説明

通信機器と制御方法

【課題】従来の通信機器は、ユーザの周囲に存在する通信機器と認証をしたい場面において、複数の通信機器が存在する中で、ユーザの希望する通信機器とすばやく認証できない問題点があった。
【解決手段】ユーザから受けとる認証開始のトリガにより、周りの通信機器の中から自局との距離に基づき通信機器を選択し、認証処理をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証処理を行う通信機器、通信機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータと周辺装置を接続するUSBが発表された後、USBプロトコルを無線で実現するワイヤレスUSBがマーケットに登場するようになった。
【0003】
ワイヤレスUSBにおいては、通信を開始する前に、通信ホストと通信デバイス間での認証プロセスが必ず必要である。認証プロセスには、大きくわけてニューメリック・アソシエーション(Numeric Association)とケーブル・アソシエーション(Cable Association)と呼ばれるものがある。
【0004】
ニューメリック・アソシエーションの認証プロセスは、通信デバイスが通信ホストに対して無線接続し、鍵交換をする。そして互いの機器に表示される数字が同一であった場合、通信デバイスと通信ホストの両者でボタンを押すことによって認証は完了となる。ここで、数字が異なる場合や片方でしか数字が表示されない場合は、認証は失敗となる。
【0005】
図1は、従来のワイヤレスUSBを用いたデジタルカメラとプリンタの構成を示す図である。図1のようにデジタルカメラ101を持ったユーザ100がプリンタを利用してデジタルカメラ101に入っている画像を印刷するケースがある。
【0006】
プリンタはワイヤレスUSBの通信ホスト機能を有し、デジタルカメラ101は、ワイヤレスUSBの通信デバイス機能を有する。また、これらのワイヤレスUSBの通信ホスト、ワイヤレスUSBの通信デバイスは、WiMedia規格もサポートしている。WiMedia規格はワイヤレスUSBの下位レイヤの規格であり、ワイヤレスUSBの機器は必ずWiMedia規格をサポートしている。
【0007】
図2は、従来例におけるデジタルカメラとプリンタとの間の動作を示す図である。
【0008】
ステップ200:ユーザ100は、まずデジタルカメラ101に対して認証開始ボタンを押す。
【0009】
ステップ201:ユーザ100は、プリンタに対して認証開始ボタンを押す。
【0010】
ステップ202:プリンタ2は、MMC(Micro-scheduled Management Command)内にあるコネクション・アベイラビリティなどの情報をデジタルカメラ101へ送信する。このケースでは、情報は、プロトコル上の認証受付中(Connection Availability = ALL)になっている。
【0011】
ステップ203:デジタルカメラ101は、プリンタへ接続要求(DN_CONNECT)を送信する。
【0012】
ステップ204:デジタルカメラ101は、プリンタからMMCにて確認応答(ConnectAck)を受信する。
【0013】
ステップ205:デジタルカメラ101およびプリンタは、両者でプロトコル上の認証処理を開始する。そして、デジタルカメラ101およびプリンタの両者で鍵交換が行なわれる。
【0014】
ステップ206:デジタルカメラ101とプリンタのそれぞれが鍵交換を行うと、二桁の数字を両者で算出する。両者の二桁の数字が同じでなければプロトコル上の認証は失敗したことになる。ここでは、それらが同じ数字”33”であり一致していると仮定する。
【0015】
ステップ207:デジタルカメラ101とプリンタはそれぞれ算出された二桁の数字を表示する。
【0016】
ステップ208:ユーザ100は数字が一致しているので、プリンタの認証完了ボタンをそれぞれ押す。
【0017】
ステップ209:ユーザ100は、デジタルカメラ101の認証完了ボタンをそれぞれ押す。
【0018】
ステップ210:プロトコル上の認証処理が完了する。
【0019】
認証処理が終了したのち、ユーザ100は、デジタルカメラ101から印刷ボタンにて画像をプリンタに転送することが可能となる。
【0020】
しかし従来の技術では、複数のプリンタが存在するケースにおいて問題が出る。
【0021】
図3は、従来例におけるデジタルカメラと複数プリンタの構成を示す図である。これは、プリンタA、プリンタBおよびプリンタCのように複数のプリンタが存在するケースを示す。
【0022】
図4は、従来例におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間の動作シーケンスを示す図である。
【0023】
いまユーザ100は、最もデジタルカメラの近くにあるプリンタBと接続し認証することを望んでいると仮定する。
【0024】
ステップ400:また、すでに他のユーザ303が、自分の無線通信機器とプリンタA の認証開始ボタンをS400のように押してしまっていると仮定する。
【0025】
ステップ401:その後、ユーザ100がプリンタB の認証開始ボタンを押す。
【0026】
ステップ402:ユーザ100がデジタルカメラ101の認証開始ボタンを押す。
【0027】
ステップ403:プリンタAのMMC情報は、プロトコル上の認証受付状態(ConnectAvailability = ALL)になっているので、デジタルカメラ101はプリンタAからのMMC内の情報を意図せずに最初に見つける。
【0028】
ステップ404:そして意図とせずデジタルカメラ101はプリンタA に接続してしまう。ワイヤレスUSB規格においては認証前に互いの機器情報を得られないため、デジタルカメラは、最初に見つかった機器が接続されるように設計されている。
【0029】
ステップ405:デジタルカメラ101は、プリンタAからMMC情報にて確認応答(ConnectAck)の通知を送信することにより、接続確認を受信する。
【0030】
ステップ406において、デジタルカメラ101およびプリンタAは相互に鍵交換を行う。
【0031】
ステップ407:認証の数字がプリンタAに表示される。
【0032】
ステップ408:認証の数字がデジタルカメラ101に表示される。
【0033】
しかし、プリンタBにはステップS409のように認証の数字が表示されないため、ユーザ100は、デジタルカメラ101とプリンタBは認証失敗と判断してしまう。つまり、鍵交換が最初に見つかったプリンタAに対して行われてしまうため、ユーザ100の印刷したいプリンタBには接続されない。したがって、ユーザ100は再度認証をおこなわざるを得ない。しかしながら、再度認証を行っても、他のプリンタの動作状況により必ずしもユーザの近くにあるプリンタBと認証できるとは限らないので、ユーザにとって非常にストレスフルな状態となる。
【0034】
特許文献1では、このような問題を解決するため、通信機器は、周囲に存在する他の通信機器を発見するため、問合せメッセージを送信電力を変化させる。そして他の通信機器での受信レベルを収集し、その情報に基づき無線通信の対象となる通信機器と接続することが提案されている。しかしながら、RFによる受信レベルは、通信機器の周りの電波状況によって変動しやすく、精度の高い距離測定が得られないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−015654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
従来の通信機器は、ユーザの近くにある通信機器と認証をしたい場面において、複数の通信機器が存在する中で、ユーザの希望する通信機器と迅速に認証できない問題点があった。
【0036】
そこで本発明は、ユーザの希望する無線通信機器と確実に、また速やかに認証することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の通信機器は、 他の通信機器との距離を測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果に基づいて選択した通信機器に対して認証を行う認証手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、本発明の無線通信機器は、複数の無線通信機器が存在する中でユーザの近くにある無線通信機器と迅速に認証ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
<第1の実施形態>
図5は、無線通信システムにおける第1の通信機器であるデジタルカメラ内の機能ブロックを示す図である。
【0040】
CPU600は、データバスにより他の機能部に接続され、全体の動作を制御する。
【0041】
メモリ 601は、第1の実施形態を実行するためのプログラムなどを記憶する。
【0042】
認証開始部605は、ユーザにより与えられた認証開始のトリガを検出し、認証を開始する。
【0043】
探索部610は、周囲に存在する1以上の通信機器から送信された制御パケットにおけるMMC情報を分析し、どのような通信機器が周囲に存在するかを探索する。MMC情報は、HOST ID、 認証受付状態にあるかどうかを示すコネクション・アベイラビリティ、測距機能のサポート状況を示す測距能力(Range Measurement Capability)などにより構成される。ここでプロトコル上の認証受付状態は、ワイヤレスUSB規格のコネクション・アベイラビリティの1つのパラメータとして扱われる。また探索部610は、プロトコル上の認証受付状態である無線通信機器を抽出する抽出部(図示せず)を備える。
【0044】
時間計測部604はタイマを有し、探索された無線機器へ所定の測距要求パケット送信してから、探索された無線機器から確認応答パケットを受信するまでの往復時間を計測する。
【0045】
無線通信部は、無線アンテナ部609、パケット受信部 606およびパケット送信部 607で構成され、通信機器の周りにいる他の通信機器との無線による送受信を行う。
【0046】
距離算出部608は、タイマで計測された往復時間と他の通信機器から送られた内部処理時間とを用いて、他の通信機器と自局の距離を計算し決定する。
【0047】
プロトコル上の認証処理部611は、距離算出部で算出された他の通信機器との自局との距離に基づき最も近い通信機器に対して接続し、相互の認証を行う。
【0048】
このケースでは、最も近い通信機器に接続するが、他の通信機器を自局との距離の短い順に並べ、任意の順番の通信機器に接続し、相互の認証を行ってもよい。
【0049】
表示部603は、プロトコルの認証結果などをユーザのために表示する。
【0050】
図6は、第1の実施形態における第1の通信機器の周囲に存在する他の通信機器であるプリンタ内の機能ブロックを示す図である。
【0051】
本発明に関わる基本的な機能部は、図5のデジタルカメラの機能ブロックと変わらないため、図5と異なる部分のみ説明を行う。
【0052】
時間計測部604は、デジタルカメラで送信された測距要求パケットを受信した時刻から確認応答パケットを送信するまでの時刻を計測し、その結果を処理時間生成部612へ送る。
【0053】
処理時間測定部612は、その結果を内部処理時間としてパケット送信部607へ送る。
【0054】
パケット送信部607は、送られた内部処理時間を内部処理時間の報告パケットを生成し、無線無線アンテナ部609を介して、デジタルカメラへ送信する。
【0055】
図7は、第1の実施形態におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間のシーケンス図である。
【0056】
まず、図7のシーケンス図に従って、本実施形態における全体の動作シーケンスを説明する。
【0057】
ステップS501:まず他のユーザ303がプリンタAの認証開始ボタンを押下する。
【0058】
ステップS502:その後ユーザ100は接続したいプリンタBの認証開始ボタンを押下すると仮定する。
【0059】
ステップS503:そしてユーザ100はデジタルカメラ101の認証開始ボタンを押下する。
【0060】
ステップS504:探索部610は、周辺の無線通信機器を探索するスキャンを開始する。スキャンは探索部610が、周りの通信機器のアンテナ部より送られるMMCパケットを受信することによって行われる。
【0061】
ステップS505−S507:パケット受信部606は、プリンタ A 、プリンタB 、プリンタC からMMCパケットを受信する。
【0062】
ステップS508:時間計測部604は、プリンタAの往復時間測定の準備をする。
【0063】
ステップS509:無線アンテナ609を介し、パケット送信部607は、探索した無線機器の1つであるプリンタAへ測距要求パケットを送信し、同時に時間計測部604はタイマをONにし測定を開始する。
【0064】
ステップS510:無線アンテナ609を介し、パケット受信部606は、プリンタAからの確認応答パケットを受信する。
【0065】
ステップS511:同時に時間計測部604はタイマをOFFとし、測定を停止してプリンタAへの往復時間T1を取得する。
【0066】
ステップS512:無線アンテナ609を介し、パケット受信部606は、プリンタAからの内部処理時間(T2)の報告メッセージを受信する。
【0067】
ステップS513:距離算出部608は、往復時間T1から内部処理時間を除算することで距離に関する時間を求め、自局とプリンタAとの距離を算出し決定する。
【0068】
ステップS514:時間計測部604は、プリンタBの往復時間測定の準備をする。
【0069】
ステップS515:無線アンテナ部609を介し、パケット送信部607は、探索した無線機器の残りの1つであるプリンタBへ測距要求パケットを送信し、同時に時間計測部604はタイマをONにし測定を開始する。
【0070】
ステップS516:無線アンテナ部609を介し、パケット受信部606は、プリンタBからの確認応答パケットを受信する。
【0071】
ステップS517:同時に時間計測部604は、タイマをOFFとし測定を停止しプリンタAへの往復時間T1を取得する。
【0072】
ステップS518:無線アンテナ部609を介し、パケット受信部606は、プリンタAからの内部処理時間(T2)を報告するための内部処理時間パケットを受信する。
【0073】
ステップS519:距離算出部608は、往復時間T1から内部処理時間を除算することで距離に関する時間を求め、自局とプリンタBとの距離を算出し決定する。
【0074】
ステップS520:認証処理部611は、プリンタAとの距離とプリンタBとの距離とを比較し、距離の近いプリンタBを選択し、パケット送信部607と無線アンテナ部609を介して、プリンタBにデジタルカメラ101を接続する。
【0075】
ステップS521:無線アンテナ部609を介しパケット受信部606は、プリンタBからの接続完了メッセージ(ConnectAck)を受信する。
【0076】
ステップS522:認証処理部611は、プリンタBと鍵交換を行う。
【0077】
ステップS523:デジタルカメラ101の表示部が交換された鍵番号を表示する。
【0078】
ステップS524:プリンタBの表示部が交換された鍵番号を表示する。
【0079】
ステップS525:ユーザ100は、表示されたプリンタBの鍵番号を確認し、認証完了ボタンを押す。
【0080】
ステップS526:ユーザ100は、表示されたデジタルカメラ101の鍵番号を確認し、認証完了ボタンを押す。
【0081】
ステップS527:認証が完了する。
【0082】
図8は、第1の実施形態における全体の動作の流れを示すフローチャート図である。
【0083】
図9は、第1の実施形態における複数プリンタのMMC情報を示す図である。
【0084】
図10は、第1の実施形態における複数プリンタのMMC情報と算出時間を示す図である。
【0085】
次に、図8の動作フローについて説明する。このフローの中で図9と図10についてもあわせて説明していく。
【0086】
ステップS700:認証開始検出部 605は、ユーザ100がボタンを押したことを検知する。
【0087】
ステップS701:探索部610は、周辺の無線通信機器を探索するスキャンを開始する。スキャンは探索部610が、周りの通信機器の無線アンテナ部609より送られるMMCパケットを受信することによって行われる。
【0088】
ステップS702:探索部610は、受信したMMC情報の中身を図9のようにリスト化する。このリストにより周りの通信機器(ホスト)が識別される。このリストは、HOST ID、認証受付除隊にあるかどうかの状態を示すConnection Availability、パケットの往復移動時間を示すT3からなる。
【0089】
ステップS703:時間計測部604および距離算出部608は、図9のリストのConnection Availability = ALLとなっている各ホストに対しタイマ計測処理をおこなう。まず図9に示す番号1のHOST IDが012345ABであるプリンタAに対してタイマ計測処理を行う。そして同様に、番号2のHOST IDが234567CDであるプリンタB に対してタイマ計測処理を行う。その結果、図10に示すような自局と各プリンタとの距離決定に関する時間データT3が得られる。
【0090】
ステップS704:認証処理部611は、図10のリスト中で最もT3の小さいプリンタB に対してプロトコル上の認証処理を行う。
【0091】
ステップS705:認証処理部611は、認証が成功した時点で認証処理を終了する。
【0092】
ステップS706:認証処理部611は、認証が失敗した場合、プリンタBを接続対象から外し、削除する。
【0093】
図11は、第1の実施形態における時間計測の処理のフローチャートを示す図である。
【0094】
ここで、このフローチャートを用いてタイマ計測処理の動作を説明する。
【0095】
ステップS800:CPU600は、パケット送信部607に測距要求パケットを送信する準備をさせる。
【0096】
ステップS801:無線アンテナ部609が探索された周りの通信機器へ測距要求パケットを送信すると同時に、時間計測部604はタイマをONして時間計測を開始する。
【0097】
ステップS802:無線アンテナ部609を介してパケット受信部は、周りの通信機器から確認応答パケットを受信する。
【0098】
ステップS803:時間計測部604は、確認応答を受信した時点でタイマを停止する。
【0099】
ステップS804:距離算出部608は、無線アンテナ部609とパケット受信部606を介して、内部処理時間(T2)を報告する内部処理時間パケットを取得する。
【0100】
ステップS805:距離算出部608は、往復時間(T1)と内部処理時間(T2)を用いて、T3=T1−T2を計算する。そして、図10のT3の値として加える。
【0101】
なお、ここでの測距の処理は、たとえば、WiMedia規格のものと同様の処理で行うものとする。また自局もしくは相手局の無線通信機器が測距をサポートしてない場合、パケット送信部607が任意のパケットを送信してから、それに対する確認応答パケットを受信するまでの時間をT3の代わりとすることも可能である。

<第2の実施形態>
第2の実施形態では、デジタルカメラは、測距の機能を持たないプリンタについて、優先的に認証処理を行う場合を扱う。
【0102】
図12は、第2の実施形態における無線通信機器(デジタルカメラ)内の機能ブロックを示す図である。
【0103】
第1の実施形態と同じ識別番号を付与したブロックの機能は、図5において既に説明しているので、ここでは異なる機能として追加した測距機能サポート判定部1501について説明する。
【0104】
測距機能サポート判定部1501は、無線通信機器探索部で取得したMMC情報内の測距機能のサポート状態を調べる。そして、測距機能を持たないプリンタが存在するか否かを判定し、その判定結果を出力する。
【0105】
図13は第2の実施形態におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間の動作シーケンス図である。この中で、測距の機能を持たないプリンタは、プリンタBである。
【0106】
ステップS1103:ユーザ100は接続したいプリンタBの認証開始ボタンを押下する。
【0107】
ステップS1104:ユーザ100はデジタルカメラ101の認証開始ボタンを押下する。
【0108】
ステップS1105:探索部610は、周辺の無線通信機器を探索するスキャンを開始する。スキャンは探索部610が、周りの通信機器の無線アンテナ部609より送られるMMCパケットを受信することによって行われる。
【0109】
ステップS1106−1108:パケット受信部606は、プリンタ A、プリンタB、プリンタCからMMCパケットを受信する。
【0110】
ステップS1109:探索部610は、受信した各プリンタからのMMCパケットをMMCパケット内の情報を調査する。そして、ホストを識別するHOST ID、認証受付状態にあるかどうかを示すコネクション・アベイラビリティ、測距機能のサポート状況を示す測距能力(Range Measurement Capability)の値を取得する。取得した値は、測距機能サポート判定部1501へ送られ、測距機能サポート判定部1501は、測距の機能を持たないプリンタが存在するか否かを判定する。そして認証処理部611は、パケット送信部607と無線アンテナ部609を介して、測距の機能を持たないと判定されたプリンタBにデジタルカメラ101を接続する。
【0111】
ステップS1110:無線アンテナ部609を介しパケット受信部606は、プリンタBからの接続完了メッセージ(ConnectAck)を受信する。
【0112】
ステップS1111:認証処理部611は、プリンタBと鍵交換を行う。
【0113】
ステップS1112:デジタルカメラ101の表示部が交換された鍵番号を表示する。
【0114】
ステップS1113:プリンタBの表示部が交換された鍵番号を表示する。
【0115】
ステップS1114:ユーザ100は、表示されたプリンタBの鍵番号を確認し、認証完了ボタンを押す。
【0116】
ステップS1115:ユーザ100は、表示されたデジタルカメラ101の鍵番号を確認し、認証完了ボタンを押す。
【0117】
ステップS1116:認証が完了する。
【0118】
図14は、第2の実施形態におけるデジタルカメラの動作内容を示すフローチャートを示す図である。
【0119】
フローチャートに従い、デジタルカメラ101の動作を説明する。
【0120】
ステップS1200:認証開始検出部 605は、ユーザ100がボタンを押したことを検知する。
【0121】
ステップS1201:探索部610は、周辺の無線通信機器を探索するスキャンを開始する。スキャンは探索部610が、周りの通信機器の無線アンテナ部609より送られるMMCパケットを受信することによって行われる。
【0122】
ステップS1202:探索部610は、受信したMMC内のホストを識別するHOST ID、 認証受付状態にあるかどうかを示すパラメータを含むConnection Availability、 測距機能のサポート状況を取得する。
【0123】
ステップS1203:測距機能サポート判定部1501は、測距機能のサポートを有さないプリンタが存在するか否かを判定する。もし測距機能のサポートがないプリンタが存在する場合、そのプリンタの認証を優先するので、ステップS1207へ移行する。もし測距機能のサポートがないプリンタが存在しない場合、距離優先モードが有効となるので、ステップS1204へ移行する。
【0124】
ステップS1204:探索部610は、探索されたプリンタの中で、コネクション・アベイラビリティがALLであり、しかも測距機能のサポートがあるプリンタが存在するか否かをチェックする。もし存在する場合、ステップS1205へ移行する。
【0125】
もし存在しない場合、ステップS1208へ移行する。
【0126】
ステップS1205:探索部610は、コネクション・アベイラビリティがALLであり、しかも測距機能のサポートがあるプリンタを抽出する。時間計測部604と距離算出部608は、図7のステップS703と同様に測距を行い、距離決定に関する時間T3を算出する。
【0127】
ステップS1206:図7のステップS704と同様に、認証処理部611は、最もT3の小さいプリンタに対してプロトコル上の認証処理を行う。
【0128】
ステップS1207:探索部610は、探索されたプリンタの中で、コネクション・アベイラビリティがALLであり、しかも測距機能のサポートがないプリンタが存在するか否かをチェックする。存在する場合は、ステップ1208へ移行する。存在しない場合、ステップS1205へ移行する。
【0129】
ステップS1208:認証処理部611は、コネクション・アベイラビリティがALLであり、しかも測距機能のサポートがないプリンタに対してプロトコル上の認証処理を行い、ステップS1209へ移行する。
【0130】
ステップS1209:認証処理部611は、認証が成功した場合、認証処理を終了する。
【0131】
ステップS1210:認証処理部611は、認証が失敗した場合、そのプリンタを接続対象から外し、削除する。
【0132】
図15は、第2の実施形態における複数プリンタのMMC情報を示す図である。
【0133】
このリストは、探索部610で取得したMMC情報内のホストを識別するHOST ID、認証受付状態にあるかどうかを示すコネクション・アベイラビリティ、測距機能のサポート状況を示す測距能力の値の例を示している。尚測距機能のサポート状況は、測距機能サポート判定部1501により判定される。第2の実施形態では、測距機能のサポートのないHOSTIDとして234567CDを持つプリンタBが判定される。
【0134】
以上のように、第1の実施形態では測距機能のサポートのないプリンタとデジタルカメラを接続することを考慮されていなかったが、第2の実施形態では、測距機能のサポートのないプリンタの接続も考慮されている。この構成により、ユーザが測距機能のサポートの如何にかかわらずデジタルカメラをプリンタに接続できる、という効果が生まれる。
<他の実施形態>
本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置が、供給されたコンピュータプログラムのコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるコンピュータプログラムのコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0135】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0136】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどがある。
【0137】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0138】
さらに、記憶媒体から読み出し可能なプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】従来例におけるデジタルカメラとプリンタの構成を示す図である。
【図2】従来例におけるデジタルカメラとプリンタとの間の動作シーケンス図である。
【図3】従来例におけるデジタルカメラと複数プリンタの構成を示す図である。
【図4】従来例におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間の動作シーケンス図である。
【図5】第1の実施形態における無線通信機器(デジタルカメラ)内の機能ブロックを示す図である。
【図6】第1の実施形態における無線通信機器(プリンタ)内の機能ブロックを示す図である。
【図7】第1の実施形態におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間のシーケンス図である。
【図8】第1の実施形態における全体フローチャートを示す図である。
【図9】第1の実施形態における複数プリンタのMMC情報を示す図である。
【図10】第1の実施形態における複数プリンタのMMC情報と算出時間を示す図である。
【図11】第1の実施形態における時間計測の処理のフローチャートを示す図である。
【図12】第2の実施形態における無線通信機器内の機能ブロックを示す図である。
【図13】第2の実施形態におけるデジタルカメラと複数プリンタとの間の動作シーケンス図である。
【図14】第2の実施形態におけるデジタルカメラの動作内容を示すフローチャートを示す図である。
【図15】第2の実施形態における複数プリンタのMMC情報を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信機器との距離を測定する測定手段と、
前記測定手段による測定の結果に基づいて選択した通信機器に対して認証を行う認証手段と、
を備えることを特徴とする通信機器。
【請求項2】
他の通信機器を探索する探索手段を有し、
前記測定手段は、前記探索手段により探索された通信機器との距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
認証開始のトリガをユーザから受け付けると、前記探索手段は、他の通信機器を探索することを特徴とする請求項2に記載の通信機器。
【請求項4】
前記測定手段は、他の通信機器に対する所定のパケットの往復時間に基づいて距離を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信機器。
【請求項5】
前記往復時間は、他の通信機器に所定のパケットを送信してから、該パケットの応答パケットを受信するまでの時間であることを特徴とする請求項4に記載の通信機器。
【請求項6】
前記認証手段は、前記測定手段による測定の結果、距離の短い順に認証処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信機器。
【請求項7】
前記測定手段は、認証受付状態である通信機器との距離を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の通信機器。
【請求項8】
前記測定手段は、測距機能のサポート状況に基づいて選択した通信機器との距離を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の通信機器。
【請求項9】
通信機器の制御方法であって、
前記通信機器は、他の通信機器との距離を測定し、該測定の結果に基づいて選択した通信機器に対して認証を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記通信機器に、他の通信機器との距離を測定し、該測定の結果に基づいて選択した通信機器に対して認証を行わせることをコンピュータにより実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−118873(P2010−118873A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290330(P2008−290330)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】