触層は、該ダイオードによって放射される波長において少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触層と、
該ダイオードによって放射される波長において少なくとも約70パーセントより大きな反射率を有するボンドパッドと
を備えている、発光ダイオード。
【0067】
(項目45)
上記複数のエピタキシャル層は、III族の窒化物材料のシステムから選択される、項目44に記載の発光ダイオード。
【0068】
(項目46)
上記複数のエピタキシャル層は、UV周波数、ならびに可視スペクトルの青色部分および緑色部分における周波数から成る群から選択される周波数において放射する、項目45に記載の発光ダイオード。
【0069】
(項目47)
項目44に記載の発光ダイオードであって、
上記ダイオードをカバーするカプセル用材料と、
該カプセル用材料の中の発光体と
をさらに備え、
上記基板は、該発光体によって放射される優勢な波長において4毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
上記複数のエピタキシャル層は、該発光体によって放射される優勢な波長において500毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
上記オーム接触は、該発光体によって放射される優勢な波長において少なくとも80パーセントの透過率を有し、
上記ボンドパッドは、該発光体によって放射される優勢な波長において約70パーセントよりも大きな反射率を有する、発光ダイオード。
【0070】
(項目48)
上記オーム接触および金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される酸化金属を含む、項目44に記載の発光ダイオード。
【0071】
(項目49)
上記ボンドパッドは、アルミニウム、銀およびクロムから成る群から選択されるミラーを含む、項目44に記載の発光ダイオード。
【0072】
(摘要)
4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、複数の活性放射層以外の層において500毎センチメートル未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、該複数のエピタキシャル層上のうちの少なくとも1つの上のオーム接触および金属被覆層であって、該オーム接触および該金属被覆層は、少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触および金属被覆層と、少なくとも約70パーセントよりも大きな反射率を有するボンドパッドとを含む、発光ダイオードが開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
簡潔な概略において、本発明は、ダイオードによって放射された光を変換させるために、(所望の周波数のために)単独で、または蛍光体とともに用いられるダイオードの適用における有用性を提供する。本発明は、LEDによって放射された光が吸収されるときに減少したパッケージング効率、および蛍光体によって変換された光が同様に吸収されるときのパッケージング効率における同様の損失の、特定の問題を解決する。
【0074】
本発明は、吸収損を減少させることによって青色放射の効率を高め、故に青色光および蛍光体によって放射された光の両方の吸収損を減少させることによって、より高い白色変換効率を生成する。
【0075】
従って、本発明は、一般的に発光ダイオードランプに対する利点およびLED光が別の色に変換される適用に対する利点を提供する。加えて、本発明は、困難な第1のパスライト抽出またはサイドルッカー(sidelooker)ダイオードランプなどの変換を用いる適用に対して特に有用である。
【0076】
発光ダイオードの基本的な物理的特性は、当該分野において十分に理解されており、限定的にではなく、Szeの、「PHYSICS OF SEMICONDUCTOR DEVICES」、第2版(1981)、およびSzeの、「MODERN SEMICONDUCTOR DEVICE PHYISICS」(1998)を含む出典において説明されている。発光ダイオードの実際的な適用も、十分に理解されており、LED LIGHT SYSTEMS、NLPIP LIGHTING ANSWERS、第7巻、第3版、2003年5月、およびSchubertの、「LIGHT EMITTING DIODES」、(Cambridge University Press、2003年)を含む、多くの出典において有用な用語を用いて説明されている。
【0077】
透明度を記述するために本明細書において用いられる用語は、当該分野および文脈において一般的に十分に理解されている。用語「吸収」は、放射エネルギーの他の形状のエネルギーへの変換、通常はそのような物質を伴う相互作用による熱(振動)が原因である、表面または媒体内の光の散逸を記述する。吸収は、入射エネルギーと比較した、反射エネルギーおよび透過エネルギーの総量の差である。例えば、Lighting Design Glossary、http://www.schorsch.com/kbase/glossary/absorption.html(2006年12月)を参照されたい。
【0078】
入射束に対する、全ての吸収された放射束または光束の比率は、「吸収率」(または一部の場合において「吸収ファクター」)と呼ばれる。吸収率の標準単位は、パーセントまたは0と1との間の比率である。同典拠。
【0079】
「吸収係数」は、媒体における単位距離当たりの吸収された光の割合である。吸収係数の標準単位は、メートル当たりの割合であり、または本明細書において用いられるように、センチメートル当たりの割合である。同典拠。
【0080】
「散乱係数」は、関係する媒体における単位距離当たりの光の割合であり、長さ当たりの割合、すなわち、メートル当たりの割合で同様に表現される。同典拠。
【0081】
用語「消光係数」は、関係する媒体における散乱および吸収の両方に対する、単位距離当たりの失われた光の割合を指す。消光係数は、吸収係数と散乱係数との合計である。吸収係数とともに、消光係数の標準単位は、メートル当たりの割合である。同典拠。
【0082】
同様にして、光の透過がパーセンテージで記述されるときには、物体に到達する強度と、元の光が物体を通過した後に現われる光の強度との間の差を指す。この場合において、少なくとも約80パーセントの透過を有する透過性オーム接触とは、接点に到達する強度の少なくとも80パーセントが接点から透過される、接触を指す。言い換えると、接点に到達する光の約20パーセントだけが、該接点によって吸収または反射され、この場合もまた、入射光の元の強度の点から表される。
【0083】
一般的に、上に定義された材料特性は、光の波長、対象面への光の入射角、および対象材料の純度などのさまざまな要因の関数である。例えば、材料は、スペクトルの緑色領域よりもスペクトルの青色領域においてより高い吸収率を有し得る。同様に、純粋な材料は、純度の少ない材料よりも、より高いか、またはより低い吸収率を有し得る。図6および図7は、それぞれが、抵抗率と波長との両方の関数としてのSiCにおける光の吸収係数、および固定した厚さに対する炭化珪素(SiC)の透過率を示す。この例はSiCに対して示されるが、例証される全般的な特性はまた、故意ではなくドープされた、n型ドープされた、およびp型ドープされた窒化アルミニウムガリウムインジウム(aluminum gallium indium nitride)などの他の材料に対しても変わらない。
【0084】
図1は、LEDランプに関連させて、本発明に従った発光ダイオードを示す。該ランプは、全体的に10で示され、発光ダイオードは、全体的に12で示される。第1の実施形態において、ダイオード12は、透明な基板13を含み、該透明な基板は、スペクトルの青色領域において4毎センチメートル(4cm−1)未満、またはスペクトルの緑色領域において2cm−1未満の吸収係数を有する。例示的な実施形態において、吸収係数は、スペクトルの青色および緑色の両方の領域において1cm−1未満である。炭化珪素は、基板に対する例示的な材料であり、無色になるように補正するためドープされた炭化珪素(例えば、米国特許第5,718,760号)と、十分に純粋であり無色である炭化珪素(例えば、米国特許第5,723,391号)との両方を含む。これらの特許の両方の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【0085】
図6および図7は、本発明において有用なものを含む、炭化珪素基板の特性を例証する。図6は、炭化珪素の吸収係数は、低い抵抗率において最も高く、抵抗率が増加するに伴って減少することを例証する。緑色の周波数(すなわち、図6における520ナノメートルライン)において、吸収係数は、炭化珪素の抵抗率を0.05オームセンチメートル(O−cm)より上に保つことによって、2cm−1未満に維持され得る。青色周波数(すなわち、図6における453および463のナノメートルライン)において、吸収係数は、約0.07O−cmまたはそれ以上の抵抗率に対して4cm−1未満に維持され得、約0.12O−cmまたはそれ以上の抵抗率に対して約2cm−1に減少され得る。
【0086】
一般的に、また、境界は、正確というよりもむしろ恣意的であるという認識とともに、青色周波数は、概して約445〜470ナノメートルの間に分類され、緑色周波数は、約510〜540ナノメートルの間に分類され、紫外線周波数の関連部分は、約395〜415ナノメートルの間に分類される。
【0087】
図7は、炭化珪素基板の透過特性を例証する。最も濃く高いラインは、x軸に描かれた波長における光の理論的な透過を例証し、吸収は想定されていない。より下の3つのラインは、それぞれが半絶縁の炭化珪素、0.06O−cmの抵抗率を有する炭化珪素、および0.12O−cmの抵抗率を有する炭化珪素の透過を示す。プロットが示すように、より低い抵抗率の炭化珪素の透過能力は、可視スペクトルの青色および緑色の部分において顕著に減少する。
【0088】
従って、図6および図7などにおける情報(当該分野において一般的に入手可能)は、当業者に、所望の波長の範囲において、炭化珪素基板に対する低い吸収係数と相対的に高い透過率との組み合わせの多くの可能性を提供する。
【0089】
サファイアも、必要な透明度のパラメータを用いて生成され得、本発明のために適当な基板を形成し得る。他の透明材料は、酸化亜鉛、スピネル、酸化マグネシウム、およびIII族の窒化物を含むが、上述のように、III族の窒化物は、基板の目的に適切な結晶の塊ではあまり容易に入手可能ではない。
【0090】
ダイオード12は、基板13上にそれぞれエピタキシャル層14および15を含む。図1に示される実施形態において、基板13上の第1の層14は、n型であり、第2の層15は、p型である。オーム接触および金属被覆層16は、p型エピタキシャル層15の上にあり、少なくとも約80パーセントの透過率を有する。別のオーム接触18は、n型エピタキシャル層14に作られる。この種類のダイオードにおいて、n型層への接触は、通常はp型層への接触よりも非常に小さくあり得る(以下に理由が述べられる)ので、オーム接触18は、透明である必要はないが、随意的に透明である。
【0091】
例示的な実施形態において、エピタキシャル層は、III族の窒化物材料のシステムから形成される。III族の窒化物材料は、一般的にALGa1−xNおよびInGa1−xNなどの式によって設計され、窒化ガリウム(GaN)および窒化インジウムガリウム(InGaN)が、活性層に対して最も頻繁に用いられる。特に、窒化インジウムガリウムのバンドギャップは、インジウムの原子分率に基づいて制御され得るので、InGaN層は、活性層および放射目的に対して頻繁に有利である。本発明は、スペクトルの青色部分、ならびに緑色およびUV部分で放射するIII族窒化物ダイオードを含む。
【0092】
特に、III族窒化物エピタキシャル層は、同様に制御されることによって、それらの吸収係数が、500毎センチメートル未満である(または、留まる)ことを確認する。例外として、量子井戸のような特定の層は、必然的に吸収し、故にそのような層は、要求される500cm−1を満たす必要はない。しかし、光を生成する層よりもむしろ、光が通過する任意のIII族の窒化物層は、要求される500cm−1の吸収係数を満たす。
【0093】
一般的に、炭化珪素またはサファイアなどの十分に理解された基板上のIII族の窒化物のエピタキシャル層は、当該分野においてよく理解されており、例示的な技術として化学的蒸着(CVD)が用いられる。そのような層の透明度は、比較的に高い温度において該基板を成長させ、背景の不純物を最小限に留め、III族の原料物質に対する窒化物の原料物質の比率を調整することによって、増加し得る。エピタキシャル成長の性質は、これらの要因の最良の組み合わせは設備ごとに異なり得るが、必要な個々の調整は、不適当な実験なしに、当業者によってなされ得るというものである。
【0094】
他の実施形態において、個々のエピタキシャル層は、1000cm−1ほどの高い吸収係数を有するが、他のエピタキシャル層は、層ごとの平均的な係数を500cm−1未満に低減させるために十分な、より低い吸収係数を有する。
【0095】
本明細書における模式図は概略であり、故に本質的に多少は簡素化されているが、III族の窒化物LEDは、量子井戸、多数の量子井戸、および規則格子構造などのより複雑な構造を含み得ることも理解される。これらの構造は、当該分野および上に明らかにされた参照において一般的によく理解されており、それ以上には詳細に記述されない。同様に、III族の窒化物の格子定数は、最も一般的な基板材料(特に炭化珪素およびサファイア)とは多少異なるので、本発明に従ったダイオードはまた、そのような基板と、該基板が支えるIII族の窒化物のエピタキシャル層との間に1つ以上の移行層またはバッファ層を含み得る。そのようなバッファ層は、当該分野において同様によく理解されているので、それ以上に詳細に記述されない。
【0096】
ダイオード12は、少なくとも約70パーセントよりも大きな、一部の実施形態において80パーセントよりも大きな、また、一部の実施形態において85パーセントよりも大きな、ダイオードの内部方向への反射率を有するボンドパッド17および20のそれぞれをさらに含む。より具体的には、例示的な実施形態において、ボンドパッド17および20は、それぞれミラー21および22を含む。ミラーのための例示的な材料は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、クロム(Cr)またはパラジウム(Pd)などの金属を含み、チタン(Ti)およびタングステン(W)などの他の層と部分的に結合されることによって、貴金属(特に銀)が、その存在がダイオードの性能に不利に影響を及ぼし得るダイオードの他の部分への移動を、制限または防止することに役立つ。
【0097】
接点および金属被覆層16のオーム接触部分は、通常はプラチナ、ニッケル、金、亜鉛およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。あるいは、該オーム接触部分は、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化インジウムスズ(ITO)から成る群から選択され得、それらの全ては、透明な導電層に、高い割合の入射光を透過させる能力を提供する。例示的な実施形態において、オーム接触層16は、少なくとも90パーセント、一部の場合において95パーセントの透過率を有し得る。オーム接触層16はまた、列挙された金属および透明な酸化物の組み合わせから成り得る。
【0098】
LEDランプ10はまた、反射器24を含み、該反射器は、例示的にはエポキシである透明な接着剤25によって反射器24に取り付けられた、LEDチップ12を有する。しかし、接着剤が、反射器24上のLEDチップ12を維持するための機械的な必要条件を満たし、該チップまたはランプ10の動作を干渉せず、かつチップ12から出される熱および光の下で非現実的に急激に分解しない場合には、あらゆる適当な接着剤が用いられ得ることを理解されたい。
【0099】
反射器24は、通常は、ポリマー樹脂、例えばポリアミド、ポリエステル、または二酸化チタン(TiO)などの白色顔料を含むポリカーボネートから形成される。
【0100】
ミラー21および22は、p−n接合から放射された光を、ボンドパッド17または20によって吸収させるのではなく、そのp−n接合の方向に向けなおす。ミラーのための例示的な金属は、銀、アルミニウムおよびクロムを含む。
【0101】
図1はまた、反射器24が通常はランプ基板26上に配置されていることを例証する。例証された実施形態において、外部アノード接点27は、ワイヤ30として模式的に例証される適当な接続を介して、ボンドパッド17に電気的に接続される。同様に、ボンドパッド20は、模式的に例証されたワイヤ32によって、カソード接点31に接続される。
【0102】
環境保護および光の出力などの多くの理由のために、ランプ10は、ダイオード12およびランプ10に対してレンズをも形成する、カプセル用材料(encapsulant)33を通常は含む。カプセル用材料は、ダイオード12またはランプ10の他の要素の構造または機能に干渉せず、ダイオードチップ12によって生成される熱および光の両方に対して、妥当な寿命の間において適当に物質的に頑丈かつ安定である、あらゆる適当な材料であり得る。ポリマー樹脂は、最も一般的なカプセル用材料であり、ガラスは、可能な代替物である。ダイオードによって放射された高周波数の青色光に基づいて、レンズ33は、ポリシロキサン樹脂、すなわちこれも口語で珪素樹脂と呼ばれる種類のポリマーから頻繁に形成され、該ポリシロキサン樹脂は、他の一部のポリマーほどは、青色の周波数による影響を受けない。
【0103】
恐らく、最も重要なことに、白色光放射ランプの場合において、レンズ材料33は、分散した、固まった、または別なふうに配置された蛍光体34を含むことによって、ダイオードによって放射された周波数を、ともに白色光を生成する補完的な周波数に変換する。
【0104】
III族の窒化物のエピタキシャル層14および15が用いられることによって、可視スペクトルの青色部分における光を生成する実施形態において、蛍光体34は、ダイオード12からの青色の出力とともに白色光を生成する補完的な出力を生成するように選択される。例示的な蛍光体は、10ミクロン未満の平均的な粒子の大きさの、セシウムにドープされたYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)である。
【0105】
図2は、図1において例証された規模からわずかに拡大された、ダイオード12の上部平面図である。図2は、p型でIII族の窒化物層の一般的に低い伝導性のために、オーム接触および金属被覆層16を伝播する電流が、p型エピタキシャル層15の大部分にほぼ延びていることを例証する。言い換えると、p型層に対する大きな電極は、III族の窒化物材料のシステムにおける発光ダイオードを通って、適当な量の電流を駆動することを促進する。図2はまた、ボンドパッド17および20のそれぞれの位置を例証する。
【0106】
図3は、再び反射器24、ランプ基板25、レンズ(カプセル用材料)33および蛍光体34を例証している、本発明に従ったダイオードの側面図である。図1の模式図と比較すると、図3は、市販デバイスの外観をやや具体的に表示している。包装目的のために、ランプ36の外部にあるアノード接点およびカノード接点は、ランプ基板26の上部面および下部面のそれぞれの部分と同一平面上にある。
【0107】
従って、図4および図5は、それぞれがこれらの外部接点を例証するための、ランプ36の上部平面図および底部平面図である。図4は、基板24の頂面上のアノード接点を例証し、図5は、基板26の底面上のカソード接点40を例証する。工業用の実施形態において、図5において例証されるカソード接点40は、プリント回路基板上の補完用はんだパッド構造および同様の電子部品に関連して用いられ得る。
【0108】
図8、図9および図10は、本発明が組み入れられ得るダイオードの変形の概略的な斜視図である。特定の工業用の実施形態の場合にはあることだが、ダイオードは、一般的な立体の矩形の形状をとる。図8において、ダイオードは、全体的に45で示される。透明な基板は46で例証され、エピタキシャル層は47で例証される。透明なオーム接触50は、ダイオード45の頂部に作られ、同様のオーム接触(図8には示されていない)は、伝導性基板46の底部にある。
【0109】
図9は、ダイオード52を例証し、オーム接触53および54のそれぞれ(およびあらゆる関連したボンドパッド金属、ならびにミラーを可能性として含む)は、両方ともダイオード52の頂部の、エピタキシャル層55および56のそれぞれに配置される。透明な基板は、57で例証される。
【0110】
図10は、図8において例証されるものと一般的に同様のダイオード60を例証し、上部のオーム接触が再び50で示され、エピタキシャル層がともに模式的に47で例証される。しかし、図10は、基板61が光の抽出を増加させるように形作られ得ることを例証する。多くの特許および公開出願が、そのような形状、または場合によってはレンズ面の使用を記述する。これらは、(限定的にではなく)「Method of Forming 3D Features for Improved Light Extraction」に対する、2006年7月31日出願の、同一人に譲渡され同時係属中の出願公開第20060060874号および特許出願第11/461,018号と、ならびに2006年1月30日に出願の、同一人に譲渡され同時係属中の特許出願第11/343,180号および出願公開第20060186418号に記述された、より随意的に生成された特徴とを含む。これらの出願のそれぞれの内容は、全般的に本明細書において参考として援用される。
【0111】
本発明の好適な実施形態を明らかにした図面および明細書において、特定の用語が用いられたが、それらの用語は、単に一般的および記述的な意味として用いられ、限定の目的のためには用いられておらず、本発明の範囲は、請求項において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、本発明に従った、発光ダイオードランプの断面模式図である。
【図2】図2は、本発明に従った、発光ダイオードランプの上部平面図である。
【図3】図3は、本発明に従った、発光ダイオードランプの側面図である。
【図4】図4は、図3のダイオードの上部平面図である。
【図5】図5は、図3のダイオードの底部平面図である。
【図6】図6は、波長と抵抗率の関数としての、炭化珪素(SiC)の吸収率のプロットである。
【図7】図7は、波長と抵抗率の関数としての炭化珪素の透過率のプロットである。
【図8】図8は、本発明に従った、ダイオードの模式的な斜視図である。
【図9】図9は、本発明に従った、ダイオードの模式的な斜視図である。
【図10】図10は、本発明に従った、ダイオードの模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
10 ランプ
12 ダイオード
13 基板
14、15 エピタキシャル層
16 金属被覆層
18 オーム接触
17、20 ボンドパッド
24 反射器
27 アノード接点
30 ワイヤ
33 カプセル用材料
31 カソード接点
33 レンズ
34 蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、
複数の活性放射層以外の複数の層において500毎センチメートル未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つの上のオーム接触および金属被覆層であって、少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触および金属被覆層と
を備えている、発光ダイオード。
【請求項2】
少なくとも約70パーセントよりも大きな反射率を有するボンドパッドをさらに含む、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記複数のエピタキシャル層と前記透明な基板との間にIII族の窒化物のバッファ層をさらに含み、該バッファ層は、1000毎センチメートル未満の吸収係数を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記透明な基板は、1毎センチメートル未満の吸収係数を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記オーム接触および金属被覆層は、少なくとも約95パーセントの透過率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記ボンドパッドは、少なくとも約90パーセントよりも大きな反射率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
ヘッダと、
該ヘッダ上の請求項1に記載の発光ダイオードと、
該ヘッダ上の該ダイオードをカプセル化するレンズと、
該レンズの中に分散された蛍光体と
を備えている、発光ダイオードランプ。
【請求項8】
前記レンズは、ポリシロキサン樹脂を含む、請求項7に記載のランプ。
【請求項9】
前記複数のエピタキシャル層は、III族の窒化物材料システムから選択される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記複数のエピタキシャル層は、可視スペクトルの青色部分において放射する、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記複数のエピタキシャル層は、前記可視スペクトルの緑色部分において放射する、請求項9に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記蛍光体は、前記可視スペクトルの青色部分における周波数を、該可視スペクトルの黄色部分における周波数に変換する、請求項7に記載のランプ。
【請求項13】
前記蛍光体は、セシウムにドープされたYAGを含む、請求項7に記載のランプ。
【請求項14】
前記透明な基板は、炭化珪素を含む、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
補完された炭化珪素の基板を含む、請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記炭化珪素の基板に存在する任意のドーパント原子は、前記スペクトルの緑色領域において0.5cm−1よりも上に、該スペクトルのUV領域において1cm−1よりも上に、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1よりも上に前記吸収係数を上昇させ得る量よりも少ない量で存在する、請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記オーム接触は、プラチナ、ニッケル、金、亜鉛およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、
前記金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記オーム接触および金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される酸化金属を含む、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項19】
前記ボンドパッドのうちの少なくとも1つは、アルミニウム、銀およびクロムから成る群から選択されるミラーを含む、請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
n型伝導性炭化珪素基板と、該基板に対するオーム接触とを含む、請求項19に記載の発光ダイオード。
【請求項21】
p型エピタキシャル層と、
該p型エピタキシャル層に対するオーム接触と、
n型エピタキシャル層と、
該n型エピタキシャル層に対するオーム接触と
を備えている、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項22】
反射器と、
透明な接着剤を有する該反射器に取り付けられたLEDチップであって、n型のIII族の窒化物の透明なエピタキシャル層を含む、LEDチップと、
該n型のIII族の窒化物層の上の実質的に透明なp型層と、
該p型層上の透明な電流分布層と、
該n型層に対するオーム接触および該p型層に対するオーム接触と、
p−n接合から放射される光を該p−n接合に向けなおすための、該オーム接触のそれぞれに隣接したミラーと
を備えている、LEDランプ。
【請求項23】
前記LEDチップは、絶縁の炭化珪素から形成された透明な基板を含む、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項24】
前記オーム接触のそれぞれに対するそれぞれのボンドパッドを含み、該それぞれのボンドパッドは前記ミラーのうちの1つを有する、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項25】
前記透明な接着剤は、エポキシを含む、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項26】
前記LEDチップから前記ランプを回路または別のデバイスに取り付ける、前記ポリマーのパッケージを通る電極をさらに含む、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項27】
前記ポリマーパッケージの中の前記LEDチップの上にカプセル用材料をさらに含む、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項28】
前記カプセル用材料は、ポリシロキサン樹脂を含む、請求項27に記載のLEDランプ。
【請求項29】
前記カプセル用材料において分散した蛍光体をさらに含む、請求項22に記載のLEDランプ。
【請求項30】
前記蛍光体は、前記可視スペクトルの青色周波数における光を、該可視スペクトルの黄色周波数における光に変換する、請求項29に記載のLEDランプ。
【請求項31】
前記蛍光体は、YAGを含む、請求項29に記載のLEDランプ。
【請求項32】
p−n接合を形成するIII族の窒化物のそれぞれのp型エピタキシャル層およびn型エピタキシャル層と、
該n型層および該p型層のそれぞれへのそれぞれのオーム接触およびボンドパッドと、
該それぞれのボンドパッドのうちの少なくとも1つにおけるミラーであって、該p−n接合に向かって反射する表面を有することによって、該ボンドパッドに到達するダイオードによって放射される光子を、該ボンドパッドの中に吸収されるのではなく、該ボンドパッドから反射されるように促進する、ミラーと
を備えている、発光ダイオード。
【請求項33】
前記ボンドパッドのそれぞれの中にミラーを含む、請求項32に記載の発光ダイオード。
【請求項34】
前記ミラーは、少なくとも70パーセントを反射する、請求項32に記載の発光ダイオード。
【請求項35】
前記スペクトルの緑色領域において0.5cm−1未満、該スペクトルのUV領域において1cm−1未満、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1未満の前記吸収係数を有する基板をさらに含む、請求項32に記載の発光ダイオード。
【請求項36】
炭化珪素の基板を含む、請求項35に記載の発光ダイオード。
【請求項37】
前記p型層に対する前記オーム接触は、プラチナ、ニッケル、金、亜鉛およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項32に記載の発光ダイオード。
【請求項38】
前記オーム接触上に透明な金属層をさらに含む、請求項37に記載の発光ダイオード。
【請求項39】
前記透明な金属層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される、請求項38に記載の発光ダイオード。
【請求項40】
前記透明な金属層は、少なくとも80パーセントの透過率を有する、請求項38に記載の発光ダイオード。
【請求項41】
電磁気スペクトルの可視部分において放射する活性部分と、
スペクトルの緑色領域において0.5cm−1未満、該スペクトルのUV領域において1cm−1未満、また、該スペクトルの青色領域において2cm−1未満の吸収係数を有する基板であって、参照される波長は、該活性部分によって放射されるピーク波長に一致する、基板と、
該活性部分以外であり、該活性部分によって放射される該ピーク波長において500cm−1未満の吸収係数を有する複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つの上のオーム接触層であって、該活性部分によって放射される該ピーク波長において少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触層と、
該活性部分によって放射される該ピーク波長において、少なくとも約70パーセントよりも大きな反射率を有する該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つと関連付けられたボンドパッドと
を備えている、発光ダイオード。
【請求項42】
請求項41に記載の発光ダイオードであって、
前記ダイオードをカバーするカプセル用材料と、
該カプセル用材料の中の発光体と
をさらに備え、
前記基板は、該発光体によって放射される優勢な波長において4毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
前記複数のエピタキシャル層は、該発光体によって放射される優勢な波長において500毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
前記オーム接触は、該発光体によって放射される優勢な波長において少なくとも80パーセントの透過率を有し、
前記ボンドパッドは、該発光体によって放射される優勢な波長において約70パーセントよりも大きな反射率を有する、発光ダイオード。
【請求項43】
前記基板は、前記活性部分によって放射される前記ピーク波長および前記蛍光体によって放射される前記優勢な波長において2毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
前記オーム接触は、該活性部分によって放射される該ピーク波長および該蛍光体によって放射される該優勢な波長において少なくとも約90パーセントの透過率を有し、
前記ボンドパッドは、該活性部分によって放射される該ピーク波長および該蛍光体によって放射される該優勢な波長において少なくとも約85パーセントの反射率を有する、請求項42に記載の発光ダイオード。
【請求項44】
発光ダイオードであって、
4毎センチメートル未満の吸収係数を有する透明な基板と、
複数のエピタキシャル層であって、いずれの単一のエピタキシャル層も該ダイオードによって放射される波長において1000毎センチメートルより大きな吸収係数を有さず、該複数のエピタキシャル層の全ての平均は、該ダイオードによって放射される波長において500毎センチメートル未満である、複数のエピタキシャル層と、
該複数のエピタキシャル層のうちの少なくとも1つのエピタキシャル層に対するオーム接触層であって、該オーム接触層は、該ダイオードによって放射される波長において少なくとも約80パーセントの透過率を有する、オーム接触層と、
該ダイオードによって放射される波長において少なくとも約70パーセントより大きな反射率を有するボンドパッドと
を備えている、発光ダイオード。
【請求項45】
前記複数のエピタキシャル層は、III族の窒化物材料のシステムから選択される、請求項44に記載の発光ダイオード。
【請求項46】
前記複数のエピタキシャル層は、UV周波数、ならびに可視スペクトルの青色部分および緑色部分における周波数から成る群から選択される周波数において放射する、請求項45に記載の発光ダイオード。
【請求項47】
請求項44に記載の発光ダイオードであって、
前記ダイオードをカバーするカプセル用材料と、
該カプセル用材料の中の発光体と
をさらに備え、
前記基板は、該発光体によって放射される優勢な波長において4毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
前記複数のエピタキシャル層は、該発光体によって放射される優勢な波長において500毎センチメートル未満の吸収係数を有し、
前記オーム接触は、該発光体によって放射される優勢な波長において少なくとも80パーセントの透過率を有し、
前記ボンドパッドは、該発光体によって放射される優勢な波長において約70パーセントよりも大きな反射率を有する、発光ダイオード。
【請求項48】
前記オーム接触および金属被覆層は、酸化ニッケル、酸化亜鉛および酸化インジウムスズから成る群から選択される酸化金属を含む、請求項44に記載の発光ダイオード。
【請求項49】
前記ボンドパッドは、アルミニウム、銀およびクロムから成る群から選択されるミラーを含む、請求項44に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−199012(P2008−199012A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19894(P2008−19894)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】