説明

通信システム

【課題】使用者が携帯端末を携帯していない場合に、この携帯端末の報知態様を切り替えることができる通信システムを提供すること。
【解決手段】通信システム100は、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えると判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様で報知し、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えないと判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様とは異なる第2の態様で報知する報知制御部164と、報知部18により第2の態様で報知を行った場合、着信を発呼した外部機器に対して不在応答処理を行う不在応答処理部165と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末とIDカードとを用いた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末の普及に伴い、携帯端末を各社員に支給し、支給された携帯端末を用いて、社員同士が連絡を取り合う企業や法人等が増加している。
【0003】
一方で、セキュリティの観点から各社員にIDカードを貸与し、このIDカードにより社屋への入場及び退場の認証を行う企業や法人等も増加している。
【0004】
そこで、社員に支給した携帯端末及び貸与したIDカードを用いて、当該社員によるIDカードの使用を許可する認証システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−325435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、社屋への入場及び退場時に必要となるIDカードは、各社員が自席から離れる際に携帯することを忘れにくいが、支給された携帯端末の携帯を忘れてしまう場合があった。その結果、携帯端末の使用者である社員に対して他の社員が電話を掛けた場合に、通話を開始するまでのコール待ち時間が長くなったり、使用者である社員以外の社員が代理で応答してしまい、使用者である社員と会話ができなかったりするという問題があった。
【0007】
本発明は、使用者が携帯端末を携帯していない場合に、この携帯端末の報知態様を切り替えることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、携帯端末とIDカードとが無線通信可能に接続される通信システムであって、前記携帯端末は、外部機器からの音声通話の着信を受け付ける着信受付部と、前記着信受付部により受け付けられた前記着信に応じて、前記IDカードの識別情報を要求する要求情報を生成する要求情報生成部と、前記要求情報生成部により生成された前記要求情報を含む無線信号を前記IDカードへ送信する端末送信部と、を備え、前記IDカードは、前記IDカードを識別するIDカード識別情報を記憶する記憶部と、前記端末送信部から送信された前記要求情報を含む無線信号を受信するカード受信部と、前記カード受信部により受信された前記無線信号に含まれる前記要求情報に応じて前記記憶部に記憶されるIDカード識別情報を読み出す識別情報読み出し部と、前記識別情報読み出し部により読み出された前記IDカード識別情報を含む無線信号を前記携帯端末へ送信するカード送信部と、を備え、前記携帯端末は、前記カード送信部から送信された前記IDカード識別情報を含む無線信号を受信する端末受信部と、前記端末受信部により受信された前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えるか否かを判定する信号強度判定部と、所定の態様で報知を行う報知部と、前記信号強度判定部により前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が前記所定の閾値を超えると判定された場合、前記着信受付部により受け付けた前記着信を前記報知部により第1の態様で報知させ、前記信号強度判定部により前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が前記所定の閾値を超えないと判定された場合、前記着信受付部により受け付けた前記着信を前記報知部により前記第1の態様とは異なる第2の態様で報知させる報知制御部と、前記報知部により前記第2の態様で報知を行った場合、前記着信を発呼した前記外部機器に対して不在応答処理を行う不在応答処理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、端末受信部により受信されたIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えるか否かを判定する。そして、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えると判定された場合、着信受付部により受け付けた着信を報知部により第1の態様で報知し、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えないと判定された場合、着信受付部により受け付けた着信を報知部により第1の態様とは異なる第2の態様で報知する。そして、報知部により第2の態様で報知を行った場合、着信を発呼した外部機器に対して不在応答処理を行う。
【0010】
このようにすることで、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えると判定された場合には、携帯端末とIDカードとの距離が接近している。すなわち、使用者が携帯端末を携帯している状態である。一方、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えないと判定された場合には、携帯端末とIDカードとの距離が離れている。すなわち、使用者が携帯端末を携帯していない状態であるので、第1の態様と異なる第2の態様で報知した後に不在応答処理を行う。
【0011】
したがって、使用者及び使用者以外の社員は、使用者が携帯端末を携帯しているか否かを明確に認識することができる。また、使用者が携帯端末を携帯していない場合には、着信を発呼した外部機器に対して第2の態様で報知した後に不在応答処理を行うため、着信を発呼した者は、携帯端末の使用者が携帯端末を携帯していないことを明確に認識することができる。
【0012】
また、前記端末送信部及び前記端末受信部は、RFIDリーダライタ部により構成され、前記カード受信部及び前記カード送信部は、前記RFIDリーダライタ部と磁界通信を行う磁界通信部により構成されることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、IDカード内に電源を別途設けることなく、携帯端末と無線信号の送受信を行うことができる。また、RFIDリーダライタ部と磁界通信部による磁界通信は、安価に製造できるため導入コストを低減することができる。
【0014】
また、前記携帯端末の使用者が使用する情報処理装置を更に備え、前記IDカードは、前記情報処理装置の認証を行う認証部を有し、前記所定の閾値は、前記情報処理装置が前記認証部により認証された状態での端末受信部により受信される前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度よりも小さい値であることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、携帯端末及びIDカードの使用者が携帯端末を携帯しているか否かを好適に判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者が携帯端末を携帯していない場合に、この携帯端末の報知態様を切り替えることができる通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の通信システムの一実施形態である通信システム100の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の通信システム100の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の通信システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<全体構成>
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の通信システムの一実施形態である通信システム100の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の通信システム100は、携帯端末1と、IDカード2と、情報処理装置3と、認証装置31と、を備える。
【0019】
携帯端末1、IDカード2及び情報処理装置3は、同一の使用者によって使用されている。また、情報処理装置3は、認証装置31に接続される。情報処理装置3は、IDカード2を認証装置31と電気的に接続することによって情報処理装置3の使用者の認証を行う。なお、IDカード2による情報処理装置3の認証については、後述する。
【0020】
<機能構成>
図2は、本実施形態の通信システム100の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、通信システム100は、携帯端末1と、IDカード2と、情報処理装置3と、を備える。先ず、携帯端末1の機能構成について説明する。携帯端末1は、通信部11と、メモリ12と、スピーカ13と、ディスプレイ14と、バイブレータ15と、制御部16と、RFIDリーダライタ部17と、を備える。
【0021】
通信部11は、アンテナ、通信処理回路等を含んで構成される。通信部11は、外部機器から所定の周波数の信号を受信し、受信された信号の復調や復号化等の処理を行う。また、通信部11は、制御部16から供給される信号の符号化や変調等の処理を行い、処理後の信号を外部機器へ送信する。
【0022】
メモリ12は、不揮発性記憶媒体により構成され、各種データを記憶する。
スピーカ13は、通信部11によって処理された音声信号を制御部16の制御に従って外部に出力する。
【0023】
ディスプレイ14は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electoro Luminescence)により構成され、制御部16の制御に従って各種情報を表示する。
バイブレータ15は、携帯端末1の内部に取り付けられ、制御部16の制御に従って振動を発生させる。このバイブレータ15が発生させる振動が携帯端末1の全体に伝達されることにより、携帯端末1は振動する。
【0024】
スピーカ13、ディスプレイ14及びバイブレータ15は、制御部16の制御に従って所定の態様で報知を行う報知部として機能する。なお、以下の説明では、スピーカ13、ディスプレイ14及びバイブレータ15を総称して報知部18という。
【0025】
制御部16は、主にCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)により構成され、携帯端末1の全体を制御する。
また、制御部16は、着信受付部161と、要求情報生成部162と、信号強度判定部163と、報知制御部164と、不在応答処理部165と、を備える。
【0026】
着信受付部161は、外部機器からの音声通話の着信を受け付ける。
要求情報生成部162は、着信受付部161により受け付けた着信に応じて、IDカード2に固有の識別情報(以下、IDカード識別情報という)を要求する要求情報を生成する。
【0027】
信号強度判定部163は、端末受信部172により受信されたIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えるか否かを判定する。
【0028】
報知制御部164は、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えると判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様で報知する。
【0029】
ここで、第1の態様は、特に制限されないが、例えば、スピーカ13から予め設定された音を出力する、ディスプレイ14に予め設定された文字や画像を表示する、バイブレータ15から予め設定された振動を出力する等である。
【0030】
一方、報知制御部164は、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えないと判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様とは異なる第2の態様で報知する。
【0031】
第2の態様は、第1の態様と異なる報知の態様であれば特に制限されないが、携帯端末1の使用者以外の者(他の社員等)が携帯端末1の使用者が不在であることを認識することができる態様であることが好ましい。例えば、第2の態様としては、第1の態様で報知を行う時間よりも短い時間で行われる報知が挙げられる。これにより、使用者以外の社員は、使用者が携帯端末1を携帯していないことを認識できる。
【0032】
不在応答処理部165は、報知部18により第2の態様で報知を行った場合、第2の態様での報知を終了し、着信を発呼した外部機器に対して不在応答処理を行う。不在応答処理とは、留守番電話処理、不在メッセージとして音声信号又は電子メールを送信する処理等である。これにより、着信を発呼した者は、使用者が携帯端末1を携帯していないことを認識できる。
【0033】
RFIDリーダライタ部17は、アンテナ、通信処理回路を含んで構成される。RFIDリーダライタ部17は、IDカードから無線信号を受信し、受信された無線信号の復調や復号化等の処理を行う。また、RFIDリーダライタ部17は、制御部16から供給される信号の符号化や変調等の処理を行い、処理後の信号をIDカードへ送信する。
また、RFIDリーダライタ部17は、端末送信部171と、端末受信部172と、を備える。
【0034】
端末送信部171は、要求情報生成部162により生成された要求情報に変調処理や符号化処理を行い、処理後の要求情報を含む無線信号をIDカード2へ送信する。
【0035】
端末受信部172は、カード送信部212から送信されたIDカード識別情報を含む無線信号を受信する。そして、端末受信部172は、受信された無線信号の復調処理や復号化処理を行い、処理後の信号を制御部16へ供給する。
【0036】
次に、IDカード2の機能構成について説明する。IDカード2は、磁界通信部21と、制御部22と、記憶部としてのメモリ23と、電源回路部24と、を備える。
【0037】
磁界通信部21は、コイルアンテナと通信処理部とを含んで構成される。磁界通信部21は、コイルアンテナとRFIDリーダライタ部17との電磁誘導作用により発生した起電力に基づいて動作を行う。磁界通信部21は、カード受信部211と、カード送信部212と、を備える。
【0038】
カード受信部211は、端末送信部171から送信された要求情報を含む無線信号を受信する。そして、カード受信部211は、受信された要求情報を含む無線信号の復調処理を行い、処理後の信号を制御部22へ供給する。
カード送信部212は、識別情報読み出し部221により読み出されたIDカード識別情報に変調処理を行い、処理後のIDカード識別情報を含む無線信号をRFIDリーダライタ部17に送信する。
【0039】
制御部22は、CPUにより構成され、IDカード2の全体を制御する。また、制御部22は、識別情報読み出し部221と、認証部222と、を備える。
識別情報読み出し部221は、要求情報に応じてメモリ23に記憶されるIDカード2のIDカード識別情報を読み出す。そして、識別情報読み出し部221は、読み出されたIDカード識別情報をカード送信部212に供給する。
【0040】
認証部222は、情報処理装置3の認証を行う。具体的には、認証部222は、情報処理装置3の認証装置31と電気的に接続されると、メモリ23に記憶される情報処理装置3に固有の識別情報を読み出す。そして、認証部222は、読み出した情報処理装置3に固有の識別情報を、認証装置31を介して情報処理装置3に送信する。
【0041】
ここで、一般的に、無線信号は、送信先と受信先との距離が離れると、信号の強度が弱くなる。よって、端末受信部172により受信されたIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度は、携帯端末1とIDカード2との間の距離に応じて変動する。
また、IDカード2により情報処理装置3を認証している状態では、携帯端末1とIDカード2との距離は、一定範囲の距離を保っている。これは、IDカード2により情報処理装置3を認証している状態では、使用者が情報処理装置3を使用する自席に在席しており、且つ、使用者が携帯端末1を携帯しているためである。
【0042】
そして、IDカード2により情報処理装置3を認証していない状態、すなわちIDカード2により情報処理装置3の認証を解除している状態では、携帯端末1とIDカード2との間の距離は、IDカード2により情報処理装置3を認証している状態よりも離れている。よって、携帯端末1及びIDカード2を使用する使用者は、情報処理装置3を使用する自席から離席している。
そこで、信号強度判定部163において、閾値Sは、携帯端末1及びIDカード2を使用する使用者が情報処理装置3を使用する自席に在席している状態、すなわち認証部222により情報処理装置3が認証された状態での端末受信部172により受信されるIDカード識別情報の信号強度よりも小さい値に設定される。
【0043】
メモリ23は、不揮発性記憶媒体により構成され、IDカード2に固有のIDカード識別情報、情報処理装置3に固有の識別情報(以下、情報処理装置識別情報という)等を記憶している。
電源回路部24は、磁界通信部21により受信した無線信号(電磁波)を電圧に変換し、変換された電圧をIDカード2の各部へ供給する。
【0044】
次に、情報処理装置3及び認証装置31の機能構成について説明する。
認証装置31は、IDカード2と電気的に接続し、IDカード2から供給される信号を制御部33へ送信する。
情報処理装置3は、認証装置31、記憶部32と、制御部33と、を備える。
【0045】
記憶部32は、不揮発性記憶媒体や磁気ディスク等で構成され、情報処理装置3に固有の識別情報を記憶する。
【0046】
制御部33は、主にCPUによって構成され、認証判定部331と、使用許可部332と、を備える。
認証判定部331は、IDカード2の認証部222から送信された情報処理装置3に固有の識別情報である情報処理装置識別情報を受け付ける。そして、認証判定部331は、受け付けた情報処理装置識別情報と、記憶部32に記憶される情報処理装置識別情報とが一致するか否かを判定する。
使用許可部332は、認証判定部331により受け付けた情報処理装置識別情報と、記憶部32に記憶される情報処理装置識別情報とが一致すると判定された場合には、情報処理装置3の使用を許可する。一方、使用許可部332は、認証判定部331により受け付けた情報処理装置識別情報と、記憶部32に記憶される情報処理装置識別情報とが一致しないと判定された場合には、情報処理装置3の使用を許可しない。
【0047】
<処理の流れ>
次に、本実施形態の通信システム100の処理の流れについて説明する。図3は、本実施形態の通信システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
ステップS1において、着信受付部161は、外部機器からの音声通話の着信を受け付ける。
ステップS2において、要求情報生成部162は、着信受付部161により着信が受け付けられると、IDカード識別情報を要求する要求情報を生成する。
【0049】
ステップS3において、端末送信部171は、要求情報生成部162により生成された要求情報に変調処理や符号化処理を行い、処理後の要求情報を含む無線信号をIDカード2に送信する。
ステップS4において、カード受信部211は、端末送信部171から送信された要求情報を含む無線信号を受信する。そして、カード受信部211は、受信された要求情報を含む無線信号の復調処理を行い、処理後の信号を制御部22へ供給する。
【0050】
ステップS5において、識別情報読み出し部221は、要求情報に応じてメモリ23に記憶されるIDカード識別情報を読み出す。そして、識別情報読み出し部221は、読み出されたIDカード識別情報をカード送信部212に供給する。
ステップS6において、カード送信部212は、識別情報読み出し部221により読み出されたIDカード識別情報に変調処理を行い、処理後のIDカード識別情報を含む無線信号をRFIDリーダライタ部17に送信する。
【0051】
ステップS7において、端末受信部172は、カード送信部212から送信された応答情報を含む無線信号を受信する。そして、端末受信部172は、受信された無線信号の復調処理や復号化処理を行い、処理後の信号を制御部16へ供給する。
ステップS8において、信号強度判定部163は、端末受信部172により受信された応答情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えるか否かを判定する。閾値Sを超える場合(Yes)には、ステップS9へ移る。一方、閾値Sを超えない場合(No)には、ステップS10へ移る。なお、信号強度判定部163は、端末受信部172により応答情報を含む無線信号を一定期間内に受信できない場合も閾値Sを超えないと判定する。
【0052】
ステップS9において、報知制御部164は、信号強度判定部163により応答情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えると判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様で報知する。
ステップS10において、報知制御部164は、信号強度判定部163により応答情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えないと判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様とは異なる第2の態様で報知する。
【0053】
ステップS11において、報知部18により第2の態様で報知を行った場合、着信を発呼した外部機器に対して不在応答処理を行う。
【0054】
このように本実施形態の通信システム100によれば、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えると判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様で報知し、信号強度判定部163によりIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えないと判定された場合、着信受付部161により受け付けた着信を報知部18により第1の態様とは異なる第2の態様で報知する報知制御部164と、報知部18により第2の態様で報知を行った場合、着信を発呼した外部機器に対して不在応答処理を行う不在応答処理部165と、を備える。
【0055】
このようにすることで、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えると判定された場合には、携帯端末1とIDカード2との距離が接近している。すなわち、使用者が携帯端末1を携帯している状態である。一方、IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が閾値Sを超えないと判定された場合には、携帯端末1とIDカード2との距離が離れている。すなわち、使用者が携帯端末1を携帯していない状態であるので、第1の態様と異なる第2の態様で報知した後に不在応答処理を行う。
【0056】
したがって、使用者及び使用者以外の社員は、使用者が携帯端末1を携帯しているか否かを明確に認識することができる。また、使用者が携帯端末1を携帯していない場合には、着信を発呼した外部機器に対して第2の態様で報知した後に不在応答処理を行うため、着信を発呼した者は、携帯端末1の使用者が携帯端末1を携帯していないことを明確に認識することができる。
【0057】
また、本実施形態の通信システム100によれば、端末送信部171及び端末受信部172は、RFIDリーダライタ部17により構成され、カード受信部211及びカード送信部212は、RFIDリーダライタ部17と磁界通信を行う磁界通信部21により構成される。
【0058】
これにより、IDカード2内に電源を別途設けることなく、携帯端末1と無線信号の送受信を行うことができる。また、RFIDリーダライタ部17部と磁界通信部21は、安価に製造できるため導入コストを低減することができる。
【0059】
また、本実施形態の通信システム100によれば、閾値Sは、情報処理装置3が認証部222により認証された状態での端末受信部172により受信されるIDカード識別情報を含む無線信号の信号強度よりも小さい値である。したがって、携帯端末1の使用者が携帯端末1を携帯しているか否かを好適に判定することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、携帯端末1の制御部16に閾値を設定する設定部を設け、この設定部により携帯端末1及びIDカード2の使用者の操作により閾値を設定できるように構成してもよい。これにより、より好適に携帯端末1及びIDカード2の使用者が自席に不在であることを判定することができる。
【0061】
また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 携帯端末
2 IDカード
3 情報処理装置
18 報知部
23 メモリ
31 認証装置
100 通信システム
161 着信受付部
162 要求情報生成部
163 信号強度判定部
164 報知制御部
165 不在応答処理部
171 端末送信部
172 端末受信部
211 カード受信部
212 カード送信部
221 識別情報読み出し部
222 認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末とIDカードとが無線通信可能に接続される通信システムであって、
前記携帯端末は、
外部機器からの音声通話の着信を受け付ける着信受付部と、
前記着信受付部により受け付けられた前記着信に応じて、前記IDカードの識別情報を要求する要求情報を生成する要求情報生成部と、
前記要求情報生成部により生成された前記要求情報を含む無線信号を前記IDカードへ送信する端末送信部と、を備え、
前記IDカードは、
前記IDカードを識別するIDカード識別情報を記憶する記憶部と、
前記端末送信部から送信された前記要求情報を含む無線信号を受信するカード受信部と、
前記カード受信部により受信された前記無線信号に含まれる前記要求情報に応じて前記記憶部に記憶されるIDカード識別情報を読み出す識別情報読み出し部と、
前記識別情報読み出し部により読み出された前記IDカード識別情報を含む無線信号を前記携帯端末へ送信するカード送信部と、を備え、
前記携帯端末は、
前記カード送信部から送信された前記IDカード識別情報を含む無線信号を受信する端末受信部と、
前記端末受信部により受信された前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が所定の閾値を超えるか否かを判定する信号強度判定部と、
所定の態様で報知を行う報知部と、
前記信号強度判定部により前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が前記所定の閾値を超えると判定された場合、前記着信受付部により受け付けた前記着信を前記報知部により第1の態様で報知させ、前記信号強度判定部により前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度が前記所定の閾値を超えないと判定された場合、前記着信受付部により受け付けた前記着信を前記報知部により前記第1の態様とは異なる第2の態様で報知させる報知制御部と、
前記報知部により前記第2の態様で報知を行った場合、前記着信を発呼した前記外部機器に対して不在応答処理を行う不在応答処理部と、を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記端末送信部及び前記端末受信部は、
RFIDリーダライタ部により構成され、
前記カード受信部及び前記カード送信部は、
前記RFIDリーダライタ部と磁界通信を行う磁界通信部により構成されることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記携帯端末の使用者が使用する情報処理装置を更に備え、
前記IDカードは、前記情報処理装置の認証を行う認証部を有し、
前記所定の閾値は、前記情報処理装置が前記認証部により認証された状態での端末受信部により受信される前記IDカード識別情報を含む無線信号の信号強度よりも小さい値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−239335(P2010−239335A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84005(P2009−84005)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】