説明

通信システム及び情報通知方法

【課題】ユーザ同士の通信が困難であったとしても、一方のユーザが他方のユーザの情報を簡易に取得できるようにすること。
【解決手段】通信システムは、少なくとも第1のユーザの行動履歴情報を保存するファイルサーバと、第2のユーザのユーザ装置からの第1のユーザ宛の発信要求が規制により拒否された場合に、発信要求が示す宛先及び発信元を前記ファイルサーバに通知する交換機とを有し、ファイルサーバは、交換機から通知された宛先である第1のユーザの行動履歴情報を抽出し、行動履歴情報を記発信元である前記第2のユーザのユーザ装置に送信する.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システム及び情報通知方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生した場合、ユーザ同士の間で通信を行うことは容易でなくなる。特に、回線交換(CS)方式のネットワーク(CS網)を介する通信は、災害時において規制されることが多く、一般のユーザによるCS発信(CS網における発信)は規制により拒否されやすい。このような状況においても一方のユーザが他方のユーザの情報を取得できるようにするため、災害伝言板や災害ダイヤルのシステムを使用することで、電話やパーソナルコンピュータにより何らかの情報を取得することができる。概して、このようなシステムの場合、一方のユーザが災害伝言板として機能するサーバにメッセージを登録し、他方のユーザがそのサーバからメッセージを取得する。従来の災害伝言板に関する技術については特許文献1、2等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−200821号公報
【特許文献2】特開2008−139915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の災害伝言板のようなシステムは、メッセージの登録や抽出の際に複雑な手順を必要とし、通信端末の操作に不慣れなユーザにとって簡易なものではない。
【0005】
本発明の課題は、ユーザ同士の通信が困難であったとしても、一方のユーザが他方のユーザの情報を簡易に取得できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例による通信システムは、
少なくとも第1のユーザの行動履歴情報を保存するファイルサーバと、
第2のユーザのユーザ装置からの前記第1のユーザ宛の発信要求が規制により拒否された場合に、該発信要求が示す宛先及び発信元を前記ファイルサーバに通知する交換機と
を有し、前記ファイルサーバは、前記交換機から通知された前記宛先である前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出し、該行動履歴情報を前記発信元である前記第2のユーザのユーザ装置に送信する、通信システムである。
【発明の効果】
【0007】
一実施例によれば、ユーザ同士の通信が困難であったとしても、一方のユーザが他方のユーザの情報を簡易に取得できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施例による安否確認システムを示す図。
【図2】安否確認システムにおいて使用される動作例を示す動作シーケンス。
【図3】安否確認システムに使用されるファイルサーバの機能ブロック図。
【図4】災害時の避難場所に設けられたICリーダがファイルサーバに接続されている様子を示す図。
【図5】災害時の避難場所にメッセージ毎に設けられた複数のICリーダがファイルサーバに接続されている様子を示す図。
【図6】発信履歴の情報をファイルサーバに保存する様子を示す図。
【図7】位置登録の情報をファイルサーバに保存する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の観点から実施例を説明する。
【0010】
1.安否確認システム
2.動作例
3.ファイルサーバ
4.ファイルサーバに保存する情報
4.1 音声メッセージ
4.2 非定型文のテキストメッセージ
4.3 定型文のテキストメッセージ
4.4 ユーザの行動履歴情報
4.4.1 最終通話時間
4.4.2 最終在圏位置
4.4.3 移動しているか否か
【実施例1】
【0011】
<1.安否確認システム>
図1は一実施例による安否確認システムを示す。図1には安否確認システムに備わる様々な処理部、機能部又はノードのうち実施例に特に関連するものが示されている。安否確認システムは、第1のユーザが使用する第1のユーザ装置UE#1(11)と、第2のユーザが使用する第2のユーザ装置UE#2(12)と、交換機13と、ファイルサーバ14とを少なくとも含む。説明の便宜上、2つのユーザ装置しか示されていないが、ユーザ装置の台数は任意である。
【0012】
第1及び第2のユーザ装置UE#1及びUE#2は、それぞれ第1及び第2のユーザが使用するユーザ装置である。ユーザ装置は、回線交換網(CS網)及びパケット交換網(PS網)のうちの少なくとも一方を用いて通信を行うことが可能な適切な何らかの通信装置であり、固定端末でもよいし、移動端末でもよい。ユーザ装置は、具体的には、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。
【0013】
交換機13は、回線交換網(CS網)及びパケット交換網(PS網)における通信を制御するコアネットワークのノードである。概して、回線交換網(CS網)は音声電話やTV電話等の音声系サービスを提供するための通信網である。パケット交換網(PS網)はウェブブラウジング等のようなデータ通信系サービスを提供するための通信網である。交換機13は、例えば、加入者情報の管理、移動管理、発着信制御、課金制御、QoS制御等を行う。
【0014】
ファイルサーバ14は、第1のユーザのユーザ装置UE#1等を通じて提供されたメッセージや、交換機13等により提供された第1のユーザの行動履歴情報等を保存する。本願におけるメッセージは、音声メッセージだけでなく、テキストメッセージも含む概念である。行動履歴情報は、第1のユーザが行った発信履歴等を含む通話履歴の情報、第1のユーザが利用したサービスの利用履歴情報、第1のユーザのユーザ装置UE#1について行われる位置登録の情報等により表現される。ファイルサーバ14に保存される情報については、「4.ファイルサーバに保存する情報」において詳細に説明する。
【0015】
図示の安否確認システムでは、概して、第2のユーザのユーザ装置UE#2からの第1のユーザ宛の発信要求が規制により拒否された場合に、その発信要求が示す宛先及び発信元が交換機13からファイルサーバ14に自動的に通知される。災害時等において、交換機13はそのように動作するように動作モードが通常モードから災害モードに切り替えられている。ファイルサーバ14は、交換機13から通知された宛先である第1のユーザを特定し、第1のユーザの情報(メッセージ、行動履歴情報等)を抽出し、その情報を発信元である第2のユーザのユーザ装置に送信する。ファイルサーバへの情報の登録の際及び第2のユーザが情報を取得する際に、従来必要とされていたような複雑な手順は必要ないので、第2のユーザは第1のユーザの情報を簡易に取得することができる。
【0016】
<2.動作例>
図2は、図1に示されているような安否確認システムにおいて使用される動作例を示す。ステップS201において、ユーザ装置UE#1を有する第1のユーザの情報がファイルサーバ14に転送される。
【0017】
ステップS202において、第1のユーザの情報がユーザ装置以外のノードからファイルサーバ14に転送される。ユーザ装置以外のノードは、例えば、交換機や情報管理サーバ等である。
【0018】
ステップS203において、ファイルサーバ14は、ユーザ装置又はユーザ装置以外のノードから転送されてきた情報を保存する。ファイルサーバ14が保存する情報は、第1のユーザのユーザ装置を通じて取得されたメッセージでもよいし、ユーザ装置以外のノードから取得された行動履歴情報でもよい。ユーザ装置を通じて取得されたメッセージは、例えば、音声メッセージでもよいし、非定型文によるテキストメッセージでもよいし、定型文によるテキストメッセージでもよい。ユーザ装置以外のノードから取得された行動履歴情報は、例えば、第1のユーザの発信履歴に基づく最終通話時間の情報や、第1のユーザの位置登録に基づく最終在圏位置の情報等である。ファイルサーバ14は、第1のユーザが発声又は作成したメッセージを保存する場合、第1のユーザが指定した特定の又は不特定の宛先とともに保存してもよい。特定の又は不特定の宛先は、災害時等において、第1のユーザに連絡しようとしたユーザのうち、ファイルサーバ14に保存されている情報(メッセージ又は行動履歴情報)が提示されるように許可されているユーザである。災害時等においてそのような情報を特定の又は不特定のユーザに提示するか否かは、第1のユーザが決定する。例えば、第1のユーザがユーザ装置を使用するための契約を締結する際にそのような決定が行われてもよいし、契約締結後の任意の時点で決定又は変更が行われてもよい。特定の宛先は、例えば、具体的に特定されたユーザや、第1のユーザの家族に該当するユーザである。不特定の宛先は、メッセージの通知先が特定のユーザに限定されておらず、第1のユーザにアクセスした誰にでも通知されてよいことを示す。
【0019】
ファイルサーバ14は、転送されてきた音声メッセージだけでなく、追加的に又は代替的に、その音声メッセージをテキストメッセージに変換したものを保存してよい。また、ファイルサーバ14は、転送されてきたテキストメッセージだけでなく、追加的に又は代替的に、そのテキストメッセージを音声メッセージに変換したものを保存してよい。さらに、ファイルサーバ14は、転送されてきた行動履歴情報をそのままテキストメッセージとして保存してもよいし、音声メッセージや修正されたテキストメッセージに変換して保存してもよい。修正されたテキストメッセージは、行動履歴情報に示される情報(時刻、宛先、場所等)を含む文章として作成されたテキストメッセージである。
【0020】
ファイルサーバ14は様々な方法で取得した情報を保存する。第1のユーザがファイルサーバ14に情報を保存する場合、回線交換網(CS網)を通じて保存してもよいし、パケット交換網(PS網)を通じて保存してもよい。第1のユーザによる音声又はテキストメッセージの保存を容易にするため、ファイルサーバ14は第1のユーザに対して操作案内やガイダンスを行うことが望ましい。
【0021】
ファイルサーバ14に保存される情報については、「4.ファイルサーバに保存する情報」において詳細に説明する。
【0022】
ステップS205において、第2のユーザが第1のユーザ宛に発信を行う。この発信は、CS網によるCS発信でもよいし、PS網によるPS発信でもよい。
【0023】
ステップS207において、第2のユーザからの発信の要求を受けた交換機13は、宛先の第1のユーザへ接続できるか否かを確認する。接続できる場合、第1のユーザの位置登録エリアに対してページング又は呼び出しを行い、応答を待機し、呼の接続が行われる(ステップS209)。しかしながら、災害時、輻輳時又は障害時の場合、第2のユーザによる第1のユーザ宛の発信は、例えば規制により拒否される。従来のシステムの場合、この段階で第2のユーザは通信を断念するか、あるいは第2のユーザは第1のユーザ宛のメッセージを残す。しかしながら、本実施例において、第2のユーザによる第1のユーザ宛の発信が拒否された場合、発信の要求を受けた交換機13は、発信の接続先をファイルサーバ14に自動的に切り替え、呼接続を切断しない(ステップS211)。具体的には、第1のユーザ宛の発信が拒否された場合、交換機14は、発信における宛先(第1のユーザ)及び発信元(第2のユーザ)の情報をファイルサーバ14に通知する。
【0024】
交換機13が、ステップS211において、拒否された発信の接続先をファイルサーバ14に切り替える動作は、常に行う必要はなく、例えば災害時に限定して行うことが望ましい。
【0025】
ステップS213において、ファイルサーバ14は、交換機14から通知された情報に基づいて、ユーザの情報を抽出する。具体的には、ファイルサーバ14は、交換機14から通知された宛先の情報(第1のユーザ)に基づいて、保存している情報の中から、第1のユーザの情報(音声メッセージ又はテキストメッセージ)を抽出する。第1のユーザの情報について、特定の又は不特定の宛先が指定されていた場合、ファイルサーバ14は、通知された発信元(第2のユーザ)が、その特定の又は不特定の宛先に該当するか否かを判定する。該当していた場合、ステップS215において、ファイルサーバ14は、第1のユーザの情報が存在することを第2のユーザに通知する。この段階において、第2のユーザは発信が規制により拒否されたことを未だ知らないので、ステップS215における通知は、例えば次のような案内文とともに行われることが望ましい。
【0026】
「現在、ネットワークが混み合っているため接続できませんが、○○様(第1のユーザ)の情報をお伝えします」
なお、第1のユーザの情報(音声メッセージ又はテキストメッセージ)が複数個存在する場合、例えば異なる時刻の情報が存在していた場合、第2のユーザはそれら複数の情報の全部又は一部を指定する(ステップS217)。
【0027】
ステップS219において、ファイルサーバ14は、第2のユーザが指定した情報を第2のユーザに提供する。
【0028】
ステップS215、S217及びS219の処理において、第2のユーザによる操作を簡易にする観点からは、ファイルサーバ14は、音声又は文字による案内(ガイダンス)を行うことが望ましい。あるいは、ステップS215及びS217において第2のユーザが情報を指定する処理を省略し、第1のユーザの情報のうち第2のユーザに提供してよい全ての情報が、第2のユーザに自動的に提供されてもよい。その場合、第2のユーザは、ステップS205の後、自動的に第1のユーザの情報を受けることができるので、これは利便性等の観点から有利である。
【0029】
ステップS205において、第2のユーザは、回線交換網(CS網)による発信、パケット交換網(PS網)による発信、電子メールの送信、ウェブページによる安否確認等の様々な方法でアクセスする可能性がある。したがって、第2のユーザがアクセスする通信方式によっては、音声メッセージ及びテキストメッセージのうちの一方しか使用できないかもしれない。上述したように、ファイルサーバ14は、第1のユーザの情報を保存する際、同一内容の情報を音声及びテキストメッセージの双方の形式で保存することができる。さらに、第1のユーザの行動履歴情報も音声及びテキストメッセージの双方の形式で保存することができる。そこで、ファイルサーバ14は、ステップS219において第2のユーザに第1のユーザの情報を提供する場合に、第2のユーザの通信方式に相応しい形式の情報を提供することが望ましい。
【0030】
<3.ファイルサーバ>
図3は、ファイルサーバの機能ブロック図を示す。図示のファイルサーバは、図1に示す安否確認システムにおけるファイルサーバ14として使用可能である。図3にはファイルサーバに備わる様々な機能部又は処理部の内、実施例に特に関連するものが示されている。ファイルサーバは、情報受信部31、記憶部32、抽出部33、送信部34及び情報変換部35を少なくとも有する。
【0031】
情報受信部31は、ユーザ装置又はユーザ装置以外のノードから、ユーザの情報を受信する。ユーザ装置以外のノードは、例えば、発着信の制御や位置登録等の処理を行う交換機、ユーザの安否情報を管理するネットワークサーバ等である。
【0032】
記憶部32は、音声メッセージ及び/又はテキストメッセージのようなユーザの情報を記憶又は保存する。
【0033】
抽出部33は、記憶部32に保存されているユーザの情報の内、発信が拒否されたユーザ(発信元に該当するユーザ)に提供する情報(宛先に該当するユーザの情報)を抽出する。
【0034】
送信部34は、抽出部33により抽出された情報を、発信元のユーザに提供する。
【0035】
情報変換部35は、情報受信部31により受信した音声メッセージをテキストメッセージに変換し、記憶部32に保存する。また、情報変換部35は、情報受信部31により受信したテキストメッセージを音声メッセージに変換し、記憶部32に保存する。さらに、情報変換部35は、情報受信部31により受信した行動履歴情報を、音声メッセージやテキストメッセージに変換して記憶部32に保存する。
【0036】
<4.ファイルサーバに保存する情報>
以下、図1のファイルサーバ14に保存する具体的な情報について説明する。上述したように、ファイルサーバ14に保存される情報は、音声メッセージ、非定型文のテキストメッセージ、定型文のテキストメッセージ及びユーザの行動履歴情報等により表現される。
【0037】
<<4.1 音声メッセージ>>
ファイルサーバ14は音声メッセージを保存することができる。音声メッセージは、第1のユーザがユーザ装置を通じて喋った音声でもよいし、何らかのテキストメッセージから変換されたものでもよい。第1のユーザがユーザ装置を通じて喋った音声が音声メッセージとしてファイルサーバ14に保存される場合、図2のステップS201によりユーザの音声がファイルサーバ14に通知される。第1のユーザは、音声メッセージを提供するユーザの範囲を、特定の又は不特定のユーザに指定することができる。特定のユーザは、第1のユーザが具体的に指定したユーザ(例えば、友人、知人、家族等)である。不特定のユーザは、第1のユーザが具体的に宛先を指定しなかった場合であり、第1のユーザに連絡又はアクセスしようとしたユーザ全員が該当する。第1のユーザの音声メッセージを提供する範囲は、第1のユーザがユーザ装置を使用するための契約を締結する際に設定されてもよいし、その後の任意の時点で設定又は変更されてもよい。
【0038】
<<4.2 非定型文のテキストメッセージ>>
ファイルサーバ14は非定型文のテキストメッセージを保存することができる。非定型文のテキストメッセージは、第1のユーザがユーザ装置を通じて入力した文章でもよいし、何らかの音声メッセージから変換されたものでもよい。第1のユーザがユーザ装置を通じて入力した文章がテキストメッセージとしてファイルサーバ14に保存される場合、図2のステップS201によりユーザの文章がファイルサーバ14に通知される。非定型文とは、予め文章が決まっている定型文とは別に、第1のユーザが自由に作成した文章である。第1のユーザは、テキストメッセージを提供するユーザの範囲を、特定の又は不特定のユーザに指定することができる。特定のユーザは、第1のユーザが具体的に指定したユーザ(例えば、友人、知人、家族等)である。不特定のユーザは、第1のユーザが具体的に宛先を指定しなかった場合であり、第1のユーザに連絡又はアクセスしようとしたユーザ全員が該当する。第1のユーザのテキストメッセージを提供する範囲は、第1のユーザがユーザ装置を使用するための契約を締結する際に設定されてもよいし、その後の任意の時点で設定又は変更されてもよい。
【0039】
<<4.3 定型文のテキストメッセージ>>
ファイルサーバ14は定型文のテキストメッセージを保存することができる。定型文のテキストメッセージは、第1のユーザがユーザ装置を通じて入力されたものでもよいし、ユーザ装置以外のノードから受信したものでもよいし、何らかの音声メッセージから変換されたものでもよい。第1のユーザがユーザ装置を用いて定型文を選択又は入力する場合、図2のステップS201により定型文の情報がファイルサーバ14に通知される。ユーザ装置以外のノードから定型文の情報が取得される場合、図2のステップS202により定型文の情報がファイルサーバ14に通知される。定型文とは、予め文章が決まっている定型文であり、第1のユーザが自由に作成した文章とは異なる。第1のユーザは、テキストメッセージを提供するユーザの範囲を、特定の又は不特定のユーザに指定することができる。特定のユーザは、第1のユーザが具体的に指定したユーザ(例えば、友人、知人、家族等)である。不特定のユーザは、第1のユーザが具体的に宛先を指定しなかった場合であり、第1のユーザに連絡又はアクセスしようとしたユーザ全員が該当する。第1のユーザのテキストメッセージを提供する範囲は、第1のユーザがユーザ装置を使用するための契約を締結する際に設定されてもよいし、その後の任意の時点で設定又は変更されてもよい。
【0040】
例えば、第1のユーザのユーザ装置に表示された画面において、「無事です」、「連絡を下さい」等のような予め用意された文章をユーザが選択することで、定型文のテキストメッセージが指定され、ファイルサーバ14に保存されてもよい。非定型文のテキストメッセージは、ユーザ装置の電源が切断されていた場合でも、ファイルサーバ14に保存することができる。以後、あるユーザが、第1のユーザに連絡をとろうとしたが規制により拒否されたとしても、そのユーザは、「無事です」のような情報を取得することができ、そのような情報が一切得られない場合よりも状況を的確に知ることができる。
【0041】
図4は、災害時の避難場所にICリーダ41が設けられ、そのICリーダ41はファイルサーバ14に接続可能である様子を示す。実際には、図1に示すような交換機13や第2のユーザUE#2も存在するが、図示の簡明化のためそれらは描かれていない。ICリーダが放射している磁場に対して、第1のユーザがユーザ装置UE#1をかざすと、ユーザ装置UE#1内のICタグは、電話番号等を特定できる識別情報を無線送信する。このような動作は、ユーザ装置に電源が投入されていなかった場合でも可能である。ICリーダ41は受信した識別情報を避難所の情報(場所等)とともにファイルサーバ14へ通知する。これは図2のステップS202の処理に対応する。ファイルサーバ14は、受信した識別情報から第1のユーザの電話番号等を特定し、第1のユーザが避難所に居ることを示す安否情報を作成し、電話番号とともに保存する。安否情報は、「○○の避難所にいます」のような音声メッセージ又はテキストメッセージとして保存されてもよい。
【0042】
図5は、災害時の避難場所に複数のICリーダ51、52、52、...5Nが設けられ、それらがファイルサーバ14に接続可能である様子を示す。実際には、図1に示すような交換機13や第2のユーザUE#2も存在するが、図示の簡明化のためそれらは描かれていない。複数のICリーダ51、52、52、...5Nは、第1のユーザがファイルサーバに保存することが可能なメッセージの選択肢に対応する。例えば、第1のICリーダ51は「無事です」というメッセージに対応し、第2のICリーダは「連絡を下さい」というメッセージに対応していてもよい。複数のICリーダのうち第1のユーザが希望するメッセージに対応するICリーダに、第1のユーザがユーザ装置UE#1をかざすと、ユーザ装置UE#1内のICタグは、電話番号等を特定できる識別情報を無線送信する。ICリーダは受信した識別情報を避難所の情報(場所等)とともにファイルサーバ14へ通知する。これは図2のステップS202の処理に対応する。ファイルサーバ14は、受信した識別情報から第1のユーザの電話番号等を特定し、第1のユーザが避難所において、選択したメッセージを発信したことを示す安否情報を作成し、電話番号とともに保存する。安否情報は、「連絡を下さい」のような第1のユーザが選択したメッセージにより表現され、音声メッセージ又はテキストメッセージとして保存されてもよい。
【0043】
<<4.4 ユーザの行動履歴情報>>
ファイルサーバ14はユーザの行動履歴情報を保存することができる。行動履歴情報は、例えば、ユーザにより行われた発信の情報等を含む通話履歴、ユーザが利用したサービスの利用履歴、及びユーザ装置が行う位置登録の情報等により表現される。
【0044】
<<<4.4.1 最終通話時間>>>
図6は、発信履歴の情報をファイルサーバに保存する様子を示す。実際には、図1に示すような交換機13や第2のユーザUE#2も存在するが、図示の簡明化のためそれらは描かれていない。第1のユーザがユーザ装置UE#1を用いて発信を試みたが、規制により拒否されたとする。この場合、通信を行うことはできないが、第1のユーザが誰かに(例えば第2のユーザ宛)に発信を行ったことは、発信履歴の情報として交換機61が管理している。この交換機61は、図1の交換機13と同一でもよいし、異なっていてもよく、第1のユーザの発信履歴の情報を管理している任意の交換機とすることができる。交換機61は、第1のユーザの発信履歴の情報をファイルサーバ14に提供する。これは図2のステップS202の処理に対応する。ファイルサーバ14は、発信履歴の情報に基づいて、ある時刻に第1のユーザが第2のユーザ宛てに発信を行ったことを示すメッセージを作成し、第1のユーザの情報として保存する。例えば、「○時○分、○○様(第1のユーザ)は発信を行いました」というメッセージが作成され、第1のユーザの情報として保存される。この場合、第1のユーザが発信した宛先(第2のユーザ)がメッセージに含まれてもよいし、含まれなくてもよい。以後、あるユーザが、第1のユーザに連絡をとろうとしたが規制により拒否されたとしても、そのユーザは、「○時○分、○○様(第1のユーザ)は発信を行いました」という情報を取得することができ、そのような情報が一切得られない場合よりも状況を的確に知ることができる。
【0045】
<<<4.4.2 最終在圏位置>>>
図7は、位置登録の情報をファイルサーバに保存する様子を示す。実際には、図1に示すような交換機13や第2のユーザUE#2も存在するが、図示の簡明化のためそれらは描かれていない。災害時等のような状況において、通話は規制される可能性があるが、位置登録のような制御信号のやりとりは禁止されず、継続的に行われる。ユーザ装置UE#1は定期的に又はエリアが変わった際に、位置登録を行う。この場合における位置登録は、ユーザ装置UE#1と交換機71との間の論理パスの設定、交換機71に対する加入者情報の登録、位置登録エリアの更新等の処理を含む。交換機71は、図1の交換機13と同一でもよいし、異なっていてもよく、第1のユーザの位置登録の情報を管理している任意の交換機とすることができる。交換機71は、第1のユーザの位置登録の情報を時刻情報とともにファイルサーバ14に提供する。これは図2のステップS202の処理に対応する。ファイルサーバ14は、位置登録の情報に基づいて、ある時刻に第1のユーザが在圏していた場所(位置登録エリア又はセル)を示すメッセージを作成し、第1のユーザの情報として保存する。例えば、「○時○分、○○様(第1のユーザ)は○○のエリアにいました」というメッセージが作成され、保存される。以後、あるユーザが、第1のユーザに連絡をとろうとしたが規制により拒否されたとしても、そのユーザは、「○時○分、○○様(第1のユーザ)は○○のエリアにいました」という情報を取得することができ、そのような情報が一切得られない場合よりも状況を的確に知ることができる。
【0046】
<<<4.4.3 移動しているか否か>>>
図4、図5、図7を参照しながら説明した例によれば、第1のユーザの位置に関する情報が、ファイルサーバ14に保存される。このような位置の情報と時刻の情報とを組み合わせることで、第1のユーザが移動したか否か又はどのように移動したかの情報を、第1のユーザの情報として、ファイルサーバに保存することができる。例えば、図4示す例において、第1の時刻T1において第1のユーザが避難所Xにいたことを示す情報が、ファイルサーバ14に保存され、後の第2の時刻T2において第1のユーザが別の避難所Yにいたことを示す情報が、ファイルサーバ14に保存されていたとする。この場合時刻T1からT2の間に、第1のユーザは、少なくとも避難所Xから避難所Yに移動していることが分かる。このような移動を示す情報が、第1のユーザの情報としてファイルサーバ14に保存されてもよい。第1のユーザの移動を判別する際の基礎となる情報は、図4、図5における避難所の場所、図7に関する位置登録エリアやセル等である。避難所の場所、位置登録エリア及びセルのうちの1つ以上が、時間とともにどのように変化するかを分析することで、第1のユーザの移動に関する情報を取得することができる。あるユーザが、第1のユーザに連絡をとろうとしたが規制により拒否されたとしても、そのユーザは、第1のユーザが移動しているか否か又はどのように移動しているかを示す情報を取得することができる。
【0047】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、ユーザの情報をファイルサーバに保存する適切な如何なる通信システムに適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0048】
11、12 ユーザ装置
13 交換機
14 ファイルサーバ
31 情報受信部
32 記憶部
33 抽出部
34 送信部
35 情報変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のユーザの行動履歴情報を保存するファイルサーバと、
第2のユーザのユーザ装置からの前記第1のユーザ宛の発信要求が規制により拒否された場合に、該発信要求が示す宛先及び発信元を前記ファイルサーバに通知する交換機と
を有し、前記ファイルサーバは、前記交換機から通知された前記宛先である前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出し、該行動履歴情報を前記発信元である前記第2のユーザのユーザ装置に送信する、通信システム。
【請求項2】
前記行動履歴情報の内容を表す音声メッセージをテキストメッセージに及び前記行動履歴情報の内容を表すテキストメッセージを音声メッセージに変換する情報変換部をさらに有する、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記ファイルサーバが前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出する際に、前記ファイルサーバは、前記第1のユーザの行動履歴情報の内容を表す音声メッセージ又はテキストメッセージのうち、前記第2のユーザの前記ユーザ装置により使用される通信方式に応じたものを抽出する、請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記ファイルサーバが保存している前記行動履歴情報が、前記第1のユーザによる発信要求が規制により拒否された場合における発信履歴と該規制を行っているノードの位置とにより表現されている、請求項1ないし3の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ファイルサーバが保存している前記行動履歴情報が、前記第1のユーザのユーザ装置について行われる位置登録の情報により表現されている、請求項1ないし3の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記ファイルサーバが前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出する際に、前記第1のユーザの複数の行動履歴情報の内、前記第2のユーザが指定したものを抽出する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記ファイルサーバが前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出する際に、前記第2のユーザに問い合わせを行うことなく、前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記ファイルサーバに保存される行動履歴情報は、前記第1のユーザのユーザ装置をICリーダにかざしたことに応答して、該ICリーダから前記ファイルサーバへ転送された情報を含む、請求項1記載の通信システム。
【請求項9】
少なくとも第1のユーザの行動履歴情報をファイルサーバに保存するステップと、
第2のユーザのユーザ装置からの前記第1のユーザ宛の発信要求が規制により拒否された場合に、交換機が、該発信要求が示す宛先及び発信元を前記ファイルサーバに通知するステップと
を有し、前記ファイルサーバは、前記交換機から通知された前記宛先である前記第1のユーザの行動履歴情報を抽出し、該行動履歴情報を前記発信元である前記第2のユーザのユーザ装置に送信する、情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5281(P2013−5281A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135476(P2011−135476)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】