説明

透視性を有する着色表示カード

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、クレジットカード、メンバーズカード、プリペイドカードなどの各種カードに、透視性を有する所望の文字、絵柄などのデザインの着色表示を施したカードに関する。
(従来の技術)
各種カードは、一般に、サイズ、形状、厚さなどが規格によって定形化されており、カードに施す文字、絵柄などを含むデザインは、カードの種類、銘柄などを識別するための実用的表示要素としてだけでなく、カードの商品価値としてのイメージを向上させる趣向的要素として重要である。そして、近年においては、カードに施すこのようなデザインを考慮した着色表示は、機能的実用性と、装飾表示体としての趣向性が要求されている。
(発明の目的)
本発明は、定形化されている各種カードに、あたらしいイメージを付加するもので、少なくとも着色表示部に透視性を有する着色表示を施したカードを提供することを目的とするものである。
(発明の構成)
本発明は、全面又は部分的に透明なカード基材4の少なくとも透明領域に第1着色層1と隠蔽層2と第2着色層3とをこの順に積層した着色層aを形成し、該着色層a上より下側のカード基材4に達するように該着色層aと基材4面を点状、網状に刻切して、カード基材4に点状、網状パターンの凹状の透視部bと、その反転パターンの着色層aによる着色表示部cとを設けたことを特徴とする透視性を有する着色表示カードである。
また本発明は、上記発明の透視性を有する着色表示カードにおいて、前記カード基材4に形成される第2着色層3が、ベタ状の第2着色層である透視性を有する着色表示カードである。
また本発明は、上記発明の透視性を有する着色表示カードにおいて、前記点状、網状パターンの凹状の透視部bが、その密度が同一、あるいは徐々にグラディエーション付けされた無模様状パターンである透視性を有する着色表示カードである。
また本発明は、上記発明の透視性を有する着色表示カードにおいて、前記点状、網状パターンの凹状の透視部bが、適宜図柄模様状に租密形成された点状、網状パターンである透視性を有する着色表示カードである。
(発明の作用)
本発明カードによれば、カード基材の少なくとも着色表示領域に、文字、絵柄などのデザインとして、微細な点あるいは網パターン状の透視部bを観察できるものである。
(発明の実施例)
第1図及び第2図の本発明の一実施例において、透明カード基材4としては、ポリ塩化ビニールなどの透明センターコア−シート6単体又は該シート6の表裏両側にポリ塩化ビニールなどの透明、あるいは着色透明オーバーシート5、7を積層ラミネートしたものを使用するものである。また、基材4は、全面が透明でなくてもよく、着色層aの形成領域、あるいは該領域を含めて部分的に透明なものを使用することは可能である。そして、着色層a形成領域以外のカード基材4面には、適宜着色表示を施すことを妨げない。また、第2図における彫刻を行なった着色層aの上側より、カード全面に透明保護フィルムを積層することができる。
本発明においては、刻切される点状、網状パターンは、図形状のパターンではなく、刻切領域全面において、例えば同一密度のパターンであってもよく、あるいは徐々に点の密度や大きさ、網の密度や画線の太さを変化させてグラディエーションを与えてもよく、又、部分的に点あるいは網に租密を付けて点、あるいは網を刻切することによって、図形状あるいは模様状の点状、網状パターンを形成するようにしてもよい。
第3図は、本発明の他の実施例であり、(イ)全面、あるいは部分的に透明なカード基材4を構成する透明部分を有するオーバーシート5上に着色層aを印刷形成した後、センターコア−シート6の表裏に前記シート5と、7とを重ね合わせた後に、(ロ)加熱、加圧してラミネートするとともに、着色層aとオーバーシート5とを同一面に平坦化する。次に、(ハ)オートグレーバーの刻針刃により着色層aを下側の透明基材4のオーバーシート5あるいはオーバーシートとセンターコア−シート6に達する深さに刻切して、点状、網状パターンの透視部bと着色表示部cとを形成し、そして、必要に応じて(ニ)着色表示部(c)上側よりカード全面に透明保護フィルムを積層するものである。この場合、センターコア−シート6表裏にオーバーシート5、7を予めラミネートしたカード基材4を用いて、オーバーシート5側に着色層aを形成した後に、加熱、加圧して着色層aとシート5とを同一面に平坦化して、後に彫刻するようにしてもよい。
第4図(イ)は、本発明におけるカード基材4上に印刷形成する着色層aの一実施例であり、第4図(ロ)は、該着色層aを彫刻により網状、点状にパターン形成して得られる着色表示部cの側面図である。例えばカード基材4の透明領域に、適宜色数のベタ着色、線画、階調再現画の第1着色層1と隠蔽層2と、適宜色数のベタ着色、線画、階調再現画の第2着色層3をこの順に重ね刷り印刷を行なって着色層aを形成する。第2着色層3が1色の隠蔽性のあるベタ着色であれば、前記隠蔽層2を省略することは可能である。そして、該着色層a上側より加熱加圧して基材4と同一面に平坦化した後に、第4図4図(ロ)着色層a上よりオートグレーバーの刻針刃を走査してカード基材4に達する深さに点状、網状に着色層aを刻切して透視部bと着色表示部cとを形成するものである。
(発明の効果)
本発明カードは、プラスチックカード基材の透明領域に表示されるデザインなどの着色表示として、微細な点状、あるいは網状の刻切された凹状の透視部bを有する着色表示部cを形成することによって、カードの少なくとも着色表示領域に透視性を付与したもので、着色表示部cの凹状の透視部bを透してカードの互いに反対側を透視することができるにもかかわらずに、カード表裏において、それぞれ表裏から観察される着色表示部cの着色層aによって表示される絵柄が、第1着色層1と第2着色層3との間に隠蔽層2が施されているため表側の第1着色層1と裏側の第2着色層3との間で互いに干渉し合うことなく表裏で独立した絵柄として観察でき、それぞれ異なる又は同一のデザインを表示することができる。
本発明カードは、文字などの実用的表示機能と、図形、デザインなどの装飾的、趣向的表示機能とを備える着色表示カードとしてすぐれた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の一実施例の側面図、第3図は本発明の他の実施例の側面図、第4図(イ)は本発明における着色層の側面図、第4図(ロ)は本発明における無模様状に刻切した透視部及び着色表示部の側面図、第4図(ハ)は本発明における図形状に刻切した透視部及び着色表示部の側面図である。
1……第1着色層、2……隠蔽層
3……第2着色層、4……カード基材
5、7……オーバーシート
8……透明フィルム層、a……着色層
b……透視部、c……着色表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】全面又は部分的に透明なカード基材4の少なくとも透明領域に第1着色層1と隠蔽層2と第2着色層3とをこの順に積層した着色層aを形成し、該着色層a上より下側のカード基材4に達するように該着色層aと基材4面を点状、網状に刻切して、カード基材4に点状、網状パターンの凹状の透視部bと、その反転パターンの着色層aによる着色表示部cとを設けたことを特徴とする透視性を有する着色表示カード。
【請求項2】前記カード基材4に形成される第2着色層3が、ベタ状の第2着色層である特許請求の範囲第1項記載の透視性を有する着色表示カード。
【請求項3】前記点状、網状パターンの凹状の透視部bが、その密度が同一、あるいは徐々にグラディエーション付けされた無模様状パターンである特許請求の範囲第1項又は第2項記載の透視性を有する着色表示カード。
【請求項4】前記点状、網状パターンの凹状の透視部bが、適宜図柄模様状に租密形成された点状、網状パターンである特許請求の範囲第1項又は第2項記載の透視性を有する着色表示カード。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2712258号
【登録日】平成9年(1997)10月31日
【発行日】平成10年(1998)2月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−79247
【出願日】昭和63年(1988)3月31日
【公開番号】特開平1−249496
【公開日】平成1年(1989)10月4日
【出願人】(999999999)凸版印刷株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭51−50699(JP,A)
【文献】特開 昭48−89800(JP,A)
【文献】特開 昭55−19561(JP,A)
【文献】特開 平1−148585(JP,A)
【文献】実開 昭57−44770(JP,U)