説明

通信サービス制御システム及び方法、サービス制御装置、通信交換機、移動通信端末

【課題】通信交換機及び無線基地局の処理負荷を軽減した、通信終了後の情報配信技術を提供する。
【解決手段】サービス制御装置4の判定部41が、通信終了後に情報を配信するか判定する(S4)。サービス制御装置の通信部42は、通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知に出力する(S5)。情報配信通知は、通信交換機3の情報配信通知記憶部31に記憶される。通信交換機3の接続継続部32は、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されている場合には、通信終了時に少なくとも移動通信端末1と通信交換機3との間の接続を継続させる(S10)。サービス制御装置4の配信部43は、接続が継続された状態において、移動通信端末1に情報を配信する(S14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体通信において通信サービスを提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オペレータからユーザに向けて情報を通知するサービスが多く存在している。例えば、圏外時に着信があった場合、圏内復帰後に着信があった旨をSMS (Short Message Service)を用いて通知するサービスや(例えば、非特許文献1参照。)、ユーザのいる場所や時間に応じた情報を配信するiコンシェルと呼ばれるサービスなどが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0003】
上記非特許文献1及び2には記載されてはいないが、上記のようなオペレータからユーザに向けて情報を通知するサービスの一形態として、ユーザの通話等の通信の終了を契機に何かしらの情報を配信するサービスが提供されることが考えられる。例えば、接続単位でパケット量をカウントし通信終了と同時にパケット量を通知するサービスや、通話中に第三者から着信があった場合に通話終了とともに着信があったことを知らせるサービスが考えられる。
【0004】
この際、一度通信を終了しているため情報の配信を行うためには、移動通信端末と接続処理を再度行う必要がある。すなわち、移動通信端末が在圏している通信交換機からPaging信号をその移動通信端末に送信し、その移動通信端末からの応答信号に応じて従来の接続処理を再度行うことが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】NTT docomo、”着信通知サービス”、[online]、[平成23年11月8日検索]、インターネット<http://www.nttdocomo.co.jp/service/communication/incoming_info/>
【非特許文献2】NTT docomo、”着信通知サービス”、[online]、[平成23年11月8日検索]、インターネット<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/service/customize/iconcier/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように通信終了後の情報配信のために接続処理を再度行うと、通信交換機及び無線基地局の処理負荷を増大させることになる。
【0007】
この発明の課題は、通信交換機及び無線基地局の処理負荷を軽減した通信サービス制御システム及び方法、サービス制御装置、通信交換機、移動通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一態様による通信サービス制御システムは、通信終了後に情報を配信するか判定する判定部と、通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知を出力する通信部と、情報配信通知が記憶される情報配信通知記憶部と、情報配信通知記憶部に情報配信通知が記憶されている場合には、通信終了時に少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続を継続させる接続継続部と、接続が継続された状態において、移動通信端末に情報を配信する配信部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
通信終了後の接続が継続された状態において情報配信を行うことにより、接続処理を再度行う必要がなくなるため、通信交換機及び無線基地局の処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】通信サービス制御システムの例を説明するためのブロック図。
【図2】通信サービス制御システムの変形例を説明するためのブロック図。
【図3】通信サービス制御方法の例を説明するための流れ図。
【図4】通信サービス制御方法の変形例を説明するための流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。
【0012】
以下、通信として、移動通信端末1とインターネット6との間でパケット通信が行われる場合を例に挙げて説明をする。もちろん、通信は、音声通話等の他の通信であってもよい。
【0013】
通信サービス制御システムは、図1に例示するように、移動通信端末1、無線基地局2、通信交換機3、サービス制御装置4及びゲートウェイ装置5を含み、これらの装置から構成されるネットワークにて実現される。ゲートウェイ装置5は、インターネット6に接続されている。
【0014】
移動通信端末1は、携帯電話、データカード型通信端末を具備したPC、PHS、ポケットベル、タブレット端末、成人識別用非接触ICカードシステムが採用されている自動販売機に搭載されている携帯電話モジュール等の携帯電話回線を利用できる通信機器等の通信機器である。また、移動通信端末1は、通信可能なゲーム機器、通信可能な家電であってもよい。
【0015】
無線基地局2は、3Gアクセスを収容するRNC(Radio Network Controller)、LTE(Long Term Evolution)アクセスを収容するeNB(eNodeB)等である。
【0016】
通信交換機3は、SGSN(Serving GPRS Support Node)、MME(Mobility Management Entity)、S−GW(Serving Gateway)等である。図1の例では、通信交換機3に、情報配信通知記憶部31及び接続継続部32が備えられている。
【0017】
サービス制御装置4は、図1のように、判定部41、通信部42及び配信部43を備える。後述するように、サービス制御装置4が、通信終了後に移動通信端末1に情報を配信するかどうかを判定し、接続が継続された状態において移動通信端末1に情報を配信する。サービス制御装置4は、通信交換機3及びゲートウェイ装置5に接続されており、これらの装置と通信可能である。
【0018】
ゲートウェイ装置5は、GGSN(Gateway GPRS Support Node)、P−GW(PDN Gateway)等である。
【0019】
以下、図3を参照しながら説明する。移動通信端末1が、インターネット6とパケット通信をしようとする場合、移動通信端末1は、パケット接続要求をゲートウェイ装置5に送信する(ステップS1)。パケット接続要求の送信は、無線基地局2及び通信交換機3を経由して行われる。
【0020】
パケット通信の接続が許容される場合は、ゲートウェイ装置5は、パケット接続応答信号を応答として移動通信端末1に送信する(ステップS2)。応答の送信は、通信交換機3及び無線基地局2を経由して行われる。
【0021】
また、ゲートウェイ装置5は、移動通信端末1のユーザ識別情報を含むパケット接続完了通知をサービス制御装置4に送信する(ステップS3)。ユーザ識別情報は、電話番号等のユーザを一意に識別できる情報のことである。
【0022】
パケット接続完了通知を受信したサービス制御装置4の判定部41は、このパケット通信の終了後に移動通信端末1に情報を配信するか否かの判定を行う(ステップS4)。情報を配信しないと判定された場合には、サービス制御装置4は処理を終了する。情報を配信すると判定された場合には、サービス制御装置4の通信部42は、移動通信端末1のユーザ識別情報を含む情報配信通知を通信交換機3に送信する(ステップS5)。情報配信情報は、通信終了後に情報を配信することを表す通知である。
【0023】
通信終了後に移動通信端末1に配信する情報とは、例えば通信で送受信されたパケット量のことである。通信が音声通話である場合には、通信終了後に移動通信端末1に配信する情報とは、例えば音声通話中に第三者から着信があったことを知らせる情報のことである。
【0024】
判定部41は、例えば、終了後に情報を配信する通信についての情報が予め登録されたデータベースに基づいて、通信の終了後に情報を配信するかどうかの判定を行う。この場合、ゲートウェイ装置5から受信したパケット接続完了通知に含まれるユーザ識別情報で通信を特定し、その特定された通信をキーとしてデータベースを検索することにより、通信の終了後に情報を配信するか判定する。データベースに登録された情報を適宜変更することで、様々な配信情報に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0025】
通信交換機3は、情報配信通知を受信した場合、その受信した情報配信通知を情報配信通知記憶部31に記憶する(ステップS6)。
【0026】
移動通信端末1は、ゲートウェイ装置5からの応答を受信した後に、インターネット6とパケット通信を行う(ステップS7)。
【0027】
移動通信端末1は、パケット通信終了するときに、パケット通信の切断要求を通信交換機3に送信する(ステップS8)。切断要求の送信は、無線基地局2を経由して行われる。
【0028】
通信交換機3は、切断要求を受信した場合、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されているか判定する(ステップS9)。すなわち、パケット通信の終了後に情報配信があるか否かを判定する。
【0029】
通信交換機3は、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されていない場合には、通信の切断処理を実行する。
【0030】
通信交換機3の接続継続部32は、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されている場合には、パケット通信終了時に少なくとも移動通信端末1と通信交換機3との間の接続を継続させる(ステップS10)。具体的には、接続継続要求を移動通信端末1に送信する。また、この場合、通信交換機3は、情報の配信を要求することを表す信号である情報配信要求をサービス制御装置4に送信する(ステップS11)。
【0031】
なお、この実施形態では、移動通信端末1と通信交換機3との間の接続だけではなく、移動通信端末1と通信交換機3との間の接続を含む移動通信端末1とゲートウェイ装置5との間の接続を継続している。
【0032】
サービス制御装置4の配信部43は、情報配信要求を受信した場合、移動通信端末1に配信する情報を取得し(ステップS12)、移動通信端末1に向けて情報を配信する(ステップS13)。この情報の配信は、無線基地局2及び通信交換機3を経由して行われる。また、この情報の配信は、通信終了後の接続が継続された状態において行われる。
【0033】
サービス制御装置4は、移動通信端末1に配信する情報を取得するために、必要に応じて情報配信用のサーバ等から配信する情報を得てもよいし、サービス制御装置4自身が配信する情報を作成してもよい。
【0034】
サービス制御装置4は、移動通信端末1への情報の配信が終了すると、情報配信応答を通信交換機3に送信する(ステップS14)。情報配信応答は、移動通信端末1への情報の配信が終わったということを表す信号である。
【0035】
通信交換機3は、情報配信応答信号を受信した場合、切断要求を移動通信端末1に送信するとともに(ステップS15)、切断要求をゲートウェイ装置5に送信する(ステップS16)。
【0036】
移動通信端末1及びゲートウェイ装置5は、切断要求を受信した後に、接続の切断処理を行う。
【0037】
このように、通信終了後の接続が継続された状態において情報配信を行うことにより、接続処理を再度行う必要がなくなるため、通信交換機及び無線基地局の処理負荷を軽減することができる。
【0038】
[変形例等]
上記の例では通信がパケット通信である場合の動作を記述したが、通信が音声通話である場合においてもサービス制御装置4及び通信交換機3にて同様の制御を行うことで、同様の効果を得ることができる。
【0039】
上記の例では、情報配信通知記憶部31及び接続継続部32は通信交換機3に備えられており、サービス制御装置4から通信交換機3に対して通信終了後の情報配信有無を通知し、通信交換機3にて接続継続の制御を行っている。しかし、この発明は、このような方式に限定されず、例えば移動通信端末1で情報配信時の接続継続処理を行ってもよい。この場合、図2に例示するように、情報配信通知記憶部31及び接続継続部32は、通信交換機3ではなく移動通信端末1に備えられる。
【0040】
以下、図4を参照しながら、上記の例と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
移動通信端末1は、上記の例と同様にして、パケット接続要求をゲートウェイ装置5に送信する(ステップS1)
パケット接続要求を受信したゲートウェイ装置5は、ステップS2の処理の前に、移動通信端末1に配信する情報があるか否かを確認する旨の信号である情報配信有無確認信号をサービス制御装置4に送信する(ステップS3’)。
【0042】
サービス制御装置4は、上記の例と同様にして、移動通信端末1に通信終了後に情報を配信するか否かを判定する(ステップS4)。
【0043】
サービス制御装置4の通信部42は、情報を配信すると判定された場合には、移動通信端末1のユーザ識別情報を含む情報配信通知を、ゲートウェイ装置5に送信する(ステップS5)。
【0044】
ゲートウェイ装置5は、情報配信通知を受信した場合には、情報配信通知を含めた応答を移動通信端末1に送信する(ステップS2)。情報配信通知を含めた応答とは、例えば、「配信あり」という設定をしたパケット接続応答信号のことである。
【0045】
移動通信端末1は、情報配信通知を受信した場合、その受信した情報配信通知を情報配信通知記憶部31に記憶する(ステップS6)。
【0046】
その後、移動通信端末1は、上記の例と同様にして、インターネット6とパケット通信を行う(ステップS7)。
【0047】
移動通信端末1は、パケット通信終了するときに、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されているか判定する(ステップS9)。
【0048】
移動通信端末1は、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されていない場合には、通信の切断処理を実行する。
【0049】
移動通信端末1の接続継続部32は、情報配信通知記憶部31に情報配信通知が記憶されている場合には、パケット通信終了時に少なくとも移動通信端末1と通信交換機3との間の接続を継続させる。また、この場合、移動通信端末1は、情報の配信を要求することを表す信号である情報配信要求をサービス制御装置4に送信する(ステップS11)。情報配信要求の送信は、無線基地局2及び通信交換機3を経由して行われる。
【0050】
サービス制御装置4の配信部43は、情報配信要求を受信した場合、上記の例と同様にして、移動通信端末1に配信する情報を取得し(ステップS12)、移動通信端末1に向けて情報を配信する(ステップS13)。この情報の配信は、通信終了後の接続が継続された状態において行われる。
【0051】
移動通信端末1は、情報の配信の終了後に、切断要求をゲートウェイ装置5に送信することにより、接続の切断処理を行う(ステップS15)。
【0052】
サービス制御装置4は、通信交換機3又はゲートウェイ装置5に備えられていてもよい。同様に、サービス制御装置4を構成する判定部41、通信部42及び配信部43は、必ずしも同じ装置に備えられている必要はなく、異なる装置に備えられていてもよい。
【0053】
また、情報配信通知記憶部31及び接続継続部32も、必ずしも同じ装置に備えられている必要はなく、異なる装置に備えられていてもよい。
【0054】
この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。また、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 移動通信端末
2 無線基地局
3 通信交換機
31 情報配信通知記憶部
32 接続継続部
4 サービス制御装置
41 判定部
42 通信部
43 配信部
5 ゲートウェイ装置
6 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信終了後に情報を配信するか判定する判定部と、
通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知を出力する通信部と、
上記情報配信通知が記憶される情報配信通知記憶部と、
上記情報配信通知記憶部に上記情報配信通知が記憶されている場合には、上記通信終了時に少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続を継続させる接続継続部と、
上記接続が継続された状態において、上記移動通信端末に上記情報を配信する配信部と、
を含む通信サービス制御システム。
【請求項2】
通信終了後に情報を配信するか判定する判定部と、
通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知を出力する通信部と、
上記通信終了後の、少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続が継続された状態において、上記移動通信端末に上記情報を配信する配信部と、
を含むサービス制御装置。
【請求項3】
通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知が記憶される情報配信通知記憶部と、
上記情報配信通知記憶部に上記情報配信通知が記憶されている場合には、上記通信終了時に少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続を継続させて、サービス制御装置に対して上記移動通信端末に上記情報を配信させるようにする接続継続部と、
を含む通信交換機。
【請求項4】
通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知が記憶される情報配信通知記憶部と、
上記情報配信通知記憶部に上記情報配信通知が記憶されている場合には、上記通信終了時に少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続を継続させて、サービス制御装置に対して上記移動通信端末に上記情報を配信させるようにする接続継続部と、
を含む移動通信端末。
【請求項5】
判定部が、通信終了後に情報を配信するか判定する判定ステップと、
通信部が、通信終了後に情報を配信すると判定された場合には、通信終了後に情報を配信する旨の通知である情報配信通知を出力する通信ステップと、
接続継続部が、情報配信通知記憶部に上記情報配信通知が記憶されている場合には、上記通信終了時に少なくとも移動通信端末と通信交換機との間の接続を継続させる接続継続ステップと、
配信部が、上記接続が継続された状態において、上記移動通信端末に上記情報を配信する配信ステップと、
を含む通信サービス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115533(P2013−115533A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258569(P2011−258569)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】