説明

通信方式選択方法、通信方式選択装置及び通信方式選択プログラム

【課題】最適な通信環境を有する通信方式を随時選択することを可能とする。
【解決手段】監視手段12により通信状態を監視し、通信状態が悪化したとき場合に、通信方式選択手段13により通信中の通信方式とは異なる通信可能な通信方式を選択することにより、適宜最適な通信環境を有する通信方式に変更して通信を継続することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加入者回線を介して通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択する通信方式選択方法、通信方式選択装置、通信方式選択プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
加入者回線を介した通信において、電話網を介したアナログ音声通話方式に加えて、インターネットを介したIP(Internet Protocol)電話等による通信方式が普及してきている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−155034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加入者回線に接続された電話機では、従来一つの通信方式しか利用することができないため、通信方式を適宜選択して通信を行うことができなかった。
【0004】
また、使用中の通信方式の通信状態が悪化したときなどには、その通信方式による通信を一度切断してから再度通信を試みる必要があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、加入者回線を介して通信を行う複数の通信方式から最適な通信環境を有する通信方式を随時選択することができる通信方式選択方法、通信方式選択装置、通信方式選択プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明に係る通信方式選択方法は、加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択するときの通信方式選択方法であって、前記音声通信の通信状態を監視するステップと、通信状態が悪化したときには、通信中の通信方式とは異なる通信可能な通信方式を選択するステップと、選択した前記通信方式による接続を通信先へ要求するステップと、前記接続が成立したことを確認するステップと、選択した前記通信方式を用いて音声通信を行うステップとからなることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、通信状態を監視し、通信中の通信方式とは異なる通信方式を選択することにより、通信中の通信方式の通信状態が悪化した場合等、適宜最適な通信環境を有する通信方式に変更して通信を継続することが可能になる。
【0008】
上記通信方式選択方法の前記通信方式を選択するステップにおいて、選択することのできる通信方式を記憶した通信方式記憶手段から前記通信方式を読み出し、選択する通信方式の優先順位を記憶した優先順位記憶手段を参照して通信方式を選択することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、利用可能な通信方式を記憶した通信方式記憶手段から通信方式を読み出し、通信方式の優先順位を記憶した優先順位記憶手段を参照して通信方式を選択することにより、利用者が所望の通信方式を予め設定し、複数の通信方式の中から自動的に最適な通信方式を選択することが可能になる。
【0010】
上記通信方式選択方法において、選択する通信方式の入力を受け付けるステップをさらに有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、通信方式の入力を受け付けることにより、通信中の通信方式を変更する際、適宜利用者の希望する通信方式への変更を行うことが可能になる。
【0012】
第2の本発明に係る通信方式選択装置は、加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択する通信方式選択装置であって、前記音声通信の通信状態を監視する通信状態監視手段と、通信中の通信方式とは異なる通信可能な通信方式を選択する通信方式選択手段と、選択した前記通信方式による接続を通信先へ要求する接続要求手段と、前記接続が成立したことを確認する接続確認手段と、選択した前記通信方式を用いて音声通信を行う通信手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記通信方式選択装置において、前記通信方式選択手段が選択することのできる通信方式を予め記憶しておく通信方式記憶手段と、前記通信方式選択手段が通信可能な通信方式を選択する際の優先順位を予め記憶しておく優先順位記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
上記通信方式選択装置において、選択する通信方式の入力を受け付け、当該通信方式を前記通信方式選択手段へ出力する通信方式入力手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
第3の本発明に係る通信方式選択プログラムは、上記の通信方式選択方法を、加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択する通信方式選択装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加入者回線を介して通信を行う複数の通信方式から最適な通信環境を有する通信方式を随時選択することができる通信方式選択方法、通信方式選択装置、通信方式選択プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信方式選択装置1の構成を表すブロック図である。同図に示す通信方式選択装置1は、加入者回線である加入電話回線3に接続されており、この加入電話回線3が利用可能かどうかを常時監視している通信手段11と、通信方式の識別および選択を行う通信方式選択手段13とを少なくとも有する。
【0019】
図1に示した通信方式選択装置1は、前述した各手段に加えて、さらに加入電話回線3を介してアナログ音声通話、VoIP(Voice over IP)等の複数の通信方式からの信号を受信する場合、この受信した信号を識別する識別情報を通信方式選択手段13に送信して、その信号を送信する通信方式の識別および選択を要求する監視手段12と、予め設定された利用可能な通信方式を記憶する通信方式記憶手段14と、予め設定された通信方式の使用優先順位を記憶する優先順位記憶手段15とを有する。
【0020】
なお、通信方式選択装置1は中央処理装置やメインメモリを備えたコンピュータから構成されており、以下説明する各種処理を実行する上で必要なプログラムが保存されている。このプログラムは、例えばCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。
【0021】
また、通信方式選択装置1の形態としては、前述した構成を有する単一の専用装置から成り、電話機等の端末に接続される場合と、その構成を電話機内に具備した場合とがあるが、いずれの場合にも同様の効果を得ることができるのは勿論である。
【0022】
以上の構成を有する通信方式選択装置1について、まず着信時の通信方式選択装置1の動作を説明する。
【0023】
通信手段11が着信信号を受信すると、監視手段12が受話器を上げることにより生じるオフフック信号を感知し、着信した通信方式の識別を通信方式選択手段13に要求する。
【0024】
着信した通信方式を識別するための識別情報として監視手段12が通信方式識別手段13に送信するものとしては、通信方式固有の情報を与えることのできるものであればよい。例えば、通信方式によって使用される信号ごとに周波数帯域を決めておき、着信時にどの周波数帯域の信号を受信したかを識別情報として用いることができる。
【0025】
この他にも、各通信方式に対応するプロトコルを決めておき、着信した信号に係るプロトコルの情報(ヘッダ情報等)を用いてもよいし、ISDN(Integrated Services Digital Network)の基本インタフェースにおけるパケットデータ用チャネル(Dチャネル)のように、通信方式別に送信される固有の制御信号を識別情報として用いることもできる。
【0026】
上記以外にも、各信号に対応して通信回線に供給される電圧の値や、信号ごとに定められた周波数合成信号、あるいは信号の一定時間における極性反転数などを識別情報として用いることも可能である。
【0027】
本実施形態においては、上述したいずれの識別情報を用いたとしても同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0028】
識別情報を受信した通信方式選択手段13は、予め使用可能な通信方式を記憶した通信方式記憶手段14の情報と、予め設定された各通信方式の使用優先順位を記憶した優先順位記憶手段15の情報とに基づいて着信した通信方式の識別を行い、その結果を監視手段12に送信する。
【0029】
この結果を受信した監視手段12は、着信した通信方式に基づいて通信を行うよう通信手段11に要求し、通信手段11が着信した通信方式に従って通信を行う。
【0030】
次に、使用している通信方式での通信が困難になったときに通信方式の変更を行う場合の通信方式選択装置1の動作について説明する。
【0031】
この場合、通信回線自身が利用可能かどうかを常時監視している通信手段11が、監視手段12に対して現在使用中の通信回線以外の通信方式を依頼し、監視手段12はこの依頼を受けて、どの通信方式に変更するかの選択を通信方式選択手段13に要求する。
【0032】
通信方式選択手段13は、通信方式記憶手段14の情報と優先順位記憶手段15の情報とに基づいて変更する通信方式を決定する。
【0033】
この決定結果を受信した監視手段12は、通信方式変更通知が相手端末に着信し、接続が成立したことを確認するまでは現状の通信方式を維持し、接続成立後新通信方式に通信を変更し、それまで使用していた通信方式については切断するよう通信手段11へ通知する。
【0034】
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、使用可能な通信方式をその優先順位とともに記憶しておくことにより、通信状況の変化に即して最適な通信方式を自動的に選択することが可能になる。
【0035】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る通信方式選択装置2の構成を表すブロック図である。同図に示す通信方式選択装置2は、図1に示した通信方式選択装置1に具備された各手段に加え、外部から通信方式を任意に設定することのできる通信方式入力手段26を有するものである。
【0036】
なお、通信方式選択装置1と同じ名称の各手段の機能については通信方式選択装置1と同じであり、それらについては図2で示す各手段の符号の下1桁が、図1で対応する手段を示す符号の下1桁と揃うように表示してある。
【0037】
以上の構成を有する通信方式選択装置2の動作において、上記通信方式選択装置1の動作と異なる点は、通信方式選択手段23がどの通信方式に変更するかの決定を行う際、通信方式入力手段26により外部から入力されて設定された通信方式がある場合には、この情報と通信方式記憶手段24に記憶された通信方式に関する情報とに基づいて最適な通信方式を決定する点である。
【0038】
この結果、通信方式選択装置2においては、通信方式選択装置1と同様の効果が得られることに加え、通信時の状況に応じて利用者が変更を希望する通信方式を通信方式入力手段により適宜選択することが可能になる。
【0039】
図3は、上述した通信方式選択装置2同士が通信を行っている場合の構成を表すブロック図である。以下では通信網7を介して通信を行う二つの通信方式選択装置2を区別するために、それぞれA、Bを符号に付与して通信方式選択装置2A、2Bと称する。なお、各装置を構成する通信手段21を始めとした各手段についてもこれに準じ、手段を表記する符号にそれぞれA、Bを付け加えることとする。
【0040】
図4は、図3に示した二つの通信方式選択装置2Aおよび2Bが、通信中に通信方式を変更するときの信号の流れを表すシーケンス図である。
【0041】
この場合、通信の開始時、または途中で通信方式変更通知を相手側の通信方式選択装置に送信することにより随時通信方式を変更することが可能となる。
【0042】
以後、便宜上通信方式の変更を最初に通知する側の通信方式選択装置を2B、この通信方式選択装置2Bから通信方式の変更通知を受信する側の通信方式選択装置を2Aと称する。
【0043】
通信選択装置2Bは、通信中の通信選択装置2Aに対して通信手段21Bによって通信方式変更依頼通知を送信する(ステップd1)。
【0044】
通信方式選択装置2Bから通信方式変更通知を受信した通信手段21Aは、監視手段22Aに対して、現在使用している通信方式(以後、通信方式1と称する)以外で使用可能な通信方式の選択を依頼し、監視手段22Aはどの通信方式で通信を行うことが可能か選択するよう通信方式選択手段23Aに要求する。
【0045】
通信方式選択手段23Aは、通信方式記憶手段24Aおよび優先順位記憶手段25Aの情報と、受信した通信方式変更通知とに基づいて利用可能な通信方式を選択し、その結果を監視手段22Aに送信する。
【0046】
選択された通信方式は、その後監視手段22Aから通信手段21Aを介して通信方式選択装置23Bに送信される(ステップd3)。
【0047】
通信方式選択装置2Bは、通信方式選択装置2Aから受信した利用可能な通信方式の情報に基づいて、通信方式記憶手段24Bおよび優先順位記憶手段25Bを用いて変更する通信方式を決定し、決定した通信方式(以後、通信方式2と称する)を通信方式選択装置2Aに通知することにより、通信方式変更予約を行う(ステップd5)。
【0048】
通信方式選択装置2Aは通信方式2への変更予約通知を受信して、予約完了通知を通信方式選択装置2Bに送信する(ステップd7)。
【0049】
通信方式選択装置2Bは、通信方式2により通信方式選択装置2Aへの接続を試みる(ステップd9)。
【0050】
接続要求を受けた通信方式選択装置2Aは、通信方式2による接続が成立した時点で接続成立が完了したことを通知する接続完了通知を通信方式選択装置2Bに送信する(ステップd11)。
【0051】
通信方式選択装置2Bは、接続完了通知を受信すると、新たに接続した通信方式2で通信を開始するとともに、それまで用いていた通信方式1の切断要求を通信方式選択装置2Aへ送信する(ステップd13)。
【0052】
通信方式選択装置2Aは、受信した切断要求に基づき、通信方式1を通信手段21Aによって切断する。
【0053】
以上により、通信方式1から通信方式2への変更が、通信を中断することなく完了する。
【0054】
図4を用いて説明した上記通信方式選択装置同士の通信方式変更処理によれば、新たに選択された通信方式への接続が確認されるまでは現状の通信方式を維持し、接続確認が終了後に新通信方式へ移行するとともに現通信方式を切断することで、利用者が通信時に最適な通信方式を用いた通信を行うことが可能となる。
【0055】
なお、ここでは通信方式選択装置2を用いた場合につき説明したが、通信方式選択装置1を用いても同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0056】
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、通信時の状況に応じて利用者が変更を希望する通信方式を適宜選択することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態によれば、特に通信方式選択装置同士の通信中に通信方式を変更する際、新たに選択された通信方式への接続が確認されるまでは現状の通信方式を維持し、接続確認が終了後に新通信方式へ移行するとともに現通信方式を切断することにより、利用者が最適な通信環境を有する通信方式に随時変更することが可能となる。
【0058】
以上説明した本発明によれば、加入者回線を介して通信を行う複数の通信方式から最適な通信環境を有する通信方式を随時選択することができる通信方式選択方法、通信方式選択装置、通信方式選択プログラムを提供することができる。
【0059】
また、本発明によれば、複数の通信方式をサポートした通信方式選択装置を用いることにより、通信コスト、通信品質、および通信時のセキュリティを重視した通信を利用者が選択して利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信方式選択装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る通信方式選択装置の構成を示すブロック図である。
【図3】通信方式選択装置同士が通信網を介して接続された場合のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】通信方式選択装置同士の通信中に使用中の通信方式を変更する場合の処理の流れを表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0061】
1、2…通信方式選択装置
11、21…通信手段
12、22…監視手段
13、23…通信方式選択手段
14、24…通信方式記憶手段
15、25…優先順位記憶手段
26…通信方式入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択するときの通信方式選択方法であって、
前記音声通信の通信状態を監視するステップと、
通信状態が悪化したときには、通信中の通信方式とは異なる通信可能な通信方式を選択するステップと、
選択した前記通信方式による接続を通信先へ要求するステップと、
前記接続が成立したことを確認するステップと、
選択した前記通信方式を用いて音声通信を行うステップと
からなることを特徴とする通信方式選択方法。
【請求項2】
前記通信方式を選択するステップにおいて、選択することのできる通信方式を記憶した通信方式記憶手段から前記通信方式を読み出し、選択する通信方式の優先順位を記憶した優先順位記憶手段を参照して通信方式を選択することを特徴とする請求項1記載の通信方式選択方法。
【請求項3】
選択する通信方式の入力を受け付けるステップをさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の通信方式選択方法。
【請求項4】
加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択する通信方式選択装置であって、
前記音声通信の通信状態を監視する通信状態監視手段と、
通信中の通信方式とは異なる通信可能な通信方式を選択する通信方式選択手段と、
選択した前記通信方式による接続を通信先へ要求する接続要求手段と、
前記接続が成立したことを確認する接続確認手段と、
選択した前記通信方式を用いて音声通信を行う通信手段と
を備えたことを特徴とする通信方式選択装置。
【請求項5】
前記通信方式選択手段が選択することのできる通信方式を予め記憶しておく通信方式記憶手段と、
前記通信方式選択手段が通信可能な通信方式を選択する際の優先順位を予め記憶しておく優先順位記憶手段と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の通信方式選択装置。
【請求項6】
選択する通信方式の入力を受け付け、当該通信方式を前記通信方式選択手段へ出力する通信方式入力手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の通信方式選択装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載の通信方式選択方法を、加入者回線を介して音声通信を行う複数の通信方式から通信可能な通信方式を選択する通信方式選択装置に実行させることを特徴とする通信方式選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−181233(P2007−181233A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35161(P2007−35161)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【分割の表示】特願2002−56389(P2002−56389)の分割
【原出願日】平成14年3月1日(2002.3.1)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】