説明

通信システム、通信方法、基地局および中継局

【課題】中継局の数を低減しつつ、子局にて効率よく音声出力により情報を報知する。
【解決手段】通信システム1000は、所定の通信エリアA1が設定された基地局100と、通信エリアA1外に設置された子局300と、基地局100と子局300の間の通信を中継する中継局200とを有する。基地局100は、子局300で音声出力により報知するために入力される音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成し、このテキストデータを中継局200へ送信する。中継局200は、基地局100により送信されるテキストデータを音声データに変換し、この音声データを子局300へ送信することで、基地局100および子局300の通信を中継する。子局300は、中継局200により送信される音声データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基地局と、子局と、基地局および子局の通信を中継する中継局とを含む通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各市町村には防災通信システムが整備されてきている。この防災通信システムの一般的な例では、行政機関に基地局が設置され、当該行政機関の管轄地区の屋外や施設内に子局が設置されている。そして、例えば、基地局は災害関連情報等の報知情報を子局へ送信し、子局は報知情報をスピーカから拡声出力する。また、子局の設置場所によっては、子局が基地局の通信エリア外に設置される場合も生じる。この場合、基地局および子局の間に中継局を設置して、基地局は中継局を介して子局へ報知情報を送信することが行われている。このとき、中継局が基地局および子局の間の通信を確実に中継できるように、例えば基地局からの受信電波のBER(Bit Error Rate(Ratio))がエラーフリーになるような場所に中継局を設置することが必要であった。
【0003】
なお、特許文献1には、センター局装置が子局装置に対してアナログ音声を文字メッセージ化した文字情報を伝送し、子局装置がこの文字情報に応じたアナログ音声をスピーカから出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−325265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、行政機関の管轄地区が広大な場合などのように、広域なエリアに亘り報知情報を提供したい場合には、多くの子局を基地局の通信エリア外に設置する必要が生じる。そして、基地局と当該基地局の通信エリア外に設置される子局との間の通信を中継するため、1つの基地局に対して多くの中継局を設置する必要が生じてしまい、中継局の設置費用などが増大するという問題があった。また、このような中継局数の増大に伴う問題については、特許文献1では触れられていない。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、中継局の数を低減しつつ、子局にて効率よく音声出力により情報を報知することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信システムは、所定の通信エリアが設定された基地局と、前記基地局の前記通信エリア外に設けられた子局と、前記基地局および前記子局の通信を中継する中継局とを有する通信システムであって、前記基地局は、前記子局で音声出力により報知するために入力される音声出力用報知データに基づいて、文字または記号からなるテキストデータを生成し、このテキストデータを前記中継局へ送信し、前記中継局は、前記基地局により送信される前記テキストデータを音声データに変換し、この音声データを前記子局へ送信する送信し、前記子局は、前記中継局により送信される前記音声データを出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる技術によれば、中継局の数を低減しつつ、子局にて効率よく音声出力により情報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの構成の概要を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの動作フローを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの構成の概要を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる中継局の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの動作フローを示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システム1000の構成を示す。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システム1000の構成の概要を示す図である。以下の説明では、まず、図2を用いて通信システム1000の概要を説明し、その後に図1を用いて通信システム1000の詳細な構成を説明する。また、以下の説明では、通信システム1000は、市町村などの防災に関する通信システムを例として示す。
【0011】
まず、図2に基づいて、通信システム1000の構成の概要を説明する。図2に示されるように、通信システム1000は、少なくとも、基地局100と、中継局200と、子局300とを含んで構成される。基地局100には所定の通信エリア(以下、基地局エリアA1とする)が設定されており、基地局100はこの基地局エリアA1内に向けて各種データを送信することができる。基地局100は、例えば市町村等の行政機関の建屋内に設置される。なお、図示はしないが、例えば複数の子局300が中継エリアA2内に配置されてもよい。
【0012】
中継局200は、基地局エリアA1内に設けられており、基地局100および子局300の間の通信を中継する。中継局200は、例えば基地局エリアA1内の屋外に設けられる。中継局200には所定の通信エリア(以下、中継局エリアA2とする)が設定されている。中継局200は、基地局100から送信される各種データを受信し、これを中継局エリアA2内に向けて送信する。
【0013】
子局300は、基地局エリアA1外であって中継局エリアA2内に設けられている。子局300は、基地局100から送信される各種データを、中継局200を介して受信する。子局300は、例えば中継局エリアA2内の施設(例えば一般家庭、集会所、学校等)や屋外に設けられる。
【0014】
次に、図1に基づいて、通信システム1000の構成の詳細について、具体的に説明する。図1に示されるように、基地局100は、送信用アンテナ部101と、送信部102と、音声出力用データ入力部103と、電源部104と、制御部105とを含んで構成されている。
【0015】
送信用アンテナ部101は送信部102に接続されている。送信部102は、制御部106から入力される各種データを、送信用アンテナ部101を介して、基地局エリアA1内の中継局200に送信する。
【0016】
音声出力用データ入力部103には、音声出力用データとして、最終的に子局300で音声出力により報知するためのデータが入力される。音声出力用データ入力部103は、マイク部103aおよび操作部103bを有している。マイク部103aは音声を集音する。マイク部103aは、人声が入力された場合、当該人声データを音声出力用データとして取得する。操作部103bは、例えば文字列データを音声出力用データとして入力することができるキーボードである。この操作部103bは卓上卓と呼ばれることもある。音声出力用データ入力部103は、操作部103bにより入力される文字列データを、音声出力用データとして取得する。
【0017】
電源部104は、基地局100内の各部に電源を供給する。制御部105は、基地局100内の各部を制御する。制御部105は、テキストデータ生成部105aを含んでいる。テキストデータ生成部105aは、音声出力用データ入力部103で取得された音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成する。なお、音声出力用データ入力部103が、操作部103bにより入力される文字列データを、音声出力用データとして取得した場合、テキストデータ生成部105aは、操作部103bにより入力される文字列データをテキストデータとする。
【0018】
中継局200は、受信用アンテナ部201と、受信部202と、送信用アンテナ部203と、送信部204と、電源部205と、制御部206とを含んで構成されている。
【0019】
受信用アンテナ部201は、受信部202に接続されている。受信部202は、基地局100から送信されるテキストデータを、受信用アンテナ部201を介して受信する。
【0020】
送信用アンテナ部203は、送信部204に接続されている。送信部204は、制御部207から入力される各種データを、送信用アンテナ部203を介して、中継局エリアA2内の子局300へ送信する。具体的には、後述するように、送信部204は、制御部207内の音声合成部207aにより生成される音声データを子局300へ送信する。
【0021】
電源部205は、中継局200内の各部に電源を供給する。制御部206は、中継局200内の各部を制御する。制御部206は、音声合成部206aを含んでいる。音声合成部206aは、受信部202により受信されるテキストデータを音声変換することにより、音声データを生成する。
【0022】
子局300は、受信用アンテナ部301と、受信部302と、記憶部303と、電源部304と、スピーカ部305とを含んで構成されている。
【0023】
受信用アンテナ部301は、受信部302に接続されている。受信部302は、中継局300から送信される音声データを、受信用アンテナ部301を介して受信する。電源部303は、子局300内の各部に電源を供給する。スピーカ部304は、制御部305の制御の下、受信部302により受信される音声データを出力する。制御部305は、中継局200内の各部を制御する。
【0024】
次に、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システム1000の動作について説明する。図3は、通信システム1000の動作フローを示す。
【0025】
まず、基地局100にて、音声出力用データが入力される(ステップ(以下、単にSと称する)101)。具体的には、音声出力用データ入力部103に、音声出力用データが入力される。音声出力用データ取得部103のマイク部103aに人声が入力された場合、音声出力用データ取得部103は、マイク部103aにより集音される人声データを、音声出力用データとして取得する。音声出力用データ取得部103の操作部103bにより文字列データが入力された場合、音声出力用データ入力部103は、操作部103bにより入力される文字列の信号データを、音声出力用データとして取得する。
【0026】
次に、テキストデータ生成部105aが、音声出力用データ入力部103で取得された音声出力用データに基づいて、テキストデータを生成する(S102)。
【0027】
そして、送信部102は、テキストデータ生成部105aにより生成されたテキストデータを、送信用アンテナ部101を介して、基地局エリアA1内の中継局200に送信する(S103)。なお、基地局100は、中継局200に対して1対1の送受信の無線通信を行う場合、誤り訂正制御や再送信制御を行うこともできる。基地局100が複数の中継局200に対してテキストデータを送信する際には、基地局100の送信部102は、複数の中継局200の各々に対して、順次1対1でテキストデータを送信する。
【0028】
中継局200では、受信部202は、基地局100から送信されるテキストデータを、受信用アンテナ部201を介して受信する(S201)。
【0029】
次に、音声合成部206aが、受信部202により受信されるテキストデータを音声変換することにより、音声データを生成する(S202)。
【0030】
そして、送信部204が、音声合成部206aにより生成される音声データを、送信用アンテナ部203を介して、中継局エリアA2内の子局300へ送信する(S203)。
【0031】
子局300では、受信部302が、中継局300から送信される音声データを、受信用アンテナ部301を介して受信する(S301)。そして、スピーカ部304が、制御部305の制御の下、受信部302により受信される音声データを出力する(S302)。これにより、基地局100で入力された音声出力用データが、子局300で音声出力により報知される。
【0032】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000は、所定の通信エリア(基地局エリアA1)が設定された基地局100と、基地局エリアA1外に設けられた子局300と、基地局100および子局300の通信を中継する中継局200とを有する通信システムである。基地局100は、子局300で音声出力により報知するために入力される音声出力用報知データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成し、このテキストデータを中継局200へ送信する。中継局200は、基地局100により送信されるテキストデータを音声データに変換し、この音声データを子局300へ送信する。子局300は、中継局200により送信される音声データを出力する。
【0033】
このように、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000では、子局200が基地局エリアA1外に設けられ、中継局200が基地局100および子局300の間の通信を中継することを前提とする。そして、基地局100から中継局200への通信は、音声データではなく、テキストデータにより行われる。一般的には、基地局100および中継局200の間の通信は、音声データにより行われていたが、音声データは、テキストデータと比較してデータ容量が大きいため、データの送受信に支障をきたす可能性が高かった。また、基地局100および中継局200の間の通信を音声データで行う場合、基地局100および中継局200にて送受信が行われたか否かを確認するために、基地局100および中継局200の双方で、随時、送受信確認用の信号を送受信する必要があった。このため、中継局200が基地局100および子局300の間の通信を確実に中継できるように、例えば基地局からの受信電波のBERがエラーフリーになるような場所に中継局を設置することが必要であった。これに対して、本発明の通信システム1000では、基地局100から中継局200への通信をテキストデータにより行うことで、送信媒体のデータ量を大幅に減少させることができ、エラーが生じるのを低減することができる。また、基地局100から中継局200への通信をテキストデータにより行う場合、音声データによる場合と比較して、誤り訂正処理や再送信制御を行いやすい。このように、基地局100および中継局200の間の通信をテキストデータにより行うので、基地局100から受信するBERがエラーフリーにならない場所であっても、中継局200がテキストデータを確実に受信できる。したがって、基地局100から中継局200への通信をテキストデータにより行う場合、音声データによる場合と比較して、中継局200を基地局100から離れた場所に設置することができ、サービスエリアを拡張することができる。この結果、中継局200の数を低減することができ、設備費用を低減することもできる。また、中継局200および基地局100の間の通信をテキストデータにより行い、中継局200は基地局100から送信されるテキストデータに基づいた音声データを子局300へ送信する。このため、基地局100および中継局200の通信を音声データにより行う場合と比較して、子局300は、音声データを効率よく受信し、効率よく音声出力により情報を報知することができる。以上の通り、本発明にかかる技術によれば、中継局200の数を低減しつつ、子局300にて効率よく音声出力により情報を報知することができる。
【0034】
また、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000において、基地局1000は、人声データを音声出力用データとして取得できるマイク部103aを有する。これにより、基地局100でマイク部103aにより人声データを音声出力用データとして取得できる。
【0035】
また、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000において、基地局100は、文字列データを音声出力用データとして入力できる操作部103bを有している。また、基地局100は、操作部103bにより入力される文字列データをテキストデータとして中継局300へ送信する。これにより、基地局100で操作部103bにより入力される文字列データを音声出力用データとして取得でき、操作部103bにより入力される文字列データをテキストデータとして中継局300へ送信できる。
【0036】
本発明の第1の実施の形態における基地局100は、所定の通信エリア(基地局エリアA1)が設定され、当該基地局エリアA1外に設けられた子局300との通信を中継局200により中継される。この基地局100は、少なくとも、テキストデータ生成部105aと送信部102とを有する。テキストデータ生成部105aは、子局300で音声出力により報知するために入力される音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成する。送信部102は、テキストデータ生成部105aにより生成されたテキストデータを中継局200へ送信する。このように、基地局100は、中継局200との間の通信を音声データではなく、テキストデータにより行っているので、上述した通信システム1000と同様の効果を奏する。
【0037】
本発明の第1の実施の形態における中継局200は、所定の通信エリア(基地局エリアA1)が設定された基地局100と、基地局100の基地局エリアA1外に設けられた子局300との通信を中継する。この中継局200は、少なくとも、受信部202と音声合成部206aと送信部204を有する。受信部202は、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなり、子局300で音声出力により報知するために基地局100に入力される音声出力用データに基づいて生成されるテキストデータを受信する。音声合成部206aは、受信部202により受信されるテキストデータを変換することにより音声データを生成する。そして、送信部204は、音声合成部206aにより生成される音声データを子局300へ送信する。このように、中継局200は基地局との間の通信を音声データではなく、テキストデータにより行っているので、上述した通信システム1000と同様の効果を奏する。
【0038】
<第2の実施の形態>
図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システム1000Aの構成の概要を示す。図2および図4を対比すると、図2では、基地局100は基地局エリアA1内にて中継局200のみにデータを送信するのに対して、図4では、基地局100Aは基地局エリアA1にて中継局200および子局400にデータを送信する点で、両者は互いに相違する。なお、基地局エリアA1内の子局400は、中継エリアA2内の子局300とは別の装置であるが、子局300および子局400の両者は同じ構成を有する。また、後述するように、図4の基地局100Aの一部の構成は、図1および図2の基地局100と異なる。
【0039】
図4に示されるように、基地局エリアA1内には、基地局100A、中継局200および子局400が設けられている。また、中継局エリアA2内には、中継局200と、基地局エリアA1内の子局300とは別の子局400が設けられている。基地局100Aは、第1の実施の形態の説明と同様に、中継局200を介して中継局エリアA2内の子局300へデータを送信する他に、基地局エリアA1内に設けられた別の子局400にもデータを送信する。
【0040】
図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる基地局100Aの構成を示す図である。図5において、図1で示した構成と同等の構成に対しては、図1と同一の符号を付している。図5と図1の基地局100とを対比すると、図1では、制御部105はテキストデータ生成部105aしか有していないのに対して、図5では、制御部105Aはテキストデータ生成部105aに加え、さらに音声合成部105bを有している点で、両者は互いに相違する。以下の説明では、図1で示した構成と同等の構成については、説明を省略する。
【0041】
音声合成部105bは、テキストデータ生成部105aにより生成されるテキストデータを音声変換することにより、音声データを生成する。具体的には、音声出力用データ入力部103が、操作部103bにより入力される文字列データを、音声出力用データとして取得した場合は、次のように処理される。すなわち、テキストデータ生成部105aは、操作部103bにより入力される文字列データを、テキストデータとする。そして、音声合成部105bが、このテキストデータを音声変換することにより、音声データ(音声合成部206aが生成する音声データを区別するため、ここでは、第2の音声データとする。)を生成する。一方、音声出力用データ入力部103が、マイク部103aにより入力される人声データを、音声出力用データとして取得した場合、音声合成部105aは機能しない。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システム1000Aの動作について説明する。図6および図7は、通信システム1000Aの動作フローを示す。図6は、音声出力用データ入力部103が、操作部103bにより入力される文字列データを、音声出力用データとして取得した場合の動作フローである。図7は、音声出力用データ入力部103が、マイク部103aにより入力される人声データを、音声出力用データとして取得した場合の動作フローである。以下、図6および図7に基づいて、それぞれの例について説明する。なお、図6および図7において、図3と重複するステップについては、同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0043】
まず、音声出力用データ入力部103が、操作部103bにより入力される文字列データを、音声出力用データとして取得した場合の動作フローを図6に基づいて説明する。
【0044】
基地局100Aでは、操作部103bにより入力される文字列データが音声出力用データとして入力されると(S101)、テキストデータ生成部105aが、操作部103bにより入力された文字列データをテキストデータとする(S102)。
【0045】
そして、送信部102は、テキストデータ生成部105aにより生成されたテキストデータを、送信用アンテナ部101を介して、基地局エリアA1内の中継局200に送信し(S103)、以降、中継局200がS201〜S203の処理を行い、中継局エリアA2内の子局300がS301〜S302の処理を行う。これにより、基地局100Aで入力された音声出力用データが、子局300で音声出力により報知される。
【0046】
また、基地局100Aでは、S103の処理と併せて、音声合成部105bが、テキストデータ生成部105aにより生成されるテキストデータを音声変換することにより、第2の音声データを生成する(S104)。そして、送信部102が、送信用アンテナ101を介して、音声合成部105bにより生成された第2の音声データを基地局エリアA1内の子局400へ送信する(S105)。
【0047】
次に、子局400では、受信部302が、基地局100Aから送信される第2の音声データを、受信用アンテナ部301を介して受信する(S401)。そして、スピーカ部304が、制御部305の制御の下、受信部302により受信される第2の音声データを出力する(S402)。これにより、基地局100Aで入力された音声出力用データが、子局400で音声出力により報知される。
【0048】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態における通信システム1000Aにおいて、子局300とは別の第2の子局400が基地局100の通信エリア(基地局エリアA1)内に設けられている。基地局100Aは、操作部103bにより入力される文字列データをテキストデータとし、このテキストデータを中継局200へ送信する。これとともに、基地局100Aは、文字列データを第2の音声データに変換し、この第2の音声データを第2の子局400へ送信する。そして、第2の子局400は、基地局100Aより送信される第2の音声データを出力する。
【0049】
これにより、基地局100にて音声出力用データとして文字列データを入力するという一挙動の操作だけで、通信エリア外の子局300と通信エリア内の子局400の双方で、基地局100Aに入力されるデータを音声出力により報知できる。
【0050】
次に、音声出力用データ入力部103が、マイク部103aにより入力される人声データを、音声出力用データとして取得した場合の動作フローを図7に基づいて説明する。
【0051】
基地局100Aでは、マイク部103aにより入力される人声データが音声出力用データとして入力されると(S101)、テキストデータ生成部105aが、音声出力用データ入力部103で取得された音声出力用データに基づいて、テキストデータを生成する(S102)。
【0052】
そして、送信部102は、テキストデータ生成部105aにより生成されたテキストデータを、送信用アンテナ部101を介して、基地局エリアA1内の中継局200に送信し(S103)、以降、中継局200がS201〜S203の処理を行い、中継局エリアA2内の子局300がS301〜S302の処理を行う。これにより、基地局100Aで入力された音声出力用データが、子局300で音声出力により報知される。
【0053】
また、基地局100Aでは、S103の処理と併せて、送信部102が、送信用アンテナ101を介して、音声出力用データ入力部103で取得された人声データを音声データとして基地局エリアA1内の別の子局400へ送信する(S105)。なお、図6を用いて上述した場合のように、S104の処理は行わない。
【0054】
次に、別の子局400では、受信部302が、基地局100Aから送信される音声データを、受信用アンテナ部301を介して受信し(S401)、スピーカ部304が、受信部302により受信される音声データを出力する(S402)。これにより、基地局100Aで入力された音声出力用データが、子局400で音声出力により報知される。
【0055】
以上説明したように、基地局100Aは、マイク部103aに入力される人声データに基づいてテキストデータを生成し、このテキストデータを中継局200へ送信する。これとともに、基地局100Aは、マイク部103aに入力される人声データを、子局300とは別の子局400へ送信する。そして、子局400は、基地局100Aより送信される人声データを出力する。
【0056】
これにより、基地局100にて音声出力用データとして人声データを入力するという一挙動の操作だけで、通信エリア外の子局300と通信エリア内の子局400の双方で、基地局100Aに入力されるデータを音声出力により報知できる。
【0057】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
上記実施の形態では、市町村などの防災に関する通信システムを例として説明した。しかしながら、本発明は、市町村などの防災に関する通信システムに限らず、例えば防犯用のシステムや行政に関する情報を通知するためのシステムなどであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100、100A 基地局
101 送信用アンテナ部
102 送信部
103 音声出力用データ入力部
103a マイク部
103b 操作部
104 電源部
105、105A 制御部
105a テキストデータ生成部
105b 音声合成部
200 中継局
201 受信用アンテナ部
202 受信部
203 送信用アンテナ部
204 送信部
205 電源部
206 制御部
206a 音声合成部
300、400 子局
301 受信用アンテナ部
302 受信部
303 電源部
304 スピーカ部
305 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信エリアが設定された基地局と、前記基地局の前記通信エリア外に設けられた子局と、前記基地局および前記子局の通信を中継する中継局とを有する通信システムであって、
前記基地局は、前記子局で音声出力により報知するために入力される音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成し、このテキストデータを前記中継局へ送信し、
前記中継局は、前記基地局により送信される前記テキストデータを音声データに変換し、この音声データを前記子局へ送信し、
前記子局は、前記中継局により送信される前記音声データを出力する通信システム。
【請求項2】
前記基地局は、人声データを前記音声出力用データとして入力できるマイク部を有する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記基地局の通信エリア内に前記子局とは別の子局が設けられており、
前記基地局は、前記マイク部により入力される人声データに基づいて、前記テキストデータを生成し、このテキストデータを前記中継局へ送信するとともに、前記人声データを前記別の子局へ送信し、
前記別の子局は、前記基地局より送信される人声データを出力する請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記基地局は、文字列データを前記音声出力用データとして入力することができる操作部を有し、前記操作部により入力される文字列データを、前記テキストデータとして前記中継局へ送信する請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記基地局の通信エリア内に前記子局とは別の子局が設けられており、
前記基地局は、前記操作部により入力される文字列データを、前記テキストデータとして前記中継局へ送信するとともに、前記文字列データを第2の音声データに変換し、この第2の音声データを前記別の子局へ送信し、
前記別の子局は、前記基地局より送信される前記第2の音声データを出力する請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
所定の通信エリアが設定された基地局と、前記基地局の前記通信エリア外に設けられた子局と、前記基地局および前記子局の通信を中継する中継局との間で行われる通信方法であって、
前記基地局が、前記子局で音声出力により報知するために入力される音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成するステップと、このテキストデータを前記中継局へ送信するステップと、
前記中継局が、前記基地局により送信される前記テキストデータを音声データに変換し、この音声データを前記子局へ送信するステップと、
前記子局が、前記中継局により送信される前記音声データを出力するステップとを含む通信方法。
【請求項7】
所定の通信エリアが設定され、当該通信エリア外に設けられた子局との通信を中継局により中継される基地局であって、
前記子局で音声出力により報知するために入力される音声出力用データに基づいて、文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなるテキストデータを生成するテキストデータ生成部と、
前記テキストデータ生成部により生成された前記テキストデータを前記中継局へ送信する送信部とを備えた基地局。
【請求項8】
所定の通信エリアが設定された基地局と、前記基地局の前記通信エリア外に設けられた子局との通信を中継する中継局であって、
文字もしくは記号、またはこれらの組合せからなり、前記子局で音声出力により報知するために前記基地局に入力される音声出力用データに基づいて生成されるテキストデータを受信する受信部と、
前記受信部により受信される前記テキストデータを変換することにより音声データを生成する音声合成部と、
前記音声合成部により生成される前記音声データを前記子局へ送信する送信部を備えた中継局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244352(P2012−244352A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111562(P2011−111562)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】