説明

通信システムおよび通信装置

【課題】親機検出から子機が同期を確立するまでの処理時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】本通信装置は、高速同期機能を有した親機として動作する通信装置としたものであり、アンテナANTを介して他の通信装置との間で、複数のスロットから成るフレームを単位としてTDMA方式の通信を行う無線部110と高速同期機能を利用するかを判定し、送信データを格納するMPUから構成される制御部120と同期するために必要な情報を送信するための処理をする同じくMPUから構成される同期制御部130を備えたものであり、同期確立に必要な情報を1回の制御信号によりまとめて送信、若しくは従来より少ない回数の制御信号により送信することが出来、これによって高速で同期確立できる効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに応用可能な通信システムおよび通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周波数資源の有効活用を目的として、デジタルコードレス電話の周波数帯の一部が、無線ドアホンや無線センサ等の音声通信機器あるいはデータ通信機器の無線通信に使用可能となった。本周波数帯は、世界各国でデジタルコードレス電話の通信方式として広く普及しているDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)規格の無線通信方式をベースとした無線通信が認可され、本周波数帯を使用する無線通信装置では、DECT方式のデジタルコードレス電話用として市販されている安価な無線通信用のデバイスの使用が可能となった。また、周波数資源の有効活用とユーザーの利便性の観点からデジタルコードレス電話、無線ドアホン、無線センサ等の複合商品の開発が要望されている。
【0003】
DECT方式は、10ms周期の1フレームに24スロット(アップリンク用に12スロット、ダウンリンク用に12スロット)を含んで構成されるTDMA(時分割多元接続:Time Division Multiple Access)/TDD(時分割複信:Time Division Duplex)方式を採用している。通常、1スロットを制御チャネルとして割り当て、11スロットペアを通話チャネルとして割り当てている。DECT方式の制御チャネルで送信される制御信号は、ビット同期とスロットタイミングの同期を取るための同期信号と親機を識別するための親機ID、通信スロットの指定等に使用するためのスロット同期を取るためのスロット番号、秘匿制御等に用いられるフレーム番号の同期をとるためのフレーム番号、着信通知等を含んだ制御情報と受信されたデータの誤りの有無を判定するための誤り検出符号で構成される。
【0004】
DECT方式の制御チャネルで送信される制御情報は、親機識別情報である親機IDを通知するNTメッセージ、フレーム番号、親機機能、通信周波数、待ち受け周波数等のシステム情報を通知するとともにマルチフレーム制御の基準フレームとして使用されるQTメッセージ、呼出し情報、発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等のページング関連の情報や、通信可能な空きスロットを通知するPTメッセージ、通信チャネルの起動、ハンドオーバー等のMACレイヤで行われる無線制御関連の情報を通知するMTメッセージの4種類に分類される。そして、DECT方式のコードレス電話では、16フレームを1周期とする単位でNTメッセージ、QTメッセージ、PTメッセージ、MTメッセージの送信フレームを予め決めて送信を行なうマルチフレーム制御を行なうことにより、従属局として動作するコードレス電話の子機における間欠受信制御を実現している。
【0005】
これら、TDMA方式の無線通信装置は、電池駆動の移動体通信やコードレス電話に利用されることから、低消費電力化のための技術が数多く開示されている。例えば、特許文献1では、スパーフレーム構成による制御チャネル制御を利用した間欠受信と間欠受信周期の可変制御によるバッテリーセイビング方式が開示されている。
【0006】
一方、火災報知機や窓の開閉監視装置等に用いられるセンサ装置は、設置の容易さから、電池で動作し、無線通信機能を持ったものが開発されており、低消費電力化のための技術が数多く開示されている。例えば、特許文献2では、センサ装置から無線通信必要と判断されたときのみ無線部に電源を供給し、通信を行なうことにより消費電力を抑える、また、送信間隔や回数を制御することにより無線通信の信頼性を向上する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−102900号公報
【特許文献2】特開2005−84803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TDMA方式を用いた無線通信を応用してセンサ装置を構築した場合、待機状態、すなわち、センサ装置からの無線通信が不要な状態で間欠受信制御によるバッテリーセイビングを行なった場合、待機状態で無線部の電源を停止する既存の無線センサに比べ、消費電力が大きくなるという課題を有していた。
【0009】
また、既存の無線センサでは、異常検知等でセンサが起動し、親機に情報を報知する前処理として、親機と同期を確立しなければならないが、その同期捕捉処理に時間がかかり、結果として報知時間が遅くなるという課題を有していた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、TDMA方式を用いた無線センサに応用可能で、消費電力の小さく無線干渉による妨害に強い同期捕捉により、親機の検出から同期が完了するまでの通信時間を短縮可能な通信システムおよび通信装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線通信装置は、時分割多重通信を行なう子機として動作する第1の通信装置と、親機として動作する第2の通信装置と、を有する通信システムであって、第1の通信装置は、他の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部と、前記第1の通信部により受信された第2の通信装置からの制御信号を検出することによって第2の通信装置に同期を確立する処理を行う同期捕捉部とを備え、第2の通信装置は、第1の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部と、前記第2の通信部を使って第1の通信装置に対して制御信号を送信することにより第1の通信装置を自らに同期させる同期制御部を備え、前記同期制御部は、前記制御信号の1つのフィールドを複数のサブフィールドに区切り、同期に必要な同期捕捉情報を複数に分割して前記複数のサブフィールドに個別に収めて送信し、第1の通信装置の前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の前記複数のサブフィールドから同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立することを特徴とする通信システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同期確立に必要な情報を1回の制御信号によりまとめて送信、若しくは従来より少ない回数の制御信号により送信することが出来、これによって高速で同期確立できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における通信システムの構成例を示す図
【図2】本発明の実施形態における親機の構成例を示す図
【図3】本発明の実施形態における子機の構成例を示す図
【図4】本発明の実施形態における子機(第2の子機)の構成例を示す図
【図5】本発明の実施形態における子機(第2の子機)が親機と同期捕捉を行うときの通信イメージ図
【図6】本発明の実施形態における親機と子機との通信で用いるフレームの構成例を示す図
【図7】本発明の実施形態における親機と子機との通信で用いるスロット構成例を示す図
【図8】本発明の実施形態における親機と子機との通信で用いるデータ配置の構成例を示す図
【図9】本発明の実施形態における親機が送信する同期捕捉情報の送信データバッファへの配置例を示す図
【図10】本発明の実施形態における親機が送信する同期捕捉情報の送信データバッファへ配置を送信ごとに変えた場合の配置例を示す図
【図11】本発明の実施形態における送受信データの切り替えを示す図
【図12】本発明の実施形態における子機の同期捕捉時の動作概要例を示すフローチャート
【図13】本発明の実施形態における子機が親機と同期捕捉を行うときの通信イメージ図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の第1の発明は、時分割多重通信を行なう子機として動作する第1の通信装置と、親機として動作する第2の通信装置と、を有する通信システムであって、第1の通信装置は、他の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部と、前記第1の通信部により受信された第2の通信装置からの制御信号を検出することによって第2の通信装置に同期を確立する処理を行う同期捕捉部とを備え、第2の通信装置は、第1の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部と、前記第2の通信部を使って第1の通信装置に対して制御信号を送信することにより第1の通信装置を自らに同期させる同期制御部を備え、前記同期制御部は、前記制御信号の1つのフィールドを複数のサブフィールドに区切り、同期に必要な同期捕捉情報を複数に分割して前記複数のサブフィールドに個別に収めて送信し、第1の通信装置の前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の前記複数のサブフィールドから同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立することを特徴とする通信システムである。
【0015】
この構成により、1つの通信に利用するデータフィールドを複数の領域に分割して、同期に必要な情報を機能ごとに分けた形でまとめて送信することができる。したがって、制御情報を送信するスロットで無線エラーが発生しない限り、子機は1回のみの受信で同期処理を完了することができることから、同期処理時間を高速化でき、消費電力を削減することができる。また、同期捕捉情報は機能ごとに分かれ、サブフィールドは同じサイズに分割しているため、親機によるデータの格納と、子機によるデータの取り出しを容易に行うことができる。
【0016】
本願の第2の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、前記制御信号の第2のフィールドを複数のサブフィールドに区切り、同期に必要な同期捕捉情報を複数に分割して一部を第1フィールドに収め、他を第2のフィールド中の前記複数のサブフィールドに個別に収めて送信し、第1の通信装置の前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の第1フィールドおよび第2のフィールド中の前記複数のサブフィールドから同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立することを特徴とする通信システムである。
【0017】
この構成により、サブフィールド領域を別の通信用途で使用する状況が発生しても、高速同期は不可能ながらも同期確立を行うことができる。また、途中から高速同期機能としてサブフィールを利用することになったとしても、同期に必要な情報のうち、残りの足りない情報をサブフィールドから受信することができ、両者を併用した同期捕捉により、同期確立が可能である。
【0018】
本願の第3の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、サブフィールド単位で誤り検出情報を付与し、第1の通信装置の前記同期捕捉部は、サブフィールド単位で誤り検出を行うことを特徴とする通信システムである。
【0019】
この構成により、それぞれのサブフィールドには、誤り検出情報が付与されているため、制御情報を送信した後、スロットのサブフィールドの一部で無線エラーが発生しても、エラーのないサブフィールドの情報は取得可能であることから、より効率的に同期に必要な情報の収集が可能となる。
【0020】
本願の第4の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報の一部を、他のサブフィールドのうち少なくとも一つのサブフィールドに、重複して収めることを特徴とする通信システムである。
【0021】
この構成により、同期に必要な情報は、2つ以上の異なるサブフィールドに分割されて格納されているため、一方が無線エラーなどにより取得できなくとも、もう一方にて受信可能であれば、同期に必要な情報の一部として受信することからより効率的に同期に必要な情報の収集が可能となる。
【0022】
本願の第5の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報を、送信周期毎に、異なるサブフィールドにずらして収めることを特徴とする通信システムである。
【0023】
この構成により、送信する情報の種別に違いはないが、親機の制御情報の送信周期ごとにサブフィール内のデータ配置が、前回送信した領域以外の領域で送信することになるため、制御信号を受信するスロットの同じところで受信エラーが継続しても、次回の送信周期では受信タイミングが異なることから、受信できる可能性は高まる。したがって、同期確立の時間を短縮し、消費電力を低減でき、通信の信頼性を向上することができる。
【0024】
本願の第6の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報を、送信周期毎に、異なる隣接したサブフィールドに順次ずらして収めることを特徴とする通信システムである。
【0025】
この構成により、ずらす順番を予め固定で決めているため、プログラムを簡素化して無線エラーに対する耐性を強化することができる。また、プログラムの簡素化は、演算速度の高速化という観点からも有効な手法である。特に、同一周期で動作する同じTDMA方式の無線機器が周辺で動作している場合、それぞれの機器は非同期で動作するため、機器の通信タイミングが時間と共に変化する。各々の送信タイミングは、徐々に接近し、何れ、一方のスロットの開始部分と他方のスロットの終了部分が重なり、重なり部分での受信エラーが発生することになる。スロットの開始部分は、ビット同期のパターンで構成される同期信号であるため、この部分に干渉が発生し、受信エラーが発生しても、スロット内で受信された他のデータが破棄されることはない。一方、スロットの終了部分は、誤り検出符号であり、この部分で受信エラーが発生した場合、受信エラーとなった誤り検出符号に対応する受信データ領域の受信データを破棄することになる。この現象によって、制御局である親機が送信する制御信号の終了部分の誤り検出符号に無線干渉が発生している状態になった場合、制御局と従属局である子機間の通信ができなくなるという重大な課題を引き起こすことになる。本発明では、このような場合であっても、スロット内を複数に分割して通信を開始するために必要な情報を送信しており、スロットの終了部分に連続的に受信エラーが発生しても、複数に分割された領域の最後の領域で送信された情報のみが破棄されるのみで、複数に分割された領域の最後の領域の受信ができない状態が継続していても、他の領域が受信できれば、制御局と従属局間の通信が可能であり、通信不良によるリトライによる消費電力の増加を低減すると共に通信の信頼性を向上させることができる。
【0026】
本願の第7の発明は、第2の通信装置の前記同期制御部は、前記複数のサブフィールドのうちの少なくとも一つのサブフィールドに、空きスロット情報を収めることを特徴とする通信システムである。
【0027】
この構成により、親機は同期捕捉完了後も空きスロット情報を制御情報として送信し続けることで、親機に従属する子機は、常に最新の空きスロット情報を取得することができる。これは、子機において特に有用である。例えば、制御局が子機と通信を行っている状況で、その通信が切断された場合、他の子機は通信切断後の次の親機からの制御情報にて今まで使用していた空きスロットが利用可能になったことが分かる。したがって、従属局としては通信チャネルの選択幅が広がり、よりよい通信環境での無線チャネルを獲得することが可能となる。
【0028】
本願の第8の発明は、第1の通信装置は、予め決められた状態を検知するセンサを備え、第1の通信装置は、予め決められた状態を検知した際に前記第1の通信部を起動することを特徴とする通信システムである。
【0029】
この構成により、センサで予め決められた状態が検知されたときに通信部を起動するため、通信が不要な待機時において第1の通信装置の消費電力を低減させることができる。
【0030】
本願の第9の発明は、親機として動作する通信装置に同期してTDMAにより通信する通信システムにおいて子機として動作する通信装置であって、TDMAにより信号を通信する通信部と、前記通信部により受信された親機からの制御信号を検出することによって親機との同期を確立する処理を行う同期捕捉部とを備え、前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の複数のサブフィールドに分割して収められた同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立することを特徴とする通信装置である。
【0031】
この構成により、1つの通信に利用するデータフィールドを複数の領域に分割して、同期に必要な情報を機能ごとに分けた形で全てをまとめて受信することができるため、制御情報を受信するスロットで無線エラーが発生しない限り、1回のみの受信で同期処理を完了することができることから、同期処理時間を高速化でき、消費電力を削減することができる。また、同期捕捉情報は機能ごとに分かれ、サブフィールドは同じサイズに分割しているため、子機によるデータの取り出しを容易に行うことができる。
【0032】
本願の第10の発明は、前記同期捕捉部は、サブフィールド単位で誤り検出を行うことを特徴とする通信システムである。
【0033】
この構成により、同期捕捉に必要なデータを分割したそれぞれのデータに対して誤り検出ビットを付与しているため、受信したサブフィールドの一部で誤り検出により、データが破棄されたとしても、誤りが検出されなかったデータからは同期情報を収集可能であり、より効率的に同期に必要な情報の収集が可能となる。
【0034】
本願の第11の発明は、予め決められた状態を検知するセンサを備え、予め決められた状態を検知した際に前記通信部を起動することを特徴とする通信装置である。
【0035】
この構成により、センサで予め決められた状態が検知されたときに通信部を起動するため、通信が不要な待機時の消費電力を低減させることができる。
【0036】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0037】
本実施形態の通信システムとしては、コードレス電話システム、各種センサを用いたセンサシステム、これらを連携させたシステムなどがある。センサシステムとしては、例えば窓センサなどのドア開閉検知システムが考えられる。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態における通信システムの構成例を示す図である。
【0039】
図1に示す通信システム1は、親機として動作する通信装置10(以降、単に「親機10」と称する)と、子機として動作し、センサ60を有する通信装置20(以降、単に「子機20」と称する)と、が無線回線30を介して接続されている。子機20は、例えば窓(の扉)の開閉を検出するセンサを備えたもので、窓枠の近傍に取り付けられる。子機20は、内蔵した1次電池により駆動し、窓が開いたことを検知すると、電話の親機としての機能も有する親機10に通知する。通知を受けた親機10は、例えば、内蔵されたスピーカやLCD、他の子機のスピーカやLCDを使用して、家人に窓が開いたことを報知したり、電話機能を利用して、家人の携帯電話に報知する。また、通信システム1の近傍には、通信システム1以外の通信システムの親機や子機が存在することもある。また、子機20は複数であってもよい。また、図1に示すように、通信システム1は、子機20(第1の子機)の他に、高速同期機能を持たず通常の電話機能を備えた子機20X(第2の子機)を有して構成されてもよい。図1の例は、高速同期機能をもった親機10に同じく高速同期機能をもった子機20と、高速同期機能をもたない通常の電話機能を備えた子機20Xが登録された状態である。
【0040】
図2は、従属する子機が高速同期するための機能を備えた親機10の構成例を示す図である。
【0041】
親機10は、図2に示すように、無線部110、制御部120、および同期制御部130を有する。
【0042】
無線部110は、アンテナANTを介して他の通信装置との間で、複数のスロットから成るフレームを単位としてTDMA方式の通信を行い、送信部111および受信部112を備える。送信部111は、無線回線30へフレームの半分のスロットを使って信号を送信する。受信部112は、無線回線30から1フレームの残りの半分のスロットを使って信号を受信する。
【0043】
制御部120は、MPU(Micro Processing Unit)により構成され、各種制御を行う。例えば、無線部110を介して子機20との登録処理を行う。このとき、子機とやり取りするデータとして、送信するデータは、送信データバッファ121に格納され、受信したデータは受信データバッファ122に格納される。登録処理では、登録されている子機のIDをメモリに保持しておき、無線部110により受信された信号の誤り検出を行い、受信された信号が正当な信号であるか否かを判定する。誤り検出符号としては、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を用いる。また、無線部110により受信された信号に含まれる子機IDとその子機が高速同期に対応しているかという情報を抽出する。正常に登録できた場合は、抽出した高速同期対応有無を高速同期モードレジスタ123に格納する。また、符号130は外部電話回線との接続機能、および音声信号の送受話を司る回線制御部である。
【0044】
同期制御部130は、MPUにより構成され、登録されている子機20、子機20Xが同期するために必要な情報を送信するための処理を行う。また、同期制御部130は、システム情報レジスタ1、システム情報レジスタ2、空きスロットレジスタ、キャリアレジスタ、シフトレジスタ135、136、137、同期制御バッファ138、139、13A、13Bから構成される。
【0045】
システム情報1レジスタ131は、子機が親機とタイミングを取るためのマルチフレーム番号、フレームカウンタなどの情報が格納される。システム情報2レジスタ132は、使用しているスロット番号、キャリア番号などが格納される。空きスロットレジスタ133は、各スロットの利用可能なスロットが格納される。キャリアレジスタ134は、利用可能な周波数が格納される。
【0046】
シフトレジスタ135は、システム情報2レジスタ132、空きスロットレジスタ133、キャリアレジスタ134に格納されるデータを入力し、所定のタイミングでビットをシフトさせ情報を保持する。シフトレジスタ136は、システム情報2レジスタ132に格納されるデータを入力し、所定のタイミングでビットをシフトさせ情報を保持する。シフトレジスタ137は、キャリアレジスタ134に格納されるデータを入力し、所定のタイミングでビットをシフトさせ情報を保持する。
【0047】
同期制御バッファ138は、システム情報1とシフトレジスタ135によって出力されたシステム情報2が格納される。同期制御バッファ139は、システム情報1とシフトレジスタ135によって出力された空きスロット情報が格納される。同期制御バッファ13Aは、システム情報1とシフトレジスタ135によって出力されたキャリア情報が格納される。同期制御バッファ13Bは、シフトレジスタ136によって出力されたシステム情報2と、シフトレジスタ137によって出力された空きスロット情報と、シフトレジスタ135によって出力されたキャリア情報が格納される。
【0048】
制御部120の高速同期モードレジスタ123が有効である場合、同期制御バッファ138、139、13A、13Bに格納されたデータは制御部120にて結合される。このデータは、送信データバッファ121に格納され、無線部110を介して子機へ送信される。
【0049】
また、制御部120および同期制御部130は、内部のMPUが、ROM等に格納された通信プログラムを実行することにより、本実施形態で説明する各機能を実現する。
【0050】
図3は、高速同期するための機能を備えた子機20の構成例を示す図である。
【0051】
子機20は、図3に示すように、無線部210、同期制御部220および窓やドア開閉などを検知するセンサ250を有する。
【0052】
無線部210は、親機10の無線部110と同様に、アンテナANTを介して他の通信装置との間で、複数のスロットから成るフレームを単位としてTDMA方式の通信を行い、送信部211および受信部212を備える。送信部211は、無線回線30へフレームの半分のスロットを使って信号を送信する。受信部212は、無線回線30から1フレームの残りの半分のスロットを使って信号を受信する。
【0053】
同期制御部220は、MPUにより構成され、各種制御を行う。例えば、受信データバッファ222に格納されたデータから同期捕捉処理を行う。同期捕捉処理では、登録されている親機のIDをメモリに保持しておき、無線部210により受信された信号の誤り検出を行い、受信された信号が正当な信号であるか否かを判定する。誤り検出符号としては、例えばCRC符号を用いる。また、無線部210により受信された信号に含まれる親機IDを抽出し、抽出された親機IDが正規の親機ID(登録処理時に親機から送られたID)と一致するか否かを判定する。この親機IDの一致判定は、同期捕捉処理における親機検知機能で、検出された親機が正規の親機であるか否かを認識するための認識処理の1つである。親機検知が完了すると、子機は同期捕捉処理へと移行し、受信データバッファ222から同期に必要な情報を抽出していく。抽出されたデータは順次、フレーム番号レジスタ224、システム情報レジスタ225、空きスロットレジスタ226、キャリアレジスタ227、親機IDレジスタ228に格納され、すべての情報の取得が完了すると親機との同期処理を完了することができる。同期情報の取得方法は、高速同期モードレジスタ223を有効にするかどうかで変更される。
【0054】
センサ250は、機械的性質、電磁気的性質、熱的性質、音響的性質、化学的性質などを応用して、各種情報を電気信号に置換する。検知部240は、センサ250により各種情報を検知する。センサ250および検知部240は、所定の情報を検知するセンサ部としての機能を有する。また、センサ250が検知する情報としては、ドアの開閉状態の情報などがある。
【0055】
電源制御部230は、電源制御ICなどで構成され、無線部210、および同期制御部220の電源を制御する。具体的には、電源制御部230は、検知部240によりセンサ250が所定情報を検知したときに、無線部210、および同期制御部220の電源をオンとするよう制御し、親機10との間で通信が完了したときに、無線部210、および同期制御部220の電源をオフとするよう制御する。
【0056】
また、図3に示すように、電源制御部230は、各部の電源をオンとするよう制御するときには、電源制御信号(PWRON)を各部へ送信する。また、各部の電源をオフとするよう制御するときには、電源制御信号(PWROFF)を各部へ送信する(不図示)。
【0057】
図4は、高速同期の機能を有さず通常の電話機能のみを備えた子機20Xの構成例を示す図である。子機20Xは、図4に示すように、無線部210、同期制御部220Xを有して構成される。無線部210の構成は子機20と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
同期制御部220Xは、MPUにより構成され、各種制御を行う。同期制御部220と異なり、高速同期モードレジスタを用いずに、従来の手法のみ用いて親機の同期検出処理を行う。また、符号270は音声通話機能を司る通話部である。
【0059】
次に、子機の同期捕捉について説明する。
【0060】
図5は、通常の電話機能のみを備えた子機(子機20X)が親機10と同期捕捉を行うときのイメージ図である。
【0061】
図5に示すように、子機20Xが親機10と同期を確立するに当たって、子機20Xは、電源がオンされると、初期化処理P1、連続受信による親機検出処理P2、親機からの同期情報を収集する同期捕捉処理P3を行う。P3にて、同期に必要となる全ての情報の収集が完了すると、同期確立が完了し、同期確立処理P4へと移行する。
【0062】
初期化処理P1では、子機20Xは、同期制御部220のROMの内容をリードして必要な情報を読み込んだり、RAMの初期化をしたりする。
【0063】
親機検出処理P2では、親機が通信回線上に送信する制御データが伝送される周波数を検索(サーチ)する。この周波数は複数存在するので、子機は、例えば周波数が低い順に、その周波数に親機の制御データが存在しないか検出する。
【0064】
親機10との送受信をする同期捕捉P3では、子機20Xは登録をした正規の親機であることを認識した場合に、その親機10との間でTDMAにより信号の送受信を行う。
【0065】
図6にTDMAにより親機と子機との間で信号の送受信を行う例を示す。1つのフレームは24個のスロット(SL0〜SL23)から構成されており、このフレームの時間区間は例えば10msである。また、無線回線30上でスロット毎に信号が伝送される周波数(周波数チャネル:F0〜F4)は、例えば5個存在する。また、同一フレームに、双方向の通信を多重化する。例えば1つのフレームのSL0〜SL11が親機10から子機への通信のために使用され、SL12〜SL23が親機10から子機への通信のために使用される。したがって、本実施形態ではTDMA/TDD方式を想定している。
【0066】
同期捕捉処理P3では、子機20Xは、親機の識別IDの検出が完了すると、10ms周期のフレーム同期状態となる。子機20Xは親機を検出した後、親機から送信される先に述べたQTメッセージにて送信されるフレーム番号、親機機能、通信周波数、システム情報に加え、PTメッセージにて送信される空きスロット情報の受信をもって同期を完了することができる。これらの同期捕捉処理に必要な情報の送信・受信は、図7に示す制御情報が格納されるAフィールドを使用して行われる。Aフィールドで送信される制御情報の送信は、16フレームを1周期とする単位でNTメッセージ、QTメッセージ、PTメッセージ、MTメッセージの送信フレームを予め決めて送信を行なうマルチフレーム制御にて実現している。そのため、1回の送受信で、同期捕捉処理に必要な全て情報の送受信を行うことはできず、複数回のメッセージの送受信にて同期を確立することになるため、同期捕捉処理にある程度の時間を要してしまう。例えば、QTメッセージは、16フレームに1回しか送信できず、そのとき送る情報も、限られるため、システムに応じた設計や優先順番などを設定決めた上で周期的に送信されることになる。図5の例では、QTメッセージの送信を同期に必要な情報に合わせてフレーム番号情報、親機機能情報、通信周波数情報、システム情報の順番で送信しており、同期捕捉処理に580msの時間を有していることになる。これは最速になるように配置した例であるが、QTでは同期に直接必要ではないが、システム構成上必要な情報を送ることが可能であるため、QTの送り方や、無線エラーの発生によってはこの時間がさらに大きく遅れてしまうことになる。特に、無線ネットワークの干渉などによる無線エラーが発生する環境下においては、これらの情報収集が困難となるため、同期捕捉時間が長くなってしまい、親機及び子機間での消費する電力も大きくなることから、電池寿命は短くなってしまう。この問題は、例えば充電台に設置可能な子機と異なり、一次電池で駆動するセンサシステムにおいては顕著である。なお、同期が完了しないことには、両者は通信をすることはできない。これは、一次電池で駆動するセンサを備える通信装置においては検知を伝えるのが遅れてしまうと同時に、電池寿命を大きく低下させてしまうことを意味する。
【0067】
次に、親機10と子機(子機20または子機20X)との通信で用いるTDMA方式のフレームの構成について説明する。図6および図7は、親機と子機との通信で用いるフレーム構成およびデータ構造の例を示す図である。
【0068】
親機10と子機20との通信で用いるTDMA方式に関しては、図6に示す、親機と子機(子機20X)と同様のため、説明を割愛する。
【0069】
また、図6では図示が省略されているが、図7に示すように、各スロット間にはガードスペースGが挿入されている。ガードスペースGは、各スロット間の衝突を回避するための保護時間であり、同期制御の正確性に応じて、その長さが決定される。また、図7に示すように、1つのスロットのデータ構造は、同期フィールドSync.Field(以下SyncF)とデータフィールドであるD−Field(以下DF)で構成される。
【0070】
同期フィールドSyncFは、プリアンブルパターン(Preamble)およびUW(Unique word)パターン(UW)を含む。プリアンブルパターンは、例えば16ビットで構成され、親機10も子機も同一のパターンである。UWパターンは、親機10と子機とで異なるパターンであり、例えば、親機10のUWパターンは“0xE98A”、子機のUWパターンは“0x1675”である。なお、同期制御部220による親機検出処理では、UWパターンを少なくとも用いて親機10が検出される。
【0071】
データフィールドDFは、制御情報が格納されるAフィールドと、ユーザデータが格納されるBフィールドと、で構成される。制御情報には、例えば、子機が使用すべきスロット番号や周波数の情報、子機の種別の情報が含まれる。また、制御情報には、誤り検出を行うための情報(例えばCRC情報)も含まれている。CRC情報は例えば16ビットで構成される。ユーザデータには、通話部270による通話音声などのデータ本体が含まれる。図7では、BフィールドをB0、B1、B2、B3の4つのサブフィールドに分けた構成例を示しており、64bitのデータ領域16bitの誤り検出領域に分けられている。
【0072】
また、図5で説明した親機検出処理や同期確立後の処理では、子機(通常の音声通話機能を備えた子機20Xなど)は、親機10が制御データとして送信する同期フィールドとAフィールドとで構成されるデータを間欠的(図5では10msごと)に受信する。また、通話が開始された場合などの送受信処理では、ユーザデータとして、同期フィールドとデータフィールドとで構成されるデータが無線回線30上を伝送される。
【0073】
また、図6および図7で示したスロット数、ビット数等は一例であり、これに限られない。
【0074】
次に、通信システム1の動作について説明する。
【0075】
制御部120備えた親機10において、高速同期モードレジスタ123が有効になっている場合、同期制御部130が機能する。同期に必要となる情報は元のデータが格納されたシステム情報1レジスタ131、システム情報2レジスタ132、空きスロットレジスタ133、キャリアレジスタ134は、3つのシフトレジスタ135〜137を通して同期制御バッファ138〜13Bに格納される。このときの同期制御バッファのデータの配置例を図8に示す。
【0076】
図8において、上位8bitはヘッダ情報で、格納されているデータの種別を判断するのに用いられる。システム情報1レジスタ131は、子機が親機とタイミングを取るためのマルチフレーム番号、フレームカウンタなどの情報が格納される。システム情報2レジスタ132は、使用しているスロット番号、キャリア番号などが格納される。空きスロットレジスタ133は、各スロットの利用可能なスロットが格納される。キャリアレジスタ134は、利用可能な周波数が格納される。同期制御バッファ138には、40bitのシステム情報1と16bitのシステム情報2が、同期制御バッファ139には40bitのシステム情報1と16bitの空きスロット情報が、同期制御バッファ13Aには40bitのシステム情報1と16bitのキャリア情報が、同期制御バッファ13Bには16bitのシステム情報2と16bitの空きスロット情報と16bitのキャリア情報が、格納される。親機識別情報は、図7に示すAフィールドに格納される。なお、親機識別情報もBフィールドに格納してもよい。
【0077】
同期制御バッファへ格納されたデータは、制御部120により、送信データバッファに格納される。この時のデータ格納例を図9に示す。
【0078】
図9に示すように、それぞれの同期制御バッファに格納されたデータは、BフィールのサブフィールドであるB0〜B4に格納され、誤り検出として16bitのCRCをサブフィールド毎付与して、無線部110を介して子機へ送信される。サブフィールドB0には、サブフィールドB0に収める64bitの情報に基づき算出した16bitのCRCを付与し、サブフィールドB1には、サブフィールドB1に収める情報に基づき64bit算出した16bitCRCを付与する。サブフィールドB2、B3も同様にCRCを付与する。サブフィールド毎にCRCを付与することで、子機20で受信した際に、サブフィールド単位でのエラー検出が可能となる。
【0079】
また図9では、サブフィールドB0にはシステム情報1とシステム情報2が、サブフィールドB1にはシステム情報1と空きスロット情報が、サブフィールドB2にはシステム情報1とキャリア情報が、サブフィールドB3にはシステム情報2と空きスロット情報とキャリア情報が、格納されており、1回の送信データに対してシステム情報1、システム情報2、空きスロット情報、キャリア情報が2つ以上格納されている。また、CRCは、それぞれのサブフィールドに付与されているため、サブフィールド単位での誤り検出が可能である。
【0080】
図13は、高速同期機能を備えた子機20が親機10と同期捕捉を行うときのイメージ図である。
【0081】
子機20が親機10の存在を検出した後、親機10は、Bフィールドも使用することにより、同期に必要な情報である、システム情報、親機機能情報、空きスロット情報、通信周波数情報などを、1つのスロット内で送信する。
【0082】
図13では、図5と比較して、子機20は1回で同期に必要な情報を受信することができるため、親機からの同期情報を収集する同期捕捉処理P3は、極めて短縮され、処理時間も含め20msほどで同期確立処理P4へと移行することができる。
【0083】
つまり、センサを備える通信装置において検知を伝える時間も短縮される。また、一次電池で駆動するセンサを備える通信装置においては、同期捕捉処理の時間を大幅に短縮できるので、同期捕捉処理に必要となる消費電力を大幅に削減することができ、電池寿命を大きく長持ちさせることができる。
【0084】
また、例えば送信後にB3の領域に無線エラーが発生し、データが壊れてしまった場合でも、1回の送信データに対してシステム情報1、システム情報2、空きスロット情報、キャリア情報が2つ以上格納されており、サブフィールド単位での誤り検出が可能であるため、受信側で、どのサブフィールドのデータが正常なのか、あるいは誤りを含むのか、を判断でき、正常に受信できたと判断したB0、B1、B2のデータからでも同期に必要な情報をすべて取得することができる。
【0085】
ここで、無線エラーの要因としては、別システムの親機40の制御情報の送信や、親機40と従属する子機50との通信が、お互いのシステムのベースクロックの僅かな差により、時間軸で衝突する場合などが考えられる。特に、例えばDECT方式など同じ種類のTDMAを用いた無線通信システムが近傍にある場合、互いの干渉により、スロット中の特定の領域(例えばB3の領域)に通信エラーが発生する場合が多い。そのような場合でも、正常に受信できた他の領域から同期に必要な情報をすべて取得することができる。
【0086】
つまり、システム情報1はB0〜B2領域から、システム情報2はB0領域から、空きスロット情報はB1領域から、キャリア情報はB2領域から取得可能となり、データを受信する子機では1回の受信で全ての同期情報を取得可能となる。従って、同期捕捉処理の時間を大幅に短縮できる。
【0087】
さらに、制御部120は、サブフィールドに配置した同期制御バッファのデータを親機の送信タイミングである10ms周期ごとに入れ替えて送信する。送信データバッファの配置例を図10に示す。
【0088】
図10に示すように、制御部120では同期制御バッファ138〜13Bに格納されたデータをB0領域から順にB3領域まで格納する(状態S1)。このデータの送信が完了しると、次は、同期制御バッファ139、13A、13B、138の順に、1サブフィールド分の80bitを前方にシフトした形でB0領域から配置していく(状態S2)。この要領で制御部120ではS1→S2→S3→S4→S1→と周期的に配置を変更し、データを送信していく。
【0089】
なお、同期制御バッファ138〜13Bに格納されたデータをB0〜B3領域に格納する方法として、例えば、ランダムに順番を入れ替えて格納する方法もある。この場合、例えば、ランダム変数を用いて順番を入れ替えて同期捕捉情報が送信されると、受信側では毎回ヘッダ情報を読み込み、サブフィールドに格納されている同期捕捉情報の種別を判別する必要があるため、所望の同期捕捉情報を収集するのに多少なりとも時間がかかってしまう。また、ランダムとはいえ連続で同じ配置で送信したり、一部サブフィールドにおいて配置が同じになることもあり、これを防ごうとするとさらに処理が複雑となってしまう。
【0090】
一方、周期的に配置を変更する方法では、サブフィールドに格納されている同期捕捉情報の種別は周期的に変更されているだけなので、受信側で毎回ヘッダ情報を読み込む必要がないため、プログラムを簡素化することができ、より同期の高速化を行うことができる。
【0091】
これにより、例えば送信後にB1、B2、B3の領域で無線干渉による継続的なエラーによってデータが壊れてしまった場合でも、正常に受信できるB0のデータだけからでも同期に必要な情報を取得することができる。つまり、受信側で得られるデータは、B0のみであるが、その中身のデータが、同期制御バッファ138、139、13A、13Bの順に変更するので、この場合、データを受信する子機では、4回の受信(40ms)で同期に必要なすべての情報を取得することが可能となる。
【0092】
なお、制御部120の高速同期モードレジスタ123を無効にすることで親機は図13に示す上記高速同期機能を停止させ、図5で示した従来の同期捕捉処理に戻すことも可能である。このときのフレーム構成例を図11に示す。図11に示すように、Bフィールドまで送信するかどうかの切り替えは、高速同期モードレジスタ123によって決まる。無効である場合、制御部120によって同期制御部130は機能をやめBフィールドへのデータ格納をやめ、無線部110はBフィールドの送信をしなくなる。一方、有効の場合、制御部120によって同期制御部130は機能を開始し、Bフィールドへのデータ格納を始める。つまり、無線部110はBフィールドまで含めたデータ送信を行うことから親機ではデータを多く送信できる反面、親機の消費電力は大きくなってしまうことになるが、高速同期機能は、緊急性の通信が求められる子機20が登録された場合のみ有効となる。また、例えば、センサ報知の高速性と省エネをユーザーの意思で決定できるようして、高速同期モードレジスタ123を書き換えることで使用用途に応じた柔軟な制御を行うこともできる。
【0093】
次に子機側の受信について説明する。
【0094】
子機20も同様に、同期制御部220の高速同期モードレジスタ223にて高速同期処理を有効にするかを判断する。具体的には、図11で示した内容が子機側受信にも当てはまり、高速同期モードレジスタ223が無効である場合は、図5で示した従来の同期捕捉処理を実行する。この場合、同期制御部は機能をやめ、無線部110は無線部Aフィールドまで受信し、Bフィールドまで受信しないようする。したがって、高速で同期するための同期制御部220は機能しない。一方、有効の場合、無線部210はBフィールドまで含めたデータ受信を行い、同期制御部220が機能する。
【0095】
Bフィールドを受信した場合、同期制御部220では、サブフィールドに格納されたヘッダ情報から、それぞれのデータが図8で示された4つの中のどの配置かであるかを確認する。また、サブフィールド毎に付与されたCRCから、サブフィールド単位でのエラー検出を行い、どのサブフィールドのデータが正常なのか、あるいは誤りを含むのか、判断する。その後、正常と判断した各データから情報を読み取り、同期確立に必要なフレーム番号レジスタ224、システム情報レジスタ225、空きスロットレジスタ226キャリアレジスタ227、親機IDレジスタ228に格納する。すべての情報が格納されると同期制御部220は同期確立状態となる。この子機20における簡単な動作例を示すフローチャートを図12に示す。
【0096】
以上では、本発明の実施の形態としてコードレス電話機とドア開閉通知用のセンサを例に説明したが、本発明はこれに限らず、制御局に従属して動作する各種通報装置、非常ボタン、ナースコール、各種電気機器の動作状態や消費電力をモニタする装置(例えばスマートグリッドまたはエネルギーマネジメントシステム)など、各種イベントを無線通信によって制御局に通知するような装置に応用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、同期確立に必要な情報を1回の制御信号によりまとめて送信し、高速で同期確立可能な無線通信装置、通信システム、及び通信プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 通信システム
10 高速同期に対応した親機(通信装置)
20 高速同期に対応した子機(通信装置)
20X 高速同期に対応していない子機(通信装置)
30 無線回線
40 親機(通信装置)
50 子機(通信装置)
110 無線部
111 送信部
112 受信部
120 制御部
121 送信データバッファ
122 受信データバッファ
123 高速同期モードレジスタ
130 同期制御部
131 システム情報1レジスタ
132 システム情報2レジスタ
133 空きスロットレジスタ
134 キャリアレジスタ
135、136、137 シフトレジスタ
138、139、13A、13B 同期制御バッファ
210 無線部
211 送信部
212 受信部
220、220X 同期制御部
221 送信データバッファ
222 受信データバッファ
223 高速同期モードレジスタ
224 フレーム番号レジスタ
225 システム情報レジスタ
226 空きスロットレジスタ
227 キャリアレジスタ
228 親機IDレジスタ
230 電源制御部
240 検知部
250 センサ
270 通話部
ANT アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機として動作する第1の通信装置と、親機として動作する第2の通信装置と、を有する通信システムであって、
第1の通信装置は、
他の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部により受信された第2の通信装置からの制御信号を検出することによって第2の通信装置に同期を確立する処理を行う同期捕捉部とを備え、
第2の通信装置は、
第1の通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部を使って第1の通信装置に対して制御信号を送信することにより第1の通信装置を自らに同期させる同期制御部を備え、
前記同期制御部は、前記制御信号の1つのフィールドを複数のサブフィールドに区切り、同期に必要な同期捕捉情報を複数に分割して前記複数のサブフィールドに個別に収めて送信し、
第1の通信装置の前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の前記複数のサブフィールドから同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
第2の通信装置の前記同期制御部は、前記制御信号の第2のフィールドを複数のサブフィールドに区切り、同期に必要な同期捕捉情報を複数に分割して一部を第1フィールドに収め、他を第2のフィールド中の前記複数のサブフィールドに個別に収めて送信し、
第1の通信装置の前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の第1フィールドおよび第2のフィールド中の前記複数のサブフィールドから同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
第2の通信装置の前記同期制御部は、サブフィールド単位で誤り検出情報を付与し、
第1の通信装置の前記同期捕捉部は、サブフィールド単位で誤り検出を行うことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報の一部を、他のサブフィールドのうち少なくとも一つのサブフィールドに、重複して収めることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項5】
第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報を、送信周期毎に、異なるサブフィールドにずらして収めることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
第2の通信装置の前記同期制御部は、あるサブフィールドに収める同期捕捉情報を、送信周期毎に、異なる隣接したサブフィールドに順次ずらして収めることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項7】
第2の通信装置の前記同期制御部は、前記複数のサブフィールドのうちの少なくとも一つのサブフィールドに、空きスロット情報を収めることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項8】
第1の通信装置は、予め決められた状態を検知するセンサを備え、
第1の通信装置は、予め決められた状態を検知した際に前記第1の通信部を起動することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項9】
親機として動作する通信装置に同期してTDMAにより通信する通信システムにおいて子機として動作する通信装置であって、
TDMAにより信号を通信する通信部と、
前記通信部により受信された親機からの制御信号を検出することによって親機との同期を確立する処理を行う同期捕捉部とを備え、
前記同期捕捉部は、受信した制御信号の中の複数のサブフィールドに分割して収められた同期に必要な同期捕捉情報を取り出し、取り出した同期捕捉情報を使って親機との同期を確立する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項10】
前記同期捕捉部は、サブフィールド単位で誤り検出を行うことを特徴とする請求項9記載の通信装置。
【請求項11】
予め決められた状態を検知するセンサを備え、
予め決められた状態を検知した際に前記通信部を起動することを特徴とする請求項9記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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