説明

透過型えん堤およびその施工方法

【課題】硬化材(内部材)の投入や転圧に際して作業の邪魔になるような部材を省略して、部品点数の増加を抑え、かつ、作業を簡素にすることができる透過型えん堤およびその施工方法を提供する。
【解決手段】透過型えん堤1000の不透過部2000aは、支持フルLP60等によって形成された上流側壁面材1100、角部支持フルLP560等によって形成された角部壁面材1500、支持フルLP60等によって形成された透過側壁面材1600および最下段フルCP220等によって形成された下流側壁面材1200を有し、支持フルLP60および角部支持フルLP560の外側に支持柱材80が設置された状態で、内部に内部材300が充填され、内部材の充填後に支持柱材80が撤去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透過型えん堤およびその施工方法、特に、傾斜地に設置され、水等を流出させない一対の不透過部(擁壁部に同じ)と、該不透過部の間に形成され、比較的大きな岩石や倒木等を捕捉し、小さな土砂や水等を流出させる透過部(本発明において、「スリット部」と称す)とを有する透過型えん堤、およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の不透過部をコンクリート製とし、鋼製の柱および梁からなる柵状体を設置した透過部(スリット部に同じ)とを有する透過型鋼製えん堤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、透過部を有しないものの、一対の外壁材と、該外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築されるえん堤(土木構造物)が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−10330号公報(第2−3頁、図3)
【特許文献2】特許第4060135号公報(第4−7頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された透過型鋼製えん堤は、透過部(スリット部)に設置される柵状体について、柱の間隔や梁の高さを規定することによって、中央部への石礫の堆積を抑えようとするものであり、不透過部をコンクリートによって形成することについては特別の工夫がなされていない。すなわち、不透過部は、所定の高さのコンクリート型枠を下段から上段に向かって順次設置し、当該コンクリート型枠内にコンクリートを順次打設することによって構築するものであって、コンクリートがむき出しになっていた。このため、コンクリート型枠の設置や撤去によって施工が煩雑になるだけでなく、土石流に含まれた岩石等が衝突した際、損傷するおそれがあった。
一方、特許文献2に開示されえん堤(土木構造物)は、鋼矢板を互いに接合した上流側の外壁材と、コンクリートブロックパネルを互いに接合した下流側の外壁材と、両者の内側に充填した硬化材(本発明において「内部材」と称している)とを有するものであるため、コンクリート型枠を不要にすると共に、土石流に含まれた岩石等が衝突した際、損傷するおそれが殆どなくなっていた。すなわち、特許文献2に開示され技術を用いることによって、特許文献1に開示された透過型鋼製えん堤の前記問題は緩和されることになる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示され技術におけるえん堤は、上流側の外壁材が複数の三角形枠によって支持されるものであって、三角形枠は、アンカー金物を底辺に、上流側に位置する支柱を一方の斜辺に、下流側に位置するサポート材を他方の斜辺としている。そして、アンカー金物は基礎コンクリートに固定され、アンカー金物には複数の支柱に跨って水平方向(長手方向に同じ)の腹起こし材が固定されている。また、腹起こし材は、下端が基礎コンクリートに固定され溝形断面材の溝内に挿入された鋼矢板の下流側の側面に接合されている。
【0006】
すなわち、特許文献2に開示されたえん堤は、鋼矢板の下流側の面に腹起こし材が接合され、鋼矢板の下流側(硬化材を充填する範囲に同じ)には下流側に向かって突出した、腹起こし材を支持する三角形枠が立設されているため、以下のような問題がある。
(あ)腹起こし材と、これを支持する三角形枠を形成するアンカー金物、支柱およびサポート材と、が必要になるため、部品点数が増して施工が煩雑になるから、資材コストおよび施工コストが上昇する。
(い)また、硬化材を充填する範囲に三角形枠が立設されているため、鋼矢板に近い範囲への硬化材の投入(押し込み)や投入された硬化材の転圧の際、三角形枠(特に、サポート材)が邪魔になるから、これを避けて作業する必要がある。そのため、作業が繁雑になったり、作業機械(特に、大型作業機械)の使用が困難になったりするから、作業工数が増して施工コストが上昇したり、作業が遅延して工期が長引いたりする。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するものであって、硬化材(内部材)の投入や転圧に際して作業の邪魔になるような部材を省略して、部品点数の増加を抑え、かつ、作業を簡素にすることができる透過型えん堤およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る透過型えん堤は、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートによって形成され、
前記角部壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数の角部ライナープレートによって形成され、
前記透過側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートと、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する1枚の三角ライナープレートとによって形成され、
前記下流側壁面材の最下部は、矩形板状の複数のコンクリートパネルによって形成され、
前記複数のライナープレートのうち所定のものの上流側または透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数の角部ライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数のライナープレート、前記角部ライナープレートおよび前記三角ライナープレートが前記基礎コンクリートに固定され、且つ、相互に接合され、
前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が前記支持用接続板に接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする。
【0009】
(2)本発明に係る透過型えん堤は、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に交互に配置され、互いに接合された角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記角部ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとが接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとが接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定され、
前記支持用接続板に、前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする。
【0010】
(3)本発明に係る透過型えん堤は、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に配置されて互いに接合された角部フルサイズライナープレート、または該角部底面通し材に配置された角部フルサイズライナープレートおよび該角部フルサイズライナープレートに接合されたJ字状ライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記J字状ライナープレートが断面円弧状の面部分および平面状の面部分から形成された面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記断面円弧状の面部分の幅が前記角部フルサイズライナープレートの幅を半分にしたもので、前記平面状の面部分の幅が前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記J字状ライナープレートの断面円弧状の面部分に形成されてフランジとが接合され、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定され、
前記支持用接続板に、前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする。
【0011】
(4)前記(2)または(3)において、前記フルサイズライナープレートを形成する面材、前記ハーフサイズライナープレートを形成する面材、前記角部フルサイズライナープレートを形成する面材、前記角部ハーフサイズライナープレートを形成する面材および前記三角フルサイズライナープレートを形成する面材が波鋼板であって、該波鋼板の山または谷の方向が、前記面材の側縁に形成されたフランジに平行または垂直であることを特徴とする。
(5)前記(1)乃至(4)の何れかにおいて、前記透過部に鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた構造物が設けられていることを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明に係る透過型えん堤の施工方法は、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートによって形成され、
前記角部壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数の角部ライナープレートによって形成され、
前記透過側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートと、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する1枚の三角ライナープレートとによって形成され、
前記下流側壁面材の最下部は、矩形板状の複数のコンクリートパネルによって形成され、
前記複数のライナープレートのうち所定のものの上流側または透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数の角部ライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定された透過型えん堤において、
前記複数のライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記複数の角部ライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記三角ライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記複数のライナープレート、前記角部ライナープレートおよび前記三角ライナープレートを相互に接合する工程と、
前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材を前記支持用接続板に接続する工程と、
前記支持柱材が前記支持用接続板に接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材を1回または2回以上に分けて充填する工程と、
該内部材の充填の後、前記支持支柱を前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
(7)また、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有し、前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に交互に配置され、互いに接合された角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記角部ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとが接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとが接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定された、透過型えん堤の施工方法であって、
前記透過部に対応する位置に基礎コンクリートを設置する工程と、
前記上流基礎コンクリートの上に底面通し材、角部底面通し材および透過側底面通し材を載置する工程と、
前記ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記底面通し材の上に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートを、前記底面通し材の上で前記ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記角部ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記角部底面通し材の上に載置し、前記角部ハーフサイズライナープレートの上流側または透過部側の面に固定された底面接続板と前記角部底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記角部底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記角部フルサイズライナープレートを、前記底面通し材の上で前記角部ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記角部ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとを接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとを接合する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置された角部フルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記角部底面通し材が所定の位置に配置され、前記角部フルサイズライナープレートが鉛直になった状態で、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記透過側底面通し材の上に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記透過側底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートを、前記透過側底面通し材の上で前記ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとを接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとを接合する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートのうち前記下流側壁面材に近い位置に配置されたものに、三角フルサイズライナープレートを設置する工程と、
前記三角フルサイズライナープレートに下流側接続アングルを設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記透過側底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記基礎コンクリートの上に、前記フルサイズコンクリートパネルを載置、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルを載置して、前記コンクリートパネル同士、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネル同士を連結金具を介して連結すると共に、前記フルサイズコンクリートパネルの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルのそれぞれの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具を、前記基礎コンクリートに設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたは前記フルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記角部フルサイズライナープレートまたは前記角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートと、前記三角フルサイズライナープレートと、前記フルサイズコンクリートパネルまたは前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルとによって包囲された範囲に、1回または2回以上に分けて前記内部材を充填する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
(8)本発明に係る透過型えん堤の施工方法は、一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に配置されて互いに接合された角部フルサイズライナープレート、または該角部底面通し材に配置された角部フルサイズライナープレートおよび該角部フルサイズライナープレートに接合されたJ字状ライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記J字状ライナープレートが断面円弧状の面部分および平面状の面部分から形成された面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記断面円弧状の面部分の幅が前記角部フルサイズライナープレートの幅を半分にしたもので、前記平面状の面部分の幅が前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記J字状ライナープレートの断面円弧状の面部分に形成されてフランジとが接合され、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定された透過型えん堤の施工方法であって、
前記透過部に対応する位置に基礎コンクリートを設置する工程と、
前記上流基礎コンクリートの上に底面通し材、角部底面通し材および透過側底面通し材を載置する工程と、
複数枚の前記フルサイズライナープレートを互いに当接して前記底面通し材の上に載置し、前記フルサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記ハーフサイズライナープレートを前記フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
複数枚の前記角部フルサイズライナープレートを互いに当接して前記角部底面通し材の上に載置し、前記角部フルサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記J字状ライナープレートを前記角部フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記J字状ライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記角部底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結すると共に、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記J字状ライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結すると共に、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分の側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートおよび前記J字状ライナープレートのうち所定枚数毎に配置された角部フルサイズライナープレートおよびJ字状ライナープレートの上流側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記角部底面通し材が所定の位置に配置され、前記角部フルサイズライナープレートおよびを前記J字状ライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
複数枚の前記フルサイズライナープレートを互いに当接して前記透過側底面通し材の上に載置し、前記フルサイズライナープレートの透過部側の面に固定されている底面接続板と前記透過側底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記ハーフサイズライナープレートを前記フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの透過部側の面に固定されている底面接続板と前記透過側底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記透過側底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結、または、前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分の側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートのうち前記下流側壁面材に近い位置に配置されたものに、三角フルサイズライナープレートを設置する工程と、
前記三角フルサイズライナープレートに下流側接続アングルを設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの透過部側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記透過側底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記基礎コンクリートの上に、前記フルサイズコンクリートパネルを載置、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルを載置して、前記コンクリートパネル同士、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネル同士を連結金具を介して連結すると共に、前記フルサイズコンクリートパネルの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルのそれぞれの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具を、前記基礎コンクリートに設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたは前記フルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記角部フルサイズライナープレートまたは前記角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートと、前記三角フルサイズライナープレートと、前記フルサイズコンクリートパネルまたは前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルとによって包囲された範囲に、1回または2回以上に分けて前記内部材を充填する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
(9)前記(7)または(8)において、前記フルサイズライナープレートを形成する面材、前記ハーフサイズライナープレートを形成する面材、前記角部フルサイズライナープレートを形成する面材、前記角部ハーフサイズライナープレートを形成する面材および前記三角フルサイズライナープレートを形成する面材が波鋼板であって、該波鋼板の山または谷の方向が、前記面材の側縁に形成されたフランジに平行または垂直であることを特徴とする。
(10)前記(6)乃至(9)の何れかにおいて、前記透過部に鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた構造物を設ける工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る透過型えん堤およびその施工方法は、不透過部の最下段が、互いに接合されたライナープレートおよび三角ライナープレートによって形成され、それぞれの一部が支持柱材によって支持された状態で、内部に内部材が充填されるから、十分な剛性が確保され、連結作業が容易であると共に、相互の位置関係が正確になる。このとき、位置を保証するための、例えば、腹起こし材等および腹起こし材等を支持する複数の三角形枠等が不要になるから、部品点数の増加が抑えられ、施工が簡素になるため、資材コストおよび施工コストが安価になる。
また、内部材が充填される範囲に、充填作業を邪魔するような部材(例えば、腹起こし材を支持する複数の三角形枠等)がなくなるから、内部材(例えば、ソイルセメント等の硬化材等)を充填する範囲に邪魔になる物がなくなるため、作業が容易になると共に、作業機械(特に、大型作業機械)の使用が可能になり、作業工数が減少して施工コストの圧縮や、工期の短縮が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る透過型えん堤を説明する全体を示す斜視図。
【図2】図1に示す透過型えん堤の一部を示す側面視の断面図。
【図3】図1に示す透過型えん堤の一部(上流側壁面材)を示す正面図。
【図4】図1に示す透過型えん堤の構成部材(標準フルLP)を示す側面図等。
【図5】図1に示す透過型えん堤の構成部材(標準フルLP)を示す断面図。
【図6】図1に示す透過型えん堤の構成部材(最下段フルLP)を示す側面図等。
【図7】図1に示す透過型えん堤の構成部材(支持フルLP)を示す側面図等。
【図8】図1に示す透過型えん堤の構成部材(最上段ハーフLP)を示す側面図等。
【図9】図1に示す透過型えん堤の構成部材(最下段ハーフLP)を示す側面図等。
【図10】図1に示す透過型えん堤の一部(下流側壁面材)を示す背面図。
【図11】図1に示す透過型えん堤の構成部材(下流側壁面材)を拡大して示す側面視の断面図および正面図。
【図12】図1に示す透過型えん堤の構成部材(角部壁面材)を示す正面図および構成部材(角部標準フルLP)を示す断面図。
【図13】図1に示す透過型えん堤の構成部材(角部標準フルLP)および一部(角部壁面材)を示す斜視図等。
【図14】図1に示す透過型えん堤の一部(透過側壁面材)を示す斜視図。
【図15】図1に示す透過型えん堤の一部(透過側壁面材)を示す斜視図。
【図16】本発明の実施の形態2に係る透過型えん堤の施工方法を説明する、底面通し材を設置する工程を示す平面図。
【図17】図16に示す工程に続く最下段ハーフLPを設置する工程を示す平面図等。
【図18】図17に示す工程に続く最下段フルLPを設置する工程を示す平面図等。
【図19】図18に示す工程に続く支持フルLPを設置する工程を示す平面図等。
【図20】本発明の実施の形態3に係る透過型えん堤を説明する全体を示す斜視図。
【図21】図20に示す透過型えん堤の構成部材(横波標準フルLP)を示す斜視図。
【図22】図20に示す透過型えん堤の構成部材(横波支持フルLP)を示す斜視図。
【図23】図20に示す透過型えん堤の構成部材(透過側壁面材)を示す斜視図。
【図24】図20に示す透過型えん堤の構成部材(透過側壁面材)を示す斜視図。
【図25】図20に示す透過型えん堤の構成部材(円弧部壁面材)を示す斜視図。
【図26】図20に示す透過型えん堤の構成部材(円弧横波標準フルLP)を示す斜視図。
【図27】図20に示す透過型えん堤の構成部材(円弧横波支持フルLP)を示す斜視図。
【図28】図20に示す透過型えん堤の構成部材(J字状横波標準LP)を示す斜視図。
【図29】図20に示す透過型えん堤の構成部材(J字状横波標準LP)を示す斜視図。
【図30】本発明の実施の形態5に係る透過型えん堤を説明する全体を示す斜視図。
【図31】本発明の実施の形態6に係る透過型えん堤を説明する全体を示す斜視図。
【図32】図31に示す透過型えん堤の構成部材(上流側接続チャンネル)を示す正面図等。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態1:縦波透過型えん堤]
図1〜図15は本発明の実施の形態1に係る透過型えん堤を説明するものであって、図1は全体を示す斜視図、図2は一部(透過部)を示す側面視の断面図、図3は一部(上流側壁面材)を示す正面図(上流側から見ている)、図4は構成部材(標準フルLP)を示す側面図と正面図、図5は構成部材(標準フルLP)を示す平面視の断面図、図6は構成部材(最下段フルLP)を示す側面図と正面図、図7は構成部材(支持フルLP)を示す側面図と正面図、図8は構成部材(最上段ハーフLP)を示す側面図と正面図、図9は構成部材(最下段ハーフLP)を示す側面図と正面図、図10は一部(下流側壁面材)を示す正面図(えん堤内部から見ている)、図11は構成部材(下流側壁面材)を拡大して示す側面視の断面図および正面図(えん堤内部から見ている)、図12は構成部材(角部壁面材)を示す正面図および構成部材(角部標準フルLP)を示す断面図、図13は構成部材(角部標準フルLP)および一部(角部壁面材)を示す斜視図、図14および図15は一部(透過側壁面材)を示す斜視図である。
なお、各図は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定されるものではない。また、ボルト孔等については、位置を示すのみであって、該位置に符号を付す場合がある。
【0019】
(透過型えん堤)
図1において、透過型えん堤1000は、基礎コンクリート1000fに設置された不透過部(非越流部に同じ)1000aおよび基礎コンクリート1000gに設置された不透過部1000bと、不透過部1000aと不透過部1000bとの間に形成された透過部(開口部に同じ)1000cと、透過部1000cに設置された透過部基礎コンクリート1000dと、透過部基礎コンクリート1000dに設置された鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた構造物(柵状の透過部構造物に同じ、以下「スリットえん堤」と称す)1000eと、を有している。
そして、不透過部1000aおよび不透過部1000bは何れも、同様の水密構造であって、不透過部1000aの天面と不透過部1000bの天面とは、同一の水平面内に位置するとは限らず、基礎コンクリート1000fの上面と基礎コンクリート1000gの上面とが同一の平面内に位置するとも限らないため、不透過部1000aの天面と基礎コンクリート1000fの上面との距離(高さ)と、不透過部1000bの天面と基礎コンクリート1000gの上面との距離(高さ)とが相違する場合がある。
透過部1000cの幅(不透過部1000aと不透過部1000bとの水平方向の距離)や透過部基礎コンクリート1000dの高さ等は、適宜決定される。
また、スリットえん堤1000eは、洪水に際して比較的大きな流木や岩石のみを捕捉し、水は小さな土砂等を通過させるものであって、鋼管等を柵状に接合することによって形成されている。なお、本発明は、透過型えん堤1000を図示された形態に限定するものではなく、特に、スリットえん堤1000eの形態は適宜選定されるものである。
【0020】
(不透過部)
不透過部1000aおよび不透過部1000bは同様の構造であり、基礎コンクリート1000fおよび基礎コンクリート1000gは同様の機能を有するものであるから、以下、不透過部1000aについて説明する。
不透過部1000aは、平面状(正確には凹凸がある)の上流側壁面材1100と、上流側壁面材1100と所定の間隔を空けて設置された平面状の下流側壁面材1200と、下流側壁面材1200に繋がって透過部1000cを形成する透過側壁面材1600と、透過側壁面材1600と上流側壁面材1100とに繋がって、断面略円弧状の角部(1/4円筒面に近い多角形)を形成する角部壁面材1500と、を有している(以下、これらをまとめて「壁面材100」と称す場合がある)。
そして、壁面材100は基礎コンクリート1000fに設置され、壁面材100によって形成された範囲には内部材300(図2参照)が投入され、壁面材の天端には内部材300の上面を覆うように天端保護コンクリート400が設置されている。
【0021】
(上流側壁面材)
図2および図3において、上流側壁面材1100は、基礎コンクリート1000fの一部である上流側基礎コンクリート10の上に長手方向で交互に配置された最下段ハーフサイズライナープレート30a、30b・・・(ハーフサイズライナープレートに相当する。以下、「最下段ハーフLP30」と称す)と、最下段フルサイズライナープレート50a、50b・・・(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「最下段フルLP50」と称す)と、支持フルサイズライナープレート60a、60b・・・(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「支持フルLP60」と称す)とから最下段が形成されている。
なお、最下段の幅は限定されるものではなく、原則かかる配置パターンの繰返しによって拡大されるものである。また、符号に付した添え字「a、b・・・」は説明の便宜であって、共通する内容の説明においては添え字「a、b・・・」の記載を省略する(以下の説明および図においても同様)。
そして、かかる最下段の上に、標準フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「標準フルLP」と称す)40が配置され、最上段は、長手方向で交互に配置された最上段ハーフサイズライナープレート(ハーフサイズライナープレートに相当する。以下、「最上段ハーフLP」と称す)70と標準フルLP40とによって形成されている。なお、上流側基礎コンクリート10から最上段までの標準フルLP40の積上げ数量は3枚に限定するものではなく、何れであってもよい。
【0022】
(標準フルLP)
図4および図5において、標準フルLP40は、所定の幅(例えば、500mm)および最下段ハーフLP30の倍の高さ(例えば、1000mm)の矩形状の波鋼板41と、波鋼板41の4辺にそれぞれ形成された上辺フランジ42a、側辺フランジ42b、下辺フランジ42cおよび側辺フランジ42d(以下、それぞれ又はまとめて「フランジ42」と称す場合がある)とを有する一面が開口した函状であって、上辺フランジ42a、側辺フランジ42b、下辺フランジ42cおよび側辺フランジ42dには、貫通したボルト孔43a、ボルト孔43b、ボルト孔43cおよびボルト孔43d(以下、それぞれ又はまとめて「ボルト孔43」と称す場合がある)が設けられている。
【0023】
このとき、上辺フランジ42a、側辺フランジ42b、下辺フランジ42cおよび側辺フランジ42dは直方体または立方体の4側面に相当し、隣接するフランジ同士は直角で、対向するフランジ同士は平行である。
また、側辺フランジ42bおよび側辺フランジ42dは、波鋼板41の側縁部を曲げ加工して一体的に形成したものであるが、波鋼板41の側辺に溶接等によって固定したものであってもよい。
なお、図5におけるボルト孔43cは上流アンカー筋310(図2参照)を係止するためのものであって、上辺フランジ42aおよび下辺フランジ42cに設けられているが、ボルト孔43cの配置や形状等は限定するものではなく、側辺フランジ42b、42dに設けてもよく、あるいは、全く設けなくてもよい(上流アンカー筋310を係止するための貫通孔については、その他のパネルにおいても同様である)。
さらに、実施の形態1におけるフルサイズライナープレートは、面材に波鋼板41を有する標準フルLP40等であるが、本発明におけるフルサイズライナープレート等は、面材を波鋼板に限定するものではなく、平鋼板や、平鋼板に凸条が形成されたものであってもよい。
【0024】
(最下段フルLP)
図6において、最下段フルLP50は、標準フルLP40と略同じ形状であって、矩形状の波鋼板51と、波鋼板51の4辺にそれぞれ形成された上辺フランジ52a、側辺フランジ52b、下辺フランジ52cおよび側辺フランジ52d(以下、それぞれ又はまとめて「フランジ52」と称す場合がある)とを有する一面が開口した函状である。
上辺フランジ52aと下辺フランジ52cとは平行で、側辺フランジ52bと側辺フランジ52dとは平行で、上辺フランジ52aと側辺フランジ52bとは直角に接合されている。
そして、上辺フランジ52a、側辺フランジ52b、下辺フランジ52cおよび側辺フランジ52dには、貫通したボルト孔53a、ボルト孔53b、ボルト孔53cおよびボルト孔53d(以下、それぞれ又はまとめて「ボルト孔53」と称す場合がある)が設けられている。
なお、最下段フルLP50は、標準フルLP40においてボルト孔43cを撤去したものに同じであるから、最下段フルLP50に替えて、標準フルLP40を用いてもよい。
【0025】
(支持フルLP)
図7において、支持フルLP60は、最下段フルLP50の波鋼板51の外面(函状体の外の面)に突出する支持用接続板64が固定されたものであり、支持用接続板64には支持柱接続ボルト84が貫通するボルト孔65が形成されている。
すなわち、矩形状の波鋼板61と、波鋼板61の4辺にそれぞれ形成された上辺フランジ62a、側辺フランジ62b、下辺フランジ62cおよび側辺フランジ62d(以下、それぞれ又はまとめて「フランジ62」と称す場合がある)とを有する一面が開口した函状である。
上辺フランジ62aと下辺フランジ62cとは平行で、側辺フランジ62bと側辺フランジ62dとは平行で、上辺フランジ62aと側辺フランジ62bとは直角に接合されている。
そして、上辺フランジ62a、側辺フランジ62b、下辺フランジ62cおよび側辺フランジ62dには、貫通したボルト孔63a、ボルト孔63b、ボルト孔63cおよびボルト孔63d(以下、それぞれ又はまとめて「ボルト孔63」と称す場合がある)が設けられている。
【0026】
(最上段ハーフLP)
図8において、最上段ハーフLP70は、標準フルLP40の高さ(例えば、1000mm)を半分にしたものに相当し、所定の幅(例えば、500mm)および前記所定の高さの半分の高さ(例えば、500mm)の矩形状の波鋼板71と、波鋼板71の4辺にそれぞれ形成された上辺フランジ72a、側辺フランジ72b、下辺フランジ72cおよび側辺フランジ72dとを有する一面が開口した函状であって、上辺フランジ72a、側辺フランジ72b、下辺フランジ72cおよび側辺フランジ72dには、貫通したボルト孔73a、ボルト孔73b、ボルト孔73cおよびボルト孔73d(以下、それぞれ又はまとめて「ボルト孔73」と称す場合がある)が設けられている。
このとき、上辺フランジ72a、側辺フランジ72b、下辺フランジ72cおよび側辺フランジ72dは直方体または立方体の4側面に相当し、隣接するフランジ同士は直角である。
【0027】
(最下段ハーフLP)
図9において、最下段ハーフLP30は、最上段ハーフLP70と略同じ形状であって、矩形状の波鋼板31と、波鋼板31の4辺にそれぞれ形成された上辺フランジ32a、側辺フランジ32b、下辺フランジ32cおよび側辺フランジ32d(以下、それぞれ又はまとめて「フランジ32」と称す場合がある)とを有する一面が開口した函状である。
上辺フランジ32aと下辺フランジ32cとは平行で、側辺フランジ32bと側辺フランジ32dとは平行で、上辺フランジ32aと側辺フランジ32bとは直角に接合されている。
そして、最下段ハーフLP30の波鋼板31の外面に、突出した底面接続板34が固定されている。底面接続板34の下縁は下辺フランジ32cに平行で、底面固定用のボルト孔35が形成されている。
また、上辺フランジ32a、側辺フランジ32bおよび側辺フランジ32dには、貫通したボルト孔33a、ボルト孔33bおよびボルト孔33d(以下、それぞれ又はまとめて「ボルト孔33」と称す場合がある)が設けられている。
なお、上辺フランジ32a、側辺フランジ32bおよび側辺フランジ32dに、上流アンカー筋310を取り付けるための貫通穴を形成してもよい。
【0028】
(下流側壁面材)
図2および図10において、下流側壁面材1200は、基礎コンクリート1000fの一部である下流基礎コンクリート210の上に煉瓦積み状に積み上げられた標準フルサイズコンクリートパネル(以下、「標準フルCP」と称す)240等から形成されている。
なお、長手方向の端部における出入りを無くすために、標準フルCP240の幅(水平方向の長さ)を半分にした標準ハーフサイズコンクリートパネル(以下、「標準ハーフCP」と称す。図示しない)が組み込まれている。
【0029】
すなわち、下流側壁面材1200は、下流基礎コンクリート210の上に設置された最下段フルサイズコンクリートパネル(フルサイズコンクリートパネルに相当する。以下、「最下段フルCP」と称す)220および最下段ハーフサイズコンクリートパネル(ハーフサイズコンクリートパネルに相当する。以下、「最下段ハーフCP」と称す)230によって最下段を構築されている(最下段ハーフCP230を必要としない場合がある)。
次に、構築された最下段の上に、標準フルサイズコンクリートパネル(以下、「標準フルCP」と称す)240が設置され、中段が構築されている(なお、標準ハーフCPが設置される場合がある。)
さらに、中段の上に設置された最上段フルサイズコンクリートパネル(フルサイズコンクリートパネルに相当する。以下、「最上段フルCP」と称す)260および最上段ハーフサイズコンクリートパネル(フルサイズコンクリートパネルに相当する。以下、「最上段ハーフCP」と称す)270によって、最上段が構築されている(最上段ハーフCP270を必要としない場合がある)。
なお、中段は標準フルCP240が水平方向に接合された1段のものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、標準フルCP240を上下に複数断積層して、中断を形成してもよい。このとき標準フルCP240の側面同士(水平方向)の当接面が上下で千鳥状(ジグザク)になるようにすることが望ましいため、標準ハーフCPを設置することがある。
【0030】
(最下段フルCP)
図10において、最下段フルCP220は、略矩形状板(直方体)であって、上流側に配置される上流面221と、上流面221に垂直な上辺側の段付き面である上面222aと、上流面221に垂直な側辺側の平面ある側面222b、222dと、上流面221に対して所定の角度だけ傾斜した平面である下面222c、を有している。
そして、上流面221の下面222cに近い位置に固定された基礎固定金具280によって、下流基礎コンクリート210に固定されている。
【0031】
(基礎固定金具)
基礎固定金具280は、断面L字状を形成する傾斜部281aおよび水平部281bと、両者を所定の角度で固定するブラケット部281cと、を有し、傾斜部281aには下流アンカー筋320を係止させるための係止孔283aが形成されている。
そして、傾斜部281aは固定ボルト282aによって最下段フルCP220の上流面221に固定され、水平部281bには、固定孔283bが形成されている。
そして、最下段フルCP220が正規の位置に配置されているか確認し、正規の位置において、固定孔283bに合わせて下流基礎コンクリート210にボルト孔を形成し、そこに基礎固定ボルト282bを固定し、これに基礎固定ナット284bを螺合することによって最下段フルCP220は下流基礎コンクリート210に固定される。なお、基礎固定金具280の形状や大きさ、およびその数量は限定するものではない。
さらに、上流面221の側面222b、222dに近い位置に長手連結金具287の一方側が長手連結用ボルト288によって固定され、長手連結金具287の他方側が長手連結用ボルト288によって隣接する最下段フルCP220に固定されている。すなわち、長手連結金具287によって最下段フルCP220は長手方向で相互に連結されている。なお、長手連結金具287の数量や、長手連結用ボルト288の数量は限定するものではない。
【0032】
(最下段ハーフCP)
図10において、最下段ハーフCP230は、最下段フルCP220の幅を半分にしたものに同じである。すなわち、略矩形状板(直方体)であって、上流側に配置される上流面231と、上流面231に垂直な上辺側の段付き面である上面232aと、上流面231に垂直な側辺側の平面である側面232b、232dと、上流面231に対して所定の角度だけ傾斜した平面である下面232c、を有している。
そして、最下段フルCP220と同様に基礎固定金具280によって下流基礎コンクリート210に固定され、長手連結金具287によって隣接する最下段フルCP220に連結されている(S22)。
【0033】
(標準フルCP)
図10において、標準フルCP240は、略矩形状板(直方体)であって、上流側に配置される上流面241と、上流面241に垂直な上辺側および下辺側の段付き面である上面242aおよび下面242cと、上流面231に垂直な側辺側の平面である側面242b、242dと、を有している。
また、上流側の面には、上面242aおよび下面242cに沿って、それぞれ上下連結金具290を形成する上辺連結金具291Uおよび下辺連結金具291Lが設置され、上面242aと下面242cとの略中間に、アンカー金具330が設置されている。
そして、標準フルCP240は最下段フルCP220および最下段ハーフCP230に上下連結金具290によって連結されている。
【0034】
(上下連結金具)
図10および図11において、上下連結金具290は、標準フルCP240の上辺に沿って設置される上辺連結金具291Uと、下辺に沿って設置される下辺連結金具291Lとによって形成される。なお、上辺連結金具291Uおよび下辺連結金具291Lは、標準フルCP240以外のコンクリートパネルにも設置されている。
すなわち、最下段フルCP220に設置された上辺連結金具291Uと、その上方に配置された標準フルCP240に設置された下辺連結金具291Lとは、上下連結用ボルト294および上下連結ナット295によって連結される。
なお、上辺連結金具291Uと下辺連結金具291Lとは面対称の構成であるから、共通する内容については添え字「上辺、下辺」および「U,L」の記載を省略する。
連結金具291は、断面L字状を形成する傾斜部291aおよび水平部291bと、両者を所定の角度で固定するブラケット部291cと、を有している。
【0035】
そして、傾斜部291aは固定ボルト292(固定用アンカーボルトおよびこれに螺合するナットを総称する)によって最下段フルCP220の上流面221等に固定されている。また、水平部291bには上下連結用孔293が形成されているから、上辺連結金具291Uと下辺連結金具291Lとのそれぞれの水平部291b同士を当接して、それぞれの上下連結用孔293に上下連結用ボルト294を挿入して、上下連結ナット295を螺合することによって、上辺連結金具291Uと下辺連結金具291Lとは連結される。
なお、下辺連結金具291Lのブラケット部291cには、下流アンカー筋320を係止させるための係止孔296が形成されている。
なお、上下連結金具290の形状や大きさは限定するものではなく、上下連結用ボルト294の数量等も限定するものではない。
【0036】
(アンカー金具)
図11において、アンカー金具(スタッドジベルに相当する)330は、傾斜部331aおよび鉛直部331cを有する略T字状であって、傾斜部331aが固定ボルト332(固定用アンカーボルトおよびこれに螺合するナットを総称する)によって上流面221に固定されている。また、鉛直部331cには下流アンカー筋320が係止する係止孔333が形成されている。
【0037】
(標準ハーフCP)
標準ハーフCP(ハーフサイズコンクリートパネルに相当する。図示しない)は、標準フルCP240の幅(水平方向の距離)を半分にしたものに同じである。すなわち、略矩形状板(直方体)であって、上流側に配置される上流面と、上流面に垂直な上辺側および下辺側の段付き面である上面および下面と、上流面に垂直な側辺側の平面である側面と、を有している。
そして、標準ハーフCPは、標準フルCP240と同様に、最下段フルCP220および最下段ハーフCP230と上下連結金具290によって連結され、標準フルCP240とは長手連結金具287によって連結されている(いずれも、図示しない)。
なお、標準フルCP240および標準ハーフCPを積上げる数量は限定するものではなく、前記最下段の上に積み上げたと同様に、順次積み上げ、上下方向および長手方向が連結されるものである。また、標準ハーフCPは、各段における標準フルCP240同士の当接面が高さ方向で相違(千鳥状になる)するようにするためのものであるから、標準ハーフCPが設置されない段が高さ方向で原則交互に形成されることになる。
【0038】
(最上段フルCP)
図10および図11において、最上段フルCP(フルサイズコンクリートパネルに相当する)260は、標準フルCP240と略同じ大きさの略矩形状体(直方体)であって、上流側に配置される上流面261と、上流面261に対して所定の角度だけ傾斜した平面である上面262aと、上流面261に垂直な側辺側の平面である側面262b、262dと、上流面261に対して垂直な段付面である下面262c、を有している。
最上段フルCP260は、標準フルCP240と同様に、下方の標準フルCP240(または標準ハーフCP)の上面242aの上に積み上げられ、上下連結金具290によって連結され、隣接する最上段フルCP260同士は、長手連結金具287によって連結される。
【0039】
(最上段ハーフCP)
図10および図11において、最上段ハーフCP(ハーフサイズコンクリートパネルに相当する)270は、最上段フルCP260の幅を半分にしたものであって、上流側に配置される上流面271と、上流面271に対して所定の角度だけ傾斜した平面である上面272aと、上流面271に垂直な側辺側の平面である側面272b、272dと、上流面271に対して垂直な段付面である下面272c、を有している。
最上段ハーフCP270は、最上段フルCP260と同様に、下方の標準フルCP240(または標準ハーフCP)の上面242aの上に積み上げられ、上下連結金具290によって連結され、隣接する最上段フルCP260とは、長手連結金具287によって連結される。なお、最上段フルCP260を必要としない場合がある。
【0040】
(角部壁面材)
図1および図12の(a)において、角部壁面材1500は略1/4円筒状(正確には、平面視において多角形)を呈するものであって、角部最下段ハーフLP(角部ハーフサイズコンクリートパネルに相当する)530、角部最下段フルLP(角部フルサイズコンクリートパネルに相当する)550、角部支持フルLP(角部フルサイズコンクリートパネルに相当する)560、角部標準フルLP(角部フルサイズコンクリートパネルに相当する)540、角部最上段ハーフLP(角部ハーフサイズコンクリートパネルに相当する)570、およびこれらを連結する連結用ボルトによって形成されている。
【0041】
(角部標準フルLP)
図12の(b)および図13の(a)、(b)において、角部標準フルLP540は、標準フルLP40において、上辺フランジ42aおよび下辺フランジ42cを台形の板材にし、側辺フランジ42bと側辺フランジ42dとを非平行にしたものであって、これを除く構成は標準フルLP40に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位は同じにし、百の位に「5」を付して、一部説明を省略する。
【0042】
すなわち、角部標準フルLP540は、台形状の平板である上辺フランジ542aおよび下辺フランジ542cと、矩形状平板である側辺フランジ542bおよび側辺フランジ542dと、矩形状の波鋼板541と、を有し、側辺フランジ542aおよび下辺フランジ542cは互いに平行であるが、側辺フランジ542bと側辺フランジ542dとは非平行になっている。
なお、図12の(a)において、角部壁面材1500の水平方向が「4枚」の角部標準フルLP540によって形成されたものを示しているが、本発明はこれに限定すものではない。そして、角部壁面材1500の水平方向が「n枚」の角部標準フルLP540によって形成される場合、側辺フランジ542bと側辺フランジ542dとがなす角度(θ)は「θ=90/n(°)」である。
【0043】
そして、角部最下段ハーフLP530、角部最下段フルLP550、角部支持フルLP560、および角部最上段ハーフLP570についても、同様に、それぞれ最下段ハーフLP30、最下段フルLP50、支持フルLP60、および最上段ハーフLP70の上辺フランジおよび下辺フランジを台形の板材にし、側辺フランジ同士を非平行にしたものである。
したがって、角部標準フルLP540と同様に、角部最下段フルLP550、角部支持フルLP560、および角部最上段ハーフLP570の各部位の符号を、それぞれ最下段ハーフLP30、最下段フルLP50、支持フルLP60、および最上段ハーフLP70の符号と一の位および十の位の数字は同じにし、百の位に「5」を付し、説明を省略する。
【0044】
(透過側壁面材)
図1、図14および図15において、透過側壁面材1600は平面(正確には凹凸がある)であって、角部壁面材1500に接合される鉛直な縁と、下流側壁面材1200に接続される傾斜した縁(鉛直でない)と、を有する台形状を呈している。
透過側壁面材1600は、下流側壁面材1200に下流側接続アングル990を介して連結用ボルトによって接続されるフルサイズライナープレートである三角最下段フルLP650および三角標準フルLP640を除くと、上流側壁面材1100と同様の構成になっている。
【0045】
(三角標準フルLP)
三角標準フルLP640は、標準フルLP40において、下流側壁面材1200の傾斜角度に合わせて、波鋼板41の一部(三角形の範囲)を切除したものであって、これを除く構成は標準フルLP40に同じであるから、三角標準フルLP640の各部位の符号を、それぞれ標準フルLP40の符号と一の位および十の位の数字は同じにし、百の位に「6」を付し、説明を省略する。
すなわち、側辺フランジ42aと側辺フランジ42dの交点を頂点とし、上辺フランジ42aの所定範囲および側辺フランジ42dの所定範囲を斜辺とした、三角形の範囲を切除したものであるから、波鋼板641は五角形を呈する。
なお、波鋼板61の切除する範囲の大きさに応じて、波鋼板641が三角形(上辺フランジ642aおよび側辺フランジ642dに相当する部材がない)場合や、波鋼板641が台形(側辺フランジ42dに相当する部材はないものの、下辺フランジ642cよりも短い上辺フランジ642aを有する)場合とがある。
そして、波鋼板641の切除された後の縁(斜めの縁)には、下流側接続アングル990が接続ボルト991によって取り付けられている。
【0046】
また、三角最下段フルLP650は、三角標準フルLP640と同様に、最下段フルLP50の一部を切除した三角形の波鋼板651を具備するものであるから、各部位の符号を、最下段フルLP50の符号と一の位および十の位の数字は同じにし、百の位に「6」を付し、説明を省略する。
なお、以上は、標準フルLP40の波鋼板41の波の山または谷の方向が側辺フランジ42b、42dに平行であるが、本発明はこれに限定するものではなく、波の山または谷の方向が側辺フランジ42b、42dに垂直にしてもよい(その他のライナープレートについても同じ)。また、角部標準フルLP540は台形状の上辺フランジ42aおよび下辺フランジ42cを具備しているが、本発明はこれに限定するものではなく、角部標準フルLP540を円弧状の板材を具備するようにしてもよい(その他の角部ライナープレートについても同じ)。
【0047】
[実施の形態2:透過型えん堤の施工方法]
図16〜図19は本発明の実施の形態2に係る透過型えん堤の施工方法を説明するものであって、図16は底面通し材を設置する工程を示す平面図、図17は最下段ハーフLPを設置する工程を示す平面図と側面図、図18は最下段フルLPを設置する工程を示す平面図と側面図、図19は支持フルLPを設置する工程を示す平面図と側面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0048】
透過型えん堤1000(実施の形態1)の施工方法は、不透過部1000a、1000bを構築する工程と、スリットえん堤(柵体に同じ)1000eを設置する工程とを有している。本発明は、スリットえん堤1000eの形態や、その施工方法を限定するものではないから、以下、不透過部1000aの施工方法について説明する。
【0049】
(不透過部の施工方法)
不透過部1000aの施工方法は、上流側壁面材1100を構築する工程Aと、角部壁面材1500を構築する工程Bと、透過側壁面材1600を構築する工程Cと、下流側壁面材1200を構築する工程Dと、構築された上流側壁面材1100、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200の間(壁面材100の間に同じ)に内部材300を充填する工程Eと、内部材300の上に天端保護コンクリート400を設置する工程Fとを有する。
なお、それぞれの工程は平行して実行されるものであって、上流側壁面材1100の一部を構築し、角部壁面材1500の一部を構築し、透過側壁面材1600の一部を構築し、下流側壁面材1200の一部を構築し、これらに囲まれた範囲に内部材300を充填する。このとき、それぞれの工程を実行する順番やそれぞれの工程の進捗度は限定するものではなく(構築された高さが不揃いであってもよく)、内部材300の充填は、それぞれの進捗に合わせ、複数回に分けて実施されるものである。以下、各工程について詳細に説明する。
【0050】
(工程A:上流側壁面材の最下段の構築)
上流側壁面材1100の最下段は、所定の位置に上流側基礎コンクリート10(基礎コンクリート1000fの一部に相当する)を設置する工程(S11)と、上流側基礎コンクリート10の上に底面通し材20を載置する工程(S12)と、底面通し材20の上に所定間隔を開けて最下段ハーフLP30を設置する工程(S13)と、最下段ハーフLP30同士の間で、1つ飛ばしに、最下段フルLP50を設置する工程(S14)と、最下段ハーフLP30同士の間で、1つ飛ばしに、支持フルLP60を設置する工程(S15)とによって構築する。
このとき、上流側壁面材1100の最下段ハーフLP30、最下段フルLP50または支持フルLP60とは側辺フランジ同士を連結用ボルトによって接合する。
なお、説明の便宜上、各工程に対応したステップ11やステップ12等を意味する(S11)や(S12)等を付記と記載する。なお、各工程を示す「S」に繋がる数字がより小さい工程の方がより大きい工程よりも、原則、先に(早期に)実行する工程を示すものであるが、原則を外れ、「S」に繋がる数字がより大きい工程が、「S」に繋がる数字がより小さい工程よりも先に(早期に)実行される場合がある。
【0051】
(工程B:角部壁面材の最下段の構築)
角部壁面材1500の最下段は、所定の位置に角部基礎コンクリート(基礎コンクリート1000fの一部に相当する。図示しない)を設置する工程(S51)と、角部基礎コンクリートの上に多角形状の角部底面通し材(図示しない)を載置する工程(S52)と、角部底面通し材の上に所定間隔を開けて角部最下段ハーフLP530を設置する工程(S53)と、角部最下段ハーフLP530同士の間で、1つ飛ばしに、角部最下段フルLP550を設置する工程(S54)と、角部最下段ハーフLP530同士の間のうち1つ飛ばしに、角部支持フルLP560を設置する工程(S55)とによって構築する。すなわち、上流側壁面材1100の最下段の構築に同じである。
このとき、角部壁面材1500の角部最下段ハーフLP530、角部最下段フルLP550または角部支持フルLP560とは側辺フランジ同士を連結用ボルトによって接合する。また、角部壁面材1500の上流側壁面材1100に近い角部最下段ハーフLP530、角部最下段フルLP550または角部支持フルLP560と、上流側壁面材1100の角部壁面材1500に近い最下段ハーフLP30、最下段フルLP50または支持フルLP60とは、側辺フランジ同士を連結用ボルトによって接合する。
【0052】
(工程C:透過側壁面材の最下段の構築)
透過側壁面材1600の最下段は、上流側壁面材1100の最下段の構築に準じて、所定の位置に透過部基礎コンクリート(基礎コンクリート1000fの一部に相当する。図示しない)を設置する工程(S61)と、透過部基礎コンクリートの上に直線状の透過部底面通し材(図示しない)を載置する工程(S62)と、透過部底面通し材の上に所定間隔を開けて最下段ハーフLP30を設置する工程(S63)と、最下段ハーフLP30同士の間で、1つ飛ばしに、最下段フルLP50を設置する工程(S64)と、最下段ハーフLP30同士の間のうち1つ飛ばしに、支持フルLP60を設置する工程(S65)と、下流側壁面材1200に最も近い位置に、三角最下段フルLP650を設置する工程(S66)と、三角最下段フルLP650の波鋼板651に下流側接続アングル990を接続ボルト991によって接合する工程(S67)と、によって構築する。
すなわち、下流側接続アングル990を接合する工程を有する点を除き、上流側壁面材1100の最下段の構築に同じである。
このとき、透過側壁面材1600の最下段ハーフLP30、最下段フルLP50または支持フルLP60とは側辺フランジ同士を連結用ボルトによって接合する。
【0053】
(工程D:下流側壁面材の最下段の構築)
下流側壁面材1200の最下段を構築する。下流側壁面材1200の最下段の構築は、所定位置に下流基礎コンクリート210(基礎コンクリート1000fの一部に相当する)を設置する工程(S21)と、下流基礎コンクリート210の上の最下段フルCP220および最下段ハーフCP230を設置する工程(S22)と、最下段フルCP220または最下段フルCP220のうち、最も透過側壁面材1600に近い縁を下流側接続アングル990に接続ボルト992によって接合する工程(S23)と、によって構築する。なお、最下段ハーフCP230を必要としない場合がある。
【0054】
(工程E:内部材の打設)
このようにして構築され、相互に(一部、下流側接続アングル990を介して)接合された上流側壁面材1100の最下段、角部壁面材1500の最下段、透過側壁面材1600の最下段および下流側壁面材1200の最下段によって形成された略U字状範囲に、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する(これについては別途詳細に説明する)。
【0055】
(中段部の構築)
そして、上流側壁面材1100においては、最下段を形成する最下段ハーフLP30の上に、標準フルLP40を積み重ねて接合し、また、最下段を形成する最下段フルLP50および支持フルLP60上に標準フルLP40を積み重ねて接合し、さらに、これらの上に所定の高さになるまで、標準フルLP40を順次積み重ねて接合する工程によって中段部を構築する(S16)。
同様に、角部壁面材1500の中段部を構築(S56)、透過側壁面材1600の中段部を構築(S67)、および下流側壁面材1200の中段部を構築(S23)し、それらによって形成された範囲に内部材300を充填する(これについては別途詳細に説明する)。
【0056】
(最上段の構築)
さらに、上流側壁面材1100においては、中段部を形成する標準フルLP40の上に最上段を形成する標準フルLP40と最上段ハーフLP70を積み重ねて接合する工程(S17)によって、最上段を構築する。
また、同様に、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200においても、最上段を構築し、それらによって形成された略U字状範囲に内部材300を充填する(これについては別途詳細に説明する)。
そこで、最上段の上に、堤冠材90を設置する工程(S18)を実施する。
なお、最下段フルLP50を設置する工程(S14)と、支持フルLP60を設置する工程(S15)とは、何れを先に実行してもよい。また、最上段ハーフCP270が無い場合がある。
以下、それぞれの工程について詳細に説明する。また、最上段ハーフCP270が無い場合がある。
【0057】
(S11:上流側基礎コンクリートの設置)
まず、透過型えん堤1000の設置位置に上流側基礎コンクリート10(基礎コンクリート1000fに同じ)を設置する。このとき、上流側基礎コンクリート10の上面は水平であって、基礎基準面よりわずかに低い位置になっている。
【0058】
(S12:底面通し材の仮固定)
図16において、上流側基礎コンクリート10の上に断面略L字の底面通し材20を載置する。底面通し材20は、所定長さ(例えば、1995mm)の底面通し単位材20a、20b・・・から形成されている。このとき、底面通し単位材20aと底面通し単位材20bとは、底面通し材連結板25に形成されたボルト孔26a、26bと、底面通し単位材20a、20bの端部近くに形成されたボルト孔24a、24bを貫通する接続ボルト27a、27bおよび接続ナット28a、28bによって連結されている。
【0059】
なお、底面通し単位材20a、20b・・・の長さや、相互の連結要領は限定するものではない。以下、連結された状態の底面通し材20について説明する。
底面通し材20には、上流側基礎コンクリート10に固定するためのアンカーボルト13が貫通するボルト孔21が形成され、ボルト孔21を貫通したアンカーボルト13を上流側基礎コンクリート10に打設し、アンカーボルト13にアンカーナット14を仮締めする(本発明において、アンカーボルト13を仮締めすると表現する)。
さらに、最下段ハーフLP30を底面通し材20に設置するための底面通し材接続板22が、所定間隔(例えば、1000mm)で固定され、底面通し材接続板22にはボルト孔23が形成されている。
【0060】
(S13:最下段ハーフLPの設置)
図17において、底面通し材20の上に、所定長さ(例えば、500mm)の間隔を空けて、飛び飛びの最下段ハーフLP30を載置する。このとき、最下段ハーフLP30に固定された底面接続板34が上流側になるようにする。そこで、最下段ハーフLP30に固定された底面接続板34に形成されたボルト孔35と、底面通し材20に固定され底面通し材接続板22に形成されたボルト孔23に、底面接続ボルト36を通し、これに底面接続ナット37を螺合して最下段ハーフLP30を底面通し材20に設置する。
そこで、底面通し材20(最下段ハーフLP30に同じ)が正確な位置になっているか否か確認して(正確な位置に配置して)、底面通し材20を上流側基礎コンクリート10の正確な位置に固定する。すなわち、正確な位置において、ボルト孔21を通して上流側基礎コンクリート10にボルト孔を穿孔し、該ボルト孔にアンカーボルト13を固定し、アンカーナット14を螺合する。よって、最下段ハーフLP30は上流側基礎コンクリート10に対して直角になるよう(鉛直に同じ)に設置される。
【0061】
(S14:最下段フルLPの設置)
図18において、次に、最下段フルLP50を最下段ハーフLP30同士の間で、かかる間を一つ飛ばしにして(最下段ハーフLP30aと最下段ハーフLP30bとの間、最下段ハーフLP30cと最下段ハーフLP30dとの間等(図2参照))、底面通し材20の上に載置する。そして、最下段フルLP50の側辺フランジ52b、52dの下範囲と最下段ハーフLP30の側辺フランジ32b、32dとを、前者に形成されたボルト孔53と後者に形成されたボルト孔33とに側辺連結用ボルト56を通し、側辺連結ナット57を螺合して両者を連結する。
【0062】
(S15:支持フルLPの設置)
図19において、さらに、最下段フルLP50と同様に、支持フルLP60を最下段ハーフLP30同士の間で、最下段フルLP50が設置されていない間(最下段ハーフLP30bと最下段ハーフLP30cとの間等(図2参照))に配置し、底面通し材20の上に載置する。このとき、支持用接続板64が上流側になるようにする。
そして、支持フルLP60の側辺フランジ62b、62dの下範囲と最下段ハーフLP30の側辺フランジ32b、32dとを、前者に形成されたボルト孔63と後者に形成されたボルト孔33とに側辺連結用ボルト66を通し、側辺連結ナット67を螺合して両者を連結する。
さらに、支持フルLP60の上流側に突出した支持用接続板64に支持柱材80を接続し、支持フルLP60が鉛直になるように、支持柱材80を上流側基礎コンクリート10に固定する。
【0063】
支持柱材80の上端寄りにはボルト孔81が形成され、下端には支持柱材フランジ82が固定されている。支持柱材フランジ82は支持柱材80に対して所定の角度だけ傾斜し、支持柱材フランジ82にはアンカーボルト18が貫通する支持柱材ボルト孔83が形成されている。
そして、支持用接続板64に形成されたボルト孔65と支持柱材80に形成されたボルト孔81に支持柱接続ボルト84を挿入して、これに支持柱接合ナット85を螺合することによって支持用接続板64と支持柱材80とを接合する。さらに、支持フルLP60が鉛直になった状態で、支持柱材80の支持柱材フランジ82を上流側基礎コンクリート10に当接し、そのときの支持柱材ボルト孔83に合わせてボルト孔を穿孔し、該ボルト孔にアンカーボルト18を固定し、アンカーボルト18にアンカーナット19を緩く螺合する(本発明において、アンカーボルト18を仮締めすると表現する)。
【0064】
そして、底面通し材20が所定の位置に配置され、支持フルLP60等が鉛直になった状態であることを確認して、アンカーボルト18に螺合したアンカーナット19およびアンカーボルト13に螺合したアンカーナット14を本締めする(本発明において、アンカーボルト18を本締めすると表現する)。
そうすると、支持フルLP60に最下段ハーフLP30が連結され、最下段ハーフLP30に最下段フルLP50が連結されているから、支持フルLP60、最下段ハーフLP30および最下段フルLP50から形成された透過型えん堤1000の最下段は、鉛直になっている。また、かかる最下段は上流側基礎コンクリート10に固定された支持柱材80によって支持されているから、その姿勢が維持され、傾斜角度が容易に変動(転倒)することがない。
【0065】
(S16:上流側壁面材の中段部の構築その1)
上流側壁面材1100においては、最下段を形成する最下段ハーフLP30の上に、標準フルLP40を接合し、該標準フルLP40の側辺フランジ42bの下方範囲を、既に立設されている最下段フルLP50または支持フルLP60の側辺フランジ52b、62bの上範囲に接合して、中段部を構築する。
このとき、最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aに形成されたボルト孔33aと、標準フルLP40の下辺フランジ42cに形成されたボルト孔43dとの位相は一致し、その一部に上下接続ボルト(図示しない)が挿入され、これに螺合する上下連結ナット(図示しない)を締め付けることによって、最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aと標準フルLP40の下辺フランジ42cとを接合している。
また、最下段フルLP50の側辺フランジ52b(または52d)の上寄り範囲と、標準フルLP40の側辺フランジ42d(または42b)を当接し、それぞれに形成されたボルト孔53b(または53d)とボルト孔43b(または43d)に長手連結用ボルト(図示しない)を挿入して、これに長手連結ナット(図示しない)を螺合することによって、最下段フルLP50の側辺フランジ52b(または52d)の上寄り範囲と標準フルLP40の側辺フランジ42d(または42b)とを連結する。
【0066】
(S56:角部壁面材の中段部の構築その1)
また、角部壁面材1500においては、最下段を形成する角部最下段ハーフLP530の上に、角部標準フルLP540を接合し、角部標準フルLP540の側辺フランジ552b、552dの下方範囲を、既に立設されている角部最下段フルLP550または角部支持フルLP560の側辺フランジ552b、552dまたは側辺フランジ562b、562dの上範囲に接合して、中段部を構築する。
このとき、連結用ボルトによって、角部最下段ハーフLP530の上辺フランジ532aと角部標準フルLP540の下辺フランジ542cとは接合されている。また、角部最下段フルLP550の側辺フランジ552b(または552d)の上寄り範囲と、角部標準フルLP540の側辺フランジ542d(または542b)とは、連結用ボルト(図示しない)によって接合されている。
さらに、上流側壁面材1100に最も近い角部標準フルLP540の側辺フランジ542b(または542d)は、角部壁面材1500に最も近い標準フルLP40の側辺フランジ42d(または42b)に、連結ナット(図示しない)によって接合されている。
【0067】
(S67:透過側壁面材の中段部の構築その1)
また、透過側壁面材1600においては、上流側壁面材1100と同様に、中段部を構築する。このとき、下流側壁面材1200に近い三角最下段フルLP650に設置された下流側接続アングル990に接続される三角標準フルLP640を、最下段ハーフLP30(または最下段フルLP50)の上に設置する。
そして、三角標準フルLP640については、波鋼板641を下流側接続アングル990に接続ボルト991によって接合し、下方に設置されている最下段ハーフLP30(または最下段フルLP50)の上辺フランジ62aと下辺フランジ642c、および側方に設置されている標準フルLP40の側辺フランジ42b(または42d)と642d(または642b)とを連結用ボルトによって接合する。
【0068】
(S23:下流側壁面材の中段部の構築その1)
さらに、下流側壁面材1200について、最下段フルCP220および最下段ハーフCP230(最下段ハーフCP230が無い場合がある)の上に標準フルCP240および標準ハーフCP(標準ハーフCPが無い場合がある、図示しない)を積み重ねる工程(S23)によって、中段部を構築する。
このとき、透過側壁面材1600に最も近い標準フルCP240または標準ハーフCPに下流側接続アングル990に接続ボルト992によって接合する。
【0069】
(内部材の充填)
以上のように構築された中段部に挟まれた範囲に、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する(これについては別途詳細に説明する)。
さらに、中段部の上に、同様にして、上流側壁面材1100の上段部、角部壁面材1500の上段部、透過側壁面材1600の上段部および下流側壁面材1200の上段部を構築し、これらによって形成された範囲に、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する。
そして、最後に、壁面材の天端には内部材300の上面を覆うように天端保護コンクリート400を設置する。
【0070】
まず、上流側壁面材1100等の少なくとも最下段(最下段フルLP50の上辺フランジ52aの高さ)が構築された状態で、構築されている上流側壁面材1100の最下段を形成する最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aのレベル(正確には、上辺フランジ32aよりもわずかに低い位置)まで、上流側壁面材1100、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200によって形成された略U字状範囲に、2回に分けて内部材(例えば、ソイルセメント等)300a、300bを充填する(図2参照)。
【0071】
このとき、上流側壁面材1100は上流側において支持柱材80によって支持され、同様に、角部壁面材1500は上流側において支持柱材580によって支持され、透過側壁面材1600は透過側において支持柱材80によって支持され、これらによって形成された略U字状範囲、すなわち、内部材300a、300bが充填される範囲に、腹起し材等の支持支柱がないため、内部材300aの充填作業が容易、迅速になる。また、大型機械による充填作業も可能になるため、これによって充填作業がさらに迅速になる。
なお、 内部材300bは、連結用ボルト(上下接続ボルト)が設置されていないボルト孔33a、43d、ボルト孔533a、543d等の近傍には充填されていないから、この限られた範囲で内部材300bの表面は凹陥している。
【0072】
(アンカー筋の設置)
次に、内部材300bが固化した後、上流側壁面材1100における最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aおよび標準フルLP40の下辺フランジ42cのそれぞれ連結用ボルト(上下接続ボルト)が設置されていないボルト孔33a、43dに、上流アンカー筋310を設置する。
同様に、内部材300bが固化した後、角部壁面材1500における角部最下段ハーフLP530の上辺フランジ532aおよび角部標準フルLP540の下辺フランジ542cのそれぞれ上下接続ボルトが設置されていないボルト孔533a、543dに、角部アンカー筋(図示しない)を設置する。
同様に、内部材300bが固化した後、透過側壁面材1600における最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aおよび標準フルLP40の下辺フランジ42cのそれぞれ連結用ボルト(上下接続ボルト)が設置されていないボルト孔33a、43dに、透過側アンカー筋(図示しない)を設置する。
さらに、内部材300bが固化した後、基礎固定金具280に形成された係止孔283aに下流アンカー筋320を設置する。
【0073】
(上流アンカー筋)
上流アンカー筋310は、直線状の直線部311と、直線部311の一方の端部に形成された雄ねじ部312と、雄ねじ部312に受圧板ナット313によって設置された受圧板314と、直線部311の他方の端部に略直角に曲げて形成された固定部315と、固定部315に形成された固定ねじ部316と、固定ねじ部316に螺合する固定ナット317と、を有している。したがって、上流アンカー筋310は略水平で、長手方向に略垂直である(下流を向いている、図2参照)。
なお、角部壁面材1500および透過側壁面材1600に設置されるアンカー筋(図示しない)も、上流アンカー筋310と同様の構造である。
【0074】
(角部アンカー筋、透過側アンカー筋)
角部アンカー筋および透過側アンカー筋は、上流アンカー筋310と同様の構造であって、上流アンカー筋310と同様に設置されるから、説明を省略する。
【0075】
(下流アンカー筋)
下流アンカー筋320は、直線状の直線部321と、直線部321の一方の端部に形成された雄ねじ部322と、雄ねじ部322に受圧板ナット323によって設置された受圧板324と、直線部321の他方の端部に形成された略L字状ないし略J字状の係止部325とを有している(図1参照)。
したがって、係止部325が基礎固定金具280に形成された係止孔283aに係止し、受圧板324が内部材300bの上面に支持される。
【0076】
(中段部の構築その2)
次に、上流側壁面材1100において、標準フルLP40の上に標準フルLP40を積み重ねて、前記S16と同様に、接合する。
同様に、角部壁面材1500において、角部標準フルLP540の上に角部標準フルLP540を積み重ねて、前記S16と同様に、接合する。
同様に、透過側壁面材1600において、標準フルLP40の上に標準フルLP40を積み重ねて、下流側壁面材1200に近い部分には、三角標準フルLP640を積み重ねて、前記S16と同様に、接合する。
【0077】
さらに、下流側壁面材1200において、最下段フルCP220および最下段ハーフCP230(最下段ハーフCP230がない場合がある)の上に標準フルCP240および標準ハーフCP(図示しない、標準ハーフCPがない場合がある)を連結する。そして、透過側壁面材1600に最も近い標準フルCP240または標準ハーフCPと、三角標準フルLP640に取り付けられている下流側接続アングル990とを接合する。
そして、上流側壁面材1100、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200によって形成された範囲に、例えば2回に分けて内部材300(例えば、ソイルセメント等)を充填する。
さらに、内部材300が固化した後、基礎固定金具280の係止孔283aに下流アンカー筋320を係止させる。
【0078】
(S17:最上段の構築並びに内部材の充填)
引き続き、前記要領に準じる作業を所定の回数繰返し、やがて、上流側壁面材1100では、中段部の標準フルLP40の上に最上段となる標準フルLP40および最上段ハーフLP70を連結し(S17)、その上に堤冠材90を設置して上流側壁面材1100を完成させる(S18)。
同様に、角部壁面材1500では、中段部の角部標準フルLP540の上に最上段となる角部標準フルLP540および角部最上段ハーフLP570を連結し、その上に角部堤冠材(図示しない)を設置して角部壁面材1500を完成させる。
同様に、透過側壁面材1600では、中段部の角部標準フルLP540の上に最上段となる角部標準フルLP540および角部最上段ハーフLP570を連結し、その上に角部堤冠材(図示しない)を設置し、下流側壁面材1200に近い部分には、三角標準フルLP640を積み重ねて、これに下流側接続アングル990を接合することによって、透過側壁面材1600を完成させる。
【0079】
そして、下流側壁面材1200では、標準フルCP240および標準ハーフCP(図示しない、標準ハーフCPがない場合がある)の上に、最上段フルCP260および最上段ハーフCP270(最上段ハーフCP270がない場合がある)を連結し、透過側壁面材1600に最も近い標準フルCP240または標準ハーフCP(図示しない)と、最上段の三角標準フルLP640に取り付けられている下流側接続アングル990と、を接合することによって、下流側壁面材1200を完成させる。
さらに、完成した上流側壁面材1100等(それぞれ接合されている)の最上部によって囲まれて範囲に、内部材300j、300kを充填する。
【0080】
以上は、それぞれ中段部を形成する標準フルCP240および標準フルLP40が1段の場合を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、それぞれ2段以上であってもよい。
また、内部材300を最下段ハーフLP30の上辺フランジ32aの高さ(正確には、上辺フランジ32aよりもわずかに低い位置)まで、2回に分けて充填し、最下段フルCP220の上面222aまでは4回に分けて充填しているが、本発明はこれに限定するものではなく、何れの回数であってもよいし、充填するタイミング毎に、充填する内部材300の厚さを相異(例えば、内部材300aの厚さと、内部材300bの厚さとが相異)させてもよい。
【0081】
さらに、本発明は、上流側壁面材1100、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200の完成度合い(例えば、構築途中の上辺フランジ42aの高さ)と内部材300の充填高さとは前記した要領に限定するものではない。例えば、上流側壁面材1100等の中段部や最上段が完成した後、内部材300aの充填を開始してもよい。
また、上流側壁面材1100、角部壁面材1500、透過側壁面材1600および下流側壁面材1200の進捗度(構築ペース)を同期させる必要はなく、一方が他方に先行して、先に高くなってもよい。
また、透過型えん堤1000は、上流側基礎コンクリート10の上面および下流基礎コンクリート210の上面が長さ方向の全長に渡って同一面を形成するものに限定するものではなく、透過型えん堤1000が設置されて地形に応じて、例えば、谷間に設置される場合に、透過部1000cに近い範囲が、長手方向の脇に近い範囲よりも低くなるようにしてもよい。
さらに、上流アンカー筋310は、上辺フランジ32aと下辺フランジ42cとの接合に寄与しているが、本発明はこれに限定するものではなく、下辺フランジ42cへの設置に替えて、側辺フランジ42b、42dに係止させてもよい(角部壁面材1500や透過側壁面材1600に設置されるアンカー筋(図示しない)についても同じ)。
【0082】
以上説明した透過型えん堤1000は、コンクリート製である標準フルCP240等によって形成された下流側壁面材1200を有しているが、本発明はこれに限定するものではなく、下流側壁面材1200を標準フルLP40等によって形成、すなわち、鋼製にしてもよい。
また、波鋼板41等の波の山および谷の方向が側辺フランジ42b、42dに平行(縦波)であるが、本発明はこれに限定するものではなく、波の山および谷の方向が側辺フランジ42b、42dに垂直(横波)であってもよい。
【0083】
以上のように、上流側壁面材1100、角部壁面材1500および透過側壁面材1600が、鋼製のライナープレート(標準フルLP40等)によって形成され、それぞれのライナープレートを、それぞれの辺に固定されたフランジ同士を当接して連結用ボルトによって連結することができるから、十分な剛性を確保することができ、連結作業が容易になると共に、相互の位置関係が正確になる。このとき、長手方向の位置を保証するための、例えば、腹起こし材等および腹起こし材等を支持する複数の三角形枠等が不要になるから、部品点数の増加が抑えられ、施工が簡素になるため、資材コストおよび施工コストが安価になる。
また、最下段ハーフサイズライナープレートおよび最下段フルサイズライナープレートの下流側、すなわち、内部材300が充填される範囲に、充填作業を邪魔するような部材(例えば、腹起こし材を支持する複数の三角形枠等)がなくなるから、内部材300(例えば、ソイルセメント等の硬化材等)を充填する範囲に邪魔になる物がなくなるため、作業が容易になると共に、作業機械(特に、大型作業機械)の使用が可能になり、作業工数が減少して施工コストの圧縮や、工期の短縮が可能になる。
また、内部材300が充填され硬化した後、支持柱材80等が回収されるから、再使用可能となり、資材コストがさらに安価になる。
【0084】
[実施の形態3:透過型えん堤]
図20〜図29は本発明の実施の形態3に係る透過型えん堤を説明するものであって、図20は全体を示す斜視図、図21は構成部材(横波標準フルLP)を示す斜視図、図22は構成部材(横波支持フルLP)を示す斜視図、図23および図24は構成部材(透過側壁面材)を示す斜視図、図25は構成部材(円弧部壁面材)を模式的に示す斜視図、図26は構成部材(円弧横波標準フルLP)を示す斜視図、図27は構成部材(円弧横波支持フルLP)を示す斜視図、図28は構成部材(J字状横波標準LP)を示す斜視図、図29は構成部材(J字状横波支持フルLP)を示す斜視図である。
なお、各図は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定されるものではない。また、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には、一の位および十の位の符号を同じにし、一部の説明を省略する。
【0085】
(透過型えん堤)
図20において、透過型えん堤2000は、基礎コンクリート1000fに設置された不透過部(非越流部に同じ)2000aおよび基礎コンクリート1000gに設置された不透過部2000bと、不透過部2000aと不透過部2000bとの間に形成された透過部(開口部に同じ)1000cと、透過部1000cに設置された透過部基礎コンクリート1000dと、透過部基礎コンクリート1000dに設置されたスリットえん堤(柵体に同じ)1000eと、を有している。
【0086】
(不透過部)
不透過部2000aおよび不透過部2000bは同様の構造であり、基礎コンクリート1000fおよび基礎コンクリート1000gは同様の機能を有するものであるから、以下、不透過部2000aについて説明する。
不透過部2000aは、平面状(正確には凹凸がある)の上流側壁面材2100と、上流側壁面材2100と所定の間隔を空けて設置された平面状の下流側壁面材1200と、下流側壁面材1200に繋がって透過部1000cを形成する透過側壁面材2600と、透過側壁面材2600と上流側壁面材2100とに繋がって、断面略円弧状の角部(1/4円筒面等)を形成する円弧部壁面材2500と、を有している(以下、これらをまとめて「壁面材200」と称す場合がある)。
そして、壁面材200は基礎コンクリート1000fに設置され、壁面材200に包囲された範囲には内部材300が投入され、壁面材200の天端には内部材300の上面を覆うように天端保護コンクリート400が設置されている。
【0087】
(上流側壁面材)
図20において、不透過部2000aにおける上流側壁面材2100の最下段は、基礎コンクリート1000fの上に配置された横波最下段フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「横波最下段フルLP」と称す)750と、所定の間隔で配置された横波支持フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「横波支持フルLP」と称す)760とから形成されている。
そして、かかる最下段の上に、横波標準フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「横波標準フルLP」と称す)740と、横波標準ハーフサイズライナープレート(ハーフサイズライナープレートに相当する。以下、「横波標準ハーフLP」と称す)770とが配置され、第2段目が形成されている(横波標準ハーフLP770が無い場合がある)。
【0088】
(上流側壁面材)
図20において、不透過部2000bにおける上流側壁面材2100の最下段は、基礎コンクリート1000fの上に配置された横波最下段フルLP750と、所定の間隔で配置された横波支持フルLP760と、横波最下段ハーフサイズライナープレート(ハーフサイズライナープレートに相当する。以下、「横波最下段ハーフLP」と称す)730と、から形成されている。
そして、かかる最下段の上に、横波標準フルLP740が配置され、第2段目が形成されている。
【0089】
以下同様に、不透過部2000aと不透過部2000bとに、それぞれ第3段目等が形成され、それぞれ中段部および最上段が構築されている。このとき、所定の段における横波標準フルLP740同士の接合部と、その上の段またはその下の段における横波標準フルLP740同士の接合部とは位相が相違し、かかる接合部は千鳥状に配置されている。すなわち、上下方向で一段おきに横波標準ハーフLP770が設置されている。
なお、以上は、説明の便宜上、不透過部2000aにおける上流側壁面材2100と、不透過部2000bにおける上流側壁面材2100とのライナープレートの配置形態が相違したものとして説明しているが、両者の形態が同じであってもよい。
【0090】
(横波標準フルLP、横波標準ハーフLP)
図21において、横波標準フルLP740は、標準フルLP40(実施の形態1参照)における波鋼板41の波の山および谷の方向を変更し(横波にし)、高さをより低くし、幅をより大きくしたものに相当している。すなわち、標準フルLP40では波鋼板41における波の山および谷の方向が側辺フランジ42b、42dに平行(上下方向)であったのに対し、横波標準フルLP740では波鋼板41における波の山および谷の方向が上辺フランジ742aおよび下辺フランジ742cに平行(左右方向)になっている。
そして、横波標準フルLP740は、これを除く構成が標準フルLP40に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位は同じにし、百の位に「7」を付して、一部説明を省略する。
また、横波標準ハーフLP770は、横波標準フルLP740における上辺フランジ742aおよび下辺フランジ742cの幅(側辺フランジ742bと側辺フランジ742dとの距離)を半分にしたものに相当している。
【0091】
(横波最下段フルLP、横波最下段ハーフLP)
横波最下段フルLP750は、横波標準フルLP740に準じて、最下段フルLP50(実施の形態1参照)における波鋼板51における波の山および谷の方向が上辺フランジ52aおよび下辺フランジ52cに平行(左右方向)にし、高さおよび幅をそれぞれ横波標準フルLP740の高さおよび幅に同じにしたものに相当している。
また、横波最下段ハーフLP730は、横波最下段フルLP750における上辺フランジおよび下辺フランジの幅(側辺フランジと側辺フランジとの距離)を半分にしたものに相当している。
【0092】
(横波支持フルLP)
図22において、横波支持フルLP760は、支持フルLP60(実施の形態1参照)における波鋼板61の波の山および谷の方向が上辺フランジ62aおよび下辺フランジ62cに平行(左右方向)にし、高さおよび幅を、それぞれ横波標準フルLP740の高さおよび幅に同じにしたものに相当している。
そして、横波支持フルLP760は、これを除く構成が支持フルLP60に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位は同じにし、百の位に「7」を付して、一部説明を省略する。
【0093】
(透過側壁面材)
図20、図22および図23において、透過側壁面材2600は平面(正確には凹凸がある)であって、円弧部壁面材2500に接合される鉛直な面内の凹凸のある縁(これについては別途詳細に説明する)と、下流側壁面材1200に下流側接続アングル990を介して接続される傾斜した縁(鉛直でない)と、を有する台形状を呈している。
透過側壁面材2600は、下流側接続アングル990が接続されるライナープレートである三角横波最下段フルLP950と三角横波標準フルLP940とを除くと、上流側壁面材2100と同様の構成になっている。
【0094】
(三角横波最下段フルLP)
図22および図23において、三角横波最下段フルLP950は、横波最下段フルLP750の波鋼板751を台形状にしたものに相当している。すなわち、側辺フランジ752dが撤去され、上辺フランジ752aの幅が下辺フランジ752cの幅よりも小さくなっている。そして、三角横波最下段フルLP950は、これを除く構成が横波最下段フルLP750に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位を同じにし、百の位に「9」を付して、一部説明を省略する。
【0095】
(三角横波標準フルLP)
図22および図23において、三角横波標準フルLP940は、横波標準フルLP740の波鋼板741を台形状にしたものに相当している。すなわち、側辺フランジ742dが撤去され、上辺フランジ742aの幅が下辺フランジ742cの幅よりも小さくなっている。そして、三角横波標準フルLP940は、これを除く構成が横波標準フルLP740に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位を同じにし、百の位に「9」を付して、一部説明を省略する。
なお、以上は、横波標準フルLP740の波鋼板741の波の山または谷の方向が側辺フランジ742b、742dに垂直であるが、本発明はこれに限定するものではなく、波の山または谷の方向が側辺フランジ742b、72dに平行にしてもよい(その他のライナープレートについても同じ)。また、円弧横波標準フルLP840は円弧状の板材である上辺フランジ42aおよび下辺フランジ42cを具備しているが、本発明はこれに限定するものではなく、円弧横波標準フルLP840を台形状の板材を具備するようにしてもよい(その他の円弧ライナープレートについても同じ)。
【0096】
(円弧部壁面材の最下段の第1例)
図25の(a)において、円弧部壁面材2500の最下段は、基礎コンクリート1000fの上に配置され円弧横波最下段フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「円弧横波最下段フルLP」と称す)850と、必要に応じて配置された円弧横波支持フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「円弧横波支持フルLP」と称す。図25の(a)では設置されない)とから形成されている。
そして、円弧横波最下段フルLP850の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ852bは、上流側壁面材2100の最下段を形成する横波支持フルLP760の側辺フランジ762dに連結されている(なお、横波最下段フルLP750の側辺フランジ752dに連結されてる場合がある)。また、円弧横波最下段フルLP850の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ852dは、透過側壁面材2600の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752bに連結されている(なお、横波支持フルLP760の側辺フランジ762dに連結されてる場合がある)。
なお、かかる第1例では円弧横波最下段フルLP850が2枚であるが、3枚以上にしてもよい。
【0097】
(円弧部壁面材の2段目の第1例)
図25の(a)において、円弧部壁面材2500の2段目は、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850に跨がって、円弧横波標準フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「円弧横波標準フルLP」と称す)840が設置され、その両側にそれぞれJ字状横波標準サイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「J字状横波標準LP」と称す。これについては別途詳細に説明する)870が連結されている。
そして、J字状横波標準LP870の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ872bは、上流側壁面材2100の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結されている。また、J字状横波標準LP870の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ872dは、透過側壁面材2600の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742bに連結されている。
なお、かかる第1例では円弧横波標準フルLP840が1枚であるが、2枚以上にしてもよい。
【0098】
(円弧部壁面材の3段目の第1例)
図25の(a)において、円弧部壁面材2500の3段目は、2段目を形成する円弧横波標準フルLP840とJ字状横波標準LP870とに跨がって設置された円弧横波標準フルLP840によって形成されている。
そして、最下段に準じ、円弧横波標準フルLP840の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ842bは、上流側壁面材2100の3段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結されている。また、円弧横波標準フルLP840の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ842dは、透過側壁面材2600の3段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742bに連結されている。
以下、2段目と同様に4段目が形成され、順次積み上げられていく。したがって、円弧部壁面材2500と上流側壁面材2100との連結面は千鳥状(ジグザク)になる。よって、接合強度が強くなっている。
【0099】
(円弧部壁面材の最下段の変形例の第2例)
図25の(b)において、円弧部壁面材2500の最下段は、基礎コンクリート1000fの上に配置され円弧横波最下段フルLP850と、その両側にそれぞれ設置された、J字状支持フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「J字状横波支持LP」と称す)860およびJ字状最下段フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「J字状横波最下段LP」と称す)830と、とから形成されている。
そして、J字状横波支持LP860の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ862bは、上流側壁面材2100の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752dに連結されている。また、J字状横波最下段LP830の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ832dは、透過側壁面材2600の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752bに連結されている。
【0100】
(円弧部壁面材の2段目の第2例)
図25の(b)において、円弧部壁面材2500の2段目は、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波支持LP860とに跨がって設置された円弧横波標準フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「円弧横波標準フルLP」と称す)840と、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波最下段LP830とに跨がって設置された円弧横波標準フルLP840と、から形成されいる。
そして、円弧横波標準フルLP840の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ842bは、上流側壁面材2100の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結されている。また、円弧横波標準フルLP840の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ842dは、透過側壁面材2600の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742bに連結されている。
【0101】
(円弧部壁面材の3段目の第2例)
図25の(b)において、円弧部壁面材2500の3段目は、2段目を形成する円弧横波標準フルLP840に跨がって設置された円弧横波標準フルLP840と、その両側に連結されたJ字状横波標準フルサイズライナープレート(フルサイズライナープレートに相当する。以下、「J字状横波標準LP」と称す)870と、から形成されている。
そして、最下段に準じ、J字状横波標準LP870の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ872bは、上流側壁面材2100の3段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結されている。また、J字状横波標準LP870の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ872dは、透過側壁面材2600の3段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742bに連結されている。
以下、2段目と同様に4段目が形成され、順次積み上げられていく。したがって、円弧部壁面材2500と上流側壁面材2100との連結面は、直線状にならないで千鳥状(ジグザク)になる。同様に、円弧部壁面材2500と透過側壁面材2600との連結面も、直線状にならないで千鳥状(ジグザク)になる。
【0102】
(円弧横波標準フルLP)
図26において、円弧横波標準フルLP840は、円弧状の平板である上辺フランジ842aおよび下辺フランジ842cと、矩形状平板である側辺フランジ842bおよび側辺フランジ842dと、矩形状の波鋼板841と、を有し、上辺フランジ842aおよび下辺フランジ842cは互いに平行であるが、側辺フランジ842bと側辺フランジ842dとは非平行になっている。なお、波鋼板841の波の谷または山の方向は上辺フランジ842aおよび下辺フランジ842cに平行であって、波鋼板841は上辺フランジ842aおよび下辺フランジ842cと略同じ曲率半径になるように曲げられている。
なお、円弧横波標準フルLP840は、これを除く構成が標準フルLP40に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位は同じにし、百の位に「8」を付して、一部説明を省略する。
【0103】
(円弧横波最下段フルLP)
円弧横波最下段フルLP850は、円弧横波標準フルLP840に準じて、最下段フルLP50における波鋼板における波の山および谷の方向が上辺フランジおよび下辺フランジに平行(左右方向)にし、高さおよび幅を、それぞれ円弧横波標準フルLP840の高さおよび幅に同じにしたものに相当している。
なお、円弧横波最下段フルLP850は、これを除く構成が最下段フルLP50に同じであるから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位は同じにし、百の位に「8」を付して、一部説明を省略する。
【0104】
(円弧横波支持フルLP)
円弧横波支持フルLP(支持しない)は、円弧横波標準フルLP840に準じて、支持フルLP60(実施の形態1参照)における波鋼板61の波の山および谷の方向を上辺フランジ62aおよび下辺フランジ62cに平行(左右方向)にし、高さおよび幅を、それぞれ円弧横波標準フルLP840の高さおよび幅に同じにすると共に、上辺フランジ62aおよび下辺フランジ62dを円弧状の板材にしたものに相当している。
【0105】
(J字状横波標準LP)
図28において、J字状横波標準LP870は、J字状の平板である上辺フランジ872aおよび下辺フランジ872cと、矩形状平板である側辺フランジ872bおよび側辺フランジ872dと、断面円弧状の面部分871bおよび平面状の面部分871dから形成された矩形状の波鋼板871と、を有し、上辺フランジ872aおよび下辺フランジ872cは互いに平行であるが、側辺フランジ872bと側辺フランジ872dとは非平行になっている。
そして、上辺フランジ872aおよび下辺フランジ872cの直線状の部分の長さは、は横波標準フルLP740の上辺フランジ742aおよび下辺フランジ742cの長さの半分(1/2)であり、上辺フランジ872aおよび下辺フランジ872cの円弧状の部分の長さは、は円弧横波標準フルLP840の上辺フランジ842aおよび下辺フランジ842cの長さの半分(1/2)である。
J字状横波標準LP870の前記を除く構成は、横波標準フルLP840に同じであるから、各部の符号の一の位を横波標準フルLP840の一の位に同じにし、説明を省略する。
【0106】
(J字状横波最下段フルLP)
J字状横波最下段フルLP830は、J字状横波標準LP870を最下段用にしたものであって、横波標準フルLP740を横波最下段フルLP750に変更した要領と同じであるから、説明を省略する。
【0107】
(J字状横波支持フルLP)
図29において、J字状横波支持フルLP8060は、J字状横波最下段フルLP830の波鋼板831に、支持柱材8080を着脱自在に設置するための支持用接続板8064が設置されたものである。また、J字状横波支持フルLP8060は、支持フルLP60の上辺フランジ62aおよび下辺フランジ62cをJ字状にしたものに相当するから、対応する部位についての符号を、一の位および十の位を同じにし、百の位に「0」および千の位に「8」を付して、一部説明を省略する。
【0108】
[実施の形態4:透過型えん堤の施工方法]
透過型えん堤2000(図20〜図29参照)の施工方法は、不透過部2000a、2000bを構築する工程と、スリットえん堤(柵体に同じ)1000eを設置する工程とを有している。
不透過部2000aの施工方法は、不透過部2000aの施工方法(実施の形態2参照)に準じたものであって、上流側壁面材2100を構築する工程Aと、円弧部壁面材2500を構築する工程Bと、透過側壁面材2600を構築する工程Cと、下流側壁面材1200を構築する工程Dと、構築された上流側壁面材2100、円弧部壁面材2500、透過側壁面材2600および下流側壁面材1200によって囲まれた範囲に内部材300を充填する工程Eと、内部材300の上に天端保護コンクリート400を設置する工程Fとを有している。なお、内部材300を充填する工程は、上流側壁面材1100等を構築する進みに合わせ、複数回に分けて実施されるものである。
【0109】
(工程A:上流側壁面材の最下段の構築)
上流側壁面材2100の最下段は、実施の形態2で説明した上流側壁面材1100の最下段に準じた工程によって構築される。
すなわち、上流側基礎コンクリート10の上に載置された底面通し材20の上に、横波最下段フルLP750、横波支持フルLP760、および横波最下段ハーフLP730を設置する。なお、横波最下段ハーフLP730が設置されない場合がある。
このとき、横波最下段フルLP750は所定の枚数が相互に接続され、かかる接続された横波最下段フルLP750の間に横波支持フルLP760が配置され、これらが相互に接続される。そして、横波最下段フルLP750および横波支持フルLP760が相互に接続されたもの端(側辺フランジ)に横波最下段ハーフLP730が設置される。
すなわち、上流側壁面材2100の最下段には、横波最下段ハーフLP730が1枚または2枚が設置される場合と1枚も設置されない場合がるあるのに対し、実施の形態2に示す上流側壁面材1100の最下段では、高さの高い最下段フルLP50または支持フルLP60と高さの低い最下段ハーフLP30とが交互に設置される点に限り、実施の形態4と実施の形態2とは相違している。
そして、横波最下段フルLP750、横波最下段ハーフLPおよび横波支持フルLP760は、実施の形態2に示す最下段フルLP50、支持フルLP60および最下段ハーフLP30における波鋼板41、61および31の波の山および谷の方向を変更し、高さおよび幅を変更しただけであるから、すなわち、設置に関わるボルト孔743a等や支持柱材780は、実施の形態2におけるボルト孔43a等や支持柱材80に同じであるから、説明を省略する。
なお、上流側壁面材2100の最下段の上辺は同じ高さになる(実施の形態2においては、最下段フルLP50の上辺と最下段ハーフLP30の上辺との高さが相違するため、凸凹になっていた)。
【0110】
(工程B:円弧部壁面材の最下段の構築)
円弧部壁面材2500の最下段は、実施の形態2で説明した角部壁面材1500の最下段に準じた工程によって構築される。
すなわち、基礎コンクリート1000f(または1000g)の上に載置された円弧状の円弧部底面通し材(図示しない)の上に、円弧横波最下段フルLP850と、必要に応じてJ字状横波最下段LP830やJ字状横波支持LP860を設置する(図25の(b)参照)。なお、J字状横波最下段LP830やJ字状横波支持LP860が設置されない場合がある設置されない場合がある。そして、円弧横波最下段フルLP850の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ852bは、上流側壁面材2100の最下段を形成する横波支持フルLP760の側辺フランジ762dに連結する(図25の(a)参照)。
あるいは、基礎コンクリート1000fの上に、円弧横波最下段フルLP850、J字状横波支持LP8060およびJ字状横波最下段LP830とを、設置する。そして、J字状横波支持LP8060の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ8062bを、上流側壁面材2100の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752dに連結する(図25の(a)参照)。
【0111】
すなわち、円弧横波最下段フルLP850、J字状横波支持LP860およびJ字状横波最下段LP830は、実施の形態2に示す角部最下段フルLP550、角部支持フルLP560および角部最下段ハーフLP530における波鋼板541、561および531の波の山および谷の方向を変更し、高さおよび幅を変更しただけであるから、すなわち、設置に関わるボルト孔843a等や支持柱材880は、実施の形態2におけるボルト孔543a等や支持柱材580に同じであるから、説明を省略する。
このとき、最下段の上辺は同じ高さになる(実施の形態2においては、角部最下段フルLP550の上辺と角部最下段ハーフLP530の上辺との高さが相違するため、凸凹になっていた)。波鋼板851等の谷(山)の方向が水平面に平行であるから、透過部1000cに流れ込む水流が滑らかに案内されると共に、角部を具備しないから、岩石等の衝突によって損傷する危険が少ない。
【0112】
(工程C:透過側壁面材の最下段の構築)
透過側壁面材2600の最下段は、実施の形態2で説明した透過側壁面材1600の最下段に準じた工程によって構築される。そして、円弧横波最下段フルLP850の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ852dに、透過側壁面材2600の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752bを連結する(図25の(a)参照)
あるいは、J字状横波最下段LP830の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ832dに、透過側壁面材2600の最下段を形成する横波最下段フルLP750の側辺フランジ752bを連結する(図25の(b)参照)。
さらに、上流側壁面材2100の施工方法と同じに、基礎コンクリート1000f(または1000g)の上に載置された透過側底面通し材(図示しない)の上に、横波最下段フルLP750、横波支持フルLP760および横波最下段ハーフLP730(横波最下段ハーフLP730が無い場合がある)を設置すると共に、下流側壁面材1200に最も近い位置に、三角横波最下段フルLP950を設置する。そして、三角横波最下段フルLP950の波鋼板951に下流側接続アングル990を接続ボルト991によって接合する。
よって、三角横波最下段フルLP950は、実施の形態2に示す三角最下段フルLP650における波鋼板651の波の山および谷の方向を変更しただけであるから、透過側壁面材1600における三角最下段フルLP650の施工と同様に、施工することができる。このとき、最下段の上辺は同じ高さになる(実施の形態2においては、角部最下段フルLP550の上辺と角部最下段ハーフLP530の上辺との高さが相違するため、凸凹になっていた)。
【0113】
(工程D:下流側壁面材の最下段の構築)
透過型えん堤2000における下流側壁面材1200の最下段を構築する要領は、実施の形態2におけるものと同じであるから、説明を省略する。
【0114】
(工程E:最下段への内部材の打設)
このようにして構築され、相互に(一部、下流側接続アングル990を介して)接合された上流側壁面材2100の最下段、円弧部壁面材2500の最下段、透過側壁面材2600の最下段および下流側壁面材1200の最下段によって形成された範囲に、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する(実施の形態2に同じ)。
【0115】
(工程Aの2:上流側壁面材の中段部の構築)
そして、上流側壁面材2100においては、最下段を形成する横波最下段フルLP750および横波支持フルLP760の上に、横波標準フルLP740および横波標準ハーフLP770を積み重ねて接合し、2段目を構築する。なお、横波標準ハーフLP770を設置しない場合がある。
このとき、最下段における横波最下段フルLP750同士の接合面の位相と、2段目における横波標準フルLP740同士の接合面との位相が相違する(千鳥状になる)ようにしている。すなわち、例えば、最下段に横波最下段ハーフLP730を設置して、2段目には横波標準ハーフLP770を設置しなかったり、最下段に横波最下段ハーフLP730を設置しないで、2段目に横波標準ハーフLP770を設置したりする。
【0116】
(工程Bの2:円弧部壁面材の中段部の構築)
同様に、円弧部壁面材2500においては、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850に跨がって、円弧横波標準フルLP840を設置し、その両側にそれぞれJ字状横波標準LP870を連結する。そして、J字状横波標準LP870の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ872bを、上流側壁面材2100の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結する(図25の(a)参照)。
あるいは、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波支持LP8060とに跨がって円弧横波標準フルLP840と、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波最下段LP830とに跨がって円弧横波標準フルLP840と、を設置する。そして、円弧横波標準フルLP840の上流側壁面材2100寄りの側辺フランジ842bを、上流側壁面材2100の2段目を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742dに連結する(図25の(b)参照)。
このとき、最下段における円弧横波最下段フルLP850同士の接合面の位相と、2段目における円弧横波標準フルLP840同士の接合面との位相が相違(千鳥状)になっている。
【0117】
(工程Cの2:透過側壁面材の中段部の構築)
同様に、透過側壁面材2600においては、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850に跨がって、円弧横波標準フルLP840を設置し、その両側にそれぞれJ字状横波標準LP870を連結する。そして、2段目を形成するJ字状横波標準LP870の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ872dに、透過側壁面材2600の横波標準フルLP740の側辺フランジ742bを連結する(図25の(a)参照)。
あるいは、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波支持LP8060とに跨がって円弧横波標準フルLP840と、最下段を形成する円弧横波最下段フルLP850とJ字状横波最下段LP830とに跨がって円弧横波標準フルLP840と、をそれぞれ設置する。そして、2段目を形成する円弧横波標準フルLP840の透過側壁面材2600寄りの側辺フランジ842dに、透過側壁面材2600の横波標準フルLP740の側辺フランジ742bを連結する(図25の(b)参照)。
さらに、上流側壁面材2100の構築要領によって、円弧部壁面材2500に近い範囲を構築すると共に、下流側壁面材1200に近い三角横波最下段フルLP950の上に、三角横波標準フルLP940を接合する。そして、三角横波最下段フルLP950に接合されている下流側接続アングル990を、三角横波標準フルLP940の波鋼板941に接続ボルト991によって接合する。
【0118】
(工程Dの2:下流側壁面材の中断部の構築)
透過型えん堤2000における下流側壁面材1200の中段部を構築する要領は、実施の形態2におけるものと同じであるから、説明を省略する。
【0119】
(工程Eの2:内部材の充填)
以上のように構築された中段部に挟まれた範囲に、実施の形態2と同様の要領によって、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する。
さらに、中段部の上に上段部を構築し、これらによって形成された範囲に、内部材300を1回または2回以上に分けて充填する。そして、最後に、壁面材200の天端には内部材300の上面を覆うように天端保護コンクリート400を設置する。
【0120】
以上のように、横波最下段フルLP750、横波最下段ハーフLP730、横波支持フルLP760等は、それぞれの辺に固定されたフランジ同士を当接して連結用ボルトによって連結することができるから、上流側壁面材2100等は、十分な剛性を確保することができ、連結作業が容易であると共に、相互の位置関係が正確になる。
このとき、それぞれの位置を保証するための、例えば、腹起こし材等および腹起こし材等を支持する複数の三角形枠等が不要になるから、部品点数の増加が抑えられ、施工が簡素になるため、資材コストおよび施工コストが安価になる。
また、横波最下段フルLP750等の下流側等、すなわち、内部材300が充填される範囲に、充填作業を邪魔するような部材(例えば、腹起こし材を支持する複数の三角形枠等)がなくなるから、内部材300(例えば、ソイルセメント等の硬化材等)を充填する範囲に邪魔になる物がなくなるため、作業が容易になると共に、作業機械(特に、大型作業機械)の使用が可能になり、作業工数が減少して施工コストの圧縮や、工期の短縮が可能になる。
また、内部材300が充填され硬化した後、支持柱材780等が回収されるから、再使用可能となり、資材コストがさらに安価になる。
【0121】
以上のように、円弧部壁面材2500は、J字状横波標準LP830およびJ字状横波支持フルLP8060等を使用することによって、円弧部壁面材2500と上流側壁面材2100との境界および円弧部壁面材2500と透過側壁面材2600との境界が千鳥状になる。よって、ライナープレート同士の接合面が千鳥状になるため、接合強度が向上する。また、横波標準フルLP740等の幅(水平方向の距離)を大きくすることができるため、広い谷等への設置が容易になる、さらに、
波鋼板741等の谷(山)の方向が水平面に平行になっているから、透過部1000cへの水流の流れ込みが滑らかになると共に、岩石等の衝突による損傷の危険が低くなる。
【0122】
[実施の形態5:透過型えん堤]
図30は本発明の実施の形態5に係る透過型えん堤を説明する斜視図である。なお、各図は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定されるものではない。なお、実施の形態1または実施の形態3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0123】
図30において、透過型えん堤3000における不透過部(非越流部に同じ)3000a、3000bは、実施の形態3に示す不透過部2000aの上流側壁面材2100の一部を、実施の形態1に示す不透過部2000aの上流側壁面材1100に置き換えたものに相当する。
すなわち、不透過部2000aの上流側が、波鋼板741の波の山および谷の方向が左右方向に平行な横波標準フルLP740等によって形成された上流側壁面材2100と、波鋼板41の波の山および谷の方向が左右方向に平行な標準フルLP40等によって形成された上流側壁面材1100とによって構成されている。
このとき、例えば、横波標準フルLP740の側辺フランジ742b(または742d)に形成されたボルト孔743b(または743d)と、例えば、標準フルLP40の側辺フランジ42d(または42d)に形成されたボルト孔743d(または743d)との位相が一致し、これを貫通する連結用ボルト(図示しない)によって、両者は接合されている。
【0124】
したがって、不透過部2000aの施工方法は、実施の形態2に示す施工方法によって上流側壁面材1100を形成すると共に、実施の形態4に示す施工方法によって上流側壁面材2100、円弧部壁面材2500、透過側壁面材2600、下流側壁面材1200を形成し、これらによって形成された略U字状範囲に内部材300を充填する工程を有している。よって、実施の形態2および実施の形態4と同様の作用効果が得られる。
【0125】
[実施の形態6:透過型えん堤]
図31および図32は本発明の実施の形態6に係る透過型えん堤を説明するものであって、図31は全体を示す斜視図、図32は構成部材(上流側接続チャンネル)を示す正面図、側面図および平面図である。なお、各図は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定されるものではない。なお、実施の形態5と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0126】
(透過型えん堤)
図31において、透過型えん堤4000の不透過部(非越流部に同じ)4000a、4000bは、透過型えん堤3000(実施の形態5参照)の不透過部2000aにおいて、上流側を形成する縦波の上流側壁面材1100と横波の上流側壁面材2100との間に、上流側接続チャンネル(断面U字の形鋼に同じ)980を配置し、上流側接続チャンネル980を介して、上流側壁面材1100と上流側壁面材2100とを接合したものである。
【0127】
図32において、上流側接続チャンネル980は、断面U字状であって、板状のウエブ981と一対のフランジ982b、982dとを有し、一方のフランジ982bには複数のボルト孔983bが形成され、他方のフランジ982dには複数のボルト孔983dが形成されている。
そして、ボルト孔983bの間隔が、例えば、上流側壁面材1100を形成する標準フルLP40の側辺フランジ42d(または42b)に形成されたボルト孔43d(または43b)の間隔に一致し、ボルト孔983dの間隔が、例えば、上流側壁面材2100を形成する横波標準フルLP740の側辺フランジ742d(または742b)に形成されたボルト孔743d(または743b)の間隔に一致している。
したがって、透過型えん堤3000と同様の作用効果が得られると共に、上流側壁面材1100におけるボルト孔43の間隔と、上流側壁面材2100におけるボルト孔743の間隔とが一致しない場合であっても、上流側接続チャンネル980を介して上流側壁面材1100と上流側壁面材2100とを接合して、上流側の壁面を構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は以上の構成であるから、内部材の充填が容易になり施工コストの低減を図ることができるから、各種地形に応じた形状およびサイズに応じた透過型えん堤、および該透過型えん堤の施工方法として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 上流側基礎コンクリート
13 アンカーボルト
14 アンカーナット
18 アンカーボルト
19 アンカーナット
20 底面通し材
20a 底面通し単位材
20b 底面通し単位材
21 ボルト孔
22 底面通し材接続板
23 ボルト孔
24 ボルト孔
25 底面通し材連結板
26 ボルト孔
27 接続ボルト
28 接続ナット
30 最下段ハーフサイズライナープレート(最下段ハーフLP)
31 波鋼板
32 フランジ
33 ボルト孔
34 底面接続板
35 ボルト孔
36 底面接続板接続ボルト
37 底面接続ナット
40 標準フルサイズライナープレート(標準フルLP)
41 波鋼板
42 フランジ
43 ボルト孔
50 最下段フルサイズライナープレート(最下段フルLP)
51 波鋼板
52 フランジ
53 ボルト孔
56 側辺連結用ボルト
57 側辺連結ナット
60 支持フルサイズライナープレート(支持フルLP)
61 波鋼板
62 フランジ
63 ボルト孔
64 支持用接続板
65 ボルト孔
66 側辺連結用ボルト
67 側辺連結ナット
70 最上段ハーフサイズライナープレート(最上段ハーフLP)
71 波鋼板
72 フランジ
73 ボルト孔
80 支持柱材
81 ボルト孔
82 支持柱材フランジ
83 支持柱材ボルト孔
84 支持柱接続ボルト
85 支持柱接合ナット
90 堤冠材
100 壁面材(実施の形態1、2)
200 壁面材(実施の形態3、4)
210 下流基礎コンクリート
220 最下段フルコンクリートパネル(最下段フルCP)
221 上流面
222a 上面
222b 側面
222c 下面
222d 側面
230 最下段ハーフコンクリートパネル(最下段ハーフCP)
231 上流面
232a 上面
232b 側面
232c 下面
232d 側面
240 標準フルコンクリートパネル(標準フルCP)
241 上流面
242a 上面
242b 側面
242c 下面
242d 側面
260 最上段フルコンクリートパネル(最上段フルCP)
261 上流面
262a 上面
262b 側面
262c 下面
270 最上段ハーフコンクリートパネル(最上段ハーフCP)
271 上流面
272a 上面
272b 側面
272c 下面
272d 側面
280 基礎固定金具
281a 傾斜部
281b 水平部
281c ブラケット部
282a 固定ボルト
282b 基礎固定ボルト
283a 係止孔
283b 固定孔
284b 基礎固定ナット
287 長手連結金具
288 長手連結用ボルト
290 上下連結金具
291 連結金具
291L 下辺連結金具
291U 上辺連結金具
291a 傾斜部
291b 水平部
291c ブラケット部
292 固定ボルト
293 上下連結用孔
294 上下連結用ボルト
295 上下連結ナット
296 係止孔
300 内部材
310 上流アンカー筋
311 直線部
312 雄ねじ部
313 受圧板ナット
314 受圧板
315 固定部
316 固定ねじ部
317 固定ナット
320 下流アンカー筋
321 直線部
322 雄ねじ部
323 受圧板ナット
324 受圧板
325 係止部
330 アンカー金具
331a 傾斜部
331c 鉛直部
332 固定ボルト
333 係止孔
400 天端保護コンクリート
530 角部最下段ハーフライナープレート(角部最下段ハーフLP)
532 フランジ
533 ボルト孔
540 角部標準フルライナープレート(角部標準フルLP)
541 波鋼板
542 フランジ
543 ボルト孔
550 角部最下段フルライナープレート(角部最下段フルLP)
552 上辺フランジ
560 角部支持フルライナープレート(角部支持フルLP)
561 波鋼板
562 フランジ
570 角部最上段ハーフライナープレート(角部最上段ハーフLP)
580 支持柱材
640 三角標準フルライナープレート(三角標準フルLP)
641 波鋼板
642 フランジ
650 三角最下段フルライナープレート(三角最下段フルLP)
651 波鋼板
652 フランジ
730 横波最下段ハーフライナープレート(横波最下段ハーフLP)
740 横波標準フルライナープレート(横波標準フルLP)
741 波鋼板
742 フランジ
743 ボルト孔
750 横波最下段フルライナープレート(横波最下段フルLP)
751 波鋼板
752 フランジ
760 横波支持フルライナープレート(横波支持フルLP)
770 横波標準ハーフライナープレート(横波標準ハーフLP)
780 支持柱材
830 J字状最下段フルライナープレート(J字状横波最下段LP)
831 波鋼板
832 フランジ
833 ボルト孔
840 円弧横波標準フルライナープレート(円弧横波標準フルLP)
841 波鋼板
842 フランジ
843 ボルト孔
850 円弧横波最下段フルライナープレート(円弧横波最下段フルLP)
851 波鋼板
852 フランジ
860 J字状横波支持フルライナープレート(J字状横波支持LP)
861 波鋼板
862 フランジ
863 ボルト孔
864 支持用接続板
865 ボルト孔
870 J字状横波標準ライナープレート(J字状横波標準LP)
871 波鋼板
872 フランジ
873 ボルト孔
880 支持柱材
940 三角横波標準フルライナープレート(三角横波標準フルLP)
941 波鋼板
950 三角横波最下段フルライナープレート(三角横波最下段フルLP)
951 波鋼板
980 上流側接続チャンネル
981 ウエブ
982 フランジ
983 ボルト孔
990 下流側接続アングル
991 接続ボルト
992 接続ボルト
1000 透過型えん堤(実施の形態1、2)
1000a 不透過部
1000b 不透過部
1000c 透過部
1000d 透過部基礎コンクリート
1000e スリットえん堤
1000f 基礎コンクリート
1000g 基礎コンクリート
1100 上流側壁面材
1200 下流側壁面材
1500 角部壁面材
1600 透過側壁面材
2000 透過型えん堤(実施の形態3、4)
2000a 不透過部
2000b 不透過部
2100 上流側壁面材
2500 円弧部壁面材
2600 透過側壁面材
3000 透過型えん堤(実施の形態5)
3000a 不透過部
3000b 不透過部
4000 透過型えん堤(実施の形態6)
4000a 不透過部
4000b 不透過部
8060 J字状横波支持フルライナープレート(J字状横波支持フルLP)
8061 波鋼板
8062 フランジ
8063 ボルト孔
8064 支持用接続板
8080 支持柱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートによって形成され、
前記角部壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数の角部ライナープレートによって形成され、
前記透過側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートと、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する1枚の三角ライナープレートとによって形成され、
前記下流側壁面材の最下部は、矩形板状の複数のコンクリートパネルによって形成され、
前記複数のライナープレートのうち所定のものの上流側または透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数の角部ライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数のライナープレート、前記角部ライナープレートおよび前記三角ライナープレートが前記基礎コンクリートに固定され、且つ、相互に接合され、
前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が前記支持用接続板に接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする透過型えん堤。
【請求項2】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に交互に配置され、互いに接合された角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記角部ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとが接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとが接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定され、
前記支持用接続板に、前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする透過型えん堤。
【請求項3】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に配置されて互いに接合された角部フルサイズライナープレート、または該角部底面通し材に配置された角部フルサイズライナープレートおよび該角部フルサイズライナープレートに接合されたJ字状ライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記J字状ライナープレートが断面円弧状の面部分および平面状の面部分から形成された面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記断面円弧状の面部分の幅が前記角部フルサイズライナープレートの幅を半分にしたもので、前記平面状の面部分の幅が前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記J字状ライナープレートの断面円弧状の面部分に形成されてフランジとが接合され、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定され、
前記支持用接続板に、前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材が接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材が1回または2回以上に分けて充填され、該内部材の充填の後、前記支持支柱が前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去されたものであることを特徴とする透過型えん堤。
【請求項4】
前記フルサイズライナープレートを形成する面材、前記ハーフサイズライナープレートを形成する面材、前記角部フルサイズライナープレートを形成する面材、前記角部ハーフサイズライナープレートを形成する面材および前記三角フルサイズライナープレートを形成する面材が波鋼板であって、該波鋼板の山または谷の方向が、前記面材の側縁に形成されたフランジに平行または垂直であることを特徴とする請求項2または3記載の透過型えん堤。
【請求項5】
前記透過部に鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた構造物が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の透過型えん堤。
【請求項6】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートによって形成され、
前記角部壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数の角部ライナープレートによって形成され、
前記透過側壁面材の最下部は、矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する複数のライナープレートと、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備する1枚の三角ライナープレートとによって形成され、
前記下流側壁面材の最下部は、矩形板状の複数のコンクリートパネルによって形成され、
前記複数のライナープレートのうち所定のものの上流側または透過部側に支持用接続板が固定され、
前記複数の角部ライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定された透過型えん堤の施工方法であって、
前記複数のライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記複数の角部ライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記三角ライナープレートを前記基礎コンクリートに固定する工程と、
前記複数のライナープレート、前記角部ライナープレートおよび前記三角ライナープレートを相互に接合する工程と、
前記基礎コンクリートに着脱自在に設置された支持柱材を前記支持用接続板に接続する工程と、
前記支持柱材が前記支持用接続板に接続された状態において、前記上流側壁面材の最下部、前記角部壁面材の最下部、前記透過側壁面材の最下部および前記下流側壁面材の最下部によって形成された範囲に、前記内部材を1回または2回以上に分けて充填する工程と、
該内部材の充填の後、前記支持支柱を前記支持用接続板および前記基礎コンクリートから撤去する工程と、を有することを特徴とする透過型えん堤の施工方法。
【請求項7】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有し、前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に交互に配置され、互いに接合された角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記角部ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの高さを半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとが接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に交互に配置され、互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとが接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定された、透過型えん堤の施工方法であって、
前記透過部に対応する位置に基礎コンクリートを設置する工程と、
前記上流基礎コンクリートの上に底面通し材、角部底面通し材および透過側底面通し材を載置する工程と、
前記ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記底面通し材の上に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートを、前記底面通し材の上で前記ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記角部ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記角部底面通し材の上に載置し、前記角部ハーフサイズライナープレートの上流側または透過部側の面に固定された底面接続板と前記角部底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記角部底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記角部フルサイズライナープレートを、前記底面通し材の上で前記角部ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記角部ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートとを接合、または前記角部ハーフサイズライナープレートのうち前記上流側壁面材に近い位置に配置されたものと、前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとを接合する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置された角部フルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記角部底面通し材が所定の位置に配置され、前記角部フルサイズライナープレートが鉛直になった状態で、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記ハーフサイズライナープレートを所定長さを空けて前記透過側底面通し材の上に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記透過側底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートを、前記透過側底面通し材の上で前記ハーフサイズライナープレート同士の間に載置して、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部ハーフサイズライナープレートとを接合、または前記ハーフサイズライナープレートのうち前記角部壁面材に近い位置に配置されたものと、前記角部壁面材の前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートとを接合する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートのうち前記下流側壁面材に近い位置に配置されたものに、三角フルサイズライナープレートを設置する工程と、
前記三角フルサイズライナープレートに下流側接続アングルを設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側の面に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記透過側底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記基礎コンクリートの上に、前記フルサイズコンクリートパネルを載置、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルを載置して、前記コンクリートパネル同士、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネル同士を連結金具を介して連結すると共に、前記フルサイズコンクリートパネルの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルのそれぞれの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具を、前記基礎コンクリートに設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたは前記フルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記角部フルサイズライナープレートまたは前記角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートと、前記三角フルサイズライナープレートと、前記フルサイズコンクリートパネルまたは前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルとによって包囲された範囲に、1回または2回以上に分けて前記内部材を充填する工程と、を有することを特徴とする透過型えん堤の施工方法。
【請求項8】
一対の基礎コンクリート上にそれぞれ設置された不透過部と、該一対の不透過部に挟まれた透過部とを有する透過型えん堤であって、
前記不透過部が、上流側壁面材と、該上流側壁面材と所定の間隔を空けて配置された下流側壁面材と、該下流側壁面材に連結され、前記透過部に面した透過側壁面材と、該透過側壁面材と前記上流側壁面材とを連結する角部壁面材と、前記上流側壁面材、前記下流側壁面材、前記透過側壁面材および前記角部壁面材とによって形成された範囲に充填された内部材とによって形成され、
前記上流側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された底面通し材と、該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートとによって形成され、前記フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記ハーフサイズライナープレートが前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された角部底面通し材と、該角部底面通し材に配置されて互いに接合された角部フルサイズライナープレート、または該角部底面通し材に配置された角部フルサイズライナープレートおよび該角部フルサイズライナープレートに接合されたJ字状ライナープレートとによって形成され、前記角部フルサイズライナープレートが矩形状の面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記J字状ライナープレートが断面円弧状の面部分および平面状の面部分から形成された面材と、該面材の4辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備し、前記断面円弧状の面部分の幅が前記角部フルサイズライナープレートの幅を半分にしたもので、前記平面状の面部分の幅が前記フルサイズライナープレートの幅を半分にしたものであって、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記J字状ライナープレートの断面円弧状の面部分に形成されてフランジとが接合され、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートとが接合され、
前記透過側壁面材の最下部は、前記基礎コンクリートに固定された透過側底面通し材と、該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレート、または該透過側底面通し材に配置されて互いに接合されたフルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記下流側壁面材に下流側接続アングルを介して接続されると共に、前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートの一方に接合された三角フルサイズライナープレートとによって形成され、前記三角フルサイズライナープレートが、三角形状の面材と、該面材の2辺にそれぞれ形成されたフランジとを具備するものであって、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとが接合、または、前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分に形成されたフランジとが接合され、
前記下流側壁面材の最下部が、前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネル、または前記基礎コンクリートに固定されたフルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルによって形成され、
該フルサイズコンクリートパネルまたはハーフサイズコンクリートパネルのうち前記透過側壁面材に近い位置に配置されたものは、前記下流側接続アングルを介して前記三角フルサイズライナープレートに接合され、
前記上流側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの上流側に支持用接続板が固定され、
前記角部壁面材を形成する角部フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの略上流側または略透過部側に支持用接続板が固定され、
前記透過側壁面材を形成するフルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたものの透過部側に支持用接続板が固定された透過型えん堤の施工方法であって、
前記透過部に対応する位置に基礎コンクリートを設置する工程と、
前記上流基礎コンクリートの上に底面通し材、角部底面通し材および透過側底面通し材を載置する工程と、
複数枚の前記フルサイズライナープレートを互いに当接して前記底面通し材の上に載置し、前記フルサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記ハーフサイズライナープレートを前記フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの上流側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
複数枚の前記角部フルサイズライナープレートを互いに当接して前記角部底面通し材の上に載置し、前記角部フルサイズライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記J字状ライナープレートを前記角部フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記J字状ライナープレートの上流側の面に固定されている底面接続板と前記底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記角部底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結すると共に、前記上流側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記J字状ライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結すると共に、前記上流側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分の側辺に形成されたフランジと前記上流側壁面材の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記角部フルサイズライナープレートおよび前記J字状ライナープレートのうち所定枚数毎に配置された角部フルサイズライナープレートおよびJ字状ライナープレートの上流側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記角部底面通し材が所定の位置に配置され、前記角部フルサイズライナープレートおよびを前記J字状ライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
複数枚の前記フルサイズライナープレートを互いに当接して前記透過側底面通し材の上に載置し、前記フルサイズライナープレートの透過部側の面に固定されている底面接続板と前記透過側底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
必要に応じ、前記ハーフサイズライナープレートを前記フルサイズライナープレートの側方に載置し、前記ハーフサイズライナープレートの透過部側の面に固定されている底面接続板と前記透過側底面通し材とを底面接続板接続ボルトによって接続する工程と、
前記透過側底面通し材に形成されたボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに基礎アンカーボルトを打設して、該基礎アンカーボルトを仮締めする工程と、
前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
必要に応じ、前記フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと隣接する前記ハーフサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置された角部フルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結、または、前記透過側壁面材の最下部の前記角部壁面材に近い位置に配置されたフルサイズライナープレートの側辺に形成されたフランジと前記透過側壁面材に近い位置に配置されたJ字状ライナープレートの平面状の面部分の側辺に形成されたフランジとを連結ボルトによって連結する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたはハーフサイズライナープレートのうち前記下流側壁面材に近い位置に配置されたものに、三角フルサイズライナープレートを設置する工程と、
前記三角フルサイズライナープレートに下流側接続アングルを設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートのうち所定枚数毎に配置されたフルサイズライナープレートの透過部側に固定された支持用接続板に、支持柱材を接続し、該支持柱材に形成された支持柱材ボルト孔を貫通し、前記基礎コンクリートに支持柱接合ボルトを打設して、該支持柱接合ボルトを仮締めする工程と、
前記透過側底面通し材が所定の位置に配置され、前記フルサイズライナープレートを鉛直にして、基礎アンカーボルトおよび支持柱接合ボルトを本締めする工程と、
前記基礎コンクリートの上に、前記フルサイズコンクリートパネルを載置、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルを載置して、前記コンクリートパネル同士、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネル同士を連結金具を介して連結すると共に、前記フルサイズコンクリートパネルの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具、または前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルのそれぞれの上流側の面に固定された略L字状の基礎固定金具を、前記基礎コンクリートに設置する工程と、
前記フルサイズライナープレートまたは前記フルサイズライナープレートおよびハーフサイズライナープレートと、前記角部フルサイズライナープレートまたは前記角部フルサイズライナープレートおよび角部ハーフサイズライナープレートと、前記三角フルサイズライナープレートと、前記フルサイズコンクリートパネルまたは前記フルサイズコンクリートパネルおよびハーフサイズコンクリートパネルとによって包囲された範囲に、1回または2回以上に分けて前記内部材を充填する工程と、を有することを特徴とする透過型えん堤の施工方法。
【請求項9】
前記フルサイズライナープレートを形成する面材、前記ハーフサイズライナープレートを形成する面材、前記角部フルサイズライナープレートを形成する面材、前記角部ハーフサイズライナープレートを形成する面材および前記三角フルサイズライナープレートを形成する面材が波鋼板であって、該波鋼板の山または谷の方向が、前記面材の側縁に形成されたフランジに平行または垂直であることを特徴とする請求項7または8記載の透過型えん堤の施工方法。
【請求項10】
前記透過部に鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた構造物を設ける工程を有することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の透過型えん堤の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−47426(P2013−47426A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186495(P2011−186495)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)