説明

通信システム、通信システムの制御方法及び移動通信端末

【課題】通信における携帯電話の電力消費量を下げ、通話可能な時間を長くする携帯電話の通信システムを提供する。
【解決手段】
上記の課題を解決するための手段として、移動通信端末と、移動通信端末と通信可能な第一装置及び第二装置と、第一装置及び第二装置と通信可能な交換機とを備える通信システムであって、移動通信端末は、移動通信端末の位置を表す位置情報を第一装置に送信し、第一装置は、位置情報に基づいて第二装置を選定し、選定した第二装置が通信するための通信情報を移動通信端末に送信し、移動通信端末は、通信情報に基づいて交換機との通信を開始する通信開始要求を第二装置に送信し、第二装置は、移動通信端末を特定する特定情報を交換機に送信し、交換機は、特定情報に基づいて移動端末との通信を開始することを特徴とする通信システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末に対する通信を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信端末の一つである携帯電話は、実装している特定の通信方式に基づいて通話を実現している。携帯電話はその通信方式に基づいて基地局との通信を確立し、その後はその基地局及び周辺の基地局を使って通話を実現している。携帯電話と基地局間の電波が弱い場合、通信に影響が出ないよう、携帯電話と基地局はそれぞれ電波を強めるように動作する。従って、携帯電話において電力消費量が増加し、携帯電話は通話可能な時間が短くなるという問題があった。
【0003】
また、複数の基地局を制御する基地局制御装置が、携帯電話から受信した電波の強さに基づいて携帯電話を制御する基地局を変更する先行技術が記載されている文献として下記の特許文献1がある。また、携帯電話が自由に使用できる電波を検出し、検出した電波を基地局に通知する先行技術が記載されている文献として下記の特許文献2がある。
【特許文献1】特開平10−248078号公報
【特許文献2】特開平11−187451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信における携帯電話の電力消費量を下げ、通話可能な時間を長くする携帯電話の通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第一の手段として、移動通信端末と、移動通信端末と通信可能な第一装置及び第二装置と、第一装置及び第二装置と通信可能な交換機とを備える通信システムであって、移動通信端末は、移動通信端末の位置を表す位置情報を第一装置に送信し、第一装置は、位置情報に基づいて第二装置を選定し、選定した第二装置が通信するための通信情報を移動通信端末に送信し、移動通信端末は、通信情報に基づいて交換機との通信を開始する通信開始要求を第二装置に送信し、第二装置は、移動通信端末を特定する特定情報を交換機に送信し、交換機は、特定情報に基づいて移動端末との通信を開始することを特徴とする通信システムを提供する。
【0006】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第二の手段として、第一装置は、移動通信端末と第二装置との間の距離に基づいて移動通信端末と通信可能な第二装置を選定することを特徴とする通信システムを提供する。
【0007】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第三の手段として、第二装置は、第一装置が選定した候補の中から移動通信端末と第二装置との間の距離に基づいて移動通信端末が決定したものであることを特徴とする通信システムを提供する。
【0008】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第四の手段として、移動通信端末と、移動通信端末と通信可能な第一装置及び第二装置と、第一装置及び第二装置と通信可能な交換機とを備える通信システムの制御方法であって、移動通信端末は、移動通信端末の位置を表す位置情報を第一装置に送信し、第一装置は、位置情報に基づいて第二装置を選定し、選定した第二装置が通信するための通信情報を移動通信端末に送信し、移動通信端末は、通信情報に基づいて交換機との通信を開始する通信開始要求を第二装置に送信し、第二装置は、移動通信端末を特定する特定情報を交換機に送信し、交換機は、特定情報に基づいて移動端末との通信を開始することを特徴とする通信システムの制御方法を提供する。
【0009】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第五の手段として、第一装置は、移動通信端末と第二装置との間の距離に基づいて移動通信端末と通信可能な第二装置を選定することを特徴とする通信システムの制御方法を提供する。
【0010】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第六の手段として、第二装置は、第一装置が選定した候補の中から移動通信端末と第二装置との間の距離に基づいて移動通信端末が決定したものであることを特徴とする通信システムの制御方法を提供する。
【0011】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第七の手段として、第一装置及び第二装置と通信可能な移動通信端末において、移動通信端末の位置を表す位置情報を第一装置に送信し、位置情報に基づいて第一装置が選定した第二装置が通信するための通信情報を第一装置から受信し、通信情報に基づいて第二装置との通信を開始する通信開始要求を第二装置に送信することを特徴とする移動通信端末を提供する。
【0012】
上記の発明が解決しようとする課題を解決するための第八の手段として、相対的に高出力の電磁波による通信を行う第一の通信部と、相対的に低出力の電磁波による通信を行う第二の通信部と、制御部とを備え、制御部は、第一の通信部を介して、第一の通信装置に対して自装置の位置を示す自装置位置情報を送信するとともに、自装置位置情報に対応して第一の通信装置から受信した第二の通信装置に対応した情報に基づいて、第二の通信部を介して第二の通信装置に接続し、第二の通信装置を中継した通信を行うことを特徴とする、移動通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0013】
携帯電話は携帯電話用の基地局だけでなく、携帯電話用の基地局よりも低電力で通信可能な無線LANのアクセスポイントを介して、通信が可能となり、携帯電話の電力消費量を削減し、通話時間を長くすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を使用して本発明の形態を説明する。
【0015】
[1.本発明の概要図]
図1は、本発明の概要図である。本発明に係る携帯電話の通話を実現する通信システム0は、携帯電話1と低電力装置3と広域基地局5と交換機7で構成される。携帯電話1は、携帯電話が使用する周波数の他に無線LANで使用する周波数の電波を送受信可能なものである。携帯電話が使用する周波数は、通常数100MHzから3GHz程度の間のものある。無線LANが使用する周波数は、例えばIEEE802.11で規定されている2.4GHz帯と5GHz帯のものである。IEEEは、Institute ofElectrical and ElectronicEngineersの略称である。携帯電話1は、約1W以下の電波を送出できるものである。携帯電話1は、インターネット電話を制御する通信プロトコルの一つであるSIPに対応したものである。SIPとは、SessionInitiation Protocolの略称である。携帯電話1は、移動通信端末になる。
【0016】
低電力装置3は、携帯電話1と交換機7との間に位置する中継装置である。低電力装置3は、携帯電話1から受信した無線情報を交換機7が扱うことができる有線情報に変換して交換機7に送信すると共に、その逆の処理を行う。また、低電力装置3が通信するための通信制御情報を広域基地局5に登録する。また、低電力装置3は、無線LAN装置である。ここでいう無線LAN装置とは、IEEE802.11に準拠したものであり、2.4GHz帯や5GHz帯の電波を使用し、周波数帯域1MHz当たりの電波の出力が10mW以下の無線通信機器である。低電力装置3の通信距離は最大約100mであるが、これは電波の出力によって決まる。低電力装置3は、無線LANを使用して携帯電話1と通信し、インターネット又は専用線を使用して広域基地局5や交換機7と通信する。また、この通信のために低電力装置3が使用する広域基地局5と交換機7のアドレスは、低電力装置3の利用者が広域基地局5と交換機7を管理する通信事業者に利用申請を行い、それにより通信事業者が公開したものである。低電力装置3は、第二装置になる。
【0017】
広域基地局5は、携帯電話1と交換機7との間に位置する中継装置である。広域基地局5は、携帯電話1から受信した無線情報を交換機7が扱うことができる有線情報に変換して交換機7に送信すると共に、その逆の処理を行う。また、低電力装置3から受信した通信制御情報を格納し、携帯電話1からの要求に基づいて通信制御情報を携帯電話1に送信する。通信制御情報は、携帯電話1と交換機7が低電力装置3を経由して通信するために必要とする情報である。また、この通信のために広域基地局5が使用する携帯電話のアドレスは、広域基地局5が割り当てた使用可能なチャネルである。また、この通信のために広域基地局5が使用する交換機7のアドレスは、専用線を使用して接続される交換機7と事前に交換したものである。また、この通信のために広域基地局5が使用する低電力装置3のアドレスは、通信制御情報と一緒に受信したものである。広域基地局5は、第一装置になる。
【0018】
交換機7は、携帯電話1の通信相手を特定し、特定した通信相手との通信を制御する装置である。交換機7は、広域基地局5から受信した通信するための情報を通信相手の通信機器を管理する交換機に送信すると共に、その逆の処理を行う。また、低電力装置3から受信した通信するための情報を通信相手の通信機器を管理する交換機に送信すると共に、その逆の処理を行う。また、この通信のために交換機7が使用する広域基地局5のアドレスは、専用線を使用して接続される広域基地局5と事前に交換したものである。また、この通信のために交換機7が使用する低電力装置3のアドレスは、通信するための情報と一緒に受信したものである。
【0019】
以下に本発明に係る通信システム0の動作を簡単に説明する。
【0020】
(1)通信制御情報登録
低電力装置3は、携帯電話1と通信するための通信制御情報を広域基地局5に送信する。広域基地局5は、受信した通信制御情報を格納する処理を行い、その処理結果を低電力装置3に送信する。通信制御情報は、通信情報になる。
【0021】
(2)低電力装置検索
携帯電話1は、通信中の広域基地局5に低電力装置検索要求を送信する。ここでいう通信中とは、携帯電話1と通信相手との通信を制御する交換機7との間の制御チャネルと通話チャネルが確立した状態を表す。また、ここでいうチャネルとは、通信用情報の通り道を表す。この低電力装置検索要求は、携帯電話1の近くに位置する低電力装置3を探すためのものである。広域基地局5は、受信した検索要求に対応する情報を(1)で格納した通信制御情報から検索し、その検索結果を携帯電話1に送信する。
【0022】
(3)新たなチャネル確立
携帯電話1は、(2)の検索結果として得た通信制御情報に基づいて低電力装置3経由で交換機7との間の通信を確立する。この通信確立処理は、先ず制御チャネルを確立し、次に通話チャネルを確立する。それぞれのチャネルの確立方法は以下の通りである。図1中のCHは、チャネルを表す。
【0023】
制御チャネルを確立する処理は以下の通りである。携帯電話1は、制御チャネルを確立するための制御チャネル確立要求を低電力装置3に送信する。低電力装置3は、制御IPアドレスの割り当てを行う。図1中のIPは、IPアドレスを表す。制御IPアドレスは、制御チャネルを確立する処理において、携帯電話1を識別する情報として使用する。低電力装置3は、制御IPアドレスを携帯電話1と交換機7に送信する。携帯電話1は、受信した制御IPアドレスを格納する。交換機7は、受信した制御IPアドレスを使用して携帯電話1と通信するための制御情報を生成し、生成した制御情報を低電力装置3経由で携帯電話1に送信する。携帯電話1がこの制御情報を受信した状態が、制御チャネルが確立した状態である。
【0024】
通話チャネルを確立する処理は以下の通りである。携帯電話1は、通話チャネルを確立するための通話チャネル確立要求を低電力装置3に送信する。低電力装置3は、通話IPアドレスの割り当てを行う。通話IPアドレスは、通話チャネルを確立する処理において、携帯電話1を識別する情報として使用する。低電力装置3は、通話IPアドレスを携帯電話1と交換機7に送信する。携帯電話1は、受信した通話IPアドレスを格納する。交換機7は、受信した通話IPアドレスを使用して携帯電話1と通信するための通話情報を生成し、生成した通話情報を低電力装置3経由で携帯電話1に送信する。携帯電話1がこの通話情報を受信した状態が、通話チャネルが確立した状態である。制御IPアドレス及び通話IPアドレスは、特定情報になる。また、制御チャネル確立要求及び通話チャネル確立要求は、通話開始要求になる。
【0025】
(4)チャネル切り替え
(3)で新たに確立した通話チャネルと先の通信で確立していた通話チャネルの切り替えを行う。図1中のHOは、ハンドオーバーを表す。ここでいうハンドオーバーとは、新たに確立した通話チャネルと先の通信で確立していた通話チャネルの切り替えを行うことを表す。携帯電話1は、先の通信で確立していた通話チャネルを解放するための解放要求を広域基地局5経由で交換機7に送信する。携帯電話1は、(3)で新たに確立した通話チャネルを継続して使用するための継続要求を低電力装置3経由で交換機7に送信する。解放要求と継続要求を受信した交換機7は、先の通信で使用していた通話チャネルを未使用状態にし、新たに確立した通話チャネルのみを使用する状態にする。交換機7は、先の通信で使用していた通話チャネルが未使用になったことを表すチャネル解放要求を広域基地局5経由で携帯電話1に送信する。携帯電話1は、チャネル解放応答を広域基地局5に送信する。チャネル解放応答を受信した広域基地局5は、先の通信で使用していた通話チャネルを解放する。これは、広域基地局5配下の他の携帯電話が使用するチャネルを増やすためである。
【0026】
[2.携帯電話のハードウェア構成図]
図2は、携帯電話1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。携帯電話1は、CPU(CentralProcessing Unit)11とRAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、記憶部14、ディスプレー15、キー16、通信部17、GPS(GlobalPositioning System)18で構成される。
【0027】
CPU11は、各装置の制御やデータの計算・加工を行なう。CPU11は、メモリに展開されたプログラムを実行する装置で、キー16やGPS18や記憶装置14からデータを受け取り、演算・加工した上で、ディスプレー15や記憶部14に出力する。ここでいうメモリとは、RAM12やROM13など半導体記憶装置を意味するものである。RAM12は、半導体を利用した記憶装置であり、プログラムの実行や前記プログラムが一時的に必要とするデータを記憶する。ROM14は、半導体を利用した記憶装置であり、一度書き込まれたデータを読み出すための記憶装置である。ここでいう一度書き込まれたデータとは、書き換える必要のないデータや、書き換えられては困るデータを意味するものである。
【0028】
記憶部14は、携帯電話用通信プログラム141と携帯電話用通信データ142を格納する。携帯電話用通信プログラム141は、先に確立した通話チャネルと新たに確立した通話チャネルを切り替えるために以下の動作を行う。携帯電話用通信プログラム141は、任意の通信相手との通信を確立する。携帯電話用通信プログラム141は、携帯電話1の近くに位置する低電力装置3に関連する通信制御情報を広域基地局5から取得する。携帯電話1は、取得した通信制御情報に基づいて低電力装置3経由で交換機7との間の通信を確立する。この通信確立処理は、先ず制御チャネルを確立し、次に通話チャネルを確立する。携帯電話1は、新たに確立した通話チャネルと先の通信で確立していた通話チャネルの切り替えを指示する。この指示は、低電力装置3と広域基地局5に対して行う。CPU11は、電話用通信プログラム141を制御することにより、制御部になる。
【0029】
ディスプレー15は、キー16を操作した結果を表す操作結果情報を表示する装置である。ディスプレー16は、表示装置になる。キー16は、文字や数字などの情報を携帯電話1に入力する装置である。通信部17は、低電力装置3又は広域基地局3との通信を担当するものである。通信部17は、携帯電話1が使用する周波数の他に無線LANで使用する周波数の電波を送受信可能なものである。携帯電話1が使用する周波数は、通常数100MHzから3GHz程度の間のものある。無線LANが使用する周波数は、例えばIEEE802.11で規定されている2.4GHz帯と5GHz帯のものである。通信部18は、約1W以下の電波を送出できるものである。通信部17は、インターネット電話を制御する通信プロトコルの一つであるSIPに対応したものである。GPS18は、位置情報を取得する装置である。ここでいう位置情報とは、緯度、経度及び高さである。通信部17は、広域基地局と通信するための高出力の電磁波を送受信可能な第一の通信部及び低電力装置3と通信するための低出力の電磁波を送受信可能な第二の通信部になる。
【0030】
[2.1.携帯電話用通信データの構成図]
図3は、携帯電話1が広域基地局5又は低電力装置3と通信するときに使用するデータを格納した携帯電話用通信データ142を表す。その情報要素は、電番1421とCH#1 1422、制御TS1423、通話TS1424、CH#2 1425、制御IP、通話IPである。ここいうCHは、チャネルを表す。また、チャネルとは、一定間隔毎に区切った周波数帯のことを表す。ここでいうTSとは、タイムスロットを指す。タイムスロットとは、CHを一定時間周期で区切ったときの個々の位置を指す。また、ここでいうTSとは、個々の通信を識別する情報になる。ここでいうIPとは、IPアドレスを表す。電番1421は、携帯電話1に割り当てられた電話番号を表す。CH#1 1422は、先の通信で使用していたチャネルを表す。制御TSは、先の通信で制御に使用していたタイムスロットを表す。通話TS1424は、先の通信で通話に使用していたタイムスロットを表す。CH#2 1425は、低電力装置3経由で確立した通信で使用するチャネルを表す。制御IP1426は、低電力装置3経由で確立した通信で制御に使用するIPアドレスを表す。通話IP1427は、低電力装置3経由で確立した通信で通話に使用するIPアドレスを表す。
【0031】
[3.低電力装置のハードウェア構成図]
図4は、低電力装置3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。低電力装置3は、CPU(CentralProcessing Unit)31とRAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、記憶部34、通信部37、GPS(Global Positioning System)38で構成される。
【0032】
CPU11は、各装置の制御やデータの計算・加工を行なう。CPU31は、メモリに展開されたプログラムを実行する装置で、通信部37やGPS38や記憶装置14からデータを受け取り、演算・加工した上で、通信部37や記憶部14に出力する。ここでいうメモリとは、RAM32やROM33など半導体記憶装置を意味するものである。RAM32は、半導体を利用した記憶装置であり、プログラムの実行や前記プログラムが一時的に必要とするデータを記憶する。ROM34は、半導体を利用した記憶装置であり、一度書き込まれたデータを読み出すための記憶装置である。ここでいう一度書き込まれたデータとは、書き換える必要のないデータや、書き換えられては困るデータを意味するものである。
【0033】
記憶部34は、低電力装置登録要求プログラム341と低電力装置用通信プログラム342と低電力装置用通信データ343を格納する。低電力装置用通信制御情報登録要求プログラム341は、低電力装置3に関連する通信制御情報を広域基地局5に登録する。低電力装置用通信プログラム342は、携帯電話1と交換機7との間の通信を確立する。この通信確立処理は、先ず制御チャネルを確立し、次に通話チャネルを確立する。低電力装置用通信プログラム342は、携帯電話1から受信した通話チャネルの切り替え指示を交換機7に中継する。通信部37は、携帯電話1又は交換機7との通信を担当するものである。通信部18は、無線LANで使用する周波数の電波を送受信可能なものである。無線LANが使用する周波数は、例えばIEEE802.11で規定されている2.4GHz帯と5GHz帯のものである。通信部37は、周波数帯域1MHz当たり10mW以下の電波を出力できる。GPS38は、位置情報を取得する装置である。ここでいう位置情報とは、緯度、経度及び高さである。
【0034】
[3.1.低電力装置用通信データの構成図]
図5は、低電力装置3が携帯電話1又は交換機7と通信するときに使用するデータを格納した低電力装置用通信データ343を表す。その情報要素は、CH 3431と制御IP3432、通話IP3433である。CH 3431は、低電力装置3経由で確立した通信で使用するチャネルを表す。制御IP3432は、低電力装置3経由で確立した通信で制御に使用するIPアドレスを表す。通話IP3433は、低電力装置3経由で確立した通信で通話に使用するIPアドレスを表す。
【0035】
[4.広域基地局のハードウェア構成図]
図6は、広域基地局5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。低電力装置5は、CPU(CentralProcessing Unit)51とRAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)55、記憶部54、通信部57、GPS(Global Positioning System)58で構成される。
【0036】
CPU11は、各装置の制御やデータの計算・加工を行なう。CPU51は、メモリに展開されたプログラムを実行する装置で、通信部57や記憶装置14からデータを受け取り、演算・加工した上で、通信部57や記憶部14に出力する。ここでいうメモリとは、RAM52やROM55など半導体記憶装置を意味するものである。RAM52は、半導体を利用した記憶装置であり、プログラムの実行や前記プログラムが一時的に必要とするデータを記憶する。ROM54は、半導体を利用した記憶装置であり、一度書き込まれたデータを読み出すための記憶装置である。ここでいう一度書き込まれたデータとは、書き換える必要のないデータや、書き換えられては困るデータを意味するものである。
【0037】
記憶部34は、広域基地局用通信制御情報登録プログラム541と低電力装置用通信制御データ542、広域基地局用通信プログラム543、広域基地局用通信データ544を格納する。広域基地局用通信制御情報登録プログラム541は、低電力装置3から受信した低電力装置3の通信に関連する情報を登録する。広域基地局用通信プログラム543は、携帯電話1から受信した指示で先の通信で使用していた通話チャネルを解放する。
【0038】
[4.1.低電力装置用通信制御データの構成図]
図7は、広域基地局5が携帯電話1の近くに位置する低電力装置3を検索するときに使用するデータを格納した低電力装置用通信制御データ542を表す。その情報要素は、低電力装置識別情報5421と低電力装置設置場所5422、周波数5423、チャネル5424、電波出力5425、通信可能範囲5426、通信プロトコル5427、通信プログラム5228である。低電力装置識別情報5421は、低電力装置を識別するための情報である。その情報は、例えば、MACアドレスである。MACアドレスは、MediaAccess Control addressの略称である。低電力装置設置場所は、低電力装置3が設置してある位置を表す情報である。その情報は、例えば、緯度、経度、高さからなるものである。周波数5423は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する電波の種別を表すものである。チャネル5424は、通信用情報の通り道を表す。電波出力5425は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する電波の強さを表すものである。電波出力5425は、電波強度になる。通信可能範囲5426は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で可能な距離の目安を表すものである。通信プロトコル5427は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する手順を表すものである。通信プログラム5428は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する手順を実現するために携帯電話1で動作するプログラムを表すものである。
【0039】
[4.2.広域基地局用通信データの構成図]
図8は、広域基地局5が携帯電話1又は交換機7と通信するときに使用するデータを格納した広域基地局用通信データ544を示す。その情報要素は、CH 5442と制御TS5443、通話TS5444である。CH 5442は、広域基地局5経由で確立した通信で使用するチャネルを表す。制御TS5443は、広域基地局5経由で確立した通信で制御に使用するタイムスロットを表す。通話タイムスロット5444は、広域基地局5経由で確立した通信で通話に使用するタイムスロットを表す。
【0040】
[5.交換機のハードウェア構成図]
図9は、交換機7のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。交換機7は、CPU(CentralProcessing Unit)71とRAM(Random Access Memory)72、ROM(Read Only Memory)77、記憶部74、通信部77で構成される。
【0041】
CPU71は、各装置の制御やデータの計算・加工を行なう。CPU71は、メモリに展開されたプログラムを実行する装置で、通信部77や記憶装置14からデータを受け取り、演算・加工した上で、通信部77や記憶部14に出力する。ここでいうメモリとは、RAM72やROM77など半導体記憶装置を意味するものである。RAM72は、半導体を利用した記憶装置であり、プログラムの実行や前記プログラムが一時的に必要とするデータを記憶する。ROM74は、半導体を利用した記憶装置であり、一度書き込まれたデータを読み出すための記憶装置である。ここでいう一度書き込まれたデータとは、書き換える必要のないデータや、書き換えられては困るデータを意味するものである。記憶部74は、交換機用通信プログラム741と交換機用通信データ742を格納する。交換機用通信プログラム741は、先の通話で使用していた通話の通信路と低電力装置3経由で確立した通話の通信路の切り替えを行う。通信部77は、低電力装置3又は広域基地局5との通信を担当する装置である。
【0042】
[5.1.交換機用通信データの構成図]
図10は、交換機7が低電力装置3又は広域基地局5と通信するときに使用するデータを格納した交換機話用通信データ742を表す。その情報要素は、発信側電番7421と着信側電番7422、制御TS7423、通話TS7424、通話TS状態7425、制御IP7426、通話IP7427、通話IP状態7428である。
【0043】
発信側電番7421は、発信側となった通信機器に割り当てられた電話番号を表す。着信側電番7422は、着信側となった通信機器に割り当てられた電話番号を表す。ここでいう通信機器とは、例えば携帯電話や固定電話である。制御TS7423は、発信側電番7421と着信側電番7422との間の通信で制御に使用するタイムスロットを表す。通話TS7424は、発信側電番7421と着信側電番7422との間の通信で通話に使用するタイムスロットを表す。制御TS7423は、携帯電話1が広域基地局5との通信で使用する制御チャネルと同等のものである。通話TS7424は、携帯電話1が広域基地局5との通信で使用する通話チャネルと同等のものである。通話TS状態7425は、通話TS7424が使用中か、未使用中かを表す。制御IP7426は、発信側電番7421と着信側電番7422との間の通信で制御に使用するIPアドレスを表す。通話IP7427は、発信側電番7421と着信側電番7422との間の通信で通話に使用するIPアドレスを表す。制御IP7426は、携帯電話1が低電力装置3との通信で使用する制御チャネルと同等のものである。通話IP7427は、携帯電話1が低電力装置3との通信で使用する通話チャネルと同等のものである。通話IP状態7428は、通話IP7427が使用中か、未使用中かを表す。
【0044】
以下で、図1の動作説明に沿って、各装置の動作を詳細に説明する。先ず、図1の(1)通信制御情報登録を行うときの低電力装置3と広域基地局5の処理について説明する。
【0045】
[6.低電力装置のフローチャート 図1の(1)]
図11は、図1の(1)通信制御情報登録を行うときの低電力装置3の処理の手順を表したフローチャートである。低電力装置3のCPU31は、低電力装置用通信制御情報登録要求プログラム342を制御することにより、通信制御情報を広域基地局5に登録する処理を実現する。
【0046】
S3411において、CPU31は、GPS38を使用して低電力装置3に係る位置情報を取得する。位置情報は、緯度、経度、高さからなるものである。位置情報は、低電力装置設定場所になる。
【0047】
S3412において、CPU31は、通信制御情報を生成する。通信制御情報は、携帯電話1が低電力装置3との通信で使用する情報である。通信制御情報の情報要素は、低電力装置識別情報と低電力装置設置場所、周波数、チャネル、電波出力、通信可能範囲、通信プロトコル、通信プログラムである。低電力装置識別情報は、低電力装置を識別する情報である。その情報は、例えば、MACアドレスである。低電力装置設置場所は、低電力装置3が設置してある位置を表す情報である。この情報は、S3411で取得した位置情報である。周波数は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する無線LANの電波の周波数帯域を表す。チャネルは、無線LANの周波数帯を一定の間隔で区切ったものを表す。携帯電話1と低電力装置3との通信は、このチャネルを使用する。電波出力は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する電波の強さを表す。通信可能範囲は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で可能な距離の目安を表す。通信プロトコルは、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する手順を表す。この手順は、例えば無線LAN(WLAN)やAM、FMなどである。通信プログラム5427は、携帯電話1と低電力装置3との間の通信で使用する手順を実現するために携帯電話1で動作するプログラムを表す。通信制御情報は、低電力装置用通信制御情報登録要求プログラム342又は記憶部34に格納されているものである。
【0048】
S3413において、CPU31は、通信制御情報を含むパケットを生成し、そのパケットを広域基地局5に送信する。
【0049】
S3414において、CPU31は、広域基地局5からS3413で送信したパケットに対応する応答パケットを受信する。応答パケットは、広域基地局5の通信制御情報登録処理が成功したか、失敗したかの情報を含む。
【0050】
[7.広域基地局のフローチャート 図1の(1)]
図12は、図1の(1)通信制御情報登録を行うときの広域基地局5の処理の手順を表したフローチャートである。広域基地局5のCPU51は、広域基地局用通信制御情報登録プログラム541を制御することにより、低電力装置3から受信した通信制御情報を登録する処理を実現する。
【0051】
S5411において、CPU51は、低電力装置3から通信制御情報を含むパケットを受信する。
【0052】
S5412において、CPU51は、受信したパケットから通信制御情報を取り出し、取り出した通信制御情報を低電力装置用通信制御データ542に格納する。
【0053】
S5413において、CPU51は、S5412の処理が成功したか、失敗したかの情報を含む応答パケットを生成し、生成した応答パケットを低電力装置3に送信する。
【0054】
次に、図1の(2)の低電力装置検索を行うときの携帯電話1と広域基地局5の処理について説明する。
【0055】
[8.携帯電話のフローチャート 図1の(2)]
図13のS1411とS1412は、携帯電話1が低電力装置検索要求を広域基地局5に送信する処理の手順を表したフローチャートである。携帯電話1のCPU11は、携帯電話用通信プログラム141を制御することにより、携帯電話1が広域基地局5に送信する低電力装置検索要求に係る処理を実現する。
【0056】
S1411において、CPU11は、低電力装置検索要求用のパケットを生成し、生成したパケットを広域基地局5に送信する。
このパケットの送信は、先の確立した通信で使用しているチャネルと制御タイムスロットを使用する。ここでは、「CH2」、「TS8」を使用するものとする。なお、「CH2」は通話タイムスロット「TS16」も含むものだが、ここでは「TS16」は使用しない。また、このパケットは、携帯電話1に係る位置情報を含む。位置情報は、緯度、経度、高さからなるものである。また、位置情報は、GPS18を使用して取得したものである。
【0057】
S1412において、CPU11は、広域基地局5からS1411で送信したパケットに対応する応答パケットを受信する。この応答パケットは、携帯電話1の近くに位置する低電力装置3の通信制御情報を含む。通信制御情報は、図7の低電力装置用通信制御データと同様のものである。また、CPU11は、通信制御情報をRAM12又は記憶部14に格納する。
【0058】
[9.広域基地局のフローチャート 図1の(2)]
図14のS5431からS5433は、広域基地局5が携帯電話1から受信した低電力装置検索要求を処理する手順を表したフローチャートである。広域基地局5のCPU51は、広域基地局用通信プログラム543を制御することにより、携帯電話1から受信した低電力装置検索要求に係る処理を実現する。
【0059】
S5431において、CPU53は、携帯電話1から低電力装置検索用のパケットを受信する。このパケットは、携帯電話1の位置情報を含む。
【0060】
S5432において、CPU54は、受信したパケットから位置情報を取り出す。CPU54は、この位置情報で低電力装置用通信制御データ542を検索する。この検索は、位置情報に近い低電力装置設置場所に係る情報を探し出すものである。この検索で得た通信制御情報が一つだった場合、それを携帯電話1の通信相手として決定する。この検索で得た通信制御情報が複数だった場合、以下の二つ方法のいずれかで携帯電話1の通信相手を決定する。一つ目は以下の方法である。先ず、携帯電話1の位置情報と通信制御情報中の低電力装置設置場所から携帯電話1と低電力装置3の距離を計算する。そして、その距離の最も短いものを携帯電話1の通信相手として決定する。二つ目は以下の方法である。先ず、携帯電話1の位置情報と通信制御情報中の低電力装置設置場所から携帯電話1と低電力装置3の距離を計算する。次に、この距離から減衰率を計算する。減衰率の計算は、電波の強さは距離の二乗に反比例して減衰する性質を利用したものである。次に、この減衰率と通信制御情報中の電波強度を掛け合わせて低電力装置3の電波強度を計算する。最後に、電波強度の最も強いものを携帯電話1の通信相手として決定する。
【0061】

S5433において、CPU54は、S5432で得た通信制御情報を含むパケットを生成し、生成したパケットを携帯電話1に送信する。
【0062】
次に、図1の(3)の新たなチャネル確立を行うときの携帯電話1と低電力装置3、広域基地局5、交換機7の処理について説明する。
【0063】
[10.携帯電話のフローチャート 図1の(3)]
図13のS1413からS1421は、携帯電話1がS1412で得た通信制御情報に基づいて低電力装置3経由で交換機7との間の通信を確立する処理の手順を表したフローチャートである。携帯電話1のCPU11は、携帯電話用通信プログラム141を制御することにより、低電力装置3経由で交換機7との間の通信を確立する処理を実現する。
【0064】
S1413において、CPU11は、S1412で受信した通信制御情報から通信相手となる低電力装置3を選択する。検索で得た通信制御情報が一つだった場合、それを携帯電話1の通信相手として決定する。検索で得た通信制御情報が複数だった場合、以下の二つ方法のいずれかで携帯電話1の通信相手を決定する。一つ目は以下の方法である。先ず、携帯電話1の位置情報と通信制御情報中の低電力装置設置場所から携帯電話1と低電力装置3の距離を計算する。そして、その距離の最も短いものを携帯電話1の通信相手として決定する。二つ目は以下の方法である。先ず、携帯電話1の位置情報と通信制御情報中の低電力装置設置場所から携帯電話1と低電力装置3の距離を計算する。次に、この距離から減衰率を計算する。減衰率の計算は、電波の強さは距離の二乗に反比例して減衰する性質を利用したものである。次に、この減衰率と通信制御情報中の電波強度を掛け合わせて低電力装置3の電波強度を計算する。最後に、電波強度の最も強いものを携帯電話1の通信相手として決定する。また、携帯電話1が低電力装置3との通信で使用する手順を実現するプログラムを格納していない場合、携帯電話1は通信制御情報中の通信プログラムを使用して低電力装置3と通信する。
【0065】
S1414において、CPU11は、制御チャネル確立要求用のパケットを生成し、生成したパケットを低電力装置3に送信する。
このパケットは、制御IPアドレス割り当てコマンドを含むものである。また、このパケットの送信は、S1413で決定した低電力装置3の周波数帯に含まれる空きチャネルを使用する。ここでは、「CH6」を使用するものとする。S1414からS1421までのパケット送受信処理は、「CH6」を使用する。
【0066】
S1415において、CPU11は、低電力装置3から制御IPアドレスを含むパケットを受信する。この受信には、「CH6」を使用する。CPU11は、受信したパケットから制御IPアドレスを取り出し、携帯電話用通信データ142の制御IP1426に格納する。この制御IPアドレスは、携帯電話1が低電力装置3を経由して交換機7との間の制御チャネルを確立するために使用する情報である。
【0067】
S1416において、CPU11は、低電力装置3から制御チャネル確立要求用のパケットを受信する。このパケットは、SIPのINVITEリクエストを含む。
【0068】
S1417において、CPU11は、S1416に対応する応答パケットを生成し、生成した応答パケットを低電力装置3に送信する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含む。
【0069】
S1418において、CPU11は、通話チャネル確立要求用のパケットを生成し、生成したパケットを低電力装置3に送信する。
【0070】
S1419において、CPU11は、低電力装置3から通話IPアドレスを含むパケットを受信する。CPU11は、受信したパケットから制御IPアドレスを取り出し、携帯電話用通信データ142の通話IP1427に格納する。この通話IPアドレスは、携帯電話1が低電力装置3を経由して交換機7との間の通話チャネルを確立するために使用する情報である。
【0071】
S1420において、CPU11は、低電力装置3から通話チャネル確立要求用のパケットを受信する。このパケットは、SIPのINVITEリクエストを含む。
【0072】
S1421において、CPU11は、S1416に対応する応答パケットを生成し、生成した応答パケットを低電力装置3に送信する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含む。
【0073】
[11.低電力装置のフローチャート 図1の(3)]
図15のS3422からS3433は、低電力装置3が携帯電話1からの要求に基づいて携帯電話1と交換機7の通信を確立する処理の手順を表したフローチャートである。低電力装置3のCPU31は、低電力装置用通信プログラム342を制御することにより、携帯電話1と交換機7の通信を確立する処理を実現する。
【0074】
S3421において、CPU31は、携帯電話1から制御チャネル確立要求用のパケットを受信する。この受信には、「CH6」を使用する。
【0075】
S3422において、CPU31は、制御IPアドレスの割り当てを行う。制御IPアドレスは、低電力装置3が記憶部34内に保持しているものの中から未使用のものを割り当てる。ここでは、制御IPとして「10.10.10.8」を割り当てる。
【0076】
S3423において、CPU31は、S3423で割り当てた制御IPアドレスを含むパケットを生成し、生成したパケットを携帯電話1に送信する。この受信には、「CH6」を使用する。
【0077】
S3424において、CPU31は、S3423で割り当てた制御IPアドレスを含むパケットを生成し、生成したパケットを交換機7に送信する。
この送信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。
【0078】
S3425において、CPU31は、交換機7から受信した制御チャネル確立要求用のパケットを携帯電話1に中継する。このパケットは、SIPのINVITEリクエストを含む。
この中継には、「CH6」を使用する。
【0079】
S3426において、CPU31は、携帯電話1から受信した制御チャネル確立応答用のパケットを交換機7に中継する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含む。
この中継には、「CH6」を使用する。
【0080】
S3427において、CPU31は、携帯電話1から通話チャネル確立要求用のパケットを受信する。この受信には、「CH6」を使用する。
【0081】
S3428において、CPU31は、通話IPアドレスの割り当てを行う。通話IPアドレスは、低電力装置3が記憶部34内に保持しているものの中から未使用のものを割り当てる。ここでは、通話IPとして「10.10.10.16」を割り当てる。
【0082】
S3429において、CPU31は、S3429で割り当てた通話IPアドレスを含むパケットを生成し、生成したパケットを携帯電話1に送信する。この受信には、「CH6」を使用する。
【0083】
S3430において、CPU31は、S3423で割り当てた通話IPアドレスを含むパケットを生成し、生成したパケットを交換機7に送信する。この送信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。
【0084】
S3431において、CPU31は、交換機7から受信した通話チャネル確立要求用のパケットを携帯電話1に中継する。このパケットは、SIPのINVITEリクエストを含む。この中継には、「CH6」を使用する。
【0085】
S3432において、CPU31は、携帯電話1から受信した通話チャネル確立応答用のパケットを交換機7に中継する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含む。
この中継には、「CH6」を使用する。
【0086】
[12.交換機のフローチャート 図1の(3)]
図16のS7411からS7418は、交換機7が低電力装置3からの要求に基づいて携帯電話1と交換機7の新たな通信を確立する処理の手順を表したフローチャートである。交換機7のCPU71は、交換機用通信プログラム742を制御することにより、携帯電話1と交換機7の新たな通信を確立する処理を実現する。
【0087】
S7411において、CPU71は、低電力装置3から制御IPアドレスを含むパケットを受信する。この受信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。CPU71は、受信したパケットから制御IPアドレスを取り出し、交換機用通信データ742の制御IP7426に格納する。
【0088】
S7412において、CPU71は、S7411で受信したパケットに含まれる制御IPアドレスを送信先(Toヘッダ)としてSIPのINVITEリクエストを含む制御チャネル確立要求用のパケットを生成する。
【0089】
S7413において、CPU71は、S7412で生成したパケットを低電力装置3に送信する。この送信には、S7411で受信したパケットに含まれる低電力装置3のアドレスを使用する。
【0090】
S7414において、CPU71は、低電力装置3から制御チャネル確立応答用のパケットを受信する。この受信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含むものである。
【0091】
S7415において、CPU71は、低電力装置3から通話IPアドレスを含むパケットを受信する。この受信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。CPU71は、受信したパケットから通話IPアドレスを取り出し、交換機用通信データ742の通話IP7427に格納する。
【0092】
S7416において、CPU71は、S7415で受信したパケットに含まれる通話IPアドレスを送信先(Toヘッダ)としてSIPのINVITEリクエストを含む通話チャネル確立要求用のパケットを生成する。
【0093】
S7417において、CPU71は、S7416で生成したパケットを低電力装置3に送信する。この送信には、S7411で受信したパケットに含まれる低電力装置3のアドレスを使用する。
【0094】
S7418において、CPU71は、低電力装置3から通話チャネル確立応答用のパケットを受信する。このパケットは、SIPの200(OK)レスポンスを含む。この受信には、交換機7の管理者が低電力装置3の利用者に事前に公開したアドレスを使用する。
【0095】
最後に、図1の(4)のチャネル切り替えを行うときの携帯電話1と低電力装置3、広域基地局5、交換機7の処理について説明する。
【0096】
[13.携帯電話のフローチャート 図1の(4)]
図13のS1422からS1425は、携帯電話1が先の通話で使用していた通信と(3)で新たに確立した通信の切り替え処理の手順を表したフローチャートである。携帯電話1のCPU11は、携帯電話用通信プログラム141を制御することにより、携帯電話1が先の通話で使用していた通信と(3)で新たに確立した通信の切り替え処理を実現する。
【0097】
S1422において、CPU11は、ハンドオーバー用のパケットを生成し、生成したパケットを広域基地局5に送信する。このパケットは先に使用していた通話チャネルを解放するためのコマンドを含む。
この送信には、「CH2」を使用する。
【0098】
S1423において、CPU11は、ハンドオーバー用のパケットを生成し、生成したパケットを低電力装置3に送信する。このパケットは新たに確立した通話チャネルを継続して使用するためのコマンドを含む。
この送信には、「CH6」を使用する。
【0099】
S1424において、CPU11は、広域基地局5からチャネル解放要求用のパケットを受信する。CPU11は、チャネル解放応答用のパケットを生成する。また、ここで解放対象とするチャネルは、先の通信で使用していた通話チャネルである「CH2」である。
【0100】
S1425において、CPU11は、S1424で生成したチャネル解放用のパケットを広域基地局5に送信する。
【0101】
[14.低電力装置のフローチャート 図1の(4)]
図15のS3433は、低電力装置3のハンドオーバー処理の手順を表したフローチャートである。低電力装置3のCPU31は、低電力装置用通信プログラム341を制御することにより、S3434の処理を実現する。
【0102】
S3433において、CPU31は、携帯電話1から受信したハンドオーバー要求用のパケットを交換機7に中継する処理を表す。このパケットは、携帯電話1が図13のS1423で送信したものである。
【0103】
[15.広域基地局のフローチャート 図1の(4)]
図14のS5434からS5436は、広域基地局5のハンドオーバー処理の手順を表したフローチャートである。広域基地局5のCPU51は、広域基地局用通信プログラム541を制御することにより、広域基地局5のハンドオーバー処理を実現する。
【0104】
S5434において、CPU51は、携帯電話1から受信したチャネル解放要求用のパケットを交換機7に中継する。このパケットは、携帯電話1が図13のS1422で送信したものである。
【0105】
S5435において、CPU51は、交換機7から受信したハンドオーバー応答用のパケットを携帯電話1に中継する。このパケットは、交換機7が後で説明する図15のS7422で送信したものである。
【0106】
S5436において、CPU51は、携帯電話1から受信したチャネル解放応答用パケットを受信する。CPU51は、先の通信で使用していた通話チャネルを開放する。具体的には、CPU51は、広域基地局用通信データ544中の通話TS5444を削除する。これは、広域基地局5配下の他の携帯電話が使用するチャネルを増やすための処理である。
【0107】
[16.交換機のフローチャート 図1の(4)]
図16のS7419からS7422は、交換機7のハンドオーバー処理の手順を表したフローチャートである。交換機7のCPU71は、交換機用通信プログラム741を制御することにより、広域基地局7のハンドオーバー処理を実現する。
【0108】
S7419において、CPU51は、広域基地局5からハンドオーバー要求用のパケットを受信する。このパケットは先に使用していた通話チャネルを解放するためのコマンドを含む。
【0109】
S7420において、CPU51は、低電力装置3からハンドオーバー要求用のパケットを受信する。このパケットは新たに確立した通話チャネルを継続して使用するためのコマンドを含む。
【0110】
S7421において、CPU51は、交換機用データ742の通話TS状態7425を「使用」から「未使用」に変更する。この処理は、S7419で受信した解放用コマンドとS7420で受信した継続用コマンドが揃った状態で行う。この処理は、交換機7が携帯電話1の通信で使用していた四つのチャネルの中の先の通信で使用していた通話チャネルを解放するものである。この通話チャネルは、交換機用通信データ742中の通話TS7424である「TS16」である。また、残りの三つのチャネルとは、先の通信で使用していた制御チャネルと新たに確立した通信で使用している制御チャネルと通話チャネルである。これらのチャネルは、それぞれ交換機用通信データ742中の制御TS7423「TS8」、制御IP7426「10.10.10.8」、通話IP7427「10.10.10.16」に対応する。
【0111】
S7422において、CPU51は、チャネル解放要求用のパケットを生成し、生成したパケットを広域基地局5に送信する。このパケットは、チャネル解放用のコマンドを含むものである。ここでいうチャネルとは、広域基地局5が先の通信で使用していた通話チャネルを表す。このチャネルは、広域基地局用通信データ544中の通話TS5444「TS8」である。
【0112】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の概要図である。
【図2】携帯電話のハードウェア構成図である。
【図3】携帯電話用通信データの構成図である。
【図4】低電力装置のハードウェア構成図である。
【図5】低電力装置用通信データの構成図である。
【図6】広域基地局のハードウェア構成図である。
【図7】低電力装置用通信制御データの構成図である。
【図8】広域基地局用通信データの構成図である。
【図9】交換機のハードウェア構成図である。
【図10】交換機用の通信データの構成図である。
【図11】低電力装置における通信制御情報登録処理のフローチャートである。
【図12】広域基地局における通信制御情報登録処理のフローチャートである。
【図13】携帯電話における処理のフローチャートである。
【図14】広域基地局における処理のフローチャートである。
【図15】低電力装置における処理のフローチャートである。
【図16】交換機における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
0 通信システム
1 携帯電話
3 低電力装置
5 広域基地局
7 交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末と、該移動通信端末と通信可能な第一装置及び第二装置と、該第一装置及び第二装置と通信可能な交換機とを備える通信システムであって、
該移動通信端末は、該移動通信端末の位置を表す位置情報を該第一装置に送信し、
該第一装置は、該位置情報に基づいて該第二装置を選定し、選定した該第二装置が通信するための通信情報を該移動通信端末に送信し、
該移動通信端末は、該通信情報に基づいて該交換機との通信を開始する通信開始要求を該第二装置に送信し、
該第二装置は、該移動通信端末を特定する特定情報を該交換機に送信し、
該交換機は、該特定情報に基づいて該移動端末との通信を開始する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
該第一装置は、該移動通信端末と該第二装置との間の距離に基づいて該移動通信端末と通信可能な該第二装置を選定することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
該第二装置は、該第一装置が選定した候補の中から該移動通信端末と該第二装置との間の距離に基づいて該移動通信端末が決定したものであることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
移動通信端末と、該移動通信端末と通信可能な第一装置及び第二装置と、該第一装置及び第二装置と通信可能な交換機とを備える通信システムの制御方法であって、
該移動通信端末は、該移動通信端末の位置を表す位置情報を該第一装置に送信し、
該第一装置は、該位置情報に基づいて該第二装置を選定し、選定した該第二装置が通信するための通信情報を該移動通信端末に送信し、
該移動通信端末は、該通信情報に基づいて該交換機との通信を開始する通信開始要求を該第二装置に送信し、
該第二装置は、該移動通信端末を特定する特定情報を該交換機に送信し、
該交換機は、該特定情報に基づいて該移動端末との通信を開始する
ことを特徴とする通信システムの制御方法。
【請求項5】
該第一装置は、該移動通信端末と該第二装置との間の距離に基づいて該移動通信端末と通信可能な該第二装置を選定することを特徴とする請求項4記載の通信システムの制御方法。
【請求項6】
該第二装置は、該第一装置が選定した候補の中から該移動通信端末と該第二装置との間の距離に基づいて該移動通信端末が決定したものであることを特徴とする請求項4記載の通信システムの制御方法。
【請求項7】
第一装置及び第二装置と通信可能な移動通信端末において、
該移動通信端末の位置を表す位置情報を該第一装置に送信し、
該位置情報に基づいて該第一装置が選定した該第二装置が通信するための通信情報を該第一装置から受信し、
該通信情報に基づいて該第二装置との通信を開始する通信開始要求を該第二装置に送信することを特徴とする移動通信端末。
【請求項8】
相対的に高出力の電磁波による通信を行う第一の通信部と、
相対的に低出力の電磁波による通信を行う第二の通信部と、
制御部とを備え、
該制御部は、該第一の通信部を介して、第一の通信装置に対して自装置の位置を示す自装置位置情報を送信するとともに、
該自装置位置情報に対応して該第一の通信装置から受信した第二の通信装置に対応した情報に基づいて、該第二の通信部を介して該第二の通信装置に接続し、該第二の通信装置を中継した通信を行うことを特徴とする、移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−236242(P2008−236242A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71387(P2007−71387)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】