通信システム
【課題】有事における有用な情報の通信の阻害を低減する通信システムを提供する。
【解決手段】 位置情報を取得する端末位置情報取得部51を有する通信端末5と、地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部2と、地域毎の有事情報と通信端末5の位置情報とに基づいて、通信端末5が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、通信端末5との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部1とを備える。
【解決手段】 位置情報を取得する端末位置情報取得部51を有する通信端末5と、地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部2と、地域毎の有事情報と通信端末5の位置情報とに基づいて、通信端末5が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、通信端末5との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部1とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有事における有用な情報の通信の阻害を低減する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、災害などの有事発生地域において、情報通信網の障害(物理的障害、通信状況の逼迫、輻輳等)により、携帯端末等の通信端末間の通信が阻害されることがある。このような有事発生地域では、情報通信網の障害の下、平時の冗長な情報(メール広告、ウェブサイトの画像、映像等)を配信することにより、緊急時における必要な情報収集が阻害されていた。また、有事の状況により、特定の有用な情報にアクセスが集中する傾向があるため、原子力発電所の放射能漏れに関する汚染状況や、食料、水、医薬品等の調達に関する情報など、生命、健康にかかわる情報伝達が阻害されやすい。
【0003】
一方、データの内容に応じてネットワーク回線の帯域制御を行う技術であるQoS(Quality of Service)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−94605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、QoSでは、有事における情報通信網の障害によって帯域が狭まりすぎると、冗長な情報の存在により、機能の効果が著しく低減する虞がある。また、サイバー攻撃によっても応答性を悪くすることがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑み、有事における有用な情報の通信の阻害を低減する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、位置情報を取得する端末位置情報取得部を有する通信端末と、地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部と、前記地域毎の有事情報と前記通信端末の位置情報とに基づいて、前記通信端末が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、前記通信端末との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部とを備える通信システムであることを要旨とする。
【0008】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、前記有事情報伝達部は、通信路の応答時間を計測することができる。
【0009】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、通信路の経路情報帯域を計測することができる。
【0010】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、フレームページ、添付ファイル、画像、映像のいずれかをリダクションすることができる。
【0011】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、前記通信端末との通信データを短縮化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムの通信端末が送信する端末識別情報のデータ構造を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える記憶部の端末情報を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通信システムの動作の一部を説明するシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える有事情報伝達部の有事情報及び伝達フィルタを説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部が設置される地域を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の判断部の処理内容を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の判断部の処理内容を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の動作部の処理内容を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法、及びこれらの装置を用いたシステムを例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施の形態に例示した装置や方法、及びこれらの装置を用いたシステムに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
本発明の実施の形態に係る通信システムは、図1に示すように、地域毎に設けられた情報選択処理部1と、有事情報伝達部2と、端末情報登録部3と、記憶部4と、端末5a,5b,…(以下、総称する場合において単に「端末5」という。)とを備える。情報選択処理部1は、端末5の通信を中継する。端末5は、例えば、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション装置等の通信端末である。
【0016】
情報選択処理部1は、端末5と他のノードとの通信を中継し、有事の際に、有事発生地域にある端末5の通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする。有事情報伝達部2は、地域毎の有事に関する有事情報を、有事情報源8から収集し、情報選択処理部1に伝達する。端末情報登録部3は、各端末5に固有の識別子を含む端末情報41を、データベースとして記憶部4に登録する。
【0017】
端末情報登録部3は、端末5が情報選択処理部1に送信した端末識別情報を、記憶部4に端末情報41として登録する。端末識別情報は、図2に示すように、端末5のネットワークアドレス(IPアドレス)、識別子ID、位置情報Lを含む。位置情報Lは、端末5が備える位置情報取得部51により取得される。位置情報取得部51は、例えば全地球測位システム(GPS)受信器により構成される。端末情報41は、図3に示すように、各端末5識別子ID、位置情報L、対象サービスが、端末情報登録部3により登録されている。端末情報41の内容は、複数の情報選択処理部1により、共有できるよう管理されている。
【0018】
端末情報41に端末5毎に登録される位置情報Lは、位置情報取得部51により定期的に取得され、識別子IDとともに、情報選択処理部1に送信される。情報選択処理部1は、既に端末情報41に登録されている位置情報Lを、端末情報41と送信された識別子IDとを照合し、新たに送信された位置情報Lに更新する。
【0019】
図3に示す端末情報41に端末5毎に登録される「サービス」の項は、ウェブアクセス、電子メール等、各端末5が利用可能なサービスのうち、情報選択処理部1が通信データを変更する対象サービスを示している。
【0020】
情報選択処理部1は、判断部11と、動作部12と、短縮化処理部13とを備える。判断部11は、有事情報伝達部2から有事情報を伝達されると、有事情報が示す地域が有事であると判断する。動作部12は、判断部11が有事であると判断した地域の端末5a,5bとの通信において、冗長なデータをリダクションし、設定に応じて通信データを変更する。短縮化処理部13は、判断部11が有事であると判断した端末5a,5bとの通信において、短縮化可能なデータを短縮化する。
【0021】
有事情報伝達部2は、地震、災害、事故、サイバー攻撃等、有事の種類によって有事情報を分類し、情報選択処理部1に伝達する。有事情報源8は、図4に示すように、種々のサーバからなり、有事の種類により複数存在する。有事情報伝達部2は、各有事情報源8に要求rq1〜rq3を定期的に送信し、各有事情報源8から応答rp1〜rp3を受信する。例えば、有事情報源8が地震速報等、能動的に応答rpを送信する場合、要求rqは不要である。有事情報伝達部2は、受信したrp1〜rp3から有事情報を収集する。
【0022】
有事情報伝達部2は、図5に示すように、収集した有事情報を時刻、地域、イベントの項目毎に分類する。有事情報伝達部2は、図5に示すように、イベント毎に設定された伝達フィルタに応じて、有事情報を情報選択処理部1に伝達するか否か決定する。
【0023】
図6に示すように、判断部11が有事でないと判断する平時の地域にある端末5aが、ウェブサーバ7へのアクセスをする場合、ステップS1において、ウェブサーバ7宛ての要求メッセージを情報選択処理部1に送信する。情報選択処理部1の動作部12は、ステップS2において、端末5aからの通信データをそのままウェブサーバ7に転送する。
【0024】
ウェブサーバ7は、ステップS1において端末5aから送信された要求メッセージに応じて、ステップS3において、端末5a宛てのウェブサイトのデータを情報選択処理部1に送信する。この際、広告を含むウェブサイトの場合、ウェブサーバ7は、広告をそのまま送信する。動作部12は、ステップS4において、ウェブサーバ7からの通信データをそのまま端末5aに転送する。
【0025】
また、平時の地域にある端末5aから平時の地域にある他の端末5bに、メールと添付ファイルとを送信する場合、端末5aは、ステップS11において、端末5b宛てのメールと添付ファイルとを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS12において、端末5aからの通信データをそのまま通信端末5bに転送する。
【0026】
一方、判断部11が有事であると判断した地域にある端末5aが、ウェブサーバ7へのアクセスをする場合、ステップS21において、ウェブサーバ7宛ての要求メッセージを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS22において、端末5aからのデータを有用情報提供部6に転送する。
【0027】
有用情報提供部6は、ステップS21において端末5aから送信された要求メッセージに応じて、ステップS23において、端末5a宛ての、有事毎において有用な有用情報を、情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS24において、有用情報提供部6からの通信データを端末5aに転送する。
【0028】
また、端末5aから有事の地域にある他の端末5bに、メールと添付ファイルとを送信する場合、端末5aは、ステップS31において、端末5b宛てのメールと添付ファイルとを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS32において、端末5aからのメールと添付ファイルの内、添付ファイルのデータを削除し、メールのみを通信端末5bに転送する。
【0029】
このように、動作部12は、有事発生地域にある端末5aが、ウェブサーバ7にアクセスする場合、有事において冗長とされる通信データをリダクションし、有事毎において有用な有用情報を提供することができる。冗長なデータは、例えば、フレームページの広告、添付ファイル、画像、映像等である。また、動作部12は、メールの送信先の端末5bが、判断部11により有事発生地域にあると判断される場合、有事において冗長な通信データとして、メールの添付ファイルをリダクションすることができる。
【0030】
情報選択処理部1は、例えば、図7に示すように、複数の地域A〜F毎に設置されている。複数の情報選択処理部1は、それぞれ、地域A〜Fのいずれに設置されているかを認識している。
【0031】
例えば、図8に示すように、それぞれ端末5a,5bの識別子IDを「a」、「b」、位置情報Lを「L1」、「L2」とする。判断部11は、端末5から送信された通信データに含まれる端末5の識別子IDから、記憶部4に記憶される端末情報41を参照し、端末5の識別子IDの位置情報Lを確認する。図9に示すように、有事情報伝達部2から地域Bにおいて有事(地震)が発生した旨の有事情報が伝達されると、情報選択処理部1の判断部11は、地域Bを有事発生地域と判断する。
【0032】
判断部11は、有事情報伝達部2から伝達された有事情報が示す地域と、端末情報41の位置情報Lとに基づいて、端末5が有事発生地域に属するか否かを判断する。動作部12は、有事発生地域である地域Bにある端末5aの通信データの内、有事において冗長な情報に対してリダクション等を行う。
【0033】
動作部12は、有事発生地域に属する端末5がウェブサイトにアクセスする場合、ウェブページの一部を有用情報提供部6から取得するようにしてもよい。すなわち図10に示すように、動作部12は、有事発生地域の端末5aからウェブサーバ7への要求メッセージがあった場合、ウェブページSのデータをウェブサーバ7から端末5aに転送する。加えて、ウェブページSの一部の領域Tに表示する内容を、有用情報提供部6から端末5aに転送する。
【0034】
例えば、動作部12及び有用情報提供部6は、有事として、地震、災害が起こった場合、ウェブページSの一部の領域Tに防災グッズの広告を表示する。このように、動作部12及び有用情報提供部6は、有事の種類毎に適切な有用情報を端末5に提供することができる。動作部12が行う通信データのリダクション、有用情報提供部6からの転送等の処理は、判断部11により決定される。
【0035】
短縮化処理部13は、情報選択処理部1が行う通信データのリダクション処理として、通信データの短縮化をする。短縮化処理部13は、例えば、長いURL等を短縮化することで帯域を占めるトラフィック量を低減できる。
【0036】
有事情報伝達部2は、応答時間計測部21と、経路情報算出部22とを備える。応答時間計測部21は、所定のノードまでのネットワークの通信路の応答時間を計測する。応答時間の計測は、PINGにより行うことができる。応答時間計測部21は、応答時間を計測することにより、通信路が通常の状態か否かを判定し、通信路の復旧のタイミングを知ることができる。
【0037】
経路情報算出部22は、通信路の経路情報を算出する。経路情報は、RIP(Routing Information Protocol)により行うことができる。経路情報算出部22は、経路情報を算出することにより、例えば、サイバー攻撃等によるサーバの障害や通信路の障害等の有無により、通信路が通常の状態か否かを判定する。これにより、経路情報算出部22は、通信路の復旧のタイミングを知ることができる。
【0038】
図11に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する。
【0039】
先ず、ステップS51において、端末情報登録部3は、端末5が情報選択処理部1に送信した端末識別情報を、記憶部4に端末情報41として登録する。端末情報41は、端末5毎の識別子ID、位置情報Lとを含む。ステップS52において、情報選択処理部1は、端末5から通信データを受信する。
【0040】
ステップS53において、情報選択処理部1の判断部11は、有事発生地域からの通信かを判断する。判断部11は、端末5から受信した通信データに含まれる端末5の識別子IDと、記憶部4の端末情報41に登録された識別子IDとを照合し、通信データを送信した端末5の位置情報Lを取得する。判断部11は、端末5の位置情報Lと、有事情報伝達部2から伝達された有事情報が示す有事発生地域とを比較し、端末5が有事発生地域に属するか否かを判断する。
【0041】
或いは、判断部11は、通信データが、有事発生地域にある端末5宛ての通信かを判断する。判断部11は、通信データに含まれる送信先端末5の識別子IDと、記憶部4の端末情報41に登録された識別子IDとを照合し、送信先端末5の位置情報Lを取得する。
【0042】
判断部11がステップS53において有事発生地域からの通信、或いは有事発生地域にある端末5宛ての通信と判断する場合は、ステップS54に進む。有事発生地域からの通信、或いは有事発生地域にある端末5宛ての通信と判断しない場合はステップS55に進む。
【0043】
ステップS54において、動作部12は、有事の種類に応じて通信データを変更することにより、通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする。ステップS55において情報選択処理部1は、通信データの送信先に通信データを転送する。
【0044】
本発明の実施の形態に係る通信システムによれば、有事発生地域にある端末との通信データの送受信において、通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションすることにより、有事における有用な情報の通信の阻害を低減することができる。
【0045】
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0046】
既に述べた実施の形態においては、応答時間計測部21の計測結果、経路情報算出部22の算出結果に応じて、有事情報伝達部2が有事情報を送信するようにしてもよい。
【0047】
上記の他、実施の形態を応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0048】
1…情報選択処理部
2…有事情報伝達部
3…端末情報登録部
4…記憶部
5…端末
6…有用情報提供部
7…ウェブサーバ
8…有事情報源
11…判断部
12…動作部
13…短縮化処理部
21…応答時間計測部
22…経路情報算出部
41…端末情報
51…位置情報取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有事における有用な情報の通信の阻害を低減する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、災害などの有事発生地域において、情報通信網の障害(物理的障害、通信状況の逼迫、輻輳等)により、携帯端末等の通信端末間の通信が阻害されることがある。このような有事発生地域では、情報通信網の障害の下、平時の冗長な情報(メール広告、ウェブサイトの画像、映像等)を配信することにより、緊急時における必要な情報収集が阻害されていた。また、有事の状況により、特定の有用な情報にアクセスが集中する傾向があるため、原子力発電所の放射能漏れに関する汚染状況や、食料、水、医薬品等の調達に関する情報など、生命、健康にかかわる情報伝達が阻害されやすい。
【0003】
一方、データの内容に応じてネットワーク回線の帯域制御を行う技術であるQoS(Quality of Service)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−94605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、QoSでは、有事における情報通信網の障害によって帯域が狭まりすぎると、冗長な情報の存在により、機能の効果が著しく低減する虞がある。また、サイバー攻撃によっても応答性を悪くすることがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑み、有事における有用な情報の通信の阻害を低減する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、位置情報を取得する端末位置情報取得部を有する通信端末と、地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部と、前記地域毎の有事情報と前記通信端末の位置情報とに基づいて、前記通信端末が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、前記通信端末との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部とを備える通信システムであることを要旨とする。
【0008】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、前記有事情報伝達部は、通信路の応答時間を計測することができる。
【0009】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、通信路の経路情報帯域を計測することができる。
【0010】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、フレームページ、添付ファイル、画像、映像のいずれかをリダクションすることができる。
【0011】
また、本発明の第1の態様に係る通信システムにおいては、前記通信端末との通信データを短縮化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムの通信端末が送信する端末識別情報のデータ構造を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える記憶部の端末情報を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通信システムの動作の一部を説明するシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える有事情報伝達部の有事情報及び伝達フィルタを説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部が設置される地域を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の判断部の処理内容を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の判断部の処理内容を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る通信システムが備える情報選択処理部の動作部の処理内容を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法、及びこれらの装置を用いたシステムを例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施の形態に例示した装置や方法、及びこれらの装置を用いたシステムに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
本発明の実施の形態に係る通信システムは、図1に示すように、地域毎に設けられた情報選択処理部1と、有事情報伝達部2と、端末情報登録部3と、記憶部4と、端末5a,5b,…(以下、総称する場合において単に「端末5」という。)とを備える。情報選択処理部1は、端末5の通信を中継する。端末5は、例えば、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション装置等の通信端末である。
【0016】
情報選択処理部1は、端末5と他のノードとの通信を中継し、有事の際に、有事発生地域にある端末5の通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする。有事情報伝達部2は、地域毎の有事に関する有事情報を、有事情報源8から収集し、情報選択処理部1に伝達する。端末情報登録部3は、各端末5に固有の識別子を含む端末情報41を、データベースとして記憶部4に登録する。
【0017】
端末情報登録部3は、端末5が情報選択処理部1に送信した端末識別情報を、記憶部4に端末情報41として登録する。端末識別情報は、図2に示すように、端末5のネットワークアドレス(IPアドレス)、識別子ID、位置情報Lを含む。位置情報Lは、端末5が備える位置情報取得部51により取得される。位置情報取得部51は、例えば全地球測位システム(GPS)受信器により構成される。端末情報41は、図3に示すように、各端末5識別子ID、位置情報L、対象サービスが、端末情報登録部3により登録されている。端末情報41の内容は、複数の情報選択処理部1により、共有できるよう管理されている。
【0018】
端末情報41に端末5毎に登録される位置情報Lは、位置情報取得部51により定期的に取得され、識別子IDとともに、情報選択処理部1に送信される。情報選択処理部1は、既に端末情報41に登録されている位置情報Lを、端末情報41と送信された識別子IDとを照合し、新たに送信された位置情報Lに更新する。
【0019】
図3に示す端末情報41に端末5毎に登録される「サービス」の項は、ウェブアクセス、電子メール等、各端末5が利用可能なサービスのうち、情報選択処理部1が通信データを変更する対象サービスを示している。
【0020】
情報選択処理部1は、判断部11と、動作部12と、短縮化処理部13とを備える。判断部11は、有事情報伝達部2から有事情報を伝達されると、有事情報が示す地域が有事であると判断する。動作部12は、判断部11が有事であると判断した地域の端末5a,5bとの通信において、冗長なデータをリダクションし、設定に応じて通信データを変更する。短縮化処理部13は、判断部11が有事であると判断した端末5a,5bとの通信において、短縮化可能なデータを短縮化する。
【0021】
有事情報伝達部2は、地震、災害、事故、サイバー攻撃等、有事の種類によって有事情報を分類し、情報選択処理部1に伝達する。有事情報源8は、図4に示すように、種々のサーバからなり、有事の種類により複数存在する。有事情報伝達部2は、各有事情報源8に要求rq1〜rq3を定期的に送信し、各有事情報源8から応答rp1〜rp3を受信する。例えば、有事情報源8が地震速報等、能動的に応答rpを送信する場合、要求rqは不要である。有事情報伝達部2は、受信したrp1〜rp3から有事情報を収集する。
【0022】
有事情報伝達部2は、図5に示すように、収集した有事情報を時刻、地域、イベントの項目毎に分類する。有事情報伝達部2は、図5に示すように、イベント毎に設定された伝達フィルタに応じて、有事情報を情報選択処理部1に伝達するか否か決定する。
【0023】
図6に示すように、判断部11が有事でないと判断する平時の地域にある端末5aが、ウェブサーバ7へのアクセスをする場合、ステップS1において、ウェブサーバ7宛ての要求メッセージを情報選択処理部1に送信する。情報選択処理部1の動作部12は、ステップS2において、端末5aからの通信データをそのままウェブサーバ7に転送する。
【0024】
ウェブサーバ7は、ステップS1において端末5aから送信された要求メッセージに応じて、ステップS3において、端末5a宛てのウェブサイトのデータを情報選択処理部1に送信する。この際、広告を含むウェブサイトの場合、ウェブサーバ7は、広告をそのまま送信する。動作部12は、ステップS4において、ウェブサーバ7からの通信データをそのまま端末5aに転送する。
【0025】
また、平時の地域にある端末5aから平時の地域にある他の端末5bに、メールと添付ファイルとを送信する場合、端末5aは、ステップS11において、端末5b宛てのメールと添付ファイルとを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS12において、端末5aからの通信データをそのまま通信端末5bに転送する。
【0026】
一方、判断部11が有事であると判断した地域にある端末5aが、ウェブサーバ7へのアクセスをする場合、ステップS21において、ウェブサーバ7宛ての要求メッセージを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS22において、端末5aからのデータを有用情報提供部6に転送する。
【0027】
有用情報提供部6は、ステップS21において端末5aから送信された要求メッセージに応じて、ステップS23において、端末5a宛ての、有事毎において有用な有用情報を、情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS24において、有用情報提供部6からの通信データを端末5aに転送する。
【0028】
また、端末5aから有事の地域にある他の端末5bに、メールと添付ファイルとを送信する場合、端末5aは、ステップS31において、端末5b宛てのメールと添付ファイルとを情報選択処理部1に送信する。動作部12は、ステップS32において、端末5aからのメールと添付ファイルの内、添付ファイルのデータを削除し、メールのみを通信端末5bに転送する。
【0029】
このように、動作部12は、有事発生地域にある端末5aが、ウェブサーバ7にアクセスする場合、有事において冗長とされる通信データをリダクションし、有事毎において有用な有用情報を提供することができる。冗長なデータは、例えば、フレームページの広告、添付ファイル、画像、映像等である。また、動作部12は、メールの送信先の端末5bが、判断部11により有事発生地域にあると判断される場合、有事において冗長な通信データとして、メールの添付ファイルをリダクションすることができる。
【0030】
情報選択処理部1は、例えば、図7に示すように、複数の地域A〜F毎に設置されている。複数の情報選択処理部1は、それぞれ、地域A〜Fのいずれに設置されているかを認識している。
【0031】
例えば、図8に示すように、それぞれ端末5a,5bの識別子IDを「a」、「b」、位置情報Lを「L1」、「L2」とする。判断部11は、端末5から送信された通信データに含まれる端末5の識別子IDから、記憶部4に記憶される端末情報41を参照し、端末5の識別子IDの位置情報Lを確認する。図9に示すように、有事情報伝達部2から地域Bにおいて有事(地震)が発生した旨の有事情報が伝達されると、情報選択処理部1の判断部11は、地域Bを有事発生地域と判断する。
【0032】
判断部11は、有事情報伝達部2から伝達された有事情報が示す地域と、端末情報41の位置情報Lとに基づいて、端末5が有事発生地域に属するか否かを判断する。動作部12は、有事発生地域である地域Bにある端末5aの通信データの内、有事において冗長な情報に対してリダクション等を行う。
【0033】
動作部12は、有事発生地域に属する端末5がウェブサイトにアクセスする場合、ウェブページの一部を有用情報提供部6から取得するようにしてもよい。すなわち図10に示すように、動作部12は、有事発生地域の端末5aからウェブサーバ7への要求メッセージがあった場合、ウェブページSのデータをウェブサーバ7から端末5aに転送する。加えて、ウェブページSの一部の領域Tに表示する内容を、有用情報提供部6から端末5aに転送する。
【0034】
例えば、動作部12及び有用情報提供部6は、有事として、地震、災害が起こった場合、ウェブページSの一部の領域Tに防災グッズの広告を表示する。このように、動作部12及び有用情報提供部6は、有事の種類毎に適切な有用情報を端末5に提供することができる。動作部12が行う通信データのリダクション、有用情報提供部6からの転送等の処理は、判断部11により決定される。
【0035】
短縮化処理部13は、情報選択処理部1が行う通信データのリダクション処理として、通信データの短縮化をする。短縮化処理部13は、例えば、長いURL等を短縮化することで帯域を占めるトラフィック量を低減できる。
【0036】
有事情報伝達部2は、応答時間計測部21と、経路情報算出部22とを備える。応答時間計測部21は、所定のノードまでのネットワークの通信路の応答時間を計測する。応答時間の計測は、PINGにより行うことができる。応答時間計測部21は、応答時間を計測することにより、通信路が通常の状態か否かを判定し、通信路の復旧のタイミングを知ることができる。
【0037】
経路情報算出部22は、通信路の経路情報を算出する。経路情報は、RIP(Routing Information Protocol)により行うことができる。経路情報算出部22は、経路情報を算出することにより、例えば、サイバー攻撃等によるサーバの障害や通信路の障害等の有無により、通信路が通常の状態か否かを判定する。これにより、経路情報算出部22は、通信路の復旧のタイミングを知ることができる。
【0038】
図11に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る通信システムの基本的な動作を説明する。
【0039】
先ず、ステップS51において、端末情報登録部3は、端末5が情報選択処理部1に送信した端末識別情報を、記憶部4に端末情報41として登録する。端末情報41は、端末5毎の識別子ID、位置情報Lとを含む。ステップS52において、情報選択処理部1は、端末5から通信データを受信する。
【0040】
ステップS53において、情報選択処理部1の判断部11は、有事発生地域からの通信かを判断する。判断部11は、端末5から受信した通信データに含まれる端末5の識別子IDと、記憶部4の端末情報41に登録された識別子IDとを照合し、通信データを送信した端末5の位置情報Lを取得する。判断部11は、端末5の位置情報Lと、有事情報伝達部2から伝達された有事情報が示す有事発生地域とを比較し、端末5が有事発生地域に属するか否かを判断する。
【0041】
或いは、判断部11は、通信データが、有事発生地域にある端末5宛ての通信かを判断する。判断部11は、通信データに含まれる送信先端末5の識別子IDと、記憶部4の端末情報41に登録された識別子IDとを照合し、送信先端末5の位置情報Lを取得する。
【0042】
判断部11がステップS53において有事発生地域からの通信、或いは有事発生地域にある端末5宛ての通信と判断する場合は、ステップS54に進む。有事発生地域からの通信、或いは有事発生地域にある端末5宛ての通信と判断しない場合はステップS55に進む。
【0043】
ステップS54において、動作部12は、有事の種類に応じて通信データを変更することにより、通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする。ステップS55において情報選択処理部1は、通信データの送信先に通信データを転送する。
【0044】
本発明の実施の形態に係る通信システムによれば、有事発生地域にある端末との通信データの送受信において、通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションすることにより、有事における有用な情報の通信の阻害を低減することができる。
【0045】
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0046】
既に述べた実施の形態においては、応答時間計測部21の計測結果、経路情報算出部22の算出結果に応じて、有事情報伝達部2が有事情報を送信するようにしてもよい。
【0047】
上記の他、実施の形態を応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0048】
1…情報選択処理部
2…有事情報伝達部
3…端末情報登録部
4…記憶部
5…端末
6…有用情報提供部
7…ウェブサーバ
8…有事情報源
11…判断部
12…動作部
13…短縮化処理部
21…応答時間計測部
22…経路情報算出部
41…端末情報
51…位置情報取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を取得する端末位置情報取得部を有する通信端末と、
地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部と、
前記地域毎の有事情報と前記通信端末の位置情報とに基づいて、前記通信端末が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、前記通信端末との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記有事情報伝達部は、通信路の応答時間を計測することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記有事情報伝達部は、通信路の経路情報帯域を計測することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記情報選択伝送部は、フレームページ、添付ファイル、画像、映像のいずれかをリダクションすることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記情報選択伝送部は、前記通信端末とのデータを短縮化することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項1】
位置情報を取得する端末位置情報取得部を有する通信端末と、
地域毎の有事情報を伝達する有事情報伝達部と、
前記地域毎の有事情報と前記通信端末の位置情報とに基づいて、前記通信端末が有事の地域に属するか否かを判断し、有事の地域に属すると判断する場合において、前記通信端末との通信データの内、有事において冗長な情報をリダクションする情報選択処理部と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記有事情報伝達部は、通信路の応答時間を計測することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記有事情報伝達部は、通信路の経路情報帯域を計測することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記情報選択伝送部は、フレームページ、添付ファイル、画像、映像のいずれかをリダクションすることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記情報選択伝送部は、前記通信端末とのデータを短縮化することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115720(P2013−115720A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262058(P2011−262058)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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