説明

通信機器

【課題】使用場所を問わず大画面表示が可能な通信機器を提供する。
【解決手段】プロジェクタ部11と、プロジェクタ部11によって生成された投射像が投射される投射面24とを備え、収納状態と展開状態とをとることができる展開部22及び23を有し、展開状態であるときの展開部22及び23が投射面24の一部を構成し、収納状態であるときの展開部22及び23によって画面が覆われることがない液晶表示装置29を有し、液晶表示装置29は投射面24の一部を構成する場合に全面白色表示を行うことを特徴とする通信機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器は、通常液晶表示装置を搭載しており、通信に必要な情報(例えば、通信相手の電話番号等)を液晶表示装置の画面に表示する。
【0003】
近年、通信機器の多機能化が進み、TV視聴やカメラ撮影等が可能な通信機器が市場に出回っており、このような通信機器に対しては大画面表示の要望が高くなっている。かかる要望を満足させることができる通信機器として、特許文献1や特許文献2に開示されているプロジェクタ装置を備える通信機器が挙げられる。
【特許文献1】特開2000−50360号公報
【特許文献2】特開2006−91109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているプロジェクタ装置を備える通信機器は、外部の投射面(白い壁や投影スクリーン等)が必要であり、外部の投射面が無い場所では大画面表示が行えなかった。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、使用場所を問わず大画面表示が可能な通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る通信機器は、プロジェクタ部と、前記プロジェクタ部によって生成された投射像が投射される投射面とを備える構成としている。
【0007】
このような構成によると、投射面を備えているため、外部の投射面が不要となり、使用場所を問わず大画面表示が可能になる。
【0008】
また、上記構成の通信機器において、収納状態と展開状態とをとることができる展開部を有し、展開状態であるときの前記展開部が前記投射面の一部を構成するようにしてもよい。
【0009】
このような構成によると、通信機器の外形サイズ(展開部が収納状態であるときの外形サイズ)を大きくすることなく、投射面のサイズの大型化を図ることができる。さらに、収納状態であるときの前記展開部によって画面が覆われることがない液晶表示装置を有し、前記液晶表示装置は前記投射面の一部を構成する場合に全面白色表示を行うようにしてもよい。これにより、大画面表示が不要な場合には、液晶表示装置による表示が可能であるため、展開部を展開状態にする必要がなくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る通信機器によると、投射面を備えているので、外部の投射面が不要となり、使用場所を問わず大画面表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る通信機器として、ここでは、折り畳み構造の携帯電話機を例に挙げて説明する。
【0012】
まず、本発明の第一実施形態について説明する。本発明の第一実施形態に係る携帯電話機は、液晶表示装置を備えていない構成である。本発明の第一実施形態に係る携帯電話機の概略回路ブロック図を図1に示す。
【0013】
アンテナ1が無線部2を介してCPU(Central Processor Unit)3に接続される。また、アンテナ4がテレビ放送受信部5を介してCPU3に接続される。さらに、キー入力部6、スピーカ7、マイク8、メモリ9、カメラ部10、及びプロジェクタ部11がCPU3に接続される。
【0014】
CPU3は、メモリ9に格納されているプログラムに従い、携帯電話機全体を複合的に制御する。
【0015】
無線部2は間欠受信を行い、CPU3は無線部2の受信結果に基づいて着信の有無を確認し、着信が有る場合にはスピーカ7に着信音を出力させる。発着呼によりオフフック状態にある場合、CPU3は、無線部2で復調された音声データをスピーカ7に送り、マイク8から出力される音声データを無線部2に送り無線部2に変調させる。
【0016】
CPU3は、通常、アンテナ受信状況、充電池の残量、時刻等を表示するための投射像をプロジェクタ部11に生成させる。また、CPU3は、発呼の際にはキー入力部6からの入力データに基づいて、通信相手の電話番号等を表示するための投射像をプロジェクタ部11に生成させ、着呼の際には無線部6が検出した発信者情報に基づいて、通信相手の電話番号等を表示するための投射像をプロジェクタ部11に生成させる。
【0017】
プロジェクタ部11の一構成例としては、図2に示すように、白色LED12、液晶パネル13、投影レンズ14、LED駆動部15、液晶駆動部16、及びレンズ駆動部17を備える構成が挙げられる。LED駆動部15はCPU3(図1を参照)からの制御信号に応じて白色LED12に電流を供給し、白色LED12を発光させる。液晶駆動部16はCPU3から送られてくる画像データに応じて液晶パネル13を駆動し、液晶パネル13に画像を表示させる。液晶パネル13に白色LED12の白色光を通過させることにより、液晶パネル13に表示された画像の光像が生成される。レンズ駆動部17はCPU3から送られてくる制御信号に応じて投影レンズ14を光軸方向に進退駆動させる。投影レンズ14は、前記光像を投射面へ向けて投射する。
【0018】
本発明の第一実施形態に係る携帯電話機は、電話機能以外にカメラ機能及びテレビ視聴機能を有している。カメラ撮影動作が実行される場合、CPU3がカメラ部10及びメモリ9を制御する。この制御により、カメラ部10の撮影動作によって得られた画像データが、メモリ9に記憶される。また、CPU3がメモリ9及びプロジェクタ部11を制御することにより、プロジェクタ部11がメモリ9に記憶された画像データに基づく画像を表示するための投射像を生成することも可能である。テレビ視聴動作が実行される場合、CPU3がテレビ放送受信部5、プロジェクタ部11、及びスピーカ7を制御する。この制御により、アンテナ4はテレビ放送電波を高周波信号に変換してテレビ放送受信部5に送出し、テレビ放送受信部5は前記高周波信号から映像信号及び音声信号を得、プロジェクタ部11は前記映像信号に基づく画像を表示するための投射像を生成し、スピーカ7は前記音声信号に基づく音声を出力する。
【0019】
プロジェクタ部11によって生成された投射像は、携帯電話機自身の投射面に投射される。ここで、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機の投射面が展開されていない状態での外観斜視図を図3に示す。なお、図3においては投射面の展開部に関する図示を省略している。また、図3において図1と同一の部分には同一の符号を付す。
【0020】
本発明の第一実施形態に係る携帯電話機は、上部筐体18と下部筐体19とがヒンジ20によって折りたたみ可能な構造である。プロジェクタ部11は、回転軸X−Xを軸に回動する回動部21に搭載されており、投射方向の調整が可能となっている。上部筐体18の前面18Aは白色であり、投射面の一部をなす。
【0021】
投射面の展開部の構造例としては、例えば図4に示すような構成が挙げられる。図4(a)は展開部22及び23を上部筐体の背面18B側に収納している状態を示す上面図であり、図4(b)は展開部22及び23を上部筐体の前面18A側に展開している状態を示す上面図であり、図4(c)は展開部22及び23を上部筐体の前面18A側に展開している状態を示す部分斜視図である。展開部22及び23の前面は白色であり、上部筐体18の前面18Aの一部とともに、投射面24を構成している。
【0022】
投射面の展開部の他の構造例としては、例えば図5に示すような構成が挙げられる。図5(a)はバネ27及び28が縮んで展開部25及び26が上部筐体18の内部に収納された位置でロックされている状態を示す断面図であり、図5(b)は展開部25及び26のロックが解除されてバネ27及び28が自然長になり展開部25及び26が上部筐体18の外部に展開している状態を示す断面図である。展開部25及び26の前面は白色であり、上部筐体18の前面18Aの一部とともに、投射面を構成している。
【0023】
本発明の第一実施形態に係る携帯電話機では、投射面の展開部を展開することによって、使用場所を問わずにテレビ受信画像やカメラ撮影画像などを大画面で見ることができる。しかしながら、発着呼の際の電話番号表示などは大画面で見る必要性に乏しく、投射面の展開部を展開することが煩わしい。
【0024】
そこで、本発明の第二実施形態では画面の使い分けが可能な構成とする。以下、本発明の第二実施形態について説明する。本発明の第二実施形態に係る携帯電話機は、液晶表示装置を備えている構成である。本発明の第二実施形態に係る携帯電話機の概略回路ブロック図を図6に示す。なお、図6において図1と同一の部分には同一の符号を付す。
【0025】
本発明の第二実施形態に係る携帯電話機は、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機と異なり、液晶表示装置29を備えている。そして、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機では、CPU3は、通常、アンテナ受信状況、充電池の残量、時刻等を液晶表示装置29に表示させる。また、CPU3は、発呼の際にはキー入力部6からの入力データに基づいて、通信相手の電話番号等を液晶表示装置29に表示させ、着呼の際には無線部6が検出した発信者情報に基づいて、通信相手の電話番号等を液晶表示装置29に表示させる。さらに、CPU3は、プロジェクタ部11に投射像を生成させているときに、液晶表示装置29に全面白色表示をさせる。その他の動作及びプロジェクタ部11の構成例については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
ここで、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機の投射面が展開されていない状態での外観斜視図を図7に示す。なお、図7においては投射面の展開部に関する図示を省略している。また、図7において図6と同一の部分には同一の符号を付す。
【0027】
本発明の第二実施形態に係る携帯電話機は、上部筐体18と下部筐体19とがヒンジ20によって折りたたみ可能な構造である。プロジェクタ部11は、回転軸X−Xを軸に回動する回動部21に搭載されており、投射方向の調整が可能となっている。上部筐体18の前面18Aは白色であり、投射面の一部をなす。また、上部筐体18の前面18Aには、液晶表示装置29が配置されている。
【0028】
投射面の展開部の構造例としては、例えば図8に示すような構成が挙げられる。図8(a)は展開部22及び23を上部筐体の背面18B側に収納している状態を示す上面図であり、図8(b)は展開部22及び23を上部筐体の前面18A側に展開している状態を示す上面図であり、図8(c)は展開部22及び23を上部筐体の前面18A側に展開している状態を示す部分斜視図である。展開部22及び23の前面は白色であり、上部筐体18の前面18Aの一部及び液晶表示装置29とともに、投射面24を構成している。
【0029】
投射面の展開部の他の構造例としては、例えば図9に示すような構成が挙げられる。図9(a)はバネ27及び28が縮んで展開部25及び26が上部筐体18の内部に収納された位置でロックされている状態を示す断面図であり、図9(b)は展開部25及び26のロックが解除されてバネ27及び28が自然長になり展開部25及び26が上部筐体18の外部に展開している状態を示す断面図である。展開部25及び26の前面は白色であり、上部筐体18の前面18Aの一部及び液晶表示装置29とともに、投射面を構成している。
【0030】
本発明の第二実施形態に係る携帯電話機では、投射面の展開部を展開することによって、使用場所を問わずにテレビ受信画像やカメラ撮影画像などを大画面で見ることができる。また、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機では、発着呼の際の電話番号表示などは液晶表示装置で行い、投射面の展開部の展開を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】は、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機の概略回路ブロック図である。
【図2】は、プロジェクタ部の一構成例を示す図である。
【図3】は、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機の投射面が展開されていない状態での外観斜視図である。
【図4】は、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機における投射面の展開部の構造例を示す図である。
【図5】は、本発明の第一実施形態に係る携帯電話機における投射面の展開部の他の構造例を示す図である。
【図6】は、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機の概略回路ブロック図である。
【図7】は、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機の投射面が展開されていない状態での外観斜視図である。
【図8】は、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機における投射面の展開部の構造例を示す図である。
【図9】は、本発明の第二実施形態に係る携帯電話機における投射面の展開部の他の構造例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 アンテナ
2 無線部
3 CPU
4 アンテナ
5 テレビ放送受信部
6 キー入力部
7 スピーカ
8 マイク
9 メモリ
10 カメラ部
11 プロジェクタ部
12 白色LED
13 液晶パネル
14 投影レンズ
15 LED駆動部
16 液晶駆動部
17 レンズ駆動部
18 上部筐体
18A 上部筐体の前面
18B 上部筐体の背面
19 下部筐体
20 ヒンジ
21 回動部
22、23 展開部
24 投射面
25、26 展開部
27、28 バネ
29 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ部と、前記プロジェクタ部によって生成された投射像が投射される投射面とを備えることを特徴とする通信機器。
【請求項2】
収納状態と展開状態とをとることができる展開部を有し、展開状態であるときの前記展開部が前記投射面の一部を構成する請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
収納状態であるときの前記展開部によって画面が覆われることがない液晶表示装置を有し、前記液晶表示装置は前記投射面の一部を構成する場合に全面白色表示を行う請求項2に記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−61152(P2008−61152A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238464(P2006−238464)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】