透湿性靴
足挿入領域(A)の周りをくるむとともに、その足底領域において、透湿性あるいは有孔の部分(13)がある底革(12)に結合された甲革組付体(11)を備えた透湿性靴であって、甲革組付体(11)が、それを介して足挿入領域へ向かう液体の浸透を防止するために、底革(12)へ不透水状に密封されてその部分(13)を被覆する防水性部分がある構造的インサート(14)を備え、上記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性で、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られ、上記機能要素の機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗をそれに付与するような厚さを有している透湿性靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は透湿性靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最も大きい発汗作用がある足の部分は足裏であることが知られている。従って、発汗によって生じた湿気が最もよく集まる靴の領域は、足の裏と靴の底革との間の境界面である。
【0003】
ここで、生じた汗は、その湿気で空気を飽和させるとともに、大部分は凝縮して足載置部の上に滞留する。発汗によって生じた湿気の周辺部のものだけが、甲革の側面部へ拡散し、その側面部が透湿性であるときにはその側面部から出て行く。
【0004】
足裏領域における発汗の滞留のこの影響は、ゴム製底革を有する靴において特に著しいものであり、そのような場合には、底革を介する蒸気透過は、その全体の防水性によって事実上、阻止される。
【0005】
足裏領域における汗の滞留によって、靴のユーザーに不快感が引き起こされるとともに、悪臭を周知のように引き起こす細菌性培養物の生育のための優先的箇所が構成されることが知られている。従って、靴の足裏領域で発汗によって生じた湿気の滞留を未然に防ぐ必要性が、広く認識された要望である。
【0006】
この要望を満たすための第1の試みは、イタリア特許第1232798号に提案された解決策である。この特許に包含された教示は、水の浸入を防止し、従って液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性である底革を得るために、ゴム製底革を上下2つの層のうちの下方の層に貫通状微細孔がある2つの層に分ける工程と、これら2つの層の間に、これら2つの層へ周辺で接合される半透過性膜を介在させる工程とから構成されている。
【0007】
説明を簡略にするために、液体状態にある水に対して不透過性であって水蒸気に対して透過性である性質のある要素は、これ以降、防水性・透湿性として表示される。
【0008】
イタリア特許第1232798号の発明者が使用を教示している半透過性膜は、例えば、W.L.Gore氏の名義による米国特許第4,187,390号および第4,194,041号、あるいはBHA Technologies社の名義による米国特許第6,228,477号に記載された種類のものである。
【0009】
これらの膜は、一般に15ミクロンから70ミクロンまで変化する厚さがあり、かつ、防水性・透湿性である発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFEの薄い被膜によって構成されている。それらの微細構造は、小繊維として知られた細長い単繊維によって相互結合された結節として知られた密集区域の存在に特徴がある。
【0010】
これらの半透過性膜は、初期には軍事産業部門のために構想されたが、衣料品の中における発汗によって引き起こされる水蒸気の蓄積を防止するために、また、防水性・透湿性ライニングの備わった甲革がある靴を提供するために、衣類および靴の分野において開発されるとともに使用されてきた。
【0011】
衣類産業部門および靴産業部門の市場にあっては、柔軟で快適な商品が常に要求されてきたので、上記用途においては、機能的な層として理解された上記膜がこれらの特性を損なわないということを確認するための強い要望が存在している。
【0012】
この要望は、布地あるいはなめし革のような支持材料および/または美的仕上げ用材料でラミネートして、可撓性、曲げ容易性、柔軟性、表面平滑性、圧縮性および伸展性、さらには単位表面積あたりの軽量性が高められた諸特性の備わった仕上げラミネートを得るために、薄い厚さで設けられた膜の使用を必要とする実際の技術的先入観に発展した。
【0013】
しかしながら、これらの膜をもたらす上記薄膜は、それらの実に薄い厚さのために、物理的強度の特性が乏しい。実際に、上記ラミネートの抵抗値は上記膜が連結される上記布地層あるいは上記支持層に主として由来する、ということに留意すべきである。
【0014】
具体的には、上記膜を設けるために用いられるポリマー材料からなる入手可能な薄膜には、上記のように一般に15ミクロンから70ミクロンまでの厚さがあり、それによって、制限された、すなわち5Nに満たない貫入抵抗(penetration resistance)が付与されている。「貫入抵抗」という表現は、ISO 20344−2004の5.8.2章における安全靴に関する基準である「底革の貫入抵抗の測定」に示された方法により実施された測定によって定義された特性に言及するために用いられている。
【0015】
貫入に対するこの制限された機械的抵抗のために、上記イタリア特許第1232798号の発明者は、上記膜が対向する上記底革の孔の直径を制限することによって上記膜と異物との接触を防止した。
【0016】
しかしながら、この解決策は、蒸気を透過するようにされた上記底革の上記区域を大幅に制限することが分かり、さらにまた、上記の孔が塞がれたものになることがある。
【0017】
同一出願人によるヨーロッパ特許第858,270号の中に包含された教示によれば、これらの短所を克服することを意図するものであるが、改良することのできる側面が依然としてまったくないこともない解決策が提案されている。
【0018】
この特許には、有孔であるエラストマーから作られた底革があり、フェルトから作られているのが好ましく撥水性であるように処理された下方保護層に重ね合わされた防水性・透湿性膜を備えている間底(midsole)の備わっている靴が示されている。
【0019】
上記保護層は防水性材料から作られていないので、上記間底と上記底革との直接密封を実行することはできないが、上記防水性・透湿性膜と上記底革との間に密封用ブリッジをもたらす防水性周辺要素が使用されている。
【0020】
上記のように、その発明は、外部物体の貫入に対する膜の効果的な保護を可能にする一方で、改良されるべきいくつかの側面を有している。
【0021】
特に、上記膜への上記保護層の結合は、その効果的な保護が可能になるように、それらの均質状接着によって行わなければならない。
【0022】
この目的のために、接着剤およびにかわは、上記膜の表面をすべて覆うのではなく、これらが影響を及ぼす部分のうちの透湿性部分に限定して用いられる。
【0023】
さらにまた、上記保護層はそれ自体、透湿性であるにもかかわらず、靴の内側から上記間底を介する外側への水蒸気の通過に対する障害物である。
【0024】
この短所は、靴の使用中に、上記保護層がその撥水の特性を徐々に失い、そのため、接地部の孔を通して吸収された水および/または泥あるいは他の種類の汚物が染み込んで、靴の透湿性を損ないがちになるときに、増大する。
【0025】
別の短所は、使用中に、上記間底が歩行時に受ける周期的な収縮および引っ張りによって、徐々に進行する上記膜の摩耗および裂開が生じがちであり、そのために、底革に対する防水性の低下が引き起こされる点にある。
【0026】
この短所を未然に防ぐために、ヨーロッパ特許第858,270号では、構造的強度を損なわないように互いに充分に間隔をおいて設けられた複数の小さい孔がある底革を設けることが教示されている。
【0027】
このようにすることで、その底革は、上記膜の裂開に対抗するために、上記間底を支持している。しかしながら、水蒸気が横断できる底革の部分は、実際は、底革に設けられた孔の少なさと狭さとによって制限される。最後に、底革の内側における複数の層の存在により、その曲げ特性が制限され、底革が堅くなり、ユーザーの快適さに関する大きい短所になる。
【0028】
上記膜の裂開に対抗する必要性と、発汗によって作り出された水蒸気の底革を介する効果的処理を可能にする必要性との妥協案を提供することを目的としたさらに別の解決策が、同一の出願人によるイタリア特許第1,334,928号に開示されている。
【0029】
この特許には、少なくとも1つのマクロ部分においてメッシュ、フェルトあるいは他の拡散状有孔材料から作られた支持層構造を有する底革が開示されている。
【0030】
防水性・水蒸気透過性である材料から作られた膜が、少なくとも上記マクロ部分を被覆するために、上向き領域において上記支持層へ結合されている。
【0031】
さらにまた、ポリマー材料から作られ、上記マクロ部分を貫通する少なくとも1つのマクロ孔のある底革が、密封部を形成するために、上記マクロ部分の周辺で上記膜および上記支持層へ接合されている。
【0032】
この特許には、上記膜を、上記防水性・透湿性膜に均質状に結合された例えばナイロンメッシュから作られた裂開抵抗層、保護層、および例えばケブラー(Kevlar)布から作られた高強度層で補強することによって、その膜を構成するという教示が含まれている。
【0033】
上記マクロ孔の存在によって、靴の外側との熱交換および水蒸気交換のために適合された上記膜の大きい表面を区画することができ、同時に、上記防水性・透湿性膜の裂開に対抗するために、上記支持層によって上記底革の構造的剛性の低下が補償される。
【0034】
しかしながら、蒸気透過が自由である底革の大きい部分があることによる利点は、上記支持層を構成するいくつかの層の存在により構成された水蒸気の通過に対する障害物によって減少している。
【0035】
発汗によって作り出されて底革を介する水蒸気の効果的な処理を得ることを目的としたさらに別の解決策が、同一の出願人によるヨーロッパ特許第1185183号に開示されている。
【0036】
この特許には、防水性・透湿性材料膜から作られた膜と、耐加水分解性、撥水性、通気性あるいは有孔である材料から作られた保護要素とを備えた単一の甲革組付体が形成される第1工程からなる、透湿性底革を製造する方法が開示されている。甲革は、下方領域で上記膜へ直接固着される。
【0037】
第2工程は、このようにして得られた甲革組付体と有孔エラストマーから作られた底革とを周辺密封部のある接続箇所で相互に固着することからなる。上記保護要素は、底革の上方部と接地面に隣接しているその内側部との間に構成された領域において、上記膜の下方に配置される。
【0038】
この特許の明細書には、中底あるいは甲革を、例えば合成材料のメッシュから作られた支持層に一体化された防水性・透湿性膜へ、また、例えば不織布、縫製布、ケブラー布から作られた保護層へ接着することによって、直接結合するという教示が含まれている。
【0039】
しかしながら、上記甲革組付体の表面に上記膜を設けることによりもたらされた利点は、上記の中底あるいは甲革、上記支持層、上記保護層およびそれらの間に介在されたすべての接着剤の層を構成するいくつかの層の存在により構成された水蒸気の通過に対する障害物によって減少している。
【0040】
このため、現在、知られている透湿性靴、具体的には透湿性底革がある靴は、いくつかの短所を免れず、具体的には、
多くの重ね合わせ層が存在するために複雑であり、
上記いくつかの層を構成する材料によって底革のポリマー材料の柔軟性が制限されるために、堅く、
下にある複数の構成要素の相異なる層状化によって引き起こされた避けられない中空部が中底を通して感じられるときに、快適でないとして一般に認識され、
多くの層が重なるために、また、それらを接合するのに必要な接着剤が存在するために、ほとんど透湿性でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
この発明の目標は、現在知られている底革と少なくとも同程度の抵抗性があり、また、少なくとも同程度の効果的な防水性があり、一方で、より大きい蒸気透過が可能である底革を設けることによって、これらの短所を未然に防ぐ透湿性靴を提供することである。
【0042】
この目標の範囲内で、この発明の1つの目的は、現在知られている透湿性靴よりも軽量で、かつ、いっそう可撓性があり、さらに、現在知られている透湿性靴と比較して少なくとも同等の抵抗性がある透湿性靴を提案することである。
【0043】
この発明のさらに別の目的は、その底革が現在知られている透湿性靴と比較していっそう快適であり、また、現在知られている透湿性靴と比較して、少なくとも同等の抵抗性、とりわけ貫入および裂開について少なくとも同等の抵抗性がある透湿性靴を提案することである。
【0044】
この発明のさらに別の目的は、構造的に簡単であり、かつ、容易に製造することができ、さらに、比較的低コストで作ることができる透湿性靴を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
この目標、これらの目的、およびこれ以降にいっそう明らかになる他の目的は、足挿入領域の周りをくるむとともに、その足底領域において、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分がある底革に結合された甲革組付体を備えた透湿性靴であって、
上記甲革組付体が、それを介して上記足挿入領域へ向かう液体の浸透を防止するために、上記底革へ不透水状に密封されて上記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分を被覆する少なくとも1つの防水性部分がある構造的インサートを備え、
上記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、上記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗をそれに付与するような厚さを有している
ことを特徴とする透湿性靴によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
この発明のさらに別の特性および利点は、添付図面において非限定的な例として示されたこの発明による靴の、好ましいが限定的ではないいくつかの実施形態の記載から、いっそう明らかになるであろう。
【0047】
【図1】図1は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態における1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図2】図2は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態における別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図3】図3は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図4】図4は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるもっと別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図5】図5は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるもっとさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図6】図6は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態における1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図7】図7は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態における別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図8】図8は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図9】図9は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるもっと別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図10】図10は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるもっとさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図11】図11は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるまた別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図12】図12は、この発明による透湿性靴の底革の1つの実施形態における細部の模式的断面図である。
【図13】図13は、この発明による透湿性靴の底革の別の1つの実施形態の細部の模式的断面図である。
【図14】図14は、この発明による透湿性靴の底革のさらに別の1つの実施形態の細部の模式的断面図である。
【0048】
この特許取得過程の間にすでに公知であると認められた任意のものは、特許請求されることがなく、また、放棄の対象でない、と解されることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図面によれば、参照符号10が透湿性靴を全体として表わしており、この靴には甲革組付体11が備わり、この甲革組付体11は、足挿入領域Aをくるむとともに、その足底領域で底革12に結合されており、この底革12は少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分13を有している。
【0050】
この発明によれば、透湿性靴10は、
甲革組付体11が、それを介して液体が足挿入領域Aへ向かって浸透するのを防止するために、その透湿性あるいは有孔の部分13を被覆するように、底革12へ不透水状に密封された少なくとも1つの防水性部分を有している構造的インサート14を備えており、
上記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、上記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗(penetration resistance)をそれに付与するような厚さを有している
ことに特徴がある。
【0051】
用語「シート状」は、1つの寸法が他の2つの寸法に対して著しく減少されている構造の形状特性を言及するために用いられており、上記寸法は、いかなる場合においても、シートを箔あるいは膜から区別するために広く理解されているものに基づく、その厚さである。
【0052】
しかしながら、この形状特性は、上記インサートの曲がりあるいは撓みの性質をそれ自体、損なう、と理解すべきではない。具体的には、上記厚さは、実質的に0.5〜2mmに構成されていると好都合であり、また、均一であるのが好ましい。
【0053】
有利であるのは、上記一体型シート状構造が、層状化されているとともに結合力のあるものであり、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られた複数の機能層を備えていることである。
【0054】
さらにまた、上記機能要素には、水蒸気に対して透過性であって上記機能層どうしの間にある少なくとも1つの補助層が備わっている、と好都合である。具体的には、上記補助層は、布状形態あるいは不織布形態に基づいた繊維に構成される材料から作られているのが好都合である。
【0055】
好ましいのは、上記ポリマー材料が、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe-PTFE、ポリウレタン、すなわちPU、ポリエチレン、すなわちPE、ポリプロピレン、すなわちPP、ポリエステルなどの中から選択されていることである。
【0056】
構造的インサート14は、表面組付体15のための組付中底のように構成されているのが好ましく、甲革組付体11は、表面組付体15によって、また、それを閉鎖するために下方領域においてそれが結合されている構造的インサート14によって形成されている。
【0057】
好ましいのは、組付中底のように構成された構造的インサート14が、上記機能要素から全体的に構成されており、従って、上記防水性部分が構造的インサート14の全体と一致することである。
【0058】
組付中底のように構成された上記構造的インサートの代わりの構造的解決策では、それは、上記機能要素から少なくとも部分的に作られた上記防水性部分の少なくとも1つと、なめし革、テクソン(Texon)のようなセルロース材料、フェルトなどの中から選択された材料から作られたその少なくとも1つの第2部分とを備え、さらに、なめし革、フェルトおよび金属材料の中から選択された材料で作られた土踏まずによって、土踏まず部およびかかと部で必要に応じて補強されている。
【0059】
これらの代わりの構造的解決策のうち、上記構造的インサートが、例えばストローベル(Strobel)型のインサートとして使用されるときには、その機能要素は、足前方部に配置されるとともに、ジグザク状縫い目によって、フェルトから作られた残り部分へ接合された部分を構成するのが好都合である。
【0060】
裂開強度のその特性のおかげで、上記機能要素は、その周辺縁部における上記密封部の適切な密封性を可能にする。
【0061】
特に図12、13および14を参照すると、これらは、非限定的な例として、この発明による透湿性靴10の底革12における代わりの複数の実施形態を例示している。
【0062】
具体的には、図12を参照すると、上記実施形態の第1のものでは、底革12は、ポリマー材料、例えばゴムなどから作られた単一体である。
【0063】
透湿性あるいは有孔の部分13には、底革12を貫通する複数の孔101のような少なくとも1つの貫通開口があるのが好都合である。
【0064】
上記実施形態の第2のものでは、添付図面に示されていないが、底革12には、ポリマー材料から作られ、接地部が設けられた下方部分と、ポリマー材料から作られ、甲革組付体11へ結合するための上方部分とが備わっているのが好都合である。
【0065】
例えば図13に示された、上記実施形態の第3のものによれば、底革12には、透湿性あるいは有孔の部分13があると有利であり、その部分13は、大きい貫通開口201によって形成されているとともに、構造的インサート14を支持するように適合された支持要素202が設けられているのが好ましい。
【0066】
貫通開口201を被覆する支持要素202は、耐加水分解性であるとともに透湿性あるいは有孔である材料から、すなわち、ナイロン繊維からなるメッシュ、金属材料の繊維からなるメッシュ、フェルトなどの中から都合よく選択された材料から作られているのが好ましい。
【0067】
構造的インサート14は、支持要素202の上に、それによって支持するために、重ね合わされているのが好都合である。
【0068】
このようにすることで、この透湿性靴10の使用中において、支持要素202が、貫通開口201の中における構造的インサート14の陥没に対抗する。
【0069】
好都合であるのは、底革12が、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている下方部分203と、ポリマー材料から作られて甲革組付体11へ結合するための上方部分204とを備えていることである。
【0070】
支持要素202は、底革12の下方部分203に、あるいは上方部分204に、接着するかあるいは代わりに相互型成形することができる。
【0071】
例えば図14に示された、上記実施形態の第4のものによれば、透湿性あるいは有孔の部分13は、少なくとも1つの貫通開口によって、都合がよいのは複数の孔301によって画定されており、底革12は、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている下方部分302と、ポリマー材料から作られて甲革組付体11へ結合するための上方部分303とを備えている。
【0072】
さらにまた、底革12には、少なくとも1つの透湿性あるいは拡散状有孔の充填材304が備わっていると有利であり、この充填材304は、甲革組付体11の表面にそれをオーバーモールドする間に、その充填材を溶融したポリマー材料あるいはその一部分から遮蔽するために、上記機能要素を被覆する。
【0073】
充填材304は、直接射出による成形の間に、上方部分303のポリマー材料が浸透するおそれに対して透湿性あるいは有孔の部分13を防護するために、実際に有用である。
【0074】
単一体の中における底革12の直接射出の場合には、充填材304は、底革12を構成するポリマー材料の射出により、上記機能要素が損なわれたり、その透湿性がほとんど完全に妨げられたりするという結果を伴って構造的インサート14が侵食されるのを防止するように、設計されている。
【0075】
充填材304の使用によって、上記機能要素を底革12の接地部から引き離した状態に維持することができるので、その機能要素を完全な状態に維持し、かつ、その表面全体における発汗によって作り出された水蒸気の分子の排出を、底革12の孔301においてだけでなく自由に行うことができる。
【0076】
一般に、上記充填材の使用は、かなりの厚さがある底革において特に有利であるが、その理由は、それによって、上記下方部分を貫通する上記孔を設ける溝の深さを減少させることができ、従って、上記溝から入る外部物体をそれらの中に保持するために上記溝を充分に深くしておくことを免れるからである。
【0077】
さらにまた、上記溝の深さの抑制によって、上記底革を設けるための金型から突出するとともに上記孔を画定するように適合されたピンの高さを制限することができ、従って、金型成形された底革をその金型から抜き取ることがいっそう容易になる。
【0078】
さらにまた、上記充填材を使用することにより、より軽量の底革が得られるが、その理由は、上記充填材が置き換わる上記底革のポリマー材料よりも上記充填材の方が重量が少ないからである。
【0079】
上記充填材304は、上記底革の透湿性を防護するために、耐加水分解性かつ撥水性である材料からなる不織布あるいはフェルトから作られているのが有利である。
【0080】
充填材304を設けるために特に適合している材料は、会社であるORV Manufacturing S.p.A.によって製造されてJET3000として商業的に知られたもののようなポリエステルフェルトである。
【0081】
充填材304が、フェルトに比較して快適であるととともにいっそう弾性があるという理由のために微孔性ゴムあるいはEVAのような非透湿性である材料から作られていて、従って、上記充填材が有孔のものであるときには、下方部分302と充填材304との間に、いずれの場合にも薄い防壁層を設けることができる。この薄い防壁層は、透湿性のフェルトあるいはメッシュから作られているのが有利であり、この発明による透湿性靴10の使用の間に吸収された泥あるいは他の種類の汚物を阻止して、充填材304の上記孔の中におけるそれらの貫入および停滞を防止する。
【0082】
一般に、底革12は、ポリマー材料から、都合がよいのは硫化ゴムあるいは熱可塑性材料(TPU,TR)、またはポリウレタン(PU)から作られている。
【0083】
上方部分204あるいは303は、酢酸ビニル、すなわちEVA、あるいは、発泡されたポリウレタン、すなわちPUから作られているのが好ましい。
【0084】
底革12は、甲革組付体11へ、例えば、周辺帯に沿った接着により接合されているとともに、構造的インサート14の上記防水性部分へ少なくとも周辺で不透水状に密封されていると、好都合である。これによって、上記底革は防水性になる。
【0085】
上記機能要素が構造的インサート14の一部分だけを構成しているときには、また、透湿性あるいは有孔の部分13が底革12の対応する区画領域だけに限定されるときには、構造的インサート14への底革12の密封は、上記機能要素へ少なくとも周辺で行われるのが好都合であり、透湿性あるいは有孔の部分13では、底革12の防水性・非透湿性部分に対応する構造的インサート14の残り部分へ行われるのが好都合である。
【0086】
代案として、甲革組付体11の表面への、底革12の直接射出のために、あるいはその上方部分204あるいは303の少なくとも一部の直接射出のために設けることは可能である。
【0087】
上記甲革への直接射出は、底革12あるいはその上方部分204あるいは303が単一射出作業において甲革組付体11の表面に直接形成される構成方法である。
【0088】
この方法によれば、適切に製造された金型は、甲革組付体11がその上へ嵌め合わされる概ね金属製の靴型によって閉じられる。
【0089】
本来は流体であるポリマー材料、あるいは加熱によって流体にされるポリマー材料が、甲革組付体11の構造的インサート14の表面に底革12を直接形成するために、上記金型の中へ射出される。
【0090】
このほとんど液体であるポリマー材料は実際に、甲革組付体11を、とりわけ構造的インサート14を容易に捕捉する。従って、このポリマー材料はそれ自体、上記機能要素に関して少なくとも周辺で表面組付体15および構造的インサート14へ確実に固着されて、それが形成する底革をそこへ密封する。
【0091】
この方法によって上記第3実施形態における底革12を組み付ける際に、支持要素202は、底革12の上方部分204を構成するポリマー材料の射出に先立って、構造的インサート14の表面に少なくとも周辺で接着されるのが好都合であり、あるいは、甲革組付体11へのその連結が接着剤を用いることなく、底革12の上方部分204を構成するポリマー材料を用いることによってだけ行われるように、上記金型の内部に挿入されるのが有利である。
【0092】
好都合であるのは、底革12への機能要素14の防水性密封と底革12への表面組付体15の接着とを可能にするために、透湿性あるいは有孔の部分13が構造的インサート14の上記機能要素の縁の内側にあることである。
【0093】
必要に応じて取り外すことができる内側の透湿性足載せ部によって、この靴が完成する。
【0094】
一般に、底革12は、類似のやり方および実質的に同等のやり方において、不確定な要求に左右されるが、上記上方部分および上記下方部分のうちの2つ以上を備えることができる、ということに留意すべきである。
【0095】
特に図1および図2を参照すると、表面組付体15は、少なくとも1つの甲革16と甲革ライニング17とを備えているのが有利であり、その下方フラップ17aは、組付中底のように構成された構造的インサート14の周縁14aに関して周辺で結合された表面組付体15の下方辺縁18を形成するように、ストローベル(Strobel)型のものであるのが好ましい縫い目19によって、甲革16の下縁16aへ接合されている。
【0096】
上記機能要素に裂開強度があるので、上記構造的インサートはその周縁における上記縫い目の適切な密封性を可能にする。
【0097】
このようにして、透湿性靴10の組み付けの間に、底革12の組み付けのための靴型を、あるいは甲革組付体11の表面に底革12を直接射出するための成形用靴型を人がその中に挿入する靴下状の袋を形成するために、構造的インサート14は、縫い目19によって、例えばストローベルとして広く知られた構成方法によって、下方辺縁18へ接合されている。
【0098】
ライニング17は、その透湿性を損なわないようするために、スポット接着によるかあるいは縫い目によって甲革16へ結合されているのが好都合である。
【0099】
好ましいのは、構造的インサート14の周縁14aへ下縁16aを結合する領域を被覆するために、例えば、透湿性靴10の先端で、添付図面には示されていないインサートが、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって、甲革16にその下縁16aの近傍で結合され、折り曲げられて接着されることである。
【0100】
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜21が、構造的インサート14へ下縁18を結合する領域を被覆していると、有利である。
【0101】
上記密封用被膜21は、構造的インサート14の上記防水性部分への底革12の密封部を画定しており、これは、足挿入領域Aへ向かってそれを介する液体の浸入を防止するために、少なくともその透湿性あるいは有孔の部分13を被覆している。
【0102】
具体的には、密封用被膜21は、甲革16の下縁16aの表面において底革12の上記防水性密封区域を上記機能要素まで延びている。
【0103】
密封用被膜21は、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンから作られ、熱および圧力によって活性化することができる熱可塑性ホットメルト型接着剤によるものであると、好都合である。
【0104】
上記密封用被膜21は、透湿性靴10の組み付けの間に熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された物どうしの間の物質にそれ自体、固着され、それらに接着されるとともにそれらを接合する。
【0105】
冷却することによって、それは、上記物質からなる基材とともに機構型および化学型の接合を確立して、その構造的強度を回復する。
【0106】
密封用被膜21を設けるのに特に適合した物質は、会社であるBemis Associates Inc.によって市場に出され、製品コードが3218であるもの、あるいは、会社であるCollano AGによって市場に出され、製品コードがXAF36.004(Puro)であるXIRO Adhesive Filmsである。
【0107】
このようにすることで、密封のために有用である上記防水性区域は、構造的インサート14の上記機能要素の周辺から甲革16の下縁16aまで延びている。
【0108】
従って、密封用被膜21の使用によって、上記密封区域を、甲革アセンブリー11への底革12の接着区域に一致させることができ、それらの接着剤接合が協働的なものになる。
【0109】
密封用被膜21の使用の利点は、それが上記防水性密封部の領域における上記機能要素の層状化構造を保護し、層間剥離、とりわけ上記機能層どうしの間における補助層の存在における層間剥離のおそれに対抗する点にある。
【0110】
代案としての、甲革16の下縁16aにおける底革12の上記密封区域の延長は、接着剤、好ましくはポリウレタン接着剤の層を、密封用被膜21の代替品として、実質的に同等のやり方で適用することによって設けるのが有利である。
【0111】
特に図3を参照すると、この発明による透湿性靴10の第1の代わりの実施形態において、表面組付体15は、
下方フラップ17aが、ストローベル型のものであるのが好都合である縫い目19によって、組付中底のように構成された構造的インサート14に関して周辺で結合されている上方ライニング17と、
上記下方フラップ17aへの結合のためにその領域を被覆するように、下縁16aが「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって構造的インサート14の周縁14aの下方で折り曲げられて接着され、それ自体が周縁14aと底革12との間で部分的に介在されている甲革16と
を少なくとも備えているのが有利である。
【0112】
特に図4および図5を参照すると、この発明による透湿性靴10の第2の代わりの実施形態において、表面組付体15は、甲革16と甲革ライニング17とを少なくとも備え、甲革ライニング17の下方フラップ17aは、表面組付体15の下方辺縁18を形成するために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって構造的インサート14の周縁14aの下方で折り曲げられて接着され、甲革16の下縁16aへ接合されている。
【0113】
好都合であるのは、およそ5mm幅であって構造的インサート14の上記機能要素に関して周辺状である帯部を形成するために、熱可塑性接着剤から作られた密封用被膜21が下方辺縁18および構造的インサート14を被覆することである。
【0114】
密封用被膜21は、少なくとも透湿性あるいは有孔の部分13を被覆してそれを介する足挿入領域Aへの液体の浸入を防止するために、構造的インサート14の上記防水性部分に対する底革12の密封部を画定する。
【0115】
上記密封用被膜21は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンから作られているとともに熱および圧力によって活性化されるものであるのが好都合である。
【0116】
上記被膜は、透湿性靴10の組み付けの間に熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された物どうしの間の物質にそれ自体、固着され、それらに接着されるとともにそれらを接合する。
【0117】
冷却することによって、それは、上記物質からなる基材とともに機構型および化学型の接合を確立して、その構造的強度を回復する。
【0118】
密封用被膜21を設けるのに特に適合した物質は、会社であるBemis Associates Inc.によって市場に出され、製品コードが3218であるもの、あるいは、会社であるCollano AGによって市場に出され、製品コードがXAF36.004(Puro)であるXIRO Adhesive Filmsである。
【0119】
このようにすることで、密封のために有用である上記防水性区域は、下方辺縁18によって自由にされた構造的インサート14の上記機能要素の周辺から、甲革16の下縁16aまで延びている。
【0120】
従って、密封用被膜21の使用によって、上記密封区域を、甲革アセンブリー11への底革12の接着区域に一致させることができ、それらの接着剤接合が協働的なものになる。
【0121】
第5のさらに代わりの実施形態は、これ以降に記載されており、その表面組付体15は、
透湿性甲革16、
この甲革16を足挿入領域Aに対して内側で裏張りするように配置された透湿性甲革ライニング17、
表面組付体15を防水性・透湿性にするために、甲革16と甲革ライニング17との間にある防水性・透湿性甲革膜22
を少なくとも備えている。
【0122】
甲革膜22は、甲革アセンブリー11の防水性のために構造的インサート14へ密封されている。甲革膜22は、商業的に入手することのできるもの、例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFE、ポリウレタン、すなわちPU、などのような材料から作られたものであるのが好都合であり、また、必要に応じて、補強用メッシュがそこへ結合される。さらにまた、一般に、甲革膜22は、要求に応じて、ライニング17かあるいは甲革16へ互い違いに連結することができる。
【0123】
第3の代わりの実施形態では、甲革膜22の下縁22aに対する密封部を形成するために、甲革16は、その下縁16aに、均質状に付着する加熱活性化型の防水性密封要素23が設けられているのが有利である。
【0124】
このようにすることで、透湿性靴10の組み付けの際に、底革12あるいは少なくともその上方部分204がすでに予備成形されているときには、それは、好ましくは接着剤を用いることで、甲革アセンブリー11へ密封状に接合される。
【0125】
密封要素23は、例えば、甲革膜22を溶融するとともに密封することのできる、10−15mmの幅があるのが好ましい熱可塑性ホットメルト型接着テープのような熱可塑性防水性材料から作られている。
【0126】
甲革アセンブリー11は、甲革膜22で、かつ、構造的インサート14の上記機能要素で、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような接着剤および密封材、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤からなる被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンを用いることで、すでに密封されているのが好都合である。
【0127】
これらの密封材は、密封要素23をまたぐように、また、そこへ甲革膜22を密封するために構造的インサート14の上記機能要素の周辺区域に、適用される。
【0128】
代案として、底革12が直接射出によって甲革アセンブリー11に結合されているときには、上記機能要素への甲革膜22の密封は、それへ付着し、さらに密封要素23へ付着するポリマー材料により得られる。
【0129】
一般に、底革12は、甲革アセンブリー11に、実質的に密封要素23と構造的インサート14の周辺部分とだけで、透湿性あるいは有孔の部分13を被覆することなく密封状に結合される。
【0130】
例えば、図6を参照すると、構造的インサート14の露出した周辺部分は上記外縁に重なり、図7を参照すると、構造的インサート14の露出した周辺部分は下方辺縁18によって露出状態にされた上記縁に重なる。
【0131】
第4の代わりの実施形態では、甲革16には、その下縁16aに、密封材透過性であり、かつ、密封部を形成するために甲革膜22の下縁22aに捕捉される密封材が透過する密封要素23が設けられている。
【0132】
有利であるのは、この第4の代わりの実施形態において、密封要素23が、合成材料からなるメッシュ、編地、織地、または、直接射出の場合には、底革を構成するポリマー材料が透過することができ、あるいは、上記甲革アセンブリーへ接着された底革の場合には、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような密封材が透過することができる3次元布地から作られていることである。
【0133】
さらにまた、密封要素23は、水を吸い取らないように、単繊維材料によって構成されているのが好ましい。
【0134】
このようにすることで、透湿性靴10の組み付けの際に、底革12あるいは少なくともその上方部分204がすでに予備成形されているときには、それは、好ましくは接着剤を用いることで、甲革アセンブリー11へ密封状に接合される。
【0135】
この場合において、甲革アセンブリー11は、甲革膜22で、かつ、構造的インサート14の上記機能要素で、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような接着剤および密封材、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤からなる被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンを用いることで、すでに密封されているのが好都合である。
【0136】
上記密封材は、密封要素23の中へ浸透して甲革膜22に捕捉されるように、また、その中に甲革膜22を密封するために構造的インサート14の上記機能要素の周辺区域に、適用される。
【0137】
代案として、底革12が直接射出によって甲革アセンブリー11に結合されているときには、上記機能要素への甲革膜22の密封は、それへ付着し、さらに密封要素23へ浸透するポリマー材料により得られる。
【0138】
一般に、底革12は、甲革アセンブリー11に、実質的に密封要素23と構造的インサート14の周辺部分とだけで、透湿性あるいは有孔の部分13を被覆することなく密封状に結合される。
【0139】
特に図6および図7を参照すると、上記の第3および第4の代わりの実施形態は、例えば、不確定な要求に応じてこれ以降に記載された3つの変形例によって設けることができる。
【0140】
上記3つの変形例のうちの第1のものにおいては、密封要素23は、表面組付体15の下方辺縁18を形成するために、下縁22aと甲革ライニング17の下方フラップ17aとに接合されている。
【0141】
上記下方辺縁18は、好ましくはストローベル型の縫い目19によって、組付中底として適切に構成された構造的インサート14に周辺で結合されている。
【0142】
上記3つの変形例のうちの第2のものにおいては、添付図面に示されていないが、下縁22aと甲革ライニング17の下方フラップ17aとは、完全に一致しているとともに、いっしょに構造的インサート14へ周辺で接合されている。密封要素23は、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、下縁22aと構造的インサート14との間の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り曲げられて接着されている。
【0143】
上記3つの変形例のうちの第3のものにおいては、密封要素23は、下縁22aへ完全に重なっており、また、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り返されて接着されている。
【0144】
特に、下縁22aは構造的インサート14へ密封状に接合されている、ことに留意すべきである。
【0145】
従って、甲革16よりも軽くて薄い材料から作られているのが好都合である密封要素23は、構造的インサート14の表面に甲革16の先端部およびかかと部を組み付ける作業によって作られるしわの形成を制限することできる。これらのしわは、現在知られている靴では、水の浸入のための紛れもない溝を事実上、構成する。
【0146】
有利であるのは、靴型成形用の縁18をさらに強化するために、添付図面には示されていないが、合成材料から作られた弾性状のものであるのが好ましい防水性補強要素、例えば、防水性熱接着テープを、例えば、甲革膜22と下縁16aとの結合の後に、下縁16aへ直接適用することが可能である。
【0147】
上記防水性補強要素を設けるために特に適しているテープは、120−150g/m2の重さがあり、会社であるTecno GIによって市場に提供されている。
【0148】
さらにまた、使用時に底革12から浸入することのある水が甲革16の中へ吸い取られるのを防止するために、構造的インサート14の上記機能要素に対する甲革膜22の防水性密封部を、下縁16aおよび構造的インサート14へ適用されて密封要素23を介して甲革膜22の下縁22aに捕捉される接着材料24によって設けることができる。
【0149】
上記接着材料は、シリコーン接着剤あるいはポリウレタン接着剤の種類の接着・密封剤、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤の被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンであるのが好ましい。
【0150】
特に図8を参照すると、第5の代わりの実施形態において、甲革膜22には、甲革ライニング17の下方フラップ17aへ接合された下縁22aがあり、これらの下方フラップ17aおよび下縁22aは、完全に重なっているとともに、好ましくはストローベル型の縫い目19によって、組付中底のように構成された構造的インサート14に関して周辺で、結合されている。
【0151】
上記第5の代わりの実施形態には、熱可塑性接着材料から作られて、構造的インサート14へ下縁22aを接合するための領域を、それらを互いに密封するために、好ましくはそれらを接合する縫い目19を結合するために、被覆する密封用被膜21が存在している。
【0152】
さらにまた、甲革16の下縁16aは、構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、密封用被膜21を乗り越えて、折り曲げられて接着されている。
【0153】
好都合であるのは、密封用被膜21を構成する熱可塑性接着材料が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択されていて、熱および圧力によって活性化されることである。
【0154】
上記密封用材料は、熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された密封すべき物どうしの間の物質に捕捉される。
【0155】
冷却することによって、それは、これらの物質に関して機構型および化学型の接着接合を確立して、その本来の強度を再び獲得する。
【0156】
この種の密封用被膜21は、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって、市場に提供されている。
【0157】
特に図9および図10を参照すると、第6の代わりの実施形態において、甲革膜22には、甲革ライニング17の下方フラップ17aへ接合された下縁22aがあるのが有利であり、これらのフラップおよび下縁22aは、完全に重なっているとともに、組付中底として構成された構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、甲革膜22を傷つけるおそれのある鋲あるいはステープルを使用することなく、折り曲げられているとともに結合されている。
【0158】
構造的インサート14の周縁14aの下方で下方フラップ17aへ接合された下縁22aの靴型成形は、靴型成形機として知られた機械であって、甲革膜22を引き裂かないように、その靴型成形用ペンチが平坦にされているか、または締め付け歯あるいはフライス盤がない機械で行われるのが好都合であるが、あるいは、下方フラップ17aへ接合された下縁22aを周縁14aの下方で引いて伸ばすのに適している適切な工具によって、手で行うこともできる。
【0159】
加えて、熱可塑性接着材料から作られて、下縁22aを構造的インサート14へ結合してそれらを互いに密封するための領域を被覆する密封用被膜21があると、好都合である。
【0160】
上記接着材料は、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたものなどのような熱可塑性ホットメルト型のものであるのが好ましい。
【0161】
さらにまた、甲革16には、構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、折り曲げられて例えば熱可塑性接着剤によって接着され、密封用被膜21を取り巻いているその下縁16aがあると、好都合である。
【0162】
さらにまた、有利であるのは、下縁22aと構造的インサート14の周縁14aとの直接密封が可能になるようにその下縁22aを露出させるために、下縁22aへ接合された下方フラップ17aが、例えば図10に示されたように、およそ10−15mmにわたって削り取られていることである。
【0163】
上記削り取り作業は、例えば削り取り機として知られた工具、例えば「Fortuna 4」として商業的に知られた型のものによって、下方フラップ17aの材料の辺縁を薄くすることからなっている。
【0164】
特に図11を参照すると、第7の代わりの実施形態において、透湿性中底25が設けられているのが有利であり、この中底25は構造的インサート14の上に載せられており、甲革ライニング17の下方フラップ17aと甲革膜22の下縁22aとは、完全に重なっているとともに、ストローベル型のものであるのが好都合である縫い目19によって、透湿性中底25へ周辺で結合されている。
【0165】
透湿性中底25の輪郭は、構造的インサート14の周縁14aがそこへ密封されるのが好都合である下縁22aに対してその縫い目19を被覆する構造的インサート14の輪郭に対して、内側にあるのが好都合である。
【0166】
さらにまた、甲革16の下縁16aは、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り曲げられて接着されている。
【0167】
透湿性中底25は、不織布あるいはフェルトから作られているのが好都合である。
【0168】
添付図面において、上記密封区域B、すなわち、この発明による透湿性靴においてそこで互いに結合された構成要素どうしの防水性密封部をもたらす相互結合領域は、太い線で模式的に示されている、ということに留意すべきである。
【0169】
これらの太い線は、上記の好ましい密封領域を表示するように用いられており、また、これらが、接着剤の層が配置される領域と重なることがあっても、一般に、実際の技術的特徴構成として排他的に解釈すべきではない。
【0170】
実際には、この発明によれば、その底革が現在知られている底革と少なくとも同程度に強く、かつ、少なくとも効果的に防水性であるにもかかわらずより大きい透湿性を可能にする透湿性靴を提供することによって、意図された上記目標および上記目的が達成されることがわかった。
【0171】
さらにまた、この発明による透湿性靴は、現在知られている透湿性靴よりも軽く、かつ、いっそう可撓性であり、また、少なくとも同程度に強いが、その理由は、上記機能要素が、底革を防水性・透湿性にするのに現在適している防水性・透湿性の層状インサートよりもいっそう可撓性であるからである。
【0172】
この発明による透湿性靴には、現在知られている透湿性靴よりもいっそう快適であり、かつ、特に貫入および裂開に対する抵抗性が少なくとも同程度である底革が備わっている。
【0173】
上記機能要素は、底革の上記開口を通して貫入することのある異物による衝撃および貫入に実際に耐えることができる。
【0174】
その機能要素はさらに、底革の上記開口で足挿入領域の中における中空部の形成を制限するように、ユーザーの足を支持することができる。
【0175】
このようにすることで、足載せ表面は、足の圧力がかかったときに実質的に均一であり、上記構造的インサートの上に担持される身体の体重による中空部の形成を防止し、上記構造的インサートを支持されていない底革の上記開口を通して沈めるために、それを押す。従って、これによって、底革に大きい開口を設けることが可能になる。
【0176】
さらにまた、上記機能要素の裂開に対する抵抗性というその特性のおかげで、上記構造的インサートによって、その周縁における上記縫い目の適切な密封性が可能になる。
【0177】
このように構想されたこの発明は、多数の修正および変更を受けることができるが、それらのすべては、添付の特許請求の範囲の適用範囲内にあり、すべての細部は、技術的に同等の他の構成要素で置き換えることができる。
【0178】
実際に、用いられる材料は、それらが特定の用途に適合できるものである限り、不確定な形状および寸法と同様に、要求および最新技術に従ういかなるものであってもよい。
【0179】
この出願が優先権を主張するヨーロッパ特許出願第09425335.8号における開示は、参照によってこの明細書に組み入れられている。
【0180】
任意の請求項において言及された技術的特徴構成が参照符号に従うときには、それらの参照符号は、特許請求の範囲の理解度を向上させる目的だけのために含まれており、そのような参照符号には、そのような参照符号によって例示として識別されたそれぞれの要素の解釈に関するどのような限定的効果もない。
【技術分野】
【0001】
この発明は透湿性靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最も大きい発汗作用がある足の部分は足裏であることが知られている。従って、発汗によって生じた湿気が最もよく集まる靴の領域は、足の裏と靴の底革との間の境界面である。
【0003】
ここで、生じた汗は、その湿気で空気を飽和させるとともに、大部分は凝縮して足載置部の上に滞留する。発汗によって生じた湿気の周辺部のものだけが、甲革の側面部へ拡散し、その側面部が透湿性であるときにはその側面部から出て行く。
【0004】
足裏領域における発汗の滞留のこの影響は、ゴム製底革を有する靴において特に著しいものであり、そのような場合には、底革を介する蒸気透過は、その全体の防水性によって事実上、阻止される。
【0005】
足裏領域における汗の滞留によって、靴のユーザーに不快感が引き起こされるとともに、悪臭を周知のように引き起こす細菌性培養物の生育のための優先的箇所が構成されることが知られている。従って、靴の足裏領域で発汗によって生じた湿気の滞留を未然に防ぐ必要性が、広く認識された要望である。
【0006】
この要望を満たすための第1の試みは、イタリア特許第1232798号に提案された解決策である。この特許に包含された教示は、水の浸入を防止し、従って液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性である底革を得るために、ゴム製底革を上下2つの層のうちの下方の層に貫通状微細孔がある2つの層に分ける工程と、これら2つの層の間に、これら2つの層へ周辺で接合される半透過性膜を介在させる工程とから構成されている。
【0007】
説明を簡略にするために、液体状態にある水に対して不透過性であって水蒸気に対して透過性である性質のある要素は、これ以降、防水性・透湿性として表示される。
【0008】
イタリア特許第1232798号の発明者が使用を教示している半透過性膜は、例えば、W.L.Gore氏の名義による米国特許第4,187,390号および第4,194,041号、あるいはBHA Technologies社の名義による米国特許第6,228,477号に記載された種類のものである。
【0009】
これらの膜は、一般に15ミクロンから70ミクロンまで変化する厚さがあり、かつ、防水性・透湿性である発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFEの薄い被膜によって構成されている。それらの微細構造は、小繊維として知られた細長い単繊維によって相互結合された結節として知られた密集区域の存在に特徴がある。
【0010】
これらの半透過性膜は、初期には軍事産業部門のために構想されたが、衣料品の中における発汗によって引き起こされる水蒸気の蓄積を防止するために、また、防水性・透湿性ライニングの備わった甲革がある靴を提供するために、衣類および靴の分野において開発されるとともに使用されてきた。
【0011】
衣類産業部門および靴産業部門の市場にあっては、柔軟で快適な商品が常に要求されてきたので、上記用途においては、機能的な層として理解された上記膜がこれらの特性を損なわないということを確認するための強い要望が存在している。
【0012】
この要望は、布地あるいはなめし革のような支持材料および/または美的仕上げ用材料でラミネートして、可撓性、曲げ容易性、柔軟性、表面平滑性、圧縮性および伸展性、さらには単位表面積あたりの軽量性が高められた諸特性の備わった仕上げラミネートを得るために、薄い厚さで設けられた膜の使用を必要とする実際の技術的先入観に発展した。
【0013】
しかしながら、これらの膜をもたらす上記薄膜は、それらの実に薄い厚さのために、物理的強度の特性が乏しい。実際に、上記ラミネートの抵抗値は上記膜が連結される上記布地層あるいは上記支持層に主として由来する、ということに留意すべきである。
【0014】
具体的には、上記膜を設けるために用いられるポリマー材料からなる入手可能な薄膜には、上記のように一般に15ミクロンから70ミクロンまでの厚さがあり、それによって、制限された、すなわち5Nに満たない貫入抵抗(penetration resistance)が付与されている。「貫入抵抗」という表現は、ISO 20344−2004の5.8.2章における安全靴に関する基準である「底革の貫入抵抗の測定」に示された方法により実施された測定によって定義された特性に言及するために用いられている。
【0015】
貫入に対するこの制限された機械的抵抗のために、上記イタリア特許第1232798号の発明者は、上記膜が対向する上記底革の孔の直径を制限することによって上記膜と異物との接触を防止した。
【0016】
しかしながら、この解決策は、蒸気を透過するようにされた上記底革の上記区域を大幅に制限することが分かり、さらにまた、上記の孔が塞がれたものになることがある。
【0017】
同一出願人によるヨーロッパ特許第858,270号の中に包含された教示によれば、これらの短所を克服することを意図するものであるが、改良することのできる側面が依然としてまったくないこともない解決策が提案されている。
【0018】
この特許には、有孔であるエラストマーから作られた底革があり、フェルトから作られているのが好ましく撥水性であるように処理された下方保護層に重ね合わされた防水性・透湿性膜を備えている間底(midsole)の備わっている靴が示されている。
【0019】
上記保護層は防水性材料から作られていないので、上記間底と上記底革との直接密封を実行することはできないが、上記防水性・透湿性膜と上記底革との間に密封用ブリッジをもたらす防水性周辺要素が使用されている。
【0020】
上記のように、その発明は、外部物体の貫入に対する膜の効果的な保護を可能にする一方で、改良されるべきいくつかの側面を有している。
【0021】
特に、上記膜への上記保護層の結合は、その効果的な保護が可能になるように、それらの均質状接着によって行わなければならない。
【0022】
この目的のために、接着剤およびにかわは、上記膜の表面をすべて覆うのではなく、これらが影響を及ぼす部分のうちの透湿性部分に限定して用いられる。
【0023】
さらにまた、上記保護層はそれ自体、透湿性であるにもかかわらず、靴の内側から上記間底を介する外側への水蒸気の通過に対する障害物である。
【0024】
この短所は、靴の使用中に、上記保護層がその撥水の特性を徐々に失い、そのため、接地部の孔を通して吸収された水および/または泥あるいは他の種類の汚物が染み込んで、靴の透湿性を損ないがちになるときに、増大する。
【0025】
別の短所は、使用中に、上記間底が歩行時に受ける周期的な収縮および引っ張りによって、徐々に進行する上記膜の摩耗および裂開が生じがちであり、そのために、底革に対する防水性の低下が引き起こされる点にある。
【0026】
この短所を未然に防ぐために、ヨーロッパ特許第858,270号では、構造的強度を損なわないように互いに充分に間隔をおいて設けられた複数の小さい孔がある底革を設けることが教示されている。
【0027】
このようにすることで、その底革は、上記膜の裂開に対抗するために、上記間底を支持している。しかしながら、水蒸気が横断できる底革の部分は、実際は、底革に設けられた孔の少なさと狭さとによって制限される。最後に、底革の内側における複数の層の存在により、その曲げ特性が制限され、底革が堅くなり、ユーザーの快適さに関する大きい短所になる。
【0028】
上記膜の裂開に対抗する必要性と、発汗によって作り出された水蒸気の底革を介する効果的処理を可能にする必要性との妥協案を提供することを目的としたさらに別の解決策が、同一の出願人によるイタリア特許第1,334,928号に開示されている。
【0029】
この特許には、少なくとも1つのマクロ部分においてメッシュ、フェルトあるいは他の拡散状有孔材料から作られた支持層構造を有する底革が開示されている。
【0030】
防水性・水蒸気透過性である材料から作られた膜が、少なくとも上記マクロ部分を被覆するために、上向き領域において上記支持層へ結合されている。
【0031】
さらにまた、ポリマー材料から作られ、上記マクロ部分を貫通する少なくとも1つのマクロ孔のある底革が、密封部を形成するために、上記マクロ部分の周辺で上記膜および上記支持層へ接合されている。
【0032】
この特許には、上記膜を、上記防水性・透湿性膜に均質状に結合された例えばナイロンメッシュから作られた裂開抵抗層、保護層、および例えばケブラー(Kevlar)布から作られた高強度層で補強することによって、その膜を構成するという教示が含まれている。
【0033】
上記マクロ孔の存在によって、靴の外側との熱交換および水蒸気交換のために適合された上記膜の大きい表面を区画することができ、同時に、上記防水性・透湿性膜の裂開に対抗するために、上記支持層によって上記底革の構造的剛性の低下が補償される。
【0034】
しかしながら、蒸気透過が自由である底革の大きい部分があることによる利点は、上記支持層を構成するいくつかの層の存在により構成された水蒸気の通過に対する障害物によって減少している。
【0035】
発汗によって作り出されて底革を介する水蒸気の効果的な処理を得ることを目的としたさらに別の解決策が、同一の出願人によるヨーロッパ特許第1185183号に開示されている。
【0036】
この特許には、防水性・透湿性材料膜から作られた膜と、耐加水分解性、撥水性、通気性あるいは有孔である材料から作られた保護要素とを備えた単一の甲革組付体が形成される第1工程からなる、透湿性底革を製造する方法が開示されている。甲革は、下方領域で上記膜へ直接固着される。
【0037】
第2工程は、このようにして得られた甲革組付体と有孔エラストマーから作られた底革とを周辺密封部のある接続箇所で相互に固着することからなる。上記保護要素は、底革の上方部と接地面に隣接しているその内側部との間に構成された領域において、上記膜の下方に配置される。
【0038】
この特許の明細書には、中底あるいは甲革を、例えば合成材料のメッシュから作られた支持層に一体化された防水性・透湿性膜へ、また、例えば不織布、縫製布、ケブラー布から作られた保護層へ接着することによって、直接結合するという教示が含まれている。
【0039】
しかしながら、上記甲革組付体の表面に上記膜を設けることによりもたらされた利点は、上記の中底あるいは甲革、上記支持層、上記保護層およびそれらの間に介在されたすべての接着剤の層を構成するいくつかの層の存在により構成された水蒸気の通過に対する障害物によって減少している。
【0040】
このため、現在、知られている透湿性靴、具体的には透湿性底革がある靴は、いくつかの短所を免れず、具体的には、
多くの重ね合わせ層が存在するために複雑であり、
上記いくつかの層を構成する材料によって底革のポリマー材料の柔軟性が制限されるために、堅く、
下にある複数の構成要素の相異なる層状化によって引き起こされた避けられない中空部が中底を通して感じられるときに、快適でないとして一般に認識され、
多くの層が重なるために、また、それらを接合するのに必要な接着剤が存在するために、ほとんど透湿性でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
この発明の目標は、現在知られている底革と少なくとも同程度の抵抗性があり、また、少なくとも同程度の効果的な防水性があり、一方で、より大きい蒸気透過が可能である底革を設けることによって、これらの短所を未然に防ぐ透湿性靴を提供することである。
【0042】
この目標の範囲内で、この発明の1つの目的は、現在知られている透湿性靴よりも軽量で、かつ、いっそう可撓性があり、さらに、現在知られている透湿性靴と比較して少なくとも同等の抵抗性がある透湿性靴を提案することである。
【0043】
この発明のさらに別の目的は、その底革が現在知られている透湿性靴と比較していっそう快適であり、また、現在知られている透湿性靴と比較して、少なくとも同等の抵抗性、とりわけ貫入および裂開について少なくとも同等の抵抗性がある透湿性靴を提案することである。
【0044】
この発明のさらに別の目的は、構造的に簡単であり、かつ、容易に製造することができ、さらに、比較的低コストで作ることができる透湿性靴を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
この目標、これらの目的、およびこれ以降にいっそう明らかになる他の目的は、足挿入領域の周りをくるむとともに、その足底領域において、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分がある底革に結合された甲革組付体を備えた透湿性靴であって、
上記甲革組付体が、それを介して上記足挿入領域へ向かう液体の浸透を防止するために、上記底革へ不透水状に密封されて上記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分を被覆する少なくとも1つの防水性部分がある構造的インサートを備え、
上記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、上記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗をそれに付与するような厚さを有している
ことを特徴とする透湿性靴によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
この発明のさらに別の特性および利点は、添付図面において非限定的な例として示されたこの発明による靴の、好ましいが限定的ではないいくつかの実施形態の記載から、いっそう明らかになるであろう。
【0047】
【図1】図1は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態における1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図2】図2は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態における別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図3】図3は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図4】図4は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるもっと別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図5】図5は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第1実施形態におけるもっとさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図6】図6は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態における1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図7】図7は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態における別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図8】図8は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図9】図9は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるもっと別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図10】図10は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるもっとさらに別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図11】図11は、この発明により提供された透湿性靴の甲革組付体の第2実施形態におけるまた別の1つの変形例の細部の模式的断面図である。
【図12】図12は、この発明による透湿性靴の底革の1つの実施形態における細部の模式的断面図である。
【図13】図13は、この発明による透湿性靴の底革の別の1つの実施形態の細部の模式的断面図である。
【図14】図14は、この発明による透湿性靴の底革のさらに別の1つの実施形態の細部の模式的断面図である。
【0048】
この特許取得過程の間にすでに公知であると認められた任意のものは、特許請求されることがなく、また、放棄の対象でない、と解されることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図面によれば、参照符号10が透湿性靴を全体として表わしており、この靴には甲革組付体11が備わり、この甲革組付体11は、足挿入領域Aをくるむとともに、その足底領域で底革12に結合されており、この底革12は少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分13を有している。
【0050】
この発明によれば、透湿性靴10は、
甲革組付体11が、それを介して液体が足挿入領域Aへ向かって浸透するのを防止するために、その透湿性あるいは有孔の部分13を被覆するように、底革12へ不透水状に密封された少なくとも1つの防水性部分を有している構造的インサート14を備えており、
上記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、上記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗(penetration resistance)をそれに付与するような厚さを有している
ことに特徴がある。
【0051】
用語「シート状」は、1つの寸法が他の2つの寸法に対して著しく減少されている構造の形状特性を言及するために用いられており、上記寸法は、いかなる場合においても、シートを箔あるいは膜から区別するために広く理解されているものに基づく、その厚さである。
【0052】
しかしながら、この形状特性は、上記インサートの曲がりあるいは撓みの性質をそれ自体、損なう、と理解すべきではない。具体的には、上記厚さは、実質的に0.5〜2mmに構成されていると好都合であり、また、均一であるのが好ましい。
【0053】
有利であるのは、上記一体型シート状構造が、層状化されているとともに結合力のあるものであり、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られた複数の機能層を備えていることである。
【0054】
さらにまた、上記機能要素には、水蒸気に対して透過性であって上記機能層どうしの間にある少なくとも1つの補助層が備わっている、と好都合である。具体的には、上記補助層は、布状形態あるいは不織布形態に基づいた繊維に構成される材料から作られているのが好都合である。
【0055】
好ましいのは、上記ポリマー材料が、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe-PTFE、ポリウレタン、すなわちPU、ポリエチレン、すなわちPE、ポリプロピレン、すなわちPP、ポリエステルなどの中から選択されていることである。
【0056】
構造的インサート14は、表面組付体15のための組付中底のように構成されているのが好ましく、甲革組付体11は、表面組付体15によって、また、それを閉鎖するために下方領域においてそれが結合されている構造的インサート14によって形成されている。
【0057】
好ましいのは、組付中底のように構成された構造的インサート14が、上記機能要素から全体的に構成されており、従って、上記防水性部分が構造的インサート14の全体と一致することである。
【0058】
組付中底のように構成された上記構造的インサートの代わりの構造的解決策では、それは、上記機能要素から少なくとも部分的に作られた上記防水性部分の少なくとも1つと、なめし革、テクソン(Texon)のようなセルロース材料、フェルトなどの中から選択された材料から作られたその少なくとも1つの第2部分とを備え、さらに、なめし革、フェルトおよび金属材料の中から選択された材料で作られた土踏まずによって、土踏まず部およびかかと部で必要に応じて補強されている。
【0059】
これらの代わりの構造的解決策のうち、上記構造的インサートが、例えばストローベル(Strobel)型のインサートとして使用されるときには、その機能要素は、足前方部に配置されるとともに、ジグザク状縫い目によって、フェルトから作られた残り部分へ接合された部分を構成するのが好都合である。
【0060】
裂開強度のその特性のおかげで、上記機能要素は、その周辺縁部における上記密封部の適切な密封性を可能にする。
【0061】
特に図12、13および14を参照すると、これらは、非限定的な例として、この発明による透湿性靴10の底革12における代わりの複数の実施形態を例示している。
【0062】
具体的には、図12を参照すると、上記実施形態の第1のものでは、底革12は、ポリマー材料、例えばゴムなどから作られた単一体である。
【0063】
透湿性あるいは有孔の部分13には、底革12を貫通する複数の孔101のような少なくとも1つの貫通開口があるのが好都合である。
【0064】
上記実施形態の第2のものでは、添付図面に示されていないが、底革12には、ポリマー材料から作られ、接地部が設けられた下方部分と、ポリマー材料から作られ、甲革組付体11へ結合するための上方部分とが備わっているのが好都合である。
【0065】
例えば図13に示された、上記実施形態の第3のものによれば、底革12には、透湿性あるいは有孔の部分13があると有利であり、その部分13は、大きい貫通開口201によって形成されているとともに、構造的インサート14を支持するように適合された支持要素202が設けられているのが好ましい。
【0066】
貫通開口201を被覆する支持要素202は、耐加水分解性であるとともに透湿性あるいは有孔である材料から、すなわち、ナイロン繊維からなるメッシュ、金属材料の繊維からなるメッシュ、フェルトなどの中から都合よく選択された材料から作られているのが好ましい。
【0067】
構造的インサート14は、支持要素202の上に、それによって支持するために、重ね合わされているのが好都合である。
【0068】
このようにすることで、この透湿性靴10の使用中において、支持要素202が、貫通開口201の中における構造的インサート14の陥没に対抗する。
【0069】
好都合であるのは、底革12が、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている下方部分203と、ポリマー材料から作られて甲革組付体11へ結合するための上方部分204とを備えていることである。
【0070】
支持要素202は、底革12の下方部分203に、あるいは上方部分204に、接着するかあるいは代わりに相互型成形することができる。
【0071】
例えば図14に示された、上記実施形態の第4のものによれば、透湿性あるいは有孔の部分13は、少なくとも1つの貫通開口によって、都合がよいのは複数の孔301によって画定されており、底革12は、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている下方部分302と、ポリマー材料から作られて甲革組付体11へ結合するための上方部分303とを備えている。
【0072】
さらにまた、底革12には、少なくとも1つの透湿性あるいは拡散状有孔の充填材304が備わっていると有利であり、この充填材304は、甲革組付体11の表面にそれをオーバーモールドする間に、その充填材を溶融したポリマー材料あるいはその一部分から遮蔽するために、上記機能要素を被覆する。
【0073】
充填材304は、直接射出による成形の間に、上方部分303のポリマー材料が浸透するおそれに対して透湿性あるいは有孔の部分13を防護するために、実際に有用である。
【0074】
単一体の中における底革12の直接射出の場合には、充填材304は、底革12を構成するポリマー材料の射出により、上記機能要素が損なわれたり、その透湿性がほとんど完全に妨げられたりするという結果を伴って構造的インサート14が侵食されるのを防止するように、設計されている。
【0075】
充填材304の使用によって、上記機能要素を底革12の接地部から引き離した状態に維持することができるので、その機能要素を完全な状態に維持し、かつ、その表面全体における発汗によって作り出された水蒸気の分子の排出を、底革12の孔301においてだけでなく自由に行うことができる。
【0076】
一般に、上記充填材の使用は、かなりの厚さがある底革において特に有利であるが、その理由は、それによって、上記下方部分を貫通する上記孔を設ける溝の深さを減少させることができ、従って、上記溝から入る外部物体をそれらの中に保持するために上記溝を充分に深くしておくことを免れるからである。
【0077】
さらにまた、上記溝の深さの抑制によって、上記底革を設けるための金型から突出するとともに上記孔を画定するように適合されたピンの高さを制限することができ、従って、金型成形された底革をその金型から抜き取ることがいっそう容易になる。
【0078】
さらにまた、上記充填材を使用することにより、より軽量の底革が得られるが、その理由は、上記充填材が置き換わる上記底革のポリマー材料よりも上記充填材の方が重量が少ないからである。
【0079】
上記充填材304は、上記底革の透湿性を防護するために、耐加水分解性かつ撥水性である材料からなる不織布あるいはフェルトから作られているのが有利である。
【0080】
充填材304を設けるために特に適合している材料は、会社であるORV Manufacturing S.p.A.によって製造されてJET3000として商業的に知られたもののようなポリエステルフェルトである。
【0081】
充填材304が、フェルトに比較して快適であるととともにいっそう弾性があるという理由のために微孔性ゴムあるいはEVAのような非透湿性である材料から作られていて、従って、上記充填材が有孔のものであるときには、下方部分302と充填材304との間に、いずれの場合にも薄い防壁層を設けることができる。この薄い防壁層は、透湿性のフェルトあるいはメッシュから作られているのが有利であり、この発明による透湿性靴10の使用の間に吸収された泥あるいは他の種類の汚物を阻止して、充填材304の上記孔の中におけるそれらの貫入および停滞を防止する。
【0082】
一般に、底革12は、ポリマー材料から、都合がよいのは硫化ゴムあるいは熱可塑性材料(TPU,TR)、またはポリウレタン(PU)から作られている。
【0083】
上方部分204あるいは303は、酢酸ビニル、すなわちEVA、あるいは、発泡されたポリウレタン、すなわちPUから作られているのが好ましい。
【0084】
底革12は、甲革組付体11へ、例えば、周辺帯に沿った接着により接合されているとともに、構造的インサート14の上記防水性部分へ少なくとも周辺で不透水状に密封されていると、好都合である。これによって、上記底革は防水性になる。
【0085】
上記機能要素が構造的インサート14の一部分だけを構成しているときには、また、透湿性あるいは有孔の部分13が底革12の対応する区画領域だけに限定されるときには、構造的インサート14への底革12の密封は、上記機能要素へ少なくとも周辺で行われるのが好都合であり、透湿性あるいは有孔の部分13では、底革12の防水性・非透湿性部分に対応する構造的インサート14の残り部分へ行われるのが好都合である。
【0086】
代案として、甲革組付体11の表面への、底革12の直接射出のために、あるいはその上方部分204あるいは303の少なくとも一部の直接射出のために設けることは可能である。
【0087】
上記甲革への直接射出は、底革12あるいはその上方部分204あるいは303が単一射出作業において甲革組付体11の表面に直接形成される構成方法である。
【0088】
この方法によれば、適切に製造された金型は、甲革組付体11がその上へ嵌め合わされる概ね金属製の靴型によって閉じられる。
【0089】
本来は流体であるポリマー材料、あるいは加熱によって流体にされるポリマー材料が、甲革組付体11の構造的インサート14の表面に底革12を直接形成するために、上記金型の中へ射出される。
【0090】
このほとんど液体であるポリマー材料は実際に、甲革組付体11を、とりわけ構造的インサート14を容易に捕捉する。従って、このポリマー材料はそれ自体、上記機能要素に関して少なくとも周辺で表面組付体15および構造的インサート14へ確実に固着されて、それが形成する底革をそこへ密封する。
【0091】
この方法によって上記第3実施形態における底革12を組み付ける際に、支持要素202は、底革12の上方部分204を構成するポリマー材料の射出に先立って、構造的インサート14の表面に少なくとも周辺で接着されるのが好都合であり、あるいは、甲革組付体11へのその連結が接着剤を用いることなく、底革12の上方部分204を構成するポリマー材料を用いることによってだけ行われるように、上記金型の内部に挿入されるのが有利である。
【0092】
好都合であるのは、底革12への機能要素14の防水性密封と底革12への表面組付体15の接着とを可能にするために、透湿性あるいは有孔の部分13が構造的インサート14の上記機能要素の縁の内側にあることである。
【0093】
必要に応じて取り外すことができる内側の透湿性足載せ部によって、この靴が完成する。
【0094】
一般に、底革12は、類似のやり方および実質的に同等のやり方において、不確定な要求に左右されるが、上記上方部分および上記下方部分のうちの2つ以上を備えることができる、ということに留意すべきである。
【0095】
特に図1および図2を参照すると、表面組付体15は、少なくとも1つの甲革16と甲革ライニング17とを備えているのが有利であり、その下方フラップ17aは、組付中底のように構成された構造的インサート14の周縁14aに関して周辺で結合された表面組付体15の下方辺縁18を形成するように、ストローベル(Strobel)型のものであるのが好ましい縫い目19によって、甲革16の下縁16aへ接合されている。
【0096】
上記機能要素に裂開強度があるので、上記構造的インサートはその周縁における上記縫い目の適切な密封性を可能にする。
【0097】
このようにして、透湿性靴10の組み付けの間に、底革12の組み付けのための靴型を、あるいは甲革組付体11の表面に底革12を直接射出するための成形用靴型を人がその中に挿入する靴下状の袋を形成するために、構造的インサート14は、縫い目19によって、例えばストローベルとして広く知られた構成方法によって、下方辺縁18へ接合されている。
【0098】
ライニング17は、その透湿性を損なわないようするために、スポット接着によるかあるいは縫い目によって甲革16へ結合されているのが好都合である。
【0099】
好ましいのは、構造的インサート14の周縁14aへ下縁16aを結合する領域を被覆するために、例えば、透湿性靴10の先端で、添付図面には示されていないインサートが、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって、甲革16にその下縁16aの近傍で結合され、折り曲げられて接着されることである。
【0100】
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜21が、構造的インサート14へ下縁18を結合する領域を被覆していると、有利である。
【0101】
上記密封用被膜21は、構造的インサート14の上記防水性部分への底革12の密封部を画定しており、これは、足挿入領域Aへ向かってそれを介する液体の浸入を防止するために、少なくともその透湿性あるいは有孔の部分13を被覆している。
【0102】
具体的には、密封用被膜21は、甲革16の下縁16aの表面において底革12の上記防水性密封区域を上記機能要素まで延びている。
【0103】
密封用被膜21は、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンから作られ、熱および圧力によって活性化することができる熱可塑性ホットメルト型接着剤によるものであると、好都合である。
【0104】
上記密封用被膜21は、透湿性靴10の組み付けの間に熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された物どうしの間の物質にそれ自体、固着され、それらに接着されるとともにそれらを接合する。
【0105】
冷却することによって、それは、上記物質からなる基材とともに機構型および化学型の接合を確立して、その構造的強度を回復する。
【0106】
密封用被膜21を設けるのに特に適合した物質は、会社であるBemis Associates Inc.によって市場に出され、製品コードが3218であるもの、あるいは、会社であるCollano AGによって市場に出され、製品コードがXAF36.004(Puro)であるXIRO Adhesive Filmsである。
【0107】
このようにすることで、密封のために有用である上記防水性区域は、構造的インサート14の上記機能要素の周辺から甲革16の下縁16aまで延びている。
【0108】
従って、密封用被膜21の使用によって、上記密封区域を、甲革アセンブリー11への底革12の接着区域に一致させることができ、それらの接着剤接合が協働的なものになる。
【0109】
密封用被膜21の使用の利点は、それが上記防水性密封部の領域における上記機能要素の層状化構造を保護し、層間剥離、とりわけ上記機能層どうしの間における補助層の存在における層間剥離のおそれに対抗する点にある。
【0110】
代案としての、甲革16の下縁16aにおける底革12の上記密封区域の延長は、接着剤、好ましくはポリウレタン接着剤の層を、密封用被膜21の代替品として、実質的に同等のやり方で適用することによって設けるのが有利である。
【0111】
特に図3を参照すると、この発明による透湿性靴10の第1の代わりの実施形態において、表面組付体15は、
下方フラップ17aが、ストローベル型のものであるのが好都合である縫い目19によって、組付中底のように構成された構造的インサート14に関して周辺で結合されている上方ライニング17と、
上記下方フラップ17aへの結合のためにその領域を被覆するように、下縁16aが「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって構造的インサート14の周縁14aの下方で折り曲げられて接着され、それ自体が周縁14aと底革12との間で部分的に介在されている甲革16と
を少なくとも備えているのが有利である。
【0112】
特に図4および図5を参照すると、この発明による透湿性靴10の第2の代わりの実施形態において、表面組付体15は、甲革16と甲革ライニング17とを少なくとも備え、甲革ライニング17の下方フラップ17aは、表面組付体15の下方辺縁18を形成するために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって構造的インサート14の周縁14aの下方で折り曲げられて接着され、甲革16の下縁16aへ接合されている。
【0113】
好都合であるのは、およそ5mm幅であって構造的インサート14の上記機能要素に関して周辺状である帯部を形成するために、熱可塑性接着剤から作られた密封用被膜21が下方辺縁18および構造的インサート14を被覆することである。
【0114】
密封用被膜21は、少なくとも透湿性あるいは有孔の部分13を被覆してそれを介する足挿入領域Aへの液体の浸入を防止するために、構造的インサート14の上記防水性部分に対する底革12の密封部を画定する。
【0115】
上記密封用被膜21は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンから作られているとともに熱および圧力によって活性化されるものであるのが好都合である。
【0116】
上記被膜は、透湿性靴10の組み付けの間に熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された物どうしの間の物質にそれ自体、固着され、それらに接着されるとともにそれらを接合する。
【0117】
冷却することによって、それは、上記物質からなる基材とともに機構型および化学型の接合を確立して、その構造的強度を回復する。
【0118】
密封用被膜21を設けるのに特に適合した物質は、会社であるBemis Associates Inc.によって市場に出され、製品コードが3218であるもの、あるいは、会社であるCollano AGによって市場に出され、製品コードがXAF36.004(Puro)であるXIRO Adhesive Filmsである。
【0119】
このようにすることで、密封のために有用である上記防水性区域は、下方辺縁18によって自由にされた構造的インサート14の上記機能要素の周辺から、甲革16の下縁16aまで延びている。
【0120】
従って、密封用被膜21の使用によって、上記密封区域を、甲革アセンブリー11への底革12の接着区域に一致させることができ、それらの接着剤接合が協働的なものになる。
【0121】
第5のさらに代わりの実施形態は、これ以降に記載されており、その表面組付体15は、
透湿性甲革16、
この甲革16を足挿入領域Aに対して内側で裏張りするように配置された透湿性甲革ライニング17、
表面組付体15を防水性・透湿性にするために、甲革16と甲革ライニング17との間にある防水性・透湿性甲革膜22
を少なくとも備えている。
【0122】
甲革膜22は、甲革アセンブリー11の防水性のために構造的インサート14へ密封されている。甲革膜22は、商業的に入手することのできるもの、例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFE、ポリウレタン、すなわちPU、などのような材料から作られたものであるのが好都合であり、また、必要に応じて、補強用メッシュがそこへ結合される。さらにまた、一般に、甲革膜22は、要求に応じて、ライニング17かあるいは甲革16へ互い違いに連結することができる。
【0123】
第3の代わりの実施形態では、甲革膜22の下縁22aに対する密封部を形成するために、甲革16は、その下縁16aに、均質状に付着する加熱活性化型の防水性密封要素23が設けられているのが有利である。
【0124】
このようにすることで、透湿性靴10の組み付けの際に、底革12あるいは少なくともその上方部分204がすでに予備成形されているときには、それは、好ましくは接着剤を用いることで、甲革アセンブリー11へ密封状に接合される。
【0125】
密封要素23は、例えば、甲革膜22を溶融するとともに密封することのできる、10−15mmの幅があるのが好ましい熱可塑性ホットメルト型接着テープのような熱可塑性防水性材料から作られている。
【0126】
甲革アセンブリー11は、甲革膜22で、かつ、構造的インサート14の上記機能要素で、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような接着剤および密封材、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤からなる被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンを用いることで、すでに密封されているのが好都合である。
【0127】
これらの密封材は、密封要素23をまたぐように、また、そこへ甲革膜22を密封するために構造的インサート14の上記機能要素の周辺区域に、適用される。
【0128】
代案として、底革12が直接射出によって甲革アセンブリー11に結合されているときには、上記機能要素への甲革膜22の密封は、それへ付着し、さらに密封要素23へ付着するポリマー材料により得られる。
【0129】
一般に、底革12は、甲革アセンブリー11に、実質的に密封要素23と構造的インサート14の周辺部分とだけで、透湿性あるいは有孔の部分13を被覆することなく密封状に結合される。
【0130】
例えば、図6を参照すると、構造的インサート14の露出した周辺部分は上記外縁に重なり、図7を参照すると、構造的インサート14の露出した周辺部分は下方辺縁18によって露出状態にされた上記縁に重なる。
【0131】
第4の代わりの実施形態では、甲革16には、その下縁16aに、密封材透過性であり、かつ、密封部を形成するために甲革膜22の下縁22aに捕捉される密封材が透過する密封要素23が設けられている。
【0132】
有利であるのは、この第4の代わりの実施形態において、密封要素23が、合成材料からなるメッシュ、編地、織地、または、直接射出の場合には、底革を構成するポリマー材料が透過することができ、あるいは、上記甲革アセンブリーへ接着された底革の場合には、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような密封材が透過することができる3次元布地から作られていることである。
【0133】
さらにまた、密封要素23は、水を吸い取らないように、単繊維材料によって構成されているのが好ましい。
【0134】
このようにすることで、透湿性靴10の組み付けの際に、底革12あるいは少なくともその上方部分204がすでに予備成形されているときには、それは、好ましくは接着剤を用いることで、甲革アセンブリー11へ密封状に接合される。
【0135】
この場合において、甲革アセンブリー11は、甲革膜22で、かつ、構造的インサート14の上記機能要素で、例えばシリコーンあるいはポリウレタン接着剤のような接着剤および密封材、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤からなる被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンを用いることで、すでに密封されているのが好都合である。
【0136】
上記密封材は、密封要素23の中へ浸透して甲革膜22に捕捉されるように、また、その中に甲革膜22を密封するために構造的インサート14の上記機能要素の周辺区域に、適用される。
【0137】
代案として、底革12が直接射出によって甲革アセンブリー11に結合されているときには、上記機能要素への甲革膜22の密封は、それへ付着し、さらに密封要素23へ浸透するポリマー材料により得られる。
【0138】
一般に、底革12は、甲革アセンブリー11に、実質的に密封要素23と構造的インサート14の周辺部分とだけで、透湿性あるいは有孔の部分13を被覆することなく密封状に結合される。
【0139】
特に図6および図7を参照すると、上記の第3および第4の代わりの実施形態は、例えば、不確定な要求に応じてこれ以降に記載された3つの変形例によって設けることができる。
【0140】
上記3つの変形例のうちの第1のものにおいては、密封要素23は、表面組付体15の下方辺縁18を形成するために、下縁22aと甲革ライニング17の下方フラップ17aとに接合されている。
【0141】
上記下方辺縁18は、好ましくはストローベル型の縫い目19によって、組付中底として適切に構成された構造的インサート14に周辺で結合されている。
【0142】
上記3つの変形例のうちの第2のものにおいては、添付図面に示されていないが、下縁22aと甲革ライニング17の下方フラップ17aとは、完全に一致しているとともに、いっしょに構造的インサート14へ周辺で接合されている。密封要素23は、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、下縁22aと構造的インサート14との間の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り曲げられて接着されている。
【0143】
上記3つの変形例のうちの第3のものにおいては、密封要素23は、下縁22aへ完全に重なっており、また、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り返されて接着されている。
【0144】
特に、下縁22aは構造的インサート14へ密封状に接合されている、ことに留意すべきである。
【0145】
従って、甲革16よりも軽くて薄い材料から作られているのが好都合である密封要素23は、構造的インサート14の表面に甲革16の先端部およびかかと部を組み付ける作業によって作られるしわの形成を制限することできる。これらのしわは、現在知られている靴では、水の浸入のための紛れもない溝を事実上、構成する。
【0146】
有利であるのは、靴型成形用の縁18をさらに強化するために、添付図面には示されていないが、合成材料から作られた弾性状のものであるのが好ましい防水性補強要素、例えば、防水性熱接着テープを、例えば、甲革膜22と下縁16aとの結合の後に、下縁16aへ直接適用することが可能である。
【0147】
上記防水性補強要素を設けるために特に適しているテープは、120−150g/m2の重さがあり、会社であるTecno GIによって市場に提供されている。
【0148】
さらにまた、使用時に底革12から浸入することのある水が甲革16の中へ吸い取られるのを防止するために、構造的インサート14の上記機能要素に対する甲革膜22の防水性密封部を、下縁16aおよび構造的インサート14へ適用されて密封要素23を介して甲革膜22の下縁22aに捕捉される接着材料24によって設けることができる。
【0149】
上記接着材料は、シリコーン接着剤あるいはポリウレタン接着剤の種類の接着・密封剤、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたような熱可塑性ホットメルト型接着剤の被膜、または、「反応性ホットメルト」型密封材として広く知られた密封材、例えば、H.B.Fullerの登録商標Ipatherm S 14/176によって知られたものなどのようなポリウレタンであるのが好ましい。
【0150】
特に図8を参照すると、第5の代わりの実施形態において、甲革膜22には、甲革ライニング17の下方フラップ17aへ接合された下縁22aがあり、これらの下方フラップ17aおよび下縁22aは、完全に重なっているとともに、好ましくはストローベル型の縫い目19によって、組付中底のように構成された構造的インサート14に関して周辺で、結合されている。
【0151】
上記第5の代わりの実施形態には、熱可塑性接着材料から作られて、構造的インサート14へ下縁22aを接合するための領域を、それらを互いに密封するために、好ましくはそれらを接合する縫い目19を結合するために、被覆する密封用被膜21が存在している。
【0152】
さらにまた、甲革16の下縁16aは、構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、密封用被膜21を乗り越えて、折り曲げられて接着されている。
【0153】
好都合であるのは、密封用被膜21を構成する熱可塑性接着材料が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択されていて、熱および圧力によって活性化されることである。
【0154】
上記密封用材料は、熱にさらされ、かつ、圧力を受けて、軟化するとともに、それが介在された密封すべき物どうしの間の物質に捕捉される。
【0155】
冷却することによって、それは、これらの物質に関して機構型および化学型の接着接合を確立して、その本来の強度を再び獲得する。
【0156】
この種の密封用被膜21は、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって、市場に提供されている。
【0157】
特に図9および図10を参照すると、第6の代わりの実施形態において、甲革膜22には、甲革ライニング17の下方フラップ17aへ接合された下縁22aがあるのが有利であり、これらのフラップおよび下縁22aは、完全に重なっているとともに、組付中底として構成された構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、甲革膜22を傷つけるおそれのある鋲あるいはステープルを使用することなく、折り曲げられているとともに結合されている。
【0158】
構造的インサート14の周縁14aの下方で下方フラップ17aへ接合された下縁22aの靴型成形は、靴型成形機として知られた機械であって、甲革膜22を引き裂かないように、その靴型成形用ペンチが平坦にされているか、または締め付け歯あるいはフライス盤がない機械で行われるのが好都合であるが、あるいは、下方フラップ17aへ接合された下縁22aを周縁14aの下方で引いて伸ばすのに適している適切な工具によって、手で行うこともできる。
【0159】
加えて、熱可塑性接着材料から作られて、下縁22aを構造的インサート14へ結合してそれらを互いに密封するための領域を被覆する密封用被膜21があると、好都合である。
【0160】
上記接着材料は、会社であるBemis Associates Inc.によって、あるいは、会社であるCollano AGによって製造されたものなどのような熱可塑性ホットメルト型のものであるのが好ましい。
【0161】
さらにまた、甲革16には、構造的インサート14の周縁14aの下方で、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、折り曲げられて例えば熱可塑性接着剤によって接着され、密封用被膜21を取り巻いているその下縁16aがあると、好都合である。
【0162】
さらにまた、有利であるのは、下縁22aと構造的インサート14の周縁14aとの直接密封が可能になるようにその下縁22aを露出させるために、下縁22aへ接合された下方フラップ17aが、例えば図10に示されたように、およそ10−15mmにわたって削り取られていることである。
【0163】
上記削り取り作業は、例えば削り取り機として知られた工具、例えば「Fortuna 4」として商業的に知られた型のものによって、下方フラップ17aの材料の辺縁を薄くすることからなっている。
【0164】
特に図11を参照すると、第7の代わりの実施形態において、透湿性中底25が設けられているのが有利であり、この中底25は構造的インサート14の上に載せられており、甲革ライニング17の下方フラップ17aと甲革膜22の下縁22aとは、完全に重なっているとともに、ストローベル型のものであるのが好都合である縫い目19によって、透湿性中底25へ周辺で結合されている。
【0165】
透湿性中底25の輪郭は、構造的インサート14の周縁14aがそこへ密封されるのが好都合である下縁22aに対してその縫い目19を被覆する構造的インサート14の輪郭に対して、内側にあるのが好都合である。
【0166】
さらにまた、甲革16の下縁16aは、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、構造的インサート14の周縁14aの下方で、折り曲げられて接着されている。
【0167】
透湿性中底25は、不織布あるいはフェルトから作られているのが好都合である。
【0168】
添付図面において、上記密封区域B、すなわち、この発明による透湿性靴においてそこで互いに結合された構成要素どうしの防水性密封部をもたらす相互結合領域は、太い線で模式的に示されている、ということに留意すべきである。
【0169】
これらの太い線は、上記の好ましい密封領域を表示するように用いられており、また、これらが、接着剤の層が配置される領域と重なることがあっても、一般に、実際の技術的特徴構成として排他的に解釈すべきではない。
【0170】
実際には、この発明によれば、その底革が現在知られている底革と少なくとも同程度に強く、かつ、少なくとも効果的に防水性であるにもかかわらずより大きい透湿性を可能にする透湿性靴を提供することによって、意図された上記目標および上記目的が達成されることがわかった。
【0171】
さらにまた、この発明による透湿性靴は、現在知られている透湿性靴よりも軽く、かつ、いっそう可撓性であり、また、少なくとも同程度に強いが、その理由は、上記機能要素が、底革を防水性・透湿性にするのに現在適している防水性・透湿性の層状インサートよりもいっそう可撓性であるからである。
【0172】
この発明による透湿性靴には、現在知られている透湿性靴よりもいっそう快適であり、かつ、特に貫入および裂開に対する抵抗性が少なくとも同程度である底革が備わっている。
【0173】
上記機能要素は、底革の上記開口を通して貫入することのある異物による衝撃および貫入に実際に耐えることができる。
【0174】
その機能要素はさらに、底革の上記開口で足挿入領域の中における中空部の形成を制限するように、ユーザーの足を支持することができる。
【0175】
このようにすることで、足載せ表面は、足の圧力がかかったときに実質的に均一であり、上記構造的インサートの上に担持される身体の体重による中空部の形成を防止し、上記構造的インサートを支持されていない底革の上記開口を通して沈めるために、それを押す。従って、これによって、底革に大きい開口を設けることが可能になる。
【0176】
さらにまた、上記機能要素の裂開に対する抵抗性というその特性のおかげで、上記構造的インサートによって、その周縁における上記縫い目の適切な密封性が可能になる。
【0177】
このように構想されたこの発明は、多数の修正および変更を受けることができるが、それらのすべては、添付の特許請求の範囲の適用範囲内にあり、すべての細部は、技術的に同等の他の構成要素で置き換えることができる。
【0178】
実際に、用いられる材料は、それらが特定の用途に適合できるものである限り、不確定な形状および寸法と同様に、要求および最新技術に従ういかなるものであってもよい。
【0179】
この出願が優先権を主張するヨーロッパ特許出願第09425335.8号における開示は、参照によってこの明細書に組み入れられている。
【0180】
任意の請求項において言及された技術的特徴構成が参照符号に従うときには、それらの参照符号は、特許請求の範囲の理解度を向上させる目的だけのために含まれており、そのような参照符号には、そのような参照符号によって例示として識別されたそれぞれの要素の解釈に関するどのような限定的効果もない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足挿入領域(A)の周りをくるむとともに、その足底領域において、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(13)がある底革(12)に結合された甲革組付体(11)を備えた透湿性靴であって、
前記甲革組付体(11)が、それを介して前記足挿入領域(A)へ向かう液体の浸透を防止するために、前記底革(12)へ不透水状に密封されて前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆する少なくとも1つの防水性部分がある構造的インサート(14)を備え、
前記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、前記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗をそれに付与するような厚さを有している
ことを特徴とする透湿性靴透湿性靴。
【請求項2】
前記一体型シート状構造が、層状化されているとともに結合力のあるものであり、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られた複数の機能層を備えていることを特徴とする請求項1に記載の透湿性靴。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの中から選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載の透湿性靴。
【請求項4】
前記構造的インサート(14)が、表面組付体(15)のための組付中底として構成されており、前記甲革組付体(11)が、前記表面組付体(15)によって、また、それを閉鎖するために下方領域においてそれに結合されている前記構造的インサート(14)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項5】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、前記機能要素から全体的に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項6】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、前記機能要素から作られた少なくとも1つの第1部分と、なめし革、セルロース材料、フェルトなどから作られた少なくとも1つの第2部分とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項7】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、なめし革、フェルトおよび金属材料の中から選択された材料で作られた土踏まずによって、土踏まず部で補強されていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項8】
前記底革(12)に、耐加水分解性であるとともに透湿性あるいは有孔である材料から作られた、前記構造的インサート(14)のための少なくとも1つの支持要素(202)が設けられ、前記構造的インサート(14)が、前記支持要素(202)の上に載せられ、かつ、前記支持要素(202)によって支持されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項9】
前記支持要素(202)が、ポリマー材料から作られたメッシュ、金属材料から作られたメッシュ、フェルト、なめし革の中から選択された材料から作られていることを特徴とする請求項8に記載の透湿性靴。
【請求項10】
前記透湿性あるいは有孔の部分(13)が、少なくとも1つの貫通開口(201)によって画定され、前記底革(12)が、単一体であるとともに、ポリマー材料から作られていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項11】
前記透湿性あるいは有孔の部分(13)が、少なくとも1つの貫通開口(201)によって画定され、前記底革(12)が、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている少なくとも1つの下方部分(203,302)と、ポリマー材料から作られて前記甲革組付体(11)へ結合するための少なくとも1つの上方部分(204,303)とを備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項12】
前記底革(12)が、透湿性あるいは拡散状有孔であって前記機能要素の下方に位置する少なくとも1つの充填材(304)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の透湿性靴。
【請求項13】
前記表面組付体(15)が、少なくとも甲革(16)と甲革ライニング(17)とを備え、前記ライニングの下方フラップ(17a)が、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合された前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するように、縫い目(19)によって前記甲革(16)の下縁(16a)へ接合されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項14】
前記下縁(16a)を前記構造的インサート(14)へ結合する領域を被覆するために、甲革(16)、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって折り曲げられて接着されているインサートを備えていることを特徴とする請求項13に記載の透湿性靴。
【請求項15】
熱可塑性接着材料から作られ、前記構造的インサート(14)へ前記下縁(16a)を結合する領域を被覆する密封用被膜(21)を備え、前記密封用被膜(21)が、前記構造的インサート(14)の前記防水性部分への前記底革(12)の密封部を画定しており、これが、前記足挿入領域(A)へ向かってそれを介する液体の浸入を防止するために、少なくとも前記透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆していることを特徴とする請求項13または14に記載の透湿性靴。
【請求項16】
前記表面組付体(15)は、
下方フラップ(17a)が、縫い目(19)によって、組付中底のように構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合されている上方ライニング(17)と、
前記構造的インサート(14)への前記下方フラップ(17a)の結合のためにその領域を被覆するように、下縁(16a)が「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって折り曲げられて接着されている甲革(16)と
を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項17】
前記表面組付体(15)が、甲革(16)と甲革ライニング(17)とを少なくとも備え、その甲革ライニング(17)の下方フラップ(17a)が、前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項18】
熱可塑性接着剤から作られて前記下方辺縁(18)を被覆する密封用被膜(21)と、前記構造的インサート(14)の前記機能要素の周辺帯部とを備え、前記密封用被膜(21)が、少なくとも前記透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆してそれを介する前記足挿入領域(A)への液体の浸入を防止するために、構造的インサート14の前記防水性部分に対する前記底革(12)の密封部を画定していることを特徴とする請求項17に記載の透湿性靴。
【請求項19】
前記表面組付体(15)が、
透湿性甲革(16)、
この甲革(16)を前記足挿入領域(A)に対して内側で裏張りするように配置された透湿性甲革ライニング(17)、
前記表面組付体(15)を防水性・透湿性にするために、前記甲革(16)と前記甲革ライニング(17)との間にある防水性・透湿性甲革膜(22)
を少なくとも備え、
前記甲革膜(22)が、前記甲革アセンブリー(11)の防水性のために前記構造的インサート(14)へ密封されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項20】
前記甲革(16)には、その下縁(16a)に、前記甲革膜(22)の前記下縁(22a)へ密封部を形成するために、均質状に付着する防水性密封要素(23)が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項21】
前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とに接合されており、前記下方辺縁(18)が、縫い目(19)によって、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項22】
前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)へ接合され、前記要素および前記下縁が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項23】
前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とが、前記構造的インサート(14)へ周辺で接合され、前記密封要素(23)が、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項24】
前記甲革膜(22)の前記下縁(22a)に密封部を形成するために、前記甲革(16)には、その下縁(16a)に、密封用材料に対して透過性であり、かつ、捕捉される密封用材料によって透過される密封要素(23)が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項25】
前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とへ接合されており、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して、縫い目(19)によって結合されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項26】
前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)へ接合されており、前記密封要素および前記下縁が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項27】
前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とが、前記構造的インサート(14)へ周辺で接合され、前記密封要素(23)が、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項28】
前記甲革膜(22)が、前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)へ接合されたその下縁(22a)を有し、前記下方フラップ(17a)および前記下縁(22a)が、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)へ縫い目(19)によって周辺で接合されかつ結合されており、
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜(21)が、設けられ、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の結合の領域を、それらを互いに密封するために、被覆しており、
前記甲革(16)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着され、前記密封用被膜(21)を乗り越えるその下縁(16a)を有している
ことを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項29】
前記甲革膜(22)が、前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)へ接合されたその下縁(22a)を有し、前記下方フラップ(17a)および前記下縁(22a)が接合され、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)の下方で「AGO靴型成形」として知られた構成方法により折り曲げられて接着されており、
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜(21)が、設けられ、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の結合の領域を、それらを互いに密封するために、被覆しており、
前記甲革(16)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着され、前記密封用被膜(21)を乗り越えるその下縁(16a)を有している
ことを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項30】
前記下縁(22a)へ接合された前記下方フラップ(17a)が、前記下縁(22a)の接触が可能になるように前記下縁(22a)を露出させるために、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で削り取られていることを特徴とする請求項29に記載の透湿性靴。
【請求項31】
前記構造的インサート(14)の上に載せられた透湿性中底(25)を備え、前記甲革ライニング(17)の下方フラップ(17a)および前記甲革膜(22)の下縁(22a)が、縫い目(19)によって、前記透湿性中底(25)へ周辺で接合されかつ結合され、前記透湿性中底(25)の輪郭は、前記縫い目(19)を被覆する前記構造的インサート(14)の輪郭に対して内側にあり、前記甲革(16)の下縁(16a)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項18に記載の透湿性靴。
【請求項1】
足挿入領域(A)の周りをくるむとともに、その足底領域において、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(13)がある底革(12)に結合された甲革組付体(11)を備えた透湿性靴であって、
前記甲革組付体(11)が、それを介して前記足挿入領域(A)へ向かう液体の浸透を防止するために、前記底革(12)へ不透水状に密封されて前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆する少なくとも1つの防水性部分がある構造的インサート(14)を備え、
前記防水性部分が、少なくとも部分的に防水性・透湿性機能要素から構成されており、この機能要素が、一体型シート状構造を有し、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られており、前記機能要素の少なくとも1つの機能部分が、ISO 20344−2004規格の5.8.2章に提示された方法によって算定されたおよそ10Nよりも大きい貫入抵抗をそれに付与するような厚さを有している
ことを特徴とする透湿性靴透湿性靴。
【請求項2】
前記一体型シート状構造が、層状化されているとともに結合力のあるものであり、液体状態にある水に対して不透過性であり、かつ、水蒸気に対して透過性であるポリマー材料から作られた複数の機能層を備えていることを特徴とする請求項1に記載の透湿性靴。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、発泡ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの中から選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載の透湿性靴。
【請求項4】
前記構造的インサート(14)が、表面組付体(15)のための組付中底として構成されており、前記甲革組付体(11)が、前記表面組付体(15)によって、また、それを閉鎖するために下方領域においてそれに結合されている前記構造的インサート(14)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項5】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、前記機能要素から全体的に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項6】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、前記機能要素から作られた少なくとも1つの第1部分と、なめし革、セルロース材料、フェルトなどから作られた少なくとも1つの第2部分とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項7】
組付中底として構成された前記構造的インサート(14)が、なめし革、フェルトおよび金属材料の中から選択された材料で作られた土踏まずによって、土踏まず部で補強されていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性靴。
【請求項8】
前記底革(12)に、耐加水分解性であるとともに透湿性あるいは有孔である材料から作られた、前記構造的インサート(14)のための少なくとも1つの支持要素(202)が設けられ、前記構造的インサート(14)が、前記支持要素(202)の上に載せられ、かつ、前記支持要素(202)によって支持されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項9】
前記支持要素(202)が、ポリマー材料から作られたメッシュ、金属材料から作られたメッシュ、フェルト、なめし革の中から選択された材料から作られていることを特徴とする請求項8に記載の透湿性靴。
【請求項10】
前記透湿性あるいは有孔の部分(13)が、少なくとも1つの貫通開口(201)によって画定され、前記底革(12)が、単一体であるとともに、ポリマー材料から作られていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項11】
前記透湿性あるいは有孔の部分(13)が、少なくとも1つの貫通開口(201)によって画定され、前記底革(12)が、ポリマー材料から作られて接地部が設けられている少なくとも1つの下方部分(203,302)と、ポリマー材料から作られて前記甲革組付体(11)へ結合するための少なくとも1つの上方部分(204,303)とを備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項12】
前記底革(12)が、透湿性あるいは拡散状有孔であって前記機能要素の下方に位置する少なくとも1つの充填材(304)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の透湿性靴。
【請求項13】
前記表面組付体(15)が、少なくとも甲革(16)と甲革ライニング(17)とを備え、前記ライニングの下方フラップ(17a)が、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合された前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するように、縫い目(19)によって前記甲革(16)の下縁(16a)へ接合されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項14】
前記下縁(16a)を前記構造的インサート(14)へ結合する領域を被覆するために、甲革(16)、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって折り曲げられて接着されているインサートを備えていることを特徴とする請求項13に記載の透湿性靴。
【請求項15】
熱可塑性接着材料から作られ、前記構造的インサート(14)へ前記下縁(16a)を結合する領域を被覆する密封用被膜(21)を備え、前記密封用被膜(21)が、前記構造的インサート(14)の前記防水性部分への前記底革(12)の密封部を画定しており、これが、前記足挿入領域(A)へ向かってそれを介する液体の浸入を防止するために、少なくとも前記透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆していることを特徴とする請求項13または14に記載の透湿性靴。
【請求項16】
前記表面組付体(15)は、
下方フラップ(17a)が、縫い目(19)によって、組付中底のように構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合されている上方ライニング(17)と、
前記構造的インサート(14)への前記下方フラップ(17a)の結合のためにその領域を被覆するように、下縁(16a)が「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって折り曲げられて接着されている甲革(16)と
を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項17】
前記表面組付体(15)が、甲革(16)と甲革ライニング(17)とを少なくとも備え、その甲革ライニング(17)の下方フラップ(17a)が、前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法によって前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項18】
熱可塑性接着剤から作られて前記下方辺縁(18)を被覆する密封用被膜(21)と、前記構造的インサート(14)の前記機能要素の周辺帯部とを備え、前記密封用被膜(21)が、少なくとも前記透湿性あるいは有孔の部分(13)を被覆してそれを介する前記足挿入領域(A)への液体の浸入を防止するために、構造的インサート14の前記防水性部分に対する前記底革(12)の密封部を画定していることを特徴とする請求項17に記載の透湿性靴。
【請求項19】
前記表面組付体(15)が、
透湿性甲革(16)、
この甲革(16)を前記足挿入領域(A)に対して内側で裏張りするように配置された透湿性甲革ライニング(17)、
前記表面組付体(15)を防水性・透湿性にするために、前記甲革(16)と前記甲革ライニング(17)との間にある防水性・透湿性甲革膜(22)
を少なくとも備え、
前記甲革膜(22)が、前記甲革アセンブリー(11)の防水性のために前記構造的インサート(14)へ密封されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の透湿性靴。
【請求項20】
前記甲革(16)には、その下縁(16a)に、前記甲革膜(22)の前記下縁(22a)へ密封部を形成するために、均質状に付着する防水性密封要素(23)が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項21】
前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とに接合されており、前記下方辺縁(18)が、縫い目(19)によって、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して周辺で結合されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項22】
前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)へ接合され、前記要素および前記下縁が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項23】
前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とが、前記構造的インサート(14)へ周辺で接合され、前記密封要素(23)が、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項20に記載の透湿性靴。
【請求項24】
前記甲革膜(22)の前記下縁(22a)に密封部を形成するために、前記甲革(16)には、その下縁(16a)に、密封用材料に対して透過性であり、かつ、捕捉される密封用材料によって透過される密封要素(23)が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項25】
前記表面組付体(15)の下方辺縁(18)を形成するために、前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とへ接合されており、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)に関して、縫い目(19)によって結合されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項26】
前記密封要素(23)が、前記下縁(22a)へ接合されており、前記密封要素および前記下縁が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項27】
前記下縁(22a)と前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)とが、前記構造的インサート(14)へ周辺で接合され、前記密封要素(23)が、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の接続箇所にまたがって、それらの密封を可能にするために、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で、折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項24に記載の透湿性靴。
【請求項28】
前記甲革膜(22)が、前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)へ接合されたその下縁(22a)を有し、前記下方フラップ(17a)および前記下縁(22a)が、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)へ縫い目(19)によって周辺で接合されかつ結合されており、
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜(21)が、設けられ、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の結合の領域を、それらを互いに密封するために、被覆しており、
前記甲革(16)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着され、前記密封用被膜(21)を乗り越えるその下縁(16a)を有している
ことを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項29】
前記甲革膜(22)が、前記甲革ライニング(17)の前記下方フラップ(17a)へ接合されたその下縁(22a)を有し、前記下方フラップ(17a)および前記下縁(22a)が接合され、組付中底として構成された前記構造的インサート(14)の下方で「AGO靴型成形」として知られた構成方法により折り曲げられて接着されており、
熱可塑性接着材料から作られた密封用被膜(21)が、設けられ、前記構造的インサート(14)への前記下縁(22a)の結合の領域を、それらを互いに密封するために、被覆しており、
前記甲革(16)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着され、前記密封用被膜(21)を乗り越えるその下縁(16a)を有している
ことを特徴とする請求項19に記載の透湿性靴。
【請求項30】
前記下縁(22a)へ接合された前記下方フラップ(17a)が、前記下縁(22a)の接触が可能になるように前記下縁(22a)を露出させるために、前記構造的インサート(14)の周縁(14a)の下方で削り取られていることを特徴とする請求項29に記載の透湿性靴。
【請求項31】
前記構造的インサート(14)の上に載せられた透湿性中底(25)を備え、前記甲革ライニング(17)の下方フラップ(17a)および前記甲革膜(22)の下縁(22a)が、縫い目(19)によって、前記透湿性中底(25)へ周辺で接合されかつ結合され、前記透湿性中底(25)の輪郭は、前記縫い目(19)を被覆する前記構造的インサート(14)の輪郭に対して内側にあり、前記甲革(16)の下縁(16a)が、「AGO靴型成形」として知られた構成方法により、前記構造的インサート(14)の前記周縁(14a)の下方で折り曲げられて接着されていることを特徴とする請求項18に記載の透湿性靴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−502946(P2013−502946A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525969(P2012−525969)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061345
【国際公開番号】WO2011/023507
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061345
【国際公開番号】WO2011/023507
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】
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