説明

通信システム、案内方法及びプログラム

【課題】複数のユーザが待ち合わせる目的地まで各ユーザが到達しやすくなるような案内を行う。
【解決手段】ユーザA及びユーザBは、移動通信端末100A及び移動通信端末100Bを用いて目的地案内の設定を行うと(ステップS101,S103)、案内モードで目的地へ向かって移動する(ステップS107,S108)。ユーザAは目的地に到着すると(ステップS110)、移動通信端末100Aを他者案内支援モードに切り替える(ステップS111)。移動通信端末100Aは、移動通信端末100Bに対してポーリングを行い(ステップS112)、移動通信端末Bがポーリングを検知すると(ステップS113)、両者の間でペアリングが行われる(ステップS115)。これにより、移動通信端末100Bは、案内手段を電子コンパスに切り替える(ステップS116)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待ち合わせの目的地までユーザを案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの移動通信端末において、GPS(Global Positioning System)方式の測位機能や基地局ないし無線アクセスポイントを利用した測位機能などの、複数の測位機能を用いて目的地まで案内を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、目的地までの距離に応じて、基地局を利用した測位機能とGPS方式の測位機能とを切り替えることが開示されている。また、特許文献2及び3には、ユーザどうしが待ち合わせ場所となる目的地を決めて待ち合わせを行う際に、GPS方式の測位機能に加えて、ブルートゥース(登録商標)などの無線通信や方位センサなどを補完的に用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−180582号公報
【特許文献2】特開2004−364222号公報
【特許文献3】特開2006−91856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1〜3に記載の技術では、各々の移動通信端末が、自端末のリソースのみを用いて目的地までの案内を行っているに過ぎないので、その案内の精度に限界がある。そこで、本発明は、複数のユーザが待ち合わせる目的地まで各ユーザが到達しやすくなるような案内を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の無線端末を備えた通信システムであって、各々の前記無線端末が、自端末のユーザと目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する端末特定手段と、自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを前記目的地まで案内する複数の案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替える切替手段と、前記判定手段により自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する支援手段とを備えることを特徴とする通信システムを提供する。
【0006】
また、好ましい態様において、各々の前記無線端末が、前記判定手段により自端末のユーザが目的地に到着したと判定されるまでの自端末の移動状況を特定する状況特定手段を備え、各々の無線端末の前記支援手段は、前記状況特定手段によって特定された自端末の移動状況に応じた内容の支援を行う。
【0007】
また、別の好ましい態様において、各々の前記無線端末の前記状況特定手段は、自端末が前記目的地までの移動に要した時間に基づいて、前記他の無線端末が有する前記案内手段を切り替える距離を特定し、各々の前記無線端末の前記支援手段は、前記状況特定手段が特定した距離を前記他の無線端末に指示し、各々の前記無線端末の前記切替手段は、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末からの支援を受けない場合は、自端末から前記目的地までの距離が予め決められた距離になると前記案内手段を切り替え、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末からの支援を受ける場合は、自端末から前記目的地までの距離が、当該他の無線端末の前記支援手段から指示された距離になると前記案内手段を切り替える。
【0008】
また、別の好ましい態様において、各々の前記無線端末の前記状況特定手段は、自端末が前記目的地に至るまでの一定距離の移動に要した時間が閾値を超えると、前記他の無線端末が有する前記案内手段を切り替える前記距離として、当該時間が当該閾値以下である場合と比べて長い距離を特定する。
【0009】
また、別の好ましい態様において、各々の前記無線端末の前記支援手段は、自端末が前記目的地までの移動に要した時間及び前記目的地までの移動経路に基づいて、前記他の無線端末が前記目的地までの移動経路を決定するための情報を生成して、生成した情報を当該他の無線端末に送信し、各々の前記無線端末において、自端末のユーザを前記目的地まで案内している前記案内手段は、前記他の無線端末から送信されてくる情報に基づいて、自端末のユーザが前記目的地に至るまでの移動経路を決定し、当該経路を案内する。
【0010】
また、別の好ましい態様において、各々の前記無線端末の前記支援手段は、自端末が或る移動経路を通って目的地に至るまでの一定距離の移動に要した時間が閾値を超えると、当該移動経路を使わない旨の情報を生成して前記他の無線端末に送信する。
【0011】
また、本発明は、複数の無線端末を備えた通信システムにおいて当該無線端末の各々が行う目的地までの案内方法であって、自端末のユーザと前記目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する第1ステップと、自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する第2ステップと、自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを前記目的地まで案内する複数の案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替えながら、自端末のユーザを前記目的地まで案内する第3ステップと、自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記第1ステップにおいて特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する第4ステップとを備えることを特徴とする案内方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、自端末のユーザと目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する端末特定手段と、自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する判定手段と、自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で前記目的地までの案内を行う複数の案内手段のうち、自端末のユーザを前記目的地まで案内する案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替える切替手段と、自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する支援手段として機能させるためのプログラムとしても提供し得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のユーザが待ち合わせる目的地まで各ユーザが到達しやすくなるような案内を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるシステムの構成を表した図。
【図2】移動通信端末のハードウェア構成を表したブロック図。
【図3】メールアドレスデータの内容を表す図。
【図4】近距離無線アドレスデータの内容を表す図。
【図5】待ち合わせデータの内容を表す図。
【図6】目的地案内の概要を説明するための模式図。
【図7】目的地案内の設定画面における表示内容を表した図。
【図8】目的地案内における処理の流れを表すシーケンス図。
【図9】案内モードにおける処理の流れを表すフロー図。
【図10】GPSによる目的地案内における表示部の表示内容を表した図。
【図11】電子コンパスによる目的地案内における表示部の表示内容を表した図。
【図12】目的地に到着したことを知らせるメッセージの表示内容を表した図。
【図13】他者案内支援モードに切り替えるか否かをユーザに選択させる画像を表した図。
【図14】他者案内支援モードにおける処理の流れを表すフロー図。
【図15】ポーリング及びペアリングを説明するための模式図。
【図16】支援される側の移動通信端末の表示部に表示される接続通知の内容を表した図
【図17】移動通信端末の機能的構成を表したブロック図。
【図18A】変形例1に係る案内モードにおける処理の流れを表すフロー図。
【図18B】変形例1に係る案内モードにおける処理の流れを表すフロー図。
【図19】変形例1に係る他者案内支援モードにおける処理の流れを表すフロー図。
【図20】GPSによる目的地案内における、或る移動経路が除外されたときの表示部の表示内容を表した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<構成>
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるシステムの構成を表した図である。このシステムは、複数の移動通信端末100と、地図サーバ装置200と、ネットワークNWとを備えている。移動通信端末100は、例えば携帯電話機、無線LAN(Local Area Network)に接続可能な通信端末、または無線機能を備えたノートパソコンのような、ユーザが携帯可能であって、無線通信を行う無線端末である。地図サーバ装置200は、地図を表す地図データを蓄積するサーバ装置である。ネットワークNWは、例えば携帯電話網や無線LANなどの移動通信網やインターネットなどの固定通信網を含む通信網である。このシステムにおいて、移動通信端末100どうし、あるいは移動通信端末100と地図サーバ装置200とが、ネットワークNWを介して通信を行う。
【0016】
移動通信端末100はそれぞれ異なるユーザによって所持されており、これらのユーザが目的地において待ち合わせを行う場合にその目的地までの案内を行う。移動通信端末100において、目的地までの案内に関する動作モードには、案内モード及び他者案内支援モードという2種類の動作モードがある。具体的には、案内モードにおいて、移動通信端末100は、地図サーバ装置200からネットワークNWを介して取得した地図データが表す地図上に、自端末が測位した位置と目的地とを表示して、自端末を所持するユーザに対して目的地への案内を行う。一方、他者案内支援モードは、既に目的地に到着したユーザが所持する移動通信端末100のみがとり得る動作モードである。この他者案内支援モードの移動通信端末100は、未だ目的地に到着していない他のユーザの所持する移動通信端末100が案内モードにてそのユーザに対して行っている案内に対する支援(他者案内支援という)を行う。ここでいう支援とは、他のユーザに対して目的地までの案内を行っている移動通信端末100に対し、その案内に用いられる情報を提供することを言う。
【0017】
図2は、移動通信端末100のハードウェア構成を表したブロック図である。移動通信端末100は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、ネットワーク通信部15、近距離無線通信部16、測位部17、及び電子コンパス18のほか、日時を計測する計時手段や振動による報知を行う振動部(図示略)などを備えており、これらの各部がバス19を介して互いに接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有する。CPUは、ROMや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出しRAMにロードして実行することにより、移動通信端末100の各部を制御する。
【0018】
表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示体やVRAM(Video Random Access Memory)などのメモリを備えており、制御部11の制御の下で各種の画像を表示する。操作部14は、複数のキーを有しており、ユーザによってこれらのキーが操作されるとその操作内容に応じた信号を制御部11へ供給する。制御部11は、この信号に基づいて操作内容を判断して処理を行う。ネットワーク通信部15は、制御部11の制御の下で、ネットワークNWに含まれる移動通信網を介して、他の移動通信端末100あるいは地図サーバ装置200と通信を行う。近距離無線通信部16は、上述した他者案内支援モードにおいて、制御部11の制御の下で、他の移動通信端末100の近距離無線通信部16と近距離無線通信を行う。この近距離無線通信の方式は、例えばブルートゥースであり、移動通信端末100どうしが最大でどれだけの距離を離れて通信可能であるかを表す通信可能最大距離を10mとする。測位部17は、GPS方式によって測位を行い、この測位により特定した位置を緯度・経度で表した位置情報を生成する。以降において、単に現在位置といった場合、移動通信端末100の現在位置を表す。また、目的地案内が行われるにあたり、ユーザは移動通信端末100を所持しているから、この現在位置は、ユーザの現在位置とも同義である。電子コンパス18は、地磁気を検出する磁気センサを備えており、この磁気センサの検出結果を制御部11に供給する。
【0019】
記憶部12は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶手段であり、メールアドレスデータ121、近距離無線アドレスデータ122、待ち合わせデータ123、各種閾値及びプログラムを記憶する。メールアドレスデータ121は、移動通信端末100のそれぞれのユーザを一意に識別するユーザIDと、移動通信端末100のそれぞれに割り当てられたメールアドレスとが1対1で対応付けられたデータである。近距離無線アドレスデータ122は、上記の各ユーザIDと、移動通信端末100のそれぞれに割り当てられた近距離無線アドレスとが1対1で対応付けられたデータである。近距離無線アドレスとは、近距離無線通信において、近距離無線通信を行うために移動通信端末100に割り当てられた識別情報である。待ち合わせデータ123は、ユーザどうしの待ち合わせに関するデータである。
【0020】
図3は、メールアドレスデータ121の内容を表す図である。メールアドレスデータ121は、「ユーザID」、「ユーザ名」、「メールアドレス」及び「待ち合わせ対象フラグ」といった複数の項目からなる。「ユーザID」は、上述したように、移動通信端末100のそれぞれのユーザを一意に識別する情報であり、例えば8文字のアルファベットの組み合わせである。「ユーザ名」は、移動通信端末100のそれぞれのユーザを識別する名称である。「メールアドレス」は、上述したように、移動通信端末100のそれぞれに割り当てられたメールアドレスである。「待ち合わせ対象フラグ」は、各ユーザが待ち合わせの相手として設定されているか否かを表すフラグであって、「1」は待ち合わせの対象であり、「0」は待ち合わせの対象でないことを表している。制御部11は、ユーザが、操作部14を介して後述するような手順で目的地案内のための設定を行うと、この設定内容に応じて、待ち合わせ相手に設定されているユーザについては「待ち合わせ対象フラグ」を「1」とし、待ち合わせ相手に設定されていないユーザについては「待ち合わせ対象フラグ」を「0」とする。図3に示すように、メールアドレスデータ121には、「ユーザID」「ユーザ名」、「メールアドレス」及び「待ち合わせ対象フラグ」の組が複数含まれている。
【0021】
待ち合わせが行われるに際して、ユーザが、待ち合わせを行う相手ユーザと、メールアドレスを以下のような方法で事前に交換することで、制御部11は、このメールアドレスを記憶部12に記憶させる。例えば、制御部11は、操作部14を用いたユーザの操作に従って、自端末である移動通信端末100と、待ち合わせを行う相手ユーザの所持する移動通信端末100との間で、図示しない赤外線機能に赤外線通信を行わせることで、お互いのメールアドレスを交換し、相手ユーザの「メールアドレス」を記憶部12に記憶させる。また、別の方法としては、ユーザが、操作部14を用いて、待ち合わせを行う相手ユーザのメールアドレスを直接入力することで、制御部11が、このメールアドレスを記憶部12に記憶させる。メールアドレスを交換する方法は、待ち合わせを行う際に事前に交換可能な方法であれば、上記以外の方法であってもよい。
【0022】
図4は、近距離無線アドレスデータ122の内容を表す図である。近距離無線アドレスデータ122は、「ユーザID」、「ユーザ名」、「近距離無線アドレス」及び「待ち合わせ対象フラグ」といった複数の項目からなる。「ユーザID」、「ユーザ名」及び「待ち合わせ対象フラグ」は上述したとおりである。「近距離無線アドレス」は、上述したように、移動通信端末100のそれぞれに割り当てられた識別情報であって、具体的には、例えば図3に示すようなMAC(Media Access Control)アドレスである。図3に示すように、近距離無線アドレスデータ122には、「ユーザID」「ユーザ名」、「近距離無線アドレス」及び「待ち合わせ対象フラグ」の組が複数含まれている。
【0023】
ユーザが、待ち合わせを行う相手ユーザと、近距離無線アドレスを以下のような方法で事前に交換することで、制御部11が、この近距離無線アドレスを記憶部12に記憶させる。具体的には、ユーザが、操作部14を用いて、後述するような手順で目的地案内のための設定を行うと、制御部11は、メールアドレスデータ121を参照して、待ち合わせを行う相手ユーザのメールアドレスを特定し、そのメールアドレスに対して、自端末の近距離無線アドレスを送付する。例えば、2人のユーザが、お互いを待ち合わせ相手として目的地案内のための設定を行うと、各々の移動通信端末100に割り当てられた近距離無線アドレスがお互いに交換される結果となる。制御部11は、このようにして交換された近距離無線アドレスを、記憶部12に記憶させる。また、別の方法として、制御部11が、操作部14を用いたユーザの操作に従って、自端末である移動通信端末100と、待ち合わせを行う相手ユーザの所持する移動通信端末100との間で、図示しない赤外線機能に赤外線通信を行わせることで、お互いの近距離無線アドレスを交換し、相手ユーザの近距離無線アドレスを記憶部12に記憶させるようにしてもよい。近距離無線アドレスを交換する方法は、待ち合わせを行う際に事前に交換可能な方法であれば、上記以外の方法であってもよい。
【0024】
図5は、待ち合わせデータ123の内容を表す図である。待ち合わせデータ123は、「待ち合わせID」、「待ち合わせユーザ」、「目的地」、「待ち合わせ日時」、「到着済ユーザ」及び「到着日時」といった複数の項目からなる。「待ち合わせID」は、移動通信端末100を用いて行われる待ち合わせの各々を一意に識別する情報であり、例えば8桁の数字の組み合わせである。「待ち合わせユーザ」は、待ち合わせを行うユーザのユーザ名であり、少なくとも2人以上のユーザのユーザ名を含んでいる。「目的地」は、ユーザどうしが待ち合わせる場所であって、実際に存在する建築物や駅の名称、あるいは住所の番地である。「待ち合わせ日時」は、待ち合わせの日時を表す。「到着済ユーザ」は、待ち合わせユーザのうち、目的地に既に到着しているユーザのユーザ名である。「到着日時」は、到着済ユーザが目的地に到着した日時である。
【0025】
<動作>
図6は、目的地案内の概要を説明するための模式図である。ユーザ300は、移動通信端末100による目的地案内に従って、目的地400へ向かって移動する。移動通信端末100による目的地案内には、それぞれ異なる方法でユーザを目的地まで案内するものが含まれており、具体的には、測位部17による案内と電子コンパス18による案内とが含まれる。これらの案内の順序と目的地までの距離との関係を説明すると、まず、目的地まで遠い場合には測位部17による案内が行われ、目的地まである程度近づくと、電子コンパス18による案内に切り替えられる。以降において、測位部17によって案内が行われる範囲のことをGPS圏といい、電子コンパス18によって案内が行われる範囲のことを電子コンパス圏といい、測位部17による案内から電子コンパス18による案内に切り替えられるタイミングを、切り替えタイミングという。GPS圏内において、制御部11は、測位部17によって特定された現在位置から目的地400へ向かう道をユーザに知らせるための地図を表示部13に表示させ、ユーザ300はこの地図の画像を参照しながら目的地400へ向かって移動する。一方、電子コンパス圏内において制御部11は、電子コンパス18の検出結果に基づき、目的地400がある方向を指し示す、いわゆる方位コンパスを模した画像を表示部13に表示させ、ユーザ300は、この画像を参照しながら目的地400へ向かって移動する。
【0026】
上述した切り替えタイミングの決め方には、以下の2種類がある。1つ目のタイミングの決め方は、制御部11が、目的地400と現在位置との距離が所定の距離(ここでは10mとする)より短くなったと判断したときを、切り替えタイミングとするというものである。このような切り替えタイミングの決め方は目的地400に到着済みのユーザがいない場合に生じる。ここで、上述した所定の距離は、ユーザ300が任意に設定可能であるが、目視で目的地を確認し得る程度の距離が望ましい。これは、目視で目的地を確認し得ないほど目的地から遠く離れた地点で、電子コンパス18による案内に切り替わっても、この案内は目的地への方向を指し示すものに過ぎないため、その方向に障害物が存在する場合などに、案内の役割を果たさない可能性が高いからである。例えば10mから100mの範囲内であれば、多少の障害物が存在しても、目視で目的地を確認可能であるから、この範囲の中で上述した所定の距離を決めることが望ましい。この所定の距離は、第1の閾値として記憶部12に記憶されている。このように、測位部17による案内と電子コンパス18による案内とが、自端末から目的地までの距離に応じて切り替えられる。
【0027】
次に、2つ目のタイミングの決め方は、自端末の移動通信端末100と、先に目的地に到着している他のユーザの所持する移動通信端末100との間で近距離無線が可能になったタイミングを、切り替えタイミングとするというものである。このような切り替えタイミングの決め方は、先に目的地400に到着しているユーザがいる場合に生じる。前述したように、近距離無線通信部16の通信可能最大距離は10mであるから、このような決め方で切り替えタイミングが決められたとき、移動通信端末100と目的地との距離はおおよそ10mになっている。
【0028】
図7は、目的地案内のための設定を行うときに表示部13に表示される設定画面を表した図である。ユーザが移動通信端末100を用いて目的地案内のプログラムを起動すると、制御部11は、図7に示すような設定画面を表示部13に表示させる。ユーザは、この設定画面において、操作部14を用いて、待ち合わせ相手、待ち合わせ場所となる目的地、及び待ち合わせ日時を設定する。ユーザは、図7に示すように、リスト形式で表示されたユーザ名から、操作部14を用いて待ち合わせ相手を選択する。このときリストに表示されるユーザ名は、メールアドレスデータ121に含まれているユーザ名である。なお、待ち合わせ相手の設定方法は、リスト形式に限らず、チェックボックス形式により複数の待ち合わせ相手を同時に選択して設定可能としてもよい。
【0029】
また、ユーザは、操作部14を用いてテキストボックスに、目的地に相当する文字列を直接入力することで、目的地を設定する。この文字列は、図7に示すように「スカイツリー」といった実際に存在する建築物の名称や、駅の名称であってもよいし、住所の番地であってもよい。また、目的地の設定方法はこのほかに、「参照」ボタンが押下されることで表示される地図の画像から、ユーザが操作部14を用いて選択した地点を目的地として設定することも可能である。また、ユーザは、操作部14を用いて、テキストボックスに待ち合わせを行う日時を直接入力することで、待ち合わせ日時を設定する。なお、このテキストボックスには、日時を表す文字列のフォーマットが自動で表示され、ユーザは、操作部14を用いて、日時を選択することで、待ち合わせ日時を設定可能である。ユーザが、このようにして待ち合わせ相手、目的地、及び待ち合わせ日時を設定したあとに「決定」ボタンを押下すると、前述したように、制御部11は、メールアドレスデータ121を参照し、設定した待ち合わせ相手にあたるユーザのメールアドレスに対して、自端末の近距離無線アドレスを送付する。このようにして、待ち合わせを行うユーザどうしの間で近距離無線アドレスの交換が行われる。また、制御部11は、このようにして設定した、待ち合わせ相手、目的地、及び待ち合わせ日時を、上述した待ち合わせデータ123として記憶部12に記憶させる。
【0030】
次に、目的地案内における全体の処理の流れについて概要を説明した後に、案内モード及び他者案内支援モードにおける、それぞれの処理の流れを説明する。図8は、目的地案内における全体の処理の流れを表すシーケンス図である。図8においては、説明を簡便なものとするため、2台の移動通信端末100のユーザが待ち合わせを行う場合を例に挙げているが、実際には3台以上の移動通信端末100のユーザ待ち合わせを行ってもよい。この場合、これらの移動通信端末100がお互いに以下に説明するような処理を行う。
【0031】
まず、ユーザAが、移動通信端末(移動通信端末100Aという)を用いて上述した目的地案内の設定を行う(ステップS101)。以降、移動通信端末100Aにおける各部を説明する際には、その末尾に「A」を付す。これは、ユーザBの用いる移動通信端末(移動通信端末100Bという)についても同様である。ステップS101において、ユーザAが目的地案内の設定を行うと、制御部11Aは、ネットワーク通信部15Aを介して、待ち合わせ相手となるユーザBのメールアドレスに、自端末の近距離無線アドレスを送信する(ステップS102)。制御部11Bは、受信したユーザAの近距離無線アドレスを記憶部12Bに記憶させる。
【0032】
一方、ユーザBも同様に、移動通信端末100Bを用いて、上述した目的地案内の設定を行う(ステップS103)。ステップS103において、ユーザBが目的地案内の設定を行うと、制御部11Bは、ネットワーク通信部15Bを介して、待ち合わせ相手であるユーザAのメールアドレスに、自端末の近距離無線アドレスを送信する(ステップS104)。制御部11Aは、受信したユーザBの近距離無線アドレスを記憶部12Aに記憶させる。ここで、ユーザA及びユーザBの双方が目的地案内の設定を完了したため、制御部11Aは、移動通信端末100Aにおいて、案内モードで目的地案内を開始し(ステップS105)、同様に、制御部11Bも、移動通信端末100Bにおいて、案内モードで目的地案内を開始する(ステップS106)。ユーザAは、移動通信端末100Aが案内モードで行う、測位部17Aによる案内に従って、目的地へ向かって移動する(ステップS107)。一方、ユーザBも、移動通信端末100Bが案内モードで行う、測位部17Bによる案内に従って、目的地へ向かって移動する(ステップS108)。
【0033】
制御部11Aは、移動通信端末100Aの現在位置と目的地との距離が10mを切ると、前述した切り替えタイミングの1つ目の決め方に従って、測位部17Aによる案内から、電子コンパス18Aによる案内に切り替える(ステップS109)。ここで、ユーザA(すなわち移動通信端末100A)が、ユーザBよりも先に目的地に到着したとすると(ステップS110)、制御部11Aは、動作のモードを、未到着のユーザを案内支援する他者案内支援モードに切り替えるか否かの選択をユーザAに促す。ユーザAが、他者案内支援モードに切り替えることを選択すると、制御部11Aは、他者案内支援モードでの動作を開始する(ステップS111)。まず、制御部11Aは、近距離無線通信部16Aを用いて、移動通信端末100Bに対して予め決められた周期でポーリングを行う(ステップS112)。この周期は例えば100msec(ミリ秒)である。
【0034】
制御部11Bは、近距離無線通信部16Bによって移動通信端末100Aからのポーリングを検知すると(ステップS113)、ポーリングに対する応答を、近距離無線通信部16Bから移動通信端末100Aに送信する(ステップS114)。この応答に応じて、制御部11A及び制御部11Bは、近距離無線通信部16A及び近距離無線通信部16Bをそれぞれ用いて、移動通信端末100Aと移動通信端末100Bとの間でペアリングを行う(ステップS115)。ブルートゥースでのペアリングにはパスキーが必要であるが、ここでは制御部11A及び制御部11Bは、パスキーに「0000」といった予め決められた値を設定しておけばよい。ペアリングが完了すると、制御部11Bは、前述した切り替えタイミングの2つ目の決め方に従って、測位部17Bによる案内から、電子コンパス18Bによる案内に切り替える(ステップS116)。一方、他者案内支援モードで動作している制御部11Aは、近距離無線通信部16Aを用いて、移動通信端末100Bに対して他者案内支援を行う(ステップS117)。一方、制御部11Bは、移動通信端末100Aからの他者案内支援を受けつつ、電子コンパス18Bによる案内を行う。ユーザBは、この案内に従って移動を行い、目的地へ到着する(ステップS118)。なお、3人以上のユーザで待ち合わせするときは、他者案内支援モードで動作している制御部11Aが、近距離無線通信部16Aを用いて、ユーザBの次に目的地に近づくユーザの所持する移動通信端末100に対して他者案内支援を行うことになる。
【0035】
次に、図9〜図13を用いて、案内モードにおいて移動通信端末100が行う処理を説明する。
図9は、案内モードにおける処理の流れを表すフロー図である。まず、制御部11は、ネットワーク通信部15を用いて地図サーバ装置200と接続すると(ステップS201)、地図サーバ装置200から取得した、目的地の位置を含む目的地周辺の地図データと、測位部17によって特定される現在位置とに基づいて、地図による案内の画像を表示部13に表示させる(ステップS202)。図10は、GPSによる目的地案内における表示部13の表示内容を表した図である。図に示すように、表示部13には、目的地400と、ユーザの現在位置500と、地図の画像とが表示される。ユーザは、表示部13に表示されるこれらの画像を参照しながら、目的地400へ向かって移動する。制御部11がネットワーク通信部15を用いて地図サーバ装置200と通信することにより、表示部13に表示される画像は、ユーザの移動に伴って予め決められた周期で更新される。例えば、移動通信端末100を所持したユーザが北へ50m移動すると、制御部11によって、この移動に応じた内容で、地図の画像が更新される。
【0036】
ステップS202の次に、制御部11は、近距離無線通信部16を用いて他の移動通信端末100からのポーリングを検知したか否かを判定する(ステップS203)。ポーリングを検知した場合(ステップS203;YES)、制御部11は、近距離無線通信部16を用いて、自端末の移動通信端末100と他の移動通信端末100との間でペアリングを行うと(ステップS204)、処理をステップS206へ進める。一方、ポーリングを検知していない場合(ステップS203;NO)、制御部11は、現在位置と目的地との距離が第1の閾値(ここでは10m)より短いか否かを判定する(ステップS205)。上記距離が第1の閾値より長い場合(ステップS205;NO)、制御部11は処理をステップS202に戻し、上記距離が第1の閾値より短い場合(ステップS205;YES)、制御部11は処理をステップS206へ進める。
【0037】
ステップS206において、制御部11は、電子コンパス18を起動する。そして制御部11は、電子コンパス18から供給される情報に基づいて、方位コンパスを模した画像を表示部13に表示させる(ステップS207)。図11は、電子コンパス18による目的地案内における表示部13の表示内容を表した図である。図に示すように、表示部13には、東西南北の方角を指し示す画像と、移動通信端末100に対して目的地の存在する方向を指し示す矢印の画像とが表示される。ここで、東西南北の方角を指し示す画像は、電子コンパス18が備える地磁気センサの検出結果に応じて表示内容が更新される。例えば、ユーザがある地点から東へ向かって45度回転して移動した場合、東西南北の方角を指し示す画像は、その指し示す各方角がユーザの移動前と変わらないように、制御部11によって表示部13に表示される。また、電子コンパス圏において、制御部11は、測位部17によって特定された現在位置と目的地との位置関係と、電子コンパス18による検出結果とに基づいて、現在位置に対して目的地の存在する方向を、予め決められた周期で判定する。ここで予め決められた周期とは、例えば100msecである。そして制御部11は、上記判定の結果における方向を指し示すように、上記矢印の画像を表示部13に表示させる。これにより、移動通信端末100を所持するユーザが移動しても、上記矢印の画像は、現在位置に対して目的地の存在する方向を指し示すようにして表示部13に表示される。
【0038】
制御部11は、電子コンパス18による目的地案内における表示内容を表示部13に表示させながら、地図データと、測位部17によって特定される現在位置と目的地の位置とに基づいて、移動通信端末100が目的地に到着したか否かを、予め決められた周期で判定する(ステップS208)。ここで、予め決められた周期とは、例えば100msecである。ステップS208において具体的に制御部11は、地図サーバ装置200から取得する地図データに含まれる、目的地の緯度・経度と、測位部17によって特定された現在位置の緯度・経度との差分が、所定の範囲内であれば、移動通信端末100が目的地に到着したと判定し、所定の範囲に収まらない場合、移動通信端末100が目的地に到着していない、と判定する。制御部11は、移動通信端末100が目的地に到着していないと判定した場合(ステップS208;NO)、処理をステップS207へ戻す。一方、制御部11は、移動通信端末100が目的地に到達したと判定した場合(ステップS208;YES)、ネットワーク通信部15を用いて、自端末のユーザが目的地に到着したことを知らせるメッセージを、メールアドレスデータ121に記憶された待ち合わせ相手のメールアドレスに送信する(ステップS209)。図12は、目的地に到着したことを知らせるメッセージの表示内容を表した図である。図に示すように、目的地に到着したユーザ名が、待ち合わせ相手のユーザが所持する移動通信端末100の表示部13に表示される。この到着についてのメッセージを受けた移動通信端末100の制御部11は、自端末における待ち合わせデータ123の「到着済ユーザ」に、当該メッセージに含まれるユーザを追加し、「到着日時」に到着時の日時を追加して、記憶部12に記憶させる。
【0039】
次に制御部11は、動作のモードを、他の移動通信端末100への目的地への案内を支援する他者案内支援モードに切り替えるか否かを、ユーザに選択させる画像を表示部13に表示させる(ステップS210)。図13は、他者案内支援モードに切り替えるか否かを選択させる画像を表した図である。図に示すように、制御部11は、「他者案内支援モードに切り替えますか?」といったメッセージとともに、「はい」と「いいえ」という選択肢を示すボタンの画像を表示部13に表示させる。制御部11は、ユーザによって、操作部14を用いて他者案内支援モードに切り替えることが選択されたことを検知すると(ステップS210;YES)、動作のモードを他者案内支援モードに切り替え、以降、他者案内支援モードによる処理を行う(ステップS211)。一方、制御部11は、他者案内支援モードに切り替えないことが選択された場合には(ステップS210;NO)、処理を終了する。
【0040】
次に、図14〜図16を用いて、他社案内支援モードにおいて移動通信端末100が行う処理を説明する。図14は、他者案内支援モードにおける処理の流れを表すフロー図である。他者案内支援モードにおいて、制御部11は、近距離無線通信部16を用いて予め決められた周期でポーリングを行う(ステップS301)。具体的には、このポーリングは、近距離無線アドレスデータ122に含まれ、待ち合わせ相手として設定されているユーザの近距離無線アドレスに対して、制御部11が、順次、近距離無線通信部16を用いて、通信可能であるか否かを問い合わせるメッセージを送信することで実現される。制御部11は、ポーリングの結果、他のユーザの所持する移動通信端末100から応答があり、当該他のユーザの所持する移動通信端末100と自端末の移動通信端末100との間でペアリングが行われたか否かを、判定する(ステップS302)。ポーリングの結果、他のユーザの所持する移動通信端末100から応答がない場合(ステップS302;NO)、制御部11は処理をステップS301へ戻す。
【0041】
図15は、ポーリング及びペアリングを説明するための模式図である。黒い円は、目的地400に到着済みのユーザ300Aを表している。白い円は、目的地400に未到着のユーザ300B及び300Cを表している。また、ユーザ300Aを中心として破線で描かれた円は、ユーザ300Aの所持する移動通信端末100が近距離無線を用いて通信可能な範囲である近距離無線通信範囲RCを表す。近距離無線通信範囲RCは、図示するように、ユーザ300Aを中心とした半径10mの円の内部をその通信範囲とする。図においてユーザ300Aは、目的地400に到着後、移動通信端末100の動作のモードを、操作部14を用いて他者案内支援モードに設定済みである。
【0042】
ユーザ300Aの所持する移動通信端末100(移動通信端末100Aという)の制御部11は、上述したポーリングを行う。以降、移動通信端末100Aにおける各部を説明する際には、その末尾に「A」を付す。これは、ユーザ300Bの用いる移動通信端末(移動通信端末100Bという)及びユーザ300Cの用いる移動通信端末(移動通信端末100Cという)についても同様である。ここで記憶部12Aに記憶されている近距離無線アドレスデータ122Aは、図4のようなものであったとする。従って、制御部11Aは、ユーザB(図15中のユーザ300B)の所持する移動通信端末100B及びユーザC(図15中のユーザ300C)の所持する移動通信端末100Cに対して、近距離無線通信部16Aを用いてポーリングを行う。図15において破線で描かれた矢印は、その始点にいるユーザの所持する移動通信端末100の制御部11が、矢印の指し示す方向へ向かって近距離無線通信部16を用いて近距離無線通信を行ったことを表している。これらの矢印で表される近距離無線通信のうち、制御部11Aが行ったポーリングをP1,P2とする。ポーリングP1は、移動通信端末100Bに向けて行われたものであるが、ユーザ300Bが近距離無線通信範囲RCの範囲内にいないため、制御部11Bが、近距離無線通信部16Bを用いてポーリングP1を受信することはない。一方、ポーリングP2は、移動通信端末100Cに向けて行われたものであって、ユーザ300Cが近距離無線通信範囲RCの範囲内にいるため、制御部11Cは、近距離無線通信部16Cを用いてポーリングP2を受信する。制御部11Cは、近距離無線通信部16Cを用いて、ポーリングP2に対する応答Rを、移動通信端末100Aに向けて送信する。制御部11Aは、近距離無線通信部16Aを用いてポーリングP2に対する応答Rを受信すると、ペアリングを行い、移動通信端末100Aと移動通信端末100Cとの間の近距離無線通信による接続を確立させる。
【0043】
図14に戻る。ポーリングの結果、他のユーザの移動通信端末100から応答があり、当該他のユーザの移動通信端末100と自端末の移動通信端末100との間でペアリングが行われると(ステップS302;YES)、自端末である移動通信端末100の制御部11は、近距離無線通信部16を用いて他のユーザの移動通信端末100に対して接続通知を送信する(ステップS303)。ステップS303において、具体的には、自端末である移動通信端末100の制御部11は、ペアリングの相手である他のユーザの移動通信端末100に対して、近距離無線通信が接続されたこと、当該他のユーザの現在位置から目的地までの距離、及び目的地に到着しているユーザ名及び到着日時を接続通知として、近距離無線通信部16を用いて送信する。
【0044】
図16は、支援される側の移動通信端末100の表示部13に表示される接続通知の内容を表した図である。図に示すとおり、近距離無線通信が接続されたこと、支援される側の移動通信端末100の現在位置から目的地までの距離、及び目的地に到着しているユーザ名及び到着日時とが、表示部13に表示されている。現在位置から目的地までの距離は、近距離無線通信部16の通信可能最大距離である。ステップS302においてペアリングが行われるということは、自端末の移動通信端末100と、接続通知を受ける側の移動通信端末100とが、少なくともお互いに近距離無線が可能な距離に近づいていることを意味している。従って、制御部11は、近距離無線通信部16の通信可能最大距離(10m)を、支援される側の移動通信端末100の現在位置から目的地までの距離として接続通知に含めている。また、他者案内支援モードである移動通信端末100の制御部11は、自端末の記憶部12に記憶されている待ち合わせデータ123から到着済ユーザ及び到着日時を読み出し、これらを目的地に到着しているユーザ名及び到着日時として接続通知に含める。このような各種情報(特に近距離無線通信が接続されたこと及び支援される側の移動通信端末100の現在位置から目的地までの距離)を、支援を受ける側の移動通信端末100に提供することが、その移動通信端末100が行っている案内に対する支援になる。
【0045】
上記接続通知を受信した移動通信端末100の制御部11は、振動部を振動させる。この振動による報知により、接続通知を受信した移動通信端末100を所持するユーザは、自身が目的地まで近い位置にいるということを確認することができる。さらに、接続通知には、現在位置から目的地までの距離が含まれているため、接続通知を受信した移動通信端末100を所持するユーザは、自身がどの程度目的地に近い位置にいるかということを具体的に知ることができる。このように目的地までの距離を具体的に知ることができれば、ユーザはその距離の範囲内で、待ち合わせている他のユーザを探すから、目的地まで到達しやすくなる。特に、ユーザが初めて行く場所が目的地である場合に、このような目的地までの距離を知ることは、その目的地まで到達しやすくなるという効果を大いに期待できる。もちろん、地図上の案内でも目的地までの距離をおおよそ予測することはできるが、この場合、地図上での目的地までの距離を地図の縮尺などを考慮して現実の距離に置き換えるような計算が必要であるのに対して、本実施形態ではそのような計算は必要ないという利点がある。また、接続通知には、先に到着しているユーザのユーザ名及びその到着日時が含まれているため、これらを見たユーザは、誰がいつ目的地に到着しているかを確認することができ、例えば自身以外のユーザが相当に早く目的地に到着しているような場合には、自身もできるだけ急いで目的地に着くよう歩く速度を速めるといった対応をとることもできる。つまり、このような情報提供により、まだ目的地に到着していないユーザに目的地までの移動を急ぐように促すことができ、目的地に先に到着しているユーザにとっては待ち時間が短縮するという効果が期待できる。また逆に、自身以外に1人のユーザだけが目的地について間もないという状況であることを知った場合には、ゆっくりと目的地まで移動するなどの対応も採り得る。
【0046】
再び図14に戻る。ステップS303の次に、ユーザが操作部14を用いて他者案内支援モードの終了を指示すると(ステップS304;YES)、制御部11は処理を終了する。一方、ユーザによって他者案内支援モードの終了が指示されない間は(ステップS304;NO)、制御部11は処理をステップS301に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0047】
図17は、移動通信端末の機能的構成を表したブロック図である。制御部11は、自端末のユーザと目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する端末特定手段111として機能する。また、制御部11は、測位部17を用いて自端末のユーザが目的地に到着したか否かを判定する判定手段112として機能する。また、制御部11は、測位部17、電子コンパス18、ネットワーク通信部15、及び表示部13などを用いて、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを目的地まで案内する複数の案内手段113として機能する。このうち、制御部11が、ネットワーク通信部15を用いて取得する、目的地の位置を含む目的地周辺の地図データ、及び測位部17によって特定された現在位置に基づいて、表示部13に地図の画像を表示させることで実現する案内機能が、第1の案内手段113aに相当する。また、制御部11が、測位部17によって特定された現在位置と目的地との位置関係と、電子コンパス18による検出結果とに基づいて、表示部13に方位コンパスを模した画像を表示させることで実現する案内機能が、第2の案内手段113bに相当する。また、制御部11は、自端末のユーザが目的地に到着したと判定されるまでは、複数の案内手段113のうち、自端末のユーザを目的地まで案内する案内手段113を、自端末から目的地までの距離に応じて切り替える切替手段114として機能する。また制御部11は、自端末のユーザが目的地に到着したと判定された後に、近距離無線通信部16を用いて、端末特定手段によって特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う目的地までの案内を支援する支援手段115として機能する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、複数のユーザが待ち合わせる目的地まで各ユーザが到達しやすくなるような案内を行うことが可能となる。このとき、移動通信端末100は、目的地に到着しているユーザがいない場合は、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを目的地まで案内する複数の案内手段113を、自端末から目的地までの距離に応じて切り替えることにより、各々のユーザを目的地まで案内する。そして、自端末のユーザが他のユーザより先に目的地に到着した場合、移動通信端末100は、他のユーザが所持する端末に対して、目的地までの案内を支援する。このように、目的地に到着していないユーザは、自端末の案内手段113による案内に加えて、先に到着したユーザの移動通信端末100から目的地までの案内の支援を受けることで、より目的地まで到達しやすくなることが可能となる。
【0049】
<変形例>
以上の実施形態は次のように変形可能である。尚、以下の変形例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【0050】
<変形例1>
他者案内支援は、実施形態の内容に加えて以下のようにしてもよい。変形例1において、先に目的地に到着しているユーザの所持する移動通信端末100の制御部11は、当該ユーザが目的地までの所定の距離の移動に要した時間が、予め決められた閾値を超える場合、ネットワーク通信部15を用いて、他のユーザの移動通信端末100に対して、案内手段113を切り替えるタイミングを通常よりも早くするよう、つまり、目的地からより遠い地点にユーザが到達したときに案内手段113を切り替えるよう通知する。
【0051】
これは、以下のような理由による。例えば、目的地の近辺で発生している渋滞や人混みによって、先に目的地までに到着しているユーザの移動に時間がかかった場合、未到着のユーザが目的地の近辺まで辿り着いた際にもまだ渋滞や人混みが解消していないと、当該ユーザにとっては目的地を目視で確認しづらく、どちらの方向に進んでよいのか分かりづらい。ここで、このような渋滞や人混みといった混雑が生じていない平常時に移動に要する時間は、例えば、一般的には、徒歩で時速約4kmであるから、100mにつきおよそ90秒であると考えられる。従って、このような渋滞や人混みといった混雑が生じている状態とは、先に目的地までに到着したユーザの移動に要した時間が、例えば目的地までの最後の100mについて1分半を超える場合だと考えることができる。従って、先に目的地に到着したユーザが目的地に至るまでの移動の状況に基づいてこのような渋滞や混雑が生じていると考えられる場合、制御部11は、ネットワーク通信部15を用いて、未到着のユーザの移動通信端末100に対して、案内手段113を測位部17によるものから電子コンパス18によるものに切り替えるタイミングを、混雑が生じていない平常時より早いもの(例えば目的地まで30m)として通知する。このようにすれば、他者案内支援を受けた未到着のユーザは、周辺が混雑することで目的地が目視しづらい場合であっても、電子コンパス18による案内によって、進むべき方向を明確に知り、目的地に向かって迷わず移動することができる。
【0052】
変形例1において、案内手段113の切り替えタイミングとして、実施形態における2種類のタイミングに加えて、3つ目のタイミングがある。この3つ目のタイミングは、制御部11が、先に目的地に到着した他のユーザの移動通信端末100から、ネットワーク通信部15を用いて、案内手段113を切り替えるべき距離を示した通知を受けた後において、自端末の現在位置と目的地との距離が、その通知で受けた距離より短くなったタイミングである。
【0053】
次に、図18A、図18B及び図19を参照して、変形例1に係る案内モード及び他者案内支援モードにおける、それぞれの処理の流れを説明する。なお、図18A、図18Bにおいて図9と同一の符号を付した処理は、図9と同一であるため詳細な説明を省略する。また、図19において図14と同一の符号を付した処理は、図14と同一であるため詳細な説明を省略する。図18A及び図18Bは、変形例1に係る案内モードにおける処理の流れを表すフロー図である。図18AにおいてステップS202の次に、制御部11は、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、所定の距離より短いか否かを判定する(ステップS202a)。この所定の距離は、上述した、目的地までの所定の距離の移動に要した時間を算出する際に用いられるものであって、ユーザが操作部14を用いて任意に設定可能(例えば100m)である。この所定の距離は、第2の閾値として記憶部12に記憶されている。制御部11は、移動通信端末10と目的地との距離が、第2の閾値より短い場合(ステップS202a;YES)、計時手段により計時を開始すると(ステップS202b)、処理をステップS202cへ進める。上述したように、目的地までの所定の距離の移動に要した時間が長いほど、目的地周辺が混雑している可能性が高い。従って、目的地までの所定の距離の移動に要した時間は、当該移動通信端末100を所持するユーザが目的地まで移動したときの状況である移動状況を表しているといえる。つまり、制御部11は、判定手段により自端末のユーザが目的地に到着したと判定されるまでの自端末の移動状況を特定する状況特定手段として機能する。一方、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、所定の距離より長い場合(ステップS202a;NO)、制御部11は、処理をステップS202cへ進める。
【0054】
次に、ネットワーク通信部15を用いて、他のユーザの移動通信端末100から、案内手段113を切り替えるべき距離を示した通知を受けると(ステップS202c;YES)、制御部11は、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、通知で受けた距離(例えば30m)より短いか否かを判定する(ステップS202d)。一方、制御部11は、上記通知を受けていない場合(ステップS202c;NO)、処理をステップS203へ進める。ステップS202dにおける判定において、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、通知で受けた距離より短い場合(ステップS202d;YES)、制御部11は、処理をステップS206へ進め、案内手段113をGPSによるものから電子コンパス18を用いたものに切り替える。一方、上記判定において、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、通知で受けた距離より長い場合(ステップS202d;NO)、制御部11は、処理をステップS203へ進める。つまり、制御部11は、ステップS203の処理を行う場合、すなわち、他の移動通信端末100から目的地案内の支援を受けない場合、自端末の移動通信端末100の現在位置と目的地との距離が、予め決められた距離である第1の閾値より短くなると、案内手段113を切り替える。以降、制御部11は、フローに沿って処理を行い、図18Bにおいて、移動通信端末100が目的地に到達したと判定した場合(ステップS208;YES)、計時した時間をRAMに記憶させるとともに、計時を終了させる(ステップS208a)。以降、制御部11は、フローに沿って処理を行う。
【0055】
図19は、変形例1に係る他者案内支援モードにおける処理の流れを表すフロー図である。次に制御部11は、ステップS208aでRAMに記憶された、所定の距離を移動するのに要した時間が、第3の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS301a)。この第3の閾値は、上記所定の距離を平常時(ここでは時速4kmでの徒歩移動)に移動した場合に要する時間(例えば90秒)であって、記憶部12に予め記憶されている。所定の距離を移動するのに要した時間が、第3の閾値を超えていない場合(ステップS301a;NO)、制御部11は、案内手段113を切り替えるべき距離として、通常の距離(ここでは10m)を特定する(ステップS301b)。一方、所定の距離を移動するのに要した時間が、第3の閾値を超えている場合(ステップS301a;YES)、制御部11は、案内手段113を切り替えるべき距離として、通常の場合(つまり上記時間が第3の閾値以下である場合)より長い距離(例えば30m)を特定する(ステップS301c)。このような通常より長い距離は、記憶部12に記憶されており、ユーザが操作部14を用いて任意に設定可能である。ステップS301bあるいはステップS301cの次に、制御部11は、特定した案内手段113を切り替えるべき距離を、ネットワーク通信部15を用いて、未到着のユーザの移動通信端末100に対して通知する(ステップS301d)。この通知により、支援手段として機能する制御部11は、状況特定手段が特定した距離を他の移動通信端末100に指示する。この通知が、変形例2における他者案内支援となる。このとき通知の対象となるユーザは、メールアドレスデータ121に含まれるメールアドレスのうち、待ち合わせ対象フラグが「1」となっているユーザであって、待ち合わせデータ123において到着済みユーザに含まれていないユーザである。以降、制御部11は、図19のフローに沿って処理を行う。なお、ステップS301eにおける通知を受けた側の移動通信端末100は、図18AのステップS202cの判定においてYESとなる。このように、支援手段として機能する制御部11は、状況特定手段によって特定された自端末の移動状況(ここでは所定の距離の移動に要した時間)に応じた内容の支援を行う。
【0056】
このように、変形例1によれば、未到着のユーザの移動通信端末100においては、例えば目的地の近辺で混雑が生じているような場合には、混雑が生じていない場合よりも早い時点で、案内手段113が電子コンパス18を用いたものに切り替えられる。これにより、未到着のユーザは、目的地の近辺で混雑が生じていても、表示部13に表示されるコンパスの画像が指し示す方向に従って、目的地まで迷うことなく移動することが可能となる。
【0057】
<変形例2>
移動通信端末100が行う他者案内支援には、以下のようなものが含まれていてもよい。先に目的地に到着したユーザが通った或る移動経路において、例えば工事などの通行を阻害する事象が発生していたために、通常より移動に時間を要する場合などがある。このような場合には、当該移動経路とは異なる移動経路で目的地へ向かった方がよい旨が、未到着のユーザに知らされたほうが、ユーザにとって利便性が高い。そこで、自端末が或る移動経路を通って目的地に至るまでの所定の距離の移動に要した時間が予め決められた閾値を超える場合には、移動通信端末100が、当該移動経路を使わない旨の情報を生成して他の移動通信端末100に送信するようにしてもよい。
【0058】
変形例2に係る案内モード及び他者案内支援モードにおける、それぞれの処理の流れは、図18A,図18B及び図19と一部が異なるのみであるため、異なる点について説明を行う。案内モードにおいて、制御部11は、移動通信端末10の現在位置と目的地との距離が、所定の距離より短い場合(ステップS202a;YES)、計時を開始すると(ステップS202b)、測位部17が取得する移動通信端末100の現在位置の遷移をRAMに記憶させる処理を開始し、処理をステップS202cへ進める。この、RAMに記憶される現在位置の遷移が、自端末の移動通信端末100が通った移動経路となる。また、制御部11は、移動通信端末100が目的地に到達したと判定した場合(ステップS208;YES)、計時機能が計時した時間をRAMに記憶させて計時を終了させると(ステップS208a)、移動通信端末100の現在位置の遷移をRAMに記憶させる処理を停止する。
【0059】
また、他者案内支援モードにおいて、所定の距離を移動するのに要した時間が、第2の閾値を超えている場合(ステップS301b;YES)、制御部11は、案内手段113を切り替えるべき距離として、通常より長い距離を特定すると(ステップS301d)、RAMに記憶された自端末の通った移動経路を示す情報と、その移動経路を除外する旨とを、ネットワーク通信部15を用いて、未到着のユーザの移動通信端末100に対して通知する。この通知は、他の移動通信端末100が目的地までの移動経路を決定するための情報となる。
【0060】
図20は、GPSによる目的地案内における、或る移動経路が除外されたときの表示部13の表示内容を表した図である。図に示すように、表示部13には、目的地400と、ユーザの現在位置500と、地図の画像とが表示される。破線で示される矢印は、除外された移動経路を表している。実線で示される矢印は、除外された移動経路の代わりに、当該移動通信端末100に対して提示された移動経路である。上記の通知を受けた移動通信端末100の制御部11は、この除外された移動経路を示す情報をRAMに記憶させ、地図の画像上において、この移動経路を、破線で示す矢印として表示部13に表示させる。そして制御部11は、目的地までの複数の経路群から上記除外された移動経路を除き、残る移動経路から最も移動距離が短い経路を、自端末のユーザが目的地に至るまでの移動経路として決定し、この移動経路を、実線で示す矢印として表示部13に表示させる。図に示されるように、実線で示される移動経路は、破線で示される移動経路とは異なるものとなっている。
【0061】
このように、支援手段115として機能する制御部11は、自端末が目的地までの移動に要した時間及び目的地までの移動経路に基づいて、他の移動通信端末100が目的地までの移動経路を決定するための情報(ここでは特定の移動経路の除外)を生成して、生成した情報を当該他の移動通信端末100に送信する。
【0062】
このように、変形例2によれば、先に目的地に到着したユーザの通った移動経路が時間を要するものであった場合に、未到着のユーザに対して当該移動経路を除外する旨の通知がなされる。これにより、移動通信端末100において、自端末のユーザを目的地まで案内している案内手段113は、他の移動通信端末100から送信されてくる情報に基づいて、自端末のユーザが目的地に至るまでの移動経路を決定し、その移動経路を案内する。この結果、未到着のユーザは、時間を要する移動経路を避けて目的地に移動することになるので、目的地までの移動において、無用に時間を要しない。
【0063】
<変形例3>
目的地案内のための設定を行う際に待ち合わせ相手を選択する方法は、ユーザが、操作部14を用いて、表示部13に表示される設定画面におけるリストボックス或いはチェックボックスから選択するほか、次のようなものとしてもよい。変形例3において、記憶部12には、知人や友人の名前と電話番号、メールアドレス等が対応づけられた電話帳が記憶されている。そして、目的地案内のための設定を行うときに表示部13に表示される設定画面には、この電話帳を参照するボタンが表示される。ユーザが、操作部14を用いて当該ボタンを押下すると、電話帳の内容を表す画像が表示部13に表示される。そしてユーザが、この電話帳の内容を表す画像から、特定のユーザを選択すると、制御部11は、選択されたユーザを待ち合わせ相手として設定するとともに、メールアドレスデータ121を参照し、当該ユーザのメールアドレスに対して自端末の近距離無線アドレスを送付する。このようにしても実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0064】
<変形例4>
例えば、目的地に先に到着したユーザが、目的地周辺が混雑していたため、当初設定した目的地から離れた場所に移動して他のユーザを待つ場合などがある。この場合、何も連絡がないと、未到着のユーザは、当初設定した目的地へ向かって移動することとなり、目的地まで到着しても、お互いを探す必要が生じてしまう。このように、先に目的地に到着したユーザが、当初設定した目的地とは離れた場所で待つ場合、電話やメール等で未到着のユーザに対して、その離れた場所を連絡することも可能であるが、待ち合わせ相手が複数の場合などにはこの連絡が煩わしいことがある。そこで、このような場合に、先に到着したユーザの移動通信端末100の制御部11が、目的地から予め決められた距離以上離れた場合、待ち合わせ場所を移動した旨の情報を生成し、未到着のユーザの移動通信端末100に対して当該情報を通知するようにしてもよい。これも他者案内支援になる。
【0065】
変形例4に係る案内モード及び他者案内支援モードにおける、それぞれの処理の流れは、図18A,図18B及び図19と一部が異なるのみであるため、異なる点について説明を行う。まず、他者案内支援モードにおいて、先に目的地に到着したユーザの所持する移動通信端末100の制御部11は、図19のステップS301eとステップS301の間において、予め決められた周期で、自端末が目的地から予め決められた距離以上離れているかどうかを判定する。この予め決められた距離は、記憶部12に記憶され、操作部14を用いてユーザにより変更可能である。また、ここで予め決められた周期とは、例えば1秒である。上記判定において、目的地の位置と現在位置との距離が、予め決められた距離以上である場合、制御部11は、現在位置を目的地として設定し、ネットワーク通信部15を用いて、新たに設定した目的地(すなわち現在位置)の位置情報を、未到着のユーザの移動通信端末100に対して送信する。一方、未到着のユーザの所持する案内モードの移動通信端末100の制御部11は、図18AのステップS202の前に、目的地が変更された旨の通知を受けているか否かを判定する。判定の結果、上記通知を受けている場合、制御部11は、通知に含まれる位置情報に基づいて自端末における目的地の設定を更新する。また、図18BのステップS207の前においても、制御部11は、目的地が変更された旨の通知を受けているか否かの判定と、判定の結果に基づく目的地の設定の更新を行う。
【0066】
このようにすれば、先に到着したユーザが、目的地周辺が混雑していたため、当初設定した目的地から離れた場所に移動して他のユーザを待つ場合において、移動後の位置を新たな目的地として未到着のユーザに知らせることで、待ち合わせが円滑に行われることが可能となる。また、このときユーザは、自ら操作部14を用いて操作を行う必要がないため、煩わしさを感じることもない。
【0067】
<変形例5>
また、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを目的地まで案内する複数の案内手段113は、ネットワークNWに接続された図示せぬサーバ装置と協働することのその機能を果たしてもよい。例えば、このGPSによる測位機能を備えた複数のサーバ装置がネットワークNWに接続されている場合、移動通信端末100の備える測位部17の特定した現在位置に基づいて、これら複数のサーバ装置が協働して測位を行うことで、測位部17が単体で測位を行った場合よりも精密な現在位置を特定し、特定結果を移動通信端末100に送信する。制御部11は、受信した現在位置と地図データとに基づいて、地図の画像を表示部13に表示させる。このようにすれば、表示部13に表示される現在位置がより精度の高いものとなるため、ユーザは、目的地に対して自身のいる位置をより正確に確認することができる。
【0068】
<変形例6>
本発明は、移動通信端末100を用いた通信システム以外にも、移動通信端末100を用いた案内方法、及びコンピュータに案内機能を実現させるためのプログラムとしても把握される。かかるプログラムは、これを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等を介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用させるなどの形態でも提供されたりする。
【符号の説明】
【0069】
11…制御部、12…記憶部、121…メールアドレスデータ、122…近距離無線アドレスデータ、123…待ち合わせデータ、13…表示部、14…操作部、15…ネットワーク通信部、16…近距離無線通信部、17…測位部、18…電子コンパス、19…バス、100…移動通信端末、200…地図サーバ装置、300…ユーザ、400…目的地、500…現在位置、P1,P2…ポーリング、R…応答、RC…近距離無線通信範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末を備えた通信システムであって、
各々の前記無線端末が、
自端末のユーザと目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する端末特定手段と、
自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを前記目的地まで案内する複数の案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替える切替手段と、
前記判定手段により自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する支援手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
各々の前記無線端末が、
前記判定手段により自端末のユーザが目的地に到着したと判定されるまでの自端末の移動状況を特定する状況特定手段を備え、
各々の無線端末の前記支援手段は、前記状況特定手段によって特定された自端末の移動状況に応じた内容の支援を行う
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
各々の前記無線端末の前記状況特定手段は、自端末が前記目的地までの移動に要した時間に基づいて、前記他の無線端末が有する前記案内手段を切り替える距離を特定し、
各々の前記無線端末の前記支援手段は、前記状況特定手段が特定した距離を前記他の無線端末に指示し、
各々の前記無線端末の前記切替手段は、
前記端末特定手段によって特定された他の無線端末からの支援を受けない場合は、自端末から前記目的地までの距離が予め決められた距離になると前記案内手段を切り替え、
前記端末特定手段によって特定された他の無線端末からの支援を受ける場合は、自端末から前記目的地までの距離が、当該他の無線端末の前記支援手段から指示された距離になると前記案内手段を切り替える
ことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
各々の前記無線端末の前記状況特定手段は、自端末が前記目的地に至るまでの一定距離の移動に要した時間が閾値を超えると、前記他の無線端末が有する前記案内手段を切り替える前記距離として、当該時間が当該閾値以下である場合と比べて長い距離を特定する
ことを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
各々の前記無線端末の前記支援手段は、自端末が前記目的地までの移動に要した時間及び前記目的地までの移動経路に基づいて、前記他の無線端末が前記目的地までの移動経路を決定するための情報を生成して、生成した情報を当該他の無線端末に送信し、
各々の前記無線端末において、自端末のユーザを前記目的地まで案内している前記案内手段は、前記他の無線端末から送信されてくる情報に基づいて、自端末のユーザが前記目的地に至るまでの移動経路を決定し、当該経路を案内する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
各々の前記無線端末の前記支援手段は、自端末が或る移動経路を通って目的地に至るまでの一定距離の移動に要した時間が閾値を超えると、当該移動経路を使わない旨の情報を生成して前記他の無線端末に送信する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
複数の無線端末を備えた通信システムにおいて当該無線端末の各々が行う目的地までの案内方法であって、
自端末のユーザと前記目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する第1ステップと、
自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する第2ステップと、
自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で自端末のユーザを前記目的地まで案内する複数の案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替えながら、自端末のユーザを前記目的地まで案内する第3ステップと、
自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記第1ステップにおいて特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する第4ステップと
を備えることを特徴とする案内方法。
【請求項8】
コンピュータを、
自端末のユーザと目的地において待ち合わせを行う他のユーザによって所持される他の無線端末を特定する端末特定手段と、
自端末のユーザが前記目的地に到着したか否かを判定する判定手段と、
自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定されるまでは、それぞれ異なる方法で前記目的地までの案内を行う複数の案内手段のうち、自端末のユーザを前記目的地まで案内する案内手段を、自端末から前記目的地までの距離に応じて切り替える切替手段と、
自端末のユーザが前記目的地に到着したと判定された後に、前記端末特定手段によって特定された他の無線端末が当該他の無線端末のユーザに対して行う前記目的地までの案内を支援する支援手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−211880(P2012−211880A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78721(P2011−78721)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】