説明

透析液調製装置の診断方法と透析液調製装置

【解決手段】 透析液調製装置1は、給水通路2と、A液を供給するA液通路3と、B液を供給するB液通路4と、第1〜第3濃度測定手段20、23、27とを備え、上記浄水、A液、B液をそれぞれ所定の割合で混合して透析液を調製し、該調製した透析液の濃度を上記濃度測定手段によって測定するようになっている。
上記透析液を調製する前に、上記給水通路に透析液およびA液が流通していない状態で、上記給水通路に上記B液通路からB液を供給して、上記給水通路にB液だけを流通させ、上記第1〜第3濃度測定手段第1〜第3検出部20a、23a、27aにより上記B液の電気伝導度を測定して、測定したB液の電気伝導度を予め設定した値と比較することにより、これら第1〜第3濃度測定手段の精度を診断する。
【効果】 特別な試薬や機器等を必要とせず、簡易に濃度測定装置の診断を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透析液調製装置の診断方法と透析液調製装置に関し、詳しくは浄水、A液、B液をそれぞれ所定の割合で混合して透析液を調製し、該調製した透析液の濃度を濃度測定手段によって測定する透析液調製装置の診断方法と透析液調製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析装置で使用する透析液を調製するため、浄水を供給する給水通路と、上記給水通路に接続されて塩化ナトリウムを主成分とするA液を供給するA液通路と、上記給水通路に接続されて炭酸水素ナトリウム水溶液からなるB液を供給するB液通路とを備えた透析液調製装置が知られている。
このような透析液調製装置では、調製した透析液に異常が無いかを判定するため、上記給水通路における上記A液通路およびB液通路の接続位置よりも下流側に電気伝導度の検出部を設けた濃度測定手段を備えている。
また上記透析液調製装置において、透析治療における安全性向上のため、透析液を調製する前に予め透析液調製装置に設けられた開閉弁等の動作確認を行うものも知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−142191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の透析液調製装置においては、上記濃度測定手段の精度について診断しておらず、上記検出部を構成する電極に透析液の析出物が付着する等して濃度測定手段の精度が低下している場合には、正常な透析液の濃度測定が行われず、調製される透析液の濃度が不安定となるおそれがあった。
このような問題に鑑み、本発明は濃度測定手段の診断のために特別な試薬や機器等を必要とせず、簡易に診断を行うことが可能な透析液調製装置の診断方法ならびに透析液調製装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる透析液調製装置の診断方法は、浄水を供給する給水通路と、上記給水通路に接続されて塩化ナトリウムを主成分とするA液を供給するA液通路と、上記給水通路に接続されて炭酸水素ナトリウム水溶液からなるB液を供給するB液通路と、上記給水通路における上記A液通路およびB液通路の接続位置よりも下流側に検出部を設けた濃度測定手段とを備え、
上記浄水、A液、B液をそれぞれ所定の割合で混合して透析液を調製し、該調製した透析液の濃度を上記濃度測定手段によって測定する透析液調製装置の診断方法であって、
上記透析液を調製する前に、上記給水通路に上記B液通路からB液を供給して、上記給水通路にB液だけを流通させ、
上記濃度測定手段により上記B液の電気伝導度を測定して、測定したB液の電気伝導度を予め設定した値と比較することにより、上記濃度測定手段の精度を診断することを特徴としている。
【0006】
また請求項4の発明にかかる透析液調製装置は、浄水を流通させる給水通路と、該給水通路に設けられた給水ポンプと、上記給水通路に接続されて塩化ナトリウムを主成分とするA液を供給するA液通路と、A液通路に設けられたA液ポンプと、上記給水通路に接続されて炭酸水素ナトリウム水溶液からなるB液を供給するB液通路と、該B液通路に設けられたB液ポンプと、上記給水通路における上記A液通路およびB液通路の接続位置よりも下流側に検出部を設けた濃度測定手段と、各ポンプの作動を制御する制御手段を備え、上記浄水、A液、B液を所定の割合で混合して透析液を調製する透析液調製装置において、
上記制御手段に上記濃度測定手段の精度を診断する診断部を設け、
上記制御手段は、給水ポンプとA液ポンプでは送液させず、上記B液ポンプを作動させて上記給水通路にB液のみを送液させ、
上記診断部は、上記濃度測定手段の検出部が測定したB液の電気伝導度と、予め設定された値とを比較して、上記濃度測定手段の精度を診断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1および請求項4の発明によれば、上記濃度測定装置の精度の診断を行うために、透析液の調製に使用するB液を使用するため、特別な試薬や機器等を必要とせず、濃度測定装置を備えた透析液調製装置の内部で簡易に診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施例にかかる透析液調製装置の構成図
【図2】第2実施例にかかる個人用透析装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図示実施例について説明すると、図1は病院等に設置される透析液調製装置1を示しており、この透析液調製装置1は、いわゆる多人数用透析液供給装置として、調製した透析液を図示しない複数台の透析監視装置に供給するようになっている。
上記透析液調製装置1は、浄水を供給する図示しない浄水供給手段に接続された給水通路2と、上記給水通路2に接続されて透析液の原液であるA液を供給するA液通路3と、上記給水通路2に接続されてB液を供給するB液通路4と、給水通路2から続いて不良な透析液を排液する廃液通路5とを備え、この透析液調製装置1の電磁開閉弁やポンプの作動は制御手段6によって制御されるようになっている。
また上記透析液の原液としてのA液は、塩化ナトリウムを主成分とする溶液となっており、上記塩化ナトリウム以外にブドウ糖等の成分も含まれるが、使用する患者によってその比率が変更される場合があるため、A液自体の濃度は調製する透析液毎に変化する場合がある。
一方、上記透析液の原液としてのB液は、炭酸水素ナトリウムだけを含んだ水溶液からなり、調製する透析液に関わらず、このB液の濃度は一定となっている。
そして上記透析液調製装置1は、後に詳述するように透析液を調製する前に予め当該透析液調製装置1を構成する各機器の診断を行うセルフチェック機能を有しており、セルフチェックを行う診断モードと、透析液の調製を行う調製モードとに切替え可能となっている。
【0010】
上記B液通路4は、上記給水通路2における上記A液通路3よりも上流側に接続されており、またB液通路4の接続位置よりも上流側には、上流側から順に、給水通路2を開閉する第1開閉弁11と、給水通路2内の浄水の流量を調整する調整弁12と、浄水を送液する浄水ポンプ13と、浄水の流量を測定する流量計14とが設けられている。
上記調整弁12はニードルバルブとなっており、上記制御手段6の制御によって浄水ポンプ13が送液する浄水の流量を調整し、上記流量計14はその流量を測定して、上記調整弁12の流量調整にフィードバックするようになっている。
上記A液通路3は、一端がA液を貯溜したA液タンク15に接続されており、またA液通路3上にはA液を送液するA液ポンプ16が設けられている。これと同様、上記B液通路4はB液を貯溜したB液タンク17に接続され、またB液通路4上にはB液を送液するB液ポンプ18が設けられている。
上記A液ポンプ16およびB液ポンプ18はそれぞれ容量式のポンプからなり、図示しないモータを備えており、このモータを所定の回転数で回転させることにより、制御手段6に設定された所定流量のA液およびB液を給水通路2に供給することが可能となっている。
【0011】
上記給水通路2における上記B液通路4とA液通路3との間には、上流側から順に、液体を一時的に貯溜する第1バッファタンク19と、液体の濃度を測定する第1濃度測定手段20の検出部20aと、液体の温度を測定する第1温度測定手段21とが設けられている。
また上記給水通路2におけるA液通路3の下流側には、上流側から順に、液体を一時的に貯溜する第2バッファタンク22と、液体の濃度を測定する第2濃度測定手段23の検出部23aと、液体の温度を測定する第2温度測定手段24と、透析液を清浄化する第1フィルタ25および第2フィルタ26と、液体の濃度を測定する第3濃度測定手段27の検出部27aと、液体の温度を測定する第3温度測定手段28とが設けられている。
そして、上記第3温度測定手段28の下流側には、廃液通路5との境界に接続ポート29が設けられ、この接続ポート29には給液通路30が設けられるとともに、該給液通路30には透析液を送液する送液ポンプ31と、ドリップチャンバ32とが設けられており、また接続ポート29以降の上記廃液通路5には第2開閉弁33が設けられている。
【0012】
上記第1、第2バッファタンク19、22は、上記給水通路2の一部分を拡径させて液体を撹拌させる空間を形成しており、第1バッファタンク19ではB液と浄水とを混合させてB液の調製液を調製し、第2バッファタンク22では上記B液の調製液にA液を混合させて透析液を調製するようになっている。
上記第1バッファタンク19の内部で調製されるB液の調製液におけるB液と浄水との比率は、上記透析液調製装置1が調製する透析液におけるB液と浄水との比率と一致しており、B液の濃度は予め測定されて上記制御手段6に登録されている。
また、第2バッファタンク22の内部で調製される透析液についても、その濃度は予め測定されて上記制御手段6に登録されており、この濃度は使用するA液に応じて複数種類が登録されている。
上記第1、第2フィルタ25、26は、調製された透析液中のエンドトキシンを除去するものとなっており、2つのフィルタにより確実にエンドトキシンを除去するものとなっている。
【0013】
上記第1〜第3濃度測定手段20、23、27は、電極からなる第1〜第3検出部20a、23a、27aがそれぞれ液体の電気伝導度を測定することにより液体の濃度に換算する濃度計となっており、上記制御手段6に組み込まれている。
第1〜第3温度測定手段21、24、28はそれぞれに第1〜第3検出部20a、23a、27aに隣接して配置され、第1〜第3濃度測定手段20、23、27では、測定された液温により濃度の換算値を補正するようになっている。
透析液調製装置1が調製モードとなっている際には、上記第1濃度測定手段20は上記第1バッファタンク19で調製されたB液の調製液の電気伝導度を測定し、第2、第3濃度測定手段23、27は第2バッファタンク22で調製された透析液の電気伝導度を測定するようになっている。
制御手段6は、これら第1〜第3濃度測定手段20、23、27が測定したB液の調製液および透析液の電気伝導度を、予め登録されたB液の調製液および透析液の電気伝導度と比較して、これらの電気伝導度に異常があるか否かを判定するようになっている。
そして、B液の調製液や透析液からは炭酸カルシウムが析出し、検出部20a、23a、27aの電極に付着して測定が不安定になることから、本実施例では、透析液の調製を行う前に透析液調製装置1のセルフチェックを行う診断モードとするようになっている。
このため、上記制御手段6にはセルフチェックを行うための診断部6aを備えており、この診断部6aにおいて上記第1〜第3濃度測定手段20、23、27の精度を診断するようになっている。
【0014】
以下、上記構成を有する透析液調製装置1の動作について説明する。まず起動前の透析液調製装置1において、上記A液通路3およびB液通路4には、透析液の調製に使用するA液およびB液の貯溜されたA液タンク15およびB液タンク17がそれぞれ接続されており、また上記給水通路2は該給水通路2の洗浄後のすすぎ水として使用した浄水で満たされており、A液およびB液は混入していない状態となっている。
この状態から、作業者が図示しない操作パネルを操作して透析液調製装置1を起動させると、診断モードとなりセルフチェック機能が作動して、各電磁開閉弁やポンプ、各測定手段の動作確認とともに、制御手段6の診断部6aにより濃度測定手段の精度を診断するようになっている。
なお、以下の説明においては、上記第1〜第3濃度測定手段20、23、27の精度の診断を行う診断方法について説明する。
【0015】
まず制御手段6は、上記給水通路2の第1開閉弁11を閉鎖して第2開閉弁33を開放するとともに、上記浄水ポンプ13、送液ポンプ31を停止させ、上記B液通路4のB液ポンプ18を作動させる。このときA液ポンプ16は停止している。
これにより、B液タンク17から供給されるB液はB液通路4を介して給水通路2に流入し、給水通路2では満たされていた浄水が廃液通路5に押し出されて、最終的には給水通路2はB液通路4の接続位置より下流側がB液のみで満たされた状態となる。
制御手段6では、B液ポンプ18の作動から少なくとも第3濃度測定手段27の検出部27aにまでB液が行き渡る十分な時間が経過すると、第1〜第3濃度測定手段20、23、27の第1〜第3検出部20a、23a、27aによる電気伝導度の測定を行う。
そして診断部6aでは、測定した電気伝導度を、予め設定した値(例えば、B原液として7%の炭酸水素ナトリウム水溶液を使用している場合は、45.4mS/cm)と比較する。
今回測定したB液の測定値が、予め設定した値に対して所定の誤差範囲内である場合、診断部6aでは異常が無いものと診断し、誤差範囲を超えている場合には異常があるものと診断する。
全ての濃度測定手段20、23、27に異常が無い場合、制御手段6は以下に説明する作業を続行し、異常がある場合、制御手段6は該当する濃度測定手段について、警告を行う。
【0016】
また制御手段6では、上記B液ポンプ18がB液の送液を開始してから、継続して上記第1濃度測定手段20によって電気伝導度を測定しており、その電気伝導度が上記所定値に到達するまでの時間を計測する。すなわち、B液が第1検出部20aに到達するまでの時間を計測する。
そして診断部6aでは、計測したB液の到達時間を、予め設定された標準時間と比較し、B液ポンプ18の異常の有無を判定する。上記到達時間が標準時間よりも遅い場合には、B液ポンプ18の送液量が足りないこととなり、早い場合は送液量が規定より多いこととなる。
【0017】
このようにして第1〜第3濃度測定手段20、23、27の各検出部20a、23a、27aでB液の電気伝導度を測定したら、制御手段6は給水通路2の第1開閉弁11を開放し、さらに浄水ポンプ13を作動させて、給水通路2に所定流量の浄水を流通させる。
この際、上記B液ポンプ18は規定流量で送液しており、これにより上記給水通路2の第1バッファタンク19ではB液と浄水とが混合されて所定濃度のB液の調製液が調製され、このB液の調製液は廃液通路5まで流通する。
制御手段6では、B液のみを送液した場合と同様、第1〜第3検出部20a、23a、27aで電気伝導度を測定し、診断部6aではこれら測定値をB液の調製液の濃度に該当する予め設定した値と比較して精度を診断する。
このように、B液とB液の調製液の濃度、すなわち電気伝導度の異なる液を測定することで、より正確な第1〜第3濃度測定手段20、23、27の診断が可能となる。
【0018】
このようにして第1〜第3濃度測定手段20、23、27の各検出部20a、23a、27aでB液の調製液の電気伝導度を測定したら、制御手段6はA液通路3のA液ポンプ16を作動させて、給水通路2にA液を供給させる。
この際も上記B液ポンプ18は作動しており、これによりA液通路3の接続された位置よりも下流側に位置する第2バッファタンク22ではB液の調製液にA液が混合されて透析液が調製され、この透析液は給水通路2を廃液通路5まで流通する。
制御手段6では、第2濃度測定手段23の第2検出部23a、第3濃度測定手段27の第3検出部27aにより透析液の電気伝導度を測定し、透析液の電気伝導度として予め設定された値と比較して、透析液の濃度の良否を判定する。
また、A液ポンプ16がA液の供給を開始してから、第2検出部23aで所定の透析液濃度に相当する電気伝導度を測定するまでの時間を計測することによって、A液ポンプ16の送液量の診断を行うことができる。
そして、このようにして第1〜第3濃度測定手段20、23、27の精度の診断が完了し、またその他の機器にも異常が見られなかった場合、上記制御手段6は透析液調製装置1の診断を終了し、透析液調製装置1は診断モードから調製モードへと切替えられて、引き続き透析液の調製を行う。
【0019】
このように、上記実施例にかかる透析液調製装置1によれば、上記制御手段6に設けた診断部6aにより、自動的に第1〜第3濃度測定手段20、23、27の精度を診断することができる。
また上記第1〜第3濃度測定手段20、23、27の診断をするために、透析液の調製に使用するB液を利用しているので、診断のために特別な試薬や機器を必要とせず、簡易に診断を行うことができる。
このとき、B液が濃度測定手段の検出部に到達するまでの到達時間を計測することで、上記B液ポンプ18の送液量の診断を行うことも可能となっている。
さらに、第1〜第3濃度測定手段20、23、27の診断を行う際に、B液と、B液の調製液という、異なる電気伝導度の液体を測定することで、正確な診断を行うことが可能となっている。
【0020】
なお上記実施例では、上記B液通路4が上記給水通路2における上記A液通路3よりも上流側に接続されているが、これをA液通路3よりも下流側に接続することも可能である。
つまり、図1における3をB液通路、4をA液通路とし、15、16をそれぞれB液タンク、B液ポンプとし、17、18をそれぞれA液タンク、A液ポンプとすることが可能である。
このような構成とした場合において、上記第1〜第3濃度測定手段20、23、27の精度の診断を行う際には、上述した手順と同様の手順により、最初にB液通路(3)の下流側に位置する第2、第3濃度測定手段23、27の第2、第3検出部23a、27aへとB液を送液し、これにより第2、第3濃度測定手段23、27の診断を行い、またB液ポンプ(16)の異常の有無を判定する。
【0021】
続いて、B液通路(3)とA液通路(4)との間に配置された第1濃度測定手段20の診断を行うため、給水通路2の第1開閉弁11を閉鎖するとともに第2開閉弁33を開放した状態を維持するとともに、上記浄水ポンプ13および送液ポンプ31を停止させておき、その状態でA液ポンプ(18)を逆回転させる。
すると、上記給水通路2におけるB液通路3の接続位置より下流側に満たされたB液が、第1濃度測定手段20の第1検出部20aまで逆流され、これによりB液の電気伝導度を測定して、第1濃度測定手段20の診断を行うことができる。
また第1濃度測定手段20の診断を行うためのその他の方法としては、第2、第3濃度測定手段23、27の診断を行った状態から、給水通路2の第1開閉弁11を閉鎖するとともに、上記浄水ポンプ13および送液ポンプ31を停止させておき、その状態で上記第2開閉弁33を閉鎖する。
さらにB液ポンプ(16)を作動させるとともに、上記A液ポンプ(18)をB液ポンプ(16)と同じ速度で逆回転させると、B液が第1濃度測定手段20の第1検出部20aまで逆流し、これによりB液の電気伝導度を測定して、第1濃度測定手段20の診断を行うことができる。
なお、このようにA液通路(4)をB液通路(3)よりも上流側に設け、A液ポンプ(18)を逆回転させるような場合には、B液がA液タンク(17)の中に入らないよう、A液ポンプ(18)の逆回転量に制限を設定することが望ましい。
【0022】
図2は第2実施例を示し、いわゆる個人用透析装置101の構成図を示している。この個人用透析装置101は図1に示す透析液調製装置1としての機能も有しており、透析液の調製を行うことが可能となっている。
なお、以下の実施例において、上記第1実施例と共通する構成については第1実施例で使用した符号に対して100を加算した符号を用いるものとし、詳細な説明を省略するものとする。
個人用透析装置101は、血液と透析液との間で透析を行う透析器106と、該透析器106と患者との間に接続される血液回路107と、上記透析器106に新鮮な透析液を供給し、使用済み透析液の回収を行う第1、第2チャンバC1,C2とを備えている。
上記第1、第2チャンバC1,C2はそれぞれ可撓性を有するダイアフラムC1a,C2aによって新鮮な透析液が貯溜される供給室C1b、C2bと、使用済みの透析液が貯溜される回収室C1c、C2cとに区画されている。
上記供給室C1b、C2bには、給水通路102と、新鮮な透析液を透析器106に供給する給液通路108とが接続され、また上記回収室C1c、C2cには、廃液通路105と、透析器106から使用済み透析液を回収する回収通路109とが接続されており、これらの通路にはそれぞれ各種電磁開閉弁が設けられている。
【0023】
そして、上記第1実施例における給水通路2は、第2実施例における給水通路102および給液通路108に該当し、第3濃度測定手段127の検出部127a、第3温度測定手段128、第1フィルタ125はそれぞれ上記給液通路108に設けられている。
また上記第3濃度測定手段127および第3温度測定手段128は給液通路108における第1フィルタ125の上流側に設けられ、第1実施例における第2フィルタ26は省略されており、さらに上記送液ポンプ130は上記回収通路109に設けられている。
そして、上記第1フィルタ125には上記回収通路109との間にバイパス通路110が形成されており、このバイパス通路110に設けた第2開閉弁132を開放することで、濃度不良と判定された透析液を廃液するようになっている。
【0024】
上述したような構成を有する個人用透析装置101自体は従来公知であるため、動作についての詳細な説明は省略するが、上記第1実施例と同様、この個人用透析装置101においても、制御手段106に設けた診断部106aにより、上記第1実施例と同様、第1〜第3濃度測定手段120、123、127の精度の診断が可能となっており、また上記B液ポンプ118、A液ポンプ116の送液量についても診断することが可能となっている。
なお上記第2実施例の構成においても、B液通路をA液通路よりも下流側に接続することが可能であり、このような構成としても第1〜第3濃度測定手段120、123、127の精度の診断を行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 透析液調製装置 2 給水通路
3 A液通路 4 B液通路
5 廃液通路 6 制御手段
6a 診断部 15 A液タンク
16 A液ポンプ 17 B液タンク
18 B液ポンプ 20 第1濃度測定手段
20a 第1検出部 23 第2濃度測定手段
23a 第2検出部 27 第3濃度測定手段
27a 第3検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水を供給する給水通路と、上記給水通路に接続されて塩化ナトリウムを主成分とするA液を供給するA液通路と、上記給水通路に接続されて炭酸水素ナトリウム水溶液からなるB液を供給するB液通路と、上記給水通路における上記A液通路およびB液通路の接続位置よりも下流側に検出部を設けた濃度測定手段とを備え、
上記浄水、A液、B液をそれぞれ所定の割合で混合して透析液を調製し、該調製した透析液の濃度を上記濃度測定手段によって測定する透析液調製装置の診断方法であって、
上記透析液を調製する前に、上記給水通路に上記B液通路からB液を供給して、上記給水通路にB液だけを流通させ、
上記濃度測定手段により上記B液の電気伝導度を測定して、測定したB液の電気伝導度を予め設定した値と比較することにより、上記濃度測定手段の精度を診断することを特徴とする透析液調製装置の診断方法。
【請求項2】
上記B液の電気伝導度を測定する際、上記B液通路に設けられて給水通路にB液を供給するB液ポンプがB液の送液を開始してから、上記濃度測定手段が上記B液の濃度を測定するまでの時間を計測し、
これにより、上記B液ポンプの送液精度を診断することを特徴とする請求項1に記載の透析液調製装置の診断方法。
【請求項3】
上記B液の電気伝導度を測定した後、上記給水通路に浄水を流通させて、浄水とB液とを混合させてB液の調製液を調製し、
上記濃度測定手段により上記B液の調製液の電気伝導度を測定して、測定したB液の調製液の電気伝導度を予め設定した値と比較することにより、上記濃度測定手段の精度を診断することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の透析液調製装置の診断方法。
【請求項4】
浄水を流通させる給水通路と、該給水通路に設けられた給水ポンプと、上記給水通路に接続されて塩化ナトリウムを主成分とするA液を供給するA液通路と、A液通路に設けられたA液ポンプと、上記給水通路に接続されて炭酸水素ナトリウム水溶液からなるB液を供給するB液通路と、該B液通路に設けられたB液ポンプと、上記給水通路における上記A液通路およびB液通路の接続位置よりも下流側に検出部を設けた濃度測定手段と、各ポンプの作動を制御する制御手段を備え、上記浄水、A液、B液を所定の割合で混合して透析液を調製する透析液調製装置において、
上記制御手段に上記濃度測定手段の精度を診断する診断部を設け、
上記制御手段は、給水ポンプとA液ポンプでは送液させず、上記B液ポンプを作動させて上記給水通路にB液のみを送液させ、
上記診断部は、上記濃度測定手段の検出部が測定したB液の電気伝導度と、予め設定された値とを比較して、上記濃度測定手段の精度を診断することを特徴とする透析液調製装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−81662(P2013−81662A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224216(P2011−224216)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】