説明

通信端末による秘密保持可能な感熱記録体へのデータ転送方法とその装置

【目的】 ファクシミリで親展の二重紙を使用して秘密文書を自動的に送信したり受信できるようにする。
【構成】 透明な窓に重なる感熱紙上の宛名位置に宛名を、不透明なシートに重なる感熱紙上の文書位置に秘密文書がそれぞれ印字される二重紙を利用し、二重紙をサイズの異なる規格別に分類し、これら規格毎に宛名位置と文書位置を指定する書式テーブルを作成する。送信局に書式テーブルを予め登録し、受信局には自局に装着され二重紙の規格を登録し、発信局が受信局を発呼し、通信回線を介し接続した時に登録された規格を問い合わせ、受信局は自局の登録された規格を答信する。送信局は受信した規格に従って書式テーブルを検索し、該当する書式を読み出し、この書式に従って発信文中の宛名と秘密文書の文字を編集して送信し、受信局ではこの受信文を自局に装着された二重紙に、宛名を宛名位置に秘密文書を文書位置にそれぞれ印字するようにした。宛名に該当する者がシートを剥して秘密文書を読むようにすれば秘密文書が発信出来る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信端末による秘密保持可能な感熱記録体へのデータ転送方法とその装置に関し、特に実開平2−69359に示される二重紙を使うことでファクシミリの親展通信を画期的に変えようとするものである。
【0002】
【従来の技術】従来ファクシミリの親展送信は受信メモリーに一時記憶し、親展番号のような暗号を入力して取り出したり、バーコードのような読めない形式で出力し、別の機械で文字に変換させて、表示したり印字したりする方法がとられてきた。一方、特開平2−178093や実開平2−69359に示されるような二重紙が、銀行等の親展の通信ハガキに使用されている。二重紙は、宛名部分だけ窓を開けて印字したり、シートやカバーに透明部分を設けて印字し、秘密情報部分は遮蔽シートの下に印字して、その遮蔽シートを剥さない限り外部から見えないので機密が保たれ、銀行の通信ハガキ等に利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のファクシミリでは、親展送信では親展番号や暗号を装置に入力しなければならないので、面倒であった。また親展通信機能付きのファクシミリは価格が高くなるという欠点があり、特開平2−178093や実開平2−69359の二重紙をファクシミリに利用したものは存在しなかった。本発明は遮蔽用のシートやカバーを介して印字できる二重紙をファクシミリに利用して宛名はシートやカバーのない位置に、秘密受信文をシートやカバーのある位置に印字し、遮蔽シートを剥さない限り外部から内容が見えないファクシミリの親展通信方法とその受信装置、用紙を提供することを目的にしている。
【0004】
【課題を解決するための手段】透明な窓に重なる感熱紙上の宛名位置に宛名を、不透明なシートやカバーに重なる感熱紙上の文書位置に秘密文書がそれぞれ印字される二重紙を利用し、二重紙をサイズの異なる規格別に分類し、これら規格毎に宛名位置と文書位置を指定する書式テーブルを作成する。送信局に書式テーブルを予め登録し、受信局には自局に装着された二重紙の規格を登録し、発信局が受信局を発呼し、通信回線を介し接続した時に登録された規格を問い合わせ、受信局は自局の登録された規格を答信する。送信局は受信した規格に従って書式テーブルを検索し、該当する書式を読み出し、この書式に従って発信文中の宛名と秘密文書の文字を編集して送信し、受信局ではこの受信文を自局に装着された二重紙に、宛名を宛名位置に秘密文書を文書位置にそれぞれ印字するようにした。宛名に該当する者がシートやカバーを剥して秘密文書を読むようにすれば秘密文書が発信出来る環境になる。
【0005】
【発明の実施の形態】本願は特開平2−178093の二重紙を利用するので、まず本願の二重紙について、図6R>6、7で特開平2−178093の二重紙の構造を利説明する。二重紙1は、公知の感熱紙2に遮蔽用のシート3を接着剤等で貼り合わせたもので、シート3は不透明であり、剥離可能である。二重紙1は規格サイズ例えばB5用紙等の縦(横)長で、長さ方向にミシン目を入れてあり、長い二重紙1をロール状に巻いた形状にしてある。ミシン目で切られた先端から距離r の位置には例えば文字列一行・10桁分の窓4が開けられている。
【0006】窓4はシート3の一部が切り取られていたり、透明なビニールシートとなっており、この窓4は宛名位置になりこの位置に宛名を印字する。受信文を二重紙に出力するには、シート3を介し熱を感熱紙に与えるので、高いエネルギー出力を持つ印刷部品と、シート3の分厚くなった二重紙1に適した紙送り機構が必要であり、発明者はファクシミリ機構をこれらに対応できるように改良した。
【0007】次に通信網の全体構成について図3で説明する、通信装置T1、T2、T3等が公衆電話回線網6を介し遠方の通信装置 T11、T12 、T13 等と接続可能である。これら通信装置T1、T11等は互いに送信局にも受信局にもなり得る双方向装置である。通信装置T1等を送信局とし、通信装置 T11等を受信局とすると、送信局は秘密文書を作成・発信する通信端末で、ハ゜ソコンモテ゛ム内臓) や、ファクシミリ装置等からなり、受信局は秘密文書を受信し、装着した二重紙に受信情報を出力可能なフ゜リンター付きハ゜ソコン(モテ゛ム内臓) やファクシミリ装置等から構成する。
【0008】図4において、個々の通信装置T1、T11等は入力装置7、CPU8、メモリ9、モデム10、プリンタ11、操作パネル12、出力装置13から構成されている。入力装置7はキーボードやイメージスキャナーから、出力装置13はディスプレイから構成される。CPU8は中央演算装置であり、メモリ9に格納されているプログラムに従って、通信処理を実行する。モデム10は、通信回路を制御し公衆電話回線網6とのデータの転送を制御する。プリンタ11は、感熱型の用紙に印字するもので二重紙1が装着され、操作パネル12からは二重紙1のサイズを特定する規格B5等を入力し、メモリ9に格納する。
【0009】図2において、メモリ9の格納領域には、プログラム23と書式テーブルの用紙コード(書式仕様)Fが予め記憶され、レジスタ22が確保されている。二重紙1をサイズの異なる複数の規格に分類し、これら規格毎に宛名位置と文書位置とを指定する書式テーブルFを作成する。書式テーブルの用紙コードFには、二重紙1の種別毎に、図6の窓4のサイズを決定する4隅の座標位置と、文書の秘密データが占有できる領域を特定する文字の行数と桁数のデータが登録されている。この窓4が宛名位置に、秘密データが占有できる領域が文書位置となる。文書データの印字開始位置は最初に機種によって設定しておけばいいので、特にメモリ9には登録しなくてもよい場合もある。用紙コート゛Fの規格は用紙の大きさと、宛名位置や文書位置を特定するコート゛になり、送信局と受信局で共通の書式辞書としてメモリ9に格納しておく。
【0010】送信側で、受信側の用紙コート゛の規格を選定すれば、宛名位置と文書位置の書式等が決定できる。新しい規格の用紙書式が開発される毎に用紙コート゛の規格項目を新設し、それぞれのメモリ9内の書式辞書を更新するとともに、書式編集に必要なフ゜ロク゛ラム を開発してメモリ9に追加登録する。レジスタ22には自局のプリンタ11に装着されている二重紙1のサイズ規格B5横等を操作パネル12から入力して登録する。図5に用紙コードFに対応した印字上の配置構成例を、規格B5横の場合について示す。
【0011】二重紙1の感熱紙2は宛名印刷領域20と秘密文書領域21を備え、宛名印刷領域20は二重紙1の左上端を原点基準にした4隅の位置データP1、P2、P3、P4で特定されている。秘密文書領域21は、宛名印刷領域20以下の行を割り当てるようにし、行数と桁数は図2の用紙コード(書式仕様)Fの規格欄から、B5横等が設定される。
【0012】次に図1のフローチャートに従って、動作を説明する。図1の左側は送信局T1の動作を右側は受信局T11の動作をそれぞれ示している。まず、ステップS1では送信局T1側では、親展等の秘密文書を作成し、ステップS2で相手の受信局T11に発信する。ステップS2では同時に相手のメモリ9内のレジスタ22に設定されている二重紙1の規格等を問い合わせる。ステップS3で相手の受信局T11から設定済み二重紙の規格コード、B5横等を受信したら、ステップS4では自局のメモリ9の用紙コード(書式仕様)テーブルF内に該当する規格コード、B5横があるかどうかサーチする。該当規格のコードがあれば、ステップS5に進み、その規格コードを読み出して、B5横の書式に合わせて宛名と通信文のデータを編集し、ステップS6で通信回線6を介し相手局T11に書式データと文字データとを送信する。
【0013】ステップS5の通信文データの編集を以下に詳述する。CPU8は、用紙コード(書式仕様)FのB5横の規格コード欄から、宛名位置座標と文書開始位置座標とを読みとり、宛名が窓4内の位置に、また秘密文書が秘密文書領域21の位置に所定の行・桁数で印字されるように編集する。ステップS4で該当コードがなければ、秘密保持が保証できないので、通信文のデータの編集や送信を行うことなく終了する。
【0014】次に受信局T11の動作を説明する。ステップR1で受信局T11側では、モデム10が発呼を受け回線網6に接続し、印刷書式(用紙コード)の問い合わせに対し、自局のメモリ9のレジスタ22を調べ、装着された二重紙1の規格コードを送信局T1に応答送信する。ステップR2では、送信局T1から印字書式データおよび宛名と親展のデータを受信し自局メモリ9の記憶領域に記録する。ステップR3では印字書式データに従って、宛名データを窓4内に、親展の文書データを21内に印字し、二重紙1を所定の切り取り位置(用紙の規格サイズ)で切り離し放出する。
【0015】親展取出は、親展取り出しの操作は不要であり、窓4の宛名に名前を印刷された人が用紙を取るだけであり、他人の場合は取って渡すだけである。ステップR4では受信データを自局メモリ9の記憶領域から消去する二重紙1の規格が限定されたプリンタを持つ受信装置では、用紙の規格コート゛は固定常数となり、レジスタ22への設定作業は製造時にセットすれば以後不要となり便利である。
【0016】ファクシミリのように各種規格の用紙を扱える受信装置の場合には、二重紙の用紙はロール単位でまたは補充折り畳み用紙のカセット単位で補充交換できる。この場合当該用紙コート゛をカセットまたはロール包装に表示しておき、補充または交換する毎に用紙コート゛を操作ハ゜ネル12からレジスタ22に入力する方法と、入力装置7に装備されているイメージスキャナーを利用し、ハ゛ーコート゛ や数字をOCR機能で認識して入力する方法がある。
【0017】なお、二重紙1は定型化せず幾種類に増えても、用紙コードを標準化し、用紙コード(書式仕様)F上で管理し、また通信プロトコルの標準化してプログラム化し、ファクシミリの機種によらず、本発明を装備するようにして適用範囲を広めることができる。また、画像編集では、二重紙の宛名印刷位置に宛名テ゛ータを所定位置に編集することが重要であり、ファクシミリ通信では送信局側で編集を行なうのが一般的である。例えば送信原稿のサイズが大きいA3で、受信側のファクシミリが小さいB4サイズの場合には、送信側でB4サイズに合うように文字領域を縮小編集して送信することになる。
【0018】受信局にセットされる二重紙を、送信側で確認し、受信装置の宛先印刷位置には宛先だけが印刷されるように送信側で画像編集する。送信原稿を最初から受信側の二重紙書式に合わして作れば、結果的に編集する必要は生じない。
【0019】編集は実施例では送信局側で行なっているが、受信局側で行なっても良い。受信側で再編集するのは、送信側にこの画像編集機能が持てない場合に限定され、送信局から受信側に二重紙親展出力編集を指示され、且つ受信側に再編集能力がある場合に限定される。また実施例では、送信側は宛名データを画像でなくテキストデータで送信したが、画像データで送信するときは、全文画像の中の宛名部分の位置を示す情報を、同様に送信データに付加すればよい。受信側では、これらを受信した画像編集情報をもとに、二重紙1上での宛名印刷画像を編集し、窓4内にハード印刷する。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、二重紙の特徴を活かし、送受信者間の親展番号の取り決めや、バーコードのようなデータ変換の取り決めの煩わしさが、機械化されることで無くなり、親展通信が画期的に変わることが予想される。個人向けの情報で他人に知られたくない情報は世の中に沢山あり、郵便で配達するには時間がかかり、タイミングを失することもある。本発明によれば、秘密が保持されるので、ファクシミリによる親展通信が、郵便に変わって普及・拡大すると期待できる。具体的には次のようなサービスが事業化できると考える。在宅ケア通信、趣味の会への参加・投稿、買い物委託等のシニアサポートサービス、健康相談、問診票、自宅検診データ、診断データ交換等の健康管理情報サービス、一般親書、見積書、価格交渉、戦略方針打ち合わせ等の秘匿情報サービス等がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動作を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明のメモリの構成を示す図である。
【図3】本発明が実施される通信回路網の全体図である。
【図4】本発明の通信装置のブロック構成図である。
【図5】本発明の通信文の印字配列を示す図である。
【図6】本発明に利用する二重紙の正面図である。
【図7】図6の二重紙のシートを外す途中の図である。
【符号の説明】
1 二重紙
2 感熱紙
3 シート
4 窓
6 通信回線
7 入力装置
8 CPU
9 メモリ
10 モデム
11 プリンタ
12 操作パネル
20 宛名印字領域
21 秘密文書領域
22 レジスタ
23 プログラム
F 規格テーブル
T1 送信局
T11 受信局

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明な窓に重なる感熱紙上の宛名位置に宛名を、不透明なシートに重なる感熱紙上の文書位置に秘密文書がそれぞれ印字される二重紙を利用するものであって、前記二重紙をサイズの異なる規格別に分類し、これら規格毎に前記宛名位置と文書位置を指定する書式テーブルを作成し、送信局に前記書式テーブルを予め登録し、受信局には自局に装着された前記二重紙の規格を登録し、前記発信局が前記受信局を発呼し、通信回線を介し接続した時に前記登録された規格を問い合わせ、前記受信局は自局の登録された規格を答信し、前記送信局は受信した規格に従って前記書式テーブルを検索し、該当する書式を読み出し、この書式に従って発信文中の宛名と秘密文書の文字を編集して送信し、前記受信局ではこの受信文を自局に装着された二重紙に、宛名を前記宛名位置に秘密文書を前記文書位置にそれぞれ印字するようにしたことを特徴とする通信端末による秘密保持可能な感熱記録体へのデータ転送方法。
【請求項2】 透明な窓に重なる感熱紙上の宛名位置に宛名を、不透明なシートに重なる感熱紙上の文書位置に秘密文書がそれぞれ印字される二重紙と、前記二重紙をサイズの異なる規格に分類し、これら規格毎に前記宛名位置と文書位置を指定する書式を作成し、これら書式からなる書式テーブルと自局に装着された前記二重紙の規格とを登録したメモリを備えた通信端末と、複数の前記通信端末を通信回線を介して接続した通信網とからなり、前記一の通信端末の発信局が前記他方の通信端末の受信局を発呼し、通信回線を介し接続した時に前記登録された規格を問い合わせ、前記受信局は自局の登録された規格を答信し、前記送信局は受信した規格に従って前記書式テーブルを検索し、該当する書式を読み出し、この書式に従って発信文中の宛名と秘密文書の文字を編集して送信し、前記受信局ではこの受信文を自局に装着された二重紙に、宛名を前記宛名位置に、秘密文書を前記文書位置にそれぞれ印字するようにしたことを特徴とする通信端末による秘密保持可能な感熱記録体へのデータ転送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開平9−27914
【公開日】平成9年(1997)1月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−174967
【出願日】平成7年(1995)7月11日
【出願人】(591266814)ガイオ・テクノロジー株式会社 (3)