説明

通信システム、通信方法、基地局装置及び移動局装置

【課題】複数の基地局装置のセル間においてセル間干渉が生じる場合でも、周波数効率を向上できる通信システム、通信方法、基地局装置及び移動局装置を提供する。
【解決手段】複数の基地局装置100−kの各セルが全部或いは一部を重複するように配置される通信システム1において、各基地局装置100−kが受信する干渉信号の等価伝搬路の向きが基地局装置100−kが受信信号に乗算する受信重み係数Ukに直交するように、各移動局装置200−jの送信重み係数V及び基地局装置100−kの受信重み係数Uを算出する。そして、基地局装置100−kは、自局に接続する移動局装置200−jに送信重み係数Vを通知し、移動局装置200−jは送信信号に送信重み係数Vを乗算して送信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法、基地局装置及び移動局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの無線通信システムにおいて、都市及びその周辺地域には、複数の移動局装置(端末;UE(User Equipment))に無線通信サービスを提供するためのセル(通信サービスエリア)を構成する基地局装置(eNB;eNodeB)が配置されている。特に、無線通信システムでは、複数の基地局装置が配置されたセルラー構成を成し、通信エリアの拡張が図られている。
【0003】
また、セルラー構成において、周波数の利用効率向上を図るため、基地局装置のセルにおいて同一周波数を繰り返し使用している。しかし、セルラー構成において、同一周波数繰り返しによりセル間干渉が発生すると、周波数利用効率向上が制限される。
【0004】
セルラー構成の上りリンクにおいて、セル間干渉を抑圧及び軽減する方法として、インジケータOI(Overload Indicator)やインジケータHII(High Interference Indicator)等を利用したセル間干渉調整(ICIC;Inter−cell Interference Coodination)が用いられている(非特許文献1)。インジケータOIは、ある基地局装置が、他の基地局装置と接続している移動局装置からの干渉レベルが大きい場合、他の基地局装置にその旨を通知するための制御信号である。また、インジケータHIIは、基地局装置のセル端に位置し、高い送電電力で送信を行う移動局装置から信号を受ける基地局装置が、他の基地局装置にその旨を通知する制御信号である。
【0005】
図18は、セル間干渉調整ICICを適用する上りリンクにおける従来の無線通信システム1000の概略を示している。基地局装置1000−1及び基地局装置1000−2は、それぞれセル1000−1aとのセル1000−2aを備え、基地局装置1000−1のセル1000−1aと、基地局装置1000−2のセル1000−2aとが一部重複するように、各基地局装置が1セル周波数繰返しで配置されている。各セル内には、複数の移動局装置が存在し、各移動局装置は、最適の受信電界強度で信号を受信できる基地局装置と無線接続するように制御されている。
【0006】
基地局装置1000−1は、移動局装置2000−1と接続(r11)している。また、基地局装置1000−1は、基地局装置1000−2と接続(r22)している移動局装置2000−2から干渉(r21)を受けている。
【0007】
干渉(r21)を受けている基地局装置1000−1は、バックホール回線10(例えば、光ファイバ、X2インターフェイス等)を介して、基地局装置1000−2にインジケータOIを通知する。インジケータOIを受け取った基地局装置1000−2は、移動局装置2000−2に送信を中止させることで、セル間干渉を抑圧及び軽減している。
【0008】
また、基地局装置1000−2は、移動局装置2000−2が信号(r22)を送信する前に、バックホール回線10を介して、基地局装置1000−1にインジケータHIIを通知する。インジケータHIIを受けた基地局装置1000−1は、移動局装置2000−1からの信号(r11)が干渉を受けないようにスケジューリングを行うことで干渉を抑圧及び軽減している。
【0009】
また、近年、急速な都市化に伴い高層ビルやマンション等が建設されることで、多くの受信不感地域又は弱電界地域が発生する。これらの地域では、たびたび移動局装置と基地局装置との接続が制限される。また、移動通信システムの高速化に伴い、移動局に対するスループットの向上が要求されている。同様に、セルエッジ(通信サービスエリアの端地域)に存在する移動局装置に対しても支障なく高速通信できることが求められている。
スループットを向上する方法として、主基地局装置(マクロ基地局)が構成するマクロセルの一部又は全部と、マクロ基地局より最大送信電力が小さい小電力基地局(ピコセル基地局、フェムトセル基地局等)のセルの範囲とを重複するように、複数の基地局装置を配置することが提案されている(ヘテロジーニアス・ネットワーク、非特許文献2)。
【0010】
このような異種ネットワーク(ヘテロジーニアス・ネットワーク)を構築することにより、マクロセルが網羅するエリア内におけるネットワーク側から見たトータルなスループットを向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA) Physical Layer procedures(Release 8)、3GPP TS36.213 v8.8.0(2009−09)URL: http://www.3gpp.org/ftp/Specs/2011-06/Rel-8/36_series/
【非特許文献2】3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network; Further Advancements for E−UTRA Physical Layer Aspects (Release 9)、3GPP TR36.814 v9.0.0.(2010−03)URL: http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36814.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ヘテロジーニアス・ネットワークにおいて、マクロセルに同一の周波数を利用した多数のピコセルが配置され、複数のセル間で干渉が発生する場合、干渉となる複数の基地局装置に亘ってインジケータOI或いはインジケータHIIによりセル間干渉を制御すると、各基地局装置が自局に接続する移動局装置に送信させる機会が極めて制限されてしまい、周波数の利用効率、スループットが十分に向上できないと問題がある。
【0013】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、複数の基地局装置のセル間においてセル間干渉が生じる場合でも、周波数利用効率、スループットを向上できる通信システム、通信方法、基地局装置及び移動局装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために本発明に係る通信システム、通信方法、基地局装置及び移動局装置の各構成は、次の通りである。
【0015】
本発明の通信システムは、主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備え、前記複数の基地局装置と前記移動局装置との間の伝搬路を用いて通信を行う通信システムであって、前記主基地局装置は、前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する重み係数制御部を備え、前記複数の基地局装置は、前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信部と、それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信部と、前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧部とを備え、前記移動局装置は、前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信部を備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の通信システムの複数の基地局装置は、前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成部を備え、前記各基地局装置の前記送信部は、それぞれが接続している前記移動局装置に前記制御信号を送信することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の通信システムの前記主基地局装置は、前記従基地局装置に前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する上位レイヤを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の通信システムの前記送信重み係数情報は、前記移動局装置が送信する前記送信信号に対して乗算する送信重み係数であることを特徴とするものである。また、前記送信重み係数情報は、前記移動局装置が送信する前記送信信号に対して乗算する送信重み係数に対応したコードブックインデックスであることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の通信システムの前記移動局装置は、前記コードブックインデックスから前記送信重み係数を検出する制御信号検出部を備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の通信システムの前記複数の基地局装置は、さらに、前記送信重み係数が乗算された参照信号を生成する参照信号生成部を備え、前記各基地局装置の前記送信部は、それぞれが接続している前記移動局装置に前記参照信号を送信することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の通信システムにおける前記参照信号は、前記移動局装置に固有の参照信号の一部であることを特徴とするものである。また、本発明の通信システムにおける前記参照信号は、前記基地局装置の接続可能範囲であるセルに固有の参照信号の一部であることを特徴とするものである。また、本発明の通信システムにおける前記参照信号は、前記移動局装置に固有の参照信号又は前記基地局装置の前記セルに固有の参照信号であることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の通信方法は、主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備え、前記複数の基地局装置と前記移動局装置との間の伝搬路を用いて通信を行う通信システムにおける通信方法であって、前記主基地局装置において、前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する算出ステップと、前記複数の基地局装置において、前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信ステップと、それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信ステップと、前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧ステップとを備え、前記移動局装置において、前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信ステップを行うことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の通信方法は、前記複数の基地局装置が、前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成ステップと、前記各基地局装置の前記送信部が、それぞれが接続している前記移動局装置に前記制御信号を送信する送信ステップとを行うことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の通信方法は、前記主基地局装置が、前記従基地局装置に前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する通知ステップを行うことを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の基地局装置は、主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備え、前記複数の基地局装置と前記移動局装置との間の伝搬路を用いて通信を行う通信システムにおける基地局装置であって、前記基地局装置は、前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する重み係数制御部と、前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信部と、それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信部と、前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧部と、前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成部と、前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する上位レイヤと、を備えることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の移動局装置は、主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備え、前記複数の基地局装置と前記移動局装置との間の伝搬路を用いて通信を行う通信システムにおける移動局装置であって、前記移動局装置は、前記主基地局装置が、前記伝搬路を用いて算出した送信重み係数と送信重み係数のうち、前記送信重み係数を受信する受信部と、前記移動局装置が送信する送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を生成するプレコーディング部と、前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信部とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備える通信システムにおいて、複数の基地局装置が同一の周波数を用いて移動局装置と通信する際に、複数の基地局装置と移動局装置が協調してセル間干渉を抑圧できる。このため、当該通信システムは、セル間干渉を効果的に抑制し、良好な送受信を確立できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る通信システムの主基地局装置の構成を示す概略図である。
【図3】第1の実施形態に係る通信システムの主基地局装置の制御信号生成部が出力するフォーマットの一例である。
【図4】第1の実施形態に係る通信システムの主基地局において送信重み係数及び受信重み係数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る通信システムの従基地局装置の構成を示す概略図である。
【図6】第1の実施形態に係る通信システムの移動局装置の構成を示す概略図である。
【図7】第1の実施形態に係る通信システムの主基地局装置が送信重み係数及び受信重み係数を算出し、従基地局装置及び移動局装置に通知する処理を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態に係る通信システムにおけるコードブックの一例である。
【図9】第2の実施形態に係る通信システムの主基地局装置の制御信号生成部が出力するフォーマットの一例である。
【図10】第3の実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
【図11】第3の実施形態に係る通信システムの主基地局装置の構成を示す概略図である。
【図12】第3の実施形態に係る従基地局装置の構成を示す概略図である。
【図13】第3の実施形態に係る移動局装置の構成を示す概略図である。
【図14】第3の実施形態に係る基地局装置のリソースマッピング部におけるリソースマッピングの一例である。
【図15】第3の実施形態に係る基地局装置のリソースマッピング部におけるリソースマッピングの別の一例である。
【図16】第3の実施形態に係る基地局装置のリソースマッピング部におけるリソースマッピングの別の一例である。
【図17】第3の実施形態に係る基地局装置のリソースマッピング部におけるリソースマッピングの別の一例である。
【図18】従来の通信システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る通信システム1では、基地局装置100−k及び移動局装置200−jが、DFT−s−OFDM(discrete Fourier transform−spread−Orthogonal Frequency Division Multiplexing;離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重)方式を用いてデータの伝送を行う例について説明する。尚、本実施形態ではこれに限らず、その他の伝送方式、例えば、SC−FDMA(single carrier−frequency division multiple access;単一キャリア周波数分割多元アクセス)、等のシングルキャリア伝送方式や、OFDM(直交周波数分割多重)、MC−CDMA(multiple carrier−code division multiple access;多重キャリア符号分割多重アクセス)等のマルチキャリア伝送方式を用いてもよい。また、第1の実施形態に係る通信システム1の例として、3GPP(Third Generation Partnership Project)によるWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE−Advanced)やIEEE(The Institute of Electrical and Electronics engineers)によるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等のような無線通信システムを含むが、これらに限定されない。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1の構成を示す概略図である。第1の実施形態に係る通信システム1は、複数の基地局装置100−k(kは任意の正整数で、図1において、k=1〜3とする)と、複数の移動局装置200−j(jは任意の正整数で、図1において、j=1〜3)を備えている。
【0031】
通信システム1における複数の基地局装置100−k及び複数の移動局装置200−jは、互いに協調してセル間干渉を抑圧するように構成される。また、通信システム1における移動局装置200−jは、協調する基地局装置と接続する移動局装置かつ協調の対象となる移動局装置を含む。
【0032】
各基地局装置100−kは、自己のセルが他の基地局装置のセルと全域又は一部が重複し、1つのセルにおいて同一周波数を用いて該周波数を繰返して利用するような構成で配置されている。各基地局装置100−k間は、光ファイバやインターネット回線または無線回線等を用いたバックホール回線10−1、10−2(例えば、X2インターフェース)により接続されている。
【0033】
基地局装置100−kと移動局装置200−j間は、上りリンクの伝搬路Hkj(伝達関数)で表されている(k及びjは任意の正整数。図1において、k=1〜3及びj=1〜3とする)。ここで、協調の対象となる基地局装置及び移動局装置間の前記伝搬路Hkjをシステム全体の伝搬路と呼ぶ。通信システム1において、移動局装置200−jは、k=jとなる基地局装置100−kと無線接続されている。すなわち、移動局装置200−jにおいて、k≠jとなる基地局装置100−kが送信する信号はセル間干渉となる。
【0034】
例えば、基地局装置100−1において、伝搬路H11を通って受信する移動局装置200−1からの送信信号が所望信号であり、伝搬路H12及び伝搬路H13を通って受信する移動局装置200−2及び基地局装置100−3からの送信信号がセル間干渉(非所望信号)となる。
【0035】
詳しくは後述するが、各移動局装置200−jは、自己が送信する送信信号に、基地局装置100−kと移動局装置200−jが協調して、互いに与え得るセル間干渉を抑圧できるような送信重み係数Vを乗算する。また、各基地局装置100−kは、基地局装置100−kと移動局装置200−jが協調して、互いに与え得るセル間干渉を抑圧できるような受信重み係数Uを受信信号に乗算する。
【0036】
以下、図1の通信システム1において、基地局装置100−1は、送信重み係数及び受信重み係数を算出する主基地局装置(マスター基地局装置)とし、基地局装置100−2及び基地局装置100−3は、マスター基地局装置の指示に従って協調動作する従基地局装置(スレーブ基地局装置)とする。
【0037】
次に、第1の実施形態に係るマスター基地局装置(基地局装置100−1)について説明する。
【0038】
マスター基地局装置(基地局装置100−1)は、図2に示すように、複数の受信アンテナ部101−L(Lは、任意の正整数であり、以下、各部位の数を表す)、受信部102−L、伝搬路推定部103、GI除去部104−L、DFT部105−L、干渉抑圧部106、伝搬路補償部107、IDFT部108、復調部109、復号部110、重み係数制御部111、上位レイヤ112、制御信号検出部113、制御信号生成部121、参照信号生成部122、送信部123及び送信アンテナ部124を備えて構成される。尚、図2において、基地局装置100−1は、2本(L=2)の受信アンテナ部を備える場合の一例を示すが、これに限定されず、何本のアンテナを備えてもよい。また、1本の送信アンテナ部となっているが、これに限らず、複数の送信アンテナ部を備えてもよいし、送信アンテナ部と受信アンテナ部とを共用する構成としてもよい。また、上記基地局装置100−1の一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0039】
上位レイヤ112は、バックホール回線10−1、10−2を通して、スレーブ基地局装置(基地局装置100−2及び基地局装置100−3)から伝搬路情報を取得する。また、上位レイヤ112は、該伝搬路情報を重み係数制御部111に出力する。ここで、上位レイヤとは、OSI参照モデルで定義された通信機能の階層のうち、物理層(Physical Layer)よりも上位の機能の階層、例えば、データリンク層、ネットワーク層等である。
【0040】
また、上位レイヤ112は、移動局装置200−jと基地局装置100−2と間の伝搬路情報(伝搬路H2jに関する情報)を、バックホール回線10−1を通じて基地局装置100−2から取得する。また、上位レイヤ112は、移動局装置200−jと基地局装置100−3間の伝搬路情報(伝搬路H3jに関する情報)を、バックホール回線10−2を通じて基地局装置100−3から取得する。
【0041】
また、上位レイヤ112は、後述する重み係数制御部111で算出したスレーブ基地局装置の受信重み係数及びスレーブ基地局装置に接続する移動局装置の送信重み係数を取得する。
【0042】
また、上位レイヤ112は、スレーブ基地局装置の受信重み係数及びスレーブ基地局装置に接続する移動局装置の送信重み係数を、バックホール回線10−1を介して各スレーブ基地局装置に通知する。
【0043】
具体的には、基地局装置100−1の上位レイヤ112は、移動局装置200−2の送信信号に乗算する送信重み係数Vと、基地局装置100−2の受信信号に対して乗算する受信重み係数Uとを、バックホール回線10−1を介して基地局装置100−2に通知する。また、基地局装置100−1の上位レイヤ112は、移動局装置200−3の送信信号に乗算する送信重み係数Vと、基地局装置100−3の受信信号に対して乗算する受信重み係数Uとを、バックホール回線10−2を介して基地局装置100−3に通知する。
【0044】
また、上位レイヤ112は、移動局装置200−2が送信する送信信号のMCS(Modulation and Coding Scheme;変調及び符号化方式)、空間多重数等の制御データを制御信号生成部121に出力する。該制御データは、伝搬路推定値、送信重み係数及び受信重み係数を考慮して設定される。尚、上位レイヤ112は、基地局装置100−1を構成する各部位が、機能を発揮するために必要なその他のパラメータも通知する。
【0045】
制御信号生成部121は、上位レイヤ112が出力する制御データ及び自局と接続している移動局装置が送信信号に乗算する送信重み係数を含む制御信号を生成する。制御信号は、例えば、LTEにおいて、下りリンク制御チャネル(PDCCH;Physical Uplink Control Channel)等が該当する。また、送信重み係数は、LTEにおける下りリンク共通チャネル(PDSCH;Physical Uplink Shared Channel)で通知することも可能である。尚、該制御信号に誤り訂正符号化及び変調処理を施してもよい。
【0046】
図3は、制御信号生成部121が出力する制御信号のフォーマットの一例を示す概念図である。制御信号では、自局と接続している移動局装置の送信重み係数情報を格納する領域を有する。図3に示すように、移動局装置200−1が送信信号に乗算する受信重み係数Vを送信重み係数に関する情報を格納する領域が設けられている。尚、MCS領域及びレイヤ領域は、送信重み係数に関する情報以外に含まれる制御データの例示であり、その他の制御データを含んでもよい。MCS領域とは、移動局装置200−1が基地局装置100−1に送信する信号のMCS情報を格納する領域である。レイヤ領域とは、移動局装置200−1が基地局装置100−1に送信する信号の空間多重数に関する情報を格納する領域である。なお、重み係数を含む制御信号を生成する制御信号生成部を重み係数情報生成部と、前記制御信号生成部が生成した重み係数を含む制御信号を重み係数情報とよんでもよい。
【0047】
参照信号生成部122は、参照信号(パイロット信号)を生成する。参照信号は、例えば、基地局装置100−1の送信アンテナ部124から移動局装置の各受信アンテナ部までの伝搬特性を推定するために用いる信号である。尚、参照信号を構成する符号系列は、直交系列、例えば、アダマール符号又はCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto−Correlation)系列であることが好ましい。
【0048】
送信部123は、制御信号生成部121が出力する制御信号と、参照信号とを含む下りリンクの信号を送信可能な周波数帯までアップコンバートし、送信アンテナ部124を介して、接続している基地局装置100−kに送信される。尚、送信部123は、通信システム1の下りリンクにおいて、移動局装置200−jが受信可能は伝送方式を適用できる。例えば、LTEでは、OFDM伝送が適用可能である。
【0049】
基地局装置100−1は、受信アンテナ部101−Lを介して、移動局装置200−jの送信信号を受信する。ここで、移動局装置200−1以外の送信信号はセル間干渉となる。送信信号を生成する移動局装置の構成については後述する。
【0050】
受信部102−Lは、受信アンテナ部101−Lから入力された無線周波数信号をデジタル信号処理が可能な周波数帯域にダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号を更にフィルタリング処理を行って不要成分(スプリアス;Spurious)を除去する。また、受信部102―Lは、フィルタリング処理を行った信号をアナログ信号からデジタル信号に(A/D;Analog−to−Digital)変換し、変換したデジタル信号を伝搬路推定部103、GI除去部104−L及び制御信号検出部113に出力する。
【0051】
GI除去部104−Lは、遅延波による歪を回避するために受信部102−Lから出力される信号からガードインターバルGIを除去し、除去された信号をDFT部105−Lに出力する。
【0052】
DFT部105−Lは、GI除去部104−Lから入力されたガードインターバルGIが除去された信号を時間領域信号から周波数領域信号に変換する離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を行い、干渉抑圧部106に出力する。尚、DFT部105−Lは、信号を時間領域から周波数領域に変換できれば、DFTに限らず、他の方法、例えば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)等を行ってもよい。
【0053】
制御信号検出部113は、受信部102−2が出力した信号に含まれる制御信号の検出を行う。制御信号として、例えば、LTEにおけるCQI(Channel Quality Control)などのフィードバック情報が該当する。制御信号検出部113は、前記フィードバック情報を抽出すると、制御信号生成部121と上位レイヤ112とに出力する。
【0054】
制御信号生成部121、上位レイヤ112は、前記CQI等のフィードバック情報を考慮して、下りリンク送信信号(下りリンクの情報データ、制御信号)を生成する。
【0055】
伝搬路推定部103は、受信部102−Lが出力した信号に含まれる参照信号を用いて、伝搬路推定を行う。そして、伝搬路推定部103は、伝搬路推定値を伝搬路補償部107、重み係数制御部111及び上位レイヤ112に通知する。尚、伝搬路推定値は、例えば、伝達関数、インパルス応答などである。
【0056】
重み係数制御部111は、上位レイヤ112及び伝送路推定部103から取得した伝搬路情報(伝搬路推定値)を用いて、移動局装置200−jが送信する信号に乗算する送信重み係数V並びにマスター基地局装置及びスレーブ基地局装置の受信信号に乗算する受信重み係数Uを算出する。
【0057】
すなわち、マスター基地局装置は、協調制御を行う全ての基地局装置(マスター基地局装置及びスレーブ基地局装置)と協調制御に参加する全ての移動局装置との間の伝搬路推定値を取得し、該伝搬路推定値を用いて、移動局装置の送信重み係数Vと基地局装置の受信重み係数Uを算出する。
【0058】
一例として、重み係数制御部111は、干渉源となる複数の移動局装置から到来する干渉信号の等価伝搬路の向き(ベクトル)が、各基地局装置において受信信号に乗算する受信重み係数に直交するように送信重み係数を算出する(式1)。
【数1】

ここで、Hkjは、移動局装置200−jと、協調制御の対象である基地局装置100−kとの間の伝搬路行列、Vは移動局装置200−jの送信重み係数のベクトル、Uは基地局装置100−kの受信重み係数のベクトル、dはストリーム数である。は複素共役転置である。
【0059】
また、重み係数制御部111は、スレーブ基地局装置の受信重み係数U及びスレーブ基地局装置に接続している移動局装置の送信重み係数Vを上位レイヤ112に通知する。また、重み係数制御部111は、マスター基地局装置(自局)の受信信号に乗算する受信重み係数Uを干渉抑圧部106に出力する。また、重み係数制御部111は、マスター基地局装置(自局)に接続している移動局装置の送信重み係数Vを制御信号生成部121に出力する。尚、上述の重み係数制御部111及び重み係数制御機能は、上位レイヤ112に含める構成としてもよい。
【0060】
干渉抑圧部106は、DFT部105−Lから入力された周波数領域の信号に、重み係数制御部111から入力された受信重み係数を乗算する。
【0061】
伝搬路補償部107は、伝搬路推定部103から入力された伝搬路推定値に基づき、ZF(Zero Forcing;ゼロフォーシング)等化、MMSE(Minimum Mean Square Error;最小平均二乗誤差)等化等の方式を用いて、フェージングによる伝搬路歪を補正する重み係数を算出する。伝搬路補償部107は、この重み係数を干渉抑圧部106から入力された信号に乗算して伝搬路補償を行う。
【0062】
IDFT部108は、伝搬路補償部107が出力する信号にIDFT(逆離散フーリエ変換)処理を行う。
【0063】
復調部109は、IDFT部108から入力された信号に対して復調処理を行う。該復調処理は、硬判定(符号化ビット系列の算出)、軟判定(符号化ビットLLRの算出)のどちらでもよい。
【0064】
復号部110は、復調部109が出力する復調後の符号化ビット系列(又は、符号化ビットLLR)に対して誤り訂正復号処理を行い、自己宛に送信された情報データを算出し、上位レイヤ112に出力する。この誤り訂正復号処理の方式は、接続している基地局装置が行ったターボ符号化、畳み込み符号化等の誤り訂正符号化に対応する方式である。誤り訂正復号処理は、硬判定又は軟判定のどちらも適応できる。
【0065】
尚、移動局装置200−jが、インターリーブしたデータ変調シンボルを送信する場合には、復号部110は、誤り訂正復号処理を行う前に、入力された符号化ビット系列をインターリーブに対応するデインターリーブ処理を行う。そして、復号部110は、デインターリーブ処理が行われた信号に対して誤り訂正復号処理を行う。
【0066】
次に、通信システム1において、送信重み係数V及び受信重み係数Uを算出する処理を説明する。図4は、重み係数制御部111が、送信重み係数V及び受信重み係数Uを算出する処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図4の算出方法では、移動局装置から基地局装置の伝搬路行列の複素共役転置行列が、
基地局装置から移動局装置の伝搬路行列となるという性質(伝搬路の相反性)を利用して、送信と受信の役割を入れ替えながら干渉の影響ができるだけ小さくなるような重み係数を求める処理を繰返し行う。
【0068】
まず、重み係数制御部111は、伝搬路情報を取得すると、任意の送信重み係数Vを設定する(S100)。
【0069】
次に、重み係数制御部111は、基地局装置100−kが受信する干渉の総和Qk、iを(式2)に基づいて算出する(S101)。ここで、Qは受信する干渉信号の共分散行列である。また、Pは送信電力、Kはセル間干渉を協調し抑圧する基地局装置数である。また、は複素共役転置を表す。
【数2】

【0070】
次に、重み係数制御部111は、算出した干渉の総和Qk、iを特異値分解し、干渉の総和Qk、iを抑圧する受信重み係数Uk、iを算出する(S102)。尚、ステップS102及びステップS103では、移動局装置200−jの送信信号を基地局装置100−kが受信する場合について、受信重み係数Uが算出されていることになる。
次に、移動局装置200−jと基地局装置100−kの送信と受信の役割の入れ替えを行う(S103)。すなわち、基地局装置100−kが前記係数Uk、iを乗算した送信信号を移動局装置200−jが受信する場合について、該移動局装置200−jの受信重み係数Uを算出する。該受信重み係数Uは、移動局装置200−jの送信重み係数Vに該当することになる。
【0071】
受信重み係数Uの算出について、まず、移動局装置200−jが受信する干渉の総和Qj、iを(式3)に基づき算出する(S104)。ここで、Hjk=Hkj、V=U、Pは送信電力である。
【数3】

【0072】
次に、干渉の総和Qj、iを特異値分解し、干渉の総和Qj、iを抑圧する受信重み係数Uk、iを算出する(S105)。再度、移動局装置200−jと基地局装置100−kの送信と受信の役割の入れ替えを行う(S106)。すなわち、Vk、i=Uk、iを代入する。
【0073】
処理の回数をカウントするカウンタ(図示せず)を1つインクリメントし(S107)、所定の回数Iに到達するまで(S108、N)ステップS101乃至ステップS106の処理を繰返す。所定の回数Iに到達した場合(S108、Y)、処理を終了する。
【0074】
このように、基地局装置100−kと移動局装置200−jの送信と受信の役割を入れ替えながら、干渉電力が小さくなるような受信重み係数(U、U)を繰り返し更新していくことで、基地局装置100−k及び移動局装置200−jが干渉の影響を抑圧することができる受信重み係数が得られる。
【0075】
そして、k=jとなる受信重み係数Uを移動局装置200−jの送信重み係数Vとすることで、複数の基地局装置100−kが協調して干渉の影響を抑圧することができる。尚、この算出方法は一例であり、これに限定されず、この他の算出方法を用いてもよい。
【0076】
次に、第1の実施形態におけるスレーブ基地局装置(基地局装置100−2及び基地局装置100−3)について説明する。図5は、第1の実施形態に係るスレーブ基地局装置(基地局装置100−2及び基地局装置100−3)の構成を表す概略図である。以下、基地局装置100−2の構成として説明するが、基地局装置100−3も同様の構成を有する。
【0077】
スレーブ基地局装置(基地局装置100−2及び100−3)は、図5に示すように、複数の受信アンテナ部101−L(Lは、任意の正整数であり、各部位の数を表す)、受信部102−L、伝搬路推定部103、GI除去部104−L、DFT部105−L、干渉抑圧部106、伝搬路補償部107、IDFT部108、復調部109、復号部110、上位レイヤ152、制御信号検出部113、制御信号生成部121、参照信号生成部122、送信部123及び送信アンテナ部124を備えて構成される。尚、図5において、基地局装置100−2は、2本(L=2)の受信アンテナ部を備える場合の一例を示すが、これに限定されず、何本のアンテナを備えてもよい。また、1本の送信アンテナ部となっているが、これに限らず、複数の送信アンテナ部を備えてもよいし、送信アンテナ部と受信アンテナ部とを共用する構成としてもよい。また、基地局装置100−2の一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0078】
基地局装置100−1と比較すると、基地局装置100−2における、上位レイヤ152における動作が異なる。以下、主に異なる部分について説明する。
【0079】
上位レイヤ152は、伝搬路推定部103から移動局装置200−jと自局(基地局装置100−2)間の伝搬路推定値H2jを取得する。上位レイヤ152は、該伝搬路推定値H2jをバックホール回線10−1を介して基地局装置100−1に通知する。
【0080】
また、上位レイヤ152は、自局に接続している移動局装置200−2の送信信号の送信重み係数V及び自局の受信信号に乗算する受信重み係数Uを、バックホール回線10−1を介して基地局装置100−1から取得する。該送信重み係数V及び受信重み係数Uは、基地局装置100−1の重み係数制御部111が算出したものである。
【0081】
また、上位レイヤ152は、受信重み係数Uを干渉抑圧部106に入力する。干渉抑圧部106は、受信重み係数UをDFT105−Lから入力された周波数領域の信号に乗算する。
【0082】
また、上位レイヤ152は、自局と接続している移動局装置200−jが送信信号に乗算する送信重み係数Vを制御信号生成部121に入力する。
【0083】
制御信号生成部121は、上位レイヤ152が出力する制御データ及び送信重み係数Vを含む制御信号を生成する。尚、制御信号のフォーマットは、マスター基地局装置100−1と同様に、図3に示すフォーマットを適用できる。尚、該制御データは、MCS情報、空間多重数等を含んでいる。
【0084】
次に、第1の実施形態における移動局装置200−jについて説明する。図6は、第1の実施形態に係る移動局装置200−jの構成を示す概略図である。
【0085】
移動局装置200−jは、図6に示すように、上位レイヤ201、符号化部202、変調部203、DFT部204、プレコーディング部205、参照信号生成部206、制御信号生成部207、リソースマッピング部208、IDFT部209、GI挿入部210、送信部211、送信アンテナ部212、受信アンテナ部221、受信部222、制御信号検出部223及び伝搬路推定部224を備えて構成される。尚、移動局装置200−jの一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0086】
移動局装置200−jの受信部222は、受信アンテナ部221を介して、j=kとなる基地局装置100−kの下りリンクの送信信号を受信する。尚、該送信信号は、送信重み係数等の制御信号を含む信号である。また、該制御信号は、基地局装置100−kの制御信号生成部121が生成した送信重み係数Vを含む信号である。尚、詳細は後述するが、送信重み係数Vは、移動局装置100−jの送信信号に乗算される。
【0087】
また、受信部222は、前記受信アンテナ部221が出力した信号を信号検出処理等のデジタル信号処理が可能な周波数帯へダウンコンバート(無線周波数変換)し、さらにスプリアスを除去するフィルタリング処理を行ない、フィルタリング処理した信号をアナログ信号からデジタル信号に変換(Analog to Disital変換)を行なう。
【0088】
伝搬路推定部224は、受信部222が出力した信号に含まれる参照信号を用いて、伝搬路推定を行う。伝搬路推定は、下りリンクにおける基地局装置100−kと移動局装置200−jとの間の伝搬路を推定するものである。
【0089】
制御信号検出部223は、受信部222が出力した制御信号に対して伝搬路補償、復調処理及び復号処理等を行い、送信重み係数Vを抽出する。尚、制御信号検出部223は、伝搬路推定部224による伝搬路推定の結果(伝搬路推定値)を伝搬路補償、復調処理及び復号処理に用いる。
【0090】
また、制御信号検出部223は、移動局装置100−jの送信信号のMCS情報(Modulation and Coding Scheme)、空間多重数等のフィードバック情報を抽出する。
【0091】
上位レイヤ112は、制御信号に含まれる送信重み係数Vを取得する。また、上位レイヤ112は、該制御信号に含まれるMCS情報、空間多重数等のフィードバック情報も取得する。
【0092】
また、上位レイヤ112は、該フィードバック情報に基づき、上りリンクで送信する情報データを符号化部202に出力する。尚、情報データは、例えば、通話に伴う音声信号、撮影した画像を表す静止画像又は動画像信号、文字メッセージ等である。
【0093】
また、上位レイヤ112は、上りリンクで送信する制御データ(MCS情報、空間多重数等を含む)を出力する。尚、上位レイヤ201は、移動局装置200−jを構成する各部位が、機能を発揮するために必要なその他のパラメータも通知する。
【0094】
符号化部202は、上位レイヤ201から入力された情報データに対して誤り訂正符号化を行う。符号化部202が誤り訂正符号化を行う際に用いる符号化方式は、例えば、ターボ符号化(turbo coding)、畳み込み符号化(convolutional coding)、低密度パリティ検査符号化(low density parity check coding;LDPC)などである。
【0095】
尚、符号化部202は、誤り訂正符号化したデータ系列の符号化率(coding rate)をデータ伝送率に対応する符号化率に合わせるために、符号化ビット系列に対してレートマッチング処理を行ってもよい。また、符号化部202は、誤り訂正符号化したデータ系列を並び替えてインターリーブする機能を有してもよい。
【0096】
変調部203は、符号化部202から入力された信号を変調して変調シンボルを生成する。変調部203が行う変調処理は、例えば、BPSK(binary phase shift keying;2相位相変調)、QPSK(quadrature phase shift keying;4相位相変調)、M−QAM(M−quadrature amplitude modulation;M値直交振幅変調、例えば、M=16、64、256、1024、4096)等である。尚、変調部203は、生成した変調シンボルを並び替えてインターリーブする機能を有してもよい。
【0097】
DFT部204は、変調部203から出力された変調シンボルをDFT処理(離散フーリエ変換処理)する。
【0098】
プレコーディング部205は、DFT部204の出力信号に送信重み係数を乗算する。図6に示すように、プレコーディング部205は、上位レイヤ201を介して送信重み係数を取得しているが、制御信号検出部223から直接取得する構成としてもよい。
【0099】
参照信号生成部206は、参照信号(パイロット信号)を生成し、生成した参照信号をリソースマッピング部208に出力する。参照信号は、基地局装置100−kにおいて、移動局装置200−jの送信アンテナから基地局装置100−kの各受信アンテナまでの伝搬特性を推定するために用いる信号である。推定した伝搬特性は、送信重み係数及び受信重み係数算出のための伝搬路情報、或いは基地局装置100−kにおける伝搬路補償に用いられる。
【0100】
参照信号を構成する符号系列は、直交系列、例えば、アダマール符号又はCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto−Correlation)系列であることが好ましい。
【0101】
制御信号生成部207は、上位レイヤ201が出力する下りリンクの制御データを含む制御信号を生成する。例えば、LTEにおけるCQI(Channel Quality Control)などが該当する。尚、該制御信号に対して誤り訂正符号化及び変調処理を施してもよい。
【0102】
リソースマッピング部208は、上位レイヤ201から通知されるスケジューリング情報に基づいて、変調シンボル、参照信号及び制御信号をリソースエレメントにマッピングする(以降、リソースマッピングと称す)。尚、リソースエレメントとは、1つのサブキャリアと1つのOFDMシンボルとから成る信号を配置する最小単位をいう。
IDFT部209は、リソースマッピング部208から入力された周波数領域信号に対して逆離散フーリエ変換(inverse discrete Fourier Transform;IDFT)して時間領域信号に変換する。IDFT部209は、周波数領域信号を時間領域信号に変換できれば、IDFTの代わりに、他の処理方法(例えば、逆高速フーリエ変換[IFFT、inverse fast Fourier transform])を用いる構成としてもよい。
【0103】
GI挿入部210は、IDFT部209から入力された時間領域信号(有効シンボルと呼ぶ)にGI(Guard Interval;ガードインターバル、ガード区間ともいう)を付加してSC−FDMAシンボルを生成する。尚、ガードインターバルGIとは、受信側(基地局装置100−k)が周期性を維持してDFT処理(基地局装置100−kのDFT部105−l)ができるようにすることを目的として付加する区間である。例えば、GI挿入部210は、有効シンボルの後半の一部の区間の複写(コピー)をガードインターバルGIとして、有効シンボルに前置する。従って、ガードインターバルGIが前置された有効シンボルがSC−FDMAシンボルとなる。
【0104】
送信部211は、GI挿入部210から入力されたSC−FDMAシンボルを、D/A(digital−to−analog;デジタル・アナログ)変換して、アナログ信号を生成する。送信部211は、生成したアナログ信号に対してフィルタリング処理により帯域制限して帯域制限信号を生成する。送信部211は、生成した帯域制限信号を無線周波数帯域にアップコンバートし、送信アンテナ部212に出力する。
【0105】
次に、移動局装置200−j(j=1〜3)の送信信号を受信した基地局装置100−kにおける干渉抑圧部106の処理について、具体的に説明する。以下は、基地局装置のアンテナが2本(L=2)の場合の例である。
【0106】
基地局装置100−kにおいて、DFT部105−1及びDFT部105−2から干渉抑圧部106に入力される信号をベクトルRとすると、(式4)と表せる。
【数4】

ここで、Rk、Lは基地局装置kのDFT部105−Lから入力される信号、Hkj、Lは移動局装置200−j(j=1〜3)の送信信号を基地局装置100−kがアンテナ部101−Lを介して受信した場合の伝搬路(伝達関数)、Vは移動局装置200−jの送信信号に乗算されている送信重み係数(各移動局装置のプレコーディング部205で乗算)、Sは移動局装置200−jのデータ変調シンボルである。また、+(式4及び式5では丸プラスで表す)は要素毎の加算である。
【0107】
干渉抑圧部106が前記Rに受信重み係数Uを乗算した信号をYとすると、(式5)と表せる。ここで、Uk、LはDFT部105−Lから入力される信号に乗算する受信重み係数である。
【数5】

【0108】
次に、通信システム1における送信重み係数V及び受信重み係数Uの通知手順について説明する。
【0109】
図7は、通信システム1のマスター基地局装置(基地局装置100−1)が送信重み係数V及び受信重み係数Uを算出し、スレーブ基地局装置(基地局装置100−2及び100−3)及び移動局装置200−jに通知する動作例を示すシーケンス図である。
【0110】
最初に、移動局装置200−jは、マスター基地局装置及びスレーブ基地局装置に参照信号を送信する(S201、S202)。
【0111】
ステップS201及びS202で参照信号を受信したマスター基地局装置及びスレーブ基地局装置は、該参照信号を用いて、自局と移動局装置200−jとの間の伝搬路を推定する(S203、S204)。尚、通信システム1において、基地局装置100−kは、伝搬路Hk1、伝搬路Hk2及び伝搬路Hk3を推定する。
【0112】
更に、スレーブ基地局装置は、伝搬路推定の結果(伝搬路情報)をマスター基地局装置に通知する(S205)。
【0113】
次に、マスター基地局装置は、伝搬路情報を用いて、送信重み係数及び受信重み係数を算出する(S206)。
【0114】
更に、マスター基地局装置は、バックホール回線を介して、算出した送信重み係数V及び受信重み係数Uをスレーブ基地局装置に通知する(S207)。
【0115】
また、スレーブ基地局装置は、自局が接続している各移動局装置に送信重み係数Vを通知する(S207、S208)。例えば、スレーブ基地局装置100−2に接続している移動局装置200−2は、スレーブ基地局装置100−2を介して、マスター基地局装置100−1から送信重み係数Vを取得することになる。
【0116】
また、マスター基地局装置は、自局に接続している移動局装置の送信重み係数を該移動局装置に直接送信する(S209)。
【0117】
続いて、各移動局装置は、送信する自己の情報データに送信重み係数を乗算し、(S210)、乗算した情報データを送信する(S211、S212)。
【0118】
以上のように、第1の実施形態では、複数の基地局装置100−kの各セルが全部或いは一部を重複するように配置される通信システム1において、マスター基地局装置は、各基地局装置100−kが受信する干渉信号の等価伝搬路の向きが基地局装置100−kが受信信号に乗算する受信重み係数に直交するように、各移動局装置200−jの送信重み係数V及び基地局装置100−kの受信重み係数Uを算出する。
【0119】
そして、基地局装置100−kは、自局に接続する移動局装置200−jに送信重み係数Vを通知し、移動局装置200−jは、送信信号に送信重み係数Vを乗算して送信処理を行う。
【0120】
これにより、異なるセル範囲を有する複数の基地局装置におけるセルが、全部或いは一部を重複するように配置される通信システムにおいて、複数の基地局装置が同一周波数を用いて通信する際に起因するセル間干渉を効果的に抑圧し、良好な受信特性を得ることができる。
【0121】
尚、基地局装置100−1の重み係数制御部111は、上位レイヤ112に含んでも良い。また、重み係数制御部111は、協調する複数の基地局装置100−kの外部に位置し、これらの基地局装置100−kを統括する基地局管理部に含んでもよい。
【0122】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した複数の基地局装置100−kが協調してセル間干渉を抑圧する通信システム1において、コードブックを用意して、基地局装置100−kが移動局装置200−jに送信重み係数Uを通知する方法について説明する。コードブックとは、通信システム1において、予め決められた送信重み係数V及び受信重み係数Uの一覧表である。
【0123】
第2の実施形態の通信システム1における基地局装置100−kは、基地局装置の送信重み係数V及び移動局装置の受信重み係数Uのコードブックを共有し、移動局装置200−jは、少なくとも移動局装置200−jの受信重み係数Uのコードブックを共有するように構成されている。
【0124】
コードブックの一例を図8に示す。図8において、送信重み係数Vj,nは、第jの移動局装置におけるn番目の送信重み係数候補である(j及びnは任意の正整数)。また、受信重み係数Uk,nは、第kの基地局装置におけるn番目の受信重み係数候補である(k及びnは任意の正整数)。
【0125】
図8のコードブックにおいて、コードブックインデックス#0〜3は、2個の基地局装置と2個の移動局装置との間で協調してセル間干渉を抑圧する送信重み係数V及び受信重み係数Uの候補である。コードブックインデックス#4〜7は、3個の基地局装置と3個の移動局装置との間で協調してセル間干渉を抑圧する送信重み係数V及び受信重み係数Uの候補である。コードブックインデックス#8〜11は、4個の基地局装置と4個の移動局装置との間で協調してセル間干渉を抑圧する送信重み係数V及び受信重み係数Uの候補である。
【0126】
次に、コードブックを用いて送信重み係数V及び受信重み係数Uの選択について説明する。
【0127】
例えば、マスター基地局装置100−1は、コードブックを重み係数制御部111に保持する。まず、重み係数制御部111は、上位レイヤ112から入力される、協調する基地局装置数及び移動局装置数から、コードブックの候補を選択する。
【0128】
図1に示す通信システム1の場合は、3個の基地局装置100−kと3個の移動局装置200−jで協調するから、コードブックインデックス#4〜7が候補として選択される。
【0129】
次に、重み係数制御部111は、伝搬路推定部103及び上位レイヤ112から入力される伝搬路情報Hkjと、選択したコードブックインデックス#の候補とを用いて、干渉の影響ができるだけ小さくなるような重み係数を求める処理を行う。
【0130】
例えば、前記伝搬路情報Hkjと候補となったコードブックインデック#の送信重み係数V及び受信重み係数Uを(式2)及び(式3)に代入し、干渉の総和Qk、i及び総和Qj、iが最小となるコードブックインデックス#を選択する。
【0131】
次に、コードブックを用いて、送信重み係数V及び受信重み係数Uの通知方法について説明する。
【0132】
マスター基地局装置が選択したコードブックインデックス#をスレーブ基地局装置及び移動局装置に通知する動作のシーケンスは、図7に示すシーケンスを適用する。
【0133】
この場合、図7の「“送信重み係数及び受信重み係数通知”(S207)」及び「“送信重み係数通知”(S208及びS209)」を「コードブックインデックス通知」に置き換えることにより実現する。
【0134】
次に、制御信号生成部121が出力する制御信号のフォーマットを説明する。図9は、制御信号生成部121が出力する制御信号のフォーマットの一例を示す概念図である。
【0135】
制御信号は、自局と接続している移動局装置の送信重み係数UVの情報を通知するためのコードブックインデックス#の領域を有する。図9は、一例として、移動局装置200−1が送信信号に乗算する送信重み係数Vに対応するコードブックインデックスを送信重み係数に関する情報を格納する領域として4ビット設けている場合を示している。
【0136】
また、スレーブ基地局装置の制御信号生成部121は、同様に図9に示す制御信号のフォーマットにより、移動局装置200−jに送信重み係数Vを通知する。
【0137】
上述したように、基地局装置100−k及び移動局装置200−jでコードブックを共有することにより、送信重み係数V及び受信重み係数Uを算出する際の繰り返し数を減らすことができるため、基地局装置100−k及び移動局装置200−jにおいて演算処理の負担を軽減できる。また、コードブックインデック#を通知することにより移動局装置200−jに送信重み係数Vを通知できるので、オーバヘッド(の重み係数通知のための格納領域)を軽減することができる。
【0138】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、複数の基地局装置300−kが協調してセル間干渉を抑圧する通信システム1aにおいて、複数の参照信号を用いて、基地局装置300−kが移動局装置400−jに送信重み係数Vを通知する方法を用いる形態について説明する。
【0139】
第3の実施形態における通信システム1aは、図10に示すように、マスター基地局装置である基地局装置300−1、スレーブ基地局装置である基地局装置300−2及び300−3及び複数の移動局装置400−1乃至移動局装置400−3を備えている。尚、第3の実施形態における通信システム1aは、図1の基地局装置100−1を基地局装置300−1に、図1の基地局装置100−2及び100−3を基地局装置300−2及び300−3に、移動局装置200−1乃至移動局装置200−3を移動局装置400−1乃至移動局装置400−3に置き換えることにより実現できる。
【0140】
図11は、第3の実施形態に係る基地局装置300−1の構成を表す概略図である。マスター基地局装置(基地局装置300−1)は、図11に示すように、複数の受信アンテナ部101−L(以下、Lは、任意の正整数で且つ各部位の数を表す)、受信部102−L、伝搬路推定部103、GI除去部104−L、DFT部105−L、干渉抑圧部106、伝搬路補償部107、IDFT部108、復調部109、復号部110、重み係数制御部111、上位レイヤ112、制御信号検出部113、制御信号生成部121、参照信号生成部322、送信部123及び送信アンテナ部124を備えて構成される。尚、図11において、基地局装置300−1は、2本(L=2)の受信アンテナ部を備える場合の一例を示すが、これに限定されず、何本のアンテナを備えてもよい。また、1本の送信アンテナ部となっているが、これに限らず、複数の送信アンテナ部を備えてもよいし、送信アンテナ部と受信アンテナ部とを共用する構成としてもよい。また、上記基地局装置300−1の一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0141】
基地局装置300−1において、図2と共通する参照番号の構成要素は、その機能や動作が同じであるため、説明を省略する。第3の実施形態の基地局装置300−1と第1の実施形態の基地局装置100−1と比較した場合、参照信号生成部322が異なる。以下、これら部位を中心に説明する。
【0142】
参照信号生成部322は、基地局装置300−jの送信アンテナから移動局装置400−kの各受信アンテナまでの伝搬特性を推定するために用いる第1の参照信号と、送信重み係数Vを移動局装置に通知するために用いる第2の参照信号とを生成する。尚、該信送信重み係数Vは、重み係数制御部111から参照信号生成部322に入力される。第2の参照信号は、通信システム1aで予め決められた既知の符号系列に送信重み係数Vを乗算することで生成される。ここで、重み係数を含む参照信号を生成する参照信号生成部を重み係数情報生成部と、前記参照信号生成部が生成した重み係数を含む参照信号を重み係数情報とよんでもよい。
【0143】
例えば、通信システム1aで予め決められた既知の符号系列をSRSとすると、第1の参照信号は、SRSとなり、第2の参照信号は、VRSとなる。尚、該符号系列は、直交系列、例えば、アダマール符号又はCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto−Correlation)系列などが適用できる。
【0144】
送信部123は、第1の参照信号、第2の参照信号及び制御信号をリソースエレメントにリソースマッピングする機能を有する。そして、送信部123は、制御信号生成部121が出力する制御信号と第1の参照信号及び第2の参照信号とを含む信号を下りリンクにおいて送信可能な周波数帯までアップコンバートし、送信アンテナ部124を介して、接続している基地局装置に送信する。
【0145】
次に、第3の実施形態に係る基地局装置300−2及び基地局装置300−3(スレーブ基地局装置)の説明をする。
【0146】
図12は、第3の実施形態に係る基地局装置300−2及び基地局装置300−3の構成を表す概略図である。以下基地局装置300−2の構成として説明するが、基地局装置300−3も同様の構成を有する。また、スレーブ基地局装置の数は2つに限定されず、少なくとも1つの基地局装置を含むものであれば良い。
【0147】
スレーブ基地局装置(基地局装置300−2及び300−3)は、図12に示すように、複数の受信アンテナ部101−L(Lは、任意の正整数であり、各部位の数を表す)、受信部102−L、伝搬路推定部103、GI除去部104−L、DFT部105−L、干渉抑圧部106、伝搬路補償部107、IDFT部108、復調部109、復号部110、上位レイヤ152、制御信号検出部113、制御信号生成部121、参照信号生成部352、送信部123及び送信アンテナ部124を備えて構成される。尚、図12において、基地局装置300−2は、2本(L=2)の受信アンテナ部を備える場合の一例を示すが、これに限定されず、何本のアンテナを備えてもよい。また、1本の送信アンテナ部となっているが、これに限らず、複数の送信アンテナ部を備えてもよいし、送信アンテナ部と受信アンテナ部とを共用する構成としてもよい。また、基地局装置300−2の一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0148】
基地局装置300−2において、図5と共通する参照番号の構成要素は、その機能や動作が同じであるため、説明を省略する。第3の実施形態の基地局装置300−2と第1の実施形態の基地局装置100−2と比較した場合、参照信号生成部352が異なる。以下、これらの部位を中心に説明する。
【0149】
参照信号生成部352は、基地局装置の送信アンテナから各移動局装置の受信アンテナまでの伝搬特性を推定するために用いる第1の参照信号と、送信重み係数Vを移動局装置400−2に通知するために用いる第2の参照信号とを生成する。
【0150】
例えば、通信システム1aで予め決められた既知の符号系列をSRSとすると、第1の参照信号はSRS、第2の参照信号はVRSとなる。送信重み係数Vは、バックホール回線10−1を通じて、基地局装置300−1から取得したもので、上位レイヤ152を介して入力される。
【0151】
送信部123は、第1の参照信号、第2の参照信号及び制御信号をリソースエレメントにリソースマッピングする機能を有する。制御信号は、制御信号生成部121が生成した移動局装置400−2の送信信号のMCS情報、空間多重情報などの制御データを含む信号である。上述するが、リソースマッピングフォーマットは、基地局装置300−1の送信部123における同じリソースマッピングフォーマットが適用可能とする。
【0152】
また、送信部123は、制御信号生成部121が出力する制御信号と第1の参照信号及び第2の参照信号とを含む信号を下りリンクにおいて送信可能な周波数帯までアップコンバートし、送信アンテナ部124を介して、接続している基地局装置に送信する。
【0153】
次に、第3の実施形態に係る移動局装置400―jの構成について説明する。
【0154】
図13は、第3の実施形態に係る移動局装置400―jの構成を示す概略図である。移動局装置400−jは、図13に示すように、上位レイヤ201、符号化部202、変調部203、DFT部204、プレコーディング部205、参照信号生成部206、制御信号生成部207、リソースマッピング部208、IDFT部209、GI挿入部210、送信部211、送信アンテナ部212、受信アンテナ部221、受信部222、制御信号検出部423及び伝搬路推定部224を備えて構成される。尚、移動局装置400−jの一部或いは全部をチップ化して集積回路となる場合、各機能ブロックに対して制御を行なうチップ制御回路(図示せず)を有する。
【0155】
移動局装置400−jにおいて、図6と共通する参照番号の構成要素は、その機能や動作が同じであるため、説明を省略する。第3の実施形態の移動局装置400−jと第1の実施形態の移動局装置200−jと比較した場合、制御信号検出部423が異なる。以下、該部位を中心に説明する。
【0156】
伝搬路推定部224は、受信部222が出力した信号に含まれる第1の参照信号SRS1を用いて、伝搬路推定を行う。そして、伝搬路推定値(例えば、伝達関数)を制御信号検出部423に通知する。
【0157】
より具体的に、伝搬路推定部224は、受信部222が出力した第1の参照信号HRS1(ここで、Hは基地局装置300−j(ただしj=k)と移動局装置400−k間の伝搬路)を既知信号SRS1で除算することにより伝搬路推定値H^を算出する。
【0158】
また、既知信号SRS1を配置していないサブキャリアの伝搬路推定値は、第1の参照信号HSRS1を配置したサブキャリアの伝搬路推定値を用いて、線形補間、FFT補完などの補間技術により算出することができる。
【0159】
制御信号検出部423は、受信部222が出力した信号に含まれる制御信号の検出を行う。制御信号に含まれる情報データなどに施されているMCS、レイヤ数の情報を抽出すると、上位レイヤ201に通知する。
【0160】
また、制御信号検出部423は、受信部222が出力した信号に含まれる第2の参照信号SRS2(=VRS1)を用いて送信重み係数V^を算出する。そして、送信重み係数V^を上位レイヤ201に入力する。算出した送信重み係数情報V^は、以下の(式6)で表すことができる。ここで、H^は伝搬路推定値である。
【数6】

【0161】
プレコーディング部205は、DFT部204の出力信号に送信重み係数V^を乗算する。
【0162】
次に、第3の実施形態に係る基地局装置300−1の送信アンテナ部124により送信する際のリソースマッピングを図14を参照して説明する。
【0163】
図14において、横方向は時間Tを示し、縦方向は周波数Fを示す。白抜き部RE1は、制御信号及び下りリンクの情報データをマッピングするリソースエレメントである。また、太枠の範囲MAは、基地局装置300−1が送信重み係数Vを通知する移動局装置宛の情報データをマッピングする領域を表す。
【0164】
また、斜線部RE2及び塗潰し部RE3は参照信号をマッピングするリソースエレメントである。参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、システム帯域全体に有する。すなわち、セル固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。
【0165】
そして、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、塗潰し部RE3に第1の参照信号を配置する。また、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、斜線部RE2に第2の参照信号を配置する。
【0166】
このように、セル固有の参照信号の一部に送信重み係数Vを乗算することで、送信重み係数Vを移動局装置に通知する。尚、情報データ及び制御信号に、誤り訂正符号化及び変調処理を施しても良い(以下図15乃至図17も同様)。
【0167】
図15は、第3の実施形態に係る基地局装置300−1の送信アンテナ部124により送信する際のリソースマッピングの別の一例である。
【0168】
図15において、横方向は時間Tを、縦方向は周波数Fを示す。図15において、白抜き部RE1は、制御信号及び下りリンクの情報データをマッピングするリソースエレメントである。太枠の範囲MAは、基地局装置300−1が送信重み係数Vを通知する移動局装置宛の情報データをマッピングする領域を表す。
【0169】
また、斜線部RE2及び塗潰し部RE3は参照信号をマッピングするリソースエレメントである。参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、送信重み係数Vを通知する移動局装置の下りリンクの情報データが割り当てられる範囲に有する。すなわち、ユーザ固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。
【0170】
そして、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、塗潰し部RE3に第1の参照信号を配置する。また、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、斜線部RE2に第2の参照信号を配置する。
【0171】
このように、ユーザ固有の参照信号の一部に送信重み係数Vを乗算することで、該送信重み係数Vを移動局装置に通知する。
【0172】
図16は、第3の実施形態に係る基地局装置300−1の送信アンテナ部124により送信する際のリソースマッピングの別の一例である。
【0173】
図16において、横方向は時間Tを、縦方向は周波数Fを示す。図16において、白抜き部RE1は、制御信号及び下りリンクの情報データをマッピングするリソースエレメントである。太線の領域MAは、送信重み係数を通知する移動局装置の情報データが割り当てられる領域MAである。
また、斜線部RE2及び塗潰し部RE3は、参照信号をマッピングするリソースエレメントである。塗潰し部RE3で示した参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、セル固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。斜線部RE2で示した参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、ユーザ固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。
【0174】
そして、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、塗潰し部RE3に第1の参照信号を配置する。また、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、斜線部RE2に第2の参照信号を配置する。なお、塗潰し部RE3に第2の参照信号を配置し、斜線部RE2に第2の参照信号を配置することも可能である。
【0175】
このように、ユーザ固有の参照信号或いはセル固有の参照信号のいずれかに送信重み係数Vを乗算することで、該送信重み係数Vを移動局装置に通知する。
【0176】
図17は、第3の実施形態に係る基地局装置300−1の送信アンテナ部124により送信する際のリソースマッピングの別の一例である。
【0177】
図17において、横方向は時間Tを、縦方向は周波数Fを示す。図17において、白抜き部RE1は、制御信号及び下りリンクの情報データをマッピングするリソースエレメントである。太線の領域RBは、リソースブロックである。リソースブロックとは、複数のリソースエレメントを纏めたリソースの単位であり、移動局装置毎に下りリンクの情報データを割り当てるリソースの最小単位である。図17では、リソースブロックRBは、12個のサブキャリアと7個のOFDMシンボルから成るリソースとすることができる。
【0178】
また、斜線部RE2及び塗潰し部RE3は参照信号をマッピングするリソースエレメントである。塗潰し部RE3で示した参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、セル固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。斜線部RE2で示した参照信号をマッピングできるリソースエレメントは、ユーザ固有の参照信号をマッピングするリソースエレメントである。
【0179】
そして、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、塗潰し部RE3に第1の参照信号を配置する。また、参照信号をマッピングするリソースエレメントのうち、斜線部RE2に第2の参照信号を配置する。
【0180】
このように、各移動局装置に固有の参照信号或いはセル固有の参照信号のいずれかの参照信号であって、移動局装置の情報データをマッピングする領域の一部のリソースブロックに有する参照信号に送信重み係数を乗算することで、該送信重み係数を移動局装置に通知する。
【0181】
以上のように、第3の実施形態に係る通信システムにおいて、複数の基地局装置のセルが全部或いは一部を重複するように配置され、複数の基地局装置と、該基地局装置に接続する各移動局装置が協調してセル間干渉を抑圧する。そして、基地局装置は、参照信号を用いてセル間干渉を抑圧するための送信重み係数を移動局装置に通知するため、制御信号を増加することを防ぐことができ、複数の基地局装置及び各移動局装置における制御信号の処理の負担を軽減できる通信システムを実現することができる。また、基地局装置は、セルで固有の参照信号を利用して重み係数を通知することでき、通信環境などに対応して効率良くデータを受送信できる通信システムを構築できる。
【0182】
尚、本実施態様では、参照信号に送信重み係数を乗算して、該送信重み係数を移動局装置に通知する方法について説明したが、これに限らず、送信重み係数を乗算する信号は既知信号であればよい。例えば、既知信号である制御信号に送信重み係数を乗算して、該送信重み係数を移動局装置に通知する構成としても良い。
【0183】
尚、本発明に係る基地局装置及び移動局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0184】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。受信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
【0185】
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0186】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0187】
1 通信システム
100−1 (マスター)基地局装置
100−2、100−3 (スレーブ)基地局装置
102−L、222 受信部
101−L、221 受信アンテナ部
103 伝搬路推定部
104−L GI除去部
105−L DFT部
106 干渉抑圧部
107 伝搬路補償部
108 IDFT部
109 復調部
110 復号部
111 重み係数制御部
112、152、201 上位レイヤ
113 制御信号検出部
121、207 制御信号生成部
122、206 参照信号生成部
123、211 送信部
124、212 送信アンテナ部
202 符号化部
203 変調部
204 DFT部
205 プレコーディング部
208 リソースマッピング部
209 IDFT部
210 GI挿入部
223 制御信号検出部
224 伝搬路推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備える通信システムであって、
前記主基地局装置は、
システム全体の伝搬路情報を用いて前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する重み係数制御部を備え、
前記複数の基地局装置は、
前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信部と、
それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信部と、
前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧部とを備え、
前記移動局装置は、
前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の基地局装置は、前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成部を備え、前記各基地局装置の前記送信部は、それぞれが接続している前記移動局装置に前記制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記主基地局装置は、前記従基地局装置に前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する上位レイヤを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信重み係数に関する情報は、前記移動局装置が送信する前記送信信号に対して乗算する送信重み係数であることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記送信重み係数に関する情報は、前記移動局装置が送信する前記送信信号に対して乗算する送信重み係数に対応したコードブックインデックスであることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記移動局装置は、前記コードブックインデックスから前記送信重み係数を検出する制御信号検出部を備えることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記複数の基地局装置は、さらに、前記送信重み係数が乗算された参照信号を生成する参照信号生成部を備え、前記各基地局装置の前記送信部は、それぞれが接続している前記移動局装置に前記参照信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記参照信号は、前記移動局装置に固有の参照信号の一部であることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記参照信号は、前記基地局装置の接続可能範囲であるセルに固有の参照信号の一部であることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記参照信号は、前記移動局装置に固有の参照信号又は前記基地局装置の前記セルに固有の参照信号であることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項11】
主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備える通信システムにおける通信方法であって、
前記主基地局装置において、
システム全体の伝搬路情報を用いて前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する算出ステップと、
前記複数の基地局装置において、
前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信ステップと、
それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信ステップと、
前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧ステップとを備え、
前記移動局装置において、
前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信ステップを行うことを特徴とする通信方法。
【請求項12】
前記複数の基地局装置が、前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成ステップと、前記各基地局装置の前記送信部が、それぞれが接続している前記移動局装置に前記制御信号を送信する送信ステップとを行うことを特徴とする請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前記主基地局装置が、前記従基地局装置に前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する通知ステップを行うことを特徴とする請求項11又は12に記載の通信方法。
【請求項14】
主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備える通信システムにおける基地局装置であって、
前記基地局装置は、
システム全体の伝搬路情報を用いて前記複数の基地局装置のそれぞれが接続している前記移動局装置が送信する送信データに乗算される送信重み係数と、前記複数の基地局装置が受信する前記送信データに対し乗算される受信重み係数とを算出する重み係数制御部と、
前記送信重み係数に関する情報を前記移動局装置に送信する送信部と、
それぞれが接続している前記移動局装置が前記送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を受信する受信部と、
前記送信データに前記送信重み係数を乗算した前記送信信号に前記受信重み係数を乗算する干渉抑圧部と、
前記送信重み係数に関する情報を格納する領域を有する制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記送信重み係数及び受信重み係数を通知する上位レイヤと、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項15】
主基地局装置と従基地局装置とを含む複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置のうちの少なくとも1つに接続する移動局装置とを備える通信システムにおける移動局装置であって、
前記移動局装置は、
前記主基地局装置が、システム全体の伝搬路情報を用いて算出した送信重み係数と送信重み係数のうち、前記送信重み係数を受信する受信部と、
前記移動局装置が送信する送信データに前記送信重み係数を乗算した送信信号を生成するプレコーディング部と、
前記送信重み係数を乗算した前記送信信号を、それぞれが接続している前記基地局装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする移動局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−106249(P2013−106249A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249707(P2011−249707)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】