説明

通信機および通信方法

【課題】OFDM方式の通信において、PAPRの最大値を低減し、さらにPAPRを低減するための処理を簡易化する。
【解決手段】変調部11は入力信号から変調信号を生成し、直並列変換部12は変調信号からサブキャリア変調信号を生成する。データ生成部14は任意の複素数から挿入用データおよび列ベクトルを生成する。挿入部13は挿入用データをサブキャリア変調信号に挿入する。IFFT部15はサブキャリア変調信号および挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号を逆高速フーリエ変換して、第1、第2データを生成する。演算部16は、第2データから列ベクトルを減算した結果および第1データからベースバンド信号を生成する。所定の条件を満たすまで、上述の処理を繰り返す。判定部17は所定の基準に合致するベースバンド信号を選択し、送信部18は該ベースバンド信号から送信信号を生成し、アンテナ10を介して他の機器に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の通信では、入力信号をサブキャリア変調し、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)を行い、ベースバンド信号を生成する。そのため、サブキャリアの数が増え、FFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)サイズが大きくなると、大きなピークを持つベースバンド信号が生成され、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が高くなるという性質を持っている。PAPRが高くなると、信号を歪みなく伝送するために広範囲において線形性を有する増幅器が必要となる。そこでPAPRを低減するための技術が開発されている。
【0003】
特許文献1では、PAPRを低減するため、IFFTを行う前に逐次決定法により算出した最適位相に基づきサブキャリア変調信号の位相を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−165781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OFDM方式の通信では、PAPRを低減することが課題となっている。特許文献1では、PAPRを低減する最適位相を算出するために繰り返し計算処理を行い、サブキャリアごとに位相を制御する必要がある。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、OFDM方式の通信において、PAPRの最大値を低減し、さらにPAPRを低減するための処理を簡易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調手段と、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第1データを生成する第1IFFT手段と、
任意の複素数に基づき、所定の挿入用データを生成し、前記サブキャリア変調信号の任意の位置に前記挿入用データを挿入する挿入手段と、
前記挿入用データを挿入した前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第2データを生成する第2IFFT手段と、
前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを減算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果および前記第1データからベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号のピーク対平均電力比を算出する合成手段と、
前記挿入手段で用いた前記複素数の値を変えて、前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を繰り返して生成した前記ベースバンド信号の内、送信信号を決めるための所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を選択する判定手段と、
前記判定手段で選択した前記ベースバンド信号から送信信号を生成し、送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記挿入手段は、前記複素数の実部に前記複素数を加算したデータと、前記複素数の虚部に前記複素数を加算したデータとを、前記サブキャリア変調信号の最後尾に順に追加し、
前記演算手段は、前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数である前記列ベクトルを減算し、
前記判定手段は、所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を検出するまで、または所定の複素数について前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を行うまで、前記複素数の値を変えて、前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を繰り返す。
【0009】
本発明の第2の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信手段と、
前記ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成する直並列変換手段と、
前記並列信号の高速フーリエ変換を行い、第3データを生成するFFT手段と、
前記第3データの所定の位置の要素に基づき、所定の複素数を生成する抽出手段と、
前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出手段で生成した前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを加算する逆演算手段と、
前記逆演算手段の演算結果の高速フーリエ変換を行い、前記所定の位置の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する分解手段と、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記抽出手段は、前記第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、前記第3データの最後尾の要素を虚部とする前記複素数を生成し、
前記逆演算手段は、前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出手段で生成した前記複素数である前記列ベクトルを加算し、
前記分解手段は、前記逆演算手段の演算結果の高速フーリエ変換を行って生成したデータの最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いて前記サブキャリア変調信号を生成する。
【0011】
本発明の第3の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調ステップと、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第1データを生成する第1IFFTステップと、
任意の複素数に基づき、所定の挿入用データを生成し、前記サブキャリア変調信号の任意の位置に前記挿入用データを挿入する挿入ステップと、
前記挿入用データを挿入した前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第2データを生成する第2IFFTステップと、
前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを減算する演算ステップと、
前記演算ステップの演算結果および前記第1データからベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号のピーク対平均電力比を算出する合成ステップと、
前記挿入ステップで用いた前記複素数の値を変えて、前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を繰り返して生成した前記ベースバンド信号の内、送信信号を決めるための所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を選択する判定ステップと、
前記判定ステップで選択した前期ベースバンド信号から送信信号を生成し、送信する送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記挿入ステップにおいて、前記複素数の実部に前記複素数を加算したデータと、前記複素数の虚部に前記複素数を加算したデータとを、前記サブキャリア変調信号の最後尾に順に追加し、
前記演算ステップにおいて、前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入ステップで用いた前記複素数である前記列ベクトルを減算し、
前記判定ステップにおいて、所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を検出するまで、または所定の複素数について前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を行うまで、前記複素数の値を変えて、前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を繰り返す。
【0013】
本発明の第4の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信ステップと、
前記ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成する直並列変換ステップと、
前記並列信号の高速フーリエ変換を行い、第3データを生成するFFTステップと、
前記第3データの所定の位置の要素に基づき、所定の複素数を生成する抽出ステップと、
前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出ステップで生成した前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを加算する逆演算ステップと、
前記逆演算ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行い、前記所定の位置の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する分解ステップと、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記抽出ステップにおいて、前記第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、前記第3データの最後尾の要素を虚部とする前記複素数を生成し、
前記逆演算ステップにおいて、前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出ステップで生成した前記複素数である前記列ベクトルを加算し、
前記分解ステップにおいて、前記逆演算ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行って生成したデータの最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いて前記サブキャリア変調信号を生成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、OFDM方式の通信において、PAPRの最大値を低減し、さらにPAPRを低減するための処理を簡易化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信機の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る通信機の異なる構成例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る通信機が行う送信制御の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る通信機が行う受信制御の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】同一信号でシミュレーションしたベースバンド信号のPAPR特性を示す図である。
【図6】ベースバンド信号のPAPRのCCDF特性を示す図である。
【図7】全パターンの入力信号を用いてシミュレーションしたベースバンド信号のPAPR特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。以下の説明において、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)は、IFFTとIDFT(Inverse Discrete Fourier Transformation:逆離散フーリエ変換)を含む概念とする。したがって本発明の実施の形態においては、IFFTの代わりに、IDFTを行うよう構成してもよい。同様にFFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)は、FFTとDFT(Discrete Fourier Transformation:離散フーリエ変換)を含む概念とする。またIDFTおよびDFTを行う場合は、以下の説明におけるFFTサイズとは、DFTのサイズを意味する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信機の構成例を示すブロック図である。通信機1は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の無線通信により他の機器と通信を行う。通信機1は、アンテナ10、変調部11、直並列変換部12、挿入部13、データ生成部14、IFFT部15、演算部16、判定部17、送信部18、およびコントローラ20を備える。
【0019】
コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)21、RAM(Random Access Memory)23、およびROM(Read-Only Memory)24を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ20から各部への信号線が省略されているが、コントローラ20は通信機1の各部にI/O(Input/Output)22を介して接続しており、それらの処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。
【0020】
RAM23には、例えば送信フレームを生成するためのデータが記憶されている。ROM24は、コントローラ20が通信機1の動作を制御するための制御プログラムを格納する。コントローラ20は、制御プログラムに基づいて、通信機1を制御する。
【0021】
図2は、実施の形態に係る通信機の異なる構成例を示すブロック図である。上述の通信機1に受信機能をもたせるため、図2に示す通信機1はさらに復調部31、並直列変換部32、FFT部33、36、逆演算部34、抽出部35、受信部37、および送受信切替部38を備える。送信機能および受信機能を備える図2に示す通信機1を用いて、通信機1が行う通信方法について以下に説明する。
【0022】
変調部11は、入力信号を所定の変調方式で変調し、変調信号を生成し、直並列変換部12に送る。変調方式として、例えばQPSK(Quadrature Phase-Shift Keying:四位相偏移変調)を用いる。直並列変換部12は、変調信号を直並列変換して並列信号を生成し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する。そして、サブキャリア変調信号を挿入部13およびIFFT部15に送る。
【0023】
データ生成部14は、1つ以上の任意の数の任意の複素数を予め用意する。データ生成部14は、任意の複素数の中から1の複素数を選択し、該複素数に基づき、所定の挿入用データを生成する。データ生成部14は、例えば該複素数の実部に該複素数を加算したデータと、該複素数の虚部に該複素数を加算したデータとを挿入用データとして生成し、挿入部13に送る。挿入用データの数は2つに限られず、任意である。またデータ生成部14は、一行目の要素の値が該複素数に列ベクトルを生成するための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素が0である列ベクトルを生成する。データ生成部14は、例えば一行目の要素の値が該複素数である列ベクトルを生成し、演算部16に送る。列ベクトルの行数は挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号をIFFTする際のFFTサイズに一致する。
【0024】
挿入部13は、サブキャリア変調信号の任意の位置に挿入用データを挿入する。例えば、下記(1)式で表されるサブキャリア変調信号dに、挿入用データを挿入した結果sは下記(2)式で表される。下記(2)式中のzはデータ生成部14で選択した複素数である。挿入部13は、例えばzの実部Re(z)にzを加算したデータと、zの虚部Im(z)にzを加算したデータとをサブキャリア変調信号dの最後尾に順に追加する。挿入部13は、挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号sをIFFT部15に送る。
【0025】
【数1】

【0026】
【数2】

【0027】
IFFT部15は、サブキャリア変調信号dおよび挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号sのIFFTをそれぞれ行い、第1データおよび第2データを生成して演算部16に送る。
【0028】
演算部16は、第2データから列ベクトルを減算したデータおよび第1データからベースバンド信号を生成する。そして、生成したベースバンド信号をそれぞれ判定部17に送る。挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号sのIFFTを行って生成した第2データをuとすると、演算結果u’は例えば下記(3)式で表される。
【0029】
【数3】

【0030】
判定部17は、送られたベースバンド信号のPAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)を算出する。そして、判定部17は、ベースバンド信号のPAPRが所定の基準に合致するか否かを判定する。例えばPAPRが所定の値以下であるベースバンド信号は所定の基準に合致すると判定し、所定の値より大きければ所定の基準に合致しないと判定する。
【0031】
所定の基準に合致するベースバンド信号がない場合には、判定部17は、データ生成部14に生成指示を送る。データ生成部14は、異なる複素数に基づき新たに挿入用データを生成し、挿入部13に送る。またデータ生成部14は、新たに一行目の要素の値が該複素数である列ベクトルを生成し、演算部16に送る。挿入部13は、サブキャリア変調信号に挿入用データを挿入し、IFFT部15に送る。IFFT部15は、挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号のIFFTを行い、新たに第2データを生成して演算部16に送る。演算部16は、第2データから列ベクトルを減算したデータからベースバンド信号を生成し、判定部17に送る。
【0032】
判定部17は、上述のように送られたそれぞれのベースバンド信号のPAPRが所定の基準に合致するか否かを判定する。そして、PAPRが所定の基準に合致するベースバンド信号を検出するまで、または所定の複素数、例えば用意した全ての複素数について上述の処理を行うまで、上述の生成指示の送信からPAPRの判定までの処理を繰り返し行う。なおデータ生成部14が新たな挿入用データおよび列ベクトルを生成しても、第1データについては変化がないので、第1データからベースバンド信号を生成する処理については繰り返し行わないこととする。
【0033】
所定の基準に合致するベースバンド信号を検出した場合、または所定の複素数について上述の処理を行った場合には、判定部17は、送信信号を決めるための所定の基準に合致するベースバンド信号を選択し、送信部18に送る。判定部17は、上述の所定の基準に合致するベースバンド信号が1つであれば、そのベースバンド信号を送信部18に送る。また上述の所定の基準に合致するベースバンド信号が複数ある場合には、例えば送信信号を決めるための所定の基準として、最もPAPRの小さいベースバンド信号を検出するという基準を設け、上述の所定の基準に合致するベースバンド信号の内、最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択し、送信部18に送る。
【0034】
また所定の複素数について上述の処理を行った場合には、例えば送信信号を決めるための所定の基準として、最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択するという基準を設け、ベースバンド信号の内、最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択し、送信部18に送る。
【0035】
なお上述の生成指示の送信からPAPRの判定までの処理を繰り返し行うか否かの判定は、上述の記載の方法に限られない。例えば所定の回数以上、上述の処理を繰り返し行った場合は、生成したベースバンド信号の内、最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択し、送信部18に送るよう構成してもよい。
【0036】
判定部17は、上述のように演算部16からベースバンド信号が送られるたびにPAPRを算出して、所定の基準に合致するか否かを判定しなくてもよい。例えば、用意した全ての複素数について上述の処理を行った後に、全てのベースバンド信号のPAPRを算出して、最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択し、送信部18に送るよう構成してもよい。
【0037】
判定部17は、複数のベースバンド信号から最もPAPRの小さいベースバンド信号を選択して送信信号とすることができるため、PAPRの低減が可能となる。
【0038】
送信部18は、ベースバンド信号から送信信号を生成し、送受信切替部38およびアンテナ10を介して他の機器に送信信号を送信する。
【0039】
図3は、実施の形態に係る通信機が行う送信制御の動作の一例を示すフローチャートである。変調部11は入力信号を所定の変調方式で変調して変調信号を生成し、直並列変換部12は変調信号を直並列変換をし、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する(ステップS110)。IFFT部15は、サブキャリア変調信号のIFFTを行い、第1データを生成する(ステップS120)。
【0040】
まだ用意した全ての複素数について処理を行っていないので(ステップS130:NO)、データ生成部14は、任意の複素数の内、1の複素数に基づき、該複素数の実部に該複素数を加算したデータと、該複素数の虚部に該複素数を加算したデータとを挿入用データとして生成し、一行目の要素の値が該複素数であって、一行目以外の要素が0である列ベクトルを生成する(ステップS140)。
【0041】
挿入部13は、サブキャリア変調信号の最後尾に挿入用データを追加する(ステップS150)。IFFT部15は、挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号のIFFTを行い、第2データを生成する(ステップS160)。演算部16は、第2データから列ベクトルを減算する。演算部16は、演算結果および第1データからベースバンド信号を生成する(ステップS170)。
【0042】
判定部17は、ベースバンド信号のPAPRを算出し、ベースバンド信号のPAPRが所定の基準に合致するか否かを判定する(ステップS180)。所定の基準に合致するベースバンド信号がない場合は(ステップS190:NO)、ステップS130に戻り、上述の処理を繰り返す。上述の処理を繰り返した結果、用意した全ての複素数について上述の処理を行った場合には(ステップS130:YES)、ステップS200に進む。また所定の基準に合致するベースバンド信号がある場合も(ステップS190:YES)、ステップS200に進む。判定部17は送信信号を決めるための所定の基準に合致するベースバンド信号を選択し、送信部18は該ベースバンド信号から送信信号を生成して、他の機器に送信する(ステップS200)。
【0043】
受信側での処理を以下に説明する。受信部37は、アンテナ10および送受信切替部38を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成する。そして、ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成し、逆演算部34およびFFT部36に送る。ここで送信側で上記(3)式で表される演算結果u’から生成したベースバンド信号から送信信号を生成したとすると、並列信号は、u’に一致する。
【0044】
FFT部36は、並列信号u’のFFTを行い、第3データを生成して抽出部35に送る。並列信号u’のFFTを行った生成した第3データrは、下記(4)式で表される。下記(4)式を変形して、下記(5)式が導き出される。
【0045】
【数4】

【0046】
【数5】

【0047】
ここで、下記(6)式のようにd’を定義すると、上記(5)式から下記(7)式が導き出される。
【0048】
【数6】

【0049】
【数7】

【0050】
抽出部35は、第3データの所定の位置の要素に基づき、所定の複素数を生成する。所定の位置の要素とは、送信側で挿入用データを挿入した位置の要素であり、所定の複素数とは送信側で用いた複素数と同じものである。受信側は、予め送信側で挿入用データを挿入する位置についての情報および所定の位置の要素から所定の複素数を生成するための情報を保持しているものとする。抽出部35は、例えば上記(7)式で表される第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、第3データの最後尾の要素を虚部とする複素数を生成し、送信側で用いた複素数に一致するzを生成する。
【0051】
抽出部35は、一行目の要素の値が生成した複素数zに列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを生成する。所定の演算とは、送信側のデータ生成部14で列ベクトルを生成するのに行った演算と同じ演算である。すなわち、抽出部35は、データ生成部14が生成した列ベクトルと同じ列ベクトルを生成する。抽出部35は、生成した列ベクトルを逆演算部34に送る。
【0052】
逆演算部34は、並列信号に列ベクトルを加算し、演算結果をFFT部33に送る。逆演算部34が行う演算は、送信側で行った演算と逆の演算である。演算部16で第2データから列ベクトルを減算したのに対し、逆演算部34は並列信号に列ベクトルを加算する。FFT部33は、演算結果のFFTを行う。FFTを行った結果r’は、例えば下記(8)式で表される。
【0053】
【数8】

【0054】
ここで上記(2)、(3)式より、下記(9)式が導き出される。下記(9)式を変形して、下記(10)式が導き出さる。したがって、FFTを行った結果r’は挿入用データを挿入したサブキャリア変調信号sに一致する。
【0055】
【数9】

【0056】
【数10】

【0057】
FFT部33は、所定の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する。所定の要素とは、送信側で挿入用データを挿入した位置の要素である。FFT部33は、例えばFFTを行った結果の最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する。
【0058】
FFT部33は、サブキャリア変調信号を並直列変換部32に送る。並直列変換部32は、サブキャリア変調信号dを並直列変換し、直列信号を生成して復調部31に送る。復調部31は、直列信号を所定の復調方式で復調する。例えば、復調部31は直列信号のQPSK復調を行う。これにより変調部11で変調した入力信号を復調部31で復調して出力することができる。
【0059】
図4は、実施の形態に係る通信機が行う受信制御の動作の一例を示すフローチャートである。受信部38は、アンテナ10および送受信切替部38を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成する(ステップS310)。そして、ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成する(ステップS320)。FFT部36は、並列信号のFFTを行い、第3データを生成する(ステップS330)。
【0060】
抽出部35は、第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、第3データの最後尾の要素を虚部とする複素数を生成する。そして、一行目の要素の値が該複素数であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを生成する(ステップS340)。
【0061】
逆演算部34は、並列信号に列ベクトルを加算する(ステップS350)。FFT部33は、演算結果のFFTを行い、最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いて、サブキャリア変調信号を生成する(ステップS360)。並直列変換部32はサブキャリア変調信号を並直列変換し、復調部31は直列信号を所定の復調方式で復調する(ステップS370)。
【0062】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態に係る通信機1によれば、OFDM通信方式において、サブキャリアごとに位相制御するといった処理が不要であり、PAPRを低減するための処理を簡易化することが可能となる。任意の複素数に基づきサブキャリア変調信号に所定の演算を施してPAPRを低減させ、該複素数をサブキャリア変調信号に挿入して送信するため、別回線で受信側に該複素数の情報を送信する必要がない。また後述するように、PAPRの最大値を低減することが可能となる。
【0063】
(具体例)
次に、シミュレーションにより本実施の形態に係る発明の効果を説明する。OFDM通信方式においては、入力信号が例えば全て0もしくは1であるデータまたは10もしくは01が交互に繰り返されるデータのように、データシンボルが同一である同一信号の場合に、各サブキャリア変調信号の位相が一致するため、ベースバンド信号のPAPRが最大となる。本実施の形態に係る通信機1によれば、PAPRの最大値を低減し、増幅器において線形性が求められる範囲を狭めることができる。
【0064】
同一信号である入力信号が全て1であるデータについて、従来技術と本実施の形態に係る発明について、ベースバンド信号を生成し、PAPRを算出するシミュレーションを行った。変調方式としてQPSKを用い、FFTサイズを4、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048と変化させてPAPR特性を比較した。従来技術とは、演算部14において上述のような演算を加えずにサブキャリア変調信号からベースバンド信号を生成する方法である。
【0065】
本実施の形態についてのシミュレーションにおいては、0から1+jまでの範囲で、0.001ずつ実部および虚部の値を変えた複素数を用意した。データ生成部で該複素数の実部に該複素数を加算したデータと、該複素数の虚部に該複素数を加算したデータを挿入用データとして生成し、一行目の要素が該複素数である列ベクトルを生成し、挿入部13でサブキャリア変調信号の最後尾に挿入用データを挿入した。そして演算部14において第2データから列ベクトルを減算した。
【0066】
図5は、同一信号でシミュレーションしたベースバンド信号のPAPR特性を示す図である。横軸がFFTサイズであり、縦軸がPAPR(単位:dB)である。従来技術のPAPRはプロット点を四角で表した実線のグラフであり、本実施の形態のPAPRはプロット点を三角で表した点線のグラフである。FFTサイズが4である場合に、従来技術のPAPRは6.02dBであるのに対し、本実施の形態のPAPRは1.25dBである。またFFTサイズが2048である場合に、従来技術のPAPRは33.11dBであるのに対し、本実施の形態のPAPRは3.01dBである。
【0067】
本実施の形態に係る通信機1は、第1データおよび第2データから列ベクトルを減算したデータの内、最もPAPRが低いベースバンド信号に基づき送信信号を生成して送信する。そのため、従来技術ではPAPRが最大となるデータについて、FFTサイズに関わらず、PAPRをほぼ一定値にまで低減させることができる。またPAPRが最大値に近い場合、例えば所定の変調方式がQPSKで、FFTサイズが8であるときに入力信号が1111111011111111である場合にも、本実施の形態に係る通信機1によれば、PAPRを大きく低減させることができる。
【0068】
なお入力信号にランダムデータを用いた場合のPAPRの平均値について、各FFTサイズにおける従来技術と本実施の形態に係る発明との差は、0.001dB程度であった。しかし、PAPRの平均値に大きな変化がなくとも、PAPRの最大値を低減することにより、増幅器に線形性が求められる範囲が狭くなる。
【0069】
次に所定の変調方式としてQPSKを用い、FFTサイズを8とし、従来技術と本実施の形態に係る発明について、ベースバンド信号を生成し、PAPRのCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function:相補累積分布関数)、すなわちPAPRの発生確率の特性を比較した。本実施の形態に係る発明については演算部14で上述のシミュレーションと同様の演算を加えてシミュレーションを行った。図6は、ベースバンド信号のPAPRのCCDF特性を示す図である。横軸はPAPR(単位:dB)、縦軸はPAPRのCCDFである。線が細い方のグラフが従来技術のPAPRのCCDF特性を示し、線が太い方のグラフが本実施の形態に係る発明のPAPRのCCDF特性を示す。図6に示す範囲において、本実施の形態に係る発明のPAPRは従来技術と比べて低減されている。
【0070】
図7は、全パターンの入力信号を用いてシミュレーションしたベースバンド信号のPAPR特性を示す図である。所定の変調方式としてQPSKを用い、FFTサイズを8とし、入力信号として全信号パターンである65536個の信号を用いて、従来技術と本実施の形態に係る発明について、ベースバンド信号を生成し、PAPRを算出するシミュレーションを行った。本実施の形態に係る発明については演算部14で上述のシミュレーションと同様の演算を加えてシミュレーションを行った。
【0071】
図7(a)が従来技術のPAPRであり、図7(b)が本実施の形態のPAPRである。図7の横軸は、入力信号の信号パターンの数(単位:10個)であり、縦軸はPAPR(単位:dB)である。入力信号がある信号パターン、例えば0110011110001001である場合のPAPRを算出してプロットし、これを全ての信号パターンについて行った結果が図7である。図7に示すように従来技術の最大PAPRは約9.0dBであるのに対し、本実施の形態の最大PAPRは約7.5dBであり、PAPRが約1.5dB低減されている。
【0072】
したがって、PAPRを低減するための処理を簡易化した本実施の形態に係る発明によれば、OFDM通信方式においてPAPRの最大値を低減できることがわかった。
【0073】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。変調部11の変調方式は、QPSKに限られず、QPSK以外のPSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)などを用いることができる。変調部11と直並列変換部12の順序を変えて、入力信号を直並列変換してサブキャリア信号に割り当て、並列信号の各データを所定の変調方式で変調するよう構成してもよい。その場合、受信側では復調部31と並直列変換部32の順序を変えて、復調処理を行う。
【0074】
データ生成部14は、任意の複素数の中から1の複素数を選択し、上述の実施の形態とは逆に、該複素数の実部から該複素数を減算したデータと、該複素数の虚部から該複素数を減算したデータとを挿入データとして生成して挿入部13に送り、一行目の要素の値が該複素数の符号を反転させた値である列ベクトルを生成して演算部16に送るよう構成してもよい。その場合も、挿入用データが挿入された位置に基づいて抽出部35で送信側と同じ列ベクトルを生成し、逆演算部34が並列信号に列ベクトルを加算することで、入力信号を復調することが可能となる。
【0075】
IFFT部15は、IFFTの代わりにIDFTを行うよう構成してもよいし、FFT部33、36は、FFTの代わりにDFTを行うよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 通信機
10 アンテナ
11 変調部
12 直並列変換部
13 挿入部
14 データ生成部
15 IFFT部
16 演算部
17 判定部
18 送信部
20 コントローラ
21 CPU
22 I/O
23 RAM
24 ROM
31 復調部
32 並直列変換部
33、36 FFT部
34 逆演算部
35 抽出部
37 受信部
38 送受信切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調手段と、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第1データを生成する第1IFFT手段と、
任意の複素数に基づき、所定の挿入用データを生成し、前記サブキャリア変調信号の任意の位置に前記挿入用データを挿入する挿入手段と、
前記挿入用データを挿入した前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第2データを生成する第2IFFT手段と、
前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを減算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果および前記第1データからベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号のピーク対平均電力比を算出する合成手段と、
前記挿入手段で用いた前記複素数の値を変えて、前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を繰り返して生成した前記ベースバンド信号の内、送信信号を決めるための所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を選択する判定手段と、
前記判定手段で選択した前記ベースバンド信号から送信信号を生成し、送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信機。
【請求項2】
前記挿入手段は、前記複素数の実部に前記複素数を加算したデータと、前記複素数の虚部に前記複素数を加算したデータとを、前記サブキャリア変調信号の最後尾に順に追加し、
前記演算手段は、前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数である前記列ベクトルを減算し、
前記判定手段は、所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を検出するまで、または所定の複素数について前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を行うまで、前記複素数の値を変えて、前記挿入手段、前記第2IFFT手段、前記演算手段、および前記合成手段の処理を繰り返す、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信機。
【請求項3】
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信手段と、
前記ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成する直並列変換手段と、
前記並列信号の高速フーリエ変換を行い、第3データを生成するFFT手段と、
前記第3データの所定の位置の要素に基づき、所定の複素数を生成する抽出手段と、
前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出手段で生成した前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを加算する逆演算手段と、
前記逆演算手段の演算結果の高速フーリエ変換を行い、前記所定の位置の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する分解手段と、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調手段と、
を備えることを特徴とする通信機。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、前記第3データの最後尾の要素を虚部とする前記複素数を生成し、
前記逆演算手段は、前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出手段で生成した前記複素数である前記列ベクトルを加算し、
前記分解手段は、前記逆演算手段の演算結果の高速フーリエ変換を行って生成したデータの最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いて前記サブキャリア変調信号を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信機。
【請求項5】
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調ステップと、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第1データを生成する第1IFFTステップと、
任意の複素数に基づき、所定の挿入用データを生成し、前記サブキャリア変調信号の任意の位置に前記挿入用データを挿入する挿入ステップと、
前記挿入用データを挿入した前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、第2データを生成する第2IFFTステップと、
前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入手段で用いた前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを減算する演算ステップと、
前記演算ステップの演算結果および前記第1データからベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号のピーク対平均電力比を算出する合成ステップと、
前記挿入ステップで用いた前記複素数の値を変えて、前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を繰り返して生成した前記ベースバンド信号の内、送信信号を決めるための所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を選択する判定ステップと、
前記判定ステップで選択した前期ベースバンド信号から送信信号を生成し、送信する送信ステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項6】
前記挿入ステップにおいて、前記複素数の実部に前記複素数を加算したデータと、前記複素数の虚部に前記複素数を加算したデータとを、前記サブキャリア変調信号の最後尾に順に追加し、
前記演算ステップにおいて、前記第2データから、一行目の要素の値が前記挿入ステップで用いた前記複素数である前記列ベクトルを減算し、
前記判定ステップにおいて、所定の基準に合致する前記ベースバンド信号を検出するまで、または所定の複素数について前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を行うまで、前記複素数の値を変えて、前記挿入ステップ、前記第2IFFTステップ、前記演算ステップ、および前記合成ステップの処理を繰り返す、
ことを特徴とする請求項5に記載の通信方法。
【請求項7】
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信ステップと、
前記ベースバンド信号を直並列変換して並列信号を生成する直並列変換ステップと、
前記並列信号の高速フーリエ変換を行い、第3データを生成するFFTステップと、
前記第3データの所定の位置の要素に基づき、所定の複素数を生成する抽出ステップと、
前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出ステップで生成した前記複素数に列ベクトル生成のための所定の演算を行った値であって、一行目以外の要素の値が0である列ベクトルを加算する逆演算ステップと、
前記逆演算ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行い、前記所定の位置の要素を取り除いてサブキャリア変調信号を生成する分解ステップと、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調ステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項8】
前記抽出ステップにおいて、前記第3データの最後尾から二行目の要素を実部とし、前記第3データの最後尾の要素を虚部とする前記複素数を生成し、
前記逆演算ステップにおいて、前記並列信号に、一行目の要素の値が前記抽出ステップで生成した前記複素数である前記列ベクトルを加算し、
前記分解ステップにおいて、前記逆演算ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行って生成したデータの最後尾から二行目の要素および最後尾の要素を取り除いて前記サブキャリア変調信号を生成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115485(P2013−115485A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257560(P2011−257560)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)