説明

通信システム及び方法並びにプログラム

【課題】下位プロトコルにラッピングされた上位プロトコルの解析を行うことなく、その上位プロトコル形式の通信データのアクセスログを取得することができる通信システム等を提供する。
【解決手段】通信システム1は、サーバ100,200,300を備えており、サーバ100のプロトコルA処理部によって生成された通信プロトコルA形式の電文11が、プロトコルX処理部によって生成される通信プロトコルX形式の電文13内に格納される。またこのとき、プロトコルA処理部によって生成された電文11のアクセスログ用情報11aも、電文13内に設定される。得られた電文13は、サーバ200のプロトコルX処理部に送られ、そこで、電文13を解析することにより、電文11のアクセスログ用情報11aが抽出され、その情報が、プロトコルA/Bアクセスログ出力部によってアクセスログ14へ出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、通信プロトコル処理ソフトウェアにおいては、試験時のプロトコル処理結果の確認や通常運用時の処理状況の記録(ロギング)等を行うために、それらの通信処理の結果を時系列的に追跡する(トレース)することが広く行われている。このようなトレーサの一例として、特許文献1には、階層化された通信プロトコルに対応しており、且つ、各階層におけるトレース情報を統合的に収集して編集出力するマルチ・レイヤー・トレーサが記載されている。このマルチ・レイヤー・トレーサは、トレース情報収集部と、トレース情報集積部と、トレース編集出力部とを備えており、トレース情報収集部が各階層において独立に動作してトレース情報を抽出する。そして、得られた複数のトレース情報がトレース情報集積部によって一元的に集積された後、トレース情報編集部によってファイル出力等されることにより視覚化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01―274545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信システムにおいては、何らかの理由によって電文等の通信データのロストが発生することがあり、その対策や復旧を行う上では、その通信データのアクセスログを解析することにより、問題発生箇所(通信データのロストが発生した箇所やその通信データの伝播経路等)を特定することが重要となる。すなわち、通信経路の途中で、ある通信データが通過したか否かを確認することができれば、その通信系路上の問題の有無を判断することができ、問題発生箇所の絞り込みが可能となる。
【0005】
しかし、サーバが多重連携しているような近時の複雑なネットワーク構成やソフトウェア構成においては、通信データの伝播を追跡することが難しくなってきている。また、通信システムによっては、プロトコル変換が行われていたり、ある通信プロトコル(上位プロトコル)形式の通信データが別の通信プロトコル(下位プロトコル)でラッピングされて転送されたりすることがある。特に後者の場合、通信データの各通過点における全ての階層をトレースして推測しながらその通信データを追跡しなければならず、階層数が増えれば増えるほど通信データの追跡はより困難なものとなってしまう。このような場合に、例えば、上記特許文献1に記載のマルチ・レイヤー・トレーサを適用すると、トレース情報収集部によって各レイヤーがトレースされ、得られた各レイヤー情報がトレース情報集積部において集積されるが、通信データの追跡にはそれらのレイヤー情報を全て解析しなければならない。
【0006】
しかも、通信データのアクセスログを残すには、その通信データが生成されたのと同じ通信プロトコルを用いた解析評価によって抽出されたアクセスログ用情報を、アクセスログへ出力する必要がある。そのため、上位プロトコルが下位プロトコルにラッピングされていてその上位プロトコルを意識することなく転送可能な装置やシステムにおいても、上位プロトコルで生成された通信データのアクセスログを残すには、その上位プロトコルに基づく解析が必要とされる。また、その際、下位プロトコル形式の通信データ中に、上位プロトコル形式の通信データがフラグメントされていたり、暗号化されていたりすると、その解析は更に困難となり、或いは、その解析処理に多大な時間を要したりする。
【0007】
また、上位プロトコルが複数存在する場合には、それらの上位プロトコル毎の解析処理を行わなければならず、解析処理の困難さと処理時間が更に増大してしまう。さらに、通信データの種別や内容に応じてその転送先を変えて並列に通信することも行われ、その場合には、それぞれの処理において、アクセスログが出力され得る。そうすると、解析処理すべきアクセスログの数量が膨大になるため、それらの統合的な解析処理には更に多くの時間と手間が必要になり、その結果、通信データの追跡は更に一層困難となる。
【0008】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、上位プロトコルに基づいて生成された通信データが下位プロトコルでラッピングされている場合でも、上位プロトコルに基づく解析を行うことなく、その上位プロトコル形式の通信データのアクセスログを取得することができ、これにより、通信データのトレースを格段に簡便ならしめることが可能な通信システム及び通信方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による通信システムは、上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、その第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する第1のプロトコル処理部と、下位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、第1の通信データのアクセスログ用情報と、下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成する第2のプロトコル処理部とを備える。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されてもよく、或いは、2つ以上の「部」や 装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
かかる構成を有する本発明によれば、下位プロトコルに基づいて生成される下位プロトコル形式の第2の通信データ内に、上位プロトコルに基づいて生成される上位プロトコル形式の第1の通信データ、及び、下位プロトコルの制御データのみならず、第1の通信データのアクセスログ用情報が含まれるので、上位プロトコルに基づく解析を行わなくても、第2の通信データに対して下位プロトコルに基づく解析を行ってそのアクセスログ用情報を取得(抽出)するだけで、通信データのトレースに必要となる上位プロトコル形式の通信データのアクセスログを残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による通信システムの第1実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す通信システムにおける電文の処理を模式的に示す概念図である。
【図3】図1に示す通信システムにおけるサーバによる処理手順の一例を示すフロー図である。
【図4】本発明による通信システムの第2実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【図5】図4に示す通信システムにおける電文の処理を模式的に示す概念図である。
【図6】図4に示す通信システムにおけるサーバによる処理手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。またさらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明による通信システムの第1実施形態を概略的に示すシステム構成図である。通信システム1は、サーバ100,200,300を備えており、サーバ100,200間、及び、サーバ200,300間が、有線又は無線で接続されている。また、サーバ100とサーバ200は、通信プロトコルXで互いに通信し、サーバ200とサーバ300も通信プロトコルXで互いに通信するように構成されている。
【0015】
サーバ100は、通信プロトコルAに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルA処理部101(第1のプロトコル処理部)と、通信プロトコルBに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルB処理部102(第1のプロトコル処理部)と、それらのプロトコルA処理部101及びプロトコルB処理部102に接続されており、且つ、通信プロトコルXに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルX処理部103(第2のプロトコル処理部)とを有する。
【0016】
また、サーバ200は、プロトコルA/Bアクセスログ出力部201(アクセスログ出力部)と、それに接続されたプロトコルX処理部203(第3のプロトコル処理部)とを含む。
【0017】
さらに、サーバ300は、サーバ100と同等の構成を有しており、通信プロトコルAに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルA処理部301と、通信プロトコルBに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルB処理部302と、それらのプロトコルA処理部301及びプロトコルB処理部302に接続されており、且つ、通信プロトコルXに基づく処理(電文の作成及び解析)を行うプロトコルX処理部303とを有する。
【0018】
ここで、通信プロトコルは、データ形式として、ヘッダ(部)とボディ(部)を有することが多い。また、ある通信プロトコルの通信データが、別の通信プロトコルのボディとして階層的に使用されることも多い。一般に、このように、別の通信プロトコルのボディとしてラッピングされて転送される通信プロトコルを「上位プロトコル」と呼び、その別の通信プロトコルをラッピングして転送する通信プロトコルを「下位プロトコル」と呼ぶ。上述した2種類の通信プロトコルA及び通信プロトコルBは、通信プロトコルXでラッピングされてサーバ100,200,300間で転送されるものであり、通信プロトコルXが「下位プロトコル」に相当し、通信プロトコルA及び通信プロトコルBは、通信プロトコルXを下位プロトコルとして動作する点において「上位プロトコル」に相当する。
【0019】
以下、図1に加えて図2を参照して、通信システム1における電文(通信データ)の処理について説明する。図2は、通信システム1における電文の処理を模式的に示す概念図であり、サーバ100において生成された電文がサーバ200,300に順に転送される通信モードの一例を示す。
【0020】
この態様において、サーバ100のプロトコルA処理部101は、通信プロトコルAに基づいて、通信プロトコルA形式の電文11(第1の通信データ)及びそのアクセスログとして残したい情報であるアクセスログ用情報11aの生成を行う。また、プロトコルB処理部102は、通信プロトコルBに基づいて、通信プロトコルB形式の電文12(第1の通信データ)及びそのアクセスログとして残したい情報であるアクセスログ用情報12aの生成を行う。こうして生成された通信プロトコルA形式の電文11及びそのアクセスログ情報11a、並びに、通信プロトコルB形式の電文12及びそのアクセスログ情報12aのうちの少なくとも何れか一方は、それぞれ、プロトコルA処理部101及びプロトコルB処理部102からプロトコルX処理部103へ送信される。
【0021】
プロトコルX処理部103は、通信プロトコルXに基づいて、受信した通信プロトコルA形式の電文11及び/又は通信プロトコルB形式の電文12の分割、コード変換、暗号化、通信プロトコルXの制御データ13hの付与等の適宜の処理を行う。これにより、通信プロトコルA形式の電文11及び/又は通信プロトコルB形式の電文12がボディに格納された通信プロトコルX形式の電文13(第2の通信データ)、すなわち、通信プロトコルA形式の電文11及び/又は通信プロトコルB形式の電文12が通信プロトコルXに則った方式でラッピングされた電文13が得られる。
【0022】
ここで、電文等の通信データのヘッダには、通常、その通信データの通信プロトコル自体が必要とする情報のみが格納され、上記の通信プロトコルX形式の電文13のヘッダにおいても、従来、下位プロトコルである通信プロトコルXで必要な情報としての制御データ13hのみが格納されていた。これに対し、本実施形態では、プロトコルX処理部103は、通信プロトコルX形式の電文13のヘッダに、上位プロトコルである通信プロトコルAで生成された電文11のアクセスログ用情報11a、及び/又は、通信プロトコルBで生成された電文12のアクセスログ用情報12aを追加して設定(格納)する。
【0023】
こうして生成された通信プロトコルX形式の電文13は、サーバ100のプロトコルX処理部103からサーバ200のプロトコルX処理部203へ送信される。
【0024】
さらに、図3を併せて参照しながら、サーバ200における処理動作について説明する。図3は、本実施形態の通信システム1におけるサーバ200による処理手順の一例を示すフロー図である。サーバ200のプロトコルX処理部203は、サーバ100から通信プロトコルX形式の電文13を受信すると、まず、通信プロトコルXに基づいて、その電文13の解析を行う(ステップSP1)。次に、その解析結果に基づいて、電文13における通信プロトコルXの制御データ13h内にアクセスログ用情報11a及び/又はアクセスログ用情報12aが設定(格納)されているか否か(アクセスログ用情報の有無)を判定する(ステップSP2)。
【0025】
通信プロトコルXの制御データ13h内にアクセスログ用情報11a及び/又はアクセスログ用情報12aが設定されていた場合、プロトコルX処理部203は、そのアクセスログ用情報11a及び/又はアクセスログ用情報12aを抽出してプロトコルA/Bアクセスログ出力部201へ送出する。そして、プロトコルA/Bアクセスログ出力部201により、そのアクセスログ用情報11a及び/又はアクセスログ用情報12aがアクセスログ14へ出力される(ステップSP3)。一方、電文13における通信プロトコルXの制御データ13h内にアクセスログ用情報11a及びアクセスログ用情報12aの何れも設定されていない場合には、ステップSP4へ移行する。
【0026】
それから、サーバ300へ電文13を転送するため、受信された通信プロトコルX形式の電文13における通信プロトコルXの制御データ13hを所定の制御データ13h’に書き換えた後、その通信プロトコルX形式の電文13’を、サーバ300のプロトコルX処理部303へ送信する(ステップSP4)。
【0027】
サーバ300のプロトコルX処理部303は、通信プロトコルXに基づいて、通信プロトコルX形式の電文13’の制御データ13h’の削除、復号化、コード変換、結合等の適宜の処理を行う。こうして、通信プロトコルX形式の電文13,13’のボディとして格納されていた通信プロトコルA形式の電文11及び/又は通信プロトコルB形式の電文12が取り出され、それらは、それぞれ、プロトコルX処理部303からプロトコルA処理部301及び/又はプロトコルB処理部302に引き渡されて適宜解析処理等が施される。
【0028】
このように構成された通信システム1及びそれを用いた通信方法によれば、上述の如く、送信側のサーバ100において、通信プロトコルX形式の電文13における通信プロトコルXの制御データ13h内に通信プロトコルA形式の電文11のアクセスログ用情報11a及び/又は通信プロトコルB形式の電文12のアクセスログ用情報12aが設定され、受信側のサーバ200において、通信プロトコルA及び通信プロトコルBの解析を行うことなく、それら通信プロトコルA及び/又は通信プロトコルBのアクセスログを出力することができる。これにより、上位プロトコル形式の通信データが下位プロトコルでラッピングされていても、そのトレースを従来に比して格段に簡略化して処理時間を短縮することが可能となる。
【0029】
換言すれば、通信システム1によれば、上位プロトコルである通信プロトコルA及び通信プロトコルBを意識せずに(すなわち、下位プロトコルである通信プロトコルXのみで)、それらの上位プロトコルに基づいて生成された電文11,12を転送する際にも、通信プロトコルXの解析を行うだけで通信プロトコルA及び通信プロトコルBのアクセスログを残すことができる。そして、こうして得られた上位プロトコルのアクセスログを用いて、その電文11,12のトレースを確実に行うことができる。
【0030】
また、上位プロトコルが複数(通信プロトコルA及び通信プロトコルB)あり、さらには、それらが階層化されている場合でも、それらの複数のアクセスログ用情報11a,12aが、下位プロトコルである通信プロトコルXに基づいて生成された1つの電文13の制御データ13h内に設定(格納)されるので、通信プロトコルXの解析を行うだけで、通信データ量を格段に軽減しつつ、必要な階層の上位プロトコルのアクセスログのみを収集しうる。さらに、この場合、複数の上位プロトコルの解析を並列に処理する必要がないので、電文11,12のアクセスログを統合化し易くなる利点がある。
【0031】
またさらに、通信プロトコルX形式の1つの電文13の制御データ13h内に、通信プロトコルA形式の電文11のアクセスログ用情報11a及び通信プロトコルB形式の電文12のアクセスログ用情報12aといった複数の情報を設定することができるので、通信プロトコルA及び通信プロトコルBが複数のレイヤーに階層化されている場合にも、それらのうちアクセスログが必要なレイヤーのアクセスログ用情報のみを設定すれば、通信データ量を抑えつつ、電文の追跡を更に容易ならしめることができる。
【0032】
さらにまた、通信プロトコルX形式の電文13の制御データ13h内に電文11,12のアクセスログ用情報11a,12aが設定されるので、電文及びそれが準拠する通信プロトコルが更に増えた場合でも、その通信プロトコル毎の解析処理を追加することなく、必要に応じて、アクセスログ用情報を出力するだけの処理を追加すればよい。その結果、装置構成を簡略化して処理効率及び経済性を向上させることも可能となる。
【0033】
また、それぞれのアクセスログ出力箇所において、その都度、通信プロトコルX形式の電文13内にラッピングされた電文11,12の通信プロトコルA及び通信プロトコルB形式の解析を行わなくてもよいので、殊に、転送するサーバ装置及びアクセスログの出力箇所が多数ある場合に、通信速度を格段に向上させることができる。
【0034】
(第2実施形態)
図4は、本発明による通信システムの第2実施形態を概略的に示すシステム構成図である。通信システム2は、サーバ100がプロトコルX処理部103代えてプロトコルC処理部403(第2のプロトコル処理部)を有し、サーバ200がプロトコルX処理部203代えてプロトコルC処理部503(第3のプロトコル処理部)を有し、且つ、サーバ300がプロトコルX処理部303代えてプロトコルC処理部603を有すること、及び、プロトコルA処理部101がプロトコルB処理部102を介してプロトコルC処理部403に接続され、且つ、プロトコルA処理部301がプロトコルB処理部302を介してプロトコルC処理部603に接続されていること以外は、図1に示す通信システム1と同様に構成されたものである。このように、通信システム2においては、サーバ100とサーバ200、及び、サーバ200とサーバ300が、ともに通信プロトコルCで互いに通信するように構成されている。
【0035】
以下、図4に加えて図5を参照して、通信システム2における電文(通信データ)の処理について説明する。図5は、通信システム2における電文の処理を模式的に示す概念図であり、サーバ100において生成された電文がサーバ200,300へ順に転送される通信モードの一例を示す。
【0036】
この態様においては、通信システム1と同様に、サーバ100のプロトコルA処理部101が通信プロトコルA形式の電文11及びそのアクセスログ用情報11aを生成し、プロトコルB処理部102が、通信プロトコルB形式の電文12及びそのアクセスログ用情報12aの生成を行う。プロトコルA処理部101で生成された通信プロトコルA形式の電文11及びそのアクセスログ情報11aは、プロトコルB処理部102に送られ、プロトコルB処理部102において、電文11,12が結合される。そうして得られた電文11,12の結合電文、及び、アクセスログ用情報11a,12aは、プロトコルB処理部102からプロトコルC処理部403へ送信される。
【0037】
プロトコルC処理部403は、通信プロトコルCに基づいて、受信した電文11,12の結合電文データの分割、コード変換、暗号化、通信プロトコルCの制御データ14hの付与等の適宜の処理を行う。これにより、通信プロトコルA形式の電文11及び通信プロトコルB形式の電文12がボディに格納された通信プロトコルC形式の電文14(第2の通信データ)、すなわち、通信プロトコルA形式の電文11及び通信プロトコルB形式の電文12が通信プロトコルCに則った方式でラッピングされた電文14が得られる。なお、通信プロトコルCの制御データ14h及び電文11,12のアクセスログ用情報11a,12aは、通信プロトコルC形式の電文14のヘッダに設定(格納)される。
【0038】
こうして生成された通信プロトコルC形式の電文14は、サーバ100のプロトコルC処理部403からサーバ200のプロトコルC処理部503へ送信される。
【0039】
さらに、図6を併せて参照しながら、サーバ200における処理動作について説明する。図6は、本実施形態の通信システム2におけるサーバ200による処理手順の一例を示すフロー図である。サーバ200のプロトコルC処理部503は、サーバ100から通信プロトコルC形式の電文14を受信すると、まず、通信プロトコルCに基づいて、その電文14の解析を行う(ステップSP11)。次に、その解析結果に基づいて、電文14における通信プロトコルCの制御データ14h内にアクセスログ用情報11a,12aが設定(格納)されているか否か(アクセスログ用情報の有無)を判定する(ステップSP12)。
【0040】
通信プロトコルCの制御データ14h内にアクセスログ用情報11a,12aが設定されていた場合、プロトコルC処理部503は、そのアクセスログ用情報11a,12aを抽出してプロトコルA/Bアクセスログ出力部201へ送出する。そして、プロトコルA/Bアクセスログ出力部201により、そのアクセスログ用情報11a,12aがアクセスログ14へ出力される(ステップSP13)。一方、電文14における通信プロトコルCの制御データ14h内にアクセスログ用情報11a,12aが設定されていない場合には、ステップSP14へ移行する。
【0041】
それから、サーバ300へ電文14を転送するため、受信された通信プロトコルC形式の電文14における通信プロトコルCの制御データ14hを所定の制御データ14h’に書き換えた後、その通信プロトコルC形式の電文14’を、サーバ300のプロトコルC処理部603へ送信する(ステップSP14)。
【0042】
サーバ300のプロトコルC処理部603は、通信プロトコルCに基づいて、電文14における通信プロトコルC形式の電文14’の制御データ14h’の削除、復号化、コード変換、結合等の適宜の処理を行う。こうして、通信プロトコルC形式の電文14,14’のボディとして格納されていた通信プロトコルA形式の電文11及び通信プロトコルB形式の電文12の結合電文が取り出され、プロトコルB処理部302に引き渡される。プロトコルB処理部302では、その結合電文データの分割、復号等を行い、得られた電文11をプロトコルA処理部301に引き渡すとともに、電文12の解析処理を行う。また、プロトコルA処理部301では、引き渡された電文11の解析処理を行う。
【0043】
このように構成された通信システム2及びそれを用いた通信方法においても、先述した通信システム1及びそれを用いた通信方法と同様の作用効果が奏される。なお、重複した説明を避けるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
なお、上述したとおり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、図4〜図6に示す通信システム2において、電文11,12のアクセスログ用情報11a,12aのうち、何れか必要な一方のアクセスログ用情報(例えばアクセスログ用情報11a)のみを電文14内に格納するようにしてもよい。この場合、通信プロトコルAが上位プロトコルであり、通信プロトコルBがその下位プロトコルであり、さらに、通信プロトコルCを更なる下位プロトコルであると位置づけてもよい。このようにすれば、そもそもアクセスログが必要ではない通信プロトコルの情報を制御データに含めて転送することに起因する転送データ量の増大を防止しつつ、最上位上位プロトコルである通信プロトコルAの解析を行うことなく、最下位プロトコルである通信スペクトルCの解析を行うだけで、通信プロトコルAのアクセスログを出力することができる。また、サーバ100とサーバ300の機能(送信側/受信側)を逆転して用いてもよい。
【0045】
さらに、前述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0046】
(付記1) 上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する第1のプロトコル処理部と、
下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ、及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成する第2のプロトコル処理部と、
を備える通信システム(通信装置)。
【0047】
(付記2) 前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出する第3のプロトコル処理部と、
抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力するアクセスログ出力部と、
を備える付記1記載の通信システム(通信装置)。
【0048】
(付記3) 前記第1の通信データが、前記第2の通信データ内にラッピングされている、
付記1又は2項記載の通信システム(通信装置)。
【0049】
(付記4) 第1のプロトコル処理部は、複数の前記上位プロトコルに基づいて、複数の前記第1の通信データ、及び、複数の前記第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する、
付記1〜3の何れか1項記載の通信システム(通信装置)。
【0050】
(付記5) 前記複数の第1の通信データのアクセスログ用情報の一部のみが第2の通信データに含まれる、
付記4記載の通信システム(通信装置)。
【0051】
(付記6) 前記第1の通信データのアクセスログ用情報は、前記第2の通信データのヘッダに設定される、
付記1〜5の何れか1項記載の通信システム(通信装置)。
【0052】
(付記7) 第1のプロトコル処理部により、上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成すること、
第2のプロトコル処理部により、下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成すること、
第3のプロトコル処理部により、前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出すること、
アクセスログ出力部により、抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力すること、
を含む通信方法(通信システム)。
【0053】
(付記8) コンピュータに、
上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する第1のプロトコル処理機能と、
下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成する第2のプロトコル処理機能と、
前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出する第3のプロトコル処理機能と、
抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力するアクセスログ出力機能と、
を実現させるためのプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したとおり、本発明の通信システム及び方法並びにプログラムは、上位プロトコルに基づく解析を行わなくても、下位プロトコルに基づく解析を行って上位プロトコルのアクセスログ用情報を取得(抽出)するだけで、通信データのトレースに必要となる上位プロトコルのアクセスログを得ることができ、その結果、通信データのトレースを従来に比して格段に簡便且つ確実に実行することが可能となるので、種々のプロトコルに従う通信データを扱うシステム、それを用いたデータ管理、それらに使用される又はそれらを備える装置、機器、システム、設備等、及び、それらの製造、使用、運用等に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,2 通信システム
11 通信プロトコルA形式の電文(第1の通信データ)
11a アクセスログ用情報
12 通信プロトコルB形式の電文(第1の通信データ)
12a アクセスログ用情報
13,13’ 通信プロトコルX形式の電文(第2の通信データ)
13h,13h’ 通信プロトコルXの制御データ
14,14’ 通信プロトコルC形式の電文(第2の通信データ)
14h,14h’ 通信プロトコルCの制御データ
100 サーバ
101 プロトコルA処理部(第1のプロトコル処理部)
102 プロトコルB処理部(第1のプロトコル処理部)
103 プロトコルX処理部(第2のプロトコル処理部)
200 サーバ
201 プロトコルA/Bアクセスログ出力部
203 プロトコルX処理部(第3のプロトコル処理部)
300 サーバ
301 プロトコルA処理部
302 プロトコルB処理部
303 プロトコルX処理部
403 プロトコルC処理部(第2のプロトコル処理部)
503 プロトコルC処理部(第3のプロトコル処理部)
603 プロトコルC処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する第1のプロトコル処理部と、
下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ、及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成する第2のプロトコル処理部と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出する第3のプロトコル処理部と、
抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力するアクセスログ出力部と、
を備える請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の通信データが、前記第2の通信データ内にラッピングされている、
請求項1又は2項記載の通信システム。
【請求項4】
第1のプロトコル処理部は、複数の前記上位プロトコルに基づいて、複数の前記第1の通信データ、及び、複数の前記第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する、
請求項1〜3の何れか1項記載の通信システム。
【請求項5】
前記複数の第1の通信データのアクセスログ用情報の一部のみが第2の通信データに含まれる、
請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1の通信データのアクセスログ用情報は、前記第2の通信データのヘッダに設定される、
請求項1〜5の何れか1項記載の通信システム。
【請求項7】
第1のプロトコル処理部により、上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成すること、
第2のプロトコル処理部により、下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成すること、
第3のプロトコル処理部により、前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出すること、
アクセスログ出力部により、抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力すること、
を含む通信方法。
【請求項8】
コンピュータに、
上位プロトコルに基づいて、第1の通信データ、及び、該第1の通信データのアクセスログ用情報を生成する第1のプロトコル処理機能と、
下位プロトコルに基づいて、前記第1の通信データ及び前記第1の通信データのアクセスログ用情報と、該下位プロトコルの制御データとから、第2の通信データを生成する第2のプロトコル処理機能と、
前記第2の通信データを解析して前記第1の通信データのアクセスログ用情報を抽出する第3のプロトコル処理機能と、
抽出された前記第1の通信データのアクセスログ用情報に基づいて、前記第1の通信データのアクセスログを出力するアクセスログ出力機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115501(P2013−115501A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257880(P2011−257880)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】