説明

通信端末、サーバ装置、通信システム及び香り発生方法

【課題】メッセージに香りが対応付けられている場合に、これらがともに知覚されることをより確実にする。
【解決手段】送信者により送信されたメッセージは、受信者の通信端末100aに受信される前に、管理サーバ300に一時的に記憶される。また、送信者は、メッセージに香りIDを対応付けるとともに、当該香りIDが表す香りを発生させる芳香機200を受信者に配送する。受信者は、芳香機200を受け取ると、通信端末100aとペアリングを実行する(S201)。通信端末100aは、芳香機200から香りIDを受信し(S202)、これに基づいて管理サーバ300に記憶されたメッセージを受信する(S203〜S205)。つまり、通信端末100aは、芳香機200と接続したことを契機に、メッセージを出力し、これに連動するように芳香機200において香りを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りを用いたコミュニケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールによるコミュニケーションは、主として視覚的な情報(文字、画像)によるものであるが、添付ファイルによって音声を伝達することも可能である。また、特許文献1には、香りを映像や音声と組み合わせた複合コンテンツを作成及び流通させ、これを携帯端末等において再生するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、香りと香り以外の情報とを組み合わせて相手に知覚させる場合、相手の環境によっては、送り手が期待していたような作用が生じないことがある。例えば、送り手が知覚させたい香りを発生させる手段を相手が有していない場合、送り手が香りとともに知覚させたかった文字や音声によるメッセージは、香りとは切り離して相手に受け取られてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、メッセージに香りが対応付けられている場合に、これらがともに知覚されることをより確実にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る通信端末は、香りを発生させる芳香機と接続する第1通信部と、サーバ装置と接続し、香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信されたメッセージを出力する出力部と、前記第1通信部が前記芳香機と接続し、かつ、当該芳香機により発生される香りに対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージが前記第2通信部により受信されると、当該メッセージの出力と当該香りデータに対応する前記芳香機による香りの発生とが連動して行われるように制御する制御部とを備える。
【0006】
好ましい態様において、前記第1通信部は、前記芳香機と接続すると、当該芳香機が発生させる香りに対応する前記香りデータを受信し、前記第2通信部は、前記第1通信部により受信された香りデータを前記サーバ装置に送信し、当該香りデータに対応する前記メッセージを前記サーバ装置から受信する。
別の好ましい態様において、前記制御部は、前記第1通信部が前記芳香機と接続する前に、当該芳香機に対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージを前記第2通信部が受信した場合に、前記第1通信部が当該芳香機と接続するまで当該メッセージの出力を制限する。
さらに別の好ましい態様において、前記香りデータは、香りの種類を表すデータと、当該香りの発生態様を表すデータとを含み、前記制御部は、前記香りデータが表す発生態様で香りを発生させるように前記芳香機を制御し、又は前記第1通信部を介して前記香りデータを前記芳香機に送信する。
【0007】
本発明の他の態様に係るサーバ装置は、香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信して出力する第1通信端末と、当該メッセージを送信する第2通信端末と接続する通信部と、前記メッセージの前記第2通信端末から前記第1通信端末への送信を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第2通信端末により送信されたメッセージに対応付けられた前記香りデータが前記第1通信端末により送信されたら、当該メッセージが前記第1通信端末に送信されるように制御する。
【0008】
本発明の他の態様に係る通信システムは、請求項1ないし4のいずれかに記載の通信端末である第1通信端末と、前記メッセージを送信する第2通信端末と、前記第2通信端末から送信された前記メッセージを前記第1通信端末に送信するためのサーバ装置とを備える。
この態様において、前記サーバ装置は、前記第1通信端末において発生可能な香りを示す前記香りデータを記憶する記憶部と、前記第2通信端末が前記第1通信端末に前記メッセージを送信する前に、当該第1通信端末について前記記憶部に記憶された香りデータが示す香りを当該第2通信端末に通知する通知部とを備えてもよい。
【0009】
本発明の他の態様に係る香り発生方法は、香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信する第1通信端末が、香りを発生させる芳香機と接続する接続ステップと、前記接続ステップにより前記芳香機と接続し、かつ、当該芳香機により発生される香りに対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージを受信すると、当該メッセージの出力と当該香りデータに対応する前記芳香機による香りの発生とが連動して行われるように制御する制御ステップと実行することを特徴とする。
この態様において、さらに、前記メッセージを送信する第2通信端末が、前記第1通信端末による前記接続ステップに先立ち、当該第1通信端末において発生可能な香りをユーザに提示する提示ステップと、前記確認ステップにより提示された香り以外の香りを前記メッセージに対応付ける場合に、当該香りを発生させる前記芳香機を前記第1通信端末のユーザに配送するための処理を実行する配送処理ステップとを実行してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メッセージに香りが対応付けられている場合に、これらがともに知覚されることをより確実にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通信システムの全体構成を示す図
【図2】通信端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】芳香機のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図
【図5】香りデータのデータフォーマットを示す図
【図6】メッセージの作成方法を示すシーケンスチャート
【図7】メッセージの作成時に表示されるメッセージ作成画面を例示する図
【図8】メッセージの出力と香りの発生を連動して行う方法を示すシーケンスチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である通信システム10の全体構成を示す図である。通信システム10は、通信端末100a、100bと、芳香機200と、管理サーバ300と、提供サーバ400とを含んで構成される。また、通信端末100a、100bと管理サーバ300とは、移動体通信網やインターネットなどのネットワーク500を介して互いに接続される。なお、通信システム10には、実際にはより多数の通信端末が含まれ得るが、ここでは特定のユーザ(あるメッセージの送信者と受信者)の端末のみが図示されている。また、芳香機200も、通信端末100aに対して複数対応付けられてもよい。
【0013】
通信端末100a、100bは、メッセージを送受信するための電子機器である。通信端末100aは、メッセージの受信者が所持する端末であり、本発明の第1通信端末に相当する。一方、通信端末100bは、メッセージの送信者が所持する端末であり、本発明の第2通信端末に相当する。通信端末100a、100bは、ここでは、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末などの無線通信端末であるとするが、互いの通信は無線通信ではなく有線通信であってもよい。以下において、通信端末100a、100bを区別する必要がない場合には、これらを「通信端末100」と総称する。
【0014】
なお、本発明におけるメッセージとは、あるユーザから他のユーザに送信され、視覚的又は聴覚的に出力される情報をいう。ここでいうメッセージは、例えば電子メールがこれに該当するが、電子メールに限定されない。例えば、本発明におけるメッセージは、SNS(Social Networking Service)などのサービスに付随した当該サービス独自のコミュニケーション手段であってもよい。これらのメッセージは、電子メールクライアント(いわゆるメーラ)のような専用のソフトウェアによってやりとりされてもよいし、Webブラウザによって特定のWebページを介してやりとりされてもよい。
【0015】
芳香機200は、香りを発生させる機器である。芳香機200は、通信端末100aとともに携行されることが想定されており、例えば、通信端末100aに取り付けるストラップや、通信端末100aのカバー(ジャケット)などの形態で提供される。あるいは、芳香機200は、通信端末100aの近くにあればよいので、ペンダント、ブレスレット、腕時計などのような、ユーザが身に付ける装飾品の形態であってもよい。
【0016】
また、芳香機200は、通信端末100aと通信し、電気的に接続されるように構成されている。芳香機200による通信は、無線通信と有線通信のいずれであってもよい。ただし、本実施形態においては、芳香機200による通信がBluetooth(登録商標)による無線通信によって行われるものとする。Bluetoothによる無線通信は、例えばクラス2の場合、半径10m程度の距離まで相手側の機器と接続可能である。
【0017】
管理サーバ300は、通信システム10において提供される通信サービス(以下「香り通信サービス」という。)を管理するためのサーバ装置である。管理サーバ300は、メッセージを送受信する機能に加え、後述する香りデータを管理する機能を有している。なお、管理サーバ300は、単一の装置ではなく複数の装置によって実現されてもよい。すなわち、管理サーバ300は、これらの機能をそれぞれ受け持つ装置(メッセージの送受信用のサーバ装置、香りデータを管理するサーバ装置)に分かれていてもよい。
【0018】
提供サーバ400は、芳香機200を提供するためのサーバ装置である。提供サーバ400は、専用のWebサイトによって芳香機200を有償又は無償により提供するサービスをユーザに提供する。また、提供サーバ400は、いわゆるオンライン決済を実行するための機能を備えていてもよい。なお、芳香機200を提供するサービスの運営者は、香り通信サービスを提供するサービス事業者と同一である必要はない。
【0019】
図2は、通信端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。通信端末100は、第1通信部110と、第2通信部120と、表示部130と、音声入出力部140と、操作部150と、制御部160と、記憶部170とを備える。なお、通信端末100は、図2に示す構成のほか、静止画又は動画を撮影するためのカメラや、必要に応じて振動するバイブレータなどを備えていてもよい。
【0020】
第1通信部110は、芳香機200と通信により接続する手段である。本実施形態の第1通信部110は、Bluetoothにより芳香機200などの外部機器と通信する。よって、第1通信部110は、それまで接続したことがない外部機器と最初に接続する場合には、ペアリングを要する。一方、第2通信部120は、管理サーバ300と通信により接続する手段である。第2通信部120は、ネットワーク500を介して管理サーバ300と通信する。
【0021】
表示部130及び音声入出力部140は、いずれも、情報を出力する手段である。表示部130は、情報を視覚的に認識できる態様で出力し、音声入出力部140は、情報を聴覚的に認識できる態様で出力する。表示部130は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどの表示パネルと、これを駆動する駆動回路とを備え、制御部160から供給される表示データに応じた文字や画像を表示する。音声入出力部140は、スピーカやマイクロホンを備え、音声を再生したり収音したりする。
【0022】
なお、本発明の出力部には、表示部130と音声入出力部140のいずれもが該当し得る。本発明における情報(特にメッセージ)の出力は、視覚的又は聴覚的のいずれであってもよく、また、これらのいずれか一方のみであってもよい。また、通信端末100は、文字によるメッセージを受信した場合に、これを表示部130で表示してもよいし、音声入出力部140によって音声で読み上げるようにしてもよい。
【0023】
操作部150は、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作部150は、表示パネルに重ねて設けられたタッチスクリーンによって実現されてもよいし、いわゆるQWERTY配列などのキーパッド(キーボード)であってもよい。操作部150は、ユーザの操作を表す操作データを制御部160に供給する。
【0024】
制御部160は、通信端末100の動作を制御する手段である。制御部160は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や主記憶装置に相当する記憶媒体(メモリ)を備え、所定のプログラムに従って処理を実行することにより通信端末100の各部の動作を制御する。例えば、制御部160は、第1通信部110や第2通信部120による接続や通信を制御したり、表示部130や音声入出力部140による情報の出力を制御したりする。
【0025】
記憶部170は、データを記憶する手段である。記憶部170は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの補助記憶装置に相当する記憶媒体を備えている。また、記憶部170は、UIM(User Identity Module)カードやいわゆるメモリカードのように、通信端末100に対して着脱可能な記憶媒体を含んでもよい。記憶部170は、制御部160の制御により、香りデータや、第2通信部120が受信したメッセージを記憶することができる。
【0026】
なお、通信端末100bは、通信端末100aと同様のハードウェア構成を有する。ただし、通信端末100bは、必ずしも芳香機200と接続可能である必要はないため、第1通信部110を備えていなくてもよい。つまり、芳香機200は、メッセージの受信者が使用可能であればよく、メッセージの送信者が使用可能であることを要しない。また、通信端末100bは、実行する処理が通信端末100aと相違する。例えば、通信端末100bは、芳香機200の購入するための機能(例えばWebブラウザ)を有している。
【0027】
図3は、芳香機200のハードウェア構成を示すブロック図である。芳香機200は、通信部210と、香り発生部220と、制御部230とを備える。通信部210は、通信端末100aと第1通信部110を介して接続する手段である。香り発生部220は、あらかじめ内蔵している芳香成分を所定のタイミングで拡散させる手段である。制御部230は、通信部210による通信と、香り発生部220による香りの発生を制御する手段である。制御部230は、演算処理装置やメモリを備え、香りを発生させるタイミングなどを制御する。
【0028】
香り発生部220は、周知のさまざまな構成を用いることが可能であり、例えば、芳香成分を含有する液体を噴霧する構成や、芳香成分を浸潤させたスポンジやフェルトを封入した容器の蓋を開閉する構成とすることが可能である。あるいは、香り発生部220は、芳香成分を外部に放出するためのファンを備える構成であってもよい。また、香り発生部220は、香りの強弱を調整できるように構成されていると望ましい。例えば、香り発生部220は、液体の噴霧量やファンの回転速度を変更できるように構成されていれば、香りの強弱を調整することが可能である。
【0029】
芳香機200は、あらかじめ決められた種類の香りを発生させるように構成されている。ただし、1つの芳香機200が発生させることができる香りは、複数種類あってもよい。芳香機200の制御部230には、発生可能な香りの種類を表す香りIDが記憶されている。香りIDは、香りデータを構成するデータである。
【0030】
図4は、管理サーバ300のハードウェア構成を示すブロック図である。管理サーバ300は、通信部310と、制御部320と、記憶部330とを備える。通信部310は、通信端末100と接続する手段であり、ネットワーク500を介してこれを実現する。制御部320は、管理サーバ300の動作を制御する手段であり、メッセージや香りデータの管理を行う。記憶部330は、データを記憶する手段であり、各ユーザに対応する香りデータを記憶するとともに、メッセージを一時的に記憶する。なお、制御部320は、通信部310と協働して本発明の通知部(すなわちメッセージの受信者の通信端末側において発生可能な香りを送信者の通信端末に通知する手段)を実現する。
【0031】
図5は、香りデータのデータフォーマットを示す図である。本実施形態の香りデータは、香りの種類を識別するための「香りID」を少なくとも含み、これに加え、香りの発生態様を表すデータを含み得る。香りの発生態様を表すデータは、具体的には、香りの強弱、発生開始時間、間欠タイミングなどである。これらのデータは、数値によって記述される。例えば、香りの強弱は、数値の大小によって表現され、発生開始時間は、メッセージを開封し、その出力を開始してからの時間(0秒後、5秒後など)によって表現される。また、間欠タイミングとは、香りの発生のオン・オフを繰り返す場合に、これを発生させる時間と止める時間とを記述するものである。
【0032】
なお、香りの発生態様を表すデータは、香りデータに必須のものではない。香りの発生態様を表すデータは、香りデータにおいて定義されていない場合には、あらかじめ決められた基準値が用いられる。例えば、発生開始時間の基準値は、0秒(すなわちメッセージの開封直後から芳香)である。
【0033】
本実施形態において、香りデータは、芳香機200の提供者からの申し出に基づき、香り通信サービスを提供するサービス事業者によって定義及び管理される。芳香機200の提供者は、芳香機200を製造・販売する者であってもよいし、芳香機200を広告や宣伝などの目的で有償又は無償で頒布する者であってもよい。具体的な提供形態としては、例えば、化粧品や食品を販売する会社が、新商品などを宣伝する目的で、当該商品の香り(又はこれに類する香り)を体験できる芳香機200を希望者に頒布する、といったものが考えられる。香り通信サービスを提供するサービス事業者は、新たな香りが提供者から提供されると、その香りに新規な香りIDを割り当てることによって新規な香りデータを作成する。このサービス事業者は、提供者によって香りの発生態様もあらかじめ設定されている場合には、これも香りデータに含める。
【0034】
記憶部330は、このような香りデータを記憶している。すなわち、記憶部330は、この香り通信サービスにおいて利用可能な香りのすべてについて、香りデータを記憶している。また、記憶部330は、香りデータとユーザの対応付けも記憶している。この対応付けは、どのユーザがどの香りを発生させることができるか、換言すれば、ユーザが所持している芳香機200がどの香りを発生させるものであるかを表している。このような対応付けは、例えば、この香り通信サービスにおいてユーザ(又はその通信端末)を識別するためのデータ(以下「ユーザID」という。)と香りデータ(又は香りID)とを関連付けて記憶することによって実現可能である。このように記録されているユーザと香りデータの対応付けのことを、以下においては「ユーザDB(database)」という。
【0035】
通信システム10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、管理サーバ300は、メッセージの送受信を管理するとともに、香りデータを管理する。香りデータの管理とは、第一には、新たな香りの芳香機200が提供されるとこれに香りデータを割り当てて記録することであり、第二には、通信端末100のユーザによる新たな芳香機200の登録を受け付けることである。
【0036】
また、通信端末100のユーザ(送信者)は、他のユーザ(受信者)と、香りを用いたコミュニケーションを行う。送信者は、香りデータを添付したメッセージを作成し、これを送信することができる。このとき、送信者は、受信者がどのような香りの芳香機200を既に所持しているかを確認することが可能である。また、送信者は、自身がメッセージに添付したい香りを発生可能な芳香機200を受信者が所持していない場合には、これをWebサイトにおいて購入などし、受信者あてに配送することが可能である。
【0037】
図6は、通信端末100bにおけるメッセージの作成方法を示すシーケンスチャートである。また、図7は、メッセージの作成時に通信端末100bの表示部130に表示されるメッセージ作成画面を例示する図である。なお、ここにおいて、メッセージは、電子メールであるとする。
【0038】
メッセージ作成画面には、メッセージのあて先(To)、添付ファイル、件名、本文を入力するための欄が表示される。To欄には、ユーザIDの一例であるメールアドレスが入力される。添付ファイル欄には、特定の香りデータが入力される。この場合、香りデータは、特定の拡張子を付すなどして他のデータと区別される。
【0039】
図6に示す作成方法において、ユーザは、まず、メッセージの受信者を入力する。このとき、通信端末100bは、操作部150を介してメールアドレスの入力を受け付けることによってあて先(すなわちメッセージの受信者)を特定する(ステップS101)。なお、メールアドレスの入力は、ユーザが1文字ずつ入力することで行われてもよいし、周知のアドレス帳などを利用して行われてもよい。
【0040】
メールアドレスが入力されると、通信端末100bは、管理サーバ300に接続し、メッセージの受信者の通信端末100aにおいて発生可能な香りを問い合わせる。具体的には、通信端末100bが、ステップS101において入力されたメールアドレスを管理サーバ300に送信し(ステップS102)、管理サーバ300が、これをキーにしてユーザDBから当該受信者に対応付けられた香りデータを検索し(ステップS103)、その検索結果を通信端末100bに送信する(ステップS104)。なお、ステップS104において、管理サーバ300は、香りデータそのものを通信端末100bに送信してもよいし、香りデータが表す香りを示す文字や画像のデータを通信端末100bに送信してもよい。
【0041】
通信端末100bは、このように管理サーバ300と通信し、ステップS104の検索結果を受信すると、これをユーザに提示する(ステップS105)。ステップS105の提示とは、例えば、香りデータが表す香りを表示部130に表示することをいうが、これを音声で再生することも可能である。このとき、通信端末100bは、香りデータが表す香りをダイアログボックスなどによって表示し、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。また、通信端末100bが同じ香りを発生させることができる場合には、香りデータが表す香りを実際に発生させることによってユーザに提示することも可能である。このようなステップにより、メッセージの送信者であるユーザは、メッセージの受信者が現在どのような芳香機200を所持しているのかを確認することができる。
【0042】
送信者が香りデータを添付する場合、通信端末100bは、その香りデータに対応する香りを発生させる手段を受信者が有しているか否かによって処理を異ならせる(ステップS106)。なお、ステップS106の分岐は、通信端末100b自体が判断することを意味するものではなく、ユーザの判断結果に応じて処理が分岐することを意味している。
【0043】
ユーザは、ステップS105において提示された香りを異なる香りを添付する場合、提供サーバ400が運営しているWebサイトにアクセスする。このとき、通信端末100bは、ユーザの操作に従い、提供サーバ400と接続する(ステップS107)。ステップS107において、通信端末100bは、各種のデータを提供サーバ400とやりとりする。例えば、ユーザは、Webサイトにおいて相手に贈りたい芳香機200を検索したりすることが可能であり、この場合には検索のための文字列やWebページを表示するためのHTML(HyperText Markup Language)データなどが通信端末100bと提供サーバ400との間で送受信される。また、通信端末100bは、ユーザが芳香機200を贈る場合には、その芳香機200に対応する香りデータを提供サーバ400から受信する。
【0044】
また、ステップS107の処理は、芳香機200を通信端末100aのユーザ(メッセージの受信者)に配送するための配送処理を含む。配送処理は、例えば、芳香機200の代金をオンラインで決済し、芳香機200の配送先(受信者の住所など)を指定するといった処理である。なお、芳香機200が無償である場合であれば、ユーザは、芳香機200の配送先を指定するだけでもよい。
【0045】
ユーザは、管理サーバ300(ステップS106において「YES」の場合)又は提供サーバ400(ステップS106において「NO」の場合)のいずれかから香りデータを入手すると、これを添付ファイルとして添付する。また、ユーザは、メッセージの件名や本文も入力する。このとき、通信端末100bは、ユーザによる香りデータの入力を受け付け、さらに件名や本文の入力を受け付けることによって必要なデータを特定し、メッセージを完成させる(ステップS108、S109)。なお、メッセージの作成手順は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば香りデータを添付する前に件名や本文を入力することも可能である。
【0046】
なお、送信者であるユーザは、香りの発生態様をユーザ自身で決めてもよい。換言すれば、香りデータは、香りの発生態様を表すデータがユーザによって変更可能なように構成されていてもよい。このようにすれば、ユーザは、メッセージの内容を踏まえて、ユーザ自身が望む態様で香りを発生させるようにすることが可能になる。
【0047】
以上のようにして香りデータが添付されたメッセージが作成されると、通信端末100bは、ユーザの操作に従い、メッセージを管理サーバ300に送信する(ステップS110)。管理サーバ300は、メッセージを受信すると、これを通信端末100aにただちには送信せずに、一時的に記憶する(ステップS111)。そのため、メッセージの受信者であるユーザは、この時点では、自らに送信者からの(香り付きの)メッセージが送信されていることを知り得ない。ただし、送信者が既存の香り(受信者が既に芳香機200を所持している香り)をメッセージに対応付けた場合であれば、管理サーバ300は、メッセージをただちに通信端末100aに送信してもよい。
【0048】
このようなステップの処理を経て、受信者であるユーザには、送信者により選択された芳香機200が適当なタイミングで配送されてくる。ユーザは、この芳香機200を利用可能にするためにペアリングを行い、通信端末100aと芳香機200とを接続する。
【0049】
図8は、通信端末100aにおける、メッセージの出力と香りの発生を連動して行う方法を示すシーケンスチャートである。通信端末100aは、はじめに、ペアリングを行い、新たな芳香機200と接続可能な状態になる(ステップS201)。通信端末100aは、芳香機200と第1通信部110を介して接続可能な状態になると、芳香機200から香りIDを受信する(ステップS202)。このとき受信される香りIDは、芳香機200が発生させる香りに対応付けられたものである。
【0050】
通信端末100aは、ペアリングを行い、芳香機200から香りIDを受信すると、これを第2通信部120を介して管理サーバ300に送信する(ステップS203)。管理サーバ300は、香りIDを受信すると、通信端末100aのユーザをあて先に含み、かつ当該香りIDが対応付けられているメッセージを抽出する(ステップS204)。このとき抽出されるメッセージは、ステップS111において記憶されたものである。管理サーバ300は、このメッセージを抽出すると、通信端末100aに送信する(ステップS205)。なお、管理サーバ300は、送信後のメッセージを、適当なタイミングで記憶部330から消去する。
【0051】
通信端末100aは、管理サーバ300からメッセージを受信すると、当該メッセージを出力するとともに、当該メッセージに対応する香りを発生させる芳香機200が香りを発生させるように制御する(ステップS206)。すなわち、通信端末100aは、メッセージの出力と香りの発生とが連動して行われるように制御する。通信端末100aは、香りデータに香りの発生態様を表すデータが含まれている場合には、当該データに従って香りが発生するように芳香機200を制御し、香りデータに香りの発生態様を表すデータが含まれていない場合には、所定の態様(例えば、メッセージを表示している時間だけ香りを発生させる)で香りが発生するように芳香機200を制御する。
【0052】
なお、通信端末100aによる芳香機200の制御とは、例えば、通信端末100aが香りデータを解釈し、その解釈結果に応じた発生態様で香りを発生させるように通信端末100aが芳香機200に対して動作を命令するものである。通信端末100aがこのように動作すれば、芳香機200が香りデータを解釈可能である必要はない。一方、芳香機200が香りデータを解釈可能である場合には、通信端末100aは、香りデータを第1通信部110を介して芳香機200に送信するだけでよい。
【0053】
また、図8に示した処理は、新たに配送されてきた芳香機200を用いる場合の例である。一方、既存の芳香機200を用いる場合であれば、通信端末100aは、上述したステップS201のようにペアリングを行う必要はない。この場合、通信端末100aは、ペアリングに代えて、該当する芳香機200と通信可能であるか否かを判断する処理を実行すればよい。また、通信端末100aは、該当する芳香機200と通信可能でないと判断した場合には、「○○の香りの芳香機を用意してください」などといった通知用のメッセージを出力し、ユーザに芳香機200の接続を促し、接続可能な状態になってからメッセージを出力するようにしてもよい。
【0054】
以上のとおり、本実施形態によれば、メッセージの送信者は、自身が意図したとおりの態様でメッセージと香りとを相手に知覚させるようにすることが可能である。本実施形態によれば、送信者は、受信者が所持していない香りをメッセージに添えることが可能であり、かつ、そのような場合にメッセージのみが単独で受け取られたり、香りがメッセージと連動することなく知覚されたりすることを防ぐことが可能である。
【0055】
また、本実施形態によれば、送信者は、受信者が所持している芳香機200(あるいは所持していない芳香機200)を事前に確認することができるため、受信者が利用不可能な香りデータを添付したメッセージを送信してしまうといった事態を回避することが可能である。また、受信者が利用不可能な香りに対応する芳香機200の購入や配送を容易に可能にすることによって、香りの選択肢が増加するだけでなく、芳香機200の普及や販売促進といった効果も期待することができる。
【0056】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態の態様に限らず、他の態様でも実施することが可能である。本発明は、例えば、以下の変形例に示す態様によっても実施可能である。なお、本発明は、これら複数の変形例を組み合わせた態様で実施されてもよい。
【0057】
(1)上述した実施形態において、メッセージは、芳香機200が通信端末100aと接続可能になるまで送信されなかった。しかし、本発明において、メッセージは、通信端末100aがその出力を制限することが可能であれば、芳香機200が接続可能になる前に送信されてもよい。ここでいう制限とは、例えば、通信端末100aが芳香機200と接続する前に、当該芳香機200に対応する香りデータが対応付けられたメッセージを受信した場合に、第1通信部110が当該芳香機200と接続するまで当該メッセージを出力しないようにするものである。
【0058】
なお、通信端末100aは、このような時期的な制限以外の制限を行ってもよい。例えば、通信端末100aは、芳香機200が接続可能になる前においては、その芳香機200が関連付けられたメッセージのあて先や件名のみを出力できるようにし、本文は出力できないようにしてもよいし、本文の一部(例えば冒頭の数文字)のみを出力できるようにしてもよい。
【0059】
(2)上述した実施形態において、芳香機200は、特定の香りを発生させるものであった。しかし、本発明の芳香機は、着脱可能なカートリッジに芳香成分を収め、必要に応じてカートリッジを交換できる構成であってもよい。なお、このような構成の場合、配送の対象は、芳香機そのものではなく、カートリッジのみでよい。さらに、この場合には、芳香機が通信端末に対する外部機器として構成されるのではなく、通信端末に内蔵されていてもよい。
【0060】
(3)本発明の第1通信部による通信は、無線通信に限らず、有線(有接点)の通信であってもよい。また、第1通信部による通信は、無線通信である場合においても、Bluetoothに限定されず、例えば、NFC(Near Field Communication)や赤外線通信によるものであってもよい。
【0061】
(4)香りの発生態様は、メッセージの種類に応じて異なってもよい。例えば、メッセージが複数のページからなり、ページ単位で画面に表示されるような場合であれば、香りの発生態様を表すデータは、メッセージの何ページ目が表示されたときに香りを発生させるかを記述できるようになっていてもよい。
【0062】
(5)本発明のサーバ装置(管理サーバ)は、メッセージを記憶して送受信する他のサーバ装置を別途備える場合において、当該他のサーバ装置の動作を制御するものであってもよい。すなわち、本発明のサーバ装置は、メッセージの送信を制御することができれば、メッセージそのものは必ずしも記憶していなくてもよい。
【0063】
(6)ユーザがどのような香りの芳香機を所持しているかという情報は、私的な情報でもある。よって、このような情報を不特定多数のユーザが知り得る状態にあることは、一部のユーザにとっては望ましくない可能性もある。このような場合にユーザのプライバシーを保護するためには、例えば、ユーザDBに記憶されたデータを開示する範囲をユーザ自身が設定できるようにしてもよい。ここでいう設定の例としては、特定のユーザID(例えば、ユーザ自身が知っている相手のユーザIDや、ユーザ自身が開示を許諾した相手のユーザID)を有する送信者のみにデータを開示する、といった内容のものである。このような設定は、芳香機200を新たに登録する場合にあわせて実行できるとよい。このようにすれば、データの開示範囲を香り毎に変えることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…通信システム、100、100a、100b…通信端末、110…第1通信部、120…第2通信部、130…表示部、140…音声入出力部、150…操作部、160…制御部、170…記憶部、200…芳香機、300…管理サーバ、400…提供サーバ、500…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香りを発生させる芳香機と接続する第1通信部と、
サーバ装置と接続し、香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信する第2通信部と、
前記第2通信部により受信されたメッセージを出力する出力部と、
前記第1通信部が前記芳香機と接続し、かつ、当該芳香機により発生される香りに対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージが前記第2通信部により受信されると、当該メッセージの出力と当該香りデータに対応する前記芳香機による香りの発生とが連動して行われるように制御する制御部と
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記第1通信部は、
前記芳香機と接続すると、当該芳香機が発生させる香りに対応する前記香りデータを受信し、
前記第2通信部は、
前記第1通信部により受信された香りデータを前記サーバ装置に送信し、当該香りデータに対応する前記メッセージを前記サーバ装置から受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1通信部が前記芳香機と接続する前に、当該芳香機に対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージを前記第2通信部が受信した場合に、前記第1通信部が当該芳香機と接続するまで当該メッセージの出力を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記香りデータは、
香りの種類を表すデータと、当該香りの発生態様を表すデータとを含み、
前記制御部は、
前記香りデータが表す発生態様で香りを発生させるように前記芳香機を制御し、又は前記第1通信部を介して前記香りデータを前記芳香機に送信する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通信端末。
【請求項5】
香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信して出力する第1通信端末と、当該メッセージを送信する第2通信端末と接続する通信部と、
前記メッセージの前記第2通信端末から前記第1通信端末への送信を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第2通信端末により送信されたメッセージに対応付けられた前記香りデータが前記第1通信端末により送信されたら、当該メッセージが前記第1通信端末に送信されるように制御する
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の通信端末である第1通信端末と、
前記メッセージを送信する第2通信端末と、
前記第2通信端末から送信された前記メッセージを前記第1通信端末に送信するためのサーバ装置と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、
前記第1通信端末において発生可能な香りを示す前記香りデータを記憶する記憶部と、
前記第2通信端末が前記第1通信端末に前記メッセージを送信する前に、当該第1通信端末について前記記憶部に記憶された香りデータが示す香りを当該第2通信端末に通知する通知部と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
香りを識別する香りデータが対応付けられたメッセージを受信する第1通信端末が、
香りを発生させる芳香機と接続する接続ステップと、
前記接続ステップにより前記芳香機と接続し、かつ、当該芳香機により発生される香りに対応する前記香りデータが対応付けられた前記メッセージを受信すると、当該メッセージの出力と当該香りデータに対応する前記芳香機による香りの発生とが連動して行われるように制御する制御ステップと
実行することを特徴とする香り発生方法。
【請求項9】
前記メッセージを送信する第2通信端末が、
前記第1通信端末による前記接続ステップに先立ち、当該第1通信端末において発生可能な香りをユーザに提示する提示ステップと、
前記確認ステップにより提示された香り以外の香りを前記メッセージに対応付ける場合に、当該香りを発生させる前記芳香機を前記第1通信端末のユーザに配送するための処理を実行する配送処理ステップと
を実行することを特徴とする請求項8に記載の香り発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−25678(P2013−25678A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161944(P2011−161944)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】