説明

透析液取出装置

【課題】開閉手段から別個の流路を延設させることなく、採取口内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる透析液取出装置を提供する。
【解決手段】液体を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得るキャップ10とを具備した透析液取出装置において、採取口12は、キャップ10が取り付けられた状態で、導入口9aから導入された液体を採取口12の突端12a側に案内する案内路αと、案内路αで案内された液体を導出口9b側へ排出させる排出路βとを画成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段とを具備した透析液取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、血液浄化装置としての透析装置では透析治療(特に、オンラインHDF又はオンラインHF)時においてダイアライザに供給するための透析液を用いてプライミング、返血及び補液(緊急補液)を行う技術や、当該透析液をオンラインHDFやオンラインHFの治療のための置換液として利用する技術が提案されるに至っている。例えば、特許文献1には、一端が透析液導入ラインの所定部位に形成された透析液取出ポート(採取口)に接続されるとともに、他端が血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に接続された補液ラインと、補液ラインに配設された補液ポンプとを具備した透析装置が開示されている。かかる透析装置により、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うには、補液ポンプを駆動させることにより、透析液導入ラインの透析液を血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に供給するようになっている。
【0003】
通常、かかる透析液取出ポートに対してキャップ(開閉手段)が脱着自在とされており、当該キャップを取り外して補液ライン等を接続させるとともに、補液ライン等を接続しない場合は、キャップを取り付けて透析液導入ラインを流れる透析液が外部に漏れ出ないようになっている。例えば、透析液導入ラインや透析液排出ライン等の透析液が流通する配管を洗浄及び消毒するには、採取口にキャップを取り付けた状態として当該配管にて洗浄水や消毒水を流通させることにより、洗浄水や消毒液が外部に漏れ出てしまうのを防止している。
【0004】
しかるに、キャップが採取口の内周面に対して密着してシールするものの場合、そのシール部分に対して洗浄水や消毒液が流通せず、洗浄及び消毒が不十分になってしまう虞があった。そこで、従来より、キャップが採取口の外周面に対してシールするものとし、当該採取口の内周面に洗浄水や消毒液を至らせるよう構成されたものが提案されている(例えば特許文献2、3参照)。これにより、キャップから洗浄水又は消毒液を流通させるための流路を延設させれば、採取口の内部を当該洗浄水や消毒液が流通することとなり、十分な洗浄及び消毒を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−313522号公報
【特許文献2】特開2003−93501号公報
【特許文献3】特開2009−207706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の透析液取出装置においては、キャップ(開閉手段)から洗浄水又は消毒液を流通させるための流路を延設しなければ、洗浄水や消毒液を採取口内部に至らせることが困難であるという問題があった。すなわち、単に採取口の外周面に対してシールするキャップを採用したとしても、採取口内部に単一の閉空間が形成されるのみであるため、透析液導入ラインを流れる液体が当該採取口の内部まで流通することはほとんどなく、流通させるためには、キャップから延設された別個の流路が必要とされるのである。別個の流路を延設させる場合は、その流路の取り回しが新たに必要となる他、保守管理が煩わしいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、開閉手段から別個の流路を延設させることなく、採取口内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる透析液取出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、該透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段とを具備した透析液取出装置において、前記採取口は、前記開閉手段が取り付けられた状態で、前記導入口から導入された液体を前記採取口の突端側に案内する案内路と、該案内路で案内された液体を前記導出口側へ排出させる排出路とを画成することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の透析液取出装置において、前記透析液取出手段は、前記採取口の外周を覆う円筒状の外周壁部を有するとともに、前記開閉手段は、当該外周壁部の外周面又は突端面との間でシールするシール手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の透析液取出装置において、前記採取口の内部が前記案内路とされるとともに、当該採取口の外周面と前記外周壁部の内周面との間が前記排出路とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の透析液取出装置において、前記外周壁部は、前記採取口の突端を覆って突出して成ることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項2〜4の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記採取口は、採取した液体を流通させるための接続ラインが接続手段を介して接続可能とされるとともに、当該接続手段の内周面が前記採取口の外周面に嵌合しつつ当該接続手段の外周面が前記外周壁部の内周面に係止されて当該採取口に接続ラインが接続可能とされたことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の透析液取出装置において、前記接続手段が前記採取口に接続された状態において、前記排出路を介して液体が外部に流れるのを遮断することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記透析液取出手段は、前記導入口から導入された液体のうち、前記案内路に向かって流れる液体の圧力を前記導出口に向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段を具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の透析液取出装置において、前記圧力差形成手段と前記採取口とは一体部品から成ることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項7又は請求項8記載の透析液取出装置において、前記圧力差形成手段は、前記導入口から前記採取口に向かって流れる液体の流通路を有して成るとともに、当該流通路は、流路の径が採取口側に向かって次第に小さくなるテーパ面とされたことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項7又は請求項8記載の透析液取出装置において、前記圧力差形成手段は、前記導入口から前記導出口に向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのオリフィス又はベンチュリー形状から成ることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記透析液取出手段は、前記採取口からの液体の流出を許容するとともに当該採取口を介して外部からの液体の流入を遮断する逆止弁を具備したことを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記導入口及び前記採取口は、略同一直線上に形成されて成ることを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項1〜12の何れか1つに記載の透析液取出装置を具備したことを特徴とする血液浄化装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、採取口は、開閉手段が取り付けられた状態で、導入口から導入された液体を前記採取口の突端側に案内する案内路と、該案内路で案内された液体を前記導出口側へ排出させる排出路とを画成するので、案内路及び排出路を介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、開閉手段から別個の流路を延設させることなく、採取口内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる。さらに、採取口が液体を採取させる機能に加えて案内路と排出路とを画成する機能を兼ね備えるため、別個の画成手段等を不要として構成を簡略化させることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、透析液取出手段は、採取口の外周を覆う円筒状の外周壁部を有するとともに、開閉手段は、当該外周壁部の外周面又は突端面との間でシールするシール手段を具備したので、開閉手段を採取口に取り付けた状態で、案内路と排出路との画成をより確実に行わせることができるとともに、洗浄水又は消毒液の流通をより良好に行わせることができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、採取口の内部が案内路とされるとともに、当該採取口の外周面と外周壁部の内周面との間が排出路とされたので、案内路及び排出路を介して洗浄水又は消毒液をより円滑且つ良好に流通させることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、外周壁部は、採取口の突端を覆って突出して成るので、開閉手段が採取口から外された状態においても当該採取口に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、接続手段の内周面が採取口の外周面に嵌合しつつ当該接続手段の外周面が外周壁部の内周面に係止されて当該採取口に接続ラインが接続可能とされたので、接続手段の採取口に対する接続面がその内周面となり、接続前の状態において採取口に対する接続面に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、接続手段が採取口に接続された状態において、排出路を介して液体が外部に流れるのを遮断するので、採取口から接続手段を介して液体を採取する際、排出路から液体が外部に漏れてしまうのを確実に回避させることができ、採取した液体を接続ラインに対してより良好に流通させることができる。
【0027】
請求項7の発明によれば、透析液取出手段は、導入口から導入された液体のうち、案内路に向かって流れる液体の圧力を導出口に向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段を具備したので、当該圧力差形成手段で生じた圧力差によって、案内路及び排出路に対してより確実に洗浄水又は消毒液を流通させることができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、圧力差形成手段と採取口とは一体部品から成るので、透析液取出手段における部品点数を削減することができ、製造コストやメンテナンスコストを低減させることができる。
【0029】
請求項9の発明によれば、圧力差形成手段は、導入口から採取口に向かって流れる液体の流通路を有して成るとともに、当該流通路は、流路の径が採取口側に向かって次第に小さくなるテーパ面とされたので、導入口から案内路に向かって流れる液体の圧力を導入口から排出口に向かって流れる液体の圧力に対して相対的に大きくすることができ、当該案内路及び排出路に対して確実な洗浄水又は消毒液の流通を図ることができる。
【0030】
請求項10の発明によれば、圧力差形成手段は、導入口から導出口に向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのオリフィス又はベンチュリー形状から成るので、導入口から導出口に向かって流れる液体の圧力を導入口から採取口に向かって流れる液体の圧力に対して相対的に小さくすることができ、当該案内路及び排出路に対して確実な洗浄水又は消毒液の流通を図ることができる。
【0031】
請求項11の発明によれば、透析液取出手段は、採取口からの液体の流出を許容するとともに当該採取口を介して外部からの液体の流入を遮断する逆止弁を具備したので、例えば接続ライン等を採取口に接続した際、当該接続ライン等の流路内の液体が採取口から流入してしまうのを回避することができる。
【0032】
請求項12の発明によれば、導入口及び前記採取口は、略同一直線上に形成されて成るので、導入口から導入された液体が採取口に向かってそのまま流れることとなり、より確実且つ良好に案内路及び排出路を介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、採取口内部の洗浄及び消毒を一層確実に行わせることができる。
【0033】
請求項13の発明によれば、案内路及び排出路を介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、開閉手段から別個の流路を延設させることなく、採取口内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる血液浄化装置を提供することができる。さらに、採取口が液体を採取させる機能に加えて案内路と排出路とを画成する機能を兼ね備えるため、別個の画成手段等を不要として構成を簡略化させることができる血液浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の透析液取出装置が適用される血液浄化装置を示す模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図3】同透析液取出装置におけるキャップ(開閉手段)を示す断面模式図
【図4】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態)を示す断面模式図
【図5】同透析液取出装置の採取口に接続可能な接続手段を示す断面模式図
【図6】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態、且つ、接続手段を接続させた状態)を示す断面模式図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図8】同透析液取出装置の採取口に接続可能な接続手段を示す断面模式図
【図9】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態、且つ、接続手段を接続させた状態)を示す断面模式図
【図10】本発明の第3の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図11】本発明の第4の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図12】本発明の第5の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図13】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態、且つ、接続手段を接続させた状態)を示す断面模式図
【図14】本発明の第6の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図15】同透析液取出装置の採取口から開閉手段を取り外した後、シャフト部材29を中心に回転させた状態を示す断面模式図
【図16】同透析液取出装置の採取口から開閉手段を取り外し、シャフト部材29を中心に回転させた後、シャフト部材31を中心に回転させた状態を示す断面模式図
【図17】本発明の第7の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図18】同透析液取出装置の採取口から開閉手段を取り外した後、シャフト部材29を中心に回転させた状態を示す断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、血液浄化治療(血液透析治療)で使用される血液浄化装置に配設され、透析液を採取可能とされたものである。適用される血液浄化装置は、図1に示すように、ダイアライザ1(血液浄化器)に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bとから主に構成されている。
【0036】
ダイアライザ1は、血液を浄化するためのもので、血液回路を構成する動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3とそれぞれ接続されるとともに、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されており、動脈側穿刺針aから採取された患者の血液を血液回路にて体外循環させ、ダイアライザ1にて血液浄化及び除水した後、静脈側穿刺針bから患者に戻すようになっている。なお、図中符号5、6は、エアトラップチャンバを示している。
【0037】
また、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2には、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に供給し、当該ダイアライザ1から排出させる複式ポンプ7が接続されている。さらに、透析装置本体B内には、バイパスラインや電磁弁が任意位置に複数配設されており、複式ポンプ7をバイパスさせるバイパスラインには、除水ポンプ8が接続されている。
【0038】
そして、透析装置本体B内の配管を消毒又は洗浄するには、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の先端をダイアライザ1から取り外し、例えばカプラ等により当該先端同士を互いに接続して配管を短絡させた後、透析装置本体Bの外部(例えば透析液供給装置等)から消毒液(熱湯や消毒薬液)又は洗浄水(清浄水)を導入して当該透析装置本体Bにおける配管内の液体(透析液等)と置換することにより行われる。なお、例えば透析液排出ラインL2から流路を分岐させ、その先端を消毒液等が収容されたタンクに挿入させることにより、当該タンク内から消毒液等を配管内に導入して置換させるようにしてもよい。
【0039】
ここで、透析液導入ラインL1には、本発明の第1の実施形態に係る透析液取出装置が接続されている。本実施形態に係る透析液取出装置は、図2〜6に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ10とを具備したものである。
【0040】
より具体的には、透析液取出手段9は、その導入口9a及び導出口9bのそれぞれに透析液導入ラインL1が接続され、内部に透析液を流通可能とされたもので、その流路(導入口9aから導出口9bに向かって透析液が流れる流路)は、分岐部Pで略90度折れ曲がってL字状に延設されているとともに、採取口12は、導入口9aに対して略同一直線上に位置するよう形成されている。
【0041】
さらに、透析液取出手段9は、採取口12の外周を覆う円筒状の外周壁部13を有している。かかる外周壁部13は、その外周面に、キャップ10(開閉手段)のネジ部10aと螺合し得るネジ部13aが形成されているとともに、内周面に、接続手段15のネジ部15ba(図5、6参照)と螺合し得るネジ部13bがそれぞれ形成されている。すなわち、外周壁部13に接続手段15を係止して固定させることにより、採取口12が接続手段15を介して接続ラインL3と接続可能とされているのである。
【0042】
さらに、本実施形態に係る外周壁部13は、採取口12の突端12aを覆って突出して成るものとされている。すなわち、外周壁部13の突出寸法は、採取口12の突出寸法より大きく設定されていることから、外周壁部13にて採取口12の突端12aを覆った状態とされているのである。これにより、キャップ10が採取口12から外された状態においても当該採取口12に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0043】
接続手段15は、図5に示すように、採取口12から採取した液体を流通させるための接続ラインL3の先端部に取り付けられ、内周面15a及び外周面15bを有した円略筒状部材から成るものである。この外周面15bの先端側(採取口12との接続部位側)には、外周壁部13のネジ部13bと螺合し得るネジ部15baが一体形成されている。しかして、図6に示すように、接続手段15の内周面15aが採取口12の外周面に嵌合しつつ当該接続手段15の外周面15bのネジ部15baが外周壁部13の内周面に形成されたネジ部13bと螺合することにより係止されて当該採取口12に接続ラインL3が接続可能とされている。
【0044】
なお、本実施形態に係る接続ラインL3は、例えば動脈側血液回路2に接続されたエアトラップチャンバ5又は静脈側血液回路3に接続されたエアトラップチャンバ6に接続され、透析液導入ラインL1中の透析液を動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3に供給し得るものとされている。これにより、透析液を使用してプライミング、補液又は返血等を行わせることができ、或いは当該透析液をオンラインHDFやオンラインHFの治療のための置換液として利用することができる。
【0045】
このように、接続手段15の内周面15aが採取口12の外周面に嵌合しつつ当該接続手段15の外周面15bが外周壁部13の内周面に係止されて当該採取口12に接続ラインL3が接続可能とされたので、接続手段15の採取口12に対する接続面がその内周面(接続手段15の内部)となることから、その接続面に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0046】
開閉手段としてのキャップ10は、その内周面に形成されたネジ部10aを外周壁部13のネジ部13aに対して螺合させることにより当該外周壁部13に取り付け可能とされたものである。本実施形態に係るキャップ10は、図3に示すように、外周壁部13の突端面13cとの間でシールするシール手段11を具備している。かかるシール手段11は、取付部材Dの一面に取り付けられるとともに、スプリングS1によって当該取付部材Dと共に常時外周壁部13の突端面13c側(採取口12側)に付勢されており、より確実なシールを図り得るようになっている。
【0047】
ここで、本実施形態に係る透析液取出手段9の採取口12は、キャップ10が取り付けられた状態で、導入口9aから導入された液体を採取口12内に案内する案内路αと、該案内路αで案内された液体を導出口9b側へ排出させる排出路βとを画成するよう構成されている。すなわち、キャップ10が外周壁部13に螺合して取り付けられると、シール手段11にて当該外周壁部13の突端面13cがシールされて密閉空間が形成されるとともに、その密閉空間が採取口12にて案内路αと排出路βとに画成されるのである。しかして、採取口12の内部が案内路αとされるとともに、当該採取口12の外周面と外周壁部13の内周面との間が排出路βとされることとなる。
【0048】
このように、本実施形態に係る採取口12は、接続手段15等が接続されて液体を採取させる機能を有するとともに、キャップ10が取り付けられた状態においては、案内路αと排出路βとを画成する機能を兼ね備えているのである。なお、本実施形態においては、採取口12が円筒状部材で構成されているが、案内路αと排出路βとを画成し得る筒状の部材であれば他の形状(例えば断面が矩形形状のもの等)のものであってもよい。
【0049】
一方、透析液取出手段9には、排出路βと分岐部P側の流路とを連結させるための連結路γが形成されている。これにより、導入口9aから分岐部P及び案内路αを介して採取口12先端に向かって流れた液体は、排出路β及び連結路γを通って排出口9bから排出され、導入口9aから分岐部Pを介して導出口9bに向かって流れる液体と合流して当該導出口9bから流出し得るようになっている。
【0050】
さらに、本実施形態に係る透析液取出手段9は、導入口9aから導入された液体のうち、案内路αに向かって流れる液体の圧力を導出口9bに向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段14を具備している。かかる圧力差形成手段14は、透析液取出手段9の分岐部P近傍に配設され、導入口9aから採取口12に向かって流れる液体の流通路14aを有して成るとともに、当該流通路14aは、流路の径が採取口12側(図2中右側)に向かって次第に小さくなるテーパ面とされている。これにより、導入口9aから採取口12に向かって流れる液体の圧力を導入口9aから排出口9bに向かって流れる液体の圧力に対して相対的に大きくすることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る圧力差形成手段14と採取口12とは、一体部品(例えば、一体成形部品)から成るものとされている。このように、圧力差形成手段14と採取口12とが一体部品から成るものとすれば、透析液取出手段9における部品点数を削減することができ、製造コストやメンテナンスコストを低減させることができる。なお、圧力差形成手段14と採取口12とを別個形成し、それらを連結させて一体部品としてもよい。
【0052】
さらに、圧力差形成手段14におけるシール部材9cと対向した部位には、被シール部14bが形成されているとともに、圧力差形成手段14及び採取口12は、スプリングS2により、シール部材9cに対して被シール部14bが離間する方向に常時付勢されている。そして、接続手段15が採取口12に接続される際(すなわち、接続手段15の外周面15bのネジ部15baが外周壁部13の内周面に形成されたネジ部13bと螺合する過程で)、圧力差形成手段14及び採取口12がスプリングS2の付勢力に抗して移動し、シール部材9cに対して被シール部14bが当接してシールすることにより、連結路γを遮蔽し得るようになっている。
【0053】
しかして、接続手段15が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断することとなる。このように、接続手段15が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断するので、採取口12から接続手段15を介して液体を採取する際、排出路βから液体が外部に漏れてしまうのを確実に回避させることができ、採取した液体を接続ラインL3に対してより良好に流通させることができる。
【0054】
上記第1の実施形態によれば、採取口12は、キャップ10(開閉手段)が取り付けられた状態で、導入口9aから導入された液体を採取口12の突端12a側に案内する案内路αと、該案内路αで案内された液体を導出口9b側へ排出させる排出路βとを画成するので、案内路α及び排出路βを介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、キャップ10から別個の流路を延設させることなく、採取口12内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる。さらに、採取口12が液体を採取させる機能に加えて案内路αと排出路βとを画成する機能を兼ね備えるため、別個の画成手段等を不要として構成を簡略化させることができる。
【0055】
また、透析液取出手段9は、採取口12の外周を覆う円筒状の外周壁部13を有するとともに、キャップ10は、当該外周壁部13の突端面13cとの間でシールするシール手段11を具備したので、キャップ10を採取口12に取り付けた状態で、案内路αと排出路βとの画成をより確実に行わせることができるとともに、洗浄水又は消毒液の流通をより良好に行わせることができる。
【0056】
さらに、採取口12の内部が案内路αとされるとともに、当該採取口12の外周面と外周壁部13の内周面との間が排出路βとされたので、案内路α及び排出路βを介して洗浄水又は消毒液をより円滑且つ良好に流通させることができる。またさらに、透析液取出手段9は、導入口9aから導入された液体のうち、案内路αに向かって流れる液体の圧力を導出口9bに向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段14を具備したので、当該圧力差形成手段14で生じた圧力差によって、案内路α及び排出路βに対してより確実に洗浄水又は消毒液を流通させることができる。
【0057】
また、圧力差形成手段14は、導入口9aから採取口12に向かって流れる液体の流通路14aを有して成るとともに、当該流通路14aは、流路の径が採取口12側に向かって次第に小さくなるテーパ面とされたので、導入口9aから案内路αに向かって流れる液体の圧力を導入口9aから排出口9bに向かって流れる液体の圧力に対して相対的に大きくすることができ、当該案内路α及び排出路βに対して確実な洗浄水又は消毒液の流通を図ることができる。
【0058】
加えて、本実施形態によれば、導入口9a及び採取口12は、略同一直線上に形成されて成るので、導入口9aから導入された液体が採取口12に向かってそのまま流れることとなり、より確実且つ良好に案内路α及び排出路βを介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、採取口12内部の洗浄及び消毒を一層確実に行わせることができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図7〜9に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ10とを具備したものである。なお、第1の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
圧力差形成手段14及び採取口12は、第1の実施形態と同様、一体部品(例えば、一体成形部品)から成るものとされているものの、第1の実施形態と異なり、透析液取出手段9内において固定されている。すなわち、本実施形態においては、採取口12と接続手段16(図8参照)とは、シール部17によりシールされ、連結路γの液体の流通は許容されないのである。
【0061】
接続手段16は、図8に示すように、採取口12から採取した液体を流通させるための接続ラインL3の先端部に取り付けられ、内周面16a及び外周面16bを有した円略筒状部材から成るものである。この外周面16bの先端側(採取口12との接続部位側)には、外周壁部13のネジ部13bと螺合し得るネジ部16baが一体形成されている。しかして、図9に示すように、接続手段16の内周面16aが採取口12の外周面に嵌合しつつ当該接続手段16の外周面16bのネジ部16baが外周壁部13の内周面に形成されたネジ部13bと螺合することにより係止されて当該採取口12に接続ラインL3が接続可能とされている。
【0062】
ここで、本実施形態に係る接続手段16は、その外周面16bにOリング等から成るシール部材17が取り付けられている。かかるシール部材17は、接続手段16が採取口12に接続された状態において、図9に示すように、外周壁部13の内周面13dと当接してシールし得るものとされており、これにより、接続手段16が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断することができるようになっている。
【0063】
本実施形態によれば、接続手段16が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断するので、採取口12から接続手段16を介して液体を採取する際、排出路βから液体が外部に漏れてしまうのを確実に回避させることができ、採取した液体を接続ラインL3に対してより良好に流通させることができる。また、第1の実施形態の如く、接続手段16を採取口12に接続させる過程で圧力差形成手段14及び採取口12を移動させる構成が不要となり、透析液取出手段9の構成をより簡素化させることができる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図10に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ18と、圧力差形成手段としてのベンチュリー形状20とを具備したものである。なお、第1の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0065】
キャップ18は、透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得るものであり、外周壁部13の外周面13eとの間でシールするシール手段19を具備したものである。より具体的には、シール手段19は、外周壁面13の突端側の形状に沿ったキャップ状とされており、当該外周壁面13の外周面13eと当接してシールし得るシール部19aが内側に向かって突出形成されている。
【0066】
しかして、キャップ18の内周面に形成されたネジ部18aを外周壁部13のネジ部13aに対して螺合させることにより当該キャップ18を外周壁部13に取り付けると、シール部19aが外周壁部13の外周面13eに当接してシールすることができるとともに、当該キャップ18が取り付けられた状態において、導入口9aから導入された液体を採取口12の突端12a側に案内する案内路αと、該案内路αで案内された液体を導出口9b側へ排出させる排出路βとを採取口12にて画成し得るようになっている。
【0067】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、透析液取出手段9は、採取口12の外周を覆う円筒状の外周壁部13を有するとともに、キャップ18は、当該外周壁部13の外周面13eとの間でシールするシール手段19を具備したので、キャップ18を採取口12に取り付けた状態で、案内路αと排出路βとの画成をより確実に行わせることができるとともに、洗浄水又は消毒液の流通をより良好に行わせることができる。特に、本実施形態によれば、シール手段19が外周壁部13の外周面13eとの間でシールするものとされているので、洗浄水又は消毒液の流通させる際、外周壁部13の突端面13cに対する洗浄又は消毒を図ることができる。
【0068】
さらに、本実施形態においては、導入口9aから導出口9bに向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのベンチュリー形状20から成る圧力差形成手段が形成されている。かかるベンチュリー形状20は、分岐部Pから導出口9bに向かう流路の一部であって連結路γとの合流部に形成されており、当該ベンチュリー形状20により、導入口9aから導入された液体のうち、案内路αに向かって流れる液体の圧力が導出口9bに向かって流れる液体の圧力より相対的に大きくなるよう構成されている。
【0069】
本実施形態によれば、圧力差形成手段は、導入口9aから導出口9bに向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのベンチュリー形状20から成るので、導入口9aから導出口9bに向かって流れる液体の圧力を導入口9aから採取口12に向かって流れる液体の圧力に対して相対的に小さくすることができ、案内路α及び排出路βに対して確実な洗浄水又は消毒液の流通を図ることができる。
【0070】
次に、本発明の第4の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図11に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口21a及び導出口21bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段21と、該透析液取出手段21の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ18と、圧力差形成手段としてのオリフィス22とを具備したものである。なお、先の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0071】
透析液取出手段21における分岐部P近傍の採取口12側には、案内部材Gが配設されている。この案内部材Gは、採取口12と一体成形されたもので、その内部に案内路αに通じる流路が形成されている。なお、案内部材G内の流路は、第1の実施形態の如く、その径が採取口12側に向かって次第に小さくなるテーパ面とするようにしてもよい。
【0072】
ここで、本実施形態においては、導入口21aから導出口21bに向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのオリフィス22から成る圧力差形成手段が形成されている。かかるオリフィス22は、分岐部Pから導出口21bに向かう流路の一部であって連結路γとの合流部より上流側(すなわち分岐部P側)に形成されており、当該オリフィス22により、導入口21aから導入された液体のうち、案内路αに向かって流れる液体の圧力が導出口21bに向かって流れる液体の圧力より相対的に大きくなるよう構成されている。
【0073】
しかるに、本実施形態においては、導入口21a及び導出口21bは、略同一直線上に形成されて成るとともに、その導入口21a及び導出口21bにて構成される流路に対して略90度の位置に採取口12が形成されているが、第1の実施形態の如く、透析液取出手段21における導入口21a及び採取口12を略同一直線上に形成するようにしてもよい。また、案内部材Gと採取口12とを別個の部品としてもよい。
【0074】
本実施形態によれば、圧力差形成手段は、導入口21aから導出口21bに向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのオリフィス22から成るので、案内路αと排出路βとの間に圧力差を設けることができ、案内路α及び排出路βに対して確実な洗浄水又は消毒液の流通を図ることができる。
【0075】
次に、本発明の第5の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図12、13に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口23a及び導出口23bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口12が形成された透析液取出手段23と、該透析液取出手段23の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ18と、圧力差形成手段25とを具備したものである。なお、先の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0076】
本実施形態に係る圧力差形成手段25は、第1の実施形態と同様、透析液取出手段23の分岐部P近傍に配設され、導入口23aから採取口12に向かって流れる液体の流通路25aを有して成るとともに、当該流通路25aは、流路の径が採取口12側(図12中右側)に向かって次第に小さくなるテーパ面とされている。かかる圧力差形成手段25は、採取口12とは別個形成された後、当該採取口12と連結されており、これら圧力差形成手段25と採取口12との連結部は、シール手段26によりシールが図られている。
【0077】
圧力差形成手段25におけるシール部材23cと対向した部位には、被シール部25bが形成されているとともに、圧力差形成手段25及び採取口12は、スプリングS3により、シール部材23cに対して被シール部25bが離間する方向に常時付勢されている。そして、接続手段15が採取口12に接続される際(すなわち、接続手段15の外周面15bのネジ部15baが外周壁部13の内周面に形成されたネジ部13bと螺合する過程で)、図13に示すように、圧力差形成手段25及び採取口12がスプリングS3の付勢力に抗して移動し、シール部材23cに対して被シール部25bが当接してシールすることにより、連結路γを遮蔽し得るようになっている。
【0078】
しかして、接続手段15が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断することとなる。このように、接続手段15が採取口12に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断するので、採取口12から接続手段15を介して液体を採取する際、排出路βから液体が外部に漏れてしまうのを確実に回避させることができ、採取した液体を接続ラインL3に対してより良好に流通させることができる。
【0079】
ここで、本実施形態に係る透析液取出手段23は、逆止弁27を具備するものとされている。この逆止弁27は、圧力差形成手段25と採取口12との連結部における流路24に配設され、採取口12からの液体の流出を許容するとともに当該採取口12を介して外部からの液体の流入を遮断するものである。かかる逆止弁27により、流路25aから案内路αに向かう液体の流れを許容するとともに、案内路αから流路25aに向かう液体の流れを規制するので、接続手段15を介して接続ラインL3を採取口12に接続した際、液体の採取を良好に維持するとともに、当該接続ラインL3内の液体が採取口12から流入してしまうのを回避することができる。
【0080】
次に、本発明の第6の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図14〜16に示すように、透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ18’と、該キャップ18’の閉状態を保持し得る保持手段28とを具備したものである。なお、本実施形態で適用される透析液取出手段9は、第1の実施形態と同一の構成(但し、外周壁部13のネジ部13aは形成されていない)とされるものであるため、詳細な説明を省略する。
【0081】
保持手段28は、図14に示すように、シャフト部材29と、スプリング30と、シャフト部材31とを有して構成されており、当該シャフト部材29を中心に回転自在とされている。また、シャフト部材29の基端には、バネ受け29aが形成されており、当該バネ受け29aと透析液取出手段9との間には、スプリング30が介装されている。これにより、保持手段28は、スプリング30の付勢力により常時、同図中左方向に付勢されている。
【0082】
キャップ18’は、シャフト部材31の先端に支持されるとともに、当該シャフト部材31を中心に回転自在とされている。すなわち、キャップ18’は、シャフト部材29を中心として回動可能とされるとともに、シャフト部材31を中心として回転可能とされているのである。また、キャップ18’には、外周壁部13の外周面との間でシールするための第3の実施形態と同様のシール手段19が取り付けられている一方、第3の実施形態の如きネジ部18a(外周壁部13のネジ部13aも同様)は形成されていない。
【0083】
しかして、キャップ18’が採取口12を覆った状態(図14参照)においては、スプリング30の付勢力によってキャップ18’が外周壁部13(採取口12側)に押圧され、閉状態が保持されるようになっている。また、スプリング30の付勢力に抗して保持手段28をキャップ18’と共に移動(同図中右方向への移動)させると、当該キャップ18’が外周壁部13から離間した状態とされ、更にそのキャップ18’をシャフト部材29を中心として回動させれば、図15に示すように、採取口12を開放させた状態とすることができる。これにより、採取口12に対して接続手段15(図5参照)等を接続することができる。なお、図15の状態からシャフト部材31を中心としてキャップ18’を回転させると、図16に示すように、当該キャップ18’の向きが反転することとなる。この状態にすれば、シール手段19の交換やメンテナンス等を容易に行わせることができる。
【0084】
本実施形態によれば、キャップ18’による外周壁部13に対するシールを強固且つ確実に行わせることができるとともに、採取口12を開状態としたとき、キャップ18’の紛失等を回避することができる。また、保持手段28の向き(シャフト部材29を中心とした回転位置)を検知する検知手段を設けるようにすれば、採取口12が開状態であるのか閉状態であるのかを検出させることができる。なお、本実施形態に係る透析液取出手段は、第1の実施形態と同様のものとされているが、他の形態の如き構成のものとしてもよい。
【0085】
次に、本発明の第7の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図17、18に示すように、透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口12に対して脱着可能とされ、当該採取口12を開閉し得る開閉手段としてのキャップ32と、該キャップ32の閉状態を保持し得る係止手段33とを具備したものである。なお、本実施形態で適用される透析液取出手段9は、第1の実施形態と同一の構成(但し、外周壁部13のネジ部13aは形成されていない)とされるものであるため、詳細な説明を省略する。
【0086】
キャップ32は、図17に示すように、シャフト部材29と、スプリング30と、シャフト部材31とを有して構成されており、当該シャフト部材29を中心に回動自在とされている。また、シャフト部材29の基端には、バネ受け29aが形成されており、当該バネ受け29aと透析液取出手段9との間には、スプリング30が介装されている。これにより、キャップ32は、スプリング30の付勢力により常時、同図中左方向に付勢されている。
【0087】
さらに、キャップ32は、シャフト部材31の先端に支持されるとともに、当該シャフト部材31を中心に回転自在とされている。すなわち、キャップ32は、シャフト部材29を中心として回動可能とされるとともに、シャフト部材31を中心として回転可能とされているのである。また、キャップ32には、外周壁部13の外周面との間でシールするための第3の実施形態と同様のシール手段19が取り付けられている一方、第3の実施形態の如きネジ部18a(外周壁部13のネジ部13aも同様)は形成されていない。
【0088】
またさらに、キャップ32に形成された係止手段33は、先端に係止爪33aが形成されるとともに、揺動軸L1を中心に回転自在とされており、当該係止爪33aを固定側に形成された棒状の被係止部34に係止させることにより、キャップ32の閉状態を保持させ得るよう構成されている。なお、係止手段33は、スプリングS4により、係止爪33aが被係止部34に係止する方向に常時付勢されている。
【0089】
しかして、キャップ32が採取口12を覆った状態(図17参照)においては、係止爪33aが被係止部34に係止するとともに、スプリング30の付勢力によってキャップ32が外周壁部13(採取口12側)に押圧され、閉状態が保持されるようになっている。また、スプリングS4の付勢力に抗して係止手段33を揺動させ、係止爪33aの被係止部34に対する係止を解除した後、スプリング30の付勢力に抗してキャップ32を移動(同図中右方向への移動)させると、当該キャップ32が外周壁部13から離間した状態とされ、更にそのキャップ32をシャフト部材29を中心として回動させれば、図18に示すように、採取口12を開放させた状態とすることができる。これにより、採取口12に対して接続手段15(図5参照)等を接続することができる。なお、図18の状態からシャフト部材31を中心としてキャップ32を回転させると、第6の実施形態の如く、当該キャップ32の向きが反転することとなる。この状態にすれば、シール手段19の交換やメンテナンス等を容易に行わせることができる。
【0090】
本実施形態によれば、キャップ32による外周壁部13に対するシールを強固且つ確実に行わせることができるとともに、採取口12を開状態としたとき、キャップ32の紛失等を回避することができる。また、係止手段33によりキャップ32の閉状態を強固に保持し得るので、振動等によってキャップ32が不用意に揺動し、採取口12が開放されてしまうのを回避することができる。さらに、第6の実施形態と同様、保持手段28の向き(シャフト部材29を中心とした回転位置)を検知する検知手段を設けるようにすれば、採取口12が開状態であるのか閉状態であるのかを検出させることができる。なお、本実施形態に係る透析液取出手段は、第1の実施形態と同様のものとされているが、他の形態の如き構成のものとしてもよい。
【0091】
本発明の上記第1〜7の実施形態によれば、案内路及び排出路を介して洗浄水又は消毒液を流通させることができ、開閉手段から別個の流路を延設させることなく、採取口内部の洗浄及び消毒を確実に行わせることができる血液浄化装置(血液透析装置)を提供することができる。さらに、採取口が液体を採取させる機能に加えて案内路と排出路とを画成する機能を兼ね備えるため、別個の画成手段等を不要として構成を簡略化させることができる血液浄化装置(血液透析装置)を提供することができる。
【0092】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば圧力差形成手段を具備しないもの、或いは逆止弁等を具備しないものであってもよい。また、キャップ等の開閉手段が取り付けられた状態で、導入口から導入された液体を採取口12の突端12a側に案内する案内路αと、該案内路αで案内された液体を導出口側へ排出させる排出路βとを画成する採取口12を具備したものであれば、外周壁部13を具備しないものであってもよい。
【0093】
さらに、本実施形態が適用される血液浄化装置は、何れの形態のものであってもよく、例えば、複式ポンプ7に代えてチャンバにて透析液を導入又は排出させるもの、ダイアライザ1に代えて他の形態の血液浄化器を具備したもの等としてもよい。またさらに、本実施形態においては、何れも透析装置本体の透析液導入ラインL1に配設されているが、当該透析装置本体内の他の流路に配設したものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
開閉手段が取り付けられた状態で、導入口から導入された液体を採取口の突端側に案内する案内路と、該案内路で案内された液体を導出口側へ排出させる排出路とを画成する採取口を具備した透析液取出装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…ダイアライザ(血液浄化器)
2…動脈側血液回路
3…静脈側血液回路
4…血液ポンプ
5…動脈側エアトラップチャンバ
6…静脈側エアトラップチャンバ
7…複式ポンプ
8…除水ポンプ
9…透析液取出手段
10…キャップ(開閉手段)
11…シール手段
12…採取口
13…外周壁部
14…圧力差形成手段
15…接続手段
16…接続手段
17…シール部材
18、18’…キャップ
19…シール手段
20…ベンチュリー形状
21…透析液取出手段
22…オリフィス
23…透析液取出手段
24…流路
25…圧力差形成手段
26…シール手段
27…逆止弁
28…保持手段
29…シャフト部材
30…スプリング
31…シャフト部材
32…キャップ
33…係止手段
34…被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、
該透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段と、
を具備した透析液取出装置において、
前記採取口は、前記開閉手段が取り付けられた状態で、前記導入口から導入された液体を前記採取口の突端側に案内する案内路と、該案内路で案内された液体を前記導出口側へ排出させる排出路とを画成することを特徴とする透析液取出装置。
【請求項2】
前記透析液取出手段は、前記採取口の外周を覆う円筒状の外周壁部を有するとともに、前記開閉手段は、当該外周壁部の外周面又は突端面との間でシールするシール手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の透析液取出装置。
【請求項3】
前記採取口の内部が前記案内路とされるとともに、当該採取口の外周面と前記外周壁部の内周面との間が前記排出路とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の透析液取出装置。
【請求項4】
前記外周壁部は、前記採取口の突端を覆って突出して成ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の透析液取出装置。
【請求項5】
前記採取口は、採取した液体を流通させるための接続ラインが接続手段を介して接続可能とされるとともに、当該接続手段の内周面が前記採取口の外周面に嵌合しつつ当該接続手段の外周面が前記外周壁部の内周面に係止されて当該採取口に接続ラインが接続可能とされたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1つに記載の透析液取出装置。
【請求項6】
前記接続手段が前記採取口に接続された状態において、前記排出路を介して液体が外部に流れるのを遮断することを特徴とする請求項5記載の透析液取出装置。
【請求項7】
前記透析液取出手段は、前記導入口から導入された液体のうち、前記案内路に向かって流れる液体の圧力を前記導出口に向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段を具備したことを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の透析液取出装置。
【請求項8】
前記圧力差形成手段と前記採取口とは一体部品から成ることを特徴とする請求項7記載の透析液取出装置。
【請求項9】
前記圧力差形成手段は、前記導入口から前記採取口に向かって流れる液体の流通路を有して成るとともに、当該流通路は、流路の径が採取口側に向かって次第に小さくなるテーパ面とされたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の透析液取出装置。
【請求項10】
前記圧力差形成手段は、前記導入口から前記導出口に向かう液体の流れを絞って圧力を低下させるためのオリフィス又はベンチュリー形状から成ることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の透析液取出装置。
【請求項11】
前記透析液取出手段は、前記採取口からの液体の流出を許容するとともに当該採取口を介して外部からの液体の流入を遮断する逆止弁を具備したことを特徴とする請求項1〜10の何れか1つに記載の透析液取出装置。
【請求項12】
前記導入口及び前記採取口は、略同一直線上に形成されて成ることを特徴とする請求項1〜11の何れか1つに記載の透析液取出装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1つに記載の透析液取出装置を具備したことを特徴とする血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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