説明

通信システム、通信端末、ゲートウェイ、通信方法及びプログラム

【課題】通信システムに大きな負荷をかけることなく、通信方式をシームレスに切り替えることができる通信システムを提供する。
【解決手段】本発明の通信システムは、通信端末は、第1のネットワークに接続するために利用される第1のIPアドレスが割り当てられた第1のネットワークI/F、トンネルI/F及びプロキシI/Fと、第2のネットワークに接続するために利用される第2のIPアドレスが割り当てられた第2のネットワークI/Fと、クライアントトンネリング通信処理を行うトンネリングクライアントと、使用するネットワークを切り替える切り替えクライアントと、サーバのサービスを利用するためのサービスクライアントとを備え、ゲートウェイは、サーバトンネリング通信処理を行うトンネリングサーバと、切り替えクライアントからの指示に応答して、使用するネットワークを切り替える切り替えサーバと、サーバ装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、特に、複数の通信方式をシームレスに切り替えることができる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる特性を持つ複数の通信方式に対応している通信端末が普及している。通信方式の特性の例として、サービスの入手性には優れるが、通信速度、通信コストに劣る通信方式と、サービスの入手性には劣るが、通信速度、通信コストは優れる通信方式がある。
【0003】
例えば、スマートフォンは、第3世代携帯電話の無線通信方式である3G(3rd Generation)と、無線LANの通信方式に対応している。3Gと無線LANを比較すると、3Gは基地局からの電波が遠距離まで到達するため、無線LANよりもサービスの入手性が優れている。一方、無線LANはアクセスポイントからの電波が近距離までしか到達しないが、3Gよりも、通信速度や通信コストが優れている。また、他の例としては、将来的には、3GとモバイルWiMAX、あるいは、3Gと、3Gの次世代規格であるLTE(Long Term Evolution)等の組み合わせに対応した通信端末も考えられる。このような例では、3Gは、既に普及し、基地局が密に設置されているため、サービスの入手性に優れる。一方、次世代規格の通信方式は、普及途上では、基地局が疎に設置されるため、サービスの入手性に劣るが、通信速度や通信コストが3Gより優れている。
【0004】
このような背景から、利用できる限りは、サービスの入手性には劣るが、通信速度、通信コストに優れる通信方式を利用し、何らかの理由で、このような通信方式が利用できないときは、サービスの入手性には優れるが、通信速度、通信コストは劣る通信方式に切り替えたいというニーズがある。このようなニーズは、高速で快適な通信をしたいというサービス利用者、及び、通信コストの高い回線の使用量を減らしたいという通信事業者の双方に共通する。3Gと無線LANに対応したスマートフォンでは、公衆の無線LANスポットがある場合には、無線LANスポットが利用される場合が多い。
【0005】
しかし、一般に、複数の通信方式を切り替えながら通信すると、切り替えの際にコネクションが切断されてしまう問題が発生する。例えば、無線LANの圏外へ出た場合、切り替え前に無線LANで割り当てられていたIPアドレスが使用不能になる。そのため、通信相手が、そのIPアドレス宛てにパケットを送信しても、通信端末側ではパケットを受信できない。
【0006】
これらの問題の対処する従来技術に、Mobile IPとSCTP(Stream Control Transmission Protocol)が挙げられる。
【0007】
Mobile IPは、通信端末に一意のIPアドレスを割り振る技術で、通信端末が別のネットワークに移動しても同じIPアドレスを使い続けられる。しかし、Mobile IPを使用するには、通信端末に固定のIPアドレスを割り振らなければならず、アドレスが枯渇しているIPv4で広く使うことは困難である。また、切り替わりの際、一時的にパケットが届かなくなるという問題がある。
【0008】
SCTPは、ネットワーク階層においてTCP(Transmission Control Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)と同じトランスポート層の通信プロトコルである。SCTPで通信すると、複数の通信路を同時に使い、一部が通信不能になってもコネクションを維持するマルチホーミング機能を利用できる。しかし、広く普及しているTCPやUDPと互換性が無いので、SCTPに未対応の既存のサービスと接続できないという問題がある。
【0009】
特許第4377814号(特許文献1)には、シームレスなハンドオフを達成するために、通信端末と通信事業者のゲートウェイとの間はSCTPで接続し、SCTPトンネリングを使用して、TCPやUDPの通信を行う発明が開示されている。しかし、この方式には、次に挙げる2点の問題があると考えられる。第1に、通信端末とゲートウェイがSCTPに対応する必要があり、既存の機器への適用が困難である。この発明をSCTPに未対応の機器へ適用するには、当然ながら、SCTPの機能を追加しなければならない。しかし、SCTPは高度なトランスポート層の通信プロトコルであり、そのような機能を追加することは、一般に、OS(Operating System)のネットワーク処理を大きく変更する必要が生じる。第2に、SCTPを利用することによる性能上のオーバーヘッドが考えられる。SCTPの機能の一部には、既存のプロトコルで行う制御を考慮すると、重複、あるいは、過剰になってしまうものがある。例えば、UDPは、再送や輻輳制御を行わないため、SCTPでトンネリングしない通常のUDPを前提に作成されたアプリケーションでは、既に独自にそれらの処理を行っているか、再送による遅延が発生しないことを前提にしていると考えられる。そのため、SCTPが、これらの処理を行うことはオーバーヘッドになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4377814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、通信システムに大きな負荷をかけることなく、通信方式をシームレスに切り替えることができる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の通信システムは、通信端末と、サーバ端末と、前記通信端末と前記サーバ端末との通信を制御するゲートウェイとを備える通信システムにおいて、前記通信端末は、第1のネットワークに接続するために利用される第1のIPアドレスが割り当てられた第1のネットワークI/Fと、前記第1のIPアドレスが割り当てられたトンネルI/Fと、前記第1のIPアドレスが割り当てられたプロキシI/Fと、第2のネットワークに接続するために利用される第2のIPアドレスが割り当てられた第2のネットワークI/Fと、クライアントトンネリング通信処理を行うトンネリングクライアントと、前記第1のネットワークを利用するか、前記クライアントトンネリング処理を用いて前記第2のネットワークを利用するかを切り替える切り替えクライアントと、前記サーバを利用したサービスを利用するためのサービスクライアントとを備え、前記ゲートウェイは、サーバトンネリング通信処理を行うトンネリングサーバと、前記切り替えクライアントからの指示に応答して、前記第1のネットワークを利用するか、前記サーバトンネリング通信処理を用いて前記第2のネットワークを利用するかを切り替える切り替えサーバとを備える。
【0013】
本発明の通信方法は、通信端末と、サーバ端末と、前記通信端末と前記サーバ端末との通信を制御するゲートウェイとを備える通信システムにおいて実施される通信方法である。前記通信端末は、第1のネットワークに接続するために利用される第1のIPアドレスが割り当てられた第1のネットワークI/Fと、前記第1のIPアドレスが割り当てられたトンネルI/Fと、前記第1のIPアドレスが割り当てられたプロキシI/Fと、第2のネットワークに接続するために利用される第2のIPアドレスが割り当てられた第2のネットワークI/Fとを備え、前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fの利用可否の監視を行うステップと、前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fが利用可能になった場合には、前記第1のネットワークI/Fを利用した通信を、前記トンネルI/F及び前記第2のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップと、前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fが利用不可能になった場合には、前記トンネルI/F及び前記第2のネットワークI/Fを利用した通信を、前記第1のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップとを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信システムに大きな負荷をかけることなく、通信方式をシームレスに切り替えることができる通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態における通信システム100の構成図である。
【図2】図2は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1が、無線LANAP40の圏外にあり、通信端末1が、3G回線の通信路101を利用してゲートウェイ20と通信する定常状態を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態における通信システム100において、図2の定常状態で通信しているときの通信端末1のルーティングテーブル8の状態を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態における通信システム100において、図2の定常状態で通信しているときのゲートウェイ20のフローテーブル22の状態を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1が、無線LANAP40の圏内にあり、通信端末1が、無線LAN回線を利用した通信路102、及びトンネリング回線として無線LAN回線を利用した通信路103でゲートウェイ20と通信する定常状態を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で通信しているときの通信端末1のルーティングテーブル8の状態を示す図である。
【図7】図7は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で通信しているときのゲートウェイ20のフローテーブル22の状態を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で、通信端末1からサーバ端末30へパケットを送信する際のIPヘッダのDestination IPアドレス、Source IPアドレスの状態を示す概略図である。
【図9】図9は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で、サーバ端末30から通信端末1へパケットを送信する際のIPヘッダのDestination IPアドレス、Source IPアドレスの状態を示す概略図である。
【図10】図10は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の切り替えクライアント11のブロック図である。
【図11】図11は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の無線LAN監視部14による処理のフローチャートである。
【図12】図12は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の3G→トンネル切り替え部15による処理のフローチャートである。
【図13】図13は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1のトンネル→3G切り替え部16による処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の実施形態による通信システム100を以下に説明する。
【0017】
[構成の説明]
はじめに、本実施形態における通信システム100の構成の説明を行う。図1は、本実施形態における通信システム100の構成図である。
【0018】
本実施形態の通信システム100は、通信端末1と、サーバ端末30と、通信端末1とサーバ端末30との通信を制御するゲートウェイ20とを備える。通信端末1は、3G基地局50からの電波が届く場所では、3Gネットワーク60を介して、ゲートウェイ20との通信が可能である。また、インターネット70と接続された無線LANAP40からの電波が届く場所では、インターネット70を介して、ゲートウェイ20との通信が可能である。また、サーバ装置30とゲートウェイ20は、インターネット70を介して接続されている。
【0019】
通信端末1は、3GI/F2、無線LANI/F3、トンネルI/F4、プロキシI/F5、送信I/F記憶部6、IP層処理部7、ルーティングテーブル8、TCP層処理部9、UDP層処理部10、切り替えクライアント11、トンネリングクライアント12及びサービスクライアント13を備える。
【0020】
3GI/F2は、3Gネットワーク60を利用してゲートウェイ20と通信を行うためのネットワークI/Fである。3GI/F2には、3Gネットワーク60を利用するためのIPアドレス1−1が割り当てられる。IPアドレス1−1は、通信事業者から割り当てられる。
【0021】
無線LANI/F3は、無線LANAP40を介してインターネット70を利用してゲートウェイ20と通信を行うためのネットワークI/Fである。無線LANI/F3には、無線LANAP40を介してインターネット70を利用するためのIPアドレス1−2が割り当てられる。IPアドレス1−2は、接続した無線LAN内のDHCPサーバから動的に割り当てられるものであっても、事前に、接続環境に合わせて静的に割り当てられたものであってもよい。
【0022】
トンネルI/F4は、通信端末1が、トンネリング接続を行う際に使用するネットワークI/Fである。トンネルI/F4には、3GI/F2と同じIPアドレスであるIPアドレス1−1が割り当てられる。
【0023】
プロキシI/F5は、3GI/F2とトンネルI/F4の上位になるネットワークI/Fであり、3GI/F2とトンネルI/F4を、より上位の処理部であるIP層処理部7から隠蔽する。プロキシI/F5には、3GI/F2及びトンネルI/F4と同じIPアドレスであるIPアドレス1−1が割り当てられる。
【0024】
また、プロキシI/F5は、送信I/F記憶部6を備える。送信I/F記憶部6は、通信端末1からゲートウェイ20へパケットを送信する際に使用するネットワークI/Fを示す送信I/F変数を記憶する。送信I/F変数は、3GI/F3、又はトンネルI/F4のいずれかを示す。プロキシI/F5は、パケットを送信する際の、ネットワークI/Fの切り替え器と捉えることができる。
【0025】
プロキシI/F5は、3GI/F2とトンネルI/F4が受信したパケットを、IP層処理部7に渡す。プロキシI/F5は、受信については、送信I/F記憶部6の送信I/F変数によらずに、常に、3GI/F2とトンネルI/F4のどちらからもパケットを受信する。
【0026】
3GI/F2、トンネルI/F4及びプロキシI/F5は、同一のIPアドレス1−1となるが、3GI/F2とトンネルI/F4はIP層処理部7から隠蔽されており、IP層処理部7が、このIPアドレス1−1を認識するのはプロキシI/F4のみである。
【0027】
IP層処理部7は、ルーティングテーブル8を備える。IP層処理部7は、送信するパケットの宛先IPアドレスとルーティングテーブル8を参照して、パケットを送信するために使用するネットワークI/Fを決定する。
【0028】
TCP層処理部9は、TCPを利用してパケットを送信するために必要な処理を行う処理部である。
【0029】
UDP層処理部10は、UDPを利用してパケットを送信するために必要な処理を行う処理部である。
【0030】
切り替えクライアント11は、ゲートウェイ20の切り替えサーバ24と連携して、通信方式及び通信路の切り替えを制御するアプリケーションである。図10は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の切り替えクライアント11のブロック図である。切り替えクライアント11は、無線LAN監視部14、3G→トンネル切り替え部15及びトンネル→3G切り替え部16を備える。無線LAN監視部14は、通信端末1と無線LANとの接続状態を監視する。3G→トンネル切り替え部15は、通信端末1の通信方式を、3G回線による接続から、トンネル回線による接続に切り替える。トンネル→3G切り替え部16は、通信端末1の通信方式を、トンネル回線による接続から、3G回線による接続に切り替える。
【0031】
トンネリングクライアント12は、ゲートウェイ20のトンネリングサーバ25と連携して、通信端末1とゲートウェイ20との間でトンネリング接続を行うアプリケーションである。
【0032】
サービスクライアント13は、サーバ装置30と、TCP又はUDPを用いて通信し、通信端末1のユーザに、サービスを提供するためのアプリケーションである。
【0033】
ゲートウェイ20は、プログラマブルスイッチ21、フローテーブル22、スイッチコントローラ23、切り替えサーバ24及びトンネリングサーバ25を備える。
【0034】
プログラマブルスイッチ21は、ゲートウェイ20が受信するパケット、及びゲートウェイ20が送信するパケットに対して、フローテーブル22を用いて、経路制御を行うネットワークスイッチである。プログラマブルスイッチ21は、スイッチコントローラ23からの指示に従って、フローテーブル22で保持している経路情報を更新する。
【0035】
切り替えサーバ24は、通信端末1の切り替えクライアント11からの指示を受けるサーバである。切り替えサーバ24は、通信端末1の切り替えクライアント11からの指示に応じて、スイッチコントローラ23に対して経路情報の更新を指示する。また、トンネリングサーバ25に対して、通信路103を利用したトンネリング回線への接続開始指示及び接続停止指示を行う。
【0036】
トンネリングサーバ25は、通信端末1のトンネリングクライアント12と連携して、ゲートウェイ20と通信端末1との間で、トンネリング接続を行うためのパケットの処理を行う処理部である。
【0037】
スイッチコントローラ23、切り替えサーバ24及びトンネリングサーバ25には、それぞれ、IPアドレス2−4、IPアドレス2−3及びIPアドレス2−2が割り当てられているとする。また、図1中のゲートウェイ20におけるLink2−1は、データリンク層レベルでのプログラマブルスイッチ21と3Gネットワーク60との接続を表す。Link2−2は、データリンク層レベルでのプログラマブルスイッチ21とトンネリングサーバ25との接続を表す。Link2−3は、データリンク層レベルでのプログラマブルスイッチ21と切り替えサーバ24との接続を表す。Link2−4は、データリンク層レベルでのプログラマブルスイッチ21とスイッチコントローラ23との接続を表す。Link2−5は、データリンク層レベルでのプログラマブルスイッチ21とインターネット70との接続を表す。
【0038】
サーバ端末30は、通信端末1のユーザが、サービスクライアント13によってサービスを受けるための、データを通信端末1へ提供する。サーバ端末30には、IPアドレス3−1が割り当てられているとする。
【0039】
通信路101は、通信端末1とゲートウェイ20が、3Gネットワーク60を介して接続される場合の通信路を示す。通信路102は、通信端末1とゲートウェイ20が、無線LANAP40とインターネット70を介して接続される場合の通信路を示す。通信路103は、通信端末1とゲートウェイ20が、トンネリング回線として、無線LANAP40とインターネット70を利用する場合の通信路を示す。通信路104は、ゲートウェイ20とサーバ端末30が、インターネット70を介して接続される場合の通信路を示す。
【0040】
[動作方法の説明]
次に、本実施形態における通信システム100において、通信方法の説明を行う。
【0041】
まず、通信端末1とサーバ端末30が、定常状態で、どのように通信するかを説明する。ここで、定常状態とは、本実施形態において、通信方式、通信路の切り替えを完了した後に、いずれか一方の通信方式、通信路を利用して、通信端末1とサーバ端末30が通信している状態をいう。
【0042】
(3G回線を利用した定常状態での動作)
図2は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1が、無線LANAP40の圏外にあり、通信端末1が、3G回線の通信路101を利用してゲートウェイ20と通信する定常状態を説明するための図である。このとき、図1で示した無線LANを利用した通信路102、及び、無線LANをトンネリング回線として利用した通信路103は、利用することができない。図2中の矢印は、通信端末1のサービスクライアント13と、サーバ装置30との間で送受信されるデータの経路を図示したものである。
【0043】
図2の通信状態であるとき、通信端末1の送信I/F記憶部6に記憶されている送信I/F変数は、3GI/F2を示している。また、通信端末1のルーティングテーブル8の状態は、図3のようになっている。図3は、本実施形態における通信システム100において、図2の定常状態で通信しているときの通信端末1のルーティングテーブル8の状態を示す図である。図3で示されているルーティングテーブル8の状態は、宛先IPアドレスに既定値(0.0.0.0等)、リンク層I/FにプロキシI/F5が設定されているのみである。すなわち、特定のIPアドレス、及び、ネットワークに関するエントリが無いため、通信端末1から送信されるすべてのパケットは、プロキシI/F5を経由して、3G回線の通信路101に向けて送信される。
【0044】
図2の通信状態であるとき、ゲートウェイ20のフローテーブル22の状態は、図4のようになっている。図4は、本実施形態における通信システム100において、図2の定常状態で通信しているときのゲートウェイ20のフローテーブル22の状態を示す図である。図4のフローテーブル22の1行目に示されているように、ゲートウェイ20と通信端末1との通信は、3Gネットワーク60を介した通信路101を利用するように設定されている。
【0045】
3G回線を利用した定常状態での動作は、プロキシI/F5が介在する以外は、一般的な、従来の通信システムの動作と同様であると考えられるため、詳細な動作の説明を省略する。
【0046】
(トンネル回線を利用した定常状態での動作)
図5は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1が、無線LANAP40の圏内にあり、通信端末1が、無線LAN回線を利用した通信路102、及びトンネリング回線として無線LAN回線を利用した通信路103でゲートウェイ20と通信する定常状態を説明するための図である。図5中の102の矢印は、通信端末1のサービスクライアント13と、サーバ装置30との間で送受信されるデータの経路において、トンネリングしていない経路を図示したものである。図5中の103の矢印は、通信端末1のサービスクライアント13と、サーバ装置30との間で送受信されるデータの経路において、トンネリングしている経路を図示したものである。
【0047】
図5の通信状態であるとき、通信端末1の送信I/F記憶部6に記憶されている送信I/F変数は、トンネルI/F4を示している。また、通信端末1のルーティングテーブル8の状態は、図6のようになっている。図6は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で通信しているときの通信端末1のルーティングテーブル8の状態を示す図である。図6で示されているルーティングテーブル8は、図3のルーティングテーブル8の状態に、宛先IPアドレスが、ゲートウェイ20のネットワークIPアドレスであるIP2−*の場合には、無線LANI/F3を使用する設定が1行目に追加されている。
【0048】
図5の通信状態であるとき、ゲートウェイ20のフローテーブル22の状態は、図7のようになっている。図7は、本実施形態における通信システム100において、図7の定常状態で通信しているときのゲートウェイ20のフローテーブル22の状態を示す図である。図7で示されているルーティングテーブル8は、図4のルーティングテーブル8の状態に、宛先IPアドレスが、通信端末1のIPアドレス1−1の場合には、Link2−2を使用するように設定が変更されている。
【0049】
次に、ルーティングテーブル8が、図6の状態であり、フローテーブル22が図7の状態である場合に、通信端末1から、サーバ端末30にパケットを送信する場合についての動作について説明する。
【0050】
通信端末1は、ゲートウェイ20内のサーバに向けたパケットに対しては、図6のルーティングテーブルの1行目のエントリに従って、直ちに無線LANI/F3へ送り、通信端末1の外部へと送出する。
【0051】
通信端末1は、ゲートウェイ20内の宛先以外のパケットに対しては、図6のルーティングテーブルの2行目のエントリに従って、プロキシI/F5を介して、トンネルI/F4へ送る。通信端末1は、トンネルI/F4へ送られたパケットを、トンネリングクライアント12により、カプセル化し、再び送信を試みる。カプセル化されたパケットは、宛先がゲートウェイ20内のトンネリングサーバ25のIPアドレス2−2になるため、無線LANI/F3へ送られ、通信端末1の外へと送出される。
【0052】
ゲートウェイ20では、プログラマブルスイッチ21が、カプセル化されたパケットを受信すると、図7のフローテーブル22の2行目に従って、カプセル化されたパケットをトンネリングサーバ25に送信する。トンネリングサーバ25は、カプセル化されたパケットを、通常のパケットに戻し、プログラマプルスイッチ21に、パケットを送信する。プログラマブルスイッチ21は、図7のフローテーブル22の5行目に従って、パケットをサーバ端末30に送信する。
【0053】
このようにして、通信端末1からサーバ端末30へ送信するパケットが、トンネリングした通信路103により適切に届けられる。このときの、パケットの送信先IPアドレスと送信元アドレスの状態をまとめると、図8のようになる。図8は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で、通信端末1からサーバ端末30へパケットを送信する際のIPヘッダのDestination IPアドレス、Source IPアドレスの状態を示す概略図である。
【0054】
次に、ルーティングテーブル8が、図6の状態であり、フローテーブル22が図7の状態である場合に、サーバ端末30から、通信端末1にパケットを送信する場合についての動作について説明する。
【0055】
ゲートウェイ30のプログラマブルスイッチ21は、サーバ端末30から通信端末1へと送信されるパケットの宛先IPアドレスがIPアドレス1−1であるため、フローテーブル22の1行目に従って、パケットをトンネリングサーバ25に送る。トンネリングサーバ25が、パケットをカプセル化すると、宛先IPアドレスは通信端末1の無線LAN I/F3のIPアドレス1−2となる。トンネリングサーバ25は、カプセル化されたパケットを、プログラマブルスイッチ21に送信する。プログラマブルスイッチ21は、フローテーブル22の5行目の既定値に従って、インターネット70、及び、無線LANAP40を介して、通信端末1の無線LANI/F3宛てに、カプセル化されたパケットを送信する。
【0056】
通信端末1がカプセル化されたパケットを無線LANI/F3で受信すると、カプセル化されたパケットは、トンネリングクライアント12に届けられる。トンネリングクライアント12が、パケットのカプセル化を解除すると、宛先がIPアドレス1−1であるオリジナルのパケットが復元される。オリジナルのパケットのデータは、トンネルI/F4、プロキシI/F5及びIP層処理部7と、TCP層処理部9又はUDP層処理部10を介して、サービスクライアント13に届けられる。
【0057】
このようにして、サーバ端末30から通信端末1へ送信するパケットが、トンネリングした通信路103により適切に届けられる。このときの、パケットの送信先IPアドレスと送信元アドレスの状態をまとめると、図9のようになる。図9は、本実施形態における通信システム100において、図5の定常状態で、サーバ端末30から通信端末1へパケットを送信する際のIPヘッダのDestination IPアドレス、Source IPアドレスの状態を示す概略図である。
【0058】
図8及び図9で示されているように、通信端末1のサービスクライアント13、及び、サーバ端末30からは、IPアドレス1−2は見えておらず、IPアドレス1−1のみが見えている。そのため、通信端末1のサービスクライアント13、及び、サーバ端末30では、トンネリング回線を利用して通信していることが意識されることなく、3G回線で通信しているかのように見えている。
【0059】
次に、本実施形態の通信端末1が切り替え動作を行う契機について説明する。図11は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の無線LAN監視部14による処理のフローチャートである。
【0060】
(ステップS1)
無線LAN監視部14は、無線LANの接続状態を取得する。
【0061】
(ステップS2)
無線LAN監視部14は、無線LANの接続状態が変化した場合には、ステップS3の処理に進む。無線LANの接続状態が変化していない場合には、ステップS1の処理に進み、無線LANとの接続状態の監視を続ける。
【0062】
(ステップS3)
無線LAN監視部14は、新しい無線LAN接続を検出した場合には、ステップS4の処理に進み、新しい無線LAN接続の検出でない場合には、ステップS5の処理へ進む。
【0063】
(ステップS4)
無線LAN監視部14は、3G→トンネル切り替え部15の処理を呼び出す。
【0064】
(ステップS5)
無線LAN監視部14は、接続中の無線LAN接続を維持できない程の電波強度の低下を検出した場合には、ステップS6の処理に進み、接続中の無線LAN接続を維持できない程の電波強度の低下でない場合には、ステップS1の処理へ進む。
【0065】
(ステップS6)
無線LAN監視部14は、トンネル→3G切り替え部16の処理を呼び出す。
【0066】
次に、3G回線→トンネル回線への切り替え動作について説明する。図12は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1の3G→トンネル切り替え部15による処理のフローチャートである。
【0067】
(ステップS11)
3G→トンネル切り替え部15は、IP処理部7のルーティングテーブル8に、無線LAN接続のエントリを追加する。追加するエントリの例は、図6のルーティングテーブル8の1行目のエントリが該当する。この例では、ゲートウェイ20への通信は、無線LANI/F3を使用する設定が追加されている。
【0068】
(ステップS12)
3G→トンネル切り替え部15は、トンネリングクライアント12に、トンネル回線の接続処理の準備を行うように指示する。
【0069】
トンネリングクライアント12は、トンネル回線の接続処理として、送信元IPアドレスが、IPアドレス1−1であるパケットを、送信元IPアドレスを無線LANI/F3のIPアドレス1−2、送信先IPアドレスをトンネリングサーバ25のIPアドレス2−2のパケットとしてカプセル化する。また、ゲートウェイのトンネリングサーバ25により、送信先IPアドレスが、無線LANI/F3のIPアドレス1−2にカプセル化されているパケットのカプセル化を解除する処理を行う。
【0070】
3G→トンネル切り替え部15は、トンネルクライアント12が、上述のトンネル回線の接続処理の準備が完了するまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、トンネリングクライアント12から、3G→トンネル切り替え部15へ、準備完了通知が届くまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。
【0071】
(ステップS13)
3G→トンネル切り替え部15は、切り替えサーバ25に、トンネル回線への切り替えを行うように指示する。
【0072】
切り替えサーバ25は、スイッチコントローラ23にプログラマブルスイッチ21の設定を変更するように指示し、トンネリングサーバ25にトンネル回線の接続処理の準備を行うように指示する。
【0073】
スイッチコントローラ23は、フローテーブル22に対して、宛先IPアドレスが、通信端末1のIPアドレス1−1の場合には、Link2−2を使用するように設定を変更する。
【0074】
トンネリングサーバ25は、トンネル回線の接続処理として、送信先IPアドレスが、IPアドレス1−1であるパケットを、送信先IPアドレスを無線LANI/F3のIPアドレス1−2のパケットとしてカプセル化する。また、トンネリングクライアント12により、送信先IPアドレスが、トンネリングサーバ25のIPアドレス2−2にカプセル化されたパケットのカプセル化を解除する処理を行う。
【0075】
3G→トンネル切り替え部15は、切り替えサーバ24からの指示を契機とした、上述のゲートウェイ20側のトンネル回線の接続処理の準備が完了するまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、切り替えサーバ24から、3G→トンネル切り替え部15へ、準備完了通知が届くまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。
【0076】
(ステップS14)
3G→トンネル切り替え部15は、プロキシI/F5に、送信I/F記憶部6に格納された送信I/F変数を、トンネルI/F4を使用する設定に変更するように指示する。
【0077】
3G→トンネル切り替え部15は、プロキシI/F5が、送信I/F変数の更新を完了するまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、プロキシI/F5から、3G→トンネル切り替え部15へ、準備完了通知が届くまで、3G→トンネル切り替え処理を停止する。
【0078】
次に、トンネル回線→3G回線への切り替え動作について説明する。図13は、本実施形態における通信システム100において、通信端末1のトンネル→3G切り替え部16による処理のフローチャートである。
【0079】
(ステップS21)
トンネル→3G切り替え部16は、切り替えサーバ25に、3G回線への切り替えを行うように指示する。
【0080】
切り替えサーバ25は、スイッチコントローラ23にプログラマブルスイッチ21の設定を変更するように指示し、トンネリングサーバ25にトンネル回線の接続処理を停止するように指示する。
【0081】
スイッチコントローラ23は、フローテーブル22に対して、宛先IPアドレスが、通信端末1のIPアドレス1−1の場合には、Link2−1を使用するように設定を変更する。
【0082】
トンネリングサーバ25は、トンネル回線の接続処理を停止する。
【0083】
トンネル→3G切り替え部16は、切り替えサーバ24からの指示を契機とした、上述のゲートウェイ20側のトンネル回線の接続処理の停止が完了するまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、切り替えサーバ24から、トンネル→3G切り替え部16へ、停止完了通知が届くまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。
【0084】
(ステップS22)
トンネル→3G切り替え部16は、プロキシI/F5に、送信I/F記憶部6に格納された送信I/F変数を、3GI/F3を使用する設定に変更するように指示する。
【0085】
トンネル→3G切り替え部16は、プロキシI/F5が、送信I/F変数の更新を完了するまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、プロキシI/F5から、トンネル→3G切り替え部16へ、準備完了通知が届くまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。
【0086】
(ステップS23)
トンネル→3G切り替え部16は、トンネリングクライアント12に、トンネル回線の接続処理の停止を行うように指示する。
【0087】
トンネリングクライアント12は、トンネル回線の接続処理を停止する。
【0088】
トンネル→3G切り替え部16は、トンネルクライアント12が、上述のトンネル回線の接続処理の停止が完了するまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。例えば、処理を待ち合わせる方法は、トンネリングクライアント12から、トンネル→3G切り替え部16へ、停止完了通知が届くまで、トンネル→3G切り替え処理を停止する。
【0089】
(ステップS24)
トンネル→3G切り替え部16は、IP処理部7のルーティングテーブル8から、無線LAN接続のエントリを削除する。削除するエントリの例は、図6のルーティングテーブル8の1行目のエントリが該当する。
【0090】
本実施形態の通信システム100は、通信状況の変化に応じて適切な通信方式に切り替えているが、通信の切り替え時に、End−to−EndではIPアドレスが変化していない。また、本実施形態のプロキシI/F5は、受信パケットについては、常に、3GI/F3及びトンネルI/F4の両方からパケットを受信して、IP層処理部7へ渡している。そのため、通信コネクションの切断によるパケットのロス、再送、遅延等が生じない。
【0091】
また、本実施形態の通信システム100を実現するための性能上の影響は、トンネリング処理において、独自に再送や輻輳制御等の不要な処理を行わないため、パケットのカプセル化に関する軽量なトンネリング処理によるオーバーヘッドに留まる。
【0092】
また、本実施形態の通信システム100は、既に広く普及しているIPv4のTCP/IP上で実現しており、従来の通信端末に対しても、OSのネットワーク処理の変更は、プロキシI/F5に対応させるための僅かな変更で導入が可能である。
【0093】
本実施形態の通信システム100は、携帯型の通信端末において、大容量のデータの取得、VoIP(Voice over Internet Protocol)、音声・映像のストリーミング等のサービスを受ける場合等に適用すると効果的である。
【0094】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0095】
1 通信端末
2 3GI/F
3 無線LANI/F
4 トンネルI/F
5 プロキシI/F
6 送信I/F記憶部
7 IP層処理部
8 ルーティングテーブル
9 TCP層処理部
10 UDP層処理部
11 切り替えクライアント
12 トンネリングクライアント
13 サービスクライアント
14 無線LAN監視部
15 3G→トンネル切り替え部
16 トンネル→3G切り替え部
20 ゲートウェイ
21 プログラマブルスイッチ
22 フローテーブル
23 スイッチコントローラ
24 切り替えサーバ
25 トンネリングサーバ
30 サーバ装置
40 無線LANAP
50 3G基地局
60 3Gネットワーク
70 インターネット
100 通信システム
101 通信路
102 通信路
103 通信路
104 通信路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と、サーバ端末と、前記通信端末と前記サーバ端末との通信を制御するゲートウェイとを備える通信システムにおいて、ここで、前記ゲートウェイと前記通信端末は、第1のネットワークと第2のネットワークで接続され、いずれか一方のネットワークが利用可能であれば通信することができ、
前記通信端末は、
前記第1のネットワークに接続するために利用される第1のIPアドレスが割り当てられた第1のネットワークI/Fと、
前記第1のIPアドレスが割り当てられたトンネルI/Fと、
前記第1のIPアドレスが割り当てられたプロキシI/Fと、ここで、前記プロキシI/Fは、前記第1のネットワークI/Fと、前記トンネルI/Fを隠蔽するために設けられ、
前記第2のネットワークに接続するために利用される第2のIPアドレスが割り当てられた第2のネットワークI/Fと、
クライアントトンネリング通信処理を行うトンネリングクライアントと、ここで、前記クライアントトンネリング通信処理は、送信元IPアドレスが、前記第1のIPアドレスであるパケットを、送信元IPアドレスを前記第2のIPアドレス、送信先IPアドレスを前記ゲートウェイのトンネリングサーバのIPアドレスのパケットとしてカプセル化し、前記ゲートウェイのトンネリングサーバにより、送信先IPアドレスが、前記第2のIPアドレスにカプセル化されているパケットのカプセル化を解除する処理であり、
前記第1のネットワークを利用するか、前記クライアントトンネリング処理を用いて前記第2のネットワークを利用するかを切り替える切り替えクライアントと、
前記サーバを利用したサービスを利用するためのサービスクライアントと
を備え、
前記ゲートウェイは、
サーバトンネリング通信処理を行うトンネリングサーバと、ここで、前記サーバトンネリング通信処理は、送信先IPアドレスが、前記第1のIPアドレスであるパケットを、送信先IPアドレスを第2のIPアドレスのパケットとしてカプセル化し、前記トンネリングクライアントにより、送信先IPアドレスが、前記トンネリングサーバのIPアドレスにカプセル化されたパケットのカプセル化を解除する処理であり、
前記切り替えクライアントからの指示に応答して、前記第1のネットワークを利用するか、前記サーバトンネリング通信処理を用いて前記第2のネットワークを利用するかを切り替える切り替えサーバと
を備える通信システム。
【請求項2】
前記プロキシI/Fは、送信I/F変数を記憶する送信I/F記憶部を更に備え、ここで、前記送信I/F変数は、前記プロキシI/Fからパケットを送信する際に使用するネットワークI/Fを、前記第1のネットワークI/F、又は前記トンネルI/Fのどちらを使用するかを示す変数であり、
前記プロキシI/Fは、送信するパケットに対しては、前記送信I/F変数を参照することにより、前記第1のネットワークI/F、又は前記トンネルI/Fを切り替えて送信し、受信するパケットに対しては、前記第1のネットワークI/F及び前記トンネルI/Fの両方から受信する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記ゲートウェイは、
パケットの送信先を、フローテーブルを参照して切り替えるプログラマブルスイッチと、
前記フローテーブルの書き換えを行うことにより、前記プログラマブルスイッチを制御するスイッチコントローラと
を更に備え、
前記切り替えサーバは、
前記スイッチコントローラに、前記第1のネットワークを利用するか、前記サーバトンネリング通信処理を用いて前記第2のネットワークを利用するかの指示を行う
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1のネットワークI/Fは、携帯電話網に接続するためのインタフェースであり、前記第2のネットワークI/Fは、無線LANアクセスポイントへ接続するためのインタフェースである
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲートウェイ。
【請求項7】
通信端末と、サーバ端末と、前記通信端末と前記サーバ端末との通信を制御するゲートウェイとを備える通信システムにおいて、ここで、前記ゲートウェイと前記通信端末は、第1のネットワークと第2のネットワークで接続され、いずれか一方のネットワークが利用可能であれば通信することができ、
前記通信端末は、
前記第1のネットワークに接続するために利用される第1のIPアドレスが割り当てられた第1のネットワークI/Fと、
前記第1のIPアドレスが割り当てられたトンネルI/Fと、
前記第1のIPアドレスが割り当てられたプロキシI/Fと、ここで、前記プロキシI/Fは、前記第1のネットワークI/Fと、前記トンネルI/Fを隠蔽するために設けられ、
前記第2のネットワークに接続するために利用される第2のIPアドレスが割り当てられた第2のネットワークI/Fと
を備え、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fの利用可否の監視を行うステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fが利用可能になった場合には、前記第1のネットワークI/Fを利用した通信を、前記トンネルI/F及び前記第2のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fが利用不可能になった場合には、前記前記トンネルI/F及び前記第2のネットワークI/Fを利用した通信を、前記第1のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップと
を含む通信方法。
【請求項8】
前記トンネルI/F及び前記第2のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップは、
前記通信端末の切り替えクライアントが、送信先IPアドレスが前記ゲートウェイのネットワークIPアドレスに属する場合に、前記第2のネットワークI/Fを利用するように切り替えるステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記通信端末のトンネリングクライアントに、送信元IPアドレスが、前記第1のIPアドレスであるパケットを、送信元IPアドレスを前記第2のIPアドレス、送信先IPアドレスを前記ゲートウェイのトンネリングサーバのIPアドレスのパケットとしてカプセル化する処理を行うように指示するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記通信端末のトンネリングクライアントに、送信先IPアドレスが、前記第2のIPアドレスとしてカプセル化されているパケットのカプセル化を解除する処理を行うように指示するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記ゲートウェイの切り替えサーバに、前記カプセル化されたパケットの通信に切り替えるように指示するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記通信端末のプロキシI/Fの設定を、前記トンネルI/Fを使用するように設定するステップと
を含む請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第1のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるステップは、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記ゲートウェイの切り替えサーバに、前記第1のネットワークI/Fを利用した通信に切り替えるように指示するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記通信端末のプロキシI/Fの設定を、前記第1のネットワークI/Fを使用するように設定するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記通信端末のトンネリングクライアントに、前記カプセル化する処理、及び前記カプセル化を解除する処理を行わないように指示するステップと、
前記通信端末の切り替えクライアントが、前記第2のネットワークI/Fを利用しないように設定するステップと、
を含む請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の通信方法を通信端末に実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−156796(P2012−156796A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14144(P2011−14144)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】