説明

通信システム、通信装置、サーバ装置および通信制御方法

【課題】 通信品質の確保とネットワークデバイスの配置自由度の向上との両立を促す。
【解決手段】 通信システムは無線ゾーンを形成する基地局、基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置、ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイス、ギャランティ型ネットワークとベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイを具備する。基地局は無線ゾーン内の無線局と無線チャネルを介して通信する。ネットワークデバイスは無線通信部、パス形成部、判定部、切り替え部を備える。パス形成部はギャランティ型ネットワークの通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、ベストエフォート型ネットワークとゲートウェイとを経由するデフォルトパスと無線チャネルと基地局と制御装置とを経由する無線パスとを形成する。判定部は通信の優先度を判定する。切り替え部は判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば通信装置との通信に使用するパスをデフォルトパスから無線パスに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の基地局を備える通信システム、通信装置、サーバ装置および通信制御方法に関する。特に本発明は、クラウドシステムに好適に利用可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の回線交換網はInternet Protocol(IP)ネットワークに置き換えられつつある。そのような技術トレンドにあって通信事業者は通信のIP化/光化を進めており、IP電話の加入者数も年々増加している。また、Next Generation Network(NGN)と呼ばれる次世代IPネットワーク技術にも注目が集まっている。このような流れの中でクラウド技術に代表されるように、通信機能を備えるネットワークデバイスをネットワーク上に自由に分散配置したいという要望が高まってきている。
【0003】
ネットワークには大別してギャランティ型とベストエフォート型との区別がある。ギャランティ型はIntegrated Service Digital Network(ISDN)や専用線システムに代表され、要求された通信帯域を通信の開始から終わりまで保証する機能を備える。この種のネットワークは高いQuality of Service(QoS)を実現できるが、リソースの利用コストが嵩むという困難がある。ベストエフォート型の代表はインターネットを含むIPネットワークであり、リソースの利用コストが安い反面、帯域および通信遅延が保証されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−135593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、ギャランティ型ネットワークは設備投資や人員の負担が大きいのでコストが割高である。特に専用線を用いることから、ネットワークデバイスを場所に依存することなく自由に配置することが難しい。よってクラウドシステムを発展させるには、低コストのIPネットワークを利用するのが近道といえる。
【0006】
しかしながらベストエフォート型のネットワークを利用するには、通信遅延への対処を講じておくことがどうしても必要になる。特に緊急連絡のための通信が生じると輻そうが生じやすく、通信品質の確保が困難になる。つまりクラウドシステムの発展のためにはベストエフォート型ネットワークを利用しつつ通信遅延への対処を講じておく必要があるが、そのような技術は未だ知られていない。
目的は、通信品質の確保とネットワークデバイスの配置の自由度の向上との両立を促すことの可能な通信システム、通信装置、サーバ装置および通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、通信システムは、無線ゾーンを形成する基地局と、基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、ギャランティ型ネットワークとベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備する。基地局は、無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信する無線部を備える。ネットワークデバイスは、無線通信部と、パス形成部と、判定部と、切り替え部とを備える。パス形成部は、ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、ベストエフォート型ネットワークとゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、無線チャネルと基地局と制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成する。判定部は、通信装置との通信の優先度を、当該通信に生じる遅延の許容度に関連付けて判定する。切り替え部は、判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば、通信装置との通信に使用するパスをデフォルトパスから無線パスに切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係わる通信システムを示すシステム図。
【図2】図1にされる通信システムの要部構成を示すシステム図。
【図3】通信システムの第1の実施形態の一例を示す機能ブロック図。
【図4】IPパスおよび無線通信パスを示す模式図。
【図5】管理データベースDBに記録される内容の一例を示す図。
【図6】図3に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図7】通信システムの第2の実施形態の一例を示す機能ブロック図。
【図8】図7に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図9】通信システムの第3の実施形態の一例を示す機能ブロック図。
【図10】図9に示されるサーバS11に記憶される管理データベースDBの一例を示す図。
【図11】図9に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図12】実施形態におけるメリットを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係わる通信システムを示すシステム図である。このシステムは通信ネットワーク100と、通信ネットワーク100に接続される制御装置G11,G12とを備える。通信ネットワーク100は、制御装置G11,G12を遠隔からリモート制御したり、各種通信サービスを提供したりするためのサーバS11を備える。サーバS11はデータベース44を備え、システム内に存在する被監視装置を管理したり、呼情報を管理したりするための上位装置としての機能も担う。
【0010】
つまりサーバS11は制御装置G11,G12の上位階層に位置づけられ、制御装置G11,G12からの通知に基づいて通信システムを管理ないし監視制御する。その機能の一つには、例えば通信システム内の各機器における障害の発生状況を管理する、障害管理機能がある。なお図1のシステムに適用可能なネットワーク管理プロトコルとしてはCMIP(Common Management Information Protocol)あるいはSNMP(Simple Network Management Protocol)などがあるが、これらのプロトコルに限定されるものではない。
【0011】
制御装置G11は個別回線を介して基地局CS11に接続される。制御装置G12は別の個別回線を介して基地局CS21,CS22に接続される。すなわち基地局CS11は制御装置G11の配下にあり、基地局CS21,CS22は制御装置G12の配下にある。図示しないが各制御装置G11,G12は、さらに多くの基地局(符合をCSで統一する)に接続されることができる。制御装置の数も2個に限らず、それ以上であってよい。
【0012】
各基地局CS11,CS21,CS22はそれぞれ無線ゾーン(以下セルと称する)を形成し、このセルに在圏する移動端末PS(PS11,PS12)を無線チャネルを介して収容する。移動端末PS11,PS12はその移動に伴って各セル間をハンドオーバし、接続先の基地局CSを切り替える。
【0013】
制御装置G11,G12は通信ネットワーク100を介して相互間に通信リンクを形成することもでき、移動端末PS11,PS12はこのリンクを介して互いと通信することができる。制御装置G11,G12は、通信端末間のエンド・ツウ・エンドの通信を実現するため交換処理あるいはプロトコル変換などの種々の制御を担う。また制御装置G11,G12は基地局CSを経由して通信される信号(音声データや映像、画像データなどのデジタル信号、各種サービスを行なうためのデータなど)を、通信ネットワーク100を経由して指定の通信種別に従って処理する。
【0014】
ところで、図1に示されるシステムは、通信ネットワーク100に有線または無線を介して接続されるネットワークデバイス501,502,503を備える。ネットワークデバイス501,502,503は通信ネットワーク100に分散配置され、システム管理の上では下層レイヤに位置づけられて被監視装置として機能する。
【0015】
ネットワークデバイス501,503は例えばユーザ宅600に設けられるアクセスポイントなどであり、ネットワークデバイス502は例えばワイヤレス通信機能を備えるノートパソコンに備わる無線ボードなどである。要するにネットワークデバイスは通信ネットワーク100に直接的あるいは間接的に接続可能な機器である。ネットワークデバイス501,502,503は無線チャネルを介して基地局CSに接続する機能を備え、接続先の基地局を介して通信ネットワーク100と通信することができる。
【0016】
このほか図1のシステムは、パーソナルコンピュータ(PC)や固定電話機(TEL)を制御装置G11,G12に接続するための中継ユニット700を備える。中継ユニット700もネットワークデバイスである。この種の装置はターミナルアダプタ(Terminal Adapter:TA)と称されることもある。PCに音声通話ソフトウェアをインストールすれば電話機として利用することも可能である。さらに、無線LAN(Local Area Network)規格に準拠するアクセスポイント(図示せず)が制御装置G11,G12に接続されることもある。
【0017】
図2は、図1にされる通信システムの要部構成を示すシステム図である。すなわち図1の通信ネットワーク100は、基幹ネットワーク100aと、IPベースネットワーク100bと、これらのネットワークを相互接続するゲートウェイ200とを含む。
実施形態において基幹ネットワーク100aはギャランティ型ネットワークであり、ISDNや専用線ネットワーク、あるいはPersonal Handy phone System(PHS)網がその一例として挙げられる。この実施形態では基幹ネットワーク100aとしてPHSを想定する。このほかいわゆる携帯電話システムとして知られるセルラフォンシステム、あるいは次世代PHSと称されるeXtended Global Platform(XGP)に対しても実施形態は適用可能である。
IPベースネットワーク100bはベストエフォート型ネットワークであり、例えばIPをベースとする公衆通信網である。この種のネットワークは通信キャリアにより自前で構築されることもある。
【0018】
図1に示すサーバS11、制御装置G11,G12はいずれも基幹ネットワーク100aに接続される。ネットワークデバイス501はIPベースネットワーク100bに接続され、無線チャネルを介して基地局CS22に接続される。基地局CS22は制御装置G12を介して基幹ネットワーク100aに接続される。
【0019】
ネットワークデバイス502もIPベースネットワーク100bに接続され、無線チャネルを介して基地局CS11に接続される。基地局CS11は制御装置G11を介して基幹ネットワーク100aに接続される。
ネットワークデバイス503は基幹ネットワーク100aに接続される。なお一例としてデータ端末TM11がネットワークデバイス502に接続される。データ端末TM11はユーザ宅内のパーソナルコンピュータ(PC)などである。例えばデータ端末TM11として、音声通話ソフトウェアをインストールしたパーソナルコンピュータ(PC)、いわゆるソフトフォンを想定することができる。このケースでは対向装置との通信リンクは必要に応じて形成される。
【0020】
あるいはデータ端末TM11として、防犯システムの監視カメラなどを想定することもできる。この場合、センサ情報や監視情報を対向装置に伝送するために、対向装置との間で常時接続型の通信リンクが形成されてもよい。以上の構成を基礎として、次に、複数の実施形態につき詳しく説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
図3は、通信システムの第1の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。図3のデータ端末TM11は、基幹ネットワーク100aに接続される対向装置C11とネットワークデバイス502を介して通信する。なお対向装置C11の例としてはネットワークデバイス502と同種のネットワークデバイスに限られるものではなく、通信機能を持つ装置であれば他種の如何なる装置でも良い。
【0022】
図3において、サーバS11は管理データベースDBを備える。基地局CS11は無線通信部101aを備える。無線通信部101aは無線ゾーンを形成し、この無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信する。無線局は例えばセルラフォン端末や無線LAN端末、あるいは無線通信機能を備えるPersonal Digital Assistants(PDA)端末などである。実施形態ではネットワークデバイスもこの範疇に含まれる。すなわち基地局CS11の無線ゾーンに入るとネットワークデバイス502は無線チャネルを介して基地局CS11に接続される。ネットワークデバイス502はこの無線チャネルを介して基幹ネットワーク100aと通信することができる。
【0023】
ネットワークデバイス502は実施形態に係わる機能ブロックとして無線通信部101b、パス制御部102、優先度判定部103a、および経路切り替え部104を備える。無線通信部101bは基地局CS11と無線チャネルを介して通信する。パス制御部102は、対向装置C11を相手先とするリンク形成に伴い、デフォルトで使用されるIPパスに加えて、基地局CS11を経由する無線通信パスを対向装置C11との間に形成する。
【0024】
図4は、IPパスおよび無線通信パスを示す模式図である。IPパスはIPベースネットワーク100bとゲートウェイ200とを経由するパスであり、例えばSession Initiation Protocol(SIP)を用いたシーケンスにより設定される。対向装置C11およびゲートウェイ200が基幹ネットワーク100aに接続されているので、IPパスは必然的に基幹ネットワーク100aを経由することになる。実施形態では主にコストや帯域の節約のため、ネットワークデバイス502と対向装置C11との通信には、デフォルトで(初期設定において)IPパスを使用することとする。
【0025】
無線通信パスは、ネットワークデバイス502〜基地局CS11間の無線チャネルと、基地局CS11と、制御装置G11とを経由して基幹ネットワーク100aに至り、さらに対向装置C11に接続されるパスである。経路に無線区間を含むとの観点からこのパスを無線通信パスと称することにする。
【0026】
図3に戻り説明を続ける。優先度判定部103aは、ネットワークデバイス502と対向装置C11との通信の優先度を判定する。特に優先度判定部103aは、リンク形成に係わる対向装置C11の宛先情報をもとにサーバS11の管理データベースDBの内容を参照して、この対向装置C11との通信の優先度を判定する。
経路切り替え部104は、優先度判定部103aにより判定された優先度が既定レベル以上であれば、対向装置C11との通信に使用するパスを、IPパスから無線通信パスに切り替える。なおパス制御部102は切り替えにより使用されなくなったパスについても通信中のリンク確立を継続する。
【0027】
図5は、管理データベースDBに記録される内容の一例を示す図である。管理データベースDBはネットワークデバイスの通信の相手先となり得る通信装置の宛先情報ごとに、その種別を対応付けたデータベースである。相手先の種別はその相手先との通信の優先度に関連する。つまりネットワークデバイスは、管理データベースDBを参照することにより相手先との通信の優先度を判定することができる。
【0028】
図5において、管理データベースDBは宛先番号、宛先IPアドレス(宛先情報(接続先情報)と総称する)、および種別の3つの項目を備える。管理データベースDBには相手先の宛先情報が、相手先の種別とともに関連付けて記録される。種別としては例えば緊急機関(A,B,…)、セキュリティシステムのサーバなどがあり、それぞれとの通信の重要度も異なる。管理データベースDBは上記3項目に加えて、優先度レベルなどの項目を備えていてもよい。
【0029】
例えば通信の遅延が許されない相手先に対しては通信の優先度は高く、逆に多少の遅延は許される通信の優先度は低い。すなわち通信の優先度は、その通信において生じる遅延の許容度と関連付けて考慮できる量である。また優先度には相手先に応じたレベルがあり、例えば閾値判定などで優先度のレベルを区分すれば良い。
なお管理データベースDBには全ての相手先が登録されている必要はない。要するに管理データベースDBには、通信の優先度が既定レベル以上である相手先がリストアップされていれば良い。次に、上記構成における作用を説明する。
【0030】
図6は、図3に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図である。図6においてはデータ端末TM11からの要求を受けたネットワークデバイス502が対向装置C11と通信するケースを想定する。
図6においてネットワークデバイス502は、データ端末TM11から送られた対向装置C11の宛先情報をサーバS11に通知する(ステップS201)。これを受けたサーバはこの宛先情報をキーとして管理データベースDBを検索し、対向装置C11との通信の優先度を判定する。この判定の結果は宛先情報応答としてネットワークデバイス502に返送され(ステップS202)、ネットワークデバイス502は対向装置C11との通信の優先度を記憶する。
【0031】
なお、サーバS11がPHSにおける認証サーバとしての位置づけにあれば、認証サーバは発呼要求に対する応答に認証結果とともに相手先情報(IPアドレスなど)を返送する。これに倣って、ステップS202でネットワークデバイス502に返送される宛先情報応答に対向装置C11のIPアドレスを含めるようにしても良い。そもそも認証サーバは相手先の宛先情報を記録したデータベースを備えており、図5の管理データベースDBはこのデータベースに相手先の種別や重要度を関連付けたものとして捉えることもできる。
【0032】
次にネットワークデバイス502は、IPパスを確立するための手順を開始する。すなわちネットワークデバイス502はIPベースネットワーク100bからゲートウェイ200を介して、対向装置C11に接続要求を送出する(ステップS203)。これを受けた対向装置C11は接続応答をネットワークデバイス502に返信し(ステップS204)、IPパスが確立される(ステップS205)。デフォルトでは、ネットワークデバイス502はこのIPパスを用いて対向装置C11との間でのデータ通信を行う。
【0033】
上記手順と並行して、あるいは予め、ネットワークデバイス502は基地局CS11との間の通信を確立し(ステップS206,S207)少なくとも一つの無線チャネルを占有する。次にネットワークデバイス502は、無線通信パスを確立するための発呼要求を基地局CS11および制御装置G11経由で対向装置C11宛てに送出する(ステップS208)。これを受けた対向装置C11は発呼応答を返送し(ステップS209)、無線通信パスが確立される(ステップS210)。
【0034】
次いでネットワークデバイス502は記憶した対向装置C11との通信の優先度を参照し、この優先度が既定レベルよりも低ければ、データ端末TM11に係わるデータ通信をIPパスを用いて継続する(ステップS211)。優先度が既定レベル以上であれば、ネットワークデバイス502は通信に使用するパスをIPパスから無線通信パスに切り替え、データ端末TM11に係わるデータを無線通信パスを用いて対向装置C11に転送する(ステップS212)。
【0035】
なお通信の優先度はデータ転送中にも変化することがあるので、ネットワークデバイス502はデータ端末TMからの通信情報を定期的に監視し、通信の優先度が変化した場合にはそれぞれ適した通信パスへと切り替える。
【0036】
以上述べたように第1の実施形態では、無線インタフェースを備えるネットワークデバイスをIPネットワークに分散配置したクラウドシステムにおいて、IPネットワーク上のIPパスだけでなく、無線インタフェースを経由する無線通信パスを予め確立する。そして、対向装置の優先度に応じて、IPパスまたは無線通信パスのいずれか一方を使用するようにしている。
【0037】
近年、一般の公衆IPネットワークは光化により高速通信が可能となってきているが、ユーザ一人当たりがやりとりするトラフィックも増加の一途を辿っており、多数のユーザが大量のトラフィックを送受信し続けている環境下ではたとえ高速なIPネットワークであっても輻そうが発生し通信遅延が生じる。
【0038】
一方、例えばPHSのような無線通信では端末あたりの通信速度は低速であるが、ネットワーク輻そうが発生しづらいので遅延が少なく安定した通信が可能である。一般の公衆IPネットワークはPHSのような無線通信よりも通信遅延が増大する可能性があるので、遅延を許容できない通信には適さない。このため公衆IPネットワークを用いたクラウドシステムでは、データは少量であっても遅延に非常に厳しい通信、例えば緊急機関との通信やビル監視等のセキュリティシステムにおけるデータパケット通信といった分野への適用が難しいという課題があった。
【0039】
従来は専用線を用いた帯域保証サービスにより通信品質の高い通信を実現してきたが、設備投資や人員の負担などによるコストが嵩みがちであった。またこのサービスを受けられる場所は限られるので、ネットワークデバイスを自由に分散配置できないという問題があった。
【0040】
これに対し実施形態では通信の優先度が高ければ、ネットワークデバイスをIPベースネットワーク100bに設置しつつも、パス遅延保証された基幹ネットワーク100a側のパスを使用できるので、上記課題は解決される。また通信の優先度が低いケースではIPパスを利用できるので、コストが不必要に嵩むこともない。
【0041】
すなわち実施形態によれば、安価で場所に依存しない公衆のIPネットワークを用いてクラウドシステムを構築するにあたり、予め有線インタフェースと無線インタフェースとの双方で対向装置C11とパスを確立しておき、優先度が高い通信を無線インタフェースによる通信に切り替えることによって、通信の遅延を保証することが可能となる。
【0042】
従って第1の実施形態によれば、ベストエフォート型のIPネットワーク上に構築したクラウドシステムにおいて、通信の遅延を抑制することが可能になる。第1の実施形態によれば、一般の公衆IPネットワークを用いて安価で場所を選ばずにクラウドシステムを展開することが可能となり、かつ緊急機関との通信やビル監視等のセキュリティシステムといった遅延に対する要求が厳しいサービスの巻き取りが可能となる。
【0043】
これらのことから、通信品質の確保とネットワークデバイスの配置の自由度の向上との両立を促すことの可能な通信システム、通信装置、サーバ装置および通信制御方法を提供することが可能になる。従ってクラウドシステムの発展に大きく寄与することが可能になる。
【0044】
[第2の実施形態]
図7は、通信システムの第2の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。図7において図3と共通する部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。図7に示されるシステムにおいて、対向装置C11は優先度判定部103b、遅延計測部106a、および経路切り替え指示部105aを備える。
【0045】
遅延計測部106aは、通信先のネットワークデバイス502とのIPパスを用いた通信に生じる遅延を計測する。優先度判定部103bは、通信中のネットワークデバイスとの通信の優先度を、遅延計測部106aにより計測された遅延の許容度に関連付けて判定する。経路切り替え指示部105aは、優先度判定部103bにより判定された優先度が既定レベル以上であれば、通信に使用するパスをIPパスから無線通信パスに切り替えるための切り替え指示(経路切り替え指示)を通信中のネットワークデバイスに与える。ネットワークデバイス502の経路切り替え部104は、通信に使用するパスを、この経路切り替え指示に応じてIPパスから無線通信パスに切り替える。
【0046】
ネットワークデバイスとの通信中、対向装置C11は受信したパケットに記される情報(タイムスタンプなど)に基づいて通信遅延時間を継続的に計測する。対向装置C11は、自身がネットワークデバイスに提供するサービスにおいて許容される通信遅延の閾値Tを初期情報として与えられる。そして対向装置C11は、ネットワークデバイスからの通信遅延時間が閾値Tを超過すると通信遅延発生とみなし、経路切り替え指示を送出する。
【0047】
図8は、図7に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図である。図8においてネットワークデバイス502は、デフォルトでは対向装置C11との間でIPパスによるデータ通信を行っている(ステップS301)。対向装置C11は通信優先度情報と、通信遅延閾値Tとを初期情報として予め保持している。
【0048】
対向装置C11はネットワークデバイス502から転送されたデータ(ステップS302)のパケット情報をもとに通信遅延時間を算出し、自身が保持する通信遅延閾値Tと比較する。閾値Tを超える遅延を検出すると、対向装置C11は通信優先度が高いと判断し(ステップS302)、ネットワークデバイス502に対して経路切り替え指示を送出する(ステップS303)。これを受けてネットワークデバイス502は、通信に使用するパスをIPパスから無線通信パスに切り替える(ステップS304)。
【0049】
このように第2の実施形態では、通信の遅延情報をもとに対向装置C11が通信の優先度を判定し、その結果に基づいて経路切り替え指示を接続元のネットワークデバイスに与えるようにしている。いわば対向装置C11の主導によりパスの切り替えを行うようにしている。このようにしても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお対向装置C11に記憶される閾値Tは、ネットワークデバイスに提供するサービスごとに保持しても良い。そしてサービスの切り替え時に、新たなサービスの閾値Tが過去のネットワークデバイスの通信遅延時間履歴情報よりも高ければ、対向装置C11からネットワークデバイス502にIPパスへの経路切戻し指示を送出するようにしても良い。このようにすれば、よりきめの細かいパス切り替え制御を実現でき、IPパスの占有率を高めてコスト低減に寄与できる。
【0051】
[第3の実施形態]
図9は、通信システムの第3の実施形態の一例を示す機能ブロック図である。図9において図7と共通する部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。図9に示されるシステムにおいて、サーバS11は優先度判定部103c、経路切り替え指示部105b、遅延計測部106b、および管理データベースDBを備える。すなわちこの実施形態ではネットワークデバイスと対向装置との間の通信の優先度をサーバS11が判定し、サーバS11の主導のもとでパス切り替えを行う。
【0052】
図10は、図9のサーバS11に記憶される管理データベースDBの一例を示す図である。サーバS11は実施形態に係わる通信システムを統合的に管理する機能を備え、それに応じて管理データベースDBにも多数の項目が設けられる。この管理データベースDBにおいて特徴的な点は、通信中の対向装置とその遅延情報とをネットワークデバイスごとに管理できるようにした点にある。さらに、基地局ごとに空きチャネル(ch)数を管理するための項目が設けられる。
【0053】
サーバS11は、各制御装置の配下にある基地局ごとに、ネットワークデバイスから定期的に通知される通信情報の統計的なデータを管理データベースDBにおいて一元管理する。例えば各基地局の空きリソースは制御装置により管理されており、サーバS11はこの種の情報を取得して管理データベースDBの内容に反映させる。そしてサーバS11は、呼ごと(通信ごと)の遅延情報、および対向装置の遅延許容度を総合的に判断して、経路切り替えを行うべきネットワークデバイスを順位付けする。
【0054】
順位の高いネットワークデバイスのうちIPパスを使用中のネットワークデバイスがあると、経路切り替え指示部105bは、基地局の無線リソースに空きチャネルができれば当該ネットワークデバイスに対して直ちに無線通信パスへの切り替えを指示する。
一方、基地局の空きチャネルが足りず、かつ優先度の低いネットワークデバイスが無線通信パスを確立していると、経路切り替え指示部105bは順位の低いネットワークデバイスにIPパスへの切り替え、および無線通信パスの解放を指示する。そして開放されたリソースを用いて無線通信パスを設定すべく、高順位のネットワークデバイスに指示を与える。
【0055】
図11は、図9に示されるシステムにおいて実施される処理手順の一例を示すシーケンス図である。図11においては図2とは異なり、ネットワークデバイス501がネットワークデバイス502と同じ基地局CS11に無線接続されているとする。基地局CS11は制御装置G11の配下にある。通信を想定する対抗措置C100,C200はいずれも基幹ネットワーク100aに属するとする。
【0056】
図11において、ネットワークデバイス502が対向装置C100との間でIPパスによるデータ通信(図中実線)を行っており(ステップS401)、ネットワークデバイス501(図2)が対向装置C200との間で無線通信パスによるデータ通信(図中点線)を行っている(ステップS402)とする。
【0057】
サーバS11はネットワークデバイス502、ネットワークデバイス501から通信遅延時間、対向装置情報を通信情報転送により定期的に取得し(ステップS403)、ネットワークデバイスごとの優先度判定、すなわち順位付けを行う(ステップS404)。ネットワークデバイス502の優先度が高いと判断されると、サーバS11は経路切り替え指示をネットワークデバイス502に与える(ステップS408)。これに応じてネットワークデバイス502はデータ通信の経路を無線通信パスに切り替える(ステップS409)。
【0058】
ただし、基地局CS11の無線リソースに空きチャネルが無い状態であれば、サーバS11は管理データベースDBから、同じ基地局CS11に接続するネットワークデバイスのうち順位がより低いものを見つけ出す。図10によれば、例えば識別子(ID)が00000003のネットワークデバイス(ここではネットワークデバイス501とする)が見いだされる。そこでサーバS11はネットワークデバイス501に経路切り替え指示を与えて(ステップS405)IPパスによるデータ通信への切り替えを促す。これに応じてネットワークデバイス501はIPパスを用いたデータ転送を開始する(ステップS406)。さらに、サーバS11からネットワークデバイス501に無線通信パス開放指示が与えられることで(ステップS407)、無線チャネルが開放される。この開放されたリソースを用いて、ネットワークデバイス502は無線通信パスを設定することが可能になる。
【0059】
このように第3の実施形態では、サーバS11において通信に係わる情報を集約的に管理し、各基地局の無線リソースの空き状態と通信の優先度との双方の観点から、無線チャネル、IPパス、無線通信パスの設定/開放/切り替えを指示するようにしている。このようにすれば第1、第2の実施形態と同様の効果を得られるとともに、IPパスの利用効率を最大限に高めることが可能になる。
【0060】
以上、上記各実施形態によれば、図12に示すように、ギャランティ型ネットワークにおける遅延保証のメリットと、ベストエフォート型ネットワークの低コストのメリットとの双方を享受することの可能な通信システムを構築できるようになり、クラウドシステムの発展に大きく寄与することが可能になる。
【0061】
なお本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば実施形態では通信の優先度を管理データベースDBに基づいて判定するようにした。これに代えてデータ端末TMなどから送出されるパケットに記載された通信情報を参照して優先度を判断することも可能である。
【0062】
例えば優先度を示す指標としてType of Service(ToS)フィールドの値や、Virtual LAN(VLAN)タグに含まれるプライオリティフィールドなどの優先度情報を参照し、遅延保証の要否を決定することができる。判断基準としては、TOS値やプライオリティフィールドの値に閾値を設けておき、例えば閾値以上の通信について遅延保証を要すると判断する。このようにすれば相手先の優先度だけでなく、例えばサービスの重要度に応じたパス切り替えを実現することができる。また、これらの値を用いる場合、通信確立時以外にも定期的に優先度情報を判定し、通信中での遅延保証へのパス切り替えを行うことも可能である。
【0063】
また、管理データベースDBをネットワークデバイスに記憶させるようにしても良い。このようにすれば例えば図6のステップS201,S202の手順を省略することができる。すなわちネットワークデバイスが自らの管理データベースDBを参照することで優先度を判定することができるようになる。
【0064】
また図3の構成において、対向装置C11に、IPベースネットワーク100bとのインタフェースを備えるようにしてもよい。このようにすればデータ端末TM11はゲートウェイ200を介さずに直接IPベースネットワーク100b経由で、IPパスを用いた通信を行うことが可能になる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100…通信ネットワーク、G11,G12…制御装置、S11…サーバ、44…データベース、CS(CS11,CS21,CS22)…基地局、PS(PS11,PS12)…移動端末、501,502,503…ネットワークデバイス、600…ユーザ宅、700…中継ユニット、100a…基幹ネットワーク、100b…IPベースネットワーク、200…ゲートウェイ、TM11…データ端末、101a,101b…無線通信部、102…パス制御部、103a,103b,103c…優先度判定部、104…経路切り替え部、105a,105b…経路切り替え指示部、106a,106b…遅延計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ゾーンを形成する基地局と、
前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、
ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、
前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備し、
前記基地局は、
前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信する無線部を備え、
前記ネットワークデバイスは、
前記基地局と前記無線チャネルを介して通信する無線通信部と、
前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成するパス形成部と、
前記通信装置との通信の優先度を、当該通信に生じる遅延の許容度に関連付けて判定する判定部と、
前記判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば、前記通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替える切り替え部とを備える、通信システム。
【請求項2】
前記ネットワークデバイスは、さらに、前記優先度が既定レベル以上である相手先をリストアップしたデータベースを具備し、
前記判定部は、前記データベースを参照して前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記ネットワークデバイスは通信端末に接続され、
前記パス形成部は、前記通信端末からの発呼に応じて前記リンクを形成し、
前記判定部は、前記通信端末から通知される情報に基づいて前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
無線ゾーンを形成する基地局と、
前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、
前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置と、
ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、
前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備し、
前記基地局は、
前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信する無線部を備え、
前記ネットワークデバイスは、
前記基地局と前記無線チャネルを介して通信する無線通信部と、
前記通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成するパス形成部と、
前記通信装置から与えられる切り替え指示に応じて、当該通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替える切り替え部とを備え
前記通信装置は、
前記ネットワークデバイスとの通信に生じる遅延を計測する計測部と、
前記ネットワークデバイスとの通信の優先度を、前記計測された遅延の許容度に関連付けて判定する判定部と、
前記判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば前記切り替え指示を前記ネットワークデバイスに与える指示部とを備える、通信システム。
【請求項5】
無線ゾーンを形成する基地局と、
前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、
前記ギャランティ型ネットワークに接続されるサーバと、
ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、
前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備し、
前記基地局は、
前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信する無線部を備え、
前記ネットワークデバイスは、
前記基地局と前記無線チャネルを介して通信する無線通信部と、
前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成するパス形成部と、
前記サーバから与えられる切り替え指示に応じて、前記通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替える切り替え部とを備え、
前記サーバは、
前記ネットワークデバイスと前記通信装置との通信の優先度を、当該通信に生じる遅延の許容度に関連付けて判定する判定部と、
前記判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば前記切り替え指示を前記ネットワークデバイスに与える指示部とを備える、通信システム。
【請求項6】
前記サーバは、さらに、前記優先度が既定レベル以上である相手先をリストアップしたデータベースを備え、
前記判定部は、前記データベースを参照して前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記ネットワークデバイスは通信端末に接続され、
前記パス形成部は、前記通信端末からの発呼に応じて前記リンクを形成し、
前記判定部は、前記通信端末から通知される情報に基づいて前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項5に記載の通信システム。
【請求項8】
前記判定部は、共通の基地局に無線接続される複数のネットワークデバイスを前記優先度に基づいて順位付けし、
前記指示部は、前記順位付けにおいて順位の低いネットワークデバイスに前記無線チャネルを開放すべく指示を与え、当該順位の低いネットワークデバイスよりも前記順位の高いネットワークデバイスに前記切り替え指示を与える、請求項5に記載の通信システム。
【請求項9】
無線ゾーンを形成する基地局と、前記基地局をギャランティ型ネットワークに接続する制御装置と、前記ギャランティ型ネットワークをベストエフォート型ネットワークに相互接続するゲートウェイとを具備する通信システムに用いられ、前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置であって、
前記ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスとの通信に生じる遅延を計測する計測部と、
前記ネットワークデバイスとの通信の優先度を、前記計測された遅延の許容度に関連付けて判定する判定部と、
前記判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば、前記ネットワークデバイスとの通信に使用するパスを、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスから、前記無線ゾーンと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスに切り替えるための切り替え指示を当該ネットワークデバイスに与える指示部とを備える、通信装置。
【請求項10】
無線ゾーンを形成する基地局と、前記基地局をギャランティ型ネットワークに接続する制御装置と、前記ギャランティ型ネットワークをベストエフォート型ネットワークに相互接続するゲートウェイとを具備する通信システムに用いられるサーバ装置であって、
前記ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置との通信に生じる遅延を計測する計測部と、
前記ネットワークデバイスと前記通信装置との通信の優先度を、前記計測された遅延の許容度に関連付けて判定する判定部と、
前記判定部により判定された優先度が既定レベル以上であれば、前記通信装置との通信に使用するパスを、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスから、前記無線ゾーンと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスに切り替えるための切り替え指示を前記ネットワークデバイスに与える指示部とを備える、サーバ装置。
【請求項11】
さらに、前記優先度が既定レベル以上である相手先をリストアップしたデータベースを備え、
前記判定部は、前記データベースを参照して前記ネットワークデバイスと前記通信装置との通信の優先度を判定する、請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記ネットワークデバイスに接続される通信端末から通知される情報に基づいて前記ネットワークデバイスと前記通信装置との通信の優先度を判定する、請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記判定部は、共通の基地局に無線接続される複数のネットワークデバイスを前記優先度に基づいて順位付けし、
前記指示部は、前記順位付けにおいて順位の低いネットワークデバイスに前記無線チャネルを開放すべく指示を与え、当該順位の低いネットワークデバイスよりも前記順位の高いネットワークデバイスに前記切り替え指示を与える、請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項14】
無線ゾーンを形成する基地局と、前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備する通信システムに用いられる通信制御方法であって、
前記基地局が、前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信し、
前記ネットワークデバイスが、前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成し、
前記ネットワークデバイスが、前記通信装置との通信の優先度を、当該通信に生じる遅延の許容度に関連付けて判定し、
前記ネットワークデバイスが、前記判定された優先度が既定レベル以上であれば、前記通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替える、通信制御方法。
【請求項15】
前記判定することは、前記ネットワークデバイスが、前記優先度が既定レベル以上である相手先をリストアップしたデータベースを参照して前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項14に記載の通信制御方法。
【請求項16】
前記形成することは、前記ネットワークデバイスに接続される通信端末からの発呼に応じて前記リンクを形成し、
前記判定することは、前記通信端末から通知される情報に基づいて前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項14に記載の通信制御方法。
【請求項17】
無線ゾーンを形成する基地局と、前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置と、ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備する通信システムに用いられる通信制御方法であって、
前記基地局が、前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信し、
前記ネットワークデバイスが、前記通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成し、
前記ネットワークデバイスが、前記通信装置から与えられる切り替え指示に応じて、当該通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替え、
前記通信装置が、前記ネットワークデバイスとの通信に生じる遅延を計測し、
前記通信装置が、前記ネットワークデバイスとの通信の優先度を、前記計測された遅延の許容度に関連付けて判定し、
前記通信装置が、前記判定された優先度が既定レベル以上であれば前記切り替え指示を前記ネットワークデバイスに与える、通信制御方法。
【請求項18】
無線ゾーンを形成する基地局と、前記基地局とギャランティ型ネットワークとに接続される制御装置と、前記ギャランティ型ネットワークに接続されるサーバと、ベストエフォート型ネットワークに接続されるネットワークデバイスと、前記ギャランティ型ネットワークと前記ベストエフォート型ネットワークとを相互接続するゲートウェイとを具備する通信システムに用いられる通信制御方法であって、
前記基地局が、前記無線ゾーンに在圏する無線局と無線チャネルを介して通信し、
前記ネットワークデバイスが、前記ギャランティ型ネットワークに接続される通信装置を相手先とするリンク形成に伴い、前記ベストエフォート型ネットワークと前記ゲートウェイとを経由するデフォルトパスと、前記無線チャネルと前記基地局と前記制御装置とを経由する無線パスとを、当該通信装置との間に形成し、
前記ネットワークデバイスが、前記サーバから与えられる切り替え指示に応じて、前記通信装置との通信に使用するパスを前記デフォルトパスから前記無線パスに切り替え、
前記サーバが、前記ネットワークデバイスと前記通信装置との通信の優先度を、当該通信に生じる遅延の許容度に関連付けて判定し、
前記サーバが、前記判定された優先度が既定レベル以上であれば前記切り替え指示を前記ネットワークデバイスに与える、通信制御方法。
【請求項19】
前記判定することは、前記サーバが、前記優先度が既定レベル以上である相手先をリストアップしたデータベースを参照して前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項18に記載の通信制御方法。
【請求項20】
前記形成することは、前記ネットワークデバイスに接続される通信端末からの発呼に応じて前記リンクを形成し、
前記判定することは、前記通信端末から通知される情報に基づいて前記リンク形成に係わる通信装置との通信の優先度を判定する、請求項18に記載の通信制御方法。
【請求項21】
前記判定することは、共通の基地局に無線接続される複数のネットワークデバイスを前記優先度に基づいて順位付けし、
前記指示を与えることは、前記順位付けにおいて順位の低いネットワークデバイスに前記無線チャネルを開放すべく指示を与え、当該順位の低いネットワークデバイスよりも前記順位の高いネットワークデバイスに前記切り替え指示を与える、請求項18に記載の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−65935(P2013−65935A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201926(P2011−201926)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】