説明

通信パス制御装置

【課題】一連のネットワークイベントを独立イベントとして処理することによる冗長性パスの確立を防止し、ネットワークリソースの利用効率を高める。
【解決手段】通信ネットワークにおける通信ノードに接続され、監視報告を受信するとともに制御信号を送信する制御インターフェースと、前記制御インターフェースから受信した監視報告情報をネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードとして記憶し、予見イベント分類と処理方法を予見イベント処理テーブルとして記憶するメモリ部と、前記見イベント処理テーブルに基づいて、前記ネットワークイベントレコード及び前記ネットワーク状態レコードを解析することによりパス制御ポリシーを取得し、制御インターフェースを介して前記通信ネットワークにおける通信ノードに制御信号を送信して前記パス制御ポリシーを実行する制御部と、を備える通信パス制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドメイン間経路の可調整ポリシーに対して制御を行ない、さらに通信ネットワークにおけるトラフィックに対して正確な経路制御を行なうことが可能な通信パス制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、ネットワークシステムに関連するネットワークサービスの付属機能によってネットワークポリシーを動的に管理する制御方法が開示されている。当該制御方法において、ネットワークシステムは、ネットワークシステムに関する情報を取得することによって、ネットワークシステムのトリガーを監視し、監視されたトリガーに基づいて、ネットワークサービスのために設定された一つ若しくは複数の静的ポリシー、動的ポリシー、又はそれらの両方を修正する。ネットワークシステムの監視によって得られたトリガーには、タイムアウト、付属機能変化、ネットワーク構造変化、進入検出イベント、ファイヤーウォールイベント、監理員の入力、ネットワークサービス変化及びネットワークサービス変化要求などが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,526,541号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、一つの独立イベントの簡単なネットワーク行為だけをトリガーとして考えており、一連のネットワークイベントと瞬間ネットワーク状態を含む複雑な行為については言及しておらず、且つ特許文献1には監視されたネットワークイベントと状態に対する解析が含まれていないため、複雑なネットワーク行為に対する経路ポリシーマネジメントを支持しない。
【0005】
上述の問題点を解決するために、本発明は、一連のネットワークイベントを独立イベントとして処理することによる冗長性パスの確立を防止し、ネットワークリソースの利用効率を高めることができる通信パス制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な一例を示せば次の通りである。すなわち、通信ネットワークにおけるそれぞれのドメインに対応して設置され、ドメイン内の通信パスを制御する通信パス制御装置であって、通信ネットワークにおける通信ノードに接続され、監視報告を受信するとともに制御信号を送信する制御インターフェースと、前記制御インターフェースから受信した監視報告情報をネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードとして記憶し、予見イベントの分類及び処理方法を予見イベント処理テーブルとして記憶するメモリ部と、前記見イベント処理テーブルに基づいて、前記ネットワークイベントレコード及び前記ネットワーク状態レコードを解析することによってパス制御ポリシーを取得し、制御インターフェースを介して前記通信ネットワークにおける通信ノードに制御信号を送信して前記パス制御ポリシーを実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノード失敗イベントと後続イベント(即ち発呼イベント)及び後続発呼状態情報イベントとを組み合わせて解析することによって、以上のイベントを独立イベントとして処理した場合に引き起こす冗長性パスの確立を防止し、ネットワークリソースの利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】集中型ネットワークマネジメントシステムのネットワークポリシーを実行するネットワーク構成図である。
【図2A】マルチドメインネットワーク構成図とクロスドメインパスを示す図である。
【図2B】クロスドメインパス失敗時に新しい発呼要求を受信した状況を示す図である。
【図2C】クロスドメインパス失敗時のドメイン内再ルーティングパスの状況を示す図である。
【図2D】クロスドメインパス失敗時のドメイン間再ルーティングパスの状況を示す図である。
【図3A】失敗が発生したドメインにおいて新しい発呼要求を拒否し且つ失敗が発生したドメイン内においてドメイン間のパスに対して再ルーティングする時系列図である。
【図3B】失敗が発生したドメイン内においてドメイン間のパスに対して再ルーティングを行なう時系列図である。
【図4】ドメイン間においてドメイン間のパスに対して同時に再ルーティングを行なう時系列図である。
【図5】イベントを監視解析しネットワークポリシーを修正するフローチャートである。
【図6A】ドメイン内イベント失敗を解析処理するフローチャートである。
【図6B】ドメイン外パス失敗イベントを解析処理するフローチャートである。
【図7】ドメイン(1)がアクセス要求イベントを待つ最大時間T1を計算するフローチャートである。
【図8】ドメイン内ノード回復イベントを解析処理するフローチャートである。
【図9】ネットワークマネジメントシステムにおける予見イベント処理テーブルである。
【図10A】実施例2におけるマルチドメインネットワーク構成図とクロスドメインパスを示す図である。
【図10B】実施例2におけるクロスドメインパス失敗時のマルチパス再ルーティングのパスを示す図である。
【図11】実施例2におけるドメイン内失敗イベントの解析処理を示すフローチャートである。
【図12】実施例2における計算可能な複数の経路と重みを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1〜図9に基づいて実施例1について説明する。
【0010】
<実施例1:二つの境界ノードのみの場合>
図1は、集中型ネットワークマネジメントシステムのネットワークポリシーを実行するネットワーク構成図である。通信ネットワーク101には、通信ノード102、103及び104が含まれており、これらの通信ノードはそれぞれ、制御信号とその他の通信モジュールに基づいて互いに通信する通信モジュール105、106及び107と、当該通信ノード状態を監視し、監視報告を送信するとともに制御信号を受信する監視ユニット108、109及び11と、を有する。通信ノード102、103及び104は通信モジュール105、106及び107を介して互いに接続して通信を行ない、同時に、外部ネットワーク(その他のドメインのネットワーク)111と112にも接続して通信を行なう。通信ネットワーク101はネットワークマネジメントシステム113をさらに含み、当該ネットワークマネジメントシステム113は、監視ユニット108、109及び110に接続し且つ監視報告を受信するとともに制御信号を送信する制御インターフェース114、制御インターフェース114から受信した監視報告情報を記憶するネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116、予見イベントの分類と処理方法とを記憶する予見イベント処理テーブル117、予見イベント処理テーブル117に基づいてネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116の中の情報を解析することによってポリシーを取得するイベント解析ユニット118、及び制御インターフェース114を介して通信ノード102、103及び104に信号を送信してイベント解析ユニット118が取得したポリシーを実行するポリシー実行ユニット119を有する。図1に示すネットワークマネジメントシステムは集中型であるが、分散型であってもよく、それらの選択は本発明の実施に影響を与えない。また、上記のネットワークイベントレコード115、ネットワーク状態レコード116及び予見イベント処理テーブル117は一つのメモリに記憶されてもよく、ネットワークマネジメントシステム内における異なるメモリに記憶されてもよい。分散型を採用した場合は、上記のレコード及びテーブルが異なるネットワークマネジメントシステムにおける異なるメモリに記憶されてもよい。また、イベント解析ユニット118及びポリシー実行ユニット119は一つの制御部(例えばCPU)に含まれている二つの機能であってもよく、それぞれ独立した二つのチップ又は集積回路によって別々に実現されてもよい。
【0011】
図2A〜図2Dは、マルチドメインネットワークにおけるクロスドメインパス失敗時の通信ネットワークの実行可能なドメイン内再ルーティングパス及びドメイン間再ルーティングパスの技術案を示す。
【0012】
図2Aには、通信ネットワークドメイン(1)、通信ネットワークドメイン(2)及び通信ネットワークドメイン(3)が含まれている。各ドメインはそれぞれドメイン内の通信ノードを管理する独立したネットワークマネジメントシステムを有する。ドメイン(1)はノードA、ノードB、ノードC、ノードD、ノードE、ノードF及びノードGを含み、ドメイン(2)はノードH、ノードI及びノードJを含み、そしてドメイン(3)はノードK、ノードL及びノードMを含む。そのうち、ドメイン(1)とドメイン(2)は境界ノードA、D及びIを介して接続され、ドメイン(2)とドメイン(3)は境界ノードGとKを介して接続されている。各ドメインにおいて、境界ノードのみがその他のドメインの境界ノードと通信を行なうことが可能で、B、C、E、F、H、J、L及びMのようなドメインの中のその他のノードはドメインの中間ノードと称する。ネットワークにはクロスドメインパス、即ちパス1が存在し、このパス1は、パスのソースノードHからスタートし、ノードJ、I、D、E、F、G、Kを経由してパスの目的ノードMに到達する。通信トラフィックはパス1を介してソースノードHから確実且つ高効率に目的ノードMに伝送される。パス1の確立及び削除は以上の三つのドメインによって共同で行なわれ(参考資料RFC2205、Resource ReserVation Protocol,1997)、例えば、ドメイン(1)はDからGまでのパス(以下パスD−Gと称する)を確立し、ドメイン(2)はHからIまでのパスを確立し、ドメイン(3)はKからMまでのパスを確立し、そして境界ノードはこれらのパスを連結して完全なパス1を形成する。
【0013】
図2Bに示すように、ドメイン(1)の中のノードFが停電又は故障を原因として失敗したとすると、ドメイン(1)及びドメイン(2)はいずれも当該失敗イベントを知り、相応の処理を行なう。このとき、二つの再ルーティングの結果が得られる可能性がある。一つは、図2Bに示すように、ドメイン(2)が境界ノードIを介して新しい発呼要求をドメイン(1)に送信して次のホップの経路の変更を図るが、ドメイン(1)に拒否されるか、又は図2Cに示すように、ドメイン(2)の境界ノードIが次のホップの経路を変更せずにドメイン(1)のパス回復を待ち、結果としてはいずれもドメイン(1)がドメイン内再ルーティングによってDからGまでのパス(以下パスD−Gと称する)を回復する必要がある場合である。もう一つは、図2Dに示すように、ドメイン(2)が境界ノードIを介して新しい発呼要求をドメイン(1)に送信し、境界ノードIの次のホップの経路をノードAに変更し、結果としてはドメイン(1)がAからGまでのパス(以下パスA−Gと称する)を新たに確立する必要があり、同時にドメイン(1)のポリシーの違いによって旧パスD−Gを保留又は削除する場合である。以下、それぞれの時系列図に基づいてこれらの二つの状況について説明する。
【0014】
図3Aと図3Bの時系列図は失敗が発生したドメイン内においてドメイン間のパス再ルーティングに対する状況、即ち第一の状況を示す。
【0015】
図3Aにおいて、ドメイン(2)が境界ノードIを介して新しい発呼要求をドメイン(1)に送信して次のホップの経路の変更を図るが、ドメイン(1)に拒否され(図2Bを参照)、結果としてドメイン(1)がドメイン内再ルーティングによってパスD−Gを回復する必要がある(図2Cを参照)。ノードFが失敗した後に、境界ノードDはパスD−Eが失敗したことを検知し(ステップ301)、ドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)にパス失敗メッセージ302を送信する。同時にノードFの隣接ノードEとGもノードFの失敗を検知し(ステップ303)、ドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)にノード失敗メッセージ304を送信する。ネットワークマネジメントシステム(1)はパス失敗メッセージ302及びノード失敗メッセージ304を受信した後、すぐノードFの失敗を認識することになる(ステップ305)。その後ネットワークマネジメントシステム(1)はドメイン内ノード失敗イベント処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Aの解析フローチャートを参照)ネットワーク状態について観察を開始する。
【0016】
これと同時に、ドメイン(2)の境界ノードIもパスD−Gの失敗を検出し(ステップ306)、ドメイン外パス失敗メッセージ307をドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ネットワークマネジメントシステム(2)がドメイン外パスD−G失敗を認識することになる(ステップ308)。このときネットワークマネジメントシステム(2)には様々な可能な対応ポリシーがある。例えば、そのうちの一つは、ノードIが自ら測定したノードIとノードAとの間の伝送遅延、即ち遅延I-A309をネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ノードDへのデータ伝送を停止する(ステップ310)。ネットワークマネジメントシステム(2)は、受信したイベントと遅延報告メッセージに基づいて失敗イベント処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Bの解析フローチャートを参照)、データ伝送をドメイン外パスD−Gからドメイン外パスA−Gに切り替える(ステップ330)処理結果を得る。これによって境界ノードIのパス切替をトリガーし、ドメイン(1)の他の境界ノードAに発呼要求331を送信して新しいドメイン外パスA−Gを確立する。
【0017】
境界ノードAはドメイン(2)の境界ノードIからの発呼要求を受信した後に、それを発呼イベントメッセージ332としてドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に報告する。したがって、ドメイン(1)におけるネットワークマネジメントシステム(1)の境界ノードAとDの状態の観察期間において、境界ノードAとDのネットワークマネジメントシステム(1)に送信した発呼状態情報313にはドメイン(2)のノードIからの発呼イベントを報告する発呼イベントメッセージ332が含まれている。
【0018】
当該発呼状態情報313に含まれている発呼イベント332と当該発呼イベント332以外のその他の発呼イベントに基づいて、ネットワークマネジメントシステム(1)のドメイン内ノード失敗イベント処理プログラムは、ドメイン(2)がパス切替を行なっており、発呼イベント332は新たに到達した通信トラフィックによってトリガーされたイベントではなく、ノード失敗304による近傍ドメインの保護動作であると判定する。発呼イベント332に要求されている新パスA−Gと旧パスD−Gのサービス品質パラメータ、例えば遅延とパケットロス率を考慮するときに、ネットワークマネジメントシステム(1)は、発呼イベント332を拒否するとともにドメイン内再ルーティング、即ちパスD−Gに対する再ルーティング(ステップ312)をトリガーする処理結果を得る。このときネットワークマネジメントシステム(1)は発呼拒否のコマンドをノードAに送信して(ステップ333)、ドメイン(2)の境界ノードIからの発呼要求331に応答する必要がある。逆に、ドメイン(1)が発呼イベント332とノード失敗304をそれぞれ独立したイベントとして処理すると、パスD−Gを再ルーティングすると同時に当該発呼に要求されているパスA−Gを新たに確立する必要があり、即ち同一の通信トラフィックを伝送するための二つのパスが同時に存在することになり、ネットワークリソースが無駄になる。
【0019】
続いて、ネットワークマネジメントシステム(1)は新経路を計算して旧経路を代替し、得られた計算結果はD−E−B−C−G経路で、即ちノードDからノードE、ノードB及びノードCを経由してノードGに到達する(ステップ314)。新たにパスを確立するコマンドをノードDに送信する(ステップ315)ことと、ノードB、C、E、Gに送信する(ステップ317)ことと、によって、新パス、即ち図2Cに示すパス2を確立する。パス2が確立された後、境界ノードDは新パスを用いてパスD−Gを回復し(ステップ319)、パス回復メッセージ320をネットワークマネジメントシステム(1)に送信して、ネットワークマネジメントシステム(1)に旧経路D−E−F−Gの削除を決定させ(ステップ321)、旧パスを削除するコマンドをノードDに送信する(ステップ322)ことと、ノードE、Gに送信する(ステップ324)ことと、によって、旧経路を削除する。
【0020】
ドメイン(2)の境界ノードIが発呼要求を受信した後に、ネットワークマネジメントシステム(2)はパス切替の失敗を認識し、ドメイン外パスの回復待ちを決定する(ステップ335)。パス2が確立されてから、ドメイン(2)の境界ノードIはパスD−Gの回復を検知し(ステップ326)、ドメイン外パス回復メッセージ327をネットワークマネジメントシステム(2)に送信して、ドメイン外パスD−G回復をネットワークマネジメントシステム(2)に通知する(ステップ328)。その後、境界ノードIは境界ノードDへのデータ伝送を回復し(ステップ329)、即ちパス2が再ルーティングとしてパス1を完全に代替する。
【0021】
このような状況のもう一つの可能性は、図3Bにおいて、ドメイン(2)の境界ノードIが境界ノードIの次のホップの経路を変更せず、ドメイン(1)の中のパス回復を待ち、その結果、ドメイン(1)がドメイン内再ルーティングによってパスD−Gを回復することが挙げられる(図2Cを参照)。ノードFが失敗した後に、境界ノードDはパスD−Gの失敗を検知し(ステップ301)、パス失敗メッセージ302をドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に送信する。同時にノードFの隣接ノードEとGもノードFの失敗を検知し(ステップ303)、ノード失敗メッセージ304をドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に送信する。ネットワークマネジメントシステム(1)はパス失敗メッセージ302とノード失敗メッセージ304を受信した後に、すぐノードFの失敗を認識することになる(ステップ305)。その後、ネットワークマネジメントシステム(1)はドメイン内ノード失敗イベント処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Aの解析フローチャートを参照)、ネットワーク状態に対して観察を開始する。
【0022】
これと同時に、ドメイン(2)の境界ノードIもパスD−Gの失敗を検知し(ステップ306)、ドメイン外パス失敗メッセージ307をドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ドメイン外パスD−G失敗をネットワークマネジメントシステム(2)に通知する(ステップ308)。このときネットワークマネジメントシステム(2)には様々な可能な対応ポリシーがある。例えば、そのうちの一つは、ノードIが自ら測定したノードIとノードAの間の伝送遅延、即ち遅延I-A309をネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ノードDへのデータ伝送を停止する(ステップ310)。ネットワークマネジメントシステム(2)は、受信したイベントと遅延報告メッセージに基づいて失敗イベント処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Bの解析フローチャートを参照)、ドメイン外パス回復待ちの処理結果を得る(ステップ311)。
【0023】
したがって、ドメイン(1)におけるネットワークマネジメントシステム(1)が境界ノードAとDの状態を観察する期間において、境界ノードAとDがネットワークマネジメントシステム(1)に送信した発呼状態メッセージ313にはドメイン(2)のノードIからの発呼イベントが含まれていない。ネットワークマネジメントシステム(1)がある所定の時間の観察を行なった後に、ネットワークマネジメントシステム(1)のドメイン内ノード失敗イベント処理プログラムは、ドメイン(2)がパス切替を行なっていないと判定したため、ドメイン(1)における再ルーティングのソースノードと目的ノードを変更する必要はない。即ち、ネットワークマネジメントシステム(1)は、ドメイン内再ルーティング(図6Aの解析フローチャート)、即ちパスD−Gに対する再ルーティングをトリガーする処理結果を得る(ステップ312)。
【0024】
続いて、ネットワークマネジメントシステム(1)は新経路を計算して旧経路を代替し、得られた計算結果はD−E−B−C−G経路で、即ちノードDからノードE、ノードB及びノードCを経由してノードGに到達する(ステップ314)。新たにパスを確立するコマンドをノードDに送信する(ステップ315)ことと、ノードB、C、E、Gに送信する(ステップ317)ことと、によって、新しいパス、即ち図2Cに示すパス2を確立する。パス2が確立された後、境界ノードDは新しいパスを用いてパスD−Gを回復し(ステップ319)、パス回復メッセージ320をネットワークマネジメントシステム(1)に送信して、ネットワークマネジメントシステム(1)に旧パスD−E−F−Gの削除を決定させ、旧パスを削除するコマンドをノードDに送信する(ステップ322)ことと、ノードE、Gに送信する(ステップ324)ことと、によって、旧経路を削除する。
【0025】
パス2が確立された後、ドメイン(2)の境界ノードIもパスD−Gの回復を検知し(ステップ326)、ドメイン外パス回復メッセージ327をネットワークマネジメントシステム(2)に送信して、ドメイン外パスD−G回復をネットワークマネジメントシステム(2)に通知する(ステップ328)。その後、境界ノードIは境界ノードDへのデータ伝送を回復し(ステップ329)、即ちパス2が再ルーティングとしてパス1を完全に代替する。
【0026】
図4の時系列図はドメイン間においてドメイン間パスに対して同時に再ルーティングする状況、即ち第二状況を示す。ノードFが失敗した後に、境界ノードDはパスD−Gの失敗を検知し(ステップ401)、パス失敗メッセージ402をドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に送信する。同時にノードFの隣接ノードEとGもノードFの失敗を検知し(ステップ403)、ノード失敗メッセージ404をドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に送信する。ネットワークマネジメントシステム(1)はパス失敗メッセージ402及びノード失敗メッセージ404を受信した後に、すぐノードFの失敗を認識することになる(ステップ405)。その後、ネットワークマネジメントシステム(1)は、ドメイン内ノード失敗イベント処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Aの解析フローチャートを参照)、ネットワーク状態に対して観察を開始する。
【0027】
これと同時に、ドメイン(2)の境界ノードIもパスD−Gの失敗を検知し(ステップ406)、ドメイン外パス失敗メッセージ407をドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ドメイン外パスD−Gの失敗をネットワークマネジメントシステム(2)に通知する(ステップ408)。このときネットワークマネジメントシステム(2)には様々な可能な対応ポリシーがある。例えば、そのうちの一つは、ノードIが自ら測定したノードIとノードAの間の伝送遅延、即ち遅延I-A409をネットワークマネジメントシステム(2)に送信し、ノードDへのデータ伝送を停止する(ステップ412)。ネットワークマネジメントシステム(2)は、受信したイベントと遅延報告メッセージに基づいてイベント失敗処理を行ない、対応するイベント解析サブプロセスをウェイクアップさせて(図5と図6Bの解析フローチャートを参照)、データ伝送をドメイン外パスD−Gからドメイン外パスA−Gに切り替える(ステップ410)処理結果を得る。これによって境界ノードIのパス切替をトリガーし、発呼要求411をドメイン(1)の他の境界ノードAに送信して新しいドメイン外パスA−Gを確立する(ステップ411)。
【0028】
境界ノードAがドメイン(2)の境界ノードIからの発呼要求を受信した後に、それを発呼イベントメッセージ414としてドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)に報告する。したがって、ドメイン(1)におけるネットワークマネジメントシステム(1)の境界ノードA及びDの状態の観察期間において、境界ノードA及びDのネットワークマネジメントシステム(1)に送信した発呼状態情報415にはドメイン(2)のノードIからの発呼イベントを報告する発呼イベントメッセージ414が含まれている。
【0029】
当該発呼状態情報415に含まれている発呼イベント414と当該発呼イベント414以外のその他の発呼イベントに基づいて、ネットワークマネジメントシステム(1)のドメイン内ノード失敗イベント処理プログラムは、ドメイン(2)がパス切替を行なっており、発呼イベント414は新たに到達した通信トラフィックによってトリガーされたイベントではなく、ノード失敗404による近傍ドメインの保護動作であると判定する。したがって、ドメイン(1)においてソースノード又は目的ノードが旧パスD−Gと異なるパスA−Gを新たに確立してパスD−Gを代替する必要がある。即ち、ネットワークマネジメントシステム(1)の得られた処理結果は、ドメイン間再ルーティングをトリガーする(図6Aの解析フローチャートを参照)。即ち、ドメイン(2)のパス切替に合わせて、パスA−Gに対してルーティングを行ない、パスA−GでパスD−Gを代替する(ステップ413)。逆に、このときドメイン(1)が発呼イベント414及びノード失敗404をそれぞれ独立したイベントとして処理すると、当該発呼に要求されているパスA−Gを新たに確立すると同時にパスD−Gを再ルーティングする必要があり、即ち同一の通信トラフィックを伝送するために二つのパスが同時に存在し、ネットワークリソースが無駄になる。
【0030】
続いて、ネットワークマネジメントシステム(1)は、AからGまでの新しい経路を計算し、得られた計算結果はA−B−C−G経路であり、即ち、ノードAからノードB及びノードCを経由してノードGに到達する経路である(ステップ416)。新たにパスを確立するコマンドをノードAに送信する(ステップ417)ことと、ノードB、C、Gに送信する(ステップ419)ことと、によって、新パス、即ち図2Dに示すパス3を確立する。パス3が確立された後、境界ノードAは新たに確立されたパスA−GをノードAからノードGまでの経路とし(ステップ421)、発呼許可422を送信してドメイン(2)の境界ノードIからの発呼要求411に応答する。
【0031】
ドメイン(2)の境界ノードIが発呼許可422を受信した後に、元のパス1によって伝送された通信トラフィックをパス3によって伝送されるように切り替え(ステップ423)、即ちノードAにデータ伝送を行なう。切替が成功した後に、ノードIは切替成功メッセージ425をネットワークマネジメントシステム(1)に送信して、ネットワークマネジメントシステム(1)にパス切替成功を通知する(ステップ426)。
【0032】
これと同時に、ネットワークマネジメントシステム(1)は旧経路D−E−F−Gの削除を決定し(ステップ427)、旧パスの削除コマンドをノードDに送信する(ステップ428)ことと、ノードE、Gに送信する(ステップ430)ことと、によって、旧経路D−E−F−Gを削除する(ステップ432)。
【0033】
したがって、本発明によると、ノード失敗304、404イベントとそれに対応する後続イベント、即ち発呼イベント332、414及びそれに対応する後続発呼状態情報313、415のイベントを組み合わせて解析することで、ドメイン(1)は、上記のイベントを独立イベントとして処理する際に引き起こす冗長性パスの確立を防止し、これによりネットワークリソースの利用効率を向上させる。
【0034】
上記のプロセスにおいて、ネットワークマネジメントシステム(1)及びネットワークマネジメントシステム(2)がイベントの監視と解析を行ない、ネットワークポリシーを修正する処理のフローチャートは図5に示すとおりである。通信ネットワークの運行期間において、ネットワークマネジメントシステムの制御インターフェース114は、通信ノードからネットワークイベントと状態の報告情報を持続的に受信する(ステップS501)。そのうちのネットワークイベントは、ドメイン内ノード失敗、ドメイン内ノード回復、ドメイン外パス失敗、VPN(Virtual Private Network)の確立、VPNの削除、輻輳、及び輻輳解除を含むことができるが、ただしこれらに限定されない。ネットワーク状態は一般的にネットワークの時間的に連続する状態変数をサンプリングして得られたサンプリング値であり、発呼状態、ノード負荷、伝送帯域、パケットロス率、遅延、及びアクセストラフィック帯域を含むことができるが、ただしこれらに限定されない(図9の予見イベント処理テーブルを参照)。ネットワークイベント及び状態の報告情報を受信した後に、制御インターフェース114はこれらをメモリに書き込み、即ち、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116に書き込む(ステップS502)。これと同時に、イベント解析ユニット118は、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116からネットワークイベント及びネットワーク状態サンプリングを継続して読み出し(ステップS503)、ネットワークイベント及びネットワーク状態に対して解析を行なう(ステップS504、図6Aと図6Bの解析フローチャートを参照)。その後、ステップS504の解析結果、例えば一つの通信トラフィックに提供するパスの再ルーティング方法のようなネットワークポリシーの修正が必要かどうかを判定する(ステップS505)。判定結果が「NO」の場合は、現在のすべてのポリシーを修正せずに維持すべきであることを示し、イベント解析ユニット118はステップS503に戻って引き続き次のイベントを処理する。逆に、ステップS505の判定結果が「YES」の場合は、少なくとも一つのポリシーの修正が必要であることを示し、イベント解析ユニット118は対応するポリシーを修正するとともにポリシー実行ユニット119に通知した(ステップS506、図6Aと図6Bの解析フローチャートを参照)後に、ステップS503に戻って引き続き次のイベントを処理する。これと同時に、ポリシー実行ユニット119は、既存のポリシー、例えば一つの通信トラフィックに提供するパスの再ルーティング方法がドメイン内再ルーティング、即ちパスD−Gを回復するポリシーを実行する(ステップS507)際に、イベント解析ユニット118からのポリシー修正コマンド、例えば一つの通信トラフィックに提供するパスの再ルーティング方法がドメイン間再ルーティング、即ちパスA−GでパスD−Gを代替するポリシーを受信すると、既存のポリシーの代わりに新しいポリシーを実行する(ステップS508)。
【0035】
上記のプロセスにおいて、イベント解析ユニット118がネットワークイベント及びネットワーク状態を解析する(ステップS504)際には、異なるネットワークイベントに対して異なる解析プロセス及びパラメータを使用する必要がある。その具体的な解析プロセスは図6A及び図6Bに示すとおりである。関連する解析プロセス及びパラメータタイプは予見イベント処理テーブル117に記憶されている予見情報でよい(図9の予見イベント処理テーブルを参照)。
【0036】
図6Aは、ネットワークマネジメントシステム(1)のイベント解析ユニット118がドメイン内失敗イベントを解析する処理のフローチャートである。イベント解析ユニット118は、まず現在のイベントであるドメイン内ノード失敗イベントに基づいて、予見イベント処理テーブル117を検索して(ステップS601)、予見イベント処理テーブル117においてインデックスが11であるマッチングテーブル項目を取得し、予見イベント処理テーブル117の中の処理サブプロセスによって対応する解析サブプロセスであるドメイン内ノード失敗解析プロセスを取得し、当該プロセスをウェイクアップさせる(ステップS603)。ステップS601の検索イベントがその他のイベントである場合は、その他の解析サブプロセス、例えば図9の中のその他のテーブル項目の処理サブプロセスをウェイクアップさせる(ステップS602)。
【0037】
その後、イベント解析ユニット118は、ドメイン内ノード失敗解析プロセスに進み、予見イベント処理テーブル117の中のマッチングテーブル項目の後続観察時間T1、後続観察データソースノードA及びノードD、後続観察データタイプ発呼状態情報、並びにパスサービス品質情報に基づいて、ノードA及びノードDからの発呼状態情報を観察するとともにタイマを始動させる(ステップS604)。イベント解析ユニット118は、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116からノードA及びノードDからの発呼状態情報のみを選択的に読み出し、その中に失敗パスに属しない冗長性境界ノード(即ちノードA)からの新しい発呼要求が含まれているかどうかをチェックする(ステップS605)。ステップS605の判定結果が「NO」の場合は、タイマが後継観察時間T1を超えたかどうかをチェックする(ステップS606)。タイマがタイムアウトした場合、設定時間T1内にドメイン(2)はずっとパス切替を行なっていないと認定し、得られた解析結果はドメイン内再ルーティング、即ちパスD−Gに対する再ルーティングをトリガーする(ステップS607)。タイマがタイムアウトしていない場合は、ステップS604に戻って観察を継続する。ステップS605の判定結果が「YES」のときに、当該発呼要求及びノードDの発呼状態情報の中の既存の発呼の要求元、目的ノード、要求帯域をチェックし(ステップS608)、当該発呼要求がいずれかの既存の発呼とマッチングするかどうかを判定する(ステップS609)。マッチングする既存の発呼がある場合、ドメイン(2)がパス切替を行なっていると認定することができる。このときネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワーク状態レコード116から発呼要求によって要求されている新パスのドメイン(1)におけるソースノードと目的ノードとの間のサービス品質情報及び旧パスのドメイン(1)におけるソースノードと目的ノードとの間のサービス品質情報、例えば遅延又はパケットロス率を読み出して考察する(ステップS610)必要がある。遅延A-Gが遅延D-Gより小さくなく、且つ、ノードAとノードGの間のパケットロス率(即ちパケットロス率A-G)がパケットロス率D-Gより小さくない場合は、ドメイン内再ルーティング、即ちパスD−Gに対する再ルーティングを優先的にトリガーする(ステップS607)。遅延A-Gが遅延D-Gより小さい場合又はパケットロス率A-Gがパケットロス率D-Gより小さい場合は、ドメイン間再ルーティング、即ちパスA−Gの経路でパスD−Gを代替することを優先的にトリガーする(ステップS607)。マッチングする既存の発呼がない場合、当該発呼要求は新しい通信トラフィックがトリガーした発呼要求であり、ノード失敗イベントによるドメイン(2)のパス切替操作ではないと認定することができ、新発呼要求に対して新パスを確立する既存のポリシーに基づいて、当該発呼要求を処理するだけでよい。つまり、マッチングする既存の発呼がない場合は、ネットワークポリシーを修正する必要がないため、プログラムはステップS606に移ってタイマがタイムアウトしたかどうかをチェックし、タイムアウト判定結果に基づいて観察を継続するか又は観察を終了する。
【0038】
図6Bは、ネットワークマネジメントシステム(2)のイベント解析ユニット118がドメイン外パス失敗イベントを解析する処理のフローチャートである。イベント解析ユニット118は、まず現在のイベント、即ちドメイン外パス失敗イベントに基づいて、予見イベント処理テーブル117を検索して(ステップS601)、対応するマッチングテーブル項目を取得し、予見イベント処理テーブル117における処理サブプロセスによって対応する解析サブプロセスであるドメイン外パス失敗解析プロセスを取得し、当該プロセスをウェイクアップさせる(ステップS612)。ステップS601の検索イベントがその他のイベントである場合は、その他の解析サブプロセスをウェイクアップさせる(ステップS602)。
【0039】
そして、イベント解析ユニット118はドメイン外パス失敗解析プロセスに進み、予見イベント処理テーブル117におけるマッチングテーブル項目の後継観察時間0、後継観察データソースノードI、及び後継観察データタイプ伝送遅延情報に基づいて、ノードIからの伝送遅延情報を観察する(ステップS613)。図9における予見イベント処理テーブル117ではドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)の状況のみを示し、類似するドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)の状況は省略されている。したがって、ここでの後継観察データソースノードはドメイン(2)の境界ノードIであり、ドメイン(1)の境界ノードDではない。イベント解析ユニット118は、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116から、ノードIからドメイン(1)までの失敗パスに属しない冗長性境界ノード(即ちノードA)のサービス品質情報、例えば伝送遅延情報又はパケットロス率を選択的に読み出し(ステップS613)、ノードIとノードAの間の伝送遅延(即ち遅延I-A)がある所定値T2より小さいか、あるいはその間のパケットロス率(即ちパケットロス率I-A)がある所定値Pthより小さいか否かを判定する(ステップS614)。そのうち、T2及びPthの値は経験値に基づいて人的に設定することができ、例えばT2を最大スイッチング時間50ミリ秒に設定することができる。ステップS614の判定結果が「NO」のとき、通信トラフィックをパスD−GからパスA−Gに切り替えた場合通信品質低下の恐れがあるため、得られた解析結果はパスD−G回復待ちである(ステップ615)。ステップS614の判定結果が「YES」のとき、通信トラフィックをパスD−GからパスA−Gに切り替えた場合通信品質低下の恐れがなく、同時に大量の再ルーティングのトラフィックがあるノードに集中することによって引き起こす通信品質低下を防止することができるため、得られた解析結果はドメイン間再ルーティング、即ちパスA−GでパスD−Gを代替して通信トラフィックをパスA−Gに切替する必要がある。したがって、ドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)は、境界ノードIからノードAへ発呼要求を発信するように制御し(ステップ616)、ノードAからの発呼許可(ステップ617)又は発呼拒否(ステップ618)を待ち、発呼許可(ステップ617の判定結果が「NO」である)又は発呼拒否(ステップ618の判定結果が「NO」である)を受信するまで発呼要求のリトライを続ける。即ち、ステップ616に移す。ノードAからの発呼拒否を受信した(ステップS618の判定結果が「YES」である)後に、パスの切替を諦めてステップS615に移ってパスD−Gの回復を待つか、又はノードAからの発呼許可を受信した(ステップS617判定結果が「YES」である)後に、パス1(即ちH−J−I−D−G−K−M)の通信トラフィックをパス3(即ちH−J−I−A−G−K−M)に切り替える(ステップS619)。
【0040】
図6Aのネットワークマネジメントシステム(1)がドメイン内失敗イベントを解析処理するプロセスにおいては、図6Bのネットワークマネジメントシステム(2)がドメイン外パス失敗イベントを解析処理する最大可能な遅延、即ちタイマがタイムアウトしたか否かを判定する後続観察時間T1を待ち、それからドメイン(2)がパス切替の決定をするかどうかを判定する必要がある。図7はドメイン(1)においてドメイン(2)がアクセス要求イベントを発信することを待つ最大時間T1を計算する処理の例示的なフローチャートである。ドメイン(1)のネットワークマネジメントシステム(1)のイベント解析ユニット118は先ず、BGPを実行する境界ノードの経路表のようなすべての外部経路表をチェックして、ドメイン(1)においてドメイン(2)と連結しているすべての境界ノード、即ちノードA及びノードDを取得する(ステップS701)。その後、ネットワークトポロジー情報を検索することによってそれぞれノードA及びノードDからパス1のソースノードHに到達するホップ数及び距離を取得し、その中の最大ホップ数NMAX及び最大距離DMAXを選出する(ステップS702)。そして、後継観察時間T1を、最大キュー遅延、伝送遅延及びドメイン(2)のネットワークマネジメントシステム(2)に必要とされるイベント処理遅延の合計、即ち数式(1)になるように設置する(ステップS703)。
【0041】
【数1】

【0042】
数式(1)において、Nmaxは最大伝送ホップ数、Tavgは予見の平均1ホップあたりのキュー遅延、Dmaxは最大伝送距離、cは光速度、Tprは予見のイベント処理遅延である。予見イベント処理テーブル117の対応するテーブル項目(図9の予見イベント処理テーブルを参照)に計算して得られた時間値を書き込むことによって後継観察時間T1を設置することができる。
【0043】
以上では、ノード失敗時の処理プロセスについて説明したが、ノードが回復するときにも、通信ネットワークは相応の処理ポリシーを採る必要がある。図8はネットワークマネジメントシステム(1)のイベント解析ユニット118がドメイン内ノード回復イベントを解析する処理のフローチャートである。イベント解析ユニット118は先ず、現在のイベント、即ちドメイン内ノード回復イベントに基づいて、予見イベント処理テーブル117を検索し(ステップS801)、インデックスが12であるマッチングテーブル項目を取得し、予見イベント処理テーブル117の中の処理サブプロセスによって対応する解析サブプロセスであるドメイン内ノード回復解析プロセスを取得し、当該プロセスをウェイクアップさせる(ステップS803)。ステップS801の検索イベントがその他イベントである場合は、その他の解析サブプロセスをウェイクアップさせる(ステップS802)。
【0044】
そして、イベント解析ユニット118はドメイン内ノード回復解析プロセスに進み、予見イベント処理テーブル117の中のマッチングテーブル項目の後継観察時間T3、後継観察データソースノードA、ノードD及び後継観察データタイプノード負荷情報に基づいて、ノードA及びノードDからのノード負荷情報に対する観察を開始する(ステップS804)。イベント解析ユニット118は、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116から、ノードA及びノードDからのノード負荷情報のみを選択的に読み出して後継観察時間T3の時間帯内における平均値、即ちノードAの平均負荷LA及びノードDの平均負荷LDを計算する。そして、ノードA及びノードDの平均負荷の差が所定値Lthより大きいかどうかを判定する(ステップS805)。そのうち、T3の値は経験値に基づいて人的に設定することができる。例えばT3には100個のサンプリングポイントが含まれ、サンプリング時間は通常数ナノ秒である。ステップS805の判定結果が「NO」である場合は、ノードA及びノードDの負荷割り当てが比較的に均一で、通信トラフィックをノードAからノードDに切替する必要がないことを示す。したがって、得られた解析結果はノードFの回復だけのためにドメイン内再ルーティングをトリガーする(ステップ806)。ステップS805の判定結果が「YES」である場合は、ノードAの現在の負荷が大きすぎて、一部の通信トラフィックをノードAからノードDに切替する必要があることを示す。したがって、得られた解析結果はパスD−Gの経路重みを高くするとともにドメイン内再ルーティングをトリガーし(ステップ807)、これによってさらに多くの通信トラフィックをパスD−G、即ちノードDを経由させてノードAの負荷を下げ、ネットワークの性能を向上させる。
【0045】
図9は例示的なネットワークマネジメントシステムにおける予見イベント処理テーブル117であり、各テーブル項目を索引するインデックスを含み、ネットワークマネジメントシステムによって識別と処理が可能なイベントタイプ、異なるイベントタイプに対してウェイクアップすべき解析処理プログラムの処理サブプロセス、異なるイベントタイプを処理する際にネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116の情報を継続して読み出す必要のある時間長さの後継観察時間、異なるイベントタイプを処理する際にネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116の情報を継続して読み出す必要のある報告元の後継観察データソース、及び異なるイベントタイプを処理する際にネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116の情報を継続して読み出す必要のあるデータタイプの後継観察データタイプが定義されている。
【0046】
以下、図10〜図12に基づいて実施例2について説明する。
【0047】
<実施例2:複数の経路が使用可能なときには同時に採用する>
実施例2のネットワーク構成図、時系列図、イベントを監視解析しネットワークポリシーを修正するフローチャート、ドメイン外パス失敗イベントを解析処理するフローチャート、待ち時間T1を計算するフローチャート、ドメイン内ノード回復イベントを解析処理するフローチャート、及びネットワークマネジメントシステムにおける予見イベント処理テーブルは、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
図10A及び図10Bは、マルチドメインネットワークにおけるクロスドメインパスが失敗する際に通信ネットワークが実行する可能性のあるドメイン内再ルーティングパスとドメイン間再ルーティングパスを同時に用いたマルチパス再ルーティング方法を示す。
【0049】
図10Aは、実施例2に基づいたマルチドメインネットワーク構成図及びクロスドメインパスである。図10Aには通信ネットワークドメイン(1)、通信ネットワークドメイン(2)及び通信ネットワークドメイン(3)が含まれている。異なるドメインは、ドメイン内の通信ノードを管理するそれぞれ独立したネットワークマネジメントシステムを有する。ドメイン(1)はノードA、ノードB、ノードC、ノードD、ノードE、ノードF、ノードG及びノードPを含み、ドメイン(2)はノードH、ノードI及びノードJを含み、そしてドメイン(3)はノードK、ノードL及びノードMを含む。そのうち、ドメイン(1)とドメイン(2)は境界ノードA、D、P及びIによって連結されており、ドメイン(2)とドメイン(3)は境界ノードG及びKによって連結されている。一つのドメインにおいて、境界ノードだけがその他のドメインの境界ノードと通信することができ、ドメインの中のその他のノード、例えばB、C、E、F、H、J、L及びMはドメインの中間ノードと称する。ネットワークにはクロスドメインパスであるパス1が存在し、パスのソースノードHからスタートして、ノードJ、I、D、E、F、G、Kを経由してパスの目的ノードMに到達する。通信トラフィックはパス1を通じてソースノードHから目的ノードMに確実で高効率に伝送される。パス1の確立及び削除は以上の三つのドメインによって共同で行なわれ(RFC2205、Resource ReserVation Protocol,1997を参照)、例えばドメイン(1)はDからGまでのパス(以下パスD−Gと称する)、ドメイン(2)はHからIまでのパス、ドメイン(3)はKからMまでのパスを確立し、そして境界ノードはこれらのパスを連結して完全なパス1を形成する。
【0050】
図10Bに示すように、ドメイン(1)の中のノードFが停電又は故障を原因として失敗した場合、ドメイン(1)及びドメイン(2)はいずれも当該失敗イベントを認識してそれに相応する処理を行なう。実施例1と異なる点は、ドメイン(1)は複数の可能な再ルーティングパスから一つのみを選択して再ルーティングを行なう必要がなく、複数のパスを同時に使用して再ルーティングを行ない、これらのパスの間でトラフィックのバランスが取れるようにして、ドメイン内にノード失敗がある場合に通信トラフィックをもっとよく分流させ、大量の通信トラフィックに対して再ルーティングを行なうときに引き起こすネットワークの輻輳を防止することである。例えば、ドメイン(2)は境界ノードIを介してドメイン(1)に新しい発呼要求を送信し、境界ノードIの次のポップの経路をノードAに変えたいが、ドメイン(1)はAからGまでのパス(以下パスA−Gと称する)とPからGまでのパス(以下パスP−Gと称する)を同時に新たに確立し、旧パスD−G(図11の解析フローチャートを参照)を削除する。新しいパスA−GとパスP−Gを確立する際に、ドメイン(1)は発呼要求を受信する境界ノード、例えばノードAを経由して利用可能な境界ノード(即ちノードAとノードP)、複数のパス(即ちパスA−GとパスP−G)及び各パスの重みを含む発呼許可をドメイン(2)に送信してドメイン(2)の境界ノードIからの発呼要求に応答し、これによってドメイン(2)の境界ノードIが発呼許可を受信した後に、パス1を経由して伝送された元の通信トラフィックをパス重みの比例に応じてパス3とパス4に切替し割り当てる。即ちノードAとノードPにデータ伝送を行なう。当然ながら、ドメイン(2)が新しい発呼要求をドメイン(1)に発信しなかった場合、ドメイン(1)はドメイン内再ルーティングのみによってDからGまでのパス(以下パスD−Gと称する)を回復することも可能である。後者は実施例1のケースと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
以下、複数のパスを利用して再ルーティングを行なう状況について説明する。ノード失敗イベントが発生した後に、イベント解析ユニット118はネットワークイベントとネットワーク状態について解析を行なう。その具体的な解析プロセスは図11に示すとおりである。関連する解析プロセス及びパラメータタイプは予見イベント処理テーブル117の中に記憶されている予見情報でよい(図9の予見イベント処理テーブルを参照)。
【0052】
イベント解析ユニット118は先ず、現在のイベント、即ちドメイン内ノード失敗イベントに基づいて、予見イベント処理テーブル117を検索して(ステップS1101)、インデックスが11であるマッチングテーブル項目を取得し、そして予見イベント処理テーブル117の中の処理サブプロセスによって対応する解析サブプロセスであるドメイン内ノード失敗解析プロセスを取得し、当該プロセスをウェイクアップさせる(ステップS1103)。ステップS1101の検索イベントがその他のイベントである場合は、図9のその他のテーブル項目の処理サブプロセスのようなその他の解析サブプロセスをウェイクアップさせる(ステップS1102)。
【0053】
その後、イベント解析ユニット118はドメイン内ノード失敗解析プロセスに進み、予見イベント処理テーブル117の中のマッチングテーブル項目の後継観察時間T1、後継観察データソースノードA、ノードD、ノードP、及び後継観察データタイプ発呼状態情報とパスサービス品質情報に基づいて、ノードA、ノードD及びノードPからの発呼状態情報を観察するとともにタイマを始動させる(ステップS1104)。イベント解析ユニット118は、ネットワークマネジメントシステムメモリの中のネットワークイベントレコード115及びネットワーク状態レコード116から、ノードA、ノードD及びノードPからの発呼状態情報のみを選択的に読み出し、その中に失敗パスに属しない冗長性境界ノード(即ちノードA又はノードP)からの新しい発呼要求が含まれているかどうかをチェックする(ステップS1105)。ステップS1105の判定結果が「NO」の場合は、タイマが後継観察時間T1を超えたかどうかをチェックする(ステップS1106)。タイマがタイムアウトした場合は、設定時間T1内にドメイン(2)はずっとパス切替を行なっていないと認定し、得られた解析結果はドメイン内再ルーティング、即ちパスD−Gに対する再ルーティングのトリガー(ステップS1107)である。タイマがタイムアウトしていない場合は、ステップS1104に戻って観察を継続する。ステップS1105の判定結果が「YES」のときに、当該発呼要求及びノードDの発呼状態情報の中の既存の発呼の要求元、目的ノード、要求帯域をチェックし(ステップS1108)、当該発呼要求がいずれかの既存の発呼とマッチングするかどうかを判定する(ステップS1109)。マッチングする既存の発呼がある場合は、ドメイン(2)がパス切替を行なっていると認定することができる。このとき可能な複数のパスを計算する必要があり、ネットワーク状態レコード116からこれらのパスのサービス品質情報を読み出して各パスの重みを計算する(ステップS1110、図12の計算フローチャートを参照)。その後、複数のパスを利用したドメイン間再ルーティング、即ちパスA−GとパスP−Gの経路でパスD−Gを代替することをトリガーする(ステップS1111)。マッチングする既存の発呼がない場合は、当該発呼要求は新しい通信トラフィックがトリガーした発呼要求であり、ノード失敗イベントによるドメイン(2)のパス切替操作ではないと認定することができ、新しい発呼要求に対して新パスを確立する既存のポリシーに基づいて当該発呼要求を処理するだけでよい。つまり、マッチングする既存の発呼がない場合は、ネットワークポリシーを修正する必要がないため、プログラムはステップS1106移ってタイマがタイムアウトしたかどうかをチェックし、タイムアウト判定結果に基づいて観察を継続するか、あるいは観察を中止する。
【0054】
前記プロセスにおける可能な複数の経路と重みを計算するフローチャートは図12に示すとおりである。
【0055】
イベント解析ユニット118は先ず、BGPを実行する境界ノードの経路表のようなすべての外部経路表をチェックし、ドメイン(1)の中にドメイン(2)と連結しているすべての境界ノード即ちノードA、ノードD及びノードPを取得し、元のパスが経由する境界ノードDを削除し、これによってすべての冗長性境界ノードであるノードAとノードPを取得する(ステップS1201)。その後、境界ノードA及びPから目的ノードGまでのパスA−G及びパスP−Gを計算し(ステップS1202)、サービス品質情報を検索し、各パスの遅延、即ち遅延A-G及び遅延P-Gを計算する(ステップS1203)。ステップS1203の計算過程において、パスnの遅延は下記の数式(2)で表すことができる。
【0056】
【数2】

【0057】
数式(2)において、dxyはパスnの二つの隣接ノードxとyの間のリンク遅延である。そしてパスiの重みをさらに下記の数式(3)で定義することができる(ステップS1204)。
【0058】
【数3】

【0059】
数式(3)において、Piはパスiの重み、diはパスiの遅延、dnはパスnの遅延、nの値はステップS1202において計算して得られたすべての可能なパスであり、本実施例においてはn∈{3、4}である。上記の計算が終わった後に、ノードAのような発呼要求を受信した境界ノードを介して、利用可能な境界ノード(即ちノードA及びノードP)、複数のパス(即ちパスA−G及びパスP−G)及び各パスの重み(即ちP3及びP4)を含む発呼許可をドメイン(2)に送信することで、ドメイン(2)のノードIからの発呼要求に応答することができる(ステップS1205)。
【0060】
上記の本発明の代表的な形態を以下に例示する。
【0061】
本発明に係る通信パス制御装置は、通信ネットワークにおける各ドメインに対応して設置され、ドメイン内の通信パスを制御する通信パス制御装置であって、通信ネットワークにおける通信ノードに接続され、監視報告を受信するとともに制御信号を送信する制御インターフェースと、前記制御インターフェースから受信した監視報告情報をネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードとして記憶し、予見イベントの分類及び処理方法を予見イベント処理テーブルとして記憶するメモリ部と、前記予見イベント処理テーブルに基づいて、前記ネットワークイベントレコード及び前記ネットワーク状態レコードを解析することによってパス制御ポリシーを取得し、制御インターフェースを介して前記通信ネットワークにおける通信ノードに制御信号を送信して前記パス制御ポリシーを実行する制御部と、を備える。
【0062】
前記通信パス制御装置において、イベント内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、第一所定時間内に近傍ドメインがノード失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっていると判定した場合、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパスのサービス品質情報及び旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパスのサービス品質情報に基づいて、パス制御ポリシーを決定する。
【0063】
前記通信パス制御装置において、イベント内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、近傍ドメインからの新しい発呼要求及び既存の発呼要求の要求元、目的ノード並びに要求帯域が同じであるか否かを判定し、同じであると判定した場合は、近傍ドメインはノード失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっており、前記既存の発呼要求は当該ドメインの中の一つの境界ノードを経由して受信した要求で、前記新しい発呼要求は当該ドメインの中のそのほかの境界ノードを経由して受信した要求である。
【0064】
前記通信パス制御装置において、前記サービス品質情報に遅延及びパケットロス率が含まれている場合、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延が旧パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延以上であり、且つ、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率が旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率以上であるとき、前記制御部はドメイン内再ルーティングをトリガーし、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延が旧パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延より小さいか、又は、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率が旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率より小さいとき、前記制御部はドメイン間再ルーティングをトリガーする。
【0065】
前記通信パス制御装置において、イベント外ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、前記ネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードから、当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの中のノード失敗影響を受けた旧パスに属しない境界ノードである冗長性境界ノードとの間のサービス品質情報を読み出し、当該サービス品質情報に基づいて、前記冗長性境界ノードに前記冗長性境界ノードへのパス切替の発呼要求を発信するか否かを決定し、前記制御部は、前記冗長性境界ノードに発呼要求を発信し、近傍ドメインからの発呼許可を受信した場合、前記旧パスの通信トラフィックをパス切替後のパスに切り替える。
【0066】
前記通信パス制御装置において、前記サービス品質情報に遅延及びパケットロス率が含まれている場合、当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの前記冗長性境界ノードとの間の伝送遅延が第一所定値より小さいか、又は、当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの前記冗長性境界ノードとの間のパケットロス率が第二所定値より小さいとき、前記制御部は、前記冗長性境界ノードに前記冗長性境界ノードへのパス切替の発呼要求を発信することを決定する。
【0067】
前記通信パス制御装置において、ドメイン内失敗ノードが回復した後に、前記制御部は、前記ネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードから二つの境界ノードからのノード負荷情報を読み出し、当該二つの境界ノードの第二所定時間内における平均値をそれぞれ計算し、前記二つの平均値の差が第三所定値より大きい場合、平均値の小さいノードが含まれているドメイン内パスの経路重みを高くして、ドメイン内再ルーティングをトリガーする。
【0068】
前記通信パス制御装置において、ドメイン内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、第一所定時間内に近傍ドメインがノードの失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっており且つ当該ドメインと近傍ドメインとの間に二つ以上の可能な再ルーティングパスが存在すると判定した場合、前記ネットワーク状態レコードからこれらのパスのサービス品質情報を読み出して各パスの重みを計算し、その後複数のパスを用いたドメイン間再ルーティングをトリガーする。
【0069】
例えば、ネットワークにおけるドメイン(1)にノード失敗が発生し、ドメイン(1)及びドメイン(2)を跨るパスが使用不可能になった場合、ドメイン(2)はパス切替を行なう可能性があり、失敗したパスの経由する境界ノード以外のその他の利用可能な境界ノードに発呼要求を発信する。このとき、ドメイン(1)がドメイン(2)からの発呼イベントとノード失敗イベントとをそれぞれ独立したイベントとして処理すると、当該発呼が要求するパスを新たに確立する同時に旧パスを再ルーティングする必要がある。即ち、同一の通信トラフィックを伝送するために二つのパスが同時に存在し、ネットワークリソースが無駄になる。逆に、ドメイン(1)が、当該発呼イベントは新たに到着した通信トラフィックによってトリガーされたイベントではなく、ノード失敗イベントによる近傍ドメインの保護動作であると判定した場合、当該発呼の要求するパスを新たに確立すると同時に旧パスを削除して、リソースの無駄を抑制することができる。
【0070】
その他の幾つかの設計において、ドメイン(2)は上述の情報をドメイン(1)に通知することもある。しかし、ドメイン(1)とドメイン(2)の運行管理維持の情報交換が利用不可能なときにはこのようなイベント組み合わせの監視及び解析が必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおけるそれぞれのドメインに対応して設置され、ドメイン内の通信パスを制御する通信パス制御装置であって、
通信ネットワークにおける通信ノードに接続され、監視報告を受信するとともに制御信号を送信する制御インターフェースと、
前記制御インターフェースから受信した監視報告情報をネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードとして記憶し、予見イベントの分類及び処理方法を予見イベント処理テーブルとして記憶するメモリ部と、
前記見イベント処理テーブルに基づいて、前記ネットワークイベントレコード及び前記ネットワーク状態レコードを解析することによってパス制御ポリシーを取得し、制御インターフェースを介して前記通信ネットワークにおける通信ノードに制御信号を送信して前記パス制御ポリシーを実行する制御部と、を備えることを特徴とする通信パス制御装置。
【請求項2】
ドメイン内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、第一所定時間内に近傍ドメインがノード失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっていると判定した場合、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパスのサービス品質情報及び旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパスのサービス品質情報に基づいて、パス制御ポリシーを決定することを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項3】
ドメイン内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、近傍ドメインからの新しい発呼要求及び既存の発呼要求の要求元、目的ノード並びに要求帯域が同じであるか否かを判定し、同じであると判定した場合、近傍ドメインはノード失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっており、
前記既存の発呼要求は当該ドメインにおける一つの境界ノードを経由して受信した要求であり、
前記新しい発呼要求は当該ドメインにおける他の一つの境界ノードを経由して受信した要求であることを特徴とする請求項2に記載の通信パス制御装置。
【請求項4】
前記サービス品質情報に遅延及びパケットロス率が含まれている場合、
近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延が旧パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延以上であり、且つ、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率が旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率以上であることをトリガーとして、前記制御部は、ドメイン内再ルーティングを開始し、
近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延が旧パスにおける当該ドメインの中の部分の遅延より小さいか、又は、近傍ドメインの希望切替パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率が旧パスにおける当該ドメインの中の部分のパケットロス率より小さいことをトリガーとして、前記制御部は、ドメイン間再ルーティングを開始することを特徴とする請求項2に記載の通信パス制御装置。
【請求項5】
ドメイン外ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、前記ネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードから、当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの中のノード失敗影響を受けた旧パスに属しない境界ノードである冗長性境界ノードとの間のサービス品質情報を読み出し、当該サービス品質情報に基づいて、前記冗長性境界ノードに前記冗長性境界ノードへのパス切替の発呼要求を発信するか否かを決定し、
前記制御部は、前記冗長性境界ノードに発呼要求を発信し、近傍ドメインからの発呼許可を受信した場合、前記旧パスの通信トラフィックをパス切替後のパスに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項6】
前記サービス品質情報に遅延及びパケットロス率が含まれている場合、
当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの前記冗長性境界ノードの間の伝送遅延が第一所定値より小さいか、又は、当該ドメインの境界ノードから近傍ドメインの前記冗長性境界ノードとの間のパケットロス率が第二所定値より小さいとき、前記制御部は、前記冗長性境界ノードに冗長性境界ノードへのパス切替の発呼要求を発信することを決定することを特徴とする請求項5に記載の通信パス制御装置。
【請求項7】
ドメイン内失敗ノードが回復した後に、前記制御部は、前記ネットワークイベントレコード及びネットワーク状態レコードから、二つの境界ノードからのノード負荷情報を読み出し、当該二つの境界ノードの第二所定時間内における平均値をそれぞれ計算し、前記二つの平均値の差が第三所定値より大きい場合、平均値の小さいノードが含まれているドメイン内パスの経路重みを高くして、ドメイン内再ルーティングを開始することを特徴とする請求項2に通信パス制御装置。
【請求項8】
ドメイン内ノード失敗が発生した後に、前記制御部は、第一所定時間内に近傍ドメインがノード失敗影響を受けた旧パスに対してパス切替を行なっており、且つ、当該ドメインと近傍ドメインとの間に二つ以上の再ルーティング可能なパスが存在すると判定した場合、前記ネットワーク状態レコードからこれらのパスのサービス品質情報を読み出して各パスの重みを計算し、その後複数のパスを利用したドメイン間再ルーティングを開始することを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項9】
前記ネットワークイベントにはドメイン内ノード失敗、ドメイン内ノード回復、及びドメイン外パス失敗が含まれているほかに、さらにVirtual Private Networkの確立、Virtual Private Networkの削除、輻輳及び輻輳削除が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項10】
前記ネットワーク状態は、ネットワークが時間的に継続している状態変量に対してサンプリングして得られたサンプリング値であり、発呼状態、ノード負荷、伝送帯域、パケットロス率、遅延及びアクセストラフィック帯域を含むことを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項11】
前記第一所定時間は近傍ドメインが発呼イベントを発信することを待つ最大時間であることを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。
【請求項12】
前記予見イベント処理テーブルは複数のテーブル項目を含み、それぞれのテーブル項目にはインデックス、イベントタイプ、処理サブプロセス、後継観察時間、後継観察データソース及び後継観察データタイプが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の通信パス制御装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−38767(P2013−38767A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101496(P2012−101496)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】