説明

通信システム及びノード装置リセット方法

【課題】 余分なハードウェアを必要とせず、かつ回線リソースの浪費や通信コスト増大もなく、遠隔地にあるノード装置を迅速にリセット可能にする。
【解決手段】 ノード装置10-3で障害が発生したことを認識した制御装置30は、該ノード装置10-3に隣接するノード装置10-2,10-4のうちの例えばノード装置10-2に対してセル発行指示を送出する。このセル発行指示を受信することにより、ノード装置10-2は、障害発生箇所にあたる下流のノード装置10-3に対し、リセット用ヘッダ情報をヘッダ部に付加したリセット用セル70を送出する。ノード装置10-3は、上記リセット用セル70を受信することにより、自装置のCPUをハードウェアリセットする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のノード装置と該各ノード装置を制御する制御装置とを伝送路によりリング状に接続して成るリング型通信システムに係わり、詳しくは、上記リング内の該当ノード装置をリセットするノード装置リセット方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、鉄道管理システムや道路管理システムなどのシステム構築形態の1つとして、ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)交換機能を有する複数のノード装置を光ファイバ等の伝送路を介してリング状に配置するとともに、これら各ノード装置に監視カメラやモニタ装置等に相当するローカル通信端末を接続したうえで、伝送路に対してリング状に複数の仮想的な通信パスを設定し、該通信パスにより、上記各ローカル通信端末間の情報を各ノード装置を介して送受する形態が知られている。そして、実際の運用では、複数のノード装置が分散配置されたリング内に、当該各ノード装置を制御する例えば1つの制御装置を配置し、この制御装置によって上記通信の制御を行うものもある。
【0003】この種の通信システムにおいて、リング内の任意のノード装置に障害が発生した場合、以後、このノード装置に対しては、制御装置から何等の制御も行えなくなる。そこで、障害の発生したノード装置を何等かの方法によりリセットする必要があるが、こうした要求に対し、従来は、障害の発生したノード装置に設けられたリセットスイッチを押すなどしてリセットを行うのが一般的であった。
【0004】具体的には、システムの管理センタに設けられた制御装置にて任意のノード装置の障害が検出された場合、これを認識した担当者が、該当ノード装置まで車などの移動手段を用いて現地まで出向き、当該ノード装置のリセットスイッチを押すことによりそのリセットにあたっていた。この方法によりノード装置をリセットする場合、リセット対象のノード装置までの距離に比例してリセット完了が遅れ、システムの障害復旧に時間がかかることになった。
【0005】こうした不都合を回避するために、制御装置からの遠隔制御により該当ノード装置をリセットする方法もあった。図6は、この遠隔制御によるリセット方法を適用した従来システムの一例を示すものである。この従来システムは、伝送路40を介してリング状に配置されたノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6のうちの1つ(ノード装置10-6)とこれらを制御する制御装置30との間に遠隔リセット装置50を配置して構成される。なお、同図において、20-1,20-2は、ローカル通信端末であり、上述したカメラやモニタ装置等に相当する。
【0006】ここで、遠隔リセット装置50は、各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6との間に予めリセット用パス45を設定しておき、例えば、ノード装置10-3に障害(障害発生箇所80として×印で示す)が発生した場合、該ノード装置10-3に対して上記リセット用パス45を通じてリセット信号を送出し、当該ノード装置10-3をリセットする制御を行う。
【0007】このリセット方法では、遠隔リセット装置50を付加する必要が生じるとともに、遠隔リセット装置50と各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6間にリセット用パス45を設定する必要性から、伝送路(回線)のリソースが浪費されることになった。
【0008】また、図7は、遠隔制御によるリセット方法を適用した従来システムの別の例を示すものである。このシステムは、モデム60-1,60-2,60-3,60-4,60-5,…を用いることにより、制御装置30と各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,…を公衆網を介して接続し、任意のノード装置での障害の発生時、制御装置30から上記公衆網を介して当該障害に発生したノード装置のリセットを行うものである。
【0009】このリセット方法によれば、ハード面ではモデムなどの付加設備が必要になるとともに、ソフト面では、公衆網との接続処理が必要となり、通信コスト面での負担が大きかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来システムでは、障害等の発生したノード装置をリセットする場合、担当者が、現地まで出向き、該当ノード装置のリセットスイッチを操作するなどして手動でリセットを行う方法と、遠隔リセット装置を用いたりあるいはモデムを用いて公衆網と接続する等により、該当ノード装置を遠隔制御によりリセットする方法とがあった。
【0011】しかしながら、前者の方法では、リセット対象のノード装置の配置場所まで逐一出向く必要性から、障害復旧まで時間がかかるという問題点があった。
【0012】また、遠隔制御によりリセットする方法についても、例えば、リセット制御のためにだけに、遠隔リセット装置やモデムなどのハード面の追加が余儀なくされる他、ソフト面でも、遠隔リセット装置と各ノード装置間のリセット用パスの設定に伴い回線リソースの浪費が生じたり、公衆網接続にかかる通信費などのコスト負担が増大するという問題点があった。
【0013】本発明は上記問題点を解消し、余分なハードウェアを必要とせず、しかも回線リソースの浪費や通信コスト増大を招来することなく、遠隔地にあるノード装置を迅速にリセットできる通信システム及びノード装置リセット方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数のノード装置と該各ノード装置を制御する制御装置とを伝送路によりリング状に接続して成る通信システムにおいて、前記制御装置は、リセット対象のノード装置に隣接するノード装置に対してセル発行指示を送出するセル発行指示送出手段を具備し、前記ノード装置は、前記制御装置からの前記セル発行指示に基づき予め設定された任意のヘッダ情報を付加したリセット用セルを生成し、隣接するノード装置に送出するリセット用セル送出手段と、隣接するノード装置から受信したセル内のヘッダ情報が前記任意のヘッダ情報であるか否かを判定し、前記任意のヘッダ情報である場合、自装置のリセットを行うリセット制御手段とを具備することを特徴とする。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の発明において、任意のヘッダ情報は、通常の通信時のセルではあり得ない値を有するヘッダ情報であることを特徴とする。
【0016】請求項3の発明は、請求項1の発明において、ノード装置は、非同期転送モード(ATM)の交換機能を有するATM交換装置であることを特徴とする。
【0017】請求項4の発明は、複数のノード装置と該各ノード装置を制御する制御装置とを伝送路によりリング状に接続して成る通信システムのノード装置リセット方法において、前記制御装置は、リセット対象のノード装置に隣接するノード装置に対してセル発行指示を送出し、前記制御装置から前記セル発行指示を受信した前記ノード装置は、予め設定された任意のヘッダ情報を付加したリセット用セルを生成して前記リセット対象のノード装置に送出し、前記リセット対象のノード装置は、隣接するノード装置から受信したセル内のヘッダ情報が前記任意のヘッダ情報であるか否かを判定し、前記任意のヘッダ情報である場合、自装置のリセットを行うことを特徴とする。
【0018】請求項5の発明は、請求項4の発明において、任意のヘッダ情報は、通常の通信時のセルではあり得ない値を有するヘッダ情報であることを特徴とする。
【0019】請求項6の発明は、請求項4の発明において、ノード装置は、非同期転送モード(ATM)の交換機能を有するATM交換装置であることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの概略構成図である。この通信システムは、ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6を光ファイバ等を用いた伝送路40によりリング状に接続するとともに、このうちのノード装置10-6に制御装置30を接続して構成される。
【0021】ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6としては、例えばATM交換装置が用いられる。ATM交換装置は、VP(Virtual Path:仮想パス)とVC(Virtual Channel:仮想チャネル)という2レベルのネットワークにより実現されるATM交換網内で、入力ポートから入力してくる固定長のセル(ATMセル)を、このATMセル内に含まれているVPI(Virtual Path Identifier:仮想パス識別子)及びVCI(Virtual Channel Identifier:仮想チャネル識別子)に従って出力ポートへと交換処理する機能を有するものである。
【0022】各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6には、入出力ポートを介して、それぞれ1または複数のローカル通信端末が接続される。この例では、特に、ノード装置10-3に接続されるローカル通信端末20-1とノード装置10-4に接続されるローカル通信端末20-2のみを示している。同図に示す通信システムを例えば道路管理システムとして構築する場合、上記ローカル通信端末20(20-1,20-2)として、道路状況を撮影するカメラや該カメラにより撮影された動画画像情報を表示するモニタ装置、あるいは直接収容可能なATM端末等を用いることができる。
【0023】制御装置30は、リング内の各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6との間に制御用パス41を設定し、この制御用パス41を通じて各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6を制御する。この制御用パス41は、伝送路40内に形成し得る仮想的なパスの1つである。
【0024】この他、伝送路40内に形成可能な仮想的なパスとしては、ユーザデータ伝送専用のユーザパスがある。ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6を介しての端末間のデータ伝送には、このユーザパスが用いられる。一例として、ローカル通信端末20-1及び20-2をそれぞれモニタ装置及びカメラとし、これらモニタ装置(20-1)とカメラ(20-2)間で通信を行う場合、制御装置40は、まず、モニタ装置(20-1)及びカメラ装置(20-2)を管轄するノード装置10-3及び10-4間の伝送路40内にユーザパスを設定する。
【0025】上記ユーザパス設定後、カメラ(20-2)からの動画画像情報は、ノード装置10-4の入出力ポートから入力され、ノード装置10-3方向に交換された後、右回りユーザパスを通じてノード装置10-3に送られ、該ノード装置10-3内でその入出力ポートに交換出力されてモニタ装置(20-1)に伝送され、再生出力される。また、モニタ装置(20-1)から出力されるカメラ(20-2)の制御情報等の情報は、ノード装置10-3の入出力ポートから入力され、ノード装置10-2方向に交換出力された後、右回りユーザパスを通じ、ノード装置10-1、10-6、10-5を経由してノード装置10-4に送られ、該ノード装置10-4内でその入出力ポートに交換出力されてカメラ(20-2)に伝送される。
【0026】上記通信において、カメラ(20-2)からの動画画像情報及びモニタ装置(20-1)からの制御情報等の情報は、ATMセルの形態で、上記各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6間を交換伝送される。
【0027】図2は、この通信システムに用いられるATMセルのフォーマットの一例を示したものであり、同図(a)は基本構成情報要素を、同図(b)はこの基本構成情報要素のうちの特定情報要素の具体値をそれぞれ示している。同図(a)からも分かるように、ATMセルは、GFC(Generic Flow Control:フロー制御)、VPI(Virtual Path Identifier:仮想パス識別子)、VCI(Virtual Channel Identifier:仮想チャネル識別子)、PT(Payload Type:ペイロードタイプ)、CLP(Cell Loss Priority:セル損失優先表示)、HEC(Header Error Control:ヘッダ誤り制御)等のヘッダ部と、情報フィールドであるペイロード部によって構成される。ヘッダ部のうちの、GFC、VPI、VCI、PT及びCLPは、それぞれ同図(b)に示す如くの値を有している。
【0028】各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6は、それぞれセルの入力ポート及び出力ポートをVPI、VCIに対応付けて登録したスイッチングテーブルを持ち、このスイッチングテーブルに従って、ATMスイッチ部におけるセル交換動作を行う。
【0029】以上の如く、制御装置30は、各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6間あるいは各ローカル通信端末20間の通信の制御を行う。本発明において、制御装置30は、更に、各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6の障害の発生を検出し、この障害の発生したノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6を遠隔制御によりリセットする制御を行う。
【0030】本発明におけるノード装置のリセット制御の概要を図3を参照して説明する。図3において、ノード装置10-3に何等かの障害(障害箇所80として×印で示す)が発生すると、制御装置30から当該ノード装置10-3への一切の制御が不可能となる。この制御不可能な状態に陥ったことを、制御装置30は、ノード装置10-3に障害が発生したものとして認識する。ノード装置10-3の障害発生認識後、制御装置30は、当該ノード装置10-3に隣接するノード装置10-2またはノード装置10-4のいずれか一方に対し、制御用パス41を通じてセル発行指示を送出する。
【0031】ノード装置10-2またはノード装置10-4は、上記セル発行指示を受信することにより、伝送路40を通じて、ノード装置10-3に対してリセット用セル70を送出する。ノード装置10-3は、上記リセット用セル70を受信することにより、自装置のリセットを行う。
【0032】このように、本発明では、制御装置30からリセット対象のノード装置(10-3)に隣接するノード装置(10-2または10-4)に対してセル発行指示を送出し、該セル発行指示に基づき上記隣接ノード装置(10-2または10-4)からリセット対象のノード装置(10-3)に対してリセット用セル70を送出させることにより当該ノード装置(10-3)をリセットさせるようにしている。
【0033】このリセット方法によれば、各ノード装置10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6にリセット用セル70を送出する機能と、リセット用セル70により自装置をリセットする機能を付加するだけで実現でき、遠隔リセット装置50やモデム60等の特別な装置を用いる必要がなくなる。また、ソフト面では、リセット用パスを用いずに済み、回線リソースを効率的に利用できるとともに、公衆網を介してリセットする場合等のような通信コスト負担も無くなる。
【0034】なお、図3で述べたリセット制御において、リセット対象のノード装置10-3に隣接するノード装置10-2または10-4のどちらからリセット用セル70を送出させるか、及びそのリセット用セル70の送出タイミングは、制御装置30からの要求により決定される。
【0035】次に、上記リセット制御を実現するためのシステム構成について説明する。この場合の通信システムとしては、上記リセット用セル70として、図2に示す如くの通常のフォーマットから成るものであって、かつヘッダ部の例えばVPI、VCI値が通常のユーザデータとしてはあり得ない値(例えば、通信規約の勧告外の値)を有するATMセルを用いるものを前提としている。この場合において、各ノード装置10(10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6)は、通常ではあり得ないVPI、VCI値をリセット用ヘッダ情報として予め保持しており、制御装置30からセル発行指示を受信することにより、上記リセット用ヘッダ情報をヘッダ部に付加したATMセルをリセット用セル70として送出し、また、受信されたATMセル内のヘッダ部の値が上記リセット用ヘッダ情報と一致した場合、リセット用セル70と認識して自装置をリセットするものとする。
【0036】図4は、かかる前提の本発明の通信システムに用いられるノード装置10の一実施の形態を示すブロック図である。同図に示す如く、本発明に係わるノード装置10は、ユーザ・ネットワーク・インタフェース(UNI)部11a,11b、セル検出部12a,12b、スイッチ部13、制御部〔以下、CPU(中央処理装置)という〕14、リセットスイッチ15を具備して構成される。
【0037】UNI部11a,11bは伝送路40との間でデータ(ATMセル)の送受に係わる制御を行う。セル検出部12a,12bは、UNI部11a,11bから入力されるセルが通常のセルかリセット用セル70かを検出し、通常のセルであればそのままスイッチ部13に転送し、リセット用セル70であれば、自装置のCPU14をハードウェアリセットする制御を行う。スイッチ部13は、入力セルを該セルの入力ポートに対応する出力ポートを通じて送出するセル交換の動作を行う。本発明では、このスイッチ部13内に、セルを交換する機能を司るコアスイッチ133の他、ヘッダ付与部131、セル送出部132が設けられる。ヘッダ付与部131は、CPU14からの所定の指示に基づき、上記リセット用ヘッダ情報をヘッダ部に付与したリセット用セル70を生成するものである。セル送出部132は、上記セルヘッダの付与されたリセット用セル70を隣接するノード装置10に送出するものである。
【0038】CPU14は、セルの入力ポート及び出力ポートをVPI、VCIに対応付けて登録したスイッチングテーブルを持ち、このスイッチングテーブルに従って、上記スイッチ部13におけるセル交換動作の制御を行う。リセットスイッチ15は、自装置のCPU14が動作不能に陥った場合、当該CPU14を手動によりハードウェアリセットするスイッチである。
【0039】次に、このノード装置10におけるリセット制御動作について説明する。まず、本システムの運用に先立って、制御装置30は各ノード装置10に対してリセット制御のための初期設定信号を制御用パス41を通じて送出する。各ノード装置10では、制御用パス41(伝送路40内)により送られてくる上記初期設定信号を例えばUNI部11aにより受信し、セル検出部12a、スイッチ部13での交換処理を経てCPU14に取り込む。CPU14は、この初期設定信号を受信することにより、予めリセット制御用に定められているリセット用ヘッダ情報を、セルヘッダ設定信号線101a,101bを通じてセル検出部12a,12b内の比較テーブル121(図5参照)に書き込む。なお、このリセット用ヘッダ情報の値は、例えば、ノード装置10に設けられているディップスイッチ(図示せず)を操作することにより設定可能である。この他、当該リセット用ヘッダ情報は、制御装置30から上記初期設定信号と共に各ノード装置10に配布するようにしても良い。
【0040】上記初期設定の後、システム内のいずれかのノード装置10に障害が発生し、当該ノード装置10のリセットが必要になった場合、制御装置30は、このリセット対象のノード装置10に隣接するノード装置10に対し、制御用パス41を通じてセル発行指示を送出する。
【0041】ここで、図4におけるノード装置10がセル送出元のノード装置である場合のリセット用セル送出動作について説明する。この場合、当該ノード装置10では、制御用パス41(伝送路40内)により送られてくる上記セル発行指示を、例えばUNI部11aにより受信し、セル検出部12a、スイッチ部13での交換処理を経てCPU14に取り込む。CPU14は、このセル発行指示を受信することにより、スイッチ部13に対してリセット用セル70を送信することを指示する。この指示により、スイッチ部13内のヘッダ付与部131ではセル検出部12a,12bの比較テーブル121内に格納されているリセット用ヘッダ情報を付与したリセット用セル70を生成し、セル送出部132では、このリセット用セル70を、コアスイッチ133、セル検出部12b、UNI部11b、伝送路40を介して隣接するノード装置10に向けて送出する。
【0042】なお、ここでは、リセット用セル70をセル検出部12b、UNI部11b方向に送出する例を挙げたが、このリセット用セル70を当該方向に送出するかあるいはセル検出部12a、UNI部11a方向に送出するかは制御装置30からの指示により決まるものであり、障害が発生している(リセット対象の)ノード装置10が接続されているポートへ出力されることは言うまでもない。
【0043】次に、図4におけるノード装置10がリセット対象のノード装置である場合のリセット動作について説明する。この場合、当該ノード装置10は、ユーザパス(伝送路40内)により送られてくるATMセルを、例えばUNI部11aにより受信し、セル検出部12aに取り込む。ここで、セル検出部12aは、入力されるセルが通常のATMセルかリセット用セル70かを検出し、通常のATMセルであればそのままスイッチ部13に転送し、リセット用セル70であれば、自装置のCPU14をハードウェアリセットする制御を行う。
【0044】このセル検出部12aでのより具体的な動作について図5を参照して説明する。同図は、セル検出部12(12a,12b)の詳細な構成を示す図であり、上述したリセット用セル70に付与するためのリセット用ヘッダ情報を保持する比較テーブル121、入力セル中のセルヘッダと比較テーブル121内のリセット用ヘッダ情報との比較を行う比較部122、この比較部122の比較結果とリセットスイッチ15の操作信号との論理和(OR)信号を出力する論理和(OR)回路123を具備して構成される。
【0045】上述の如くUNI部11aから取り込まれたATMセルは、セル検出部12a内の比較部122に入力される。ここで、比較部122は、この入力セル内のセルヘッダと比較テーブル121に保持されたリセット用ヘッダ情報とを比較し、両者が一致するか否かの判定結果をOR回路123に出力する。
【0046】ここで、両者が不一致の場合、比較部122の出力は「L」レベルとなり、この時、リセットスイッチ15が操作(閉成)されていない限り、OR回路123の出力すなわちリセット信号も「L」レベルを維持する。これにより、CPU14のリセットは行われることがない。なお、この時、セル検出部12aは、比較部122の出力「L」レベルを基に、入力セルが通常のATMセルであるものと認識し、当該入力セルをそのままスイッチ部13に転送する。これにより、当該入力セルは、通常のユーザパスあるいは制御情報が流れる制御用パス41上のセルとしてそのまま交換接続される。
【0047】一方、入力セル内のセルヘッダと比較テーブル121に保持されたリセット用ヘッダ情報が一致した場合、比較部122の出力は「H」レベルとなり、この時、リセットスイッチ15の操作状態に拘わらず、OR回路123の出力すなわちリセット信号も「H」レベルとなる。これにより、OR回路123からリセット信号線102aを通じてリセット信号がCPU14に入力され、当該CPU14のハードウェアリセットが行われる。なお、この時、セル検出部12aは、比較部122の出力「H」レベルを基に、入力セルがリセット用セル70であるものと認識し、当該リセット用セル70をスイッチ部13に転送せずに廃棄する。
【0048】以上は、セル検出部12aでの動作であるが、セル検出部12bにおいても、入力セルが通常のセルであるかリセット用セル70であるかの判定を行い、リセット用セル70である場合には、リセット信号線102bを介してCPU14のハードウェアリセットを行う。これにより、ノード装置10がダウンし、制御装置30からの制御が可能であるか否かに拘わらず、リセットスイッチ15を押した場合と同様に、CPU14のハードウェアリセットを行い、システムを再起動させることができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、制御装置からリセット対象のノード装置に隣接するノード装置に対してセル発行指示を送出するとともに、上記セル発行指示を受信したノード装置は、予め設定された任意のヘッダ情報を付加したリセット用セルを生成してリセット対象のノード装置に送出し、更に、リセット対象のノード装置は、隣接するノード装置から受信したセル内のヘッダ情報が上記任意のヘッダ情報であるか否かを判定し、任意のヘッダ情報である場合、自装置のリセットを行うようにしたため、ハード面では、ノード装置内に上記リセット用セルを送出及び判別するためのわずかの機能を追加するだけで済み、かつソフト面では、リセット制御専用の余分なパスや公衆網との接続制御が不要となることにより、余分なハードウェアを必要とせず、しかも回線リソースの浪費や通信コスト増大を招来することなく、遠隔地にあるノード装置を迅速にリセットできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる通信システムの概略構成を示す図。
【図2】図1におけるシステムで用いるセルのフォーマットを示す図。
【図3】図1におけるシステムでのノード装置リセット動作を説明するための図。
【図4】ノード装置全体の概略構成を示す図。
【図5】ノード装置におけるセル検出部の詳細構成を示す図。
【図6】ノード装置リセット制御機能を有する従来システムの一例を示す図。
【図7】ノード装置リセット制御機能を有する従来システムの別の例を示す図。
【符号の説明】
10,10-1,10-2,10-3,10-4,10-5,10-6 ノード装置
11a,11b ユーザ・ネットワーク・インタフェース(UNI)
12a,12b セル検出部
121 比較テーブル
122 比較部
123 論理和(OR)回路
13a,13b スイッチ部
131 ヘッダ付与部
132 セル送出部
133 コアスイッチ
14 制御部(CPU:中央処理装置)
101a,101b セルヘッダ設定信号線
102a,102b リセット信号線
15 リセットスイッチ
20-1 ローカル通信端末(モニタ装置)
20-2 ローカル通信端末(カメラ)
30 制御装置
40 伝送路
41 制御用パス
45 リセット用パス
50 遠隔リセット装置
60-1,60-2,60-3,60-4,60-5 モデム
70 リセット用セル
80 障害発生箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のノード装置と該各ノード装置を制御する制御装置とを伝送路によりリング状に接続して成る通信システムにおいて、前記制御装置は、リセット対象のノード装置に隣接するノード装置に対してセル発行指示を送出するセル発行指示送出手段を具備し、前記ノード装置は、前記制御装置からの前記セル発行指示に基づき予め設定された任意のヘッダ情報を付加したリセット用セルを生成し、隣接するノード装置に送出するリセット用セル送出手段と、隣接するノード装置から受信したセル内のヘッダ情報が前記任意のヘッダ情報であるか否かを判定し、前記任意のヘッダ情報である場合、自装置のリセットを行うリセット制御手段とを具備することを特徴とする通信システム。
【請求項2】 任意のヘッダ情報は、通常の通信時のセルではあり得ない値を有するヘッダ情報であることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】 ノード装置は、非同期転送モード(ATM)の交換機能を有するATM交換装置であることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】 複数のノード装置と該各ノード装置を制御する制御装置とを伝送路によりリング状に接続して成る通信システムのノード装置リセット方法において、前記制御装置は、リセット対象のノード装置に隣接するノード装置に対してセル発行指示を送出し、前記制御装置から前記セル発行指示を受信した前記ノード装置は、予め設定された任意のヘッダ情報を付加したリセット用セルを生成して前記リセット対象のノード装置に送出し、前記リセット対象のノード装置は、隣接するノード装置から受信したセル内のヘッダ情報が前記任意のヘッダ情報であるか否かを判定し、前記任意のヘッダ情報である場合、自装置のリセットを行うことを特徴とするノード装置リセット方法。
【請求項5】 任意のヘッダ情報は、通常の通信時のセルではあり得ない値を有するヘッダ情報であることを特徴とする請求項4記載のノード装置リセット方法。
【請求項6】 ノード装置は、非同期転送モード(ATM)の交換機能を有するATM交換装置であることを特徴とする請求項4記載のノード装置リセット方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−4229(P2000−4229A)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−165359
【出願日】平成10年6月12日(1998.6.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】