説明

通信システム及びデバイス構成方法

【課題】電子デバイスの出荷段階における再構成を容易にする。
【解決手段】電子デバイス105はタグ102およびデバイス・プロセッサ134を備え、タグ102は、アンテナと、タグ・プロセッサと、通信ポートとを備え、タグ・プログラマ104は、プログラマ・プロセッサ114と、送信機117を備え、プログラマ・プロセッサ114は、局所的に構成データを格納するように配置され、送信機117は、構成データをタグ102に送信するように配置され、アンテナは、構成データを受信し、タグ・プロセッサへ渡すように配置され、タグ・プロセッサは構成データを格納し、デバイス・プロセッサ134は、電子デバイス105に電力が供給された場合に、通信ポートを介して構成データにアクセスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、特に、非接触デバイスのデバイス構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子デバイスは、デバイスの機能および顧客の特異性を調整するために、構成のインストールおよび/またはカスタム化のための設定を必要とする。通常、デバイスが複雑であればあるほど、構成プロセスは複雑になり時間がかかる。多くのセルフサービス端末(SST)および小売販売時点情報管理(POS)デバイスは、メーカから顧客に運ばれる前に、かなりのカスタム化を必要とする。例えば、それらが販売され、不揮発性RAM(NVRAM)内に多くの異なる設定を保持することができる特定の小売店の要件に適合するように、各バーコード・スキャナをカスタム化しなければならない。
【0003】
多くの製造ラインが自動化されているので、デバイスの構成は、一般に、デバイスが出荷される前の最終ステップのうちの1つである。そうするには、製造作業が終了した後で製造プロセス中にさらに介入しなければならないので、工場から顧客へのデバイスの出荷が遅くなる。非常に多くの場合、構成データをアップロードすることができるようにするためには、デバイスを包装の中から取り出さなければならない。この作業は多大なコストと時間を要し、デバイスが破損する尤度が増大し、出荷のためのデバイスの再包装が正しく行われない尤度が増大する。
【0004】
現在のデバイスの構成方法は、手動によるスイッチの設定から、デバイス上に位置する制御装置による設定の変更、サーバまたはPCからの構成データのダウンロードに至るまで多岐にわたっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、従来技術においては、手動によるスイッチの設定およびサーバまたはPCからの構成データのダウンロードは、手動によるスイッチの起動またはデバイスへのケーブルの接続による、デバイスに対する手動による介入を含んでいる。そのためデバイスが破損する可能性があり、特にスイッチの設定の場合には、ユーザの錯誤により設定が正しく行われない場合がある。
【0006】
さらに、これらの技術は、通常、デバイスにロードする新しい設定のために、電源をオンにしたり、またはスイッチをオンにしたりすることが必要になる。そのため、デバイスに適切な構成データをアップロードできるレートが制限される。何故なら、デバイスの電源をオンにし、再構成し、電源をオフにしなければならないからである。これにより製造ラインの処理能力および効率が悪影響を受ける。
【0007】
このようなデバイスの再構成は、顧客に出荷される直前であって、デバイスが製造施設から出荷された後で倉庫内で行われる。多くの場合、倉庫は製造施設から地理的に離れた場所に位置している。倉庫内のスタッフは、多くの場合、技術的なトレーニングを受けていない。そのため、人為的なエラーによりデバイスに構成データが正しくインストールされない場合があり、またはデバイスが構成データのインストールの際に破損する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、送信機およびプログラマ・プロセッサを備えるプログラマ・ユニットと、タグおよびデバイス・プロセッサを備える電子デバイスと、を備える通信システムが提供され、タグは、アンテナと、タグ・プロセッサと、通信ポートとを備え、プログラマ・プロセッサは、構成データを受信し、局所的に構成データを格納するように配置され、送信機は、構成データをタグに送信するように配置され、アンテナは、構成データを格納しているタグ・プロセッサから構成データを受信し、このタグ・プロセッサへ構成データを渡すように配置され、デバイス・プロセッサは、電子デバイスに電力が供給された場合に、通信ポートを介して構成データにアクセスするように配置される。
【0009】
電子デバイスを構成するために、包装(パッケージング)を開けなくてもすむ、通常は無線周波である無線ベースのシステムを使用すれば、プロセスのコストは実質的に安くなる。また、このようなシステムを使用すれば、メーカはより新しいバージョンを組み込むか、または顧客の注文をキャンセルし、注文の数量または優先順位の変更に基づいて、異なる顧客に対するそのユニットを再構成するために構成を更新することができるようになるので、構成プロセスがより柔軟なものになる。
【0010】
タグは、RFIDタグであってもよい。送信機は、構成データで無線周波数搬送波を変調するように配置することができる。RFIDタグは、構成データおよび搬送波を復調するように配置することができる。タグ・プロセッサは、専用の機能状態機械を備えることができる。機能状態機械は、RFIDプロトコル機能および関連するメモリを提供するように配置することができる。
【0011】
プログラマ・ユニットは、ハンドヘルド・デバイスを備えることができる。ハンドヘルド・デバイスは、15〜20cm、または可能であれば最長5メートルの送信範囲を有することができる。ハンドヘルド・デバイスは、下記のもの、すなわち、ドッキング・ステーション、有線接続、無線接続のうちのいずれか1つを介して、ホストに対してインタフェースとして機能することができる。代替的に、プログラマ・ユニットは、スタティック・ブロードキャスト・デバイス(static broadcast device)を備えることもできる。
【0012】
プログラマ・ユニットは、信号を受信するように配置されている受信機を備えることができる。送信機は、問い合わせ信号を送信するように配置することができる。タグは、問い合わせ信号を受信した場合に、プログラマ・ユニットに製品データを送信するように配置することができる。プログラマ・プロセッサは、タグから受信した製品データに応じて、デバイス固有の構成データを要求するように配置することができる。プログラマ・プロセッサは、デバイス固有の構成データを受信するように配置することができる。送信機は、デバイス固有の構成データを含む構成信号を送信するように配置することができる。デバイス固有の構成データは、少なくとも1つのパラメータおよび少なくとも1つのデバイス設定を含むことができる。
【0013】
一実施形態においては、製品データは、製品データの内容に基づいてホストに格納している製造データベースから注文固有の構成データを含むことができる。製品データは、下記のもの、すなわち、顧客の詳細、顧客の店舗の地理的位置、店舗識別子のうちのいずれかを含むことができる。デバイス固有の構成データは、例えば、ネットワークの設定、端末のタイプおよび/または名称のような、顧客および/または店舗固有のパラメータおよび/または設定を含むことができる。
【0014】
そうすることにより、デバイスを、注文固有の構成データで構成することができる。すなわち、顧客の正確な構成要件を自動的に満たすことができる。
【0015】
プログラマ・プロセッサは、ユーザが選択した構成データを受信するように配置することができる。この場合、構成データは、ユーザにより選択される。送信機は、ユーザが選択した構成データを含む構成信号を送信するように配置することができる。送信機は、プログラマ・プロセッサで他の一組のユーザが選択した構成データを受信するまでユーザ構成データを選択的に送信するように配置することができる。
【0016】
構成データは、下記のもの、すなわち、必要な構成設定、デバイスのための資産管理情報、例えばVPNのようなネットワークにアクセスし、またはファイアウォールを通過するために必要な、例えば暗号化キーのような他のセキュリティ・トークンを含むポインタまたはファイル名のうちの少なくとも1つを含むことができる。構成設定は、下記のデータ・タイプ、すなわち、ASCII、16進、2進列のうちのいずれかの形式を取ることができる。構成設定は、タグに関連するメモリに格納するように配置することができる。構成データは、拡張可能なマークアップ言語(XML)を含むことができる。
【0017】
電子デバイスは、下記のもの、すなわち、現金自動預け払い機(ATM)、情報キオスク、電子資金振り替え(FET)端末、金融サービス・センター、請求書支払キオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機械、チェックインおよび/またはチェックアウト端末、販売時点情報管理(POS)バーコード・スキャナ、POS端末のうちのいずれかを備えることができる。
【0018】
システムは、電子デバイスの少なくとも一部を包む包装を含むことができる。
【0019】
プログラマ・ユニットは、構成データを格納するように配置されているリモート・ホストに接続することができる。代替的にまたは追加的に、プログラマ・ユニットは、構成データを格納するように配置されているPCまたはサーバを備えることができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、
(i)送信機で構成データを受信し、その構成データをその場に格納するステップと、
(ii)構成データを、無線通信チャネルを介して電子デバイスのプロセッサに接続しているタグに送信するステップと、
(iii)構成データをタグ内のその場に格納するステップと、
(iv)電子デバイスに電力が供給された場合に、デバイスのプロセッサにより、タグからの構成データにアクセスするステップと、
を備えるデバイス構成方法が提供される。
【0021】
この方法は、送信機から問い合わせ信号を送信するステップを含むことができる。この方法は、問い合わせ信号を受信した場合に、タグからプログラマ・ユニットの受信機に製品データを送信するステップを含むことができる。この方法は、タグから製品データを受信した場合に、デバイス固有の構成データを要求するステップを含むことができる。この方法は、送信機でデバイス固有の構成データを受信するステップを含むことができる。この方法は、デバイス固有の構成データを含む構成信号を送信するステップを含むことができる。
【0022】
この方法は、製品データの内容に基づいて、ホストに格納している製品データベースから注文固有の構成データを選択するステップを含むことができる。製品データは、下記のもの、すなわち、顧客の詳細、顧客店舗の地理的位置、店舗識別子のうちのいずれかを含むことができる。構成データは、例えば、ネットワークの設定、端末のタイプおよび/または名称のような、顧客および/または店舗固有のパラメータおよび/または設定を含むことができる。
【0023】
この方法は、ユーザが選択した構成データを含むことができる。この場合、構成データはユーザにより選択される。この方法は、送信機からユーザが選択した構成データを含む構成信号を送信するステップを含むことができる。この方法は、送信機で、他の一組のユーザが選択した構成データを受信するまで、送信機からユーザ構成データを送信するステップを含むことができる。
【0024】
構成データは、下記のもの、すなわち、必要な構成設定、デバイスのための資産管理情報、例えばVPNのようなネットワークにアクセスし、ファイアウォールを通過するために必要な、例えば暗号鍵のような他のセキュリティ・トークンを含むポインタまたはファイル名のうちの少なくとも1つを含むことができる。構成設定は、下記のデータ・タイプ、すなわち、ASCII、16進、2進列のうちのいずれかの形式を取ることができる。構成設定は、タグに関連するメモリに格納するように配置することができる。
【0025】
電子デバイスは、下記のもの、すなわち、現金自動預け払い機(ATM)、情報キオスク、電子資金振り替え(FET)端末、金融サービス・センター、請求書支払キオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機械、チェックインおよび/またはチェックアウト端末、販売時点情報管理(POS)バーコード・スキャナ、POS端末のうちのいずれかを備えることができる。
【0026】
この方法は、ステップ(ii)の前に包装された電子デバイスを有するステップを含むことができる。
【0027】
RFIDタグ・システムを使用すると、出荷のためにターゲット・デバイスを包装した後で、RFIDタグに構成データをアップロードすることができる。
【0028】
この方法は、デバイスに電力が供給されていない場合でも、ステップ(ii)および(iii)を実行するステップを含むことができる。
【0029】
RFIDタグ・システムを使用すると、ターゲット・デバイス自身に電力が供給されていない場合でも、RFIDタグに構成データをアップロードすることができる。
【0030】
この方法は、リモート・ホストに構成データを格納するステップを含むことができる。この方法は、プログラマ・ユニットのデータ記憶装置に構成データを格納するステップを含むことができる。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、タグのプロセッサ上で実行した場合に、プロセッサに、搬送波から問い合わせ信号を復調させ、製品信号を形成するために、製品データでもう1つの搬送波を変調させ、構成信号から構成データを復調させ、タグ・プロセッサに局所的に構成データを格納させ、もう1つのプロセッサ受信電力に関連する要求に応じて、もう1つのプロセッサに構成データを出力させるソフトウェアが提供される。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、電子デバイスのプロセッサ上で実行した場合に、プロセッサに、電力の供給を受けた場合、タグから電子デバイスの素子を含む構成データを要求させ、上記構成データ(もし、ある場合には)を受信させ、電子デバイスの構成要素上に上記構成データをインストールさせるソフトウェアが提供される。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、上記製造ライン上に電子デバイスを構成するために、本発明の第2の態様による方法の使用を含む製造ラインの効率を改善するための方法が提供される。
【0034】
添付の図面を参照しながら、以下に本発明について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一態様による通信システムの一実施形態の略図である。
【図2】図1のシステムのRFIDタグの略図である。
【図3】本発明の他の態様によるデバイス構成方法の一実施形態のステップを詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで図1を参照すると、RFID通信システム100は、RFIDタグ102と、タグ・プログラマ104とを備える。RFIDタグ102は、例えば、POSバーコード・スキャナ105のような電子デバイスの一部を備える。通常、スキャナ105は、メーカから顧客に出荷する前にカスタマイズする必要があり、一般的にボール紙の容器である出荷容器105a内に入れられている。スキャナ105が包装されると、電源がオフになる。すなわち、外部電源から切り離される。
【0037】
RFIDタグ102は、アンテナ106と、集積回路(IC)108と、通信ポート109とを備える。IC108は、例えば、デバイス構成およびパラメータのような情報を格納し、情報を処理し、受信した無線周波信号を変調および復調する。タグ102のIC108は、その動作に電力を供給するために、問い合わせ信号から十分な電力を抽出する。IC108は、例えば、アンテナ106とインピーダンス整合しているショットキー・ダイオードによる後方散乱受動タグのような場合には、問い合わせ信号を復調する。一実施形態においては、IC108は、従来のマイクロプロセッサである。代替実施形態においては、IC108は、すべてのRFIDプロトコル機能および関連するメモリを提供する専用の機能状態機械である。
【0038】
通常、高周波3〜30MHzの用途の場合には、アンテナ106は、リソグラフィにより形成された金属スパイラルである。超高周波300MHz〜3GHz用途の場合には、IC108とインピーダンス整合している折り曲げたまたはメアンダ形状にしたダイポール・アンテナ106を使用することができる。
【0039】
本発明の実施形態においては、RFIDタグ102は、アンテナ106で受信した信号からその動作のための電力の供給を受ける、以下に詳細に説明する受動RFIDタグである。しかし、本発明は、受動RFIDタグに適用することができるように、半受動および能動RFIDタグにも同様に適用することができることを理解されたい。半受動タグは、ICに電力を供給する電源を内蔵している。能動タグは、タグ・プログラマ104から信号を受信した場合に、ICに電力を供給し、同報通信信号(broadcast signal)の出力に電力を供給する電源を備える。
【0040】
受動および半受動タグにおいては、電源は、例えば、ボタン型電池のようなバッテリーの形で供給される。バッテリーは、タグ102に電力を供給し、一方、スキャナへの電力供給はストップする。一実施形態においては、タグ102は、電源がオフになり(スリープ・モード)、非常に僅かな電流しか消費しないように設計される。スリープ・モードの場合には、通常、バッテリーからマイクロアンペア以下の電流しか供給されない。アンテナ106で受信した「ウェークアップ」信号は整流され、IC108を「ウェークアップ」するために電圧を発生する。代替実施形態においては、タグ108は、IC108上で作動しているタイマ・クロックにより「ウェークアップ」し、問い合わせ信号の有無をチェックする。次に、このタグは、送信機に電力を供給し、問い合わせ信号に応答する。
【0041】
このようなスキームを使用すれば、感度を高くすることができ、通信距離を延ばすことができ、受動RFIDタグよりも通信データ・レートを速くすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態においては、倉庫が同報通信用の送信機を装備している場合、手動介入を行わないで、中央の事務所から離れた場所からデバイスの再構成を行うことができる。その場合には、デバイスを構成する時点に、オペレータがそこにいなくてもよい。
【0043】
通信ポート109は、以下に詳細に説明するように、スキャナ105の残りの回路と通信する。
【0044】
タグ・プログラマ104は、プロセッサ114と、無線周波源116と、変調/復調ユニット117と、アンテナ118と、通信ポート120とを備える。通信ポート120は、通常、サーバまたはPCであるホスト122にリンクしている。通常、タグ・プログラマ104は、近くに位置する他のデバイスに影響を与えないで、個々のスキャナ105に、通常は15〜20cm以内の限られた場所でRFIDタグ102のプログラムが行われるハンドヘルド・デバイスである。代替実施態様においては、タグ・プログラマ104は、例えば、製造ラインまたは倉庫のような広い範囲にわたって構成データを同報通信する同報通信デバイスであってもよい。
【0045】
ある動作モードの場合には、無線周波源116は、通常、無線周波問い合わせ信号124を発生するが、この信号は、必ずしも持続波(CW)信号でなくてもよい。問い合わせ信号124は、変調/復調ユニット117で搬送波を変調し、アンテナ118を介して同報通信される。当業者であれば周知の任意の適切な変調ユニット117を使用することができる。
【0046】
問い合わせ信号124は、タグ102のアンテナ106で受信される。タグ102のIC108は、例えば、アンテナ106とインピーダンス整合しているショットキー・ダイオードにより問い合わせ信号を復調する。当業者であれば周知の他の適切な復調器も使用することができる。次に、IC108は、例えば、信号に埋め込まれているセキュリティ・コードをチェックするなどして、問い合わせ信号が有効であるか否かを判定する。問い合わせ信号が有効である場合には、IC108は、RFIDタグ102上に局所的に格納されている製品データにアクセスし、製品信号126を発生するために、この製品データにより無線周波数搬送波を変調する。製品信号126は、タグ・アンテナ106を介してタグ・プログラマのアンテナ118に送信され、ここから、製品データが搬送波から抽出され、タグ・プログラマのプロセッサ114に渡される変調/復調ユニット117に渡す。プロセッサ114は、プロセッサ114で受信した製品データに基づいて、通信ポート120を介してホスト122から正しい構成データを要求する。ホスト122は、プロセッサ114から受信した要求に基づいて、データベース130から構成データ128を選択する。構成データ128の典型的な例としては、デバイス構成設定、必要な構成設定を含むポインタまたはファイル名、デバイスに対する資産管理情報、ネットワーク、VPNにアクセスするために必要な暗号化キーまたは他のセキュリティ・トークン等があるが、これらに限定されない。
【0047】
次に、ホスト122は、構成データ128を、通信ポート120を介してプロセッサ114に渡す。次に、構成データ128により、変調/復調ユニット117で搬送波が変調され、アンテナ118を介してプログラミング信号132として同報通信される。当業者であれば周知の任意の適切な変調ユニット117を使用することができる。
【0048】
プログラミング信号132は、タグ102のアンテナ106で受信される。IC108は、例えば、アンテナ106とインピーダンス整合しているショットキー・ダイオードによる後方散乱タグの場合には、構成データ128が搬送信号から分離されるようにプログラミング信号132を復調する。当業者であれば周知の他の適切な復調器も使用することができる。次に、IC108は、例えば、信号に埋め込まれているセキュリティ・コードをチェックするなどして、プログラミング信号が有効であるか否かを判定する。問い合わせ信号が有効である場合には、IC108は、構成データ128を局所的に格納する。一般的に、構成データ128は、例えば、拡張可能なマークアップ言語(XML)のような工業規格フォーマットの形式をしている。
【0049】
この動作モードの場合には、製造施設から出荷中のデバイスのプログラミングを柔軟に行うことができる。何故なら、この動作モードの場合には、タグ・プログラマ104により送信された構成データを変更するために、人間のオペレータが介入しなくても、アップロードされる最終宛先に関連する構成データを、タグ・プログラマを通過中の各デバイスが有することができるからである。
【0050】
代替実施形態においては、ユーザは、例えば、ホスト122の画面上のキーボードまたはGUIにより、データベース130から構成データ128を選択する。端末は、構成データを、通信ポート120を介してプロセッサ114に渡す。次に、構成データ128により、変調/復調ユニット117で搬送波が変調され、アンテナ118を介してプログラミング信号132として同報通信される。当業者であれば周知の任意の適切な変調ユニット117を使用することができる。
【0051】
プログラミング信号132は、タグ102のアンテナ106で受信される。IC108は、すでに説明したように、構成データ128が搬送信号から分離されるように、プログラミング信号132を復調する。次に、IC108は、例えば、信号に埋め込まれているセキュリティ・コードをチェックするなどして、問い合わせ信号が有効であるか否かを判定する。問い合わせ信号が有効である場合には、IC108は、構成データ128を局所的に格納する。
【0052】
タグ・プログラマ104から同報通信された構成データ128は、ユーザによる変更が行われるまではそのままで変わらない。
【0053】
例えば、製造ラインの製品全体を1人の顧客に送らなければならない場合のように、大量のデバイスを同じ構成データで構成しなければならないような場合に、この配置は役に立つ。
【0054】
メーカは、スキャナ105を、それが設置される顧客に出荷する。顧客がスキャナ105の電源をオンにすると、スキャナ105のプロセッサ314は、構成データ128が存在するか否かを判定するために、RFIDタグのメモリにアクセスする。構成データ128が存在することを発見した場合には、構成データがスキャナのプロセッサ134により抽出され、例えば、NVRAMの設定を更新するために、適当な制御レジスタおよびメモリ位置に書き込まれる。代替実施態様においては、構成データ128はRFIDタグのIC108で暗号化されるので、制御レジスタおよび/またはメモリ位置に書き込まれる前に解読されなければならない。この実施態様においては、構成データ128の解読は、スキャナのプロセッサ134からの要求に応じて、RFIDタグのIC108で、またはRFIDタグのIC108からの構成データ128を抽出した後で、スキャナのプロセッサ134で行うことができる。
【0055】
タグのIC108の内部メモリの容量が小さい場合には、ファイル名または貴重な情報への「ポインタ」だけをIC108に格納することができる。これは、ファームウェアの更新、またはアプリケーション更新の位置またはスクリプト・ファイルを含む16進ファイルのファイル名であってもよい。通常、ポインタの配置は、すべてのまたは大部分の可能性のある構成データの組が、スキャナのメモリ内に格納されるようになっている。次に、ポインタは、どの構成データの組を使用するかを選択する。IC108のメモリ・サイズに余裕がある場合には、ポインタは、また、その構成に対する限られた数の修正を識別することができる。更新によりプログラムされている移動RFID送信機を使用することにより、顧客の構内のその場で、追加のファームウェア、BIOSおよびソフトウェア更新をスキャナ105に送ることができる。
【0056】
RFIDタグは、また、RFIDリンクを介して資産情報をPOSスキャナ105から顧客の維持サーバに転送するためにも使用することができる。スキャナ105は、例えば、一連番号、BIOSバージョン、CPUタイプおよび速度、RAMおよびディスク・ドライブ・サイズおよびタイプ、およびRFIDタグ内に取り付けられている周辺装置のような資産情報を維持する。維持サーバは、問題の資産を監視するためにタグ102に周期的に問い合わせを行う。これにより、全範囲の情報技術資産に対する資産管理の査定を集中的に行うことができる。
【0057】
ここで図3を参照すると、デバイス構成方法は、送信機で構成データを受信するステップを含む(ステップ300)。送信機は、構成データを、通常、RFIDチャネルである無線通信チャネルを介して、通常、セルフサービス・デバイスまたは端末である電子デバイスのプロセッサに接続しているタグに送信する(ステップ302)。タグのプロセッサは、タグのプロセッサで局所的に構成データを格納する(ステップ304)。デバイスのプロセッサは、電子デバイスに電力が供給されると、タグのプロセッサからの構成データにアクセスする。
【0058】
構成データがリモート・ホストに格納されるシステムを参照しながら本発明を説明してきたが、本発明は、構成データが、例えば、RFIDプログラマ・ユニットを含むPCのような送信機に局所的にデータ記憶装置上に格納される状況にも同様に適用することができることを理解することができるだろう。
【0059】
RFIDを参照しながら本発明を説明してきたが、本発明は、例えば、近距離通信(NFC)のような任意の非接触データ通信技術により実施することができることを理解することができるだろう。
【0060】
さらに、POSスキャナを参照しながら本発明を説明してきたが、本発明は、任意の適切なセルフサービス端末(SST)またはSSTのネットワークにも適用することができることを理解することができるだろう。適切なSSTの例としては、現金自動預け払い機(ATM)、情報キオスク、電子資金振り替え(EFT)端末、金融サービス・センター、請求書支払キオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機械、チェックインおよび/またはチェックアウト端末(例えば、小売店、ホテル、レンタカー、ゲーム、ヘルスケアおよび航空産業等で使用されているようなもの等)があるが、これらに限定されない。本発明は、プリンタ、DynaKey、キャッシュ/コイン・ディスペンサのような電子周辺デバイスの構成にも適用することができ、SSTの構成だけに限定されない。
【0061】
本明細書に記載したように、SSTは、それぞれが少なくとも1つの特定の機能を実行するために動作することができる1つまたは複数のモジュールを備える。通常、このモジュールは、顧客の行為および/またはSSTの(同様に、モジュールである)PCコアから受信したコマンドに応じてその機能を実施する。モジュールの例としては、ディスプレイ、ジャーナル・プリンタ、オペレータ・パネル、暗号化キーパッド、PCコア等があるが、これらに限定されない。
【0062】
通常、各モジュールは、モジュールがその機能を行うことができるようにするプロセッサと、モジュールがコントローラと通信することができるようにする通信施設とを備えるが、場合によってはこれらは必須のものではない。
【0063】
各モジュールは、モジュールの各機能の実行を助ける1つまたは複数のデバイスを備える。通常、各デバイスは、モジュール内に置換可能な部材を備える。デバイスの例としては、ディスプレイ・モジュール、ディスプレイ・パネル、ディスプレイ・パネル・ハウジング等のためのデバイスがあるが、これらに限定されない。
【0064】
各デバイスは、デバイスがモジュールの機能の実行を助けることができるように構成されている1つまたは複数の構成要素を備える。
【0065】
また、本明細書に記載する方法のステップは、任意の適切な順序で、または必要に応じて、同時に実行することができることを理解することができるだろう。本明細書に記載する方法は、有形記憶媒体上の機械読み取り可能形式のソフトウェアにより、または伝搬信号として実行することができる。
【0066】
本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、上記実施形態を種々に修正することができる。
【0067】
デバイス上にインストールされる設定の典型的な形式は、設定、設定可能なパラメータ、BIOS設定、またはファームウェアの新しいバージョンを含む。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、通信システムに関し、特に、非接触デバイスのデバイス構成方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機およびプログラマ・プロセッサを備えるプログラマ・ユニットと、
タグおよびデバイス・プロセッサを備える電子デバイスと、
を備え、
前記タグは、アンテナと、タグ・プロセッサと、通信ポートとを備え、
前記プログラマ・プロセッサは、構成データを受信し、局所的に前記構成データを格納するように配置され、
前記送信機は、前記構成データを前記タグに送信するように配置され、
前記アンテナは、前記構成データを格納している前記タグ・プロセッサから前記構成データを受信し、前記タグ・プロセッサへ前記構成データを渡すように配置され、
前記デバイス・プロセッサは、前記電子デバイスに電力が供給された場合に、前記通信ポートを介して前記構成データにアクセスするように配置される通信システム。
【請求項2】
前記タグが、RFIDタグを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記プログラマ・ユニットが、ハンドヘルド・デバイスを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記ハンドヘルド・デバイスが、ドッキング・ステーション、有線接続、無線接続のうちのいずれか1つを介して、前記ホストに対してインタフェースとして機能する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記タグが、前記送信機からの問い合わせ信号を受信した場合に、製品データを前記プログラマ・ユニットに送信するように配置され、前記プログラマ・プロセッサが、前記タグから受信した前記製品データに応じて、デバイス固有の構成データを要求するように配置され、前記送信機が、前記デバイス固有の構成データを備える構成信号を送信するように配置される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記プログラマ・プロセッサが、ユーザが選択した構成データを受信するように配置され、前記送信機が、前記ユーザが選択した構成データを含む構成信号を送信するように配置される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記構成データが、必要な構成設定、デバイスのための資産管理情報、例えば、ネットワークにアクセスし、ファイアウォールを通過するために必要な暗号鍵のような他のセキュリティ・トークンを含むポインタまたはファイル名のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記電子デバイスが、現金自動預け払い機(ATM)、情報キオスク、電子資金振り替え(FET)端末、金融サービス・センター、請求書支払キオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機械、チェックインおよび/またはチェックアウト端末、販売時点情報管理(POS)バーコード・スキャナ、POS端末のうちのいずれかを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
(i)送信機で構成データを受信するステップと、
(ii)前記構成データを、無線通信チャネルを介して、電子デバイスのプロセッサに接続しているタグに送信するステップと、
(iii)前記構成データを前記タグ内に局所的に格納するステップと、
(iv)前記電子デバイスに電力が供給された場合に、前記デバイスの前記プロセッサにより、前記タグから前記構成データにアクセスするステップと、
の各ステップを含むデバイス構成方法。
【請求項10】
前記送信機から問い合わせ信号を受信した場合に、製品データを前記タグから前記プログラマ・ユニットの受信機に送信するステップを含む、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項11】
前記デバイス固有の構成データを含む構成信号を送信するステップを含む、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項12】
前記送信機から前記ユーザが選択した構成信号を含む構成信号を送信するステップを含む、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項13】
前記タグが、RFIDタグである、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項14】
前記デバイスの電源がオフになっている時に、ステップ(ii)および(iii)を実行するステップを含む、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項15】
前記電子デバイスを包装した後でステップ(ii)を実行するステップを含む、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項16】
前記電子デバイスが、現金自動預け払い機(ATM)、情報キオスク、電子資金振り替え(FET)端末、金融サービス・センター、請求書支払キオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機械、チェックインおよび/またはチェックアウト端末、販売時点情報管理(POS)バーコード・スキャナ、POS端末のうちのいずれかを備える、請求項9に記載のデバイス構成方法。
【請求項17】
タグのプロセッサ上で実行した場合に、前記プロセッサに、
搬送波から問い合わせ信号を復調させ、
製品信号を形成するために、もう1つの搬送波上で製品データを変調させ、
構成信号から構成データを復調させ、
前記プロセッサに局所的に前記構成データを格納させ、
前記もう1つのプロセッサの受信電力に関連する要求に応じて、もう1つのプロセッサに前記構成データを出力させるソフトウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−146555(P2010−146555A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269248(P2009−269248)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】