説明

通信システムおよび通信装置

【課題】無線通信の信頼性を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】通信システムは、施設情報を有する情報取得装置10と、情報取得装置10から施設情報を収集する情報収集装置とを備え、情報取得装置10および情報収集装置のそれぞれは、無線通信を行う第1通信手段と、当該第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信を行う第2通信手段とを有している。そして、情報収集装置は、情報取得装置10に対する施設情報の送信要求を、情報収集装置の第1通信手段および第2通信手段を用いて行う。情報取得装置10は、情報取得装置10における第1通信手段および第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって情報収集装置からの送信要求を先に受信したかを特定する通信方式特定部110と、通信方式特定部110によって特定された通信手段を用いて、送信要求に対する応答を行う通信制御部113とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、装置間或いは機器間の通信を無線通信を用いて行う通信システムが存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、有線通信および無線通信を用いて、第2通信装置が有する情報を当該第2通信装置から第1通信装置へと伝送する通信システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信は、電波を伝送媒体とした通信であるため、無線通信に用いる電波によっては、装置間或いは機器間の距離、環境等の通信条件に応じて、通信ができなくなる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、無線通信の信頼性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る通信システムは、所定情報を有する第1通信装置と、前記第1通信装置から前記所定情報を収集する第2通信装置とを備え、前記第1通信装置および前記第2通信装置のそれぞれは、無線通信を行う第1通信手段と、前記第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信を行う第2通信手段とを有し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置に対する前記所定情報の送信要求を、当該第2通信装置の前記第1通信手段および前記第2通信手段を用いて行い、前記第1通信装置は、当該第1通信装置における第1通信手段および第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって前記送信要求を先に受信したかを特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信手段を用いて、前記送信要求に対する応答を行う通信制御手段とを有する。
【0008】
また、本発明に係る通信システムの一態様では、前記通信システムは、複数の前記第1通信装置を有し、前記第1通信装置は、前記送信要求を受信した場合、当該第1通信装置の前記第1通信手段および前記第2通信手段を用いて、当該送信要求を中継する。
【0009】
また、本発明に係る通信システムの一態様では、前記第1通信装置は、前記送信要求を含む送信データを中継する際に、前記特定手段によって特定された通信手段と当該第1通信装置による中継とを、前記送信データの伝送路情報として前記送信データに記録し、前記通信システムは、前記伝送路情報に基づいて決定される伝送路で、前記送信要求に対する応答データを前記第2通信装置に伝送する。
【0010】
また、本発明に係る通信システムの一態様では、前記第1通信装置は、前記応答データを生成する際に、当該応答データの伝送路情報を、前記送信データの伝送路情報に基づいて当該応答データに記録し、前記通信システムは、前記応答データの伝送路情報に従って、前記送信データの伝送路とは逆の伝送路で前記応答データを前記第2通信装置に伝送する。
【0011】
また、本発明に係る通信システムの一態様では、前記第1通信装置および前記第2通信装置のそれぞれに設けられた前記第1通信手段および前記第2通信手段は、互いに異なる変調方式を用いて無線通信を行う。
【0012】
また、本発明に係る通信装置は、無線通信を行う第1通信手段と、前記第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の電波を使用して無線通信を行う第2通信手段と、前記第1通信手段および前記第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって他の通信装置から所定情報の送信要求を先に受信したかを特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された通信手段を用いて、前記送信要求に対する応答を行う通信制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線通信の信頼性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る通信システムの構成図である。
【図2】情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【図3】情報収集装置の構成を示すブロック図である。
【図4】施設情報の送信要求を含む要求パケットを示す図である。
【図5】要求パケットにおける伝送路情報の記録態様を示す図である。
【図6】送信要求に対する応答パケットを示す図である。
【図7】往路通信における情報取得装置の動作のフローチャートである。
【図8】復路通信における情報取得装置の動作のフローチャートである。
【図9】応答パケットの伝送例を説明するための図である。
【図10】通信システムの全体動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<実施形態>
[概要]
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム1の構成図である。
【0017】
図1に示されるように、通信システム1は、複数の情報取得装置(第1通信装置)10と、各情報取得装置で取得された情報を収集する情報収集装置(第2通信装置)20と、当該情報収集装置20と光ファイバーLTを介して接続されたセンター装置30とを有している。
【0018】
情報取得装置10は、或る施設50に設けられ、当該施設における情報(施設情報)を取得する。図1では、情報取得装置10が、或る施設50としての家庭に設けられている態様が示されている。当該情報取得装置10は、例えば、家庭で消費される電力を計量する電力量計(電力メーター)としての機能を有し、消費電力量を施設情報として取得する。なお、情報取得装置は、ガスの使用量を計量するガスメータであってもよい。情報取得装置10がガスメーターとして機能する場合は、ガス使用量が施設情報として取得されることになる。
【0019】
情報収集装置20は、例えば、電柱等に設置され、情報取得装置10で取得された施設情報を収集する機能を有している。
【0020】
具体的には、情報収集装置20は、通信システム1に含まれる各情報取得装置10に対して、施設情報の送信要求を無線通信で行う。施設情報の送信要求を受信した各情報取得装置10は、当該送信要求に応じて施設情報の送信を行う。
【0021】
ここで、各情報取得装置10は、受信した情報を中継する中継装置としての機能(マルチホップ通信機能)も有し、通信システム1で行われる施設情報を収集するための通信は、中継装置としての情報取得装置10を介しても行われる。
【0022】
例えば、図1では、施設52の情報取得装置12で取得された施設情報の収集が、施設51の情報取得装置11を中継装置とした経路によって行われる様子が示されている。また、図1では、施設53の情報取得装置13で取得された施設情報の収集が、施設51の情報取得装置11および施設52の情報取得装置12を中継装置とした経路によって行われる様子も示されている。
【0023】
また、情報収集装置20は、各情報取得装置10から収集した施設情報を、伝送媒体としての光ファイバーLTを用いた光通信によってセンター装置30に伝送する。
【0024】
[具体的構成]
ここで、情報取得装置10の構成について説明する。図2は、情報取得装置10の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示されるように、情報取得装置10は、アンテナ素子AN11に接続された第1無線通信部101と、アンテナ素子AN12に接続された第2無線通信部102と、電力測定部103と、記憶部104と、処理部105とを備えている。
【0026】
第1無線通信部101は、アンテナ素子AN11との協働により無線通信手段として機能する。具体的には、第1無線通信部101は、アンテナ素子AN11で受信される信号からデータ(受信データ)を取得し、処理部105に出力する。また、第1無線通信部101は、処理部105から入力される送信データを含む信号(送信信号)をアンテナ素子AN11を介して無線送信する。
【0027】
第2無線通信部102は、上記第1無線通信部101と同様、アンテナ素子AN12との協働により無線通信手段として機能する。すなわち、第2無線通信部102は、アンテナ素子AN12で受信される信号からデータ(受信データ)を取得して、処理部105に出力するとともに、処理部105から入力される送信データを含む信号をアンテナ素子AN12を介して無線送信する。
【0028】
これら第1無線通信部101と第2無線通信部102とは、互いに異なる周波数帯域の無線信号を使用して無線通信を行う。具体的には、第1無線通信部101では、例えば950MHzの周波数を中心周波数とする周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われ、第2無線通信部102では、430MHzの周波数を中心周波数とする周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われる。このように、本実施形態の情報取得装置10では、互いに異なる2つの周波数帯域の電波を用いて無線通信が行われる。なお、ここでいう電波は、搬送波にデータ信号を乗せた変調後の電波である。
【0029】
なお、本実施形態における中心周波数とは、無線通信に用いられる無線信号における最高周波数と最低周波数の和の1/2、換言すれば最高周波数と最低周波数の中央値である。
【0030】
電力測定部103は、消費電力を測定する計器を含み、測定された消費電力を積算して得られる電力量(消費電力量)を処理部105に出力する。
【0031】
記憶部104は、例えばRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部104は、処理部105が実行するプログラムを格納するとともに、プログラムを実行するための作業領域を提供する。
【0032】
また、記憶部104は、各種の情報およびデータ等も格納可能であり、例えば、電力測定部103から入力された消費電力量を記憶してもよい。
【0033】
処理部105は、第1無線通信部101と、第2無線通信部102と、電力測定部103と、記憶部104とに接続され、情報取得装置10の全体動作を制御する。
【0034】
ここでは、処理部105による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、処理部105は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。当該マイクロコンピュータが、記憶部104に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
【0035】
具体的には、図2に示されるように、処理部105は、上述のプログラムの実行によって、通信方式特定部110、データ解析部111、データ生成部112、および通信制御部113を機能的に実現する。
【0036】
通信方式特定部110は、第1無線通信部101および第2無線通信部102のうちどちらの通信部から受信データが入力されたかに基づいて、当該受信データの伝送に用いられた通信方式の特定を行う。
【0037】
データ解析部111は、第1無線通信部101および第2無線通信部102から入力された受信データの解析を行う。
【0038】
データ生成部112は、無線通信手段を用いて外部に無線送信するパケット形式の送信データを生成する。
【0039】
通信制御部113は、無線通信手段を用いた無線通信の動作制御を行う。
【0040】
なお、処理部105によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することもできる。
【0041】
次に、情報収集装置20の構成について説明する。図3は、情報収集装置20の構成を示すブロック図である。
【0042】
図3に示されるように、情報収集装置20は、アンテナ素子AN21に接続された第1無線通信部201と、アンテナ素子AN22に接続された第2無線通信部202と、光通信部203と、記憶部204と、処理部205とを備えている。
【0043】
第1無線通信部201は、アンテナ素子AN21との協働により無線通信手段として機能する。具体的には、第1無線通信部201は、アンテナ素子AN21で受信される信号からデータ(受信データ)を取得し、処理部205に出力する。また、第1無線通信部201は、処理部205から入力される送信データを含む送信信号をアンテナ素子AN21を介して無線送信する。
【0044】
第2無線通信部202は、上記第1無線通信部201と同様、アンテナ素子AN22との協働により無線通信手段として機能する。すなわち、第2無線通信部202は、アンテナ素子AN22で受信される信号から受信データを取得して、処理部205に出力するとともに、処理部205から入力される送信データを含む信号をアンテナ素子AN22を介して無線送信する。
【0045】
これら第1無線通信部201と第2無線通信部202とは、互いに異なる周波数帯域の無線信号を使用して無線通信を行う。具体的には、第1無線通信部201では、例えば950MHzの周波数を中心周波数とする周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われ、第2無線通信部202では、430MHzの周波数を中心周波数とする周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われる。このように、本実施形態の情報収集装置20では、互いに異なる2つの周波数帯域の電波を用いて無線通信が行われる。
【0046】
光通信部203は、光ファイバーLTを介した光通信を行うためのインターフェース(I/F)を含み、情報収集装置20とセンター装置30との通信を実現する。
【0047】
記憶部204は、例えばRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置等の各種記憶装置の1つまたは複数で構成されている。記憶部204は、処理部205が実行するプログラムを格納するとともに、プログラムを実行するための作業領域を提供する。
【0048】
また、記憶部204は、各種の情報およびデータ等も格納可能であり、情報取得装置10から収集した施設情報を記憶してもよい。
【0049】
処理部205は、第1無線通信部201と、第2無線通信部202と、光通信部203と、記憶部204とに接続され、情報収集装置20の全体動作を制御する。
【0050】
ここでは、処理部205による各種処理がソフトウェアによって実現される場合を例示する。この場合、処理部205は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。当該マイクロコンピュータが、記憶部204に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、各種機能を実現する。
【0051】
具体的には、図3に示されるように、処理部205は、上述のプログラムの実行によって、データ解析部211、データ生成部212、および通信制御部213を機能的に実現する。なお、処理部205によって実現される上記各機能部の一部または全部は、ハードウェアによって実現することも可能である。
【0052】
データ解析部211は、情報収集装置20に入力されたデータの解析を行う。具体的には、データ解析部211は、第1無線通信部201および第2無線通信部202から入力された受信データ、並びに光通信部203を介してセンター装置30から入力されたデータの解析を行う。
【0053】
データ生成部212は、情報収集装置20から外部に出力されるデータの生成を行う。具体的には、データ生成部212は、無線通信手段を用いて外部に無線送信されるパケット形式の送信データを生成する。データ生成部212で生成される送信データには、通信システム1に含まれる各情報取得装置10に対する、施設情報の送信要求が含まれる。また、データ生成部212は、光通信部203を介してセンター装置30に送信する、施設情報を含んだデータ(施設データ)を生成する。
【0054】
通信制御部213は、無線通信手段を用いた無線通信の動作制御を行う。具体的には、通信制御部213は、送信要求を含む送信データを第1無線通信部201と第2無線通信部202とにそれぞれ出力することによって、2つの無線通信手段を用いて送信要求を含む送信データを外部に送信する。すなわち、情報収集装置20からは、送信要求を含む送信データが、950MHzを中心周波数とする周波数帯域の電波(以下では「950MHzの電波」とも称する)と、430MHzを中心周波数とする周波数帯域の電波(以下では「430MHzの電波」とも称する)とを用いて送信されることになる。
【0055】
このように、情報収集装置20は、2つの伝送路を介して送信要求を含む送信データを情報取得装置10に対して送信する。なお、本実施形態における伝送路は、通信装置間の経路と無線通信に用いられる周波数とによって特定される概念である。すなわち、経路が同じであっても、無線通信に用いられる周波数が互いに異なれば、異なる伝送路となる。
【0056】
ここで、通信システム1の無線通信で用いられるパケットを例示する。図4には、情報収集装置20から各情報取得装置10に対する、施設情報の送信要求を行う場合に用いられる要求パケット60の一例が模式的に示されている。図5は、各情報取得装置10で生成される要求パケット60における伝送路情報64の記録態様を示す図である。また、図6には、情報取得装置10が上記送信要求に対して応答を行う場合に用いる応答パケット70の一例が模式的に示されている。
【0057】
図4に示される要求パケット60は、情報61,62,63,64を含んでいる。なお、図4の図示は、要求パケット60内における情報61,62,63,64の記述位置およびデータ長を限定するものではない。
【0058】
情報61は、送信先の情報取得装置10を指定するための情報であり、情報61には、例えば各情報取得装置10を区別するための識別情報が記述される。なお、ここでは要求パケット60は全ての情報取得装置10へ送信(ブロードキャスト送信)されるものとし、全ての情報取得装置10を送信先とする旨の情報が送信先装置情報61に記述される。
【0059】
情報62は、要求パケット60を識別するための情報であり、情報62では、要求パケット60のシーケンス番号が記述される。シーケンス番号62は例えば0(ゼロ)から始まり、データ生成部212で要求パケットを生成する度にインクリメントされる数字である。
【0060】
情報63は、情報取得装置10に要求する処理に関する情報である。例えば、要求する処理に対応した要求コマンドが情報63として与えられる。
【0061】
情報64は、通信システム1における要求パケット60の伝送路に関する情報(伝送路情報)である。当該伝送路情報は、要求パケット60を送信(情報取得装置10が中継局として行う再送信も含む)する際に、各情報取得装置10によって追記され、要求パケット60を送信した通信装置の区別と通信方式の区別とを1単位(伝送路単位)ごとに表されたものである。
【0062】
伝送路情報64についてさらに詳述する。伝送路情報としては、通信装置の区別が情報収集装置20および各情報取得装置10の符号”20”11”12”13”で表記され、通信方式の区別として、周波数950MHzの電波を用いた通信が”H”と表記され、周波数430MHzの電波を用いた通信が”L”と表記されるものとする。また、上記2つの区別項目は”:”で繋がれるとともに、伝送路単位を”/”で区切って表記することにする。
【0063】
このような表記規則に従えば、例えば情報取得装置11による周波数950MHzの電波を用いた通信を示す伝送路単位は”11:H”と表記され、情報取得装置12による周波数430MHzの電波を用いた通信を示す伝送路単位は”12:L”と表記されることになる。
【0064】
この場合、図5の例において、情報取得装置11では、要求パケット60が周波数950MHzの電波を用いた無線通信で受信されたとすると、情報取得装置11で記録される伝送路情報64Aは、”20:H/11”となる。その後、情報取得装置11から情報取得装置12へと周波数950MHzの電波を用いた無線通信で要求パケット60が中継されたとすると、情報取得装置12で記録される伝送路情報64Bは”20:H/11:H/12”となる。さらに、情報取得装置12から情報取得装置13へと周波数430MHzの電波を用いた無線通信で要求パケット60が中継されたとすると、情報取得装置13で記録される伝送路情報64Cは”20:H/11:H/12:L/13”となる。
【0065】
なお、本実施形態の通信システム1においては、要求パケット60の中継は、最大4回行われるものとし、最大4段までの伝送路単位が伝送路情報64として記録されるものとする。
【0066】
次に、応答パケット70について説明する。図6に例示される応答パケット70は、情報71,72,73,74,75を含んでいる。なお、図6は、応答パケット70内における情報71,72,73,74,75の記述位置およびデータ長を示すものではない。
【0067】
情報71には、上記情報61(図4参照)と同様に、送信先装置情報が記述される。但し、応答パケット70では次に受信するべき情報取得装置10が特定され、その通信装置20の識別情報(装置番号)が送信先装置情報71に記述される。
【0068】
後述のように応答パケット70は、対応する要求パケット60の伝送路(「往路伝送路」とも称する)を遡って情報収集装置20へ送信される。このとき、応答パケット70が辿る伝送路(「復路伝送路」とも称する)において次の送信先となる通信装置(情報取得装置10または情報収集装置20)が、情報72によって指定される。情報72は、例えば、下記の伝送路情報75に記述された伝送路単位を順路に応じて指し示すポインタである。
【0069】
情報73は、上記情報63(図4参照)と同様の要求コマンドに関する情報であり、要求パケット60の要求コマンド63と同じ情報が記述される。
【0070】
情報74は、応答内容に関する情報、すなわち施設情報である。
【0071】
情報75は、応答パケット70が辿る復路に関する情報である。当該情報75は、応答パケット70の送信起源となる情報取得装置10が、対応する要求パケット60の伝送路情報64に基づいて生成する。例えば要求パケット60の伝送路情報64を自局の装置情報を省いてコピーすることにより、または、例えば伝送路情報64に記述された上記伝送路単位を自局の装置情報を省いて逆順にコピーすることにより、伝送路情報75が生成される。なお、復路の伝送路情報75も、往路の伝送路情報64と同様の表記方法を用いることにする。
【0072】
ここで、例えば復路ポインタ72の値”0”を伝送路情報75中の先頭の伝送路単位に対応付け、復路ポインタ72の値”1”,”2”,・・・を伝送路情報75中の先頭から2番目、3番目、・・・の伝送路単位に順次対応付ける場合、復路ポインタ72の値をインクリメントすることによって、伝送路情報75中の伝送路単位を順番に辿ることができる。
【0073】
なお、伝送路情報75は、復路上の情報取得装置10によって情報が追記されるものではない。
【0074】
[情報取得装置の動作]
通信システム1において施設情報を収集するための通信には、情報収集装置20を発信源とする施設情報の送信要求を各情報取得装置10に伝送する往路通信と、各情報取得装置10で取得された施設情報を送信要求に対する応答として情報収集装置20に伝送する復路通信とがある。
【0075】
以下では、往路通信における情報取得装置10の動作と復路通信における情報取得装置10の動作とをこの順序で説明する。図7は、往路通信における情報取得装置10の動作、より具体的には要求パケット60を受信した場合の処理(往路通信処理)S2を示すフローチャートである。
【0076】
図7に示されるように、まず、ステップS20において、電波を受信すると、動作工程は、ステップS21に移行される。
【0077】
ステップS21では、データ解析部111によって受信データの解析が行われ、パケットの種類が判別される。具体的には、受信パケットが、要求パケット60か或いは応答パケット70かが判定される。受信パケットが要求パケット60であった場合は、動作工程は、ステップS22に移行され、受信パケットが応答パケット70であった場合は、動作工程は、ステップS52に移行される。なお、受信パケットが応答パケット70であった場合の動作は後述する。
【0078】
次のステップS22では、データ解析部111による解析結果に基づいて、当該要求パケット60が、情報取得装置10において最初に受信されたものである否かが判定される。そして、要求パケット60が最初に受信されたものではないと判定された場合、通信制御部113は、受信した要求パケット60の中継処理は不要であるとして当該要求パケット60を廃棄し、往路通信処理S2を終了する。一方、要求パケット60が最初に受信されたものであると判定された場合、動作工程は、ステップS23に移行される。
【0079】
判定ステップS22は、例えば要求パケット60に含まれるシーケンス番号62(図4参照)を利用することによって実行可能である。具体的には、通信制御部113は、要求パケット60が最初に受信されたものであった場合、当該要求パケットのシーケンス番号62を過去データとして記憶部104に記録しておく。そして、通信制御部113は、要求パケット60を新たに受信した場合は、記憶部104に記録されたシーケンス番号62の過去データと新たに受信した要求パケット60のシーケンス番号62とを照合することによって、新たな要求パケット60が最初に受信されたものであるか否かを判定する。
【0080】
このような判定ステップS22によれば、情報取得装置10は、シーケンス番号62が同じ要求パケット60、すなわち送信内容が同じ(ここでは要求内容が同じ)パケット60を複数回受信しても、2回目以降に受信した要求パケット60の中継処理を中止することになる。このため、同じ送信内容の要求パケット60が、通信システム1上を際限なく中継(転送)されるのを防止することができる。これにより、通信システム1の通信負荷の増大を防止することができる。
【0081】
次のステップS23では、通信方式特定部110によって受信通信方式の特定が行われる。具体的には、通信方式特定部110は、受信された要求パケット60が、第1無線通信部101および第2無線通信部102のうちどちらの通信部から入力されたかに基づいて、当該要求パケット60の伝送に用いられた通信方式を特定する。例えば、要求パケット60が第1無線通信部101を介して入力された場合は、当該要求パケット60の受信通信方式は、周波数950MHzの電波を用いた無線通信であると特定される。また、要求パケット60が第2無線通信部102を介して入力された場合は、当該要求パケット60の受信通信方式は、周波数430MHzの電波を用いた無線通信であると特定される。
【0082】
通信方式の特定工程(ステップS23)は、最初に受信されたものでない要求パケット60を中継対象から除外する判定ステップS22を経て実行される工程であることから、ステップS23で特定される通信方式は、情報取得装置10へ要求パケット60を最初に伝えた伝送路の通信方式となる。また、自局としての情報取得装置10に対して、要求パケット60を最初に伝送した伝送路の通信方式は、送信元と自局(情報取得装置10)との間の最適な通信方式(最適通信方式)であると言える。
【0083】
次のステップS24では、データ生成部112によって、情報取得装置10の装置番号と、要求パケット60の伝送に用いられた通信方式とが要求パケット60の伝送路情報64に追記される。
【0084】
ステップS24が終了すると、動作工程は、ステップS25およびステップS56へと移行される。ステップS56は、復路通信処理内の工程として後述する。
【0085】
ステップS25では、通信制御部113は、データ解析部111による解析結果に基づいて、受信した要求パケット60のこれまでの中継回数(中継段数)が、予め設定された最大中継回数に達しているか否かを判定する。そして、これまでの中継回数が最大中継回数に達していると判定された場合、通信制御部113は、受信した要求パケット60の中継処理を行うことなく要求パケット60を廃棄し、往路通信処理S2を終了する。一方、これまでの中継回数が最大中継回数に達していないと判定された場合、動作工程は、ステップS26に移行される。
【0086】
なお、最大中継回数に達しているか否かの判定は、要求パケット60に含まれる伝送路情報64に、最大段数分(ここでは4段分)の伝送路単位が記録されているか否かに基づいて行うことができる。
【0087】
当該ステップS25での判定処理によれば、同じ送信内容(ここでは要求内容)のパケット60が通信システム1上を過度に中継(転送)されることを防止することができる。これにより、通信システム1の通信負荷を低減することができる。
【0088】
そして、ステップS26では、通信制御部113によって、追記済み伝送路情報64を有する要求パケット60が送信される。要求パケット60の送信は、第1無線通信部101と第2無線通信部102とを用いて行われる。すなわち、要求パケット60は、950MHzの電波と、430MHzの電波とを用いて送信されることになる。
【0089】
このように、往路通信では、情報取得装置10は、これまで未受信の要求パケット60を受信した場合、要求パケット60の伝送路情報64に追記を行った上で、中継対象とすべき要求パケット60を2つの伝送路を用いて送信する。
【0090】
次に、復路通信における情報取得装置10の動作を説明する。図8は、復路通信における情報取得装置10の動作、より具体的には応答パケット70を送信する場合の処理(復路中継処理)S5を示すフローチャートである。
【0091】
図8に示されるように、まず、ステップS50において、電波を受信すると、動作工程は、ステップS51に移行される。
【0092】
ステップS51では、データ解析部111によって受信データの解析が行われ、パケットの種類が判別される。受信パケットが要求パケット60であった場合は、動作工程は、ステップS22(図7参照)に移行され、受信パケットが応答パケット70であった場合は、動作工程は、ステップS52に移行される。なお、受信パケットが要求パケット60であった場合の動作は、既述の通りであり、ここでは、受信パケットが応答パケット70であった場合の動作について説明する。
【0093】
ステップS52では、データ生成部112によって、復路ポインタ72が設定される。具体的には、データ生成部112は、復路ポインタ72をインクリメントする。
【0094】
ステップS53では、送信先装置情報71がセットされる。具体的には、データ生成部112は、ステップS52で設定された復路ポインタ72が指し示す伝送路単位に対応した通信装置(情報取得装置10または情報収集装置20)の装置番号を送信先装置情報71にセットする。
【0095】
次のステップS54では、データ解析部111によって、応答パケット70の送信に用いる最適通信方式(「送信通信方式」とも称する)が決定される。具体的には、上記ステップS52でインクリメントした復路ポインタ72によって指し示される伝送路単位に対応する通信方式を、応答パケット70の送信に用いる最適通信方式として決定する。
【0096】
ステップS55では、ステップS54で決定された最適通信方式を用いて、応答パケットが送信される。具体的には、最適通信方式が周波数950MHzの電波を用いた無線通信であった場合は、第1無線通信部101を用いた通信、換言すれば周波数950MHzの電波を用いた無線通信により応答パケット70が送信されることになる。また、最適通信方式が周波数430MHzの電波を用いた無線通信であった場合は、第2無線通信部102を用いた通信、換言すれば周波数430MHzの電波を用いた無線通信により応答パケット70が送信されることになる。
【0097】
また、応答パケット70の送信起源となる情報取得装置10では、ステップS24(図7)から移行された動作工程である、ステップS56が実行される。
【0098】
ステップS56では、データ生成部112によって、往路通信のための応答パケット70の生成が行われる。具体的には、データ生成部112は、要求パケット60中の要求コマンド63の内容に従って電力測定部103から消費電力量を取得し、取得した消費電力量を応答内容情報74に記録した応答パケット70を生成する。また、データ生成部112は、当該応答パケット70の伝送路情報75を、要求パケット60の伝送路情報64(図5参照)を上記のように逆順にコピーして初期設定するとともに、復路ポインタ72(図6参照)を”0”に初期設定する。ステップS56が実行されると、動作工程は、上記ステップS53に移行される。
【0099】
このように復路通信処理では、ステップS53において、往路の伝送路情報、より詳細には応答パケット70に対応する要求パケット(「対応要求パケット」とも称する)60の伝送路情報に基づいて決定される応答パケットの送信先は、情報取得装置10において受信した対応要求パケット60を送信した送信元の通信装置となる。
【0100】
また、ステップS54において、往路の伝送路情報、より詳細には対応要求パケット60の伝送路情報に基づいて決定される最適通信方式は、情報取得装置10において対応要求パケット60の受信に用いられた通信方式となる。
【0101】
すなわち、応答パケット70は、対応要求パケット60の受信に用いられた通信方式と同じ通信方式で、かつ当該対応要求パケット60を送信した通信装置を宛先として送信されることになる。
【0102】
ここで、応答パケット70の伝送例を説明する。図9は、応答パケット70の伝送例を説明するための図である。なお、図9は、図5に示される要求パケット60の伝送例に基づいて情報取得装置13から情報収集装置20へと応答パケット70が伝送される様子を示すものである。
【0103】
図5の伝送例によれば、情報取得装置13が受信した要求パケット60の伝送路情報64Cには”20:H/11:H/12:L/13”という情報が記録されている。このため、情報取得装置13のデータ生成部112は、自局(ここでは、情報取得装置13)の装置情報を省いたときの伝送路単位の並びを反転させた”12:L/11:H/20:H”という情報を応答パケット70の伝送路情報75に記録する(図9参照)。また、情報取得装置13は、復路ポインタ72を”0”に初期設定する。これにより、復路ポインタ72は先頭の伝送路単位”12:L”を指し示すことになる。なお、図9では、説明を分かりやすくするために、復路ポインタ72を矢印YJで模式的に図示している。
【0104】
復路ポインタ72が指し示す伝送路単位”12:L”に基づき、情報取得装置13は、送信先に情報取得装置12をセット(ステップS53)した上で、周波数430MHzの電波を用いた無線通信により応答パケット70を送信する(ステップS54,S55)。
【0105】
情報取得装置13からの応答パケット70を受信した情報取得装置12は、受信した応答パケット70の復路ポインタ72をインクリメントする(ステップS52)。そして、復路ポインタ72が指し示す伝送路単位”11:H”に基づき、情報取得装置12は、情報取得装置11へと、周波数430MHzの電波を用いた無線通信によって応答パケット70を送信する(ステップS53,S54,S55)。
【0106】
情報取得装置12からの応答パケット70を受信した情報取得装置11は、受信した応答パケット70の復路ポインタ72をインクリメントする(ステップS52)。そして、復路ポインタ72が指し示す伝送路単位”20:H”に基づき、情報取得装置11は、情報収集装置20へと、周波数950MHzの電波を用いた無線通信によって応答パケット70を送信する(ステップS53,S54,S55)。
【0107】
このように、復路通信では、受信した要求パケット60が情報取得装置10内で最初に受信したものである場合、当該情報取得装置10は、要求パケット60に対する応答パケット70を生成する。そして、応答パケット70を生成した情報取得装置10は、対応要求パケット60の受信に用いられた通信方式と同じ通信方式で、かつ当該対応要求パケット60を送信した通信装置を宛先として応答パケット70を送信する。
【0108】
また、応答パケット70を受信した情報取得装置10は、応答パケット70内の伝送路情報75に基づいて、受信した応答パケット70を中継(転送)する際の通信方式および宛先を決定し、決定された通信方式および宛先に従って、応答パケット70を中継する。
【0109】
[全体動作]
次に、施設情報を収集する際の通信システム1の全体動作について説明する。図10は、通信システム1の全体動作を説明するための図である。なお、ここでは、図10に示されるように、情報取得装置13によって取得された施設情報が、情報収集装置20に伝送される場合を例にして全体動作の説明を行う。
【0110】
上述のように、通信システム1を構成する各情報取得装置10は、マルチホップ通信機能を有しているため、情報収集装置20で生成された要求パケット60は、情報収集装置20から情報取得装置10へと直接的に、或いは他の情報取得装置を介して間接的に伝送されることになる。
【0111】
このため、例えば、情報収集装置20と各情報取得装置11,12,13とが、図10に示されるような位置関係を有して配置されていた場合、情報収集装置20からの要求パケット60は、経路CK1、経路CK2或いは他の経路(不図示)で情報取得装置13に伝送される可能性がある。
【0112】
また、通信システム1では、相対的に高い周波数(ここでは、950MHz)の電波と相対的に低い周波数(ここでは、430MHz)の電波とを用いて、要求パケット60が同時に送信されるので、上記各経路CK1,CK2にはそれぞれ、2つの伝送路が含まれる可能性がある。
【0113】
一般的に、相対的に高い周波数の電波を用いて無線通信を行うと、相対的に低い周波数の電波を用いて無線通信を行う場合に比べて、通信速度が向上する。一方、相対的に低い周波数の電波を用いて無線通信を行うと、相対的に高い周波数の電波を用いて無線通信を行う場合に比べて、通信可能距離が長くなるとともに、通信環境への耐性が向上する。
【0114】
このため、複数の情報取得装置10による中継により比較的短い距離で無線通信が行われる経路CK1では、相対的に高い周波数の電波によって要求パケット60が伝送される可能性が高くなる。一方、情報収集装置20と情報取得装置13との距離が比較的長い経路CK2では、相対的に低い周波数の電波によって要求パケット60が伝送される可能性が高くなる。
【0115】
このように、特性の異なる2つの電波を用いて、要求パケット60を同時に送信することによれば、通信経路の長さ、通信経路における障害物の有無等の通信条件に応じた最適な伝送路を確保して、要求パケット60を伝送することが可能になる。
【0116】
また、相対的に高い周波数の電波を用いて無線通信を行うよりも相対的に低い周波数の電波を用いて無線通信を行った方が、消費電力が低くなる。ここで、相対的に周波数の高い電波と相対的に周波数の低い電波とを用いて、要求パケット60を同時に送信すると、比較的長い距離の無線通信には、通信可能距離の長い相対的に低い周波数の電波が用いられる可能性が高くなる。このため、比較的長い距離の無線通信に相対的に低い周波数の電波が用いられた場合は、通信システム1の消費電力が抑制されることになる。
【0117】
さらに、通信システム1では、複数の異なる伝送路によって要求パケット60が情報取得装置10に伝送される可能性があるが、各情報取得装置10は、異なる伝送路によって情報取得装置10に受信された要求パケット60のうち、最初に受信された要求パケット(対応要求パケット)に対して応答処理を行う。
【0118】
ここで、図10における経路CK1は、相対的に高い周波数の電波を用いた伝送路DR1であり、経路CK2は、相対的に低い周波数の電波を用いた伝送路DR2であると仮定する。このとき、例えば、情報取得装置13は、上記伝送路DR1,DR2のうち、伝送路DR1によって要求パケット60を最初に受信した場合は、伝送路DR1によって受信した要求パケットに対して応答処理を行う。また、情報取得装置13は、伝送路DR1,DR2のうち、伝送路DR2によって要求パケット60を最初に受信した場合は、伝送路DR2によって受信した要求パケットに対して応答処理を行う。
【0119】
応答処理、すなわち復路通信処理では、情報取得装置10は、施設情報を含む応答パケット70を生成する。そして、通信システム1では、各情報取得装置10で生成された応答パケット70は、対応要求パケット60の伝送路を逆順に辿って情報収集装置20に伝送される。すなわち、応答パケット70の伝送路は、対応要求パケット60の伝送路とは逆の伝送路となる。
【0120】
例えば、伝送路DR1によって受信した要求パケットに対して生成された応答パケット70は、伝送路DR1を逆順に辿った伝送路で情報収集装置20に伝送されることになる。また、伝送路DR2によって受信した要求パケットに対して生成された応答パケット70は、伝送路DR2を逆順に辿った伝送路で情報収集装置20に伝送されることになる。
【0121】
ここで、対応要求パケット60は、情報取得装置10において最初に受信された要求パケット60であることから、対応要求パケット60の伝送路は、応答パケット70の送信起源となる情報取得装置10と情報収集装置20と間の最適な伝送路であると言える。
【0122】
このように通信システム1は、最適な伝送路によって応答パケット70を情報収集装置20へと送信するので、通信システム1における無線通信の信頼性を向上させることが可能になる。
【0123】
以上のように、通信システム1は、施設情報を有する情報取得装置10と、当該情報取得装置10から施設情報を収集する情報収集装置20とを備えて構成され、情報取得装置10および情報収集装置20のそれぞれは、無線通信を行う第1通信手段と、当該第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信を行う第2通信手段とを有している。そして、情報収集装置20は、情報取得装置10に対する施設情報の送信要求を、当該情報収集装置20の第1通信手段および第2通信手段を用いて行う。情報取得装置10は、情報取得装置10における第1通信手段および第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって情報収集装置20からの送信要求を先に受信したかを特定する通信方式特定部110と、当該通信方式特定部110によって特定された通信手段を用いて、送信要求に対する応答を行う通信制御部113とを有している。
【0124】
このような通信システム1によれば、装置間の通信条件に応じた、最適な伝送路で通信を行うことが可能になるので、通信システム1における無線通信の信頼性を向上させることが可能になる。
【0125】
<変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0126】
例えば、上記実施形態では、無線通信に用いられる2つの周波数として、950MHzの周波数と430MHzの周波数の組を例示していたが、これに限定されない。
【0127】
2つの周波数の組としては、例えば、2.4GHzの周波数と430MHzの周波数の組、950MHzの周波数と280MHzの周波数の組、430MHzの周波数と280MHzの周波数の組等を挙げることができる。
【0128】
また、上記実施形態では、互いに異なる2つの周波数帯域の電波を用いて無線通信を行っていたがこれに限定されず、互いに異なる3つ以上の周波数帯域の電波を用いて無線通信を行う態様としてもよい。このように、無線通信に用いる電波の数を増やすことによれば、装置間の伝送路を確保できる可能性をさらに高めることが可能になるため、通信の信頼性をさらに向上させることができる。
【0129】
また、上記実施形態では、情報取得装置10および情報収集装置20それぞれにおける第1無線通信部101,201と第2無線通信部102,202とが、互いに異なる周波数帯域の無線信号を使用して無線通信を行う場合について例示したが、これに限定されない。
【0130】
具体的には、情報取得装置10および情報収集装置20それぞれにおける第1無線通信部101,201と第2無線通信部102,202とが、互いに異なる変調方式を用いて無線通信を行う態様としてもよい。
【0131】
変調方式の種類としては、周波数変調(FSK)、OFDM等のデジタル変調方式、周波数ホッピング、直接拡散等のスペクトラム拡散方式等が挙げられ、通信システム1では、これらの各変調方式のうち、互いに異なる変調方式を用いて無線通信を行ってもよい。組合せの態様としては、例えば、第1無線通信部101,201において周波数変調を用い、第2無線通信部102,202においてOFDMを用いてもよい。また、例えば、第1無線通信部101,201においてOFDMを用い、第2無線通信部102,202において直接拡散を用いてもよい。
【0132】
これらの各変調方式は、通信環境に対して互いに異なる特性を有していることから、第1無線通信部101,201と第2無線通信部102,202とが、互いに異なる変調方式を用いて無線通信を行うことによれば、通信環境に応じた最適な伝送路で情報を伝送することが可能になる。
【0133】
また、上記実施形態では、情報取得装置10および情報収集装置20では、互いに異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われると表現したが、ここでいう異なる周波数帯域とは、原則として、2つの周波数帯域が全く重ならないことを表現したものである。なお、第1無線通信部101,201および第2無線通信部102,202それぞれにおいて、変調方式としてスペクトラム拡散方式を採用した場合は、2つの無線信号の周波数帯域の一部が重なったとしても、無線信号の中心周波数が異なれば各無線信号は区別して復号可能である。このため、第1無線通信部101,201および第2無線通信部102,202それぞれにおいて、スペクトラム拡散方式が採用された場合は、2つの無線信号の周波数帯域の一部が重なることは許容されることになる。すなわち、第1無線通信部101,201および第2無線通信部102,202それぞれにおいて、スペクトラム拡散方式が採用された場合は、上記異なる周波数帯域とは、周波数帯域が全く重ならないことおよび周波数帯域の一部が重なることを含んだ表現となる。
【0134】
また、上記実施形態では、情報取得装置10および情報収集装置20では、互いに異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信が行われると表現したが、互いに異なる周波数の搬送波を用いて無線通信が行われると表現してもよい。なお、変調方式としてOFDMを用いた場合、上記搬送波は、複数に分割された各サブキャリアを指すものではなく、全サブキャリアを含んだ周波数帯域における仮想的なキャリアを意味している。
【0135】
また、上記実施形態の通信システム1において、要求パケット60および/または応答パケット70に対して暗号化を施してから、伝送する態様としてもよい。これによれば、伝送データの秘匿性を高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0136】
1 通信システム
10,11,12,13 情報取得装置(第1通信装置)
20 情報収集装置(第2通信装置)
60 要求パケット
64 伝送路情報
70 応答パケット
101,102,201,202 無線通信部
103 電力測定部
110 通信方式特定部
111 データ解析部
112 データ生成部
113 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を有する第1通信装置と、
前記第1通信装置から前記所定情報を収集する第2通信装置と、
を備え、
前記第1通信装置および前記第2通信装置のそれぞれは、
無線通信を行う第1通信手段と、
前記第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の無線信号を用いて無線通信を行う第2通信手段と、
を有し、
前記第2通信装置は、
前記第1通信装置に対する前記所定情報の送信要求を、当該第2通信装置の前記第1通信手段および前記第2通信手段を用いて行い、
前記第1通信装置は、
当該第1通信装置における第1通信手段および第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって前記送信要求を先に受信したかを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された通信手段を用いて、前記送信要求に対する応答を行う通信制御手段と、
を有する通信システム。
【請求項2】
前記通信システムは、複数の前記第1通信装置を有し、
前記第1通信装置は、
前記送信要求を受信した場合、当該第1通信装置の前記第1通信手段および前記第2通信手段を用いて、当該送信要求を中継する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1通信装置は、
前記送信要求を含む送信データを中継する際に、前記特定手段によって特定された通信手段と当該第1通信装置による中継とを、前記送信データの伝送路情報として前記送信データに記録し、
前記通信システムは、
前記伝送路情報に基づいて決定される伝送路で、前記送信要求に対する応答データを前記第2通信装置に伝送する請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1通信装置は、
前記応答データを生成する際に、当該応答データの伝送路情報を、前記送信データの伝送路情報に基づいて当該応答データに記録し、
前記通信システムは、
前記応答データの伝送路情報に従って、前記送信データの伝送路とは逆の伝送路で前記応答データを前記第2通信装置に伝送する請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1通信装置および前記第2通信装置のそれぞれに設けられた前記第1通信手段および前記第2通信手段は、互いに異なる変調方式を用いて無線通信を行う請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
無線通信を行う第1通信手段と、
前記第1通信手段による無線通信とは異なる周波数帯域の電波を使用して無線通信を行う第2通信手段と、
前記第1通信手段および前記第2通信手段のうち、どちらの通信手段によって他の通信装置から所定情報の送信要求を先に受信したかを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された通信手段を用いて、前記送信要求に対する応答を行う通信制御手段と、
を備える通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−233995(P2011−233995A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100577(P2010−100577)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】