説明

通信システム、情報処理システム、画像形成装置及び携帯情報端末装置

【課題】通称ペアリングのような設定(認証)のための面倒な操作を省くことが出来る情報処理システム、通信システム、画像形成装置及び携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、携帯電話機2からデータを受信する無線通信部16と、無線通信部16のアドレスを携帯電話機2に送信するリーダライタ15とを備えており、携帯電話機2は、前記アドレスを受信する接触・非接触ICカード26と、前記アドレスを用いて無線通信部16に画像データを送信する無線通信部27とを備え、携帯電話機2及び画像形成装置1の間の通信の際には、リーダライタ15を介して無線通信部16のアドレスが接触・非接触ICカード26に送信され、無線通信部27が前記アドレスを用いて無線通信部16にデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信機器を備える通信システムと、携行可能な電子機器及び該電子機器とのデータ送受信を行う情報処理装置を備える情報処理システム、外部装置から画像データを受信して画像を形成する画像形成装置、及び2つの無線通信手段を有する外部装置と通信を行う携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、カメラ機能が搭載された携帯電話機が普及されており、何時でも、何処でも、お手軽にデジタル写真の撮影ができる。また、携帯電話機に装着されたメモリーが大容量化しており、デジタル写真、ビジネス文書等のデータを保存する、パーソナルな記憶デバイスとしての利用例も増えている。また、携帯電話機の小型化、薄型化等に伴い、携帯電話機のメモリーも指先程度、又は指先より小さな大きさを有するいわゆるカード型が採用されている。
【0003】
特許文献1では、ユーザが自分の非接触IDカード(又は該非接触IDカードを内蔵した無線通信機器)を画像処理装置のカードリーダライタ部に近づけた場合、前記非接触IDカードのICチップが、前記カードリーダライタ部から常に出されている、前記画像処理装置のIDを示す端末IDを含んだ微弱な電波を受信して、前記端末IDを取得し、該端末IDを用いて非接触IDカードのユーザIDを画像処理装置へ送信する無線通信方法が開示されている。
【0004】
一方、特許文献2では、パーソナルコンピュータのリーダライタと電磁波により通信する非接触ICカードが設けられている携帯電話機を、ユーザが前記パーソナルコンピュータに近接させることにより、前記リーダライタから輻射される電磁波が前記非接触ICカードにおいて受信されたとき、前記携帯電話機は、前記非接触ICカードに設定されているカードIDを前記パーソナルコンピュータに通知し、該パーソナルコンピュータは、通知されたカードIDに基づいて、前記携帯電話機を識別し、通信相手として特定する通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−267370号公報
【特許文献2】特開2003−32176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、ユーザが前記携帯電話機のメモリー内に保存したデジタル写真、ビジネス文書等のデータを印刷する方法としては、前記携帯電話機のメモリーを画像形成装置の読み取り装置に直接つないで印刷すべきデータ(以下、印刷データ)を前記画像形成装置に送信して印刷を行う方法と、前記携帯電話機と無線のデータ送受信可能な画像形成装置に無線で印刷データを送信して印刷を行う方法等がある。
【0007】
上記の前記携帯電話機のメモリーを画像形成装置の読み取り装置に直接つなぐ方法の場合は、カード型のメモリーを前記携帯電話機から引き出し、前記画像形成装置のメモリーカードリーダに挿入して行う必要がある。また、印刷が完了した後は、再び、カード型のメモリーを前記携帯電話機に挿入する必要があり、非常に煩わしい作業が要求されるうえに、印刷の完了後に、前記画像形成装置のメモリーカードリーダからカード型のメモリーを抜き忘れする虞もある。
【0008】
また、画像形成装置に無線で印刷データを送信して印刷を行う方法としては、例えば、Bluetooth(登録商標)技術による無線通信を行う場合、RFIDシステムを用いた無線通信を行う場合、前記携帯電話機及び画像形成装置の間で赤外線通信が行われる場合等がある。
【0009】
Bluetooth(登録商標)技術による無線通信を行う場合においては、双方の機器間を通信可能な状態に設定(認証)を行う操作が必要である。例えば、前記携帯電話機及び画像形成装置が、共にBluetooth(登録商標)対応可能であって、互いにBluetooth(登録商標)技術による無線通信を行う場合、通称ペアリング(又はボンディング)と呼ばれる設定操作によって相手を特定し、双方を通信可能な状態に設定する必要がある。
【0010】
しかしながら、前記ペアリングには複雑で面倒な操作が必要である。例えば、ユーザが前記携帯電話機のメモリー内の画像データを、画像形成装置を用いて印刷する場合、ユーザは前記携帯電話機を用いて、所定半径範囲(例えば、100mm)の無線通信可能な画像形成装置を検索し、該検索の結果として前記携帯電話機の表示部に表示される複数の画像形成装置のBluetoothアドレスの中から、前記画像形成装置のBluetoothアドレスを判別することを必要とするが、前記判別は非常に難しい作業である。なお、前記判別が正常的に行われたとしても、その後、双方を通信可能な状態に設定するための細かい操作が更に必要である。なお、前記画像形成装置が、コンビニエンスストアに設置された貸し出しの画像形成装置である場合は、新規のユーザが多いので、はじめての無線通信が多く、その都度前記ペアリングを行う必要もある。
【0011】
一方、前記携帯電話機及び画像形成装置の間で赤外線通信が行われる場合には、ユーザは、前記印刷データを無線で送信する間、印刷すべき前記携帯電話機の赤外線ポートと、画像形成装置の赤外線ポートとを向き合わせた状態で、前記携帯電話機を所定時間固定する煩雑な操作も必要である。
【0012】
また、例えば、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等のRFIDシステムを用いた無線通信を行う場合、通信速度が遅いことから、前記印刷データを無線で送信するために、前記携帯電話を前記画像形成装置に所定時間かざしておく必要がる。
【0013】
これらを簡単に行う方法として特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムが知られている。すなわち、特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムは何れも、いわゆるRFIDシステムを用い、非接触IDカード(非接触ICカード)を画像処理装置のカードリーダライタ部(パーソナルコンピュータのリーダライタ)に近づけた場合は、自動的に非接触IDカードのユーザID(非接触ICカードのカードID)を画像処理装置(パーソナルコンピュータ)へ送信するように構成されている。しかしながら、特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムはセキュリティ上の問題を抱えている。すなわち前記RFIDシステムは、改札口、コンビニエンスストア等での電子決済、身分認証等の用途に、身近なところで幅広く使用されているので、特許文献1の非接触IDカード(特許文献2の非接触ICカード)が別の用途のために用意されているリーダライタに接近した場合、ユーザの意図に反して、前記非接触IDカードのユーザID(非接触ICカードのカードID)が前記リーダライタに自動的に送られ、秘密情報が流出される虞があり、ひいては流出されたユーザID(カードID)を用いた不正アクセスの可能性もある。
【0014】
本発明は、斯かる事情に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、複数の無線通信手段を有する携行可能な電子機器と、該電子機器との通信を行う情報処理装置とを備える通信システムにおいて、前記情報処理装置は、前記携行可能な電子機器と通信を行う第1通信手段と、該第1通信手段に係る識別データを、前記携行可能な電子機器に送信する第2通信手段とを備え、前記携行可能な電子機器は、前記識別データを受信する第3通信手段と、前記識別データを用い、前記第1通信手段との通信を行う第4通信手段とを備え、前記電子機器及び情報処理装置の間の通信の際には、前記第2通信手段を介して前記第1通信手段に係る識別データが前記第3通信手段に送信され、前記第4通信手段が前記識別データを用いて前記第1通信手段との通信を行うことにより、前記ペアリングのような設定(認証)のための面倒な操作を省くことが出来るうえ、前記電子機器にとっては、上述したような秘密情報の流出を未然に防止可能な通信システムを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、携行可能な電子機器と、該電子機器とデータの送受信を行う情報処理装置とを備える情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記電子機器とデータを送受信する第1送受信手段と、該第1送受信手段に係る識別データを、前記電子機器に送信する第2送信手段とを備え、前記電子機器は、前記識別データを受信する第2受信手段と、前記識別データを用い、前記第1送受信手段とデータを送受信する第3送受信手段とを備え、前記電子機器及び情報処理装置の間の通信の際には、前記第2送信手段を介して前記第1送受信手段に係る識別データが前記第2受信手段に送信され、前記第3送受信手段が前記識別データを用いて前記第1送受信手段にデータを送信することにより、前記ペアリングのような設定(認証)のための面倒な操作を省くと共に、例えば、前記電子機器及び情報処理装置が夫々携帯電話機及び複合機である場合は、携帯電話機のカード型のメモリー内のデータを出力(例えば、印刷)するために、取扱性が劣る小さな前記カード型のメモリーを前記複合機に挿脱する煩わしい作業を省くことができ、また、前記電子機器にとっては、上述したような秘密情報の流出を未然に防止可能な情報処理システムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、外部装置から画像データを受信し、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置が、前記外部装置から画像データを受信する受信手段と、該受信手段に係る識別データを、前記外部装置に送信する送信手段とを備え、前記画像形成装置が前記外部装置から画像データを受信する際、前記送信手段を介して前記受信手段に係る識別データを前記外部装置に送信し、前記外部装置は受信した識別データを用いて前記受信手段に画像データを送信することにより、前記ペアリングのような設定(認証)における面倒な操作を省くことが出来る画像形成装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、2つの無線通信手段を有する外部装置と通信を行う携帯情報端末装置において、前記外部装置の2つの無線通信手段の中、一方の無線通信手段と通信を行う第1通信部と、前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信する第2通信部とを備え、前記外部装置との通信の際には、前記第2通信部が前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信し、該識別データを用いて前記第1通信部が前記一方の無線通信手段との通信を行うことにより、前記ペアリングのような設定(認証)における面倒な操作を省くことが出来る携帯情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る通信システムは、複数の無線通信手段を有する携行可能な電子機器と、該電子機器との通信を行う情報処理装置とを備える通信システムにおいて、前記情報処理装置は、前記携行可能な電子機器と通信を行う第1通信手段と、該第1通信手段に係る識別データを、前記携行可能な電子機器に送信する第2通信手段とを備えており、前記携行可能な電子機器は、前記識別データを受信する第3通信手段と、該第3通信手段によって受信した前記識別データを用い、前記第1通信手段との通信を行う第4通信手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記携行可能な電子機器及び情報処理装置の間に通信を行う際には、前記情報処理装置の前記第2通信手段が前記第1通信手段から該第1通信手段に係る識別データを取得し、該識別データを前記電子機器の第3通信手段に送信する。該第3通信手段が前記識別データを受信した場合、電子機器の前記第4通信手段が前記識別データを取得し、該識別データを用いて前記情報処理装置の第1通信手段との通信を行う。
【0020】
本発明に係る通信システムは、前記第2通信手段及び第3通信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行うように構成され、前記第1通信手段及び第4通信手段の間の通信に比べて近距離無線通信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、例えば、前記第3通信手段及び第2通信手段は、夫々接触又は非接触ICカード及びカードリーダであって、RFIDシステムを用いた通信を行い、前記第1通信手段及び第4通信手段は共にBluetooth(登録商標)対応デバイスであって、Bluetooth技術による無線通信を行う。
【0022】
本発明に係る通信システムは、前記識別データは、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶されるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前記電子機器の第3通信手段が、前記情報処理装置の第1通信手段に係る識別データを受信した場合、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶される。
【0024】
本発明に係る情報処理システムは、携行可能な電子機器と、該電子機器とデータの送受信を行う情報処理装置とを備える情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記電子機器とデータを送受信する第1送受信手段と、該第1送受信手段に係る識別データを、前記電子機器に送信する第2送信手段とを備えており、前記電子機器は、前記識別データを受信する第2受信手段と、該第2受信手段によって受信した前記識別データを用い、前記第1送受信手段とデータを送受信する第3送受信手段とを備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、前記携行可能な電子機器及び情報処理装置の間の通信の際には、前記情報処理装置の第2送信手段が前記第1送受信手段から該第1送受信手段に係る識別データを取得し、前記電子機器の第2受信手段に送信する。該第2受信手段が前記識別データを受信した場合、前記電子機器の第3送受信手段が前記識別データを取得し、該識別データを用いて前記情報処理装置の第1送受信手段にデータを送信する。
【0026】
本発明に係る情報処理システムは、前記情報処理装置は、表示部と、前記電子機器が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、前記情報処理装置の取得手段が、前記電子機器が有するコンテンツデータを取得し、前記表示手段は前記取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する。
【0028】
本発明に係る情報処理システムは、前記電子機器は、表示部を備えており、任意のコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示して前記第2送信手段から所定距離以内に接近した場合、前記第3送受信手段が前記任意のコンテンツデータを前記第1送受信手段に送信するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、例えば前記電子機器及び前記情報処理装置が夫々携帯電話機及び複合機である場合、前記携帯電話機のユーザが希望する画像を前記表示部に表示させた状態で、前記複合機の第2送信手段にかざすことにより、前記画像に係る画像データが前記第3送受信手段を介して前記複合機の第1送受信手段に送信される。
【0030】
本発明に係る情報処理システムは、前記情報処理装置は、データの処理における、異常発生又は正常終了の旨を、前記電子機器に通知する通知手段を備えていることを特徴とする。
【0031】
本発明にあっては、前記情報処理装置が前記電子機器からデータを取得し、該データの処理(例えば、前記データに基づく画像の生成)を行う際に、異常が発生した場合、又は正常に終了した場合は、その旨を、前記通知手段が前記電子機器に通知する。
【0032】
本発明に係る情報処理システムは、前記第2送信手段及び第2受信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行うように構成され、前記第1送受信手段及び第3送受信手段の間の通信に比べて近距離無線通信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明にあっては、例えば、前記第2送信手段及び第2受信手段は、夫々接触又は非接触ICカード及びカードリーダであって、RFIDシステムを用いた通信を行い、前記第1送受信手段及び第3送受信手段は共にBluetooth(登録商標)対応デバイスであって、Bluetooth技術による無線通信を行う。
【0034】
本発明に係る情報処理システムは、前記情報処理装置は、取得したデータに基づいて画像を形成する画像形成装置であることを特徴とする。
【0035】
本発明にあっては、前記情報処理装置は画像形成装置であり、例えば前記第1送受信手段が前記電子機器の第3送受信手段を介してコンテンツデータを受信し、該コンテンツデータに基づく画像を記録媒体に形成する。
【0036】
本発明に係る画像形成装置は、外部装置から画像データを取得して、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、前記外部装置から画像データを受信する受信手段と、該受信手段に係る識別データを、前記外部装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0037】
本発明にあっては、前記画像形成装置が前記外部装置から画像データを受信する際、前記送信手段が前記受信手段から該受信手段に係る識別データを取得して前記外部装置に送信する。前記外部装置は識別データを受信し、該識別データを用いて前記受信手段に画像データを送信する
【0038】
本発明に係る画像形成装置は、表示部と、前記外部装置が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0039】
本発明にあっては、前記取得手段は前記外部装置が有するコンテンツデータを取得し、前記表示手段は前記取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する。
【0040】
本発明に係る画像形成装置は、画像の形成における、異常発生又は正常終了の旨を、前記外部装置に通知する通知手段を備えていることを特徴とする。
【0041】
本発明にあっては、前記受信手段が前記外部装置から画像データを受信し、該画像データに基づく画像の形成を行う際に、異常が発生した場合、又は正常に終了した場合は、その旨を、前記通知手段が前記外部装置に通知する。
【0042】
本発明に係る携帯情報端末装置は、2つの無線通信手段を有する外部装置と通信を行う携帯情報端末装置において、前記外部装置の2つの無線通信手段の中、一方の無線通信手段と通信を行う第1通信部と、前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信する第2通信部とを備え、前記第1通信部は、前記第2通信部が受信した前記識別データを用い、前記一方の無線通信手段との通信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0043】
本発明にあっては、前記外部装置との通信の際には、前記第2通信部が前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信し、該識別データを用いて前記第1通信部が前記一方の無線通信手段との通信を行う。
【0044】
本発明に係る携帯情報端末装置は、前記第2通信部及び前記他の無線通信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行い、前記識別データは、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶されるように構成されていることを特徴とする。
【0045】
本発明にあっては、例えば、前記前記第2通信部及び前記他の無線通信手段は、夫々接触又は非接触ICカード及びカードリーダであって、RFIDシステムを用いた通信を行い、前記第2通信部が前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信した場合、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶される。
【0046】
本発明に係る携帯情報端末装置は、記憶しているコンテンツデータに基づく画像を表示する表示部を備えており、任意のコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示して前記他方の無線通信手段から所定距離以内に接近した場合、前記第1通信部が前記任意のコンテンツデータを前記一方の無線通信手段に送信するように構成されていることを特徴とする。
【0047】
本発明にあっては、例えば前記携帯情報端末装置及び前記外部装置が夫々携帯電話機及び複合機である場合、前記携帯電話機のユーザが希望する画像を前記表示部に表示させた状態で、前記複合機の他方の無線通信手段にかざすことにより、前記画像に係る画像データが前記第1通信部を介して前記一方の無線通信手段に送信される。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、前記電子機器及び情報処理装置を備える通信システムにおいて、前記電子機器及び情報処理装置の間の通信の際には、前記第2通信手段を介して前記第1通信手段に係る識別データが前記第3通信手段に送信され、前記第4通信手段が前記識別データを用いて前記第1通信手段との通信を行うことにより、前記ペアリングのような設定(認証)のための面倒な操作を省くことが出来るうえ、前記電子機器が携帯電話機である場合は、上述したような秘密情報の流出を未然に防止可能である。
【0049】
本発明によれば、前記電子機器及び情報処理装置を備える情報処理システムにおいて、前記電子機器及び情報処理装置の間の通信の際には、前記第2送信手段を介して前記第1送受信手段に係る識別データが前記第2受信手段に送信され、前記第3送受信手段が前記識別データを用いて前記第1送受信手段にデータを送信することにより、前記ペアリングのような設定(認証)のための面倒な操作を省くと共に、例えば、前記電子機器及び情報処理装置が夫々携帯電話機及び複合機である場合は、携帯電話機のカード型のメモリー内のデータを出力(例えば、印刷)するために、取扱性が劣る小さな前記カード型のメモリーを前記複合機に挿脱する煩わしい作業を省くことができ、また、前記電子機器が携帯電話機である場合は、上述したような秘密情報の流出を未然に防止可能である。
【0050】
本発明によれば、外部装置から画像データを受信し、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成装置が前記外部装置から画像データを受信する際、前記送信手段を介して前記受信手段に係る識別データを前記外部装置に送信し、前記外部装置は受信した識別データを用いて前記受信手段に画像データを送信することにより、前記ペアリングのような設定(認証)における面倒な操作を省くことが出来る。
【0051】
本発明によれば、前記外部装置と通信を行う携帯情報端末装置において、前記外部装置との通信の際には、前記第2通信部が前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信し、該識別データを用いて前記第1通信部が前記一方の無線通信手段との通信を行うことにより、前記ペアリングのような設定(認証)における面倒な操作を省くことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムの概念図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおける、画像形成装置の制御部のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおける、画像形成装置の制御部のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおける、携帯電話機の制御部のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおける、携帯電話機のフラッシュメモリの構成を説明するための説明図である。
【図7】画像形成装置の表示部に表示されるファイル名一覧の画面の一例を示す例示図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る通信システム及び情報処理システムにおける、画像形成装置の制御部のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る通信システム及び情報処理システムにおける、携帯電話機の制御部のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【図10】携帯電話機において、印刷すべきファイルを選択する操作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置(電子機器)を、コピー機能、印刷機能等を有するデジタル複合機とし、本発明に係る通信システム及び情報処理システムが前記デジタル複合機及び携帯電話機(通信機器、外部装置)を構成要素として有する場合を例として、図面を用いて具体的に説明する。
【0054】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムの概念図であり、図2は本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムの要部構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムは、画像形成装置1及び携帯電話機2を有している。
【0055】
画像形成装置1は、制御部11、画像入力部17、画像処理部18、画像出力部19、記憶部14、無線通信部16、リーダライタ15及び操作パネル12等のハードウェアを備え、全体としてデジタル複合機を構成している。
【0056】
制御部11は、これらのハードウェアを制御するCPUと、制御の際に必要なデータ等を一時的に保持するRAMとを備えている。記憶部14は、例えば、不揮発性の半導体メモリであり、画像処理用の画像データ、ハードウェア各部を制御するための制御プログラム、後述するファイル名一覧の画面を表示するためのプログラム、無線通信部16を介して受信した画像データ等を記憶する。なお、記憶部14には、予めパスキーが複数格納されており、制御部11のCPUは操作パネル28、12を介してパスキーを受け付けた場合は、該パスキーと、記憶部14に記憶のパスキーとの比較を行う。
【0057】
また、制御部11は必要に応じて記憶部14から制御プログラムをロードし、ロードした制御プログラムを実行することにより、装置全体を本発明に係る画像形成装置として動作させる。
【0058】
また、操作パネル12は、ユーザの指示を受け付けるための各種ボタン、指示の確定を受け付けるエンターキー、テンキー等を備えている。また、操作パネル12は、液晶ディスプレイ等の表示部13を備え、携帯電話機2が有する画像、文書等のファイル名の一覧(コンテンツデータ)を表示する。なお、表示部13はタッチパネルとして機能するように構成されている。
【0059】
画像入力部17は、原稿の画像を光学的に読取る読取手段であり、読取用の原稿に光を照射する光源、例えばCCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサ等を備えている。画像入力部17では、所定の読取り位置にセットされた原稿からの反射光像を当該イメージセンサに結像させ、RGB(R : Red, G : Green, B : Blue)のアナログ電気信号を出力する。画像入力部17が出力したアナログ電気信号は画像処理部18に入力される。
【0060】
画像出力部19は、画像処理部18から出力される画像データに基づいて用紙、OHPフィルム等のシート上に画像形成を行う。そのため、画像出力部19は、感光体ドラム、該感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器等(図示せず)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像をシート上に形成する。なお、レーザ書込装置を用いた電子写真方式により画像形成を行う他、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式等により画像形成を行う構成であってもよい。
【0061】
画像処理部18は、画像入力部17を通じて入力されるアナログ電気信号を基にデジタル形式の画像データを生成し、画像の種類に応じた処理を施した後、出力用の画像データを生成する。生成した画像データは画像出力部19又は無線通信部16に出力される。
【0062】
無線通信部16は、例えばBluetooth(登録商標)技術に対応できるものであり、所定近距離(例えば100mm)内の他のBluetooth対応デバイス(例えば、後述の無線通信部27)と無線での接続を行う。詳しくは、Bluetooth対応デバイスは固有のBluetoothアドレス(識別データ)を有しており、ピコネットと呼ばれる近距離の臨時ネットワークを経由して、相互のBluetoothアドレスを用いた通称ペアリングと呼ばれる接続相手の特定処理(認証)を行い、他のBluetooth対応デバイスと無線で接続及び通信することができるように構成されている。前記ピコネットは、他のBluetooth対応デバイスが所定距離範囲内に入ったとき、及び所定距離範囲から外れたときに、動的かつ自動的に確立又は消滅される。無線通信部16は、Bluetooth対応デバイスに限るものでなく、例えば、IEEE802.11対応デバイスであっても良い。ただし、斯かる場合、無線通信部16に対応する後述の無線通信部27もIEEE802.11対応デバイスである必要がある。
【0063】
リーダライタ15は、後述する接触・非接触ICカード26と、いわゆる非接触方式の通信方式(RFID(Radio Frequency Identification)システム)を用いて、接触・非接触の状態でのデータの送受信を行う。以下、リーダライタ15と、接触・非接触ICカード26との間における非接触方式の通信について説明する。リーダライタ15からは常時起動信号(電磁波)が送信されており、接触・非接触ICカード26及びリーダライタ15が、互いに通信することが可能な程度にまで接近した場合に、接触・非接触ICカード26がリーダライタ15から送出された電磁波を受信する。接触・非接触ICカード26は、前記電磁波を受信した場合、該電磁波の搬送波を整流して直流電源を生成し、それで内部回路を駆動させる。そして、接触・非接触ICカード26は、振幅変調を行い、前記起動信号に応じて応答信号をリーダライタ15に送出する。例えば、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等のRFIDシステム等が採用される。リーダライタ15は、無線通信部16の固有のBluetoothアドレス(識別データ)を接触・非接触ICカード26に送信する。
【0064】
一方、携帯電話機2は、装置全体を制御するCPU、プログラム、各種データ等を記録するROM、高速な書込/読取が可能なRAM等を有する制御部21と、電話番号、画像データ等を記憶する大容量のフラッシュメモリ24とを備えている。また、フラッシュメモリ24には、携帯電話機2が有する画像、文書等のファイル名の一覧(コンテンツデータ)、各画像のサムネイル等のデータが記憶されている。
【0065】
さらに本発明に係る携帯電話機2は、通信インタフェースを備え基地局との通信を行う基地局通信部25と、ユーザの操作を受け付ける押釦等の操作パネル28と、撮影により映像を取得するカメラ、音声の入力を受け付けるマイク等の入力部23と、映像を出力する液晶モニタ、音声を出力するスピーカ等の出力部22とを備えている。
【0066】
また、接触・非接触ICカード26と、無線通信部27とを備えている。接触・非接触ICカード26は、いわゆる非接触方式の通信方式を用い、リードライト15と接触・非接触の状態でデータの送受信を行う。上述と同様に、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等が採用される。また、無線通信部27は、上述と同様に、例えばBluetooth(登録商標)技術に対応できるものであり、他のBluetooth対応デバイス(例えば、無線通信部16)が所定近距離(例えば100mm)内にある場合、前記他のBluetooth対応デバイスと無線での接続及び通信を行う。
【0067】
以下、本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおける、画像形成装置1及び携帯電話機2の通信処理及び画像形成処理について説明する。また、デジタル複合機を本発明に係る画像形成装置1とし、該デジタル複合機を用いてユーザの携帯電話機2に記憶されている画像データに基づく画像を印刷する場合を例として説明する。図3及び図4は画像形成装置1の制御部11のCPUによる処理手順を示すフローチャートであり、図5は携帯電話機2の制御部21のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。なお、上述したように、本発明の実施の形態1に係る通信システム及び情報処理システムにおいて、画像形成装置1及び携帯電話機2は共にBluetooth対応デバイスである。
【0068】
画像形成装置1のCPUは携帯電話機2が所定範囲内に接近しているか否かを判定する(ステップS101)。上述したように、画像形成装置1にはリーダライタ15が設けられており、携帯電話機2には接触・非接触ICカード26が設けられている。画像形成装置1のリーダライタ15では、常時起動信号(電磁波)が送信されており、例えば、ユーザが携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざした場合には、上述した手法によって、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26から、前記起動信号に応じた応答信号がリーダライタ15に送出される。画像形成装置1のCPUは、該応答信号を受信した場合に、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定する。
【0069】
画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していないと判定した場合(ステップS101:NO)、携帯電話機2が所定範囲内に接近するまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定した場合(ステップS101:YES)、無線通信部16が有するBluetoothアドレス(以下、画像形成装置側アドレスという。)を読み出してリーダライタ15に送り、リーダライタ15は前記画像形成装置側アドレス(識別データ)を、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26に送信する(ステップS102)。
【0070】
一方、携帯電話機2のCPUは、接触・非接触ICカード26を監視することによって、前記画像形成装置側アドレスを受信したか否かを判定する(ステップS201)。携帯電話機2のCPUは、前記画像形成装置側アドレスを受信していないと判定した場合(ステップS201:NO)、前記画像形成装置側アドレスを受信するまで待機する。携帯電話機2のCPUは、前記画像形成装置側アドレスを受信したと判定した場合(ステップS201:YES)、受信した前記画像形成装置側アドレスを接触・非接触ICカード26の記憶領域に記憶する。
【0071】
図6はフラッシュメモリ24の構成を説明するための説明図である。接触・非接触ICカード26の記憶領域は、共通領域26B及びプライベート領域26A(フリーエリア)を備えている。受信した前記画像形成装置側アドレス(識別データ)は、接触・非接触ICカード26のプライベート領域26Aに書き込まれる。プライベート領域26Aは、
サービス事業者が自由に利用することが可能な領域である。プライベート領域26Aを用いることで自由度の高い書き込みが可能となる。一方共通領域にデータを書き込むことも可能であるが、この場合はカードのネットワークスのリモート発行システムを利用しなければならず、書き込む場合の自由度が低いと言う問題がある。
【0072】
次いで、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1にペアリングを要求する(ステップS202)。斯かるベアリングの要求は、携帯電話機2の無線通信部27が前記画像形成装置側アドレスを用いて、無線通信部27のBluetoothアドレス(以下、携帯電話機側アドレスという。)と、ペアリングを要求する旨のデータとを、画像形成装置1の無線通信部16に送信することにより行われる。
【0073】
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を監視することにより、携帯電話機2からペアリングの要求があったか否かを判定する(ステップS103)。画像形成装置1のCPUは、ペアリングの要求がなかったと判定した場合(ステップS103:NO)、携帯電話機2からペアリングの要求があるまで待機する。画像形成装置1のCPUは、ペアリングの要求があったと判定した場合(ステップS103:YES)、操作パネル12の表示部13にパスキーの入力を促すパスキー入力画面を表示し、ユーザに携帯電話機2からのパスキーの入力を要求する(ステップS104)。
【0074】
画像形成装置1のCPUは操作パネル28(又は表示部13のタッチパネル)を介してユーザが入力したパスキーを受け付け、該パスキーを記憶部14に予め記憶されているパスキーと比較し、正しいと判定した場合、通信が確立される。つまり、これにより、ペアリングが終了し、画像形成装置1及び携帯電話機2は通信可能な状態に設定される。
【0075】
次いで、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が有する画像、文章等のファイル名の一覧のデータを要求する旨のデータを、無線通信部16を介して携帯電話機2に送信する(ステップS105)。
【0076】
一方、携帯電話機2のCPUは、無線通信部27が画像形成装置1から前記ファイル名の一覧のデータを要求する旨のデータを受信した場合、フラッシュメモリ24に記憶されている画像、文章等のファイル名の一覧のデータを読み出し、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS203)。
【0077】
画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2から送信される前記ファイル名の一覧のデータを、無線通信部16を介して受信することにより取得し(ステップS106)、記憶部14に記憶する。
【0078】
次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記ファイル名の一覧のデータに基づき、印刷を希望するファイルの選択をユーザから受け付けるためのファイル名一覧の画面を、表示部13に表示する(ステップS107)。
【0079】
図7は画像形成装置1の表示部13に表示される前記ファイル名一覧の画面の一例を示す例示図である。前記ファイル名一覧の画面には、前記ファイル名の一覧のデータに基づく複数のファイル名が、例えば、スクロール表示されており、ユーザの操作パネル12又は表示部13(タッチパネル)の操作によって選択されたファイルのサムネイルが表示されるように構成されている。また、前記ファイル名一覧の画面には、「部数」、「変倍」等のソフトキーが設けられており、ユーザから印刷の部数、変倍等の印刷条件を受け付けることが出来る。印刷を希望するファイルの選択、印刷条件の入力が終わった場合、ユーザは前記「印刷」ソフトキーを操作し、印刷の開始を指示する。このような場合、携帯電話機1の小さい液晶モニタ画面を見て小さいキーを操作するものでなく、画像形成装置1の大きな表示部13にて希望するファイルの選択を行うので、画像の参照性及びキーの操作性が高くなる。
【0080】
画像形成装置1のCPUは、操作パネル12及び表示部13のタッチパネルを監視することにより、ユーザからファイルの選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。画像形成装置1のCPUは、ファイルの選択を受け付けていないと判定した場合(ステップS108:NO)、ユーザからファイルの選択を受け付けるまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、ユーザからファイルの選択を受け付けたと判定した場合(ステップS108:YES)、ユーザから印刷指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。斯かる判定は、CPUが操作パネル12及び表示部13のタッチパネルを監視することによって行われる。
【0081】
画像形成装置1のCPUは、印刷指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS109:NO)、ユーザから印刷指示を受け付けるまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、ユーザから印刷指示を受け付けたと判定した場合(ステップS109:YES)、選択されたファイル(以下、選択ファイルという。)の画像データを携帯電話機2に要求する(ステップS110)。該要求は、選択ファイルの画像データの送信を要求する旨のデータを、無線通信部16を介して携帯電話機2に送信することにより行われる。
【0082】
一方、携帯電話機2のCPUは、無線通信部27を監視することにより、画像形成装置1から選択ファイルの画像データの送信要求があったか否かを判定する(ステップS204)。携帯電話機2のCPUは、前記選択ファイルの画像データの送信要求がなかったと判定した場合(ステップS204:NO)、前記選択ファイルの画像データの送信要求があるまで待機する。一方、携帯電話機2のCPUは、前記選択ファイルの画像データの送信要求があったと判定した場合(ステップS204:YES)、フラッシュメモリ24から前記選択ファイルの画像データを読み出し、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS205)。
【0083】
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から選択ファイルの画像データを受信した場合(ステップS111)、該画像データを記憶部14に記憶する。
【0084】
次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記画像データを画像出力部19に送り、前記画像データに基づく画像の印刷を画像出力部19に指示することにより、前記画像データに基づく画像を印刷する(ステップS112)。
【0085】
画像形成装置1のCPUは、前記印刷の際において、前記印刷が正常終了したこと、又は異常が発生したこと等の印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部16を介して、携帯電話機2に送信する(ステップS113)。
【0086】
一方、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1から、前記印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部27を介して取得し(ステップS206)、フラッシュメモリ24に記憶する。
【0087】
次いで、携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24に記憶している前記印刷結果を通知する旨のデータに基づき、出力部22を介した出力を行う(ステップS207)。該出力は、例えば、携帯電話機2の前記液晶モニタへ、前記印刷結果を通知する旨のテキストを表示するものであっても良く、前記印刷結果を通知する旨の音声、警告音等を、携帯電話機2のスピーカを介して出力するものであっても良い。
【0088】
以上にて記載したように、本発明に係る通信システム及び情報処理システムにおいては、画像形成装置1から画像形成装置側アドレスを受信し、ユーザが該画像形成装置側アドレスを用いて画像形成装置1にデータを送信するので、携帯電話機2からユーザの意図に反して、携帯電話機2側の秘密情報(例えば、アドレス、パスキー等)が流出されることを未然に防止することが可能である。
【0089】
以上の実施の形態1の記載においては、パスキーの確実な設定のためユーザの手動入力によりパスキーを入力する場合を例として説明したが、手軽さを優先するのであればパスキーの受け渡しを、画像形成装置1のリーダライタ15及び携帯電話機2の接触・非接触ICカード26を介して行われるように構成しても良い。
【0090】
なお、パスキーを入力できないデバイス(マウス、ヘッドセット等)においては、前記パスキーを固定値にする構成であってもよく、パスキーの入力が不要にするように構成であっても良い。例えば、このようなパスキーを入力できないデバイスの場合は、デフォルトとして、例えば「0000」のような単純な羅列のパスキーとする。
【0091】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る通信システム及び情報処理システムにおける、画像形成装置1及び携帯電話機2の通信処理及び画像形成処理について説明する。デジタル複合機を本発明に係る画像形成装置1とし、該デジタル複合機を用いてユーザの携帯電話機2に記憶されている画像データに基づく画像を印刷する場合を例として説明する。本発明の実施の形態2に係る通信システム及び情報処理システムにおいては、パスキーの受け渡しを、画像形成装置1のリーダライタ15及び携帯電話機2の接触・非接触ICカード26を介して行われるように構成されている。図8は画像形成装置1の制御部11のCPUによる処理手順を示すフローチャートであり、図9は携帯電話機2の制御部21のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
【0092】
まず、携帯電話機2のユーザは、携帯電話機2を操作し、印刷すべきファイルを選択する(ステップS401)。図10は携帯電話機2において、印刷すべきファイルを選択する操作を説明するための説明図である。携帯電話機2の液晶モニタ(出力部22)には、フラッシュメモリ24に記憶されている画像データのサムネイルが表示され、キー(押ボタン等の操作パネル28)を操作してカーソルを移動させることにより、何れかのサムネイルを選択できる。希望するサムネイルを選択した場合、選択されたサムネイルに係るファイル(以下、選択ファイル)名及び前記サムネイルより大きい画像が出力部22に表示される。その後、ユーザは上述したように印刷すべきファイルが選択された状態の携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざす。
【0093】
一方、画像形成装置1のCPUは携帯電話機2が所定範囲内に接近しているか否かを上述した手法によって判定する(ステップS301)。画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していないと判定した場合(ステップS301:NO)、携帯電話機2が所定範囲内に接近するまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定した場合(ステップS301:YES)、無線通信部16が有するBluetoothアドレス(以下、画像形成装置側アドレスという。)パスキーを読み出してリーダライタ15に送り、リーダライタ15は前記画像形成装置側アドレスを、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26に送信する(ステップS302)。
【0094】
一方、携帯電話機2のCPUは、接触・非接触ICカード26を監視することによって、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信したか否かを判定する(ステップS402)。携帯電話機2CPUは、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信していないと判定した場合(ステップS402:NO)、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信するまで待機する。携帯電話機2CPUは、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信したと判定した場合(ステップS402:YES)、受信した前記画像形成装置側アドレス及びパスキーをフラッシュメモリ24に記憶する。
【0095】
次いで携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24から前記選択ファイルの画像データを読み出し、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを用い、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS403)。
【0096】
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から選択ファイルの画像データを受信した場合(ステップS303)、該画像データを記憶部14に記憶する。
【0097】
次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記画像データを画像出力部19に送り、前記画像データに基づく画像の印刷を画像出力部19に指示する(ステップS304)。
【0098】
画像形成装置1のCPUは、前記印刷の際において、前記印刷が正常終了した場合、又は異常が発生した場合等の印刷結果に応じて、夫々の印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部16を介して、携帯電話機2に送信する(ステップS305)。
【0099】
一方、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1から、前記印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部27を介して取得し(ステップS404)、フラッシュメモリ24に記憶する。
【0100】
次いで、携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24に記憶している前記印刷結果を通知する旨のデータに基づき、出力部22を介した出力を行う(ステップS405)。
【0101】
以上のように構成することによって、実施の形態2に係る通信システム及び情報処理システムにおいては、既に印刷すべきファイルが選択された状態の携帯電話機2を画像形成装置1に近づけるだけで、すぐに印刷することができ、印刷作業が非常に容易となる。
【0102】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0103】
以上の記載においては、デジタル複合機(画像形成装置1)及び携帯電話機2を例にあげて、本発明に係る通信システム、情報処理システム、画像形成装置及び携帯情報端末装置について説明したが、これに限るものでない。例えば、携帯電話機が通信機能を有するデジタルカメラであっても良い。またモバイルコンピュータ又はPDAと称される携帯端末であってもよい。また、携帯電話機からデータを送信するだけでなく、デジタル複合機が有するスキャナで読み取った原稿画像のデータを、携帯電話機に送信する方法でも良い。さらに、デジタル複合機にある記憶装置内に蓄積されたファックス画像のデータ、電子データ等を携帯電話機に送信することも含まれる。また、例えば、デジタル複合機(画像形成装置1)におけるリーダライタ15及び無線通信部16のように、携帯電話機2における接触・非接触ICカード26及び無線通信部27のように、2つ以上の通信手段を備え、互いに通信を行う機器の間では、本発明の同様な効果を奏することが出来る。
【符号の説明】
【0104】
1 画像形成装置(情報処理装置、外部装置)
2 携帯電話機(電子機器、外部装置、携帯情報端末装置)
11 制御部
15 リーダライタ
16 近距離無線通信部
21 制御部
26 接触・非接触ICカード
26A プライベート領域
27 近距離無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信手段を有する携行可能な電子機器と、該電子機器との通信を行う情報処理装置とを備える通信システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記携行可能な電子機器と通信を行う第1通信手段と、
該第1通信手段に係る識別データを、前記携行可能な電子機器に送信する第2通信手段とを備えており、
前記携行可能な電子機器は、
前記識別データを受信する第3通信手段と、
該第3通信手段によって受信した前記識別データを用い、前記第1通信手段との通信を行う第4通信手段とを備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第2通信手段及び第3通信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行うように構成され、
前記第1通信手段及び第4通信手段の間の通信に比べて近距離無線通信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記識別データは、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
携行可能な電子機器と、該電子機器とデータの送受信を行う情報処理装置とを備える情報処理システムにおいて、
前記情報処理装置は、
前記電子機器とデータを送受信する第1送受信手段と、
該第1送受信手段に係る識別データを、前記電子機器に送信する第2送信手段とを備えており、
前記電子機器は、
前記識別データを受信する第2受信手段と、
該第2受信手段によって受信した前記識別データを用い、前記第1送受信手段とデータを送受信する第3送受信手段とを備えていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
表示部と、
前記電子機器が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、
該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段と
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記電子機器は、
表示部を備えており、
任意のコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示して前記第2送信手段から所定距離以内に接近した場合、前記第3送受信手段が前記任意のコンテンツデータを前記第1送受信手段に送信するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
データの処理における、異常発生又は正常終了の旨を、前記電子機器に通知する通知手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2送信手段及び第2受信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行うように構成され、
前記第1送受信手段及び第3送受信手段の間の通信に比べて近距離無線通信を行うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、取得したデータに基づいて画像を形成する画像形成装置であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項10】
外部装置から画像データを取得して、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、
前記外部装置から画像データを受信する受信手段と、
該受信手段に係る識別データを、前記外部装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
表示部と、
前記外部装置が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、
該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段と
を備えていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像の形成における、異常発生又は正常終了の旨を、前記外部装置に通知する通知手段を備えていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
2つの無線通信手段を有する外部装置と通信を行う携帯情報端末装置において、
前記外部装置の2つの無線通信手段の中、一方の無線通信手段と通信を行う第1通信部と、
前記外部装置の他の無線通信手段を介して、前記一方の無線通信手段に係る識別データを受信する第2通信部とを備え、
前記第1通信部は、前記第2通信部が受信した前記識別データを用い、前記一方の無線通信手段との通信を行うように構成されていることを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項14】
前記第2通信部及び前記他の無線通信手段の間はRFIDシステムを用いた通信を行い、
前記識別データは、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶されるように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の携帯情報端末装置。
【請求項15】
記憶しているコンテンツデータに基づく画像を表示する表示部を備えており、
任意のコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示して前記他方の無線通信手段から所定距離以内に接近した場合、前記第1通信部が前記任意のコンテンツデータを前記一方の無線通信手段に送信するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−177947(P2010−177947A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17209(P2009−17209)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】