説明

通信システム内のユーザ・ノードのネットワーク・ノードへのホーミング

ネットワーク・ノードによって提供される機能の機能階層を決定することによって、IMSネットワークまたは他の通信システム内でユーザ・ノードがネットワーク・ノードにホーミングされる。機能階層の初期レベルの機能から開始して、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために、スループット重み付き距離など、所定の基準が適用される。次いで、ホーミング・プロセスは、機能階層の1つまたは複数の追加のレベルを通って進み、機能階層の(1つまたは複数の)追加のレベル内で識別された少なくとも1つの他の機能を提供する少なくとも1つの追加のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てる。これらの動作は、ユーザ・ノードのそれぞれがその必要な機能のすべてを提供するネットワーク・ノードのうちの1つまたは複数にホーミングされるまで、1つまたは複数の追加のユーザ・ノードについて繰り返される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、通信システムに関し、より詳細には、次世代ネットワークおよび他のタイプの通信システムで使用されるユーザ・ノードのホーミング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているタイプの次世代ネットワークの一例は、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)によって定義された、IP(インターネット・プロトコル)マルチメディア・サブシステム(IMS:IP Multimedia Subsystem)、すなわち移動および固定サービスのための次世代コア・ネットワーク・アーキテクチャである。たとえば、本明細書に参照として組み込まれる、22.228、22.250、22.340、22.800、23.218および23.228を含めて、3GPP仕様(TS:Technical Specification)文献を参照されたい。IMSネットワークは、ネットワーク内のユーザ間のマルチメディア・セッションを確立し、変更し、終了するためのシグナリング・プロトコルとしてセッション開始プロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)を使用する。SIPは、たとえば、本明細書に参照として組み込まれる、J.Rosenberg他、「SIP:Session Initiation Protocol」、Internet Engineering Task Force(IETF)RFC3261、2002年6月に記載されている。
【0003】
SIPメッセージを処理し転送するネットワーク要素は、SIP用語ではプロキシ・サーバ、IMS用語では呼セッション制御機能(CSCF:Call Session Control Function)と呼ばれる。3GPPは、以下の3つのタイプのCSCF要素を定義する:ユーザへのインターフェースであるプロキシCSCF(P−CSCF)、それぞれ異なる管理ドメインの他のサーバにインターフェースを提供する問合せCSCF(I−CSCF)、登録を処理し、ポリシーを実施し、アプリケーション・サーバへのインターフェースを提供するサービングCSCF(S−CSCF)。
【0004】
どんなネットワークを設計する際にも、通信事業者の需要を満たすトポロジを作成することが重要である。トポロジ作成の1つの重要なステップは、ユーザに必要な機能を提供するためにユーザ・ノードを特定のネットワーク・ノードに割り当てることを伴う。ユーザ・ノードは、たとえば、複数のユーザからのトラフィックが集められる相互接続点であってよい。ネットワーク・ノードは、たとえば、ユーザが必要とする特定のネットワーク機能を提供するネットワーク内のエンティティであってよい。一般に、ユーザ・ノードをネットワーク・ノードに割り当てるプロセスは本明細書では、「ホーミング」と呼ばれる。
【0005】
従来のネットワーク設計技術において生じる問題は、IMSなどの次世代アーキテクチャの特定の特徴によって、ユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングするプロセスが複雑になり得るということである。たとえば、IMSアーキテクチャは一般に、トランスポート、メディア、セッションおよびアプリケーション機能をそれぞれ異なる層に分離し、それによって、ユーザ・ノードのネットワーク・ノードへの適切なホーミングを決定することが、こうした機能性の分離を示さないネットワークにおいてよりも遥かに難しくなる。しかし、IMSおよび他の次世代ネットワーク内でホーミング・プロセスを実施するのに使用できる適切な自動手順はない。そうではなく、このホーミング・プロセスはしばしば手動で実施され、したがって、非常に時間がかかり、誤りが生じる傾向にある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP仕様(TS)22.228、22.250、22.340、22.800、23.218および23.228
【非特許文献2】J.Rosenberg他、「SIP:Session Initiation Protocol」、Internet Engineering Task Force(IETF)RFC3261、2002年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、IMSネットワークおよび他のタイプの通信システム内でユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングすることへの改良型の手法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、IMSネットワークおよび他のタイプの通信システム内で、ネットワーク・ノードによって提供される機能の機能階層を決定することによって、ユーザ・ノードがネットワーク・ノードにホーミングされる。機能階層の初期レベルの機能から始めて、スループット重み付き距離など所定の基準が、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために適用される。次いで、ホーミング・プロセスは、機能階層の1つまたは複数の追加のレベルを通って進み、機能階層の(1つまたは複数の)追加のレベルに定義された少なくとも1つの他の機能を提供する少なくとも1つの追加のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てる。これらの動作は、ユーザ・ノードのそれぞれが、その必要な機能のすべてを提供するネットワーク・ノードのうちの1つまたは複数にホーミングされるまで、1つまたは複数の追加のユーザ・ノードについて繰り返される。
【0009】
機能階層は、ネットワーク・ノードによって提供される機能をメッセージ・フローまたは他の基準に基づいて1つまたは複数の親子関係に配置することによって決定することができる。たとえば、機能階層は、ネットワーク・ノードの対応する機能プレーンにそれぞれが関連する複数の親子関係を備えてよい。より具体的な例として、IMSネットワークの場合の機能階層は、機能を制御プレーン、メディア・プレーン、アプリケーション・プレーンおよびサポート・システム・プレーンなど、複数のプレーンにグループ化し、次いで各プレーンについて別々に親子関係を決定することによって決定することができる。この手法に基づいて、制御プレーンの親子関係は、その子としてS−CSCF機能を有する親としてP−CSCF機能を備えてよい。制御プレーンの親子関係はさらに、その子としてI−CSCF機能を有する親としてS−CSCF機能を含んでよい。親子関係は、上述されたホーミング・プロセス内で使用される機能階層を形成するために、他のプレーンについても同じように決定することができる。
【0010】
本発明の別の態様では、ユーザ・ノードは、ユーザ・ノードのセットにセグメント化することができ、ユーザ・ノードのネットワーク・ノードへの割当てがセット単位に実施される。この技術を使用して、たとえば、所与の機能を提供するために、少なくとも指定された最小数のネットワーク・ノードが選択されることを保証することができる。ユーザ・ノード・セットは、それぞれの必要な機能に関連する総トラフィックに基づいてランク付けすることができ、最も高い総トラフィックを有する特定のユーザ・ノード・セットに、ユーザ・ノード・セットのうちの第1のセットが割り当てられる。
【0011】
例示的な実施形態は有利には、IMSネットワークなどの複雑なアーキテクチャにおいても、特に効率的なやり方でユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングすることを特に効率的に可能にし、それによって、システム性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態で対処する、ユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングすることに関する問題を示している。
【図2】本発明の実施形態で対処する、ユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングすることに関する問題を示している。
【図3】本発明の一実施形態においてユーザ・ノード・ホーミング・プロセスが適用されるIMSネットワークの一例を示す図である。
【図4A】それぞれ制御、メディア、アプリケーションおよびサポート・プレーンにグループ化された、IMS機能のために確立された親子関係を含む機能階層の一部を示す図である。
【図4B】それぞれ制御、メディア、アプリケーションおよびサポート・プレーンにグループ化された、IMS機能のために確立された親子関係を含む機能階層の一部を示す図である。
【図4C】それぞれ制御、メディア、アプリケーションおよびサポート・プレーンにグループ化された、IMS機能のために確立された親子関係を含む機能階層の一部を示す図である。
【図4D】それぞれ制御、メディア、アプリケーションおよびサポート・プレーンにグループ化された、IMS機能のために確立された親子関係を含む機能階層の一部を示す図である。
【図5】図4A〜図4Dの機能階層に基づいてユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングするための例示的なプロセスを示す図である。
【図6】図5のプロセスによってもたらされる可能なホーミング配置の制御プレーン部分を示す図である。
【図7】ユーザ・ノードのセグメント化に対処するためのホーミング・プロセスの修正を示す図である。
【図8】ユーザ・ノードのセグメント化に対処するためのホーミング・プロセスの修正を示す図である。
【図9】例示的な実施形態のユーザ・ノード・ホーミング・プロセスを示すフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートのステップを実施する処理デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について、通信システムの例示的な実施形態、およびユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングするための関連技術に関連して述べられる。しかし、本発明は、述べられた特定の通信システムおよび技術で使用することに限定されるのではなく、より一般には、ユーザ・ノード・ホーミング・プロセスの効率を向上させることが望ましいどんなタイプの通信システム・アプリケーションにも適用できることを理解されたい。
【0014】
次に図1を参照すると、ユーザ・ノードのネットワーク・ノードへのホーミングを示す単純な例が示されている。通信システム100の一部は、ユーザ・ノード1とも示されたユーザ・ノード102と、ネットワーク・ノード1およびネットワーク・ノード2とも示された2つのネットワーク・ノード104とを含む。ユーザ・ノード102は、複数のユーザ・デバイスからのトラフィックが集められる相互接続点であり、たとえば、ゲートウェイ汎用サポート・ノード(GGSN:Gateway General Support Node)、エッジ・ルータまたはパケット・データ・サービス・ノード(PDSN:Packet Data Serving Node)であってよい。ネットワーク・ノード104は、ユーザが必要とするネットワーク機能を提供するネットワーク内のエンティティである。この単純な例では、オペレータがホーム・ユーザ・ノード1であり得る2つの選択肢がある。より具体的には、機能Aを必要とするユーザ・ノード1は、ネットワーク・ノード1とネットワーク・ノード2の両方が必要な機能を提供するので、ネットワーク・ノード1またはネットワーク・ノード2にホーミングされてよい。
【0015】
この文脈および本明細書の他所の用語「ホーミング」は、ユーザ・ノードが必要とする1つまたは複数の機能をネットワーク・ノードが提供することを可能にするように特定のユーザ・ノードをネットワーク・ノードに割り当てることを指すことを理解されたい。
【0016】
上記に言及されたように、追加の複雑さは、トランスポート、メディア、セッションおよびアプリケーション機能がそれぞれ異なる層に分離されるIMSなどの次世代アーキテクチャにおいて生じる。図2は、左側の典型的な無線ネットワークと右側のより複雑な次世代ネットワークのホーミングの違いを示している。この例では、所与のユーザ・ノード202は、ネットワーク内へのトラフィックの集約点として定義され、物理的位置に関連付けられ、より具体的には、基地局制御装置(BSC:Base Station Controller)を備える。所与のネットワーク・ノード204もまた、物理的位置に関連付けられ、それは、このノードに割り当てられたユーザに特定のサービスを提供するのに必要なネットワーク機能を実装する。より具体的には、左側のネットワーク内の所与のネットワーク・ノード204は、移動交換局(MSC:Mobile Switching Center)を備える。この例のネットワーク・ノード204はそれぞれ、ユーザ・ノード202が必要とするすべての機能を有し、したがって、割当ては簡単に行われる。一般に、オペレータは単に、所与のユーザ・ノードを、その最も近いネットワーク・ノードにホーミングする。
【0017】
しかし、図2の右側の次世代ネットワークでは、ユーザ・ノード212が必要とする諸機能は、多くのネットワーク・ノード214に分散される。これらのネットワーク・ノード214のうちの所与の1つは例示的に、メディア・ゲートウェイ(MGW:Media Gateway)、メディア・ゲートウェイ制御機能(MGCF:Media Gateway Control Function)または電話アプリケーション・サーバ(TAS:Telephony Application Server)を備え得る。ホーミング・プロセスは現在、遥かに複雑であり、特に何百ものノードを含み得る大規模なネットワークでは、従来手法の使用は多くの時間を費やし、誤りが生じやすい。下記に述べられる本発明の実施形態は、従来のやり方の問題を回避し、またIMSなどの次世代アーキテクチャを使用して構成された大規模なネットワークで使用するのに特に適した改良型のユーザ・ノード・ホーミング技術を提供する。
【0018】
いくつかの予備動作は一般に、ホーミング・プロセスの実施の前に行われる。第1に、ユーザは、対応するユーザ・ノードにホーミングされる。それぞれのユーザ・ノードは、属性として、緯度および経度座標によって指定されたその物理的位置を有する。所与のユーザ・ノードの他の可能な属性は、たとえば、ユーザ数、機能単位のスループット、機能単位の登録ユーザなどを含んでよい。第2に、ネットワーク機能は、ネットワーク・ノードにマッピングされる。このプロセスは、機能マッピングと呼ばれる。所与のネットワーク・ノードは一般に、属性として、緯度経度の座標で指定されたその物理的位置、およびそれが提供するネットワーク機能を有する。これらの特定の予備動作は、本発明の要件と見なすべきでなく、他の実施形態は、たとえば代替の動作を使用し、1つまたは複数のこうした動作をホーミング・プロセス自体と組み合わせるなどのやり方で実施することができる。
【0019】
この実施形態のホーミング・プロセスは、下記の通りである。
1.必要なネットワーク機能を1つまたは複数の親子関係を備える階層に配置する。一般に、階層の最下位レベルは親機能と見なされ、最上位レベルは子機能と見なされる。2つより多いレベルを有する階層では、所与の子機能はそれ自体、他の子機能に対して親機能であり得ることに留意されたい。
2.階層の最下位レベルの機能から始めて、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために、1つまたは複数の所定の基準(たとえば距離、スループット、スループット重み付き距離など)を適用する。
3.階層の次のレベルに進んで、対応する機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために、1つまたは複数の所定の基準、好ましくはステップ2で使用されたのと同じ基準を再び適用する。
4.所与のユーザ・ノードがその必要な機能のすべてを提供する1つまたは複数のネットワーク・ノードに割り当てられるまで、そのレベルまたは階層内の他のレベルの残りのいずれの機能についても、ステップ3を繰り返す。
5.すべてのユーザ・ノードがその必要な機能を提供するネットワーク・ノードに割り当てられるまで、他のユーザ・ノードについてステップ2、3および4を繰り返す。
【0020】
特定の実施形態では、本明細書では「プレーン」とも呼ばれるグループに諸機能をセグメント化することが有用であることがあり、階層が、プレーンのそれぞれについて決定された1つまたは複数の別個の親子関係を含む。こうした実装形態では、ユーザ・ノードが必要とする機能を含むプレーンのそれぞれについて、所与のユーザ・ノードごとにステップ2、3および4が繰り返される。
【0021】
次に、上記に概説されたホーミング・プロセスの特定の実装について、図3に示された例示的なIMSネットワーク300を参照して述べられる。IMSネットワーク300は例示的に(illustratively)、ユーザ・ノードが必要とする様々な機能を提供する1つまたは複数のネットワーク・ノード304にホーミングされる4つのユーザ・ノード302を備える。ネットワーク・ノード304のそれぞれの名前に関連する数は、対応するネットワーク位置を示すものと見なすことができ、明示的には示されていない類似のネットワーク・ノードの追加のセットが、他の位置に関連付けられ得る。
【0022】
例示的なホーミング・プロセスのステップ1によれば、必要な諸機能は、1つまたは複数の親子関係を備える機能階層に配置される。この特定の例では、ホーミング・プロセスは、様々なIMS機能を以下の4つのプレーンにセグメント化することによってかなり容易になる:
制御プレーン:P−CSCF、S−CSCF、I−CSCF、ブレークアウト・ゲートウェイ制御機能(BGCF:Breakout Gateway Control Function)、MGCF、マルチメディア・リソース機能コントローラ(MRFC:Multimedia Resource Function Controller)
メディア・プレーン:MGW、マルチメディア・リソース機能プロセッサ(MRFP:Multimedia Resource Function Processor)
アプリケーション・プレーン:アプリケーション・サーバ(AS:Application Server)
サポート・システム・プレーン:ホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)、ドメイン名サービス(DNS:Domain Name Service)
【0023】
IMSネットワーク・ノード機能をプレーンに分けるこの特定のグループ化は、例示するためだけに提示されており、代替実施形態では、他のグループ化が使用され得ることを理解されたい。
【0024】
また、図3のIMSネットワーク300は、呼制御機能(CCF:Call Control Function)など、上記グループ化に含まれない1つまたは複数の機能を含むことに留意されたい。
【0025】
この実施形態の所与のプレーンについて機能階層の親子関係を決定するために使用される基準は、そのプレーンの様々な機能の間のメッセージ・フローである。他の実施形態では、1つまたは複数の代替基準が、メッセージ・フロー基準の代わりに、またはそれとの組合せで使用されてよい。
【0026】
次に、上記に示された4つのプレーンのそれぞれについて機能階層の親子関係が決定される特定のやり方について述べられる。これらの4つのプレーンの機能階層の親子関係は、図4Aから4Dにそれぞれ示されている。
【0027】
制御プレーン
制御プレーンは、P−CSCF、S−CSCF、I−CSCF、MRFC、BGCFおよびMGCF機能を含む。すべての制御トラフィックは、P−CSCF機能を通り、したがって、この機能は、機能階層の制御プレーン部分の最下位レベル親機能になる。
【0028】
また、P−CSCFは常に、メッセージをS−CSCFに転送し、したがって、S−CSCFは、P−CSCFの子になる。
【0029】
I−CSCFは、P−CSCFまたはS−CSCFによる問合せを受けるが、S−CSCFがP−CSCFより頻繁にI−CSCFに問い合わせるので、I−CSCFは、S−CSCFの子になる。
【0030】
同様に、MRFCとBGCFの両方がS−CSCFと広く通信するので、MRFCおよびBGCFは、S−CSCFの子になる。次に、BGCFは、類似の理由により、MGCFの親になる。制御プレーンの結果として生じる親子関係が、図4Aに示されている。
【0031】
メディア・プレーン
メディア・プレーンは、MRFP機能とMGW機能とを含む。ユーザ・ノードがこれらの機能の両方と直接通信するので、それらはそれぞれ、図4Bに示されるように、子を伴わない別個の親機能になる。
【0032】
アプリケーション・プレーン
アプリケーション・プレーンは、AS機能を含む。ASは、ASに達するためにはすべてのユーザ通信がS−CSCFを通って流れなければならないので、親S−CSCFの子になる。結果として生じる親子関係が、図4Cに示されている。
【0033】
サポート・システム
サポート・システム・プレーンは、HSS機能とDNS機能とを含む。HSSは、これらの機能間の通信が広く行われるので、親S−CSCFの子になる。DNSは、類似の理由により、S−CSCFの子になる。図4Dは、結果として生じる親子関係を示している。
【0034】
図5は、図4Aから4Dに示された機能階層に基づく、特定のユーザ・ノード、すなわち図3のネットワーク300のユーザ・ノード1のホーミング・プロセスのステップ2、3および4を示している。この実施形態においてネットワーク・ノードを選択するために使用される基準は、スループット重み付き距離である。スループット重み付き距離は、ユーザ・ノードから当該ネットワーク・ノードまでの距離に、必要な機能へのトラフィックを掛けた値に等しい。これは、性能が距離およびトラフィック負荷へのコストに通常依存するので、適切な基準である。また、機能が遠くなるにつれて、オペレータは、それらを制御できる可能性が低くなる。この場合もやはり、他の実施形態では、代替の基準が使用されてよい。P−CSCFなどの所与の機能を提供するネットワーク・ノードは、表記を単純にするために、P−CSCFノードと下記では呼ばれ得る。しかし、所与のネットワーク・ノードは、複数の機能を提供できることを理解されたい。また、上記に示されたように、所与のネットワーク・ノードは、属性として、その物理的位置を有する。したがって、共通の物理的位置に関連する複数の機能を、同じネットワーク・ノードによって提供することができる。この特定の例ではネットワーク・ノードについて少なくとも6つの異なる位置があると仮定しているが、より大きい数または小さい数の位置が使用されてよい。
【0035】
ステップ2は、制御プレーンの機能階層の最下位レベルであるP−CSCFで開始する。ユーザ・ノード1と、P−CSCF機能を提供する可能なネットワーク・ノード(すなわちP−CSCFノード)のそれぞれとの間のスループット重み付き距離が計算され、最小のスループット重み付き距離をもたらすネットワーク・ノードが選択される。この場合、P−CSCFノードのうちの所与の1つのノードまでのスループット重み付き距離は、ユーザ・ノード1からそのP−CSCFノードまでの距離に、P−CSCFに対してユーザ・ノードによって生成された総トラフィックを掛けた値になる。
【0036】
図5の割当て(1)を参照すると、ユーザ・ノード1にP−CSCF機能を提供するために、位置1のネットワーク・ノードが選択されている。
【0037】
次いで、このプロセスは、ステップ3に移り、制御プレーンの機能階層の次のレベルであるS−CSCFを提供するネットワーク・ノードを選択する。ユーザ・ノード1と、S−CSCF機能を提供する可能なネットワーク・ノード(すなわちS−CSCFノード)のそれぞれとの間のスループット重み付き距離が計算され、最小のスループット重み付き距離をもたらすネットワーク・ノードが選択される。この場合、S−CSCFノードのうちの所与の1つのノードまでのスループット重み付き距離は、ユーザ・ノード1からそのS−CSCFノードまでの距離に、S−CSCFに対してユーザ・ノードによって生成された総トラフィックを掛けた値になる。
【0038】
図5の割当て(2)を参照すると、ユーザ・ノード1にS−CSCF機能を提供するために、位置2のS−CSCFノードが選択されている。
【0039】
このプロセスはステップ4に続き、このステップ4は、ユーザ・ノード1がその必要な機能のすべてを提供する1つまたは複数のネットワーク・ノードに割り当てられるまで、階層の残りのいずれの機能についてもステップ3を繰り返すことを伴う。やはり図5の図を参照すると、その結果、ユーザ・ノード1は、(3)に示されたように位置3のI−CSCFノードに、(4)に示されたように位置4のMRFCノードに、(5)に示されたように位置4のBGCFノードに、(6)に示されたように位置5のMGCFノードに、(7)に示されたように位置2のASノードに、(8)に示されたように位置6のHSSノードに、また(9)に示されたように位置6のDSNノードに割り当てられる。
【0040】
次いで、このプロセスは、すべてのユーザ・ノードが必要な機能にホーミングされるまで、他のユーザ・ノードについて繰り返される。図3のネットワークのすべての4つのユーザ・ノードについて可能な1つの割当てが、図6に示されている。分かりやすくするために、制御プレーンのP−CSCF、S−CSCFおよびI−CSCF機能だけが示されている。
【0041】
図6の例では、所与の機能を提供するために使用できるネットワーク・ノード位置の数は、所定のものではない。したがって、この例では、単一のP−CSCFノード、すなわち位置1のP−CSCFノードだけが選択されている。しかし、所与のユーザ・ノード・セットにその機能を提供するためにオペレータが2つの異なるP−CSCFノードを使用することを望み得ることがあり得る。これは、図7および8に関連して次に述べられるように、本明細書ではユーザ・ノード・セグメント化と呼ばれる技術を使用して達成することができる。
【0042】
一般に、ユーザ・ノードは、上述されたホーミング・プロセスのそれに類似のステップを適用する前に、セットへとセグメント化される。たとえば、4つのユーザ・ノードを備えるネットワーク300内で、ユーザ・ノードは、2つの異なるP−CSCFノードが選択されることを保証するために、2つのグループに分割されなければならない。図7は、ユーザ・ノードを2つのグループに分ける可能なセグメント化を示しているが、当業者には理解されるように、他の多数のセグメント化技術を適用してもよい。ユーザ・ノード・セグメント化によってもたらされるグループは、本明細書では、セットまたはセグメントとも呼ばれる。ユーザ・ノード・セグメント化のプロセスは、本明細書では、ユーザ・ノード・セット構築とも呼ばれる。
【0043】
ユーザ・ノードがセグメント化されると、実質的に同じホーミング・プロセスが適用されるが、ユーザ・ノードベースで実施されるのではなく、それは、下述されるように追加の修正を伴って、ユーザ・ノード・セグメント・ベースで実施される。
【0044】
図7に示されたように、ユーザ・ノード1およびユーザ・ノード2が、あるセグメント内にあり、ユーザ・ノード3およびユーザ・ノード4が別のセグメント内にあると仮定する。各セグメント内のノードはすべて、修正されたホーミング・プロセス内の1つのノードと見なされる。さらに、セグメントは、所望の数のP−CSCFノードを保証するために、別々にランク付けされ、次いで処理される。例として、各セグメントについて総トラフィック負荷が計算されてよく、このプロセスは、最も高いトラフィック負荷を有するセグメント、すなわち「最も重い」セグメントから開始してよい。この例ではセグメント2がセグメント1より重いと仮定すると、ホーミング・プロセスは、セグメント2から開始し、最小の総スループット重み付き距離をもたらすP−CSCFノードを選択する。そのP−CSCFノードが選択されると、それは、可能なP−CSCFノードのリストから削除される。これによって、セグメント1には、セグメント2と同じP−CSCFノードが割り当てられないことが保証される。このプロセスは、すべてのセグメントがすべてホーミングされるまで続く。P−CSCF、S−CSCFおよびI−CSCF機能の1つの可能な結果が、図8に示されている。
【0045】
見て分かるように、2つのP−CSCF位置が選択されているが、1つのS−CSCFしか選択されていない。ユーザが多くのS−CSCFを望む場合、それぞれの子について同じ手順が繰り返される。
【0046】
図9のフローチャートは、ユーザ・ノード・セグメント化を伴う例示的なホーミング・プロセスを示している。この図では、ユーザ・ノード・セグメントは、セットと呼ばれる。ステップ900への入力は、N個のユーザ・ノード・セットENnと、この例ではIMSノードとも呼ばれるm個の候補ネットワーク・ノードと、セット構築段階で計算された機能{F}のトラフィックとを含む。ステップ900は、各セットの総{F}トラフィックを計算し、最高から最低の総{F}トラフィック順にセットをランク付けする。ステップ902は、ENiと示された、最高にランク付けされた残りのセットを識別し、次いで、このプロセスは、ステップ904に移る。ステップ904は、入力として、ユーザ・ノードおよびIMSノードの位置を受け取り、セットが割り当てられていない残りの各IMSノードについて、セットENi内のユーザ・ノードのそのIMSノードへのスループット重み付き距離の和を計算する。次いで、ステップ906は、機能階層からの親機能を、最小スループット重み付き距離を有するIMSノードを割り当て、セットENiおよびIMSノードをさらなる考慮対象から削除する。ステップ908は、処理すべき残りのユーザ・ノード・セットがあるかどうか判定する。示されたように、ある場合は、このプロセスは、次のセットを処理するためにステップ902に戻り、そうでない場合は、終了する。必要な機能を提供するネットワーク・ノードに残りのユーザ・ノードがホーミングされるまで、図9のプロセスのステップに類似のステップが、関連する機能階層内の他の機能のそれぞれに適用され得る。
【0047】
本明細書に述べられた所与のユーザ・ノード・ホーミング・プロセスは、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータまたは他の処理デバイス内で実施されてよい。たとえば、本明細書に述べられたタイプのホーミング・プロセスは、処理デバイスのメモリ内に格納され、その処理デバイスのプロセッサによって実行されるネットワーク設計ツールまたは他のタイプのソフトウェア・プログラムの形で実施されてよい。
【0048】
図10は、図9のホーミング・プロセスのステップを実施するのに適したこうした処理デバイス1000の1つの可能な実装形態を示している。処理デバイス1000は、メモリ1004に結合されたプロセッサ1002を備える。プロセッサ1002は、たとえば、マイクロプロセッサ、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路または他のタイプの処理要素、ならびに複数のこうした要素の組合せを備えてよい。メモリ1004は、たとえばランダム・アクセス・メモリ、読取り専用メモリ、光学または磁気記憶装置、あるいは他のタイプの記憶要素を任意の組合せで備えてよい。メモリは、本明細書ではマシン読取り可能記憶媒体とより一般的に呼ばれるものの一例と見なしてよい。メモリは、ホーミング・プロセスを実施するための命令または他のプログラム・コードに加えて、たとえば、上述されたタイプの1つまたは複数の機能階層など、ホーミング・プロセスで使用される情報を格納するために使用できる。
【0049】
プロセッサ1002には、ユーザ・インターフェース1006およびネットワーク・インターフェース1008も結合される。ユーザ・インターフェース1006は、たとえば、キーボードおよびマウスなど、データ入力要素との組合せで動作する表示モニタによって提供されるグラフィカル・ユーザ・インターフェースを備えてよい。ネットワーク・インターフェース1008は、たとえば、図9の実施形態のステップ900および904に適用されるものなどの入力を取得するために、ネットワークまたは他のシステム要素にデバイス1000をインターフェースさせることがでる。処理デバイス1000はさらに、図に明示的には示されていないが、こうしたデバイスの従来の実装形態に一般に含まれている他の要素を含んでよい。
【0050】
図10に示されたタイプの処理デバイスは、所与の通信システム内で、たとえばシステムの1つまたは複数のオペレータ端末として実装することも、システムを設計し、または別のやり方で構成する際に使用される別個のスタンド・アロン・デバイスとして実装することもできる。
【0051】
上述された例示的な実施形態は有利には、IMSネットワークなどの複雑なアーキテクチャにおいても、特に効率的なやり方でユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングすることを可能にし、それによって、システム性能を向上させる。IMSネットワークでは特に有用であるが、本明細書に述べられた技術は、複数の異なる通信機能およびプロトコルのいずれかを使用して、様々な他のタイプの通信システムに適用することができる。
【0052】
上述の実施形態は、例示するためのものにすぎないことを強調しておく。たとえば、特定のユーザ・ノード・ホーミング技術、ならびにネットワーク・ノード機能を階層に配置し、特定のユーザ・ノードへの割当てのために特定のネットワーク・ノードを選択するための関連する基準は、所与の実装形態の必要性に対処するように変更することができる。また、特定のネットワークおよび処理デバイス構成、ならびにユーザ・ノードおよびネットワーク・ノード機能性は、代替の実施形態において変更されてよい。これらの実施形態、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内の複数の他の代替実施形態が、当業者には容易に明らかになろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システム内でユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングするプロセッサ実施方法であって、
前記ネットワーク・ノードによって提供された機能の機能階層を決定するステップと、
前記機能階層の初期レベルの機能から開始して、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために少なくとも1つの所定の基準を適用するステップと、
前記機能階層の1つまたは複数の追加のレベルを通って進み、前記1つまたは複数の追加のレベル内で識別された少なくとも1つの他の機能を提供する少なくとも1つの追加のネットワーク・ノードに前記所与のユーザ・ノードを割り当てるステップと、
前記ユーザ・ノードのそれぞれがその必要な機能のすべてを提供する前記ネットワーク・ノードのうちの1つまたは複数にホーミングされるまで、1つまたは複数の追加のユーザ・ノードについて前記適用ステップおよび前記進むステップを繰り返すステップとを備えるプロセッサ実施方法。
【請求項2】
前記機能階層が、前記機能の少なくとも1つのサブセット間のメッセージ・フローに基づいて前記機能を1つまたは複数の親子関係に配置することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機能階層が、前記ネットワーク・ノードの対応する機能プレーンにそれぞれが関連する複数の親子関係を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機能プレーンが、制御プレーン、メディア・プレーン、アプリケーション・プレーンおよびサポート・システム・プレーンのうちの1つまたは複数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御プレーンの前記親子関係が、その子としてS−CSCF機能を有する親としてP−CSCF機能を、その子としてI−CSCF機能を有する親としてS−CSCF機能を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所与のユーザ・ノードを前記ネットワーク・ノードのうちの1つに割り当てるために使用される所定の基準が、スループット重み付き距離を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ・ノードをユーザ・ノードのセットにセグメント化するステップをさらに含み、さらに前記ユーザ・ノードのネットワーク・ノードへの割当てが、セット単位に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実行されるときに請求項1に記載の方法のステップを実施する、その中に符号化されたマシン実行可能命令を有するマシン読取り可能記憶媒体。
【請求項9】
通信システム内でユーザ・ノードをネットワーク・ノードにホーミングする際に使用する装置であって、
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリとを備える処理デバイスを備え、
前記メモリが、前記ネットワーク・ノードによって提供される機能の機能階層を特徴付ける情報を格納するように構成され、
前記処理デバイスが、前記機能階層の初期レベルの機能から開始して、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために少なくとも1つの所定の基準を適用し、前記機能階層の1つまたは複数の追加のレベルを通って進み、前記1つまたは複数の追加のレベル内で識別された少なくとも1つの他の機能を提供する少なくとも1つの追加のネットワーク・ノードに前記所与のユーザ・ノードを割り当て、前記ユーザ・ノードのそれぞれがその必要な機能のすべてを提供する前記ネットワーク・ノードのうちの1つまたは複数にホーミングされるまで、1つまたは複数の追加のユーザ・ノードについて前記適用動作および前記進む動作を繰り返すように前記プロセッサの制御の下で動作可能である、装置。
【請求項10】
複数のユーザ・ノードと、
前記ネットワーク・ノードが必要とする機能を提供するように構成された複数のネットワーク・ノードと
を備える通信システムであって、
前記ユーザ・ノードが、前記ネットワーク・ノードによって提供される機能の機能階層を決定し、前記機能階層の初期レベルの機能から開始して、その機能を提供する特定のネットワーク・ノードに所与のユーザ・ノードを割り当てるために少なくとも1つの所定の基準を適用し、前記機能階層の1つまたは複数の追加のレベルを通って進み、前記1つまたは複数の追加のレベル内で識別された少なくとも1つの他の機能を提供する少なくとも1つの追加のネットワーク・ノードに前記所与のユーザ・ノードを割り当て、前記ユーザ・ノードのそれぞれがその必要な機能のすべてを提供する前記ネットワーク・ノードのうちの1つまたは複数にホーミングされるまで、1つまたは複数の追加のユーザ・ノードについて前記適用ステップおよび前記進むステップを繰り返すことによって前記ネットワーク・ノードにホーミングされる、通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−510567(P2011−510567A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543164(P2010−543164)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/030391
【国際公開番号】WO2009/091653
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】