説明

通信システム及び通信制御方法

【課題】優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てる。
【解決手段】複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークと、前記ネットワークを制御する通信制御装置と、を備える通信システムであって、前記無線通信区間には通信端末が接続されており、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、前記通信制御装置は、前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態とを取得し、前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合、前記無線通信区間及び前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報通信システムに関し、特に、端末とサーバとの間の要求通信品質と、端末及びアプリケーションの通信の優先度とを考慮して、当該優先度に適する通信経路を提供する通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機は、音声通話やメールのために用いられてきた。しかし、昨今の無線通信のブロードバンド化により、インターネット上の様々なサービスを携帯電話機で利用することができるようになってきた。インターネットで提供されるサービスには、Webのようにバースト的に通信するもの、映像配信のように広帯域の情報を長時間に渡って送り続けるもの、データサイズは小さいが低遅延で確実に転送する必要があるもの(例えば、緊急地震速報)、大容量のデータファイルの転送など、これまでは有線ネットワークで提供されていた様々な要求及び特性を有するサービスが実現されている。また、将来的には、無線による遠隔医療サービス、遠隔ロボット制御など、更に高信頼性が必要な分野、及び、現在有線ネットワークで構築されている金融、行政、交通など障害の発生による中断及び停止が社会に多大な影響を及ぼす社会基盤システムのような所謂「ミッションクリティカル」なシステムにも、無線アクセス網が利用されること予想される。
【0003】
一方、無線通信のリソースは有線通信より限られており、無線通信特有の問題も存在する。無線通信においては、建造物や地形による電波の反射、屈折、散乱などにより発生するマルチパスによって受信強度が激しく変動し、及び、端末の位置によっては電波の受信が困難な場合も発生するため、無線通信において高い信頼性を保証することは困難である。また、ミッションクリティカル性を有するサービスから、webのようなベストエフォート通信まで、多種多様な優先度及び通信要求や特性を有するサービスが混在する中で、限られた無線リソースをいかに効率よく適切に割り当てる技術が必要となる。
【0004】
このような問題を解決するための従来技術として、複数の無線を切り替えて使用可能な通信路を提供する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1は、電波状況を監視し、より良い電波状況の無線通信システムに動的に切り替える発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−109722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術では、切り替え先の無線通信システムの帯域の占有状態を考慮していないため、当該無線通信システムが既に他ユーザに占有されている場合、要求を満たすことができない。また、無線通信システムに優先度を設定してユーザの要求を満たす無線通信システムを割り当てるが、ユーザやアプリケーションの優先度を考慮して無線通信システムを切り替えないため、優先度が低いユーザやアプリケーションに過剰にリソースを提供する可能性もある。
【0007】
また、前述した従来技術では、無線の通信環境が劣化した場合、通信品質の良い無線通信システムに切り替えることができる。しかし、通信品質の良い通信システムが、既に他のユーザによって利用されている場合、通信品質の良い通信システムに切り替えることができない、又は、利用されていない帯域を利用して通信することになるため、当該ユーザは要求する通信品質を満たすことができない。
【0008】
この様子を図12に示す。図12は、通信システム1及び通信システム2によって提供可能な帯域と接続中のユーザによって使用されている帯域を示す。
【0009】
図12(a)において、ベストエフォートで通信を行うユーザ1、ユーザ2、ユーザ3、優先度が高いQoS保証ユーザが通信システム1に接続している。この状況において通信システム1の無線通信品質が劣化した場合、優先度が高いQoS保証ユーザは、通信品質が良い通信システム2への切り替えを試みる。しかし、通信システム2によって提供される帯域が既に他のQoS保証ユーザによって占有されているため、通信システム2に切り替えることができない、又は、通信システム2に切り替えられたとしても当該ユーザが要求する通信品質(使用帯域)を満足することができない(図12(b))。
【0010】
通信品質劣化後の望まれる切り替え例としては、図13に示すように、優先度が高いユーザは、優先度が低いユーザを追い出して、要求が満足される通信システム2に切り替える。また、新規接続ユーザより優先度が低い優先度(低)のユーザは通信システム1に切り替え、元々通信システム1に接続していた通信品質の保証されないベストエフォートユーザ(ユーザ1〜3)は、残された帯域を使って通信することが望ましい。
【0011】
以上のように、無線通信品質の劣化時において、優先度が高いユーザやアプリケーションであっても要求する通信品質が得られず、優先度が低いユーザやアプリケーションに過剰なリソースが提供される。このような状態を解決し、優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てることが第1の課題である。
【0012】
さらに、優先度が高いQoS保証ユーザが新規に接続する際、通信品質が劣化した場合と同様の問題が生じる。この場合に生じる問題について、図14を用いて説明する。
【0013】
優先度が高い新規接続ユーザが要求する通信品質、例えば、要求遅延時間を満たすことができる通信システムが通信システム2だけであった場合、当該新規ユーザは通信システム2に接続を試みるが、既に通信システム2によって提供される帯域が他のQoS保証ユーザで占有されているため、当該新規ユーザは通信システム2に接続できない、又は、通信システム2に接続できたとしても当該ユーザが要求する通信品質(使用帯域)を満足することができない。
【0014】
新規接続時の望まれる例は、優先度(高)の新規接続ユーザが要求を満たすために通信システム1に接続し、既に接続している優先度(中)のユーザの要求を満たす他の通信システムに切り替えることである。以上のように、ユーザが新規に接続する時にも、優先度が高いユーザやアプリケーションが要求する通信品質を得られず、優先度が低いユーザやアプリケーションに過剰なリソースが提供される。このような状態を解決し、優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てることが第2の課題である。
【0015】
本発明は、優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークと、前記ネットワークを制御する通信制御装置と、を備える通信システムであって、前記無線通信区間には通信端末が接続されており、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、前記通信制御装置は、前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態を取得し、前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合に、前記無線通信区間及び前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択し、前記選択された経路を、前記通信端末及び前記サーバへ通知する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の代表的な実施の形態によれば、優先度が高いアプリケーションや、常に高品質な通信が要求されるユーザに対して、優先的に無線リソースを割り当て、優先度が低いユーザやアプリケーションに対しても、優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の一例のネットワークシステムの全体の構成図である。
【図2】本実施形態のモバイルアプリケーション基盤サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の無線NW通信状況テーブルの一例を説明する図である。
【図4】有線NW通信状況テーブルの一例を説明する図である。
【図5】本実施形態のアプリケーション管理テーブルの一例を説明するである。
【図6】本実施形態のアプリケーション要求品質テーブルの一例を説明するである。
【図7】優先度を考慮した無線通信品質劣化時のネットワーク割り当て方法の概要を説明する図である。
【図8】本実施形態のネットワーク割当処理のフローチャートである。
【図9】本実施形態の除外アプリケーション接続処理のフローチャートである。
【図10】新たに接続されるアプリケーションのネットワーク割り当て方法の概要を説明する図である。
【図11A】本実施形態のネットワーク割当処理のフローチャートである。
【図11B】本実施形態のネットワーク割当処理のフローチャートである。
【図12】無線通信品質が劣化する場合の従来の切替例を説明する図である。
【図13】無線通信品質が劣化する場合の望まれる切替例を説明する図である。
【図14】新規接続時の従来の接続例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0020】
前述した、第1の課題を解決するために、本発明の実施形態においては、複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークと、前記ネットワークを制御する通信制御装置と、を備える通信システムであって、前記無線通信区間には通信端末が接続されており、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、前記通信制御装置は、前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態を取得する手段と、前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合、前記無線通信区間及び前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たす(例えば、通信時間の総和が指定したEnd−to−Endの遅延時間以下となり、通信帯域が指定したデータレート以上になる)ように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択する手段と、前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知する手段と、を有する。
【0021】
また、前記通信制御装置は、ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、前記無線通信区間の通信品質が劣化したことを検出した場合、前記検出された通信品質の劣化によって、前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路による端点間で提供可能な遅延時間が、要求される遅延時間を達成できないユーザ又はアプリケーションを抽出する手段と、当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションのうち、前記抽出されたユーザ又はアプリケーションを除いたユーザ又はアプリケーションを優先度が高い順にソートする手段と、前記ソートされたユーザ又はアプリケーションを優先度が高い順に当該無線通信区間に割り当てる手段と、当該無線通信区間において提供される帯域を超えるために、当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外する手段と、を有する。
【0022】
更に、前記通信制御装置は、前記要求される遅延時間が達成できない又は前記無線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定する手順と、前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順にソートする手段と、前記優先度が高い順に、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から前記通信品質要求を満たす新規経路を選択する手段と、前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知する手順と、を有する。
【0023】
前述した第2の課題を解決するために、本発明の実施形態においては、前記通信制御装置は、ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、新規に前記ユーザ又は前記アプリケーションから接続要求があった場合、前記接続が要求された通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から新規経路を選択し、前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路による端点間(End−to−End)で提供可能な遅延時間が、前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求を満たすか否かを判定する手段と、前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と該無線通信区間の空き帯域とを比較する手段と、前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順にソートする手段と、前記ソートされたユーザ又はアプリケーションを、当該無線通信区間に優先度が高い順に割り当る手段と、当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外する手段と、を有する。
【0024】
また、前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と前記有線通信区間の空き帯域とを比較する手順と、前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該有線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順にソートする手段と、前記ソートされたユーザ又はアプリケーションを優先度が高い順に当該無線通信区間に割り当てル手段と、当該有線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該有線通信区間から除外する手段と、を有する。
【0025】
更に、前記要求される遅延時間が達成できない又は該無線通信区間及び該有線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定する手段と、前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順にソートする手段と、前記ソートされたユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に新規無線通信区間及び新規有線通信区間に割り当てる手段と、を有する。
【0026】
以下、本発明の代表的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1に、本実施形態の一例のネットワークシステムの全体の構成図である。
【0028】
図1に示すネットワークシステムは、無線通信システムとしては、無線側のアクセスネットワークである無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)と、有線のバックボーンネットワークである新世代ネットワークとして期待される仮想ネットワーク(VN:Viartualized network)によって構成される。
【0029】
なお、本実施形態では、ネットワークノードを仮想化することによって、自由度の高いネットワーク設計が可能となる仮想ネットワークを用いたが、バックボーンネットワークとしては、どのような有線ネットワークを用いてもよい。
【0030】
また、第1の実施形態のネットワークシステムでは、モバイルアプリケーション基盤サーバ100が、RAN側及びVN側の情報を集約し、RANとVNとを互いに連携させながら、アプリケーションで要求される通信品質を満たすEnd−to−End(端末1(103)及び端末2(104)から、アプリケーションサーバ1(108)及びアプリケーションサーバ2(109)まで)の通信経路を確立する。
【0031】
端末1(103)、端末2(104)、アプリケーションサーバ1(108)及びアプリケーションサーバ2(109)は、プログラムを実行するプロセッサ、プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリ、及び、ネットワークと接続するネットワークインターフェースを有する計算機である。
【0032】
アプリケーションサーバ1(108)及びアプリケーションサーバ2(109)は、アプリケーションプログラムを実行することによって、端末1(103)及び端末2(104)にアプリケーションを提供する。なお、アプリケーションプログラムの一部が端末1(103)又は端末2(104)で実行されてもよい。
【0033】
RANとしてはRAN1とRAN2の二つのネットワークが利用可能であり、端末1(103)及び端末2(104)は二つのRANを切り替えて又は同時に利用できる機能を有する。各RANは、GW105、106で終端され、各GWはモバイルネットワークゲートウェイ(MN−GW)107に接続され、MN−GW107によってRANの切り替えが可能である。
【0034】
RAN調停サーバ101は、各GW105、106からRAN110内の情報を集約する。
【0035】
VN側は、仮想ネットワーク調停サーバ102が仮想ネットワーク111内の仮想ネットワーク対応ルータ112の接続を切り替える機能を持ち、随時、複数の仮想ネットワークリンクを確保し管理する。本実施形態では、VN1及びVN2の二つのネットワークが利用可能である。RAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102は、集約した情報をモバイルアプリケーション基盤サーバ100に伝え、モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、これらの情報を利用することによって、RANとVNとが連携した調停を行うことができる。
【0036】
モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、端末1(103)及び端末2(104)からアプリケーションサーバ1(108)及びアプリケーションサーバ2(109)への接続要求を受信すると、保持しているRANとVNの情報に基づいて、要求を満たす組み合わせを決定する。要求を満たす組み合わせがある場合、当該組み合わせで接続をする。
【0037】
一方、要求を満たす組み合わせがなく、かつ、要求する遅延は満たすが他のユーザによって既に帯域が占有されいるRANやVNがある場合、新たに接続されるユーザより優先度が低いユーザを他のRANやVNに切り替えたり、要求通信品質を低くすることによって、優先度が高い新規接続ユーザの接続を確保する。要求する遅延を満たす組み合わせがない場合、新たに接続されるユーザが要求通信品質を譲歩することによって、最低限の接続が確保される。
【0038】
また、使用しているRANの品質が劣化した場合、優先度が低い順にユーザを他のRANやVNに切り替えたり、要求通信品質を譲歩する(すなわち、通信品質を低くする)ことによって、優先度が高いユーザやアプリケーションの要求を満たす接続を維持する。
【0039】
以下、より具体的に本実施形態のシステム構成を説明する。なお、ここまではユーザ単位で説明をしたが、以降はユーザがアプリケーションサーバから提供を受けるアプリケーション単位で説明する。
【0040】
各ユーザは、複数のアプリケーションを実行することができる。また、同一ユーザが複数の同一アプリケーションを起動する(例えば、ユーザAがアプリケーションAを複数起動する)ことができ、異なるユーザが同一アプリケーションを使用する(ユーザAとユーザBがアプリケーションAを起動する)ことができる。優先度は、ユーザ毎に決定されても、ユーザが使用するアプリケーション毎に決定されてもよい。以降は、アプリケーション毎に優先度が決定される例について説明する。ネットワークサービスを提供するプロバイダやキャリアが、契約や料金プランなどによって、ユーザ毎に優先度が決定される場合、アプリケーション毎の優先度ではなく、ユーザ毎に設定された優先度に本実施の形態を適用することができる。
【0041】
まず、本実施形態における主要通信制御装置であるモバイルアプリケーション基盤サーバ100の構成について説明する。
【0042】
図2は、本実施形態のモバイルアプリケーション基盤サーバ100の構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、ハードウェアとして、中央処理部(CPU:Central Processing Unit)120、ROM(Read Only Memory)121、RAM(Random Access Memory)122、磁気ディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)123、ネットワークインターフェース(NIF:Network Interface)を有し、市販の一般的なサーバである。また、RAM122又はHDD123にソフトウェアプログラム及びデータを保持し、ソフトウェアプログラムを実行することによって、適宜データを参照しながら所望の処理を実行する。RAM122は、少なくとも、無線ネットワーク通信状況テーブル130、有線ネットワーク通信状況テーブル131、アプリケーション管理テーブル132及びアプリケーション要求品質テーブル133を保持する。
【0044】
図3は、本実施形態の無線NW通信状態テーブル130の一例を説明する図であり、図4は、有線NW通信状態テーブル131の一例を説明する図である。
【0045】
モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、管理するネットワーク(RAN、VN)の通信状態を保持・管理する。本実施形態の無線NW通信状況テーブル130及び有線NW通信状態テーブル131は、通信状態を示す情報の例として、各RAN及びVNの提供帯域及び提供遅延時間を含むが、通信状態を把握するための情報であり、かつRAN及びVNを割り当てるために必要な情報を、各テーブルに追加するとよい。
【0046】
また、両テーブルは、リソースのユーザを特定するための情報としてユーザの識別子と含むが、現在どのユーザ又はアプリケーションが当該ネットワークに接続しているかを示す情報であればよい。これらのテーブルに含まれる情報は、モバイルアプリケーション基盤サーバ100が、定期的に又は必要がある際に随時、RAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102に問い合わせることによって取得した情報に基づいて更新する。
【0047】
図5は、本実施形態のアプリケーション管理テーブル132の一例を説明するである。
【0048】
本実施形態のアプリケーション管理テーブル132は、モバイルアプリケーション基盤サーバ100が管理しているアプリケーションの接続状況を保持するテーブルである。ユーザIDは、モバイルアプリケーション基盤サーバを介して接続されたユーザのアプリケーションに対してシーケンスに割り当てられる値である。アプリケーションIDは、接続しているアプリケーションの種別を特定する。端末とサーバは、通信している端末とサーバのIPアドレスやポート番号であり、端末及びサーバを特定するための情報であれば、どのような情報でもよい。当該アプリケーションが無線NW欄及び有線NW欄で示されたネットワークの組み合わせの接続を用いて、要求帯域欄及び要求遅延時間欄で特定される通信特性を要求して通信していることを示す。
【0049】
図6は、本実施形態のアプリケーション要求品質テーブル133の一例を説明するである。
【0050】
アプリケーション要求品質テーブル133は、モバイルアプリケーション基盤サーバ100を介して接続する際に必要となる要求通信品質及びユーザやアプリケーションの優先度を保持するテーブルである。アプリケーション要求品質テーブル133に含まれる要求通信品質と、無線NW通信状況テーブル130(図3)及び有線NW通信状況テーブル131(図4)に含まれるRAN及びVNの通信状況によって、接続すべき組み合わせが調停される。また、アプリケーションの優先度を用いて、接続すべき組み合わせを当該ユーザやアプリケーションが利用可能であるかを判定する。
【0051】
次に、第1の課題を解決するための、優先度を考慮した無線通信品質劣化時の接続中ユーザへのネットワーク割り当て方法の詳細について説明する。始めに、優先度を考慮した無線通信品質劣化時のネットワーク割り当て方法の概要について、図7を用いて説明する。
【0052】
図7(a)は、RAN1の提供可能帯域内に複数のアプリケーションが接続して、ネットワーク帯域を使用している状態を示す。この状態において、RAN1の無線通信品質が劣化し、図7(b)に示すように、提供帯域が減った場合の割り当てを考える。
【0053】
まず、接続中のアプリケーションを優先度順にソートし(図7(c))、通信品質劣化後の帯域から溢れた優先度が低いアプリケーションをRAN1から除外する(図7(d))。除外されたアプリケーションは、当該アプリケーションの要求通信品質を満たすRANに移動するか、要求通信品質を譲歩してRANに接続する。この処理によって、優先度が高いアプリケーションに優先的にソリースを割り当て、優先度が低いアプリケーションにも最低限の接続を確保することができる。
【0054】
図8は、本実施形態のネットワーク割当処理のフローチャートである。図8に示す、ネットワーク割当処理は、無線通信品質が劣化した場合に、モバイルアプリケーション基盤サーバ100が実行する。
【0055】
まず、無線通信品質の劣化を検出すると、このネットワーク割当処理を開始し(ステップ1101)、無線通信品質が劣化したことにより要求する通信品質が要求を達成しないアプリケーションが存在するか否かを判定する(ステップ1102)。その結果、通信品質が要求を達成しないアプリケーションが存在しなければ、ネットワークの再割り当てをせずに、この処理を終了する(ステップ1103)。一方、通信品質が要求を達成しないアプリケーションが存在すれば、品質の劣化したRANを選択し、RAN毎のループ処理を行う(ステップ1104〜ステップ1112)。
【0056】
ループ内では、まず、選択されたRANにおいて要求遅延を達成できないアプリケーションを抽出し(ステップ1105)。抽出された要求遅延を達成できないアプリケーションを除いた(抽出された要求遅延を達成でき)、当該RANに接続しているアプリケーションを、優先度が高い順にソートする(ステップ1106)。この際、同じ優先度のアプリケーションは、接続の新しい順、アプリケーションを利用しているユーザの優先度順など、ネットワークオペレータが定める方針に従ってソートするとよい。
【0057】
次に、優先度が高い順に当該RANを使用するアプリケーションを決定する(ステップ1107〜ステップ1111)。具体的には、選択したアプリケーションの合計帯域が当該RANによって提供される帯域を超えないように、優先度が高い順にアプリケーションを選択する(ステップ1108〜ステップ1110)。そして、選択されたアプリケーションは現在のRANを利用し、その他のアプリケーションは当該RANから除外される(ステップ1111)。そして、利用又は除外が決定されたネットワークが、当該通信の端点となる端末及びサーバに通知される。
【0058】
なお、RAN調停サーバ101がQoS制御機能を有していれば、モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、利用又は除外が決定されたネットワークをRAN調停サーバ101に通知してもよい。
【0059】
RAN毎のループ処理(ステップ1104〜ステップ1112)が終了した後、要求遅延が達成できないアプリケーション、又は、現在のRANから除外されたアプリケーションが存在するか否かを判定する(ステップ1113)。要求遅延が達成できないアプリケーション及び現在のRANから除外されるアプリケーションのいずれも存在しない場合、再割り当てを実行せず、この処理を終了する(ステップ1114)。一方、要求遅延が達成できないアプリケーション、又は現在のRANから除外されたアプリケーションが存在する場合、除外アプリケーション接続処理(ステップ1115)を実行し、この処理を終了する(ステップ1116)。
【0060】
図9は、本実施形態の除外アプリケーション接続処理のフローチャートである。
【0061】
この除外アプリケーション接続処理は、ネットワーク割当処理のステップ1115から呼び出されることによって開始する(ステップ1201)。
【0062】
まず、要求遅延が達成できないアプリケーション及び当該RANから除外されたアプリケーションを優先度が高い順にソートし(ステップ1202)、優先度が高い順にRAN/VNのネットワーク割り当てを決定する(ステップ1203〜ステップ1207)。具体的には、m=1を初期値として、アプリケーションの要求を満たすネットワーク(RAN、VN)の組み合わせが存在するか否かを判定する(ステップ1205)。その結果、要求を満たす組み合わせが存在すれば、当該ネットワークの組み合わせを当該アプリケーションを使用しているユーザに割り当て(ステップ1206)、次のアプリケーションに進む(ステップ1207)。そして、ステップ1204で、ソートされた全てのアプリケーションに、この処理が実行されたか否かを判定し、ソートされた全てのアプリケーションに、この処理を実行する。
【0063】
なお、ステップ1206で割り当てられたネットワークが、当該通信の端点となる端末及びサーバに通知される。なお、RAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102がQoS制御機能を有していれば、モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、割り当てられたネットワークをRAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102に通知してもよい。
【0064】
その結果、ソートされた全てのアプリケーションの割り当てが成功した場合(1208でNo)、この処理を終了する(ステップ1211)。一方、少なくとも一部のアプリケーションの割り当てに失敗した場合(1208でYes)、譲歩するユーザが使用するネットワークの組み合わせ候補を選択し(ステップ1209)、選択された組み合わせの候補が提供できる通信品質に譲歩することによって低くなった通信品質で接続を行うよう、当該通信の端点となる端末及びサーバに通知する(ステップ1210)。なお、RAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102がQoS制御機能を有していれば、モバイルアプリケーション基盤サーバ100は、割り当てられたネットワークをRAN調停サーバ101及びVN調停サーバ102に通知してもよい。
【0065】
譲歩するユーザが使用するネットワークの選択は、End−to−Endで提供される遅延時間が最小となる組み合わせ、遅延時間が最適となる組み合わせ、帯域使用率が最低となる組み合わせなど、ネットワークオペレータによって指定される方法や、ユーザのプリファレンスなどを考慮し選択するとよい。
【0066】
次に、第2の課題を解決するための、優先度を考慮した新たに接続されるアプリケーションへのネットワーク割り当て方法の詳細について説明する。始めに、優先度を考慮した新たに接続されるアプリケーションのネットワーク割り当て方法の概要について、図10を用いて説明する。
【0067】
図10(a)は、RAN1の提供可能帯域内に複数のアプリケーションが接続して、ネットワーク帯域を使用している状態を示す。この状態において、図10(b)に示すように、RAN1の余剰帯域以上の帯域を必要とし、中程度の優先度のアプリケーションからの接続要求があった場合の割り当てを考える。
【0068】
まず、接続中アプリケーション及び接続要求があったアプリケーションを優先度順にソートし(図10(c))、提供される帯域から溢れた優先度が低いアプリケーションをRAN1から除外する(図10(d))。除外されたアプリケーションは、当該アプリケーションの要求通信品質を満たすRANに移動するか、要求通信品質を譲歩してRANに接続する。この処理によって、優先度が高いアプリケーションに優先的にソリースを割り当て、優先度が低いアプリケーションにも最低限の接続を確保することができる。
【0069】
図11A及び図11Bは、本実施形態のネットワーク割当処理のフローチャートである。図11A及び図11Bに示すネットワーク割当処理は、新たなアプリケーションが接続を試みた場合に実行される。
【0070】
まず、新規アプリケーションが最初に接続を試みるネットワークの組み合わせの候補を選択する。組み合わせ候補の選択はステップ1209において前述した方法と同じ方法を採用することができる(ステップ1401)。
【0071】
次に、当該初期組み合わせによって提供される遅延が、当該アプリケーションが要求する遅延を満たすか否かを判定する(ステップ1402)。その結果、要求する遅延を満たさない場合、ステップ1419に進む。
【0072】
一方、要求する遅延を満たす場合、選択された組み合わせのRAN及びVNから除外するアプリケーションを選択するための、RAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)及びVN除外アプリケーション選択処理(ステップ1440)を実行する。なお、RAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)及びVN除外アプリケーション選択処理(ステップ1440)の詳細は後述する。なお、本実施形態ではRAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)とVN除外アプリケーション選択処理(ステップ1440)とは、どちらが先に処理されてもよい。
【0073】
次に、ステップ1402で新規アプリケーションが要求する遅延が達成できない、又は、RAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)及びVN除外アプリケーション選択処理(ステップ1440)で除外されたアプリケーションが存在するか否かを判定し(ステップ1419)、新規アプリケーションが要求する遅延が達成できない及び現在のRAN又はVNから除外されるアプリケーションのいずれもない場合(ステップ1419でNo)、新たに接続されるアプリケーションを選択されたRAN/VNの組み合わせに接続し、この処理を終了する(ステップ1420)。
【0074】
一方、新規アプリケーションが要求する遅延が達成できない又は現在のRAN又はVNから除外されるアプリケーションの少なくともいずれかである場合(ステップ1419でYes)、除外アプリケーション接続処理(ステップ1420)を実行し、この処理を終了する(ステップ1422)。
【0075】
除外アプリケーション接続処理(ステップ1421)は、無線通信品質劣化時の除外アプリケーション接続処理(図9)と同じである。但し、新たに接続されるユーザが要求する遅延が達成できない場合、新規ユーザのみが選択されることになるため、ステップ1202〜ステップ1208までの処理を省略し、直接、組み合わせ候補選択(ステップ1209)及びアプリケーション譲歩(ステップ1210)の処理を実行してもよい。この様にすると、処理の時間を短縮することができる。
【0076】
次に、RAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)について説明する。
【0077】
RAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)では、まず、新たに接続されるアプリケーションが要求する帯域と選択されたRANの空き帯域とを比較する(ステップ1403)。その結果、空き帯域が要求帯域以上である場合、新規アプリケーションは当該RANを使用することができる(ステップ1410)。一方、空き帯域が要求帯域より小さい場合、まず、新規ユーザのアプリケーション及び当該RANに接続中のアプリケーションを優先度が高い順にソートする(ステップ1404)。この際、同じ優先度のアプリケーションは、前述したステップ1106と同様に、接続の新しい順、アプリケーションを利用しているユーザの優先度順など、ネットワークオペレータが定める方針に従ってソートするとよい。
【0078】
次に、優先度が高い順に当該RANを使用するアプリケーションを決定する(ステップ1405〜ステップ1408)。具体的には、選択したアプリケーションの合計帯域が当該RANによって提供される帯域を超えないように、優先度が高い順にアプリケーションを選択する(ステップ1406〜ステップ1408)。そして、選択されたアプリケーションは現在のRANを利用し、その他のアプリケーションは当該RANから除外される(ステップ1409)。
【0079】
ここまでの処理によって、新たに接続されるアプリケーションの追加によって当該RANから除外されるユーザ(アプリケーション)が決定される。この際、新たに接続されるアプリケーションの優先度が、接続中のアプリケーションより低い場合、新たに接続されるアプリケーションが他のRANを使用する。
【0080】
VN除外アプリケーション選択処理(ステップ1440)は、前述したRAN除外アプリケーション選択処理(ステップ1430)のRANをVNと読み替えた処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
ここまでの処理によって、新たに接続されるアプリケーションが選択したVNから除外されるユーザが決定される。この際、新たに接続されるアプリケーションの優先度が接続中のアプリケーションより低い場合には、新たに接続されるアプリケーションが他のVNを使用する。
【0082】
従来は、接続中のアプリケーションを他のネットワークに切り替えることは、当該切り替えられるアプリケーションの通信品質を劣化させ、かつ、アプリケーションを使用するユーザのレスポンスに対する体感を悪化させるため、非効率的かつ非現実的であった。しかし、コグニティブ無線技術などの進歩により、100ミリ秒程度での無線システムの切り替えが可能となった。また、この先、より高速なシステム切り替えが可能になれば、様々なアプリケーションで瞬断の影響が少なく、優先度に応じた効率的な制御が可能となると予想される。また、現状でも100msec程度の瞬断が使用ユーザに大きな影響がないアプリケーションでは十分に適用可能である。
【0083】
例えば、ファイルのダウンロードや、ストリーミングのアプリケーションでは100ミリ秒の瞬断があっても、より早くデータの送受信が完了できるネットワークに切り替えた方がアプリケーション又はユーザの要求に応えることができる。ネットワークの瞬断が大きな影響を与える車載センサなどのミッションクリティカルなアプリケーションの優先度を高くし、そのアプリケーションが瞬断しても通信品質が高いネットワークへ切り替える(すなわち、高速通信が重要)か、又は、できるだけ瞬断しないように他のアプリケーションを切り替えて、自らは現在のネットワークを使用し続ける(すなわち、接続の信頼性が重要)か、を示す「切替判定パラメータ」を図6のアプリケーション要求品質テーブル内に保有し、モバイルアプリケーション基盤サーバが、切り替え判定パラメータに応じた処理を実行することが、瞬断の影響をなくすための有効な手段であると考える。
【0084】
以上に説明したように、本発明の実施の形態では、通信品質が劣化した場合でも、新規に接続する場合でも、ユーザ又はアプリケーションの優先度に従って、無線通信区間の割り当てを変更したり、ネットワークを切り替えるので、ミッションクリティカル性のある優先度が高いアプリケーションや、常に高品質な通信が要求されるユーザに対して、優先的に無線リソースを割り当てることができる。また、優先度が低いユーザやアプリケーションに対しても、優先度に応じて適切な無線リソースを割り当てることができ、無線リソースを効率的に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は通信システムにおいて、端末とサーバ間の要求通信品質、経路の通信特性の変化に対応する通信制御技術として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークと、
前記ネットワークを制御する通信制御装置と、を備える通信システムであって、
前記無線通信区間には通信端末が接続されており、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、
前記通信制御装置は、
前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態とを取得し、
前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合、前記無線通信区間及び前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択し、
前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記通信制御装置は、
ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、
前記無線通信区間の通信品質が劣化したことを検出した場合、前記検出された通信品質の劣化によって、前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路による端点間で提供可能な遅延時間が、要求される遅延時間を達成できないユーザ又はアプリケーションを抽出し、
当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションのうち、前記抽出されたユーザ又はアプリケーションを除いたユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に当該無線通信区間に割り当て、
当該無線通信区間において提供される帯域を超えるために、当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、
前記要求される遅延時間が達成できない又は前記無線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定し、
前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順に、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から前記通信品質要求を満たす新規経路を選択し、
前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信制御装置は、
前記通信品質要求を満たす前記無線通信区間の経路及び前記有線通信区間の経路の少なくとも一方が選択できないユーザ又はアプリケーションが存在する場合、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、譲歩した通信品質要求を満たす新規経路の候補を選択し、
前記選択された新規経路の候補が提供できる通信品質に譲歩した通信品質で接続するように、前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信制御装置は、
ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、
新規に前記ユーザ又は前記アプリケーションから接続要求があった場合、前記接続が要求された通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から新規経路を選択し、
前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路とによる端点間で提供可能な遅延時間が、前記新規ユーザ又はアプリケーションの要求を満たすか否かを判定し、
前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と該無線通信区間の空き帯域とを比較し、
前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に割り当て、
当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外し、
前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と前記有線通信区間の空き帯域とを比較し、
前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該有線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に割り当て、
当該有線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該有線通信区間から除外することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信制御装置は、
前記要求される遅延時間が達成できない又は該無線通信区間及び該有線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定し、
前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順に、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から前記通信品質要求を満たす新規経路を選択し、
前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信制御装置は、
前記通信品質要求を満たす前記無線通信区間の経路及び前記有線通信区間の経路の少なくとも一方が選択できないユーザ又はアプリケーションが存在する場合、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、譲歩した通信品質要求を満たす新規経路の候補を選択し、
前記選択された新規経路の候補が提供できる通信品質に譲歩した通信品質で接続するように、前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
複数の経路を有する無線通信区間と、1以上の経路を有する有線通信区間とを含むネットワークにおいて、通信制御装置によって行われる通信制御方法であって、
前記無線通信区間には通信端末が接続され、前記有線通信区間にはサーバが接続されており、
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記無線通信区間の複数の経路の通信状態と、前記有線通信区間の1以上の経路の通信状態とを取得し、
前記通信制御装置が、前記無線通信区間に接続された通信端末と前記有線通信区間に接続されたサーバとの間でデータ通信要求があった場合、前記無線通信区間及び前記有線通信区間による通信品質が、前記通信端末と前記サーバとの間の通信において要求される通信品質を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、それぞれの経路を選択し、
前記通信制御装置が、前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする通信制御方法。
【請求項9】
前記通信制御装置は、ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記無線通信区間の通信品質が劣化したことを検出した場合、前記検出された通信品質の劣化によって、前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路による端点間で提供可能な遅延時間が、要求される遅延時間を達成できないユーザ又はアプリケーションを抽出し、
前記通信制御装置が、当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションのうち、前記抽出されたユーザ又はアプリケーションを除いたユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に当該無線通信区間に割り当て、
前記通信制御装置が、当該無線通信区間において提供される帯域を超えるために、当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外することを特徴とする請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記要求される遅延時間が達成できない又は前記無線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定し、
前記通信制御装置が、前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順に、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から前記通信品質要求を満たす新規経路を選択し、
前記通信制御装置が、前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記通信品質要求を満たす前記無線通信区間の経路及び前記有線通信区間の経路の少なくとも一方が選択できないユーザ又はアプリケーションが存在する場合、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、譲歩した通信品質要求を満たす新規経路の候補を選択し、
前記通信制御装置が、前記選択された新規経路の候補が提供できる通信品質に譲歩した通信品質で接続するように、前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項12】
前記通信制御装置は、ユーザが使用するアプリケーションの優先度の情報を保持し、
前記方法は、
前記通信制御装置が、新規に前記ユーザ又は前記アプリケーションから接続要求があった場合、前記接続が要求された通信品質要求を満たすように、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から新規経路を選択し、
前記選択された無線通信区間の経路と有線通信区間の経路とによる端点間で提供可能な遅延時間が、前記新規ユーザ又はアプリケーションの要求を満たすか否かを判定し、
前記通信制御装置が、前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と該無線通信区間の空き帯域とを比較し、
前記通信制御装置が、前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該無線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に割り当て、
前記通信制御装置が、当該無線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該無線通信区間から除外し、
前記通信制御装置が、前記新規ユーザ又はアプリケーションが要求する帯域と前記有線通信区間の空き帯域とを比較し、
前記通信制御装置が、前記新規ユーザ又はアプリケーション及び当該有線通信区間に接続するユーザ又はアプリケーションを、優先度が高い順に割り当て、
前記通信制御装置が、当該有線通信区間に割り当てることができなかったユーザ又はアプリケーションを当該有線通信区間から除外することを特徴とする請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記要求される遅延時間が達成できない又は該無線通信区間及び該有線通信区間から除外されたユーザ又はアプリケーションが存在するか否かを判定し、
前記通信制御装置が、前記除外されたユーザ又はアプリケーションの優先度が高い順に、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から前記通信品質要求を満たす新規経路を選択し、
前記通信制御装置が、前記選択された経路を前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項12に記載の通信制御方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記通信制御装置が、前記通信品質要求を満たす前記無線通信区間の経路及び前記有線通信区間の経路の少なくと一方が選択できないユーザ又はアプリケーションが存在する場合、前記複数の無線通信区間の経路及び前記1以上の有線通信区間の経路から、譲歩した通信品質要求を満たす新規経路の候補を選択し、
前記通信制御装置が、前記選択された新規経路の候補が提供できる通信品質に譲歩した通信品質で接続するように、前記通信端末及び前記サーバへ通知することを特徴とする請求項13に記載の通信制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−209787(P2012−209787A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74175(P2011−74175)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人情報通信研究機構、ネットワーク仮想化を活用したデータサービスアプリケーション基盤技術に関する研究開発 委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】