説明

通信システム

【課題】送信電力を制御できる無線装置と、送信電力を制御できない無線装置とが共存する環境において送信電力を制御可能な通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、アクセスポイント11〜20を備える。アクセスポイント11,12,15〜20は、送信電力を制御するアクセスポイントであり、アクセスポイント13,14は、送信電力を制御しないアクセスポイントである。アクセスポイント11,12,15〜20は、1つのスロットのdoTPC時間帯において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力を用いてデータパケットを送受信する。アクセスポイント13,14は、1つのスロットのnoTPC時間帯において、最大の送信電力Pmaxでデータパケットを送受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)は、学校やイベント会場などのホットスポットで広く使われている。カバレッジを確保するために、無線LANのアクセスポイント(AP:Access Point)が密集して設置される。
【0003】
しかし、オーバーラップしないチャネルの数が限られているので(2.4GHzにおいてオーバーラップしないチャネルは、3 つしかない)、多くのAPが同じチャネルを共有してしまう。同じチャネルを共有する隣接するAPの数が増えると共に、同一チャネル干渉問題がますます厳しくなり、全ネットワークの性能が劣化する可能性がある。
【0004】
このような問題を解決する方法として、送信電力制御が挙げられる。ただし、送信電力制御によって、非対称リンク、非公平チャネル利用、隠れ端末問題などが起こりうる。
【0005】
非特許文献1では、全ネットワーク上で共通の送信電力を使用することによって、非対称リンクを回避しながら送信電力を低減させる。
【0006】
非特許文献2では、全てのAPを同期させて、チャネルを時間軸に沿ってスロットに分ける。そして、同じスロットにおいて全てのAPが同じ電力で送信し、スロットごとに送信電力を変えることによって、送信電力制御の効率を向上させる。
【0007】
非特許文献3では、APと端末間のリンク品質を考慮しながら、送信レートを確保するように送信電力制御を行っている。
【0008】
非特許文献4では、隣接セル間の干渉を考慮して各セルの送信電力を算出し、APの密度に応じてネットワーク上で隣接するAP間の送信電力がスムーズに変わるように送信電力を調整する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】V. Kawadia, P. R. Kumar, “Principles and protocols for power control in wireless ad hoc networks,” IEEE JSAC, Volume 23, Issue 1, Jan. 2005, Page(s): 76-88.
【非特許文献2】Vishnu Navda, Ravi Kokku, Samrat Ganguly, Samir Das, “Slotted Symmetric Power Control in Wireless LANs,” Stony Brook University, Technical report, 2006.
【非特許文献3】Aditya Akella, Glenn Judd, Srinivasan Seshan, Peter Steenkiste, “Self Management in Chaotic Wireless Deployments,” MobiCom’05, 2005.
【非特許文献4】Suhua Tang, Hiroyuki Yomo, Akio Hasegawa, Mehdad N. Shirazi, Tetsuro Ueda, Ryu Miura, and Sadao Obana, “Improving performance of wireless networks with coordinated transmit power control,”IEICE Technical Report, Vol. 110, No. 19, RCS2010-11, pp. 61-66, Apr., 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
全ての無線装置の送信電力を制御できるなら、非特許文献1,2,4に開示された手法は、非対称リンクの問題を解決できる。
【0011】
しかし、実際には、送信電力を制御できる無線装置と、送信電力を制御できない無線装置とが共存しており、従来の手法では、送信電力を制御する利点を生かすことが困難であるという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、送信電力を制御できる無線装置と、送信電力を制御できない無線装置とが共存する環境において、送信電力を制御できない無線装置の設定を変えないで性能を劣化させずに、送信電力を制御できる無線装置での制御によって送信電力を制御できる無線装置のスループットを向上させる通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の実施の形態によれば、通信システムは、第1から第3のアクセスポイントを備える。第1のアクセスポイントは、送信電力を制御してデータパケットを送信する。第2のアクセスポイントは、第1のアクセスポイントにおける使用チャネルと同じチャネルを用いて送信電力を制御せずに最大の送信電力でデータパケットを送信する。第3のアクセスポイントは、第1のアクセスポイントにおける使用チャネルと同じチャネルを用いて送信電力を制御してデータパケットを送信するとともに、第2のアクセスポイントを制御する。そして、第3のアクセスポイントは、1つのスロットを第1および第3のアクセスポイントがデータパケットを送信する第1の時間帯と第2のアクセスポイントがデータパケットを送信する第2の時間帯とに分割し、その分割された第1および第2の時間帯をブロードキャストする処理をスロット毎に実行するとともに、第1の時間帯において最大の送信電力よりも小さい送信電力でデータパケットを送信する。また、第1のアクセスポイントは、第1の時間帯において最大の送信電力よりも小さい送信電力でデータパケットを送信する。更に、第2のアクセスポイントは、第1の時間帯においてデータパケットの送信を停止し、第2の時間帯において最大の送信電力でデータパケットを送信する。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施の形態による通信システムにおいては、送信電力を制御する第1および第3のアクセスポイントは、送信電力を制御しない第2のアクセスポイントと異なる時間帯で無線通信を行なう。その結果、第1および第3のアクセスポイントによる無線通信は、第2のアクセスポイントによる無線通信と干渉しない。そして、第1および第3のアクセスポイントが送信電力を制御してデータパケットを送受信しても、非対称リンクが発生せず、スループットが向上する。また、第2のアクセスポイントの性能が劣化しない。
【0015】
従って、送信電力を制御できる無線装置と、送信電力を制御できない無線装置とが共存する環境において送信電力を制御することによってスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態による通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す端末装置1の構成図である。
【図3】図1に示すアクセスポイントの構成図である。
【図4】図1に示す電力制御装置の構成図である。
【図5】直接隣接のアクセスポイントおよび間接隣接のアクセスポイントの概念図である。
【図6】ネイバーリストを示す図である。
【図7】CSGの具体例を示す図である。
【図8】送信電力の調整の具体例を示す図である。
【図9】制御アクセスポイントを決定する方法を説明するための図である。
【図10】送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)に隣接する送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)の算出例を示す図である。
【図11】制御アクセスポイントを決定する方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】SAMフレームの構成図である。
【図13】アクセスポイントと端末装置との間の実施例1における送信電力制御動作を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態における通信方法の概念図である。
【図15】実施例2におけるチャネル使用率の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【図16】電力制御装置がアクセスポイントへ送信する情報を示す図である。
【図17】アクセスポイントと端末装置との間の実施例2における送信電力制御動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態による通信システムの構成を示す概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム100は、端末装置1〜9と、アクセスポイント10〜21と、ネットワーク40と、監視サーバ50と、電力制御装置60とを備える。
【0019】
なお、この発明の実施の形態においては、アクセスポイント10〜21および端末装置1〜9の各々は、制御フレーム(それに対するACKを含む)を最大送信電力で送信する。
【0020】
端末装置1〜9は、無線通信空間に配置される。そして、端末装置1〜9の各々は、例えば、WiFiの無線インターフェースを備え、その備えた無線インターフェースによってインフラストラクチャモードでアクセスポイント10〜21のいずれかに接続する。
【0021】
この場合、端末装置1〜9の各々は、例えば、未使用チャネルを自己とアクセスポイントとの間の無線通信のみに用いた場合のスループットである潜在スループットが最大になるアクセスポイントを接続先のアクセスポイントとして選択する。
【0022】
そして、端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置は、接続したアクセスポイントから受信した送信電力を用いて無線通信を行う。
【0023】
また、端末装置1〜9の各々は、アクセスポイント10〜21からビーコンフレームを定期的に受信する。そして、送信電力を制御できる端末装置は、その受信したビーコンフレームに基づいて、自己に隣接するアクセスポイントを示す隣接アクセスポイントリストを作成し、その作成した隣接アクセスポイントリストをネットワーク40を介して監視サーバ50へ送信する。
【0024】
アクセスポイント10〜21の各々は、WiFiの無線インターフェースを備える。そして、アクセスポイント10〜21のうち、アクセスポイント10〜12,15〜21は、送信電力を制御してデータパケット(それに対するACKを含む)を送信するアクセスポイントであり、アクセスポイント13,14は、送信電力を制御せずに(即ち、最大の送信電力を用いて)データパケット(それに対するACKを含む)を送信するアクセスポイントである。
【0025】
このように、通信システム100においては、送信電力を制御してデータパケットを送信するアクセスポイント10〜12,15〜21と、送信電力を制御せずにデータパケットを送信するアクセスポイント13,14とが共存している。なお、端末装置は、接続先のアクセスポイントと同じ電力でデータパケットを送信する。
【0026】
アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、電力制御装置60から送信電力を受け、その受けた送信電力を用いてWiFiの無線インターフェースによって端末装置と無線通信を行うとともに、ネットワーク40を介して監視サーバ50および電力制御装置60と通信を行う。
【0027】
また、アクセスポイント13,14の各々は、最大の送信電力を用いてWiFiの無線インターフェースによって端末装置と無線通信を行う。アクセスポイント13,14の各々は、ネットワーク40を介して監視サーバ50および電力制御装置60へ各種の情報を送信せず、ネットワーク40を介して電力制御装置60から各種の情報を受信もしない。
【0028】
更に、アクセスポイント10〜21の各々は、無線通信によってビーコンフレームを定期的に送信する。この場合、アクセスポイント10〜12,15〜21は、送信電力を制御できるか否かを表すcanTPCflagと、送信電力を制御するか否かを表すdoTPCflagと、使用すべき送信電力値Pと、スロット長と、チャネル使用率とからなるTPCIEをビーコンフレームBeaconに追加して送信する。一方、アクセスポイント13,14は、TPCIEをビーコンフレームBeaconに追加せずに、通常のビーコンフレームBeaconを送信する。
【0029】
そして、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、他のアクセスポイントから送信されたビーコンフレームBeaconを受信することによって自己に隣接するアクセスポイントを定期的に検出し、後述する隣接アクセスポイントリストを作成する。
【0030】
更に、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、インフラストラクチャモードで自己に接続している端末装置を定期的に検出し、後述する端末リストを作成する。
【0031】
更に、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、doTPCflagを“ON”にするか“OFF”にするかを決定する。より具体的には、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、送信電力を制御できない端末装置が自己に接続して来る(association requestの中にcanTPCflagが含まれていない、またはcanTPCflagがOFFである)と、doTPCflagを“OFF”に設定し、送信電力を制御できる端末装置のみが自己に接続して来ると、doTPCflagを“ON”に設定する。
【0032】
そうすると、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、自己のMAC(Media Access Control)アドレス、自己の通信範囲内で使用されるチャネルのID、隣接アクセスポイントリスト(MACアドレス+doTPCflag+ビーコン受信RSSI)、端末リスト(MACアドレス+ビーコン受信RSSI)およびdoTPCflagを監視サーバ50へ定期的に送信する。
【0033】
ネットワーク40は、例えば、インターネットからなる。
【0034】
監視サーバ50は、ネットワーク40に接続される。そして、監視サーバ50は、端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置から隣接アクセスポイントリストをネットワーク40を介して定期的に受信するとともに、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々から各アクセスポイント10〜12,15〜21のMACアドレス、各アクセスポイント10〜12,15〜21の通信範囲内で使用されるチャネルのID、隣接アクセスポイントリスト(MACアドレス+doTPCflag+ビーコン受信RSSI)、端末リスト(MACアドレス+ビーコン受信RSSI)およびdoTPCflagをネットワーク40を介して定期的に受信し、その受信した各アクセスポイント10〜12,15〜21のMACアドレス、各アクセスポイント10〜12,15〜21の通信範囲内で使用されるチャネルのID、隣接アクセスポイントリスト(MACアドレス+doTPCflag+ビーコン受信RSSI)、端末リスト(MACアドレス+ビーコン受信RSSI)およびdoTPCflagを管理する。
【0035】
電力制御装置60は、ネットワーク40に接続される。そして、電力制御装置60は、ネットワーク40を介して監視サーバ50から各アクセスポイント10〜12,15〜21のMACアドレス、各アクセスポイント10〜12,15〜21の通信範囲内で使用されるチャネルのID、隣接アクセスポイントリスト(MACアドレス+doTPCflag+ビーコン受信RSSI)、端末リスト(MACアドレス+ビーコン受信RSSI)およびdoTPCflagを定期的に取得する。その後、電力制御装置60は、その取得した隣接アクセスポイントリストおよび端末リストに含まれるアクセスポイント間のリンク品質およびアクセスポイントと端末装置との間のリンク品質とに基づいて、後述する方法によって、同一チャネルを共有するアクセスポイント10〜12,15〜21の各々のローカルネットワーク内で使用する送信電力を決定する。
【0036】
引き続いて、電力制御装置60は、各アクセスポイント10〜12,15〜21のローカルネットワーク内で使用する送信電力を後述する方法によって調整する。
【0037】
また、電力制御装置60は、アクセスポイント10〜12,15〜21の中から、アクセスポイント13,14を制御する制御アクセスポイントを決定する。
【0038】
更に、電力制御装置60は、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21がチャネルを使用する割合であるチャネル使用率を後述する方法によって算出する。
【0039】
そうすると、電力制御装置60は、スロット長、各アクセスポイント10〜12,15〜21のローカルネットワーク内で使用する調整後の送信電力、制御アクセスポイントであるか否かを示すdoChCtrl、制御対象であるアクセスポイントのセット(monitorNoTpcApSet)およびアクセスポイント10〜12,15〜21のチャネル使用率をアクセスポイント10〜12,15〜21へ送信する。
【0040】
なお、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14は、次の場合からなる。
【0041】
(1)アクセスポイント13,14が送信電力を制御できないアクセスポイントである場合
(2)アクセスポイント13,14が送信電力を制御できるアクセスポイントであるが、アクセスポイント13,14に接続してくる端末装置が送信電力を制御できない端末装置である場合
そして、(1)の場合、アクセスポイント13,14に接続してくる端末装置が送信電力を制御できない端末装置である場合と、アクセスポイント13,14に接続してくる端末装置が送信電力を制御できるが送信電力を制御しない端末装置である場合との両方が含まれる。
【0042】
従って、アクセスポイント13,14は、送信電力を制御できない端末装置、または送信電力を制御可能であるが送信電力を制御しない端末装置と無線通信を行う。
【0043】
また、この発明の実施の形態においては、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21と、アクセスポイント10〜12,15〜21の通信範囲内に存在する端末装置との間で同期を取る。
【0044】
より具体的には、アクセスポイント10〜12,15〜21が同じイーサネット(登録商標)に接続される場合、アクセスポイント10〜12,15〜21は、IEEE1588(Precision Time Protocol)を用いて、μsecオーダーの同期を取ることができる。送信電力を制御可能な端末装置は、接続先の送信電力を制御するアクセスポイントからビーコンフレームBeaconを受信することによって、そのアクセスポイントと同期を取れる。
【0045】
従って、この発明の実施の形態においては、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21と、アクセスポイント10〜12,15〜21の通信範囲内に存在する端末装置との間で同期を取る。
【0046】
アクセスポイントと端末装置は、WiFiのMACプロトコルを用いて送受信を行い、Network Allocation Vector(NAV)という仮想キャリアセンスメカニズム(virtual carrier sense mechanism)でチャネルを予約できる。具体的には、アクセスポイントまたは端末装置は、予約しようとするチャネルの長さを現在の送信フレームのduration(後述する図12を参照)に設定し、そのフレームを送信する。隣接するアクセスポイントと端末装置は、そのフレームを受信すると、受信フレームのdurationを用いて、受信時点から長さがdurationの間のチャネルが他の無線装置によって予約されたことがわかり、その間に自端末からの送信を抑える。この発明は、送信電力を制御できない既存無線装置を変更せず、このNAVメカニズムを用いて、送信電力を制御する無線装置での制御によって送信電力を制御する(doTPC)時間帯と送信電力を制御しない(noTPC)時間帯とにチャネルを分け、doTPC時間帯において送信電力制御を行う。
【0047】
図2は、図1に示す端末装置1の構成図である。図2を参照して、端末装置1は、アンテナ101と、無線インターフェース102と、通信手段103と、アプリケーションモジュール104とを含む。
【0048】
無線インターフェース102は、WiFiの無線通信方式によって無線通信を行う。また、無線インターフェース102は、アクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)からビーコンフレームまたはデータパケットを受信し、そのビーコンフレームまたはデータフレームを受信したときの受信信号強度を検出する。そして、無線インターフェース102は、その検出した受信信号強度を通信手段103へ出力する。
【0049】
更に、端末装置1が送信電力を制御できる場合、無線インターフェース102は、アクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)からデータパケットの送信電力、スロット長、およびチャネル使用率を含むビーコンフレームを受信し、その受信したビーコンフレームから送信電力、スロット長、およびチャネル使用率を取り出し、通信手段103へ出力する。
【0050】
そして、無線インターフェース102は、インフラストラクチャモードでアクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)に接続し、アクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)との間でデータパケットを送受信する。
【0051】
即ち、無線インターフェース102は、通信手段103から受けたデータパケットと送信電力とをアンテナ101を介してアクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)へ送信する。また、無線インターフェース102は、アンテナ101を介してデータパケットをアクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)から受信し、その受信したパケットを通信手段103へ出力する。
【0052】
通信手段103は、通信システム100における最大の送信電力(各アクセスポイント10〜21がビーコンフレームを送信するときの送信電力)を予め保持している。端末装置1が送信電力を制御できる場合、通信手段103は、無線インターフェース102から受信した送信電力、スロット長、およびチャネル使用率も保持する。そして、通信手段103は、チャネル使用率およびスロット長に基づいて、送信電力を制御するdoTPC時間帯と、送信電力を制御しないnoTPC時間帯とを算出する。通信手段103は、doTPC時間帯において、データパケットと送信電力を無線インターフェース102へ出力する。また、通信手段103は、noTPC時間帯において自端末でのNAVを設定して自端末からの送信を抑える。端末装置1が送信電力を制御できない場合、通信手段103は、自端末のNAVが設定されていなければ、データパケットと最大の送信電力Pamxとを無線インターフェース102へ出力する。
【0053】
また、通信手段103は、無線インターフェース102から受信信号強度を受ける。そして、通信手段103は、最大の送信電力および受信信号強度に基づいて、後述する方法によって、ビーコンフレームを受信するときのビーコン受信RSSIを算出する。
【0054】
そうすると、端末装置1が送信電力を制御できる場合、通信手段103は、端末装置1のMACアドレス、ビーコンの送信元のアクセスポイントのMACアドレス、ビーコンの送信元のアクセスポイントのdoTPCflag、ビーコン受信RSSIおよび無線インターフェース102が使用するチャネルのIDを含む隣接アクセスポイントリストAPLMNを作成し、その作成した隣接アクセスポイントリストAPLMNを無線インターフェース102を介して監視サーバ50へ送信する。
【0055】
更に、通信手段103は、アプリケーションモジュール104からパケットを受け、その受けたパケットを無線インターフェース102を用いて送信する。
【0056】
更に、通信手段103は、無線インターフェース102からパケットを受け、その受けたパケットをアプリケーションモジュール104へ出力する。
【0057】
アプリケーションモジュール104は、パケットを生成して通信手段103へ出力するとともに、通信手段103からパケットを受ける。
【0058】
なお、図1に示す端末装置2〜9の各々も、図2に示す端末装置1と同じ構成からなる。
【0059】
図3は、図1に示すアクセスポイント10の構成図である。図3を参照して、アクセスポイント10は、アンテナ111と、無線インターフェース112と、通信手段113と、有線インターフェース114とを含む。
【0060】
無線インターフェース112は、WiFiの無線通信方式によって無線通信を行う。そして、無線インターフェース112は、通信手段113からデータパケットを受け、その受けたデータパケットを通信手段113から受けた送信電力でアンテナ111を介して送信する。また、無線インターフェース112は、アンテナ111を介してデータパケットを受信し、その受信したデータパケットを通信手段113へ出力する。
【0061】
通信手段113は、ビーコンフレームを定期的に生成し、その生成したビーコンフレームを無線インターフェース112を介して端末装置(端末装置1〜9の少なくとも1つ)へ送信する。
【0062】
この場合、アクセスポイント10が送信電力を制御できれば、通信手段113は、送信電力を制御できることを表すcanTPCflagと、送信電力を制御するか否かを表すdoTPCflagと、使用すべき送信電力値Pと、スロット長と、チャネル使用率とからなるTPCIEをビーコンフレームBeaconに追加して送信する。
【0063】
送信電力を制御可能であるアクセスポイント10の通信手段113は、最初、doTPCflagをONに設定したdoTPCflag=ONをビーコンフレームに含めて送信する。そして、通信手段113は、送信電力を制御できない端末装置がcanTPCを含まないassociation requestで接続してくると、その端末装置のcanTPCをOFFとし、doTPCflagをOFFに設定したdoTPCflag=OFFをビーコンフレームに含めて送信する。最終的に、通信手段113は、canTPCをOFFに設定した全ての端末装置がアクセスポイント10の通信範囲内から消えると、doTPCflagをONに設定し、canTPCをOFFに設定した少なくとも1個の端末装置がアクセスポイント10の通信範囲内に存在するとき、doTPCflagをOFFに設定する。
【0064】
更に、アクセスポイント10が送信電力を制御できる場合、通信手段113は、端末リストTLと、隣接アクセスポイントリストAPLAPとを作成する。端末リストTLは、アクセスポイント10にアクセスする端末装置のMACアドレスと、ビーコン受信RSSIとからなる。また、隣接アクセスポイントリストAPLAPは、アクセスポイント10に隣接するアクセスポイントのMACアドレスと、doTPCflagと、ビーコン受信RSSIとからなる。
【0065】
そうすると、アクセスポイント10が送信電力を制御できる場合、通信手段113は、アクセスポイント10のMACアドレスと、無線インターフェース112が使用するチャネルのIDと、端末リストTLと、隣接アクセスポイントリストAPLAPと、doTPCflagとを有線インターフェース114を介して監視サーバ50へ送信する。
【0066】
更に、アクセスポイント10が送信電力を制御できる場合、通信手段113は、アクセスポイント10のローカルネットワーク内で使用する送信電力、送信電力を制御するアクセスポイントのチャネル使用率、スロット長、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを有線インターフェース114を介して電力制御装置60から受信する。
【0067】
そして、アクセスポイント10が送信電力を制御できる場合、通信手段113は、その受信した送信電力を無線インターフェース112に設定するとともに、その受信した送信電力、スロット長、チャネル使用率、canTPCflag、およびdoTPCflagと共に、ビーコンフレームのTPCIEに含めて端末装置(端末装置1〜9の少なくとも1つ)へ送信する。
【0068】
また、通信手段113は、チャネル使用率およびスロット長に基づいて、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21がデータパケットを送信するdoTPC時間帯(=スロット長×チャネル使用率)と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14がデータパケットを送信するnoTPC時間帯(=スロット長×(1−チャネル使用率))とをスロット毎に算出する。そして、通信手段113は、アクセスポイント10が制御アクセスポイントである場合、SAM(Slot Allocation Message)を生成し、doTPC時間帯の長さをSAMのdurationに設定してSAMを無線インターフェース112を介してブロードキャストする。
【0069】
更に、通信手段113は、無線インターフェース112を介してSAMを受信する。doTPCがONであるアクセスポイントは、このSAMを受信する場合、自端末のNAVを設定しない。他のアクセスポイントは、SAMを受信する時点で、自端末におけるNAVを設定する。そして、通信手段113は、アクセスポイント10が送信電力を制御するアクセスポイントであるとき、doTPC時間帯において、データパケットを無線インターフェース112を介して端末装置へ送信する。また、通信手段113は、アクセスポイント10が送信電力を制御しないアクセスポイントであるとき、noTPC時間帯において、データパケットを無線インターフェース112を介して端末装置へ送信する。
【0070】
なお、アクセスポイント10が送信電力を制御しないアクセスポイントである場合、通信手段113は、有線インターフェース114を介して電力制御装置60から送信電力を受信しないので、通信システム100における最大の送信電力を無線インターフェース112へ設定する。
【0071】
有線インターフェース114は、通信手段113からパケットを受け、その受けたパケットをネットワーク40を介して監視サーバ50へ送信する。
【0072】
また、有線インターフェース114は、ネットワーク40を介して電力制御装置60から送信電力、スロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを受信し、その受信した送信電力、スロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを通信手段113へ出力する。
【0073】
なお、図1に示すアクセスポイント11〜21の各々も、図3に示すアクセスポイント10と同じ構成からなる。
【0074】
図4は、図1に示す電力制御装置60の構成図である。図4を参照して、電力制御装置60は、有線インターフェース61と、通信手段62と、決定手段63と、調整手段64とを含む。
【0075】
有線インターフェース61は、ネットワーク40を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段62へ出力する。
【0076】
また、有線インターフェース61は、通信手段62からパケットを受け、その受けたパケットを送信する。
【0077】
通信手段62は、有線インターフェース61を介して監視サーバ50から端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPを定期的に取得する。そして、通信手段62は、その取得した端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPを決定手段63および調整手段64へ出力する。
【0078】
また、通信手段62は、スロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを決定手段63から受け、調整後の送信電力を調整手段64から受け、その受けたスロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイント、制御対象のアクセスポイント、および送信電力を有線インターフェース61を介してアクセスポイント10〜12,15〜21へ送信する。
【0079】
決定手段63は、端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPを通信手段62から受け、その受けた端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPに基づいて、後述する方法によって、各アクセスポイント10〜12,15〜21のローカルネットワーク内で使用する送信電力を決定する。そして、決定手段63は、その決定したアクセスポイント10〜12,15〜21の10個の送信電力を調整手段64へ出力する。
【0080】
また、決定手段63は、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21のチャネル使用率を後述する方法によって決定するとともに、送信電力を制御しないアクセスポイントを制御する制御アクセスポイント、および制御アクセスポイントの制御対象のアクセスポイントを後述する方法によって決定し、通信手段62へ出力する。
【0081】
そして、通信手段62は、スロット長、チャネル使用率、送信電力、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを有線インターフェース61を介してアクセスポイント10〜12,15〜21へ送信する。
【0082】
調整手段64は、端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPを通信手段62から受け、アクセスポイント10〜12,15〜21の10個の送信電力を決定手段63から受ける。
【0083】
そして、調整手段64は、端末リストTL、隣接アクセスポイントリストAPLMN,APLAPおよびアクセスポイント10〜12,15〜21の10個の送信電力に基づいて、後述する方法によって、アクセスポイント10〜12,15〜21の10個の送信電力を調整し、その調整後の10個の送信電力を通信手段62へ出力する。通信手段62は、調整後の10個の送信電力を有線インターフェース61を介してアクセスポイント10〜12,15〜21へ送信する。
【0084】
この発明の実施の形態における用語の定義について説明する。
【0085】
[パスロスおよびビーコン受信RSSIの算出]
端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置は、アクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)からフレームを受信するとき、以下の手順に従ってパスロス(PL:Path Loss)を算出する。
【0086】
また、アクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、他のアクセスポイントまたは端末装置(端末装置1〜9のいずれか)からフレームを受信するとき、以下の手順に従ってPLを算出する。なお、送信電力およびRSSIは、dBm単位で算出され、PLは、dB単位で算出される。
【0087】
(1)端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置またはアクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、受信フレームがビーコンフレーム等の制御フレームまたはそれに応答するACKであるとき、PL=ビーコン送信電力−受信RSSIによってPLを算出する。なお、受信RSSIは、制御フレームまたはACKを受信したときの受信信号強度である。また、ビーコン送信電力は、通信ネットワークシステム100において、予め設定されている最大送信電力である。
【0088】
(2)端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置またはアクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、受信フレームがデータフレームまたはそれに応答するACKであるとき、PL=データ送信電力−受信RSSIによってPLを算出する。なお、受信RSSIは、データフレームまたはACKを受信したときの受信信号強度である。
【0089】
(3)端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置またはアクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、フェージング等の影響を無くすために、次式によってPLの平均値を算出する。
【0090】
newPL平均値=oldPL平均値×α+newPL値×(1−α)・・・(1)
なお、式(1)において、αは、例えば、0.9である。また、式(1)を用いて算出されるPLの平均値は、2番目以降の平均値である。
【0091】
そして、端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置またはアクセスポイント10〜12,15〜21の各々は、ビーコン受信RSSI=ビーコン送信電力−PL平均値によってビーコン受信RSSIを算出する。
【0092】
[隣接アクセスポイントの種類]
隣接アクセスポイントは、直接隣接(Direct neighbor)のアクセスポイントと、間接隣接(Indirect neighbor)のアクセスポイントとからなる。
【0093】
直接隣接(Direct neighbor)のアクセスポイントは、同じチャネル上で動作し、互いにビーコンフレームを直接受信できる2つのアクセスポイントである。
【0094】
また、間接隣接(Indirect neighbor)のアクセスポイントは、同じチャネル上で動作し、共通の端末装置によって繋がっている2つのアクセスポイントである。
【0095】
図5は、直接隣接のアクセスポイントおよび間接隣接のアクセスポイントの概念図である。
【0096】
図5の(a)を参照して、監視サーバ50は、アクセスポイント10から収集した隣接アクセスポイントリストAPLAP1=[MACadd11/doTPCflag11/ビーコン受信RSSI1]およびチャネルID=CH1と、アクセスポイント11から収集した隣接アクセスポイントリストAPLAP2=[MACadd10/doTPCflag10/ビーコン受信RSSI2]およびチャネルID=CH1とに基づいて、アクセスポイント10,11が同じチャネルCH1上で動作し、かつ、お互いのビーコンフレームを直接受信できるアクセスポイントであることを検知し、アクセスポイント10,11を直接隣接のアクセスポイントとする。
【0097】
図5の(b)を参照して、端末装置1は、アクセスポイント10に接続しているとする。端末装置1は、アクセスポイント10からビーコンフレームを受信することによってアクセスポイント10のdoTPCflag10を知り、アクセスポイント10を隣接アクセスポイントとして検知し、上述した方法によってビーコン受信RSSI3を算出する。
【0098】
また、端末装置1は、アクセスポイント11からビーコンフレームを受信することによってアクセスポイント11のdoTPCflag11を知り、アクセスポイント11を隣接アクセスポイントとして検知し、上述した方法によってビーコン受信RSSI4を算出する。
【0099】
そして、端末装置1は、隣接アクセスポイントリストAPLMN1=[MACadd10,MACadd11/doTPCflag10,doTPCflag11/チャネルID=CH1/ビーコン受信RSSI3,ビーコン受信RSSI4]を定期的に生成して監視サーバ50へ送信する。
【0100】
一方、アクセスポイント10は、自己のMACアドレスMACadd10、自己のチャネルID=CH1、自己の端末リストTL1=[MACadd1/ビーコン受信RSSI5]および自己の隣接アクセスポイントリストAPLAP3=[―――/―――/―――]を監視サーバ50へ送信する。
【0101】
また、アクセスポイント11は、自己のMACアドレスMACadd11、自己のチャネルID=CH1、自己の端末リストTL2=[―――/―――]および自己の隣接アクセスポイントリストAPLAP4=[―――/―――/―――]を監視サーバ50へ送信する。
【0102】
この場合、アクセスポイント10,11は、ビーコンフレームを相互に直接受信できないので、隣接アクセスポイントリストAPLAP3,APLAP4にデータを含めないで隣接アクセスポイントリストAPLAP3,APLAP4を監視サーバ50へ送信する。
【0103】
そうすると、監視サーバ50は、端末装置1から受信した隣接アクセスポイントリストAPLMN1=[MACadd10,MACadd11/doTPCflag10,doTPCflag11/チャネルID=CH1/ビーコン受信RSSI3,ビーコン受信RSSI4]と、アクセスポイント10から受信したMACアドレスMACadd10、チャネルID=CH1、端末リストTL1=[MACadd1/ビーコン受信RSSI5]および隣接アクセスポイントリストAPLAP3=[―――/―――/―――]と、アクセスポイント11から受信したMACアドレスMACadd11、チャネルID=CH1、端末リストTL2=[―――/―――]および自己の隣接アクセスポイントリストAPLAP4=[―――/―――/―――]とに基づいて、アクセスポイント10,11が同じチャネル上で動作し、かつ、端末装置1を介して繋がっていることを検知する。そして、監視サーバ50は、アクセスポイント10,11を間接隣接のアクセスポイントとする。
【0104】
[CSG(Connected sub graph)]
CSGは、上述した定義に従って隣接アクセスポイントと判定されたアクセスポイント同士の接続関係を示すグラフである。
【0105】
なお、CSGは、直接隣接のアクセスポイントのみからなる場合もあり、直接隣接のアクセスポイントと間接隣接のアクセスポイントとからなる場合もある。
【0106】
各アクセスポイント10〜12,15〜21は、端末装置(端末装置1〜9のいずれか)からのassociation requestによって端末リストTLを作成して管理する。各アクセスポイント10〜12,15〜21は、端末装置(端末装置1〜9のいずれか)からフレームを受信することによって、上述した方法によってビーコン受信RSSIを算出する。
【0107】
また、各アクセスポイント10〜12,15〜21は、他のアクセスポイントからビーコンフレームを受信することによって隣接するアクセスポイントを検知し、上述した方法によってビーコン受信RSSIを算出する。TPCIEが含まれていないビーコンを受信する場合、送信元のアクセスポイントのdoTPCflagをOFFとする。そして、各アクセスポイント10〜12,15〜21は、自己の端末リストTL(=自己に接続する端末装置のMACアドレスおよびビーコン受信RSSI)と、隣接アクセスポイントリストAPLAP(=自己に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、doTPCflagおよびビーコン受信RSSI)とを監視サーバ50へ定期的に送信する。
【0108】
一方、各端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置は、アクセスポイント(アクセスポイント10〜21のいずれか)からビーコンフレームを受信することによって隣接するアクセスポイントを検知する。TPCIEが含まれていないビーコンを受信する場合、送信元のアクセスポイントのdoTPCflagをOFFとする。そして、各端末装置1〜9のうち、送信電力を制御できる端末装置は、自己の隣接アクセスポイントリストAPLMN(=自己に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、doTPCflag、チャネルIDおよびビーコン受信RSSI)を監視サーバ50へ定期的に送信する。
【0109】
電力制御装置60は、各アクセスポイント10〜12,15〜21の隣接アクセスポイントリストAPLAP(=各アクセスポイント10〜21に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、doTPCflag、およびビーコン受信RSSI)および各端末装置1〜9の隣接アクセスポイントリストAPLMN(=各端末装置1〜9に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、チャネルID、doTPCflag、およびビーコン受信RSSI)を監視サーバ50から定期的に取得する。
【0110】
そして、電力制御装置60は、各アクセスポイント10〜12,15〜21の隣接アクセスポイントリストAPLAP(=各アクセスポイント10〜12,15〜21に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、doTPCflag、およびビーコン受信RSSI)および各端末装置1〜9の隣接アクセスポイントリストAPLMN(=各端末装置1〜9に隣接するアクセスポイントのMACアドレス、doTPCflag、チャネルIDおよびビーコン受信RSSI)に基づいて、後述する方法によって、CSGを構築および分割する。
【0111】
[送信電力の算出]
10個のアクセスポイント10〜12,15〜21によって形成される10個のローカルネットワークにおける送信電力を算出する方法について説明する。
【0112】
電力制御装置60の通信手段62は、送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21の端末リストTLと隣接アクセスポイントリストAPLAPとを有線インターフェース61を介して監視サーバ50から取得し、その取得した端末リストTLおよび隣接アクセスポイントリストAPLAPを決定手段63へ出力する。
【0113】
電力制御装置60の決定手段63は、RSSIと送信レートとの関係を示すテーブルTBLを予め保持している。そして、電力制御装置60の決定手段63は、テーブルTBLを参照して、最小の送信レートを満足できる最小のRSSI(=RSSIminrate)を検出する。
【0114】
そして、電力制御装置60の決定手段63は、端末リストTLにおける端末装置毎にビーコン受信RSSIの平均値(=RSSIbeacon)を取り出す。その後、電力制御装置60の決定手段63は、予め保持しているビーコン送信電力(=最大送信電力)Pbeaconと、ビーコン受信RSSIの平均値(=RSSIbeacon)と、最小のRSSI(=RSSIminrate)とを次式に代入して最小送信電力Pminrateを算出する。
【0115】
minrate=RSSIminrate+Pbeacon−RSSIbeacon・・・(2)
アクセスポイントj(j=10〜12,15〜21)の通信範囲(=データパケットの通信範囲)からなる領域をセルjとする。そうすると、セルjの最低送信電力は、セルjの最低送信電力=max{セルjに含まれる全ての端末装置i(i=1〜9)の最低送信電力(=Pminrate)}によって決定される。
【0116】
また、送信電力pは、p=セルjの最低送信電力〜最大送信電力の範囲からなる。
【0117】
端末装置iがアクセスポイントjからビーコンフレームを受信するときのRSSIをRSSIij(Pbeacon)とすると、電力制御装置60の決定手段63は、端末装置iがアクセスポイントjから送信電力pで送信されたデータを受信するときのデータ受信RSSI(=RSSIij(p))を次式によって算出する。
【0118】
RSSIij(p)=p−Pbeacon+RSSIij(Pbeacon)・・・(3)
そして、電力制御装置60の決定手段63は、テーブルTBLを参照して、データ受信RSSI(=RSSIij(p))に対応する送信レートrij(p)を検出する。
【0119】
引き続いて、電力制御装置60の決定手段63は、セルjにおける1ビット当たりの送信所要時間t(p)を次式によって算出する。
【0120】
(p)=Σ(1/rij(p))/(セルjの端末装置の個数)・・・(4)
なお、送信所要時間t(p)は、平均の送信所要時間である。
【0121】
セルjの周辺での最低送信電力は、セルjの周辺での最低送信電力=max{セルjとその隣接セルの最低送信電力(=Pminrate)}によって決定される。
【0122】
また、送信電力p’は、p’=セルjの周辺での最低送信電力〜最大送信電力の範囲からなる。
【0123】
送信電力がp’である場合、アクセスポイントjの同一チャネル競争のアクセスポイントリストがN(p’)である。
【0124】
(p’)は、最初、空であるので、アクセスポイントjは、N(p’)に入れられる。
【0125】
アクセスポイントjに直接隣接(ビーコンフレームを直接受信できる)し、かつ、送信電力を制御するアクセスポイントをアクセスポイントk(k=10〜12,15〜21,k≠j)とする。
【0126】
電力制御装置60の決定手段63は、アクセスポイントkが送信電力p’で送信したパケットがアクセスポイントjへ届くときのRSSI(=RSSIkj(p’))を次式によって算出する。
【0127】
RSSIkj(p’)=p’−Pbeacon+RSSIkj(Pbeacon))・・・(5)
なお、RSSIkj(Pbeacon)は、アクセスポイントjがアクセスポイントkからビーコンフレームを受信するときのビーコン受信RSSIであり、アクセスポイントjからの隣接アクセスポイントリストAPLAPに含まれている。従って、電力制御装置60の決定手段63は、式(5)によってRSSI(=RSSIkj(p’))を演算できる。
【0128】
そして、電力制御装置60の決定手段63は、RSSIkj(p’)がアクセスポイントjのキャリアセンス閾値よりも大きいとき、アクセスポイントk(=ローカルネットワーク)をN(p’)に入れる。
【0129】
電力制御装置60の決定手段63は、RSSIkj(p’)の演算と、その演算したRSSIkj(p’)とキャリアセンス閾値との比較をアクセスポイントjに隣接し、かつ、送信電力を制御するアクセスポイントkの全てについて実行する。
【0130】
そして、電力制御装置60の決定手段63は、アクセスポイントjのローカルネットワークにおけるローカルスループットγ(p’)を次式により演算する。
【0131】
γ(p’)=1/[Σk∈Nj(P’)1/t(p’)]・・・(6)
なお、t(p’)は、上述した式(4)を用いて演算されたアクセスポイントkにおけるビット当たりの送信所要時間である。
【0132】
また、アクセスポイントjのローカルネットワークを第1のローカルネットワークとし、アクセスポイントkのローカルネットワークの全てをn(nは正の整数)個の第2のローカルネットワークとしたとき、N(p’)に入れられたアクセスポイントkは、「m(mは1≦m≦nを満たす整数)個の第2のローカルネットワーク」を構成する。
【0133】
引き続いて、電力制御装置60の決定手段63は、ローカルスループットγ(p’)が最大になる電力p’をアクセスポイントjのローカルネットワークにおける送信電力Pとして決定する。
【0134】
なお、この発明の実施の形態においては、ローカルスループットとは、アクセスポイントjに隣接するアクセスポイントkのローカルネットワークにおける送信電力の影響を考慮したときのアクセスポイントjのローカルネットワークにおけるスループットを言う。
【0135】
[CSGの構築]
電力制御装置60の通信手段62は、アクセスポイント10〜12,15〜21の[MACアドレスMACadd10/doTPCflag10/チャネルID=CH1/端末リストTL10/隣接アクセスポイントリストAPLAP10]〜[MACアドレスMACadd12/doTPCflag12/チャネルID=CH1/端末リストTL12/隣接アクセスポイントリストAPLAP12],[MACアドレスMACadd15/doTPCflag15/チャネルID=CH1/端末リストTL15/隣接アクセスポイントリストAPLAP15]〜[MACアドレスMACadd21/doTPCflag21/チャネルID=CH1/端末リストTL21/隣接アクセスポイントリストAPLAP21]を監視サーバ50から取得し、その取得した[MACアドレスMACadd10/doTPCflag10/チャネルID=CH1/端末リストTL10/隣接アクセスポイントリストAPLAP10]〜[MACアドレスMACadd12/doTPCflag12/チャネルID=CH1/端末リストTL12/隣接アクセスポイントリストAPLAP12],[MACアドレスMACadd15/doTPCflag15/チャネルID=CH1/端末リストTL15/隣接アクセスポイントリストAPLAP15]〜[MACアドレスMACadd21/doTPCflag21チャネルID=CH1/端末リストTL21/隣接アクセスポイントリストAPLAP21]を決定手段63へ出力する。
【0136】
そして、電力制御装置60の決定手段63は、[MACアドレスMACadd10/doTPCflag10/チャネルID=CH1/端末リストTL10/隣接アクセスポイントリストAPLAP10]〜[MACアドレスMACadd12/doTPCflag12/チャネルID=CH1/端末リストTL12/隣接アクセスポイントリストAPLAP12],[MACアドレスMACadd15/doTPCflag15/チャネルID=CH1/端末リストTL15/隣接アクセスポイントリストAPLAP15]〜[MACアドレスMACadd21/doTPCflag21/チャネルID=CH1/端末リストTL21/隣接アクセスポイントリストAPLAP21]に基づいて、CSGを構築する。
【0137】
以下、CSGを構築する方法を具体的に説明する。図6は、ネイバーリストを示す図である。また、図7は、CSGの具体例を示す図である。
【0138】
電力制御装置60の決定手段63は、アクセスポイント10〜12,15〜21のチャネルID=CH1および隣接アクセスポイントリストAPLAP10〜APLAP12,APLAP15〜APLAP21に基づいて、ネイバーリストNBL1(図6の(a)参照)を作成する。電力制御装置60の通信手段63は、アクセスポイント13とアクセスポイント14の隣接アクセスポイントリストを直接受信していない。電力制御装置60の通信手段63は、アクセスポイント12の隣接アクセスポイントリストから、アクセスポイント13がアクセスポイント12に隣接することがわかり、そのチャネル番号とビーコン受信RSSIもわかる。同様に、電力制御装置60の通信手段63は、アクセスポイント12とアクセスポイント15の隣接アクセスポイントリストから、アクセスポイント14がアクセスポイント12とアクセスポイント15に隣接することがわかり、そのチャネル番号とビーコン受信RSSIもわかる。この場合、CSGのIDは、アクセスポイント10〜21の全てに対して“0”に設定される。そして、電力制御装置60の決定手段63は、ネイバーリストNBL1に基づいてアクセスポイント10〜21が同じチャネルCH1を共有していることを検知する。
【0139】
そうすると、電力制御装置60の決定手段63は、同じチャネルCH1を共有するアクセスポイント10〜21に対して1つのグラフGRP(図7の(a)参照)を作成する。
【0140】
その後、電力制御装置60の決定手段63は、次の手順によってグラフGRPを2つのCSG1,CSG2に分ける。
【0141】
(C1)新しいCSGm(m=1,2,3,・・・)を用意する。
(C2)既存のCSGに入っていないアクセスポイントj(CSG=0)を選択し、CSGmに入れる。
(C3)アクセスポイントjに隣接するアクセスポイントもCSGmに入れる。
(C4)CSGmに入っていないアクセスポイント(CSG=0)からアクセスポイントkを選択し、上記の(C1)〜(C3)の処理を行なう。
(C5)CSGmにおけるアクセスポイントの隣接アクセスポイントが全てCSGmに含まれると、このCSGが構築される。
(C6)既存のCSGに入っていないアクセスポイントが残れば、上記の(C1)〜(C5)の処理を繰り返す。
上記の(C1)〜(C6)に従ってCSGの構築を具体的に説明する。
【0142】
電力制御装置60の決定手段63は、まず、アクセスポイント10をCSG1に入れる。次に、電力制御装置60の決定手段63は、アクセスポイント10に隣接するアクセスポイント11をCSG1に入れる。同様に、電力制御装置60の決定手段63は、アクセスポイント11に隣接するアクセスポイント12をCSG1に入れ、アクセスポイント12に隣接するアクセスポイント13,14,15をCSG1に入れ、アクセスポイント15に隣接するアクセスポイント16,17をCSG1に入れる。これによって、アクセスポイント10〜17に隣接するアクセスポイントがCSG1に含まれるので、CSG1の構築が完了する。
【0143】
電力制御装置60の決定手段63は、同様にして、アクセスポイント18〜21を含むCSG2を構築する。
【0144】
その結果、電力制御装置60の決定手段63は、ネイバーリストNBL2(図6の(b)参照)を作成し、CSG1,CSG2(図7の(b)参照)を作成する。
【0145】
電力制御装置60の決定手段63は、上述した方法によってCSGを構築する。そして、電力制御装置60の調整手段64は、構築した最終的な各CSG毎に、1つのCSGに含まれるアクセスポイントに対して、まず、送信電力を制御しないnoTPCのAPをCSGから除外し、残りのアクセスポイントに対して以下の方法によって送信電力を調整する。
【0146】
(ADJ1)降順でアクセスポイントの送信電力Pをソートし、初期の送信電力Pとする。
(ADJ2)ソート後のアクセスポイントのIDを1,2,3,・・・とし、P≧P≧P≧・・・を設定する。
(ADJ3)アクセスポイントごとに送信電力制御済flag_CFを設定する。この場合、最初、flag_CF(M)(M=1,2,3,・・・)=0とする。
(ADJ4)アクセスポイントMの送信電力Pを算出する。
(ADJ4−1)flag_CFが“0”でなければ、そのアクセスポイントをスキップする。
(ADJ4−2)P=max{アクセスポイントMに隣接するアクセスポイントのPの最大値−δ,P}を演算し、フラグflag_CF(M)を付ける。ここで、δは、隣接するアクセスポイント間の送信電力の差のしきい値である。
(ADJ4−3)Pの更新によってアクセスポイントMと、アクセスポイントMに隣接するアクセスポイントLとの間の送信電力の差|P−P|がδを超えると、アクセスポイントLのフラグflag_CFをクリアする。
(ADJ5)フラグflag_CFが“0”であるアクセスポイントに対して(ADJ4)の処理を行ない、再び、送信電力を調整する。
【0147】
図8は、送信電力の調整の具体例を示す図である。なお、図8においては、しきい値δは、1dBmであるとする。
【0148】
図8を参照して、CSG1において、アクセスポイント10,17,16,12の送信電力Pは、それぞれ、15dBm,14dBm,13dBm,9dBmと算出されている。
【0149】
アクセスポイント11の送信電力P11が算出される際、アクセスポイント10の影響で送信電力P11が14dBmと算出される。
【0150】
その結果、アクセスポイント12とアクセスポイント11との間の送信電力の差(=5dBm)がしきい値δ(=1dBm)を超えてしまうので、電力制御装置60の調整手段64は、アクセスポイント12のフラグflag_CFをクリアする。
【0151】
その後、アクセスポイント15の送信電力P15が12dBmと算出される。
【0152】
そうすると、電力制御装置60の調整手段64は、アクセスポイント12の送信電力P12(=9dBm)がアクセスポイント11の送信電力P11(=14dBm)との差がしきい値δ(=1dBm)を超えないようにアクセスポイント12の送信電力P12を9dBmから13dBmに調整する。
【0153】
CSG2において、アクセスポイント18〜21の送信電力P18〜P21は、同様に調整される。
【0154】
このように、この発明の実施の形態においては、電力制御装置60の調整手段64は、隣接する2つのアクセスポイント間の送信電力Pの差がしきい値δ(=1dBm)を超えないように、1つのCSGに含まれる送信電力を制御するアクセスポイント10〜12,15〜21の送信電力P10〜P12,P15〜P21を調整する。
【0155】
そして、電力制御装置60の調整手段64は、その調整後の送信電力P10〜P12,P15〜P21を通信手段62へ出力し、通信手段62は、送信電力P10〜P12,P15〜P21を他の情報とまとめてアクセスポイント10〜12,15〜21へ送信する。
【0156】
アクセスポイント10〜12,15〜21は、電力制御装置60からそれぞれ送信電力P10〜P12,P15〜P21を受信し、その受信した送信電力P10〜P12,P15〜P21をビーコンフレームに含めて自己のローカルネットワーク内に存在する端末装置(端末装置1〜9の少なくとも1つ)へ送信する。
【0157】
そして、アクセスポイント10〜12,15〜21は、それぞれ、送信電力P10〜P12,P15〜P21で自己のローカルネットワーク内に存在する端末装置(端末装置1〜9の少なくとも1つ)とデータフレームを送受信する。なお、端末装置は、接続しているアクセルポイントと同じ送信電力でデータパケットを送信する。
【0158】
[チャネル使用率の決定]
電力制御装置60の決定手段63は、上述した方法によってアクセスポイント10〜21をCSGに分類する。この場合、決定手段63は、例えば、アクセスポイント10〜21をCSG1=アクセスポイント11〜20と、CSG2=アクセスポイント10,21とに分類するものとする。
【0159】
そして、決定手段63は、アクセスポイント11〜12,15〜20から送信されたdoTPC=ONに基づいて、CSG1に分類されたアクセスポイント11〜20から送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とを抽出する。
【0160】
その後、決定手段63は、送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが公平にチャネルを共有するように送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20のチャネル使用率を決定する。
【0161】
より具体的には、決定手段63は、チャネル使用率=(1つのCSGに含まれるdoTPCのアクセスポイントの個数)/(1つのCSGに含まれるアクセスポイントの個数)によってチャネル使用率を決定する。
【0162】
上記の例では、送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20の個数が8個であり、CSG1に含まれるアクセスポイント11〜20の個数が10個であるので、決定手段63は、チャネル使用率を8/10と決定する。
【0163】
また、決定手段63は、CSG2についても、同様にしてチャネル使用率を2/2=1と決定する。
【0164】
このように、決定手段63は、CSG毎にチャネル使用率を決定する。そして、1つのCSGに含まれる全てのdoTPCのアクセスポイント(送信電力を制御するアクセスポイント)は、チャネル使用率が同じである。
【0165】
送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが公平にチャネルを共有するように送信電力を制御するアクセスポイント11〜12,15〜20のチャネル使用率を決定することによって、アクセスポイント11〜20が無線通信を行なう機会を均等に確保できる。
【0166】
また、1つのCSGに含まれる全てのdoTPCのアクセスポイント(送信電力を制御するアクセスポイント)が同じチャネル使用率を使用することによって、1つのCSGに含まれるアクセスポイント11〜12,15〜20(送信電力を制御するアクセスポイント)が無線通信を行なう機会を均等に確保できる。
【0167】
[制御アクセスポイントおよび制御対象のアクセスポイントの決定]
図9は、制御アクセスポイントを決定する方法を説明するための図である。図9を参照して、アクセスポイント11〜20が1つのCSGに含まれているものとする。ここで、送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)は、アクセスポイント11〜12,15〜20であり、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)は、アクセスポイント13,14である。
【0168】
図10は、送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)に隣接する送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)の算出例を示す図である。また、図11は、制御アクセスポイントを決定する方法を説明するためのフローチャートである。
【0169】
なお、以下においては、送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)を「送信電力制御AP」と呼び、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)を「送信電力不制御AP」と呼ぶ。
【0170】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、決定手段63は、1つのCSGに含まれるアクセスポイント11〜20を受け付ける(ステップS1)。
【0171】
そして、決定手段63は、CSGにおいて、送信電力不制御AP(noTPCのAP)のセットNoTpcApSet=AP13,AP14を算出する(ステップS2)。
【0172】
その後、決定手段63は、CSGにおいて、送信電力制御AP(doTPCのAP)のセットDoTpcApSet=AP11〜AP12,AP15〜AP20を算出する(ステップS3)。
【0173】
引き続いて、決定手段63は、チェック対象のアクセスポイントのセットcheckedNoTpcApSetを空にする(ステップS4)。
【0174】
そして、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)毎に、送信電力制御AP(doTPCのAP)に隣接する送信電力不制御AP(noTPCのAP)のセットNoTpcApNeigh(図10参照)を算出する(ステップS5)。
【0175】
その後、決定手段63は、送信電力制御APのセット(DoTpcApSet)において、送信電力制御AP(doTPCのAP)に隣接する送信電力不制御AP(NoTpcApNeigh)の個数の降順で送信電力制御AP(doTPCのAP)をソートする(ステップS6)。図10に示す場合、アクセスポイントAP11,AP17〜AP19のNoTpcApNeighの個数が1個であり、アクセスポイントAP12,AP15,AP16,AP20のNoTpcApNeighの個数が0個であるので、決定手段63は、アクセスポイントAP11,AP17〜AP19からアクセスポイントAP11,AP17〜AP19を順次選択し、その次に、アクセスポイントAP12,AP15,AP16,AP20からアクセスポイントAP12,AP15,AP16,AP20を順次選択する。即ち、決定手段63は、NoTpcApNeighの個数が同じであるアクセスポイントAP11,AP17〜AP19およびアクセスポイントAP12,AP15,AP16,AP20に対しては、任意の順番を付与することによって、アクセスポイントAP11,AP12,AP15〜AP20に対して、制御アクセスポイントであるか否かを判断する順番をアクセスポイントAP11,AP17,AP18,AP19,AP12,AP15,AP16,AP20の順に決定する。
【0176】
引き続いて、決定手段63は、i=1を設定し、一番目の送信電力制御AP(doTPCのAP)=AP11を選択し(ステップS7)、その選択した送信電力制御AP(doTPCのAP)に隣接する送信電力不制御APのセットNoTpcApNeighのうち、チェック対象のアクセスポイントのセットcheckedNoTpcApSetに入っていないものをnewNoTpcApSetとして算出する(ステップS8)。
【0177】
そして、決定手段63は、newNoTpcApSetが空であるか否かを判定する(ステップS9)。
【0178】
ステップS9において、newNoTpcApSetが空でないと判定されたとき、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)のdoChCtrlをONにする(ステップS10)。即ち、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)を制御アクセスポイントとする。
【0179】
そして、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)の制御対象のアクセスポイントのセットmonitorNoTpcApSetをnewNoTpcApSetとする(ステップS11)。
【0180】
その後、決定手段63は、newNoTpcApSetをチェック対象のアクセスポイントのセットcheckedNoTpcApSetに入れる(ステップS12)。
【0181】
一方、ステップS9において、newNoTpcApSetが空であると判定されたとき、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)のdoChCtrlをOFFにする(ステップS13)。
【0182】
その後、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)の制御対象のアクセスポイントのセットmonitorNoTpcApSetを空にする(ステップS14)。
【0183】
そして、ステップS12またはステップS14の後、決定手段63は、送信電力制御AP(doTPCのAP)のセットDoTpcApSetにおける全ての送信電力制御AP(doTPCのAP)を処理したか否かを判定する(ステップS15)。
【0184】
ステップS15において、全ての送信電力制御AP(doTPCのAP)を処理していないと判定されたとき、決定手段63は、i=i+1を設定し、次の送信電力制御AP(doTPCのAP)=AP17を選択する(ステップS16)。
【0185】
その後、一連の動作は、ステップS8へ戻り、ステップS15において、全ての送信電力制御AP(doTPCのAP)を処理したと判定されるまで、上述したステップS8〜ステップS16が繰り返し実行される。
【0186】
そして、ステップS15において、全ての送信電力制御AP(doTPCのAP)を処理したと判定されると、一連の動作が終了する。
【0187】
ステップS7において、一番目のアクセスポイント11(=AP11)が選択される。そして、checkedNoTpcApSetは空であるので(ステップS4参照)、AP11に隣接する送信電力不制御AP=AP13は、checkedNoTpcApSetに入っていない。従って、ステップS8において、送信電力不制御AP=AP13は、newNoTpcApSetとして算出される。
【0188】
その結果、ステップS9において、newNoTpcApSetは空でないと判定され、ステップS10において、送信電力制御AP=AP11は、制御アクセスポイントに設定される。
【0189】
その後、ステップS11において、送信電力制御AP=AP11の制御対象である送信電力不制御AP=AP13は、newNoTpcApSetに入れられる。そして、ステップS12において、newNoTpcApSet(=AP13)は、checkedNoTpcApSetに入れられる。
【0190】
次に、送信電力制御AP=AP17は、ステップS8〜ステップS12において、送信電力制御AP=AP11と同様に処理され、送信電力不制御AP=AP14がnewNoTpcApSetに入れられ(ステップS11参照)、newNoTpcApSet(=AP14)がcheckedNoTpcApSetに入れられる(ステップS12参照)。
【0191】
その後、送信電力制御AP=AP18は、自己に隣接する送信電力不制御APとしてAP14を有するが(図10参照)、AP14は、既に、checkedNoTpcApSetに入れられている。従って、送信電力制御AP=AP18についてステップS8を実行する際、checkedNoTpcApSetに入っていない送信電力不制御APはないので、ステップS8において、newNoTpcApSetとして算出される送信電力不制御APはない。その結果、ステップS9において、newNoTpcApSetは空であると判定され、送信電力制御AP=AP18は、制御アクセスポイントに設定されず(ステップS13参照)、送信電力制御AP=AP18の制御対象の送信電力不制御APは、空にされる(ステップS14参照)。
【0192】
送信電力制御AP=AP19についても、送信電力制御AP=AP18と同様に処理される。
【0193】
送信電力制御AP=AP12,AP15,AP16,AP20については、隣接する送信電力不制御APが無いので(図10参照)、送信電力制御AP=AP12,AP15,AP16,AP20は、制御アクセスポイントに設定されない(ステップS13参照)。
【0194】
図9に示すように、送信電力制御AP=AP17,AP18,AP19は、送信電力不制御AP=AP14に隣接するが、送信電力制御AP=AP17,AP18,AP19のうち、制御アクセスポイントに設定されるのは、AP17だけである。
【0195】
従って、図11示すフローチャートに従って制御アクセスポイントを決定することによって、制御アクセスポイントの個数を最小にできる。
【0196】
決定手段63は、図9に示すアクセスポイント11〜20について図11に示すフローチャートを実行することによって、アクセスポイント11,17を制御アクセスポイントとして決定し、アクセスポイント13,14をそれぞれアクセスポイント11,17の制御対象のアクセスポイントとして決定する。
【0197】
なお、決定手段63は、図11に示すフローチャートをCSG毎に実行し、CSG毎に制御アクセスポイントと、制御対象の送信電力不制御APとを決定する。
【0198】
決定手段63は、送信電力制御APのチャネル使用率、制御アクセスポイント=AP11,AP17、制御対象の送信電力不制御AP=AP13,AP14および送信電力P11,P12,P15〜P20を決定すると、送信電力制御APのチャネル使用率、制御アクセスポイント=AP11,AP17、制御対象の送信電力不制御AP=AP13(AP11),AP14(AP17)および送信電力P11,P12,P15〜P20を通信手段62および有線インターフェース61を介してアクセスポイント11〜12,15〜20へ送信する。
【0199】
[実施例1]
アクセスポイント11〜12,15〜20は、送信電力制御APのチャネル使用率、制御アクセスポイント=AP11,AP17、制御対象の送信電力不制御AP=AP13(AP11),AP14(AP17)および送信電力P11,P12,P15〜P20を電力制御装置60からネットワーク40を介して受信する。そして、アクセスポイント11〜12,15〜20は、ビーコンを介して、送信電力、スロット長、およびチャネル使用率を端末装置に通知する。
【0200】
スロットの開始で、doTPCのアクセスポイントおよび端末装置は、doTPC時間帯=スロット長×チャネル使用率、およびnoTPC時間帯=スロット長×(1−チャネル使用率)によって、doTPC時間帯およびnoTPC時間帯を算出する。制御アクセスポイントであるアクセスポイント11,17は、その算出したdoTPC時間帯を含むSAMを生成する。
【0201】
図12は、SAMフレームの構成図である。図12を参照して、SAMフレームは、WiFiの標準フレーム・フォーマットに従って定義され、Frame Ctrlと、A1〜A3と、Seq Ctrlと、Frame Bodyと、FCSとを含む。
【0202】
Frame Ctrl、A1、A2、A3、Seq Ctrl、Frame Body、およびFCSは、それぞれ、2バイト、2バイト、6バイト、6バイト、6バイト、2バイト、0〜2312バイトおよび4バイトの長さを有する。
【0203】
Frame Ctrlは、タイプフィールドであり、“00”が格納される。Durationは、doTPC時間帯=doTPC時間帯の終了時刻−SAMフレームの送信開始時刻−SAMフレームの送信時間が格納される。
【0204】
A1は、ブロードキャストアドレスを示すBROADCASTが格納され、A2は、制御アクセスポイントのMACアドレスが格納され、A3は、制御アクセスポイントの通信範囲を識別するBSSIDが格納される。Seq Ctrlは、SAMのシーケンス番号が格納される。Frame Bodyは、タイプ=SAMが格納される。FCSは、誤り訂正符号である。
【0205】
Durationには、doTPC時間帯のみが格納される。noTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAMフレームを受信すると、doTPC時間帯の終了時刻までのNAVを自動的に設定し、doTPC時間帯において通信しない。そのNAVタイマーが満了すると、ちょうど、noTPC時間帯となる。noTPC時間帯において、doTPCのアクセスポイントと端末装置は、通信を抑えるので、noTPCのアクセスポイントと端末装置との間のみ、通信が行われる。従って、SAMフレームは、doTPC時間帯およびnoTPC時間の両方を実質的に含む。
【0206】
図13は、アクセスポイントと端末装置との間の実施例1における送信電力制御動作を示す図である。
【0207】
図13を参照して、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、スロット1において、doTPC時間帯1を含むSAM1を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブローキャストする。この場合、SAM1のDurationには、doTPC時間帯1が格納され、A1には、BROADCASTが格納され、A2には、アクセスポイント11のMACアドレスMacAdd11が格納され、A3には、アクセスポイント11の通信範囲を識別するBSSIDが格納される。
【0208】
アクセスポイント12,13,15,16およびアクセスポイント11,12,13,15,16の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM1を受信する。そして、アクセスポイント13およびアクセスポイント13の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯1に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM1を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0209】
また、制御アクセスポイントであるアクセスポイント17は、スロット1において、doTPC時間帯1を含むSAM2を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブローキャストする。この場合、SAM2のDurationには、doTPC時間帯1が格納され、A1には、BROADCASTが格納され、A2には、アクセスポイント17のMACアドレスMacAdd17が格納され、A3には、アクセスポイント17の通信範囲を識別するBSSIDが格納される。
【0210】
アクセスポイント14,18,19,20およびアクセスポイント14,17,18,19,20の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM2を受信する。そして、アクセスポイント14およびアクセスポイント14の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯1に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM2を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0211】
そして、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20は、doTPC時間帯1において、それぞれ、送信電力P11,P12,P15〜P20でデータパケットを端末装置との間で送受信する。
【0212】
また、doTPC時間帯1が終了すると、送信電力を制御するアクセスポイントと端末装置は、スロット1の終了まで送信を抑える。doTPC時間帯1が終了する時点で、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14のNAVタイマーが満了するので、noTPC時間帯1に入り、アクセスポイント13,14のセルにおいて最大の送信電力でデータパケットが送信される。
【0213】
しかし、送信電力を制御しないアクセスポイント13は、パケットの誤りでSAM1を正しく受信できず、NAVも設定しないため、本来、通信が禁止されているdoTPC時間帯1において、データパケットを送信しているので、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、アクセスポイント13がデータパケットを送信したことを検知(フレームのBSSIDがアクセスポイント13のBSSIDであるかどうかで検知)したタイミングで一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力PmaxでSAM3を更にブロードキャストする。SAM3に格納されるduration3は、duration1の残りの時間帯である。なお、アクセスポイント11がSAM3をブロードキャストすることは、送信電力を制御するアクセスポイントが無線通信を行なう時間帯であるdoTPC時間帯を新たに設定することになるので、doTPC時間帯を更新してブロードキャストすることに相当する。このdoTPC時間帯の更新によって、doTPC時間帯におけるアクセスポイント13の無線通信を更に抑制でき、アクセスポイント12,15〜20による送信電力を制御した無線通信を更に確保できる。その結果、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが共存する環境において、送信電力の制御を更に確保できる。
【0214】
スロット1が終了すると、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、スロット2において、doTPC時間帯2を含むSAM4を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブローキャストする。この場合、SAM4のDurationには、doTPC時間帯2が格納され、A1には、BROADCASTが格納され、A2には、アクセスポイント11のMACアドレスMacAdd11が格納され、A3には、アクセスポイント11の通信範囲を識別するBSSIDが格納される。
【0215】
アクセスポイント12,13,15,16およびアクセスポイント11,12,13,15,16の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM4を受信する。そして、アクセスポイント13およびアクセスポイント13の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯2に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM4を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0216】
また、制御アクセスポイントであるアクセスポイント17は、スロット2において、doTPC時間帯2を含むSAM5を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブローキャストする。この場合、SAM5のDurationには、doTPC時間帯2が格納され、A1には、BROADCASTが格納され、A2には、アクセスポイント17のMACアドレスMacAdd17が格納され、A3には、アクセスポイント17の通信範囲を識別するBSSIDが格納される。
【0217】
アクセスポイント14,18,19,20およびアクセスポイント14,17,18,19,20の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM5を受信する。そして、アクセスポイント14およびアクセスポイント14の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯2に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM5を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0218】
そして、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,16〜20は、doTPC時間帯2において、それぞれ、送信電力P11,P12,P16〜P20でデータパケットを端末装置との間で送受信する。
【0219】
また、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14は、noTPC時間帯2において、最大の送信電力でデータパケットを端末装置との間で送受信する。
【0220】
なお、アクセスポイント15は、スロット2のdoTPC時間帯2において、送信電力P15でデータパケットを端末装置との間で送受信できるが、図13に示す例においては、データパケットを送受信していないだけである。
【0221】
また、doTPC時間帯1とnoTPC時間帯1との和は、スロット1の長さに等しく、doTPC時間帯2とnoTPC時間帯2との和は、スロット2の長さに等しいので、アクセスポイント11,17がdoTPC時間帯1とnoTPC時間帯1とを算出すること、およびdoTPC時間帯2とnoTPC時間帯2とを算出することは、スロットをdoTPC時間帯とnoTPC時間帯とに分割することに相当する。
【0222】
更に、送信電力を制御するアクセスポイントは、上述したように、自己が送信電力を制御可能であり、かつ、自己に接続してくる端末装置が送信電力を制御する端末装置であるので、アクセスポイント11,12,15〜20は、送信電力を制御してデータパケットを送信する端末装置と無線通信を行なう。
【0223】
また、送信電力を制御しないアクセスポイントは、上述したように、自己が送信電力を制御できず、かつ、自己に接続してくる端末装置が送信電力を制御できるが送信電力を制御しない端末装置である、または自己が送信電力を制御可能であり、かつ、自己に接続してくる端末装置が送信電力を制御できない端末装置であるので、アクセスポイント13,14は、送信電力を制御できない端末装置、または送信電力を制御可能であるが送信電力を制御しない端末装置と無線通信を行なう。
【0224】
送信電力を制御するアクセスポイントが送信電力を制御してデータパケットを送信する端末装置と無線通信を行なうことによって、アクセスポイント11,12,15〜20は、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14による無線通信からの干渉を除去して、自己の通信範囲内に存在する端末装置との間で送信電力を制御して無線通信を行なう。従って、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20と送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが共存する環境において送信電力の制御を確保できる。
【0225】
また、送信電力を制御しないアクセスポイントが送信電力を制御できない端末装置または送信電力を制御可能であるが送信電力を制御しない端末装置と無線通信を行なうことによって、アクセスポイント13,14は、自己の通信範囲内に存在する端末装置との間で最大の送信電力でデータパケットを送受信する。従って、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14による無線通信のスループットの劣化を防止できる。
【0226】
図14は、この発明の実施の形態における通信方法の概念図である。図14を参照して、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20は、doTPC時間帯において、それぞれ、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P11,P12,P15,〜P20でデータパケットを端末装置との間で送受信し、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14は、noTPC時間帯において、最大の送信電力Pmaxでデータパケットを端末装置との間で送受信する。
【0227】
その結果、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20による無線通信と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14による無線通信とが干渉することはなく、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20が送信電力を最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力に制御してデータパケットを送信しても、非対称リンクが発生せず、スループットを高くできる。
【0228】
従って、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが共存する環境においても、送信電力を制御することによってスループットを向上できる。
【0229】
また、上述したように、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、doTPC時間帯1において、制御対象であるアクセスポイント13がデータパケットを送信していないかを監視し、制御対象であるアクセスポイント13がデータパケットを送信していれば、新たにSAM3をブロードキャストしてアクセスポイント13の通信を禁止する。
【0230】
従って、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20による無線通信が、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14による無線通信と干渉するのを更に抑制できる。その結果、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20による無線通信と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14による無線通信とが共存する環境において、送信電力を更に確実に制御できる。
【0231】
[実施例2]
実施例2においては、送信電力不制御AP(=送信電力を制御しないアクセスポイント)に隣接しない送信電力制御AP(=送信電力を制御するアクセスポイント)をCSGから除外してチャネル使用率を決定する。
【0232】
より具体的には、図9に示すアクセスポイント11〜20を例にすると、アクセスポイント12,15,16,20は、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14に隣接していないので、決定手段63は、アクセスポイント12,15,16,20のチャネル使用率を“1”と決定し、かつ、アクセスポイント12,15,16,20のdoChCtrlをOFFに設定した後に、アクセスポイント12,15,16,20をCSGから除外する。
【0233】
そして、決定手段63は、上述したCSGの構築方法を実行して、残ったアクセスポイント11,13,14,17,18,19を複数のブロックに分ける。
【0234】
そうすると、決定手段63は、ブロック毎に、チャネル使用率、制御アクセスポイント、および制御対象のアクセスポイントを決定する。
【0235】
図15は、実施例2におけるチャネル使用率の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【0236】
図15を参照して、一連の動作が開始されると、電力制御装置60の決定手段63は、一つのCSGに含まれるアクセスポイントを受け付ける(ステップS21)。
【0237】
そして、決定手段63は、i=1を設定し、CSGにおける一番目のアクセスポイントAPiを選択する(ステップS22)。その後、決定手段63は、APiが送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)であり、かつ、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)に隣接しないか否かを判定する(ステップS23)。
【0238】
ステップS23において、APiが送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)でない、または、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)に隣接すると判定されたとき、一連の動作は、ステップS29へ移行する。
【0239】
一方、ステップS23において、APiが送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)であり、かつ、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)に隣接しないと判定されたとき、決定手段63は、APiのチャネル使用率を“1”に設定し(ステップS24)、APiのdoChCtrlをOFFにする(ステップS25)。
【0240】
その後、決定手段63は、APiの制御対象のアクセスポイントのセットmonitorNoTpcApSetを空にし(ステップS26)、APiをCSGから除外する(ステップS27)。
【0241】
そして、決定手段63は、全てのAPを処理済みであるか否かを判定する(ステップS28)。
【0242】
ステップS28において、全てのAPを処理済みであると判定されたとき、またはステップS23において、APiが送信電力を制御するアクセスポイント(doTPCのAP)でない、または、送信電力を制御しないアクセスポイント(noTPCのAP)に隣接すると判定されたとき、決定手段63は、i=i+1を設定し、次のAPを選択する(ステップS29)。
【0243】
その後、一連の動作は、ステップS23へ戻り、ステップS28において、全てのAPを処理済みであると判定されるまで、上述したステップS23〜ステップS29が繰り返し実行される。
【0244】
そして、ステップS28において、全てのAPを処理済みである判定されると、決定手段63は、上述したCSG構築法を用いて、CSGに残したAPを複数のブロックに分ける(ステップS30)。
【0245】
その後、決定手段63は、j=1を設定し、一番目のブロックを選択する(ステップ31)。そして、決定手段63は、ブロックBLKjにおけるdoTPCのAPの数と、ブロックBLKjにおけるAPの全数との比率をブロックBLKjにおけるdoTPCのAPのチャネル使用率とする(ステップS32)。
【0246】
引き続いて、決定手段63は、ブロックBLKjにおける制御アクセスポイントおよび制御対象のアクセスポイントのセットmonitorNoTpcApSetを図11に示すフローチャートに従って算出する(ステップS33)。
【0247】
そうすると、決定手段63は、全てのブロックを処理したか否かを判定する(ステップS34)。
【0248】
ステップS34において、全てのブロックを処理していないと判定されたとき、決定手段63は、j=j+1を設定し、次のブロックを選択する(ステップS35)。
【0249】
その後、一連の動作は、ステップS32へ戻り、ステップS34において、全てのブロックを処理したと判定されるまで、上述したステップS32〜ステップS35が繰り返し実行される。
【0250】
そして、ステップS34において、全てのブロックを処理したと判定されると、一連の動作は、終了する。
【0251】
なお、図15に示すフローチャートは、CSG毎に実行される。
【0252】
図9に示すアクセスポイント11〜20に対して図15に示すフローチャートが実行されると、アクセスポイント12,15,16,20は、チャネル使用率が“1”に設定され、doChCtrlがOFFに設定され、CSGから除外される。そして、CSGに残ったアクセスポイント11,13,14,17,18,19は、アクセスポイント11,13からなるブロックBLK1と、アクセスポイント14,17,18,19からなるブロックBLK2とに分けられる。
【0253】
その後、ブロックBLK1は、送信電力を制御するアクセスポイント11と、送信電力を制御しないアクセスポイント13とからなるので、ブロックBLK1におけるチャネル使用率は、1/2と算出される。また、ブロックBLK1における制御アクセスポイントは、アクセスポイント11と決定され、制御対象のアクセスポイントは、アクセスポイント13と決定される。
【0254】
また、ブロックBLK2は、送信電力を制御するアクセスポイント17,18,19と、送信電力を制御しないアクセスポイント14とからなるので、ブロックBLK2におけるチャネル使用率は、3/4と算出される。また、ブロックBLK2における制御アクセスポイントは、アクセスポイント17と決定され、制御対象のアクセスポイントは、アクセスポイント14と決定される。
【0255】
図16は、電力制御装置60がアクセスポイントへ送信する情報を示す図である。図16を参照して、決定手段63は、図15に示すフローチャートを実行することによって情報IFを取得する。
【0256】
情報IFは、制御アクセスポイントであるか否かを示すdoChCtrlと、制御対象のアクセスポイントを示すmonitorNoTpcApSetと、チャネル使用率とを送信電力を制御する各アクセスポイントに対応付けたものである。
【0257】
そして、決定手段63は、情報IFを通信手段62および有線インターフェース61を介してアクセスポイント11,12,15〜20へ送信する。
【0258】
アクセスポイント11,12,15〜20は、情報IFを受信する。そして、アクセスポイント11は、自己が制御アクセスポイントであること、制御対象のアクセスポイントがアクセスポイント13であること、およびチャネル使用率が1/2であることを検知する。
【0259】
また、アクセスポイント17は、自己が制御アクセスポイントであること、制御対象のアクセスポイントがアクセスポイント14であること、およびチャネル使用率が3/4であることを検知する。
【0260】
更に、アクセスポイント12,15,16,20は、自己が制御アクセスポイントでないこと、制御対象のアクセスポイントがないこと、およびチャネル使用率が1であることを検知する。
【0261】
更に、アクセスポイント18,19は、自己が制御アクセスポイントでないこと、制御対象のアクセスポイントがないこと、およびチャネル使用率が3/4であることを検知する。
【0262】
図17は、アクセスポイントと端末装置との間の実施例2における送信電力制御動作を示す図である。
【0263】
スロット3において、doTPCのアクセスポイント11とそれに接続している端末装置は、チャネル使用率=1/2およびスロット長を用いて、doTPC時間帯3=スロット長×1/2を算出する。
【0264】
そして、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、doTPC時間帯3を含むSAM6を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブロードキャストする。SAM6のA1,A2,A3は、実施例1において説明したとおりである。
【0265】
そうすると、アクセスポイント13およびアクセスポイント11,13の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM6を受信する。そして、アクセスポイント13およびアクセスポイント13の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯3に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM6を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0266】
その後、アクセスポイント11は、スロット3のdoTPC時間帯3において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P11を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。また、doTPC時間帯3が終了すると、アクセスポイント13とそれに接続している端末装置でのNAVタイマーが満了するので、スロット3のnoTPC時間帯3に入り、アクセスポイント13は、最大の送信電力Pmaxを用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。更に、アクセスポイント12,15,16は、スロット3のdoTPC時間帯3およびnoTPC時間帯3において、それぞれ、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P12,P15,P16を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0267】
一方、スロット3において、doTPCのアクセスポイント17〜19とそれに接続している端末装置は、チャネル使用率=3/4およびスロット長を用いて、doTPC時間帯4=スロット長×3/4を算出する。
【0268】
そして、制御アクセスポイントであるアクセスポイント17は、doTPC時間帯4を含むSAM7を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブロードキャストする。SAM7のA1,A2,A3は、実施例1において説明したとおりである。
【0269】
そうすると、アクセスポイント14,18,19およびアクセスポイント14,17,18,19の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM7を受信する。そして、アクセスポイント14およびアクセスポイント14の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯4に設定する。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM7を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0270】
その後、アクセスポイント17は、スロット3のdoTPC時間帯4において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P17を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。また、doTPC時間帯4が終了すると、アクセスポイント14とそれに接続している端末装置でのNAVタイマーが満了するので、スロット3のnoTPC時間帯4に入り、アクセスポイント14は、最大の送信電力Pmaxを用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。更に、アクセスポイント18,19は、スロット3のdoTPC時間帯4において、それぞれ、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P18,P19を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0271】
アクセスポイント12,15,16,20は、チャネル使用率=1であるので、スロット3において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P12,P15,P16,P20を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0272】
スロット3が終了すると、doTPCのアクセスポイント11とそれに接続している端末装置は、スロット4において、チャネル使用率=1/2およびスロット長を用いて、doTPC時間帯5=スロット長×1/2を算出する。
【0273】
そして、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11は、doTPC時間帯5を含むSAM8を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブロードキャストする。SAM8のA1,A2,A3は、実施例1において説明したとおりである。
【0274】
そうすると、アクセスポイント13およびアクセスポイント11,13の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM8を受信する。そして、アクセスポイント13およびアクセスポイント13の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯5に設定し、doTPC時間帯5が終了するまで通信しない。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM8を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0275】
その後、アクセスポイント11は、スロット4のdoTPC時間帯5において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P11を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。また、doTPC時間帯5が終了すると、アクセスポイント13とそれに接続している端末装置でのNAVタイマーが満了するので、スロット4のnoTPC時間帯5に入る。アクセスポイント13は、スロット4のnoTPC時間帯5において、最大の送信電力Pmaxを用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。更に、アクセスポイント12,15,16は、スロット4のdoTPC時間帯5およびnoTPC時間帯5において、それぞれ、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P12,P15,P16を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0276】
一方、doTPCのアクセスポイント17〜19とそれらに接続している端末装置は、スロット4において、チャネル使用率=3/4およびスロット長を用いて、doTPC時間帯6=スロット長×3/4を算出し、noTPC時間帯6=スロット長×(1−3/4)を算出する。
【0277】
そして、制御アクセスポイントであるアクセスポイント17は、doTPC時間帯6およびnoTPC時間帯6を含むSAM9を生成して一番高い優先度でチャネルにアクセスし、最大の送信電力Pmaxでブロードキャストする。SAM9のA1,A2,A3は、実施例1において説明したとおりである。
【0278】
そうすると、アクセスポイント14,18,19およびアクセスポイント14,17,18,19の通信範囲内に存在する端末装置は、SAM9を受信する。そして、アクセスポイント14およびアクセスポイント14の通信範囲内に存在する端末装置は、無線通信を行なわない時間帯を示すNAVをdoTPC時間帯6に設定し、doTPC時間帯6が終了するまで通信しない。他のdoTPCのアクセスポイントと端末装置は、SAM9を受信しても、NAVを設定せずに通信する。
【0279】
その後、アクセスポイント17は、スロット4のdoTPC時間帯6において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P17を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。また、アクセスポイント14は、スロット4のnoTPC時間帯6において、最大の送信電力Pmaxを用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。更に、アクセスポイント18,19は、スロット4のdoTPC時間帯6において、それぞれ、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P18,P19を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0280】
アクセスポイント12,15,16,20は、チャネル使用率=1であるので、スロット4において、最大の送信電力Pmaxよりも小さい送信電力P12,P15,P16,P20を用いて自己の通信範囲内に存在する端末装置とデータパケットを送受信する。
【0281】
なお、実施例2においても、制御アクセスポイントであるアクセスポイント11,17は、それぞれ、doTPC時間帯において、アクセスポイント13,14が無線通信を行なっているか否かを監視する。
【0282】
このように、実施例2においては、制御対象のアクセスポイント13,14に隣接しないアクセスポイント12,15,16,20は、いつでも、送信電力を制御して無線通信を行なう。また、アクセスポイント11,17〜19は、スロットのdoTPC時間帯に送信電力を制御して無線通信を行なう。更に、アクセスポイント13,14は、スロットのnoTPC時間帯に送信電力を制御しないで無線通信を行なう。
【0283】
その結果、アクセスポイント13,14による無線通信は、アクセスポイント11,12,15〜20による無線通信と干渉しないので、アクセスポイント11,12,15〜20が送信電力を制御して無線通信を行なっても、非対称リンクが発生せず、スループットを向上できる。
【0284】
従って、送信電力を制御するアクセスポイント11,12,15〜20と、送信電力を制御しないアクセスポイント13,14とが共存する環境においても、送信電力を制御することによってスループットを向上できる。
【0285】
また、制御対象のアクセスポイント13,14に隣接しないアクセスポイント12,15,16,20は、いつでも、送信電力を制御して無線通信を行なうので、アクセスポイント12,15,16,20による無線通信のスループットをアクセスポイント12,15,16,20がdoTPC時間帯においてのみ無線通信を行なう場合よりも向上できる。
【0286】
実施例2におけるその他の説明は、実施例1と同じである。
【0287】
上記においては、電力制御装置60がアクセスポイント11,12,15〜20において使用される送信電力、スロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイントおよび制御対象のアクセスポイントを決定してアクセスポイント11,12,15〜20へ送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、これらの送信電力、スロット長、チャネル使用率、制御アクセスポイントおよび制御対象のアクセスポイントは、電力制御装置60以外によって決定されてもよく、最終的にアクセスポイント11,12,15〜20へ入力されればよい。従って、この発明の実施の形態による通信システムは、アクセスポイント10〜21だけを備えていればよい。
【0288】
なお、この発明の実施の形態においては、CSGは、「接続関係集合」を構成する。
【0289】
また、この発明の実施の形態においては、アクセスポイント12,15,16,18〜20は、「第1のアクセスポイント」を構成し、アクセスポイント13,14は、「第2のアクセスポイント」を構成し、アクセスポイント11,17は、「第3のアクセスポイント」を構成する。
【0290】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0291】
この発明は、通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0292】
1〜9 端末装置、10〜21 アクセスポイント、40 ネットワーク、50 監視サーバ、60 電力制御装置、61,114 有線インターフェース、62,103,113 通信手段、63 決定手段、64 調整手段、100 通信システム、101 アンテナ、102,112 無線インターフェース、104 アプリケーションモジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電力を制御してデータパケットを送信する第1のアクセスポイントと、
前記第1のアクセスポイントにおける使用チャネルと同じチャネルを用いて送信電力を制御せずに最大の送信電力でデータパケットを送信する第2のアクセスポイントと、
前記第1のアクセスポイントにおける使用チャネルと同じチャネルを用いて送信電力を制御してデータパケットを送信するとともに、前記第2のアクセスポイントを制御する第3のアクセスポイントとを備え、
前記第3のアクセスポイントは、1つのスロットを前記第1および第3のアクセスポイントが前記データパケットを送信する第1の時間帯と前記第2のアクセスポイントが前記データパケットを送信する第2の時間帯とに分割し、その分割された第1および第2の時間帯をブロードキャストする処理をスロット毎に実行するとともに、前記第1の時間帯において前記最大の送信電力よりも小さい送信電力でデータパケットを送信し、
前記第1のアクセスポイントは、前記第1の時間帯において前記最大の送信電力よりも小さい送信電力でデータパケットを送信し、
前記第2のアクセスポイントは、前記第1の時間帯においてデータパケットの送信を停止し、前記第2の時間帯において前記最大の送信電力でデータパケットを送信する、通信システム。
【請求項2】
前記第3のアクセスポイントは、前記第1の時間帯において前記第2のアクセスポイントから送信されたデータパケットを受信したとき、前記第1の時間帯を更新してブロードキャストする、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1のアクセスポイントのうち、前記第2のアクセスポイントに隣接しないアクセスポイントは、前記第1および第2の時間帯において前記最大の送信電力よりも小さい送信電力でデータパケットを送信する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の時間帯は、前記第1および第3のアクセスポイントのチャネル使用率をスロット長に乗算して算出され、
前記第2の時間帯は、前記チャネル使用率を1から減算した減算結果に前記スロット長を乗算して算出される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記チャネル使用率は、前記第1および第3のアクセスポイントと、前記第2のアクセスポイントとに公平にチャネルを使用させるように決定される、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1から第3のアクセスポイントは、電波を送受信できる隣接関係を有するアクセスポイントの集合である接続関係集合に含まれ、
前記第1のアクセスポイントの前記チャネル使用率は、前記第3のアクセスポイントの前記チャネル使用率と同じになるように決定される、請求項4または請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1および第3のアクセスポイントの各々における送信電力は、前記第2のアクセスポイントの通信範囲を除いて、前記第1および第3のアクセスポイントの各々の通信範囲におけるスループットを前記第1および第3のアクセスポイントの各々の通信範囲に隣接する隣接通信範囲における送信電力の影響を考慮して演算し、その演算したスループットが最大になるように算出される、請求項6に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−209836(P2012−209836A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75090(P2011−75090)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】