通信システム、通信方法、基地局、および、管理装置
【課題】ハンドオーバーが発生した場合でも、移動管理機能の処理負荷の増大を抑制できる構成を提供する。
【解決手段】通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【解決手段】通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と接続されたゲートウェイを含む通信システム、そのシステムにおける通信方法、そのシステムに向けられた基地局、および、そのシステムに向けられた管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)は、次世代通信方式である、LTE(Long Term Evolution)、および、LTEを発展させた規格であるLTE−A(LTE-Advanced)において、通常の発展型基地局(evolved Node B:以下「eNB」とも称す。)に加えて、小型の発展型基地局(Home evolved Node B:以下「HeNB」とも称す。)の導入について検討を進めている。このHeNBは、主として、サービスエリアの拡張および個人使用等を目的とするものである。
【0003】
典型的には、eNBまたはHeNBによって提供されるセルエリア間を移動局(User Equipment:以下「UE」とも称す。)が移動した場合には、ハンドオーバーが生じる。特許文献1〜3は、このようなハンドオーバーに関する手続きの一例を開示する。
【0004】
このようなハンドオーバーをサポートするために、LTE方式またはLTE−A方式においては、S1インターフェイスおよびX2インターフェイスの2種類が用意される。S1インターフェイスは、各基地局と対応するゲートウェイとの間のそれぞれの制御チャネルを利用してハンドオーバーを行なうものである。このS1インターフェイスを用いたハンドオーバーは、コアネットワークを介して制御情報の遣り取りが必要となるため、ネットワーク負荷が相対的に大きくなる。これに対して、X2インターフェイスは、基地局間を疑似的に直接接続して、コアネットワークでのデータ処理を介さずにハンドオーバーを行なうものである。そのため、ネットワーク負荷が相対的に小さくて済む。
【0005】
一方で、基地局および基地局に接続されたゲートウェイは、自身が管理するセルエリア内に存在する移動局を管理するための管理情報であるUE_contextを保持している。上述のようなハンドオーバーが発生すると、移動局がハンドオーバー前に在園していたセルエリアを管理していた基地局および当該基地局に接続されたゲートウェイが保持しているUE_contextを更新する必要がある。すなわち、ハンドオーバーを生じた移動局に対応するUE_contextを解放(release)する必要がある。
【0006】
このようなハンドオーバーのうち、ゲートウェイを介して移動管理機能(Mobility Management Entity:以下「MME」とも称す。)に接続されている基地局から、ゲートウェイを介することなく移動管理管理に接続されている基地局へのハンドオーバー時においては、当該ゲートウェイが保持しているUE_contextが解放されないという課題が指摘されている(非特許文献1参照)。その上で、移動管理機能からのコマンドによって、移動元の基地局および対応するゲートウェイの保持するUE_contextを更新する手続きが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010/098035号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2010/104076号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2011/004599号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Huawei, "Discussion on UE context release in the source HeNB GW for X2 mobility", 3GPP TSG RAN WG3 #70b meeting R3-110107, Dublin, Ireland, Jan 17-21, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したようなUE_context更新に係る手続きによれば、移動元の基地局および対応するゲートウェイの保持するUE_contextの更新が完了した後に、その完了が移動管理機能へ通知される。移動管理機能は、UE_contextの更新完了の通知を待つ必要がある。また、上述した方法では、移動管理機能は、UE_contextを更新するためのコマンドを発行する必要がある。そのため、従来の方法によれば、移動管理機能での処理負荷が大きくなる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハンドオーバーが発生した場合でも、移動管理機能の処理負荷の増大を抑制できる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に従う通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0012】
本発明の別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、第1の基地局が提供する第1のセルエリアから第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、第1の基地局が当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信するステップとを含む。
【0013】
本発明のさらに別の局面に従えば、セルエリアを提供する基地局に向けられる。基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイに接続されており、ゲートウェイは、移動局の位置を管理する管理装置と接続されている。基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する手段と、移動局の管理主体が自局から他の基地局へ変更されたことに応答して、保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する手段とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置に向けられる。管理装置には、ゲートウェイを介して第1の基地局が接続されるとともに、第2のセルエリアを提供する第2の基地局が直接接続される。第1の基地局は、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する。ゲートウェイは、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。管理装置は、第1のセルエリアから第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する手段を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドオーバーが発生した場合でも、移動管理機能の処理負荷の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態において想定されている通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う移動局(UE)の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う基地局(HeNB)の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従うゲートウェイの概略構成を示すブロック図である。
【図5】現行規格下における図1に示すハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図6】提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。
【図7】提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図12】本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図16】本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図20】本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<1.全体システム構成>
まず、本発明の実施の形態が適用される通信システムの典型例について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態において想定されている通信システム1の構成を示す模式図である。典型的な一例として、通信システム1は、LTE方式またはLTE−A方式に従う通信方式をサポートしているとする。
【0020】
図1を参照して、通信システム1は、移動局(User Equipment:以下「UE」とも称す。)100と、複数の小型の発展型基地局(Home evolved Node B:以下「HeNB」とも称す。)200−1〜200−3と、ゲートウェイ300と、移動管理機能(Mobility Management Entity:以下「MME」とも称す。)400と、コアネットワーク500とを含む。なお、図1には、例示的に、HeNBから構成される通信システム1を示すが、HeNBに代えて、あるいは、HeNBに加えて、通常の発展型基地局(evolved Node B:以下「eNB」とも称す。)を含むような構成であってもよい。eNBおよびHeNBを総称して、単に「基地局」と称する場合もある。
【0021】
UE100は、典型的には、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、データ通信端末などであり、いずれかのHeNBを介して相手先とデータを遣り取りする。
【0022】
HeNB200−1〜200−3(以下「HeNB200」とも総称する。)は、セルエリア250−1〜250−3をそれぞれ提供する。なお、隣接するセルエリアは、互いに重なり合うように設定される。HeNB200の各々は、自局が提供するセルエリア内のUE100を管理するための管理情報を保持する。この管理情報は、典型的には、UE_contextである。典型的には、UE100毎にUE_contextが生成され、各UE_contextは、UE100と特定するための識別情報(identifier)やIP(Internet Protocol)アドレスなどを含む。
【0023】
HeNB200−1〜200−3は、UE100のハンドオーバーをサポートするため、他のHeNBとの間でX2インターフェイスを有しているとする。
【0024】
ゲートウェイ300は、HeNB200とMME400との間に配置され、HeNB200の間のデータ通信および/またはHeNB200とMME400との間のデータ通信を仲介する。ゲートウェイ300についても、自局に接続されているHeNB200が提供するセルエリア内のUE100を管理するための管理情報を保持する。この管理情報についても、典型的には、UE_contextである。
【0025】
図1に示す通信システム1においては、HeNB200−1および200−3のみがゲートウェイ300に接続されているので、ゲートウェイ300は、HeNB200−1または200−3が保持する管理情報と実質的に同じ管理情報を保持する。
【0026】
MME400は、コアネットワーク500に接続されるとともに、ゲートウェイ300またはHeNB200と接続される。MME400は、UE100の位置を管理する。MME400は、UE100の存在する位置に応じてデータを適切にルーティングすることで、UE100と相手先との間の通話および/または通信を実現する。より具体的には、MME400は、パケット通信用のセッション(接続)の設定・解放や、ハンドオーバー(基地局の切換)といった制御を行なう。
【0027】
このようなMME400の機能によって、異なるセルエリア内に存在するUE100同士での通話および/または通信が可能となる。なお、LTE方式またはLTE−A方式では、コアネットワーク500は、すべての情報がパケット化されたネットワークとなることが想定されている。
【0028】
通常、UE100はユーザによって担持されており、ユーザの移動に伴って、セルエリア間を移動する。たとえば、図1に示すように、HeNB200−1が提供するセルエリア250−1内に存在していたUE100が、HeNB200−2が提供するセルエリア250−2内に移動すると、HeNB200−1とHeNB200−2との間で、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理が実行される。このハンドオーバー処理が完了すると、その完了はMME400へ送信される。そして、MME400は、UE100の管理情報を更新する。
【0029】
以下の説明においては、ハンドオーバー前にUE100が存在していたセルエリアを提供するHeNB200を「ソースHeNB」と称し、UE100がハンドオーバーした先のセルエリアを提供するHeNB200を「ターゲットHeNB」とも称す。また、あるハンドオーバー動作において、ソースHeNBとなったHeNB200にゲートウェイ300が接続されている場合には、当該ゲートウェイ300を「ソースHeNB_GW」とも称す。
【0030】
<2.装置構成>
次に、図1に示す通信システム1を構成する各装置について説明する。
【0031】
(2−1:移動局(UE)の構成)
まず、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるUE100の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に従う移動局(UE)100の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図2を参照して、UE100は、無線信号を送信するための送信アンテナ114と、無線信号を受信するための受信アンテナ118とが設けられた筐体130を含む。筐体130は、中央処理部102と、信号処理部106と、無線送信部112と、無線受信部116とを含む。
【0033】
中央処理部102は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。
【0034】
なお、中央処理部102によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部102によって提供される機能に加えて、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoC(System On a Chip)を利用することもできる。
【0035】
代替の構成として、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)といった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0036】
信号処理部106は、自装置が存在するセルエリアを管理するHeNB200との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部106は、中央処理部102などから与えられる内部指令に従って、HeNB200へ送信すべき情報を無線送信部112へ出力する。無線送信部112は、信号処理部106から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を送信アンテナ114を介して外部へ放射する。また、無線受信部116は受信アンテナ118を介して受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部106へ出力する。
【0037】
筐体130は、さらに、各種情報を表示するための表示部120と、ユーザの音声などを取得するためのマイク122と、受信した音声を再生するためのスピーカ124と、ユーザ操作を受付けるための入力部126とを含む。これらの部位は、典型的には、筐体130から露出するように配置される。
【0038】
(2−2:基地局(HeNB)の構成)
次に、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるHeNB200の構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に従う基地局(HeNB)200の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
図3を参照して、HeNB200は、中央処理部202と、信号処理部206と、無線送信部212と、送信アンテナ214と、無線受信部216と、受信アンテナ218と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)220と、制御インターフェイス(I/F)222とを含む。
【0040】
中央処理部202は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部202は、ハンドオーバーロジック204と、X2インターフェイスロジック205とを含む。これらのロジックは、典型的には、中央処理部202がプログラムを実行することで提供される。例えば、各ロジックに対応するモジュールが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部202がこれらのモジュールを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0041】
ハンドオーバーロジック204は、少なくとも他の一つのHeNB200との間でハンドオーバーを行なう。このハンドオーバーは、UE100から送信された各種情報に応答して開始される。ハンドオーバーロジック204は、HeNB200の間でのハンドオーバーについては、X2インターフェイスロジック205を動作させる。なお、X2インターフェイスを有さないHeNB200(または、eNB)の間でのハンドオーバーについては、図示しないロジックを用いて、S1インターフェイスに従うハンドオーバー手続きを実行させてもよい。
【0042】
X2インターフェイスロジック205は、自局と他のHeNB200とを直接的に接続した回線を利用してハンドオーバー動作を行なう。
【0043】
ハンドオーバーロジック204は、いずれかのUE100についてハンドオーバーが完了すると、記憶部208に格納されている管理情報(UE_context)を更新する。
【0044】
なお、中央処理部202によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部202によって提供される機能に加えて、信号処理部206、無線送信部212、および、無線受信部216によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoCを利用することもできる。
【0045】
代替の構成として、信号処理部206、無線送信部212、および、無線受信部216によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPUやDSPといった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0046】
信号処理部206は、自局が提供するセルエリア内に存在するUE100との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部206は、中央処理部202などから与えられる内部指令に従って、UE100へ送信すべき情報を無線送信部212へ出力する。無線送信部212は、信号処理部206から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を送信アンテナ214を介して外部へ放射する。また、無線受信部216は受信アンテナ218を介して受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部206へ出力する。
【0047】
上位ネットワークインターフェイス210は、自局を管理するゲートウェイ300またはMME400との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。同様に、制御インターフェイス222は、他のHeNB200との間で制御情報を遣り取りする。
【0048】
(2−3:ゲートウェイ)
次に、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるゲートウェイ300の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に従うゲートウェイ300の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
図4を参照して、ゲートウェイ300は、中央処理部302と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)320と、下位ネットワークインターフェイス(I/F)322−1,322−2,…,322−nとを含む。
【0050】
中央処理部302は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部302は、UE管理ロジック304を含む。このロジックは、典型的には、中央処理部302がプログラムを実行することで提供される。例えば、UE管理ロジック304に対応するモジュールが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部302がこれらのモジュールを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0051】
UE管理ロジック304は、自局が管理しているいずれかのHeNB200からの通知などに基づいて、UE100のセルエリア間の移動などを検知し、この検知結果に基づいて、記憶部308に格納されている管理情報(UE_context)を更新する。
【0052】
なお、中央処理部302によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部202によって提供される機能に加えて、上位ネットワークインターフェイス320、および、下位ネットワークインターフェイス322−1,322−2,…,322−nによって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoCを利用することもできる。
【0053】
上位ネットワークインターフェイス320は、自局を管理するMME4との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。下位ネットワークインターフェイス322−1,322−2,…,322−nは、自局が管理しているHeNB200との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。
【0054】
(2−4:移動管理機能)
本実施の形態に従う通信システム1において利用されるMME400の構成については、図4に示すゲートウェイ300の構成とほぼ同様であるので、詳細な説明は繰返さない。但し、MME400においては、管理情報を保持する記憶部308を設ける必要はない。
【0055】
<3.ハンドオーバーに係る課題>
まず、図1に示すようなハンドオーバーに係る課題について説明する。図1に示す例では、UE100が、ゲートウェイ300に接続されているHeNB200−1が提供するセルエリア250−1からHeNB200−2が提供するセルエリア250−2へ移動する例を示す。ここで、HeNB200−2は、ゲートウェイ300に接続されず、MME400に直接接続されている。
【0056】
LTE方式またはLTE−A方式に係る現行の規格では、このように、ゲートウェイによって管理されているHeNB(ソースHeNB)からゲートウェイによって管理されていない別のHeNB(ターゲットHeNB)へハンドオーバーした場合に、ソースHeNBを管理するソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する方法は定められていない。
【0057】
図5は、現行規格下における図1に示すハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図5を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ200)。
【0058】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ202)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ204)。
【0059】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ206)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ208)。そして、一連の処理が終了する。
【0060】
図5に示すように、現行規格下においては、図1に示すようなハンドオーバーが発生すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する手段がない。そのため、ソースHeNB_GWでは、ソースHeNBが提供するセルエリア内には既に存在しないUE100の管理情報をいつまでも保持することになり得る。
【0061】
<4.ハンドオーバーに係る関連技術およびその課題>
上述したように、LTE方式またはLTE−A方式に係る現行の規格では、ゲートウェイによって管理されているHeNB(ソースHeNB)からゲートウェイによって管理されていない別のHeNB(ターゲットHeNB)へハンドオーバーした場合に、ソースHeNBを管理するソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する方法は定められていない。ゲートウェイが保持するUE100の管理情報(UE_context)を解放しないと、ゲートウェイは、常にUE100に関する情報を管理することになり、UE100が多数存在する場合には、ゲートウェイ300の保持する管理情報が膨大になり処理負荷が大きくなる。また、ゲートウェイ300に要求されるリソース(メモリ容量など)も大きくなり、コストアップにつながる。そのため、必要な管理情報のみを保持し、不要になった管理情報は迅速に解放する必要がある。
【0062】
そこで、非特許文献1では、以下のような提案がなされている。すなわち、ゲートウェイ300に接続されているソースHeNBからゲートウェイ300に接続されていないターゲットHeNBへのハンドオーバー時には、MME400が主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。
【0063】
図6は、提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。図7は、提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0064】
図6および図7を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、ターゲットHeNB、および、MME400の間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ200A)。
【0065】
ハンドオーバー処理が完了すると、上述と同様に、ターゲットHeNBは、Path_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ202)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ204)。続いて、MME400は、ターゲットHeNBが保持する管理情報(UE_context)を解放させるためのUE_Context_ReleaseコマンドをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ220)。
【0066】
ターゲットHeNBは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ208)。続いて、ターゲットHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の解放が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ224)。
【0067】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Completeを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ226)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の解放が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをMME400へ送信する(シーケンスSQ228)。
【0068】
以上のような一連の手続きによって、図6に示すようなハンドオーバーが生じても、ソースHeNB_GWに不要な管理情報が残らないようにする。
【0069】
上述したように、非特許文献1に開示される方法では、MME400が主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新する。しかしながら、この方法では、以下のような課題が生じ得る。
【0070】
すなわち、MME400は、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeによって、ソースHeNB_GWにおける管理情報の更新の完了を検知するので、時間を要する。すなわち、MME400がゲートウェイ300の保持する管理情報が更新されたことを把握するまでに比較的長い時間を要する。また、MME400は、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeを受信するまで待機する必要がある。
【0071】
これらの理由によって、MME400における処理負荷が大きくなり得る。また、MME400では多数のUE100を管理する必要があるので、図6および図7に示すような手続きを実現するためには、MME400のリソースを大きくする必要がある。そこで、本実施の形態においては、後述するような解決手段を採用した。
【0072】
<5.実施の形態1>
実施の形態1に従う通信システムにおいては、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0073】
図8は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。図9は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0074】
図8および図9に示す手続きは、図5に示す手続きと比較して、ソースHeNBがPath_Switch_Requestを受信すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するためのメッセージを送信する点が異なっている。すなわち、実施の形態1に従う通信システムでは、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWの保持する管理情報を更新するための手段を有している。
【0075】
より具体的には、図8および図9を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ100)。
【0076】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ102)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ104)。
【0077】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ106)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、保持している管理情報を更新するためのメッセージであるUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ108)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Indicationを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。この管理情報の更新処理は、ハンドオーバーしたUE100を管理対象から除外するための処理である。より具体的には、ハンドオーバーしたUE100に対応するUE_contextを削除する方法、ソースHeNBのセルエリア外にUE100が移動したことを示す情報(フラグなど)を付加する方法、UE100を管理するための管理情報の内容を保存し直す方法などが挙げられる。
【0078】
また、ソースHeNBは、UE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信した後に、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。この管理情報の更新処理は、上述したソースHeNB_GWの場合と同様に、ハンドオーバーしたUE100を管理対象から除外するための処理である。より具体的には、ハンドオーバーしたUE100に対応するUE_contextを削除する方法、ソースHeNBのセルエリア外にUE100が移動したことを示す情報(フラグなど)を付加する方法、UE100を管理するための管理情報の内容を保存し直す方法などが挙げられる。
【0079】
このように、実施の形態1においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信した後に、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新する。
【0080】
次に、図8および図9に示すような手続きを実現するためのソースHeNBにおける処理について説明する。
【0081】
図10は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図10を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS100)。この所定条件は、ネットワーク(MME400など)によって予め設定されている。このような所定条件としては、「他のセルエリア(ターゲットHeNBが提供)における受信レベルが、在園しているセルエリア(ソースHeNBが提供)における受信レベルに比較して高い」といったものが想定される。このような条件は、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへUE100が移動したような場合に満足される。もちろん、通信環境によっては、ソースHeNBが提供するセルエリア内にUE100が在園しているが、ターゲットHeNBからの信号をより高いレベルで受信できる場合なども存在し、このような場合にも、ハンドオーバー処理は開始される。すなわち、ステップS100の処理は、UE100から後述するハンドオーバー処理の契機となる報告がUE100から通知されたか否かを判断するものである。
【0082】
いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS100においてNOの場合)には、ステップS100の処理が繰返される。
【0083】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS100においてYESの場合)には、HeNB200は、報告元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS102)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS104)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS104においてNOの場合)には、ステップS104の処理が繰返される。
【0084】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS104においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS106)。続いて、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS108)。そして、一連の処理は終了する。
【0085】
上述したように、実施の形態1においては、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間のメッセージ伝送についての信頼性は十分に確保されているため、UE_Context_Release_CompleteのMME400への送信が省略される。これにより、図7に示すようなMME400がUE_Context_Release_Completeを受信するまで待機する必要はない。また、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWに対して、保持している管理情報を更新するためのメッセージのみを送信すれば十分である。そのため、MME400およびソースHeNBのいずれとも処理負荷を軽減できる。
【0086】
また、実施の形態1における手続き全体も単純化されるので、多数のUE100がハンドオーバーした場合でも、管理情報(UE_Context)の更新を迅速に行なうことができる。
【0087】
<6.実施の形態2>
実施の形態2に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0088】
図11は、本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図11に示す手続きは、図9に示す手続きと比較して、ソースHeNBがUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信するタイミングが異なっている。すなわち、実施の形態2においては、ソースHeNBは、自局が保持する管理情報のうち、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新した後に、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信する。
【0089】
より具体的には、図11のシーケンスSQ100〜SQ106は、図9のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。その後、ソースHeNBは、保持している管理情報を更新するためのメッセージであるUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ108A)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Indicationを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。
【0090】
なお、シーケンスSQ108Aにおいて送信されるUE_Context_Release_Indicationには、ソースHeNBがシーケンスSQ110において更新した管理情報の内容が反映されてもよい。すなわち、ソースHeNBは、更新後のUE_contextの内容に基づいて、UE_Context_Release_Indicationを生成する。このUE_Context_Release_Indicationには、管理情報のうち変更された部分のみを含めてもよいし、変更されていない部分も加えてソースHeNBが保持するすべての管理情報を含めてもよい。このように、ソースHeNBにおける更新後の管理情報がソースHeNB_GWへ送信されることで、送信される情報量を増加し得るが、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を、ソースHeNBにおける更新後の管理情報と一致させる(同期させる)ことができる。
【0091】
図12は、本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図12を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS200)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS200においてNOの場合)には、ステップS200の処理が繰返される。
【0092】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS200においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS202)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS204)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS204においてNOの場合)には、ステップS204の処理が繰返される。
【0093】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS204においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS206)。続いて、HeNB200は、更新後の管理情報に基づいてUE_Context_Release_Indicationを生成し(ステップS208)、生成したUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS210)。そして、一連の処理は終了する。
【0094】
実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBは、自局で更新した管理情報(UE_context)に基づいて、UE_Context_Release_Indicationを生成し、ソースHeNB_GWへ送信するため、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間で管理情報を同期させることができる。
【0095】
また、ソースHeNB_GWから見れば、UE_Context_Release_Indicationを受信した時点では、自局が管理しているHeNBにおいては既に管理情報が更新されていることが保証されるので、HeNBの状態を考慮することなく、管理情報を更新できる。そのため、HeNBの状態の考慮に必要な処理を省略できる。
【0096】
<7.実施の形態3>
実施の形態3に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0097】
実施の形態3においては、ソースHeNB_GWから管理情報の更新の完了が通知されたことに応答して、ソースHeNBが自局の管理情報を更新する。すなわち、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報が更新されたとのソースHeNB_GWからの通知に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新する。
【0098】
図13は、本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図13のシーケンスSQ100〜SQ106は、図9のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、保持している管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ107)。UE_Context_Releaseコマンドは、管理情報を更新するための命令コードと、管理情報の更新を通知させるための命令コードとを含み得る。
【0099】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ111)。
【0100】
ソースHeNBは、UE_Context_Release_Completeを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。そして、一連の処理は終了する。
【0101】
図14は、本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図14を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS300)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS300においてNOの場合)には、ステップS300の処理が繰返される。
【0102】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS300においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS302)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS304)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS304においてNOの場合)には、ステップS304の処理が繰返される。
【0103】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS304においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS306)。続いて、HeNB200は、ソースHeNB_GWからUE_Context_Release_Completeを受信したか否かを判断する(ステップS308)。UE_Context_Release_Completeを受信していない場合(ステップS308においてNOの場合)には、ステップS308の処理が繰返される。
【0104】
UE_Context_Release_Completeを受信した場合(ステップS308においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS310)。そして、一連の処理は終了する。
【0105】
実施の形態3によれば、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が完了したことに応答して、自局の管理情報を更新する。そのため、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間で管理情報を同期させることができる。すなわち、ソースHeNBから見れば、ソースHeNB_GWにおける管理情報が更新されたことが保証された状態で、自局の管理情報を更新できる。また、ソースHeNB_GWから見れば、HeNBの状態を考慮することなく、管理情報を更新できる。そのため、HeNBの状態の考慮に必要な処理を省略できる。
【0106】
<8.実施の形態4>
実施の形態4に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0107】
図15は、本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図15に示す手続きは、図13に示す実施の形態3に従う手続きと比較して、ソースHeNBがUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信するタイミングが異なっている。すなわち、実施の形態4においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信した後に、ソースHeNB_GWからの管理情報が更新されたとの通知を待つ。
【0108】
より具体的には、図15のシーケンスSQ100〜SQ106は、図13のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。その後、ソースHeNBは、保持している管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ107)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ111)。そして、一連の処理は終了する。
【0109】
なお、シーケンスSQ107において送信されるUE_Context_Releaseコマンドには、ソースHeNBがシーケンスSQ110において更新した管理情報の内容が反映されてもよい。すなわち、ソースHeNBは、更新後のUE_contextの内容に基づいて、UE_Context_Releaseコマンドを生成する。このUE_Context_Releaseコマンドには、管理情報のうち変更された部分のみを含めてもよいし、変更されていない部分も加えてソースHeNBが保持するすべての管理情報を含めてもよい。このように、ソースHeNBにおける更新後の管理情報がソースHeNB_GWへ送信されることで、送信される情報量を増加し得るが、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を、ソースHeNBにおける更新後の管理情報と一致させる(同期させる)ことができる。
【0110】
図16は、本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図16を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS400)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS400においてNOの場合)には、ステップS400の処理が繰返される。
【0111】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS400においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS402)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS404)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS404においてNOの場合)には、ステップS404の処理が繰返される。
【0112】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS404においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS406)。続いて、HeNB200は、更新後の管理情報に基づいてUE_Context_Releaseコマンドを生成し(ステップS408)、生成したUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS410)。そして、一連の処理は終了する。
【0113】
実施の形態4によれば、上述した実施の形態2と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新したことを確認できる。そのため、万が一、通信エラーなどが発生し、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が適切に実行されなかった場合であっても、それを修正することもできる。
【0114】
<9.実施の形態4の変形例>
図15に示す実施の形態4においては、ソースHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新した後に、管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する。これに代えて、ソースHeNBは、管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信した後に、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報を更新してもよい(図15の破線で示したブロック参照)。
【0115】
実施の形態4の変形例に従うより詳細な処理は、上述の実施の形態4を参照すれば容易に理解できるので、これ以上の説明は行なわない。
【0116】
実施の形態4の変形例によれば、上述した実施の形態4と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBとソースHeNB_GWとが並列的に管理情報を更新するので、一連の処理に要する時間を短縮できる。
【0117】
<10.実施の形態5>
実施の形態5に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0118】
実施の形態5においては、上述の実施の形態3、実施の形態4、および実施の形態4の変形例において、さらに、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が完了したことに応答して、MME400にその旨を通知する。すなわち、実施の形態5においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報が更新されたとのソースHeNB_GWからの通知に応答して、管理情報の更新の完了をMME400へ送信する。
【0119】
図17は、本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図17に示す手続きは、図13に示す手続きと比較して、ソースHeNBが自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新(シーケンスSQ110)した後の処理が異なっている。
【0120】
より具体的には、ソースHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新(シーケンスSQ110)した後、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeに基づいて、UE_Context_Release_IndicationをMME400へ送信する(シーケンスSQ115)。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWから土に応答して、ソースHeNBおよびソースHeNB_GWでの管理情報の更新が完了したことをMME400へ通知する。
【0121】
図18は、本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図18を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されているか否かを判断する(ステップS500)。いずれのUE100からもセルエリア外への移動が通知されていない場合(ステップS500においてNOの場合)には、ステップS500の処理が繰返される。
【0122】
いずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されている場合(ステップS500においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS502)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS504)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS504においてNOの場合)には、ステップS504の処理が繰返される。
【0123】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS504においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS506)。続いて、HeNB200は、ソースHeNB_GWからUE_Context_Release_Completeを受信したか否かを判断する(ステップS508)。UE_Context_Release_Completeを受信していない場合(ステップS508においてNOの場合)には、ステップS508の処理が繰返される。
【0124】
UE_Context_Release_Completeを受信した場合(ステップS508においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS510)。続いて、HeNB200は、UE_Context_Release_IndicationをMME400へ送信する(シーケンスSQ512)。そして、一連の処理は終了する。
【0125】
なお、実施の形態5に従う通信システムにおいては、図15に示す実施の形態4または実施の形態4の変形例に従う通信システムと同様に、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信(シーケンスSQ107)する前または後に、ソースHeNBが自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報を更新するようにしてもよい。
【0126】
実施の形態5によれば、上述した実施の形態3、実施の形態4、または実施の形態4の変形例と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、MME400から見れば、ソースHeNBおよびソースHeNB_GWにおいて管理情報が更新されたことを明示的に検知することができる。そのため、MME400による管理とソースHeNBおよびソースHeNB_GWとの間の整合性を維持することができる。
【0127】
<11.実施の形態6>
上述の実施の形態1〜5においては、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新する例を示した。これに対して、次に述べる実施の形態6においては、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新するための契機をMME400が通知する例を示す。
【0128】
実施の形態6に従う通信システムにおいては、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するための情報をMME400が通知する。一方で、ソースHeNBが保持する管理情報(UE_context)については、従来の手続きに従って更新される。すなわち、MME400は、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、ソースHeNBが管理情報を更新したとの通知とは独立して、UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、ソースHeNBを管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0129】
図19は、本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0130】
図19に示す手続きは、図5に示す手続きと比較して、MME400がPath_Switch_Requestを受信すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するためのメッセージを送信する点が異なっている。すなわち、実施の形態6に従う通信システムでは、MME400は、ソースHeNB_GWの保持する管理情報を更新するための手段を有している。
【0131】
より具体的には、図19を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ100)。
【0132】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ102)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ104)。
【0133】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ106)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。
【0134】
MME400は、上述したPath_Switch_Request_ACKの送信に引き続いて、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新させるためのUE_Context_Release_RequestをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ109)。このUE_Context_Release_Requestは、ソースHeNB_GWに接続されたソースHeNBが提供するセルエリアの外へ移動したUE100を特定するための情報を含む。
【0135】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをMME400へ送信する(シーケンスSQ113)。このソースHeNB_GWによる管理情報の更新(解放)を示す応答メッセージのMME400への送信は、省略してもよい。
【0136】
次に、図19に示すような手続きを実現するためのソースHeNBにおける処理について説明する。
【0137】
図20は、本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図20を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されているか否かを判断する(ステップS600)。いずれのUE100からもセルエリア外への移動が通知されていない場合(ステップS600においてNOの場合)には、ステップS600の処理が繰返される。
【0138】
いずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されている場合(ステップS600においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS602)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS604)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS604においてNOの場合)には、ステップS604の処理が繰返される。
【0139】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS604においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS606)。そして、一連の処理は終了する。
【0140】
実施の形態6においては、Path_Switch_Requestに係る手続きによって、UE100のハンドオーバー動作はターゲットHeNBの管理下におかれるので、この手続きとは独立した手続きをMME400が実行しても、ソースHeNB_GWによる管理情報の更新を確実に行なうことができる。これにより、MME400は、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)の更新を確実化する。
【0141】
また、実施の形態6に従う手続きは、従来のLTEマクロセルにおけるハンドオーバー手続きに対する変更点が少なくて済むため、実装が容易化する。
【0142】
<12.まとめ>
本実施の形態は、LTE方式またはLTE−A方式のシステムにおいて、移動局(UE)が基地局(HeNB)と通信中に、他のHeNBへハンドオーバーしたときに、元のHeNB(ソースHeNB)を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)の保持する当該UEに関する管理情報を更新する提供する。
【0143】
上述した実施の形態1〜6のいずれかの方法を採用することで、多数のUEがハンドオーバーを行なった場合であっても、処理時間を短縮するとともに、管理装置(MME)の処理負荷を分散および低減することができる。
【0144】
すなわち、本実施の形態によれば、ソースHeNBに一部の負荷を分担させることで、MMEが分担する負荷を削減できる。そのため、複数のUEが一斉にハンドオーバーした場合であっても、各UEに対応するソースHeNBがそれぞれ分散して処理するので、全体としては効率を高めることができる。
【0145】
また、本実施の形態によれば、管理装置(MME)で保持している管理情報をより迅速に更新することができる。さらに、ソースHeNB_GWが保持している管理情報についても、より迅速に更新することができる。
【0146】
また、本実施の形態によれば、UEがハンドオーバーしたことを、ソースHeNBが管理装置(MME)より先に検知するので、一連の手続きをより高速に完了できる。
【0147】
上述の実施の形態においては、小型の発展型無線基地局(HeNB)同士のハンドオーバー動作に着目して説明したが、本発明の対象となる基地局としては、小型の発展型無線基地局(HeNB)に限られることなく、マクロセルを提供する通常の発展型基地局(eNB)や他の種類の基地局に関係するハンドオーバー動作に適用することもできる。
【0148】
<13.その他の局面>
本発明のある局面に従う通信方法は、以下のようないくつかの好ましい形態を含む。
【0149】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信した後に、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。
【0150】
好ましくは、第1の基地局は、自局が保持する管理情報のうち、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新した後に、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0151】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報が更新されたとのゲートウェイからの通知に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。
【0152】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信した後に、ゲートウェイからの管理情報が更新されたとの通知を待つ。
【0153】
さらに好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報が更新されたとのゲートウェイからの通知に応答して、管理情報の更新を管理装置へ送信する。
【0154】
本発明の別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。管理装置は、第1のセルエリアから第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0155】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、第1の基地局が提供する第1のセルエリアから第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、移動局の管理主体が第1の基地局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、管理装置が、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信するステップとを含む。
【0156】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0157】
1 通信システム、100 移動局(UE)、102,202,302 中央処理部、106,206 信号処理部、112,212 無線送信部、114,214 送信アンテナ、116,216 無線受信部、118,218 受信アンテナ、120 表示部、122 マイク、124 スピーカ、126 入力部、130 筐体、200 小型の発展型基地局(HeNB)、204 ハンドオーバーロジック、205 インターフェイスロジック、208,308 記憶部、210,320 上位ネットワークインターフェイス、222 制御インターフェイス、250 セルエリア、300 ゲートウェイ、304 管理ロジック、322−1,322−2,…,322−n 下位ネットワークインターフェイス、400 MME、500 コアネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と接続されたゲートウェイを含む通信システム、そのシステムにおける通信方法、そのシステムに向けられた基地局、および、そのシステムに向けられた管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)は、次世代通信方式である、LTE(Long Term Evolution)、および、LTEを発展させた規格であるLTE−A(LTE-Advanced)において、通常の発展型基地局(evolved Node B:以下「eNB」とも称す。)に加えて、小型の発展型基地局(Home evolved Node B:以下「HeNB」とも称す。)の導入について検討を進めている。このHeNBは、主として、サービスエリアの拡張および個人使用等を目的とするものである。
【0003】
典型的には、eNBまたはHeNBによって提供されるセルエリア間を移動局(User Equipment:以下「UE」とも称す。)が移動した場合には、ハンドオーバーが生じる。特許文献1〜3は、このようなハンドオーバーに関する手続きの一例を開示する。
【0004】
このようなハンドオーバーをサポートするために、LTE方式またはLTE−A方式においては、S1インターフェイスおよびX2インターフェイスの2種類が用意される。S1インターフェイスは、各基地局と対応するゲートウェイとの間のそれぞれの制御チャネルを利用してハンドオーバーを行なうものである。このS1インターフェイスを用いたハンドオーバーは、コアネットワークを介して制御情報の遣り取りが必要となるため、ネットワーク負荷が相対的に大きくなる。これに対して、X2インターフェイスは、基地局間を疑似的に直接接続して、コアネットワークでのデータ処理を介さずにハンドオーバーを行なうものである。そのため、ネットワーク負荷が相対的に小さくて済む。
【0005】
一方で、基地局および基地局に接続されたゲートウェイは、自身が管理するセルエリア内に存在する移動局を管理するための管理情報であるUE_contextを保持している。上述のようなハンドオーバーが発生すると、移動局がハンドオーバー前に在園していたセルエリアを管理していた基地局および当該基地局に接続されたゲートウェイが保持しているUE_contextを更新する必要がある。すなわち、ハンドオーバーを生じた移動局に対応するUE_contextを解放(release)する必要がある。
【0006】
このようなハンドオーバーのうち、ゲートウェイを介して移動管理機能(Mobility Management Entity:以下「MME」とも称す。)に接続されている基地局から、ゲートウェイを介することなく移動管理管理に接続されている基地局へのハンドオーバー時においては、当該ゲートウェイが保持しているUE_contextが解放されないという課題が指摘されている(非特許文献1参照)。その上で、移動管理機能からのコマンドによって、移動元の基地局および対応するゲートウェイの保持するUE_contextを更新する手続きが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010/098035号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2010/104076号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2011/004599号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Huawei, "Discussion on UE context release in the source HeNB GW for X2 mobility", 3GPP TSG RAN WG3 #70b meeting R3-110107, Dublin, Ireland, Jan 17-21, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したようなUE_context更新に係る手続きによれば、移動元の基地局および対応するゲートウェイの保持するUE_contextの更新が完了した後に、その完了が移動管理機能へ通知される。移動管理機能は、UE_contextの更新完了の通知を待つ必要がある。また、上述した方法では、移動管理機能は、UE_contextを更新するためのコマンドを発行する必要がある。そのため、従来の方法によれば、移動管理機能での処理負荷が大きくなる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハンドオーバーが発生した場合でも、移動管理機能の処理負荷の増大を抑制できる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に従う通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0012】
本発明の別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、第1の基地局が提供する第1のセルエリアから第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、第1の基地局が当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信するステップとを含む。
【0013】
本発明のさらに別の局面に従えば、セルエリアを提供する基地局に向けられる。基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイに接続されており、ゲートウェイは、移動局の位置を管理する管理装置と接続されている。基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する手段と、移動局の管理主体が自局から他の基地局へ変更されたことに応答して、保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する手段とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置に向けられる。管理装置には、ゲートウェイを介して第1の基地局が接続されるとともに、第2のセルエリアを提供する第2の基地局が直接接続される。第1の基地局は、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する。ゲートウェイは、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。管理装置は、第1のセルエリアから第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する手段を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドオーバーが発生した場合でも、移動管理機能の処理負荷の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態において想定されている通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う移動局(UE)の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う基地局(HeNB)の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従うゲートウェイの概略構成を示すブロック図である。
【図5】現行規格下における図1に示すハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図6】提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。
【図7】提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図12】本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図16】本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【図20】本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<1.全体システム構成>
まず、本発明の実施の形態が適用される通信システムの典型例について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態において想定されている通信システム1の構成を示す模式図である。典型的な一例として、通信システム1は、LTE方式またはLTE−A方式に従う通信方式をサポートしているとする。
【0020】
図1を参照して、通信システム1は、移動局(User Equipment:以下「UE」とも称す。)100と、複数の小型の発展型基地局(Home evolved Node B:以下「HeNB」とも称す。)200−1〜200−3と、ゲートウェイ300と、移動管理機能(Mobility Management Entity:以下「MME」とも称す。)400と、コアネットワーク500とを含む。なお、図1には、例示的に、HeNBから構成される通信システム1を示すが、HeNBに代えて、あるいは、HeNBに加えて、通常の発展型基地局(evolved Node B:以下「eNB」とも称す。)を含むような構成であってもよい。eNBおよびHeNBを総称して、単に「基地局」と称する場合もある。
【0021】
UE100は、典型的には、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、データ通信端末などであり、いずれかのHeNBを介して相手先とデータを遣り取りする。
【0022】
HeNB200−1〜200−3(以下「HeNB200」とも総称する。)は、セルエリア250−1〜250−3をそれぞれ提供する。なお、隣接するセルエリアは、互いに重なり合うように設定される。HeNB200の各々は、自局が提供するセルエリア内のUE100を管理するための管理情報を保持する。この管理情報は、典型的には、UE_contextである。典型的には、UE100毎にUE_contextが生成され、各UE_contextは、UE100と特定するための識別情報(identifier)やIP(Internet Protocol)アドレスなどを含む。
【0023】
HeNB200−1〜200−3は、UE100のハンドオーバーをサポートするため、他のHeNBとの間でX2インターフェイスを有しているとする。
【0024】
ゲートウェイ300は、HeNB200とMME400との間に配置され、HeNB200の間のデータ通信および/またはHeNB200とMME400との間のデータ通信を仲介する。ゲートウェイ300についても、自局に接続されているHeNB200が提供するセルエリア内のUE100を管理するための管理情報を保持する。この管理情報についても、典型的には、UE_contextである。
【0025】
図1に示す通信システム1においては、HeNB200−1および200−3のみがゲートウェイ300に接続されているので、ゲートウェイ300は、HeNB200−1または200−3が保持する管理情報と実質的に同じ管理情報を保持する。
【0026】
MME400は、コアネットワーク500に接続されるとともに、ゲートウェイ300またはHeNB200と接続される。MME400は、UE100の位置を管理する。MME400は、UE100の存在する位置に応じてデータを適切にルーティングすることで、UE100と相手先との間の通話および/または通信を実現する。より具体的には、MME400は、パケット通信用のセッション(接続)の設定・解放や、ハンドオーバー(基地局の切換)といった制御を行なう。
【0027】
このようなMME400の機能によって、異なるセルエリア内に存在するUE100同士での通話および/または通信が可能となる。なお、LTE方式またはLTE−A方式では、コアネットワーク500は、すべての情報がパケット化されたネットワークとなることが想定されている。
【0028】
通常、UE100はユーザによって担持されており、ユーザの移動に伴って、セルエリア間を移動する。たとえば、図1に示すように、HeNB200−1が提供するセルエリア250−1内に存在していたUE100が、HeNB200−2が提供するセルエリア250−2内に移動すると、HeNB200−1とHeNB200−2との間で、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理が実行される。このハンドオーバー処理が完了すると、その完了はMME400へ送信される。そして、MME400は、UE100の管理情報を更新する。
【0029】
以下の説明においては、ハンドオーバー前にUE100が存在していたセルエリアを提供するHeNB200を「ソースHeNB」と称し、UE100がハンドオーバーした先のセルエリアを提供するHeNB200を「ターゲットHeNB」とも称す。また、あるハンドオーバー動作において、ソースHeNBとなったHeNB200にゲートウェイ300が接続されている場合には、当該ゲートウェイ300を「ソースHeNB_GW」とも称す。
【0030】
<2.装置構成>
次に、図1に示す通信システム1を構成する各装置について説明する。
【0031】
(2−1:移動局(UE)の構成)
まず、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるUE100の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に従う移動局(UE)100の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図2を参照して、UE100は、無線信号を送信するための送信アンテナ114と、無線信号を受信するための受信アンテナ118とが設けられた筐体130を含む。筐体130は、中央処理部102と、信号処理部106と、無線送信部112と、無線受信部116とを含む。
【0033】
中央処理部102は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。
【0034】
なお、中央処理部102によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部102によって提供される機能に加えて、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoC(System On a Chip)を利用することもできる。
【0035】
代替の構成として、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)といった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0036】
信号処理部106は、自装置が存在するセルエリアを管理するHeNB200との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部106は、中央処理部102などから与えられる内部指令に従って、HeNB200へ送信すべき情報を無線送信部112へ出力する。無線送信部112は、信号処理部106から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を送信アンテナ114を介して外部へ放射する。また、無線受信部116は受信アンテナ118を介して受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部106へ出力する。
【0037】
筐体130は、さらに、各種情報を表示するための表示部120と、ユーザの音声などを取得するためのマイク122と、受信した音声を再生するためのスピーカ124と、ユーザ操作を受付けるための入力部126とを含む。これらの部位は、典型的には、筐体130から露出するように配置される。
【0038】
(2−2:基地局(HeNB)の構成)
次に、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるHeNB200の構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に従う基地局(HeNB)200の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
図3を参照して、HeNB200は、中央処理部202と、信号処理部206と、無線送信部212と、送信アンテナ214と、無線受信部216と、受信アンテナ218と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)220と、制御インターフェイス(I/F)222とを含む。
【0040】
中央処理部202は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部202は、ハンドオーバーロジック204と、X2インターフェイスロジック205とを含む。これらのロジックは、典型的には、中央処理部202がプログラムを実行することで提供される。例えば、各ロジックに対応するモジュールが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部202がこれらのモジュールを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0041】
ハンドオーバーロジック204は、少なくとも他の一つのHeNB200との間でハンドオーバーを行なう。このハンドオーバーは、UE100から送信された各種情報に応答して開始される。ハンドオーバーロジック204は、HeNB200の間でのハンドオーバーについては、X2インターフェイスロジック205を動作させる。なお、X2インターフェイスを有さないHeNB200(または、eNB)の間でのハンドオーバーについては、図示しないロジックを用いて、S1インターフェイスに従うハンドオーバー手続きを実行させてもよい。
【0042】
X2インターフェイスロジック205は、自局と他のHeNB200とを直接的に接続した回線を利用してハンドオーバー動作を行なう。
【0043】
ハンドオーバーロジック204は、いずれかのUE100についてハンドオーバーが完了すると、記憶部208に格納されている管理情報(UE_context)を更新する。
【0044】
なお、中央処理部202によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部202によって提供される機能に加えて、信号処理部206、無線送信部212、および、無線受信部216によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoCを利用することもできる。
【0045】
代替の構成として、信号処理部206、無線送信部212、および、無線受信部216によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPUやDSPといった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0046】
信号処理部206は、自局が提供するセルエリア内に存在するUE100との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部206は、中央処理部202などから与えられる内部指令に従って、UE100へ送信すべき情報を無線送信部212へ出力する。無線送信部212は、信号処理部206から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を送信アンテナ214を介して外部へ放射する。また、無線受信部216は受信アンテナ218を介して受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部206へ出力する。
【0047】
上位ネットワークインターフェイス210は、自局を管理するゲートウェイ300またはMME400との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。同様に、制御インターフェイス222は、他のHeNB200との間で制御情報を遣り取りする。
【0048】
(2−3:ゲートウェイ)
次に、本実施の形態に従う通信システム1において利用されるゲートウェイ300の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に従うゲートウェイ300の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
図4を参照して、ゲートウェイ300は、中央処理部302と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)320と、下位ネットワークインターフェイス(I/F)322−1,322−2,…,322−nとを含む。
【0050】
中央処理部302は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部302は、UE管理ロジック304を含む。このロジックは、典型的には、中央処理部302がプログラムを実行することで提供される。例えば、UE管理ロジック304に対応するモジュールが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部302がこれらのモジュールを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0051】
UE管理ロジック304は、自局が管理しているいずれかのHeNB200からの通知などに基づいて、UE100のセルエリア間の移動などを検知し、この検知結果に基づいて、記憶部308に格納されている管理情報(UE_context)を更新する。
【0052】
なお、中央処理部302によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部202によって提供される機能に加えて、上位ネットワークインターフェイス320、および、下位ネットワークインターフェイス322−1,322−2,…,322−nによって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoCを利用することもできる。
【0053】
上位ネットワークインターフェイス320は、自局を管理するMME4との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。下位ネットワークインターフェイス322−1,322−2,…,322−nは、自局が管理しているHeNB200との間で、ユーザデータ、制御情報、および管理情報などを遣り取りする。
【0054】
(2−4:移動管理機能)
本実施の形態に従う通信システム1において利用されるMME400の構成については、図4に示すゲートウェイ300の構成とほぼ同様であるので、詳細な説明は繰返さない。但し、MME400においては、管理情報を保持する記憶部308を設ける必要はない。
【0055】
<3.ハンドオーバーに係る課題>
まず、図1に示すようなハンドオーバーに係る課題について説明する。図1に示す例では、UE100が、ゲートウェイ300に接続されているHeNB200−1が提供するセルエリア250−1からHeNB200−2が提供するセルエリア250−2へ移動する例を示す。ここで、HeNB200−2は、ゲートウェイ300に接続されず、MME400に直接接続されている。
【0056】
LTE方式またはLTE−A方式に係る現行の規格では、このように、ゲートウェイによって管理されているHeNB(ソースHeNB)からゲートウェイによって管理されていない別のHeNB(ターゲットHeNB)へハンドオーバーした場合に、ソースHeNBを管理するソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する方法は定められていない。
【0057】
図5は、現行規格下における図1に示すハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図5を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ200)。
【0058】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ202)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ204)。
【0059】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ206)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ208)。そして、一連の処理が終了する。
【0060】
図5に示すように、現行規格下においては、図1に示すようなハンドオーバーが発生すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する手段がない。そのため、ソースHeNB_GWでは、ソースHeNBが提供するセルエリア内には既に存在しないUE100の管理情報をいつまでも保持することになり得る。
【0061】
<4.ハンドオーバーに係る関連技術およびその課題>
上述したように、LTE方式またはLTE−A方式に係る現行の規格では、ゲートウェイによって管理されているHeNB(ソースHeNB)からゲートウェイによって管理されていない別のHeNB(ターゲットHeNB)へハンドオーバーした場合に、ソースHeNBを管理するソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する方法は定められていない。ゲートウェイが保持するUE100の管理情報(UE_context)を解放しないと、ゲートウェイは、常にUE100に関する情報を管理することになり、UE100が多数存在する場合には、ゲートウェイ300の保持する管理情報が膨大になり処理負荷が大きくなる。また、ゲートウェイ300に要求されるリソース(メモリ容量など)も大きくなり、コストアップにつながる。そのため、必要な管理情報のみを保持し、不要になった管理情報は迅速に解放する必要がある。
【0062】
そこで、非特許文献1では、以下のような提案がなされている。すなわち、ゲートウェイ300に接続されているソースHeNBからゲートウェイ300に接続されていないターゲットHeNBへのハンドオーバー時には、MME400が主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。
【0063】
図6は、提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。図7は、提案されている方式に従うハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0064】
図6および図7を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、ターゲットHeNB、および、MME400の間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ200A)。
【0065】
ハンドオーバー処理が完了すると、上述と同様に、ターゲットHeNBは、Path_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ202)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ204)。続いて、MME400は、ターゲットHeNBが保持する管理情報(UE_context)を解放させるためのUE_Context_ReleaseコマンドをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ220)。
【0066】
ターゲットHeNBは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ208)。続いて、ターゲットHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の解放が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ224)。
【0067】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Completeを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を解放する(シーケンスSQ226)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の解放が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをMME400へ送信する(シーケンスSQ228)。
【0068】
以上のような一連の手続きによって、図6に示すようなハンドオーバーが生じても、ソースHeNB_GWに不要な管理情報が残らないようにする。
【0069】
上述したように、非特許文献1に開示される方法では、MME400が主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新する。しかしながら、この方法では、以下のような課題が生じ得る。
【0070】
すなわち、MME400は、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeによって、ソースHeNB_GWにおける管理情報の更新の完了を検知するので、時間を要する。すなわち、MME400がゲートウェイ300の保持する管理情報が更新されたことを把握するまでに比較的長い時間を要する。また、MME400は、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeを受信するまで待機する必要がある。
【0071】
これらの理由によって、MME400における処理負荷が大きくなり得る。また、MME400では多数のUE100を管理する必要があるので、図6および図7に示すような手続きを実現するためには、MME400のリソースを大きくする必要がある。そこで、本実施の形態においては、後述するような解決手段を採用した。
【0072】
<5.実施の形態1>
実施の形態1に従う通信システムにおいては、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0073】
図8は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示す模式図である。図9は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0074】
図8および図9に示す手続きは、図5に示す手続きと比較して、ソースHeNBがPath_Switch_Requestを受信すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するためのメッセージを送信する点が異なっている。すなわち、実施の形態1に従う通信システムでは、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWの保持する管理情報を更新するための手段を有している。
【0075】
より具体的には、図8および図9を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ100)。
【0076】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ102)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ104)。
【0077】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ106)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、保持している管理情報を更新するためのメッセージであるUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ108)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Indicationを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。この管理情報の更新処理は、ハンドオーバーしたUE100を管理対象から除外するための処理である。より具体的には、ハンドオーバーしたUE100に対応するUE_contextを削除する方法、ソースHeNBのセルエリア外にUE100が移動したことを示す情報(フラグなど)を付加する方法、UE100を管理するための管理情報の内容を保存し直す方法などが挙げられる。
【0078】
また、ソースHeNBは、UE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信した後に、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。この管理情報の更新処理は、上述したソースHeNB_GWの場合と同様に、ハンドオーバーしたUE100を管理対象から除外するための処理である。より具体的には、ハンドオーバーしたUE100に対応するUE_contextを削除する方法、ソースHeNBのセルエリア外にUE100が移動したことを示す情報(フラグなど)を付加する方法、UE100を管理するための管理情報の内容を保存し直す方法などが挙げられる。
【0079】
このように、実施の形態1においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信した後に、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新する。
【0080】
次に、図8および図9に示すような手続きを実現するためのソースHeNBにおける処理について説明する。
【0081】
図10は、本発明の実施の形態1に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図10を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS100)。この所定条件は、ネットワーク(MME400など)によって予め設定されている。このような所定条件としては、「他のセルエリア(ターゲットHeNBが提供)における受信レベルが、在園しているセルエリア(ソースHeNBが提供)における受信レベルに比較して高い」といったものが想定される。このような条件は、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへUE100が移動したような場合に満足される。もちろん、通信環境によっては、ソースHeNBが提供するセルエリア内にUE100が在園しているが、ターゲットHeNBからの信号をより高いレベルで受信できる場合なども存在し、このような場合にも、ハンドオーバー処理は開始される。すなわち、ステップS100の処理は、UE100から後述するハンドオーバー処理の契機となる報告がUE100から通知されたか否かを判断するものである。
【0082】
いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS100においてNOの場合)には、ステップS100の処理が繰返される。
【0083】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS100においてYESの場合)には、HeNB200は、報告元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS102)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS104)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS104においてNOの場合)には、ステップS104の処理が繰返される。
【0084】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS104においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS106)。続いて、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS108)。そして、一連の処理は終了する。
【0085】
上述したように、実施の形態1においては、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間のメッセージ伝送についての信頼性は十分に確保されているため、UE_Context_Release_CompleteのMME400への送信が省略される。これにより、図7に示すようなMME400がUE_Context_Release_Completeを受信するまで待機する必要はない。また、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWに対して、保持している管理情報を更新するためのメッセージのみを送信すれば十分である。そのため、MME400およびソースHeNBのいずれとも処理負荷を軽減できる。
【0086】
また、実施の形態1における手続き全体も単純化されるので、多数のUE100がハンドオーバーした場合でも、管理情報(UE_Context)の更新を迅速に行なうことができる。
【0087】
<6.実施の形態2>
実施の形態2に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0088】
図11は、本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図11に示す手続きは、図9に示す手続きと比較して、ソースHeNBがUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信するタイミングが異なっている。すなわち、実施の形態2においては、ソースHeNBは、自局が保持する管理情報のうち、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新した後に、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信する。
【0089】
より具体的には、図11のシーケンスSQ100〜SQ106は、図9のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。その後、ソースHeNBは、保持している管理情報を更新するためのメッセージであるUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ108A)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Indicationを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。
【0090】
なお、シーケンスSQ108Aにおいて送信されるUE_Context_Release_Indicationには、ソースHeNBがシーケンスSQ110において更新した管理情報の内容が反映されてもよい。すなわち、ソースHeNBは、更新後のUE_contextの内容に基づいて、UE_Context_Release_Indicationを生成する。このUE_Context_Release_Indicationには、管理情報のうち変更された部分のみを含めてもよいし、変更されていない部分も加えてソースHeNBが保持するすべての管理情報を含めてもよい。このように、ソースHeNBにおける更新後の管理情報がソースHeNB_GWへ送信されることで、送信される情報量を増加し得るが、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を、ソースHeNBにおける更新後の管理情報と一致させる(同期させる)ことができる。
【0091】
図12は、本発明の実施の形態2に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図12を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS200)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS200においてNOの場合)には、ステップS200の処理が繰返される。
【0092】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS200においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS202)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS204)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS204においてNOの場合)には、ステップS204の処理が繰返される。
【0093】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS204においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS206)。続いて、HeNB200は、更新後の管理情報に基づいてUE_Context_Release_Indicationを生成し(ステップS208)、生成したUE_Context_Release_IndicationをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS210)。そして、一連の処理は終了する。
【0094】
実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBは、自局で更新した管理情報(UE_context)に基づいて、UE_Context_Release_Indicationを生成し、ソースHeNB_GWへ送信するため、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間で管理情報を同期させることができる。
【0095】
また、ソースHeNB_GWから見れば、UE_Context_Release_Indicationを受信した時点では、自局が管理しているHeNBにおいては既に管理情報が更新されていることが保証されるので、HeNBの状態を考慮することなく、管理情報を更新できる。そのため、HeNBの状態の考慮に必要な処理を省略できる。
【0096】
<7.実施の形態3>
実施の形態3に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0097】
実施の形態3においては、ソースHeNB_GWから管理情報の更新の完了が通知されたことに応答して、ソースHeNBが自局の管理情報を更新する。すなわち、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報が更新されたとのソースHeNB_GWからの通知に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新する。
【0098】
図13は、本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図13のシーケンスSQ100〜SQ106は、図9のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、保持している管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ107)。UE_Context_Releaseコマンドは、管理情報を更新するための命令コードと、管理情報の更新を通知させるための命令コードとを含み得る。
【0099】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ111)。
【0100】
ソースHeNBは、UE_Context_Release_Completeを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。そして、一連の処理は終了する。
【0101】
図14は、本発明の実施の形態3に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図14を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS300)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS300においてNOの場合)には、ステップS300の処理が繰返される。
【0102】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS300においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS302)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS304)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS304においてNOの場合)には、ステップS304の処理が繰返される。
【0103】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS304においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS306)。続いて、HeNB200は、ソースHeNB_GWからUE_Context_Release_Completeを受信したか否かを判断する(ステップS308)。UE_Context_Release_Completeを受信していない場合(ステップS308においてNOの場合)には、ステップS308の処理が繰返される。
【0104】
UE_Context_Release_Completeを受信した場合(ステップS308においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS310)。そして、一連の処理は終了する。
【0105】
実施の形態3によれば、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が完了したことに応答して、自局の管理情報を更新する。そのため、ソースHeNBとソースHeNB_GWとの間で管理情報を同期させることができる。すなわち、ソースHeNBから見れば、ソースHeNB_GWにおける管理情報が更新されたことが保証された状態で、自局の管理情報を更新できる。また、ソースHeNB_GWから見れば、HeNBの状態を考慮することなく、管理情報を更新できる。そのため、HeNBの状態の考慮に必要な処理を省略できる。
【0106】
<8.実施の形態4>
実施の形態4に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0107】
図15は、本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図15に示す手続きは、図13に示す実施の形態3に従う手続きと比較して、ソースHeNBがUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信するタイミングが異なっている。すなわち、実施の形態4においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報を更新するための指令をソースHeNB_GWへ送信した後に、ソースHeNB_GWからの管理情報が更新されたとの通知を待つ。
【0108】
より具体的には、図15のシーケンスSQ100〜SQ106は、図13のシーケンスSQ100〜SQ106と同様である。そして、ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。その後、ソースHeNBは、保持している管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ107)。ソースHeNB_GWは、UE_Context_Releaseコマンドを受信すると、そのコマンドに従って、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。続いて、ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ111)。そして、一連の処理は終了する。
【0109】
なお、シーケンスSQ107において送信されるUE_Context_Releaseコマンドには、ソースHeNBがシーケンスSQ110において更新した管理情報の内容が反映されてもよい。すなわち、ソースHeNBは、更新後のUE_contextの内容に基づいて、UE_Context_Releaseコマンドを生成する。このUE_Context_Releaseコマンドには、管理情報のうち変更された部分のみを含めてもよいし、変更されていない部分も加えてソースHeNBが保持するすべての管理情報を含めてもよい。このように、ソースHeNBにおける更新後の管理情報がソースHeNB_GWへ送信されることで、送信される情報量を増加し得るが、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を、ソースHeNBにおける更新後の管理情報と一致させる(同期させる)ことができる。
【0110】
図16は、本発明の実施の形態4に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図16を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100から、所定条件を満たしたとの報告を受信したか否かを判断する(ステップS400)。この所定条件については、上述の実施の形態1において説明したので、詳細な説明は繰返さない。いずれのUE100からも所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信していない場合(ステップS400においてNOの場合)には、ステップS400の処理が繰返される。
【0111】
いずれかのUE100から所定条件を満たしたとの報告を受信したとの報告を受信した場合(ステップS400においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS402)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS404)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS404においてNOの場合)には、ステップS404の処理が繰返される。
【0112】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS404においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS406)。続いて、HeNB200は、更新後の管理情報に基づいてUE_Context_Releaseコマンドを生成し(ステップS408)、生成したUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS410)。そして、一連の処理は終了する。
【0113】
実施の形態4によれば、上述した実施の形態2と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新したことを確認できる。そのため、万が一、通信エラーなどが発生し、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が適切に実行されなかった場合であっても、それを修正することもできる。
【0114】
<9.実施の形態4の変形例>
図15に示す実施の形態4においては、ソースHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新した後に、管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する。これに代えて、ソースHeNBは、管理情報を更新するための命令であるUE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信した後に、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報を更新してもよい(図15の破線で示したブロック参照)。
【0115】
実施の形態4の変形例に従うより詳細な処理は、上述の実施の形態4を参照すれば容易に理解できるので、これ以上の説明は行なわない。
【0116】
実施の形態4の変形例によれば、上述した実施の形態4と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ソースHeNBとソースHeNB_GWとが並列的に管理情報を更新するので、一連の処理に要する時間を短縮できる。
【0117】
<10.実施の形態5>
実施の形態5に従う通信システムにおいては、実施の形態1と同様に、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新する。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、自局を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0118】
実施の形態5においては、上述の実施の形態3、実施の形態4、および実施の形態4の変形例において、さらに、ソースHeNB_GWにおいて管理情報の更新が完了したことに応答して、MME400にその旨を通知する。すなわち、実施の形態5においては、ソースHeNBは、その管理主体がソースHeNBからターゲットHeNBへ変更されたUE100(典型的には、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへ移動したUE100)に関連付けられた管理情報が更新されたとのソースHeNB_GWからの通知に応答して、管理情報の更新の完了をMME400へ送信する。
【0119】
図17は、本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。図17に示す手続きは、図13に示す手続きと比較して、ソースHeNBが自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新(シーケンスSQ110)した後の処理が異なっている。
【0120】
より具体的には、ソースHeNBは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新(シーケンスSQ110)した後、ソースHeNB_GWからのUE_Context_Release_Completeに基づいて、UE_Context_Release_IndicationをMME400へ送信する(シーケンスSQ115)。すなわち、ソースHeNBは、ソースHeNB_GWから土に応答して、ソースHeNBおよびソースHeNB_GWでの管理情報の更新が完了したことをMME400へ通知する。
【0121】
図18は、本発明の実施の形態5に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図18を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されているか否かを判断する(ステップS500)。いずれのUE100からもセルエリア外への移動が通知されていない場合(ステップS500においてNOの場合)には、ステップS500の処理が繰返される。
【0122】
いずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されている場合(ステップS500においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS502)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS504)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS504においてNOの場合)には、ステップS504の処理が繰返される。
【0123】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS504においてYESの場合)には、HeNB200は、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信する(ステップS506)。続いて、HeNB200は、ソースHeNB_GWからUE_Context_Release_Completeを受信したか否かを判断する(ステップS508)。UE_Context_Release_Completeを受信していない場合(ステップS508においてNOの場合)には、ステップS508の処理が繰返される。
【0124】
UE_Context_Release_Completeを受信した場合(ステップS508においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS510)。続いて、HeNB200は、UE_Context_Release_IndicationをMME400へ送信する(シーケンスSQ512)。そして、一連の処理は終了する。
【0125】
なお、実施の形態5に従う通信システムにおいては、図15に示す実施の形態4または実施の形態4の変形例に従う通信システムと同様に、UE_Context_ReleaseコマンドをソースHeNB_GWへ送信(シーケンスSQ107)する前または後に、ソースHeNBが自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報を更新するようにしてもよい。
【0126】
実施の形態5によれば、上述した実施の形態3、実施の形態4、または実施の形態4の変形例と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、MME400から見れば、ソースHeNBおよびソースHeNB_GWにおいて管理情報が更新されたことを明示的に検知することができる。そのため、MME400による管理とソースHeNBおよびソースHeNB_GWとの間の整合性を維持することができる。
【0127】
<11.実施の形態6>
上述の実施の形態1〜5においては、ソースHeNBが主導的に処理を行なうことで、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新する例を示した。これに対して、次に述べる実施の形態6においては、ソースHeNB_GWが保持する管理情報を更新するための契機をMME400が通知する例を示す。
【0128】
実施の形態6に従う通信システムにおいては、ソースHeNBからターゲットHeNBへのハンドオーバー時に、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するための情報をMME400が通知する。一方で、ソースHeNBが保持する管理情報(UE_context)については、従来の手続きに従って更新される。すなわち、MME400は、ソースHeNBが提供するセルエリアからターゲットHeNBが提供するセルエリアへのUE100の移動に応答して、ソースHeNBが管理情報を更新したとの通知とは独立して、UE100に関連付けられた管理情報を更新するための指令を、ソースHeNBを管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)へ送信する。
【0129】
図19は、本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるハンドオーバーに係る手続きを示すシーケンス図である。
【0130】
図19に示す手続きは、図5に示す手続きと比較して、MME400がPath_Switch_Requestを受信すると、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新するためのメッセージを送信する点が異なっている。すなわち、実施の形態6に従う通信システムでは、MME400は、ソースHeNB_GWの保持する管理情報を更新するための手段を有している。
【0131】
より具体的には、図19を参照して、UE100がソースHeNB(HeNB200−1)からターゲットHeNB(HeNB200−2)へ移動すると、UE100、ソースHeNB、およびターゲットHeNBの間で、ハンドオーバー処理(この例では、X2インターフェイスに従うハンドオーバー処理)が実行される(シーケンスSQ100)。
【0132】
ハンドオーバー処理が完了すると、ターゲットHeNBは、UE100へのデータのルーティング情報を更新するためのPath_Switch_RequestをMME400へ送信する(シーケンスSQ102)。MME400は、Path_Switch_Requestを受信すると、自局のルーティング情報を更新するとともに、Path_Switch_Requestの受領を示すPath_Switch_Request_ACKをターゲットHeNBへ送信する(シーケンスSQ104)。
【0133】
ターゲットHeNBは、Path_Switch_Request_ACKを受信すると、Path_Switch_RequestをソースHeNBへ送信する(シーケンスSQ106)。ソースHeNBは、Path_Switch_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ110)。
【0134】
MME400は、上述したPath_Switch_Request_ACKの送信に引き続いて、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)を更新させるためのUE_Context_Release_RequestをソースHeNB_GWへ送信する(シーケンスSQ109)。このUE_Context_Release_Requestは、ソースHeNB_GWに接続されたソースHeNBが提供するセルエリアの外へ移動したUE100を特定するための情報を含む。
【0135】
ソースHeNB_GWは、UE_Context_Release_Requestを受信すると、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(シーケンスSQ112)。ソースHeNB_GWは、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報の更新が完了したことを示すUE_Context_Release_CompleteをMME400へ送信する(シーケンスSQ113)。このソースHeNB_GWによる管理情報の更新(解放)を示す応答メッセージのMME400への送信は、省略してもよい。
【0136】
次に、図19に示すような手続きを実現するためのソースHeNBにおける処理について説明する。
【0137】
図20は、本発明の実施の形態6に従う通信システムにおけるソースHeNBにおける手続きを示すフローチャートである。図20を参照して、HeNB200は、自局が提供しているセルエリアに在園しているいずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されているか否かを判断する(ステップS600)。いずれのUE100からもセルエリア外への移動が通知されていない場合(ステップS600においてNOの場合)には、ステップS600の処理が繰返される。
【0138】
いずれかのUE100からセルエリア外への移動が通知されている場合(ステップS600においてYESの場合)には、HeNB200は、通知元のUE100からのハンドオーバー要求と判断し、対象となる他のHeNB200との間でハンドオーバー処理を実行する(ステップS602)。続いて、HeNB200は、ハンドオーバー処理を実行した他のHeNB200(ターゲットHeNB)からPath_Switch_Requestを受信したか否かを判断する(ステップS604)。Path_Switch_Requestを受信していない場合(ステップS604においてNOの場合)には、ステップS604の処理が繰返される。
【0139】
Path_Switch_Requestを受信した場合(ステップS604においてYESの場合)には、HeNB200は、自局で保持しているハンドオーバーしたUE100に対応する管理情報(UE_context)を更新する(ステップS606)。そして、一連の処理は終了する。
【0140】
実施の形態6においては、Path_Switch_Requestに係る手続きによって、UE100のハンドオーバー動作はターゲットHeNBの管理下におかれるので、この手続きとは独立した手続きをMME400が実行しても、ソースHeNB_GWによる管理情報の更新を確実に行なうことができる。これにより、MME400は、ソースHeNB_GWが保持する管理情報(UE_context)の更新を確実化する。
【0141】
また、実施の形態6に従う手続きは、従来のLTEマクロセルにおけるハンドオーバー手続きに対する変更点が少なくて済むため、実装が容易化する。
【0142】
<12.まとめ>
本実施の形態は、LTE方式またはLTE−A方式のシステムにおいて、移動局(UE)が基地局(HeNB)と通信中に、他のHeNBへハンドオーバーしたときに、元のHeNB(ソースHeNB)を管理するゲートウェイ(ソースHeNB_GW)の保持する当該UEに関する管理情報を更新する提供する。
【0143】
上述した実施の形態1〜6のいずれかの方法を採用することで、多数のUEがハンドオーバーを行なった場合であっても、処理時間を短縮するとともに、管理装置(MME)の処理負荷を分散および低減することができる。
【0144】
すなわち、本実施の形態によれば、ソースHeNBに一部の負荷を分担させることで、MMEが分担する負荷を削減できる。そのため、複数のUEが一斉にハンドオーバーした場合であっても、各UEに対応するソースHeNBがそれぞれ分散して処理するので、全体としては効率を高めることができる。
【0145】
また、本実施の形態によれば、管理装置(MME)で保持している管理情報をより迅速に更新することができる。さらに、ソースHeNB_GWが保持している管理情報についても、より迅速に更新することができる。
【0146】
また、本実施の形態によれば、UEがハンドオーバーしたことを、ソースHeNBが管理装置(MME)より先に検知するので、一連の手続きをより高速に完了できる。
【0147】
上述の実施の形態においては、小型の発展型無線基地局(HeNB)同士のハンドオーバー動作に着目して説明したが、本発明の対象となる基地局としては、小型の発展型無線基地局(HeNB)に限られることなく、マクロセルを提供する通常の発展型基地局(eNB)や他の種類の基地局に関係するハンドオーバー動作に適用することもできる。
【0148】
<13.その他の局面>
本発明のある局面に従う通信方法は、以下のようないくつかの好ましい形態を含む。
【0149】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信した後に、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。
【0150】
好ましくは、第1の基地局は、自局が保持する管理情報のうち、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新した後に、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0151】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報が更新されたとのゲートウェイからの通知に応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。
【0152】
好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信した後に、ゲートウェイからの管理情報が更新されたとの通知を待つ。
【0153】
さらに好ましくは、第1の基地局は、その管理主体が第1の基地局ら第2の基地局へ変更された移動局に関連付けられた管理情報が更新されたとのゲートウェイからの通知に応答して、管理情報の更新を管理装置へ送信する。
【0154】
本発明の別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局の位置を管理する管理装置と、第1のセルエリアを提供するとともに、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置され、第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを含む。第1の基地局は、移動局の管理主体が自局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新する。管理装置は、第1のセルエリアから第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信する。
【0155】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、第1の基地局と管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、第1の基地局が提供する第1のセルエリアから第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの移動局の移動に応答して、第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、移動局の管理主体が第1の基地局から第2の基地局へ変更されたことに応答して、管理装置が、第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令をゲートウェイへ送信するステップとを含む。
【0156】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0157】
1 通信システム、100 移動局(UE)、102,202,302 中央処理部、106,206 信号処理部、112,212 無線送信部、114,214 送信アンテナ、116,216 無線受信部、118,218 受信アンテナ、120 表示部、122 マイク、124 スピーカ、126 入力部、130 筐体、200 小型の発展型基地局(HeNB)、204 ハンドオーバーロジック、205 インターフェイスロジック、208,308 記憶部、210,320 上位ネットワークインターフェイス、222 制御インターフェイス、250 セルエリア、300 ゲートウェイ、304 管理ロジック、322−1,322−2,…,322−n 下位ネットワークインターフェイス、400 MME、500 コアネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
移動局と、
前記移動局の位置を管理する管理装置と、
第1のセルエリアを提供するとともに、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、
前記第1の基地局と前記管理装置との間に配置され、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、
第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを備え、
前記第1の基地局は、前記移動局の管理主体が自局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する、通信システム。
【請求項2】
移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、前記第1の基地局と前記管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法であって、
前記第1の基地局が提供する第1のセルエリアから前記第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの前記移動局の移動に応答して、前記第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、
前記移動局の管理主体が前記第1の基地局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、前記第1の基地局が当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信するステップとを備える、通信方法。
【請求項3】
セルエリアを提供する基地局であって、前記基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイに接続されており、前記ゲートウェイは、移動局の位置を管理する管理装置と接続されており、
前記セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する手段と、
前記移動局の管理主体が自局から他の基地局へ変更されたことに応答して、保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する手段とを備える、基地局。
【請求項4】
移動局の位置を管理する管理装置であって、前記管理装置には、ゲートウェイを介して第1の基地局が接続されるとともに、第2のセルエリアを提供する第2の基地局が直接接続され、
前記第1の基地局は、第1のセルエリアを提供するとともに、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持し、
前記ゲートウェイは、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持し、
前記第1の基地局は、前記移動局の管理主体が自局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新し、
前記管理装置は、前記第1のセルエリアから前記第2のセルエリアへの前記移動局の移動に応答して、前記第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する手段を備える、管理装置。
【請求項1】
通信システムであって、
移動局と、
前記移動局の位置を管理する管理装置と、
第1のセルエリアを提供するとともに、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する第1の基地局と、
前記第1の基地局と前記管理装置との間に配置され、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイと、
第2のセルエリアを提供する第2の基地局とを備え、
前記第1の基地局は、前記移動局の管理主体が自局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する、通信システム。
【請求項2】
移動局の位置を管理する管理装置と、第1および第2の基地局と、前記第1の基地局と前記管理装置との間に配置されたゲートウェイとを備えた通信システムにおける通信方法であって、
前記第1の基地局が提供する第1のセルエリアから前記第2の基地局が提供する第2のセルエリアへの前記移動局の移動に応答して、前記第1の基地局が保持する当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するステップと、
前記移動局の管理主体が前記第1の基地局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、前記第1の基地局が当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信するステップとを備える、通信方法。
【請求項3】
セルエリアを提供する基地局であって、前記基地局は、セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持するゲートウェイに接続されており、前記ゲートウェイは、移動局の位置を管理する管理装置と接続されており、
前記セルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持する手段と、
前記移動局の管理主体が自局から他の基地局へ変更されたことに応答して、保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するとともに、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する手段とを備える、基地局。
【請求項4】
移動局の位置を管理する管理装置であって、前記管理装置には、ゲートウェイを介して第1の基地局が接続されるとともに、第2のセルエリアを提供する第2の基地局が直接接続され、
前記第1の基地局は、第1のセルエリアを提供するとともに、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持し、
前記ゲートウェイは、前記第1のセルエリア内の移動局を管理するための管理情報を保持し、
前記第1の基地局は、前記移動局の管理主体が自局から前記第2の基地局へ変更されたことに応答して、自局が保持する前記管理情報のうち当該移動局に関連付けられた管理情報を更新し、
前記管理装置は、前記第1のセルエリアから前記第2のセルエリアへの前記移動局の移動に応答して、前記第1の基地局が管理情報を更新したとの通知とは独立して、当該移動局に関連付けられた管理情報を更新するための指令を前記ゲートウェイへ送信する手段を備える、管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−26890(P2013−26890A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160866(P2011−160866)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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