説明

通信システム

【課題】 通信サービスを緊急に提供することの可能な通信システムを提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、通信システムは、通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部と、地上部から延伸される係留索と、係留索を介して空中に係留される空中部とを具備する。地上部は、地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、コンテンツを空中部に送信する送信部とを備える。空中部は、送信部から送信されたコンテンツを、地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部を備える。係留索は、送信部から送信されたコンテンツを空中部に伝送する伝送ケーブルを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、特に災害時に好適に利用可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本における今回の地震災害は通信システムの弱点をあらわにした。特に被災地においては固定通信網、携帯通信網などの通信インフラがたやすくダウンすることが露呈した。加えて交通網までもダウンしてしまうと被災地は孤立状態となってしまう。今後このような事態に備えて、災害時に通信サービス機能を早急に確保できるようにすることが求められる。
【0003】
既に報道されているように、キャリア事業者は衛星チャネルをバックボーン回線として用いる移動基地局や移動電源車を被災地に急行させ、被災地の携帯電話エリアを確保するようにしている。しかしながら携帯電話事業者の保有する移動基地局の数には限りがあり、今回のような広域災害に十分に対応することは非常に困難である。まして被災地に至る道路が寸断されるとこのような対応は不可能に近い。
また、仮に携帯電話基地局がダウンしなくても災害の発生直後は回線の輻そうが避けられず、肝心の被災地では災害情報の入手すら困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害時に通信ネットワークがダウンし通信サービスを提供する機能が失われることは大きな問題であり、早急な対応が求められている。
目的は、通信サービスを緊急に提供することの可能な通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、通信システムは、通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部と、地上部から延伸される係留索と、係留索を介して空中に係留される空中部とを具備する。地上部は、地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、コンテンツを空中部に送信する送信部とを備える。空中部は、送信部から送信されたコンテンツを、地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部を備える。係留索は、送信部から送信されたコンテンツを空中部に伝送する伝送ケーブルを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係わる通信システムの第1の例を示すシステム図。
【図2】図1に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【図3】図1に示される通信システムの第2の例を示す機能ブロック図。
【図4】実施形態に係わる通信システムの第2の例を示すシステム図。
【図5】図4に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【図6】実施形態に係わる通信システムの第3の例を示すシステム図。
【図7】図6に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【図8】図6に示される通信システムの第2の例を示す機能ブロック図。
【図9】実施形態に係わる通信システムの第4の例を示すシステム図。
【図10】図9に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【図11】実施形態に係わる通信システムの第5の例を示すシステム図。
【図12】図11に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【図13】実施形態に係わる通信システムの第6の例を示すシステム図。
【図14】図13に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係わる通信システムの第1の例を示すシステム図である。図1の通信システムは、例えば都道府県庁に設置される災害対策本部と、被災地域とを、通信衛星100を経由する衛星チャネル200を介して接続するものである。衛星チャネル200はこのシステムのバックボーン回線として利用することができる。通信衛星100および衛星チャネル200は、例えば県防災システムとして提供されている。
【0009】
衛星チャネル200は、例えば都道府県庁に備え付けのルータ(図示せず)を介してIP(Internet Protocol)網300に接続される。IP網300はさらにモバイルネットワーク500に接続される。このモバイルネットワーク500は基地局CSを備えており。いわゆるセルラフォンシステムとして実現される。なおモバイルネットワーク500がPHS(Personal Handy-phone System)であれば、基地局CSはIP網300にゲートウェイ(図示せず)などを介して接続される。上記構成においては、被災地域が衛星チャネル200に接続することができれば、IP網300やモバイルネットワーク500との通信を実施できることになる。
【0010】
図2は、図1に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図2に示されるシステムは、通信サービスを提供すべき地域(例えば被災地域)の拠点(例えば図1に示される避難所)に設置される地上部10と、地上部10から延伸される係留索20と、係留索20を介して空中に係留される空中部30とを具備する。
【0011】
このうち空中部30は、空気より軽い気体(例えばヘリウムガスや熱せられた空気)が注入されて膨張する袋状部材を有する浮揚体を備える。この種の浮揚体としては気球やアドバルーンなどがある。
地上部10は、いわゆるワンセグシステムのヘッドエンド(ワンセグHE)11と、ワンセグ送信機12と、携帯基地局13と、衛星モデム(MODEM)41とを備える。これらヘッドエンド11、ワンセグ送信機12、携帯基地局13、および衛星モデム41は例えばイーサネット(登録商標)に用いられるハブ(HUB)14に接続される。
【0012】
ヘッドエンド11は、例えば被災地域を対象とするローカルなコンテンツを生成する。すなわちここでいうワンセグシステムは、いわゆるエリアワンセグと称して知られているものである。ワンセグ送信機12は、生成されたコンテンツを空中部30に送信する。
【0013】
携帯基地局13は、モバイルネットワーク500に属する。すなわち携帯基地局13は図1の基地局CSと同列に位置づけられる。衛星モデム41は、通信衛星100を経由する衛星チャネル200を介してIP網300に接続される。すなわち衛星モデム41は、バックボーン回線を利用する通信のインタフェース機能を担う。ここで、ハブ14は携帯基地局13を、衛星チャネル200を介してIP網300およびモバイルネットワーク500に接続する機能を担う。なおハブ14にパーソナルコンピュータ(PC)19を接続すれば、PC19からIP網300にアクセスすることもできる。
【0014】
係留索20は、伝送ケーブル21と、通信ケーブル25とを備える。伝送ケーブル21は、ワンセグ送信機12から送信されたコンテンツを空中部30に伝送する。通信ケーブル25は、携帯基地局13と、空中部30のリモート局33との間に双方向通信環境を提供する。リモート局33については後述する。なお実施形態では、伝送ケーブル21および通信ケーブル25は光ファイバである。
【0015】
空中部30は、ワンセグ局32′と、リモート局33とを備える。ワンセグ局32′は、ワンセグ送信機12から送信されたコンテンツを、少なくとも被災地域をカバーする無線チャネルを介して配信する。この無線チャネルは例えば470MHz〜770MHzの帯域に形成される。この機能の実現のためワンセグ局32′はバンドパスフィルタ(BPF)71、送信電力増幅器72、アンテナ73などを備える。
【0016】
リモート局33は、携帯基地局13の受け持つ無線ゾーンを少なくとも被災地域に展開する。例えば3G(3rd Generation)携帯電話システムにあっては、無線ゾーンは800MHz帯に形成される。この機能の実現のためリモート局33は、アンテナ74、デュプレクサ75、受信増幅器76、バンドパスフィルタ77,78、送信電力増幅器79などを備える。
また空中部30は、ハイブリッド回路36を備える。ハイブリッド回路36は、地上部10から空中部30に伝送された信号を分離してワンセグ局32′、リモート局33のいずれかに選択的に入力する。
【0017】
また、地上部10は、ハイブリッド回路17、電気/光変換器16、光/電気変換器15を備える。ハイブリッド回路17は、ワンセグ送信機12および携帯基地局13から出力されるダウンリンク信号を混合して電気/光変換器16に入力する。また空中部30は、電気/光変換器34、光/電気変換器35を備える。
【0018】
光/電気変換器15と電気/光変換器34とは、光ファイバである通信ケーブル25を挟んで対向する。電気/光変換器16と光/電気変換器35とは、光ファイバである伝送ケーブル21を挟んで対向する。すなわち電気/光変換器16、光/電気変換器15、電気/光変換器34、光/電気変換器35は、地上部10と空中部30との間に光ファイバを介する通信環境を提供する。上記の形態の光通信システムには、例えばROF(Radio Optical Fiber)と称して知られるものがある。
さらに、地上部10は、電力を発生する電源部18を備える。また係留索20は給電ケーブル22を備えており、よって係留索20は異種のケーブルを纏めた複合ケーブルの形態をとる。給電ケーブル22は、電源部18からの電力を空中部30に供給する。次に、上記構成における作用を説明する。
【0019】
図1および図2の構成によれば、携帯基地局13を利用する通信のバックボーン回線として、都道府県防災システムに備わる衛星チャネル200を利用することができるようになる。すなわち、都道府県庁に設置される災害対策本部と避難所との間のバックボーン回線に、県防災システムの衛星チャネル200を使用することができる。
【0020】
避難所には、携帯基地局13およびワンセグ送信機12を備える地上部10が設置される。地上部10から係留索20を介して、増幅器やアンテナなどを搭載する気球やアドバルーンが高所に係留される。これにより携帯電話システムおよびエリアワンセグシステムのサービス圏を、被災地域を含む広域エリアに展開することが可能になる。
【0021】
携帯電話システムによればモバイルネットワーク500やIP網300と通信することができる。例えば、安否情報の登録や確認のための通信路が確実に確保される。つまり携帯基地局13を中心とする携帯インフラを確保することができる。
エリアワンセグによれば、被災地域住民に対して必要な情報を輻そうの発生無しに、サイマルに提供することが可能になる。例えば、被災地域の生存者を避難所に誘導するのに必要な情報をローカルコンテンツの形にして、放送の形態で配信することができる。つまりエリアワンセグを用いて被災者を避難所に誘導することが可能になる。このように第1の実施形態によれば、被災住民への情報提供を含む災害対応トータルシステムを実現することができる。
【0022】
また第1の実施形態では、地上部10と空中部30との通信を、光ファイバで接続するようにしている。すなわち地上部10と空中部30とをROFで接続するようにしているので、長距離伝送の品質の向上と、係留索20(複合ケーブル)の軽量化を促すことができる。
【0023】
既存の技術では、都道府県防災システムと携帯電話網とは互いに独立しており、連携してサービスを提供することは想定されていなかった。つまり都道府県防災システムは、もっぱら都道府県庁と市町村役所、または支所間の通信回線を確保するために用いられているに過ぎなかった。また、通信回線のダウン又は輻そう時に被災地域住民への情報伝達を可能とするシステムは、市町村防災システムの拡声放送や、公共放送などの広域放送しかなかった。
また、被災地〜災害対策本部間の拠点間通信に気球と無線LAN(Local Area Network)を用いることも考えられていた。しかしながら無線LANは衛星回線に比べて伝送距離が格段に短いので、被災地〜災害対策本部間の距離が離れているケースには対応しにくい。
【0024】
これに対し第1の実施形態では、バックボーン回線に県防災システムの衛星回線を用いることで格段に広いエリアをカバーすることができ、今回のような大規模災害にも対応可能である。バックボーン回線へのアクセスには気球やアドバルーンなどを空中に揚げ、これにアンテナやアンプを含む送受信機能を搭載することで、地震や津波などへの災害への耐性も高い。特に、地域に分散配置された基地局により提供されるサービスを即座に復帰させることが可能になる。このように県防災システムと民間キャリアのシステムとを相互に連携させ、両者の得意分野を生かした災害対応を実現することが可能になる。例えば災害対策本部にて被災地状況を即座に把握できるなどのメリットがある。
【0025】
また地上部10と空中部30との通信にROFを応用しているので、通信容量の拡大とともに係留索20の軽量化を図れる。さらに、エリアワンセグを応用しているので、被災地域の事情に即してきめ細かなコンテンツを作成でき、各人の住所に応じた避難所の場所など、被災者が必要とする情報を過不足なく即座に配信することが可能になる。
【0026】
以上のように第1の実施形態によれば、被災地域に通信ネットワークを即座に展開して、被災地を中心とする通信環境を提供することができる。すなわち、ダウンした通信ネットワークに早急に代用することが可能になる。これらのことから、通信ネットワークを即座に展開して、通信サービスを緊急に提供することの可能な通信システムを提供することが可能となる。
【0027】
[第2の実施形態]
図3は、図1に示される通信システムの第2の例を示す機能ブロック図である。ここでは第2の実施形態として説明する。図3において図2と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。
図3において、空中部30はハブ37、小型基地局(pico基地局)33′、ワンセグ送信機32を備える。小型基地局33′およびワンセグ送信機32はハブ37に接続される。小型基地局33′はモバイルネットワーク500に属するもので、アンテナ74を介して被災地域に無線ゾーンを展開する。ワンセグ送信機32は、ヘッドエンド11から地上部10のハブ14を介して伝送されたコンテンツを、被災地域をカバーする無線チャネルを介してアンテナ73から配信する。
ここで、ハブ14とハブ37とは、イーサネット(登録商標)ケーブル23を介して接続される。イーサネット(登録商標)ケーブル23は、地上部10と空中部30との間に双方向通信環境を提供する。
【0028】
第2の実施形態では、地上部10と空中部30とをイーサネット(登録商標)ケーブル23を介して接続するようにする。よって係留索20はイーサネット(登録商標)ケーブル23と、給電ケーブル22とを含むものとなる。このような構成によれば、通信サービスを緊急に提供できるメリットはそのままに、システム構成を簡略化できる。
【0029】
[第3の実施形態]
図4は、実施形態に係わる通信システムの第2の例を示すシステム図である。ここでは第3の実施形態として説明する。図4において図1と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち図4に示すシステムは、基地局のアンテナ74、ワンセグ局のアンテナ73を、例えば学校の屋上などの高所に設置する形態である。
【0030】
図5は、図4に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図5において、地上部10は、イーサネット(登録商標)ケーブル23を介して相互に接続されるハブ14,37を備える。ハブ14には衛星モデム41とヘッドエンド11とが接続される。ハブ37には小型基地局33′とワンセグ送信機32とが接続される。上記構成において小型基地局33′は、接続部としてのハブ37、イーサネット(登録商標)ケーブル23、ハブ14を経由して、衛星モデム41から衛星チャネル200を介してモバイルネットワーク500に接続されることになる。
上記構成によっても、通信サービスを緊急に提供できるメリットはそのままに、システム構成を簡略化できる。
【0031】
[第4の実施形態]
図6は、実施形態に係わる通信システムの第3の例を示すシステム図である。ここでは第4の実施形態として説明する。図6において図1と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。図6においては、災害対策本部(都道府県庁)と被災地域との間に、両者を仲立ちする経由ポイント(市町村役所または支所)が設けられる。すなわち第4の実施形態の通信システムは、被災地域に設置される拠点装置と、経由ポイントに設けられるセンタ装置と、これらを無線ネットワーク400を介して相互に接続する中継手段とを具備する。
【0032】
図7は、図6に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図7に示されるシステムは、拠点装置とセンタ装置とを無線ネットワーク400を介して相互接続するものである。拠点装置は地上部10と係留索20と空中部30とを備え、例えば、図2と同様の構成から衛星モデム41をセンタ装置に移動させたものである。
【0033】
なお空中部30は無線接続部31を備える。無線接続部31は例えば無線LANのアクセスポイント(AP)、あるいはWiMAXの基地局(BTS)あるいは端末(TE)などとして実現される。無線接続部31は地上部10のハブ14に、LANケーブル24を介して接続される。
【0034】
センタ装置は、地上ユニット40と、地上ユニット40から延伸される係留ライン50と、係留ライン50を介して空中に係留される空中ユニット60とを備える。このうち空中ユニット60は空中部30と同様に、気球やアドバルーンなどで高所に係留される。
地上ユニット40は、衛星モデム41とハブ42とを備える。ハブ42にはPC43を接続してもよい。空中ユニット60は無線接続ユニット61を備える。無線接続ユニット61は、係留ライン50に備わるLANケーブル51を介してハブ42に接続される。このほか地上部40は、電源ユニット44を備える。電源ユニット44は空中ユニット60の駆動電力を生成し、係留ライン50に備わる給電ライン52を介して空中ユニット60に給電する。
【0035】
無線接続部31は、無線接続ユニット61と共同して無線ネットワーク400を形成する。ここでは例えばアドホックモードの無線LANが適用される。これにより拠点装置とセンタ装置との間の通信を無線LANを介して中継する中継手段が形成される。
【0036】
上記構成によれば、県防災システムと被災地域との間に役所又は支所が存在しているケースに対応できる。すなわち役所又は支所をバックボーン回線までの中継拠点として利用し、避難所から中継拠点までの通信を無線LANを介して実施するようにしている。空中部30と空中ユニット60との間の見通し距離により、数キロ〜数十キロメートル単位での中継伝送路を構築することができる。
以上のように第4の実施形態によっても、通信ネットワークを即座に展開して、通信サービスを緊急に提供することの可能な通信システムを提供することが可能となる。
【0037】
[第5の実施形態]
図8は、図6に示される通信システムの第2の例を示す機能ブロック図である。ここでは第5の実施形態として説明する。図8において図7と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。
図8において、センタ装置は図7と同様である。拠点装置は例えば図3と似た構成である。ただし、図3の地上部10の衛星モデム41は地上ユニット40に移動されている。また空中部30は無線接続部31を備える。なお地上部10のハブ14と空中部30のハブ37とは、LANケーブル24を介して接続される。
【0038】
上記構成によっても、被災地域と中継拠点との間の通信を無線LAN(無線ネットワーク400)を介して実施することができる。従って、第4の実施形態と同様の効果を得られるに加え、システム構成の簡易化を促すことが可能になる。
【0039】
[第6の実施形態]
図9は、実施形態に係わる通信システムの第4の例を示すシステム図である。ここでは第6の実施形態として説明する。図9において図6と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち図9に示すシステムは、拠点装置の基地局のアンテナ74、ワンセグ局のアンテナ73を、例えば学校の屋上などの高所に設置する形態である。
【0040】
図10は、図9に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図10において図8と共通する部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。図10においてセンタ装置は図8と同様の構成である。拠点装置においては、図8の空中部30に備わる小型基地局33′およびワンセグ送信機32を、地上部10に移動させたものとなっている。すなわち小型基地局33′およびワンセグ送信機32は、地上部10のハブ37に接続される。
第6の実施形態によっても、被災地域と中継拠点との間の通信を無線LAN(無線ネットワーク400)を介して実施することができる。従って、第4、第5の実施形態と同様の効果を得られるに加え、システム構成の簡易化をさらに促すことが可能になる。
【0041】
[第7の実施形態]
図11は、実施形態に係わる通信システムの第5の例を示すシステム図である。ここでは第7の実施形態として説明する。図11において図6と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。図11においては、中継拠点としての市町村役所又は支所において携帯電話システムのサービスを展開する形態となっている。
【0042】
図12は、図11に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図12において図7と共通する部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
図12において、地上ユニット40は携帯基地局45を備える。携帯基地局45はモバイルネットワーク500に属するもので、中継拠点から被災地域に向けた無線ゾーンを展開する。地上ユニット40のハブ42は、携帯基地局45および空中ユニット60の無線接続ユニット61を、衛星チャネル200を介してモバイルネットワーク500に接続する機能を持つ。すなわち図12の構成は、図7の携帯基地局13を地上ユニット40に移動させたものに相当する。
【0043】
第7の実施形態によっても、被災地域と中継拠点との間の通信を無線LAN(無線ネットワーク400)を介して実施することができる。従って、第4、第5、第6の実施形態と同様の効果を得られる。さらに、また地上部10と空中部30との通信に一部ROFを応用しているので、通信容量の拡大とともに係留索20の軽量化を図ることが可能になる。
【0044】
[第8の実施形態]
図13は、実施形態に係わる通信システムの第6の例を示すシステム図である。ここでは第8の実施形態として説明する。図13において図1と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。
図13に示すシステムでは、空中部30はワンセグ送信機32、小型基地局33′(図示せず)、および無線LANアクセスポイント(AP:以下、アクセスポイントと表記する)38とを備える。アクセスポイント38は、被災地を含む地域にアンテナ部80を介して無線エリアを展開し、例えばWiFi(登録商標)に準拠する無線LAN通信機能を備える。
【0045】
WiFi(登録商標)とはwireless fidelityを省略した呼称である。空中部30の浮揚体として直径3〜4m程度のバルーン600を用いてこれを50〜100m上空に係留すれば、数kmの半径のエリアをカバーすることが可能である。アクセスポイント38は、無線エリア内に在圏するモバイル端末(スマートフォンを含む携帯電話機など)を、地上部10(および地上部10に備わるサーバ)にアクセスさせるための機能を備える。第8の実施形態では、データ閲覧機能としてのブラウザ機能を備えるモバイル端末を想定する。この種のモバイル端末としてはいわゆるスマートフォンが代表的である。このほか、ワンセグによるデータ、画像、音声コンテンツを受信可能なワンセグ携帯も第8の実施形態に関係する。
【0046】
地上部10は、Webサーバ機能を備えるゲートウェイ(GW)46を備える。ワンセグ送信機32、小型基地局33′、アクセスポイント38は、係留索20に備わるLANケーブル24を介してゲートウェイ46と相互に接続される。すなわちLANケーブル24は、アクセスポイント38とゲートウェイ46との間に双方向の通信環境を提供する。
【0047】
ゲートウェイ46は、Webサーバ機能を備える。すなわちゲートウェイ46はHTML(HyperText Markup Language)などで記述されたデータ(Webデータ)を記憶し、アクセス元からの要求に応じてWebデータを要求元に送信する機能を備える。加えてゲートウェイ46は、メールサーバとしての機能も併せ持つ。
【0048】
一方、災害対策本部においては、上記第1〜第7の実施形態と同様にエリアワンセグヘッドエンド(カメラ、広域放送アーカイブ、データ放送編集用PCなどに接続される)が設けられるのに加え、IP網300に接続されるゲートウェイ900が特徴的である。このゲートウェイ900はWebサーバとしての機能も併せ持ち、衛星チャネル200を介して被災地のゲートウェイ46と通信することが可能である。
【0049】
さらに、ゲートウェイ900、ゲートウェイ46は、相互に互いにミラーサイトとして機能する。すなわちゲートウェイ46は衛星チャネル200を介してゲートウェイ900のWebコンテンツを取得し、自らに記憶する機能を備える。同様にゲートウェイ900は衛星チャネル200を介してゲートウェイ46のWebコンテンツを取得し、自らに記憶する機能を備える。このようにサーバ装置間で情報を授受しあい、同じ情報を記憶する機能をミラーリング機能と称する。これにより被災地における端末は、ゲートウェイ46にアクセスすることでIP網300側の情報をも取得することが可能になる。
【0050】
さらに第8の実施形態では、電光表示部700が設けられる。電光表示部700はバルーン600からぶら下げても良いし、または、例えば係留索20のいずれかの場所、好ましくは空中部に近い場所に取り付けても良い。すなわち電光表示部700は係留索20を利用して空中に掲げられ、被災地に必要な情報(物資の供給場所、ワンセグサービスの稼動の如何など)を視覚的に表示する。その意味で、電光表示部700に代えて垂れ幕を利用することもできる。これらを総称して表示部と称する。表示部を設けることで、通信端末(モバイル端末を含む)やワンセグ端末を所持していない人にも情報を提供することが可能になる。
【0051】
図14は、図13に示される通信システムの第1の例を示す機能ブロック図である。図14において図3と共通する部分には同じ符号を付して示し、異なる部分についてのみ説明する。
図14において、空中部30はハブ37、小型基地局(pico基地局)33′、ワンセグ送信機32に加えてアクセスポイント38を備える。アクセスポイント38はハブ37に接続され、LANケーブル24を介して地上部10と双方向に通信する。
【0052】
地上部10は、衛星モデム41、ヘッドエンド11、電源部18に加えてゲートウェイ46を備える。ゲートウェイ46はハブ14に接続され、空中部30のハブ37とともにLAN環境を形成する。すなわちアクセスポイント38にアクセスした端末は、ゲートウェイ46と双方向に通信することができる。さらには、衛星モデム41から衛星チャネル200、災害対策本部(図13)を経由してIP網300と通信することもできる。
【0053】
上記構成による効果を以下に述べる。すなわち第8の実施形態によれば被災地の情報孤立への対策を実現可能である。
[1]災害対策本部の拠点と被災地とを衛星チャネル200を介して接続することで、被災地との間のエントランス回線を確保することができる。
[2]被災地上空にWiFi(登録商標)アクセスポイント80と、エリアワンセグ送信機32を設け、地上にはWebサイト機能を備えるゲートウェイ46を設置する。このようにすることでローカルなWebサイト環境や臨時のメールサーバを構築することができ、被災者は所有するWiFi(登録商標)端末を利用しアクセスポイント経由でローカルWebサイトやメールサーバにアクセスできる。
【0054】
[3]ローカルWebサイト環境下で、被災者の安否確認、支援物資、災害対策掲示板など、情報の収集配信、そして臨時のメールサーバとの通信を行うことができる。
【0055】
[4]ローカルWebサイトや臨時のメールサーバで更新された情報は、例えば定期的に衛星チャネル200を介して、災害対策本部側のゲートウェイ900との間でミラーリングされる。すなわちゲートウェイ46の情報はゲートウェイ900の情報と照合され、更新されつつ、両ゲートウェイの情報が同期される。これにより、たとえエントランス回線の回線容量(被災地→災害対策本部は数百kbps、逆は数Mbpsと想定される)が限られているとしても、時間の経過を待つことにより、被災者はIP網300の情報にアクセスすることが可能になる。
【0056】
[5]災害対策本部側のゲートウェイ900は、IP網300、例えばインターネットに接続することで、被災地のローカルサイトの情報を世界に向け公開することができる。
【0057】
上記[1]〜[5]により、被災地からの情報収集を輻そう無く実現することが可能になる。
【0058】
[6]災害対策本部では被災地に固有の情報を編集し、この情報は、エリアワンセグ用ヘッドエンド(HE)、衛星チャネル200、被災地のワンセグ送信機32を経由して被災地上空から広域に放送される。エリアワンセグ送信機32にコンテンツを蓄積する機能と、それをサイクリックに送出する機能を持たせるようにすれば、被災者は情報の見逃しを回避できる。
【0059】
[7]被災地で公共放送が受信できない場合、[6]のルートを利用してリアルタイムで番組を中継することも可能である。[1]、[2]、[6]、[7]により、被災地固有の情報提供を実現することができる。
【0060】
[8]被災地の上空50〜100mに揚げられたバルーンは、視覚的な情報伝達の手段としても利用することが可能である。すなわち携帯電話もラジオも持たない方にも、情報を提供することができる。
【0061】
既存の技術では、被災地において被災者が所有するモバイル端末(携帯電話端末)を、最大限に利用できるとは言い難かった。これはつまり、以下の事情による。
(a)携帯基地局を被災地に設置しても、エントランス回線が無いこと。
(b)短期間にエントランス回線を設定するには、可搬型衛星地球局による衛星回線があるが、回線容量が足りないこと。(数百kbps程度)。
【0062】
(c)衛星チャネルおよび臨時の携帯基地局を設置しても、通信ニーズの強さから、通信回線は瞬時に輻そう状態となり、殆どの通信が成立できないこと。
【0063】
(d)携帯通信キャリアが複数社あり、システム仕様の違いもあり、全ての携帯電話が使える環境の整備は困難であること。
【0064】
(e)臨時の携帯基地局を数箇所設置できても、カバーエリアが足りないこと。
【0065】
上記を解決するため、ワンセグ放送の受信機能を持つモバイル端末(携帯電話端末の80%(1億台以上)を占める)を用いて情報配信を実現することが考えられている。しかし、以下の事情がある。
【0066】
(f)エリアワンセグを使い、公共放送の中継や被災地特有の情報を配信するのに、高い場所から電波を出さなければカバーエリアが取れず、情報の偏りが発生する。
【0067】
(g)エリアワンセグのコンテンツを伝送する為の中継回線が必要になる。
【0068】
(h)携帯電話もラジオも持たない方への情報配信も実現したい。
【0069】
第8の実施形態によれば、以下の効果を期待できる。
【0070】
(A)バルーン600により50〜100m上空にアクセスポイント38やエリアワンセグ送信機32を設置することから、1つのシステムで広大なエリアをカバーでき、効率的かつ経済的である。
(B)被災地ごとにWiFi(登録商標)アクセスポイントを設置するので、その中だけは高速なデータ通信が可能であり、ローカルなWebサイトや臨時のメールサーバとのアクセスにはストレスがかからない。
(C)被災地のローカルWebサイトや臨時のメールサーバの情報が、災害対策本部側とミラーリングする。仲介する衛星チャネル200はユーザトラフイックとは独立に動作するので、情報伝達に時間はかかるが、輻そうを伴わずに情報を確実に伝送できる。
(D)ローカルWebサイトを使うことで、情報は限られるにせよ、コンパクトな定型フオーマットとしてまとめることができる。従って情報収集を効率よく行え、また、情報をデータベース化して再利用することも容易になる。例えば、支援物資のロジスティックスや医師派遣システムとの連携も可能になる。
(E)エリア内の殆どの場所からバルーン600を見とおすことができる。よって、最もシンプルな形態で視覚的な情報提供が可能となり、通信できることを被災者に直接、目に見えるかたちで伝えることができる。さらには、バルーン600が復旧・復興に向けたシンボルとして少しでも被災者の心の支えになることも、大事な効果として期待することができよう。
【0071】
以上述べたように第8の実施形態によれば、第1〜第7の実施形態と同様の効果に加え、輻そうのない情報配信を実現できるとともに、被災地におけるモバイル端末の利用可能性をさらに拡大して、情報孤立に陥ることの無い通信サービスを早期に展開することが可能になる。
【0072】
なお本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば実施形態では地上部10と空中部30との間の通信を有線で接続するようにしたが、これに代えて、無線チャネルを介して地上部10と空中部30とを接続するようにしてもよい。このようにすれば係留索20を給電ケーブル(およびその補強部材)だけにして軽量化を図れる。地上ユニット40と空中ユニット60との間も同様である。
【0073】
要するに地上部10と空中部30との間に双方向通信環境を形成するための手段(通信チャネル)は、有線のLANケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル、光ファイバなどに限らず、WiFi(登録商標)に代表される無線LAN技術などを応用した、無線通信手段に置き換えることが可能である。
【0074】
また、例えば地震の発生に伴って津波の到来を検知する検知手段と、この検知手段により津波の到来が検知あるいは予測されると、空中部30を空中に浮揚させ、各実施形態に係わる通信システムを起動させる起動手段とを具備するようにしてもよい。つまり平時には気球やアドバルーンにガスを注入しないでコンパクトにしておき、津波の発生が予期される状態になれば、気球やアドバルーンを膨らませて空中部30を浮揚させる。それとともにシステム全体を起動するようにすれば、普段の電力消費を抑えられるとともに、津波にも対応可能な、より信頼性の高い災害対応通信システムを提供できる。
【0075】
また、携帯電話システムを用いた通話を制限し、電子メールなどの、よりデータ量の少ない通信を優先するようにすれば、例えバックボーン回線の帯域が狭くても実施形態に係わる通信システムを形成することができる。このようなケースでは必ずしも衛星チャネル200を利用しない形態が考えられる。
【0076】
さらには、通信サービスを提供すべき地域に設置される機材群、すなわち地上部10、係留索20、空中部30をひとまとめにしてパッケージし、ヘリコプタや輸送機などで空輸可能なコンテナなどに予め積載しておくようにしてもよい。このようにすれば航空輸送のスピードを生かして、被災地域における通信システムの更なる早期展開が可能である。もちろん、道路が健在であればトレーラなどで現地まで運んでも良い。要するにコンテナは、航空機、船舶、車両を含む移動体により搬送可能である。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
100…通信衛星、200…衛星チャネル、300…IP網、500…モバイルネットワーク、CS…基地局、10…地上部、20…係留索、30…空中部、11…ヘッドエンド、12…ワンセグ送信機、13…携帯基地局、41…衛星モデム、14…ハブ、19…パーソナルコンピュータ、21…伝送ケーブル、25…通信ケーブル、33…リモート局、32′…ワンセグ局、71…バンドパスフィルタ、72…送信電力増幅器、73…アンテナ、74…アンテナ、75…デュプレクサ、76…受信増幅器、77,78…BPF、79…送信電力増幅器、36…ハイブリッド回路、17…ハイブリッド回路、16…電気/光変換器、15…光/電気変換器、34…電気/光変換器、35…光/電気変換器、18…電源部、22…給電ケーブル、37…ハブ、33′…小型基地局、32…ワンセグ送信機、23…イーサネット(登録商標)ケーブル、400…無線ネットワーク、31…無線接続部、24…LANケーブル、40…地上ユニット、50…係留ライン、60…空中ユニット、42…ハブ、43…PC、61…無線接続ユニット、51…LANケーブル、44…電源ユニット、52…給電ライン、45…携帯基地局、38…アクセスポイント、80…アンテナ部、600…バルーン、46…ゲートウェイ、900…ゲートウェイ、700…電光表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを具備し、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に送信する送信部とを備え、
前記空中部は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部を備え、
前記係留索は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを前記空中部に伝送する伝送ケーブルを備える、通信システム。
【請求項2】
前記地上部は、さらに、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属する基地局と、
前記基地局を前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備え、
前記空中部は、さらに、
前記基地局の受け持つ無線ゾーンを前記地域に展開するリモート局を備え、
前記係留索は、
前記基地局と前記リモート局との間に双方向通信環境を提供する通信ケーブルを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記伝送ケーブルおよび前記通信ケーブルの少なくとも一方は、光ファイバであり、
さらに、前記地上部と前記空中部との間に前記光ファイバを介する通信環境を提供する光通信手段を具備する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを具備し、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に伝送する伝送部と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部とを備え、
前記空中部は、
前記ヘッドエンドから伝送された前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属し無線ゾーンを前記地域に展開する基地局とを備え、
前記係留索は、
前記地上部と前記空中部との間に双方向通信環境を提供する通信ケーブルを備える、通信システム。
【請求項5】
前記通信ケーブルはイーサネット(登録商標)ケーブルである、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記地上部は、さらに、電力を発生する電源部を備え、
前記係留索は、さらに、前記電力を前記空中部に供給する給電ケーブルを備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記地上部と、前記係留索と、前記空中部とは、移動体により搬送可能なコンテナにパッケージされる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部を具備し、
前記地上部は、
通信サービスを提供すべき地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続する衛星通信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属し無線ゾーンを前記地域に展開する基地局と、
前記基地局を前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備える、通信システム。
【請求項9】
前記地上部は、航空機により搬送可能なコンテナにパッケージされる、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
通信サービスを提供すべき地域に設置される拠点装置と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部を備えるセンタ装置と、
前記拠点装置と前記センタ装置との間の通信を無線ネットワークを介して中継する中継手段とを具備し、
前記拠点装置は、
前記地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを備え、
前記センタ装置は、
地上ユニットと、
前記地上ユニットから延伸される係留ラインと、
前記係留ラインを介して空中に係留される空中ユニットとを備え、
前記中継手段は、
前記空中部に搭載され、前記地上部を前記無線ネットワークを介して前記地上ユニットに接続する無線接続部と、
前記空中ユニットに搭載され、前記地上ユニットを前記無線ネットワークを介して前記地上部に接続する無線接続ユニットとを備え、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に送信する送信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属する基地局と、
前記基地局を前記中継手段および前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備え
前記空中部は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部と、
前記基地局の受け持つ無線ゾーンを前記地域に展開するリモート局とを備え、
前記係留索は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを前記空中部に伝送する伝送ケーブルと、
前記基地局と前記リモート局との間に双方向通信環境を提供する通信ケーブルと、
前記地上部と前記無線接続部との間に双方向通信環境を提供する通信ラインとを備え、
前記地上ユニットは、
前記無線接続ユニットを前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続ユニットを備え、
前記係留ラインは、
前記接続ユニットと前記無線接続ユニットとの間に双方向通信環境を提供する通信ワイヤを備える、通信システム。
【請求項11】
前記伝送ケーブルおよび前記通信ケーブルの少なくとも一方は、光ファイバであり、
さらに、前記地上部と前記空中部との間に前記光ファイバを介する通信環境を提供する光通信手段を具備する、請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
通信サービスを提供すべき地域に設置される拠点装置と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部を備えるセンタ装置と、
前記拠点装置と前記センタ装置との間の通信を無線ネットワークを介して中継する中継手段とを具備し、
前記拠点装置は、
前記地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを備え、
前記センタ装置は、
地上ユニットと、
前記地上ユニットから延伸される係留ラインと、
前記係留ラインを介して空中に係留される空中ユニットとを備え、
前記中継手段は、
前記空中部に搭載され、当該空中部を前記無線ネットワークを介して前記地上ユニットに接続する無線接続部と、
前記空中ユニットに搭載され、前記地上ユニットを前記無線ネットワークを介して前記空中部に接続する無線接続ユニットとを備え、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に伝送する伝送部とを備え、
前記空中部は、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属し無線ゾーンを前記地域に展開する基地局と、
前記基地局を前記中継手段および前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部と、
前記伝送部からの前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部とを備え、
前記係留索は、
前記伝送部からの前記コンテンツを前記空中部に伝送する通信ケーブルを備え、
前記地上ユニットは、
前記無線接続ユニットを前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続ユニットを備え、
前記係留ラインは、
前記接続ユニットと前記無線接続ユニットとの間に双方向通信環境を提供する通信ワイヤを備える、通信システム。
【請求項13】
前記通信ケーブルはイーサネット(登録商標)ケーブルである、請求項12に記載の通信システム。
【請求項14】
通信サービスを提供すべき地域に設置される拠点装置と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部を備えるセンタ装置と、
前記拠点装置と前記センタ装置との間の通信を無線ネットワークを介して中継する中継手段とを具備し、
前記拠点装置は、
前記地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを備え、
前記センタ装置は、
地上ユニットと、
前記地上ユニットから延伸される係留ラインと、
前記係留ラインを介して空中に係留される空中ユニットとを備え、
前記中継手段は、
前記空中部に搭載され、前記地上部を前記無線ネットワークを介して前記地上ユニットに接続する無線接続部と、
前記空中ユニットに搭載され、前記地上ユニットを前記無線ネットワークを介して前記地上部に接続する無線接続ユニットとを備え、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属し無線ゾーンを前記地域に展開する基地局と、
前記基地局を前記中継手段および前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備え、
前記係留索は、
前記基地局と前記無線接続部との間に双方向通信環境を提供する通信ケーブルを備え、
前記地上ユニットは、
前記無線接続ユニットを前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続ユニットを備え、
前記係留ラインは、
前記接続ユニットと前記無線接続ユニットとの間に双方向通信環境を提供する通信ワイヤを備える、通信システム。
【請求項15】
通信サービスを提供すべき地域に設置される拠点装置と、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部を備えるセンタ装置と、
前記拠点装置と前記センタ装置との間の通信を無線ネットワークを介して中継する中継手段とを具備し、
前記拠点装置は、
前記地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを備え、
前記センタ装置は、
地上ユニットと、
前記地上ユニットから延伸される係留ラインと、
前記係留ラインを介して空中に係留される空中ユニットとを備え、
前記中継手段は、
前記空中部に搭載され、前記地上部を前記無線ネットワークを介して前記地上ユニットに接続する無線接続部と、
前記空中ユニットに搭載され、前記地上ユニットを前記無線ネットワークを介して前記地上部に接続する無線接続ユニットとを備え、
前記地上部は、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に送信する送信部と、
前記地上部を前記中継手段および前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備え
前記空中部は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部を備え、
前記係留索は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを前記空中部に伝送する伝送ケーブルと、
前記地上部と前記無線接続部との間に双方向通信環境を提供する通信ケーブルとを備え、
前記地上ユニットは、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属し無線ゾーンを展開する基地局と、
前記基地局および前記無線接続ユニットを前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続ユニットを備え、
前記係留ラインは、
前記接続ユニットと前記無線接続ユニットとの間に双方向通信環境を提供する通信ワイヤを備える、通信システム。
【請求項16】
前記地上部は、さらに、電力を発生する電源部を備え、
前記係留索は、さらに、前記電力を前記空中部に供給する給電ケーブルを備える、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項17】
前記地上ユニットは、さらに、電力を発生する電源ユニットを備え、
前記係留ラインは、さらに、前記電力を前記空中ユニットに供給する給電ラインを備える、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項18】
前記拠点装置は、移動体により搬送可能なコンテナにパッケージされる、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項19】
前記空中部は、空気より軽い気体が注入されて膨張する袋状部材を有する浮揚体を備える、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項20】
前記空中ユニットは、空気より軽い気体が注入されて膨張する袋状部材を有する浮揚体を備える、請求項10乃至18のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項21】
さらに、津波の到来を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記津波の到来が検知されると、前記空中部を空中に浮揚させて前記通信システムを起動させる起動手段とを具備する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項22】
通信サービスを提供すべき地域に設置される地上部と、
前記地上部から延伸される係留索と、
前記係留索を介して空中に係留される空中部とを具備し、
前記地上部は、
前記地域を対象とする閲覧用データを記憶するサーバ装置を備え、
前記空中部は、
前記閲覧用データを閲覧する機能を備えるモバイル端末を前記サーバ装置にアクセスさせるための無線エリアを展開するアクセスポイントを備え、
さらに、前記アクセスポイントと前記サーバ装置との間に双方向通信環境を提供する通信チャネルを具備する、通信システム。
【請求項23】
前記地上部は、さらに、
前記地域を対象とするコンテンツを生成するヘッドエンドと、
前記コンテンツを前記空中部に送信する送信部とを備え、
前記空中部は、
前記送信部から送信された前記コンテンツを、前記地域をカバーする無線チャネルを介して配信する配信部を備え、
前記通信チャネルは、前記送信部から送信された前記コンテンツを前記空中部に伝送する、請求項22に記載の通信システム。
【請求項24】
前記地上部は、さらに、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部と、
前記通信ネットワークに接続される移動通信網に属する基地局と、
前記基地局を前記衛星チャネルを介して前記移動通信網に接続する接続部とを備え、
前記空中部は、さらに、
前記基地局の受け持つ無線ゾーンを前記地域に展開するリモート局を備え、
前記通信チャネルは、前記基地局と前記リモート局との間に双方向通信環境を提供する、請求項22に記載の通信システム。
【請求項25】
前記地上部は、さらに、
人工衛星を経由する衛星チャネルを介して通信ネットワークに接続される衛星通信部を備え、
前記サーバ装置は、
前記通信ネットワークに接続される別のサーバ装置との間で前記衛星チャネルを介して情報を授受し合うミラーリング機能を備える、請求項22に記載の通信システム。
【請求項26】
前記通信チャネルは前記係留索に設けられる光ファイバであり、
さらに、前記地上部と前記空中部との間に前記光ファイバを介する通信環境を提供する光通信手段を具備する、請求項22に記載の通信システム。
【請求項27】
前記通信チャネルは前記係留索に設けられるイーサネット(登録商標)ケーブルである、請求項22に記載の通信システム。
【請求項28】
さらに、前記係留索を利用して前記空中に掲げられ、情報を視覚的に表示する表示部を備える、請求項22に記載の通信システム。
【請求項29】
前記地上部は、さらに、電力を発生する電源部を備え、
前記係留索は、さらに、前記電力を前記空中部に供給する給電ケーブルを備える、請求項22乃至28のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項30】
前記地上部と、前記係留索と、前記空中部とは、移動体により搬送可能なコンテナにパッケージされる、請求項22乃至29のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項31】
前記空中部は、空気より軽い気体が注入されて膨張する袋状部材を有する浮揚体を備える、請求項22乃至30のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項32】
さらに、津波の到来を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記津波の到来が検知されると、前記空中部を空中に浮揚させて前記通信システムを起動させる起動手段とを具備する、請求項22乃至31のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項33】
前記通信チャネルは無線チャネルである、請求項22乃至25のいずれか1項に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−235439(P2012−235439A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157161(P2011−157161)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】