説明

透過型X線管及び反射型X線管

【課題】不要な放射線を除去するフィルタ材料を使用する透過型X線管及び反射型X線管を提供する。
【解決手段】透過型X線管は、ターゲット材料及びフィルタ材料を備える。ターゲットは、少なくとも一つの元素を有し、元素が励起されるとX線が発生する。X線は、元素の特性Kα放射線及びKβ放射線のエネルギーを備え、これらがX線の衝突により物体の画像を形成するために用いられる。X線が通過するフィルタ材料はK吸収端エネルギーを有し、K吸収端エネルギーは、放射されるKα放射線のエネルギーよりも高く、Kβ放射線のエネルギーよりも低い。フィルタ材料の厚みは、少なくとも10ミクロン3ミリメートル未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に透過型X線管及び反射型X線管に関するものである。特には、本発明は、不要な放射線を除去するフィルタ材料を使用する透過型X線管及び反射型X線管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療画像化の技術では、アルミニウム、モリブデン、イットリウム、銅等の低Zフィルタを使用することにより、低エネルギーの放射線量を減少させることが可能であり、またアルミニウム相当のフィルタ厚みを参照することにより、低エネルギーの放射線量を減少させることが可能となることが、周知である。一般的に、そのようなフィルタ厚みは、アルミニウム相当のフィルタと同じ0.5〜1.2ミリメートルの範囲にあり、このフィルタ厚みによって、低エネルギー、長波長のX線を除去し、特に医療画像化のために、潜在的に有害で不要な放射線を減少させる。残念なことに、そのようなフィルタは有用なX線の大部分もまた除去してしまう。
【0003】
非破壊検査では、通常フィルタは用いない。しかしながら、X線管のターゲットからの固有Kα線の放射による画像化により、非破壊検査で画像化した物体について高画質の画像が得られる場合がある。この場合に、エネルギー特性を損なう原因となる不要な高エネルギーの光電子を除去することもまた本発明の目的の一つである。
【0004】
医療画像化では、化学イメージング剤、例えば、ヨウ素系、ガドリニウム系、バリウム系化合物が、それらの密度や原子番号によって、周辺の軟部組織に対して高いコントラストをもたらす。それらの原子番号(ヨウ素:Z=53、バリウム:Z=56、ガドリニウム:Z=64)が重要であるのは、K吸収端が典型的なX線エネルギースペクトルに対して特に有利なエネルギー帯にあるためである。K吸収端は、ヨウ素:33.17keV、バリウム:37.44keV、ガドリニウム:50.24keVである。X線の光電子エネルギーが化学イメージング剤のK吸収端エネルギーをわずかに上回る場合に、コントラストは最大となる。
【0005】
特定の臨床診断に最適なスペクトルの選択にあたっては、コントラストに対する要求を考慮するだけではなく、身体断面を通過する透過量を必要な分だけ発生させ、患者への放射線量を制限しなければならない。
【0006】
様々な工業製品の非破壊検査の画像化の場合において、各工業製品には最高画質を得るための最適なエネルギーが一つ存在する。斯かる工業製品には、あらゆる種類の電子回路板、集積回路、LED及びリチウム電池が含まれるが、これらに制限されるものではない。しかしながら、そのような最適なエネルギーを有する高いフラックスを発生させるためには、不可避的に、最適なエネルギーを上回る高エネルギーの光電子が同時に発生する。そのような高エネルギーの光電子は不要である。なぜなら、それらの光電子は、画像のコントラストを低下させるからである。また、画像を形成するのに必須ではないX線が余りに多くセンサーに衝突すると、センサーの過負荷が問題となる。
【0007】
反射型X線管について、X線ビームのスペクトルは、アノード材料、フィルタ材料及び厚みの組み合わせ、並びにその診断のために選択した電子管の電圧により決定される。ターゲットの厚みは、さほど重要な問題ではない。
【0008】
X線画像化の用途において必要なものは、狭く明確なX線光電子エネルギー帯に多数の光電子を有するX線スペクトルであり、このX線スペクトルが高い画像コントラストをもたらす。また、そのエネルギー帯よりも高い及び/又は低いエネルギーを有する光電子を除去する方法も必要である。その一方で、前記エネルギー帯のフラックスの減少を最小限にすることが、画質を最高にするために必要となる。有用なエネルギー帯のフラックスとそのエネルギー帯よりも高いエネルギーとの比は、X線管の温度管理の制限内において最大化すべきである。医療画像化の用途では、同時に、不要な低エネルギーの光電子を減少させ、患者への放射線量を著しく減少させる方法によって、大きな付加価値がもたらされる。無生物の物体の画像化では、光電子のエネルギーを、15〜20keVまで低くできる一方、一般的な医療画像化では、光電子のエネルギーを、30keV付近に始まり、高エネルギーの画像化の場合には600keVまで高くすることができる。
【0009】
そのようなフィルタリングのスキームは、反射型及び透過型X線管の両方に適用できる。透過型X線管を使用する場合、必要なことは、有用なX線と、その有用なX線のエネルギー帯を上回る高エネルギーの光電子量との比を最適化する方法である。医療分野での適用において、必要なことは、有用なX線と患者が受ける放射線量の比を最適化し、その一方で、同時にその有用なエネルギー帯を上回る高エネルギーの光電子の数を減少させる方法である。反射型X線管では、ターゲットの厚みを用いてフラックスの最適化を行うことは認められておらず、それ故、フィルタ材料の厚みや組成を調整することに制限される。そして、その調整によって、同様の所望の結果が得られる。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、透過型X線管に関するものであり、この透過型X線管は、不要な放射線を除去するフィルタ材料を使用する。
【0011】
本発明は、反射型X線管に関するものであり、この反射型X線管は、不要な放射線を除去するフィルタ材料を使用する。
【0012】
本発明により、ターゲット材料とフィルタ材料をそなえる透過型X線管が提供される。ターゲット材料は、少なくとも一つの元素を有しており、該元素が励起されるとX線を発生させる。発生した該X線には、該X線の衝突により物体の画像を形成するための該元素の特性Kα放射線及び特性Kβ放射線のエネルギーが含まれる。X線が通過するフィルタ材料は、K吸収端エネルギーを有しており、そのK吸収端エネルギーは、その元素から放射されるKα放射線のエネルギーよりも高く、Kβ放射線のエネルギーよりも低い。また、そのフィルタ材料の厚みは少なくとも10ミクロンであり、3ミリメートル未満である。
【0013】
本発明の一実施形態では、ターゲット材料は、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、これらの元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料には、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、トリウム、ウラン、またはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0014】
本発明の一実施形態では、フィルタ材料は、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、これらの元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料には、チタン、イットリウム、ガドリニウム、ルテニウム、バナジウム、サマリウム、ネオジム、トリウム、ホロミウム、パラジウム、コバルト、セシウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、銅、クロム、イリジウム、エルビウム、ロジウム、ユーロピウム、インジウム、ハフニウム、ルビジウム、ツリウム、亜鉛、アンチモン、テルビウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、レニウム、ストロンチウム、タングステン、ニッケル、カドミウム、ガリウム、テクネチウム、ルテチウム、ディスプロシウム、鉄、イッテルビウム、またはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0015】
本発明の一実施形態では、ターゲット材料の厚みが5〜500ミクロンである。
【0016】
本発明の一実施形態では、透過型X線管をX線顕微鏡におけるX線の線源として使用する。
【0017】
本発明の一実施形態では、医療画像化において画像を得るため、透過型X線管を使用する。
【0018】
本発明により、ターゲット材料とフィルタ材料をそなえる反射型X線管が提供される。ターゲット材料は、少なくとも一つの元素を有しており、該元素が励起されるとX線を発生させる。発生したX線には、該X線の衝突により物体の画像を形成するための該元素の特性Kα放射線及び特性Kβ放射線のエネルギーが含まれる。X線が通過するフィルタ材料は、K吸収端エネルギーを有しており、そのK吸収端エネルギーは、その元素から放射されるKα放射線のエネルギーよりも高く、Kβ放射線のエネルギーよりも低い。また、そのフィルタ材料の厚みは少なくとも10ミクロンであり、3ミリメートル未満である。
【0019】
本発明の一実施形態では、ターゲット材料は、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、これらの元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料には、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、トリウム、ウラン、またはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0020】
本発明の一実施形態では、フィルタ材料は、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、これらの元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料には、チタン、イットリウム、ガドリニウム、ルテニウム、バナジウム、サマリウム、ネオジム、トリウム、ホロミウム、パラジウム、コバルト、セシウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、銅、クロム、イリジウム、エルビウム、ロジウム、ユーロピウム、インジウム、ハフニウム、ルビジウム、ツリウム、亜鉛、アンチモン、テルビウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、レニウム、ストロンチウム、タングステン、ニッケル、カドミウム、ガリウム、テクネチウム、ルテチウム、ディスプロシウム、鉄、イッテルビウム、またはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0021】
本発明の一実施形態では、反射型X線管をX線顕微鏡におけるX線の線源として使用する。
【0022】
本発明の一実施形態では、医療画像化において画像を得るため、反射型X線管を使用する。
【0023】
X線の光電子ビームが、フィルタ材料のK吸収端より少しだけ高いエネルギーを有する光電子を含む場合、そのフィルタ材料は所定の光電子ビームを強く吸収するが、そのことは当業者には周知である。入射X線の光電子ビームにおけるKα線とKβ線のエネルギー間に吸収端を有するフィルタ物質を見つけることができれば、このフィルタ物質を用いることで、Kα線と比較してKβ線の強度を著しく低減することができ、またこのフィルタ物質はKβフィルタとして定義される。
【0024】
本発明は、ターゲット厚みが5〜500ミクロンの間で設計された透過型X線管を開示しており、この透過型X線管にはKβフィルタを組み合わせることができる。Kβフィルタは次の両方の観点から選択される。すなわち、画質向上のため、不要な高エネルギーのX線を除去するという観点、及び医療分野での適用における患者の放射線量低減のため、不要な低エネルギーのX線を除去するという観点である。
【0025】
また、本発明は、医療画像化及び非破壊検査の画像化において用いられる反射型X線管を開示しており、また放射線量を低減するよう設計されたフィルタを開示している。このフィルタは、アルミニウムや銅等の低Zフィルタよりも、相当低いレベルに放射線量を低減する。また、このフィルタは、画像化に有用なX線を減少させることがない一方、その反射型X線管のターゲット材料のK線のエネルギーを上回る高エネルギーの光電子を同時に減少させる。
【0026】
透過型X線管及び反射型X線管の厚いターゲット材料は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、トリウム、ウランを含む(ただし、これらに制限されるものではない)使用できる見込みがある材料から選択される。
【0027】
選択したKβフィルタの厚みは、約10ミクロンから3ミリメートルの間で変化する。
【0028】
本発明のKβフィルタを使用して、医療画像及び非破壊検査の画像化の両方が形成される。医療画像には、患者の胸部、肺、関節及び手足、頭部、腹部、胃腸X線検査の画像や、高エネルギーの放射線治療でその治療を施す患者の体内の正確な位置に放射線を導くために使用される画像が含まれるが、これらに制限されるものではない。また、非破壊検査の画像では、画像化する物体として、回路基板、ボールグリッドアレイ回路、分離電気部品、微小電気機械システム(MEMS)装置、小動物、有機サンプル、地質学的サンプル、半導体チップパッケージ、その他様々な産業で使用される多くの無生物物体が含まれるが、これらに制限されるものではない。ここで含まれるX線管及びKβフィルタには、多くの非破壊検査におけるX線顕微鏡のX線の線源といった用途もある。
【0029】
本発明は、X線を用いた画像化に関するものである。本発明は、特に医療画像化の分野における重要な問題を解決するが、他の全種のX線画像化に適用でき、これには、無生物物体における非破壊画像化も含まれる。本発明は、反射型X線管及び透過型X線管の両方を用いたX線画像化に適用でき、X線管は固定式ターゲット管でも回転式アノード管でもよい。また、本発明は、医療画像化及び非破壊検査の画像化で使用されるX線の全エネルギーについて、適用することができる。本発明により、有用なX線のエネルギー帯を下回るか上回るX線を低減する方法が導入され、この有用なX線のエネルギー帯は、任意のX線管の出力スペクトルから選択される。高集中の単色X線が必要なX線の用途に関し、本発明は、厚い透過型又は反射型X線管ターゲットと、所定の材料及び厚みのKβフィルタとの組み合わせを用いる方法を開示しており、このKβフィルタで、X線ターゲットのKβ放射が著しく低減される。本発明のフィルタを用いたX線管の適用により、X線顕微鏡について準単色X線の線源がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による、X線を発生させ、そのX線をフィルタに通す透過型X線管の概略図である。
【図2】本発明による、X線を発生させ、そのX線をフィルタに通す反射型X線管及びその構成要素の概略図である。
【図3】ガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管の出力スペクトルと、さらにアルミニウム及び銅のフィルタを通過した場合の出力スペクトルと、をグラフ表示したものである。
【図4】厚み20ミクロンのガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管の出力スペクトルをグラフ表示したものであり、フィルタを通過しない場合のものである。
【図5】ガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管の出力スペクトルと、さらにサマリウムのフィルタを有する場合の透過型X線管の出力スペクトルと、をグラフ表示したものである。
【図6】厚いタンタルのターゲットを有する透過型X線管のスペクトルと、さらに従来の低Z材料からなるフィルタを通過させた場合のスペクトルを、グラフ表示したものである。
【図7】厚み50ミクロンのタンタルの透過ターゲット及び100ミクロンのタンタルのターゲットのスペクトルをグラフ表示したものであり、フィルタを通過しない場合のものである。
【図8】厚み100ミクロンのタンタルのターゲットを有する透過型X線管の出力スペクトルと、厚み80ミクロンのイッテルビウムのフィルタを有する透過型X線管の出力スペクトルを、グラフ表示したものである。
【図9】反射型X線管の出力スペクトルをグラフ表示するものであり、標準的な低Zフィルタ材料を透過した場合と、厚み80ミクロンのイッテルビウムのフィルタを追加した場合とを比較したものである。
【図10】モリブデンのターゲットを有する透過型X線管からの出力と、さらにニオブのフィルタを通る場合の出力を、グラフ表示したものである。
【図11】本発明の透過型X線管からの出力フラックスをグラフ表示するものであり、透過型X線管には、3つの異なる厚みのツリウムのフィルタが使用されている。また、本発明の透過型X線管はタンタルのターゲットを有する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1の透過型X線管は、真空ハウジング要素7及びエンドウィンドウアノード1を備え、エンドウィンドウアノード1は、大気にさらされるハウジングの端部に配設される。X線ターゲットフォイル要素2が、エンドウィンドウアノード要素1の上に設けられる。エンドウィンドウを有するいくつかのX線管では、X線ターゲットとエンドウィンドウが同じ材料で作製されるが、この場合、X線が通過するエンドウィンドウの材料を別にする必要性は解消されている。ターゲット材料が厚く、X線管を真空に保つのに十分な強度を有する場合、エンドウィンドウ材料を別にする必要はない。電気的つまり光電子を模擬したカソード要素3は電子を放出し、その電子は、電子線路程要素4に沿って加速され、X線を発生させるアノードターゲット要素8に衝突する。電源要素6は、カソードとアノードの間に接続され、電子線に加速力を与える。要素8で発生したX線は、エンドウィンドウを通ってX線管から放出される。通常は電気的にバイアスがかかる任意の焦点調整機構要素5は、ターゲット上のスポットの上、下、またはそのスポットに向けて電子ビームの焦点を合わせる。ターゲット表面上のスポットが最大となるときの大きさは、焦点スポットサイズまたはスポットサイズと称される。X線には、Kα及びKβ両方の特性放射線が含まれ、これらはターゲット材料の少なくとも一つの元素に固有である。本発明の好ましい一実施形態では、透過型X線管がターゲットを有し、そのターゲットの厚みは5ミクロンまで薄くできる一方、200ミクロンまで厚くすることができ、またこれらはエンドウィンドウの上に設けられる。ターゲットフォイル及びエンドウィンドウが同じ材質からなる場合、その厚みは500ミクロンまで厚くすることができる。本発明の好ましい一実施形態では、透過型X線管の出力が、10ミクロン〜3mmの間のフィルタ厚みを有するKβフィルタを通してフィルタされる。
【0032】
図2は、真空ハウジングをそなえる反射型X線管を概略にて表すものであり、その真空ハウジング中に、カソード要素12とアノード要素14が位置する。アノード要素14は、基板上に設けられたX線ターゲットを備え、その基板は、X線がアノードに衝突した際に発生する熱を取り除く。電子は、当業者には周知のいずれかの方法で、カソードから放出される。電源要素6はカソードとアノードの間に接続され、電界をもたらす。その電界は、カソードから放出された電子を電子線路程10に沿って加速し、あるスポットでアノード要素14と衝突させる。これにより、X線ビーム要素13が発生し、それからサイドウィンドウ要素11を通過してX線管の外へと放出される。反射型X線管は、電子ビームが衝突するターゲットと同じ側から発生するX線を、取り込む。X線には、Kα及びKβ両方の特性放射線が含まれ、これらはターゲット材料の少なくとも一つの元素に固有であり、発生したX線が衝突する物体の画像を形成するにあたり有用である。本発明の好ましい一実施形態では、透過型X線管の出力が、10ミクロン〜3mmの間のフィルタ厚みを有するKβフィルタを通してフィルタされる。
【0033】
開放タイプの透過型X線管は、電子回路のほかに他の高い解像度を要する用途の画像化にも一般的に使用される。また、高い増倍率が物体の画像化に要求される場合には、この開放タイプの透過型X線管をX線の線源として代わりに使用してもよい。閉鎖タイプのX線管は真空状態で密閉されている一方、開放タイプつまり「ポンプダウン」のX線管は、連続して真空引きする付属の真空ポンプを有しており、そのX線管を通常使用して、動作中に故障しがちなX線管部品を定期的に交換することができるようになっている。この発明の目的のため、透過型X線管には、別段の言及をした場合を除き、開放タイプと閉鎖タイプ両方の透過型X線管を含める。
【0034】
特別の定めがない限り、X線管のスペクトルデータは、厚み1mmのCdTeセンサーと10ミル(0.254ミリメートル)のBeフィルタを有するAmptek社のXR-100モデルで測定した。センサーをX線管から1メートルの距離に設置し、直径100μmのコリメータ孔を有するタングステンのコリメータを、センサーの前に設置した。また、様々な管電流及び照射時間を使用した。
【0035】
Kβフィルタは、透過型X線管、反射型X線管のどちらであっても、そのK吸収端がX線ターゲットのKα線とKβ線の間に位置する元素により形成される。次の表1に、使用可能な各ターゲット材料に対して、本発明において適切なKβフィルタを形成する材料を示す。
【0036】
【表1−1】

【0037】
【表1−2】

【0038】
【表1−3】

【0039】
図3は、厚み20ミクロンのガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管の出力を表す。このX線管の印加電圧は80kVpである。要素17は、X線管の出力スペクトルを表し、これは、厚いガドリニウムのターゲットについて、自己フィルタリング以外にはフィルタリングしない場合のものである。厚み20ミクロンのターゲットを使用しているが、ターゲットの厚みは5ミクロン未満から数100ミクロンまでの範囲とすることが可能である。要素18は同じX線管の出力スペクトルを表すが、これは、厚み1.5mmの低Zアルミニウムのフィルタを通過した場合のものである。要素19も出力スペクトルを表すが、これは、厚み9mmのアルミニウムに相当するフィルタを通過した場合のものである。従来の低Zフィルタリングスキームを有するガドリニウムのフィルタリングでは、放射線量は低減せず、また同時に、ヨウ素やバリウム等の画像コントラスト剤を使用するに十分なフラックスが得られない。
【0040】
図4は、厚み20ミクロンのガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管からのX線出力スペクトルを表す。ここで、要素20及び21は、電圧をそれぞれ80kVp、90kVpとして印加した場合の出力スペクトルであり、これらは、厚い透過型ターゲットの自己フィルタリング以外には、フィルタリングしない場合のものである。ガドリニウムを使用してバリウムを画像化することができる。なぜなら、バリウムの質量吸収係数は、42.7keV(ガドリニウムのKα)で22.4cm2/gmであるからである。また、ガドリニウムを使用して、イメージング剤であるヨウ素を画像化することができる。このヨウ素は、42.7keVで質量吸収係数が18.46cm2/gmである。ガドリニウムはKα放射線の線源として極めて好適であり、これにより、撮影された画像において、任意のバリウム及びヨウ素のイメージング剤から有効なコントラストが得られる。ガドリニウムのターゲット厚みを増すことによって、42.7keVの有用なフラックスの減少をわずかとしつつ、出力スペクトルに対する付加的な自己フィルタリングが可能となる。
【0041】
図5は、本発明の好ましい一実施形態を示すものである。表1から、サマリウムはガドリニウムの2つのKβフィルタ材料のうちの一つであることがわかる。厚み50ミクロンのサマリウムを使用して、上述した厚み20ミクロンのガドリニウムのターゲットを有する透過型X線管の出力にフィルタをかける。サマリウムのフィルタは、計算上では、90kVpでのガドリニウムの出力に対して適用される。それを図5に示す。要素22は、フィルタを通過させない場合における、90kVpでのガドリニウムのターゲットのスペクトルを示す。要素23は、50ミクロンのサマリウムのKβフィルタにより各々のエネルギー帯でどの程度カウント数が減少するかを示す。ガドリニウムのKαのエネルギー帯ではわずか10%程度しか減少しないが、一方で、45〜50keV(ガドリニウムのKβ:48.69keV)のエネルギー帯でのエネルギーでは、約40%も減少した。光電子エネルギーが35keV以下の光電子のカウント数は58%減少し、患者への放射線量は著しく低減される。また、45〜90keVの出力エネルギーにおいては、30%減少し、コントラストの劣化が低減される。このコントラストの劣化は、画像形成に有用ではない高エネルギーの光電子に起因するものである。ここでは、例として厚み20ミクロンのガドリニウムのターゲットを使用したが、ターゲット厚みは、5ミクロン程度まで薄くしたものでも、200ミクロン程度まで厚くしたものでも使用することができる。ガドリニウムのターゲットが100ミクロン以上の厚みであって、X線管の加速電圧が150kVpと同程度の高さである場合、フィルタの厚みを10ミクロンに減少させて、得られるフィルタリングの効果を低減してKαの出力をより強めることができるか、又は、フィルタの厚みを3ミリメートルまで厚くすることができる。
【0042】
図6は、厚み75ミクロンのタンタルのターゲット材料を有する、透過型X線管の出力スペクトルをグラフ表示したものであり、この透過型X線管は、管電流を50マイクロアンペアとして動作させており、また医療画像化において一般的に用いられる厚み9mmのアルミニウムに相当するフィルタを有する。要素24は、フィルタを通過させない場合の出力を示す。要素25は、厚み9mmのアルミニウムフィルタに相当する、低Zフィルタを通した場合の出力を示す。0〜40keVといった低い光電子エネルギー帯では、X線のカウント数が60.5%減少しており、患者に有害な放射線の原因となる不要な低エネルギーのX線を著しく低減している。しかしながら、同時に、40〜70keVの範囲にある有用なX線が60%減少している。70KeV超えるX線は、画像のコントラストを低下させるX線を表すものと考えられるが、このX線は26.7%減少している。しかしながら、有用なX線が60%減少したことと比較すると、高エネルギーのX線量は相対的に増加する。出力は、フィルタを通過させない場合における12.2%から、フィルタを通過させた場合における19.3%へと増加する。それ故、低Zフィルタは、患者への放射線量を効果的に減少させる一方、有用なX線をもまた高い割合で減少させる。約70keVの高エネルギーの光電子の効果は、フィルタを使用することで低下する。
【0043】
厚み75ミクロンの透過ターゲットを有する透過型X線管では、X線の自己フィルタリングにより既に低エネルギーのX線は減少している、つまりX線がエンドウィンドウを出る前に厚いターゲットを通過しなければならないことに注意すべきである。
【0044】
X線光電子エネルギーの比較は40keV未満のエネルギーについて行ったが、30〜40keVの範囲のX線が高画質画像を得るために非常に重要となる用途も存在する。同様に、40〜70keVの有用なX線エネルギーを有するX線は、本発明の概念を実証するため任意に選択したものである。医療や非破壊検査のいずれのためであっても、各々の画像化用途は、有用又は不要なX線の定義を有するであろう。本発明のフィルタリング技術は、X線画像の画質に寄与しない不要なX線光電子を減少させる一方、許容された管電流の制限範囲内で有用なX線を最適化するために使用されるであろう。
【0045】
図7は、厚いターゲットフォイルを有する透過型X線管の自己フィルタリング特性を示す。要素26は、厚み50ミクロンのターゲットを有する透過型X線管のスペクトルを表す。要素27は、厚み100ミクロンのターゲットを有する透過型X線管のスペクトルを表す。両方のX線管とも、100kVpの管電圧、50μAの管電流で動作している。次の表2は、各々のX線管について、40keV未満、40keVから70keVまで、及び70kevから100keVまでの各エネルギー帯における光電子のカウント数を要約したものである。
【0046】
【表2】

【0047】
40keVから70keVまでのエネルギー帯における有用なX線は約34.5%減少する一方、患者への放射線量を増加させると考えられる40keVよりも低いエネルギーのX線は72%減少する。加えて、70keVから100keVまでのエネルギー帯におけるX線は48.8%減少し、有用なX線の減少量よりもかなり大きくなる。
【0048】
本発明の好ましい一実施形態では、追加のフィルタが、厚み100ミクロンのターゲットが有する既存の自己フィルタリングに付加される。表1から選択するフィルタ材料は、ルテチウム、ツリウム、イッテルビルムのうちの一つとすることができる。図8は、厚み100ミクロンのタンタルのターゲットを有する透過型X線管のスペクトルに関する、各エネルギー帯における光電子のカウント数を表すもので、この透過型X線管は、100kVpの管電圧、50μAの管電流で動作している。要素28は、追加のフィルタを使用しない場合に得られるデータを示す。また、要素29は、厚み80ミクロンのイッテルビウムのフィルタを有する場合に得られるフィルタ通過後の出力を計算し、それをグラフ表示したものである。次の表3は、2つのスペクトルの違いを要約したものである。
【0049】
【表3】

【0050】
40keV以下の不要なX線の量がさらに68.7%減少し、結果として患者に有害な放射線量を低減することになる。この減少には、40〜70keVの範囲にある有用なX線のカウント数が29.4%減少することを伴うが、有用なX線の減少率は、40keVよりも低い放射線の減少率と比べてかなり低い。70keVを超えるエネルギーでは、イッテルビウムのフィルタを使用した結果として、有用なX線の損失と比較する場合に全体のカウント数における正味の損失がある。イッテルビウム原子が蛍光を発する際に、61.322keV(イッテルビウムのK吸収端)を上回る吸収エネルギーが、52.4keVのKαエネルギーを有するイッテルビウムのKαX線へと変わる場合、図8には示していないが、そのKαX線が、有効に寄与する有用なX線に付加される。厚み80ミクロンのイッテルビウムのフィルタが、厚み100ミクロンのタンタルのターゲットと共に、管電圧を100kVpとして使用されているが、これは、単に、異なるフィルタ材料、異なるX線管電圧、異なるフィルタ厚み、異なる透過ターゲット厚み及び異なる透過ターゲット材料が使用できるフィルタ原理を説明する一つの手段として使用しているものである。そして、このフィルタ原理により、X線の画像化のフィルタとして、銅やアルミニウム等の低Z材料を使用するよりも、格段に優れたフィルタリングスキームが開発されたのである。
【0051】
無生物物体を本発明のX線で画像化する場合、高画質の画像の形成に必要なX線を上回るエネルギーを有するX線を減少させることが、一層重要となる。これまでのところ、より高いエネルギーは画像のコントラストを低下させるのみである。
【0052】
本発明の別の好ましい実施形態では、反射型X線管から出力されるが、この反射型X線管は、タングステンのターゲット材料を有し、従来の銅やアルミニウム等の低Z材料のフィルタを有する。上述したターゲット材料の原子番号よりも小さいが、その原子番号とは近い、高Zフィルタを使用することで、フィルタはより効率的に機能し、結果として有用な放射線の減少をごくわずかとしつつ、放射線量を低減する。
【0053】
図9は、従来の反射型X線管からのX線フラックスの出力分布を表したものである。要素31は、タングステンのターゲットを有する反射型X線管からのスペクトルを表すもので、この反射型X線管は管電圧:120kV、管電流:3mAで動作する。その出力は、厚み9mmのアルミニウムに相当する、従来の「低Z」のフィルタを通過したものである。要素30は、その出力がさらに本発明のフィルタを通過したとして、計算した結果を示すものである。表1より、タングステンに対するフィルタ材料には、ハフニウム、ルテチウム、イッテルビウム及びツリウムが含まれる。イッテルビウムを選択し、厚み80ミクロンのフィルタとした。表1からイッテルビウムよりも高いZを有するターゲット材料を選択すれば、その出力がより高いエネルギーの出力に変わることは、当業者であれば誰でもよく理解するであろう。
【0054】
次の表4は、40kVp未満のエネルギーの光電子はさらに74.8%も減少し、患者の受けるX線の放射線量がかなり低減される一方、有用なX線は38%しか減少しないことを明示している。このデータでは、Zが低いフィルタの組み合わせと、本発明のフィルタリング技術の両方が使用されているが、Zが低いフィルタは、大きく効率が向上する本発明のフィルタに置き換えることができる。そのフィルタは、それ自体がK線蛍光放射をし(図9には含まれない。)、40〜70keVの有用な範囲にある光電子の総出力量を増加させ、同じ画質の画像を得るために必要な管電流量を減少させる。
【0055】
【表4】

【0056】
好ましい一実施形態では、透過型X線管と反射型X線管のいずれかのターゲット材料に適合するKβフィルタが、医療画像化のためのX線の線源として使用される。この医療画像化には、患者の胸部、肺、関節及び手足、頭部、腹部、胃腸X線検査の画像や、高エネルギーの放射線治療でその治療を施す患者の体内の正確な位置に放射線を導くために使用される画像が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0057】
本発明の別の好ましい実施形態では、透過型X線管と反射型X線管のいずれかのターゲット材料に適合するKβフィルタが、準単色のX線の線源として、物質や生体サンプルの非破壊の画像化において使用される。画像化する物質としては、回路基板、ボールグリッドアレイ回路、分離電気部品、微小電気機械システム(MEMS)装置、LED、リチウム電池、小動物、有機サンプル、地質学的サンプル、半導体チップパッケージ、その他様々な産業で使用される多くの無生物物体が含まれるが、これらに制限されるものではない。その用途は広く、X線顕微鏡のX線の線源としての使用も含まれる。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態を表す。50ミクロンの厚いモリブデンのターゲットを有する透過型X線管により、管電圧を60kVpとして測定した。要素32は、追加のフィルタがない場合のモリブデンのX線管のスペクトルであり、13,409カウントのKα光電子が含まれる。また、Kβ光電子のカウント数は4,076カウントである。厚み50ミクロンのニオブの追加のフィルタを、Kβフィルタとして表1から選択し、付加した場合、計算されるKα放射線の減少量は5,862カウントである一方、Kβ放射線の減少量は98カウントである。厚いモリブデンの透過型X線管と厚み50ミクロンのニオブのKβフィルタを使用することで、要素31のKα線は1/2.2に減少する一方、Kβ線は1/41.6に減少する。
【0059】
20keVから25keVまでのエネルギー帯全体で、要素32の光電子カウント数はわずか37カウントである。このことは、モリブデンのX線管からの単色Kα線が非常に高い水準にあることを表している。モリブデンとニオブを使用して例示したが、表1の他のターゲット材料やKβフィルタ材料はどれでも同じように使用することができる。
【0060】
図11は、厚み50ミクロンのタンタルのターゲットを有する本発明の透過型X線管からの出力フラックスをグラフ表示したものであり、ツリウムで形成した本発明の3つの異なるKβフィルタがそれぞれ出力に適用されている。X線管に印加する電圧は90kVpであり、管電流は50マイクロアンペアである。フィルタを適用した後、スペクトルを測定する。3つのフィルタはそれぞれ25ミクロン(要素33)、50ミクロン(要素34)、75ミクロン(要素35)の厚みである。次の表5に、不要なKβフラックスの減少量と比較した、フィルタを通過した場合の有用なKα線量を記載する。また、画像化では使用せず、大部分が放射線量となる15〜40keVといった低エネルギーの光電子量との比較についても記載する。
【0061】
【表5】

【0062】
ツリウムのフィルタの厚みが25ミクロンから75ミクロンに増加することで、不要なKβは約40%減少し、不要な15〜40keVの低エネルギーでは約43%減少するのに対し、有用なKα放出は約22%しか減少しないことが、明らかである。低エネルギーの光電子及び高エネルギーのKβ光電子について、所望の減少量が本発明の単一のフィルタにより得られ、患者が受ける放射線量の著しい改善がもたらされる。ここで用いた厚みは、検証目的のためだけのものである。有効性の変化とともに、どのような厚みのフィルタであっても使用できることは明らかである。有用なX線の減少は、管電流を増加させることにより、相殺することができる。管電流の増加量は制限されるが、その値は、透過型X線管のターゲット上の焦点スポットに衝突する全エネルギーに依存することが許容される。
【0063】
発明の範囲や精神から離れることなく、様々な改良や変化を施し、本発明の構成を作り出すことが可能であることは、当業者には明らかであろう。前述の内容を考慮し、この発明を改良したものや変化したものが次の請求項及びそれらの均等の範囲内となることを条件として、本発明はそれらを含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生させる少なくとも一つの元素を有し、該元素は励起されるとX線を発生させ、発生した該X線には、該X線の衝突により物体の画像を形成するための該元素の特性Kα放射線及び特性Kβ放射線のエネルギーが含まれる、ターゲット材料と、
前記X線が通過し、前記元素から放射されるKα放射線のエネルギーよりも高く、Kβ放射線のエネルギーよりも低い、K吸収端エネルギーを有するフィルタ材料、とを備え、
前記フィルタ材料の厚みが、少なくとも10ミクロン、3ミリメートル未満である透過型X線管。
【請求項2】
請求項1に記載の透過型X線管において、前記ターゲット材料が、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、
該元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料は、
スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、トリウム、ウラン、またはこれらを組み合わせたものを含む、透過型X線管。
【請求項3】
請求項1に記載の透過型X線管において、前記フィルタ材料が、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、
該元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料は、
チタン、イットリウム、ガドリニウム、ルテニウム、バナジウム、サマリウム、ネオジム、トリウム、ホロミウム、パラジウム、コバルト、セシウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、銅、クロム、イリジウム、エルビウム、ロジウム、ユーロピウム、インジウム、ハフニウム、ルビジウム、ツリウム、亜鉛、アンチモン、テルビウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、レニウム、ストロンチウム、タングステン、ニッケル、カドミウム、ガリウム、テクネチウム、ルテチウム、ディスプロシウム、鉄、イッテルビウム、またはこれらを組み合わせたものを含む、透過型X線管。
【請求項4】
請求項1に記載の透過型X線管において、前記ターゲット材料の厚みが5〜500ミクロンである透過型X線管。
【請求項5】
X線顕微鏡におけるX線の線源としての請求項1に記載の透過型X線管の使用。
【請求項6】
医療画像化において、画像を得るための請求項1に記載の透過型X線管の使用。
【請求項7】
X線を発生させる少なくとも一つの元素を有し、該元素は励起されるとX線を発生させ、発生した該X線には、該X線の衝突により物体の画像を形成するための該元素の特性Kα放射線及び特性Kβ放射線のエネルギーが含まれる、ターゲット材料と、
前記X線が通過し、前記元素から放射されるKα放射線のエネルギーよりも高く、Kβ放射線のエネルギーよりも低い、K吸収端エネルギーを有するフィルタ材料、とを備え、
前記フィルタ材料の厚みが、少なくとも10ミクロン、3ミリメートル未満である反射型X線管。
【請求項8】
請求項7に記載の反射型X線管において、前記ターゲット材料が、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、
該元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料は、
スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、トリウム、ウラン、またはこれらを組み合わせたものを含む、反射型X線管。
【請求項9】
請求項7に記載の反射型X線管において、前記フィルタ材料が、元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料を含み、
該元素、化合物、合金、金属間化合物または複合材料は、
チタン、イットリウム、ガドリニウム、ルテニウム、バナジウム、サマリウム、ネオジム、トリウム、ホロミウム、パラジウム、コバルト、セシウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、銅、クロム、イリジウム、エルビウム、ロジウム、ユーロピウム、インジウム、ハフニウム、ルビジウム、ツリウム、亜鉛、アンチモン、テルビウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、レニウム、ストロンチウム、タングステン、ニッケル、カドミウム、ガリウム、テクネチウム、ルテチウム、ディスプロシウム、鉄、イッテルビウム、またはこれらを組み合わせたものを含む、反射型X線管。
【請求項10】
X線顕微鏡におけるX線の線源としての請求項7に記載の反射型X線管の使用。
【請求項11】
医療画像化において、画像を得るための請求項7に記載の反射型X線管の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−98168(P2013−98168A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129302(P2012−129302)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(512148850)和▲金▼生技開發股▲ふん▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】GAMC Biotech Development CO., LTD.
【Fターム(参考)】