通信システム、基地局及び移動端末
【課題】パーシステントスケジューリングは、初期送信時に基地局2がリソースアロケーションを移動端末3に送信すると、基地局2はある期間そのリソースアロケーションを用いて移動端末3にリソースを割り当てる。しかし、トーク時と無音時で通信するデータ量が異なるので、トーク時から無音時に移行した場合にはリソースの無駄が生じる。
【解決手段】本発明は、パーシステントスケジューリングを用いた場合、トーク時から無音時に移行することを検出すると、無音時のリソースを無音時専用チャネルに割り当てるとともに、トーク時に移動端末に割り当てていたリソースを開放することとしたので、リソースの無駄な割り当てを削減でき、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【解決手段】本発明は、パーシステントスケジューリングを用いた場合、トーク時から無音時に移行することを検出すると、無音時のリソースを無音時専用チャネルに割り当てるとともに、トーク時に移動端末に割り当てていたリソースを開放することとしたので、リソースの無駄な割り当てを削減でき、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、「ロングタームエボリューション」("Long Term Evolution" LTE)と呼ばれる通信システムを構成する基地局と、通信時における基地局と移動端末間の通信制御方法、及び制御信号の通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代と呼ばれる通信方式のうちのW―CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式は、2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(HS-DSCH: High Speed-Downlink Shared Channel)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Down Link Packet Access)もサービスが開始された。現在、上り方向のデータ送信を高速化するためHSUPA(High Speed Up Link Packet Access)方式についても提案、検討されている。W―CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、現在リリース6版の規格書がとりまとめられている。
【0003】
また、3GPPにおいて、W―CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(LTE)、コアネットワークを含めたシステム全体構成については「システムアーキテクチャエボリューション」("System Architecture Evolution" SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW―CDMA(HSDPA/HSUPA)とは異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W―CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向にSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W―CDMAは5MHzを適用するのに対し、LTEでは1.25/2.5/5/10/15/20MHzを適用し得る。また、LTEでは、W―CDMAのような回線交換ではなく、パケット通信方式のみになる。
【0004】
LTEはW―CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio System GPRSと呼ばれる)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W―CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W―CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末UE(User Equipment)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB, eNodeBと記載されることもある)、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)はaGW(Access Gateway)と称される。このLTEの通信システムでは、E―MBMS(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と称されるマルチキャスト・放送型マルチメディアサービスのような1対多(Point to Multipoint)通信を実施するほか、複数の移動端末のうち個別の移動端末に対するユニキャスト(Unicast)サービスのような通信サービスも提供する。LTEではW―CDMAと異なり、トランスポートチャネル、物理チャネルでは個別の移動端末に向けた個別のチャネル(Dedicated Channel, Dedicated Physical Channel)は存在しないので、個別の移動端末へのデータ送信は共通チャネル(Shared Channel)で実施される。
【0005】
上りリンク、もしくは下りリンクでデータ送信が発生した場合、上りリンク、下りリンクそれぞれで、基地局と移動端末の通信を可能にするスケジューリングが行なわれる。例えば、下りスケジューリングでは、基地局は発生したデータのサイズや通信路品質に応じた無線リソースを移動端末に割り当て、目標品質やデータ速度に応じた変調方式や誤り訂正符号方法(MCS: Modulation and Coding scheme)を設定する。上りスケジューリングにおいては、移動端末が基地局に対して送信データが発生した場合、上りリンクの無線リソースを割り当てるよう要求する信号(上りスケジューリングリクエスト SR: Scheduling Request)を送信し、これを受けて、基地局が移動端末に対し、上りリンクの無線リソースを割り当てる。このような、無線リンクを介して、移動端末と基地局間の通信を可能にするためのスケジューリング制御に使用される制御信号には、「L3制御信号」(Layer3 control signaling, L3メッセージ)等の上位レイヤ信号と、「L1/L2制御信号」(Layer1/Layer2 control signaling)と呼ばれる信号がある。L3制御信号は、主に、呼接続(RRC Connect)発生時を含む初期送信時に、例えばRRCレイヤのような上位レイヤから通知される制御信号であり、下りリンクを介して、上りリンク、下りリンクのチャネル設定や無線リソースの割り当てを行う。一方、L1/L2制御信号は、上りリンク、下りリンク双方において、移動端末と基地局間で頻繁にやり取りされる制御信号であり、上りリンクで移動端末が基地局に対し、無線リソースの割り当てを要求する上りスケジューリングリクエスト信号や、呼接続発生時、継続時を含め、データサイズの変更や通信路の品質要求に合わせて無線リソースを不定期に変更する場合にも、L1/L2制御信号を使用する。L1/L2制御信号には、上りリンクもしくは下りリンクで基地局、または移動端末がデータを受信するとそのデータを受信できたか否かを相手に応答するAck/Nackや、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報CQI(Channel Quality Indicator)も含まれる。
【0006】
LTEのコアネットワークはパケット接続のネットワークであり、ユーザデータは音声などのリアルタイムデータを含めて全てパケット化されている。通常のパケットデータ送信の場合、そのデータにリアルタイム性は要求されておらず、データの内容により、送受信されるデータ速度が不定期に変化する。一方、音声のようなリアルタイムデータは、パケット化されても、データが通信相手にリアルタイムに再現される必要があるため、一定の間隔で所定のサイズのデータが定期的に発生する。よって、スケジューリングによる無線リソースの割り当てにおいて、通常のパケットデータ通信時と音声のようなリアルタイムデータの通信時には、異なるスケジューリング方法が必要になる。通常のパケットデータのように、データの内容により速度が変わり、高速通信にも対応する必要のあるデータに対しては、通信路品質やデータ速度(データサイズ)によって、TTI(=1ms)毎に無線リソースの設定をダイナミックに変更できるダイナミックスケジューリング(dynamic scheduling)方法を用いる。一方で、音声のように、リアルタイム性が要求され、一定の間隔で所定のサイズのデータが定期的に発生する通信は、低速度で、データサイズも1つ以上の決められたサイズであるため、無線リソースを定期的にかつ持続的に割り当てることができるパーシステントスケジューリング(Persistent scheduling)方法を用いる。変調方式、誤り訂正条件(MCS)も、発生し得るデータサイズや規定の目標品質に合わせて、定期的にかつ持続的に割り当てることができる。非特許文献1では、パーシステントスケジューリングのメリットとして、基地局による無線リソースの割り当てやMCSの設定を、初期送信時にL3制御信号を介して移動端末に通知したあとは、L1/L2制御信号による、無線リソースの設定・更新をする必要もなく、また、受信データ品質報告(CQI)をTTI(=1ms)毎に報告する必要もないため、移動端末と基地局間のL1/L2制御信号の通信量を大幅に減らすことができる点をあげている。
【0007】
しかしながら、実際にネットワークで通信される音声データは、ユーザの通話品質や通話中の動作により、任意のタイミングでデータレートが変化するため、実際には、音声通信の途中で、L3制御信号、もしくはL1/L2制御信号により無線リソースの設定・更新を行う必要がある。LTEにおける音声通信では、3GPPのW―CDMAで標準の音声コーデックとして採用されているAMR(Adaptive Multi Rate)と呼ばれる方式が採用されると予想されている。3GPPで標準とされているAMR方式は、ナロウバンド(Narrow band)と呼ばれるものとワイドバンド(Wide band)と呼ばれるものがある。ナロウバンドAMRは8kHzで音声がサンプリングされることを前提とした符号化方式である。一方、ワイドバンドAMRは、16kHzで音声がサンプリングされることを前提としており、より高速なマルチメディアデータに対応し、高レートでかつ高い音声品質の実現を目指したものである。図5は、非特許文献2において、ナロウバンドAMRで圧縮された後、パケット化された音声データ(VoIPデータ)を上りリンクで通信する際の動作を示した図である。非特許文献2にあるように、AMRを圧縮符号化に用いた音声通信は、通話遷移状態(transient state)と、通話状態(talk spurt, トーク時、トーク期間)、無音状態(silent spurt, VOX期間)の3つの状態に分けられる。通話遷移状態時と通話状態時は、20ミリ秒毎にデータが更新され、無音状態時は、音声が発生しない区間が長ければ160ミリ秒毎に背景雑音データ(SID)が更新される。この状態遷移は任意のタイミングで発生する。これにより通信品質状態が変わることも十分あり得るため、途中で無線リソースやMCSの設定を制御信号を介して変更する必要がある。音声のようなリアルタイムデータ通信時にパーシステントスケジューリングを行う場合、一定間隔で定期的にデータが更新され、途中でデータレートやデータ発生間隔が変わるような制御となるため、通信途中で、通信品質を維持しながら基地局と移動端末間の無駄な通信制御を省き、スケジューリングによるリソース管理をシンプルにして基地局と移動端末双方での動作負荷を減らすという課題と、データのリアルタイム性への追従という課題を解決しなくてはならない。
【0008】
上りリンクにおける音声パケットデータ通信用のパーシステントスケジューリング方法について、各社の複数の提案を比較したものが非特許文献3である。非特許文献3において、各社とも、AMRでの音声通信時に一時的に起こる無音状態と通話状態間の状態遷移において、移動端末と基地局間でL1/L2制御信号やL3制御信号を利用して無線リソースの再設定や変更を行う必要があるとしている。しかし、非特許文献3では、それぞれの提案において、制御信号のオーバーヘッドや、制御信号の受信エラーが発生した場合、通信遅延やリソースの無駄が発生するという課題を列挙されているのみで、本発明の明細書で示すような「発明の課題」の具体的な解決策や「発明の効果」についての示唆はない。
【0009】
LTEにおけるデータ通信時に使用する無線リソースの割り当て方法には、「ローカライズド」(localized)と「ディストリビューテッド」(distributed)と呼ばれる無線リソース割り当て方法がある(非特許文献4)。図6(a)(b)に示す図は、基地局が利用できる時間−周波数領域を、周波数軸、時間軸上で複数のブロックに分割し、移動端末に割り当てる方法を示した図である。それぞれの分割されたブロック単位は、上りリンクでは、リソースユニット(RU: Resource Unit)、下りリンクでは、リソースブロック(RB: Resource Block)と呼ばれている。図6(a)は、時間―周波数軸上でローカライズドに無線リソースを割り当てる例を示したもの、図6(b)は、時間―周波数軸上でディストリビューテッドに無線リソースを割り当てる例を示したものである。図6(a)にあるように、ローカライズドな割り当ては、周波数軸上で、同タイミングで1つ以上の連続した周波数帯域の無線リソースを割り当てる方法である。一方、図6(b)にあるディストリビューテッドな割り当てでは、周波数軸上で2つ以上の互いに離れた(分散された=distributed)無線リソースを同時に使用する。3GPPにおいて、上りリンクでは図6(a)に示すようなローカライズドな割り当てについて、下りリンクでは、ローカライズドな無線リソース割り当てと、図6(b)に示すようなディストリビューテッドな無線リソース割り当てについて検討が行なわれている。
【0010】
非特許文献5は、パーシステントスケジューリングに関して、下りリンクでは、1つの無線リソースブロック内を複数の周波数で分割し、1つの移動端末用の無線リソースを複数のリソースブロックの分割ブロックに分散させて割り当てるとともに、上りリンクでは、1つの無線リソース周波数をホッピングさせて割り当てる無線リソース割り当て方法を開示している。しかし、本発明の明細書で示す「発明の課題」を解決するものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】3GPP寄書R2―061920
【非特許文献2】3GPP寄書R1―070333
【非特許文献3】3GPP寄書R2―070283
【非特許文献4】3GPP TR25.814V7.0.0
【非特許文献5】3GPP寄書R1―070098
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のユーザデータ通信におけるスケジューリングでは通常、L3制御信号、もしくはL1/L2制御信号を介して、必要に応じて変調方式や誤り訂正符号の条件(MCS)の設定や、無線リソースの割り当てを行うダイナミックスケジューリングが中心であった。一方、近年、音声のような定期的かつ持続的に発生するリアルタイムデータに対しては、あらかじめ初期送信時にデータ発生の規則性に合わせて、変調方式や誤り訂正符号の条件(MCS)の設定や、無線リソースの割り当てを行うパーシステントスケジューリングと呼ばれるスケジューリング方式が提案されている。ところが、実際の音声のようなリアルタイムデータは、音声通話の品質やユーザの動作(無音状態)により、途中でデータレートやデータ発生間隔が変わるため、通信途中でこれらの変化に合わせた制御が必要になる。無線リソースの有効利用や、通信路品質の維持の目的のために、任意のタイミングで変化するデータレートや品質に合わせて、無線リソースの割り当てやMCSを変更するとともに、その場合に生じる無駄なリソース割り当ての削減や、通信途中に発生する制御信号の量と頻度を少なくし、システム負荷を低減させるという課題がある。また、通信途中での制御信号の発生を低減するために、通信品質が安定しやすい無線リソース割り当て方法が必要であるという課題がある。更に、基地局と移動端末間の制御信号のオーバーヘッドや制御信号の受信エラーによる遅延を少なくし、データをリアルタイムに再現できるよう遅延を最小限にしなければならないという課題がある。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、パーシステントスケジューリングにおいて、任意のタイミングで変化するデータレートや品質に合わせるだけでなく、システム全体で無線リソースを有効に利用できるようなリソース管理ができるデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。また、通信途中に任意のタイミングで発生するデータレートやデータ発生間隔の変化に合わせて、無線リソースの割り当てやMCSを変更するとともに、無駄なリソース割り当てを削減し、通信途中で発生するL3制御信号、もしくはL1/L2制御信号の発生量や頻度を低減でき、かつ、通信品質が安定しやすいスケジューリングを行うデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。更に、基地局と移動端末間の制御信号のオーバーヘッド等の遅延がデータのリアルタイムな再現に影響を与えないようなスケジューリングを行うデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る通信システムは、周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うものである。
【0015】
本発明に係る基地局は、移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うものである。
また、本発明に係る移動端末は、周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通信システムは、周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【0017】
本発明に係る基地局は、移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
また、本発明に係る移動端末は、周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用するので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】LTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】LTEの通信システムで使用されるチャネルの構成を示す説明図である。
【図3】移動端末の構成を示すブロック図である。
【図4】基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】上りリンクにおいて、AMR音声コーデック方式で圧縮した音声をパケット化したVoIPデータを通信した場合のデータ通信タイミング例を示した図である。
【図6】LTEにおけるスケジューリングによる無線リソース割り当て方法を示した図である。
【図7】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【図9】無線時専用チャネルのリソースブロックにおいて複数の移動端末を多重する処理を説明する説明図である。
【図10】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図11】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図12】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図13】実施の形態3における周波数ホッピング時の無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る通信方法を説明するフローチャートである。
【図15】上りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図16】上りリンクにおける無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る通信方法を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態4に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【図19】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図20】UEでの下りL1/L2制御信号の受信方法を示す説明図である。
【図21】本発明の実施の形態5に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はLTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。図1において、aGW1は複数の基地局(eNB)2と制御データやユーザデータの送受信を行い、基地局2は複数の移動端末(UE)3に対してデータの送受信を行う。基地局2と移動端末3間においては、報知情報、着呼処理に用いられる情報、個別制御データ、個別ユーザデータ、E―MBMS用の制御データやユーザデータ等が送信される。また、基地局2同士がお互いに通信することも検討されている。基地局2は上り及び下りのスケジューラを有する。スケジューラは、基地局2と各移動端末3のデータの送受信を可能にし、個々の移動端末3及び移動通信システム全体のスループット向上のためにスケジューリングを行う。
【0020】
E―MBMSはある基地局から複数の移動端末に向けてデータを一斉に送信する放送型の一対多(Point to Multipoint)型の通信サービスを提供するものである。具体的には、ニュースや天気予報等の情報サービスや、モバイルTVなどの大容量の放送サービスが検討されている。aGW1はPDN(Packet Data Network)4を介してサービスセンタ5と通信を行う。サービスセンタ5はユーザにサービスを提供するためのコンテンツを保管、配信するための装置である。コンテンツプロバイダは、サービスセンタ5に対してモバイルTV放送データ等のE―MBMSデータを送信する。サービスセンタ5ではE―MBMSデータを記憶するとともに、PDN4、aGW1を介して基地局2へE―MBMSデータを送信する。
【0021】
図2はチャネルの構成を示す説明図である。図2には、論理チャネル(Logical Channel)とトランスポートチャネル(Transport Channel)のマッピングが示されている。論理チャネルは伝送信号の機能や論理的な特性によって分類される。トランスポートチャネルは伝送形態によって分類される。報知情報はBCCH(Broadcast Control Channel)上にのせられる。BCCHはBCH(Broadcast Channel)にマッピングされ基地局から移動端末へ送信される。着呼処理に用いられる情報はPCCH(Paging Control Channel)上に乗せられる。PCCHはPCH(Paging Channel)にマッピングされ基地局からセル内の移動端末へ送信される。個別の移動端末宛ての個別制御データはDCCH(Dedicated Control Channel)上に乗せられる。
【0022】
また、個別の移動端末宛ての個別ユーザデータはDTCH(Dedicated Traffic Channel)上に乗せられる。DCCHとDTCHはDL―SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされて、基地局から個々の移動端末に宛てて個別に送信される。逆に、UL―SCH(Uplink Shared Channel)を用いて個々の移動端末から基地局へ個別に送信される。DL―SCH及びUL―SCHは共有チャネル(Shared Channel)である。E―MBMS用の制御データ及びユーザデータはそれぞれMCCH(Multicast Control Channel)とMTCH(Multicast Traffic Channel)上に乗せられ、DL―SCHもしくはMCH(Multicast Channel)にマッピングされて基地局から移動端末へ送信される。移動端末からの接続要求信号、例えばスケジューリング要求信号SRはランダムアクセスチャネル(Random Access Channel RACH)または個別チャネル(Dedicated Channel)により個々の移動端末から基地局へ送信される。
【0023】
図3は移動端末の構成を示すブロック図である。移動端末3の送信処理は以下のとおり実行される。まず、プロトコル処理部6からの制御データ、アプリケーション部7からのユーザデータが送信データバッファ部8へ保存される。送信データバッファ部8に保存されたデータはエンコーダ部9へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部8から変調部10へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコーダ部9でエンコード処理されたデータは変調部10にて変調処理が行われる。変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部11へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ12から基地局2に送信信号が送信される。
【0024】
また、移動端末3の受信処理は以下のとおり実行される。基地局2からの無線信号がアンテナ12により受信される。受信信号は、周波数変換部11にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部13において復調処理が行われる。復調後のデータはデコーダ部14へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部6へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部7へ渡される。移動端末の一連の送受信処理は制御部15によって制御される。
【0025】
図4は基地局の構成を示すブロック図である。基地局2の送信処理は以下のとおり実行される。aGW通信部16は、基地局2とaGW1間のデータの送受信を行う。他基地局通信部17は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。aGW通信部16と他基地局通信部17はそれぞれプロトコル処理部18と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部18からの制御データ、またaGW通信部16と他基地局通信部17からのユーザデータが送信データバッファ部19へ保存される。送信データバッファ部19に保存されたデータはエンコーダ部20へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部19から変調部21へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコードされたデータは変調部21にて変調処理が行われる。
【0026】
変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部22へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ23より一つもしくは複数の移動端末1に対して送信信号が送信される。また、基地局2の受信処理は以下のとおり実行される。一つもしくは複数の移動端末3からの無線信号がアンテナ23により受信される。受信信号は周波数変換部22にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部24で復調処理が行われる。復調されたデータはデコーダ部25へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部18へ渡され、ユーザデータはaGW通信部16、他基地局通信部17へ渡される。基地局2の一連の送受信処理は制御部26によって制御される。
【0027】
以下、本発明にかかる移動端末および基地局の動作について説明する。3GPPにおいて、通信の形態として定量、少量、定期的、比較的長い期間続く、リアルタイム性といった特徴を有する例えば、音声パケットデータ(VoIP)の通信サービスのため、パーシステントスケジューリングが検討されている。ダイナミックスケジューリングの場合、基地局や移動端末はパケット毎にリソースアロケーションやCQIなどのL1/L2制御信号を送信しなければならない。しかし、前記サービスにダイナミックスケジューリングを用いた場合、リソースアロケーションの変更やCQI情報の変更がないのにL1/L2制御信号を送信することになり、リソースの無駄が多くなる。パーシステントスケジューリングでは、初期送信時に基地局が移動端末にリソースアロケーションやMCSの設定をL3制御信号によって1回送信すると、基地局はある期間そのアロケーションやMCSを用いて移動端末にリソースを割り当て、移動端末は下り受信信号の何回かに1回、平均のCQIを基地局に送信する。したがって、パーシステントスケジューリングでは、基地局と移動端末間のL1/L2制御信号の通信量を減らす事が可能となる。したがって、前述のようなVoIPデータ通信の無線リソース割り当てをパーシステントスケジューリングで行うのは有効である。
【0028】
しかし、VoIPデータの通信を行う場合、一般的にトーク時と無音時とで通信するデータの容量が異なる。無音時は無音データとして背景雑音データ等を送信する。この無音データはトーク時のデータに比べてデータ容量が小さい。例えば、ワイドバンド音声データの場合、無音時のデータ量はトーク時のデータ量の約1/13、ナロウバンド音声データの場合、無音時のデータ量はトーク時のデータ量の約1/7である。VoIPデータ通信にパーシステントスケジューリングを用いた場合、初期送信時に基地局がリソースアロケーションを移動端末に1回送信したら、基地局はある期間そのリソースアロケーションを用いてリソースを割り当てる。したがって、トーク時から無音時に移行した場合、送信データ量は少なくなっているのに割り当てられるリソースは引き続きトーク時と同じになり、割り当てられたリソースより小さい量のデータ(無音データ)しか送信しない状態となるため、リソースの無駄が生じてしまう。使用しないリソースは他の移動端末へ割り当てられるように開放した方が良い。本実施例では、トーク時から無音時に移行する場合のリソースの開放方法について、無音時専用チャネルを設けて無音時のデータを無音時専用チャネルに割り当てる方法について説明する。
【0029】
まず、無音時専用チャネルについて説明する。図7は下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図7には、下りリンクにおける無音時専用チャネルの周波数−時間軸上でのリソース割り当てについて示される。白抜き黒枠はダイナミックスケジューリングで割り当てられているリソースブロック(RB)を、白抜き二重黒枠は無音時のリソースが割り当てられる無音時専用チャネルを示す。斜線はある移動端末(UE-A、UE-B)のVoIPデータが割り当てられているリソースを示す。周波数−時間軸上に、VoIPデータの通信を行っている移動端末の無音時データを専用に割り当てるためのある領域を専用チャネルとしてあらかじめ確保しておく(本発明では、該専用チャネルを無音時専用チャネルと称す)。無音時専用チャネルはVoIPデータの通信を行っているひとつまたは複数のUEで共用する。無音時のデータ量はトーク時に比べて小さいため、無音時専用チャネルに割り当てるリソースはトーク時に割り当てるリソースより少なくする事が可能である。無音時専用チャネルは、全ての無音時の移動端末共用でひとつでもよいし、いくつかの移動端末群ごとに複数でも良い。複数の移動端末で共用とするため、移動端末多重方法は、周波数多重または時間多重またはコード多重で行う。
【0030】
図7では、例として、トーク時、無音時ともに一定時間間隔で割り当て、その時間間隔は、トーク時は20ミリ秒、無音時は160ミリ秒とした場合を示す。また、周波数はディストリビューテッドに割り当てた場合について示す。無音時専用チャネルの移動多端末多重方法は周波数多重の場合を示す。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。無音時に必要とするリソース量と移動端末のキャパシティとから、無音時専用チャネルの全体のリソース量や、その各端末毎の多重方法が決められても良い。
【0031】
次に、トーク時および無音時のデータの割り当て方法について開示する。基地局はパーシステントスケジューリングにより、無線リソース割り当てを初期送信時にL3制御信号によってUE―A、UE―Bに送信する。具体的には、下りリンクでのトーク時のデータに、図7の一部のように、一定時間間隔(20msec)および「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照)にある周波数間隔(例えば3リソースブロックごと)で周波数−時間軸上のリソースを割り当てることを基地局は移動端末(UE―A、UE―B)に伝達する。UE―A、UE―Bは受信したL3制御信号によって割り当てられたリソースを受信する。基地局からUE―Aへのデータがトークから無音に変わった場合、基地局はL1/L2制御信号を用いてUE―Aに無音時専用チャネル情報を送信する。図7ではL1/L2制御信号のリソース割り当てを省略したが、例えば、VoIPデータを割り当てる各TTIの始めの数シンボルに割り当てておけばUEはVoIPデータとともにL1/L2制御信号も受信可能となる。無音時専用チャネル情報を受信したUE−Aは、図7で示される、あらかじめ割り当てられた無音時専用チャネルのRBの中のさらに自身に割り当てられたいくつかのサブキャリアを受信する。上記のような方法を用いる事によって、トーク時から無音時に移行して無音時専用チャネルにリソースが割り当てられた場合、トーク時に割り当てていた領域は他の移動端末に開放することができる。
【0032】
無音時専用チャネルのRBの中でさらに移動端末毎の多重方法として、前述した周波数多重ではなく、時間多重、コード多重であってもよい。図9は、無線時専用チャネルのリソースブロックにおいて複数の移動端末を多重する処理を説明する説明図である。図9において、(1)は周波数多重方法である。RBを一つまたは複数のサブキャリアを有する領域にわけて、其々の領域を各移動端末に割り当てる。一つの領域におけるサブキャリアの必要数は、無音時専用チャネルのRB数による。一つの移動端末に割り当てられる総サブキャリア数は一つの領域におけるサブキャリア数と無音時専用チャネルのRB数の乗算で求められ、該総サブキャリア数が背景雑音等の無音時データの必要量を満たすように決定すれば良い。図では例としてひとつのRBを6領域に分割した場合を示している。(2)は時間多重方法である。1TTIをサブフレーム単位、もしくは1/2サブフレーム単位、もしくはシンボル単位で分割して其々の移動端末に割り当てる。図では1/2サブフレーム単位で其々の移動端末に割り当てた場合について示した。本実施の形態及び、後の実施の形態2,3、4では、1TTIは2サブフレーム(1/2TTIが1サブフレーム)であるが、1TTIがいくつのサブフレームから構成されていても良い。(3)はコード多重の場合である。UE固有に与えたコードによって多重される。該コードはスクランブリングコードであってもよいし、拡散コードであってもよい。また、該コードは例えばUE―IDであってもよいし、上りAck/Nackチャネルで用いるCAZACコードであってもよい。コード多重の場合、ひとつのRBをさらに分割する必要がないため、無音時専用チャネルのRB数は周波数多重や時間多重に比べて少なくする事ができ、周波数−時間リソースの無駄を削減する量が増大するという効果がある。また、図7では無音時専用チャネルとして、RB単位で割り当てているが、これもサブキャリア単位でも良いし、バーチャルRB単位でも良いし、また1/2TTI単位でも良い。これらの場合、RB単位に比べて、より小さいリソース単位での割り当てが可能となり、さらに周波数―時間リソースの無駄を削減する量が増大するという効果がある。
【0033】
本発明においては、リソースが無音時専用チャネルを使用するためのパラメータを有し、該パラメータは基地局から移動端末に通知される。無音時専用チャネルの構成を示すパラメータと、無音時専用チャネルのどこを使用するか(無音データを割り当てるか)を示すパラメータである。無音時専用チャネルの構成を示すパラメータとしては、例えば、どの周波数領域に割り当てられているかという周波数領域割り当てを示すパラメータ、どの時間領域に割り当てられているかという時間領域割り当てを示すパラメータ、多重方法を示すパラメータがある。周波数領域割り当てを示すパラメータとして、例えばRBナンバー(システム帯域をRB毎に最低周波数側からナンバリングしたもの)、周波数多重の場合は各RBの分割数、等がある。時間領域割り当てを示すパラメータとしては、例えばTTIナンバー(ある時間を基準にTTI毎にナンバリングしたもの)、繰り返し割り当てられる時間間隔を示すパラメータ、時間多重の場合は各TTIの分割数、等がある。多重方法を示すパラメータは、使用される多重方法によって、周波数多重、時間多重、コード多重で其々異なるパラメータ値が設定される。無音時専用チャネルのどこを使用するか(無音データを割り当てるか)を示すパラメータとしては、例えば、周波数多重の場合はRB中の分割された周波数領域に付されたナンバー、時間多重の場合はTTI中の分割された時間領域に付されたナンバー、コード多重の場合、各UE個別に与えられるコード等がある。
【0034】
図8は本発明の実施の形態1に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。図8にVoIP下りデータが発生した場合のパーシステントスケジューリングにおける一連の動作について示す。基地局において、移動端末に対するVoIP下りデータが発生すると(ST801)、スケジューラはパーシステントスケジューリングを行う(ST802)。その後、基地局はL3制御信号(L3メッセージ)を用いて、移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報を送信する(ST803)。基地局はその後トーク時データを送信する(ST804)。移動端末は、L3メッセージによるリソース割り当て情報やMCS設定情報を受信することにより、パーシステントスケジューリングされているトーク時データのリソース割り当てを知る事ができるので、トーク時データを受信することが可能となる(ST805)。
【0035】
次に、無音状態が発生した場合(ST806)、基地局は、トーク時から無音時に移行するため、無音時専用チャネル情報をL1/L2制御信号にて移動端末に通知する(ST807)。無音時の専用チャネル情報は、無音時専用チャネルを使用するためのパラメータからなる。無音時専用チャネルを使用するためのパラメータは前述した。移動端末は、該無音時専用チャネル情報を受信する事によって、無音時専用チャネルの構成、自身が受信する無音時データが無音時専用チャネルのどこに割り当てられているかを知る事ができ、したがって、無音時データを受信する事が可能となる(ST809、ST810)。基地局は、移動端末に無音時専用チャネルに無音時下りデータを割り当てた後、当該移動端末に対してトーク時に割り当てていたリソースを他の移動端末に開放する(ST808)。
【0036】
再度トークデータが発生した場合は(ST811)、基地局はリソース割り当て情報をL1/L2制御信号により移動端末に通知し(ST812)、その情報に従ってトーク時データを送信する(ST813)。リソース割り当ての情報は、無音状態が発生する前のトーク時のリソース割り当てと同じでも良いし異なっていても良い。基地局がその時点でのスケジューリング状況やチャネル品質状況によって決定可能である。L1/L2制御信号によりリソース割り当て情報を受信した移動端末は、トーク時データのリソース割り当てを知る事ができ、したがって、再度トーク時データを受信する事が可能となる(ST814)。
【0037】
VoIPデータの通信にパーシステントスケジューリングを用いた場合、本実施例で開示したように、無音時用に新たに無音時専用チャネルを設けてトーク時から無音時に移行する場合に無音時データを無音時専用チャネルに割り当てる方法を用いる事によって、無音時に送信データ量が少なくなるために生じる無駄なリソース割り当てを他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となる。通常、専用チャネルを設けた分リソースの無駄使いになるが、本発明では、容量の小さい無音時用に専用チャネルを設け、容量の大きいトーク時のリソースを開放することで、逆に、システムとしてリソースの無駄な割り当てを削減でき、効率的な割り当てを行なえる効果がある。したがって、システムとしてのスループットを向上させることができた。さらには、無音時専用チャネルを設けてあるので、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無くなり、データの遅延や欠落が無くなる、という効果が得られる。
【0038】
本実施の形態では、「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照)にリソースが割り当てられている場合を示したが、「ローカライズド」(図6(a)の説明参照)にリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、周波数ホッピングをともなうリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、本実施の形態では、下りリンクの場合について示したが、本発明は上りリンクにも適用できる。
【0039】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、無音時データ送信用の無音時専用チャネルを設けて無音時のデータを無音時専用チャネルに割り当てる方法を開示したが、本実施の形態2では、無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部に割り当てる方法を開示する。
【0040】
図10は、下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図10に下りリンクにおける無音時に、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる方法について示す。白抜き黒枠はダイナミックスケジューリングで割り当てられているリソースブロック(RB)を、斜線はある移動端末(例えばUE-A、UE-B)のVoIPサービスが割り当てられているリソースを示す。トーク時(I)は、UE―A、UE―B其々のデータ送信用として、周波数―時間軸上のいくつかの領域が割り当てられる。本変形例では、UE―A、UE―Bともに周波数軸上でRB単位で「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照。UE-Aは3RB毎、UE-Bは2RB毎)に割り当てられている場合について示した。また、時間間隔として20ミリ秒毎としている。本発明においては、無音時(II)に移行した場合、無音時データ用のリソースとして、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる。本実施の形態では、例えば、UE―A、UE―Bともトーク時割り当ての1RBおきにRB単位でディストリビューテッドにリソースを割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。
【0041】
本発明においては、無音時データ用に使用するリソースが、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えばRBナンバーがある。
【0042】
本実施の形態2において、VoIP下りデータが発生した場合のパーシステントスケジューリングにおけるUEおよびeNBでの一連の動作は、実施の形態1で示した図8のシーケンスにおいて、無音状態発生後のeNBがL1/L2制御信号でUEに送信する無音時専用チャネル割り当て情報の代わりに、無音時のリソース割り当て情報を送信すれば良い。無音時のリソース割り当て情報は前述の、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータからなる。該パラメータを受信したUEは無音時下りデータが割り当てられているリソースを知る事ができ、したがって、無音時下りデータを受信する事ができる。eNBは、UEに無音時下りデータを割り当てた後、そのUEにトーク時に割り当てていたリソースのうち、無音時に使用していないリソースを他UEに開放する。
【0043】
本実施の形態2で開示したように、トーク時から無音時に移行する場合に、無音時専用チャネルを設けずに、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる方法を用いる事によって、送信データ量が少なくなるために生じる無駄なリソース割り当てを削減でき、その分を他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となるため、効率的な割り当てを行える効果がある。さらには、無音時データ送信用の無音時専用チャネルをあらかじめ設けておく必要もなく、無音時専用チャネルに空があるような場合に生じる無駄なリソース割り当ても削減でき、その分を他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となるため、効率的な割り当てを行える効果がある。したがって,システムとしてのスループット向上が図れる。さらには、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てるので、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無くなり、データの遅延や欠落が無くなる、という効果が得られる。
【0044】
以下、変形例を説明する。第一の変形例として、無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部をひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当てる方法を開示する。実施の形態2では、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部をRB単位で割り当ておよび他UEへ開放したが、本変形例では、ひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当ておよび他UEへの開放を行う。図12に示す変形例では、ディストリビューテッドでUE―A、UE―Bに割り当てられている各RBのうち3サブキャリアに割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。
【0045】
本変形例において、無音時データ用に使用するリソースが、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えばRBの分割数、分割された領域を示すナンバーがある。なお、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部に無音時のデータを割り当てる単位として、実施の形態2ではRB単位で、また変形例1ではひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当てた。さらには、VRB(Virtual Resource Block)単位としても同様の効果は得られる。例えば、トーク時に割り当てられていたVRBの一部を無音時に割り当てても良い。また、これらを組合わせてもよく、同様の効果を得られる。例えば、トーク時に割り当てられていたRBの一部をさらにサブキャリア単位で割り当てても良い。なお、本変形例のように、無音時データの割当て単位を小さくして、周波数軸上で広帯域に割り当てることで、周波数ダイバーシチゲインを得られるという効果がある。
【0046】
第二の変形例として、無音時に無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられ時間軸上のリソースの一部を割り当てる方法を開示する。図11に示す変形例では、1TTIを1/2サブフレーム単位に4分割し、UE―A、UE―Bともトーク時割り当てのRBのうち其々1/2サブフレームを割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。本変形例において、無音時データ用に使用する、トーク時に割り当てられていた時間軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えば1TTIの分割数、分割された領域を示すナンバーがある。なお、本変形例も第一の変形例と同様に、無音時データの割当て単位を小さくして、周波数軸上で広帯域に割り当てることで、周波数ダイバーシチゲインを得られるという効果がある。
【0047】
実施の形態3.
非特許文献5にてパーシステントスケジューリングが行われている上り(UL、Uplink)データ送信において周波数ホッピングが用いられることが検討されている。しかし非特許文献5には、周波数ホッピングの具体的なホッピング方法については開示されていない。よってその制御方法についても開示されていない。本実施の形態3では、周波数ホッピングの具体的なホッピング方法について説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信において周波数ホッピングを用いるためには、周波数ホッピングの制御について移動端末(UE)と基地局(eNB、eNodeB)にて共有すれば更なる効果を得ることができる。共有していないと、周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対して上り無線リソースの割り当てが必要となり、割り当てのためのL1/L2制御信号を送信、受信しなければならないが、周波数ホッピングの制御について移動端末と基地局が共有すれば、その必要がなくなるという更なる効果を得る。そこで、本実施の形態3では周波数ホッピングの具体的なホッピング方法、その際に必要な制御方法について提案し、あわせて制御方法を移動端末と基地局において適切に共有する方法を提案する。
【0048】
パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図13に示す。図13の割り当てについて以下に説明する。図13では、ディストリビューテッド割り当て時を示している。パーシステントスケジューリングにおいては定期的に無線リソースの割り当てが行われる。無線リソースが定期的に割り当てられる周期を「パーシステントインターバル」と呼ぶことにする。図13ではパーシステントインターバルをaで示している。AMRにて符号化されたVoIPをパーシステントスケジューリングする際には、パーシステントインターバルは20ミリ秒となる。図13では、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI期間、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。実施の形態3では、周波数ホッピング方法としては、時間軸上にはパーシステントインターバルのN倍毎に、周波数軸上にはあるリソースユニット(RU)ホッピングする方法を提案する。図13では時間軸上でパーシステントインターバルの2倍(N=2)毎に、周波数軸上でbリソースユニット毎にホッピングする例を示している。
【0049】
図13に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータとしては、パーシステントインターバルのN倍毎にホッピングを行うことを示す「N」と、ホッピングさせるリソースユニットを示す「b」、周波数ホッピングを用いる際の時間の始点(Starting point)を示す「時間オフセット」、周波数ホッピングを用いる際のリソースユニットの周波数の始点を示す「周波数オフセット」がある。
【0050】
時間オフセットの具体的な設定方法は、(1)移動端末と基地局が共有している時間情報により設定する方法と、(2)移動端末と基地局が予め決められた規則により求めた時間情報より設定する方法が考えられる。移動端末と基地局が共有している(1)に示す時間情報としては、フレームナンバー(ある時間を基準にフレーム毎にナンバリングしたもの)、TTIナンバー(ある時間を基準にTTI毎にナンバリングしたもの)などが考えられる。図13では時間オフセットは、TTIナンバーは121である。また、(2)に示す時間オフセットの設定は、以下の式で行うことができる。
Mod(TTIナンバー/(パーシステントインターバル/1TTIの時間×N))= 時間オフセット ここで、パーシステントインターバルを20ミリ秒、1TTIの時間を1ミリ秒、Nを2とすると、時間オフセットは1となる。上記時間オフセットを求める式において、分子のTTIナンバーは、移動端末と基地局が共有している時間情報であれば良い。例えばフレームナンバーなどでも良い。その場合、分母においてもフレームナンバーを基準として何フレームナンバー毎に周波数ホッピングするかを求める事とすれば良い。
【0051】
上記式を用いて、移動端末と基地局が共有している時間情報(TTIナンバー)を求める。パーシステントインターバルは20ミリ秒、1TTIの時間を1ミリ秒、Nを2、時間オフセットを図13のとおり1とすると、上記式を満たすTTIナンバーは「41,81,121,161,201,241」となる。周波数ホッピングの制御をするための設定パラメータとして時間オフセットを1とした場合、移動端末と基地局は各々TTIナンバーを計算し「41,81,121,161,201,241」を求める。移動端末と基地局は、前記TTIナンバーを設定し、設定値の中の「ある時間(予め決められた値でも基地局により設定された値であっても良い)」以降に訪れるTTIナンバーから周波数ホッピングを始めることとする(周波数ホッピングを用いる際の始点)。
【0052】
周波数オフセットの具体的な設定方法は、移動端末と基地局が共有している周波数情報である必要がある。具体的には,システム帯域をリソースユニット毎に最低周波数側からナンバリングしたもの(リソースユニット番号,RUナンバー)などを用いることが出来る。図13ではRUナンバーは2である。上記制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法について図14を用いて説明する。ST1401にて基地局は、上りパーシステントスケジューリングを行う。ST1402にて基地局は、移動端末に対して上りパーシステントスケジューリングの割り当てを移動端末へ通知する。ST1403にて移動端末は、上りパーシステントスケジューリングの割り当てを受信する。ST1404にて移動端末は、受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する。ST1405にて基地局は移動端末からの上りデータを受信する。ST1406にて基地局は、移動端末に対して周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する。この通知にはL1/L2制御信号などを用いることが出来る。ST1407にて移動端末は、周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する。このST1406とST1402の順序は任意である。ST1408にて移動端末は、ST1407で受信した周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する。ST1409にて基地局は移動端末から上りデータを受信する。
【0053】
本実施の形態3により以下の効果を得ることが出来る。本実施の形態3によりパーシステントスケジューリングにおける具体的な周波数ホッピング方法を提案し、その制御方法について合わせて提案した。これにより、何らかの理由で通信路品質(CQI)を用いたスケジューリングを用いない状況においては、周波数ホッピングを用いることにより周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となる効果を得る。ちなみに、CQIを用いたスケジューリングを用いない場合の代表例としては、パーシステントスケジューリングや、高速移動している移動端末に対するスケジューリングが考えられる。パーシステントスケジューリングでは定期的なリソース割り当てが予定されているので度々の無線リソース割り当てのためのL1/L2制御信号を削減するためにダイナミックスケジューリングを用いない。また高速移動している移動端末に対するスケジューリングでは、移動端末が高速に移動しているために、報告された通信路品質と現在の移動端末の場所における通信路品質との差が大きいと予想される。そのために、移動端末から基地局に対して報告された通信路品質(CQI)を用いたスケジューリングがされないことが考えられる。上記説明した方法により、多くの周波数を用いて送受信を行うことになるので、より周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となる。つまり、実施の形態3によりCQIを用いたスケジューリングが用いられないような場合(パーシステントスケジューリング、高速に移動している移動端末に対するスケジューリング)に特に有効的な手段を得ることが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態3により周波数ホッピングの制御方法を移動端末と基地局において適切に共有する方法を提案した。これにより、周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対して上り無線リソースの割り当てが不要となる効果を得る。これにより基地局から移動端末へ周波数ホッピングの制御方法(設定パラメータなど)を通知するL1/L2制御信号を削減することが可能となり、つまり下り無線リソースの有効活用がはかれる。このことはシステム全体として下りスループットの向上につながる。周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対しての上り無線リソースの割り当てが不要となることは、L1/L2制御信号を減らすというパーシステントスケジューリングの目的において特に重要である。加えて、パーシステントスケジューリングにおいて、本実施の形態3に示すような具体的な周波数ホッピング方法を用いることにより、更に以下のような効果を得ることができる。まず、本実施の形態3に示すような具体的な周波数ホッピングパターンをパーシステントスケジューリングされている複数の移動端末に対し、それぞれの移動端末と基地局間で通信されるデータに要求される通信品質を考慮して割り当てることができるため、複数のパーシステントスケジューリングの移動端末に対し最適な通信品質を安定して確保できるという効果を得ることができる。更に、高速移動時に限らず、移動端末の移動に伴う距離変動によるパス(通信路)損失、パス変動が発生した場合も、通信品質に影響を与えにくい。従って、通信路品質の維持のために通信途中でL1/L2制御信号を介して、リソース割り当てや変調方法や誤り訂正符号化のパラメータを変える必要性がなくなり、パーシステントスケジューリングでの通信途中の制御信号の情報量と頻度を大幅に減らせるという効果を得ることができる。
【0055】
実施の形態3の第一の変形例について以下に説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図15に示す。図15の割り当てについて以下に説明する。図15は、ディストリビューテッド割り当て時を示している。また、パーシステントインターバルはaで示されている。図15では、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI単位、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。実施の形態3の変形例では、周波数ホッピング方法として、時間軸上ではサブフレーム単位かつパーシステントインターバル毎に、周波数軸上ではあるリソースユニット分だけホッピングする方法を提案する。図15ではサブフレーム毎に、bリソースユニット分ホッピングする例を示している。
【0056】
図15に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータとしては、ホッピングさせるリソースユニットを示す「b」、「時間オフセット」、「周波数オフセット」である。リソースユニットbは、1TTI内のホッピングさせるリソースユニットと、パーシステントインターバルにてホッピングさせるリソースユニットを異なる値に設定することも可能である。更には、図15に示すUE1のパターン(例えば、前半のサブフレームでRUナンバーとして2を用い、後半のサブフレームでは2+b−1を用いる)であるか、UE2のパターン(前半のサブフレームでRUナンバーとして2+b−1を用い、後半のサブフレームで2を用いる)であるかを識別するパラメータも必要である。具体的例としては前半サブフレームにて周波数の低い側を用いる場合を「0」、前半サブフレームにて周波数の高い側を用いる場合を「1」としてパラメータ化する方法がある。
【0057】
時間オフセットの具体的な設定方法、周波数オフセットの具体的な設定方法の説明は、実施の形態3と同様であるために説明を省略する。また、上記制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法については、実施の形態3と同様であるために説明を省略する。第一の変形例により、実施の形態3により得られる上記説明の効果のほか、以下説明する効果を得られる。すなわち、1TTI未満の時間にて周波数ホッピングを用いることにより、パーシステントインターバルにて割り当てられる1回のリソース内にて周波数ホッピングを用いることになる。これにより、1TTI内の全てのデータ、つまりパーシステントインターバルにて割り当てられる1回のリソース内の全てのデータが周波数特性的に品質の悪い周波数に割り当てられることを防ぐことが可能となる。これにより、さらに周波数フェージングに強くなり、受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることができる。
【0058】
また、実施の形態3の第二の変形例について説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図16に示す。図16では、ディストリビューテッド割り当て時を示している。図16ではパーシステントインターバルをaで示しており、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI単位、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。この第二の変形例では、周波数ホッピング方法としては、時間軸上には1/2サブフレーム毎に、周波数軸上にはあるリソースユニットホッピングする方法を提案する。図16では1/2サブフレーム毎に、bリソースユニットだけホッピングする例を示している。
【0059】
図16に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータは、図15のものと同様、リソースユニットb、時間オフセット、周波数オフセットのほか、端末ごとのホッピングパターンを示すパラメータが必要となる。たとえば、具体的例としてUE1のパターンを「0」、UE2のパターンを「1」、UE3のパターンを「2」、UE4のパターンを「3」としてパラメータ化する。1TTI内のホッピングパターンは、図16に示したものに限られない。第二の変形例により、第一の変形例により得られる効果のほか、以下説明する効果を得られる。すなわち、第二の変形例を実行することにより、1TTI内のデータ、つまりパーシステントインターバルに割り当てられる1回のリソース内のデータが第一の変形例と比較して更に多くの周波数で送受信されるので、さらに周波数フェージングに強くなる。よって受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0060】
また、実施の形態3の第三の変形例について説明する。実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例においては、周波数軸上にはあるリソースユニット(RU)分だけホッピングする方法について提案した。これに対して第三の変形例は、周波数軸上にてあるサブキャリアごとホッピングするものである。第三の変形例では、周波数軸上にホッピングさせるサブキャリアを示すパラメータが必要である。その他のパラメータについては、実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と同様であるために説明を省略する。また、制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法については、上記実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と同様であるために説明を省略する。第三の変形例により実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例の効果に加えて以下説明する効果を得られる。すなわち、第三の変形例を実行することにより、1TTI内のデータ、つまりパーシステントインターバルに割り当てられる1回のリソース内のデータが実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と比較して更に多くの周波数で送受信されるので、さらに周波数フェージングに強くなる。よって受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0061】
また、実施の形態3の第四の変形例について説明する。第四の変形例は、あらかじめ周波数ホッピングの方法(周波数ホッピングの規則性)を決定しておくものである(スタティック Static)。周波数ホッピングの規則性には、上記説明の実施の形態3、第一〜第三の変形例などが含まれる。更に、HARQのNack時(基地局が移動端末からの上りデータに対して受信エラー(CRCエラー)を検知した時、移動端末が基地局からの上りデータに対する「Nack(受信エラー通知)」を受信した時)に周波数ホッピングするようにしてもよい。具体的な周波数ホッピングの方法は、上記説明の実施の形態3、第一〜第三の変形例を用いる。更には周波数ホッピングの規則性を数パターン決定しておき、基地局から移動端末に周波数ホッピングの設定としてそのパターン番号を通知するようにしてもよい(セミスタティック semi-Static)。
【0062】
この実施の形態3の第四の変形例により、さらに以下説明する効果を得ることができる。周波数ホッピングの制御方法つまり設定パラメータなどを、移動端末と基地局において共有する方法については、実施の形態3(図14)と同様である。ただし、図14のST1406にて基地局から移動端末へ通知される周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)の制御データ量(情報量)が削減できるという効果がある。具体的には、スタティックの場合は設定の通知が不要あるいは、周波数ホッピング開始の通知のみとなる。セミスタティックの場合は、周波数ホッピングの設定のパターン番号のみあるいは、パターン番号と周波数ホッピング開始の通知のみとなる。制御データ量の削減は、無線リソースの有効活用という観点からみて有効である。更には、制御データを受信する時間が短縮されることになり、移動端末の低消費電力化にもつながるという効果を得ることができる。
【0063】
HARQのNack時に周波数ホッピングする方法においては、受信エラーが発生した通信路環境(周波数帯域)、つまり悪い通信路環境を避け、別の周波数にてHARQによる再送を行うこととなるため、受信エラーが発生した通信路環境(周波数帯域)にて再送する場合と比較して再送回数が減るという効果を得ることができる。これにより、周波数フェージングに強い通信方法を提供することが可能となる。これによりシステム全体のスループット向上という効果が得られる。
【0064】
また、実施の形態3の第五の変形例について説明する。第五の変形例は、実施の形態3、第一の変形例〜第四の変形例で説明した周波数ホッピングの方法を、パーシステントスケジューリングにおける通話期間と無音期間において変更するものである。制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法について図17を用いて説明する。なお、図17において図14と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。図17において、基地局は移動端末に対して通話状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する(ST1701)。この通知にはL1/L2制御信号を用いることが出来る。移動端末は、通話状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する(ST1702)。上りパーシステントスケジューリングの割り当てを移動端末に通知するST1402の処理とST1701との順序は任意である。移動端末は、受信した通話状態の周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する(ST1703)。基地局は移動端末から上りデータを受信する(ST1704)。
【0065】
移動端末は、通話状態から無音状態へ移行するか否かを判断する(ST1705)。ST1705の判断にて「No」であった場合には、ST1703へ戻り、上りデータの送信を継続する。一方、ST1705の判断にて「Yes」であった場合には、ST1706が実行される。移動端末は、基地局に対して通話状態から無音状態へ移行する事を通知する「VoX開始」を通知する(ST1706)。基地局は移動端末からの「VoX開始」の通知を受信する(ST1707)。基地局は、通話状態から無音状態へ移行することに伴い、周波数ホッピングの設定を変更すべく、移動端末に対して無音状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する(ST1708)。この通知にはL1/L2制御信号を用いることが出来る。移動端末は、無音状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する(ST1709)。移動端末は受信した無音状態の周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する(ST1710)。基地局は移動端末から上りデータを受信する(ST1711)。移動端末は、上りデータが通話状態へ移行するか否かを判断する(ST1712)。ST1712の判断にて「No」であった場合には、ST1710へ戻る。一方、ST1712の判断にて「Yes」であった場合には、移動端末は基地局に対して「トーク開始」を通知する(ST1713)。基地局は移動端末からの「トーク開始」の通知を受信すると(ST1714)、ST1401、ST1402、ST1701のいずれかが実行される。
【0066】
上記説明の第五の変形例により、さらに以下の効果を得ることができる。AMRにて符号化された音声パケットデータ(VoIP)をパーシステントスケジューリングする際には、パーシステントインターバルは通話状態では20ミリ秒となり、無音状態では160ミリ秒となる。このように通話状態と無音状態のパーシステントインターバルが変わることがある。この場合、パーシステントインターバルに応じた最適な周波数ホッピング方法を設定できる点で第五の変形例は有効である。これにより、さらに周波数フェージングに強くなる、受信エラー(CRCエラー)の防止、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0067】
さらに本実施の形態3ではディストリビューテッド割り当てについて示したが、ローカライズド割り当てにも適用可能である。また、周波数ホッピングは、パーシステントスケジューリングが行われている下りデータ送信においても用いることができる。その際には、実施の形態3及び第一〜第五変形例に示すホッピング方法、制御方法、移動端末と基地局が制御方法を共有する方法を用いることができる。さらに、パーシステントスケジューリングではなくダイナミックスケジューリングが行われている上りデータ送信及び、下りデータ送信においても周波数ホッピングを用いることができる。その際には、実施の形態3及び第一〜第五変形例に示すホッピング方法、制御方法、移動端末と基地局が制御方法を共有する方法を用いることができる。
【0068】
実施の形態4.
実施の形態1から実施の形態3では、トーク時から無音時へ移行する場合に、無音時に無音時データを割り当てるリソースの情報を基地局がL1/L2制御信号を用いて移動端末に送信していた。本実施の形態では、無音時に割り当てるリソースの情報を、基地局がL3メッセージを用いて移動端末に送信しておき、トーク時から無音時へ移行する場合に、eNBはL1/L2制御信号で、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみをUEに送信する方法について開示する。背景雑音等の無音時に必要なデータ量はトーク時のデータ量以下であり、背景雑音のデータ量は変動しない。したがって、無音時に割り当てるリソース情報を、トーク時から無音時に移行するたびに、基地局から移動端末に送信するのはリソースの無駄である。本実施の形態1から3では無音時に割り当てるリソース情報は、トーク時から無音時に移行するたびにL1/L2制御信号を用いて毎回基地局から移動端末に送信していた。本実施の形態では、トーク時から無音時に移行する時に無音時のリソース割り当て情報を送信するのをやめ、制御信号の送信に割り当てるリソースの無駄な使用を減らすことを目的とする。また、移動端末においては、音声データの送受信を行なわないTTIでは動作クロックを停止し、スリープモードとなることにより消費電力を低く抑えることができるが、本実施の形態では通信途中で基地局から受信する制御情報量を減らして、移動端末の送受信動作時間を短縮し、消費電力を減らすことを目的とする。
【0069】
図18に本実施の形態で開示する方法におけるVoIP下りデータが発生した場合の一連の動作を示す。実施の形態1における図8と比較して、図18では無音状態が発生した場合に、基地局が移動端末にL1/L2制御信号を用いた「無音時専用チャネル情報」の送信をしていない。また、実施の形態2と比較した場合、L1/L2制御信号を用いた「無音時のリソース割り当て情報」の送信をしていない。図18において、基地局で下り音声パケットデータ(VoIP)が発生すると(ST1801)、スケジューラはパーシステントスケジューリングを行う(ST1802)。その後、基地局は移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報、さらに無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をL3制御信号(L3メッセージ)を用いて送信する(ST1803)。その後、通話区間の間、基地局はVoIPデータを送信する(ST1804)。移動端末は、ST1803において、L3制御信号によるリソース割り当て情報やMCS設定情報を受信しているので、通話区間におけるVoIPデータのリソース割り当てを認識しており、したがって、VoIPデータを受信することが可能となる(ST1805)。
【0070】
無音状態が発生した場合(ST1806)、基地局はトーク時から無音時への移行を示す情報(無音時移行信号)をL1/L2制御信号として送信する(ST1807)。このステップでは、基地局は移動局に対して、L1/L2制御信号として無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報を通知していない。なぜなら、無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報は既に、パーシステントスケジューリング開始時に、L3制御信号として基地局から移動端末に送信されているからである。基地局から無音時移行信号を受信した移動端末は、ST1803においてL3制御信号として受信した、無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をもとに、無音時の下りデータ(背景雑音)を受信する(ST1809、ST1810)。基地局は、L3制御信号に基づいて、例えば無音時専用チャネルに無音時下りデータを割り当てた後、トーク時に割り当てていたリソースのうち使用していないリソースを開放し、ほかの移動端末に割り当てる(ST1808)。
【0071】
無音状態から通話状態に移行し、再度音声パケットデータが発生すると(ST1811)、基地局は、通話状態におけるリソース割り当て情報をL1/L2制御信号により移動端末に通知し(ST1812)、その情報に従って音声パケットデータを送信する(ST1813)。リソース割り当ての情報は、無音状態が発生する前のトーク時のリソース割り当てと同じでも良いし異なっていても良い。要するに、基地局がその時点でのスケジューリング状況やチャネル品質状況によって決定可能である。L1/L2制御信号によりリソース割り当て情報を受信した移動端末は、通話状態における音声パケットデータのリソース割り当てを認識し、音声パケットデータの受信を行う(ST1814)。
【0072】
上記説明のとおり、基地局は、下り音声パケットデータ(VoIP)が発生すると、パーシステントスケジューリングを行い、移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報、さらに無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をL3制御信号として送信していた(図18のST1803)。L3制御信号として移動端末に送信される無音時専用チャネル情報や無音時のリソース割り当て情報は、実施の形態1から3の方法が適用される。実施の形態1で説明した無音時専用チャネルを設ける場合、あらかじめ、無音時専用チャネルを使用するためのパラメータの値を決めておく。例えば、無音時専用チャネルの構成を示すパラメータの値と、無音時専用チャネルのどこを使用するかを示すパラメータの値である。パラメータの種類としては実施の形態1で述べた種類が適用できる。また、周波数多重だけでなく、時間多重やコード多重の場合も同様に、あらかじめ無音時専用チャネルを使用するためのパラメータの値を決めておけば本発明は実現可能である。
【0073】
また、実施の形態2で説明した方法である、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てる場合、無音時データ用に使用するリソースの一部を示すパラメータの値を事前に決めておくことはできない。例えば、無音時データ用に使用するRB(Resource Block)ナンバーなどをあらかじめ決めておき、それをeNBとUEで共有したり、またはパーシステントスケジューリングの初期設定時にeNBからUEにL3制御信号で通知したと仮定する。しかし、トーク時のリソース割り当ては初回のトーク時と以降のトーク時で変わる可能性がある。初回と2回目でトーク時のリソース割り当てが変わった場合、初回の無音移行時と2回目以降の無音移行時では、無音時データ用に使用するRBナンバーが異なってしまう。なぜならば、無音時のリソースとして割り当てられるリソースは、トーク時に割り当てられた一部だからである。このような場合、他の移動端末に割り当てられたリソースと衝突するなどの問題が生じる。
【0074】
むしろ、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てる場合、該リソースの一部を選択する方法を決めておき、その方法を事前に基地局と移動端末で共有しておくことがよい。もともとトーク時は移動端末毎に割り当てられているため、その一部のリソースを無音時にも用いる事で他の移動端末との衝突が避けられる。したがって、リソースの一部を選択する方法を移動端末でも基地局でも求めることができるようにしておけば、移動端末はどのリソースを受信すれば良いか判断可能となり、無音時データの受信が可能となる。具体的には、トーク時に割り当てられた最も低い周波数から無音時に必要とするRB数だけ選択する方法がある。
【0075】
また、ほかの方法について説明する。図19は下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図19に示すように、リソースブロック(RB)にナンバリングしておく。最低周波数側を#1とし、以降#2、#3とする。無音時に移行する直前のトーク時に割り当てられたRBのナンバーの最小値をTs、RBの間隔をTd、RB数をTnとする。この図の場合、UE―AではTs=1、Td=3、Tn=5、UE―BではTs=2、Td=2、Tn=6となる。また、無音時に必要とするRB数をkとする。無音時に割り当てるRBのナンバーXnは以下のように決められる。
Xn=Xs+n×Td×Int((Tn-k)/(k-1)+1)
Xs=Ts,
n=0,1,,k-1
無音時に必要とするRB数を3とすると、UE−Aの場合、Xn=1、7、13となる。つまり、無音時のデータは#1、#7、#13のRBに割り当てられる事になる。UE−Bの場合、Xn=2、6、10となる。つまり、無音時のデータは#2、#6、#10のRBに割り当てられる事になる。こうすることにより、無音時に割り当てられるRBが、広帯域にわたって選択されることになるため、周波数ダイバーシチのゲインが得られる、とい効果がある。この例の他にもいろいろな規則性の与え方が考えられるが、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時に割り当てる事、該一部のリソースの決め方に規則性を与えておけばよい。
【0076】
上記の一部を選択する方法を規則的にする方法では、周波数軸上の一部のリソースをRB単位で無音時のリソースに割り当てる場合の例を開示した。本方法は、ひとつもしくは複数のサブキャリア単位やVRB単位でリソースが割り当てられている場合にも適用できる。また、時間軸上の一部のリソースを無音時のリソースに割り当てる場合は、無音時専用チャネルを用いる場合と同様に、RBを複数の領域(例えば、サブフレーム毎、1/2サブフレームごと、シンボル毎)に分け、該領域にナンバーをつけ、各移動端末に該領域ナンバーを割り当てればよい。
【0077】
トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てた場合、該一部を選択する規則を、無音時のリソース割り当て領域の情報としてあらかじめ決めておけばよい。パーシステントスケジューリングが行われた場合、トーク時のリソースアロケーション情報はL3制御信号またはL1/L2制御信号により基地局から移動端末に通知される。したがって、トーク時から無音時に移行したときに、基地局はあらかじめ決められた規則に従ってトーク時のリソースアロケーション情報から無音時のリソース領域の導出を行い無音時データを導出されたリソースに割り当てる。移動端末は同じ規則に従ってトーク時のリソースアロケーション情報から無音時に割りあてられたリソース領域を導出でき、該リソース領域を受信する。また、例えば、あらかじめ決められた規則に必要なパラメータのうち、トーク時に変わることのないパラメータ(例えば、無音時に必要とするRB数k)も、あらかじめ決められてeNBとUEで共有していてもよいし、パーシステントスケジューリングが行われる時、始めに基地局から移動端末に送信するL3メッセージで送信しても良い。
【0078】
本実施の形態で開示したように、無音時に割り当てるリソースの情報を基地局がL3メッセージを用いて移動端末に送信しておき、トーク時から無音時へ移行する場合に、基地局はL1/L2制御信号で、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみを移動端末に送信する。つまり、L1/L2制御信号は、大きな情報量を必要とする無音時に割り当てるリソースの情報ではなく、データ量が小さな情報ですむ無音時移行信号を送信することになる。したがって、L1/L2制御信号の1回あたりの通信のデータ量を削減することが可能となる。さらには、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無いためデータの遅延や欠落がなくなるという効果や、無駄なリソース割り当てを削減でき、その分を他の移動端末へ割り当てられるように開放する事が可能となる等の実施の形態1から実施の形態3で述べたのと同様の効果を得ることができる。さらには、トーク時から無音時に移行するたびに無音時のリソース割り当て情報の送信を行う必要がないので、リソースの無駄な使用を減らすことができ、さらには基地局でのスケジューリング負荷を減らすことができるという効果がある。したがって、システムとしてのスループット向上が図れる。また、移動端末において、音声データの送受信を行わないTTIでは動作クロックを停止し、スリープモードとなることにより消費電力を低く抑えることができるが、本実施の形態では通信途中で基地局から受信する制御情報量が減るため、移動端末の送受信動作時間を短縮することができ、更なる消費電力の低減が図れる。
【0079】
本実施の形態では、ディストリビューテッドにリソースが割り当てられている場合を示したが、ローカライズドにリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、周波数ホッピングをともなうリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。本実施の形態では、下りリンクの場合について示したが、本発明は上りリンクにも適用できる。例えば、上りリンクに適用された場合の基地局と移動端末の一連の動作は、実施の形態3で示した図14のように、トーク時から無音時に移行する際にL1/L2制御信号で基地局から移動端末の送信する周波数ホッピングのリソース割り当て情報(周波数ホッピングの制御方法:図14ではST1406)の通知をなくし、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみをUEに送信すればよい。なお、パーシステントスケジューリングを行なっている途中から、周波数ホッピングを実施する場合、はじめのL1/L2制御信号で周波数ホッピングのリソース割り当て情報を送り、それ以降のL1/L2制御信号でこれを送る必要はなく、無音へ移行する旨の信号、及び無音への移行を承認する旨の信号のみを基地局から移動端末に送ればよい。
【0080】
実施の形態5.
本実施の形態では、下りでパーシステントスケジューリングが行われており、上りリンクにおいてスケジューリング要求信号(SR)を移動端末が送信した場合に、移動端末が上りデータを送信するまでの時間を短縮する方法を開示する。図20は、移動端末での下りL1/L2制御信号の受信方法を示す説明図である。図21は本発明の実施の形態5に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。図20には、下りでパーシステントスケジューリングが行われており、上りでスケジューリングリクエストSRを送信する場合の、移動端末における下りL1/L2制御信号の受信方法が説明されている。図20の(1)は従来の下りパーシステントスケジューリングが行われている場合の受信方法を示しており、(2)は本発明の下りパーシステントスケジューリングが行われている場合の受信方法を示す。
【0081】
(1)の従来の受信方法では、下りパーシステントスケジューリングに従って、移動端末はある一定の間隔で受信している。例えば、トーク時は、20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号や音声パケットデータのようなトーク時データを受信しており、無音時は、160ミリ秒間隔で背景雑音のような無音時データを、20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号を受信している。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局に対してスケジューリングリクエストを送信する。スケジューリングリクエストを受信した基地局は移動端末に対して、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信する。この場合、それを送信するタイミングは、パーシステントスケジューリングがなされているある一定の時間間隔(例として20msec)で送信しなければならない。これは、移動端末がパーシステントスケジューリングによって決められたある一定の時間間隔でのみ受信を行っているからである。
【0082】
このため、基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまで遅延が生じてしまう。さらに、移動端末はスケジューリングリクエストに対するL1/L2制御信号を受信できなかった場合、再度スケジューリングリクエストを送信する。この再送スケジューリングリクエストに対するリソースアロケーション等のL1/L2制御信号もパーシステントスケジューリングがなされているタイミングで基地局は送信することになり、さらに遅延が生じる。したがって、移動端末では送信したくてもできない上りデータが溜まってしまい、スケジューリングリクエストの失敗が長く続いた場合、移動端末の送信バッファーからデータがオーバーフローしてしまう問題が生じる。また、音声パケットデータでは、音声が遅れて聞こえる等の問題も生じてしまう。
【0083】
これらの課題を解決するために、図20(2)のような受信方法が有効である。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する。スケジューリングリクエストを受信した基地局は移動端末に対して、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信する。この場合、それを送信するタイミングは、スケジューリングリクエストを受信後、パーシステントスケジューリングがなされているタイミングにあわせて送信するのではなく、可能な限り早いタイミングで送信することとする。移動局からのスケジューリングリクエストに対してリソースアロケーション情報などのL1/L2制御信号を送信するタイミングは、例えばTTI単位が良い。同時に、移動端末はパーシステントスケジューリングによって決められたタイミングで受信を行うのではなく、スケジューリングリクエストを送信した後、直ちにTTI単位のタイミングでL1/L2制御信号の連続受信を行う。このような方法を行う事により、基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。また、移動端末がスケジューリングリクエストに対するL1/L2制御信号が受信できなかったため、スケジューリングリクエストを再送する場合も、再送スケジューリングリクエスト送信後、直ちにTTI単位のタイミングでL1/L2制御信号の連続受信を行うことにより、遅延時間を短縮することが可能となる。基地局からのリソースアロケーション信号を受信した移動端末は、再び下りパーシステントスケジューリングで決められたある一定の時間間隔でのみの受信に戻る。
【0084】
図21に、下りの音声(VoIP)通信でパーシステントスケジューリングが行われている時に、上りリンクにおいて移動端末がスケジューリングリクエストを送信してから上りデータを送信するまでの、移動端末と基地局の一連の動作を説明する。まず、ST2101のように、下りでパーシステントスケジューリングが行われ、基地局は、無音(VOX)時に20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号を送信し、移動端末は20ミリ秒間隔で受信する。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局にスケジューリングリクエストを送信する(ST2102)。移動端末はスケジューリングリクエスト送信後、直ちにL1/L2制御信号の連続受信動作を行う(ST2103)。一方、移動端末からの上りスケジューリングリクエストを受信した基地局は、下りパーシステントスケジューリングによる所定間隔での送信タイミングを待たずに、直ちにリソースアロケーション情報等をL1/L2制御信号として移動端末に送信する(ST2104)。移動端末は、例えば「グラント信号」等を含むリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信した場合(ST2105でYes)、通常の下りパーシステントスケジューリングで決められているL1/L2制御信号の受信タイミングで受信を行う(ST2106)。
【0085】
移動端末が基地局から送られたリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信できなかった場合(ST2105でNo)、スケジューリングリクエストを基地局に再送するとともに、L1/L2制御信号を連続受信する。基地局は、再送スケジューリングリクエストを受信した場合も、下りパーシステントスケジューリングでの送信タイミングを待たずに、直ちにリソースアロケーション情報等をL1/L2制御信号で送信する。移動端末は、スケジューリングリクエストを送信後、L1/L2制御信号の連続受信を行っているため、eNBから送信されるL1/L2制御情報を受信する事が可能となる。これらの一連の動作は、移動端末がリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信するまで繰り返される。移動端末が基地局からのリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信した場合、再び下りパーシステントスケジューリングで決められた一定の時間間隔(20msec)での受信に戻る。さらに移動端末は、受信した該リソースアロケーション情報をもとに、基地局によってスケジューリングされたグラントによって上りデータを送信する(ST2107)。
【0086】
本実施の形態で開示したように、下りパーシステントスケジューリングが行われており、上りリンクにおいてスケジューリングリクエストを移動端末が送信した場合、基地局、移動端末ともに、下りパーシステントスケジューリングで決められたタイミングを待たずに、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信および受信することで、パーシステントスケジューリングの利点を維持しながら、なおかつ基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。また、移動端末は基地局が送信したリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を受信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。つまり、移動端末がスケジューリングリクエストを送信してから上りデータを送信するまでの遅延時間を最小限にする事ができる。特にリアルタイム性が要求される音声パケットデータ(VoIP)の通信では、音声が遅れて聞こえる等の問題が解消されるので本発明は好適である。
【0087】
以上のように、この発明に係る通信方法、基地局、通信システム及び移動端末は、無音時にリソースを無音時専用チャネルに割り当てるとともに、トーク時に移動端末に割り当てていたリソースを開放することで、リソースの無駄な割り当てを削減でき、スループット向上を図ることのできる通信方法、基地局、通信システム及び移動端末としたので、LTE方式の通信システムを構成する基地局及び移動端末と、通信時における基地局と移動端末間の通信制御方法、及び制御信号の通信方法などに用いるのに適している。
【技術分野】
【0001】
この発明は、「ロングタームエボリューション」("Long Term Evolution" LTE)と呼ばれる通信システムを構成する基地局と、通信時における基地局と移動端末間の通信制御方法、及び制御信号の通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代と呼ばれる通信方式のうちのW―CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式は、2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(HS-DSCH: High Speed-Downlink Shared Channel)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Down Link Packet Access)もサービスが開始された。現在、上り方向のデータ送信を高速化するためHSUPA(High Speed Up Link Packet Access)方式についても提案、検討されている。W―CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、現在リリース6版の規格書がとりまとめられている。
【0003】
また、3GPPにおいて、W―CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(LTE)、コアネットワークを含めたシステム全体構成については「システムアーキテクチャエボリューション」("System Architecture Evolution" SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW―CDMA(HSDPA/HSUPA)とは異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W―CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向にSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W―CDMAは5MHzを適用するのに対し、LTEでは1.25/2.5/5/10/15/20MHzを適用し得る。また、LTEでは、W―CDMAのような回線交換ではなく、パケット通信方式のみになる。
【0004】
LTEはW―CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio System GPRSと呼ばれる)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W―CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W―CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末UE(User Equipment)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB, eNodeBと記載されることもある)、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)はaGW(Access Gateway)と称される。このLTEの通信システムでは、E―MBMS(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と称されるマルチキャスト・放送型マルチメディアサービスのような1対多(Point to Multipoint)通信を実施するほか、複数の移動端末のうち個別の移動端末に対するユニキャスト(Unicast)サービスのような通信サービスも提供する。LTEではW―CDMAと異なり、トランスポートチャネル、物理チャネルでは個別の移動端末に向けた個別のチャネル(Dedicated Channel, Dedicated Physical Channel)は存在しないので、個別の移動端末へのデータ送信は共通チャネル(Shared Channel)で実施される。
【0005】
上りリンク、もしくは下りリンクでデータ送信が発生した場合、上りリンク、下りリンクそれぞれで、基地局と移動端末の通信を可能にするスケジューリングが行なわれる。例えば、下りスケジューリングでは、基地局は発生したデータのサイズや通信路品質に応じた無線リソースを移動端末に割り当て、目標品質やデータ速度に応じた変調方式や誤り訂正符号方法(MCS: Modulation and Coding scheme)を設定する。上りスケジューリングにおいては、移動端末が基地局に対して送信データが発生した場合、上りリンクの無線リソースを割り当てるよう要求する信号(上りスケジューリングリクエスト SR: Scheduling Request)を送信し、これを受けて、基地局が移動端末に対し、上りリンクの無線リソースを割り当てる。このような、無線リンクを介して、移動端末と基地局間の通信を可能にするためのスケジューリング制御に使用される制御信号には、「L3制御信号」(Layer3 control signaling, L3メッセージ)等の上位レイヤ信号と、「L1/L2制御信号」(Layer1/Layer2 control signaling)と呼ばれる信号がある。L3制御信号は、主に、呼接続(RRC Connect)発生時を含む初期送信時に、例えばRRCレイヤのような上位レイヤから通知される制御信号であり、下りリンクを介して、上りリンク、下りリンクのチャネル設定や無線リソースの割り当てを行う。一方、L1/L2制御信号は、上りリンク、下りリンク双方において、移動端末と基地局間で頻繁にやり取りされる制御信号であり、上りリンクで移動端末が基地局に対し、無線リソースの割り当てを要求する上りスケジューリングリクエスト信号や、呼接続発生時、継続時を含め、データサイズの変更や通信路の品質要求に合わせて無線リソースを不定期に変更する場合にも、L1/L2制御信号を使用する。L1/L2制御信号には、上りリンクもしくは下りリンクで基地局、または移動端末がデータを受信するとそのデータを受信できたか否かを相手に応答するAck/Nackや、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報CQI(Channel Quality Indicator)も含まれる。
【0006】
LTEのコアネットワークはパケット接続のネットワークであり、ユーザデータは音声などのリアルタイムデータを含めて全てパケット化されている。通常のパケットデータ送信の場合、そのデータにリアルタイム性は要求されておらず、データの内容により、送受信されるデータ速度が不定期に変化する。一方、音声のようなリアルタイムデータは、パケット化されても、データが通信相手にリアルタイムに再現される必要があるため、一定の間隔で所定のサイズのデータが定期的に発生する。よって、スケジューリングによる無線リソースの割り当てにおいて、通常のパケットデータ通信時と音声のようなリアルタイムデータの通信時には、異なるスケジューリング方法が必要になる。通常のパケットデータのように、データの内容により速度が変わり、高速通信にも対応する必要のあるデータに対しては、通信路品質やデータ速度(データサイズ)によって、TTI(=1ms)毎に無線リソースの設定をダイナミックに変更できるダイナミックスケジューリング(dynamic scheduling)方法を用いる。一方で、音声のように、リアルタイム性が要求され、一定の間隔で所定のサイズのデータが定期的に発生する通信は、低速度で、データサイズも1つ以上の決められたサイズであるため、無線リソースを定期的にかつ持続的に割り当てることができるパーシステントスケジューリング(Persistent scheduling)方法を用いる。変調方式、誤り訂正条件(MCS)も、発生し得るデータサイズや規定の目標品質に合わせて、定期的にかつ持続的に割り当てることができる。非特許文献1では、パーシステントスケジューリングのメリットとして、基地局による無線リソースの割り当てやMCSの設定を、初期送信時にL3制御信号を介して移動端末に通知したあとは、L1/L2制御信号による、無線リソースの設定・更新をする必要もなく、また、受信データ品質報告(CQI)をTTI(=1ms)毎に報告する必要もないため、移動端末と基地局間のL1/L2制御信号の通信量を大幅に減らすことができる点をあげている。
【0007】
しかしながら、実際にネットワークで通信される音声データは、ユーザの通話品質や通話中の動作により、任意のタイミングでデータレートが変化するため、実際には、音声通信の途中で、L3制御信号、もしくはL1/L2制御信号により無線リソースの設定・更新を行う必要がある。LTEにおける音声通信では、3GPPのW―CDMAで標準の音声コーデックとして採用されているAMR(Adaptive Multi Rate)と呼ばれる方式が採用されると予想されている。3GPPで標準とされているAMR方式は、ナロウバンド(Narrow band)と呼ばれるものとワイドバンド(Wide band)と呼ばれるものがある。ナロウバンドAMRは8kHzで音声がサンプリングされることを前提とした符号化方式である。一方、ワイドバンドAMRは、16kHzで音声がサンプリングされることを前提としており、より高速なマルチメディアデータに対応し、高レートでかつ高い音声品質の実現を目指したものである。図5は、非特許文献2において、ナロウバンドAMRで圧縮された後、パケット化された音声データ(VoIPデータ)を上りリンクで通信する際の動作を示した図である。非特許文献2にあるように、AMRを圧縮符号化に用いた音声通信は、通話遷移状態(transient state)と、通話状態(talk spurt, トーク時、トーク期間)、無音状態(silent spurt, VOX期間)の3つの状態に分けられる。通話遷移状態時と通話状態時は、20ミリ秒毎にデータが更新され、無音状態時は、音声が発生しない区間が長ければ160ミリ秒毎に背景雑音データ(SID)が更新される。この状態遷移は任意のタイミングで発生する。これにより通信品質状態が変わることも十分あり得るため、途中で無線リソースやMCSの設定を制御信号を介して変更する必要がある。音声のようなリアルタイムデータ通信時にパーシステントスケジューリングを行う場合、一定間隔で定期的にデータが更新され、途中でデータレートやデータ発生間隔が変わるような制御となるため、通信途中で、通信品質を維持しながら基地局と移動端末間の無駄な通信制御を省き、スケジューリングによるリソース管理をシンプルにして基地局と移動端末双方での動作負荷を減らすという課題と、データのリアルタイム性への追従という課題を解決しなくてはならない。
【0008】
上りリンクにおける音声パケットデータ通信用のパーシステントスケジューリング方法について、各社の複数の提案を比較したものが非特許文献3である。非特許文献3において、各社とも、AMRでの音声通信時に一時的に起こる無音状態と通話状態間の状態遷移において、移動端末と基地局間でL1/L2制御信号やL3制御信号を利用して無線リソースの再設定や変更を行う必要があるとしている。しかし、非特許文献3では、それぞれの提案において、制御信号のオーバーヘッドや、制御信号の受信エラーが発生した場合、通信遅延やリソースの無駄が発生するという課題を列挙されているのみで、本発明の明細書で示すような「発明の課題」の具体的な解決策や「発明の効果」についての示唆はない。
【0009】
LTEにおけるデータ通信時に使用する無線リソースの割り当て方法には、「ローカライズド」(localized)と「ディストリビューテッド」(distributed)と呼ばれる無線リソース割り当て方法がある(非特許文献4)。図6(a)(b)に示す図は、基地局が利用できる時間−周波数領域を、周波数軸、時間軸上で複数のブロックに分割し、移動端末に割り当てる方法を示した図である。それぞれの分割されたブロック単位は、上りリンクでは、リソースユニット(RU: Resource Unit)、下りリンクでは、リソースブロック(RB: Resource Block)と呼ばれている。図6(a)は、時間―周波数軸上でローカライズドに無線リソースを割り当てる例を示したもの、図6(b)は、時間―周波数軸上でディストリビューテッドに無線リソースを割り当てる例を示したものである。図6(a)にあるように、ローカライズドな割り当ては、周波数軸上で、同タイミングで1つ以上の連続した周波数帯域の無線リソースを割り当てる方法である。一方、図6(b)にあるディストリビューテッドな割り当てでは、周波数軸上で2つ以上の互いに離れた(分散された=distributed)無線リソースを同時に使用する。3GPPにおいて、上りリンクでは図6(a)に示すようなローカライズドな割り当てについて、下りリンクでは、ローカライズドな無線リソース割り当てと、図6(b)に示すようなディストリビューテッドな無線リソース割り当てについて検討が行なわれている。
【0010】
非特許文献5は、パーシステントスケジューリングに関して、下りリンクでは、1つの無線リソースブロック内を複数の周波数で分割し、1つの移動端末用の無線リソースを複数のリソースブロックの分割ブロックに分散させて割り当てるとともに、上りリンクでは、1つの無線リソース周波数をホッピングさせて割り当てる無線リソース割り当て方法を開示している。しかし、本発明の明細書で示す「発明の課題」を解決するものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】3GPP寄書R2―061920
【非特許文献2】3GPP寄書R1―070333
【非特許文献3】3GPP寄書R2―070283
【非特許文献4】3GPP TR25.814V7.0.0
【非特許文献5】3GPP寄書R1―070098
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のユーザデータ通信におけるスケジューリングでは通常、L3制御信号、もしくはL1/L2制御信号を介して、必要に応じて変調方式や誤り訂正符号の条件(MCS)の設定や、無線リソースの割り当てを行うダイナミックスケジューリングが中心であった。一方、近年、音声のような定期的かつ持続的に発生するリアルタイムデータに対しては、あらかじめ初期送信時にデータ発生の規則性に合わせて、変調方式や誤り訂正符号の条件(MCS)の設定や、無線リソースの割り当てを行うパーシステントスケジューリングと呼ばれるスケジューリング方式が提案されている。ところが、実際の音声のようなリアルタイムデータは、音声通話の品質やユーザの動作(無音状態)により、途中でデータレートやデータ発生間隔が変わるため、通信途中でこれらの変化に合わせた制御が必要になる。無線リソースの有効利用や、通信路品質の維持の目的のために、任意のタイミングで変化するデータレートや品質に合わせて、無線リソースの割り当てやMCSを変更するとともに、その場合に生じる無駄なリソース割り当ての削減や、通信途中に発生する制御信号の量と頻度を少なくし、システム負荷を低減させるという課題がある。また、通信途中での制御信号の発生を低減するために、通信品質が安定しやすい無線リソース割り当て方法が必要であるという課題がある。更に、基地局と移動端末間の制御信号のオーバーヘッドや制御信号の受信エラーによる遅延を少なくし、データをリアルタイムに再現できるよう遅延を最小限にしなければならないという課題がある。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、パーシステントスケジューリングにおいて、任意のタイミングで変化するデータレートや品質に合わせるだけでなく、システム全体で無線リソースを有効に利用できるようなリソース管理ができるデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。また、通信途中に任意のタイミングで発生するデータレートやデータ発生間隔の変化に合わせて、無線リソースの割り当てやMCSを変更するとともに、無駄なリソース割り当てを削減し、通信途中で発生するL3制御信号、もしくはL1/L2制御信号の発生量や頻度を低減でき、かつ、通信品質が安定しやすいスケジューリングを行うデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。更に、基地局と移動端末間の制御信号のオーバーヘッド等の遅延がデータのリアルタイムな再現に影響を与えないようなスケジューリングを行うデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る通信システムは、周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うものである。
【0015】
本発明に係る基地局は、移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うものである。
また、本発明に係る移動端末は、周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通信システムは、周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【0017】
本発明に係る基地局は、移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
また、本発明に係る移動端末は、周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、基地局により割り当てられた無線リソースを使用して基地局にデータを送信する移動端末であって、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用するので、周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となり、システムとしてのスループット向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】LTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】LTEの通信システムで使用されるチャネルの構成を示す説明図である。
【図3】移動端末の構成を示すブロック図である。
【図4】基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】上りリンクにおいて、AMR音声コーデック方式で圧縮した音声をパケット化したVoIPデータを通信した場合のデータ通信タイミング例を示した図である。
【図6】LTEにおけるスケジューリングによる無線リソース割り当て方法を示した図である。
【図7】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【図9】無線時専用チャネルのリソースブロックにおいて複数の移動端末を多重する処理を説明する説明図である。
【図10】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図11】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図12】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図13】実施の形態3における周波数ホッピング時の無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る通信方法を説明するフローチャートである。
【図15】上りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図16】上りリンクにおける無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る通信方法を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態4に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【図19】下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。
【図20】UEでの下りL1/L2制御信号の受信方法を示す説明図である。
【図21】本発明の実施の形態5に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はLTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。図1において、aGW1は複数の基地局(eNB)2と制御データやユーザデータの送受信を行い、基地局2は複数の移動端末(UE)3に対してデータの送受信を行う。基地局2と移動端末3間においては、報知情報、着呼処理に用いられる情報、個別制御データ、個別ユーザデータ、E―MBMS用の制御データやユーザデータ等が送信される。また、基地局2同士がお互いに通信することも検討されている。基地局2は上り及び下りのスケジューラを有する。スケジューラは、基地局2と各移動端末3のデータの送受信を可能にし、個々の移動端末3及び移動通信システム全体のスループット向上のためにスケジューリングを行う。
【0020】
E―MBMSはある基地局から複数の移動端末に向けてデータを一斉に送信する放送型の一対多(Point to Multipoint)型の通信サービスを提供するものである。具体的には、ニュースや天気予報等の情報サービスや、モバイルTVなどの大容量の放送サービスが検討されている。aGW1はPDN(Packet Data Network)4を介してサービスセンタ5と通信を行う。サービスセンタ5はユーザにサービスを提供するためのコンテンツを保管、配信するための装置である。コンテンツプロバイダは、サービスセンタ5に対してモバイルTV放送データ等のE―MBMSデータを送信する。サービスセンタ5ではE―MBMSデータを記憶するとともに、PDN4、aGW1を介して基地局2へE―MBMSデータを送信する。
【0021】
図2はチャネルの構成を示す説明図である。図2には、論理チャネル(Logical Channel)とトランスポートチャネル(Transport Channel)のマッピングが示されている。論理チャネルは伝送信号の機能や論理的な特性によって分類される。トランスポートチャネルは伝送形態によって分類される。報知情報はBCCH(Broadcast Control Channel)上にのせられる。BCCHはBCH(Broadcast Channel)にマッピングされ基地局から移動端末へ送信される。着呼処理に用いられる情報はPCCH(Paging Control Channel)上に乗せられる。PCCHはPCH(Paging Channel)にマッピングされ基地局からセル内の移動端末へ送信される。個別の移動端末宛ての個別制御データはDCCH(Dedicated Control Channel)上に乗せられる。
【0022】
また、個別の移動端末宛ての個別ユーザデータはDTCH(Dedicated Traffic Channel)上に乗せられる。DCCHとDTCHはDL―SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされて、基地局から個々の移動端末に宛てて個別に送信される。逆に、UL―SCH(Uplink Shared Channel)を用いて個々の移動端末から基地局へ個別に送信される。DL―SCH及びUL―SCHは共有チャネル(Shared Channel)である。E―MBMS用の制御データ及びユーザデータはそれぞれMCCH(Multicast Control Channel)とMTCH(Multicast Traffic Channel)上に乗せられ、DL―SCHもしくはMCH(Multicast Channel)にマッピングされて基地局から移動端末へ送信される。移動端末からの接続要求信号、例えばスケジューリング要求信号SRはランダムアクセスチャネル(Random Access Channel RACH)または個別チャネル(Dedicated Channel)により個々の移動端末から基地局へ送信される。
【0023】
図3は移動端末の構成を示すブロック図である。移動端末3の送信処理は以下のとおり実行される。まず、プロトコル処理部6からの制御データ、アプリケーション部7からのユーザデータが送信データバッファ部8へ保存される。送信データバッファ部8に保存されたデータはエンコーダ部9へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部8から変調部10へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコーダ部9でエンコード処理されたデータは変調部10にて変調処理が行われる。変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部11へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ12から基地局2に送信信号が送信される。
【0024】
また、移動端末3の受信処理は以下のとおり実行される。基地局2からの無線信号がアンテナ12により受信される。受信信号は、周波数変換部11にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部13において復調処理が行われる。復調後のデータはデコーダ部14へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部6へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部7へ渡される。移動端末の一連の送受信処理は制御部15によって制御される。
【0025】
図4は基地局の構成を示すブロック図である。基地局2の送信処理は以下のとおり実行される。aGW通信部16は、基地局2とaGW1間のデータの送受信を行う。他基地局通信部17は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。aGW通信部16と他基地局通信部17はそれぞれプロトコル処理部18と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部18からの制御データ、またaGW通信部16と他基地局通信部17からのユーザデータが送信データバッファ部19へ保存される。送信データバッファ部19に保存されたデータはエンコーダ部20へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部19から変調部21へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコードされたデータは変調部21にて変調処理が行われる。
【0026】
変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部22へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ23より一つもしくは複数の移動端末1に対して送信信号が送信される。また、基地局2の受信処理は以下のとおり実行される。一つもしくは複数の移動端末3からの無線信号がアンテナ23により受信される。受信信号は周波数変換部22にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部24で復調処理が行われる。復調されたデータはデコーダ部25へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部18へ渡され、ユーザデータはaGW通信部16、他基地局通信部17へ渡される。基地局2の一連の送受信処理は制御部26によって制御される。
【0027】
以下、本発明にかかる移動端末および基地局の動作について説明する。3GPPにおいて、通信の形態として定量、少量、定期的、比較的長い期間続く、リアルタイム性といった特徴を有する例えば、音声パケットデータ(VoIP)の通信サービスのため、パーシステントスケジューリングが検討されている。ダイナミックスケジューリングの場合、基地局や移動端末はパケット毎にリソースアロケーションやCQIなどのL1/L2制御信号を送信しなければならない。しかし、前記サービスにダイナミックスケジューリングを用いた場合、リソースアロケーションの変更やCQI情報の変更がないのにL1/L2制御信号を送信することになり、リソースの無駄が多くなる。パーシステントスケジューリングでは、初期送信時に基地局が移動端末にリソースアロケーションやMCSの設定をL3制御信号によって1回送信すると、基地局はある期間そのアロケーションやMCSを用いて移動端末にリソースを割り当て、移動端末は下り受信信号の何回かに1回、平均のCQIを基地局に送信する。したがって、パーシステントスケジューリングでは、基地局と移動端末間のL1/L2制御信号の通信量を減らす事が可能となる。したがって、前述のようなVoIPデータ通信の無線リソース割り当てをパーシステントスケジューリングで行うのは有効である。
【0028】
しかし、VoIPデータの通信を行う場合、一般的にトーク時と無音時とで通信するデータの容量が異なる。無音時は無音データとして背景雑音データ等を送信する。この無音データはトーク時のデータに比べてデータ容量が小さい。例えば、ワイドバンド音声データの場合、無音時のデータ量はトーク時のデータ量の約1/13、ナロウバンド音声データの場合、無音時のデータ量はトーク時のデータ量の約1/7である。VoIPデータ通信にパーシステントスケジューリングを用いた場合、初期送信時に基地局がリソースアロケーションを移動端末に1回送信したら、基地局はある期間そのリソースアロケーションを用いてリソースを割り当てる。したがって、トーク時から無音時に移行した場合、送信データ量は少なくなっているのに割り当てられるリソースは引き続きトーク時と同じになり、割り当てられたリソースより小さい量のデータ(無音データ)しか送信しない状態となるため、リソースの無駄が生じてしまう。使用しないリソースは他の移動端末へ割り当てられるように開放した方が良い。本実施例では、トーク時から無音時に移行する場合のリソースの開放方法について、無音時専用チャネルを設けて無音時のデータを無音時専用チャネルに割り当てる方法について説明する。
【0029】
まず、無音時専用チャネルについて説明する。図7は下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図7には、下りリンクにおける無音時専用チャネルの周波数−時間軸上でのリソース割り当てについて示される。白抜き黒枠はダイナミックスケジューリングで割り当てられているリソースブロック(RB)を、白抜き二重黒枠は無音時のリソースが割り当てられる無音時専用チャネルを示す。斜線はある移動端末(UE-A、UE-B)のVoIPデータが割り当てられているリソースを示す。周波数−時間軸上に、VoIPデータの通信を行っている移動端末の無音時データを専用に割り当てるためのある領域を専用チャネルとしてあらかじめ確保しておく(本発明では、該専用チャネルを無音時専用チャネルと称す)。無音時専用チャネルはVoIPデータの通信を行っているひとつまたは複数のUEで共用する。無音時のデータ量はトーク時に比べて小さいため、無音時専用チャネルに割り当てるリソースはトーク時に割り当てるリソースより少なくする事が可能である。無音時専用チャネルは、全ての無音時の移動端末共用でひとつでもよいし、いくつかの移動端末群ごとに複数でも良い。複数の移動端末で共用とするため、移動端末多重方法は、周波数多重または時間多重またはコード多重で行う。
【0030】
図7では、例として、トーク時、無音時ともに一定時間間隔で割り当て、その時間間隔は、トーク時は20ミリ秒、無音時は160ミリ秒とした場合を示す。また、周波数はディストリビューテッドに割り当てた場合について示す。無音時専用チャネルの移動多端末多重方法は周波数多重の場合を示す。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。無音時に必要とするリソース量と移動端末のキャパシティとから、無音時専用チャネルの全体のリソース量や、その各端末毎の多重方法が決められても良い。
【0031】
次に、トーク時および無音時のデータの割り当て方法について開示する。基地局はパーシステントスケジューリングにより、無線リソース割り当てを初期送信時にL3制御信号によってUE―A、UE―Bに送信する。具体的には、下りリンクでのトーク時のデータに、図7の一部のように、一定時間間隔(20msec)および「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照)にある周波数間隔(例えば3リソースブロックごと)で周波数−時間軸上のリソースを割り当てることを基地局は移動端末(UE―A、UE―B)に伝達する。UE―A、UE―Bは受信したL3制御信号によって割り当てられたリソースを受信する。基地局からUE―Aへのデータがトークから無音に変わった場合、基地局はL1/L2制御信号を用いてUE―Aに無音時専用チャネル情報を送信する。図7ではL1/L2制御信号のリソース割り当てを省略したが、例えば、VoIPデータを割り当てる各TTIの始めの数シンボルに割り当てておけばUEはVoIPデータとともにL1/L2制御信号も受信可能となる。無音時専用チャネル情報を受信したUE−Aは、図7で示される、あらかじめ割り当てられた無音時専用チャネルのRBの中のさらに自身に割り当てられたいくつかのサブキャリアを受信する。上記のような方法を用いる事によって、トーク時から無音時に移行して無音時専用チャネルにリソースが割り当てられた場合、トーク時に割り当てていた領域は他の移動端末に開放することができる。
【0032】
無音時専用チャネルのRBの中でさらに移動端末毎の多重方法として、前述した周波数多重ではなく、時間多重、コード多重であってもよい。図9は、無線時専用チャネルのリソースブロックにおいて複数の移動端末を多重する処理を説明する説明図である。図9において、(1)は周波数多重方法である。RBを一つまたは複数のサブキャリアを有する領域にわけて、其々の領域を各移動端末に割り当てる。一つの領域におけるサブキャリアの必要数は、無音時専用チャネルのRB数による。一つの移動端末に割り当てられる総サブキャリア数は一つの領域におけるサブキャリア数と無音時専用チャネルのRB数の乗算で求められ、該総サブキャリア数が背景雑音等の無音時データの必要量を満たすように決定すれば良い。図では例としてひとつのRBを6領域に分割した場合を示している。(2)は時間多重方法である。1TTIをサブフレーム単位、もしくは1/2サブフレーム単位、もしくはシンボル単位で分割して其々の移動端末に割り当てる。図では1/2サブフレーム単位で其々の移動端末に割り当てた場合について示した。本実施の形態及び、後の実施の形態2,3、4では、1TTIは2サブフレーム(1/2TTIが1サブフレーム)であるが、1TTIがいくつのサブフレームから構成されていても良い。(3)はコード多重の場合である。UE固有に与えたコードによって多重される。該コードはスクランブリングコードであってもよいし、拡散コードであってもよい。また、該コードは例えばUE―IDであってもよいし、上りAck/Nackチャネルで用いるCAZACコードであってもよい。コード多重の場合、ひとつのRBをさらに分割する必要がないため、無音時専用チャネルのRB数は周波数多重や時間多重に比べて少なくする事ができ、周波数−時間リソースの無駄を削減する量が増大するという効果がある。また、図7では無音時専用チャネルとして、RB単位で割り当てているが、これもサブキャリア単位でも良いし、バーチャルRB単位でも良いし、また1/2TTI単位でも良い。これらの場合、RB単位に比べて、より小さいリソース単位での割り当てが可能となり、さらに周波数―時間リソースの無駄を削減する量が増大するという効果がある。
【0033】
本発明においては、リソースが無音時専用チャネルを使用するためのパラメータを有し、該パラメータは基地局から移動端末に通知される。無音時専用チャネルの構成を示すパラメータと、無音時専用チャネルのどこを使用するか(無音データを割り当てるか)を示すパラメータである。無音時専用チャネルの構成を示すパラメータとしては、例えば、どの周波数領域に割り当てられているかという周波数領域割り当てを示すパラメータ、どの時間領域に割り当てられているかという時間領域割り当てを示すパラメータ、多重方法を示すパラメータがある。周波数領域割り当てを示すパラメータとして、例えばRBナンバー(システム帯域をRB毎に最低周波数側からナンバリングしたもの)、周波数多重の場合は各RBの分割数、等がある。時間領域割り当てを示すパラメータとしては、例えばTTIナンバー(ある時間を基準にTTI毎にナンバリングしたもの)、繰り返し割り当てられる時間間隔を示すパラメータ、時間多重の場合は各TTIの分割数、等がある。多重方法を示すパラメータは、使用される多重方法によって、周波数多重、時間多重、コード多重で其々異なるパラメータ値が設定される。無音時専用チャネルのどこを使用するか(無音データを割り当てるか)を示すパラメータとしては、例えば、周波数多重の場合はRB中の分割された周波数領域に付されたナンバー、時間多重の場合はTTI中の分割された時間領域に付されたナンバー、コード多重の場合、各UE個別に与えられるコード等がある。
【0034】
図8は本発明の実施の形態1に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。図8にVoIP下りデータが発生した場合のパーシステントスケジューリングにおける一連の動作について示す。基地局において、移動端末に対するVoIP下りデータが発生すると(ST801)、スケジューラはパーシステントスケジューリングを行う(ST802)。その後、基地局はL3制御信号(L3メッセージ)を用いて、移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報を送信する(ST803)。基地局はその後トーク時データを送信する(ST804)。移動端末は、L3メッセージによるリソース割り当て情報やMCS設定情報を受信することにより、パーシステントスケジューリングされているトーク時データのリソース割り当てを知る事ができるので、トーク時データを受信することが可能となる(ST805)。
【0035】
次に、無音状態が発生した場合(ST806)、基地局は、トーク時から無音時に移行するため、無音時専用チャネル情報をL1/L2制御信号にて移動端末に通知する(ST807)。無音時の専用チャネル情報は、無音時専用チャネルを使用するためのパラメータからなる。無音時専用チャネルを使用するためのパラメータは前述した。移動端末は、該無音時専用チャネル情報を受信する事によって、無音時専用チャネルの構成、自身が受信する無音時データが無音時専用チャネルのどこに割り当てられているかを知る事ができ、したがって、無音時データを受信する事が可能となる(ST809、ST810)。基地局は、移動端末に無音時専用チャネルに無音時下りデータを割り当てた後、当該移動端末に対してトーク時に割り当てていたリソースを他の移動端末に開放する(ST808)。
【0036】
再度トークデータが発生した場合は(ST811)、基地局はリソース割り当て情報をL1/L2制御信号により移動端末に通知し(ST812)、その情報に従ってトーク時データを送信する(ST813)。リソース割り当ての情報は、無音状態が発生する前のトーク時のリソース割り当てと同じでも良いし異なっていても良い。基地局がその時点でのスケジューリング状況やチャネル品質状況によって決定可能である。L1/L2制御信号によりリソース割り当て情報を受信した移動端末は、トーク時データのリソース割り当てを知る事ができ、したがって、再度トーク時データを受信する事が可能となる(ST814)。
【0037】
VoIPデータの通信にパーシステントスケジューリングを用いた場合、本実施例で開示したように、無音時用に新たに無音時専用チャネルを設けてトーク時から無音時に移行する場合に無音時データを無音時専用チャネルに割り当てる方法を用いる事によって、無音時に送信データ量が少なくなるために生じる無駄なリソース割り当てを他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となる。通常、専用チャネルを設けた分リソースの無駄使いになるが、本発明では、容量の小さい無音時用に専用チャネルを設け、容量の大きいトーク時のリソースを開放することで、逆に、システムとしてリソースの無駄な割り当てを削減でき、効率的な割り当てを行なえる効果がある。したがって、システムとしてのスループットを向上させることができた。さらには、無音時専用チャネルを設けてあるので、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無くなり、データの遅延や欠落が無くなる、という効果が得られる。
【0038】
本実施の形態では、「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照)にリソースが割り当てられている場合を示したが、「ローカライズド」(図6(a)の説明参照)にリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、周波数ホッピングをともなうリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、本実施の形態では、下りリンクの場合について示したが、本発明は上りリンクにも適用できる。
【0039】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、無音時データ送信用の無音時専用チャネルを設けて無音時のデータを無音時専用チャネルに割り当てる方法を開示したが、本実施の形態2では、無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部に割り当てる方法を開示する。
【0040】
図10は、下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図10に下りリンクにおける無音時に、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる方法について示す。白抜き黒枠はダイナミックスケジューリングで割り当てられているリソースブロック(RB)を、斜線はある移動端末(例えばUE-A、UE-B)のVoIPサービスが割り当てられているリソースを示す。トーク時(I)は、UE―A、UE―B其々のデータ送信用として、周波数―時間軸上のいくつかの領域が割り当てられる。本変形例では、UE―A、UE―Bともに周波数軸上でRB単位で「ディストリビューテッド」(図6(b)の説明参照。UE-Aは3RB毎、UE-Bは2RB毎)に割り当てられている場合について示した。また、時間間隔として20ミリ秒毎としている。本発明においては、無音時(II)に移行した場合、無音時データ用のリソースとして、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる。本実施の形態では、例えば、UE―A、UE―Bともトーク時割り当ての1RBおきにRB単位でディストリビューテッドにリソースを割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。
【0041】
本発明においては、無音時データ用に使用するリソースが、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えばRBナンバーがある。
【0042】
本実施の形態2において、VoIP下りデータが発生した場合のパーシステントスケジューリングにおけるUEおよびeNBでの一連の動作は、実施の形態1で示した図8のシーケンスにおいて、無音状態発生後のeNBがL1/L2制御信号でUEに送信する無音時専用チャネル割り当て情報の代わりに、無音時のリソース割り当て情報を送信すれば良い。無音時のリソース割り当て情報は前述の、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータからなる。該パラメータを受信したUEは無音時下りデータが割り当てられているリソースを知る事ができ、したがって、無音時下りデータを受信する事ができる。eNBは、UEに無音時下りデータを割り当てた後、そのUEにトーク時に割り当てていたリソースのうち、無音時に使用していないリソースを他UEに開放する。
【0043】
本実施の形態2で開示したように、トーク時から無音時に移行する場合に、無音時専用チャネルを設けずに、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てる方法を用いる事によって、送信データ量が少なくなるために生じる無駄なリソース割り当てを削減でき、その分を他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となるため、効率的な割り当てを行える効果がある。さらには、無音時データ送信用の無音時専用チャネルをあらかじめ設けておく必要もなく、無音時専用チャネルに空があるような場合に生じる無駄なリソース割り当ても削減でき、その分を他UEへ割り当てられるように開放する事が可能となるため、効率的な割り当てを行える効果がある。したがって,システムとしてのスループット向上が図れる。さらには、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部を割り当てるので、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無くなり、データの遅延や欠落が無くなる、という効果が得られる。
【0044】
以下、変形例を説明する。第一の変形例として、無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部をひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当てる方法を開示する。実施の形態2では、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部をRB単位で割り当ておよび他UEへ開放したが、本変形例では、ひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当ておよび他UEへの開放を行う。図12に示す変形例では、ディストリビューテッドでUE―A、UE―Bに割り当てられている各RBのうち3サブキャリアに割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。
【0045】
本変形例において、無音時データ用に使用するリソースが、トーク時に割り当てられていた周波数軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えばRBの分割数、分割された領域を示すナンバーがある。なお、トーク時に割り当てられた周波数軸上のリソースの一部に無音時のデータを割り当てる単位として、実施の形態2ではRB単位で、また変形例1ではひとつまたは複数のサブキャリア単位で割り当てた。さらには、VRB(Virtual Resource Block)単位としても同様の効果は得られる。例えば、トーク時に割り当てられていたVRBの一部を無音時に割り当てても良い。また、これらを組合わせてもよく、同様の効果を得られる。例えば、トーク時に割り当てられていたRBの一部をさらにサブキャリア単位で割り当てても良い。なお、本変形例のように、無音時データの割当て単位を小さくして、周波数軸上で広帯域に割り当てることで、周波数ダイバーシチゲインを得られるという効果がある。
【0046】
第二の変形例として、無音時に無音時専用チャネルを設けずに、無音時のデータをトーク時に割り当てられ時間軸上のリソースの一部を割り当てる方法を開示する。図11に示す変形例では、1TTIを1/2サブフレーム単位に4分割し、UE―A、UE―Bともトーク時割り当てのRBのうち其々1/2サブフレームを割り当てている。こうすることによって、使用しない余分なリソース領域は他UEに開放可能となる。なお、無音時に必要とするリソース量は、背景雑音等のデータ量をもとにあらかじめ決められていても良い。本変形例において、無音時データ用に使用する、トーク時に割り当てられていた時間軸上のリソースの一部を示すパラメータを有し、該パラメータはeNBからUEに通知される。該パラメータとしては、例えば1TTIの分割数、分割された領域を示すナンバーがある。なお、本変形例も第一の変形例と同様に、無音時データの割当て単位を小さくして、周波数軸上で広帯域に割り当てることで、周波数ダイバーシチゲインを得られるという効果がある。
【0047】
実施の形態3.
非特許文献5にてパーシステントスケジューリングが行われている上り(UL、Uplink)データ送信において周波数ホッピングが用いられることが検討されている。しかし非特許文献5には、周波数ホッピングの具体的なホッピング方法については開示されていない。よってその制御方法についても開示されていない。本実施の形態3では、周波数ホッピングの具体的なホッピング方法について説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信において周波数ホッピングを用いるためには、周波数ホッピングの制御について移動端末(UE)と基地局(eNB、eNodeB)にて共有すれば更なる効果を得ることができる。共有していないと、周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対して上り無線リソースの割り当てが必要となり、割り当てのためのL1/L2制御信号を送信、受信しなければならないが、周波数ホッピングの制御について移動端末と基地局が共有すれば、その必要がなくなるという更なる効果を得る。そこで、本実施の形態3では周波数ホッピングの具体的なホッピング方法、その際に必要な制御方法について提案し、あわせて制御方法を移動端末と基地局において適切に共有する方法を提案する。
【0048】
パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図13に示す。図13の割り当てについて以下に説明する。図13では、ディストリビューテッド割り当て時を示している。パーシステントスケジューリングにおいては定期的に無線リソースの割り当てが行われる。無線リソースが定期的に割り当てられる周期を「パーシステントインターバル」と呼ぶことにする。図13ではパーシステントインターバルをaで示している。AMRにて符号化されたVoIPをパーシステントスケジューリングする際には、パーシステントインターバルは20ミリ秒となる。図13では、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI期間、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。実施の形態3では、周波数ホッピング方法としては、時間軸上にはパーシステントインターバルのN倍毎に、周波数軸上にはあるリソースユニット(RU)ホッピングする方法を提案する。図13では時間軸上でパーシステントインターバルの2倍(N=2)毎に、周波数軸上でbリソースユニット毎にホッピングする例を示している。
【0049】
図13に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータとしては、パーシステントインターバルのN倍毎にホッピングを行うことを示す「N」と、ホッピングさせるリソースユニットを示す「b」、周波数ホッピングを用いる際の時間の始点(Starting point)を示す「時間オフセット」、周波数ホッピングを用いる際のリソースユニットの周波数の始点を示す「周波数オフセット」がある。
【0050】
時間オフセットの具体的な設定方法は、(1)移動端末と基地局が共有している時間情報により設定する方法と、(2)移動端末と基地局が予め決められた規則により求めた時間情報より設定する方法が考えられる。移動端末と基地局が共有している(1)に示す時間情報としては、フレームナンバー(ある時間を基準にフレーム毎にナンバリングしたもの)、TTIナンバー(ある時間を基準にTTI毎にナンバリングしたもの)などが考えられる。図13では時間オフセットは、TTIナンバーは121である。また、(2)に示す時間オフセットの設定は、以下の式で行うことができる。
Mod(TTIナンバー/(パーシステントインターバル/1TTIの時間×N))= 時間オフセット ここで、パーシステントインターバルを20ミリ秒、1TTIの時間を1ミリ秒、Nを2とすると、時間オフセットは1となる。上記時間オフセットを求める式において、分子のTTIナンバーは、移動端末と基地局が共有している時間情報であれば良い。例えばフレームナンバーなどでも良い。その場合、分母においてもフレームナンバーを基準として何フレームナンバー毎に周波数ホッピングするかを求める事とすれば良い。
【0051】
上記式を用いて、移動端末と基地局が共有している時間情報(TTIナンバー)を求める。パーシステントインターバルは20ミリ秒、1TTIの時間を1ミリ秒、Nを2、時間オフセットを図13のとおり1とすると、上記式を満たすTTIナンバーは「41,81,121,161,201,241」となる。周波数ホッピングの制御をするための設定パラメータとして時間オフセットを1とした場合、移動端末と基地局は各々TTIナンバーを計算し「41,81,121,161,201,241」を求める。移動端末と基地局は、前記TTIナンバーを設定し、設定値の中の「ある時間(予め決められた値でも基地局により設定された値であっても良い)」以降に訪れるTTIナンバーから周波数ホッピングを始めることとする(周波数ホッピングを用いる際の始点)。
【0052】
周波数オフセットの具体的な設定方法は、移動端末と基地局が共有している周波数情報である必要がある。具体的には,システム帯域をリソースユニット毎に最低周波数側からナンバリングしたもの(リソースユニット番号,RUナンバー)などを用いることが出来る。図13ではRUナンバーは2である。上記制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法について図14を用いて説明する。ST1401にて基地局は、上りパーシステントスケジューリングを行う。ST1402にて基地局は、移動端末に対して上りパーシステントスケジューリングの割り当てを移動端末へ通知する。ST1403にて移動端末は、上りパーシステントスケジューリングの割り当てを受信する。ST1404にて移動端末は、受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する。ST1405にて基地局は移動端末からの上りデータを受信する。ST1406にて基地局は、移動端末に対して周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する。この通知にはL1/L2制御信号などを用いることが出来る。ST1407にて移動端末は、周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する。このST1406とST1402の順序は任意である。ST1408にて移動端末は、ST1407で受信した周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する。ST1409にて基地局は移動端末から上りデータを受信する。
【0053】
本実施の形態3により以下の効果を得ることが出来る。本実施の形態3によりパーシステントスケジューリングにおける具体的な周波数ホッピング方法を提案し、その制御方法について合わせて提案した。これにより、何らかの理由で通信路品質(CQI)を用いたスケジューリングを用いない状況においては、周波数ホッピングを用いることにより周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となる効果を得る。ちなみに、CQIを用いたスケジューリングを用いない場合の代表例としては、パーシステントスケジューリングや、高速移動している移動端末に対するスケジューリングが考えられる。パーシステントスケジューリングでは定期的なリソース割り当てが予定されているので度々の無線リソース割り当てのためのL1/L2制御信号を削減するためにダイナミックスケジューリングを用いない。また高速移動している移動端末に対するスケジューリングでは、移動端末が高速に移動しているために、報告された通信路品質と現在の移動端末の場所における通信路品質との差が大きいと予想される。そのために、移動端末から基地局に対して報告された通信路品質(CQI)を用いたスケジューリングがされないことが考えられる。上記説明した方法により、多くの周波数を用いて送受信を行うことになるので、より周波数フェージングに強い通信を実現することが可能となる。つまり、実施の形態3によりCQIを用いたスケジューリングが用いられないような場合(パーシステントスケジューリング、高速に移動している移動端末に対するスケジューリング)に特に有効的な手段を得ることが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態3により周波数ホッピングの制御方法を移動端末と基地局において適切に共有する方法を提案した。これにより、周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対して上り無線リソースの割り当てが不要となる効果を得る。これにより基地局から移動端末へ周波数ホッピングの制御方法(設定パラメータなど)を通知するL1/L2制御信号を削減することが可能となり、つまり下り無線リソースの有効活用がはかれる。このことはシステム全体として下りスループットの向上につながる。周波数ホッピングの度に基地局から移動端末に対しての上り無線リソースの割り当てが不要となることは、L1/L2制御信号を減らすというパーシステントスケジューリングの目的において特に重要である。加えて、パーシステントスケジューリングにおいて、本実施の形態3に示すような具体的な周波数ホッピング方法を用いることにより、更に以下のような効果を得ることができる。まず、本実施の形態3に示すような具体的な周波数ホッピングパターンをパーシステントスケジューリングされている複数の移動端末に対し、それぞれの移動端末と基地局間で通信されるデータに要求される通信品質を考慮して割り当てることができるため、複数のパーシステントスケジューリングの移動端末に対し最適な通信品質を安定して確保できるという効果を得ることができる。更に、高速移動時に限らず、移動端末の移動に伴う距離変動によるパス(通信路)損失、パス変動が発生した場合も、通信品質に影響を与えにくい。従って、通信路品質の維持のために通信途中でL1/L2制御信号を介して、リソース割り当てや変調方法や誤り訂正符号化のパラメータを変える必要性がなくなり、パーシステントスケジューリングでの通信途中の制御信号の情報量と頻度を大幅に減らせるという効果を得ることができる。
【0055】
実施の形態3の第一の変形例について以下に説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図15に示す。図15の割り当てについて以下に説明する。図15は、ディストリビューテッド割り当て時を示している。また、パーシステントインターバルはaで示されている。図15では、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI単位、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。実施の形態3の変形例では、周波数ホッピング方法として、時間軸上ではサブフレーム単位かつパーシステントインターバル毎に、周波数軸上ではあるリソースユニット分だけホッピングする方法を提案する。図15ではサブフレーム毎に、bリソースユニット分ホッピングする例を示している。
【0056】
図15に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータとしては、ホッピングさせるリソースユニットを示す「b」、「時間オフセット」、「周波数オフセット」である。リソースユニットbは、1TTI内のホッピングさせるリソースユニットと、パーシステントインターバルにてホッピングさせるリソースユニットを異なる値に設定することも可能である。更には、図15に示すUE1のパターン(例えば、前半のサブフレームでRUナンバーとして2を用い、後半のサブフレームでは2+b−1を用いる)であるか、UE2のパターン(前半のサブフレームでRUナンバーとして2+b−1を用い、後半のサブフレームで2を用いる)であるかを識別するパラメータも必要である。具体的例としては前半サブフレームにて周波数の低い側を用いる場合を「0」、前半サブフレームにて周波数の高い側を用いる場合を「1」としてパラメータ化する方法がある。
【0057】
時間オフセットの具体的な設定方法、周波数オフセットの具体的な設定方法の説明は、実施の形態3と同様であるために説明を省略する。また、上記制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法については、実施の形態3と同様であるために説明を省略する。第一の変形例により、実施の形態3により得られる上記説明の効果のほか、以下説明する効果を得られる。すなわち、1TTI未満の時間にて周波数ホッピングを用いることにより、パーシステントインターバルにて割り当てられる1回のリソース内にて周波数ホッピングを用いることになる。これにより、1TTI内の全てのデータ、つまりパーシステントインターバルにて割り当てられる1回のリソース内の全てのデータが周波数特性的に品質の悪い周波数に割り当てられることを防ぐことが可能となる。これにより、さらに周波数フェージングに強くなり、受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることができる。
【0058】
また、実施の形態3の第二の変形例について説明する。パーシステントスケジューリングが行われている上りデータ送信時において周波数ホッピング時の無線リソースの割り当てについて図16に示す。図16では、ディストリビューテッド割り当て時を示している。図16ではパーシステントインターバルをaで示しており、移動端末にパーシステントインターバルaにて定期的に上り無線リソースが割り当てられている。そのパーシステントインターバル毎の割り当ては1TTI単位、1リソースユニットが割り当てられることを例示している。この第二の変形例では、周波数ホッピング方法としては、時間軸上には1/2サブフレーム毎に、周波数軸上にはあるリソースユニットホッピングする方法を提案する。図16では1/2サブフレーム毎に、bリソースユニットだけホッピングする例を示している。
【0059】
図16に示すホッピングを制御するために必要な設定パラメータは、図15のものと同様、リソースユニットb、時間オフセット、周波数オフセットのほか、端末ごとのホッピングパターンを示すパラメータが必要となる。たとえば、具体的例としてUE1のパターンを「0」、UE2のパターンを「1」、UE3のパターンを「2」、UE4のパターンを「3」としてパラメータ化する。1TTI内のホッピングパターンは、図16に示したものに限られない。第二の変形例により、第一の変形例により得られる効果のほか、以下説明する効果を得られる。すなわち、第二の変形例を実行することにより、1TTI内のデータ、つまりパーシステントインターバルに割り当てられる1回のリソース内のデータが第一の変形例と比較して更に多くの周波数で送受信されるので、さらに周波数フェージングに強くなる。よって受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0060】
また、実施の形態3の第三の変形例について説明する。実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例においては、周波数軸上にはあるリソースユニット(RU)分だけホッピングする方法について提案した。これに対して第三の変形例は、周波数軸上にてあるサブキャリアごとホッピングするものである。第三の変形例では、周波数軸上にホッピングさせるサブキャリアを示すパラメータが必要である。その他のパラメータについては、実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と同様であるために説明を省略する。また、制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法については、上記実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と同様であるために説明を省略する。第三の変形例により実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例の効果に加えて以下説明する効果を得られる。すなわち、第三の変形例を実行することにより、1TTI内のデータ、つまりパーシステントインターバルに割り当てられる1回のリソース内のデータが実施の形態3、第一の変形例、第二の変形例と比較して更に多くの周波数で送受信されるので、さらに周波数フェージングに強くなる。よって受信エラー(CRCエラー)を防ぐこととなり、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0061】
また、実施の形態3の第四の変形例について説明する。第四の変形例は、あらかじめ周波数ホッピングの方法(周波数ホッピングの規則性)を決定しておくものである(スタティック Static)。周波数ホッピングの規則性には、上記説明の実施の形態3、第一〜第三の変形例などが含まれる。更に、HARQのNack時(基地局が移動端末からの上りデータに対して受信エラー(CRCエラー)を検知した時、移動端末が基地局からの上りデータに対する「Nack(受信エラー通知)」を受信した時)に周波数ホッピングするようにしてもよい。具体的な周波数ホッピングの方法は、上記説明の実施の形態3、第一〜第三の変形例を用いる。更には周波数ホッピングの規則性を数パターン決定しておき、基地局から移動端末に周波数ホッピングの設定としてそのパターン番号を通知するようにしてもよい(セミスタティック semi-Static)。
【0062】
この実施の形態3の第四の変形例により、さらに以下説明する効果を得ることができる。周波数ホッピングの制御方法つまり設定パラメータなどを、移動端末と基地局において共有する方法については、実施の形態3(図14)と同様である。ただし、図14のST1406にて基地局から移動端末へ通知される周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)の制御データ量(情報量)が削減できるという効果がある。具体的には、スタティックの場合は設定の通知が不要あるいは、周波数ホッピング開始の通知のみとなる。セミスタティックの場合は、周波数ホッピングの設定のパターン番号のみあるいは、パターン番号と周波数ホッピング開始の通知のみとなる。制御データ量の削減は、無線リソースの有効活用という観点からみて有効である。更には、制御データを受信する時間が短縮されることになり、移動端末の低消費電力化にもつながるという効果を得ることができる。
【0063】
HARQのNack時に周波数ホッピングする方法においては、受信エラーが発生した通信路環境(周波数帯域)、つまり悪い通信路環境を避け、別の周波数にてHARQによる再送を行うこととなるため、受信エラーが発生した通信路環境(周波数帯域)にて再送する場合と比較して再送回数が減るという効果を得ることができる。これにより、周波数フェージングに強い通信方法を提供することが可能となる。これによりシステム全体のスループット向上という効果が得られる。
【0064】
また、実施の形態3の第五の変形例について説明する。第五の変形例は、実施の形態3、第一の変形例〜第四の変形例で説明した周波数ホッピングの方法を、パーシステントスケジューリングにおける通話期間と無音期間において変更するものである。制御方法つまり設定パラメータなどを移動端末と基地局において共有する方法について図17を用いて説明する。なお、図17において図14と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。図17において、基地局は移動端末に対して通話状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する(ST1701)。この通知にはL1/L2制御信号を用いることが出来る。移動端末は、通話状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する(ST1702)。上りパーシステントスケジューリングの割り当てを移動端末に通知するST1402の処理とST1701との順序は任意である。移動端末は、受信した通話状態の周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する(ST1703)。基地局は移動端末から上りデータを受信する(ST1704)。
【0065】
移動端末は、通話状態から無音状態へ移行するか否かを判断する(ST1705)。ST1705の判断にて「No」であった場合には、ST1703へ戻り、上りデータの送信を継続する。一方、ST1705の判断にて「Yes」であった場合には、ST1706が実行される。移動端末は、基地局に対して通話状態から無音状態へ移行する事を通知する「VoX開始」を通知する(ST1706)。基地局は移動端末からの「VoX開始」の通知を受信する(ST1707)。基地局は、通話状態から無音状態へ移行することに伴い、周波数ホッピングの設定を変更すべく、移動端末に対して無音状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を通知する(ST1708)。この通知にはL1/L2制御信号を用いることが出来る。移動端末は、無音状態の周波数ホッピングの設定(設定パラメータなど)を受信する(ST1709)。移動端末は受信した無音状態の周波数ホッピングの設定と、ST1403にて受信した上りパーシステントスケジューリングの割り当てに従って上りデータを送信する(ST1710)。基地局は移動端末から上りデータを受信する(ST1711)。移動端末は、上りデータが通話状態へ移行するか否かを判断する(ST1712)。ST1712の判断にて「No」であった場合には、ST1710へ戻る。一方、ST1712の判断にて「Yes」であった場合には、移動端末は基地局に対して「トーク開始」を通知する(ST1713)。基地局は移動端末からの「トーク開始」の通知を受信すると(ST1714)、ST1401、ST1402、ST1701のいずれかが実行される。
【0066】
上記説明の第五の変形例により、さらに以下の効果を得ることができる。AMRにて符号化された音声パケットデータ(VoIP)をパーシステントスケジューリングする際には、パーシステントインターバルは通話状態では20ミリ秒となり、無音状態では160ミリ秒となる。このように通話状態と無音状態のパーシステントインターバルが変わることがある。この場合、パーシステントインターバルに応じた最適な周波数ホッピング方法を設定できる点で第五の変形例は有効である。これにより、さらに周波数フェージングに強くなる、受信エラー(CRCエラー)の防止、更なるスループットの向上という効果を得ることが出来る。
【0067】
さらに本実施の形態3ではディストリビューテッド割り当てについて示したが、ローカライズド割り当てにも適用可能である。また、周波数ホッピングは、パーシステントスケジューリングが行われている下りデータ送信においても用いることができる。その際には、実施の形態3及び第一〜第五変形例に示すホッピング方法、制御方法、移動端末と基地局が制御方法を共有する方法を用いることができる。さらに、パーシステントスケジューリングではなくダイナミックスケジューリングが行われている上りデータ送信及び、下りデータ送信においても周波数ホッピングを用いることができる。その際には、実施の形態3及び第一〜第五変形例に示すホッピング方法、制御方法、移動端末と基地局が制御方法を共有する方法を用いることができる。
【0068】
実施の形態4.
実施の形態1から実施の形態3では、トーク時から無音時へ移行する場合に、無音時に無音時データを割り当てるリソースの情報を基地局がL1/L2制御信号を用いて移動端末に送信していた。本実施の形態では、無音時に割り当てるリソースの情報を、基地局がL3メッセージを用いて移動端末に送信しておき、トーク時から無音時へ移行する場合に、eNBはL1/L2制御信号で、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみをUEに送信する方法について開示する。背景雑音等の無音時に必要なデータ量はトーク時のデータ量以下であり、背景雑音のデータ量は変動しない。したがって、無音時に割り当てるリソース情報を、トーク時から無音時に移行するたびに、基地局から移動端末に送信するのはリソースの無駄である。本実施の形態1から3では無音時に割り当てるリソース情報は、トーク時から無音時に移行するたびにL1/L2制御信号を用いて毎回基地局から移動端末に送信していた。本実施の形態では、トーク時から無音時に移行する時に無音時のリソース割り当て情報を送信するのをやめ、制御信号の送信に割り当てるリソースの無駄な使用を減らすことを目的とする。また、移動端末においては、音声データの送受信を行なわないTTIでは動作クロックを停止し、スリープモードとなることにより消費電力を低く抑えることができるが、本実施の形態では通信途中で基地局から受信する制御情報量を減らして、移動端末の送受信動作時間を短縮し、消費電力を減らすことを目的とする。
【0069】
図18に本実施の形態で開示する方法におけるVoIP下りデータが発生した場合の一連の動作を示す。実施の形態1における図8と比較して、図18では無音状態が発生した場合に、基地局が移動端末にL1/L2制御信号を用いた「無音時専用チャネル情報」の送信をしていない。また、実施の形態2と比較した場合、L1/L2制御信号を用いた「無音時のリソース割り当て情報」の送信をしていない。図18において、基地局で下り音声パケットデータ(VoIP)が発生すると(ST1801)、スケジューラはパーシステントスケジューリングを行う(ST1802)。その後、基地局は移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報、さらに無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をL3制御信号(L3メッセージ)を用いて送信する(ST1803)。その後、通話区間の間、基地局はVoIPデータを送信する(ST1804)。移動端末は、ST1803において、L3制御信号によるリソース割り当て情報やMCS設定情報を受信しているので、通話区間におけるVoIPデータのリソース割り当てを認識しており、したがって、VoIPデータを受信することが可能となる(ST1805)。
【0070】
無音状態が発生した場合(ST1806)、基地局はトーク時から無音時への移行を示す情報(無音時移行信号)をL1/L2制御信号として送信する(ST1807)。このステップでは、基地局は移動局に対して、L1/L2制御信号として無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報を通知していない。なぜなら、無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報は既に、パーシステントスケジューリング開始時に、L3制御信号として基地局から移動端末に送信されているからである。基地局から無音時移行信号を受信した移動端末は、ST1803においてL3制御信号として受信した、無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をもとに、無音時の下りデータ(背景雑音)を受信する(ST1809、ST1810)。基地局は、L3制御信号に基づいて、例えば無音時専用チャネルに無音時下りデータを割り当てた後、トーク時に割り当てていたリソースのうち使用していないリソースを開放し、ほかの移動端末に割り当てる(ST1808)。
【0071】
無音状態から通話状態に移行し、再度音声パケットデータが発生すると(ST1811)、基地局は、通話状態におけるリソース割り当て情報をL1/L2制御信号により移動端末に通知し(ST1812)、その情報に従って音声パケットデータを送信する(ST1813)。リソース割り当ての情報は、無音状態が発生する前のトーク時のリソース割り当てと同じでも良いし異なっていても良い。要するに、基地局がその時点でのスケジューリング状況やチャネル品質状況によって決定可能である。L1/L2制御信号によりリソース割り当て情報を受信した移動端末は、通話状態における音声パケットデータのリソース割り当てを認識し、音声パケットデータの受信を行う(ST1814)。
【0072】
上記説明のとおり、基地局は、下り音声パケットデータ(VoIP)が発生すると、パーシステントスケジューリングを行い、移動端末にパーシステントスケジューリング用のリソース割り当て情報やMCS設定情報、さらに無音時専用チャネル情報または無音時のリソース割り当て情報をL3制御信号として送信していた(図18のST1803)。L3制御信号として移動端末に送信される無音時専用チャネル情報や無音時のリソース割り当て情報は、実施の形態1から3の方法が適用される。実施の形態1で説明した無音時専用チャネルを設ける場合、あらかじめ、無音時専用チャネルを使用するためのパラメータの値を決めておく。例えば、無音時専用チャネルの構成を示すパラメータの値と、無音時専用チャネルのどこを使用するかを示すパラメータの値である。パラメータの種類としては実施の形態1で述べた種類が適用できる。また、周波数多重だけでなく、時間多重やコード多重の場合も同様に、あらかじめ無音時専用チャネルを使用するためのパラメータの値を決めておけば本発明は実現可能である。
【0073】
また、実施の形態2で説明した方法である、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てる場合、無音時データ用に使用するリソースの一部を示すパラメータの値を事前に決めておくことはできない。例えば、無音時データ用に使用するRB(Resource Block)ナンバーなどをあらかじめ決めておき、それをeNBとUEで共有したり、またはパーシステントスケジューリングの初期設定時にeNBからUEにL3制御信号で通知したと仮定する。しかし、トーク時のリソース割り当ては初回のトーク時と以降のトーク時で変わる可能性がある。初回と2回目でトーク時のリソース割り当てが変わった場合、初回の無音移行時と2回目以降の無音移行時では、無音時データ用に使用するRBナンバーが異なってしまう。なぜならば、無音時のリソースとして割り当てられるリソースは、トーク時に割り当てられた一部だからである。このような場合、他の移動端末に割り当てられたリソースと衝突するなどの問題が生じる。
【0074】
むしろ、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てる場合、該リソースの一部を選択する方法を決めておき、その方法を事前に基地局と移動端末で共有しておくことがよい。もともとトーク時は移動端末毎に割り当てられているため、その一部のリソースを無音時にも用いる事で他の移動端末との衝突が避けられる。したがって、リソースの一部を選択する方法を移動端末でも基地局でも求めることができるようにしておけば、移動端末はどのリソースを受信すれば良いか判断可能となり、無音時データの受信が可能となる。具体的には、トーク時に割り当てられた最も低い周波数から無音時に必要とするRB数だけ選択する方法がある。
【0075】
また、ほかの方法について説明する。図19は下りリンクにおけるリソース割り当てを示す説明図である。図19に示すように、リソースブロック(RB)にナンバリングしておく。最低周波数側を#1とし、以降#2、#3とする。無音時に移行する直前のトーク時に割り当てられたRBのナンバーの最小値をTs、RBの間隔をTd、RB数をTnとする。この図の場合、UE―AではTs=1、Td=3、Tn=5、UE―BではTs=2、Td=2、Tn=6となる。また、無音時に必要とするRB数をkとする。無音時に割り当てるRBのナンバーXnは以下のように決められる。
Xn=Xs+n×Td×Int((Tn-k)/(k-1)+1)
Xs=Ts,
n=0,1,,k-1
無音時に必要とするRB数を3とすると、UE−Aの場合、Xn=1、7、13となる。つまり、無音時のデータは#1、#7、#13のRBに割り当てられる事になる。UE−Bの場合、Xn=2、6、10となる。つまり、無音時のデータは#2、#6、#10のRBに割り当てられる事になる。こうすることにより、無音時に割り当てられるRBが、広帯域にわたって選択されることになるため、周波数ダイバーシチのゲインが得られる、とい効果がある。この例の他にもいろいろな規則性の与え方が考えられるが、トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時に割り当てる事、該一部のリソースの決め方に規則性を与えておけばよい。
【0076】
上記の一部を選択する方法を規則的にする方法では、周波数軸上の一部のリソースをRB単位で無音時のリソースに割り当てる場合の例を開示した。本方法は、ひとつもしくは複数のサブキャリア単位やVRB単位でリソースが割り当てられている場合にも適用できる。また、時間軸上の一部のリソースを無音時のリソースに割り当てる場合は、無音時専用チャネルを用いる場合と同様に、RBを複数の領域(例えば、サブフレーム毎、1/2サブフレームごと、シンボル毎)に分け、該領域にナンバーをつけ、各移動端末に該領域ナンバーを割り当てればよい。
【0077】
トーク時に割り当てられていたリソースの一部を無音時のリソースとして割り当てた場合、該一部を選択する規則を、無音時のリソース割り当て領域の情報としてあらかじめ決めておけばよい。パーシステントスケジューリングが行われた場合、トーク時のリソースアロケーション情報はL3制御信号またはL1/L2制御信号により基地局から移動端末に通知される。したがって、トーク時から無音時に移行したときに、基地局はあらかじめ決められた規則に従ってトーク時のリソースアロケーション情報から無音時のリソース領域の導出を行い無音時データを導出されたリソースに割り当てる。移動端末は同じ規則に従ってトーク時のリソースアロケーション情報から無音時に割りあてられたリソース領域を導出でき、該リソース領域を受信する。また、例えば、あらかじめ決められた規則に必要なパラメータのうち、トーク時に変わることのないパラメータ(例えば、無音時に必要とするRB数k)も、あらかじめ決められてeNBとUEで共有していてもよいし、パーシステントスケジューリングが行われる時、始めに基地局から移動端末に送信するL3メッセージで送信しても良い。
【0078】
本実施の形態で開示したように、無音時に割り当てるリソースの情報を基地局がL3メッセージを用いて移動端末に送信しておき、トーク時から無音時へ移行する場合に、基地局はL1/L2制御信号で、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみを移動端末に送信する。つまり、L1/L2制御信号は、大きな情報量を必要とする無音時に割り当てるリソースの情報ではなく、データ量が小さな情報ですむ無音時移行信号を送信することになる。したがって、L1/L2制御信号の1回あたりの通信のデータ量を削減することが可能となる。さらには、トーク時から無音時へ移行する時にリソースが確保できないという状態が無いためデータの遅延や欠落がなくなるという効果や、無駄なリソース割り当てを削減でき、その分を他の移動端末へ割り当てられるように開放する事が可能となる等の実施の形態1から実施の形態3で述べたのと同様の効果を得ることができる。さらには、トーク時から無音時に移行するたびに無音時のリソース割り当て情報の送信を行う必要がないので、リソースの無駄な使用を減らすことができ、さらには基地局でのスケジューリング負荷を減らすことができるという効果がある。したがって、システムとしてのスループット向上が図れる。また、移動端末において、音声データの送受信を行わないTTIでは動作クロックを停止し、スリープモードとなることにより消費電力を低く抑えることができるが、本実施の形態では通信途中で基地局から受信する制御情報量が減るため、移動端末の送受信動作時間を短縮することができ、更なる消費電力の低減が図れる。
【0079】
本実施の形態では、ディストリビューテッドにリソースが割り当てられている場合を示したが、ローカライズドにリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。また、周波数ホッピングをともなうリソース割り当てがなされても良いし、その場合にも本発明は適用できる。本実施の形態では、下りリンクの場合について示したが、本発明は上りリンクにも適用できる。例えば、上りリンクに適用された場合の基地局と移動端末の一連の動作は、実施の形態3で示した図14のように、トーク時から無音時に移行する際にL1/L2制御信号で基地局から移動端末の送信する周波数ホッピングのリソース割り当て情報(周波数ホッピングの制御方法:図14ではST1406)の通知をなくし、無音へ移行する旨の信号または無音への移行を承認する信号のみをUEに送信すればよい。なお、パーシステントスケジューリングを行なっている途中から、周波数ホッピングを実施する場合、はじめのL1/L2制御信号で周波数ホッピングのリソース割り当て情報を送り、それ以降のL1/L2制御信号でこれを送る必要はなく、無音へ移行する旨の信号、及び無音への移行を承認する旨の信号のみを基地局から移動端末に送ればよい。
【0080】
実施の形態5.
本実施の形態では、下りでパーシステントスケジューリングが行われており、上りリンクにおいてスケジューリング要求信号(SR)を移動端末が送信した場合に、移動端末が上りデータを送信するまでの時間を短縮する方法を開示する。図20は、移動端末での下りL1/L2制御信号の受信方法を示す説明図である。図21は本発明の実施の形態5に係る通信方法の処理を示すフローチャートである。図20には、下りでパーシステントスケジューリングが行われており、上りでスケジューリングリクエストSRを送信する場合の、移動端末における下りL1/L2制御信号の受信方法が説明されている。図20の(1)は従来の下りパーシステントスケジューリングが行われている場合の受信方法を示しており、(2)は本発明の下りパーシステントスケジューリングが行われている場合の受信方法を示す。
【0081】
(1)の従来の受信方法では、下りパーシステントスケジューリングに従って、移動端末はある一定の間隔で受信している。例えば、トーク時は、20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号や音声パケットデータのようなトーク時データを受信しており、無音時は、160ミリ秒間隔で背景雑音のような無音時データを、20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号を受信している。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局に対してスケジューリングリクエストを送信する。スケジューリングリクエストを受信した基地局は移動端末に対して、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信する。この場合、それを送信するタイミングは、パーシステントスケジューリングがなされているある一定の時間間隔(例として20msec)で送信しなければならない。これは、移動端末がパーシステントスケジューリングによって決められたある一定の時間間隔でのみ受信を行っているからである。
【0082】
このため、基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまで遅延が生じてしまう。さらに、移動端末はスケジューリングリクエストに対するL1/L2制御信号を受信できなかった場合、再度スケジューリングリクエストを送信する。この再送スケジューリングリクエストに対するリソースアロケーション等のL1/L2制御信号もパーシステントスケジューリングがなされているタイミングで基地局は送信することになり、さらに遅延が生じる。したがって、移動端末では送信したくてもできない上りデータが溜まってしまい、スケジューリングリクエストの失敗が長く続いた場合、移動端末の送信バッファーからデータがオーバーフローしてしまう問題が生じる。また、音声パケットデータでは、音声が遅れて聞こえる等の問題も生じてしまう。
【0083】
これらの課題を解決するために、図20(2)のような受信方法が有効である。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する。スケジューリングリクエストを受信した基地局は移動端末に対して、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信する。この場合、それを送信するタイミングは、スケジューリングリクエストを受信後、パーシステントスケジューリングがなされているタイミングにあわせて送信するのではなく、可能な限り早いタイミングで送信することとする。移動局からのスケジューリングリクエストに対してリソースアロケーション情報などのL1/L2制御信号を送信するタイミングは、例えばTTI単位が良い。同時に、移動端末はパーシステントスケジューリングによって決められたタイミングで受信を行うのではなく、スケジューリングリクエストを送信した後、直ちにTTI単位のタイミングでL1/L2制御信号の連続受信を行う。このような方法を行う事により、基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。また、移動端末がスケジューリングリクエストに対するL1/L2制御信号が受信できなかったため、スケジューリングリクエストを再送する場合も、再送スケジューリングリクエスト送信後、直ちにTTI単位のタイミングでL1/L2制御信号の連続受信を行うことにより、遅延時間を短縮することが可能となる。基地局からのリソースアロケーション信号を受信した移動端末は、再び下りパーシステントスケジューリングで決められたある一定の時間間隔でのみの受信に戻る。
【0084】
図21に、下りの音声(VoIP)通信でパーシステントスケジューリングが行われている時に、上りリンクにおいて移動端末がスケジューリングリクエストを送信してから上りデータを送信するまでの、移動端末と基地局の一連の動作を説明する。まず、ST2101のように、下りでパーシステントスケジューリングが行われ、基地局は、無音(VOX)時に20ミリ秒間隔でL1/L2制御信号を送信し、移動端末は20ミリ秒間隔で受信する。移動端末において上りデータが発生した場合、基地局にスケジューリングリクエストを送信する(ST2102)。移動端末はスケジューリングリクエスト送信後、直ちにL1/L2制御信号の連続受信動作を行う(ST2103)。一方、移動端末からの上りスケジューリングリクエストを受信した基地局は、下りパーシステントスケジューリングによる所定間隔での送信タイミングを待たずに、直ちにリソースアロケーション情報等をL1/L2制御信号として移動端末に送信する(ST2104)。移動端末は、例えば「グラント信号」等を含むリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信した場合(ST2105でYes)、通常の下りパーシステントスケジューリングで決められているL1/L2制御信号の受信タイミングで受信を行う(ST2106)。
【0085】
移動端末が基地局から送られたリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信できなかった場合(ST2105でNo)、スケジューリングリクエストを基地局に再送するとともに、L1/L2制御信号を連続受信する。基地局は、再送スケジューリングリクエストを受信した場合も、下りパーシステントスケジューリングでの送信タイミングを待たずに、直ちにリソースアロケーション情報等をL1/L2制御信号で送信する。移動端末は、スケジューリングリクエストを送信後、L1/L2制御信号の連続受信を行っているため、eNBから送信されるL1/L2制御情報を受信する事が可能となる。これらの一連の動作は、移動端末がリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信するまで繰り返される。移動端末が基地局からのリソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を受信した場合、再び下りパーシステントスケジューリングで決められた一定の時間間隔(20msec)での受信に戻る。さらに移動端末は、受信した該リソースアロケーション情報をもとに、基地局によってスケジューリングされたグラントによって上りデータを送信する(ST2107)。
【0086】
本実施の形態で開示したように、下りパーシステントスケジューリングが行われており、上りリンクにおいてスケジューリングリクエストを移動端末が送信した場合、基地局、移動端末ともに、下りパーシステントスケジューリングで決められたタイミングを待たずに、リソースアロケーション情報等のL1/L2制御信号を送信および受信することで、パーシステントスケジューリングの利点を維持しながら、なおかつ基地局がスケジューリングリクエストを受信してからリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を送信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。また、移動端末は基地局が送信したリソースアロケーション等のL1/L2制御信号を受信するまでの遅延を最小限にする事が可能となる。つまり、移動端末がスケジューリングリクエストを送信してから上りデータを送信するまでの遅延時間を最小限にする事ができる。特にリアルタイム性が要求される音声パケットデータ(VoIP)の通信では、音声が遅れて聞こえる等の問題が解消されるので本発明は好適である。
【0087】
以上のように、この発明に係る通信方法、基地局、通信システム及び移動端末は、無音時にリソースを無音時専用チャネルに割り当てるとともに、トーク時に移動端末に割り当てていたリソースを開放することで、リソースの無駄な割り当てを削減でき、スループット向上を図ることのできる通信方法、基地局、通信システム及び移動端末としたので、LTE方式の通信システムを構成する基地局及び移動端末と、通信時における基地局と移動端末間の通信制御方法、及び制御信号の通信方法などに用いるのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、前記基地局により割り当てられた無線リソースを使用して前記基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、
前記基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、
データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うことを特徴とする基地局。
【請求項3】
周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、前記基地局により割り当てられた無線リソースを使用して前記基地局にデータを送信する移動端末であって、
データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用することを特徴とする移動端末。
【請求項1】
周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行う基地局と、この基地局に対して無線リソースの割り当てを要求するとともに、前記基地局により割り当てられた無線リソースを使用して前記基地局にデータを送信する移動端末とを含む通信システムであって、
前記基地局は、データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて無線リソースの割り当てを行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
移動端末からの要求に基づいて、データが送信されるための無線リソースの割り当てを、周波数ホッピングを用いて行う基地局であって、
データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて、無線リソースの割り当てを行うことを特徴とする基地局。
【請求項3】
周波数ホッピングを用いた無線リソースの割り当てを基地局に要求するとともに、前記基地局により割り当てられた無線リソースを使用して前記基地局にデータを送信する移動端末であって、
データを送信する時間間隔に応じて異なる周波数間隔を有する周波数ホッピングを用いて割り当てられた無線リソースを使用することを特徴とする移動端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−62816(P2013−62816A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227008(P2012−227008)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2010−243368(P2010−243368)の分割
【原出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2010−243368(P2010−243368)の分割
【原出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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