説明

通信端末、通信端末のメール返信文作成方法および通信端末のメール返信文作成プログラム

【課題】受信したメールに対して返信メールを作成する機能を持った携帯端末において、作成途中の返信メールを引用した新たな返信メールの作成を可能にする携帯端末を提供する。
【解決手段】受信メールa(図6(a))に対する返信メールAの作成途中に新たな受信メールbを受信し(図6(b))、受信メールb(図6(c))に対する返信メールBの作成指示が行なわれる。受信メールa、受信メールb間で送信先アドレスや送信元アドレスが一致する、あるいは題名や本文の一部が一致すると、作成途中であった返信メールAを引用可能に自動記憶して、返信メールBの作成画面に送信メールAを貼り付ける(図6(d))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信機能を持ち、特に電子メールの送受信を行う通信端末、通信端末のメール返信文作成方法および通信端末のメール返信文作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信端末の小型化・軽量化および無線通信回線の普及に従って、無線通信機能を備えた通信端末の普及が進んでいる。無線通信機能を備えた通信端末は、電話による音声通信機能に加えてデータ通信機能を備えており、電子メール(以下、単にメールと表記する)の送受信、インターネット上のウェブサイトの閲覧、およびインターネットショッピング等を利用した商品取引など、様々な用途に活用されている。中でも、メールの送受信に関る技術開発は特に盛んに行われており、メールを受信した際にメール送信者宛の返信メールを作成する返信機能や作成中のメールを一時保存する保存機能など、メールの送受信に関する様々な機能を備えた携帯電話機が実用化されている。
【0003】
メールの送受信に関する機能として、メールの返信時に受信メールの内容を参考にしながらメールを作成するために、メール編集画面の一部分に受信メールを表示する機能が公開されている(例えば、特許文献1を参照)。また、メールを受信すると、画面の一部分に受信メールをテロップ表示する機能が公開されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2007−110464号公報
【特許文献2】特開2003−150506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にメールの作成に関し、他の通信端末から送信されたメールを受信し、それに応答するため受信メールの送信元アドレスを送信先(宛先)アドレスに設定した返信メールを作成する場合が少なくない。こうした場合、受信メールの内容に応じた返信メールを作成するために、受信メールの一部分を引用したメールを返信メールとして作成し、あるいは特許文献1に述べた様に受信したメールを参照しながら返信メールを作成する形態となることが多い。
【0005】
ここで、返信メールの作成中に、受信メールの送信元から更に新たなメールを受信するケース、あるいは同じ受信メールを受け取った他の送信先の通信端末から更に新たなメールを受信するケースが発生することがある。この場合、新たに受信したメールに対して返信を行おうとすると、先に作成していた返信メールの内容が破棄され、一から新たな返信メールを作成する必要が生じる。即ち、メールを受信する度に、受信メールの内容を反映した新たな返信メールを初めから作り直すこととなり、利便性を損なっていた。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、新たなメールに対して返信動作を行う場合でも、作成途中の返信メールを利用可能にする通信端末、通信端末のメール返信文作成方法および通信端末のメール返信文作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の通信端末は、図形又は文字の入力を行う入力手段と、電子メールの送受信を行う通信手段と、前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信し、前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加する制御部と
を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の通信端末のメール返信文作成方法は、図形又は文字の入力を行う入力手段と、電子メールの送受信を行う通信手段と、前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、を有する携帯端末のメール返信文作成方法であって、前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に第2の受信メールを受信し、前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の携帯端末のメール返信文作成プログラムは、図形又は文字の入力を行う入力手段と、電子メールの送受信を行う通信手段と、前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、を有する携帯端末のメール返信文作成プログラムであって、前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信して、更に前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合で、且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加するメール返信文作成機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作成中の返信メールと新たな受信メールとが関連するものだと判断された場合は、作成途中であった返信メールを付加して新たな返信メールを作成する。これにより、新たな返信メールを再度書き直す手間が省かれ、且つ受信したメールの内容を反映した返信メールを容易に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に関る携帯端末の一例である折り畳み携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(a)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態を正面から見た外観の構成を示し、図1(b)は携帯電話機1を開状態にあるときの側面から見た外観の構成を示している。
【0013】
図1(a)および(b)に示されるように、携帯電話機1は中央のヒンジ部6を介して第1筐体2と第2筐体3とがヒンジ結合されており、ヒンジ部6を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ21)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して後述する電波基地局84との間で電波を送受信する。
【0014】
第1筐体2には、その表面に「0」から「9」までの数字キー、発信・着信キー、リダイヤルキー、終話・電源キー、クリアキー、および第1のメニューキーなどから構成される操作キー4が設けられている。更に、第1筐体2の側面にはマナーモードキー、第2のメニューキーなどから構成されるサイドキー5が設けられている。使用者は、操作キー4またはサイドキー5を用いて携帯電話機1へ各種指示やデータを入力する。以降、説明の簡単のために操作キー4およびサイドキー5を総称して入力手段40と呼ぶ。
【0015】
第1筐体2には、操作キー4の下部にマイクロフォン7が設けられており、マイクロフォン7によって通話時の使用者音声を集音する。
【0016】
なお、第1筐体2には背面側にバッテリ9が取り付けられており、終話・電源キーが長押されて携帯電話機1がオン状態になると、バッテリ9は後述する各回路部に対して電源を供給する。
【0017】
一方、第2筐体3には、その正面にメインディスプレイ10が設けられており、携帯電話機の設定画面やメール、ウェブサイトなどを表示することができる。なお、メインディスプレイ10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)によって構成されるディスプレイである。また、メインディスプレイ10の上部にはレシーバ8が設けられており、これを用いて使用者は通話相手から送信された音声を聞くことができる。
【0018】
図2は、本発明に関る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機1が折り畳まれた時の外観の構成を示す図である。図2(a)は、携帯電話機1が閉状態にある時の正面から見た外観の構成を示し、図2(b)は、携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観の構成を示している。
【0019】
第2筐体3の正面には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ11が設けられており、例えば、携帯電話機1が受信している電波強度レベルを示すアンテナピクト、バッテリ9の残量を示す電池ピクト、あるいは現在時刻などが表示される。また、第2筐体3に設けられたサイドキー5は、携帯電話機1が閉状態にあっても操作可能な位置に設けられている。
【0020】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示すブロック図である。
【0021】
後述する電波基地局84から送信された無線信号は、アンテナ21で受信された後、アンテナ共用器(DUP)22を介して受信回路(RX)23に入力される。受信回路23によって、受信された無線信号と周波数シンセサイザ(SYN)24から出力された局部発信信号とをミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)される。
【0022】
そして、受信回路23によってこのダウンコンバートされた中間周波数信号が復調され、受信ベースバンド信号として出力される。
【0023】
受信回路23から出力された受信ベースバンド信号は、CDMA(Code Division Multiple Access)信号処理部26に入力される。CDMA信号処理部26は、図示せぬRake受信器を備える。このRake受信器では受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(即ち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相を回転させた後にコヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインターリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、CDMA信号処理部26によって、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが生成される。この受信パケットデータは、CDMA信号処理部26から圧縮/伸張処理部27へ入力される。CDMA信号処理部26は、DSP(Digital Signal Processor)から構成される。
【0024】
圧縮/伸張処理部27は、CDMA信号処理部26から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によって、音声信号やデータ信号などのメディアごとに分離し、その分離したメディアに応じてそれぞれ復号処理を行う。また、PCMコーデック28から出力されたディジタルオーディオ信号あるいは制御部31から出力されたデータ信号を、所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。その後、圧縮符号化された信号は、図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化された後にパケット化される。パケット化された後の送信パケットデータはCDMA信号処理部26に出力される。
【0025】
マイクロフォン7に入力された使用者の音声信号は、送話増幅器30により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック28によりPCM符号化される。このPCM符号化されたディジタルオーディオ信号は、圧縮/伸張処理部27に入力される。また、制御部31で生成されたメールなどのデータ信号なども、圧縮/伸張処理部27に入力される。
【0026】
CDMA信号処理部26は、圧縮/伸張処理部27から出力された送信パケットデータに、スペクトラム拡散処理を施し拡散信号を生成する。このスペクトラム拡散処理は、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて行われる。CDMA信号処理部26によって生成された拡散信号は、送信回路(TX)25へ出力される。送信回路25は、拡散信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用し変調する。更に送信回路25は、拡散信号と周波数シンセサイザ24から発生される局部発信信号とを合成し、無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして送信回路25は、制御部31により指示される送信電力レベルを満たすようにアップコンバートされた無線信号を増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器22を介してアンテナ21に供給され、このアンテナ21から後述する電波基地局84に向けて無線信号が送信される。
【0027】
また、携帯電話機1に設けられた電源回路34は、バッテリ9のアナログ電圧出力をアナログ/ディジタル変換して生成した所定の動作電源電圧Vccを上述した各回路部へと供給する。
【0028】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などの電子回路から構成される。CPUは、ROMに記憶されているプログラム、またはRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行する。更にCPUは、上述した各回路部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生成し、各回路部へ供給する。これらの処理により、CPUは携帯電話機1を統括的に制御する。また、RAMにはCPUが各種の処理を実行する上で必要なデータが記憶される。また、制御部31は図示しないビデオRAMを備えており、メインディスプレイ10に表示される映像に関する情報が記憶される。記憶部32は、例えば電気的に書き換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子や、HDD(Hard Disc Drive)などから構成される。また記憶部32には、制御部31のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムやデータ群が格納されている。
【0029】
図4は、メール送受信の一例を示す図である。ここでは、メール送信側の携帯電話機70とメール受信側の携帯電話機71の間を繋ぐ、ネットワークA(80),B(90)の接続を示した概念図である。各ネットワークA(80),B(90)は、少なくとも交換装置A(87),B(97)、メールサーバA(86),B(96)、電波基地局A(84),(94)、および制御装置A(85),B(95)から構成される。
【0030】
電波基地局A(84),B(94)は、ネットワークA(80),B(90)間を流れる有線信号を無線信号に変調し携帯電話機70,71等へ送信する。また携帯電話機70,71等が送信する無線信号を有線信号に復調しネットワークA(80),B(90)内へ送信する。
【0031】
交換装置A(87),B(97)は、送信されたメールの宛先情報に応じてメール送信先への回線経路を設計する。更に、設計した回線経路に従ってネットワークA(80),B(90)、交換装置A(87),B(97)間を繋ぐ回線接続を切り替える、所謂回線交換処理を行う。
【0032】
制御装置A(85),B(95)は、ネットワークA(80)、B(90)内に位置する携帯電話機70,71を含む通信端末の存在情報を保持する。更に、ネットワークA(80),B(90)内に位置する携帯電話機70,71を含む通信端末と、その通信端末へメールサービスを提供するメールサーバA(86),B(96)とを関連付けた情報を保持する。
【0033】
メールサーバA(86),B(96)は、メールサーバA(86),B(96)が所属するネットワークA(80),B(90)内に位置する携帯電話機70,71を含む通信端末へメールが送信された場合に、送信されたメールを一時保存する。更に、制御装置A(85),B(95)からのメールデータ出力指示に応じて携帯電話機70,71等に対してメールデータを出力する。
【0034】
(メール送信処理)
ここで、ネットワークA(80)に所属する送信側携帯電話機70が、ネットワークB(90)に所属する受信側携帯電話機71に対してメールを送信した場合の処理について述べる。
【0035】
まず、送信側携帯電話機70から受信側携帯電話機71を宛先アドレスに指定したメールの送信操作を行う。送信側携帯電話機70はメールを無線パケットデータに変換し、無線パケットデータを電波基地局A(84)に向け送信する。電波基地局A(84)は無線パケットデータを受信すると、受信信号の復調を行い、復調した有線パケットデータ(以下、単にメールと記す)を制御装置A(85)へ送信する。制御装置A(85)は、受信したメールの宛先アドレスに設定されている受信側携帯電話機71の現在所属しているネットワークB(90)のアドレスを確認する。そして、制御装置A(85)はネットワークB(90)のアドレスを認識すると、ネットワークB(90)内に所属する制御装置B(95)に対して、メールサーバB(96)のアドレス問い合わせ信号を出力する。
【0036】
制御装置B(95)はアドレス問い合わせ信号を受信し、メールサーバB(96)のアドレス情報を制御装置A(85)へ送信する。制御装置A(85)は、受信したアドレス情報に基づき制御装置A(85)とメールサーバB(96)とを繋ぐ回線経路を設計する。回線経路の設計は通常、回線ごとに通信コストを予め設定しておき、回線経路に掛かる通信コストの合計が最も少なくなる経路を選択するプロトコルである、OSPF(Open Shortest Pass Fast)が用いられる。回線経路が設計されると、制御装置A(85)は交換装置A(87)へメールを送信する。交換装置A(87)および交換装置B(97)は設計された回線経路に従って回線交換処理を行い、メールをメールサーバB(96)へ送信する。メールサーバB(96)は、受信したメールを自身の保持する情報記録媒体内に保存する。
【0037】
次に、受信側携帯電話機71が、メール受信指示をネットワークB(90)内にある無線基地局B(94)に対して送信する。無線基地局B(94)は、当該メール受信指示をメールサーバB(96)へ送信する。メールサーバB(96)は、メール受信指示に応じて内部に保存したメールを読み出し、無線基地局B(94)へ送信する。無線基地局B(94)は、当該メールを受信側携帯電話機71へ送信する。以上の操作によって、メールの送受信が行われる。
【0038】
なお、以上は電波基地局A(84),B(94)、制御装置A(85),B(95)、メールサーバA(86),B(96)、および交換装置A(87),B(97)をそれぞれ別々の装置として構成する場合について説明したが、これらの装置のうち幾つかを1つの装置としてまとめた構成を利用しても良い。例えば、制御装置A(85)と交換装置(87)をまとめて1つの装置としても良い。
【0039】
(メール返信時のメール引用動作)
図5に示す実施形態では、送信側携帯電話機70の制御手段31がメールaを受信し、受信メールaに対する返信メールAを作成している最中又は作成終了直後に新たなメールを受信したとする。例えば、制御手段31が返信メールAの編集中に新たな受信メールbを受信した時、使用者は操作キー4からこれに対する返信指示を行う。そして、受信メールaあるいは返信メールAと受信メールbが関連するものであるときは、制御手段31は返信メールAを引用して、新たな返信メールBを作成する。作成途中であった返信メールAを引用することで、例えば返信メールBの作成時の画面に返信メールAが貼り付けられる。これにより、初めから文面を入力する手間を省くことができる。また、図6には、メールの受信及び作成に応じて行われる送信側携帯電話機70におけるメインディスプレイ10の画面表示例を示す。以下、図5、図6を参照して、本実施形態の詳細な動作を説明する。
【0040】
まず、待ち受け状態にある携帯電話機70の制御手段31が電波基地局A(84)から送信された受信メールaを受信すると、制御部31による受信処理が行われ、メインディスプレイ10に受信メールaの表示が行われる(ステップ102、図6(a)の画面を参照)。
【0041】
受信メールaの表示時に、操作キー4から受信メールaに対する返信指示が行われると(ステップ103)、制御部31によって受信メールaの送信元アドレスを送信先(宛先)アドレスとする返信メールAの作成画面へ切り替えられる(ステップ104)。
【0042】
返信メールAの作成過程では、制御部31のRAMに操作キー4からの入力操作(例えば、文字の選択操作)に応答して保存動作が行われている。そして、返信メールAの作成中又は作成終了直後(即ち、返信メールAの送信前)に、電波基地局A(84)から携帯電話機70へ新たな受信メールbの送信が通知され、それを受信すると、制御部31によってメインディスプレイ10に新たな受信メールbを受信した旨が表示され(ステップ105、図6(b)の画面を参照)、更に、受信メールbを表示する画面へ切り替えられる(図6(c)の画面を参照)。
【0043】
ここで、受信した受信メールbに対して、操作キー4から受信メールbに対する返信指示が行われると(ステップ106)、制御部31によって受信メールaあるいは返信メールAと受信メールbが関連するものであるか否かの判断が行われる。
【0044】
この判断は、例えば下記の3つの判断によって行われる。○
第1の判断は、制御部31によって、受信メールaの送信先アドレス、あるいは送信元アドレスと、受信メールbの送信先アドレスあるいは送信元アドレスに一致するものがあるか否かによって判断される(ステップ107)。
【0045】
第2の判断は、制御部31によって、返信メールAの送信先アドレスと、受信メールBの送信先アドレスあるいは送信元アドレスに一致するものがあるか否かによって判断される(ステップ108)。
【0046】
第3の判断は、制御部31によって、受信メールaあるいは返信メールAの題名あるいは本文の一部が、受信メールbの題名あるいは本文の一部と一致するか否かが判断されることで行われる(ステップ109)。
【0047】
例えば第3の判断は、受信メールaの題名と受信メールbの題名が「[告知]会議のお知らせ」という題名で完全一致することから、受信メールaと受信メールbが関連するものと判断してもよい。また、返信メールAの題名が「Re:[告知]会議のお知らせ」、受信メールbの題名が「[確認]会議のお知らせ」となり、「会議のお知らせ」という一部が一致することで、受信メールaと受信メールbが関連するものと判断してもよい。また、本文や題名から助詞、助動詞、あるいは副詞などを取り除き、名詞を抽出する。次に、抽出された名詞の中から本文や題名に登場する頻度の高い名詞(例えば、メール本文に5回以上登場する名詞)を抽出する。同一の登場頻度の高い名詞が受信メールaと受信メールbに含まれることから、両メールが関連すると判断してもよい。また、本文あるいは題名を比較し、文章全体のうち所定の割合以上(例えば、文章全体の文字のうち5割以上の文字)が一致することから、両メールが関連すると判断してもよい。
【0048】
制御部31によるこれら3つの判断によって、受信メールaあるいは返信メールAと受信メールbが関連するものであると判断した場合は(ステップ107〜109のいずれかのYes)、制御部31によって作成途中であった返信メールAが引用される。そして、受信メールbに対する返信指示によってメインディスプレイ10に表示された返信メールBの作成画面に返信メールAが貼り付けられる(ステップ110)。ここで、返信メールAの貼り付けは、例えば制御部31がRAMに一時保存されていた作成途中の返信メールAのデータを、返信メールBの編集を行うRAM上のメモリ領域にコピーすることで行われる。
【0049】
更に、作成中又は作成終了直後の返信メールAに添付ファイルが付加されている場合は、操作キー4によって添付ファイルの引用が指示されると(ステップ111のYes)、制御部31によって返信メールBに添付ファイルが貼り付けられる(ステップ112)。
【0050】
ここでは、操作キー4の指示に基づく動作としたが、返信メールAの貼り付けと同時に添付ファイルを貼り付けるようにしても良い。
【0051】
また、受信メールaや返信メールAが送信先アドレスを複数指定した同報メールである場合も考えられる。操作キー4によって受信メールaあるいは返信メールAに設定されている複数の送信先アドレスを返信メールBの送信先アドレスに追加する指示が入力された場合は(ステップ113のYes)、制御部31によって返信メールBの送信先アドレスに、受信メールaあるいは返信メールAに設定されている複数の送信先アドレスが追加される(ステップ114)。
【0052】
その後、制御部31によってRAMに一時保存されている、作成途中の返信メールAのデータが消去される(ステップ115)。データの消去が行われると、制御部31によって返信メールAを貼り付けた返信メールBの作成画面へ切り替えられる(ステップ116、図6(d)の画面を参照)。
【0053】
一方、制御部31の判断によって、受信メールaあるいは返信メールAと受信メールbとが関連しないと判断されると(ステップ107,108,109の全てでNo、図6(c’)の画面を参照)、制御部31は例えば作成途中であった返信メールAを破棄する(ステップ117)。その後、制御部31によって新たな返信メールCの作成画面へ切り替えられ、操作キー4とメインディスプレイ10を用いて、引き続き返信メールB’の作成が行われる(ステップ118、図6(d’)の画面を参照)。
【0054】
以上の実施形態の動作によれば、受信メールaに対する返信メールAの作成中又は作成終了直後に、受信メールbを受信し、それに対して新たに返信メールBの作成を行なおうとした場合に、受信した受信メールaあるいは返信メールAと受信メールbとの関連性の判断を行う。受信メールaあるいは返信メールAとに受信メールbとの間に関連があると判断された場合には、制御部31は返信メールAを引用し、返信メールBの作成画面に貼り付けるように動作する。これにより、新たに返信メールBを作成しなおす手間を省くことができる。
【0055】
なお、ここに述べた実施の形態において、携帯電話機を挙げて説明を行った。しかし、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や有線端末、小型情報処理機器などにも適用できる。
【0056】
また、実施の形態において折り畳み携帯電話機を例にとって説明したが、スライド式携帯端末や、可動機構を持たないバータイプの携帯端末にも適用できる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、構成要素を変形して具体化しても良い。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成しても良い。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、外観の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の内部の構成を示す図。
【図4】本実施形態における送信側携帯電話機と、受信側携帯電話機とを結ぶネットワーク接続の概念図。
【図5】本発明の実施形態に係る返信メール作成時に過去の作成途中であった返信メールを引用する処理のフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係る送信側携帯電話機におけるメインディスプレイの画面表示例。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯電話機
2 第1筐体
3 第2筐体
4 操作キー
5 サイドキー
7 マイクロフォン
8 レシーバ
9 バッテリ
10 メインディスプレイ
11 サブディスプレイ
21 アンテナ
22 アンテナ共用器
23 受信回路
25 送信回路
26 CDMA信号処理部
31 制御部
32 記憶部
40 入力手段
70 送信側携帯電話機
71 受信側携帯電話機
80 ネットワークA
84 電波基地局A
85 制御装置A
86 メールサーバA
87 交換装置A
90 ネットワークB
94 電波基地局B
95 制御装置B
96 メールサーバB
97 交換装置B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形又は文字の入力を行う入力手段と、
電子メールの送受信を行う通信手段と、
前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、
前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信し、前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、
且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、
前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加する制御部と
を有することを特徴とした通信端末。
【請求項2】
図形又は文字の入力を行う入力手段と、
電子メールの送受信を行う通信手段と、
前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、
前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信し、前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、
且つ前記第1の返信メールの送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、
前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加する制御部と
を有することを特徴とした通信端末。
【請求項3】
図形又は文字の入力を行う入力手段と、
電子メールの送受信を行う通信手段と、
前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、
前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信し、前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、
且つ前記第1の受信メールあるいは前記第1の返信メールの本文あるいは題名の一部が、前記第2の受信メールの本文あるいは題名の一部に含まれる場合に、
前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加する制御部と
を有することを特徴とした通信端末。
【請求項4】
図形又は文字を表示する表示手段とを更に備え、
前記制御部による付加は、前記表示手段に表示される前記第2の返信メールの画面に前記第1の返信メールを貼り付けることで行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の受信メール又は前記第1の返信メールの送信先アドレスが複数のアドレスである場合、前記入力手段による指示を受けて、前記第2の返信メールの送信先アドレスに前記第1の受信メール又は前記第1の返信メールの送信先アドレスを付加することを特徴とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
前記記憶部は第1の記憶部と第2の記憶部から構成され、
前記制御部による付加は、前記入力手段を用いた前記第2の返信メールを作成するときに、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の返信メールを読み出して、前記第2の記憶部に記憶された前記第2の返信メールに付加することで行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項7】
図形又は文字の入力を行う入力手段と、
電子メールの送受信を行う通信手段と、
前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、を有する携帯端末のメール返信文作成方法であって、
前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールの送信する前に第2の受信メールを受信し、
前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合であって、且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加する
ことを特徴とする通信端末のメール返信文作成方法。
【請求項8】
図形又は文字の入力を行う入力手段と、
電子メールの送受信を行う通信手段と、
前記入力手段を用いて作成された電子メールが記憶される記憶手段と、を有する携帯端末のメール返信文作成プログラムであって、
前記通信手段によって受信した第1の受信メールに対する第1の返信メールを送信する前に、第2の受信メールを受信して、更に前記第2の受信メールに対する第2の返信メールを作成する場合で、且つ前記第1の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスが、第2の受信メールの送信元アドレス又は送信先アドレスに含まれる場合に、前記第1の返信メールを前記記憶手段より読み出し、前記第2の返信メールに付加するメール返信文作成機能を有することを特徴とする通信端末のメール返信文作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146385(P2010−146385A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324297(P2008−324297)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】