説明

透水性フィルムおよびその製造方法

【課題】簡便な製造工程で高速に安定して大量に製造でき、透水性と引裂抵抗性に優れている透水性フィルムを提供する。
【解決手段】結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)18〜42重量%と、熱可塑性エラストマー(B)5〜15重量%と、表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)45〜75重量%とを含有する2軸延伸樹脂フィルムを含む透水性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の面から他方の面へ容易に水や油などの液体を透過させることができる透水性フィルムに関する。本発明の透水性フィルムは電池や電解コンデンサーなどの各種セパレータ、各種分離膜(フィルター)、おむつなどの吸収性物品、感熱受容紙用部材、インク受容体部材などに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、厚み方向に水を透過させることができる薄膜状の素材として、天然紙(パルプ紙・ペーパーフィルター)、織布(濾し布)、不織布、オイルリムーブや溶剤抽出による多孔性フィルム、超高分子量ポリエチレンの焼結体から切削して得られた多孔性フィルム、ポリテトラフルオロエチレン、超高分子量ポリエチレンやポリアミド系樹脂を延伸しフィブリル化させた多孔質フィルム、物理発泡フィルム、スポンジ、金網等のものがあった。
これらの素材は、液体吸収体、液体吸収性の清拭材、梱包包装用の保護緩衝材、土木建築用の建材・養生シート・目地材、結露防止材、家畜舎用の断熱材、クッション、筆記具用の中綿、芳香剤等の吸上げ芯、水耕栽培用の培地、フィルター等の濾材、各種精密濾過膜、電池や電解コンデンサーのセパレータ、感熱受容紙用部材、インク受容体部材等の用途に用いられてきた。
【0003】
上述の薄膜素材には、それぞれ種々のメリットがある。例えば天然紙や不織布については、製造工程が簡便で安価である。また、溶剤抽出による多孔性フィルム、超高分子量ポリエチレンの焼結体から切削して得られる多孔性フィルム、各種樹脂フィルムを延伸によりフィブリル化させた多孔性フィルムについては、耐久性があり、その空孔径と分布が均一精密であることから、電池や電解コンデンサーのセパレータや各種精密濾過膜などに実際に使用されている(特許文献1〜9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2814598号公報
【特許文献2】特許第3055470号公報
【特許文献3】特許第3121047号公報
【特許文献4】特許第3455285号公報
【特許文献5】特許第3067956号公報
【特許文献6】特許第3502959号公報
【特許文献7】特許第3534514号公報
【特許文献8】特許第3378460号公報
【特許文献9】特開2008−218085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特に電池や電解コンデンサーのセパレータや各種精密濾過膜などに使用される上述の多孔性樹脂フィルムは、下記のような各種問題点を内在している。即ち、溶剤抽出による多孔性フィルムは、ポリマーからの溶媒・可塑剤の抽出工程において排出された溶剤廃液の処理や低製造速度によるコスト上昇の問題がある。超高分子量ポリエチレンの焼結法から得られる多孔性フィルムは製造工程が多くコスト上昇の問題がある。樹脂フィルムを延伸によりフィブリル化させた多孔性フィルムにおいては精密な温度処理や、同じく低製造速度によるコスト上昇の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、このような従来技術の問題点を解決するために、簡便な製造工程で高速に安定して大量に製造でき、透水性と引裂抵抗性に優れている透水性フィルムを提供することを本発明の目的とした。
【0007】
本発明者らは鋭意に研究を重ね、ポリマー中に無機充填材(無機微細粉末)を高充填した樹脂組成物を溶融練混し、Tダイに接続した押出機等で押出成形したシートを、製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に2軸延伸することにより、内部に多数の微細連通孔を形成させる製法により、簡便で高速成形可能な透水性フィルムを完成するに至った。
従来、厚み方向全部に無機充填剤を高充填したシートを延伸して、充填剤を核とした多数の微細連通孔を形成しようとする試みは、延伸時ないし延伸後のシート巻き取りまでの工程においてかかる張力によりシートが容易に切れてしまい、連続して安定に製造することが不可能であった。本発明では、この問題をポリマーの選定により解決し、簡便で高速成形を可能とした。また、用いる無機充填剤を表面処理剤により表面を親水化処理することにより、樹脂延伸フィルムでありながら非常に高い透水性を達成した。
【0008】
すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] JIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が0.1〜2000秒であり且つ少なくとも以下の3成分を含む2軸延伸樹脂フィルムを有することを特徴とする、透水性フィルム。
1)結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)
18〜42重量%
2)熱可塑性エラストマー(B)
5〜15重量%
3)表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)
45〜75重量%
[2] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、およびエステル系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される1以上の熱可塑性エラストマーであることが好ましく、
[3] 特にスチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
[4] 前記スチレン系熱可塑性エラストマーは水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)であることが好ましく、
[5] 特にスチレン含量が20重量%以下であるものが好ましい。
[6] 前記結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)は、溶融張力が10g未満の結晶性ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、溶融張力10〜60gの高溶融張力ポリプロピレン0.5〜22重量部を含むことが好ましく、
[7] 特に前記高溶融張力ポリプロピレンが主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(A') であることが好ましい。
[8] 前記2軸延伸樹脂フィルムの空孔率は35〜80%であることが好ましい。
[9] 前記表面処理剤(C)は、平均分子量が1,000〜15,000の水溶性アニオン系界面活性剤、平均分子量が1,000〜15,000の水溶性カチオン系界面活性剤、および平均分子量が1,000〜15,000の水溶性非イオン系界面活性剤からなる群より選択される表面処理剤であることが好ましい。
[10] 前記2軸延伸樹脂フィルムは、更に無機微細粉末(D)の分散性を改善させる分散剤(E)を含むことが好ましい。
[11] 前記2軸延伸樹脂フィルムのJIS−K7128−3:1998の直角形引裂法、試験速度Aに基づき測定されるフィルム延伸軸に直交する方向での引裂強さ(kgf/mm)と同引裂試験時における試験片の破断までの変位量(mm)との積が、10〜100kgfとなるように樹脂組成物の配合を調整することは、前記2軸延伸樹脂フィルムを高速に安定製造しやすくする観点で好ましい。
[12] 透水性フィルムは、前記2軸延伸樹脂フィルムのみから構成されるものであってもよい。
[13] また透水性フィルムは、前記2軸延伸樹脂フィルムを基材層とし、その少なくとも片面に更に表面層を設けた多層構造を有するものであってもよい。前記2軸延伸樹脂フィルムを含み且つ透水度の規定範囲内である限り、多層構造であっても本発明に含まれる。
[14] 前記2軸延伸樹脂フィルムは、製造ライン方向と、製造ラインに直交する方向にそれぞれ逐次延伸した2軸延伸樹脂フィルムであってよく、
[15] 製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に同時に延伸した2軸延伸樹脂フィルムであってもよい。
【0009】
[16] 結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)18〜42重量%と、熱可塑性エラストマー(B)5〜15重量%と、表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)45〜75重量%とを含有する樹脂組成物を用いて樹脂シートを製造し、次いで、前記樹脂シートを2軸延伸することによりJIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が0.1〜2000秒である2軸延伸樹脂フィルムを製造する工程を含むことを特徴とする、前記2軸延伸樹脂フィルムを含む透水性フィルムの製造方法。
[17] 前記熱可塑性エラストマー(B)はスチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、
[18] 前記スチレン系熱可塑性エラストマーは水素添加スチレンブタジエンゴムであることが好ましい。
[19] 前記樹脂シートの延伸は、延伸によって製造される2軸延伸樹脂フィルムの空孔率が35〜80%となるように行うことが好ましい。
[20] 前記樹脂シートの延伸は、樹脂シートの製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に逐次2軸延伸することにより行うことができる。
[21] 前記樹脂シートの延伸は、樹脂シートの製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に同時2軸延伸することにより行うこともできる。
[22] 前記樹脂シートの面積延伸倍率は10〜90倍の範囲内にすることが好ましい。
[23] 前記製造方法により製造される透水性フィルムも本発明に含まれる。
【0010】
[24] 本発明の透水性フィルムはセパレータとして用いうる。
[25] また本発明の透水性フィルムは精密濾過膜としても用いうる。
[26] さらに本発明の透水性フィルムは液体吸収性物品としても用いうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の透水性フィルムは、2軸延伸による連通孔形成といった非常に簡便な製法で高速かつ安価に製造することができる。また、本発明の透水性フィルムは、プラズマ処理やスパッタエッチング処理を行い樹脂延伸フィルムに親水性を付与したり高価な吸水性ポリマーを使用したりすることなく、吸水性・透水性を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の透水性フィルムについて詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
透水性フィルムの構成材料
[結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムは、結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)を含む。本発明において結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)は、マトリクス樹脂としてフィルムの製膜性に寄与するものである。
本発明に使用できる結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性エチレン系樹脂、結晶性プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等の結晶性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0014】
結晶性ポリオレフィン系樹脂は、結晶性を示すものである。樹脂のX線回折法による結晶化度は、通常20%以上が好ましく、35〜75%がより好ましい。結晶性を示さないものは、延伸によりフィルム表面に空孔(開口)が十分に形成されない。ここでいう結晶化度はX線回折、赤外線スペクトル分析等の方法によって測定することができる。
結晶性ポリオレフィン系樹脂の中では、延伸形成性の観点より、結晶性プロピレン系樹脂を用いることがより好ましい。結晶性プロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体を用いることが好ましい。また、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとプロピレンとを共重合させた様々な立体規則性を有するプロピレンを主成分とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0015】
本発明に使用される結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)は、安定した延伸成形性を得るために、高溶融張力のポリプロピレンを含むことが好ましい。これらは特に株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフを使用して測定される溶融張力が10〜60gの範囲内、好ましくは20〜50gの範囲内であるものが好ましい。溶融張力が10〜60gの範囲内のポリプロピレンを含有することにより、キャストシート成形時、ダイスからキャストロールへ溶融樹脂を横引きでキャスティングする場合には溶融樹脂シートの垂れ現象の抑制、縦引きの場合においてはドローダウンを抑制し、キャストシート成形性の改善が可能となる。
上記の高溶融張力ポリプロピレンとしては、主鎖骨格中に長鎖分岐の構造を有するポリプロピレン(A')であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)が、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(A')を含むものであれば溶融張力向上、延伸時のひずみ硬化性による延伸性向上等の改善が容易になる。
【0016】
ここで主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(A')とは、分子構造中に主としてプロピレン単位の分岐を持ったプロピレン系樹脂であり、プロピレン単位の分岐は、トルートン比や固有粘度等の一般的分析法によってその存在を確かめることができる。
主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの構造を示す指標となるトルートン比は、流入圧力損失法を用い、コックスウェル(Cogswell)の理論(Polymer Engineering Science、12、P.64−73(1972))に従って測定により得られる。トルートン比とは、指数関数で近似した伸長粘度―伸長ひずみ速度曲線、せん断粘度―せん断ひずみ速度曲線から求めたもので、伸長粘度とせん断粘度の比である。主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンはせん断粘度のわりに伸長粘度が高くなる。本発明の主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(A')は、トルートン比が30以上に相当すると言える。
【0017】
またポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式(1)で表される分岐指数gが挙げられる。
【数1】

ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。
また、長鎖分岐を有するポリプロピレンの重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratory,May,63−75(1978)に記載されている低角度レーザー光散乱光度測定法で測定することができる。
これら主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの一般的な製造方法としては、放射線(高エネルギー)照射による架橋、パーオキサイド架橋、共重合等の方法が挙げられる。これらの主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの具体例としては、ダウケミカル日本製のインスパイア、BOREALIS社製のDaploy WB130HMSなどを挙げることができる。
【0018】
本発明に使用される2軸延伸樹脂フィルムにおいて、結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)は18〜42重量%の割合で添加される。これは22〜37重量%の範囲であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)が18重量%に満たないと空孔形成性の低下や延伸性の低下が起こり好ましくない。逆に結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)が42重量%を超えると形成される空孔数の低下や延伸フィルムの引裂強度の低下などが起こり好ましくない。
結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)の配合に関して、より詳細には、溶融張力が10g未満の結晶性プロピレン系樹脂の100重量部に対して、溶融張力が10〜60gの範囲の高溶融張力ポリプロピレンの0.5〜22重量部を含有する混合物であることが好ましい。結晶性プロピレン系樹脂の100重量部に対して、高溶融張力ポリプロピレンの5〜15重量部との混合物であるのがより好ましい。
同範囲内であればキャストシート成形時、ダイスからキャストロールへ溶融樹脂を横引きでキャスティングする場合には溶融樹脂シートの垂れ現象の抑制、縦引きの場合においてはドローダウンを抑制し、キャストシート成形性の改善が可能であり、延伸成形性も損なわれずシートの割れなどを防止できる。本願発明の2軸延伸樹脂フィルムは後述する無機微細粉末(D)を高濃度で配合するため、延伸成形をしやすいようにマトリクス樹脂に後述する熱可塑性エラストマー(B)を配合するが、樹脂組成物全体の溶融張力を結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)で調整することで、無機微細粉末(D)を核とした空孔を形成しつつ、安定な延伸成形が容易となる。
【0019】
[熱可塑性エラストマー(B)]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムは、熱可塑性エラストマー(B)を含む。本発明において熱可塑性エラストマー(B)は、フィルムの引き裂き強度を向上させ、その延伸成形時の引き裂けを防止し、製造安定性といった特徴を付与するために添加するものである。
本発明に使用できる熱可塑性エラストマー(B)としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマーより選ばれた1以上の熱可塑性エラストマーなどを例示することができる。これらの中でも、マトリクス樹脂である結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)へ分散が容易である観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
【0020】
スチレン系エラストマーとしてはスチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)といった構造を有するものを挙げることができる。これらスチレン系エラストマーとしてはJSR社製のダイナロン、旭化成社製のタフテック、KratonPolymer社製のKratonG、カネカ社製のシブスター、クラレ社製のハイブラーなどの具体例を挙げることができる。スチレン系エラストマーとしては水添スチレンブタジエンゴムが特に好ましく、またJSR社製のダイナロンが特に好ましい。水添スチレンブタジエンゴムとしては、スチレン含量が20重量%以下といった特徴を有するものがマトリクス樹脂である結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)へ微分散が容易であり、延伸成形性が向上するといった観点から最も好ましい。
オレフィン系エラストマーとしてはエチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)、PPとPEとのブレンドやブロックコポリマーやグラフトコポリマーといった構造を有するものを挙げることができる。これらオレフィン系エラストマーとしては三井化学社製のビスタマックス、同社製のノティオ、プライムポリマー社製のプライムTPO、ダウケミカル日本社製のバーシファイ、三菱化学社製のゼラスなどの具体例を挙げることができる。
【0021】
ウレタン系エラストマーとしてはジイソシアネートと短鎖グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等)からなるポリマー鎖をハードセグメントとし、ジイソシアネートと長鎖ポリオールからなるポリマー鎖をソフトセグメントとする構造を有するものを挙げることができる。これらウレタン系エラストマーとしてはBASFジャパン社製のエラストラン、DICバイエルポリマー社製のテキシン、日本ポリウレタン社製のミラクトランなどの具体例を挙げることができる。
エステル系エラストマーとしてはポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールエーテル(PTMG)やPTMEGT(PTMGとテレフタル酸の縮合体)等のポリエーテルをソフトセグメントとするポリエーテル・エステルコポリマー、ポリエステル・エステルコポリマーといった構造を有するものを挙げることができる。これらエステル系エラストマーとしては東洋紡績社製のバイロンなどの具体例を挙げることができる。
【0022】
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムには、熱可塑性エラストマー(B)は5〜15重量%の割合で添加され、8〜12重量%の範囲であることが好ましい。熱可塑性エラストマー(B)が5重量%に満たないと引裂強度が低下し好ましくない。逆に熱可塑性エラストマー(B)が15重量%を超える空孔形成性が低下し好ましくない。
【0023】
[無機微細粉末(D)]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムは、表面処理剤(C)により表面処理された無機微細粉末(D)を含む。本発明において無機微細粉末(D)は、透水性フィルムに透水性の特徴を付与するために添加するものである。
本発明に使用できる無機微細粉末(D)としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素などの無機微細粉末、無機微細粉末の核の周囲にアルミニウム酸化物ないしは水酸化物を有する複合無機微細粉末、中空ガラスビーズなどを挙げることができる。中でも重質炭酸カルシウム、焼成クレー、珪藻土は、安価で延伸時に多くの空孔を形成させることができ、空孔率の調整が容易なために好ましい。また重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムは、その平均粒径や粒度分布が所望のものを得やすいために好ましい。
【0024】
これらの無機微細粉末(D)を親水化加工するため、無機微細粉末(D)の表面を処理する表面処理剤(C)としては、水溶性であり平均分子量が1,000〜15,000の範囲のアニオン系又はカチオン系、ないし非イオン系の高分子界面活性剤を挙げることができる。これらの高分子界面活性剤としては特開平10−212367号公報に記載されるものを挙げることができる。
【0025】
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムには、表面処理剤(C)により親水化処理された無機微細粉末(D)は45〜75重量%の割合で添加される。同割合は50〜70重量%の範囲であることが好ましい。無機微細粉末(D)が45重量%に満たないと連通孔(連通する空孔)の形成が困難となり好ましくない。逆に無機微細粉末(D)が75重量%を超えるフィルム延伸成形が一際困難となり好ましくない。また上記無機微細粉末(D)に併せ、異なる無機微細粉末を組み合わせて配合しても良い。この場合も無機微細粉末の総量が75重量%を超える場合はフィルムの延伸成形性が悪化するため好ましくない。
【0026】
[表面処理剤(C)により親水化処理された無機微細粉末(D)]
本発明において表面処理剤(C)による無機微細粉末(D)の親水化処理は、無機粒子を湿式粉砕する際に、水溶性であり平均分子量が1,000〜150,000の範囲のアニオン系又はカチオン系、ないし非イオン系の高分子界面活性剤を導入し、粉砕しながら表面処理することによって実施することができる。また、無機化合物を湿式粉砕する際にアニオン系、カチオン系又は非イオン系帯電防止剤で表面処理することによって実施することもできる。これらの処理はそれぞれ個別に両方行ってもよい。親水化処理した無機微細粉末(D)の好ましい例として、特開平7−300568号公報に記載されるものを挙げることができる。
これら表面処理剤(C)により親水化処理された無機微細粉末(D)としては、ファイマテック社製のAFF−Z等の具体例を挙げることができる。
【0027】
[分散剤(E)]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムは、分散剤(E)を含むものであってもよい。本発明において分散剤(E)は、透水性フィルム中の無機微細粉末(D)の分散性を改善し、透水性フィルム中の空孔の均一性向上および透水度の向上といった特徴を付与するために添加するものである。本発明に使用できる分散剤(E)としては、公知のものを用いることができるが、特に酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、具体例としては三洋化成社製のユーメックス1001などを挙げることができる。
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムに分散剤(E)を使用する場合は、0.01〜10重量%の割合で添加することが好ましい。分散剤(E)が0.01重量%に満たないと分散剤本来の機能が充分に発揮し得ず好ましくない。逆に分散剤(E)が10重量%を超えると無機微細粉末(D)の凝集を起こす可能性があり好ましくない。
【0028】
[添加剤]
必要に応じて本発明の2軸延伸樹脂フィルムには、熱安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルム以外の層にも添加することができる。これらの添加剤は、各層に0.01〜3重量%の割合で配合するのが好ましい。
【0029】
[透水性フィルムの製造方法]
本発明の透水性フィルムは、当業者に公知の種々の方法を組み合わせることによって製造することができる。いかなる方法により製造された透水性フィルムであっても、特許請求の範囲に記載された条件を満たすものである限り本発明の範囲内に包含される。
【0030】
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムは、本発明の製造方法にしたがって製造することが好ましい。すなわち、結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)18〜42重量%と、熱可塑性エラストマー(B)5〜15重量%と、表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)45〜75重量%とを含有する樹脂組成物を用いて樹脂シートを製造し、次いで、前記樹脂シートを2軸延伸することによりJIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が0.1〜2000秒である2軸延伸樹脂フィルムを製造することが好ましい。本発明の製造方法は、このような2軸延伸樹脂フィルムの製造工程を含むことを特徴とするものである。
【0031】
[樹脂シートの形成]
樹脂組成物を用いて樹脂シートを製造する方法は特に制限されず、通常用いられている方法の中から適宜選択して採用することができる。
例えば、溶融状態の樹脂組成物を流延して冷却することにより樹脂シートを製造する方法を挙げることができる。このとき樹脂組成物は、樹脂組成物の溶融温度よりも通常30〜110℃高い温度、好ましくは50〜90℃高い温度で溶融する。溶融する際には、同時に混練することが好ましい。溶融した樹脂組成物はシート状に流延する。このとき、例えば押出機などを用いて樹脂組成物を溶融混練してTダイからシート状に押し出す方法などを好ましく採用することができる。シート状に流延した樹脂組成物は、その後、冷却装置などを用いて冷却して樹脂シートにする。
【0032】
[層構成]
本発明の透水性フィルムは、単層構造であっても、2層以上を積層した多層構造であってもよい。単層構造の場合、上記の原料からなる樹脂組成物をシート状に押し出した樹脂シートを2軸延伸した樹脂フィルムを、そのまま透水性フィルムとして用いることができる。
多層構造の場合、2軸延伸樹脂フィルムの少なくとも片面に組成の異なる表面層を積層した構造を有するものを透水性フィルムとして用いることができる。多層構造の場合は、それぞれの層を別々に成形した後に積層することによって製造してもよいし、積層した後にまとめて延伸して製造してもよい。
別々に成形した後に積層する場合、表面層は別の樹脂延伸フィルムであっても、織布であっても、不織布であっても、樹脂の溶融ラミネートであっても、樹脂コーティング層であってもよい。また例えば2軸延伸樹脂フィルムと表面層の間に、中間層として更に他の熱可塑性樹脂フィルム層や不織布層などを含むものであってもよい。
積層後にまとめて延伸する場合、例えば、樹脂シートに表面層を積層し、その後2軸延伸することにより、多層構造物として得ることができる。または樹脂シートを2軸延伸し、次いで表面層を積層して多層構造物として得ることもできる。または樹脂シートを1軸延伸し、次いで樹脂シートに表面層を積層し、その後先の延伸方向と直交する方向に1軸延伸することにより、樹脂シートが2軸延伸された多層構造物を得ることもできる。上記のように各層を積層した後にまとめて延伸する方が簡便であり製造コストも安くなる。
【0033】
上記の他の層(表面層、中間層)は、本発明の透水性フィルムの機能をより向上し、または新たな機能を追加するために設けるものである。
上記の別の樹脂延伸フィルムを積層する主旨としては、例えば、個々の層の透水度や浸透圧を厚み方向に段階的に変えてやれば、一方の面から水やその他の液体を吸い上げ、フィルム内部に液体を含有させ、他方の面よりその液体を徐放することが可能であるが、その逆方向は不可となる透水方向の選択性などを付与することができる。
上記の不織布としては、例えば透水性フィルムに使用時の引き裂き耐性等の物理的強度を向上させるためのスパンボンド不織布等が挙げられる。
上記の樹脂コーティング層としては、例えば透水性フィルムをインクジェット記録用紙として用いる為の公知の記録層等が挙げられる。
【0034】
[延伸]
本発明の透水性フィルムは2軸延伸した2軸延伸樹脂フィルムを含むものである。フィルムの延伸には、公知の種々の方法を採用することができる。
2軸延伸の具体的な方法としては、樹脂シートの搬送方向(製造ライン方向)にロール群の周速差を利用して延伸するロール間延伸(以後、本発明では縦延伸と表記)と、樹脂シートの搬送方向に直交する方向(幅方向)にテンターオーブンを利用して延伸するクリップ延伸(以後、本発明では横延伸と表記)を利用した逐次2軸延伸を挙げることができる。
逐次2軸延伸法によれば、縦延伸での倍率を任意に調整することが容易である。横延伸は機器の制約上、自由度は小さいが同様に延伸倍率を調整することができる。そのため、2軸延伸樹脂フィルムは任意の空孔率、剛性、不透明度、平滑度、光沢度を有するものを得ることが容易である。
また、2軸延伸の別の具体的な方法としては、樹脂シートの搬送方向(製造ライン方向)の延伸と、樹脂シートの搬送方向に直交する方向の延伸を同時に行う同時2軸延伸を挙げることができる。より具体的には、テンターオーブンとパンタグラフの組合せ、テンターオーブンとリニアモーターの組合せによる同時2軸延伸方法などを挙げることができる。
また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時2軸延伸方法を挙げることができる。
【0035】
テンターオーブンを用いた同時2軸延伸法によれば、縦延伸及び横延伸の倍率を同時に調整できるため、等方的で応力緩和に起因する収縮を極力抑えた透水性フィルムを製造することが容易である。また樹脂シートの延伸や搬送をロールに頼る部分が少なくなり、クリップによる搬送の比率が多くなるために、樹脂シート表面が機器接触による擦過の影響を受けづらく、より安定した品質の2軸延伸フィルムが製造できる。
2軸延伸法によれば任意に空孔率を調整して、任意の透水度を有する透水性フィルムを得ることが容易であり好ましい。従ってその延伸倍率は特に限定されるものではなく、本発明の透水性フィルムに所望する物性と、用いる原料等の特性を考慮して決定する。
原料に結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)を用いる場合、通常、面積延伸倍率は10〜90倍であることが好ましく、15〜60倍であることがより好ましい。同範囲内であれば所望の物性を有する2軸延伸樹脂フィルムを安定して製造することができる。延伸温度は、マトリクス樹脂の融点より5℃以上低い温度、より好ましく結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)の融点より5℃以上低く且つ熱可塑性エラストマー(B)の軟化温度より高い温度条件で行うことが好ましい。
【0036】
[熱処理]
延伸後のフィルムは、延伸に伴うポリマー分子鎖の緊張を緩和する目的から、熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、上記延伸による延伸方向の残留応力に起因する熱収縮率が低減し、製品保管時の巻き締まりや熱による収縮から生じるシートの波打ち等が少なくなる。
熱処理の温度は、延伸温度から延伸温度より30℃高い温度の範囲内を選択することが好ましい。熱処理の方法はロール加熱又は熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。熱処理の時間は、通常0.1秒〜30秒であり、好ましくは0.5秒〜20秒であり、より好ましくは1秒〜10秒である。これらの熱処理は、延伸した樹脂フィルムを緊張下に保持した状態において行うのがより高い処理効果が得られるので好ましい。
【0037】
[搬送]
本発明の透水性フィルムは、2軸延伸試験機などを用いてバッチ式で製造することも可能であるが、発明の趣旨である高速成形可能な透水性フィルムの提供を鑑みれば、長尺帯状の透水性フィルムを連続的に製造することが好ましい。
本発明の透水性フィルムは、樹脂フィルムを搬送しながら製造することができる。すなわち、樹脂組成物から形成した樹脂フィルムを搬送しながらこれを2軸延伸して2軸延伸樹脂フィルムとし、必要に応じて熱処理を行い、効率よく透水性フィルムを製造することができる。
搬送速度は、逐次2軸延伸の場合、通常は10〜500m/minであり、30〜300m/minであることが好ましく、50〜200m/minであることがより好ましい。同時2軸延伸の場合、通常は3〜350m/minであり、5〜120m/minであることが好ましく、5〜100m/minであることがより好ましい。
帯状の樹脂シートから連続的に製造される帯状の透水性フィルムは、製造工程中で所望のサイズに裁断してもよいし、いったんロール状に巻き取って保管・運送してから必要に応じて所望のサイズに裁断してもよい。
本発明以前は、透水性フィルムを搬送しながら延伸して効率よく製造しようとすると、シート張力によりシート自体が切れてしまい、連続して安定に製造することが困難であった。これに対して、本発明によれば、シートが切れることなく、高速で安定に連続的に製造することが可能となった。また、本発明によれば、従来の透水性フィルムの製造方法にて必要とされていた溶剤廃液の処理や、精密な温度制御は、本発明の製造方法によれば不要である。したがって、本発明によれば、機能的に優れた透水性フィルムを、効率よく製造することができる。
【0038】
透水性フィルムの特徴
[厚さ]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムの厚みは特に制限されないが、20〜500μmが好ましく、より好ましくは40〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmの範囲である。本発明の透水性フィルムが2軸延伸樹脂フィルムのみから構成される場合は、透水性フィルムの全厚の好ましい範囲は上記2軸延伸樹脂フィルムの厚みの好ましい範囲と同じである。本発明の透水性フィルムが2軸延伸樹脂フィルムの少なくとも一面に表面層を積層した構造を有する場合、表面層の厚みは特に制限されないが、1〜50μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。本発明の透水性フィルムが2軸延伸樹脂フィルムの両面に表面層を積層した構造を有する場合、フィルムのそりを防ぐ観点からは2つの表面層の厚みは同じであることが好ましい。また、2軸延伸樹脂フィルムと表面層の間に中間層が形成されている場合、中間層の厚みは特に制限されないが、1〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、10〜20μmがさらに好ましい。
【0039】
[空孔率]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムの空孔率は例えば30〜80%の範囲内に設定することができ、35〜80%であることが好ましい。38〜78%であることがより好ましく、40〜75%であることが特に好ましい。2軸延伸樹脂フィルムの空孔率が30%以上であれば、フィルム内部に連通する空孔を生じて所望の透水性が発現しやすくなる傾向がある。また、空孔率が80%以下であれば、フィルム製造時に延伸割れが発生しにくいため、より安定した製造を行いやすくなる傾向がある。2軸延伸樹脂フィルムの空孔率は、熱可塑性エラストマー(B)や無機微細粉末(D)の含有量や、延伸倍率を調整することにより制御することができる。
【0040】
内部に空孔があることは、断面を電子顕微鏡で観察することにより確かめることができる。空孔率は、断面の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真に撮影された断面領域内に占める空孔の面積割合(%)を求めることにより得られる。具体的には、2軸延伸樹脂フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて例えばフィルムの厚さ方向に対して平行(すなわち面方向に垂直)な切断面を作製し、この切断面をメタライジングした後、走査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率(例えば500倍〜2000倍)に拡大して観察し、さらに空孔部分をトレーシングフィルムにトレースし塗りつぶした図を画像解析装置(ニレコ(株)製:型式ルーゼックスIID)で画像処理を行い、測定範囲を占める空孔の面積割合(%)を求めて空孔率(%)とすることができる。
透水性フィルムが多層構造である場合は、各層ごとに上記方法により空孔率(%)を求めることができる。
【0041】
[密度]
本発明の透水性フィルムを構成する2軸延伸樹脂フィルムの密度は、0.3〜1.1g/cm3であることが好ましく、0.4〜0.9g/cm3であることがより好ましく、0.4〜0.8g/cm3であることがさらに好ましい。2軸延伸樹脂フィルムの密度が0.3g/cm3以上であれば、フィルム製造時に延伸割れが発生しにくいため、より安定した製造を行いやすくなる傾向がある。また、密度が1.1g/cm3以下であれば、フィルム内部に連通する空孔を生じて所望の透水性が発現しやすくなる傾向がある。2軸延伸樹脂フィルムの密度は、熱可塑性エラストマー(B)や無機微細粉末(D)の含有量や、延伸倍率を調整することにより制御することができる。
【0042】
[透水度]
本発明の透水性フィルムは、厚み方向に連通する空孔を有することにより、一方の面から他方の面へ容易に水や油などの液体を透過させることができる。具体的には、JIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が、0.1〜2,000秒である特徴を有する。同透水度は、0.5〜1,000秒であることが好ましく、1〜200秒であることがより好ましい。透水度が0.1秒以上であればフィルム製造時に延伸割れが発生しにくいため、より安定した製造を行いやすくなる傾向がある。また透水度が2,000秒以下であれば透水性フィルムとしての機能を充分に発揮できるようになる。
本発明の透水性フィルムは、フィルム内部の空孔の連通度合い、空孔の大きさ、空孔の数などといった構造上の特徴から、上記の透水度を達成するものである。したがって、本発明の透水性フィルムの透水度は、例えば無機微粒粉末の粒子径、無機微細粉末の配合量、熱可塑性エラストマーの配合量、延伸温度、延伸倍率などを調整することによって制御することができる。
【0043】
一般に電池や電解コンデンサーのセパレータにおいては、透水性が高いことが要求される。各種濾過膜においては、透水性と濾過精度が求められる。
【0044】
[引裂強さと変位量の積]
本発明の透水性フィルムは、JIS−K7128−3:1998の直角形引裂法、試験速度Aに基づき測定されるフィルム延伸方向に直交する方向での引裂強さ(kgf/mm)と、同引裂試験時における試験片の破断までの変位量(引張伸び、mm)との積が、10kgf以上であることが好ましい。引裂強さと変位量の積は、透水性フィルムの引裂き難さを表すものであり、製造時の引き裂けにくさ(シートの割れにくさ)や各種加工時などの取り扱いやすさの目安となるものである。
【0045】
引裂強さと変位量の積が大きければフィルム製造時の裂けにくさを回避できるが、積が大きすぎると連通する微細空孔ができにくくなって本発明の主旨である透水度が得られにくくなってしまう傾向がある。また、引裂強さと変位量の積が小さければ充分な空孔が得られ透水度を達成しやすいが、積が小さすぎると製造安定性が低下してしまう傾向がある。
このため、引裂強さと変位量の積は10〜100kgfの範囲内であることが好ましく、10〜80kgfの範囲内であることがより好ましい。引裂強さと変位量の積が10kgf以上であれば、巻取りや各種加工時における引き裂けの発生を回避することが容易になる傾向がある。また100kgf以下であれば、所望の透水度が得られやすくなる傾向がある。
引裂強さと変位量の積は、原料構成面では主に熱可塑性エラストマー(B)と無機微細粉末(D)の配合割合によって調整可能であり、製造条件面では主に延伸倍率や延伸温度によって調整可能である。
【0046】
透水性フィルムの用途
本発明の透水性フィルムは、多孔質であり、浸透圧により厚み方向全体に液体を保持、吸収することができ、またさらに圧をかけることで透過させることができる。そのため本発明の透水性フィルムは、液体吸収体、液体吸収性の清拭材、梱包包装用の保護緩衝材、土木建築用の建材・養生シート・目地材、結露防止材、家畜舎用の断熱材、クッション、筆記具用の中綿、芳香剤等の吸上げ芯、水耕栽培用の培地、フィルター等の濾材、各種精密濾過膜、電池や電解コンデンサーのセパレータ、感熱受容紙用部材、インク受容体部材、液状糊などの流出口、マイクロバブル発生部材、合成セーヌ革代替品、細胞培養シート等の用途に使用可能である。
本発明の透水性フィルムは、特に耐久性のあり、空孔径と分布が均一精密である樹脂製の透水性フィルムであることから、従来の多孔性フィルムと同様に、電池や電解コンデンサーのセパレータや各種精密濾過膜、液体吸収性物品といった用途に適切に用いうる。
本発明の透水性フィルムをセパレータや各種濾過膜として用いる際には、従来品とは異なり、可塑剤および/又は溶剤の添加および溶出工程を行ったり、低分子量成分の除去や高分子量ポリオレフィンのフィブリル形成のための熱処理工程を行ったりする必要がなく、またフィルム形成後の親水化処理を要さずに透水性を付与することができる。
【実施例】
【0047】
以下に、製造例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。製造例及び実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は本発明を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0048】
製造例
表1に記載の原材料を使用し、表2に記載の配合量(重量%)に従い、2軸延伸樹脂フィルムの製造に用いる樹脂組成物を準備した(配合例1〜15)。表2に記載される原料No.は、表1に記載される原料No.に対応している。ここで結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)に関して、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフを使用し、温度190℃、キャピラリー径2mm、ピストン速度10mm/min、引取速度10m/minの条件で測定される原料No.1の結晶性ポリプロピレンの溶融張力は12.2gであり、原料No.2の結晶性ポリプロピレンの溶融張力は1.07gであり、原料No.3の長鎖分岐ポリプロピレンの溶融張力は25gであった。また、スチレン系エラストマーであるNo.4のスチレン含量は10重量%であり、No.5のスチレン含量は15重量%である。
次に、表3〜表5に記載の配合例の樹脂組成物を用いて、表3〜表5に記載の延伸条件に従って2軸延伸樹脂フィルムを製造した(製造例1〜43)。製造工程の詳細は、下記のとおりである。表3〜表5に記載される各層の配合例No.は、表2に記載される配合例No.に対応している。
【0049】
〔製造例1〜19〕
表2に記載の組成を有する樹脂組成物を、250℃に設定した押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを表3に記載の縦延伸条件の延伸温度まで加熱した後、ロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に表3に記載の縦延伸条件の延伸倍率で延伸し、その後60℃にて冷却して1軸延伸樹脂フィルムを得た。
次いで、この1軸延伸樹脂フィルムをテンターオーブンを用いて再び表3に記載の横延伸条件の延伸温度まで加熱して、クリップ延伸法にて樹脂シートの搬送方向に直交する方向(横方向)に表3に記載の横延伸条件の延伸倍率で延伸し、更にオーブンで160℃まで加熱して熱処理を行い、逐次2軸延伸による2軸延伸樹脂フィルムを得た。
以上の2軸延伸樹脂フィルムの製造は、フィルムを120m/minで搬送しながら行った。
尚、製造例13、14および製造例19については、延伸の際に度々破断してしまい、2軸延伸樹脂フィルムを得ることができなかった。
これらの2軸延伸樹脂フィルムの物性(厚さ、密度、空孔率)は表3に示すとおりであった。
【0050】
〔製造例20〜38〕
表2に記載の組成を有する樹脂組成物を、250℃に設定した押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを表4に記載の延伸温度まで加熱した後、テンターオーブンとパンタグラフの組合せによる同時2軸延伸機を用いて、樹脂シートの搬送方向(縦方向)に表4に記載の縦延伸条件の延伸倍率、および樹脂シートの搬送方向に直交する方向(横方向)に表4に記載の横延伸条件の延伸倍率で延伸し、更にオーブンで165℃まで加熱して熱処理を行い、同時2軸延伸による2軸延伸樹脂フィルムを得た。
以上の2軸延伸樹脂フィルムの製造は、フィルムを50m/minで搬送しながら行った。
尚、製造例32および製造例38については、延伸の際に度々破断してしまい、2軸延伸樹脂フィルムを得ることができなかった。
これらの2軸延伸樹脂フィルムの物性(厚さ、密度、空孔率)は表4に示すとおりであった。
【0051】
〔製造例39、40〕
表2に記載の配合例2の樹脂組成物および配合例6または8の樹脂組成物を、それぞれ個別に250℃に設定した3台の押出機で溶融混練して、これをTダイに供給してダイ内部で積層し、Tダイよりシート状に押し出し、冷却装置にて80℃まで冷却して表面層〔b〕/基材層〔a〕/裏面層〔c〕の積層構造を有する無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを表5に記載の縦延伸条件の延伸温度まで加熱した後、ロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に表5に記載の縦延伸条件の延伸倍率で1軸延伸し、1軸延伸樹脂フィルムを得た。
次いで、この1軸延伸樹脂フィルムをテンターオーブンを用いて再び表5に記載の横延伸条件の延伸温度まで加熱して、クリップ延伸法にて樹脂シートの搬送方向に直交する方向(横方向)に表5に記載の横延伸条件の延伸倍率で延伸し、更にオーブンで160℃まで加熱して熱処理を行い、逐次2軸延伸による2軸延伸樹脂フィルムを得た。
以上の2軸延伸樹脂フィルムの製造は、フィルムを100m/minで搬送しながら行った。
この2軸延伸樹脂フィルムの物性(厚さ、密度、空孔率)は表5に示すとおりであった。
【0052】
〔製造例41〜43〕
表2に記載の配合例2の組成を有する樹脂組成物を、250℃に設定した押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて80℃まで冷却して無延伸の樹脂シートを得た。
この樹脂シートを表5に記載の縦延伸条件の延伸温度まで加熱した後、ロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に表5に記載の縦延伸条件の延伸倍率で延伸し、その後60℃にて冷却して1軸延伸樹脂フィルムを得た。
次いで表2に記載の配合例3または8の組成を有する樹脂組成物をそれぞれ個別の250℃に設定した2台の押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、1軸延伸樹脂フィルムの表面および裏面にそれぞれ溶融ラミネートし、表面層〔b〕/基材層〔a〕/裏面層〔c〕の積層構造を有する樹脂シートを得た。
次いで、この積層構造を有する樹脂シートをテンターオーブンを用いて再び表5に記載の横延伸条件の延伸温度まで加熱して、クリップ延伸法にて樹脂シートの搬送方向に直交する方向(横方向)に表5に記載の横延伸条件の延伸倍率で延伸し、更にオーブンで160℃まで加熱して熱処理を行い、基材層〔a〕が逐次2軸延伸されている2軸延伸樹脂フィルムを得た。
尚、製造例43については、延伸の際に度々破断してしまい、2軸延伸樹脂フィルムを得ることができなかった。
これらの2軸延伸樹脂フィルムの物性(厚さ、密度、空孔率)は表5に示すとおりであった。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
実施例1〜28及び比較例1〜9
製造例1〜12、製造例15〜18、製造例20〜31、製造例33〜37、製造例39〜42で得られた各2軸延伸樹脂フィルムにおいて、本発明の範囲内のものを実施例とし、本発明の範囲外のものを比較例として、下記の各試験を実施した。各試験結果を表6に示す。
【0059】
〔透水度〕
製造した2軸延伸樹脂フィルムの透水度をJIS−Z0221:1976に準拠し測定した。測定は表面側および裏面側からそれぞれ3回行い、計6回の平均値を測定値とした。下記の判断基準にて透水度の良否を判定した。
○: 0.1〜2000秒
×: 0.1秒未満または2000秒超
【0060】
〔延伸性〕
各製造例の2軸延伸樹脂フィルムを連続で1時間製造した際のフィルム破れの回数をカウントし、下記の判断基準にて延伸性の良否を判定した。
○: 0〜1回
△: 2〜3回
×: 4回以上
【0061】
〔直角形引裂強さおよび破断に至るまでの変位量〕
製造した2軸延伸樹脂フィルムの直角形引裂強さ、および破断に至るまでの変位量は、JIS−K7128−3:1998で規定される直角形引裂法の試験測度Aに準拠し測定した。
各2軸延伸樹脂フィルムより製造ラインに直交する方向に引張試験するように試験片を5点採取した。
引張試験機(オリエンテック株式会社製、RTM−250)に引張試験用つまみ具を取り付け、上記試験片を取り付け、毎分200mmの速度で試験を行い、試験片が完全に引き裂かれたときの最大荷重を引裂強さ(kgf/mm)とした。
また破断に至るまでの変位量(mm)は、測定時に試験片の弛みがなくなり、試験片に張力が印加されてから、破断した瞬間の試験機のクロスヘッド(可動するつまみ部)の移動量とした。
測定は5回行い、その平均値を測定値とし、積の計算に用いた。直角形引裂強さと破断に至るまでの変位量との積が、10kgf未満となる2軸延伸脂フィルムは、ノッチが入りやすく裂けやすいフィルムであり、成形性は不良であると判断した。逆にこれが100kgfを超えては、成形性は良好であるが、求める透水度が得られにくい傾向がある。よって、下記の判断基準にて良否を判定した。
○: 積が10〜100kgf
×: 積が10kgf未満または100kgf超
【0062】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の透水性フィルムは、一般的な多孔性フィルムの製造方法と同様の延伸工程で製造することが可能であり、任意の透水度を設定しうる等、従来の透水性フィルムよりも優れた性能を有するものである。従って、本発明の透水性フィルムは産業上の利点が多く、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が0.1〜2000秒であり且つ少なくとも以下の3成分を含む2軸延伸樹脂フィルムを有することを特徴とする、透水性フィルム。
1)結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)
18〜42重量%
2)熱可塑性エラストマー(B)
5〜15重量%
3)表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)
45〜75重量%
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマー(B)が、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、およびエステル系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される1以上の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の透水性フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー(B)がスチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の透水性フィルム。
【請求項4】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが水素添加スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項3に記載の透水性フィルム。
【請求項5】
前記水素添加スチレンブタジエンゴムにおけるスチレン含量が20重量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の透水性フィルム。
【請求項6】
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)が、溶融張力が10g未満の結晶性ポリオレフィン系樹脂100重量部に溶融張力10〜60gの高溶融張力ポリプロピレン0.5〜22重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の透水性フィルム。
【請求項7】
前記高溶融張力ポリプロピレンが主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(A') であることを特徴とする請求項6に記載の透水性フィルム。
【請求項8】
前記2軸延伸樹脂フィルムの空孔率が35〜80%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項9】
前記表面処理剤(C)が、平均分子量が1,000〜15,000の水溶性アニオン系界面活性剤、平均分子量が1,000〜15,000の水溶性カチオン系界面活性剤、および平均分子量が1,000〜15,000の水溶性非イオン系界面活性剤からなる群より選択される表面処理剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項10】
前記2軸延伸樹脂フィルムが、更に無機微細粉末の分散剤(E)を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項11】
前記2軸延伸樹脂フィルムのJIS−K7128−3:1998の直角形引裂法、試験速度Aに基づき測定される、フィルム延伸軸に直交する方向での引裂強さ(kgf/mm)と、同引裂試験時における試験片の破断までの変位量(mm)との積が、10〜100kgfであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項12】
前記2軸延伸樹脂フィルムのみから構成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項13】
前記2軸延伸樹脂フィルムを基材層とし、その少なくとも片面に更に表面層を設けた構造を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項14】
前記2軸延伸樹脂フィルムが製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に逐次延伸した2軸延伸樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項15】
前記2軸延伸樹脂フィルムが製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に同時に延伸した2軸延伸樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の透水性フィルム。
【請求項16】
結晶性ポリオレフィン系樹脂(A)18〜42重量%と、熱可塑性エラストマー(B)5〜15重量%と、表面処理剤(C)により表面を親水化処理された無機微細粉末(D)45〜75重量%とを含有する樹脂組成物を用いて樹脂シートを製造し、次いで、前記樹脂シートを2軸延伸することによりJIS−Z0221:1976に基づき測定される透水度が0.1〜2000秒である2軸延伸樹脂フィルムを製造する工程を含むことを特徴とする、前記2軸延伸樹脂フィルムを含む透水性フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記熱可塑性エラストマー(B)がスチレン系エラストマーであることを特徴とする請求項16に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記スチレン系エラストマーが水素添加スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項17に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記樹脂シートの延伸を、延伸によって製造される2軸延伸樹脂フィルムの空孔率が35〜80%となるように行うことを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記樹脂シートの延伸を、製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に逐次2軸延伸することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項21】
前記樹脂シートの延伸を、製造ライン方向と製造ラインに直交する方向に同時2軸延伸することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項22】
前記樹脂シートを10〜90倍の面積延伸倍率で延伸することを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の透水性フィルムの製造方法。
【請求項23】
請求項16〜22のいずれか一項に記載の製造方法により製造される透水性フィルム。
【請求項24】
請求項1〜15または23のいずれか一項に記載の透水性フィルムを用いたセパレータ。
【請求項25】
請求項1〜15または23のいずれか一項に記載の透水性フィルムを用いた精密濾過膜。
【請求項26】
請求項1〜15または23のいずれか一項に記載の透水性フィルムを用いた液体吸収性物品。

【公開番号】特開2012−92213(P2012−92213A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240377(P2010−240377)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】