説明

通信システム、通信装置、通信方法、及びプログラム

【課題】伝送品質の低下を回避可能な通信システムを提供する。
【解決手段】通信装置1は、複数の周波数帯域でスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部11、受信部12、複数の空き周波数帯域を取得する取得部13、伝送路特性取得用の通信データを複数の空き周波数帯域で送信させ、伝送路特性のよい周波数帯域を示す通信データが受信された際に、その特性のよい複数の周波数帯域で送信させる制御部14を備える。通信装置2は、複数の周波数帯域でスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部21、受信部22、受信された伝送路特性取得用の通信データに応じた伝送路特性を取得する伝送路特性取得部23、伝送路特性のよい周波数帯域を選択する選択部24、選択された周波数帯域を、その周波数帯域を用いて送信させる制御部26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ISM(Industry−Science−Medical)帯などにおいて、断片化した空き周波数帯域を集積し、一つの無線チャネルとして用いるダイナミックスペクトラムアクセス(DSA:Dynamic Spectrum Access)のコンセプトが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、そのDSAに適したスペクトラム制御方式として、シングルキャリア変調のスペクトラムをバンドパスフィルタにより複数の帯域に分割し、それぞれを周波数変換して伝送するスペクトラム分割シングルキャリア変調方式も提案されている(例えば、特許文献1,非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−232857号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】太郎丸真、矢野一人、塚本悟司、上羽正純、「ISMバンドにおける高効率周波数共用に向けたダイナミックスペクトラムアクセスシステムのコンセプト提案」、信学技報,vol.108,no.446,SR2008−97,p.53−57,2009年3月
【非特許文献2】鈴木康夫、太郎丸真、矢野一人、上羽正純、「DSAのための帯域制限付きスペクトラム分割シングルキャリア伝送方式の基本性能」、信学技報,vol.109,no.164,RCS2009−81,p.19−23,2009年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のDSAにおけるスペクトラム分割シングルキャリア変調方式では、複数の空き周波数帯域を用いるが、その周波数帯域に通信装置間の伝送路特性がよくないものが含まれることもあり、その場合には伝送品質が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、伝送品質の低下を防止可能なスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信を行う通信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による通信システムは、空き周波数帯域を用いて互いに通信を行う第1の通信装置と第2の通信装置とを備えた通信システムであって、第1の通信装置は、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第1の送信部と、第2の通信装置から送信された通信データを受信する第1の受信部と、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部と、伝送路特性取得用の通信データを、取得部が取得した複数の空き周波数帯域を用いて第1の送信部に送信させ、伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを第1の受信部が受信した場合に、伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて第1の送信部に通信データを送信させる第1の制御部と、を備え、第2の通信装置は、第1の通信装置から送信された通信データを受信する第2の受信部と、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第2の送信部と、第2の受信部が受信した伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得部と、伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、伝送路特性取得部が取得した伝送路特性が、条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択部と、選択部が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて第2の送信部に送信させる第2の制御部と、を備えたものである。
【0008】
このような構成により、複数の空き周波数帯域のうち、伝送路特性のよい周波数帯域を用いて通信を行うことができる。その結果、伝送品質の低下を回避することができるようになる。また、伝送路特性のよくない周波数帯域を占有することがなくなるため、無線リソースを有効に使用することができるようになる。
【0009】
また、本発明による通信システムでは、第2の制御部は、伝送路特性取得部による伝送路特性の取得、及び取得結果に応じた選択部による選択が繰り返して行われるように制御し、第2の通信装置は、選択部による選択結果の履歴の情報である履歴情報を記録する履歴情報記録部をさらに備え、第2の制御部は、履歴情報によって示される、選択された周波数帯域の変動が速いほど高頻度に選択が行われるように制御してもよい。
このような構成により、例えば、第1の通信装置が移動している場合のように、伝送路特性が頻繁に変動する場合であっても、その変動に応じて、通信で使用する周波数帯域を適切に選択することができるようになりうる。
【0010】
また、本発明による通信方法は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得ステップと、伝送路特性取得用の通信データを、取得ステップで取得した複数の空き周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第1の送信ステップと、通信先の装置からスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された、伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを受信する受信ステップと、受信ステップで受信した通信データの示す伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信データを送信する第2の送信ステップと、を備えたものである。
【0011】
また、本発明による通信方法は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、通信先の装置から複数の空き周波数帯域を用いてスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された伝送路特性取得用の通信データを受信する受信ステップと、受信ステップで受信した伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得ステップと、伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、伝送路特性取得ステップで取得した伝送路特性が、条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択ステップと、選択ステップで選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、選択ステップで選択した複数の周波数帯域を用いてスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信先の装置に送信する送信ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明による通信システム等によれば、複数の空き周波数帯域のうち、伝送路特性のよい周波数帯域を用いて通信を行うことができるようになり、伝送品質の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による通信システムの構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による送信部及び受信部の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態による第1の通信装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態による第2の通信装置の動作を示すフローチャート
【図5】同実施の形態におけるスペクトラム分割の具体例について説明するための図
【図6】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図7】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による通信システムについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による通信システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による通信システムは、複数の空き通信帯域のうち、伝送路特性のよいところを用いて通信を行うものである。
【0016】
図1は、本実施の形態による通信システム100の構成を示すブロック図である。本実施の形態による通信システム100は、第1の通信装置1と、第2の通信装置2とを備える。第1及び第2の通信装置1,2は、それぞれアンテナ3,4を介して無線通信を行うものである。第1及び第2の通信装置1,2は、例えば、一方がモバイルステーション(MS:Mobile Station)であり、他方がアクセスポイント(AP:Access Point)であってもよい。本実施の形態では、第1の通信装置1がMSであり、第2の通信装置2がAPである場合について主に説明するが、そうでなくてもよいことは言うまでもない。
【0017】
第1の通信装置1は、第1の送信部11と、第1の受信部12と、取得部13と、第1の制御部14とを備える。
【0018】
第1の送信部11は、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する。その複数の周波数帯域は、使用されていない空き周波数帯域であり、後述するように、第1の制御部14によって指定されるものである。
【0019】
図2(a)は、第1の送信部11の詳細な構成を示すブロック図である。図2(a)において、第1の送信部11は、変調部31と、S/P(シリアル/パラレル)変換部32と、フーリエ変換部33と、スペクトラムマッピング部34と、逆フーリエ変換部35と、P/S(パラレル/シリアル)変換部36と、DA変換部37と、局部発信部38と、周波数変換部39と、電力増幅部40とを備える。
【0020】
変調部31は、デジタル信号である通信データを受け付け、その通信データをデジタル変調する。なお、PAPR(Peak to Average Power Ratio)特性をよくするためなどの目的で、スペクトラム分割前の変調波形をロールオフフィルタにより整形してもよい(そのことについては、例えば、次の文献を参照されたい)。S/P変換部32は、デジタル変調された通信データを、複数の並列配列の信号に変換する。なお、デジタル変調時にロールオフフィルタを用いた場合には、IFFTフレーム境界付近の出力信号が歪んでしまうため、S/P変換部32及びP/S変換部36において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。その重複率は、例えば、1/8であってもよい。
文献:鈴木康夫、矢野一人、上羽正純、「スペクトラム分割シングルキャリア伝送の波形整形効果」、2010年電子情報通信学会ソサイエティ大会,B−5−137,p.491,2010年9月
【0021】
フーリエ変換部33は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムマッピングを行う。具体的には、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによってN個に分割し、分割後のN個の信号に対して、通信で用いる複数の周波数帯域に応じた周波数変換を行う。なお、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の並列配列の信号である、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を、後述する第1の制御部14によって設定される複数の周波数帯域に分割するためのマッピング行列を生成し、そのマッピング行列を用いて、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を複数の周波数帯域に分割してもよい。このスペクトラムマッピング部34の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、S/P変換時に重複S/P変換を行っている場合には、周波数変換後の信号位相が不連続となるため、位相補正も行う(上記文献参照)。このNは、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信を行う場合には、Nは2以上である。逆フーリエ変換部35は、スペクトラムマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部36は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。なお、前述のように、P/S変換部36は、重複P/S変換を行ってもよい。DA変換部37は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をアナログ信号に変換する。局部発信部38は、周波数変換のための信号を生成する。周波数変換部39は、局部発信部38が生成した周波数変換のための信号を用いて、DA変換部37で生成された等価ベースバンド帯域送信信号を、送信周波数帯に変換する。電力増幅部40は、周波数変換部39により周波数変換された送信信号を、所望の電力まで増幅する。その送信信号が、アンテナ3を介して送信される。
【0022】
なお、第1の送信部11の各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、第1の送信部11の構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による送信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。このように、第1の送信部11の構成には任意性が存在する。また、第1の送信部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、送信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0023】
第1の受信部12は、第2の通信装置からスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する。
図2(b)は、第1の受信部12の詳細な構成を示すブロック図である。図2(b)において、第1の受信部12は、低雑音増幅部41と、周波数変換部42と、局部発信部43と、AD変換部44と、S/P変換部45と、フーリエ変換部46と、スペクトラムデマッピング部47と、逆フーリエ変換部48と、P/S変換部49と、復調部50とを備える。
【0024】
低雑音増幅部41は、アンテナ3で受信された通信データのアナログ信号を受信し、その受信したアナログ信号(受信信号)を増幅する。周波数変換部42は、局部発信部43によって生成された信号を用いて、受信信号を周波数変換し、AD変換部44で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。局部発信部43は、その周波数変換部42での周波数変換のための信号を生成する。AD変換部44は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。S/P変換部45は、AD変換後のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号を複数の並列配列の信号に変換する。フーリエ変換部46は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムデマッピングを行う。具体的には、スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによって通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたM個の周波数帯域の信号に分割し、分割後のM個の周波数帯域に応じた信号に対して周波数変換を行うことによって一つの周波数帯域の信号に結合する。なお、スペクトラムデマッピング部47は、スペクトラムマッピング部34と同様の手法によって、通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたマッピング行列を生成し、そのマッピング行列の転置行列であるデマッピング行列を算出し、そのデマッピング行列を用いて、高速フーリエ変換後の並列配列の信号を一つの周波数帯域に結合してもよい。このスペクトラムデマッピング部47の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、Mは、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合には、Mは2以上である。また、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信を行う場合には、通常、送信する通信データのサブスペクトラムの個数と、受信する通信データのサブスペクトラムの個数とは等しいため、N=Mとなるが、後述するように、MがNよりも小さくなることがありうる。すなわち、M≦Nとなる。本実施の形態による通信では、空き周波数帯域であっても伝送路特性のよくない場合には、その周波数帯域を用いないで通信を行うからである。逆フーリエ変換部48は、スペクトラムデマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部49は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。復調部50は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をデジタル復調する。
【0025】
ここで、第1の受信部12においても、スペクトラムデマッピング部47の後段においてロールオフフィルタを用いてもよい。その場合には、逆フーリエ変換部48は、ロールオフフィルタから受け取った信号に対して逆フーリエ変換を行うことになる。また、ロールオフフィルタを用いる場合には、S/P変換部45及びP/S変換部49において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。また、S/P変換時に重複変換を行っている場合には、信号位相が不連続とならないように、スペクトラムデマッピング部47において位相補正も行う。
【0026】
なお、第1の受信部12の各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、第1の受信部12の構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による受信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。また、第1の受信部12において、フーリエ変換部46とスペクトラムデマッピング部47との間において等化器(イコライザ)による等化処理を行ってもよい。このように、第1の受信部12の構成には任意性が存在する。また、第1の受信部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0027】
また、第1の送信部11における局部発信部38と、第2の受信部12における局部発信部43とは、同一のものであってもよい。すなわち、同一の局部発信部を用いて、周波数変換部39,42における周波数変換が行われてもよい。また、例えば、局部発信部38,43が生成する周波数が2.4GHzであり、周波数変換部39による周波数変換後の送信信号の周波数と、アンテナ3で受信された受信信号の周波数とが2.4GHzであり、等価ベースバンド帯域の送信信号、受信信号の周波数が0GHzであってもよい。なお、これらの周波数は一例であり、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0028】
取得部13は、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する。取得部13は、その複数の空き周波数帯域を検出(センシング)することにより取得してもよく、あるいは、他の装置(例えば、第2の通信装置2など)が送信した通信データに空き周波数帯域を示す情報が含まれる場合には、第1の受信部12が受信した通信データから取得してもよい。複数の空き周波数帯域を検出する場合には、取得部13は、第1の受信部12の高速フーリエ変換後の信号を用いて、その検出を行ってもよい。すなわち、取得部13は、高速フーリエ変換後の周波数領域の信号から得たパワースペクトルを、あらかじめ設定されているしきい値と比較し、そのしきい値よりも振幅の大きい周波数帯域は使用されていると判断し、そのしきい値よりも振幅の小さい周波数帯域は使用されていないと判断してもよい。本実施の形態では、このように取得部13が複数の空き周波数帯域を検出する場合について説明する。また、複数の空き周波数帯域を受信された通信データから取得する場合には、第2の通信装置2から送信された通信データに空き周波数帯域を示す情報が含まれており、取得部13は、デジタル復調後の通信データから、その空き周波数帯域を示す情報を取得してもよい。なお、空き周波数帯域は、例えば、周波数帯域の上限の周波数と下限の周波数とによって示されてもよく、あるいは、あらかじめ周波数帯域ごとにインデックスが付与されており、そのインデックスによって示されてもよい。本実施の形態では、後者の場合について主に説明する。そして、そのインデックスのことを周波数インデックスと呼ぶこともある。また、取得部13は、例えば、取得した複数の空き周波数帯域を特定可能な情報(例えば、周波数そのものでもよく、周波数インデックス等でもよい)を図示しない記録媒体に蓄積してもよい。また、結果として、空き周波数帯域を知ることができるのであれば、取得部13が行う処理内容は問わない。例えば、取得部13は、使用中の周波数帯域を取得してもよい。その場合でも、結果として、空き周波数帯域を知ることができるからである。
【0029】
第1の制御部14は、伝送路特性取得用の通信データを、取得部13が取得した複数の空き周波数帯域を用いて第1の送信部11に送信させる。その伝送路特性取得用の通信データは、伝送路特性の取得のためのみに用いられるダミーのデータであってもよく、あるいは、第2の通信装置2に通信する実体(通信によって伝えたい内容)を含んだデータであってもよい。伝送路特性取得用の通信データには、その通信データの送信で用いられる複数の周波数帯域を示す情報が含まれていることが好適である。伝送路特性取得用の通信データがダミーのデータである場合には、第1の制御部14は、通信を開始する際に伝送路特性取得用の通信データが送信されるように制御すると共に、その後においても、定期的に、あるいは、伝送品質が低下したタイミング等で伝送路特性取得用の通信データが送信されるように制御してもよく、そうでなくてもよい。通信の開始時以降にも伝送路特性取得用の通信データを送信する場合に、その伝送路特性取得用の通信データを送信する頻度(間隔)を示す情報が図示しない記録媒体で記憶されており、第1の制御部14は、その頻度に応じて第1の送信部11に伝送路特性取得用の通信データを送信させてもよい。その頻度は、後述するように、第2の通信装置2から受信したものであってもよい。伝送路特性取得用の通信データがダミーのデータである場合には、その通信データに、伝送路特性取得用のものであることを示す情報が含まれていてもよい。通信の開始時以降に送信される伝送路特性取得用の通信データは、その時点で通信に用いている周波数帯域を用いて送信されてもよく、あるいは、その時点で取得部13による空き周波数帯域の取得を再度行い、その空き周波数帯域を用いて送信されてもよい。また、伝送路特性取得用の通信データが通信の実体を含んだデータである場合には、第1の通信装置1から第2の通信装置2に送信された通信データのうち、伝送路特性の取得のために用いられた通信データが結果として伝送路特性取得用の通信データになると考えることもできる。なお、伝送路特性取得用の通信データが通信の実体を含んだデータである場合であっても、第1の制御部14は、通信の開始時以降にも空き周波数帯域の取得を取得部13に再度行わせ、その空き周波数帯域を用いて、通信の実体を含む伝送路特性取得用の通信データを送信させるように制御してもよい。このようにすることで、伝送路特性のダイナミックな変化にも対応できうるようになる。また、伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを第1の受信部12が受信した場合に、第1の制御部14は、その伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて第1の送信部11に通信データを送信させる。例えば、空き周波数帯域として、周波数インデックス「1」「3」「5」が取得部13によって取得された場合に、第1の制御部14は、第1の送信部11に、その周波数インデックス「1」「3」「5」に応じた周波数帯域を用いて伝送路特性取得用の通信データを送信させる。その後、第1の受信部12が、伝送特性のよい周波数帯域として、周波数インデックス「3」「5」を含む通信データを、周波数インデックス「3」「5」に応じた周波数帯域を介して受信した場合に、第1の制御部14は、その周波数インデックス「3」「5」に応じた周波数帯域を用いて通信データを送信するように第1の送信部11を制御する。
【0030】
第2の通信装置2は、第2の送信部21と、第2の受信部22と、伝送路特性取得部23と、選択部24と、履歴情報記録部25と、第2の制御部26とを備える。
【0031】
第2の送信部21は、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式によりアンテナ4を介して送信する。第2の送信部21の構成は、図2(a)で示される第1の送信部11の構成と同様のものであり、その説明を省略する。なお、第2の送信部21は、通信データをM個のサブスペクトラムに分割して送信するものとする。また、第2の送信部21についても、各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、第2の送信部21の構成も、図2(a)のものに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による送信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。また、第2の送信部21は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、送信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0032】
第2の受信部22は、第1の通信装置1からスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データをアンテナ4を介して受信する。第2の受信部22の構成は、図2(b)で示される第1の受信部12の構成と同様のものであり、その説明を省略する。なお、第2の受信部22は、N個のサブスペクトラムに分割された通信データを受信するものとする。また、第2の受信部22についても、各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、第2の受信部22の構成も、図2(b)のものに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による受信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。また、第2の受信部22は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0033】
伝送路特性取得部23は、第2の受信部22が受信した伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する。伝送路特性取得部23は、例えば、通信データが送信された複数の周波数帯域ごとに、第2の受信部22の受信品質である伝送路特性を取得してもよい。その受信品質は、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication/Indicator)であってもよく、SN比であってもよく、その他の受信の品質を示す指標であってもよい。また、伝送路特性取得部23は、例えば、第2の受信部22における高速フーリエ変換後の周波数領域における信号を用いて、その受信品質である伝送路特性を取得してもよい。また、伝送路特性取得用の通信データが、伝送路の品質をチェックするための専用の通信データであり、その伝送路特性取得用の通信データの内容があらかじめ第2の通信装置2で記憶されている場合には、伝送路特性取得部23は、受信された伝送路特性取得用の通信データと、あらかじめ記憶されている伝送路特性取得用の通信データとを比較し、一致の程度を判断することによって、伝送路の特性を取得してもよい。この場合には、一致の程度が高いほど、伝送路の品質が高いことになる。また、この場合にも、伝送路特性取得部23は、例えば、第2の受信部22における高速フーリエ変換後の周波数領域における信号を用いて、その一致の程度を示す伝送路特性を取得してもよい。また、伝送路特性取得部23は、その他の方法によって伝送路特性を取得してもよいことは言うまでもない。また、例えば、伝送路特性取得用の通信データに、その通信データの送信で用いられた複数の周波数帯域を示す情報が含まれている場合には、伝送路特性取得部23は、その複数の周波数帯域について伝送路特性の取得を行う。
【0034】
選択部24は、伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、伝送路特性取得部23が取得した伝送路特性が、条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する。その伝送路特性がよいと判断される条件は、例えば、伝送路特性がしきい値よりもよい値であることであってもよく、伝送路特性がよい方から所定の個数以内であることであってもよく、あるいは、それらの組み合わせであってもよい。具体的には、選択部24は、しきい値よりもよい値の伝送路特性である周波数帯域を選択してもよく、伝送路特性のよい方から所定の個数までの周波数帯域を選択してもよく(逆に、伝送路特性の悪い方法から所定の個数までの周波数帯域を選択しないようにしてもよい)、しきい値よりもよい値の伝送路特性である周波数帯域を特定し、その特定した周波数帯域のうち、伝送路特性のよい方から所定の個数までの周波数帯域を選択してもよい。しきい値は、例えば、あらかじめ決められた値であってもよく、あるいは、最もよい伝送路特性にあらかじめ決められた係数(値が高いほどよい特性である伝送路特性の場合には、例えば、0.4や0.6等の1未満の係数であってもよい)を掛けた値であってもよい。また、所定の個数は、あらかじめ決められた個数であってもよく、あるいは、伝送路特性取得用の通信データの送信で用いられた周波数帯域の個数に1未満のあらかじめ決められた係数(例えば、0.8等)を掛けた値であってもよい。伝送路特性のよい周波数帯域を用いて通信を行うという目的からすれば、選択部24が、しきい値よりもよい値の伝送路特性である周波数帯域を選択することが好適である。
【0035】
履歴情報記録部25は、選択部24による選択結果の履歴の情報である履歴情報を記録する。履歴情報記録部25は、例えば、選択部24が選択を行った際の時刻と、選択結果とを含む履歴情報を記録媒体に記録してもよい。また、履歴情報記録部25は、選択結果等と共に、通信先の通信装置(例えば、第1の通信装置1)の識別情報をも記録してもよい。その記録媒体は、例えば、例えば、半導体メモリや、光ディスク、磁気ディスク等であり、履歴情報記録部25が有していてもよく、あるいは履歴情報記録部25の外部に存在してもよい。また、その記録媒体は、履歴情報を一時的に記憶するものであってもよく、そうでなくてもよい。
【0036】
第2の制御部26は、選択部24が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、選択部24が選択した複数の周波数帯域を用いて第2の送信部21に送信させる。この通信データの送信によって、第1の通信装置1は、伝送路特性のよい周波数帯域を知ることができることになる。また、第2の制御部26は、伝送路特性取得部23による伝送路特性の取得、及び取得結果に応じた選択部24による選択が繰り返して行われるように制御してもよい。前述のように、その際の伝送路特性の取得で用いられる伝送路特性取得用の通信データは、その目的のみのために送信されるものであってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。前者の場合には、繰り返して伝送路特性取得用の通信データ(前述のように、この通信データは、その時点で通信に用いている周波数帯域を用いて送信されてもよく、あるいは、その時点で空いている周波数帯域を用いて送信されてもよい)が送信されることになる。後者の場合には、伝送路特性取得部23が、例えば、第1の通信装置1から送信される通信データのうち、特定のもの(例えば、あらかじめ決められた時間ごとの通信データでもよく、あらかじめ決められた個数やデータ容量ごとの通信データであってもよい)を伝送路特性取得用の通信データと見なして伝送路特性の取得を行ってもよい。
【0037】
また、第2の制御部26は、履歴情報によって示される、選択された周波数帯域の変動が速いほど高頻度に選択が行われるように制御してもよい。逆に言えば、第2の制御部26は、選択された周波数帯域の変動が遅いほど低頻度に選択が行われるように制御してもよい。例えば、選択ごとに選択される周波数帯域が異なっているような場合には、それまでの選択頻度よりも高い頻度で選択を行うようにしてもよい。一方、10回の選択において1回だけ選択される周波数帯域が変更されるような場合には、それまでの選択頻度よりも低い頻度で選択を行うようにしてもよい。選択頻度の制御は、例えば、選択の時間間隔を制御することによって行われてもよい。なお、第2の制御部26が、結果として、履歴情報に応じたこのような制御を行うことができるのであれば、その方法を問わない。例えば、第2の制御部26は、選択頻度そのものを制御してもよく、あるいは、伝送路特性取得用の通信データの送信頻度を制御することによって、結果として、選択頻度を制御してもよい。また、例えば、伝送路特性取得用の通信データが、その目的のみのために送信されるものである場合には、第2の制御部26は、選択頻度の変更に応じて、伝送路特性取得用の通信データの送信頻度の変更を指示する通信データを第1の通信装置1に送信してもよい。そして、その指示に応じて、第1の通信装置1は、伝送路特性取得用の通信データの送信頻度を変更してもよい。また、第2の制御部26は、選択を行うタイミングで、伝送路特性取得用の通信データの送信を要求する通信データを第1の通信装置1に送信してもよい。そして、その要求に応じて、第1の通信装置1は、伝送路特性取得用の通信データを送信してもよい。また、第2の制御部26は、例えば、履歴情報を用いて選択頻度を算出し、その算出した頻度に応じた選択が行われるように制御してもよい。履歴情報から選択頻度を算出する際には、前述のように、選択された周波数帯域の変動が速いほど高頻度に選択が行われるように算出を行うものとする。算出された選択頻度は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0038】
また、選択部24が選択しなかった周波数帯域は、空き周波数帯域であることが分かっているため、第2の制御部26は、その周波数帯域を空き周波数帯域として管理してもよい。そして、例えば、他の通信装置に空き周波数帯域を割り当てる際に、その空き周波数帯域として管理されているものを用いるようにしてもよい。
【0039】
また、第1の通信装置1の取得部13が複数の空き周波数帯域を他の装置から受け取る場合には、第2の通信装置2は、複数の空き周波数帯域の検出を行い、その検出した複数の空き周波数帯域を示す通信データを第1の通信装置1に送信してもよい。
【0040】
次に、第1の通信装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)第1の送信部11は、送信を行うかどうか判断する。そして、送信を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、送信を行うと判断するまでステップS101の処理を繰り返す。第1の送信部11は、例えば、第2の通信装置2に通信データを送信する旨の指示をアプリケーション等の上位レイヤ等から受け付けた場合に、送信を行うと判断してもよく、その他のタイミングで送信を行うと判断してもよい。
【0041】
(ステップS102)取得部13は、複数の空き周波数帯域を取得する。
【0042】
(ステップS103)第1の制御部14は、取得部13が取得した複数の空き周波数帯域を用いて、伝送路特性取得用の通信データを送信するように第1の送信部11を制御する。すなわち、第1の制御部14は、取得部13が取得した複数の空き周波数帯域を、第1の送信部11が通信データを送信する周波数帯域に設定する。その結果、第1の送信部11は、伝送路特性取得用の通信データを、その複数の空き周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。
【0043】
(ステップS104)第1の受信部12は、第2の通信装置2から送信された通信データを受信したかどうか判断する。受信した場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS107に進む。
【0044】
(ステップS105)第1の制御部14は、第1の受信部12が受信した通信データに、通信で使用する周波数帯域を示す情報が含まれているかどうか判断する。そして、通信データに周波数帯域を示す情報が含まれている場合には、その情報によって示される周波数帯域が、それまでの通信データの送信で用いた周波数帯域と同じであるかどうか判断する。違っている場合には、ステップS106に進み、同じである場合や、受信された通信データに周波数帯域を示す情報が含まれていない場合には、ステップS104に戻る。
【0045】
(ステップS106)第1の制御部14は、第1の受信部12が受信した通信データに含まれていた情報で示される変更後の周波数帯域を、第1の送信部11が通信データを送信する周波数帯域に設定する。したがって、その後、第1の送信部11が通信データを送信する場合には、その変更後の周波数帯域で送信されることになる。そして、ステップS104に戻る。
【0046】
(ステップS107)第1の送信部11は、通信データを送信するかどうか判断する。そして、通信データを送信する場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS109に進む。第1の送信部11は、例えば、第2の通信装置2に通信データを送信する旨の指示をアプリケーション等の上位レイヤ等から受け付けた場合に、送信を行うと判断してもよく、その他のタイミングで送信を行うと判断してもよい。
【0047】
(ステップS108)第1の送信部11は、通信データを、その時点で設定されている複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。そして、ステップS104に戻る。
【0048】
(ステップS109)第1の制御部14は、複数の空き周波数帯域の取得を再度行うかどうか判断する。そして、その取得を再度行う場合には、ステップS102に戻り、そうでない場合には、ステップS104に戻る。第1の制御部14は、例えば、定期的に複数の空き周波数帯域の取得を行うと判断してもよく、第2の通信装置2からの指示に応じて複数の空き周波数帯域の取得を行うと判断してもよく、伝送路品質の低下が検出されたタイミングで複数の空き周波数帯域の取得を行うと判断してもよく、あるいは、その他のタイミングで複数の空き周波数帯域の取得を行うと判断してもよい。
なお、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0049】
次に、第2の通信装置2の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS201)第2の受信部22は、通信データを受信したかどうか判断する。そして、通信データを受信した場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、通信データを受信するまでステップS201の処理を繰り返す。
【0050】
(ステップS202)伝送路特性取得部23は、ステップS201またはステップS207で受信された通信データに応じた伝送路特性を取得する。その伝送路特性の取得は、通信データの伝送で用いられた複数の周波数帯域のそれぞれについて行われる。
【0051】
(ステップS203)選択部24は、伝送路特性取得部23が取得した伝送路特性のよい複数の周波数帯域を選択する。
【0052】
(ステップS204)第2の制御部26は、選択部24が選択した複数の周波数帯域を用いて、選択結果を示す通信データを送信するように第2の送信部21を制御する。すなわち、第2の制御部26は、選択部24が選択した複数の周波数帯域を、第2の送信部21が通信データを送信する周波数帯域に設定する。また、第2の制御部26は、選択結果を示す通信データを第2の送信部21に渡す。そして、第2の送信部21は、選択結果を示す通信データを、その選択された複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。
【0053】
(ステップS205)履歴情報記録部25は、その時点の時刻と、選択結果と、第1の通信装置1の識別情報とを有する履歴情報を図示しない記録媒体に蓄積する。
【0054】
(ステップS206)第2の制御部26は、履歴情報記録部25が蓄積した履歴情報を参照し、選択頻度を更新する。すなわち、その時点の履歴情報に応じた選択頻度を算出し、その選択頻度を、図示しない記録媒体に上書きで蓄積する。なお、適切な頻度で選択が行われている場合には、結果として、選択頻度が変更されないこともある。
【0055】
(ステップS207)第2の受信部22は、通信データを受信したかどうか判断する。そして、受信した場合には、ステップS208に進み、そうでない場合には、ステップS209に進む。
【0056】
(ステップS208)選択部24は、選択を行うタイミングであるかどうか判断する。そして、選択を行うタイミングである場合には、ステップS202に戻り、そうでない場合には、ステップS207に戻る。選択部24は、例えば、前回の選択時点から選択の時間間隔だけ経過した場合に、選択を行うタイミングであると判断してもよく、伝送路特性取得用の通信データが受信された場合に、選択を行うタイミングであると判断してもよく、あるいは、その他のタイミングで選択を行うタイミングであると判断してもよい。なお、伝送路特性の取得の際に、伝送路特性取得用の通信データの送信を要求することが必要な場合には、ステップS208でYと判断されてからステップS202に戻るまでの間において、第1の通信装置1に対する伝送路特性取得用の通信データの送信を要求する通信データの送信と、それに応じて送信された伝送路特性取得用の通信データの受信とが行われてもよい。
【0057】
(ステップS209)第2の送信部21は、通信データを送信するかどうか判断する。そして、通信データを送信する場合には、ステップS210に進み、そうでない場合には、ステップS207に戻る。
【0058】
(ステップS210)第2の送信部21は、選択部24が最後に選択した複数の周波数帯域を用いて、通信データを送信する。すなわち、第2の送信部21は、通信データをその複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。そして、ステップS207に戻る。
なお、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0059】
次に、本実施の形態による通信システム100の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、第1の通信装置1がMSであり、第2の通信装置2がAPであるものとする。また、この具体例では、あらかじめ周波数帯域に対して周波数インデックスが付与されているものとする。
【0060】
MSである第1の通信装置1がAPである第2の通信装置2と通信を行わなければならないようになったとする。すると、第1の送信部11は、送信を行うと判断し(ステップS101)、空き周波数帯域を取得する旨の指示を図示しない経路を介して取得部13に渡す。すると、取得部13は、その時点でのセンシングを行う。すなわち、第1の受信部12がその時点で受信した電波の高速フーリエ変換の結果を用いて、周波数インデックスごとに、周波数帯域が使用されているかどうか判断する。この場合には、センシングの結果、図5(a)で示されるように、周波数インデックス#2,#4等に応じた周波数帯域の使用されていることが検出されたとする(ステップS102)。すると、第1の制御部14は、使用されていない周波数インデックス#1,#3,#5を通信データの送信で用いる周波数帯域に設定する。また、第1の制御部14は、周波数インデックス#1,#3,#5を含む通信データを第1の送信部11に渡す。その結果、第1の送信部11は、図5(b)で示されるように、周波数インデックス#1,#3,#5を含む伝送路特性取得用の通信データを、設定された周波数インデックス#1,#3,#5に応じた周波数帯域に分割して送信する(ステップS103)。
【0061】
第1の通信装置1から送信された伝送路特性取得用の通信データは、第2の受信部22で受信される(ステップS201)。そして、伝送路特性取得部23によって、その通信データに含まれていた周波数インデックス#1,#3,#5に対応する伝送路特性が取得される(ステップS202)。ここでは、図5(c)で示されるように、伝送路特性が取得されたものとする。すなわち、周波数インデックス#1に応じた周波数帯域の伝送路特性が悪かったとする。その結果、選択部24は、あらかじめ設定されているしきい値と取得された周波数インデックス#1,#3,#5の伝送路特性とを比較し、周波数インデックス#1の伝送路特性がしきい値以下であると判断し、周波数インデックス#3,#5を選択したとする(ステップS203)。すると、第2の制御部26は、選択された周波数インデックス#3,#5に応じた周波数帯域を通信データの送信で用いる周波数帯域に設定する。また、第2の制御部26は、選択された周波数インデックス#3,#5を示す通信データを第2の送信部21に渡す。そして、第2の送信部21は、その受け取った通信データを、設定された周波数インデックス#3,#5に応じた周波数帯域に分割して送信する(ステップS204)。また、履歴情報記録部25は、その時点の時刻と、選択された周波数インデックス#3,#5と、第1の通信装置1の識別情報とを有する履歴情報を図示しない記録媒体に蓄積する(ステップS205)。なお、この場合には、まだ1回目の履歴情報の記録であるため、選択頻度は更新されないものとする(ステップS206)。その選択頻度(選択の時間間隔)の初期値として、1分が設定されているものとする。そして、隣接する2回の選択結果が同じである場合には、選択の時間間隔が倍に変更され(但し、上限の時間間隔が設定されているものとする)、隣接する2回の選択結果が異なる場合には、選択の時間間隔が半分に変更されるものとする。また、その選択の時間間隔は、第1の通信装置1にも送信され、第1の通信装置1においても、その選択の時間間隔と同じ間隔で空き周波数帯域の取得と、伝送路特性取得用の通信データの送信とを行うように設定されているものとする。したがって、第1の通信装置1においても、空き周波数帯域の取得等の時間間隔の初期値として、1分が設定されているものとする。
【0062】
第2の通信装置2から送信された通信データは、第1の受信部12で受信される(ステップS104)。そして、その通信データに、周波数インデックス#3,#5が含まれており、さらに、その周波数インデックス#3,#5がそれまでに設定されている周波数インデックス#1,#3,#5と異なるため(ステップS105)、第1の制御部14は、その新しい周波数帯域を示す周波数インデックス#3,#5を第1の送信部11が通信データの送信で用いる周波数帯域に設定する(ステップS106)。その後、第1の通信装置1が第2の通信装置2に通信データを送信する際には、第2の送信部21は、設定された周波数インデックス#3,#5に応じた周波数帯域を用いて送信することになる(ステップS107,S108)。
【0063】
伝送路特性取得用の通信データが送信されてから1分が経過すると、第1の制御部14は、空き周波数帯域の取得を再度行うと判断し(ステップS109)、前述したように、センシングと、そのセンシング結果に応じた伝送路特性取得用の通信データの送信とを行う(ステップS102,S103)。ここでも、空き周波数帯域は、周波数インデックス#1,#3,#5であったとする。その伝送路特性取得用の通信データは、第2の受信部22で受信され(ステップS207)、その通信データが伝送路特性取得用の通信データであるため、選択を行うと判断される(ステップS208)。そして、前述のようにして、伝送路特性の取得、周波数帯域の選択、選択結果に応じた通信データの送信、履歴情報の記録が行われる(ステップS202〜S205)。なお、ここでも周波数インデックス#3,#5が選択されたとする。すると、2回連続して同じ選択結果であったため、第2の制御部26は、選択の時間間隔を2分に設定し、その時間間隔を示す通信データを第2の送信部21に渡す。すると、第2の送信部21は、その通信データを、その時点で設定されている周波数インデックス#3,#5に応じた周波数帯域を用いて第1の通信装置1に送信する(ステップS209,S210)。第1の通信装置1では、その通信データを受信し(ステップS104,S105)、それに応じて、空き周波数帯域の取得等の時間間隔を2分に更新する。このようにして、第1及び第2の通信装置1,2において、伝送路特性のよい周波数帯域を用いた通信が行われることになる。
【0064】
なお、この具体例では、MSである第1の通信装置1が1個だけ存在する場合について説明したが、そうでなくてもよい。第1の通信装置1と同様のMSが複数存在し、APである第2の通信装置2は、その複数のMSに対して、伝送路特性のよい周波数帯域の選択等の処理を行ってもよい。
【0065】
以上のように、本実施の形態による通信システム100によれば、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式によって通信を行う第1及び第2の通信装置1,2の間において、空き周波数帯域であって、さらに、伝送品質のよい周波数帯域を用いて通信を行うことができるようになる。その結果、伝送品質の低下を回避することができるようになる。また、伝送路特性のよくない周波数帯域を占有することがなくなるため、無線リソースを有効に使用することができるようになる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第2の通信装置2において、履歴情報の記録を行い、その履歴情報によって示される選択された周波数帯域の変動が速いほど高頻度に選択が行われるように制御する場合について説明したが、そうでなくてもよい。周波数帯域の選択は、あらかじめ決められた頻度で行われるようにしてもよい。そのように、履歴情報を用いて周波数帯域の選択頻度を制御することを行わない場合には、第2の通信装置2は、履歴情報記録部25を備えていなくてもよく、また、第2の制御部26は、選択頻度の制御を行わなくてもよい。
また、本実施の形態による通信は、例えば、ISM帯において行われてもよく、あるいは、それ以外の帯域において行われてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、第1及び第2の通信装置1,2に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における第1の通信装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部、伝送路特性取得用の通信データを、前記取得部が取得した複数の空き周波数帯域を用いて、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部に送信させ、前記通信先の装置から送信された、当該伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを、通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部が受信した場合に、当該伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて前記送信部に通信データを送信させる制御部として機能させるためのプログラムである。
【0073】
また、上記実施の形態における第2の通信装置2を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部が、前記通信先の装置から、複数の空き周波数帯域を用いて送信された伝送路特性取得用の通信データを受信した場合に、当該伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得部、伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、前記伝送路特性取得部が取得した伝送路特性が、当該条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択部、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部に送信させる制御部として機能させるためのプログラムである。
【0074】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。すなわち、ハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれないものとする。
【0075】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0076】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0077】
図6は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による第1及び第2の通信装置1,2を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0078】
図6において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0079】
図7は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図7において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、前述の送信や受信の処理を行うためのハードウェア、例えば、DA変換器やAD変換器、変調器や復調器等を含んでいてもよく、あるいは、それらのハードウェアに接続されていてもよい。また、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0080】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による第1及び第2の通信装置1,2の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0081】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による第1及び第2の通信装置1,2の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0082】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上より、本発明による通信システム等によれば、伝送品質の低下を回避できるという効果が得られ、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信を行う通信システム等として有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 第1の通信装置
2 第2の通信装置
3、4 アンテナ
11 第1の送信部
12 第1の受信部
13 取得部
14 第1の制御部
21 第2の送信部
22 第2の受信部
23 伝送路特性取得部
24 選択部
25 履歴情報記録部
26 第2の制御部
31 変調部
32、45 S/P変換部
33、46 フーリエ変換部
34 スペクトラムマッピング部
35、48 逆フーリエ変換部
36、49 P/S変換部
37 DA変換部
38、43 局部発信部
39、42 周波数変換部
40 電力増幅部
41 低雑音増幅部
44 AD変換部
47 スペクトラムデマッピング部
50 復調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き周波数帯域を用いて互いに通信を行う第1の通信装置と第2の通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第1の送信部と、
前記第2の通信装置から送信された通信データを受信する第1の受信部と、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部と、
伝送路特性取得用の通信データを、前記取得部が取得した複数の空き周波数帯域を用いて前記第1の送信部に送信させ、当該伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを前記第1の受信部が受信した場合に、当該伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて前記第1の送信部に通信データを送信させる第1の制御部と、を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信された通信データを受信する第2の受信部と、
通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第2の送信部と、
前記第2の受信部が受信した伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得部と、
伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、前記伝送路特性取得部が取得した伝送路特性が、当該条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択部と、
前記選択部が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて前記第2の送信部に送信させる第2の制御部と、を備えた、通信システム。
【請求項2】
前記第2の制御部は、前記伝送路特性取得部による伝送路特性の取得、及び当該取得結果に応じた前記選択部による選択が繰り返して行われるように制御し、
前記第2の通信装置は、
前記選択部による選択結果の履歴の情報である履歴情報を記録する履歴情報記録部をさらに備え、
前記第2の制御部は、前記履歴情報によって示される、選択された周波数帯域の変動が速いほど高頻度に選択が行われるように制御する、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置であって、
通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部と、
通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部と、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部と、
伝送路特性取得用の通信データを、前記取得部が取得した複数の空き周波数帯域を用いて前記送信部に送信させ、前記通信先の装置から送信された、当該伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを前記受信部が受信した場合に、当該伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて前記送信部に通信データを送信させる制御部と、を備えた通信装置。
【請求項4】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置であって、
通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部と、
通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部と、
前記受信部が、前記通信先の装置から、複数の空き周波数帯域を用いて送信された伝送路特性取得用の通信データを受信した場合に、当該伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得部と、
伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、前記伝送路特性取得部が取得した伝送路特性が、当該条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択部と、
前記選択部が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて前記送信部に送信させる制御部と、を備えた通信装置。
【請求項5】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得ステップと、
伝送路特性取得用の通信データを、前記取得ステップで取得した複数の空き周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する第1の送信ステップと、
通信先の装置からスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された、前記伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した通信データの示す伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信データを送信する第2の送信ステップと、を備えた通信方法。
【請求項6】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、
通信先の装置から複数の空き周波数帯域を用いてスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された伝送路特性取得用の通信データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得ステップと、
伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、前記伝送路特性取得ステップで取得した伝送路特性が、当該条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、前記選択ステップで選択した複数の周波数帯域を用いてスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により前記通信先の装置に送信する送信ステップと、を備えた通信方法。
【請求項7】
コンピュータを、
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部、
伝送路特性取得用の通信データを、前記取得部が取得した複数の空き周波数帯域を用いて、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部に送信させ、前記通信先の装置から送信された、当該伝送路特性取得用の通信データを送信した複数の周波数帯域のうち伝送路特性のよい複数の周波数帯域を示す通信データを、通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部が受信した場合に、当該伝送路特性のよい複数の周波数帯域を用いて前記送信部に通信データを送信させる制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、
通信先の装置から、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信された通信データを受信する受信部が、前記通信先の装置から、複数の空き周波数帯域を用いて送信された伝送路特性取得用の通信データを受信した場合に、当該伝送路特性取得用の通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域の伝送路特性を取得する伝送路特性取得部、
伝送路特性の良否を判断するためのあらかじめ決められた条件を用いて、前記伝送路特性取得部が取得した伝送路特性が、当該条件を満たすほどよいと判断された複数の周波数帯域を選択する選択部、
前記選択部が選択した複数の周波数帯域を示す通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて、通信データを、複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送信する送信部に送信させる制御部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−169954(P2012−169954A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30417(P2011−30417)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】