説明

通信ネットワークを通じてデータパケットを送信するためにデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための方法及びデバイス、このような方法を実行するためのコンピュータプログラム、並びにこのようなコンピュータプログラムを格納するための情報格納手段

【課題】周波数選択式フェージングチャネルをスケジューリングするとき処理量の増加に伴う遅延制約を満たす技術を提供する。
【解決手段】スケジューラは、一つの遅延−制約されたデータパケットまたはもう一つのデータパケットである、データパケットを獲得し、送信条件に対する情報を獲得する。以後、遅延−制約されたデータパケット毎に、スケジューラは、遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各候補時間−周波数資源を決定する。遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な時間−周波数資源の数が、遅延−制約されたデータパケット用の決定された候補時間−周波数資源の数と等しい場合、時間−周波数資源を遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ、及び、そうでない場合、少なくとも一つの他のデータパケットを送信するために、時間−周波数資源を予約するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、通信ネットワークのデバイスの間での周波数選択式フェージングチャネル上のデータ送信について時間−周波数資源を割り当てることに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおいて、幾つかのデータパケットの送信は幾つかの送信遅延制約を満たすことを要するが、効果的な送信遅延は幾つかの他のデータパケットにあまり重要ではない。
【0003】
前者のデータパケットは、例えば、通信ネットワークの管理のための制御パケット、またはビデオ−ストリーミングのようなリアルタイムアプリケーションに係るデータパケットである。このようなデータパケットにとって重要なことは、遅延制約を満たすことである。
【0004】
後者のデータパケットは、例えば、通信デバイスからダウンロードされた、またはこのデバイスにアップロードされたファイルコンテンツである。このようなデータパケットにとって重要なことは、アプリケーションスタンドポイントから全体伝送時間期間を減らすために処理量を最大化することである。
【0005】
一般的に、この二つの側面を考慮するために、遅延−制約されたデータパケットを先に提供して遅延制約が満たされるということを保障することによって、及び以後残っている資源により他のデータパケットを提供することによって、スケジューラデバイスがデータパケットをスケジューリングする。
【0006】
しかし、周波数選択式フェージングチャネルのコンテクストにおいて、これは遅延−制約されたデータパケットを送信するために時間−周波数資源を割り当てることを引き起こし得る。このデータパケットは、他のデータパケットについての処理量を最大化するために、前記他のデータパケットを送信するためにさらに適切に用いられ得る。
このような周波数選択式フェージングチャネルは、移動電話機と通信する固定基地局のコンテクストにおいて、または移動基地局、例えば、列車または他の移動輸送機関内において電気通信インフラストラクチャーを提供する基地局のコンテクストにおいても見受けられる。
【0007】
一方、遅延−制約されていないデータパケットを先に提供することによりスケジューラデバイスがデータパケットをスケジューリングする場合、幾つかの遅延−制約されたデータパケットに関して遅延制約を満たさないようにするかもしれない。
【0008】
「OFDMAシステムのための緊急及び効率基盤のパケットスケジューリングアルゴリズム(Urgency and Efficiency based Packet Scheduling Algorithm for OFDMA System)」(リュ・スングァン等著、2005年5月、通信に関するIEEE国際会議)がリアルタイム及びノンリアルタイムトラフィックをスケジューリングするための無線ダウンリンクスケジューリングアルゴリズムを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通信ネットワークのデバイスの間で周波数選択式フェージングチャネル上のデータパケットの送信をスケジューリングするときに生じる上述した問題を克服することが望ましい。
【0010】
特に、遅延−制約されたデータパケットを送信するだけでなく、他のデータパケットについての処理量を増加させるために、遅延制約を満たすことを許容する解決策を提供することが望ましい。
【0011】
周波数及び時間選択式フェージングチャネル上のデータパケットの送信をスケジューリングするとき、遅延−制約されたデータパケットを送信するだけでなく、他のデータパケットについての処理量を増加させるために、遅延制約を満たすことを許容する解決策を提供することがまた望ましい。
【0012】
時間−周波数割当プロセスの実行速度を増加させることをさらに許容する解決策を提供することがまた望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、周波数選択式チャネル上で通信が行われる通信ネットワークを通じてデータパケットを送信するために、データパケットに時間−周波数資源を割り当てる方法に関するものであり、
方法は、前記通信ネットワークのスケジューラデバイスにより行われ、
方法は、送信されるデータパケットまたはその記述を獲得するステップを含み、各データパケットは、遅延−制約されたデータパケットまたはもう一つのデータパケットである。
方法は、
獲得された少なくとも一つのデータパケットが送信されるべきチャネル毎に送信条件を示す情報を獲得するステップ;及び、
遅延−制約されたデータパケット毎に、送信条件を示す獲得された情報と、前記遅延−制約されたデータパケットに係る遅延制約とに基づいて、前記遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各候補時間−周波数資源を決定するステップをさらに含む。
方法は、
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数と等しいとき、前記候補時間−周波数資源のうち少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ;及び、
先行するステップで、いかなる遅延−制約されたデータパケットにも候補時間−周波数資源が割り当てられないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために、少なくとも一つの時間−周波数資源を予約するステップ
の少なくとも一つの繰り返しをさらに含む。
【0014】
従って、遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な時間−周波数資源の数が、遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数と等しいとき、資源は、前記遅延−制約されたデータパケットを送信するために割り当てられる。
そうでない場合、資源は、他のデータパケット、例えば、遅延−制約されていないデータパケットを送信するために予約される。それゆえ、遅延−制約されたデータパケットを送信するための遅延制約が満たされるとともに、他のデータパケットについての処理量が増加される。
【0015】
上述した方法は、さらに時間及び周波数選択式フェージングチャネル上の通信だけでなく、周波数選択式フェージングチャネル上の通信に適用可能である。
【0016】
具体的な特徴によると、少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために少なくとも一つの時間−周波数資源を予約することは、少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために少なくとも一つの時間−周波数資源を割り当てることにある。
【0017】
従って、予約された各時間−周波数資源は、もう一つのデータパケット、即ち、遅延−制約されていないデータパケットに前記スケジューラデバイスによって効果的に割り当てられる。
【0018】
具体的な特徴によると、前記方法は、
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットの第1セットを選択するステップであって、前記第1セットは第1個数を有している、第1セット選択ステップ;
セットについての候補時間−周波数資源の数を決定するステップ;
第1セットについての候補時間−周波数資源の数が第1個数より大きいとき、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットの第2セットを選択するステップ;及び、
第1セットについての候補時間−周波数資源の数が第1個数より大きくないとき、第1セットの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源のうちの時間−周波数資源を、第1セットの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップを含む。
【0019】
従って、方法の実行は簡単である。
方法は、必要な資源の数と候補資源の数との間の比較が、遅延−制約されたデータパケットの異なるセットについて行われることによってさらに効率的である。
方法は、遅延−制約されたデータパケットの第1セットを考慮するとき、処理量の改善を既に提供するが、このような改善は、遅延−制約されたデータパケットの多数のセットを考慮するときに、また遅延−制約されたデータパケットを廃棄することが容認不可であると考慮するときに増加する。
逆に、例えば前記遅延−制約されたデータパケットに係る優先順位に依存して、遅延−強要されたデータパケットを廃棄することが容認可能であると考慮するときに、他のデータパケットへの時間−周波数資源の割当にさらに多くの自由が許容され、前記他のデータパケットの送信について処理量が改善される。
【0020】
具体的な特徴によると、第2セットを選択するステップは、前記第1個数と異なる第2個数を有する第2セットを選択するステップを含む。
【0021】
従って、必要な資源の数と候補資源の数との間の比較がより正確かつ徹底にされる。
【0022】
具体的な特徴によると、前記方法は、
第1個数が第1所定の閾値に達するとき、一つの他のデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるステップ;及び、
第1個数が前記第1所定の閾値に達しないとき、第1個数と異なる第2個数を有する第2セットを選択するステップを含む。
【0023】
従って、必要な資源の数と候補資源の数との間の比較の精度と、前記方法の実行時間期間との間の均衡が見つけられ得る。処理中に遅延−制約されたデータパケットのセットの個数を増加させるときに資源割当衝突が生じる確立が減少することによって、計算資源が節約され得る。
【0024】
具体的な特徴によると、方法は、
第2セット選択ステップが行われた回数が第2所定の閾値に達するとき、一つの他のデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるステップ;及び、
第2セット選択ステップが行われた回数が第2所定の閾値に達しないとき、第2セット選択ステップを繰り返すステップを含む。
【0025】
従って、必要な資源の数と候補資源の数との間の比較の精度と、方法の実行時間期間との間のもう一つの均衡が見つけられ得る。これは、制約されたタイムフレームを持って比較の実行時間期間を制限することを許容する。
【0026】
具体的な特徴によると、方法は、複数の遅延−制約されたデータパケットに複数の時間−周波数資源を割り当てるとき:候補時間−周波数資源の決定された数が最も少ない遅延−制約されたデータパケットに、時間−周波数資源が遅延−制約されたデータパケットの最低数のための候補である候補時間−周波数資源を割り当てるステップを含む。
【0027】
従って、複数の時間−周波数資源が複数の遅延−制約されたデータパケットに衝突なく割り当てられる。
【0028】
具体的な特徴によると、方法は、
複数の時間−周波数資源を複数の遅延−制約されたデータパケットに割り当てるとき:
遅延−制約された各データパケットへの候補時間−周波数資源を予約するステップ;
予約された候補時間−周波数資源が少なくとも二つの遅延−制約されたデータパケットについて予約されるとき、遅延−制約されたデータパケット毎に、予約された候補時間−周波数資源をもう一つの候補時間−周波数資源に変更するステップ;及び、
全ての予約された候補時間−周波数資源が一つの遅延−制約されたデータパケットについてのみ予約されるとき、前記予約された候補時間−周波数資源を割り当てるステップを含む。
【0029】
従って、衝突なく、また低い複雑度で、複数の時間−周波数資源が複数の遅延−制約されたデータパケットに割り当てられる。
【0030】
具体的な特徴によると、方法は、
少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの他のデータパケットの各々に割り当てる前に:
一つの他のデータパケットに割り当てられる時間−周波数資源に従って、遅延−制約されたデータパケット毎に候補時間−周波数資源を更新するステップ;
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数より少ないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々への少なくとも一つの時間−周波数資源の割当を取り消すステップ;及び、
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数より少なくないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々への少なくとも一つの時間−周波数資源の割当を確認するステップを含む。
【0031】
従って、他のデータパケットの処理量がさらに増加される一方で、遅延−制約されたデータパケットを送信するための遅延制約を満たさないことにおけるリスクが回避される。
【0032】
具体的な特徴によると、フレームを構成する時間−周波数資源の所定のセットが割り当てられたか、又はフレームが送信されるべき瞬間が到達されたときに、方法のステップが繰り返される。
【0033】
従って、方法は、フレーム単位で時間−周波数資源の割当を動的に適応させることによって、送信条件における、また処理されるデータパケットのセットのバリエーションにおける変化に反応する。
【0034】
具体的な特徴によると、前記方法は、
遅延−制約されたパケット毎に、時間及び周波数領域内において前記時間−周波数資源を示すグリッドにマッピングされた表を構築するステップ;及び、
構築された各表内において遅延−制約された各パケットの各候補時間−周波数資源をタギングするステップを含む。
【0035】
従って、前記方法は、この表をハンドリングすることによって実行しやすい。
【0036】
具体的な特徴によると、前記方法は、遅延−強要されたパケット毎に候補時間−周波数資源の数を制限するステップを含む。
【0037】
従って、前記方法の複雑度及び/又は実行時間期間が減る。
【0038】
本発明は、また、周波数選択式チャネル上で通信が行われる通信ネットワークを通じてデータパケットを送信するために、データパケットに時間−周波数資源を割り当てるためのデバイスに関し、
デバイスは:送信されるデータパケットまたはこれらの記述を獲得する手段を含み、各データパケットは、一つの遅延−制約されたデータパケットまたはもう一つのデータパケットである。
デバイスは:
獲得された少なくとも一つのデータパケットが送信されるべきチャネル毎に送信条件を示す情報を獲得する手段;
遅延−制約されたデータパケット毎に、送信条件を示す獲得された情報と、遅延−制約されたデータパケットに係る遅延制約とに基づいて、遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各候補時間−周波数資源を決定する手段;
候補時間−周波数資源のうちの少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てる手段であって、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数と等しいときに実行される、割当手段;
少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために、少なくとも一つの時間−周波数資源を予約する手段であって、割当手段の以前の実行において、いかなる遅延−制約されたデータパケットにも候補時間−周波数資源が割り当てられないときに実行される、予約手段を含む。
【0039】
本発明は、また、少なくとも一つの実施例において、通信ネットワークからダウンロードでき、及び/又はコンピュータによって読み取られ、プロセッサによって実行され得る媒体上に格納されることができるコンピュータプログラムに関連する。このコンピュータプログラムは、前記プログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、様々な実施例のうち任意の一つにおいて上述した方法を実行するための命令を含む。
【0040】
本発明は、また、格納された情報がコンピュータによって読み取られるとともにプロセッサによって実行されるときに、様々な実施例のうち任意の一つにおいて上述した方法を実行するためのプロセッサによって実行され得る命令のセットを含むコンピュータプログラムを格納する情報格納手段に関連する。
【0041】
デバイス及びコンピュータプログラムと係る特徴及び利点は、上述した方法について既に言及されたものと同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0042】
本発明の特徴は、実施例についての次の説明を読むことによりさらに明確に現われ、前記説明は、添付の図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が実施され得る無線通信ネットワークのアーキテクチャを概略的に示す図である。
【図2A】図1の無線通信ネットワークの通信端末のアーキテクチャを概略的に示す図である。
【図2B】図1の無線通信ネットワークのスケジューラデバイスのアーキテクチャを概略的に示す図である。
【図3】図1の無線通信ネットワーク内において通信をスケジューリングするための時間−周波数資源グリッドを概略的に示す図である。
【図4A】図1の無線通信ネットワークを通じて遅延−制約されたデータパケットを送信するために候補時間−周波数資源を決定するためのアルゴリズムを概略的に示す図である。
【図4B】図1の無線通信ネットワークを通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第1アルゴリズムを概略的に示す図である。
【図4C】図1の無線通信ネットワークを通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第2アルゴリズムを概略的に示す図である。
【図5】図1の無線通信ネットワークを通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第3アルゴリズムを概略的に示す図である。
【図6】遅延−制約されたデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第1アルゴリズムを概略的に示す図である。
【図7】遅延−制約されたデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第2アルゴリズムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次の説明は無線通信ネットワークの範疇で行われるが、以後説明される原則は、例えば光通信ネットワークまたは有線通信ネットワーク等の送信媒体が共有される他の種類の通信ネットワークに適用されることができる。しかし、物理層において、送信は、チャネル変動周波数に依存する周波数選択式フェージングチャネル上において行われる。無線通信ネットワークにおいて、このようなチャネル変動の発生は、主に多経路効果による。送信は、また、チャネル変動が時間に依存する時間選択式フェージングチャネル上で行われることもできる。無線通信ネットワークにおいて、このようなチャネル変動の発生は、主に、環境変化を引き起こす通信デバイスの間の相対的な移動(mobility)による。
【0045】
図1は、本発明が実施され得る無線通信ネットワーク100のアーキテクチャを概略的に示す。
【0046】
無線通信ネットワーク100は、スケジューラデバイス120、並びに通信デバイス110a、110b及び110cを含む。通信デバイス110a、110b及び110cは、以後、通信端末として言及される。
【0047】
スケジューラデバイス120は、以後、図4A、図4B及び図4Cについて説明されるように、無線通信ネットワーク100における通信をスケジューリングすることを担当する。言い換えれば、スケジューラデバイス120は、無線通信ネットワークを通じたデータパケットの送信を可能とするために、時間−周波数資源を割り当てることを担当する。
【0048】
スケジューラデバイス120は、固定基地局または移動基地局に含まれ得る。例えば、このような基地局は、例えば列車等の移動輸送機関内に位置され得る。
【0049】
変形例において、スケジューラデバイス120は、このような基地局の外部にある専用デバイスであってよい。
【0050】
もう一つの変形例において、スケジューラデバイス120は、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)標準用語による「進化したノードB(eNodeB)」に含まれ得る。このeNodeBは、ロングタームエボリューション(LTE)システム及びLTE−アドバンストの範囲内で無線資源管理を行う。
【0051】
もう一つの変形例において、スケジューラデバイス120は、「ホームeNodeB(HeNB)」にさらに含まれ得る。このホームeNodeBは、既存の居住地広域サービスに接続され、家庭内のLTEハンドセットにLTE無線カバレッジを提供する。
【0052】
もう一つの変形例において、スケジューラデバイス120は、中継ノードに含まれ、デバイス間の通信用スケジューリングを行うことができる。
【0053】
各通信端末110a、110b、110cは、このとき、前記3GPP標準用語によるユーザ装備(UE)である。
【0054】
無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットは、二つの主なタイプ、すなわち、遅延−制約されたデータパケットと、他のデータパケット(遅延−制約されていないデータパケット)とがある。
【0055】
遅延−制約されたデータパケットは、所定のタイムフレームにおいて宛先通信デバイスに提供される必要がある。
遅延−制約されたデータパケットは、例えば、無線通信ネットワーク100の管理のための制御データ、又はゲームアプリケーション、インターネット電話(VoIP)アプリケーション、オーディオ及び/若しくはビデオストリーミングアプリケーションのためのリアルタイムデータ等を含む。
遅延−制約されたデータパケットは、小さなサイズであるものの送信中に任意の損傷しやすい損失を回避するために通常高いリダンダンシー割合を有する例えば制御データパケット等のデータパケット、又は、損失がアプリケーションの全体性能を激しく損傷させないため、大きなサイズであるものの通常非常に低いリダンダンシー割合を有する例えばオーディオビデオストリーミングデータパケット等のデータパケットである。
【0056】
一方、遅延−制約されていないデータパケットは、所定のタイムフレームにおいて宛先通信デバイスに提供される必要はないが、一般的に、さらに多くの資源を要する。しかし、できる限り短いタイムフレームにおいてこのようなデータパケットを送信することが好ましい。
遅延−制約されていないこのようなデータパケットは、例えば、通信端末にダウンロードされた、またはこの端末からアップロードされたファイルコンテンツデータ等を含む。
遅延−制約されていないこのようなデータパケットは、送信中に任意の損傷しやすい損失を回避するために通常高いリダンダンシー割合を有する大きなサイズである。それゆえ、このようなデータパケットは、高い帯域幅消費を伴う。
【0057】
無線通信ネットワーク100内における通信は、スケジューラデバイス120から通信端末110a、110b、110cへのダウンリンク通信、及び/又は通信端末110a、110b、110cからスケジューラデバイス120へのアップリンク通信、及び/又は通信端末110a、110b、110c間の直接通信であってよい。
【0058】
無線通信ネットワーク100内の通信はスケジューリングされ、時間−周波数資源は時間−周波数資源グリッドに従ってスケジューラデバイスによって割り当てられる。
【0059】
図3は、無線通信ネットワーク100内において通信をスケジューリングするための、そのような時間−周波数資源グリッドの例を概略的に示す。
【0060】
無線通信ネットワーク100における通信は、好ましくは直交周波数分割多重化(OFDM)を用いる。従って、通信資源は、複数の周波数又は周波数fn(n=0〜M)の複数のセット(sets of frequencies)に分割されるとともに、時間期間Tについて複数の時間間隔tm(m=0〜M)に分割され得る。全ての時間間隔tmは、同様の持続時間を有する。
【0061】
例えば、LTE要件によれば、周波数fnの各セットは、12個の副搬送波で構成され得る。
【0062】
所定の周波数又は周波数fnのセットについての各時間間隔tmは、物理資源ブロックPRBn,mとも言及される時間−周波数資源を形成する。このような時間−周波数資源は、以後、一般的にPRBで表される。
【0063】
それゆえ、グリッドは、
所定の周波数又は周波数fnのセットについて、PRBn,0〜PRBn,Mで表されるM+1個のPRBを含むとともに、
所定の時間間隔tmについて、PRB0,m〜PRBN,mで表されるN+1個のPRBを含む。
【0064】
スケジューラデバイス120は、各PRBの持続期間によってサイズが定義されるデータパケットをスケジューリングする。言い換えれば、各パケットは、正常な送信条件として考慮される所定の送信条件下でPRMにおける送信を許容するサイズを有する。
本来のデータパケットの遅延制約内において全ての分割データパケットが送信されるということを保障するために、本来のデータパケットを複数のさらに小さなデータパケットに分割することがまた考慮され得る。
【0065】
遅延−制約されたデータに適用され得る遅延制約が長くとも時間期間Tであるということが、以後に例示的に考慮される。遅延−制約されたデータに適用され得る遅延制約が長くとも時間期間Tでない場合、データパケットは、遅延制約を満たすための残りの時間が時間期間Tより少ないときまで無視される。
【0066】
図2Aは、いずれの通信端末110a、110b、110cであり得る通信端末110のアーキテクチャを概略的に示す。
【0067】
示されたアーキテクチャによると、通信端末110は、通信バス206により相互接続された次の構成要素を含んでいる:プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはCPU(Central Processing Unit)200;RAM(Random−Access Memory)201;ROM(Read−Only Memory)202;SD(Secure Digital)カード読取機203、または格納手段に格納された情報を読み取るために適応された任意の他のデバイス;及び無線通信インターフェース204。
【0068】
CPU200は、ROM202又は例えばHDD(Hard−Disk Drive)又はSDカード等の外部メモリからRAM201にロードされた命令を実行することができる。通信端末110がパワーオンされた後、CPU200は、RAM201から命令を読み取って、一つのコンピュータプログラムを形成するこの命令を実行することができる。
【0069】
前記通信端末110により行われる任意及び全てのステップは、
例えばPC(Personal Computer)、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコントローラ等のプログラマブルコンピューティングマシンによる命令セットまたはプログラムの実行によってソフトウェアで実施され得るか;又は
例えば、FPGA(Field−Programmable Gate Array)又はASIC(Application−Specific Integrated Circuit)等のマシン又は専用構成要素によってハードウェアで実施され得る。
【0070】
無線通信インターフェース204は、通信端末110が信号をスケジューラデバイス120と交換することを可能にする。無線通信インターフェース204は、通信端末110が信号を無線通信ネットワーク100の他の通信端末と交換することを可能にする。
【0071】
図2Bは、スケジューラデバイス120のアーキテクチャを概略的に示す。
【0072】
示されたアーキテクチャによると、前記スケジューラデバイス120は、通信バス306により相互接続された次の構成要素を含んでいる:プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはCPU300;RAM301;ROM302;HDD303または格納手段に格納された情報を読み取るために適応された任意の他のデバイス;第1無線通信インターフェース304;及び第2無線通信インターフェース305。
【0073】
CPU300は、ROM302又は例えばHDD303等の外部メモリからRAM301にロードされた命令を実行することができる。スケジューラデバイス120がパワーオンされた後に、CPU300は、RAM301から命令を読み取って、この命令を実行することができる。
この命令は、図4A、図4B、図5、図6及び図7を参照して後に説明されるアルゴリズムのステップの一部または全部をCPU300に行わせる一つのコンピュータプログラムを形成する。
【0074】
図4A、図4B、図5、図6及び図7を参照して以後に説明されるアルゴリズムの任意及び全てのステップは、
例えば、PC、DSP又はマイクロコントローラ等のプログラマブルコンピューティングマシンによる命令セット又はプログラムの実行によってソフトウェアで実施され得るか;又は
例えば、FPGA又はASIC等のマシンまたは専用構成要素によってハードウェアで実施され得る。
【0075】
第1無線通信インターフェース304は、スケジューラデバイス120が信号を任意の通信端末110a、110bまたは110cと交換することを可能にする。
【0076】
第2無線通信デバイス305は、例えば電話通信システム内のコアネットワーク等のもう一つの通信ネットワークのデバイスとスケジューラデバイス120が信号を交換することを可能にする。
【0077】
図4Aは、無線通信ネットワーク100を通じて遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補時間−周波数資源を決定するためのアルゴリズムを概略的に示す。
【0078】
ステップS401において、スケジューラデバイス120は、無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットの記述(descriptions)を獲得するとともに、獲得された記述に係る情報を格納する。
【0079】
ダウンリンク送信に関して、スケジューラデバイス120が基地局に含まれるとき、スケジューラデバイス120は、基地局により送信されるデータパケットの記述又はデータパケット自体を受信する。
データパケットは、API(Application Programming Interface)を通じてスケジューラデバイス120に送信されることができる。スケジューラデバイス120は、少なくとも送信されるデータパケットのタイプを決定するために、即ち、遅延−制約されたデータパケットであるか又は他のデータパケットであるかを決定するために、データパケット内に存在するプロトコルヘッダーをパーシング(parse)することができる。
【0080】
例えば、スケジューラデバイス120は、基地局のMAC(Medium Access Control)層で実装され、スケジューラデバイス120は、上位層から受信されたデータパケットのヘッダーフィールドをパーシングして、データパケットが、TCP(Transport Control Protocol、RFC−793標準に明示される)データ、UDP(User Datagram Protocol、RFC−768標準に明示される)、SCTP(Stream Control Transmission Protocol、RFC−4960標準に明示される)を含むかを決定することができる。
スケジューラデバイス120は、データパケットが例えばTFTP(Trivial File Transfer Protocol、RFC−1350標準に定義される)ヘッダー等のアプリケーション層プロトコルヘッダーをさらに含むかを決定することによって、より詳細な情報をさらに獲得することができる。
この例によると、TCPデータパケットは、遅延−制約されていないデータパケットとして考慮され得る一方で、UDPデータパケットは、UDPデータパケットがTFTPデータをカプセル化しているときを除き、遅延−制約されたデータパケットとして考慮され得る。
それゆえ、データパケットのヘッダーフィールドをパーシングすることにより、スケジューラデバイス120は、送信されるデータパケットを分類することができる。
【0081】
アップリンクの送信に関して、スケジューラデバイス120が基地局に含まれるとき、スケジューラデバイス120は、他の通信デバイスにより送信されるデータパケットの記述をその通信デバイスから受信する。スケジューラデバイス120が通信端末の間で直接通信セットアップを管理するとき、同様の状況が発生する。
【0082】
データパケット記述は、関連したデータパケットの少なくともタイプ、即ち、遅延−制約されたデータパケットであるか又は他のデータパケットであるかをスケジューラデバイス120が決定することを可能にするのに十分な情報を含む。
【0083】
次のステップS402において、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの上述した遅延−制約されたデータパケットが送信されるべき各チャネルについて送信条件を示す情報を獲得する。
【0084】
スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの獲得されたデータパケットが送信されるべきチャネル毎にCSI(Channel State Information:チャンネル状態情報)を獲得することができる。
CSIは、受信機デバイスによって決定される。
通信チャネルが相互的であるとき、第1通信デバイスから第2通信デバイスへの通信チャネルについて決定されたCSIが、第2通信デバイスから第1通信デバイスへの通信チャネルについてのCSIとして利用され得る。
スケジューラデバイス120又は他の通信端末から信号を受信するとき、CSIは、通信端末110a、110b、110cによって決定され得るとともに、その後にスケジューラデバイス120に送信され得る。通信端末110a、110b、110cから信号を受信するとき、CSIは、スケジューラデバイス120によって決定され得る。
【0085】
複数の副搬送波が各PRBに用いられるとき、例えばLTE送信に用いられるとき、複数の副搬送波について獲得されたCSIを組み合わせることにより、同等なCSIが決定される。
【0086】
通信端末110a、110b、110cは、チャネルに対して行われる短期測定によって、このような情報を獲得することができる。このような短期チャネル状態の情報は、ゆっくりと変わるチャネル条件に実際に適している。
【0087】
通信端末110a、110b、110cは、このような情報を、SINR(Signal to Interference−plus−Noise Ratio)に基づいてチャネルに対して行われる長期測定によって獲得することもできる。このような長期チャネル状態の情報は、高速で変わるチャネル条件に実際に適している。これは、無線通信ネットワーク100内の一部のチャネルが、時間期間T中に周波数フラットチャネルとして考慮され得るということを意味する。
【0088】
CSIを決定するためのアプローチは、トレーニングシーケンスまたはパイロットシーケンスに基づく。ここで、一つの知られた信号が送信されるとともに、チャネル条件を示すチャネルマトリクスが送信及び受信された信号の組合せ知識を用いて推定される。
【0089】
時間選択式フェージングチャネルの場合、次回のチャネル条件の予測を行うために、既に受信された短期チャネル状態の情報に基づいて、カルマンフィルタが用いられ得る。
【0090】
次のステップS403において、スケジューラデバイス120は、時間期間Tの間に遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補PRBを決定し、決定された候補PRBに係る情報を格納する。
【0091】
これを達成するために、スケジューラデバイスは、まず、遅延−制約されたデータパケットを他のデータパケットから2グループに分離することができる。
【0092】
その次に、スケジューラデバイス120は、遅延−制約されたデータパケット毎に候補PRBの表を構築することができる。
これらの表は2次元であり、図3の時間−周波数資源グリッドをマッピングする。
候補PRBの各表において、スケジューラデバイス120は、考慮された遅延−制約されたデータパケットを送信するために、ステップS402で獲得されたCSIに従って、用いられ得る各PRBをタギングする。
ステップS402で獲得されたCSIが、送信される考慮された遅延−制約されたパケット及び考慮されたPRBについて、チャネル容量又は送信性能に係る任意の他のメトリックが閾値以上であることを示すとき、スケジューラデバイス120は、考慮されたPRBを、考慮された遅延−制約されたパケットを送信するための候補としてタギングする。
閾値は、好ましくはデータパケットの長さによって定義される。実際に、送信性能は、通常、パケットの長さを増加させて無線送信スペクトルの効率を増加させるとき、即ち、1PRB当たり送信されるビットの数を増加させるときに低下する。
スケジューラデバイス120は、考慮された遅延−制約されたデータパケットに係る遅延制約を満たすことを許容するPRBのみをタギングする。
【0093】
従って、前記スケジューラデバイス120は、時間期間T内に遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各PRBを示す情報を、遅延−制約されたデータパケット毎に獲得する。通信デバイスの異なるカップルの間で送信チャネルが先験的に異なる(a priori different)ことによって、遅延−制約されたデータパケットごとに候補PRBのセットが先験的に異なる。
【0094】
変形例において、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの候補PRBセットから候補PRBを除去することができる。言い換えれば、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの候補PRBセット内におけるPRBの数を制限することができる。これは、特に後述の図6及び図7のアルゴリズムを実行するときに、割当プロセスの複雑度及び/又は実行時間を制限することを許容する。
【0095】
スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの候補PRBセットからPRBを無作為で除去することができる。
【0096】
スケジューラデバイス120は、また、候補周波数の数が最も少ない時間間隔に対応するPRBを除去することができる。
例えば、候補PRBセットがPRB0,0、PRB1,0、PRB2,0、PRB0,1及びPRB2,2で構成される場合、これは、三つの候補が時間スロットt0に存在し、一つの候補が時間スロットt1に存在し、一つの候補が時間スロットt2に存在するということを意味する。
このとき、前記スケジューラデバイス120は、好ましくは時間スロットt1内または時間スロットt2内のPRB候補を除去する。これは、遅延制約に達するとき、前記遅延−制約されたデータパケットを送信するために可能な代案例を最大化することを許容する。
【0097】
次のステップS404において、スケジューラデバイス120は、無線通信ネットワーク100内の送信条件に変化があるかをチェックする。
言い換えれば、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの上述した遅延−制約されたデータパケットが送信されるべきチャネル毎に送信条件を示す更新された情報が利用可能であるかをチェックする。
このような更新された情報が利用可能な場合、スケジューラデバイス120は、ステップS402を繰り返す。そうでない場合、前記スケジューラデバイス120は、ステップS405を行う。
【0098】
ステップS405で、スケジューラデバイス120は、他のデータパケット、また、特に他の遅延−制約されたデータパケットが無線通信ネットワーク100を通じて送信されるべきかをチェックする。
言い換えれば、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの新たなデータパケット、またはこのパケットの記述が利用可能であるかをチェックする。
少なくとも一つの新たなデータパケット、またはこのパケットの記述が利用可能な場合、スケジューラデバイス120は、ステップS401を繰り返す。そうでない場合、スケジューラデバイスは、ステップS404を繰り返す。
【0099】
図4Bは、無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるためのアルゴリズムを概略的に示す。図4Bのアルゴリズムは、図4Aのアルゴリズムと同時にスケジューラデバイス120により行われることを目的とする。
【0100】
ステップS410において、スケジューラデバイス120は、ステップS401の間に格納された情報を読み取ることによって、無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットの記述を獲得する。
【0101】
次のステップS411において、スケジューラデバイス120は、ステップS403の間に格納された情報を読み取ることによって、時間期間Tの間に遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補PRBを決定する。
【0102】
次のステップS412において、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要なPRBの数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケット用の決定された候補PRBの数と等しいか否かをチェックする。このチェックは、一つの遅延−制約されたデータパケットに対してのみ、または幾つかのデータパケットに対して行われ得る。このチェックは、1を超える回数だけ繰り返し行われ得る。これは、無線通信ネットワーク100を通じて送信される遅延−制約されたデータパケットの異なるセットについて、必要なPRBの数及び候補PRBの数が比較されるようにするためである。このチェックを行うためのアプローチは、図5について後に説明される。
【0103】
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要なPRBの数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補PRBの数と等しいとき、スケジューラデバイス120は、ステップS414を行う。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS413を行う。
【0104】
ここで、遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要なPRBの数が、遅延−制約されたデータパケット用の決定された候補PRBの数より決して少なくないということが考慮される。このような状況が発生する場合、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットの送信が取り消されるか、又は遅延−制約されたデータパケットを送信するために先験的に不適切な、即ち、候補でないPRBが、遅延−制約されたデータパケットを送信するために割り当てられる。
【0105】
ステップS413において、スケジューラデバイス120は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の少なくとも一つのデータパケットを送信するために少なくとも一つのPRBを予約する。この予約は、予約されたPRBをもう一つのスケジューラデバイスが担当するデータパケットに割り当てるために、もう一つのスケジューラデバイスにより用いられ得る。もう一つのスケジューラデバイスは、遅延−制約されていないか、又はあまり厳密に遅延制約に関連付けられていないデータパケットの送信をスケジューリングすることを担当することができる。スケジューラデバイス120は、その後、ステップS415を行う。
変形例において、予約は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の少なくとも一つのデータパケットに少なくとも一つのPRBを割り当てることに本質がある。このような変形例は、図4Cについて下記に説明される。
【0106】
ステップS413において、スケジューラデバイス120は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外のデータパケットのために一つを超えるPRBを予約することができる。
例えば、4つの候補PRBを有する二つの遅延−制約されたデータパケットの1セットを考えることとする。スケジューラデバイス120は、このとき、上述した遅延−制約されたデータパケット以外のデータパケットのために2つのPRBを予約することができる。言い換えれば、スケジューラデバイス120は、遅延−制約されたデータパケットのための必要なPRBと候補PRBとの間の差より少ない複数のPRBを予約することができる。
【0107】
好ましい実施例において、スケジューラデバイス120は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の一つのデータパケットのために一つのPRBを予約し、その後にステップS415を行う。これにより、無線通信ネットワーク100における、または送信のためにスケジューリングされるデータパケットセット内におおける送信条件の変化を迅速に考慮することができる。図5、図6、及び図7について下記に説明されるアルゴリズムが、この好ましい実施例を例示する。しかし、これらの原則は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の各々のデータパケットに一つを超えるPRBを予約又は割り当てるために有効である。当業者は、複数のPRBのこのような予約または割当を行うために、下記の詳細な説明を若干適応させることができる。
【0108】
ステップS414において、スケジューラデバイス120は、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットに少なくとも一つのPRBを割り当てる。この割当を行うための異なるアプローチが、図6及び図7について下記に説明される。その後、スケジューラデバイス120は、ステップS415を行う。
【0109】
ステップS415において、スケジューラデバイス120は、フレームが用意されているか否かをチェックする。その理由は、フレームが送信されるべき瞬間が到達されるか、このフレームに対応するPRBが全て割り当てられるためである。
フレームが用意されているとき、スケジューラデバイスは、ステップS410を繰り返す。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS411を繰り返す。
フレームが構築される度にこのプロセスを繰り返すことにより、送信される新たに宣言された遅延−制約されたデータパケットを考慮するができるとともに、図4Aのアルゴリズムの実行により更新されるように、周波数選択式フェージングチャネル上における送信条件の変化を考慮することができる。
【0110】
変形例において、スケジューラデバイス120は、所定の数のフレームが用意されているかをステップS415でチェックする。
【0111】
もう一つの変形例において、スケジューラデバイス120は、全てのデータパケットが各々のPRBに割り当てられたか、または全てのPRBがデータパケットに割り当てられたかをステップS415でチェックする。
【0112】
もう一つの変形例において、スケジューラデバイス120がステップS415を行うとき、スケジューラデバイス120は、用意されたフレーム又は用意された複数のフレームが遅延−制約されていない少なくとも一つの各々のデータパケットに割り当てられた少なくとも一つのPRBを含むか否かをさらにチェックすることができる。
用意されたフレームまたは複数のフレームが遅延−制約されたデータパケットに割り当てられたPRBだけを含む場合、スケジューラデバイス120は、ステップS410を繰り返す。
そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS411及びステップS412を繰り返す。これは、アルゴリズムの次の繰り返しの間に、残っている遅延−制約されたパケットのために十分な候補PRBが残っていないかを予め決定するためである。これを達成するために、スケジューラデバイス120は、遅延−制約された各データパケットについての候補PRBを一時的に更新する。
ステップS411及びステップS412の繰り返しが残っている遅延−制約されたパケットに対して残っている候補PRBが十分でないということを示す場合、スケジューラデバイス120は、遅延−制約されていない少なくとも一つのデータパケットの各々についての割当を取り消すとともに、対応するPRBまたは複数のPRBを遅延−制約されたデータパケットに割り当てるか、遅延−制約されていない少なくとも一つのデータパケットにもう一つのPRBを割り当てることを試みる。そうでない場合、前記スケジューラデバイス120は、割当を確認する。
【0113】
図4Bのアルゴリズムは、スケジューラデバイス120が次のステップの少なくとも一つの繰り返しを行うことを示す:
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数と等しいとき、候補時間−周波数資源のうち少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ;及び、
先行するステップで、いかなる遅延−制約されたデータパケットにも候補時間−周波数資源が割り当てられていないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々に対して少なくとも一つの時間−周波数資源を予約するステップ。
【0114】
図4Cは、無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるためのもう一つのアルゴリズムを概略的に示す。図4Cのアルゴリズムは、図4Aのアルゴリズムと並行にスケジューラデバイス120により行われることを目的とする。図4Cのアルゴリズムは、図4Bのアルゴリズムを代替することを目的とする。
【0115】
図4Cのアルゴリズムにおいて、スケジューラデバイス120は、ステップS413がステップS423により代替されることを除き、図4Bのアルゴリズムと同様のステップを行う。
【0116】
ステップS423で、スケジューラデバイス120は、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の少なくとも一つのデータパケットを送信するために少なくとも一つのPRBを割り当てる。
【0117】
スケジューラデバイス120が、上述した遅延−制約されたデータパケット以外の幾つかのデータパケットの送信をスケジューリングする必要があるとき、スケジューラデバイス120は、所定の基準に従って、どのPRBがどのデータパケットに割り当てられるかを選択する。
【0118】
スケジューラデバイス120は、ラウンドロビン方式(round-robin fashion)で、即ち、送信のためにスケジューリングされることを待つデータパケットスタック内で次のデータパケットを選択することにより、PRBが割り当てられるデータパケットを選択することができる。
【0119】
スケジューラデバイス120は、少なくとも最小レベルのサービスを全てのアプリケーションに許容する比例均等妥協(proportionally fair compromise)で、即ち、アプリケーション毎の推定データレートの関数としてPRB及びデータパケットを合同で選択することにより、PRBが割り当てられるデータパケットを選択することができる。
【0120】
スケジューラデバイス120は、SINRを最大化して、即ち、SINRを最大化するPRBとデータパケットのカップルを選択することにより、PRBが割り当てられるデータパケットを選択することができる。
【0121】
図4Cのアルゴリズムは、スケジューラデバイス120が次のステップのうち少なくとも一つの繰り返しを行うということを例示する:
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の数が、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の数と等しいとき、候補時間−周波数資源のうち少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ;及び、
先行するステップで、いかなる遅延−制約されたデータパケットにも候補時間−周波数資源が割り当てられていないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々に少なくとも一つの時間−周波数資源を割り当てるステップ。
【0122】
図5は、無線通信ネットワーク100を通じて送信されるデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるためのもう一つのアルゴリズムを概略的に示す。
【0123】
アルゴリズムは、ステップS501で開始する。次のステップS502で、スケジューラデバイス120は、可変パラメータkpを1に設定する。パラメータkpは、考慮された遅延−制約されたデータパケットの数を示す。
【0124】
次のステップS503において、スケジューラデバイス120は、送信される遅延−制約されたデータパケットのうち考慮された遅延−制約されたデータパケットのセットΩを選択する。セットΩは、それゆえ、可変パラメータkpにより定義された個数(cardinality)を有する。
【0125】
例えば、無線通信ネットワーク100を通じて三つの遅延−制約されたパケットA、B及びCが送信されるべきであることを考えることとする。可変パラメータkpが1であるとき、セットΩは、A、B、またはCを含む。可変パラメータkpが2であるとき、セットΩは、A及びB、B及びC、又はA及びCを含む。ステップS503において、スケジューラデバイス120は、これらの可能性のうち一つを選択する。
【0126】
次のステップS504において、スケジューラデバイス120は、セットΩの遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補PRBを決定する。これは、セットΩの遅延−制約されたデータパケットのための候補PRBの上述した表を単一の表にまとめる(merge)ことにより達成できる。セットΩの遅延−制約されたデータパケットのための候補PRBの複数の表にPRBが存在するとき、このPRBは、まとめ動作(merge operation)の結果として得られた表において一度しか現れない。
セットΩの遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補PRBの数をktで表す。言い換えれば、ktは、まとめ動作の結果として得られた表においてタギングされたPRBの数を示す。
【0127】
次のステップS505において、スケジューラデバイス120は、ktとkpとを比較し、ktがkpより大きいかをチェックする。言い換えれば、スケジューラデバイス120は、セットΩの遅延−制約されたデータパケットを送信するための候補PRBの数が遅延−制約されたデータパケットを送信するために必要なPRBの数より大きいか否かをチェックする。
tがkpより大きい場合、スケジューラデバイス120は、ステップS507を行う。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS506を行う。
【0128】
ステップS506において、スケジューラデバイス120は、セットΩの遅延−制約された各データパケットにPRBを割り当てる。この割当を行うための異なるアプローチが、図6及び図7について下記において説明される。その後、スケジューラデバイス120は、ステップS513を行う。
【0129】
ステップS507において、スケジューラデバイス120は、kp個の遅延−制約されたデータパケットの全ての可能な組合せが分析されたかをチェックする。kp個の遅延−制約されたデータパケットの全ての可能な組合せが分析された場合、スケジューラデバイス120は、ステップS508を行う。そうでない場合、前記スケジューラデバイス120は、ステップS503を繰り返し、kp個の遅延−制約されたデータパケットのもう一つのセットΩを選択する。
【0130】
ステップS508において、スケジューラデバイス120は、可変パラメータkpが所定の閾値より低いかをチェックする。この所定の閾値により、このアルゴリズムの実行時間期間を、時間−周波数資源割当衝突が発生する確立が低い可変パラメータkpの所定値に制限することができる。可変パラメータkpが所定の閾値より低いとき、スケジューラデバイス120は、ステップS509を行う。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS510を行う。変形例において、1から、送信される遅延−制約されたデータパケットの数までの、可変パラメータkpの全ての可能な値がスケジューラデバイス120によりチェックされる。
【0131】
変形例において、スケジューラデバイス120は、ステップS401の最後の実行以後にステップS507がどれほど数回行われたかを決定する。このようなチェックは、以後、ステップS507が行われる度に行われる。また、ステップS507が行われた回数が所定の閾値より大きい場合に、スケジューラデバイス120は、ステップS510を行い、そうでない場合、ステップS509を行う。これにより、時間−周波数資源割当が所定の実行タイムフレーム内で行われるということを保障することができる。
【0132】
可変パラメータkpの全ての可能な値をチェックしないことは、遅延−制約されたデータパケットの廃棄を引き起こし得る。遅延−制約されたデータパケットを選択することは、遅延−制約されたデータパケットと係る優先順位に基づいて行われ得る。可変パラメータkpの全ての可能な値をチェックしないことは、遅延−制約されていないデータパケットへの時間−周波数資源割当にさらに多くの自由を提供し、遅延−制約されていないデータパケットの送信について処理量が改善される。
【0133】
ステップS509において、スケジューラデバイス120は、可変パラメータkpの値を一つの単位だけ増加させる。その後、前記スケジューラデバイス120は、ステップS503を繰り返す。
【0134】
ステップS510において、スケジューラデバイス120は、遅延−制約されていない一つのデータパケットに一つのPRBを割り当てる。その後、スケジューラデバイス120は、ステップS511を行う。
【0135】
ステップS511において、スケジューラデバイス120は、フレームが用意されているかをチェックする。その理由は、フレームが送信されるべき瞬間が到達されるか、このフレームに対応するPRBが全て割り当てられるためである。フレームが用意されているとき、このアルゴリズムはステップS512で終了する。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS513を行う。
【0136】
ステップS513において、スケジューラデバイス120は、ステップS506またはステップS510で割り当てられたPRBを考慮することによって、時間−周波数資源割当が未だ行われていない遅延−制約された各データパケットについて決定された候補PRBのセットを更新する。この更新は、チャネル条件の変化が生じたとき及び/又は無線通信ネットワーク100を通じて新たな遅延−制約されたデータパケットが送信されるべきときに、ステップS403の実行により行われる更新をさらに考慮することができる。その後、スケジューラデバイス120は、ステップS502を繰り返す。
【0137】
図6は、遅延−制約されたデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるための第1アルゴリズムを概略的に示す。このアルゴリズムは、考慮された遅延−制約されたデータパケットのセットΩのうちの遅延−制約された各データパケットにPRBを割り当てることを目的とする。
【0138】
このアルゴリズムは、ステップS601で開始する。次のステップS602において、スケジューラデバイス120は、既に説明されたように、考慮された遅延−制約されたデータパケット毎に候補PRBの一つの表を構築または獲得する。
【0139】
次のステップS603において、スケジューラデバイス120は、候補遅延−制約されたデータパケットのPRB毎の数を決定する。実際に、それぞれのPRBは、候補PRBの複数の表にタギングされ得る。
【0140】
次のステップS604において、スケジューラデバイス120は、候補遅延−制約されたデータパケットの決定された数に従ってPRBを整列(sort)する。
【0141】
次のステップS605において、スケジューラデバイス120は、候補遅延−制約されたデータパケットの決定された数が最も少ないPRBを選択する。候補遅延−制約されたデータパケットの最低決定数を複数のPRBが有するとき、スケジューラデバイス120は、このPRBの間から一つのPRBを選択する。
【0142】
次のステップS606において、スケジューラデバイス120は、候補PRBの対応表においてタギングされるように、候補PRBの最低数を有する遅延−制約されたデータパケットに選択されたPRBを割り当てる。
【0143】
次のステップS607において、スケジューラデバイス120は、候補PRBの表を更新する。スケジューラデバイス120は、候補PRBの任意の表内において、割り当てられたPRBがこれ以上タギングされないということを保障する。
【0144】
次のステップS608において、スケジューラデバイス120は、セットΩの遅延−制約された各データパケットにPRBが割り当てられたか否かをチェックする。セットΩの遅延−制約された各データパケットにPRBが割り当てられたとき、このアルゴリズムは、ステップS609で終了する。そうでない場合、前記スケジューラデバイス120は、ステップS603を繰り返し、PRB毎の候補遅延−制約されたデータパケットの数を更新する。
【0145】
図7は、時間−周波数資源を遅延−制約されたデータパケットに割り当てるための第2アルゴリズムを概略的に示す。このアルゴリズムは、考慮された遅延−制約されたデータパケットのセットΩのうちの、遅延−制約された各データパケットにPRBを割り当てることを狙う。
【0146】
このアルゴリズムは、ステップS701で開始する。次のステップS702において、スケジューラデバイス120は、既に説明されたように、考慮された遅延−制約されたデータパケット毎に候補PRBの一つの表を構築または獲得する。
【0147】
次のステップS703で、スケジューラデバイス120は、候補PRBの表が関連付けられる遅延−制約されたデータパケットが無線通信ネットワーク100を通じて送信されるために、候補PRBの各表内で一つのPRBを予約する。この予約は、無作為で行われ得る。
【0148】
次のステップS704で、スケジューラデバイス120は、候補PRBの表毎に一つのカウンタ表を構築する。カウンタ表は、候補PRBの表と同一のサイズであってよい。即ち、カウンタ表は、図3の時間−周波数資源グリッドをマッピングする。好ましい実施例において、カウンタ表は、候補PRBの各表内でタギングされるPRBについてのカウンタだけを含む。
【0149】
カウンタ表の各要素は、対応するPRBにより予約が行われる遅延−制約されたデータパケットの数を表す。実際に、各PRBは、候補PRBの複数の表内において予約されることができ、スケジューラデバイス120は、考慮されたPRBが予約される遅延−制約されたデータパケットの数をPRB毎に決定する。
【0150】
次のステップS704において、スケジューラデバイス120は、予約に衝突が存在するか否かをチェックする。衝突は、少なくとも一つのカウンタが1より大きいときに存在する。衝突が存在するとき、スケジューラデバイス120は、ステップS706を行う。そうでない場合、スケジューラデバイス120は、ステップS710を行う。
【0151】
ステップS710において、スケジューラデバイス120は、これまでなされた予約を確認し、対応する遅延−制約されたデータパケットに予約されたPRBを割り当てる。その後、このアルゴリズムは、ステップS711で終了する。
【0152】
ステップS706において、スケジューラデバイス120は、カウンタ表を選択する。次のステップS707において、スケジューラデバイス120は、選択されたカウンタ表に自由PRBが存在するかをチェックする。自由PRBは、関連したnullカウンタを有し、候補PRBの対応する表内においてタギングされるPRBである。このようなPRBが存在するとき、前記スケジューラデバイス120は、ステップS708を行う。そうでない場合、前記スケジューラデバイス120は、ステップS706を繰り返し、もう一つのカウンタ表を選択する。
【0153】
ステップS708において、スケジューラデバイス120は、ステップS706で選択されたカウンタ表に係る遅延−制約されたデータパケットについて、衝突PRBから一つの自由PRBに予約を変更する。
【0154】
次のステップS709において、スケジューラデバイス120は、カウンタ表を更新する。スケジューラデバイス120は、衝突PRBに係る各カウンタを一つの単位だけ減少させ、以前の自由PRBに係る各カウンタを一つの単位だけ増加させる。その後、スケジューラデバイス120は、ステップS705を繰り返して、予約に衝突が残っているか否かをチェックする。
【0155】
もう一つの実施例において、図6及び図7について上述された割当プロセスに補完し、スケジューラデバイス120または複数のスケジューラデバイスが、遅延−制約されたパケットに係る優先順位レベルに従って別個のスレッドにおいて遅延−制約されたパケットのスケジューリングを管理する。
この場合に、各スレッドが通常、同一の優先順位レベルに係る遅延−制約されたパケットのスケジューリングを管理することを担当する。従って、優先順位レベルが最も高い遅延−制約されたデータパケットについて、必要なPRBの数と候補PRBの数との比較が行われる。
候補PRBの数が必要なPRBの数より大きい場合に、好ましくは、優先順位レベルがより低い遅延−制約されたデータパケットに一つのPRBだけが割り当てられる。従って、優先順位レベルが最も高い遅延−制約されたデータパケット等について、必要なPRBの数と候補PRBの数との比較が繰り返される。
これは、遅延−制約されたデータパケットの優先順位レベルが、PRBを割り当てるときに効果的に考慮されるということを保障することを許容し、優先順位レベルが高い遅延−制約されたデータパケットとって容認可能なものより優先順位レベルが低い遅延−制約されたデータパケットに多くのPRBを割り当てることを回避する。
例えば、K+1個の候補PRBを有するとともに優先順位レベルAに関連付けられたK個の遅延−制約されたデータパケットの第1セットと、優先順位レベルBに関連付けられたL個の遅延−制約されたデータパケットの第2セットとを考えることとする。但し、B<Aとする。
K個の遅延−制約されたデータパケットの第1セットについて、必要なPRBと候補PRBとの比較は、これらK個の遅延−制約されたデータパケットについて割当がまだ行われる必要がないという結果を引き起こす。しかし、L個の遅延−制約されたデータパケットについての候補PRBが、K個の遅延−制約されたデータパケットの第1セットについての候補PRBと共通の場合に、一つのPRBだけがL個の遅延−制約されたデータパケットの第2セットへの割当のために自由であり、そうでない場合、K個の遅延−制約されたデータパケットの第2セットについてKより少ない必要なPRBが残る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数選択式チャネル上で通信が行われる通信ネットワークを通じてデータパケットを送信するために前記データパケットに時間−周波数資源を割り当てるための方法であって、
前記方法は、前記通信ネットワークのスケジューラデバイスにより行われ、
前記方法は、送信されるデータパケットまたはその記述を獲得するステップを含む少なくとも一つの繰り返しを含み、各データパケットは、遅延−制約されたデータパケットまたはもう一つのデータパケットであり、
前記繰り返しは、
獲得された少なくとも一つのデータパケットが送信されるべきチャネル毎に送信条件を示す情報を獲得するステップ;
遅延−制約されたデータパケット毎に、送信条件を示す獲得された情報と、前記遅延−制約されたデータパケットに係る遅延制約とに基づいて、前記遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各候補時間−周波数資源を決定するステップ;
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量と等しいか否かを決定するステップ;
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量と等しいと前記スケジューラデバイスが決定するとき、前記候補時間−周波数資源のうち少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ;
先行するステップで、いかなる任意の遅延−制約されたデータパケットにも前記スケジューラデバイスが候補時間−周波数資源を割り当てないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために少なくとも一つの時間−周波数資源を予約するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために少なくとも一つの時間−周波数資源を予約するステップは、前記少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために前記少なくとも一つの時間−周波数資源を割り当てることにあることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットの第1セットを選択するステップであって、前記第1セットは第1個数を有している、ステップ;
前記第1セットについての候補時間−周波数資源の数を決定するステップ;
前記第1セットについての候補時間−周波数資源の数が前記第1個数より大きいとき、少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットの第2セットを選択するステップ;及び
前記第1セットについての候補時間−周波数資源の数が前記第1個数より大きくないとき、前記第1セットの前記遅延−制約されたデータパケットについて決定された前記候補時間−周波数資源のうちの時間−周波数資源を、前記第1セットの遅延−制約された各データパケットに割り当てるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2セットを選択するステップは、前記第1個数と異なる第2個数を有する第2セットを選択するステップを含むことを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1個数が第1所定の閾値に達するとき、前記一つの他のデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるステップ;及び
前記第1個数が前記第1所定の閾値に達しないとき、前記第1個数と異なる前記第2個数を有する前記第2セットを選択するステップ
を含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第2セット選択ステップが行われた回数が第2所定の閾値に達するとき、前記一つの他のデータパケットに時間−周波数資源を割り当てるステップ;及び
前記第2セット選択ステップが行われた回数が前記第2所定の閾値に達しないとき、第2セット選択ステップを繰り返すステップ
を含むことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項7】
複数の遅延−制約されたデータパケットに複数の時間−周波数資源を割り当てるとき、候補時間−周波数資源の決定された量が最も少ない前記遅延−制約されたデータパケットに、前記時間−周波数資源が遅延−制約されたデータパケットの最低量のための候補である前記候補時間−周波数資源を割り当てるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
複数の時間−周波数資源を複数の遅延−制約されたデータパケットに割り当てるとき、
遅延−制約された各データパケットへの候補時間−周波数資源を予約するステップ;
前記予約された候補時間−周波数資源が少なくとも二つの遅延−制約されたデータパケットについて予約されるとき、遅延−制約されたデータパケット毎に、前記予約された候補時間−周波数資源をもう一つの候補時間−周波数資源に変更するステップ;及び
全ての予約された候補時間−周波数資源が一つの遅延−制約されたデータパケットについてのみ予約されるとき、予約された候補時間−周波数資源を割り当てるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの時間−周波数資源を前記少なくとも一つの他のデータパケットの各々に割り当てる前に、
前記一つの他のデータパケットに割り当てられる前記時間−周波数資源に従って、遅延−制約された各データパケットについて前記候補時間−周波数資源を更新するステップ;
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量より少ないとき、前記少なくとも一つの他のデータパケットの各々への前記少なくとも一つの時間−周波数資源の割当を取り消すステップ;及び
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量より少なくないとき、前記少なくとも一つの他のデータパケットの各々への前記少なくとも一つの時間−周波数資源の割当を確認するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
フレームを構成する時間−周波数資源の所定のセットが割り当てられたか、又は前記フレームが送信されるべき瞬間が到達されたときに、前記ステップが繰り返されることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
遅延−制約されたパケット毎に候補時間−周波数資源の量を制限するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
遅延−制約されたパケット毎に、時間及び周波数領域内において前記時間−周波数資源を示すグリッドにマッピングされた表を構築するステップ;及び
構築された各表内において遅延−制約された各パケットの各候補時間−周波数資源をタギングするステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
周波数選択式チャネル上で通信が行われる通信ネットワークを通じてデータパケットを送信するために、前記データパケットに時間−周波数資源を割り当てるためのデバイスであって、
送信されるデータパケットまたはこれらの記述を獲得する手段であって、各データパケットは、一つの遅延−制約されたデータパケットまたはもう一つのデータパケットである、手段;
少なくとも一つの獲得されたデータパケットが送信されるべきチャネル毎に送信条件を示す情報を獲得する手段;
遅延−制約されたデータパケット毎に、送信条件を示す獲得された情報と、前記遅延−制約されたデータパケットに係る遅延制約とに基づいて、前記遅延−制約されたデータパケットを送信することに用いられ得る各候補時間−周波数資源を決定するための第1決定手段;
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量と等しいか否かを決定するための第2決定手段;
前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットを送信することに必要な少なくとも一つの時間−周波数資源の量が、前記少なくとも一つの遅延−制約されたデータパケットについて決定された候補時間−周波数資源の量と等しいと前記第2決定手段が決定するとき、前記候補時間−周波数資源のうちの少なくとも一つの時間−周波数資源を少なくとも一つの遅延−制約された各データパケットに割り当てるための割当手段;及び
前記割当手段の以前の実行において、いかなる遅延−制約されたデータパケットにも候補時間−周波数資源が割り当てられないとき、少なくとも一つの他のデータパケットの各々を送信するために、少なくとも一つの時間−周波数資源を予約するための予約手段
を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、
プログラムコード命令を含み、前記プログラムコード命令が請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラマブルデバイスにより実行されるとき、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスにローディングされ得ることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項15】
情報格納手段であって、
プログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを格納し、前記プログラムコード命令が請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラマブルデバイスにより実行されるとき、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスにローディングされ得ることを特徴とする、情報格納手段。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−34199(P2013−34199A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−159446(P2012−159446)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】