説明

通信システム、送信装置、受信装置、通信方法、及びプログラム

【課題】遅延の増大を防止し、SDHフレームの正常性を判定すること
【解決手段】BIP−4演算部103は、SDHフレームの各行のBIP−4演算値を算出し、算出結果をPOH挿入部102に送信する。POH挿入部102は、POH領域の不使用バイトの領域を空き領域として扱い、POHバイト及びBIP−4演算結果をPOH領域上に再配置する。BIP−4演算部212は、受信したSDHフレームの各行に対してBIP−4演算値を算出し、当該算出値と、送信装置が当該行について算出したBIP−4演算値と、を比較することによりエラーを検出する。POHモニタ部214は、再配置にされているPOHバイトを抽出してPOH復元部215に供給する。POH復元部215は、抽出したPOHバイトを用いて、POH挿入部102が再配置する前のPOH領域の状態に復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システム、送信装置、受信装置、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SDH(Synchronous Digital Hierarchy)網を用いた通信システムにおいて、故障が生じた際に無瞬断にて通信経路を切り替えられる技術が現在提案されている。当該システムの一般的な構成及び動作を図11を参照して以下に説明する。
【0003】
図11は、故障時無瞬断切替機能を有するSDH通信システムの構成を示すブロック図である。当該システムは、SDH伝送装置400と、SDH伝送装置500と、を有する構成である。なお、以下の説明では、SDH伝送装置400は送信側の装置とし、SDH伝送装置500は受信側の装置とするが、送受信機能を有する装置として構成することも勿論可能である。
【0004】
SDH伝送装置400は、マルチフレーム生成部401と、POH(Path OverHead)挿入部402と、を備える。SDH伝送装置500は、位相差吸収メモリ511と、BIP−8演算部512と、フレーム調整メモリ513と、位相差吸収メモリ521と、BIP−8演算部522と、フレーム調整メモリ523と、位相差吸収制御部530と、切替制御部531と、を備える。
【0005】
SDH伝送装置400と、SDH伝送装置500と、の間には、ルートA及びルートBという2つの光ファイバ等から構成される伝送路がある。ルートA及びルートBに同一のデータが伝送されることにより、当該システムでは冗長構成を実現している。
【0006】
マルチフレーム生成部401は、64フレームを1サイクルとする64マルチフレームの生成を行う。この64マルチフレームは、ルートAとルートBの位相差を計測するために使用される。POH挿入部402は、フレームのPOHを設定し、設定後のデータをルートA及びルートBを介して伝送する。POHは、データ伝送品質の監視などを行うために利用される領域である。
【0007】
位相差吸収メモリ511は、位相差吸収制御部530の制御指示に応じて、ルートAから入力されたフレームの伝送を遅延させる。同様に、位相差吸収メモリ521は、位相差吸収制御部530の制御指示に応じて、ルートBから入力されたフレームの伝送を遅延させる。
【0008】
位相差吸収制御部530は、ルートAとルートBの距離差によって発生するデータ受信の時間差を、メモリ(位相差吸収メモリ511、521)を使って遅延させる。これにより、位相差吸収制御部530は、位相差吸収メモリ511、521から同一データが同一タイミングで出力されるように制御する。
【0009】
BIP(Bit Interleaved Parity)−8演算部512は、ルートAから伝送されたデータの1フレームを対象としてBIP−8演算を実行する。BIP−8演算部512は、算出対象のフレームの次のフレームのPOHのB3ビットを取り出し、取り出した値と算出したBIP−8演算値を比較する。BIP−8演算部512は、この比較によりデータ伝送時に生じたエラーを検出する。BIP−8演算部512は、エラー検出結果を切替制御部531に送信する。
【0010】
フレーム調整メモリ513は、BIP−8の演算結果の算出が終了するのを待つために、送信データを1フレーム(9行分)と1行分(B3ビットを含む行)だけ遅延させる。
【0011】
BIP−8演算部522は、ルートBから伝送されたデータの1フレームを対象としてBIP−8演算を実行する。BIP−8演算部522は、算出対象のフレームの次のフレームのPOHのB3ビットを取り出し、取り出した値と算出したBIP−8演算値を比較する。B3ビットには、送信側の装置にて算出されたBIP−8演算結果が挿入されている。BIP−8演算部522は、この比較によりデータ伝送時に生じたエラーを検出する。BIP−8演算部522は、エラー検出結果を切替制御部531に送信する。
【0012】
フレーム調整メモリ523は、BIP−8の演算結果の算出が終了するのを待つために、送信データを1フレーム(9行分)と1行分(B3ビットを含む行)だけ遅延させる。
【0013】
切替制御部531は、BIP−8演算部512及びBIP−8演算部522のエラー検出結果に応じてエラーが発生していないルートから伝送されたフレームを選択して任意の処理部等に出力する。
【0014】
特許文献1には、SDHに適合した通信システムにおいて、フレームの各行のセクションオーバーヘッド(SOH)部分に、フレーム各行のエラー検出結果を挿入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平7−250049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図11に示す通信システムでは、前述のようにB3バイトの値と、BIP−8の演算結果と、を比較することによりフレームの正常性を判定している。この正常性判定では、上述したようにフレーム調整メモリ513、523において1フレーム強の遅延を与える必要がある。すなわち、正常性のチェックに要する時間が増大してしまうという問題がある。
【0017】
また、特許文献1のようにセクションオーバーヘッド部分にチェックビットを配置した場合、送信装置と受信装置との間に中継装置がある場合に、中継装置がセクションを終端するために、データを透過的に転送できない。
【0018】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、遅延の増大を防止し、SDHフレームの正常性を判定することができる通信システム、送信装置、受信装置、通信方法、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる通信システムの一態様は、
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムであって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備え、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備えるものである。
【0020】
本発明にかかる送信装置の一態様は、
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置であって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備える、ものである。
【0021】
本発明にかかる通信方法の一態様は、
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出し、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトし、
抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を再配置する前の状態に復元する、ものである。
【0022】
本発明にかかるプログラムの一態様は、
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置する、ものである。
【0023】
本発明にかかる受信装置の一態様は、
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームの加工処理を実行する送信装置から加工済みの前記SDHフレームを受信する受信装置であって、
前記送信装置は、前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置することにより前記加工処理を実行し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、遅延の増大を防止し、SDHフレームの正常性を判定することができる通信システム、送信装置、受信装置、通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態1にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なSDH処理装置におけるPOHバイトの種類と用途を記載した図である。
【図3】一般的なSDHフレームを示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるSDH伝送装置100が送信するSDHフレームのPOH構成を示す図である。
【図5】実施の形態1にかかるBIP−4演算部103及びPOH挿入部102の動作をSDHフレーム上に示した概念図である。
【図6】実施の形態1にかかるPOH挿入部102によるPOHバイトの加工処理を示す概念図である。
【図7】実施の形態1にかかるSDH伝送装置200におけるエラー発生の検出と、切替制御の様子を示すタイミングチャートである。
【図8】実施の形態1にかかるSDH伝送装置200におけるPOHバイトの復元処理の様子を示すタイミングチャートである。
【図9】実施の形態1にかかるSDH伝送装置100または200を実現するためのコンピュータシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図10】実施の形態1にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図11】一般的なSDH通信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。当該システムは、SDH伝送装置100と、SDH伝送装置200と、を有する構成である。なお、以下の説明では、SDH伝送装置100は送信側の装置とし、SDH伝送装置200は受信側の装置とするが、送受信機能を有する装置として構成することも勿論可能である。
【0027】
SDH伝送装置100は、マルチフレーム生成部101と、POH挿入部102と、BIP−4演算部103と、スルーOH処理部104と、を備える。SDH伝送装置200は、位相差吸収メモリ211と、BIP−4演算部212と、ロウ調整メモリ213と、POHモニタ部214と、POH復元部215と、位相差吸収メモリ221と、BIP−4演算部222と、ロウ調整メモリ223と、POHモニタ部224と、POH復元部225と、位相差吸収制御部230と、切替制御部231と、を備える。
【0028】
マルチフレーム生成部101は、64フレームを1サイクルとする64マルチフレームを生成する。この64マルチフレームは、ルートAとルートBの位相差を計測するために使用される。通常、SDHの1フレームは、125μsであり、ファイバ内の光の伝搬を5ns/mとすると、1フレーム間の時間差は25kmの距離差と換算される。マルチフレーム生成部101は、POH(パスオーバーヘッド)のJ1バイトではない位置に64マルチフレーム構成を設定する(詳細は、図4を参照して後述する。)。
【0029】
BIP−4演算部102は、SDHのフレームに含まれる1行分を対象にBIP−4演算を行う。当該システムでは、伝送路の正常性を判定し、エラーが生じた場合には正常なパスへの切替を実施するため、常に伝送路のエラーを監視する必要がある。これを実現するため、BIP−4演算部102は、1行毎にBIP−4演算を実行する。BIP−4演算部102は、BIP−4の演算結果をPOH挿入部103に送信する。
【0030】
POH挿入部103は、SDHフレームのPOHの領域に対し、後述する図4、図6の構成に従いバイト列を設定する。詳細は、図4〜6を参照して後述する。
【0031】
スルーOH処理部104は、透過する必要がある(リアルタイム性を要する)POHバイトを抽出して、抽出したPOHバイトをPOH挿入部103に通知する。
【0032】
図2は、一般的なSDH処理装置におけるPOHバイトの種類と用途を記載した図である。1行目から順に、J1バイト、B3バイト、C2バイト、G1バイト、F2バイト、H4バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイトが格納される。J1バイト、B3バイト、G1バイト、及びH4バイトは、リアルタイム性を要する(抽出元のフレームと同期する必要がある)バイトである。これらのバイトは、当該フレームに必ず挿入されて送信される必要がある。
【0033】
なお、図3は、一般的なSDHフレームを示す図である。図示するように、フレームは、SOH(セクションオーバーヘッド)とペイロードから構成され、ペイロード内にPOHが存在する。
【0034】
続いて、図4に本実施の形態にかかるPOHの構成を示す。POH挿入部103は、図4に示すフォーマットのデータを作成する。各行のPOHの前半(1〜4ビット)には、通常のPOHバイトに挿入するバイトが半分に分割されて挿入される。各行のPOHの後半(5〜8ビット)には、直前行のBIP―4演算結果が挿入される。BIP−4演算結果は、後述のBIP−4演算部212または222によって算出される。
【0035】
J1バイト、B3バイト、G1バイト、及びH4バイトは、前述のようにリアルタイム性を要するため、同一フレーム内のPOHにおいて、2行にまたいで情報が挿入される。例えば、J1バイトは、1行目と9行目に分割されて挿入される。C2バイトは、リアルタイム性を要しない。そのため、C2バイトの1〜4ビットを8行目の前半に挿入し、5〜8ビットを後続するフレームのPOHの8行目の前半に挿入する。これにより、2フレームのPOHバイトからC2バイトを復元する。F2バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイトは本実施の形態にかかるSDH伝送装置が不使用と想定しているため、転送は行われない。
【0036】
再度、図1の説明を行う。POH挿入部102は、図4に示すフォーマットのデータを位相差吸収メモリ211、位相差吸収メモリ221、及び位相差吸収制御部230に供給する。
【0037】
位相差吸収制御部230は、図4に示すフォーマットからJ1バイトを復元し、64マルチフレーム設定を抽出する。そして、位相差吸収制御部230は、ルートAとルートBの距離差によって発生するデータ受信の時間差を、この64マルチフレームを用いて位相差として計測する。位相差吸収制御部230は、この位相差の値を用い、ルートAとルートBのうち、どちらがフレームを速く伝送したかを判断する。位相差吸収制御部230は、早く到着したルートにかかる位相差吸収メモリに対して時間差分だけフレームの伝送を遅らせるように制御する。当該制御は、位相差吸収メモリの書き込みアドレス、読み出しアドレスを制御することにより行う。
【0038】
位相差吸収メモリ211は、位相差吸収制御部230の制御指示に応じて、ルートAから入力されたフレームの伝送の遅延を設定する。同様に、位相差吸収メモリ221は、位相差吸収制御部230の制御指示に応じて、ルートBから入力されたフレームの伝送の遅延を設定する。
【0039】
なお、位相差吸収メモリ211、221、及び位相差吸収制御部230の構成及び動作は、一般的なSDH無瞬断伝送システムにおいて既知のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
BIP−4演算部212は、ルートAから伝送されたフレームの1行分を対象にBIP−4演算を実行する。BIP−4演算部212は、演算結果と、次の行のPOHバイトの後半に位置するBIP−4演算結果(4ビット)と、を比較する。BIP−4演算部212は、この比較により当該行のエラーの有無を検出する。BIP−4演算部212は、エラーの検出結果を切替制御部231に送信する。
【0041】
POHモニタ部214は、伝送されたフレームの各行のPOHの前半部分(4ビット)から、POHバイトの分割データの抽出を行い、抽出した分割データを合成してPOH復元部215に送信する。
【0042】
ロウ調整メモリ213は、ルートAから伝送されたフレームを、フレームに含まれる1行分に対応する時間だけ遅延させる。これは、BIP−4演算部103が各行のBIP−4演算結果を演算対象行の次の行に挿入しているため、その演算結果を取得するために遅延させる必要があるためである。
【0043】
POH復元部215は、POHモニタ部214にて合成したデータを基に、POH挿入部102がフレームを加工する前(図4のフォーマットに変更する前)のフレームに復元する処理を行う。詳細には、POH復元部215は、POHモニタ部214が合成したデータを(POHバイト(1バイト))、元の位置に戻す。ここで、ロウ調整メモリ214は、前述のようにデータ出力を1行分だけ遅延させる。そのため、POH復元部215は、復元したPOHバイトを適切なフレームのデータ行に挿入することができる。
【0044】
なお、POH復元部215は、64マルチフレーム挿入処理を行ったJ1バイト、及び未使用バイト(F2バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイト)には、全ビットに対して'0'を挿入する。B3バイトは、演算対象の範囲内のデータを入れ替えた場合(すなわち、POHバイトの加工処理を行った場合)に、演算結果が一致しなくなってしまう。そのため、POH復元部は、演算対象の範囲内のデータ入れ替えの位置差分を計算し、当該計算結果をPOH復元部215に入力時のB3の値に加算して、加算値をB3の値とする。
【0045】
なお、ルートBを構成する各処理部は、ルートA側の構成と同一の構成を有すればよい。詳細には、位相差吸収メモリ221は、位相差吸収メモリ211に対応する。BIP−4演算部222は、BIP−4演算部212に対応する。ロウ調整メモリ223は、ロウ調整メモリ213に対応する。POHモニタ部224は、POHモニタ部214に対応する。POH復元部225は、POH復元部2125に対応する。
【0046】
切替制御部231は、BIP−4演算部212及びBIP−4演算部222のエラー検出結果に応じてエラーが発生していないルートから伝送されたフレームを選択して任意の処理部等に出力する。
【0047】
次に、図5〜図8を参照して、本実施の形態にかかる通信システムの動作を更に説明する。図5は、BIP−4演算部103及びPOH挿入部102の動作をSDHフレーム上に示した概念図である。本図では、BIP−4演算部103が1行毎にBIP−4演算処理の演算結果を算出し、POH挿入部102が算出された演算結果を次行のPOHバイトの後半位置に挿入していることを示している。
【0048】
図6は、POH挿入部102によるPOHバイトの加工処理を示す概念図である。POH挿入部102は、リアルタイム性を要するB3バイト、G1バイト、H4バイトを4ビットずつに分割し、分割した後半4ビットを次行のPOHバイトの前半位置に挿入している。詳細には、POH挿入部102は、B3バイトの前半4ビットを2行目のPOHバイトの前半に挿入し、後半4ビットを3行目のPOHバイトの前半に挿入する。POH挿入部102は、G1バイトの前半4ビットを4行目のPOHバイトの前半に挿入し、後半4ビットを5行目のPOHバイトの前半に挿入する。POH挿入部102は、H4バイトの前半4ビットを6行目のPOHバイトの前半に挿入し、後半4ビットを7行目のPOHバイトの前半に挿入する。
【0049】
図7は、本実施の形態にかかる通信システム、特に受信側のSDH伝送装置200におけるエラー発生の検出と、切替制御の様子を示すタイミングチャートである。予め、送信側のSDH伝送装置100内のSOH挿入部102は、図4に示すフレームを作成して送信しているものとする。
【0050】
BIP−4演算部212は、フレームの2行目から算出したBIP−4演算結果と、3行目のPOHバイトの後半4ビットに挿入された演算結果と、を比較してエラーが生じているか否かを判定する。ここでは、エラーが発生しているため、BIP−4演算部212は、切替制御部231に対してエラーが生じたことを通知する。ロウ調整メモリ213は、1行分の遅延を与える。
【0051】
BIP−4演算部222は、フレームの2行目から算出したBIP−4演算結果と、3行目のPOHバイトの後半4ビットに挿入された演算結果と、を比較してエラーが生じているか否かを判定する。ここでは、エラーが発生していないため、BIP−4演算部222は、切替制御部231に対してエラーが生じていないことを通知する。ロウ調整メモリ223は、1行分の遅延を与える。
【0052】
切替制御部231は、ルートAにかかるエラー通知に応じて、ルートBから供給されたフレームを出力するように経路切替を行う。
【0053】
続いて、図8を参照して、SDH伝送装置200におけるPOHバイト(本図の例ではB3バイト)の復元処理について説明する。図8は、SDH伝送装置200におけるPOHバイトの復元処理の様子を示すタイミングチャートである。
【0054】
POHモニタ部214は、ルートAから伝送されたフレームの2行目のPOHの前半部分から、POHバイトの分割データの抽出を行う。同様に、POHモニタ部214は3行目のPOHの前半部分から、POHバイトの分割データの抽出を行う。POHモニタ部214は、分割データを送信順に応じて合成することによりB3バイトを復元する。POHモニタ部214は、復元したB3バイトをPOH復元部215に送信する。
【0055】
POH復元部215は、復元されたB3バイトをPOHバイトとして挿入することにより、POH挿入部102が加工する前のフレームの状態を復元する。
【0056】
続いて、本実施の形態にかかる通信システムの効果について説明する。上述したように、POH挿入部103が不使用とするPOHバイトが挿入されていた領域を空き領域として、図4に示すようにPOHバイトを再配置している。ここで、上述したように、POH挿入部103は、各行のBIP−4演算の結果を次行のPOH領域の後半4ビットの位置に挿入している。このため、受信側のSDH伝送装置200では、1行分の遅延を与えるのみで、各行のエラー検出を実行することができる。すなわち、図11に示す構成に比べて、本実施の形態にかかる通信システムは、遅延の少ないエラーチェック機構を実現することができる。
【0057】
さらに、上述したように、エラー検出処理は、1行毎に実行される。一方、図11に示す構成では1フレーム(9行)毎のエラー検出処理を行っている。そのため、本実施の形態にかかる通信システムは、エラー検出の対象が狭いために、エラーがどの箇所で生じているかを詳細に把握することができる。すなわち、本実施の形態にかかる通信システムは、高精度のエラー検出を実現することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0059】
SDH伝送装置100の各処理部(マルチフレーム生成部101、POH挿入部102、BIP−4演算部103、スルーOH処理部104)、及びSDH伝送装置200の各処理部(BIP−4演算部212、BIP−4演算部222、POHモニタ部214、POHモニタ部224、POH復元部215、POH復元部225)における処理は、任意のコンピュータ内で動作するプログラムとして実現することが可能である。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0060】
図9は、SDH伝送装置100またはSDH伝送装置200を実現するためのコンピュータシステムのハードウェア構成例を示している。以下の説明ではSDH伝送装置100を例にとり、説明を行う。例えば、このシステムは、中央処理装置(CPU)310とメモリ320とを含んでいる。CPU310とメモリ320とは、バスを介して補助記憶装置としてのハードディスク装置(HDD)330に接続される。このシステムは、典型的には、ユーザ・インターフェース・ハードウェアを備える。ユーザ・インターフェース・ハードウェアとしては、例えば、入力をするためのポインティング・デバイス(マウス、ジョイスティック等)やキーボード等の入力装置340や、視覚データをユーザに提示するための液晶ディスプレイなどの表示装置350がある。ハードディスク装置330等の記憶媒体にはオペレーティングシステムと共同してCPU310等に命令を与え、このシステムの各部の機能を実施するためのコンピュータ・プログラムを記憶することができる。すなわち、プログラムがメモリ320上に展開され、CPU310がプログラムに従って処理を行い、他のハードウェア構成と協働することによって、SDH伝送装置100の各ブロックが構成されている。そして、SDH伝送装置100による各処理は、CPU310において所定のプログラムが実行されることで実現されている。尚、これらのシステムは、単一のコンピュータでなくとも、複数のコンピュータによって構成することも可能である。
【0061】
なお、本発明の本質的部分を図10に示し、再度説明する。図10は、図1に示す通信システムのうち、本発明の本質的な処理を行う処理部を抜き出して記載したブロック図である。
【0062】
SDH伝送装置100は、POH挿入部102と、BIP−4演算部103と、を備える。SDH伝送装置200は、BIP−4演算部212と、POHモニタ部214と、POH復元部215と、を備える。
【0063】
BIP−4演算部103は、SDHフレームの各行のBIP−4演算値を算出し、算出結果をPOH挿入部102に送信する。POH挿入部102は、POH領域の不使用バイト(F2バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイト)の領域を空き領域として扱い、POHバイト及びBIP−4演算結果をPOH領域上に再配置する。好適には、POH挿入部102は、図4に示すようにPOH領域を再配置する。POH挿入部102は、再配置を行った後のSDHフレームをSDH伝送装置200に送信する。
【0064】
SDH伝送装置200の動作を説明する。BIP−4演算部212は、受信したSDHフレームの各行に対してBIP−4演算値を算出し、当該算出値と、送信装置が当該行について算出したBIP−4演算値と、を比較することによりエラーを検出する。
【0065】
POHモニタ部214は、再配置にされているPOHバイトを抽出してPOH復元部215に供給する。POH復元部215は、抽出したPOHバイトを用いて、POH挿入部102が再配置する前のPOH領域の状態に復元する。
【0066】
図10の構成であっても、SDH伝送装置100が送信するフレームは、各行のBIP−4演算結果が埋め込まれている。すなわち、POH挿入部102は、各行に対してBIP−4演算を行い、当該行が含まれるフレーム内に演算結果を埋め込む。BIP−4演算部212は、この演算結果を用いてエラー検出を行う。そのため、図11に示す一般的な通信システムと異なり、図10に示すSDH伝送装置100は、1フレーム分以上の遅延を与える必要が無い。つまり、図11に示す一般的な通信システムと比べ、図10に示す通信システムは、遅延量を抑止してSDHフレームを送受信することができる。
【0067】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0068】
(付記1)
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムであって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備え、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備える通信システム。
【0069】
(付記2)
前記送信装置は、
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出するスルーPOH抽出部を備え、
前記POH挿入部は、前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする付記1に記載の通信システム。
【0070】
(付記3)
前記POH挿入部は、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域の後半4ビットの位置に挿入することを特徴とする付記1または付記2に記載の通信システム。
【0071】
(付記4)
前記SDHフレームは、前記POHバイトとしてJ1バイト、B3バイト、C2バイト、G1バイト、F2バイト、H4バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイトを備え、
前記F2バイト、前記Z3バイト、前記Z4バイト、及び前記Z5バイトは前記不使用バイトであり、
前記J1バイト、前記B3バイト、前記G1バイト、及び前記H4バイトは前記リアルタイムバイトであることを特徴とする付記2または付記3に記載の通信システム。
【0072】
(付記5)
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置であって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備える、送信装置。
【0073】
(付記6)
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出するスルーPOH抽出部を更に備え、
前記POH挿入部は、前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする付記5に記載の送信装置。
【0074】
(付記7)
前記POH挿入部は、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域の後半4ビットの位置に挿入することを特徴とする付記5または付記6に記載の送信装置。
【0075】
(付記8)
前記SDHフレームは、前記POHバイトとしてJ1バイト、B3バイト、C2バイト、G1バイト、F2バイト、H4バイト、Z3バイト、Z4バイト、Z5バイトを備え、
前記F2バイト、前記Z3バイト、前記Z4バイト、及び前記Z5バイトは前記不使用バイトであり、
前記J1バイト、前記B3バイト、前記G1バイト、及び前記H4バイトは前記リアルタイムバイトであることを特徴とする付記6または付記7に記載の送信装置。
【0076】
(付記9)
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出し、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出し、
抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を再配置する前の状態に復元する、通信方法。
【0077】
(付記10)
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出し、
前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする付記9に記載の通信方法。
【0078】
(付記11)
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置する、プログラム。
【0079】
(付記12)
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出し、
前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする付記11に記載のプログラム。
【0080】
(付記13)
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームの加工処理を実行する送信装置から加工済みの前記SDHフレームを受信する受信装置であって、
前記送信装置は、前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置することにより前記加工処理を実行し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備える受信装置。
【符号の説明】
【0081】
100 SDH伝送装置
101 マルチフレーム生成部
102 POH挿入部
103 BIP−4演算部
104 スルーOH処理部
200 SDH伝送装置
211 位相差吸収メモリ
212 BIP−4演算部
213 ロウ調整メモリ
214 POHモニタ部
225 POH復元部
221 位相差吸収メモリ
222 BIP−4演算部
223 ロウ調整メモリ
224 POHモニタ部
225 POH復元部
230 位相差吸収制御部
231 切替制御部
310 CPU
320 メモリ
330 HDD
340 入力装置
350 表示装置
400 送信装置
401 マルチフレーム生成部
402 POH挿入部
500 受信装置
511 位相差吸収メモリ
512 BIP−8演算部
513 フレーム調整メモリ
521 位相差吸収メモリ
522 BIP−8演算部
523 フレーム調整メモリ
530 位相差吸収制御部
531切替制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムであって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備え、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備える通信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出するスルーPOH抽出部を備え、
前記POH挿入部は、前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記POH挿入部は、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域の後半4ビットの位置に挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置であって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出する第1パリティ演算部と、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置するPOH挿入部と、を備える、送信装置。
【請求項5】
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出するスルーPOH抽出部を更に備え、
前記POH挿入部は、前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
前記POH挿入部は、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域の後半4ビットの位置に挿入することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する送信装置と当該フレームを受信する受信装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記送信装置は、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出し、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出し、
抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を再配置する前の状態に復元する、通信方法。
【請求項8】
前記POHバイトのうち、同一フレーム内にて送信する必要があるバイトであるリアルタイムバイトを抽出し、
前記リアルタイムバイトを第1及び第2リアルタイムビットに分割し、前記第2リアルタイムビットを次行のPOH領域に配置し、各行の前記パリティ演算結果を次行のPOH領域に配置することを特徴とする請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームを送信する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置する、プログラム。
【請求項10】
POH(Path OverHead)領域の各行に配置されたバイトであるPOHバイトを含むSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームの加工処理を実行する送信装置から加工済みの前記SDHフレームを受信する受信装置であって、
前記送信装置は、前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、
前記POHバイトのうち、不使用とするバイトである不使用バイトの配置箇所を空き領域とし、不使用バイト以外の前記POHバイト及び前記パリティ演算結果を前記POH領域にて再配置することにより前記加工処理を実行し、
前記受信装置は、
受信した前記SDHフレームの各行のパリティ演算結果を算出し、算出値と、前記送信装置が算出したパリティ演算結果を前記SDHフレームから抽出して比較することによりエラーを検出する第2パリティ演算部と、
受信した前記SDHフレームから前記POHバイトを抽出するPOHモニタ部と、
前記POHモニタ部が抽出した前記POHバイトを用いて、前記POH領域を前記POH挿入部が再配置する前の状態に復元するPOH復元部と、を備える受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31130(P2013−31130A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167530(P2011−167530)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】