説明

通信端末、及び、通信端末の個人認証方法

【課題】特定の操作を行うことなく個人認証が行える通信端末と通信端末の個人認証方法とを提供する。
【解決手段】取得部22aは、通信端末1の周囲の雰囲気から、または、通信端末1の筐体表面の所定箇所に付着した付着物から、ユーザの呼気や毛穴からの分泌物(汗等の匂い物質)、更には、ユーザの用いる香水等の物質の量(検出量)を取得し(ステップS12)、算出部22bは、取得部22aにより取得された検出量と、予め登録された当該検出物質の匂い認証用の基準量Xとの一致度を算出し(ステップS14)、認証成否判定部22cは、算出部22bにより算出された一致度が所定の基準値Yを越えた場合に個人認証が成功したと判定し、一致度が基準値Yを越えなかった場合に個人認証が不成功であったと判定する(ステップS15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末と通信端末の個人認証方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、暗証番号に基づく個人認証機能を有する通信端末が開発されている。特許文献1は、暗証番号の入力により個人認証を行う機能を有する。この個人認証の成否に応じて、例えばキーロック等の操作制限の解除の可否が判定される。
【特許文献1】特開2006−191245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術の場合、ユーザは、例えば操作制限の解除のための個人認証を行う度に、暗証番号の入力操作を行わなければならないので手間がかかる。そこで本発明の目的は、特定の操作を行うことなく個人認証が行える通信端末と通信端末の個人認証方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の個人認証を行う第1の認証手段を備えた通信端末であって、当該通信端末の周囲の雰囲気中の所定の物質、または、当該通信端末の筐体表面の所定箇所に付着した所定の物質を検出する検出装置を備え、第1の認証手段は、検出装置から出力される検出データに基づいて所定の物質の量を取得する取得手段と、取得手段により取得された物質の量と、予め登録された当該物質の認証用基準量との一致度を算出する算出手段と、一致度が所定の基準値を越えた場合に第1の個人認証が成功したと判定し、該一致度が該基準値を越えなかった場合に該第1の個人認証が不成功であったと判定する認証成否判定手段とを有する、ことを特徴とする。このように、通信端末は、通信端末の周囲の雰囲気から、または、通信端末の筐体の表面に付着した付着物から、例えばユーザの分泌物等の物質を自動的に検出する。そして、通信端末は、この検出した物質と基準量との一致度を自動的に算出し、この一致度に基づいて第1の個人認証の成否を判定する。従って、通信端末によれば、ユーザが特定の操作を行うことなく、例えばユーザの分泌物等に基づいて個人認証が可能となる。
【0005】
本発明では、当該通信端末の所定機能を制限する制限手段と、所定機能が制限手段によって制限されている場合に第1の個人認証が成功したと認証成否判定手段によって判定されると制限を解除する解除手段とを更に備える。このように、通信端末は、検出物に基づく第1の個人認証が成功した場合に通信端末の所定機能の制限を解除するので、十分なセキュリティが確保できる。
【0006】
本発明では、第1の個人認証とは異なる第2の個人認証を行う第2の認証手段と、認証成否判定手段により第1の個人認証が不成功と判定された後、第2の認証手段による第2の個人認証が成功した場合に、第1の個人認証に用いた物質の量を新たな認証用基準量として登録するか否かの選択入力を要求し、登録する旨の選択入力があると、第1の個人認証に用いた物質の量を新たな認証用基準量に登録する登録手段とを更に備える。従って、実際に第1の個人認証に用いられた物質の量が、既に登録されている認証用基準量に一致しない場合であっても、この物質の量に基づいて認証用基準量が新たに登録可能となる。例えば、ユーザの体調の変化等により予め登録された認証用基準量と異なる物質(物質の量)が検出された場合であっても、このような物質を新たな認証用基準量に登録できる。このように、予め登録された認証用基準量に揺らぎがあっても(変化しても)、個人認証が可能となる。
【0007】
本発明では、第1の個人認証とは異なる第2の個人認証を行う第2の認証手段と、認証成否判定手段により第1の個人認証が不成功と判定された後、第2の認証手段による第2の個人認証が成功した場合に、第1の個人認証に用いた物質の量を新たな認証用基準量に登録する登録手段とを更に備える。従って、実際に第1の個人認証に用いられた物質の量が、既に登録されている認証用基準量に一致しない場合であっても、この物質の量に基づいて認証用基準量が新たに登録可能となる。例えば、ユーザの体調の変化等により予め登録された認証用基準量と異なる物質(物質の量)が検出された場合であっても、このような物質を新たな認証用基準量に登録できる。このように、予め登録された認証用基準量に揺らぎがあっても(変化しても)、個人認証が可能となる。
【0008】
本発明では、制限手段による所定機能の制限は、発着信禁止及びキー操作禁止の少なくとも一方を含む当該通信端末の利用制限、並びに、当該通信端末のメモリに格納されている所定データへのアクセス制限、の少なくとも一方を含む。
【0009】
検出装置は、当該通信端末のマイク、スピーカ、筐体表面における把持部、の何れかに設けられており、マイクまたはスピーカの周囲の雰囲気中の所定の物質、または、把持部に付着した所定の物質を検出する。このように、検出装置は、ユーザが通信端末を使用している態様で物質を検出するので、ユーザが特定の操作を行うことなく、第1の個人認証が可能となる。
【0010】
通信端末の周囲の雰囲気中の所定の物質、または、当該通信端末の筐体表面の所定箇所に付着した所定の物質を検出する検出装置を備えた通信端末の個人認証方法であって、検出装置から出力される検出データに基づいて所定の物質の量を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された物質の量と、予め登録された当該物質の認証用基準量との一致度を算出する算出ステップと、算出ステップの後、一致度が所定の基準値を越えた場合に個人認証が成功したと判定し、該一致度が該基準値を越えなかった場合に該個人認証が不成功であったと判定する認証成否判定ステップとを有する、ことを特徴とする。このように、通信端末は、通信端末の周囲の雰囲気から、または、通信端末の筐体の表面に付着した付着物から、例えばユーザの分泌物等の物質を自動的に検出する。そして、通信端末は、この検出した物質と基準量との一致度を自動的に算出し、この一致度に基づいて個人認証の成否を判定する。従って、本発明によれば、ユーザが特定の操作を行うことなく、例えばユーザの分泌物等に基づいて個人認証が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定の操作を行うことなく個人認証が行える通信端末と通信端末の個人認証方法とが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1及び図2に、実施形態にかかる通信端末1の構成を示す。通信端末1は、携帯電話等の通信端末である。通信端末1は、通信端末1の所定機能が制限されている時(例えば、キーロック等の操作制限時)にユーザの個人認証を行い、認証が成功した場合にのみ、この所定機能の制限を解除する。ここで、上記の所定機能の制限とは、発着信禁止及びキー操作禁止の少なくとも一方を含む通信端末1の利用制限、並びに、通信端末1のメモリ(後述のRAM1b、ROM1c、記録装置1g等)に格納されている所定データ(例えばユーザの個人データであり、PIMフォルダやFeliCa(登録商標)チップ等)へのアクセス制限、の少なくとも一方を含む。以下、このような通信端末1の所定機能を、端末機能と称する場合がある。
【0013】
更に、上記の個人認証を具体的に説明すると、通信端末1は、通信端末1の周囲の雰囲気から、または、通信端末1の筐体表面の所定箇所に付着した付着物から、ユーザの呼気や毛穴からの分泌物(汗等の匂い物質)、更には、ユーザの用いる香水等を検出し、検出結果が予め登録されたユーザ特有のものである場合に個人認証が成功したと判定する。このような個人認証に用いる物質(ユーザの分泌物や香水等)は匂いを伴うので、以下、この個人認証を匂い認証(第1の個人認証)と称する場合がある。なお、通信端末1は、従来の個人認証(第2の個人認証)、すなわち、暗証番号による認証、指紋による認証等も行える構成を有する(例えば、指紋認証の場合、指紋画像の取得装置、指紋画像の照合装置等を含む第2の個人認証用の基準データ取得照合装置)。
【0014】
図1に示すように、通信端末1は、物理的には、CPU1a、RAM1b、ROM1c、入力装置1d、出力装置1e、通信装置1f、記録装置1g及び検出装置1hを有しており、これらはバス1iに接続されている。CPU1aは、ROM1c等に格納された所定のコンピュータソフトウェアをRAM1bにロードして実行することにより、通信端末1を統括的に制御する。
【0015】
入力装置1dは、データ入力用デバイスであり、入力されたデータをCPU1aに出力する。出力装置1eは、LCD等の表示装置であり、CPU1aから入力された表示用データをLCD等に表示する。通信装置1fは、基地局等を介して他の通信端末等と通信を行うためのインターフェイスを有する。記録装置1gは、書き込み/読み出しが自在なメモリであり、CPU1aの実行可能なコンピュータソフトウェアや各種データを格納する。
【0016】
検出装置1hは、匂い認証に用いられる装置である。検出装置1hは、検出した物質の量(検出量)を示す検出データをCPU1aに送る。検出装置1hの検出可能な物質(匂い認証の可能な物質)は、通信端末1の周囲(例えば、スピーカやマイクの周囲)の雰囲気中の所定の物質(例えば、ユーザの呼気に含まれる物質や、耳、毛穴から発散される物質や、ユーザの用いる香水やたばこ等に含まれる物質等)、または、通信端末1の筐体表面の所定箇所(把持部)に付着した所定の物質(例えば、汗等に含まれる物質)である。通信端末1は、このような物質を検出し、この検出結果に基づいて匂い認証を行う。以下、検出装置1hは、物質A、物質B及び物質Cを処理するものとし、検出装置1hによる物質A、物質B及び物質Cの検出量を、それぞれ、検出量a、検出量b及び検出量cとする。
【0017】
検出装置1hは、通信端末1のマイク、スピーカや、通信端末1の筐体表面であって操作時にユーザの指や手のひら(皮膚)が接触する箇所(把持部)に設置されている。なお、検出装置1hは複数であってもよく、マイクやスピーカ等にそれぞれ一機ずつ設置される構成であってもよい。この場合、複数の検出装置1hは、検出する物質(物質の組み合わせ)がそれぞれ異なっている。例えば、マイクには、呼気に含まれる物質の検出が可能な検出装置1hが設けられ、通信端末1の筐体表面であって操作時にユーザの皮膚が接触する箇所には、汗に含まれる物質の検出が可能な検出装置1hが設けられる。
【0018】
CPU1aは、図2に示す複数の機能を実現する。すなわち、通信端末1は、機能的には、認証登録部2、制限部4(制限手段)及び解除部6(解除手段)を有する。認証登録部2は、第1認証登録部21(第2の認証手段)及び第2認証登録部22(第1の認証手段)を有し、第2認証登録部22は、取得部22a(取得手段)、算出部22b(算出手段)、認証成否判定部22c(認証成否判定手段)及び登録部22d(登録手段)を有する。認証登録部2、制限部4及び解除部6は、CPU1aがコンピュータソフトウェアを実行し、図1に示す通信端末1の各構成部を動作させることにより実現される機能である。特に、CPU1aは、認証登録部2、制限部4及び解除部6を用いて、図3及び図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0019】
認証登録部2は、通信端末1の端末機能の制限を解除するための個人認証(第1の個人認証である匂い認証や、第2の個人認証である暗証番号等による従来の個人認証)を行う。認証登録部2は、個人認証用の基準データの登録を行う。この個人認証用の基準データは、匂い認証の場合、匂い認証に用いる基準量X(検出装置1hにより検出される複数の物質の検出量の比を示す後述の正規化された値に対応する)を示すデータであり、暗証番号や指紋等による認証の場合、基準となる暗証番号を示す数字データや指紋等を示す画像データである。この基準データの登録とは、基準データを記録装置1gに格納することを意味する。なお、検出物が例えば呼気に含まれる物質であるか汗に含まれる物質であるかに応じて、また認証を行う時間帯に応じて、複数パターンの基準量Xが登録可能である。
【0020】
制限部4は、通信端末1の端末機能の制限の設定を行う。制限部4は、通信端末1の起動時に、通信端末1の端末機能の制限を設定する。解除部6は、通信端末1の端末機能の制限の設定を解除する。解除部6は、認証登録部2による個人認証の成功時にのみ、この端末機能の制限を解除する。
【0021】
第1認証登録部21は、第2の個人認証用の基準データ取得照合装置を用いて、暗証番号の入力等による従来の個人認証(第2の個人認証)を行う機能を有する。第1認証登録部21は、例えば、暗証番号を用いた個人認証の場合、この個人認証の実行時に、番号の入力要求を行い、入力された番号と予め登録された暗証番号とを比較し、両番号が完全に一致した場合にのみ個人認証が成功したと判定する。なお、第1認証登録部21は、キー挿入による個人認証や指紋による個人認証等のような、暗証番号による個人認証以外の他の従来の個人認証が行える構成であってもよい。
【0022】
第2認証登録部22は、検出装置1hにより検出される物質の量に基づいて匂い認証(第1の個人認証)を行う機能を有する。第2認証登録部22は、取得部22a、算出部22b、認証成否判定部22c及び登録部22dを含む。取得部22aは、検出装置1hから出力される検出データに基づいて、検出装置1hによって検出される一または複数の物質の検出量を取得する。取得部22aは、この検出量を正規化する。
【0023】
この正規化とは、複数の物質の検出量についての比を算出することを意味する。例えば、取得部22aは、(一の物質の検出量)/(全物質の検出量の合計)を算出することによる正規化を行う。具体的に、取得部22aは、a/a+b+c、b/a+b+c、c/a+b+cの各値(以下、正規化された値という場合がある)を算出するという正規化を行う。なお、このような正規化は、a/bやb/c等の比を用いて行ってもよい。第2認証登録部22は、検出装置1hにより検出された物質の絶対量を比較するのではなく、このような正規化された値を比較することによって匂い認証を行う。これにより、検出量の多少にかかわりなく、匂い認証が可能となる。
【0024】
算出部22bは、取得部22aによって正規化された値と、これらの正規化された値に対応する匂い認証用の基準量Xとの一致度(例えば差分値等)を算出する。認証成否判定部22cは、算出部22bにより算出される一致度が所定の基準値Yを越えた場合に、個人認証が成功したと判定し、この一致度が基準値Yを越えなかった場合に個人認証が不成功であったと判定する。
【0025】
登録部22dは、取得部22aにより正規化された値を新たな匂い認証用の基準量Xとして登録する旨の指示が入力装置1dを介して入力されると(特に、匂い認証が不成功であったと認証成否判定部22cによって判定された後にこの指示が入力されると)、これらの正規化された値を新たな匂い認証用の基準量Xとして登録(記録装置1gに格納)する。
【0026】
次に、図3及び図4を参照して、通信端末1の動作を説明する。まず、図3を参照して、匂い認証用の基準量Xの登録処理について説明する。通信端末1は、図3に示すフローチャートに従って匂い認証用の基準量Xの登録処理を行う。
【0027】
まず、匂い認証用の基準量Xが未登録であり、匂い認証が不可能な場合に、第1認証登録部21が第2の個人認証を実行し、この個人認証が成功すると(ステップS1)、登録部22dは、匂い認証用の基準量Xの登録(新規登録または追加登録)を行うか否かの選択入力を要求する(ステップS2)。登録部22dは、ステップS2において、基準量Xの登録を行うか否かの選択入力の要求を示す表示を出力装置1eのLCDに表示し、この選択入力を待つ。
【0028】
ステップS2において、基準量Xの登録を行う旨の選択入力があると(ステップS2;Yes)、登録部22dは、登録用の物質の検出を行う旨を出力装置1eのLCDに表示する。この後、取得部22aは、ステップS3において、検出装置1hを初期化し(ステップS3)、この初期化した検出装置1hにより検出された物質の検出量を取得する(ステップS4)。この場合、登録部22dは、検出方法をユーザに示してもよい。取得部22aは、ステップS4において取得した検出量を正規化する(ステップS5)。そして、登録部22dは、この取得部22aにより正規化された値を基準量Xとして登録する(ステップS6)。
【0029】
(登録処理の変形例1)
なお、登録部22dは、ステップS6において、登録する基準量Xを用いた匂い認証が行える時間帯の指定入力を要求してもよい。この場合、登録部22dは、ステップS6において、取得部22aにより正規化された値を、この指定入力された時間帯に関連付けて、基準量Xとして登録する(以上、登録処理の変形例1)。
【0030】
(登録処理の変形例2)
また、検出装置1hが複数の場合、登録部22dは、ステップS2において、基準量Xの登録を行う旨の選択入力があると(ステップS2;Yes)、ステップS3が行われる前に、何れの検出装置1hを用いて基準量Xの登録を行うか(換言すると、どのような物質の基準量Xを登録するか)の選択入力を要求してもよい。複数の検出装置1hは、それぞれ検出する物質(物質の組み合わせ)が異なっている。この場合、取得部22aは、ステップS3において、この選択入力に応じた検出装置1hの初期化を行い、ステップS4において、この初期化した検出装置1hによって検出された物質の検出量を取得し、ステップS5において、この検出量を正規化し、この後、登録部22dは、ステップS6において、取得部22aにより正規化された値を、この登録処理で用いた(ステップS3において初期化された)検出装置1hのID(または、登録する物質の名称)に関連付けて、基準量Xとして登録する(以上、登録処理の変形例2)。
【0031】
(登録処理の変形例3)
なお、上記の変形例2において、更に、登録部22dは、ステップS6において、登録する基準量Xを用いた匂い認証が行える時間帯の指定入力を要求し、取得部22aにより正規化された値を、上記の検出装置1hのID(または、登録する物質の名称)と、この指定入力された時間帯とに関連付けて、基準量Xとして登録してもよい(以上、登録処理の変形例3)。
【0032】
次に、図4を参照して、通信端末1による匂い認証処理を説明する。通信端末1は、図4に示すフローチャートに従って匂い認証処理を行う。まず、通信端末1は、制限部4により端末機能の制限が設定されているとする。この状態において、取得部22aは、ステップS11〜ステップS13を行う。ステップS11〜ステップS13の各処理内容は、図3のステップS3〜ステップS5の各処理内容とそれぞれ同じである。従って、ステップS11〜ステップS13の説明を省略する。
【0033】
ステップS13の後、算出部22bは、ステップS13において取得部22aにより正規化された値と、これらの正規化された値に対応する基準量X(図3のフローチャートに示す処理等により記録装置1g等に予め登録されている)との一致度(例えば差分値等)を算出する(ステップS14)。ステップS14の後、認証成否判定部22cは、ステップS14において算出された一致度が所定の基準値Yを越えているか否か(例えば差分値が所定の基準値を下回っているか否か)を判定し(ステップS15)、一致度が基準値Yを越えている、すなわち、匂い認証が成功したと判定した場合(ステップS15;Yes)、ステップS16に移行する。
【0034】
ステップS16において、解除部6は、現在設定されている端末機能の制限を解除する(ステップS16)。ステップS16の後、取得部22aは、所定時間分のタイマをセットし、この所定時間が経過してタイマがアップすると(ステップS17)、ステップS11以降の処理が再度行われる。
【0035】
ステップS15において、認証成否判定部22cは、判定ステップS14において算出された一致度が基準値Yを越えていない、すなわち、匂い認証が不成功であったと判定した場合(ステップS15;No)、ステップS18に移行する。認証成否判定部22cは、ステップS18において、匂い認証以外の他の個人認証(第2の個人認証)を行うか否かの選択入力を要求する(ステップS18)。ステップS18において、第2の個人認証を行わない旨の選択入力があると(ステップS18;No)、制限部4が端末機能の制限の設定を維持してステップS17に移行し、また、ステップS18において第2の個人認証を行う旨の選択入力があると(ステップS18;Yes)、ステップS20に移行する。
【0036】
ステップS20において、第1認証登録部21は、第2の個人認証を実行する(ステップS20)。第1認証登録部21は、この認証結果により認証に成功したか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21において、第1認証登録部21は、認証が不成功であったと判定した場合(ステップS21;No)、ステップS19に移行し、認証が成功であったと判定した場合(ステップS21;Yes)、ステップS22に移行する。
【0037】
ステップS22において、解除部6は、現在設定されている端末機能の制限を解除する(ステップS22)。ステップS22の後、登録部22dは、ステップS13において正規化された値を新たな基準量Xとして登録(追加登録または更新登録)するか否かの選択入力を要求する(ステップS23)。
【0038】
ステップS23において、基準量Xの登録を行う旨の選択入力があった場合(ステップS23;Yes)、登録部22dは、ステップS13において正規化された値を新たな基準量Xとして登録(追加登録または更新登録)し、この後ステップS17に移行する(ステップS24)。なお、ステップS24の処理は、図3のステップS6の処理(登録処理の変形例1〜3を含む)と同様である。ステップS23において、基準量Xの登録を行わない旨の選択入力がされた場合(ステップS23;No)、登録部22dは、ステップS17に移行する。
【0039】
なお、ステップS16において端末機能の制限が解除されると、認証成否判定部22cは、ステップS12において取得された検出量(ステップS13において算出された正規化された値でもよい)に基づいて、この検出量(またはこの正規化された値)と健康状態とが対応付けられているテーブルデータ(記録装置1gに予め格納されている)からユーザの健康状態を特定し、この健康状態を示すデータを出力装置1eのLCD等に表示してもよい。また、このデータテーブルは、基準量Xと健康状態とが対応付けられている内容のものであってもよく、この場合、このデータテーブルの内容は、基準量Xの登録時にユーザによって登録される。
【0040】
また、基準量Xがユーザにより指定された時間帯(この基準量Xを用いた匂い認証が行える時間帯)に関連付けて登録されている場合(登録処理の変形例1の場合)、認証成否判定部22cは、ステップS15において、現在の時間が、この登録された時間帯に含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合にのみ、ステップS14において算出された一致度が所定の基準値Yを越えているか否か(例えば差分値が所定の基準値を下回っているか否か)を判定するようにしてもよい。
【0041】
また、基準量Xが、この基準量Xの登録処理で用いられた検出装置1hのID(または、登録する物質の名称)に関連付けて登録されている場合(登録処理の変形例2の場合)、取得部22aは、このIDの検出装置1hを用いてステップS11〜ステップS13の処理を行うようにしてもよい。
【0042】
また、基準量Xが、この基準量Xの登録処理で用いられた検出装置1hのID(または、登録する物質の名称)とユーザにより指定された時間帯(この基準量Xを用いた匂い認証が行える時間帯)とに関連付けて登録されている場合(登録処理の変形例3の場合)、取得部22aは、このIDの検出装置1hを用いてステップS11〜ステップS13の処理を行い、更に、認証成否判定部22cは、ステップS15において、現在の時間が、この登録された時間帯に含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合にのみ、ステップS14において算出された一致度が所定の基準値Yを越えているか否か(例えば差分値が所定の基準値を下回っているか否か)を判定するようにしてもよい。
【0043】
また、ステップS22の後、ステップS23の選択入力を行わずに、ステップS22の後に自動的にステップS24に移行する構成であってもよい。この場合、ステップS22の処理が終了すると解除部6はステップS24に移行し、このステップS24において、登録部22dは、ステップS13において正規化された値を新たな基準量Xとして登録(追加登録または更新登録)し、この後ステップS17に移行する。
【0044】
次に、通信端末1の作用効果を説明する。通信端末1は、検出装置1hと、匂い認証を行う第2認証登録部22とを備える。検出装置1hは、通信端末1の周囲の雰囲気中の所定の物質、または、通信端末1の筐体表面の所定箇所に付着した所定の物質を検出する装置である。第2認証登録部22は、取得部22a、算出部22b及び認証成否判定部22cを有する。取得部22aは、匂い検出装置1hから出力される検出データに基づいて検出装置1hにより検出される所定の物質の検出量を取得する。算出部22bは、取得部22aにより取得された検出量の正規化された値と、予め登録された当該物質の基準量Xとの一致度を算出する。認証成否判定部22cは、算出部22bにより算出された一致度が所定の基準値Yを越えた場合に匂い認証が成功したと判定し、一致度が基準値Yを越えなかった場合に匂い認証が不成功であったと判定する。このように、通信端末1は、通信端末1の周囲の雰囲気から、または、通信端末1の筐体の表面に付着した付着物から、ユーザの分泌物等の物質を自動的に検出する。そして、通信端末1は、この検出した物質と基準量Xとの一致度を自動的に算出し、この一致度に基づいて匂い認証の成否を判定する。従って、通信端末1によれば、ユーザが特定の操作を行うことなく、ユーザの分泌物等に基づいて個人認証が可能となる。
【0045】
通信端末1は、制限部4及び解除部6を更に備える。制限部4は、通信端末1の端末機能を制限する。解除部6は、通信端末1の端末機能が制限部4によって制限されている場合に匂い認証が成功したと認証成否判定部22cによって判定されると、制限部4によるキー操作の制限を解除する。このように、通信端末1は、検出物に基づく匂い認証が成功した場合に端末機能の制限を解除するので、十分なセキュリティが確保できる。
【0046】
通信端末1は、第1認証登録部21及び登録部22dを更に有する。登録部22dは、第2認証登録部22に含まれる。第1認証登録部21は、匂い認証とは異なる従来の他の個人認証を行う。登録部22dは、認証成否判定部22cにより匂い認証が不成功と判定された後、第1認証登録部21による第2の個人認証(例えば、従来の暗証番号による個人認証等)が成功した場合に、匂い認証に用いた物質の量(算出部22bにより算出された正規化された値)を新たな匂い認証用の基準量Xとして登録するか否かの選択入力を要求し、登録する旨の選択入力があると、この匂い認証に用いた物質の量(算出部22bにより算出された正規化された値)を新たな基準量Xに登録する。または、通信端末1は、第1認証登録部21及び登録部22dを更に有し、登録部22dは、第2認証登録部22に含まれ、第1認証登録部21は、匂い認証とは異なる従来の他の個人認証を行い、登録部22dは、認証成否判定部22cにより匂い認証が不成功と判定された後、第1認証登録部21による第2の個人認証(例えば、従来の暗証番号による個人認証等)が成功した場合に、この匂い認証に用いた物質の量(算出部22bにより算出された正規化された値)を新たな基準量Xに登録する。従って、実際に匂い認証に用いた物質の量(正規化された値)が、既に登録されている基準量Xに一致しない場合であっても、この実際に認証に用いた物質の量に基づいて基準量Xが登録可能となる。例えば、ユーザの体調の変化等により予め登録された基準量Xと異なる物質(物質の量)が検出された場合であっても、このような物質の正規化された値を新たな基準量Xに登録できる。このように、予め登録された基準量Xに揺らぎがあっても(変化しても)、匂い認証が可能となる。なお、第1の個人認証が、例えば、ユーザの呼気に基づいて行われる場合に、第2の個人認証を、呼気以外の他の物質(例えば、呼気以外の他の第1の個人認証に用いた物質であり、通信端末1の筐体表面に付着した汗等や、香水等)に基づいて行う個人認証としてもよい。
【0047】
制限部4による端末機能の制限は、発着信禁止及びキー操作禁止の少なくとも一方を含む通信端末1の利用制限、並びに、通信端末1のメモリ(RAM1b、ROM1c、記録装置1g等)に格納されている所定データ(例えばユーザの個人データ)へのアクセス制限、の少なくとも一方を含む。従って、制限部4により、端末機能が十分に制限可能となる。
【0048】
検出装置1hは、通信端末1のマイク、スピーカ、筐体表面における把持部、の何れかに設けられており、マイクまたはスピーカの周囲の雰囲気中の所定の物質、または、把持部に付着した所定の物質を検出する。このように、検出装置1hは、ユーザが通信端末1を使用している態様で物質を検出するので、ユーザが特定の操作を行うことなく、匂い認証が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態に係る通信端末の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る通信端末の構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る通信端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施形態に係る通信端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…通信端末、1a…CPU、1b…RAM、1c…ROM、1d…入力装置、1e…出力装置、1f…通信装置、1g…記録装置、1h…検出装置、1i…バス、2…認証登録部、21…第1認証登録部、22…第2認証登録部、22a…取得部、22b…算出部、22c…認証成否判定部、22d…登録部、4…制限部、6…解除部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の個人認証を行う第1の認証手段を備えた通信端末であって、
当該通信端末の周囲の雰囲気中の所定の物質、または、当該通信端末の筐体表面の所定箇所に付着した所定の物質を検出する検出装置を備え、
前記第1の認証手段は、
前記検出装置から出力される検出データに基づいて前記所定の物質の量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記物質の量と、予め登録された当該物質の認証用基準量との一致度を算出する算出手段と、
前記一致度が所定の基準値を越えた場合に前記第1の個人認証が成功したと判定し、該一致度が該基準値を越えなかった場合に該第1の個人認証が不成功であったと判定する認証成否判定手段と
を有する、ことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
当該通信端末の所定機能を制限する制限手段と、
前記所定機能が前記制限手段によって制限されている場合に前記第1の個人認証が成功したと前記認証成否判定手段によって判定されると前記制限を解除する解除手段と
を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記第1の個人認証とは異なる第2の個人認証を行う第2の認証手段と、
前記認証成否判定手段により前記第1の個人認証が不成功と判定された後、前記第2の認証手段による前記第2の個人認証が成功した場合に、前記第1の個人認証に用いた物質の量を新たな認証用基準量として登録するか否かの選択入力を要求し、登録する旨の選択入力があると、前記第1の個人認証に用いた物質の量を前記新たな認証用基準量に登録する登録手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記第1の個人認証とは異なる第2の個人認証を行う第2の認証手段と、
前記認証成否判定手段により前記第1の個人認証が不成功と判定された後、前記第2の認証手段による前記第2の個人認証が成功した場合に、前記第1の個人認証に用いた物質の量を新たな認証用基準量に登録する登録手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項5】
前記制限手段による前記所定機能の制限は、発着信禁止及びキー操作禁止の少なくとも一方を含む当該通信端末の利用制限、並びに、当該通信端末のメモリに格納されている所定データへのアクセス制限、の少なくとも一方を含む、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項6】
前記検出装置は、当該通信端末のマイク、スピーカ、筐体表面における把持部、の何れかに設けられており、前記マイクまたは前記スピーカの周囲の雰囲気中の所定の物質、または、前記把持部に付着した所定の物質を検出する、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項7】
通信端末の周囲の雰囲気中の所定の物質、または、前記通信端末の筐体表面の所定箇所に付着した所定の物質を検出する検出装置を備えた通信端末の個人認証方法であって、
前記検出装置から出力される検出データに基づいて前記所定の物質の量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記物質の量と、予め登録された当該物質の認証用基準量との一致度を算出する算出ステップと、
前記算出ステップの後、前記一致度が所定の基準値を越えた場合に個人認証が成功したと判定し、該一致度が該基準値を越えなかった場合に該個人認証が不成功であったと判定する認証成否判定ステップと
を有する、ことを特徴とする通信端末の個人認証方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−163476(P2009−163476A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117(P2008−117)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】