説明

通信サービスにおける地理的領域の価値を判定するサーバ装置及びプログラム

【課題】通信サービスの実際の利用状況に対応させて、通信サービスにおける各領域の価値を評価するサーバ装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置は、複数の無線装置から複数のログ情報を取得して保存し、ログ情報が示す2つの位置を結ぶ線に対してクラスタリング解析を行うことで、サービス提供エリアを複数の領域に分割し、複数の領域のそれぞれをノードとし、ログ情報をノード間のリンクに対応させ、各領域間のリンクには、該リンクに対応するログ情報の数が大きい程高くなる値を割り当てて、ネットワーク分析における隣接行列を生成し、隣接行列から各領域の中心性を算出し、領域の価格を、該領域の中心性が高い程高くなる様に算出し、ログ情報は無線装置の位置と、該無線装置のユーザによる操作から判定された当該ユーザの関心位置を示す情報を含む第1のログ種別を少なくとも含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信サービスにおける情報提示等のための地理的領域の価値を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話等、無線ネットワーク経由で通信を行う無線装置には、カメラ機能、全地球測位システム(GPS)を利用した測位機能、さらに、加速度及び地磁気センサ等が搭載されており、これら機能を利用した拡張現実(AR:Augment Reality)サービスが提供されている。拡張現実サービスにおいては、例えば、ユーザが無線装置のカメラ機能を利用して、新たに発売された音楽アルバム(CD)の看板を撮影すると、ディスプレイ上に、その音楽アルバムの試聴ボタンや購入ボタン等を含む広告が表示され、ユーザが試聴ボタンをタップすることで、各楽曲を視聴し、購入ボタンをタップすることで実際に音楽アルバムを購入したりできる。
【0003】
この様に、拡張現実サービスにおいては、ある位置又は地理的領域に関連する広告が予めネットワーク上の拡張現実サービス用の装置に格納されており、無線装置からユーザが撮影している方向を特定するためのデータを受信すると、拡張現実サーバ用の装置は、その撮影領域に含まれる広告を表示するための情報を当該無線装置に送信している。ここで、各位置又は領域の広告表示における価値(以下、通信サービスにおける地理的領域の価値を地価と表現する。)を、何らかの方法で評価することが必要とされている。
【0004】
ここで、特許文献1には、無線装置の測位機能を利用して各無線装置の移動ベクトルを算出して各位置のランク付けを行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−156637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、人が集まる場所についての情報を得ることができるのみであり、単に人が集まる場所を、拡張現実サービスにおける地価算出の基礎とすることは、地価の判断基準としては不十分である。これは、拡張現実サービスにおいては、実際に無線装置を拡張現実サービスの端末として利用する人、つまり、拡張現実サービスに対応するアプリケーションを立ち上げて、カメラ機能により撮影し、ディスプレイに広告等を表示する人の割合が少なければ、たとえ多くの人が集まったとしても何の意味も持たないからである。
【0007】
つまり、実際の拡張現実サービスの利用状況に対応させて、各地理的領域の価値を判定することが望まれている。また、拡張現実システム以外でも、所謂、位置ゲーや位置連動広告等の各種通信サービスにおいては、ある地理的領域に対する価値を、その通信サービスの利用状況に対応させて評価することが望まれている。
【0008】
したがって、本発明は、通信サービスの実際の利用状況に対応させて、通信サービスにおける各地理的領域の価値を評価するサーバ装置及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるサーバ装置は、複数の無線装置から、サービス提供エリア内の2つの位置を示す情報を有する複数のログ情報を取得して保存する保存手段と、前記複数のログ情報のそれぞれを、ログ情報が示す2つの位置を結ぶ線に対応させ、前記複数のログ情報に対応する複数の線に対してクラスタリング解析を行うことで、サービス提供エリアを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記複数の領域のそれぞれをノードとし、ログ情報を、該ログ情報に含まれる一方の位置を含む第1の領域と、該ログ情報に含まれる他方の位置を含む第2の領域との間のリンクに対応させ、各領域間のリンクには、該リンクに対応するログ情報の数が大きい程高くなる値を割り当てて、ネットワーク分析における隣接行列を生成する行列生成手段と、前記隣接行列から各領域の中心性を算出する中心性算出手段と、領域の価格を、該領域の中心性が高い程高くなる様に算出する価格算出手段と、を備えており、前記ログ情報は、無線装置の位置と、該無線装置のユーザによる操作から判定された該ユーザの関心位置を示す情報を含む第1のログ種別を少なくとも含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
実際に無線装置が通信サービスの提供を受けているときのユーザの関心位置を含むログ情報により領域分割を行い、中心性を求める。このときの中心性の値が大きい領域は、通信サービスにおいて、多くのユーザが注目する領域とみなすことができ、よって、地理的領域の価値を実際の通信サービスの利用状況に応じて評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態による地価判定システムの概略構成図。
【図2】一実施形態による無線装置の概略構成図。
【図3】領域の説明図。
【図4】領域分割の説明図。
【図5】リンク行列の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、通信サービスが拡張現実サービスであるものとして本実施形態の説明を行う。図1は、本実施形態における地価判定システムの概略構成図であり、システムは、サーバ装置100と、複数の無線装置200を含み、各無線装置200とサーバ装置100は、無線ネットワーク300経由で通信可能となっている。なお、無線ネットワーク300と、各無線装置200は、無線により通信を行うが、サーバ装置100と無線ネットワーク300との通信は有線でも無線でも良い。なお、無線ネットワーク300には、無線装置200が、拡張現実システムに対応するアプリケーションを立ち上げて、拡張現実システムの端末として動作している場合に、無線装置200に対して広告等を表示させるためのデータを送信する装置等も接続されているが、本発明の説明に必要が無いため、図1からは省略されている。
【0013】
図2は、無線装置200の概略構成図である。無線装置200は、GPS、又は、無線で通信している無線ネットワーク300の基地局又はアクセスポイントの位置等を利用して無線装置200の位置を判定する位置判定部22と、加速度センサ23及び地磁気センサ24を備えている。良く知られている様に、加速度センサ23及び地磁気センサ24を利用することで、無線装置200の現在の方向、例えば、無線装置200が搭載するカメラのレンズが向いている方向等を判定することができる。また、操作ログ取得部25は、ユーザの無線装置200の操作内容を取得する。
【0014】
ログ送信部21は、位置判定部22、加速度センサ23、地磁気センサ24及び操作ログ取得部25からの情報に基づき、ログ情報を繰り返しサーバ装置100に送信する。なお繰り返しの間隔等は任意である。ここで、送信するログ情報は、移動ログと、関心ログの2つの種別に分類される。
【0015】
移動ログとは、所定の期間における無線装置200の最初の位置と、最後の位置の2つの位置を含むログ情報である。つまり、位置判定部22が前回測定した無線装置200の位置と、今回測定した無線装置200の位置を含む情報である。例えば、前回の無線装置200の緯度及び経度が(X1,Y1)であり、今回の無線装置200の緯度及び経度(X2,Y2)であると、移動ログは、位置(X1,Y1)及び位置(X2,Y2)を含む情報となる。無線装置200は、この移動ログを、繰り返しサーバ装置100に送信する。なお、位置判定部22の測定周期については任意である。また、ログ送信部21が、位置判定部から連続して位置情報を取得する場合には、ログ送信部21が所定のタイミングの位置情報を選択してログ情報とすることもできる。なお、以下の説明において特に断りのない限り、位置を(緯度,経度)で表示する。
【0016】
関心ログとは、ユーザが、無線装置200を、拡張現実システムの端末として使用し、実際にカメラをある方向に向けた場合における、無線装置200の位置と、カメラがフォーカスしているフォーカス位置を含む情報である。なお、フォーカス位置は、ユーザの無線装置200に対する所定の操作から判定される、当該ユーザが関心を持っている位置(関心位置)と看做すことができる。つまり、例えば、ユーザが位置(X3,Y3)において、位置(X4,Y4)にある対象物にカメラのフォーカスをあわせた場合、関心ログ情報は、位置(X3,Y3)及び位置(X4,Y4)を示す情報を含むものになる。なお、位置(X4,Y4)は、カメラのレンズの向きと、操作ログ取得部25が取得するカメラの操作情報と現在の位置(X3,Y3)から決定することができる。なお、関心ログの場合、ユーザが位置(X4,Y4)にある対象物に対してカメラのフォーカスをあわせた期間についての情報もログ情報に含めることができる。また、無線装置200を、拡張現実システムの端末として使用しているユーザが、実際に拡張現実システムによってディスプレイに表示された広告等の情報に対して何らかの操作を、例えば、商品の購入操作を行った場合には、その操作内容を示す情報もログ情報に含めることができる。
【0017】
続いて図1に戻り、サーバ装置100の各機能について説明する。ログ収集部15は、複数の無線装置200が送信するログ情報を取得してログ保存部16に保存する。領域分割部13は、まず、起動時、ログ保存部16が保存しているログ情報に基づき、サービス提供エリア、例えば、日本全体を、複数の領域に分割する。なおこのとき、領域分割部13は、所定の期間、例えば、過去1週間、1カ月又は1年のログ情報を使用する。以下に、領域分割について詳細に説明する。
【0018】
図3は、領域分割部13が生成する各領域の説明図である。まず、本実施形態において領域は階層構造を取ることができる。図3において、参照符号4は、例えば、日本といったサービス提供エリア全体を表しており、これがまず4つの領域A、B、C及びDに分割されている。この領域A、B、C及びDを最上位領域(1次領域)と呼ぶ。なお、図3の各領域は実際の大きさを表すものではなく、各領域は同じ大きさである必要はない。さらに、図3において、領域Dは、さらに16個の領域に分割されており、これを2次領域と呼ぶ。さらに2次領域D16は、16個の3次領域に分割されている。
【0019】
続いて、図4を用いて、領域分割部13が、サービス提供エリア全体をどの様に図3に示す様な領域に分割するのかについて説明する。上述した様に、無線装置200からのログ情報は、いずれも、2つの位置を示す情報を含むものであり、この2つの位置を結ぶ線を考える。また、各ログ情報には関連する重み値を与える。例えば、移動ログは重み値1とし、関心ログは重み値2とし、さらに、関心ログで、ユーザが購入等の操作を行った旨の情報が付加されている場合には重み値をより高く、例えば、重み値3とする。なお、これら重み値は例示であり、例えば、関心ログは、無線装置200のユーザが対象物に対してカメラのフォーカスをあわせた期間が長いほど、高い値とすることもできる。ただし、移動ログよりも関心ログの重み値を高くし、関心ログにおいては、ユーザが購入等の操作を行った旨の情報が付加されている場合には付加されていない場合より重み値を高くすることが望ましい。図4の各線は、それぞれ、ログ情報に対応しており、各線の値は重み値を表している。
【0020】
領域分割部13は、図4に示す線に対していわゆるX−MEANS法によりクラスタリング解析を行うことで最上位領域を決定する。具体的には、まず適当に2つの位置(点)を決め、各線をこの2つの点のどちらに近いかに応じて2つのグループに分ける。続いて、同じグループに属する線との平均的な距離が最も近くなる点を各グループについて求める。この求めた2つの点との距離に基づき再度、各線をグループ分けする。この処理を、2つの点の位置が収束するまで繰り返すことで、各線を2つのグループに分ける。図4は、最終的に点51及び52に収束し、5つの線を含む領域41と、3つの線を含む領域42に分割されている状態を示している。なお、領域41と領域42に跨る線は、領域41に含まれているものとする。
【0021】
なお、点と各線の距離は、例えば、点と線の中心との距離とすることができる。また、点から線の2つの端点までの2つの距離のうち短い方の距離とすることができる。また、点から線に垂線を引き、垂線の長さをその距離とすることもできる。また、上記クラスタリングで2つの点に収束後、領域41及び42の境界を決定する必要があるが、各領域には、その領域に対応する点と、その領域に属する総ての線の一方の端点(つまり、ログ情報の一方の位置)が含まれている限り、任意に領域の境界を決定することができる。
【0022】
続いて、領域分割部13は、分割により得た各領域について、分割停止条件に合致するか否かを判定する。本実施形態において、分割停止条件は、各領域に属する線の重み値の合計が閾値以下となった場合とする。例えば、閾値を4とすると、領域42に属する線の重み値の合計は3であるため、分割停止条件に合致し、よって、領域42は、これ以上の分割を行わない。これに対して、領域41に属する線の重み値の合計は8であるため、分割停止条件には合致せず、領域42は、再度、上述した方法により2つに分割される。総ての領域が分割停止条件に合致した場合、分割処理はそこで中止され、最上位領域が確定する。なお、総ての領域が分割停止条件に合致しなくとも、予め定めた数の領域(例えば、256個)に分割されると、その時点で分割処理を中止する構成であっても良い。
【0023】
続いて、領域分割部13は最上位の各領域について、さらに、2次領域に分割するか否かを判定する。このとき、行列生成部14が生成するリンク行列を使用する。図5は最上位行列に対応するリンク行列を示す図である。なお、リンク行列は、ネットワーク分析における重み付きの隣接行列に対応する。つまり、最上位の各領域をノードとし、ログ情報が示す2つの位置を各領域間のリンクに対応させる。具体的には、ログ情報の第1の位置が第1の領域に含まれ、当該ログ情報の第2の位置が第2の領域に含まれる場合、このログ情報を第1の領域と第2の領域とを結ぶリンクに対応させる。そして、第1の領域と第2の領域とを結ぶリンクに対応する総てのログ情報の重み値の合計を、第1の領域と第2の領域とを結ぶリンクの値、つまり、第1の領域に対応する行の第2の領域に対応する列の要素と、第2の領域に対応する行の第1の領域に対応する列の要素の値とする。なお、例えば、第3の領域と第4の領域間のリンクに対応するログ情報が無い場合、当該リンクの値を0とする。
【0024】
例えば、最上位の領域が図3に示す様に領域A、B、C及びDの4つであるものとすると、リンク行列は4×4の行列であり、i行j列の要素nijは、一方の位置が領域iであり、他方の位置が領域jに含まれるログ情報の重み値の合計となる。つまり、領域i及び領域jに跨るリンクに対応するログ情報の重み値の合計となる。なお、i行i列の要素niiは、同じ領域内で閉じたリンクに対応するログ情報の重み値の合計となる。具体的には、図5において、2つの位置が共に領域A内にあるログ情報の重み値の合計が5であり、一方の位置が領域A内であり、他方の位置が領域B内にあるログ情報の重み値の合計が2であることが示されている。ここで、図5の対角成分は、2つの位置が共に同じ領域内に存在するログ情報であり、この値が大きいことは、同じ領域内に多くのログ情報が存在することを意味する。したがって、対角成分の値が所定値以上の領域は、領域内のログ数を平均化するためにさらに分割する。例えば、この分割閾値を10とすると、図5においては、領域Dのみが2次領域へと分割される。
【0025】
2次領域への分割は、例えば、元の領域を所定数(例えば、256個)の領域に等間隔、つまり同じ大きさに分割することにより行う。この様にしてできた2次領域について、リンク行列生成部14は、2次領域に対応するリンク行列を求め、領域分割部13は、各領域について、3次領域に分割するか否かを、2次領域への分割と同様に判定する。なお、例えば、図3の領域Aも領域Dと同様に、2次領域に分割された場合、リンク行列生成部14は、領域Aの2次領域のリンク行列と、領域Dの2次領域のリンク行列をそれぞれ生成することになる。この様に、領域分割部13は、リンク行列の対角成分が所定値未満となるまで下位領域への分割を繰り返すことで、領域分割を行う。
【0026】
この様に、リンク行列生成部14が生成する行列は、各領域間の人の移動に加えて、拡張現実システムにおける各領域間の繋がりの程度を示すものであり、ネットワーク分析における中心性が高い領域ほど、広告提示のための位置又は領域としての価値が高いことになる。なお、中心性には、次数中心性等があるが、本実施形態においては、例えば、ボナチッチにより提案された固有ベクトル中心性を使用する。中心性算出部12は、よって、行列生成部14が生成した各次数のリンク行列の最大固有値に対応する固有ベクトルを求め、固有ベクトルの各要素の値を対応する領域の中心性値とする。例えば、図3の最上位領域(1次領域)は、4行4列の行列となり、その固有ベクトルが(M1,M2,M3,M4)であるとすると、領域A、B、C及びDの中心性値は、それぞれ、M1,M2,M3,M4となる。また、領域Dの2次領域は、16行16列の行列となり、その固有ベクトルが(L1,L2,・・・,L16)であると、領域D1の中心性値はL1となり、領域D16の中心性値はL16となる。さらに、領域16の3次領域は、16行16列の行列となり、その固有ベクトルが(L17,L18,・・・,L32)であると、領域D17の中心性値はL17となる。
【0027】
そして、価格算出部11は、各領域の価格を決定するための価格基礎値を、
1/(|k1*logC|*|k2*logC’|*|k3*logC’’|・・・)
により求める。ここで、Cは、最上位領域の中心性値、C’は、2次領域の中心性値、C’’は、3次領域の中心性値である。また、k1、k2、k3は重みを示す係数である。例えば、上記例では、領域D17の価格基礎値は、
1/(|k1*logM4|*|k2*logL16|*|k3*logL17|)
となる。なお、2次領域で分割が止まっているものについては、3次領域の中心性値が分割数である1/16であるものとして計算を行う。つまり、領域D1の価格基礎値は、
1/(|k1*logM4|*|k2*logL1|*|k3*log(1/16)|)
となる。同様に、1次領域で分割が止まっているものについては、2次領域及び3次領域の中心性値が、それぞれ、分割数である1/16であるものとして計算を行う。つまり、領域Aの価格基礎値は、
1/(|k1*logM1|*|k2*log(1/16)|*|k3*log(1/16)|)
となる。
【0028】
なお、価格基礎値は、その領域の広告提示における価値を示す指標となり、その値が高い程、価値が高いことになる。そして、価格算出部11は、各領域の価格基礎値に、例えば、所定の係数を乗ずることにより各領域の広告提示のための価格を算出する。
【0029】
なお、本実施形態において、領域分割部13は、所定の周期、例えば、1日毎に、上記処理を繰り返して領域の再分割を行い、これにより中心性算出部12及び価格算出部11は、価格を更新する。なお、このとき使用するログ情報は、上記と同様に、所定の期間、例えば、過去1週間、1カ月又は1年のログ情報を使用する。この構成により、ユーザの行動の変化に応じた価格設定が可能になる。また、本実施形態においては、リンク行列の対角成分の重み値に基づきさらなる分割を行うか否かを判定する。これにより、ログ情報が少ないところについて、不必要に領域を分割し、これにより、行列処理等の負荷を不必要に重くすることを防ぐことができ、よって、動的に価格設定を行うことが可能になる。
【0030】
なお、本発明によるサーバ装置は、コンピュータを上述したサーバ装置として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。さらに、本発明は、ハードウェア及びソフトウェアの組合せによっても実現可能である。また、上述した実施形態において、ログ情報をリンクに対応させるにあたり無向リンクとしていたが、有向リンクとすることもできる。さらに、価格を固有ベクトル中心性により決定していたが、他の中心性を用いることができる。また、領域分割部13は、X−MEANS法を使用してサービス提供エリアを分割していたが、K−MEANS法等の他のクラスタリング解析を使用することもできる。
【0031】
なお、拡張現実サービスに基づき説明を行ったが、本発明は、位置ゲーや位置連動広告等、ユーザが無線装置200に対して何らかの位置に関する情報に対する操作を行う通信サービスに適用することができる。例えば、位置連動型広告の場合、表示されたある位置の広告をユーザが閲覧する操作を行った場合における、当該広告に関連付けられた位置を関心ログ情報の関心位置とすることができる。また、位置ゲーの場合には、ユーザが、ゲームに関して無線装置200に表示されたある位置に対する操作を行った場合に、当該位置を関心位置とすれば良い。つまり、本発明は、ユーザが、無線装置200に対して、位置に関する操作を行う通信サービスに提供でき、その操作対象の位置が関心位置となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線装置から、サービス提供エリア内の2つの位置を示す情報を有する複数のログ情報を取得して保存する保存手段と、
前記複数のログ情報のそれぞれを、ログ情報が示す2つの位置を結ぶ線に対応させ、前記複数のログ情報に対応する複数の線に対してクラスタリング解析を行うことで、サービス提供エリアを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記複数の領域のそれぞれをノードとし、ログ情報を、該ログ情報に含まれる一方の位置を含む第1の領域と、該ログ情報に含まれる他方の位置を含む第2の領域との間のリンクに対応させ、各領域間のリンクには、該リンクに対応するログ情報の数が大きい程高くなる値を割り当てて、ネットワーク分析における隣接行列を生成する行列生成手段と、
前記隣接行列から各領域の中心性を算出する中心性算出手段と、
領域の価格を、該領域の中心性が高い程高くなる様に算出する価格算出手段と、
を備えており、
前記ログ情報は、無線装置の位置と、該無線装置のユーザによる該無線装置の操作から判定された関心位置を示す情報を含む第1のログ種別を少なくとも含む、
サーバ装置。
【請求項2】
前記複数のログ情報にはそれぞれ重み値が割り当てられ、
前記リンクに割り当てる値は、該リンクに対応するログ情報の重み値の合計である、
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記ログ情報は、所定の期間における無線装置の最初の位置と最後の位置の2つの位置を示す情報を有する第2のログ種別を含む、
請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記領域分割手段は、前記行列生成手段が生成した隣接行列の対角成分のうち、閾値より大きい対角成分に対応する領域を、所定の数の2次領域にさらに分割する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記行列生成手段は、前記2次領域に対応する隣接行列を生成し、
前記領域分割手段は、前記2次領域に対応する隣接行列の対角成分のうち、前記閾値より大きい対角成分に対応する領域を、前記所定の数の3次領域にさらに分割する、
請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記領域分割手段は、X−MEANS法を使用することで該サービス提供エリアを複数の領域に分割する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記領域分割手段は、X−MEANS法を使用することで前記複数の線のそれぞれが属する領域を判定し、領域に属する線の数が大きい程高くなる値を該領域に割り当てて、該領域に割り当てられた前記値が所定値以下となると、該領域の分割を停止する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記中心性算出手段が算出する中心性は、固有ベクトル中心性である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記ログ情報は、前記第1のログ種別である場合、前記無線装置のディスプレイに表示された前記ユーザの関心位置に関する情報に対してユーザが操作を行ったか否かの情報を有しており、
ユーザが操作を行った場合における前記第1のログ種別のログ情報の重み値は、ユーザが操作を行わなかった場合における前記第1のログ種別のログ情報の重み値より高い、
請求項1から8のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記関心位置は、拡張現実サービスを使用している無線装置のカメラがフォーカスしているフォーカス位置である、
請求項1から9のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記ログ情報は、前記第1のログ種別である場合、前記フォーカス位置にフォーカスさせた期間を示す情報を有しており、
前記第1のログ種別のログ情報の重み値は、前記期間が長いほど高い、
請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のサーバ装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−58176(P2013−58176A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197675(P2011−197675)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)