説明

通信ケーブル用コネクタ

【課題】通信ケーブルを装置又は壁の壁面に沿って配置する。
【解決手段】通信ケーブル(5)が挿入されるハウジング(3)と、通信ケーブル(5)の挿入方向と異なる方向に突き出す雄コネクタ部(10)とを有し、雄コネクタ部(10)をハウジング(3)に回転可能に取り付ける。通信用コネクタが、通信ケーブル(5)の方向を変換するため、比較的剛性の高いケーブルを有するLANケーブルを、自由に装置の壁面に沿って配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LAN(Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルの方向を変換して、被接続部に接続する通信ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや家庭などでパーソナルコンピュータや周辺装置をLANケーブルで接続して、ネットワークを構築する。従来のLANケーブルの接続は、機器や壁面等に設けたLANケーブル挿入口に、LANケーブル先端の雌コネクタを垂直方向に挿入して、接続していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−189189号公報
【特許文献2】特開平8−241774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の機器の外部接続口が増加している。例えば、ノート型パーソナルコンピュータでは、コンピュータ本体の裏面又は横面にLANケーブルの挿入口、USB端子等が多数設けられている。LANケーブルの雌コネクタを挿入口に垂直方向に挿入した場合、比較的剛性の高いケーブルを有するLANケーブルを、自由に装置の壁面に沿って配置することは難しい。このため、他の配線と交差したりして、配線が乱雑となり、取り付け、取り外し作業も手間がかかる。又、見た目も良くない。同様に、壁面のLANケーブルの挿入口を設けた場合には、壁面に沿ったLANケーブルのレイアウトが難しい。
【0005】
本発明の目的は、通信ケーブルの接続方向を自由に変更するための通信ケーブル用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成のため、本発明の通信ケーブル用コネクタは、通信ケーブルが挿入され、前記通信ケーブルの雄コネクタと接続する雌コネクタを有するハウジングと、前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記ハウジングの雌コネクタとケーブル接続し、前記通信ケーブルの挿入方向と異なる方向に突き出る雄コネクタ部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
通信ケーブル用コネクタが、通信ケーブルの方向を変換するため、比較的剛性の高いケーブルを有する通信ケーブルを、自由に装置の壁面に沿って配置でき、他の配線と交差したり、配線が乱雑となることを防止でき、取り付け、取り外し作業を軽減できる。又、壁面に沿った通信ケーブルのレイアウトが可能となり、配線がすっきりした形となり、見た目も良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の通信ケーブル用コネクタの分解斜視図である。
【図2】図1の雄コネクタの構成図である。
【図3】図1の第1のハウジングの正面図である。
【図4】図1の接点ブロックの構成図である。
【図5】図1の接点ブロックの上面及び側面図である。
【図6】図1の第2のハウジングの正面図である。
【図7】図1の第2のハウジングの底面図である。
【図8】実施の形態の通信用ケーブルの使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の通信ケーブル用コネクタの分解図である。図2は図1のLAN雄コネクタ部の側面及び正面図である。図3は図1の第1のハウジングの正面図である。図1では、通信ケーブルをLANケーブルで説明するが、通信ケーブルはこれに限られない。
【0010】
図1に示すように、通信ケーブル用コネクタは、LAN雄コネクタ部1と接点ブロック2と接続ピン4Aとハウジング3とを有する。LAN雄コネクタ部1は、円筒形状のコネクタ支持ブロック12にLAN雄コネクタ10を設けて構成される。図2(A)の側面図に示すように、円筒形状の支持ブロック12の上面にLAN雄コネクタ10を設け、下面からLAN雄コネクタ10の接続線16を引き出す。図2(B)の正面図も参照すると、LAN雄コネクタ10は、位置決めブロック102と8個の雄コネクタ100を有する。
【0011】
一方、円筒形状の支持ブロック12は、接続線側に複数の半円形の溝14を円周上に有する。この例では、図2(B)に示すように、支持ブロック12の円周に沿って、7個の溝14が設けられる。この7個の溝14は、浅く且つ細い連結路で接続される。
【0012】
図1に戻り、ハウジング3は、第1のハウジング3Aと第2のハウジング3Bとを有する。図3に示すように、第1のハウジング3Aは、円筒形の挿入穴40を有する。LAN雄コネクタ部1の円筒形状の支持ブロック12は、第1のハウジング3Aの挿入穴40に挿入される。第1のハウジング3Aの挿入穴40には、係合突起42が設けられている。
【0013】
利用者は、第1のハウジング3Aの挿入穴40に挿入されたLAN雄コネクタ1の支持ブロック12の溝14のいずれかを挿入穴40の係合突起42に嵌め合わせることにより、雄コネクタ10の支持ブロック14の回転方向の向きを固定できる。又、支持ブロック12の溝14のいずれかを挿入穴40の係合突起42に嵌め合わせることにより、雄コネクタ10の回転方向の向きを変更できる。図2(B)で説明したように、支持ブロック12の溝14は、45度間隔で7個設けられているため、45度の単位で、0〜270度まで、LAN雄コネクタ10の回転方向の向きを変更できる。
【0014】
第2のハウジング3Bは、側面にLANケーブルの挿入口30を有する。後述するように、LAN雄コネクタ部1の接続線16の線の各々は、接続ピン4Aに接続され、接続ピン4Aが接点ブロック2に挿入され、折り曲げられる。これにより、接点ブロック2から斜めに突き出した接続ピン群4を形成する。この接点ブロック2は、そして、第2のハウジング3Bに取り付けられる。
【0015】
図4及び図5は接点ブロックの構成図である。図4(A)は接点ブロック2を図1の雄コネクタ部1から見た背面図、図4(B)は接点ブロック2を第1のハウジング3Aから見た正面図、図5(A)は接点ブロック2を上から見た上面図、図5(B)は接点ブロック2を側面から見た側面図である。図4(A)、図4(B)に示すように、接点ブロック2はブロック本体20とブロック20の上下に設けた位置決め用の出っ張り部21,23とを有する。
【0016】
図4(A)の背面図に示すように、ブロック本体20には、前述の接続線16の各々が接続された接続ピン4Aが挿入される複数の入り口穴24が交互に設けられている。又、図4(B)の正面図に示すように、ブロック本体20には、前述の接続線16の各々が接続された接続ピン4Aを分離し、ガイドするガイドスロット26と、入り口穴24から挿入された接続ピン4Aの出口穴28とを有する。この実施の形態では、接続線16が8本であり、接続ピン4Aも8本であるため、ブロック本体20には8個の入り口穴24と8個の出口穴28と8個のガイドスロット26とが設けられている。
【0017】
図5(A)の上面図に示すように、8個の入り口穴24と8個の出口穴28とは連結しており、8本の接続ピン4Aは入り口穴24から8個の出口穴28に挿入される。図5(A)に示すように、8個のガイドスロット26の各々の壁面は斜めに形成されている。又、図5(B)に示すように、各スロット26は分離している。8本の接続ピン4Aを入り口穴24から8個の出口穴28に挿入した後、出口穴28から突き出した接続ピン4Aを、8個のガイドスロット26の各々の壁面に沿って折り曲げる。これにより、図1に示したように、接点ブロック2から斜めに突き出した接続ピン群4を形成できる。
【0018】
図6及び図7は第2のハウジング3Bの構成図である。図6(A)は第2のハウジング3Bの正面図、図6(B)は第2のハウジング3Bを第1のハウジング3Aから見た背面図、図7は第2のハウジングを底面から見た断面図である。図6(A)及び図7に示すように、第2のハウジング3BのLANケーブルの挿入口30は、図7で説明するLANケーブルのクリップ部に係合する第1のガイド穴31と、LANケーブルの位置決めブロックに係合する第2のガイド穴32と、LANケーブルの雄コネクタの端部を位置決めする第3のガイド穴33と、LANケーブルの雄コネクタのそれぞれが挿入されるスロット39とを有する。
【0019】
図6(B)、図7に示すように、第2のハウジング3Bの背面には、接点ブロック2の取り付け穴36が設けられている。接点ブロック2の上下に設けた位置決め用の出っ張り部21,23が取り付け穴36の位置決め穴37,38に係合し、接点ブロック2の本体20が取り付け穴36に係合することにより、接点ブロック2は第2のハウジング3Bに嵌めこまれる。この時、接点ブロック2の接続ピン群4は、スロット39に位置する。従って、LANケーブルの雌コネクタを形成する。
【0020】
この構成のコネクタの製作過程を説明する。LAN雄コネクタ部1の接続線16の各々を接続ピン4Aに接続する。接続ピン4Aを接続したLAN雄コネクタ部1を第1のハウジング3Aの円筒穴40に嵌めこむ。接続ピン4Aの各々を接点ブロック2に挿入し、ガイドスロットで折り曲げる。接点ブロック4Aを第2のハウジング3Bに嵌めこむ。第1のハウジング3Aに第2のハウジング3Bを接着等で接続する。このように、接点ブロック2を設けることにより、雄コネクタ部1に接続する雌コネクタを線の混在なしに容易に組み立てることができる。
【0021】
図8は本実施の形態のコネクタの使用状態の説明図である。図8(A),図8(B)に
示すように、LANケーブル5は、LAN雄コネクタ50を有する。LAN雄コネクタ50は、ケーブル用コネクタのLAN雄コネクタ10と同様の構造であり、雄コネクタと位置決めブロックを備える。又、LANケーブル5は、抜き差しを容易とするため、位置係目ブロックに接続するクリップ部52を備える。
【0022】
図8(A)に示すように、雄コネクタ部10をハウジング3に対し、90度回転した位置に位置決めする(例えば、図2(B)参照)。即ち、ハウジング3の円筒穴40に取り付けられたLAN雄コネクタ部1を回転し且つ円筒穴40の係合突起42に一の溝14を嵌め合わせる。この状態で、LANケーブル5をハウジング3に接続し、雄コネクタ部1を装置や壁面のLAN挿入穴に差し込む。これにより、装置や壁面に沿って上下方向にLANケーブル5を這わせることができる。
【0023】
同様に、図8(B)に示すように、雄コネクタ部10をハウジング3に対し、180度回転した位置に位置決めする。即ち、ハウジング3の円筒穴40に取り付けられたLAN雄コネクタ部1を回転し且つ円筒穴40の係合突起42に他の溝14を嵌め合わせる。この状態で、LANケーブル5をハウジング3に接続し、雄コネクタ部1を装置や壁面のLAN挿入穴に差し込む。これにより、装置や壁面の左右方向に沿ってLANケーブル5を這わせることができる。この雄コネクタ部10の回転位置は、図2(B)で説明したように、90度、180度以外にも他の角度(例えば、45度、135度等)も可能である。
【0024】
このように、通信用コネクタが、LANケーブル5の方向を変換するため、比較的剛性の高いケーブルを有するLANケーブルを、自由に装置の壁面に沿って配置でき、他の配線と交差したりして、配線が乱雑となることを防止でき、取り付け、取り外し作業を軽減できる。又、壁面に沿ったLANケーブルのレイアウトが可能となり、配線がすっきりした形となり、見た目も良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
通信用コネクタが、通信ケーブルの方向を変換するため、比較的剛性の高いケーブルを有する通信ケーブルを、自由に装置の壁面に沿って配置でき、他の配線と交差したりして、配線が乱雑となることを防止でき、取り付け、取り外し作業を軽減できる。又、壁面に沿った通信ケーブルのレイアウトが可能となり、配線がすっきりした形となり、見た目も良くなる。
【符号の説明】
【0026】
1 LAN雄コネクタ
2 接点ブロック
3 ハウジング
3A 第1のハウジング
3B 第2のハウジング
4、4A 接点ピン
5 LANケーブル
10 雄コネクタ
12 円筒型支持ブロック
14 位置決め溝
16 接続線
30 ケーブル挿入穴
40 円筒状挿入穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルが挿入され、前記通信ケーブルの雄コネクタと接続する雌コネクタを有するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記ハウジングの雌コネクタとケーブル接続し、前記通信ケーブルの挿入方向と異なる方向に突き出る雄コネクタ部とを有する
ことを特徴とする通信ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記雄コネクタ部は、装置又は壁面のケーブル挿入穴に嵌めこまれる雄コネクタと、前記雄コネクタを支持する円筒形状の支持ブロックを有し、前記ハウジングは、前記支持ブロックが嵌めこまれる円筒形の挿入穴を有する
ことを特徴とする請求項1の通信ケーブル用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−253038(P2012−253038A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185088(P2012−185088)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3164232号
【原出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(510064783)
【Fターム(参考)】