説明

通信システムおよびセッション解放方法

【課題】S/P−GWの再開を当該S/P−GWで検出した場合、S/P−GW起動によるS/P−GWとPCRFとの間のセッション状態を一致させる。
【解決手段】P−GW300が、P−GW300の再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Requestに含めてPCRF100へ送信し、PCRF100が、解放パラメータがP−GW300から送信されてきた場合、P−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を行う通信システム、および通信システムにおける通信ノード間の接続を解放するセッション解放方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信ネットワークに設けられた各ノードは、セッション状態を互いに一致させることが重要である。なぜなら、あるノードがある加入者のセッションを保持しているが、他のあるノードがセッションを保持していない状態で信号を受信した場合、前発優先、後発優先で接続を行うかを各ノードで互いに一致させる必要があるからである。
【0003】
そこで、IP(Internet Protocol)通信をサポートしている複数ノード間の通信システムにおけるセッション解放に関する方法及び装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−517356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、移動体通信システムに設けられたPCRF(Policy and Charging Rule Function)と、S/P−GW(Serving−Gateway/Packet Data Node−Gateway)との間のセッション管理には、以下のような課題がある。
【0006】
一般的な3GPP(3rd Generation Partnership Project)標準シーケンスでは、S/P−GWで障害による再開を当該S/P−GWで検出した場合、S/P−GW起動によるセッション解放手順がない。このため、S/P−GWとPCRFとの間でのリソース浮き、セッション状態の不一致をPCRFで検出することができず、S/P−GWとPCRFとの間でセッションが解放されないという問題点がある。
【0007】
また、このセッション解放を行うには、S/P−GWまたはPCRFでローカルにセッション解放を行っているため、S/P−GWとPCRFとの間でセッション状態が一致するまでに時間を要してしまうという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術は、3GPP標準シーケンスを改善するものではない。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を解決する通信システムおよびセッション解放方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信システムは、
PCRF(Policy and Charging Rule Function)と、P−GW(Packet Data Node−Gateway)と、S−GW(Serving−Gateway)とが設けられた通信システムにおいて、
前記P−GWは、当該P−GWの再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Request(Credit−Control−Request)に含めて前記PCRFへ送信し、
前記PCRFは、前記解放パラメータが前記P−GWから送信されてきた場合、該P−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のセッション解放方法は、
PCRF(Policy and Charging Rule Function)と、P−GW(Packet Data Node−Gateway)と、S−GW(Serving−Gateway)とが設けられた通信システムにおける通信ノード間の接続を解放するセッション解放方法であって、
前記P−GWが、当該P−GWの再開を検出する処理と、
前記P−GWが、当該P−GWの再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Request(Credit−Control−Request)に含めて前記PCRFへ送信する処理と、
前記PCRFが、前記解放パラメータが前記P−GWから送信されてきた場合、該P−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放する処理とを行う。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明においては、S/P−GWの再開を当該S/P−GWで検出した場合、S/P−GW起動によるS/P−GWとPCRFとの間のセッション状態を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の通信システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したPCRFの内部構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示したS−GWの内部構成の一例を示す図である。
【図4】図1に示したP−GWの内部構成の一例を示す図である。
【図5】本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがGTPv2である場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図6】本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つP−GWが再開した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つS−GWが再開した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の通信システムの実施の一形態を示す図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、PCRF100と、S−GW200と、P−GW300と、MME400と、eNodeB500−1〜500−2と、SGSN600と、RNC700と、NodeB800−1〜800−2と、UE900とから構成されたEPC(Evolved Packet Core)である。
【0017】
PCRF(Policy and Charging Rule Function)100は、加入者に対するポリシー機能や課金ルール機能等を有する通信制御を行う交換機である。また、PCRF100は、S−GW200およびP−GW300と接続されている。なお、PCRF100とS−GW200との接続インターフェイスをGxcと呼ぶ。また、PCRF100とP−GW300との接続インターフェイスをGxと呼ぶ。
【0018】
S−GW(Serving−Gateway)200およびP−GW(Packet Data Node−Gateway)300は、ユーザパケットのルーティング、ポリシーの適用、各加入者用のパケットフィルタリング、サポートの課金、合法的傍受およびパケットスクリーニングなどを行うゲートウェイ装置である。また、S−GW200は、PCRF100のほかに、MME400、eNodeB500−1〜500−2およびSGSN600と接続されている。また、P−GW300は、PCRF100のほかに、外部網(例えば、ISP(Internet Services Provider)など)と接続され、当該接続を提供する。また、S−GW200とP−GW300とは、接続インターフェイスS5を介して接続されている。以下、S−GW200とP−GW300との少なくとも一方を指す場合は、「S/P−GW」と記載する。
【0019】
MME(Mobility Management Entity)400は、加入者の情報に基づいてUE900の認証やUE900のページング処理、秘匿処理、UE900の位置登録や着信時の端末呼び出し、ハンドオーバーといったモビリティ管理を行う局舎内装置である。また、MME400は、S−GW200のほかに、eNodeB500−1〜500−2と接続されている。
【0020】
SGSN(Serving GPRS Support Node)600は、携帯電話網のパケット網を構成するノードであり、無線アクセスネットワーク側との接続を行う。また、SGSN600は、S−GW200のほかに、RNC700と接続されている。
【0021】
RNC(Radio Network Controller)700は、NodeB800−1〜800−2を制御する無線ネットワーク制御装置である。
【0022】
eNodeB500−1〜500−2およびNodeB800−1〜800−2は、無線基地局であり、それぞれがカバーするサービスエリア内に存在する移動機を管理・制御する。図1に示した例では、eNodeB500−1がカバーするサービスエリア1000内に移動機であるUE900が存在している。
【0023】
上述した各装置の機能は、各装置に一般的に具備されているものと同じである。本発明においては、さらに、GxおよびGxcでやり取りされるEvent−Trigger AVP(3GPP TS29.212 V9.0.0 5.3.7 Event−Tri
gger AVPに記載)に新規にパラメータを定義する。それにより、GxおよびGxcのインターフェイス部分を変更する。
【0024】
以下に、本発明において、変更(追加)する機能について説明する。
【0025】
PCRF100は、S−GW200またはP−GW300とPCRF100との間で互いのセッション状態の不一致をS−GW200またはP−GW300が検出した際にその旨をS−GW200またはP−GW300がPCRF100へ通知するためのパラメータ(解放パラメータ)が定義されたEvent−Trigger AVPをS−GW200またはP−GW300へ送信する。また、解放パラメータがS−GW200またはP−GW300から送信されてきた場合、S−GW200またはP−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放する。
【0026】
S−GW200は、S−GW200の再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータを3GPPのスペックで定義されている制御要求信号であるCC−Request(Credit−Control−Request)に含めてPCRF100へ送信する。また、S−GW200は、S−GW200の再開を検出した際、PCRF100から送信されてきたEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータを解放パラメータとしてCC−Requestに含めてPCRF100へ送信する。また、S−GW200は、解放パラメータを不揮発性のメモリに保持しておく。このとき、S−GW200が再開した場合であっても、保持している解放パラメータが消失しないようにしておく。
【0027】
P−GW300は、P−GW300の再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Requestに含めてPCRF100へ送信する。また、P−GW300は、P−GW300の再開を検出した際、PCRF100から送信されてきたEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータを解放パラメータとしてCC−Requestに含めてPCRF100へ送信する。また、P−GW300は、解放パラメータを不揮発性のメモリに保持しておく。このとき、P−GW300が再開した場合であっても、保持している解放パラメータが消失しないようにしておく。
【0028】
図2は、図1に示したPCRF100の内部構成の一例を示す図である。
【0029】
図1に示したPCRF100には図2に示すように、制御部110と、Gxcインターフェイス部120と、Gxインターフェイス部130とが設けられている。
【0030】
制御部110は、Gxcインターフェイス部120およびGxインターフェイス部130からの指示に基づいた制御や、一般的なPCRF100の処理を行う。
【0031】
また、Gxcインターフェイス部120には、パラメータ通知部121と、セッション解放部122と、応答部123とが設けられている。
【0032】
パラメータ通知部121は、S−GW200とPCRF100との間で互いのセッション状態の不一致をS−GW200が検出した際にその旨をS−GW200がPCRF100へ通知するためのパラメータ(解放パラメータ)が定義されたEvent−Trigger AVPをS−GW200へ送信(通知)する。ここで、解放パラメータは、3GPPのスペック上、Event−Trigger AVPにすでに定義されている値以外のものを用いて定義されるものであっても良い。
【0033】
セッション解放部122は、S−GW200からCC−Requestが送信されてきた場合、送信されてきたCC−Requestに上述した解放パラメータが含まれているかどうかを判定する。また、セッション解放部122は、S−GW200から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれている場合、S−GW200を用いて接続しているセッションすべてを解放するように制御部110へ指示する。すると、制御部110は、所定の解放手順に従ってセッションを解放する。
【0034】
応答部123は、S−GW200から解放パラメータが送信されてきたことにより、制御部110がセッションを解放した際、S−GW200へCC−Requestに対する応答信号であるCC−Answerを送信することで応答する。
【0035】
また、Gxインターフェイス部130には、パラメータ通知部131と、セッション解放部132と、応答部133とが設けられている。
【0036】
パラメータ通知部131は、P−GW300とPCRF100との間で互いのセッション状態の不一致をP−GW300が検出した際にその旨をP−GW300がPCRF100へ通知するためのパラメータ(解放パラメータ)が定義されたEvent−Trigger AVPをP−GW300へ送信(通知)する。
【0037】
セッション解放部132は、P−GW300からCC−Requestが送信されてきた場合、送信されてきたCC−Requestに上述した解放パラメータが含まれているかどうかを判定する。また、セッション解放部132は、P−GW300から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれている場合、P−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放するように制御部110へ指示する。すると、制御部110は、所定の解放手順に従ってセッションを解放する。
【0038】
応答部133は、P−GW300から解放パラメータが送信されてきたことにより、制御部110がセッションを解放した際、P−GW300へCC−Answerを送信することで応答する。
【0039】
図3は、図1に示したS−GW200の内部構成の一例を示す図である。
【0040】
図1に示したS−GW200には図3に示すように、制御部210と、Gxcインターフェイス部220と、S5インターフェイス部230とが設けられている。
【0041】
制御部210は、Gxcインターフェイス部220からの指示に基づいた制御や、一般的なS−GW200の処理を行う。
【0042】
また、Gxcインターフェイス部220には、パラメータ受信部221と、記憶部222と、再開検出部223と、解放要求部224と、応答受信部225とが設けられている。
【0043】
パラメータ受信部221は、PCRF100から送信されてきたEvent−Trigger AVPを受信し、受信したEvent−Trigger AVPで定義された解放パラメータを記憶部222に書き込む。
【0044】
記憶部222は、パラメータ受信部221によって書き込まれた解放パラメータを保持(記憶)する。また、記憶部222は、当該解放パラメータが外部からあらかじめ書き込まれた場合、その書き込まれた解放パラメータを記憶する。これは、PCRF100から解放パラメータが通知されてこない場合にも対応可能とするためである。なお、記憶部222は、不揮発性メモリである。
【0045】
再開検出部223は、S−GW200が再開した場合、当該再開を検出する。再開の検出方法は特に規定しない。
【0046】
解放要求部224は、再開検出部223がS−GW200の再開を検出した場合、記憶部222に記憶されている解放パラメータをCC−Requestに含めて(乗せて)、PCRF100へ送信する。
【0047】
応答受信部225は、解放要求部224が送信したCC−Requestに対してPCRF100から送信されてきたCC−Answerを受信し、その旨を制御部210へ通知する。
【0048】
S5インターフェイス部230は、P−GW300との間のやり取りを行う。
【0049】
図4は、図1に示したP−GW300の内部構成の一例を示す図である。
【0050】
図1に示したP−GW300には図4に示すように、制御部310と、Gxインターフェイス部320と、S5インターフェイス部330とが設けられている。
【0051】
制御部310は、Gxインターフェイス部320からの指示に基づいた制御や、一般的なP−GW300の処理を行う。
【0052】
また、Gxインターフェイス部320には、パラメータ受信部321と、記憶部322と、再開検出部323と、解放要求部324と、応答受信部325とが設けられている。
【0053】
パラメータ受信部321は、PCRF100から送信されてきたEvent−Trigger AVPを受信し、受信したEvent−Trigger AVPで定義された解放パラメータを記憶部322に書き込む。
【0054】
記憶部322は、パラメータ受信部321によって書き込まれた解放パラメータを保持(記憶)する。また、記憶部322は、当該解放パラメータが外部からあらかじめ書き込まれた場合、その書き込まれた解放パラメータを記憶する。これは、PCRF100から解放パラメータが通知されてこない場合にも対応可能とするためである。なお、記憶部322は、不揮発性メモリである。
【0055】
再開検出部323は、P−GW300が再開した場合、当該再開を検出する。再開の検出方法は特に規定しない。
【0056】
解放要求部324は、再開検出部323がP−GW300の再開を検出した場合、記憶部322に記憶されている解放パラメータをCC−Requestに含めて(乗せて)、PCRF100へ送信する。
【0057】
応答受信部325は、解放要求部324が送信したCC−Requestに対してPCRF100から送信されてきたCC−Answerを受信し、その旨を制御部310へ通知する。
【0058】
S5インターフェイス部330は、S−GW200との間のやり取りを行う。
【0059】
以下に、本形態におけるセッション解放方法について説明する。ここで、S5インターフェイスでは、GTPv2(General Tunneling Protocol version 2)のプロトコルが用いられる場合と、PMIP(Proxy Mobile IP)のプロトコルが用いられる場合との2通りがある。
【0060】
S5インターフェイスで用いられるプロトコルがGTPv2である場合、P−GW300とPCRF100との間のGxインターフェイスを保持し、S−GW200とPCRF100との間のGxcインターフェイスを保持しない。
【0061】
一方、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPである場合、P−GW300とPCRF100との間のGxインターフェイスと、S−GW200とPCRF100との間のGxcインターフェイスとの両方を保持する。
【0062】
まず、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがGTPv2である場合の処理について説明する。
【0063】
図5は、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがGTPv2である場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【0064】
PCRF100のパラメータ通知部131からEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータが、P−GW300のパラメータ受信部321にて受信されると、当該パラメータが記憶部322に保持される(ステップS1)。なお、PCRF100のパラメータ通知部131から当該パラメータの通知がなかった場合は、記憶部322があらかじめ保持している静的データを利用する。
【0065】
その後、P−GW300が障害発生等の何らかの契機で再開し、再開検出部323にて再開処理が検出されると(ステップS2)、P−GW300とPCRF100との間のすべてのセッションの解放を行うために、記憶部322に記憶されているパラメータ(解放パラメータ)が解放要求部324によってCC−Requestに含められて(乗せられて)、PCRF100へ送信される(ステップS3)。
【0066】
P−GW300から送信されてきたCC−RequestがPCRF100のセッション解放部132にて受信されると、当該CC−Requestに解放パラメータが含まれているかどうかがセッション解放部132にて判定される。
【0067】
P−GW300から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれていると判定された場合、P−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放するようにセッション解放部132から制御部110へ指示され、制御部110によって所定の解放手順に従ってセッションが解放される(ステップS4)。
【0068】
制御部110によってセッションが解放されると、応答部133からP−GW300へ、その応答としてCC−Answerが送信される(ステップS5)。
【0069】
その後、3GPP TS23.401 V9.2.0 5.4.4.1に記載されているPDN GW initiated bearer deactivationと同様の手順が行われ、MME400、eNodeB500−1等のS−GW200配下のノードに対してもセッション解放が実施される。
【0070】
次に、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つP−GW300が再開した場合の処理について説明する。
【0071】
図6は、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つP−GW300が再開した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【0072】
PCRF100のパラメータ通知部131からEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータが、P−GW300のパラメータ受信部321にて受信されると、当該パラメータが記憶部322に保持される(ステップS11)。なお、PCRF100のパラメータ通知部131から当該パラメータの通知がなかった場合は、記憶部322があらかじめ保持している静的データを利用する。
【0073】
その後、P−GW300が障害発生等の何らかの契機で再開し、再開検出部323にて再開処理が検出されると(ステップS12)、P−GW300とPCRF100との間のすべてのセッションの解放を行うために、記憶部322に記憶されているパラメータ(解放パラメータ)が解放要求部324によってCC−Requestに含められて(乗せられて)、PCRF100へ送信される(ステップS13)。
【0074】
P−GW300から送信されてきたCC−RequestがPCRF100のセッション解放部132にて受信されると、当該CC−Requestに解放パラメータが含まれているかどうかがセッション解放部132にて判定される。
【0075】
P−GW300から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれていると判定された場合、P−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放するようにセッション解放部132から制御部110へ指示され、制御部110によって所定の解放手順に従ってセッションが解放される(ステップS14)。
【0076】
制御部110によってセッションが解放されると、応答部133からP−GW300へ、その応答としてCC−Answerが送信される(ステップS15)。
【0077】
その後、3GPP TS23.401 V9.2.0 5.4.4.1に記載されているPDN GW initiated bearer deactivationと同様の手順が行われる。
【0078】
次に、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つS−GW200が再開した場合の処理について説明する。
【0079】
図7は、本形態におけるセッション解放方法のうち、S5インターフェイスで用いられるプロトコルがPMIPであり、且つS−GW200が再開した場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【0080】
PCRF100のパラメータ通知部121からEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータが、S−GW200のパラメータ受信部221にて受信されると、当該パラメータが記憶部222に保持される(ステップS21)。なお、PCRF100のパラメータ通知部121から当該パラメータの通知がなかった場合は、記憶部222があらかじめ保持している静的データを利用する。
【0081】
その後、S−GW200が障害発生等の何らかの契機で再開し、再開検出部223にて再開処理が検出されると(ステップS22)、S−GW200とPCRF100との間のすべてのセッションの解放を行うために、記憶部222に記憶されているパラメータ(解放パラメータ)が解放要求部224によってCC−Requestに含められて(乗せられて)、PCRF100へ送信される(ステップS23)。
【0082】
S−GW200から送信されてきたCC−RequestがPCRF100のセッション解放部122にて受信されると、当該CC−Requestに解放パラメータが含まれているかどうかがセッション解放部122にて判定される。
【0083】
S−GW200から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれていると判定された場合、S−GW200を用いて接続しているセッションすべてを解放するようにセッション解放部122から制御部110へ指示され、制御部110によって所定の解放手順に従ってセッションが解放される(ステップS24)。
【0084】
制御部110によってセッションが解放されると、応答部123からS−GW200へ、その応答としてCC−Answerが送信される(ステップS25)。
【0085】
応答部123から送信されたCC−AnswerがS−GW200の応答受信部225にて受信されると、その旨が応答受信部225から制御部210へ通知され、S5インターフェイス部230から、PMIPで定義されているP−GW300へ接続の更新を要求する接続更新信号であるProxy Binding UpdateがP−GW300へ送信される(ステップS26)。
【0086】
S−GW200から送信されたProxy Binding UpdateがP−GW300のS5インターフェイス部330にて受信されると、P−GW300とPCRF100との間のすべてのセッションの解放を行うために、記憶部322に記憶されているパラメータ(解放パラメータ)が解放要求部324によってCC−Requestに含められて(乗せられて)、PCRF100へ送信される(ステップS27)。
【0087】
P−GW300から送信されてきたCC−RequestがPCRF100のセッション解放部132にて受信されると、当該CC−Requestに解放パラメータが含まれているかどうかがセッション解放部132にて判定される。
【0088】
P−GW300から送信されてきたCC−Requestに解放パラメータが含まれていると判定された場合、P−GW300を用いて接続しているセッションすべてを解放するようにセッション解放部132から制御部110へ指示され、制御部110によって所定の解放手順に従ってセッションが解放される(ステップS28)。
【0089】
制御部110によってセッションが解放されると、応答部133からP−GW300へ、その応答としてCC−Answerが送信される(ステップS29)。
【0090】
応答部133から送信されたCC−AnswerがP−GW300の応答受信部325にて受信されると、その旨が応答受信部325から制御部310へ通知され、S5インターフェイス部330から、Proxy Binding Updateに対する応答信号としてPMIPで定義されているProxy Binding AcknowledgeがS−GW200へ送信される(ステップS30)。
【0091】
その後、3GPP TS23.401 V9.2.0 5.4.4.1に記載されているPDN GW initiated bearer deactivationと同様の手順が行われる。
【0092】
以上説明したように、本発明においては、PCRFからS/P−GWへ通知するEvent−Trigger AVPにS/P−GWで障害発生等による再開を検出するとPCRFへ通知する新規パラメータを設定する、もしくはS/P−GWで静的なパラメータとして不揮発性のメモリにこの新規パラメータを保持する。さらに、S/P−GWの再開検出を契機に、PCRFへS/P−GWとPCRFとの間のすべてのセッションを解放する新規パラメータを定義し、このパラメータを送信することにより、S/P−GW起動のすべてのセッション解放手順を実施する。
【0093】
これにより、S/P−GWの障害による再開をS/P−GWで検出した場合、S/P−GW起動によるS/P−GWとPCRFとの間のセッション状態の一致が可能となる。
【符号の説明】
【0094】
100 PCRF
110,210,310 制御部
120,220 Gxcインターフェイス部
121,131 パラメータ通知部
122,132 セッション解放部
123,133 応答部
130,320 Gxインターフェイス部
200 S−GW
221,321 パラメータ受信部
222,322 記憶部
223,323 再開検出部
224,324 解放要求部
225,325 応答受信部
230,330 S5インターフェイス部
300 P−GW
400 MME
500−1〜500−2 eNodeB
600 SGSN
700 RNC
800−1〜800−2 NodeB
900 UE
1000 サービスエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCRF(Policy and Charging Rule Function)と、P−GW(Packet Data Node−Gateway)と、S−GW(Serving−Gateway)とが設けられた通信システムにおいて、
前記P−GWは、当該P−GWの再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Request(Credit−Control−Request)に含めて前記PCRFへ送信し、
前記PCRFは、前記解放パラメータが前記P−GWから送信されてきた場合、該P−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記PCRFは、前記P−GWと前記PCRFとの間で互いのセッション状態の不一致を前記P−GWが検出した際にその旨を前記P−GWが前記PCRFへ通知するためのパラメータが定義されたEvent−Trigger AVPを前記P−GWへ送信し、
前記P−GWは、当該P−GWの再開を検出した際、前記PCRFから送信されてきたEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータを前記解放パラメータとしてCC−Requestに含めて前記PCRFへ送信することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記P−GWは、前記解放パラメータを不揮発性のメモリに保持しておくことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記S−GWは、当該S−GWの再開を検出した際、前記解放パラメータを前記CC−Requestに含めて前記PCRFへ送信し、該CC−Requestに応じたCC−Answerが前記PCRFから送信されてきた場合、前記P−GWへ接続の更新を要求する接続更新信号を送信し、
前記P−GWは、前記S−GWから前記接続更新信号が送信されてきた場合、前記解放パラメータを前記CC−Requestに含めて前記PCRFへ送信し、
前記PCRFは、前記解放パラメータが前記S−GWから送信されてきた場合、該S−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放し、該セッションを解放した後、前記CC−Requestに応じたCC−Answerを前記S−GWへ送信することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の通信システムにおいて、
前記PCRFは、前記S−GWと前記PCRFとの間で互いのセッション状態の不一致を前記S−GWが検出した際にその旨を前記S−GWが前記PCRFへ通知するためのパラメータが定義されたEvent−Trigger AVPを前記S−GWへ送信し、
前記S−GWは、当該S−GWの再開を検出した際、前記PCRFから送信されてきたEvent−Trigger AVPに定義されたパラメータを前記解放パラメータとしてCC−Requestに含めて前記PCRFへ送信することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の通信システムにおいて、
前記S−GWは、前記解放パラメータを不揮発性のメモリに保持しておくことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
EPC(Evolved Packet Core)であることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
PCRF(Policy and Charging Rule Function)と、P−GW(Packet Data Node−Gateway)と、S−GW(Serving−Gateway)とが設けられた通信システムにおける通信ノード間の接続を解放するセッション解放方法であって、
前記P−GWが、当該P−GWの再開を検出する処理と、
前記P−GWが、当該P−GWの再開を検出した際、あらかじめ設定された解放パラメータをCC−Request(Credit−Control−Request)に含めて前記PCRFへ送信する処理と、
前記PCRFが、前記解放パラメータが前記P−GWから送信されてきた場合、該P−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放する処理とを行うセッション解放方法。
【請求項9】
請求項8に記載のセッション解放方法において、
前記S−GWが、当該S−GWの再開を検出する処理と、
前記S−GWが、当該S−GWの再開を検出した際、前記解放パラメータを前記CC−Requestに含めて前記PCRFへ送信する処理と、
前記PCRFが、前記解放パラメータが前記S−GWから送信されてきた場合、該S−GWを用いて接続しているセッションすべてを解放する処理と、
前記PCRFが、前記セッションを解放した後、前記CC−Requestに応じたCC−Answerを前記S−GWへ送信する処理と、
前記S−GWが、前記CC−Answerが前記PCRFから送信されてきた場合、前記P−GWへ接続の更新を要求する接続更新信号を送信する処理と、
前記P−GWが、前記S−GWから前記接続更新信号が送信されてきた場合、前記解放パラメータを前記CC−Requestに含めて前記PCRFへ送信する処理とを行うことを特徴とするセッション解放方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−223253(P2011−223253A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89498(P2010−89498)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】